JP2019013149A - パワーモジュール及び電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】パワーモジュール及び電力変換装置の信頼性を向上させる。【解決手段】本発明に係るパワーモジュール及び当該パワーモジュールを用いた電力変換装置は、電気配線板とパワー半導体素子とを樹脂材料でモールドしたモールド体と、前記モールド体を挟むように配置される一対の放熱ベースと、を備え、前記放熱ベースは、前記パワー半導体素子と対向する領域の外周において弾性変形した状態で保持される。【選択図】図8

Description

本発明は,直流電力と交流電流を相互に変換するパワーモジュール,当該パワーモジュールを備えた電力変換装置に関するものである。
従来の電力変換装置は、パワー半導体を備えたパワーモジュールを有し、このパワー半導体のスイッチング動作により直流電力と交流電流を相互に変換する。パワーモジュールは、さらに放熱用のベース板を備え、パワー半導体は当該ベース板上に配置される。パワー半導体の発生熱は、当該パワー半導体の一方の主面を介して、前述のベース板へ放熱される。また、前述のベース板には、パワー半導体の配置面とは反対側の面にフィンが形成され、当該フィンに冷却媒体が直接接触する。
このような電力変換装置は、例えば特許文献1に示されている。
しかし、更なる冷却性能の向上には、パワー半導体の放熱面積の拡大が求められる。パワー半導体の放熱面積の拡大は、パワーモジュールの構造の複雑化を招き、当該パワーモジュールの生産性の低下を惹き起こし、ひいては電力変換装置のコスト上昇の要因となる。
特開2008−29117号公報
本発明が解決しようとする課題は、パワーモジュール及び電力変換装置の生産性を向上させることである。
上記課題を解決するために、本発明に係るパワーモジュール及び当該パワーモジュールを用いた電力変換装置は、電気配線板とパワー半導体素子とを樹脂材料でモールドしたモールド体と、前記モールド体を挟むように配置される一対の放熱ベースと、を備え、前記放熱ベースは、前記パワー半導体素子と対向する領域の外周において弾性変形した状態で保持される。
本発明により、パワーモジュール及び電力変換装置の生産性を向上させることができる。
ハイブリッド自動車の制御ブロックを示す図である。 電力変換装置200の回路構成を説明する図である。 本発明の実施形態に係る電力変換装置の外観斜視図である。 本発明の実施形態に係る電力変換装置の断面図である。 本発明の実施形態に係る第一のパワーモジュールの斜視図である。 (a)は本実施形態に関するパワーモジュールの構成部品である樹脂モールド型両面電極モジュールの断面図であり、(b)は樹脂モールド型両面電極モジュールの斜視図である。 パワーモジュールの内蔵回路構成を示す図である。 (a)はパワーモジュールの断面図、(b)はパワーモジュールの側面図である。 CAN状放熱ベースと樹脂モールド型両面電極モジュールの組立フロー図である。 CAN状放熱ベースと樹脂モールド型両面電極モジュールの組立フロー図である。 CAN状放熱ベースと樹脂モールド型両面電極モジュールの組立フロー図である。 冷却水流路を有する筐体のアルミ鋳造品に冷却水入口配管と出口配管を取り付けた筐体の斜視図である。 冷却水流路を有する筐体のアルミ鋳造品に冷却水入口配管と出口配管を取り付けた筐体の上面図である。 冷却水流路を有する筐体のアルミ鋳造品に冷却水入口配管と出口配管を取り付けた筐体の断面図である。 本発明の実施形態に係る電力変換装置の冷却ジャケットとパワーモジュールのシール構造図である。 (a)は本発明の実施形態に係る第二のパワーモジュールの断面図であり、(b)は第二のパワーモジュールの側面図である。 (a)は本発明の実施形態に係る第三のパワーモジュールの断面図であり、(b)は第三のパワーモジュールの側面図である。 (a)は本発明の実施形態に係る第四のパワーモジュールの断面図であり、(b)は第四のパワーモジュールの側面図である。 (a)は本発明の実施形態に係る第五のパワーモジュールの断面図であり、(b)は第五のパワーモジュールの側面図である。 (a)は本発明の実施形態に係る第六のパワーモジュールの断面図であり、(b)は第六のパワーモジュールの側面図である。 本発明の実施形態に係る電力変換装置の冷却ジャケットとパワーモジュールのシール構造図である。 本発明の実施形態に係る電力変換装置のパワーモジュールの入出力端子の接続構造を示した断面図である。 本発明の実施形態に係る電力変換装置のパワーモジュールの入出力端子の接続構造を示した断面図である。 本発明の実施形態に係る電力変換装置のパワーモジュールの入出力端子の接続構造を示した断面図である。 本発明の実施形態に係る電力変換装置のパワーモジュールとコンデンサの構造を示した断面図である。 本発明の実施形態に係る電力変換装置のパワーモジュールとコンデンサの構造を示した断面図である。 本発明の実施形態に係る電力変換装置のパワーモジュールのCAN状放熱ベースの製造プロセスを示したフロー図である。 本実施形態に係るパワーモジュール300のCAN状放熱ベース304の製造方法を示した工程フロー図である。
後述する本発明の実施形態は製品化のために求められる多くのニーズに適用できるように検討されている。上述の「発明が解決しようとする課題」の欄に記載した内容は、ニーズの一つに対応したものであり、他のニーズに関する改良点を次に説明する。
本発明に係るパワーモジュール及び電力変換装置の一つのニーズは、パワーモジュール及び電力変換装置の冷却性能を向上させながら、生産性を向上させることである。
そこで本発明に係るパワーモジュール及びそれを用いた電力変換装置は、それぞれの主面が対向する2枚のベース板と、前記2枚のベース板の間に配置された半導体回路部と、前記2枚のベース板に接続され、かつ前記半導体回路部を収納するための収納領域を形成する連結部材と、前記ベース板と前記半導体回路部との間に介装され、かつ当該ベース板と当該半導体回路部との電気的絶縁を確保するための絶縁性部材と、を備え、前記連結部材の剛性は、前記ベース板の剛性より小さいことを特徴とする。
これにより、半導体回路部の両面を2枚のベース板のそれぞれを介して冷却することができ、放熱面積を大きくすることができる。さらに、連結部材の剛性はベース板の剛性より小さく設定されているため、半導体回路部を挟むように2枚のベース板を加圧することで、容易にパワーモジュールのケースを成形することができるとともに、半導体回路部と絶縁性部材とベース板が接続され、熱の交換が相互に可能な熱伝達経路を容易に形成することができる。
本発明に係るパワーモジュール及び電力変換装置の他のニーズは、パワーモジュール及び電力変換装置の絶縁性を確保しながら、冷却性能を向上させることである。
そこで本発明に係るパワーモジュール及びそれを用いた電力変換装置は、筒型のケースと、前記ケース内に形成された収納領域に収納された半導体回路部と、前記ケースの内壁と当該半導体回路部との電気的絶縁を確保するための絶縁性部材と、を備え、前記半導体回路部は前記ケースの内壁に挟まれて支持され、前記絶縁性部材は、前記ケースの内壁と前記半導体回路部の間に介装されるとともに、当該絶縁性部材は、熱処理により、当該半導体回路部と当該ケース内壁との接着力を向上させる材料であることを特徴とする。
これにより、半導体回路部とケース内壁との絶縁性を確保することができる。さらに、半導体回路部とケース内壁との接着力を向上させて、半導体回路部とケース内壁との間に剥離が発生することを抑制し、半導体回路部からケースまでの熱伝達経路の熱伝導率を低下させないようにしている。
また、本発明の実施形態に係る電力変換装置の具体的な説明の前に、本実施形態に係るパワーモジュール及び電力変換装置の概略を説明する。
本実施形態に係るパワーモジュールは、板状のパワー半導体の両側側面に設けられた両電極に板状の電気配線板を固着し、パワー半導体の両側から電力の流通及び熱エネルギーを放熱可能とし、更に電気配線板の一部とパワー半導体を樹脂で梱包し、樹脂の一部からパワー半導体近傍の両電気配線板の両放熱面を露出させ、この両放熱面と樹脂面が平坦な平面を形成し、形成された両平面に接着性のある絶縁層を形成する。さらに、形成した接着性の絶縁層と接着する2つの平面を持つ「CAN」状の放熱ベースにパワー半導体,電気配線板及び樹脂の一部、接着性の両絶縁層が内蔵され、「CAN」状の放熱ベースの外側には放熱用のフィン部を形成しパワー半導体の両側からフィン部を介して放熱可能とする。
本実施形態に係る電力変換装置は、電力変換装置のケースにフィン部を収納可能な冷却水路を有し、冷却水路の側面には前述のパワーモジュールが挿入できる挿入口が設けてあり、フ挿入口の周囲にはパワーモジュールに設けたフランジと勘合し冷却媒体の密閉構造が形成される。
また、本実施形態に係る電力変換装置は、挿入口とは反対側の冷却水路の開口部には水路全体を密閉する水路蓋が用意され、パワーモジュールと水路蓋により冷却媒体が流れる冷却ジャケットを構成し、パワーモジュールを冷却水路の中に没水して冷却する。パワーモジュールの電気配線板が突出した領域にパワー半導体を制御し負荷への電力供給を制御する回路が収納され、水冷ジャケットの下方の領域に電力平滑用のコンデンサや入力電圧を昇圧する回路を備えた。
本発明の実施形態に係る電力変換装置について、図面を参照しながら以下詳細に説明する。本発明の実施形態に係る電力変換装置は、ハイブリッド用の自動車や純粋な電気自動車に適用可能である。ここでは、代表例として、本発明の実施形態に係る電力変換装置をハイブリッド自動車に適用した場合の、制御構成と電力変換装置の回路構成について、図1と図2を用いて説明する。
本発明の実施形態に係る電力変換装置では、自動車に搭載される車載電機システムの車載用電力変換装置、特に、車両駆動用電機システムに用いられ、搭載環境や動作的環境などが大変厳しい車両駆動用インバータ装置を例に挙げて説明する。車両駆動用インバータ装置は、車両駆動用電動機の駆動を制御する制御装置として車両駆動用電機システムに備えられ、車載電源を構成する車載バッテリ或いは車載発電装置から供給された直流電力を所定の交流電力に変換し、得られた交流電力を車両駆動用電動機に供給して車両駆動用電動機の駆動を制御する。また、車両駆動用電動機は発電機としての機能も有しているので、車両駆動用インバータ装置は、運転モードに応じて車両駆動用電動機の発生する交流電力を直流電力に変換する機能も有している。変換された直流電力は車載バッテリに供給される。
なお、本実施形態の構成は、自動車やトラックなどの車両駆動用電力変換装置として最適であるが、これら以外の電力変換装置に対しても適用可能である。例えば、電車や船舶、航空機などの電力変換装置や、工場の設備を駆動する電動機の制御装置として用いられる産業用電力変換装置、あるいは、家庭の太陽光発電システムや家庭の電化製品を駆動する電動機の制御装置に用いられたりする、家庭用電力変換装置に対しても適用可能である。
図1はハイブリッド自動車の制御ブロックを示す図である。図1において、ハイブリッド電気自動車(以下、「HEV」と記述する)110は1つの電動車両であり、2つの車両駆動用システムを備えている。その1つは、内燃機関であるエンジン120を動力源としたエンジンシステムである。エンジンシステムは、主としてHEV110の駆動源として用いられる。もう1つは、モータジェネレータMG1 192,MG2 194を動力源とした車載電機システムである。車載電機システムは、主としてHEV110の駆動源およびHEV110の電力発生源として用いられる。モータジェネレータMG1 192,MG2 194は例えば同期機あるいは誘導機であり、運転方法によりモータとしても発電機としても動作するので、ここではモータジェネレータと記すこととする。
車体のフロント部には前輪車軸114が回転可能に軸支されている。前輪車軸114の両端には一対の前輪112が設けられている。車体のリア部には後輪車軸(図示省略)が回転可能に軸支されている。後輪車軸の両端には一対の後輪が設けられている。本実施形態のHEVでは、動力によって駆動される主輪を前輪112とし、連れ回される従輪を後輪とする、いわゆる前輪駆動方式を採用しているが、この逆、すなわち後輪駆動方式を採用しても構わない。
前輪車軸114の中央部には、前輪側デファレンシャルギア(以下、「前輪側DEF」と記述する)116が設けられている。前輪車軸114は、前輪側DEF116の出力側に機械的に接続されている。前輪側DEF116の入力側には、変速機118の出力軸が機械的に接続されている。前輪側DEF116は、変速機118によって変速されて伝達された回転駆動力を左右の前輪車軸114に分配する差動式動力分配機構である。変速機118の入力側には、モータジェネレータ192の出力側が機械的に接続されている。モータジェネレータ192の入力側には、動力分配機構122を介してエンジン120の出力側およびモータジェネレータ194の出力側が機械的に接続されている。なお、モータジェネレータ192,194および動力分配機構122は、変速機118の筐体の内部に収納されている。
モータジェネレータ192,194は回転子に永久磁石を備えた同期機であり、固定子の電機子巻線に供給される交流電力がインバータ装置140,142によって制御されることにより、モータジェネレータ192,194の駆動が制御される。インバータ装置140,142にはバッテリ136が接続されており、バッテリ136とインバータ装置140,142との間において電力の授受が可能である。
本実施形態では、HEV110は、モータジェネレータ192およびインバータ装置140からなる第1電動発電ユニットと、モータジェネレータ194およびインバータ装置142からなる第2電動発電ユニットとの2つを備え、運転状態に応じてそれらを使い分けている。すなわち、エンジン120からの動力によって車両を駆動している状況において、車両の駆動トルクをアシストする場合には、第2電動発電ユニットを発電ユニットとしてエンジン120の動力によって作動させて発電させ、その発電によって得られた電力によって第1電動発電ユニットを電動ユニットとして作動させる。また、同様の状況において車両の車速をアシストする場合には、第1電動発電ユニットを発電ユニットとしてエンジン120の動力によって作動させて発電させ、その発電によって得られた電力によって第2電動発電ユニットを電動ユニットとして作動させる。
また、本実施形態では、バッテリ136の電力によって第1電動発電ユニットを電動ユニットとして作動させることにより、モータジェネレータ192の動力のみによって車両の駆動ができる。さらに、本実施形態では、第1電動発電ユニットまたは第2電動発電ユニットを、発電ユニットとしてエンジン120の動力あるいは車輪からの動力によって作動させて発電させることにより、バッテリ136の充電ができる。
バッテリ136は、さらに補機用のモータ195を駆動するための電源としても使用される。補機としては、たとえばエアコンディショナーのコンプレッサを駆動するモータ、あるいは制御用の油圧ポンプを駆動するモータがあり、バッテリ136からインバータ装置43に供給された直流電力は補機用の変換機43で交流の電力に変換され、モータ195に供給される。補機用の変換機43はインバータ装置140,142と同様の機能を持ち、モータ195に供給する交流の位相や周波数,電力を制御する。たとえば、モータ195の回転子の回転に対し進み位相の交流電力を供給することにより、モータ195はトルクを発生する。一方、遅れ位相の交流電力を発生することで、モータ195は発電機として作用し、モータ195は回生制動状態の運転となる。このような補機用の変換機43の制御機能は、インバータ装置140,142の制御機能と同様である。モータ195の容量がモータジェネレータ192,194の容量より小さいので、補機用の変換機43の最大変換電力はインバータ装置140,142より小さいが、補機用の変換機43の回路構成は基本的にインバータ装置140,142の回路構成と同じである。
インバータ装置140,142および43とコンデンサモジュール500とは、電気的に密接な関係にある。さらに発熱に対する対策が必要な点が共通している。また装置の体積をできるだけ小さく作ることが望まれている。これらの点から以下で詳述する電力変換装置200は、インバータ装置140,142および43とコンデンサモジュール500とを電力変換装置200の筐体内に内蔵している。この構成により、ハーネスの数を低減できると共に放射ノイズなどを低減しながら小型で信頼性の高い電力変換装置が実現できる。
また、インバータ装置140,142および43とコンデンサモジュール500とを一つの筐体に内蔵することで、配線の簡素化やノイズ対策において効果がある。また、コンデンサモジュール500とインバータ装置140,142および43との接続回路のインダクタンスを低減でき、スパイク電圧を低減できると共に、発熱の低減や放熱効率の向上を図ることができる。
次に、図2を用いて電力変換装置200の回路構成について説明する。図1に示したように、電力変換装置200は、インバータ装置140,142と、補機用の変換装置43と、コンデンサモジュール500とを備えている。
インバータ装置140,142は両面冷却型パワーモジュール300を複数台接続して構成され3相ブリッジ回路を構成している。後述するように、各パワーモジュールは、パワー半導体素子とその接続配線や図6に示すような開口部を有し、開口面を除いて囲まれた缶状形状の放熱ベース304(以下、「CAN状放熱ベーン」という)等を備えている。このCAN状放熱ベース304は、対抗した放熱ベースの周囲を覆うように、両放熱ベースと連続して繋ぎ目の無い同一材質で構成した外壁を持ち、外壁の一部に開口部が用意され、開口部にパワー半導体を収納する冷却機である。また、補機用の変換機43はインバータ装置や昇圧及び降圧回路を構成している。
各インバータ装置140,142は、制御部に設けられた2つのドライバ回路によって駆動制御される。図2では、2つのドライバ回路を合わせてドライバ回路174と表示している。各ドライバ回路は制御回路172により制御される。制御回路172は、スイッチング用パワー半導体素子のスイッチングタイミングを制御するためのスイッチング信号を生成する。
インバータ装置140は3相ブリッジ回路により構成されており、U相(符号U1で示す),V相(符号V1で示す),W相(符号W1で示す)のそれぞれに対して、正極側に接続される正極側半導体スイッチ部と、負極側に接続される負極側半導体スイッチ部とを備えている。正極側半導体スイッチ部と負極側半導体スイッチ部とで上下アーム直列回路構成される。正極側半導体スイッチ部は、スイッチング用パワー半導体素子である上アーム用IGBT328(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)とダイオード156とを備えている。負極側半導体スイッチ部は、下アーム用IGBT330とダイオード166とを備えている。各上下アーム直列回路は、直流正極配線板314と直流負極配線板316との間に、電気的に並列接続されている。
上アーム用IGBT328及び下アーム用IGBT330は、以下では、IGBT328,330と記述する。
IGBT328,330は、ドライバ回路174の1つのドライバ回路174Aから出力された駆動信号を受けて動作し、バッテリ136から供給された直流電力を三相交流電力に変換する。この変換された電力はモータジェネレータ192の電機子巻線に供給される。なお、V相およびW相については、符号328,330,156,166の表示を省略した。インバータ装置142のパワーモジュール300は、インバータ装置140の場合と同様の構成であり、また、補機用の変換機43はインバータ装置142と同様の構成を有しており、ここでは説明を省略する。
本実施形態では、スイッチング用パワー半導体素子としてIGBT328,330を用いて例示している。IGBT328,330は、コレクタ電極,エミッタ電極(信号用エミッタ電極端子),ゲート電極(ゲート電極端子)を備えている。IGBT328,330のコレクタ電極とエミッタ電極との間にはダイオード156,166が図示するように電気的に接続されている。ダイオード156,166は、カソード電極およびアノード電極の2つの電極を備えており、IGBT328,330のエミッタ電極からコレクタ電極に向かう方向が順方向となるように、カソード電極がIGBT328,330のコレクタ電極に、アノード電極がIGBT328,330のエミッタ電極にそれぞれ電気的に接続されている。スイッチング用パワー半導体素子としてはMOSFET(金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ)を用いてもよい、この場合はダイオード156やダイオード166は不要となる。
制御回路172は、車両側の制御装置やセンサ(例えば、電流センサ180)などからの入力情報に基づいて、IGBT328,330のスイッチングタイミングを制御するためのタイミング信号を生成する。ドライバ回路174は、制御回路172から出力されたタイミング信号に基づいて、IGBT328,330をスイッチング動作させるための駆動信号を生成する。
制御回路172は、IGBT328,330のスイッチングタイミングを演算処理するためのマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と記述する)を備えている。マイコンには、モータジェネレータ192に対して要求される目標トルク値、上下アーム直列回路からモータジェネレータ192の電機子巻線に供給される電流値、およびモータジェネレータ192の回転子の磁極位置が、入力情報として入力される。目標トルク値は、図示していない、上位の制御装置から出力された指令信号に基づくものである。電流値は、電流センサ180から出力された検出信号に基づいて検出されたものである。磁極位置は、モータジェネレータ192に設けられた回転磁極センサ(不図示)から出力された検出信号に基づいて検出されたものである。本実施形態では3相の電流値を検出する場合を例に挙げて説明するが、2相分の電流値を検出するようにしても構わない。
制御回路172内のマイコンは、目標トルク値に基づいてモータジェネレータ192のd,q軸の電流指令値を演算し、この演算されたd,q軸の電流指令値と、検出されたd,q軸の電流値との差分に基づいてd,q軸の電圧指令値を演算する。さらにマイコンは、この演算されたd,q軸の電圧指令値を、検出された磁極位置に基づいてU相,V相,W相の電圧指令値に変換する。そして、マイコンは、U相,V相,W相の電圧指令値に基づく基本波(正弦波)と搬送波(三角波)との比較に基づいてパルス状の変調波を生成し、この生成された変調波をPWM(パルス幅変調)信号としてドライバ回路174に出力する。
ドライバ回路174は、下アームを駆動する場合、PWM信号を増幅し、これをドライブ信号として、対応する下アームのIGBT330のゲート電極に出力する。一方、上アームを駆動する場合には、ドライバ回路174は、PWM信号の基準電位のレベルを上アームの基準電位のレベルにシフトしてからPWM信号を増幅し、これをドライブ信号として、対応する上アームのIGBT328のゲート電極にそれぞれ出力する。これにより、各IGBT328,330は、入力されたドライブ信号に基づいてスイッチング動作する。
また、制御部は、異常検知(過電流,過電圧,過温度など)を行い、上下アーム直列回路を保護している。このため、制御部にはセンシング情報が入力されている。たとえば、各アームの信号用エミッタ電極端子からは各IGBT328,330のエミッタ電極に流れる電流の情報が、対応するドライバ回路174に入力されている。これにより、ドライバ回路174は過電流検知を行い、過電流が検知された場合には対応するIGBT328,330のスイッチング動作を停止させ、対応するIGBT328,330を過電流から保護する。上下アーム直列回路に設けられた温度センサ(不図示)からは上下アーム直列回路の温度の情報がマイコンに入力されている。また、マイコンには上下アーム直列回路の直流正極側の電圧の情報が入力されている。マイコンは、それらの情報に基づいて過温度検知および過電圧検知を行い、過温度或いは過電圧が検知された場合には全てのIGBT328,330のスイッチング動作を停止させ、上下アーム直列回路を過温度或いは過電圧から保護する。
インバータ装置140の上下アームのIGBT328,330の導通および遮断動作が一定の順で切り替わり、この切り替わり時にモータジェネレータ192の固定子巻線に発生する電流は、ダイオード156,166を含む回路を流れる。なお、本実施形態の電力変換装置200では、インバータ装置140の各相に1つの上下アーム直列回路を設けたが、モータジェネレータへ出力する3相交流の各相の出力を発生する回路として、各相に2つの上下アーム直列回路を並列接続するようにした回路構成の電力変換装置であってもよい。
各インバータ装置140,142に設けられた直流端子313は、共通の積層導体板700に接続されている。積層導体板700は、パワーモジュール配列方向に幅広な導電性板材から成る正極側導体板702と負極側導体板704とで絶縁シート706(不図示)を挟持した、3層構造の積層配線板を構成している。積層導体板700の正極側導体板702および負極側導体板704は、コンデンサモジュール500に設けられた積層配線板501の正極導体板507および負極導体板505にそれぞれ接続されている。正極導体板507および負極導体板505もパワーモジュール配列方向に幅広な導電性板材から成り、絶縁シート517(不図示)を挟持した3層構造の積層配線板を構成している。
コンデンサモジュール500には複数のコンデンサセル514が並列接続されており、コンデンサセル514の正極側が正極導体板507に接続され、負極側が負極導体板505に接続されている。コンデンサモジュール500は、IGBT328,330のスイッチング動作によって生じる直流電圧の変動を抑制するための平滑回路を構成している。
コンデンサモジュール500の積層配線板501は、電力変換装置200の直流コネクタに接続された入力積層配線板230に接続されている。入力積層配線板230には、補機用の変換機43にあるインバータ装置も接続されている。入力積層配線板230と積層配線板501との間には、ノイズフィルタが設けられている。ノイズフィルタには、筐体12の接地端子と各直流電力ラインとを接続する2つコンデンサを備えていて、コモンモードノイズ対策用のYコンデンサを構成している。
図4に示すように19Aは冷却水流路が形成された冷却ジャケットであって、冷却水入口配管13から流入した冷却水は、矢印で示すようにU字形状に流れて往復し、冷却水出口配管14から流出する。インバータ回路140,142は、冷却水の往復経路上に配置されており、いずれのインバータ回路においても、上アーム側のIGBTおよびダイオードは冷却水路の往路側に配置され、下アーム側のIGBTおよびダイオードは冷却水路の復路側に配置されている。
図3〜図6において、200は電力変換装置、10は上部ケース、11は金属ベース板、12は筐体、13は冷却水入口配管、14は冷却水出口配管、16は下部ケース、17は交流ターミナルケース、18は交流出力配線、19は冷却水流路、20は制御回路基板で制御回路172を保持している。21は外部との接続のためのコネクタ、22は駆動回路基板でドライバ回路174を保持している。このように制御回路基板20,制御回路172,駆動回路基板22及びドライバ回路174から制御部は構成されている。300はパワーモジュール(両面電極モジュール)で各インバータに3個設けられており、一方のパワーモジュール300ではインバータ装置142が構成され、他方のパワーモジュール300ではインバータ装置140が構成されている。700は積層導体板、800は液体シール、304はCAN状放熱ベース、314は直流正極配線板、316は直流負極配線板、500はコンデンサモジュール、505は負極側導体板、507は正極側導体板、514はコンデンサセル、をそれぞれ表す。
図3に、本発明の実施形態に係る電力変換装置200の外観斜視図を示す。本実施形態に係る電力変換装置200の外観部品としては、上面あるいは底面が略長方形の筐体12と、筐体12の短辺側の外周の1つに設けられた冷却水入口配管13(未記載)および冷却水出口配管14と、筐体12の上部開口を塞ぐための上部ケース10と、前記筐体12の下部開口を塞ぐための下部ケース16とを備えている。筐体12の底面側あるいは上面側の形状を略長方形としたことで、車両への取り付けが容易となり、また製造、特に量産し易い効果がある。
電力変換装置200の長辺側の外周には、各モータジェネレータ192,194との接続に用いる交流ターミナルケース17が設けられている。交流出力配線18は、パワーモジュール300とモータジェネレータ192,194とを電気的に接続するために用いられる。パワーモジュール300から出力される交流電流は、交流出力配線18を介して、モータジェネレータ192,194へ伝達される。
コネクタ21は、筐体12に内蔵された制御回路基板20に接続されている。外部からの各種信号は、コネクタ21を介して制御回路基板20に伝送される。直流(バッテリ)負極側接続端子部510と直流(バッテリ)正極側接続端子部512は、バッテリ136とコンデンサモジュール500とを電気的に接続する。ここで本実施形態では、コネクタ21は、筐体12の短辺側の外周面の一方側に設けられる。一方、直流(バッテリ)負極側接続端子部510と直流(バッテリ)正極側接続端子部512は、コネクタ21が設けられた面とは反対側の短辺側の外周面に設けられる。つまり、コネクタ21と直流(バッテリ)負極側接続端子部510が離れた配置となっている。これにより、直流(バッテリ)負極側接続端子部510から筐体12に侵入し、さらにコネクタ21まで伝播するノイズを低減することでき、制御回路基板20によるモータの制御性を向上させることができる。図2の直流コネクタ138に、これら端子部510と512がある。
図4は、本発明の実施形態に係る電力変換装置の断面図である。
図4に示すように、筐体12の中ほどには、内部に冷却水流路19が形成される冷却ジャケット19Aが設けられ、冷却ジャケット19Aの上部には流れの方向に並んで2組の開口400と402が3列に形成され6個の開口部を構成している(図10(b)参照)。各パワーモジュール300が冷却ジャケット19Aの上面に液状シール800を介して固定されている。各パワーモジュール300のCAN状放熱ベース304には放熱のためのフィン305が対向するように設けられており、各パワーモジュール300のフィン305はそれぞれ冷却ジャケット19Aの開口400,402から冷却水流路19中に突出している。突出したCAN状放熱ベース304と冷却ジャケット19Aの柱状の一部が冷却水路19を左右に分離し、冷却媒体を分流させ対抗したフィン305部に別れて流れる。さらに、冷却水路19は、6個のパワーモジュールを直列に並べて冷却できるようにS字状に蛇行して冷却ジャケット19A内に設けられる。
冷却ジャケット19Aの下面には、開口404が冷却水路19に沿って形成されており、開口404は下水路裏蓋420で塞がれている。また冷却ジャケット19Aの下面には補機用の変換機43が取り付けられ冷却されている。補機用の変換機43は、内蔵しているパワーモジュール等(図示なし)の放熱金属面が冷却ジャケット19Aの下面に対向するようにして、下水路裏蓋420の下面に固定されている。下水路裏蓋420と筐体12との間には、液体シール800が設けられている。本実施形態ではシール材を液体シールとしているが、液体シールの代わりに樹脂材,ゴム製オーリングやパッキンなどを代用しても良く、特に液状シールを用いた場合には電力変換装置200の組立性を向上させることができる。
さらに冷却ジャケット19Aの下方には、下部ケース16が設けられ、下部ケース16にはコンデンサモジュール500が設けられている。コンデンサモジュール500は、その金属製ケースの放熱面が下部ケース16の底板内面に接するように、下部ケース16の底板内面に固定されている。この構造により、冷却ジャケット19Aの上面と下面とを利用して、パワーモジュール300および補機用の変換機43を効率良く冷却することができ、電力変換装置全体の小型化に繋がる。
さらに冷却ジャケット19Aが設けられている筐体12が冷却されることにより、筐体12の下部に設けられた下部ケース16が冷却される。その結果、コンデンサモジュール500の熱が下部ケース16および筐体12を介して冷却水に熱的に伝導され、コンデンサモジュール500が冷却される。
パワーモジュール300の上方には、パワーモジュール300とコンデンサモジュール500とを電気的に接続するための積層導体板700が配置される。この積層導体板700は、各パワーモジュール300の入力端子313に跨って、各パワーモジュール300を並列接続している。さらに、積層導体板700は、コンデンサモジュール500の正極導体板507と接続される正極側導体板702(図20参照)と、コンデンサモジュール500の負極導体板505と接続される負極側導体板704(図20参照)と、導体板702,704間に配置される絶縁シート7000によって構成される。この導体板505,507は、冷却ジャケット19Aの冷却水路19が蛇行して作られた水路隔壁内を貫通するように配置されることにより、配線長を短くすることができることからパワーモジュール300からコンデンサモジュール500までの寄生インダクタンスの低減を図ることができる。
積層導体板700の上方には制御回路基板20と駆動回路基板22とが配置されている。駆動回路基板22には図2に示すドライバ回路174が搭載され、制御回路基板20には図2に示すCPUを有する制御回路172が搭載されている。また、駆動回路基板22と制御回路基板20との間には金属ベース板11が配置されている。金属ベース板11は、両基板22,20に搭載される回路群の電磁シールドの機能を奏すると共に、駆動回路基板22と制御回路基板20とに発生する熱を逃がし、冷却する作用を有している。このように筐体12の中央部に冷却ジャケット19Aを設け、その一方の側にモータジェネレータ192,194駆動用のパワーモジュール300を配置し、また他方の側に補機用のインバータ装置(パワーモジュール)43を配置することで、少ない空間で効率良く冷却でき、電力変換装置全体の小型化が可能となる。冷却ジャケット19Aを、筐体12と一体にアルミ鋳造で作ることにより、冷却ジャケット19Aは冷却効果に加え機械的強度を強くする効果がある。またアルミ鋳造により筐体12と冷却ジャケット19Aとを一体成形構造としたので熱伝導が良くなり、冷却ジャケット19Aから遠い位置にある駆動回路基板22,制御回路基板20およびコンデンサモジュール500に対する冷却効率が向上する。
駆動回路基板22と制御回路基板20には、金属ベース板11を通り抜けて、各回路基板20,22の回路群の接続を行うフレキシブル配線23が設けられている。このフレキシブル配線23は、予め配線基板の中に積層された構造と配線基板の上部の配線パターンにはんだなどの接合材で固着された構造、さらには配線基板に予め設けたスルーホールにフレキシブル配線23の電極を貫通させはんだなどの接合材で固着した構造であり、制御回路基板20からインバータ回路のスイッチングタイミング信号がフレキシブル配線23を介して駆動回路基板22に伝達され、駆動回路基板22はゲート駆動信号を発生してパワーモジュールのそれぞれのゲート電極に印加する。この様に、フレキシブル配線23を用いることで、従来使用していたコネクタのヘッドが不要となり、配線基板の実装効率の改善,部品点数の削減が可能となり、インバータの小型化が実現できる。また、制御回路基板20には外部との電気的接続を行うコネクタ21に接続される。コネクタ21を利用して、電力変換装置の外部に設けた車載バッテリ136、すなわちリチウム電池モジュールとの間で信号の伝送が行われる。リチウム電池モジュールから電池の状態を表す信号やリチウム電池の充電状態などの信号が制御回路基板20に送られてくる。
筐体12の上端部と下端部には開口が形成されている。これら開口は、それぞれ上部ケース10と下部ケース16を、例えばネジやボルト等の締結部品で筐体12に固定することにより塞がれる。筐体12の高さ方向のほぼ中央には、内部に冷却水流路19が設けられる冷却ジャケット19Aが形成されている。冷却ジャケット19Aの上面開口を各パワーモジュール300で覆い、下面開口を下水路裏蓋420で覆うことにより、冷却ジャケット19Aの内部に冷却水流路19が形成される。組み立て途中に冷却水流路19の水漏れ試験を行う。そして、水漏れ試験に合格した後に、筐体12の上部と下部の開口から基板やコンデンサモジュール500を取り付ける作業を行うことになる。このように筐体12の中央に冷却ジャケット19Aを配置し、次に筐体12の上端部と下端部の開口から必要な部品を固定する作業が行える構造を採用しており、生産性が向上する。また冷却水流路19を最初に完成させ、水漏れ試験の後その他の部品を取り付けることが可能となり、生産性と信頼性の両方が向上する。
図5において、304はつなぎ目の無いCAN状の放熱ベースであって、対向した放熱ベースの周囲を覆うように、両放熱ベースと連続して繋ぎ目の無い同一材質で構成した外壁を持ち、外壁の一部に開口部が用意され、開口部にパワー半導体を収納する。314は直流正極配線板接続部、316は直流負極配線板接続部、320U/320Lはパワーモジュールの制御端子をそれぞれ表す。
本実施形態のパワーモジュール300は、金属材料例えばCu,Al,AlSiC,Cu−C,Al−Cなどからなるつなぎ目の無いCAN状放熱ベース304と、外部接続端子314,316,320U,320Lで構成した電気配線板334とパワー半導体を樹脂材料302でモールドした両面電極モジュール300Aとから構成され(図6(a)参照)、負荷となるモータと接続するためのUもしくはV又はW相の交流端子705を有している。
本実施形態のパワーモジュール300の特徴は、冷却媒体に直接接するつなぎ目の無いCAN状放熱ベース304に耐水性能に乏しい電気部品である両面電極モジュール300Aを内蔵することで、水やオイルなどの冷却媒体が直接的に両面電極モジュール300Aに触れる事が無く、放熱ベースの構造に金属の接合部や樹脂などの接着材を使用しないつなぎ目の無いCAN状放熱ベース304を用いることで放熱ベース側から貫通して流入する冷却媒体を無くすことが可能となり、パワー半導体の高信頼化が可能となる。更には、パワー半導体が破壊した際に、放熱ベースの二次破壊による漏水のために生じる電力変換装置の信頼性低下を無くし、高信頼な電力変換装置を提供できる。
図6(a)は、パワーモジュール300の構成部品である樹脂モールド型両面電極モジュール300Aの断面図であり、図6(b)は樹脂モールド型両面電極モジュール300Aの斜影図である。図6(a)において、両面電極モジュール300Aには1組の電気配線板334間に上下アームのIGBT328,330、ダイオード156/166等がはんだ材や銀シートなどの金属接合材料337を介して直流正極配線板314にIGBT328,330のコレクタ側が固着され、IGBT328,330のエミッタ側は金属接合材料337にて熱拡散板338が固着され、熱拡散板338は直流負極配線板316と金属接合材料337にて固着される。図7は、パワーモジュール300に内蔵されるインバータ回路の1相分の回路構成を示しており、IGBT328,330、ダイオード156/166で構成できるように電気配線板334の配線レイアウトを用意し、直流正極配線板314と直流負極配線板316を接続する上下アーム配線板370によって上下アームを接続する。尚、パワーモジュール300に内蔵する回路として、インバータ回路を構成する3相分を搭載しても良いし、1相の上アームのみでも構わない。図6(a)に示すように各電気配線板334により上下アームのIGBT328,330、ダイオード156/166が挟まれ、樹脂材料302にて一体化される。樹脂材料302の一部からパワー半導体近傍の両電気配線板334の放熱面334Bを露出させ、放熱面334Bと樹脂材料302とにより、平坦な平面334Cを形成し、形成された両平面334Cに接着性のある絶縁層334Aを形成することにより、絶縁性の向上と熱伝導性を改善できる。電気配線板334はCu,Alであっても良い。接着性のある絶縁層334Aは、エポキシ樹脂に熱伝導性のフィラーを混ぜ合わせた薄い絶縁シートであってもよい、シート状にすることでグリースや接着剤などと比べ厚さを正確に決定できる他、ボイドの発生を低減でき、熱抵抗や絶縁性能のばらつきを大幅に低減できる。また、絶縁層として、セラミック板もしくはセラミック板の両側に接着材を塗布した接着基板であっても良い。この接着性のある絶縁層334AとCAN状放熱ベース304を接着することでパワー半導体の両側から優れた放熱性の放熱ルートを構成可能となる。
本実施形態のパワーモジュール300に内蔵される樹脂モールド型両面電極モジュール300Aの特徴は、つなぎ目の無いCAN状放熱ベース304の内部側壁に両電気配線板334の放熱面334Bを接着性のある絶縁層334Aを介して固着する接続構造を有していることから、パワー半導体周辺部である樹脂モールド型両面電極モジュール300Aを個別に形成し、パワー半導体の動作検証やパワー半導体と電気配線板334との接合部の検査を放熱ベースを介さずに実施できることからパワー半導体の高信頼化が可能となり電力変換装置の高信頼化が可能となる。
また、言い換えると、本実施形態のCAN状放熱ベース304は、一面に開口部を有する有底の筒型形状のケースである。そして、CAN状放熱ベース304内に形成された収納領域に、半導体回路部を構成する両面電極モジュール300Aを収納する。CAN状放熱ベース304の内壁と両面電極モジュール300Aとの電気的絶縁を確保するために絶縁性部材である絶縁層334Aを備える。両面電極モジュール300AはCAN状放熱ベース304の内壁に挟まれて支持される。さらに、絶縁層334Aが、CAN状放熱ベース304の内壁と両面電極モジュール300Aの間に介装されるとともに、後述するように熱処理により、両面電極モジュール300AとCAN状放熱ベース304内壁との接着力を向上させる材料で構成される。
これにより、両面電極モジュール300AとCAN状放熱ベース内壁との絶縁性を確保することができる。さらに、両面電極モジュール300AとCAN状放熱ベース内壁との接着力を向上させて、両面電極モジュール300AとCAN状放熱ベース内壁との間に剥離が発生することを抑制し、両面電極モジュール300AからCAN状放熱ベースまでの熱伝達経路の熱伝導率を低下させないようにしている。
また、言い換えると、本実施形態のCAN状放熱ベース304は、放熱面を形成する2枚のベース板が対向して配置され、それらは外周湾曲部304Aによって連結されている。つまり、外周湾曲部304Aは、2枚のベース板の連結部材として機能する。さらに、絶縁層334Aが、2枚のベース板と外周湾曲部304Aとによって形成される収納領域の内壁と両面電極モジュール300Aの間に介装される。ここで、前述の外周湾曲部304Aの剛性は、前記2枚のベース板の剛性より小さくなるように設定される。もしくは、前述の外周湾曲部304Aの厚さは、前記2枚のベース板の厚さより小さくなるように設定される。
これにより、半導体回路部の両面を2枚のベース板のそれぞれを介して冷却することができ、放熱面積を大きくすることができる。さらに、連結部材の剛性はベース板の剛性より小さく設定されているため、半導体回路部を挟むように2枚のベース板を加圧することで、容易にパワーモジュールのケースを成形することができるとともに、半導体回路部と絶縁性部材とベース板が接続され、熱の交換が相互に可能な熱伝達経路を容易に形成することができる。
なお、本実施形態では、2枚のベース板の連結部材として機能する外周湾曲部304Aは、ベース板と一体に形成されているが、溶接等により別部材として2枚のベース板に接合するようにしてもよい。その場合も、外周湾曲部304Aの剛性もしくは厚さは、前記2枚のベース板の剛性もしくは厚さより小さく設定される。
図8(a)は、当該パワーモジュール300の断面図を示し、図8(b)は当該パワーモジュール300の側面図を示す。図8(a)において、両面電極モジュール300Aがつなぎ目の無いCAN状放熱ベース304に内蔵され、CAN状放熱ベース304内に接着性のある絶縁層334Aにて固着され一体構造を構成しており、図8(b)で示すように、CAN状放熱ベース304の外側側面には両面電極モジュール300Aの両電気配線板334の放熱面334Bに対抗してピン状のフィン305が形成され、CAN状放熱ベース304の外周を覆うようにピン状のフィン305が配置され、CAN状放熱ベース304とピン状のフィン305が同一材料で一体成型され、CAN状放熱ベース304の耐防食性や樹脂接着性能を向上するため全体表面がアルマイト処理され、冷却水路内を流れる冷却媒体に各フィン305が接することでパワー半導体の両側面から放熱を可能とし、パワー半導体から冷却媒体までの伝熱ルートを並列化することで熱抵抗が大幅に低減でき、パワー半導体の小型化と電力変換装置の小型化が可能となる。
図9(a)は、CAN状放熱ベース304と樹脂モールド型両面電極モジュール300Aを一体化する組立フロー及び断面図を示す。図9(a)において、CAN状放熱ベース304には放熱面334Bと接着するCAN状放熱ベース304の接着部の厚さを外周湾曲部304Aよりも厚くする構造によって、(1)CAN状放熱ベース304の開口部から内部に両面電極モジュール300Aを配置し、(2)次に両面電極モジュール300Aの放熱面334Bを覆う接着性のある絶縁層334AがCAN状放熱ベース304の内側側壁に固着されるようにCAN状放熱ベース304の外側から加圧し、CAN状放熱ベース304の外周湾曲部304Aを変形させ、接着性のある絶縁層334AとCAN状放熱ベース304の隙間を無くすと共に放熱面334Bと接続されるCAN状放熱ベース304を接着し固定することが可能となり、パワー半導体から生じた発熱を両面電極モジュール300Aの両側面に設けた接着性のある絶縁層334Aを介してCAN状放熱ベース304に熱伝達することで、パワー半導体の両側から放熱可能となり、パワー半導体から冷却媒体までの伝熱ルートが並列した2つのルートに分割されたことで熱抵抗が大幅に低減でき、パワー半導体の小型化と電力変換装置の小型が可能となる。
図9(b)は、両面電極モジュール300Aとつなぎ目の無いCAN状放熱ベース304を一体に接続する組立フロー及び断面図を示す。図9(b)において、CAN状放熱ベース304には放熱面334Bと接着するCAN状放熱ベース304の接着部の厚さを外周湾曲部304Aよりも厚くする構造によって、(1)CAN状放熱ベース304の内側を両面電極モジュール300Aの放熱面334Bと接続される面を並行に移動し内部空間を拡大するように変形させ、CAN状放熱ベース304の外周湾曲部304Aを変形させると共にCAN状放熱ベース304の開口部を広げ、(2)次にCAN状放熱ベース304の開口部から内部に両面電極モジュール300Aが配置され、次に両面電極モジュール300Aの放熱面334Bを覆う接着性のある絶縁層334AがCAN状放熱ベース304の内側側壁に固着されるようにCAN状放熱ベース304の外側から加圧し、CAN状放熱ベース304の外周湾曲部304Aを変形させ、接着性のある絶縁層334AとCAN状放熱ベース304の隙間を無くすと共に放熱面334Bと接続されるCAN状放熱ベース304の放熱フィン部の変形を十分に小さく接着し固定することが可能となり、パワー半導体から生じた発熱を両面電極モジュール300Aの両側面に設けた接着性のある絶縁層334Aを介してCAN状放熱ベース304に熱伝達することで、パワー半導体の両側から放熱可能となり、パワー半導体から冷却媒体までの伝熱ルートが並列した2つのルートに分割されたことで熱抵抗が大幅に低減でき、パワー半導体の小型化と電力変換装置の小型が可能となる。
図9(c)は、両面電極モジュール300Aとつなぎ目の無いCAN状放熱ベース304を一体に接続する組立フローと図9(b)に対する断面図である。図9(c)は、接着性のある絶縁層334AとCAN状放熱ベース304の内側側壁を固着する組立工程を示す。CAN状放熱ベース304のフィン305部を過熱ヒータ306などが内蔵されたプレス機307にて加圧し接着する。その際、両面電極モジュール300A周囲を真空にすることで接着性のある絶縁層334Aの界面に生じるボイドなどの空気溜まりを排出することができる。更に高温で数時間焼くことで接着剤の硬化を促進させることができる。これらにより、絶縁層334Aの絶縁寿命等の信頼性を改善できることから、小型で高信頼な電力変換装置を提供できる。
また、本実施形態に係るパワーモジュール300のように、パワーモジュール300の両側側壁から加圧することにより、CAN状放熱ベース304の内側側壁と両面電極モジュール300Aとを接合する場合、絶縁層334Aは、接着性を有するものが望ましい。または、絶縁層334Aは、前述の過熱ヒータ306による温度変化を利用して、熱硬化するような材料を用いることが望ましい。これにより、CAN状放熱ベース304をプレス機307による成形工程と、絶縁層334Aによる接着工程を同時に又は速やかに行うことできる。
ここで、本実施形態に係るパワーモジュール300に好適な絶縁層334Aについて説明する。本実施形態に係る絶縁層334Aは、CAN状放熱ベース304の内側側壁と両面電極モジュール300Aとの電気的絶縁性を確保するとともに、これらの接着性を確保することが求められる。しかし、両面電極モジュール300Aの放熱面334Bは、図6(b)に示されるように、電気配線や樹脂材料302等により形成される。そのため、電気配線と樹脂材料302との境目に凹凸が出来てしまい、絶縁層334Aとの接着性が低下するおそれがある。その結果、絶縁層334Aと両面電極モジュール300Aとの間に空気等が侵入し、パワーモジュール300の熱伝達率が非常に低下するおそれがある。
そこで、絶縁層334Aは、電気配線と樹脂材料302との境目に凹凸を埋められるような、柔らかい、つまりヤング率が低い絶縁材料を用いることが望ましい。
一方で、ヤング率が低い絶縁材料は、電気的絶縁性を確保するための材料とは異なる不純物を多く含むことになり、電気的絶縁性が十分に確保できないおそれがある。そこで、本実施形態に係る絶縁層334Aは、さらに、不純物が少ない、つまりヤング率が高い絶縁材料を、前述のヤング率が低い絶縁材料と、CAN状放熱ベース304の内側側壁との間に備える。つまり、絶縁層334Aは、ヤング率が異なる絶縁材料による多層形状を為す。これにより、熱伝達率の低下を抑制するとともに、電気的絶縁性も確保することができる。
さらに、CAN状放熱ベース304の内側側壁は、図12にて後述する理由により凹凸形状を為すことが求められる。この場合には、CAN状放熱ベース304の内側側壁と絶縁層334Aとの熱伝達率の低下を抑えるために、CAN状放熱ベース304の内側側壁側に前述のヤング率が低い絶縁材料を備える。つまり、絶縁層334Aは、上層と下層にヤング率が低い絶縁材料を用い、中間層にヤング率が高い絶縁材料を用いる。これにより、図12のような実施形態であっても、熱伝達率の低下を抑制するとともに、電気的絶縁性も確保することができる。
図10は、冷却ジャケット19Aを有する筐体12のアルミ鋳造品に冷却水入口配管と出口配管を取り付けた図であり、図10(a)は冷却ジャケット19Aの斜視図、図10(b)は筐体12の上面図、図10(c)は筐体12の断面図である。図10に示す如く、筐体12には、内部に冷却水流路19が形成される冷却ジャケット19Aが一体に鋳造されている。平面視形状が略長方形である筐体12の短辺の一方側側面には、冷却水を取り入れるための冷却水入口配管13と冷却水入口配管14とが設けられている。
図10(a)において、冷却水入口配管13から冷却水流路19に流入した冷却水は、矢印418の方向である長方形の長辺に沿って2つに分かれて流れ、長方形の短辺の他方側の側面の手前近傍のコーナー部19Cで矢印421aのように折り返し、再び長方形の長辺に沿って矢印422の方向に2つに分かれて流れ、更に長方形の長辺に沿って流れ矢印421bのように折り返し、下冷却水路蓋420に設けた出口配管に流入し折り返して出口孔から冷却水入口配管14へ流出する(図10(b)参照)。冷却ジャケット19Aの上面には6つの開口400が空けられている。各パワーモジュール300のCAN状放熱ベース304がそれぞれの開口から冷却水の流れの中に突出し、CAN状放熱ベース304と冷却ジャケット19Aの柱状の分流境界19Bで冷却水を2分割し圧力損失を低減でき、CAN状放熱ベース304の外周湾曲部304A曲面とすることでも冷却水を2分割し圧力損失を低減でき、6個のパワーモジュールを直列に並べて冷却するようにS字状に流路を蛇行させても圧力損失の上昇を低減でき冷却効率を改善できる。各パワーモジュール300は、例えば液体シール800などのシール材を介して冷却ジャケット19Aの開口を水密に塞ぐように固定される。
図10(b)において、冷却ジャケット19Aは、筐体周壁12Wの中段を横断して筐体12と一体成形されている。冷却ジャケット19Aの上面には6つの開口400が、下面には1つの開口404が設けられている。開口400および402のそれぞれの周囲には、パワーモジュール取り付け面410Sが設けられている。螺子穴412は、パワーモジュールを取り付け面410Sに加圧するためのモジュール固定冶具304Cを冷却ジャケット19Aに固定するための螺子穴である(図11参照)。このモジュール固定冶具304Cで複数のパワーモジュール300を冷却ジャケット19Aに加圧することがき、パワーモジュール300を冷却ジャケットに加圧固定するネジの本数を低減でき組立性が改善できるとともに、冷却ジャケット19Aの小型化とパワーモジュールのCAN状放熱ベース304のフランジのサイズを低減できることから、冷却ジャケット19Aと筐体12並びにパワーモジュール300の小型化が可能となり電力変換装置200の小型化にも大きく寄与する。パワーモジュール300に内蔵されたパワー半導体は、分流した冷却水により両側から冷却が可能であり、熱抵抗を低減できるメリットがある。また、モジュール固定冶具304Cには、回路基板20,22や金属ベース板11を固定する台座304Dが設けられている。
図10(c)において、往復した冷却水流路19の隔壁部には貫通穴406が各パワーモジュール300と並行に形成され(図10(a)参照)、冷却水流路19とパワーモジュール300とで交互に挟まれ、冷却ジャケット19A内に配置され、冷却水流路19を挟んで両側に設置される電気部品(パワーモジュール300およびコンデンサモジュール500)同士が、この貫通穴406を介して電気的に接続でき、コンデンサモジュール500の正極導体板507と接続される正極側導体板702(図18参照)と、コンデンサモジュール500の負極導体板505と接続される負極側導体板704(図18参照)を短縮できることから配線インダクタンスを低減でき、パワー半導体の損失やサージ電圧の低減に寄与し、冷却システムの小型化やノイズの低減が可能である。
図11は、本実施形態に関するパワーモジュール300と冷却ジャケット19Aとのシール部を示す断面図である。
図11において、冷却ジャケット19Aは、筐体周壁12Wの中段を横断して筐体12と一体成形され、冷却ジャケット19Aの上面には開口400が、下面には冷却水路の開口404が設けられている。開口400の周囲には、パワーモジュール取り付け面410Sが設けられている。開口部404の周囲には、下冷却水路蓋420との勘合部420Aが設けられ液状シール材800にてシールされており、螺子穴412は、パワーモジュール300のフランジ300Bを取り付け面410Sに加圧するためのモジュール固定冶具304Cを冷却ジャケット19Aに固定するための螺子穴であり、このモジュール固定冶具304Cで複数のパワーモジュール300を冷却ジャケット19Aに加圧することができることから、取り付け面410Sとパワーモジュール300のフランジ300B間に予め塗布された液状シール材を潰すと共に加圧し、冷却媒体が取り付け面410Sとパワーモジュール300間を通り抜けて漏れることを止められると共に、パワーモジュール300を冷却ジャケット19Aに加圧固定するネジの本数を低減でき組立性が改善できるとともに、冷却ジャケット19Aの小型化とパワーモジュール300のCAN状放熱ベース304のフランジ300Bのサイズを低減できることから、冷却ジャケット19Aと筐体12並びにパワーモジュール300の小型化が可能となり電力変換装置200の小型化にも大きく寄与する。パワーモジュール300に内蔵されたパワー半導体は、分流した冷却水により両側から冷却が可能であり、熱抵抗を低減できるメリットがある。尚、液状シール材はゴムオーリングなどでも同様の効果が得られる。
図12(a)は、本実施形態に関する第2のパワーモジュール300の断面図であり、図12(b)は第2のパワーモジュール300の側面図である。
前記実施例と異なる点は、CAN状放熱ベース304の外側の冷却面に設けるフィン305をCAN状放熱ベース304を形成する時に同質材料にて同時に作り込まずに、後からCAN状放熱ベース304の外側に熱伝導性に優れた樹脂フィン305Aを接着してフィンを形成した点と樹脂製のフィン305Aが脱落しないようにCAN状放熱ベース304の表面に凹凸305Bを設け、凹凸305Bと樹脂製のフィン305Aが機械的に勘合する点である。
本発明によれば、フィン305を別に形成できることから、CAN状放熱ベース304をジュースの缶の如く形成することが可能であり、生産性が改善できる。また、凹凸305Bを設けたことで樹脂製のフィン305AとCAN状放熱ベース304の接着性能が改善され、脱落などの信頼性低下を避けることができると共に、樹脂製のフィン305AとCAN状放熱ベース304の熱伝達に関わる面積を増加させることができパワーモジュール300の熱抵抗の低減が実現で、パワーモジュールの小型か並びに電力変換装置の小型化が可能となる。
図13(a)は、本実施形態に関する第3のパワーモジュール300の断面図であり、図13(b)は第3のパワーモジュール300の側面図である。
前記実施例と異なる点は、CAN状放熱ベース304の外側の冷却面に設けるフィン305をCAN状放熱ベース304を形成する時に同質材料にて同時に作り込まずに、後からCAN状放熱ベース304の外側に、予め複数のフィン305が形成された板状のフィンベース305Cをロウ材などの金属接続材もしくは樹脂接着剤で固着し、CAN状放熱ベース304にフィンを設けた点である。
本発明によれば、フィン305を別に形成できることから、CAN状放熱ベース304をジュースの缶の如く形成することが可能であり、生産性が改善できる。また、フィンベース305Bは、鍛造などの工法により製造されたCu,Al,AlSiC,Cu−C,Al−Cなどの金属製でもよいし、高熱伝導樹脂などの有機材料でも形成できることから、フィン305部の形状を同心円のピン形状から楕円などの形状に可能であり、フィン305部の表面積を増大できることから熱伝達に関わる面積を増加させることができパワーモジュール300の熱抵抗の低減が実現で、パワーモジュールの小型か並びに電力変換装置の小型化が可能となる。
図14(a)は、本実施形態に関する第4のパワーモジュール300の断面図であり、図14(b)は第4のパワーモジュール300の側面図である。
前記実施例と異なる点は、CAN状放熱ベース304の外側の冷却面に設けるフィン305をストレートフィン305Dとした点であり、CAN状放熱ベース304と同一部材で一体成型された点である。
本発明によれば、フィン305をストレート形状とすることで、製造を容易にすると共に冷却流路に発生する圧力損失を低減できることからパワーモジュール300の熱抵抗の低減が実現で、パワーモジュールの小型か並びに電力変換装置の小型化が可能となる。
図15(a)は、本実施形態に関する第5のパワーモジュール300の断面図であり、図15(b)は第5のパワーモジュール300の側面図である。
前記実施例と異なる点は、CAN状放熱ベース304の外側の冷却面に設けるピン形状のフィン305のレイアウトに粗密を設け、パワー半導体の近傍に位置するフィン305を流れる冷却媒体の流速が上昇するように、パワー半導体から遠いフィン305の間隔を縮小し、パワー半導体近傍のフィン305の間隔を拡大して配置した点である。
本発明によれば、パワー半導体近傍のフィン305を流れる冷却媒体の流速を高めることができることから、パワー半導体近傍の熱伝達率を高めることが可能となり、冷却媒体とパワー半導体の熱抵抗の低減が実現で、パワーモジュールの小型か並びに電力変換装置の小型化が可能となる。
図16(a)は、本実施形態に関する第6のパワーモジュール300の断面図であり、図16(b)は第6のパワーモジュール300の側面図である。
前記実施例と異なる点は、CAN状放熱ベース304の外側の冷却面に設けるピン形状のフィン305のレイアウトに粗密を設け、パワー半導体の近傍に位置するフィン305を流れる冷却媒体の流速が上昇するように、パワー半導体から遠いフィン305の間隔を縮小し、パワー半導体近傍のフィン305の間隔を拡大し、さらにパワー半導体近傍のフィン305の形状を楕円状とした楕円フィン305Eにした点である。
本発明によれば、パワー半導体近傍のフィン305を流れる冷却媒体の流速を高めることができることから、パワー半導体近傍の熱伝達率を高めることが可能となり、さらにパワー半導体近傍のフィン305を楕円状としたことでフィン305の表面積が増加し熱伝達率を高めることが可能となり冷却媒体とパワー半導体の熱抵抗の低減が実現で、パワーモジュールの小型か並びに電力変換装置の小型化が可能となる。
図17は、本実施形態に関するパワーモジュール300と冷却ジャケット19Aとのシール部を示す断面図である。
図17において、冷却ジャケット19Aは、筐体周壁12Wの中段を横断して筐体12と一体成形され、冷却ジャケット19Aの上面には開口400が、下面には冷却水路の開口404が設けられている。開口400の周囲には、パワーモジュール取り付け面410Sが設けられている。開口部404の周囲には、下冷却水路蓋420との勘合部420Aが設けられ液状シール材800にてシールされており、螺子穴412は、パワーモジュール300のフランジ300Bを取り付け面410Sに加圧するためのモジュール固定冶具304Cを冷却ジャケット19Aに固定するための螺子穴であり、このモジュール固定冶具304Cで複数のパワーモジュール300を冷却ジャケット19Aに加圧することができることから、取り付け面410Sとパワーモジュール300のフランジ300B間に予め塗布された液状シール材を潰すと共に加圧し、冷却媒体が取り付け面410Sとパワーモジュール300間を通り抜けて漏れることを止められると共に、パワーモジュール300を冷却ジャケットに加圧固定するネジの本数を低減でき組立性が改善できるとともに、パワーモジュール300のフランジ300B部をテーパー状に傾斜を設けることでシールド面積を維持しながらもフランジ300Bの幅を低減できることから、冷却ジャケット19Aの小型化とパワーモジュールのCAN状放熱ベース304のフランジ300Bのサイズを低減でき、冷却ジャケット19Aと筐体12並びにパワーモジュール300の小型化が可能となり電力変換装置200の小型化にも大きく寄与する。パワーモジュール300に内蔵されたパワー半導体は、分流した冷却水により両側から冷却が可能であり、熱抵抗を低減できるメリットがある。尚、液状シール材800はゴム製オーリングなどでも同様の効果が得られる。
図18は、本実施形態に関するパワーモジュール300の入出力端子の接続構造を示した断面図である。
図18において、S字状に往復した冷却水流路19の隔壁部には貫通穴406が各パワーモジュール300と並行に形成され、冷却水流路19を挟んで設置されるコンデンサモジュール500とこの貫通穴406を介して電気的に接続でき、コンデンサモジュール500の正極導体板507と、コンデンサモジュール500の負極導体板505がパワーモジュール300近傍の貫通穴406を介して配置され、パワーモジュール300から伸びた各電気配線板334が正極側導体板507と負極側導体板505と出力配線705と近接配置され、各電気配線板334もしくは正極側導体板507と負極側導体板505と出力配線705の一部に予めロウ材706を配置し、配置したロウ材706を介して各電気配線板334と正極側導体板507及び負極側導体板505と出力配線705が対抗して配置され、ロウ材を挟んだ各電気配線板334と正極側導体板507及び負極側導体板505と出力配線705間に電流を流通し、ロウ材706及び各電気配線板334と正極側導体板507及び負極側導体板505と出力配線705を加熱し、ロウ材706を溶融して各電気配線板334と正極側導体板507及び負極側導体板505及び出力配線705を接続している。
本発明によれば、ボルトなどの締め付けエリアを使わずにパワー配線の電気的な接続を可能とすることから電力配線エリアを小型化でき電力変換装置の小型化を実現し、ボルトを使わないことから組立時の時間を短縮でき組立性を改善できることからコストの削減に寄与できる。
図19は、本実施形態に関するパワーモジュール300の入出力端子の接続構造を示した断面図である。
図19において、S字状に往復した冷却水流路19の隔壁部には貫通穴406が各パワーモジュール300と並行に形成され、冷却水流路19を挟んで設置されるコンデンサモジュール500とこの貫通穴406を介して電気的に接続でき、コンデンサモジュール500の正極導体板507と、コンデンサモジュール500の負極導体板505がパワーモジュール300近傍にこの貫通穴406を介して配置され、パワーモジュール300から伸びた各電気配線板334が正極側導体板507と負極側導体板505と出力配線705と近接配置され、各電気配線板334もしくは正極側導体板507と負極側導体板505と出力配線705の一部を加圧し、所定の接続点で各導体板をアーク溶接707もしくはマイクロティグ溶接及びレーザー溶接などで固着させ、電気接続点を構成している。
本発明によれば、ボルトなどの締め付けエリアを使わずにパワー配線の電気的な接続を可能とすることから電力配線エリアを小型化でき電力変換装置の小型化を実現し、ボルトを使わないことから組立時の時間を短縮でき組立性を改善できることからコストの削減に寄与できる。
図20は、本実施形態に関するパワーモジュール300の入出力端子と接続される電力配線構造を示した断面図である。
図20において、S字状に往復した冷却水流路19の隔壁部には貫通穴406が各パワーモジュール300と並行に形成され、冷却水流路19を挟んで設置されるコンデンサモジュール500とこの貫通穴406を介して電気的に接続でき、パワーモジュール300近傍に用意したこの貫通穴406を介し、コンデンサモジュール500の正極導体板507と接続される正極側導体板702と、コンデンサモジュール500の負極導体板505と接続される負極側導体板704が配置され、パワーモジュール300の各電気配線板334と正極側導体板702と負極側導体板704をそれぞれ電気的に接続する電力配線と出力配線705を樹脂を介して積層してなる電力配線ユニット701をパワーモジュール300の電気配線板334が配置された上部に配置し、所定の接続点で各導体板をアーク溶接707もしくはマイクロティグ溶接及びレーザー溶接などで固着させ、電気接続点を構成している。更に、電力配線ユニット701には、パワーモジュール300を冷却ジャケット19Aに固定する加圧冶具700Aが一体化され、パワーモジュール300を冷却水路19に加圧固定できる。また、アーク溶接などでは、ゴミが発生するので、予め電力配線ユニット701にパワーモジュール300を取り付け配線した形態に仕上げた後に、筐体12に挿入してインバータ装置200を構成しても良い。
本発明によれば、各電力配線を樹脂で積層して一体化することで溶接部近傍の熱容量を増大させ、溶接時の温度上昇によるパワーモジュール300の温度上昇を極力低減できる他、溶接点からパワーモジュール300の距離を近づけてもパワーモジュール300の温度上昇を招かない他、溶接点の位置合わせを筐体12に用意した規準点12A用いて、電力配線ユニットとパワーモジュール300の位置を固定でき、溶接時の位置ズレを低減でき高信頼な電気接続点を形成可能となる。
ここで、正極導体板702と負極導体板704との間に絶縁シート7000を挟んだ構造としてもよい。これにより導体板間の距離が短くなり、導体部品を小型化できる。
図21は、本実施形態に関するパワーモジュール300の入出力端子とコンデンサ構造を示した断面図である。
図21において、S字状に往復した冷却水流路19に各パワーモジュール300が所定の位置に配置され、パワーモジュール300の電気配線板334と接続される電力配線ユニットがパワーモジュール300の上部に配置され、電力配線ユニット701と冷却水流路19の間にコンデンサ514を配置し、コンデンサ514と電気配線板334の接続部を電力配線ユニット701と冷却水流路19の間に設け、電気配線板334にコンデンサ514の電気接続端子と勘合する引き出し部314B,316Bを構成し、この引き出し部314Bとパワーモジュール300の各電気配線板334を所定の接続点でアーク溶接707もしくはマイクロティグ溶接及びレーザー溶接などで固着させ、電気接続点を構成している。更に、電力配線ユニット701には、パワーモジュール300を冷却ジャケット19Aに固定する加圧冶具700Aが一体化され、パワーモジュール300を冷却水路19に加圧固定できる。また、アーク溶接などでは、ゴミが発生するので、予め電力配線ユニット701にパワーモジュール300やコンデンサ514,500を取り付け配線した形態に仕上げた後に、筐体12に挿入してインバータ装置200を構成しても良い。
本発明によれば、電力配線ユニットと冷却水流路19の間にコンデンサ514を配置したことで、パワーモジュール300とコンデンサ514の配線距離が大幅に低減できることから、配線インダクタンスが低減でき、パワー半導体のスイッチング時に発生するサージ電圧の低減、更にはパワー半導体のスイッチング損失及びノイズの発生を低減できることからパワーモジュールの小型化が可能となり、電力変換装置の小型高信頼化を実現できる。
図22は、本実施形態に関するパワーモジュール300の入出力端子とコンデンサ構造を示した断面図である。
図22において、S字状に往復した冷却水流路19に各パワーモジュール300が所定の位置に配置され、パワーモジュール300の電気配線板334と接続される電力配線ユニットがパワーモジュール300の上部に配置され、電力配線ユニットと冷却水流路19の間にコンデンサ514を配置し、電力配線ユニットに内蔵されたパワーモジュール300の負電極及び正電極と接続される電力配線と、コンデンサ514の電気接続端子を接続し、コンデンサ514と電力配線ユニットを一体化した構造であり、各電力配線の所定の接続点でアーク溶接707もしくはマイクロティグ溶接及びレーザー溶接などで固着させ、電気接続点を構成している。更に、電力配線ユニット701には、パワーモジュール300を冷却ジャケット19Aに固定する加圧冶具700Aが一体化され、パワーモジュール300を冷却水路19に加圧固定できる。また、アーク溶接などでは、ゴミが発生するので、予め電力配線ユニット701にパワーモジュール300やコンデンサ514,500を取り付け配線した形態に仕上げた後に、筐体12に挿入してインバータ装置200を構成しても良い。更に、電力配線ユニット701には、パワーモジュール300を冷却ジャケット19Aに固定する加圧冶具700Aが一体化され、パワーモジュール300を冷却水路19に加圧固定できる。また、アーク溶接などでは、ゴミが発生するので、予め電力配線ユニット701にパワーモジュール300やコンデンサ514,500を取り付け配線した形態に仕上げた後に、筐体12に挿入してインバータ装置200を構成しても良い。
本発明によれば、電力配線ユニットにコンデンサ514を一体化することで、パワーモジュール300とコンデンサ514の配線距離が大幅に低減できることから、配線インダクタンスが低減でき、パワー半導体のスイッチング時に発生するサージ電圧の低減、更にはパワー半導体のスイッチング損失及びノイズの発生を低減できることからパワーモジュールの小型化が可能となり、電力変換装置の小型高信頼化を実現できる。
図23は、本実施形態に関するパワーモジュール300の固定方法とコンデンサ構造を示した断面図である。
図23において、S字状に往復した冷却水路19に各パワーモジュール300が所定の位置に配置され、パワーモジュール300を冷却水路19に加圧して固定するモジュール固定冶具304Cがパワーモジュール300のフランジ300B上部に配置される。モジュール固定冶具304Cにはパワーモジュール300のフランジ300Bと点で接するように突起304Bが設けられ、この突起304Bがフランジ300Bの上面を加圧する。そのため、加圧した圧力がフランジ300Bの冷却ジャケット19Aに均一に分散され、液状シールを均一に押し潰し、モジュール固定冶具304Cの変形による加圧力の不均一を低減できる。
パワーモジュール300の電気配線板334と接続される電力配線ユニット701がパワーモジュール300の上部に配置される。冷却ジャケット19Aは、冷却水路19と並行に電力配線ユニット701の一部に収納されたコンデンサ514を収納できる開口部を設け、直接的に、又は冷却ジャケット19Aの内壁を介して冷却水によりコンデンサ514を冷却する。また、パワーモジュール300の負電極及び正電極と接続される電力配線と、コンデンサ514の電気接続端子とを接続し、コンデンサ514と電力配線ユニット701が一体化されている。そして、各電力配線の所定の接続点でアーク溶接もしくはマイクロティグ溶接及びレーザー溶接などで固着させ、電気接続点707を構成している。また、アーク溶接などでは、ゴミが発生するので、予め電力配線ユニット701にパワーモジュール300やコンデンサ514,500を取り付け、配線が完了した形態に仕上げた後に、筐体12に挿入してインバータ装置200を構成しても良い。
本発明によれば、電力配線ユニット701にコンデンサ514を一体化することで、パワーモジュール300とコンデンサ514を効率よく冷却できる。さらに、それぞれを接続する配線距離が低減できることから、配線インダクタンスの低減が可能となり、コンデンサ514のリップル電流の許容値を改善でき、パワー半導体がスイッチングした時に発生するサージ電圧の低減、更にはパワー半導体のスイッチング損失及びノイズの発生を低減できる。その結果、パワーモジュールの小型化,コンデンサの小型化が可能となり、電力変換装置の小型高信頼化を実現できる。
図24は、本実施形態に関するパワーモジュール300のCAN状放熱ベース304の製造方法を示した工程フロー図である。
図24において、(1)の第一工程ではCAN状放熱ベース304の原材料を凡そ放熱ベース形状に変形するための工程であり、金型901に用意したCAN状の穴に原材料を入れ、原材料はアルミや銅などの変形しやすい金属もしくは粉末状の金属であり、また金型900にはパワー半導体の収納部となる開口部を形成する900Bと冷却ジャケット19Aと勘合するフランジを形成する窪み900Aが形成されており、金型900と金型901が勘合するようにプレスを行うと一次成型CAN状冷却材903が形成され、次に(2)の第二工程では第一工程で作成した一次成型CAN状冷却材903にフィンを形成する工程であり、フィン成形型902A,902Bにはピン状のフィンを形成する穴904が複数設けられ、一次成型CAN状冷却材903が金型901と同形状の金型に挿入され、両側にフィン成形型902A,902Bを配置してプレスすると、CAN状放熱ベース304のフィン305部と薄肉な形状と成る外周湾曲部304Aが形成され、フィン成形型902A,902Bの間から残材が突出する。最後に、形成されたフィン305部の高さと突出した残材を削除して完成する。
完成後には、CAN状放熱ベース304の表面を洗浄したり、化学研磨などにより表面粗さを低減する加工を行っても良い。
本発明によれば、対抗した放熱ベースの周囲を覆うように、両放熱ベースと連続して繋ぎ目の無い同一材質で構成した外壁を持ち、外壁の一部に開口部が用意され、開口部にパワー半導体を収納するCAN状放熱ベース304を2回のプレス工程にて簡単に製作できる手法であり、溶接などのつなぎ目を持つCAN状放熱ベースと比べ金属腐食や冷却水の圧力などによる変形時の信頼性及び強度を長年保つことが可能であり、溶接時の熱応力の発生やその残留応力による変形が無く、内蔵したパワー半導体及び接着性の絶縁層となる絶縁シート334Aの厚さの不均一化や破れなどを無くすことができ、溶接用のフランジなどによるフィンの大形化も無く、高信頼で小型な両面冷却パワーモジュール300を構成でき、電力変換装置の小型高信頼化を実現できる。
156,166 ダイオード
300A 両面電極モジュール
302 樹脂材料
304 CAN状放熱ベース
304A 外周湾曲部
305 フィン
314 直流正極配線板
316 直流負極配線板
320L,320U パワーモジュール制御端子
328 上アーム用IGBT
330 下アーム用IGBT
334 電気配線板
334A 絶縁層(絶縁シート)
334B 放熱面
334C 平面
337 金属接合材料
338 熱拡散板

Claims (2)

  1. 電気配線板とパワー半導体素子とを樹脂材料でモールドしたモールド体と、
    前記モールド体を挟むように配置される一対の放熱ベースと、を備えたパワーモジュールであって、
    前記放熱ベースは、前記パワー半導体素子と対向する領域の外周において弾性変形した状態で保持されることを特徴とするパワーモジュール。
  2. 請求項1又は2に記載のパワーモジュールを備えた電力変換装置。
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