JP2019011110A - 不正開封防止キャップ - Google Patents

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上村 英夫
Hideo Kamimura
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Abstract

【課題】対象者による開封を許容しつつ、非対象者による意図しない開封を防止可能な不正開封防止キャップを提供する。【解決手段】不正開封防止キャップ1は、容器本体の口部に螺着される内キャップ30と、内キャップに対してキャップ軸回りに回転可能な外キャップ10と、を備える。外キャップは、第3係合部13と第2係合部34とがキャップ軸方向に離間し、かつ第3係合部と第1係合部33とが互いに係合可能な第1係合位置と、第1係合位置よりも内キャップに対して上昇した第2係合位置であって、第3係合部と第1係合部とがキャップ軸方向に離間し、かつ第3係合部と第2係合部とが互いに係合可能な第2係合位置と、の間をキャップ軸方向に移動可能である。第3係合部および第2係合部は、緩み方向に向けた外キャップの回転移動時に互いに係合し、その逆方向に向けた回転移動時に互いにすれ違う。【選択図】図1

Description

本発明は、不正開封防止キャップに関する。
収容容器の不正開封を防止するために、収容容器の口部に、CR(チャイルドレジスタンス)機構を備えた不正開封防止キャップが取り付けられる場合がある。なお、不正開封の防止とは、特定の使用対象者(以下、単に対象者という)による開封を許容した上で、例えば乳幼児や子供等の非使用対象者(以下、単に非対象者という)による意図しない開封の防止をいう。
例えば下記特許文献1は、容器の口部に装着され、外周面に逆止歯が全周に亘って形成された内キャップと、弾性変形可能な操作片を有すると共に内キャップを覆う外キャップと、を備えた不正開封防止キャップを開示している。
操作片には、外キャップを開封方向に回転させたときに、該操作片の弾性変形に伴って逆止歯を周方向に乗り越えると共に、外キャップを装着方向に回転させたときに、逆止歯に対して噛合する爪部が形成されている。
従って、上記不正開封防止キャップでは、外キャップを開封方向に向けて単純に回転操作した場合には、操作片の弾性変形に伴って爪部が逆止歯を周方向に乗り越えるので、内キャップに対して外キャップが空転する。これにより、収容容器の開封が防止される。
これに対して、操作片を押圧しながら外キャップを開封方向に向けて回転操作した場合には、操作片の弾性変形を規制できるので、逆止歯と爪部とを噛合させた状態にすることができ、外キャップ及び内キャップを一体に回転させることができる。これにより、収容容器を開封することができる。
特開2003−104408号公報
しかしながら、上述した従来の不正開封防止キャップでは、外キャップを例えば握りながら回転操作するときに、操作片を指先等で押さえてしまうと、外キャップ及び内キャップが一体に回転して収容容器が開封されてしまう場合がある。つまり、開封に直接関係する本操作、すなわち外キャップの回転操作を行うときに、意図しなくても操作片を押さえてしまうことがあるので、非対象者であっても開封できてしまう場合があった。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、対象者による開封を許容しつつ、非対象者による意図しない開封を防止可能な不正開封防止キャップを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の不正開封防止キャップは、容器本体の口部に螺着される有頂筒状の内キャップと、前記内キャップに対してキャップ軸回りに回転可能に設けられた外キャップと、を備え、前記内キャップの外周面および前記外キャップの内周面のうちのいずれか一方には、キャップ軸回りに沿うキャップ周方向に延びる周溝と、該周溝内にキャップ軸方向に間隔を空けて配置された第1係合部および第2係合部と、が設けられ、前記内キャップの外周面および前記外キャップの内周面のうちのいずれか他方には、前記周溝内に位置する第3係合部が設けられ、前記外キャップは、前記第3係合部と前記第2係合部とがキャップ軸方向に離間し、かつ前記第3係合部と前記第1係合部とが互いに係合可能な第1係合位置と、前記第1係合位置よりも前記内キャップに対して上昇した第2係合位置であって、前記第3係合部と前記第1係合部とがキャップ軸方向に離間し、かつ前記第3係合部と前記第2係合部とが互いに係合可能な第2係合位置と、の間をキャップ軸方向に移動可能に配設され、前記外キャップが前記第2係合位置に位置したときに、前記第3係合部および前記第2係合部は、キャップ軸回りに沿うキャップ周方向のうち、前記内キャップが前記口部に対して緩む緩み方向に向けた、前記内キャップに対する前記外キャップの回転移動時に互いに係合し、かつ前記緩み方向の逆方向に向けた回転移動時に互いにすれ違い、前記外キャップが前記第1係合位置に位置したときに、前記第3係合部および前記第1係合部は、前記緩み方向の逆方向に向けた、前記内キャップに対する前記外キャップの回転移動時に互いに係合し、かつ前記緩み方向に向けた回転移動時に互いにすれ違うことを特徴とする。
本発明の不正開封防止キャップでは、外キャップが第1係合位置にある場合には、外キャップが内キャップに対して緩み方向に回転移動する際、第3係合部および第1係合部が互いにすれ違うため、外キャップから内キャップへと緩み方向の回転力が伝達されず、非対象者による意図しない開封を防止することができる。
一方、対象者が、外キャップを内キャップに対して上昇させて第2係合位置とした場合には、外キャップが内キャップに対して緩み方向に回転移動する際、第3係合部および第2係合部が互いに係合するため、外キャップから内キャップへと緩み方向の回転力が伝達され、内キャップを容器本体の口部に対して回転させて螺着を解除することができる。
また、不正開封防止キャップを容器本体に取り付ける際には、緩み方向への回転力が伝達されずその逆方向への回転力が伝達される第1係合位置に、外キャップが位置することとなる。このため、例えば対象者が不正開封防止キャップを容器本体の口部に取り付けた後、CR機能が発揮される状態にし忘れるのを防ぐことができる。
以上のように、本発明の不正開封防止キャップによれば、外キャップを上昇させた後に回転させる操作によって対象者による開封を許容しつつ、非対象者による意図しない開封を防止することができる。
また、第1係合部、第2係合部、および第3係合部が、内キャップの外周面若しくは外キャップの内周面に設けられているため、回転中心となるキャップ軸とこれら係合部との間の距離が確保され、回転力を伝達する際に各係合部に作用する力が小さく抑えられ、外キャップおよび内キャップの変形が抑えられることで、不正開封防止キャップの操作性を良好にすることができる。さらに、これら係合部が例えば内キャップの頂壁などに設けられている場合と比較して、不正開封防止キャップのキャップ軸方向におけるかさ張りを抑えてコンパクトにすることができる。
さらに、このようなCR機能が、内キャップおよび外キャップの2部品によって実現されているため、不正開封防止キャップの製造コストを抑えることも可能となる。
ここで、前記外キャップ若しくは前記内キャップには、前記外キャップを前記第2係合位置に保持する係止部が設けられていてもよい。
この場合、例えば外キャップの自重などによって、外キャップが不意に第2係合位置から第1係合位置まで下降してしまうのを抑えることができる。さらに、対象者が外キャップを第2係合位置まで引き上げたときに、係止部が作動する際のクリック感を生じさせて、対象者に外キャップが第2係合位置に到達したことを認識させ、操作性をより向上させることができる。
また、前記第1係合部には、前記緩み方向に向けた前記外キャップの前記内キャップに対する回転移動時に、前記第3係合部をキャップ軸方向における前記第1係合部と前記第2係合部との間の位置に案内する案内面が形成されていてもよい。
この場合、外キャップが第1係合位置にある状態で、この外キャップを内キャップに対して緩み方向に回転移動させると、外キャップが第1係合位置と第2係合位置との間の中間位置に案内される。中間位置では、第3係合部が第1係合部および第2係合部の双方に係合せず、内キャップに回転力が伝達されないため、引き続き非対象者による開封を防止することができる。
本発明によれば、対象者による開封を許容しつつ、非対象者による意図しない開封を防止可能な不正開封防止キャップを提供することができる。
本実施形態の不正開封防止キャップが容器本体に取り付けられた状態を示す図であり、(a)は半縦断面図、(b)はCR機構の模式図である。 内キャップの単品図であり、(a)は平面図、(b)は半縦断面図である。 外キャップの単品図であり、(a)は平面図、(b)は半縦断面図である。 第1係合部と第3係合部とがすれ違う状態を示す図であり、(a)は半縦断面図、(b)はCR機構の模式図である。 外キャップが第2係合位置にある状態を示す図であり、(a)は半縦断面図、(b)はCR機構の模式図である。 第2係合部と第3係合部とがすれ違う状態を示す図であり、(a)は半縦断面図、(b)はCR機構の模式図である。
以下、本実施形態に係る不正開封防止キャップの構成を、図1〜図6を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため縮尺を適宜変更している。
本実施形態では、不正開封防止キャップ1が、内容物が収容される有底筒状の容器本体2に取り付けられて構成された収容容器3を例にして説明する。容器本体2内に収容される内容物としては、例えば、誤飲や誤食を防止する必要のある薬剤等が挙げられる。ただし、内容物は適宜変更可能である。
図1(a)に示すように、不正開封防止キャップ1は、容器本体2の口部2aに螺着される有頂筒状の内キャップ30と、内キャップ30を囲繞する筒状の外キャップ10と、を備えている。
(方向定義)
ここで本実施形態では、内キャップ30および外キャップ10の各中心軸は共通の軸上に配設されている。以下、この共通の軸をキャップ軸Oといい、キャップ軸Oに沿う不正開封防止キャップ1側を上方、容器本体2側を下方という。また、キャップ軸O方向から見た平面視において、キャップ軸Oに直交する方向をキャップ径方向といい、キャップ軸O回りに周回する方向をキャップ周方向という。また、キャップ周方向のうち、内キャップ30が口部2aに対して緩む方向を緩み方向といい、緩み方向の逆方向を螺着方向という。なお、不正開封防止キャップ1の緩み方向および螺着方向は、内キャップ30に設けられた雌ネジ部の形状によって定められる。
内キャップ30は、頂壁31と、頂壁31の外周縁から下方に向けて延びる螺着筒部32と、螺着筒部32の上端部からキャップ径方向外側に向けて突出する第2内側係止部35と、螺着筒部32の下端部からキャップ径方向外側に向けて突出する第1内側係止部36と、を有している。螺着筒部32、第2内側係止部35、および第1内側係止部36により、内キャップ30には、キャップ径方向内側に向けて窪み、キャップ周方向に延びる周溝32aが形成されている。周溝32aは、内キャップ30のキャップ軸O方向における中央部に位置し、内キャップ30のキャップ周方向の全周にわたって延びている。
螺着筒部32の内周面には、容器本体2の口部2aに形成された雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が形成されている。第2内側係止部35および第1内側係止部36は、キャップ軸Oを中心とする環状に形成されている。第2内側係止部35の外径は、第1内側係止部36の外径よりも小さい。
図2(b)に示すように、第2内側係止部35の外周縁には、上方に向かうに従って漸次キャップ径方向内側に向けて延びる傾斜面35aが形成されている。第1内側係止部36の外周縁には、下方に向かうに従って漸次キャップ径方向内側に向けて延びる傾斜面36aが形成されている。
図2(a)、(b)に示すように、第2内側係止部35には、キャップ径方向内側に向けて窪む導入溝35bが形成されている。導入溝35bのキャップ周方向における幅は、後述する第3係合部13のキャップ周方向における幅よりも大きい。導入溝35bは、キャップ周方向に等間隔を空けて複数形成されている。導入溝35bは、外キャップ10を内キャップ30に組み付ける際に、この導入溝35bを通して第3係合部13を周溝32a内に導入するために用いられる。なお、導入溝35bは、第2内側係止部35ではなく、第1内側係止部36に設けられていてもよい。この場合には、内キャップ30を上方から見たときに導入溝35bが見えなくなり、不正開封防止キャップ1の美感を向上させることができる。
図1(a)に示すように、内キャップ30内には、円板状のパッキンPが嵌合されている。内キャップ30が容器本体2の口部2aに螺着されると、口部2aと頂壁31との間でパッキンPが挟まれる。これにより、口部2aがシールされる。
外キャップ10は、内キャップ30に対してキャップ軸O回りに回転可能かつキャップ軸O方向に移動可能に設けられている。外キャップ10のキャップ軸O方向における長さは、内キャップ30のキャップ軸O方向における長さよりも大きい。外キャップ10の内周面には、キャップ径方向内側に向けて突出する第1外側係止部12および第2外側係止部11が形成されている。第1外側係止部12は外キャップ10の下端部に位置しており、第2外側係止部11は外キャップ10の上端部に位置している。第1外側係止部12および第2外側係止部11は、環状に形成されており、内径が互いに等しい。
図3(b)に示すように、外キャップ10は、外キャップ10のキャップ軸O方向における中央部を通る中心軸C回りに180°回転させた際に、その回転前の外キャップ10自身の形状と重なる形状に形成されている。つまり、外キャップ10の天地を逆にした後の形状は、この天地を逆にする前の形状と同様になる。この構成により、外キャップ10を内キャップ30に組み付ける際に、外キャップ10の天地が逆であっても組み付け可能であり、組み付け効率が向上する。
(CR機構)
ここで、本実施形態の内キャップ30には、周溝32a内にキャップ軸O方向に間隔を空けて配置された第1係合部33および第2係合部34が設けられている。また、本実施形態の外キャップ10には、その内周面からキャップ径方向内側に向けて突出する第3係合部13が設けられている。これら第1係合部33、第2係合部34、および第3係合部13は、対象者による収容容器3の開封を許容し、非対象者による収容容器3の開封を防止するCR(チャイルドレジスタンス)機構を構成している。
図1(a)、(b)に示すように、第1係合部33は、周溝32aにおける下端部に、キャップ周方向に等間隔を空けて複数形成されている。各第1係合部33は、キャップ軸O方向に延びる第1垂直面33aと、上方に向かうに従って漸次第1垂直面33a側に向けて延びる第1案内面33bと、を有している。
第2係合部34は、周溝32aにおける上端部に、キャップ周方向に等間隔を空けて複数形成されている。各第2係合部34は、キャップ軸O方向に延びる第2垂直面34aと、下方に向かうに従って漸次第2垂直面34a側に向けて延びる第2案内面34bと、を有している。第1垂直面33aおよび第2垂直面34aは、キャップ周方向において、互いに同等の位置に設けられている。
第3係合部13は、外キャップ10の内周面に、キャップ周方向に等間隔を空けて複数形成されている。図1(b)に示すように、各第3係合部13は、キャップ軸O方向に延びる下側垂直面13aおよび上側垂直面13bと、各垂直面13a、13bの上端部同士を接続する上側テーパ面13cと、各垂直面13a、13bの下端部同士を接続する下側テーパ面13dと、を有している。上側垂直面13bの上端部は、下側垂直面13aの上端部よりも上方に位置しており、上側垂直面13bの下端部は、下側垂直面13aの下端部よりも上方に位置している。上側テーパ面13cおよび下側テーパ面13dは、上方に向かうに従って、漸次下側垂直面13a側から上側垂直面13b側に向けて延びている。第3係合部13は、各面13a〜13dにより、側面視で平行四辺形状を呈している。
外キャップ10は、内キャップ30に対して、第1係合位置と第2係合位置との間で、キャップ軸O方向に移動可能である。ここで第1係合位置とは、第1係合部33および第3係合部13のキャップ軸O方向における位置が互いに同等であり、これらの係合部13、33同士が互いに係合可能な位置である(図1(a)、(b)参照)。第2係合位置とは、第1係合位置よりも外キャップ10が内キャップ30に対して上昇した位置であって、第2係合部34および第3係合部13のキャップ軸O方向における位置が互いに同等であり、これらの係合部13、34同士が互いに係合可能な位置である(図5(a)、(b)参照)。
なお、図1(b)に示すように、外キャップ10が第1係合位置にある場合には、第2係合部34と第3係合部13とがキャップ軸O方向に離間しており、これらの係合部13、34同士は互いに係合しない。また、図5(b)に示すように、外キャップ10が第2係合位置にある場合には、第1係合部33と第3係合部13とがキャップ軸O方向に離間しており、これらの係合部13、33同士は互いに係合しない。
また、第1係合部33と第2係合部34との間のキャップ軸O方向における間隔は、第3係合部13のキャップ軸O方向における長さよりも大きい。このため、外キャップ10が第1係合位置と第2係合位置との間の位置(以下、中間位置という)にある場合、第3係合部13は第1係合部33および第2係合部34のいずれにも係合しない。外キャップ10が中間位置にある場合、内キャップ30の全体が外キャップ10に囲繞される。
図5(a)に示すように、外キャップ10が第2係合位置にある場合、第1外側係止部12は第1内側係止部36に対して上方から当接する。これらの係止部により、外キャップ10は第2係合位置に保持され、例えば自重によって第1位置まで下降してしまうのが抑えられる。
次に、以上のように構成された不正開封防止キャップ1の作用について説明する。
(取付操作)
不正開封防止キャップ1を容器本体2に対して取り付ける場合には、外キャップ10を把持して、内キャップ30を容器本体2の口部2aに対して下方に押し付けながら、外キャップ10を螺着方向に回転させる。このとき、外キャップ10が第2係合位置にある場合には、内キャップ30が口部2aに当接した状態で外キャップ10が下方に押し付けられるため、外キャップ10が内キャップ30に対して下降する。あるいは、後述するように上側テーパ面13cと第2案内面34bとが当接することで、外キャップ10に作用する下方に向けた力によって、外キャップ10が下降する。外キャップ10が下降して、第1外側係止部12が第1内側係止部36を下方に乗り越えると、外キャップ10は第1係合位置まで自重により落下する。外キャップ10が第1係合位置にある状態で、外キャップ10を螺着方向に回転させると、図1(a)、(b)に示すように、下側垂直面13aが第1垂直面33aに当接し、内キャップ30に対する外キャップ10の螺着方向に向けた回転移動が規制される。このように第3係合部13と第1係合部33とが互いに係合することで、外キャップ10から内キャップ30へと螺着方向の回転力が伝達され、この回転力によって内キャップ30が容器本体2に対して回転させられ、内キャップ30が口部2aに螺着される。
なお、外キャップ10が内キャップ30に対して所定量下降すると、第3係合部13が第1内側係止部36の上端面に当接する。これにより外キャップ10の下降が規制されるため、外キャップ10が第1係合位置を超えて下降することが防止される。
(CR機能)
上記の取付操作が行われ、外キャップ10が第1係合位置に位置している場合、外キャップ10を緩み方向に回転させると、図4(a)、(b)に示すように下側テーパ面13dと第1案内面33bとが当接し、第3係合部13が第1係合部33上をせりあがるようにして、第1係合部33を緩み方向に乗り越える。このように、外キャップ10が第1係合位置にある場合、外キャップ10を内キャップ30に対して緩み方向に回転移動させると、第1係合部33と第3係合部13とが互いにすれ違う。つまり、外キャップ10が内キャップ30に対して空転するため、外キャップ10から内キャップ30へと緩み方向の回転力が伝達されず、内キャップ30と口部2aとの螺着が解除されない。従って、非対象者による収容容器3の開封を防止することができる。
なお、外キャップ10が第1係合位置にある状態で、外キャップ10を内キャップ30に対して緩み方向に回転移動させると、第1案内面33bによって、外キャップ10が第1係合位置と第2係合位置との間の中間位置に案内される。中間位置では、第3係合部13が第1係合部33および第2係合部34の双方に係合せず、内キャップ30に回転力が伝達されないため、引き続き非対象者による開封を防止することができる。
(開封操作)
上記のCR機能を解除して収容容器3を開封する場合、先ず外キャップ10を内キャップ30に対して上昇させる。これにより、図5(a)、(b)に示すように、第1外側係止部12が第1内側係止部36を上方に乗り越えるとともに、第2係合部34および第3係合部13のキャップ軸O方向における位置が互いに同等になり、外キャップ10が第2係合位置に位置することとなる。第1外側係止部12が第1内側係止部36を乗り越える際には、外キャップ10がキャップ径方向外側に広がるように弾性変形し、第1外側係止部12が第1内側係止部36を乗り越えると、外キャップ10は復元変形するとともに、第1外側係止部12が第1内側係止部36に対してその上方から当接する。これにより、外キャップ10が自重などによって内キャップ30に対して下降するのが抑えられる。また、第1外側係止部12が第1内側係止部36を乗り越える際にはクリック感が生じる。
なお、外キャップ10が内キャップ30に対して所定量上昇すると、第3係合部13が第2内側係止部35の下端面に当接する。これにより外キャップ10の上昇が規制されるため、外キャップ10が第2係合位置を超えて上昇することが防止される。
外キャップ10が第2係合位置に位置する状態で、外キャップ10を内キャップ30に対して緩み方向に回転させると、図5(b)に示すように、上側垂直面13bが第2垂直面34aに当接し、外キャップ10の内キャップ30に対する緩み方向に向けた回転移動が規制される。このように第2係合部34と第3係合部13とが互いに係合することで、外キャップ10から内キャップ30へと緩み方向の回転力が伝達され、この回転力によって内キャップ30が容器本体2に対して回転させられ、内キャップ30の口部2aへの螺着が解除される。
このように、対象者は、外キャップ10を内キャップ30に対して引き上げてから緩み方向に回転させることで、不正開封防止キャップ1を容器本体2から取り外すことができる。
なお、不正開封防止キャップ1を再び容器本体2に取り付ける際には、図6(a)、(b)に示すように、外キャップ10を内キャップ30に対して螺着方向に回転させる。この操作の開始時には、外キャップ10が第2係合位置に位置しているが、外キャップ10の螺着方向への回転に伴い、上側テーパ面13cと第2案内面34bとが当接し、第3係合部13が第2係合部34に対して摺動する。このように、外キャップ10が第2係合位置にある場合、外キャップ10を内キャップ30に対して螺着方向に回転移動させると、第3係合部13および第2係合部34が互いにすれ違う。このとき、上側テーパ面13cと第2案内面34bとが接触することで外キャップ10に作用する、内キャップ30に対して下降させる力によって、外キャップ10は下降する。これにより、第1外側係止部12が第1内側係止部36を下方に乗り越える。以降、先述の取付操作と同様に、外キャップ10を第1係合位置まで下降させ、第1係合部33および第3係合部13を互いに係合させることで、外キャップ10から内キャップ30へと螺着方向の回転力が伝えられ、不正開封防止キャップ1が容器本体2に再び取り付けられる。
以上説明したように、本実施形態の不正開封防止キャップ1によれば、外キャップ10を内キャップ30に対して上昇させた後に回転させる操作によって対象者による開封を許容しつつ、非対象者による意図しない開封を防止することができる。
また、外キャップ10を内キャップ30に対して上昇させることでCR機能を解除することができるため、例えば外キャップを部分的に摘みながら回転させる場合と比較して、開栓時の操作性を良好にすることができる。また、内キャップ30を容器本体2の口部2aに螺着させる際には、外キャップ10が第1係合位置に位置してCR機能が発揮されるため、例えば対象者が不正開封防止キャップ1を口部2aに取り付けた後、CR機能が発揮される状態にし忘れるのを防ぐことができる。
また、外キャップ10から内キャップ30へと回転力を伝達する各係合部13、33、34が、キャップ径方向における内キャップ30と外キャップ10との間に設けられており、回転中心となるキャップ軸Oとこれら係合部13、33、34との間の距離が大きくなっている。このため、回転力を伝達する際に各係合部13、33、34に作用する力が小さく抑えられ、外キャップ10および内キャップ30の変形が抑えられることで、不正開封防止キャップ1の操作性を良好にすることができる。さらに、各係合部13、33、34がキャップ径方向における内キャップ30と外キャップ10との間に設けられているため、例えばこれらの係合部が頂壁31の上部などに設けられている場合と比較して、不正開封防止キャップ1全体のキャップ軸O方向におけるかさ張りを抑えることができる。
また、このようなCR機構が、内キャップ30および外キャップ10の2部品によって実現されているため、不正開封防止キャップ1の製造コストを抑えることができる。
また、外キャップ10および内キャップ30にそれぞれ形成された係止部12、36により、外キャップ10が第2係合位置で保持される。このため、例えば外キャップ10の自重などによって外キャップ10が不意に第2係合位置から第1係合位置まで下降してしまうのを抑えることができる。さらに、対象者が外キャップ10を第2係合位置まで引き上げると、第1外側係止部12が第1内側係止部36を乗り越える際のクリック感が生じるため、対象者に外キャップ10が第2係合位置に到達したことを認識させ、操作性をより向上させることができる。
また、外キャップ10の内キャップ30に対する所定量以上の上下動が、第1内側係止部36および第2内側係止部35によって規制されるため、対象者が外キャップ10を上下動させる操作を行った際に、外キャップ10が内キャップ30から不意に離脱してしまうのを抑えることができる。さらに、第1係合部33が第1内側係止部36の上端面に形成され、第2係合部34が第2内側係止部35の下端面に形成されているため、これらの係止部35、36と第3係合部13とが当接して外キャップ10の上下動が規制された状態で、第1係合部33および第3係合部13、若しくは第2係合部34および第3係合部13を互いに係合させることができる。この構成により、例えば外キャップ10から内キャップ30へと回転力を伝達する際に、第1係合部33若しくは第2係合部34と第3係合部13とのキャップ軸O方向における位置が変化してしまい、係合が不意に解除されることを抑止することができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、第3係合部13が外キャップ10に設けられ、第1係合部33および第2係合部34が内キャップ30に設けられていたが、この関係は逆であってもよい。すなわち、外キャップ10の内周面に周溝が設けられ、この周溝の内側に第1係合部および第2係合部が形成され、内キャップ30の螺着筒部32の外周面に第3係合部が設けられていてもよい。この場合であっても、前記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、図示の例では内キャップ30を上方から見て時計回りに回転させる方向が螺着方向であり、その反対方向が緩み方向であったが、この関係は逆であってもよい。この場合、各係合部33、34に設けられている垂直面および案内面の位置を、図示の例に対して入れ替えることで、上記した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、前記実施形態では、第1係合部33および第2係合部34が、側面視で三角形状に形成され、第3係合部13が側面視で平行四辺形状に形成されていたが、各係合部13、33、34の形状はこれに限られない。例えば第3係合部13は、側面視で円形状などであってもよく、第1係合部33および第2係合部34の各案内面33b、34bは、曲面形状などであってもよい。
また、前記実施形態では、外キャップ10に係止部11、12が設けられ、内キャップ30に係止部35、36が設けられていたが、これらの係止部は設けられていなくてもよい。また、外キャップ10若しくは内キャップ30の一方に係止部を形成し、他方に凹部を形成し、この凹部に係止部を進入させることで、外キャップ10を第2係合位置に保持してもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
1…不正開封防止キャップ 2…容器本体 2a…口部 3…収容容器 10…外キャップ 11…第2外側係止部(係止部) 12…第1外側係止部(係止部) 13…第3係合部 30…内キャップ 32a…周溝 33…第1係合部 33b…第1案内面(案内面) 34…第2係合部 35…第2内側係止部(係止部) 36…第1内側係止部(係止部)

Claims (3)

  1. 容器本体の口部に螺着される有頂筒状の内キャップと、
    前記内キャップに対してキャップ軸回りに回転可能に設けられた外キャップと、を備え、
    前記内キャップの外周面および前記外キャップの内周面のうちのいずれか一方には、キャップ軸回りに沿うキャップ周方向に延びる周溝と、該周溝内にキャップ軸方向に間隔を空けて配置された第1係合部および第2係合部と、が設けられ、
    前記内キャップの外周面および前記外キャップの内周面のうちのいずれか他方には、前記周溝内に位置する第3係合部が設けられ、
    前記外キャップは、
    前記第3係合部と前記第2係合部とがキャップ軸方向に離間し、かつ前記第3係合部と前記第1係合部とが互いに係合可能な第1係合位置と、
    前記第1係合位置よりも前記内キャップに対して上昇した第2係合位置であって、前記第3係合部と前記第1係合部とがキャップ軸方向に離間し、かつ前記第3係合部と前記第2係合部とが互いに係合可能な第2係合位置と、
    の間をキャップ軸方向に移動可能に配設され、
    前記外キャップが前記第2係合位置に位置したときに、前記第3係合部および前記第2係合部は、キャップ軸回りに沿うキャップ周方向のうち、前記内キャップが前記口部に対して緩む緩み方向に向けた、前記内キャップに対する前記外キャップの回転移動時に互いに係合し、かつ前記緩み方向の逆方向に向けた回転移動時に互いにすれ違い、
    前記外キャップが前記第1係合位置に位置したときに、前記第3係合部および前記第1係合部は、前記緩み方向の逆方向に向けた、前記内キャップに対する前記外キャップの回転移動時に互いに係合し、かつ前記緩み方向に向けた回転移動時に互いにすれ違うことを特徴とする、不正開封防止キャップ。
  2. 前記外キャップ若しくは前記内キャップには、前記外キャップを前記第2係合位置に保持する係止部が設けられている、請求項1に記載の不正開封防止キャップ。
  3. 前記第1係合部には、前記緩み方向に向けた前記外キャップの前記内キャップに対する回転移動時に、前記第3係合部をキャップ軸方向における前記第1係合部と前記第2係合部との間の位置に案内する案内面が形成されている、請求項1または2に記載の不正開封防止キャップ。
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