JP2019012743A - 超電導マグネット、超電導マグネットの運転方法および検査装置 - Google Patents

超電導マグネット、超電導マグネットの運転方法および検査装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2019012743A
JP2019012743A JP2017127715A JP2017127715A JP2019012743A JP 2019012743 A JP2019012743 A JP 2019012743A JP 2017127715 A JP2017127715 A JP 2017127715A JP 2017127715 A JP2017127715 A JP 2017127715A JP 2019012743 A JP2019012743 A JP 2019012743A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
superconducting coil
temperature
superconducting
coil
cooling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017127715A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6926728B2 (ja
Inventor
英治 静谷
Eiji Shizutani
英治 静谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2017127715A priority Critical patent/JP6926728B2/ja
Publication of JP2019012743A publication Critical patent/JP2019012743A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6926728B2 publication Critical patent/JP6926728B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Magnetic Resonance Imaging Apparatus (AREA)
  • Containers, Films, And Cooling For Superconductive Devices (AREA)

Abstract

【課題】短時間で、超電導コイルが発生する磁場の安定性を確保することができる超電導マグネットの運転方法、超電導マグネットおよび検査装置を提供する。【解決手段】超電導マグネットの運転方法は、超電導線材を巻回すことによって形成された超電導コイルの温度を予め定められた目標温度に調整する工程(S20)と、超電導コイルの温度が目標温度に到達した後に、超電導コイルの励減磁を繰り返し実行する工程(S30)と、超電導コイルの励減磁の実行中に、超電導コイルを超電導状態に維持する工程(S40)とを備える。目標温度は、超電導状態に冷却された超電導コイルの励減磁の実行中において超電導コイルが熱平衡状態となる温度に設定される。【選択図】図4

Description

この発明は、超電導マグネット、超電導マグネットの運転方法および検査装置に関する。
国際公開2012/157745号(特許文献1)は、超電導巻線と、該超電導巻線に生じる遮蔽電流による磁化方向に対して垂直方向の交流磁場を印加する磁場印加手段とを備える超電導磁石を開示している。
特開2016−143733号公報(特許文献2)は、超電導コイルを該超電導コイルが超電導状態となる第1の温度にするステップと、第1の温度にした後に、等価的な抵抗成分を発生する磁束フローまたは磁束クリープ状態が生じる電流まで通電して超電導コイルの発生磁場を安定させるステップと、超電導コイルの発生磁場を安定させた後に該超電導コイルを第1の温度よりも低い第2の温度に冷却するステップとを含む、超電導コイルの運転方法を開示する。
国際公開2012/157745号 特開2016−143733号公報
本発明の一態様の目的は、短時間で、超電導コイルが発生する磁場の安定性を確保することができる超電導マグネットの運転方法を提供することである。本発明の一態様の目的は、短時間で、超電導コイルが発生する磁場の安定性を確保することができる超電導マグネットおよび検査装置を提供することである。
本発明の一態様に係る超電導マグネットの運転方法は、超電導線材を巻回すことによって形成された超電導コイルの温度を予め定められた目標温度に調整する工程と、超電導コイルの温度が目標温度に到達した後に、超電導コイルの励減磁を繰り返し実行する工程と、超電導コイルの励減磁の実行中に、超電導コイルを超電導状態に維持する工程とを備える。目標温度は、超電導状態に冷却された超電導コイルの励減磁の実行中において超電導コイルが熱平衡状態となる温度に設定される。
本発明の一態様に係る超電導マグネットは、巻回された超電導線材を有する超電導コイルと、超電導コイルを冷却するための冷却装置と、超電導コイルに電流を供給する電源と、超電導コイルの温度を検出する温度センサと、温度センサの検出値に基づいて、冷却装置および電源を制御する制御装置とを含む。制御装置は、冷却装置を用いて、超電導コイルの温度を予め定められた目標温度に調整し、超電導コイルの温度が目標温度に到達した後に、電源から超電導コイルへの通電電流を制御することにより、超電導コイルの励減磁を繰り返し実行する。制御装置は、さらに、超電導コイルの励減磁の実行中に、冷却装置を用いて超電導コイルを超電導状態に維持するように構成される。目標温度は、超電導状態に冷却された超電導コイルの励減磁の実行中において超電導コイルが熱平衡状態となる温度に設定される。
本発明の一態様に係る検査装置は、本発明の一態様に係る超電導マグネットを備える。検査装置は、超電導状態に冷却された超電導コイルを励磁磁することにより、超電導コイルが発生する磁束が通過する部分に配置された被検査対象の磁化特性を測定するように構成される。
上記によれば、短時間で、超電導コイルが発生する磁場の安定性を確保することができる。
実施の形態1に係る超電導マグネットを概略的に示した断面図である。 試料の磁化特性の測定時における、超電導コイルの発生磁場およびコイル温度の時間変化を示す図である。 実施の形態1に係る超電導マグネットの制御構成を説明するためのブロック図である。 実施の形態1に係る超電導マグネットの運転方法を説明するフローチャートである。 図4に示したコイル温度を目標温度に調整する工程(S30)の一態様を説明するためのタイムチャートである。 図5に示した期間T1〜T3における冷却装置の冷却条件を説明するための図である。 図4に示したコイル温度を目標温度に調整する工程(S20)の一態様を説明するためのフローチャートである。 実施の形態1の変形例に係る超電導マグネットの制御構成を示すブロック図である。 図5に示した期間T1〜T3におけるヒータの制御を説明するための図である。 図4に示したコイル温度を目標温度に調整する工程(S20)の別の態様を説明するためのタイムチャートである。 実施の形態2に係る超電導マグネットの運転方法における、コイル温度を目標温度に調整する工程を説明するためのフローチャートである。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る超電導マグネットの運転方法は、超電導線材を巻回すことによって形成された超電導コイル91の温度を予め定められた目標温度T*に調整する工程(図4:S20)と、超電導コイル91の温度が目標温度T*に到達した後に、超電導コイル91の励減磁を繰り返し実行する工程(図4:S30)と、超電導コイル91の励減磁の実行中に、超電導コイル91を超電導状態に維持する工程(図4:S40)とを備える。目標温度T*は、超電導状態に冷却された超電導コイル91の励減磁の実行中において超電導コイル91が熱平衡状態となる温度(安定温度)に設定される。
上記(1)に係る超電導マグネットの運転方法によれば、超電導コイル91の励減磁を繰り返したときに超電導コイル91の発生磁場が安定するときの温度(超電導コイル91の温度が安定するときの温度)を目標温度T*に設定し、超電導コイル91を目標温度T*に調整した後に、超電導コイル91の励減磁を開始する。このようにすると、冷却装置121における超電導コイル91の冷却能力を制御することで、超電導コイル91を繰り返し励減磁して超電導コイル91の温度が安定するのに要する時間よりも短時間で、超電導コイル91が発生する磁場の安定性を確保することができる。
(2)上記(1)に係る超電導マグネットの運転方法において、超電導コイル91を超電導状態に維持する工程(図4:S40)では、超電導コイル91の冷却条件を、目標温度T*に調整する工程(図4:S20)における超電導コイルの冷却条件から変更する。
このようにすると、超電導コイル91の励減磁の実行中は、超電導コイル91の温度を、超電導コイル91が熱平衡状態となる温度に保つことができるため、超電導コイル91の発生磁場を安定させることができる。
(3)上記(1)に係る超電導マグネットの運転方法において、目標温度T*に調整する工程(図4:S20)は、超電導コイル91を目標温度T*よりも低い閾値温度Tthに冷却する工程(図7:S21)と、超電導コイル91の温度が閾値温度Tthに達した後に、超電導コイル91の温度を目標温度T*に昇温する工程(図7:S22)とを含む。
このようにすると、超電導コイル91全体を、超電導コイル91の発生磁場が安定する温度に調整することができる。
(4)上記(3)に係る超電導マグネットの運転方法において、目標温度T*に昇温する工程(図7:S22)では、閾値温度Tthに冷却する工程(図7:S21)に比べて、超電導コイル91の冷却能力を低下させる。このようにすると、冷却装置121の制御のみによって、短時間で、超電導コイル91を目標温度T*に調整することができる。
(5)上記(3)に係る超電導マグネットの運転方法において、目標温度T*に昇温する工程(図7:S22)では、閾値温度Tthに冷却する工程(図7:S21)に比べて、超電導コイル91を冷却する冷却装置121の運転周波数を低くする。超電導コイル91を超電導状態に冷却する工程(図4:S40)では、目標温度T*に昇温する工程(図7:S22)に比べて、冷却装置121の運転周波数を高くする。
このようにすると、冷却装置121の運転周波数の制御のみによって、短時間で、超電導コイル91を目標温度T*に調整することができる。また、超電導コイル91の励減磁の実行中は、超電導コイル91の温度を、超電導コイルが熱平衡状態となる温度に保つことができるため、超電導コイル91の発生磁場を安定させることができる。
(6)上記(3)に係る超電導マグネットの運転方法において、閾値温度Tthに冷却する工程(図7:S21)では、超電導コイル91を冷却する冷却装置121の連続運転を実行する。目標温度T*に昇温する工程(図7:S22)では、冷却装置121の間欠運転を実行する。超電導コイル91を超電導状態に冷却する工程(図4:S40)では、冷却装置121の連続運転を実行する。
このようにすると、冷却装置121のオンオフ制御のみによって、短時間で、超電導コイル91を目標温度T*に調整することができる。また、超電導コイル91の励減磁の実行中は、超電導コイル91の温度を、超電導コイルが熱平衡状態となる温度に保つことができるため、超電導コイル91の発生磁場を安定させることができる。
(7)上記(3)に係る超電導マグネットの運転方法において、目標温度T*に昇温する工程(図7:S22)では、加熱装置14を用いて超電導コイル91を加熱する。超電導コイル91を超電導状態に維持する工程(図4:S40)では、加熱装置14を停止させる。
このようにすると、加熱装置14のオンオフ制御によって、短時間で、超電導コイル91を目標温度T*に調整することができる。また、超電導コイル91の励減磁の実行中は、加熱装置14を停止させることで、超電導コイル91の温度が、超電導コイルが熱平衡状態となる温度に保たれるため、超電導コイル91の発生磁場を安定させることができる。
(8)上記(1)または(2)に係る超電導マグネットの運転方法において(図11参照)、目標温度T*に調整する工程(図4:S20)は、超電導コイル91を目標温度T*に冷却する工程(図11:S23)と、超電導コイル91が目標温度T*に到達した後に、一定時間、超電導コイル91の温度を保持する工程(図11:S24)とを含む。超電導コイル91の励減磁を繰り返し実行する工程(図4:S30)では、超電導コイル91が目標温度T*に到達してから一定時間が経過した後に、超電導コイル91の励減磁を開始する。
このようにすると、超電導コイル91全体を、超電導コイル91の発生磁場が安定する温度に調整することができる。
(9)本発明の一態様に係る超電導マグネット100(図1および図3参照)は、巻回された超電導線材を有する超電導コイル91と、超電導コイル91を冷却するための冷却装置121と、超電導コイル91に電流を供給する電源132と、超電導コイル91の温度を検出する温度センサ12と、温度センサ12の検出値に基づいて、冷却装置121および電源132を制御する制御装置140とを含む。制御装置140は、冷却装置121を用いて、超電導コイル91の温度を予め定められた目標温度T*に調整し、超電導コイル91の温度が目標温度T*に到達した後に、電源132から超電導コイル91への通電電流を制御することにより、超電導コイル91の励減磁を繰り返し実行する。制御装置140は、さらに、超電導コイル91の励減磁の実行中に、冷却装置121を用いて超電導コイル91を超電導状態に維持するように構成される。目標温度T*は、超電導状態に冷却された超電導コイル91の励減磁の実行中において超電導コイル91が熱平衡状態となる温度に設定される。
上記(9)に係る超電導マグネット100によれば、超電導コイル91の発生磁場が安定する温度(超電導コイルが熱平衡状態となる温度)を目標温度T*に設定し、超電導コイル91を目標温度T*に調整した後に、超電導コイル91の励減磁を開始する。このようにすると、冷却装置121における冷却能力を制御することで、超電導コイル91の発生磁場が安定するのに要する時間よりも短時間で、超電導コイル91が発生する磁場の安定性を確保することができる。
(10)上記(9)に係る超電導マグネット100において、制御装置140は、冷却装置121を用いて、超電導コイル91を目標温度T*よりも低い閾値温度Tthに冷却し、超電導コイル91の温度が閾値温度Tthに達した後に、冷却装置121の冷却能力を低下させることにより、超電導コイル91の温度を目標温度T*に昇温する。
このようにすると、超電導コイル91全体を、超電導コイル91の発生磁場が安定する温度に調整することができる。
(11)上記(9)に係る超電導マグネット100は、超電導コイル91を加熱するための加熱装置14をさらに備える。制御装置140は、冷却装置121および加熱装置14を用いて、超電導コイル91の温度を目標温度T*に調整する。
このようにすると、冷却装置121および加熱装置14の制御によって、短時間で、超電導コイル91を目標温度T*に調整することができる。
(12)上記(11)に係る超電導マグネット100において、制御装置140は、冷却装置121を用いて、超電導コイル91を目標温度T*よりも低い閾値温度Tthに冷却する。制御装置140は、さらに、超電導コイル91の温度が閾値温度Tthに達した後に、加熱装置14を用いて、超電導コイル91の温度を目標温度T*に昇温する。
このようにすると、冷却装置121および加熱装置14の制御によって、短時間で、超電導コイル91を目標温度T*に調整することができる。
(13)上記(9)に係る超電導マグネット100において、制御装置140は、冷却装置121を用いて、超電導コイル91を目標温度T*に冷却し、超電導コイル91が目標温度T*に到達した後に、一定時間、超電導コイル91の温度を保持する。制御装置140は、さらに、超電導コイル91が目標温度T*に到達してから一定時間が経過した後に、超電導コイル91の励減磁を実行する。
このようにすると、超電導コイル91全体を、超電導コイル91の発生磁場が安定する温度に調整することができる。
(14)本発明の一態様に係る検査装置は、上記(9)から(13)に係る超電導マグネット100を備える。検査装置は、超電導状態に冷却された超電導コイル91を励磁磁することにより、超電導コイル91が発生する磁束が通過する部分に配置された被検査対象200の磁化特性を測定するように構成される。
上記(14)に係る検査装置によれば、被検査対象200の磁化特性を測定を開始する時点において超電導コイル91の発生磁場を安定させることができるため、高い測定精度で被検査対象200の磁化特性を測定することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る超電導マグネットを概略的に示した断面図である。図1に示されるように、実施の形態1に係る超電導マグネット100は、超電導コイル91と、断熱容器111と、冷却装置121と、ホース122と、コンプレッサ123と、ケーブル131と、電源132と、制御装置140とを備える。
断熱容器111は、非磁性体(たとえばSUS304)によって形成され、超電導コイル91を収容する。断熱容器111は、超電導コイル91の巻軸Awが通る磁束通過部115を有する。磁束通過部115は、超電導コイル91によって発生した磁束を通すことができる。たとえば図1に示されるように、断熱容器111の壁に、磁束を断熱容器111の内部から外部へ通すための貫通孔が形成される。この貫通孔を磁束通過部115として利用することができる。
超電導コイル91は、テープ状の形状を有する酸化物超電導線材を巻き回して形成されたコイル部10を有する。酸化物超電導線材は、たとえば、延在方向に延びるビスマス(Bi)系超伝導体と、この超伝導体を被覆するシースとを有する。シースは、たとえば銀または銀合金により形成されている。酸化物超電導線材は、テープ状面に垂直な磁場が印加されるほど交流損失が増大するような特性を有する。
超電導コイル91は、冷却装置121によって冷却される。冷却装置121は、超電導コイル91に熱的に接続された冷却ヘッド20を有する。冷却装置121は、たとえばギフォード・マクマホン式冷凍機、パルス管冷凍機またはスターリング式冷凍機である。冷却装置121は、ホース122を介してコンプレッサ123につながっている。冷却装置121は、超電導コイルを構成する酸化物超電導材料の臨界温度以下の極低温を冷却ヘッド20に発生させる。冷却ヘッド20で得られた極低温は、伝熱板を介して超電導コイルに伝達される。
超電導コイル91は、ケーブル131を介して電源132に電気的に接続される。電源132から電流が与えられることにより、超電導コイル91は磁場(磁束)を発生させる。
試料200(被検査対象)は、ステージ210上において磁束通過部115の直下に配置される。試料200には、超電導コイル91から発生した磁場が印加される。試料200の位置における磁場の強度が所望の強度となるように超電導コイル91に電流が印加される。
本実施の形態1に係る超電導マグネット100は、試料200の磁化特性を測定するための検査装置に適用することが可能である。このような検査装置の一態様として、超電導コイル91により変動磁場を発生させて、試料200の磁化曲線(外部磁場と試料200の磁化との関係を示す曲線)を測定する。
図1の例では、超電導マグネット100およびステージ210は本発明における「検査装置」を構成する。検査装置は、ステージ210上に配置された複数の試料200に対して、超電導コイル91から発生した磁場を順番に印加することにより、各試料200の磁化特性を測定する。ステージ210は、複数の試料200を順番に磁束通過部115の直下に導入するための位置決め機構を構成する。
制御装置140は、試料200の磁化特性の測定時において、予め設定された磁場発生パターンに従って超電導コイル91に磁場を発生させるために、超電導コイル91の通電電流を制御する。一例として、制御装置140は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶部とを含むマイクロコンピュータを主体として構成される。
超電導コイル91の通電電流の制御に加えて、制御装置140は、冷却装置121を制御する。一般に、超電導コイルの冷却に用いられる冷却装置には、冷却装置を作動(オン)および停止(オフ)を制御するオンオフ制御方式と、コンプレッサ123の運転周波数をインバータで制御する方式とがある。
冷却装置121がオンオフ制御方式である場合、制御装置140は、コンプレッサ123の動作を停止することにより、冷却装置121を停止(オフ)させる。また、制御装置140は、コンプレッサ123を駆動することにより、停止している冷却装置121を作動(オン)させる。冷却装置121の作動中、冷却装置121の冷却能力は一定(たとえば、定格能力)となっている。
これに対して、冷却装置121がインバータ制御方式である場合、制御装置140は、インバータによってコンプレッサ123の運転周波数を制御することにより、冷却装置121の冷却能力を制御するように構成される。具体的には、制御装置140は、コンプレッサ123の運転周波数を上げることにより、冷却装置121の冷却能力を上昇させることができる。また、制御装置140は、コンプレッサ123の運転周波数を下げることにより、冷却装置121の冷却能力を低下させることができる。
図2は、試料200の磁化特性の測定時における、超電導コイル91の発生磁場およびコイル部10の温度(以下、コイル温度とも称する)の時間変化を示す図である。図2の縦軸は発生磁場の強度およびコイル温度を示し、横軸は超電導コイル91の励減磁を開始してからの経過時間を示している。
図2に示されるように、磁化特性の測定時には、所定の磁場発生パターンに従って超電導コイル91に磁場を発生させる。図2では、磁場発生パターンの一例として、0[T]→7[T]→−7[T]→0[T]の順で強度が変化する磁場を1サイクルとする。制御装置140は、この1サイクルの周期で超電導コイル91に変動磁場が発生するように、超電導コイル91の通電電流を変化させる。
この1サイクルの周期で試料200の磁化特性を測定すると、ステージ210は、試料200を磁束通過部115の直下から搬出するとともに、次の試料200を磁束通過部115の直下に搬入する。制御装置140は、次の1サイクルの周期で超電導コイル91に変動磁場を発生させて、次の試料200の磁化特性を測定する。このようにして、検査装置は、1サイクルの周期で超電導コイル91に変動磁場を発生させて、複数の試料200の磁化特性を順番に測定する。
超電導コイル91が変動磁場を発生している間、制御装置140は、冷却装置121を作動(オン)させる。図2の例では、制御装置140は、冷却装置121の冷却能力を定格能力としている。
超電導コイル91を励減磁すると、超電導コイル91には交流損失が発生する。そのため、超電導コイル91を繰り返し励減磁すると、コイル温度は徐々に上昇する。図2の例では、コイル温度は、励減磁開始時の16Kから徐々に上昇し、25K付近で安定している。コイル温度が安定しているとは、超電導コイル91の発熱量と冷却装置121の冷却能力とが釣り合うことで、超電導コイル91が熱平衡状態になっていることを表している。以下の説明では、励減磁の実行中に超電導コイル91が熱平衡状態となるときのコイル温度を「安定温度」とも称する。
検査装置においては、高い測定精度を実現するために、時間的に安定した磁場を生成することが求められる。しかしながら、励磁中に超電導線材の超電導層に誘導される遮蔽電流により、超電導コイル91には付加的な磁場(遮蔽電流磁場)が発生する。遮蔽電流磁場は、通電電流により発生する磁場と磁場分布が異なる。コイル温度が高いほど遮蔽電流は小さくなり、よって、遮蔽電流磁場も小さくなる。この遮蔽電流磁場の影響により、磁場が時間的に変動するという問題がある。
ここで、超電導線材の超電導層に誘導される遮蔽電流は、コイル温度が高くなるほど小さくなる傾向がある。したがって、励減磁の開始時とコイル温度の安定時とでは、安定時の方が遮蔽電流が小さくなるため、遮蔽電流磁場の影響が低減されることとなる。よって、コイル温度の安定時には、時間的に安定した磁場を得ることができる。
これによれば、検査装置においては、コイル温度が安定するのを待って試料200の磁化特性の測定を開始することが望ましいといえる。しかしながら、図2に示されるように、超電導コイル91の励減磁を開始してからコイル温度が安定するまでには長時間(180分程度)かかってしまうという課題が存在する。
そこで、本実施の形態1に係る超電導マグネット100では、超電導コイル91の安定温度を目標温度T*に設定し、超電導コイル91の励減磁を開始する前に、すなわち、超電導マグネット100の運転を停止している状態で、超電導コイル91の温度を目標温度T*になるように調整する。
図3は、実施の形態1に係る超電導マグネット100の制御構成を説明するためのブロック図である。図3に示されるように、超電導コイル91には、超電導コイル91の温度(コイル温度)を検出するための温度センサ12が設置されている。温度センサ12は、コイル温度を検出し、検出したコイル温度を示す信号を制御装置140へ出力する。図3の例では、温度センサ12は、超電導コイル91の巻軸Aw方向の端部に設置されている。
超電導コイル91は、励磁中において、巻軸Aw方向の中央部に比べて端部の方が温度が高くなりやすい。これは、超電導コイル91の巻軸Aw方向の端部は、中央部に比べて垂直磁場の強度が大きいため、交流損失がより大きくなることによる。そこで、超電導コイル91の巻軸Aw方向の端部に温度センサ12を設置し、コイル温度として端部の温度を管理することで、超電導コイル91の端部が常電導化してクエンチが生じることを防止することができる。ただし、超電導コイル91の温度分布を測定するためには、超電導コイル91の巻軸Aw方向の端部および中央部の各々に温度センサを設置することが望ましい。
制御装置140は、温度センサ12の検出値に基づいて冷却装置121を制御することにより、コイル温度を目標温度T*である安定温度に調整する。そして、コイル温度が目標温度T*に到達した後、制御装置140は、電源132から超電導コイル91への通電を開始することにより、図2に示した磁場発生パターンに従って超電導コイル91に磁場を発生させる。
このようにすると、試料200の磁化特性の測定を開始する時点において、超電導コイル91は安定温度になっているため、遮蔽電流磁場の影響が低減されて、時間的に安定した磁場を発生させることができる。したがって、時間的に安定した磁場を用いて試料200の磁化特性を測定できるため、高い測定精度を実現することができる。
また、冷却装置121における冷却能力の制御によってコイル温度を目標温度T*に調整するため、図2に示したような、超電導コイル91で発生する交流損失によってコイル温度を安定させる構成に比べて、より短時間でコイル温度を安定させることができる。すなわち、短時間で、安定した磁場を生成することができる。
(超電導マグネット100の運転方法)
次に、本実施の形態1に係る超電導マグネット100の運転方法について説明する。
図4は、実施の形態1に係る超電導マグネット100の運転方法を説明するフローチャートである。なお、図4に示すフローチャートは、制御装置140において予め格納されたプログラムを実行することで実現できる。
図4に示されるように、超電導マグネット100の運転方法は、目標温度T*を設定する工程(S10)と、コイル温度を目標温度T*に調整する工程(S20)と、超電導コイル91を励減磁する工程(S30)と、超電導コイル91を冷却する工程(S40)とを備える。
最初に、目標温度T1*を設定する工程(S10)が実施される。目標温度T1*の設定には、超電導コイル91の安定温度を取得する必要がある。超電導コイル91の安定温度は、たとえば、冷却装置121の冷却能力を一定(定格能力)に保った状態で超電導コイル91を繰り返し励減磁し、超電導コイル91が熱平衡状態となったときの温度を温度センサ12で測定することで取得することができる。本実施の形態では、図2に示される励減磁中におけるコイル温度の時間変化に基づいて、超電導コイル91の安定温度である25Kを目標温度T*に設定することができる。
あるいは、励減磁中に超電導コイル91が発生する熱量(交流損失)および冷却装置121の冷却能力を用いたシミュレーションを実行することによっても、安定温度を取得することができる。
なお、超電導コイル91の安定温度は、超電導コイル91の磁場発生パターン、冷却装置121の冷却条件、および超電導コイル91の熱容量などに依存する。したがって、安定温度の取得にあたっては、実験およびシミュレーションの各々において、実際に試料200の磁化特性を測定するときの超電導マグネット100の運転条件(超電導コイル91の磁場発生パターンおよび冷却装置121の冷却条件など)を再現させることが好ましい。
次に、コイル温度を目標温度T*に調整する工程(S20)が実施される。具体的には、冷却装置121によって超電導コイル91を冷却することにより、コイル温度を目標温度T*(25K)に調整する。
図5は、図4に示したコイル温度を目標温度T*に調整する工程(S30)の一態様を説明するためのタイムチャートである。図5は、コイル温度の時間変化を示している。
図5に示されるように、コイル温度を目標温度T*に調整する工程(S30)では、最初に、目標温度T*よりも低い閾値温度Tthになるように超電導コイル91を冷却する。本実施の形態では、閾値温度Tthは、たとえば、25Kよりも低い16Kに設定される。
時刻t1にて、温度センサ12により検出されたコイル温度が閾値温度Tthに到達すると、続いて、超電導コイル91を目標温度T*に昇温する。超電導コイル91を昇温するため、制御装置140は、時刻t1以前での冷却装置121の冷却能力に比べて冷却装置121の冷却能力が低下するように、冷却装置121の冷却条件を変更する。
冷却装置121の冷却能力を低下させたことにより、時刻t1以降、コイル温度が上昇する。時刻t2においてコイル温度が目標温度T*に達すると、制御装置140は、超電導コイル91の励減磁を開始する。励減磁の実行中は、図2に示したように、超電導コイル91が熱平衡状態となるため、コイル温度は目標温度T*に保持される。
図5に示したコイル温度の時間変化を実現するために、制御装置140は、温度センサ12の検出値に基づいて、冷却装置121の冷却能力を制御する。具体的には、制御装置140は、超電導コイル91の冷却を開始してから(時刻t0)コイル温度が閾値温度Tthになるまで(時刻t1)の期間T1、コイル温度が閾値温度Thから(時刻t1)目標温度T*になるまで(時刻t2)の期間T2、および、超電導コイル91の励減磁を開始した後(時刻t2)の期間T3において、冷却装置121の冷却条件を変更する。
図6は、図5に示した期間T1〜T3における冷却装置121の冷却条件を説明するための図である。図6に示されるように、冷却装置121がオンオフ制御方式である場合、制御装置140は、期間T1および期間T3では、冷却装置121を連続的に作動(オン)する連続運転を実行する。一方、期間T2では、冷却装置121の作動(オン)および停止(オフ)を繰り返す間欠運転を実行する。冷却装置121の間欠運転では、冷却装置121の1制御周期に対するオン時間の比率に応じて冷却能力が変化する。具体的には、比率を大きくすると(すなわち、オン時間を長くする)冷却能力が高くなる一方で、比率を小さくすると(すなわち、オフ時間を長くする)冷却能力が低下する。期間T2では、比率を小さくすることで、冷却装置121の冷却能力を低下させることにより、超電導コイル91を昇温する。
また、冷却装置121がインバータ制御方式である場合には、制御装置140は、期間T2におけるコンプレッサ123の運転周波数が、期間T1および期間T3におけるコンプレッサ123の運転周波数よりも低くなるように、インバータを制御する。
このように、期間T2では、期間T1に比べて冷却装置121の冷却能力を低下させることによって、コイル温度が上昇に転じる。そして、温度センサ12により検出されたコイル温度が目標温度T1*に到達すると、超電導コイル91を励減磁する工程(S30)が実施される。具体的には、制御装置140は、電源132から超電導コイル91への通電を開始することにより、図2に示した磁場発生パターンに従って超電導コイル91に磁場を発生させる。制御装置140は、1サイクルの周期で試料200の磁化特性を測定すると、ステージ210を駆動させて、試料200を磁束通過部115の直下から搬出するとともに、次の試料200を磁束通過部115の直下に搬入する。制御装置140は、次の1サイクルの周期で超電導コイル91に変動磁場を発生させて、次の試料200の磁化特性を測定する。このようにして、制御装置140は、1サイクルの周期で超電導コイル91に変動磁場を発生させて、複数の試料200の磁化特性を順番に測定する。
超電導コイル91の励減磁が開始されると、超電導コイル91を冷却する工程(S40)が実施される。図6で説明したように、超電導コイル91を冷却する工程(S40)では、超電導コイル91を目標温度T*に調整する工程(S20)に対して、冷却装置121の冷却条件を変更する。これにより、コイル温度は安定温度(目標温度T*)に保持される。
図7は、図4に示したコイル温度を目標温度T*に調整する工程(S20)の一態様を説明するためのフローチャートである。図7に示されるように、最初に、超電導コイル91を閾値温度Tthに冷却する工程(S21)が実施される。次に、超電導コイル91を目標温度T*に昇温する工程(S22)が実施される。
本実施の形態では、温度センサ12は、交流損失が大きい、超電導コイル91の巻軸Aw方向の端部の温度を検出するように構成されている。一方、冷却装置121は、高温となりやすい端部を積極的に冷却する構造を採っており、超電導コイル91の巻軸Aw方向の中央部はこの端部を通して冷却されることとなる。そのため、超電導コイル91が熱平衡状態であるときに温度センサ12の検出値が25Kであっても、超電導コイル91の巻軸Aw方向の中央部は25Kよりも高い温度となっている可能性がある。すなわち、超電導コイル91の巻軸Aw方向の中央部における安定温度は、端部における安定温度とは異なる可能性がある。
これによれば、コイル温度を目標温度T*に調整する工程(S20)において、超電導コイル91を室温から冷却した場合、超電導コイル91の巻軸Aw方向の端部の温度が25Kに達していても、中央部の温度が安定温度に達していない可能性がある。
本実施の形態1では、図5および図7に示したように、超電導コイル91を目標温度T*よりも低い温度(閾値温度Tth)に冷却した後に、超電導コイル91を目標温度T*に昇温することにより、超電導コイル91全体を安定温度に調整することができる。
以上説明したように、実施の形態1に係る超電導マグネット100の運転方法によれば、冷却装置121における超電導コイル91の冷却能力を制御することで、超電導コイル91を繰り返し励減磁して超電導コイル91の温度が安定するのに要する時間よりも短時間で、超電導コイル91が発生する磁場の安定性を確保することができる。
(変形例)
上述した実施の形態1では、冷却装置121の冷却能力を低下させることにより、超電導コイル91を目標温度T*に昇温する構成について説明したが、本変形例で示すように、ヒータを用いて超電導コイル91を加熱することによっても超電導コイル91を昇温することができる。
図8は、実施の形態1の変形例に係る超電導マグネット100の制御構成を示すブロック図である。図8に示した超電導マグネット100の制御構成は、図3に示した超電導マグネット100の制御構成に対して、ヒータ14を追加したものである。
ヒータ14は、超電導コイル91と冷却装置121との間に設置される。制御装置140は、ヒータ14の作動(オン)および停止(オフ)を制御する。ヒータ14は、超電導コイル91のコイル部10において、巻軸Aw方向に積層されたパンケーキコイルの間に設置してもよい。
図9は、図5に示した期間T1〜T3におけるヒータ14の制御を説明するための図である。図9に示されるように、期間T1および期間T3では、制御装置140は、ヒータ14を停止させる一方で、期間T2ではヒータ14を作動させる。期間T2では、超電導コイル91はヒータ14から与えられる熱を受けて昇温する。
(実施の形態2)
実施の形態2では、図4に示したコイル温度を目標温度T*に調整する工程(S30)の別の態様について説明する。
図10は、図4に示したコイル温度を目標温度T*に調整する工程(S30)の別の態様を説明するためのタイムチャートである。図10は、コイル温度の時間変化を示している。
図10に示されるように、コイル温度を目標温度T*に調整する工程(S30)では、最初に、目標温度T*になるように超電導コイル91を冷却する。時刻t1にて、温度センサ12により検出されたコイル温度が目標温度T*に到達すると、一定時間、コイル温度を目標温度T*に保持する。超電導コイル91を目標温度T*に保持するため、制御装置140は、時刻t1以前での冷却装置121の冷却能力に比べて冷却装置121の冷却能力が低下するように、冷却装置121の冷却条件を変更する。
時刻t1から一定時間が経過すると(時刻t2)、制御装置140は、超電導コイル91の励減磁を開始する。励減磁の実行中は、図2に示したように、超電導コイル91が熱平衡状態となるため、コイル温度は目標温度T*に保持される。
図10に示したコイル温度の時間変化を実現するために、制御装置140は、温度センサ12の検出値に基づいて、冷却装置121の冷却能力を制御する。具体的には、制御装置140は、超電導コイル91の冷却を開始してから(時刻t0)コイル温度が目標温度T*になるまで(時刻t3)の期間T4、コイル温度が目標温度T*になってから一定時間が経過するまで(時刻t4)の期間T5、および、超電導コイル91の励減磁を開始した後(時刻t5)の期間T6において、冷却装置121の冷却条件を変更する。
図11は、実施の形態2に係る超電導マグネットの運転方法における、コイル温度を目標温度T*に調整する工程を説明するためのフローチャートである。
図11に示されるように、最初に、超電導コイル91を目標温度T*に冷却する工程(S23)が実施される。次に、超電導コイル91を一定時間、目標温度T*に保持する工程(S24)が実施される。
上述したように、超電導コイル91を室温から冷却した場合、超電導コイル91の巻軸Aw方向の端部の温度が安定温度に達していても、超電導コイル91の巻軸Aw方向の中央部の温度が安定温度に達していない可能性がある。本実施の形態2では、超電導コイル91の巻軸Aw方向の端部の温度が安定温度に達した後、一定時間端部を安定温度に保持することにより、超電導コイル91の巻軸Aw方向における中央部の温度も安定温度に調整する。これにより、超電導コイル91全体を安定温度に調整することができる。
以上説明したように、実施の形態2に係る超電導マグネットの運転方法によれば、実施の形態1に係る超電導マグネットの運転方法と同様の作用効果を得ることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 コイル部
12 温度センサ
14 ヒータ
20 冷却ヘッド
91 超電導コイル
100 超電導マグネット
111 断熱容器
115 磁束通過部
121 冷却装置
122 ホース
123 コンプレッサ
131 ケーブル
132 電源
140 制御装置
200 試料
210 ステージ

Claims (14)

  1. 超電導線材を巻回すことによって形成された超電導コイルを有する超電導マグネットの運転方法であって、
    前記超電導コイルの温度を予め定められた目標温度に調整する工程と、
    前記超電導コイルの温度が前記目標温度に到達した後に、前記超電導コイルの励減磁を繰り返し実行する工程と、
    前記超電導コイルの励減磁の実行中に、前記超電導コイルを超電導状態に維持する工程とを備え、
    前記目標温度は、超電導状態に冷却された前記超電導コイルの励減磁の実行中において前記超電導コイルが熱平衡状態となる温度に設定される、超電導マグネットの運転方法。
  2. 前記超電導コイルを超電導状態に冷却する工程では、前記超電導コイルの冷却条件を、前記目標温度に調整する工程における前記超電導コイルの冷却条件から変更する、請求項1に記載の超電導マグネットの運転方法。
  3. 前記目標温度に調整する工程は、
    前記超電導コイルを前記目標温度よりも低い閾値温度に冷却する工程と、
    前記超電導コイルの温度が前記閾値温度に達した後に、前記超電導コイルの温度を前記目標温度に昇温する工程とを含む、請求項1に記載の超電導マグネットの運転方法。
  4. 前記目標温度に昇温する工程では、前記閾値温度に冷却する工程に比べて、前記超電導コイルの冷却能力を低下させる、請求項3に記載の超電導マグネットの運転方法。
  5. 前記目標温度に昇温する工程では、前記閾値温度に冷却する工程に比べて、前記超電導コイルを冷却する冷却装置の運転周波数を低くし、
    前記超電導コイルを超電導状態に冷却する工程では、前記目標温度に昇温する工程に比べて、前記冷却装置の運転周波数を高くする、請求項3に記載の超電導マグネットの運転方法。
  6. 前記閾値温度に冷却する工程では、前記超電導コイルを冷却する冷却装置の連続運転を実行し、
    前記目標温度に昇温する工程では、前記冷却装置の間欠運転を実行し、
    前記超電導コイルを超電導状態に冷却する工程では、前記冷却装置の連続運転を実行する、請求項3に記載の超電導マグネットの運転方法。
  7. 前記目標温度に昇温する工程では、加熱装置を用いて前記超電導コイルを加熱し、
    前記超電導コイルを超電導状態に冷却する工程では、前記加熱装置を停止させる、請求項3に記載の超電導マグネットの運転方法。
  8. 前記目標温度に調整する工程は、
    前記超電導コイルを前記目標温度に冷却する工程と、
    前記超電導コイルが前記目標温度に到達した後に、一定時間、前記超電導コイルの温度を保持する工程とを含み、
    前記超電導コイルの励減磁を繰り返し実行する工程では、前記超電導コイルが前記目標温度に到達してから前記一定時間が経過した後に、前記超電導コイルの励減磁を開始する、請求項1または請求項2に記載の超電導マグネットの運転方法。
  9. 巻回された超電導線材を有する超電導コイルと、
    前記超電導コイルを冷却するための冷却装置と、
    前記超電導コイルに電流を供給する電源と、
    前記超電導コイルの温度を検出する温度センサと、
    前記温度センサの検出値に基づいて、前記冷却装置および前記電源を制御する制御装置とを含み、
    前記制御装置は、
    前記冷却装置を用いて、前記超電導コイルの温度を予め定められた目標温度に調整し、
    前記超電導コイルの温度が前記目標温度に到達した後に、前記電源から前記超電導コイルへの通電電流を制御することにより、前記超電導コイルの励減磁を繰り返し実行し、かつ、
    前記超電導コイルの励減磁の実行中に、前記冷却装置を用いて前記超電導コイルを超電導状態に維持するように構成され、
    前記目標温度は、超電導状態に冷却された前記超電導コイルの励減磁の実行中において前記超電導コイルが熱平衡状態となる温度に設定される、超電導マグネット。
  10. 前記制御装置は、
    前記冷却装置を用いて、前記超電導コイルを前記目標温度よりも低い閾値温度に冷却し、
    前記超電導コイルの温度が前記閾値温度に達した後に、前記冷却装置の冷却能力を低下させることにより、前記超電導コイルの温度を前記目標温度に昇温する、請求項9に記載の超電導マグネット。
  11. 前記超電導コイルを加熱するための加熱装置をさらに備え、
    前記制御装置は、前記冷却装置および前記加熱装置を用いて、前記超電導コイルの温度を前記目標温度に調整する、請求項9に記載の超電導マグネット。
  12. 前記制御装置は、
    前記冷却装置を用いて、前記超電導コイルを前記目標温度よりも低い閾値温度に冷却し、
    前記超電導コイルの温度が前記閾値温度に達した後に、前記加熱装置を用いて、前記超電導コイルの温度を前記目標温度に昇温する、請求項11に記載の超電導マグネット。
  13. 前記制御装置は、
    前記冷却装置を用いて、前記超電導コイルを前記目標温度に冷却し、
    前記超電導コイルが前記目標温度に到達した後に、一定時間、前記超電導コイルの温度を保持し、かつ、
    前記超電導コイルが前記目標温度に到達してから前記一定時間が経過した後に、前記超電導コイルの励減磁を実行する、請求項9に記載の超電導マグネット。
  14. 請求項9から請求項13のいずれか1項に記載の超電導マグネットを備え、
    超電導状態に冷却された前記超電導コイルを励磁磁することにより、前記超電導コイルが発生する磁束が通過する部分に配置された被検査対象の磁化特性を測定するように構成される、検査装置。
JP2017127715A 2017-06-29 2017-06-29 超電導マグネット、超電導マグネットの運転方法および検査装置 Active JP6926728B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017127715A JP6926728B2 (ja) 2017-06-29 2017-06-29 超電導マグネット、超電導マグネットの運転方法および検査装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017127715A JP6926728B2 (ja) 2017-06-29 2017-06-29 超電導マグネット、超電導マグネットの運転方法および検査装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019012743A true JP2019012743A (ja) 2019-01-24
JP6926728B2 JP6926728B2 (ja) 2021-08-25

Family

ID=65228002

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017127715A Active JP6926728B2 (ja) 2017-06-29 2017-06-29 超電導マグネット、超電導マグネットの運転方法および検査装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6926728B2 (ja)

Citations (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59232539A (ja) * 1983-06-15 1984-12-27 株式会社東芝 磁気共鳴イメージング装置
JPH01245149A (ja) * 1988-03-28 1989-09-29 Hitachi Ltd 金属材料の劣化検査装置
JPH06323657A (ja) * 1993-05-14 1994-11-25 Sanyo Electric Co Ltd 冷凍装置
JPH09102413A (ja) * 1995-10-06 1997-04-15 Furukawa Electric Co Ltd:The 超電導マグネット装置
US5787714A (en) * 1996-07-19 1998-08-04 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Cooling method and energizing method of superconductor
JPH10251034A (ja) * 1997-03-14 1998-09-22 Olympus Optical Co Ltd 光学素子の成形方法および成形装置
JPH10335137A (ja) * 1996-07-19 1998-12-18 Sumitomo Electric Ind Ltd 超電導体の冷却方法および通電方法
JPH11288809A (ja) * 1998-03-31 1999-10-19 Toshiba Corp 超電導マグネット装置
JP2000012326A (ja) * 1998-06-26 2000-01-14 Toshiba Corp 伝導冷却型超電導磁石システム
JP2006203154A (ja) * 2004-04-20 2006-08-03 National Institutes Of Natural Sciences 超伝導パルスコイル、それを用いた超伝導装置および超伝導電力貯蔵装置
US20100271028A1 (en) * 2009-04-23 2010-10-28 Hiromi Kawamoto Magnetic resonance imaging apparatus
WO2012157745A1 (ja) * 2011-05-18 2012-11-22 国立大学法人九州大学 超伝導磁石及び核磁気共鳴装置
JP2017033977A (ja) * 2015-07-29 2017-02-09 住友電気工業株式会社 超電導マグネット装置の運転方法

Patent Citations (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59232539A (ja) * 1983-06-15 1984-12-27 株式会社東芝 磁気共鳴イメージング装置
JPH01245149A (ja) * 1988-03-28 1989-09-29 Hitachi Ltd 金属材料の劣化検査装置
JPH06323657A (ja) * 1993-05-14 1994-11-25 Sanyo Electric Co Ltd 冷凍装置
JPH09102413A (ja) * 1995-10-06 1997-04-15 Furukawa Electric Co Ltd:The 超電導マグネット装置
US5787714A (en) * 1996-07-19 1998-08-04 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Cooling method and energizing method of superconductor
JPH10335137A (ja) * 1996-07-19 1998-12-18 Sumitomo Electric Ind Ltd 超電導体の冷却方法および通電方法
JPH10251034A (ja) * 1997-03-14 1998-09-22 Olympus Optical Co Ltd 光学素子の成形方法および成形装置
US6107905A (en) * 1998-03-31 2000-08-22 Kabushiki Kaisha Toshiba Superconducting magnet apparatus
JPH11288809A (ja) * 1998-03-31 1999-10-19 Toshiba Corp 超電導マグネット装置
JP2000012326A (ja) * 1998-06-26 2000-01-14 Toshiba Corp 伝導冷却型超電導磁石システム
JP2006203154A (ja) * 2004-04-20 2006-08-03 National Institutes Of Natural Sciences 超伝導パルスコイル、それを用いた超伝導装置および超伝導電力貯蔵装置
US20100271028A1 (en) * 2009-04-23 2010-10-28 Hiromi Kawamoto Magnetic resonance imaging apparatus
JP2010269136A (ja) * 2009-04-23 2010-12-02 Toshiba Corp 磁気共鳴イメージング装置
WO2012157745A1 (ja) * 2011-05-18 2012-11-22 国立大学法人九州大学 超伝導磁石及び核磁気共鳴装置
KR20140052983A (ko) * 2011-05-18 2014-05-07 고쿠리쓰다이가쿠호진 규슈다이가쿠 초전도 자석 및 핵자기 공명 장치
US20140296074A1 (en) * 2011-05-18 2014-10-02 Kyushu University, National University Corporation Superconducting Magnet and Nuclear Magnetic Resonance Device
JP2017033977A (ja) * 2015-07-29 2017-02-09 住友電気工業株式会社 超電導マグネット装置の運転方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6926728B2 (ja) 2021-08-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7309987B2 (en) Anticipative temperature regulation of cryogenic NMR probes
JP5096479B2 (ja) 磁気共鳴検査システムのクエンチの防止
US11482358B2 (en) Control method for superconducting magnet apparatus and superconducting magnet apparatus
US20170261574A1 (en) Magnetic resonance imaging system capable of rapid field ramping
JP6590573B2 (ja) 超電導マグネット装置の運転方法
JP2020043630A (ja) 振動試験装置及びその制御方法
US10209142B2 (en) Temperature calibrator
JP6983629B2 (ja) 超電導磁石装置の運転方法および超電導磁石装置
US20170160357A1 (en) Method and apparatus for eddy current field compensation in magnetic resonance tomography
JP6926728B2 (ja) 超電導マグネット、超電導マグネットの運転方法および検査装置
JP2017183441A (ja) 超電導磁石装置およびその励磁方法
JP2002159468A (ja) 磁気共鳴断層撮影装置
JP2008020266A (ja) 超電導マグネット装置
US20180321344A1 (en) Method, device and magnetic resonance apparatus for temperature regulation of a magnetizable environment of a gradient coil
JP3930153B2 (ja) 伝導冷却型超電導磁石システム
JP6367022B2 (ja) 超伝導電磁石、超伝導サイクロトロン、及び荷電粒子線偏向電磁石
KR101372822B1 (ko) 초전도 풍력 터빈 냉각 장치 및 그 냉각 방법
JP2006329925A (ja) 超電導導体の評価方法および装置
KR101054002B1 (ko) 초전도 토카막 장치의 진공용기 가열 장치
JP2012063354A (ja) 極低温容器内の極低温液体の液位を計測する方法
JP6180341B2 (ja) 加熱試験制御装置および加熱試験制御方法
JP3788704B2 (ja) パルス式磁束計
JP2015020027A (ja) 超電導コイルの駆動システムおよびイメージング装置
JP2023158672A (ja) 超伝導磁石および超伝導磁石の運転方法
JP2015115551A (ja) アモルファス磁性ワイヤ通電熱処理方法、およびアモルファス磁性ワイヤ通電熱処理装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200121

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201014

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210126

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210706

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210719

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6926728

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150