JP2019010910A - 車両用外装パネル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】強化繊維で補強された樹脂製の車両用外装パネルの意匠性と強度を両立させる。【解決手段】車両用外装パネルとしてのバックドア1において、樹脂製のインナパネル部材5及びアウタパネル部材7の少なくとも一方の裏面に、強化繊維を含む補強部13を部分的に、かつパネル本体11,31よりも凸状に膨出するように形成する。また、両パネル部材5,7の製造時には、金型43の成形面51に凹部53を形成し、その凹部53内に、補強部13を形成する強化繊維材料47を収容配置して強化繊維材料47及びSMC材料45を同時に熱圧成形して、インナパネル部材5及びアウタパネル部材7を作製する。【選択図】図4
Description
本発明は、インナパネル部材とアウタパネル部材とが一体的に貼り合わされて形成された車両用外装パネルとその製造方法に関するものである。
この種の車両用外装パネルとして、従来、例えば特許文献1には、車両のバックドアに用いられる車両用外装パネルが開示されている。この車両用外装パネルは、例えばSMC(シート・モールディング・コンパウンド)材料を用いた熱圧成形によって成形されたものである。SMC材料は、強度と意匠性に優れており、SMC材料を用いることで車両用外装パネルを薄肉化(軽量化)することができる。
ところで、特許文献1のような樹脂材料からなる車両用外装パネルを、強度を確保しながらさらに薄肉化(軽量化)するには、強化繊維を含む補強部でパネル部材全面を補強すればよい。そして、そのような車両用外装パネルを構成するパネル部材を成形するには、樹脂材料の下に補強部を形成する強化繊維材料を敷いた状態で、樹脂材料と強化繊維材料とを同時に熱圧成形することが考えられる。
しかし、その場合、強化繊維材料上では、強化繊維の凹凸により樹脂材料の流動性が悪くなり、樹脂材料中に気泡が存在している場合、気泡が熱圧成形後もパネル部材の中に残ってしまう。また、樹脂材料の肉厚を例えば1.8mm以下にまで薄く成形すると、樹脂材料における強化繊維材料と接する面の裏面にまで強化繊維の凹凸が反映されてしまう。このため、パネル部材の意匠性が悪くなってしまう問題が生じる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両用外装パネルの構造及びその製造方法に工夫を加えることで、強化繊維で補強された樹脂製の車両用外装パネルの意匠性と強度を両立させることにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、パネル部材に部分的に強化繊維を含む補強部を設けることとした。
具体的には、第1の発明は、樹脂製のインナパネル部材と樹脂製のアウタパネル部材とがそれぞれの裏面同士で一体的に貼り合わされて形成された車両用外装パネルであって、上記インナパネル部材はインナパネル本体を、アウタパネル部材はアウタパネル本体をそれぞれ備えており、上記インナパネル本体及びアウタパネル本体の少なくとも一方の裏面には、強化繊維を含む補強部が形成され、上記補強部は、上記パネル部材の裏面に部分的に、かつ上記パネル本体よりも凸状に膨出するように形成されていることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、上記補強部は、上記パネル部材の外周縁に形成されていることを特徴とする。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記パネル部材には開口が設けられており、上記補強部は、上記パネル部材の上記開口の周縁部に形成されていることを特徴とする。
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれか1つにおいて、上記補強部は、上記インナパネル部材及びアウタパネル部材の両方に形成されていることを特徴とする。
第5の発明は、第1〜第4の発明のいずれか1つの車両用外装パネルの製造方法であって、内部の成形面に凹部が形成された金型の該凹部内に、上記補強部を形成する強化繊維材料を配置する強化繊維材料配置工程と、上記金型内の成形面に、上記パネル本体を形成するSMC材料を配置するSMC材料配置工程と、上記強化繊維材料及びSMC材料を同時に熱圧成形して、上記インナパネル部材及びアウタパネル部材の少なくとも一方を作製する成形工程と、上記インナパネル部材と上記アウタパネル部材とをそれぞれの裏面同士で一体的に貼り合わせる貼付工程とを備えることを特徴とする。
第6の発明は、第5の発明において、上記SMC材料配置工程において、上記SMC材料は上記強化繊維材料の端部を覆うように上記金型内の成形面に配置することを特徴とする。
第7の発明は、第5又は第6の発明において、上記強化繊維材料配置工程で上記凹部内に配置された上記強化繊維材料を真空引きによって上記金型に密着させることを特徴とする。
第1の発明によれば、補強部が部分的に形成されている。このため、成形時において、パネル部材を形成する樹脂材料の流動性が悪くなる箇所も部分的になる。また、補強部はパネル部材の裏面に形成されている。このため、補強部は、車両用外装パネルの外部から目視されない。したがって、パネル本体を薄肉化して補強部を設けたことによる車両用外装パネルの意匠性の低下を抑えることができる。また、パネル部材の貼り合わせの際に、補強部を接着剤が設けられる箇所の目印とすることもできる。さらに、補強部は、パネル本体よりも凸状に膨出するように形成されている。このため、パネル部材を組み立てる際に、作業者の手が補強部に引っ掛かるので、作業者が扱い易くなり作業性が向上する。また強度が高いので作業者が掴んだ部分の割れ等の損傷を防止することができる。
第2の発明によれば、パネル部材の外周縁が補強されることで車両用外装パネルのねじり剛性を向上させることができる。さらに、パネル部材の組立の際には、作業者はパネル部材の外周縁を掴むことが多い。よって組立時の作業性及び強度をさらに高めることができる。
第3の発明によれば、パネル部材の組立の際には、作業者はパネル部材の開口の周縁部を掴むことが多い。よって組立時の作業性及び強度をさらに高めることができる。
第4の発明によれば、車両用外装パネルの強度をさらに高めることができる。
第5の発明によれば、強化繊維材料が凹部内に配置されるので、成形工程時に、流動するSMC材料によって強化繊維材料が成形面上で移動して位置ずれすることを防止することができる。したがって、強度が要求される部分に確実に補強を行うことができる。また、補強部の凸形状を容易に成形することができ、貼付工程での作業が容易になる。
第6の発明によれば、成形工程時に、金型によって加圧されたSMC材料が流動中に、強化繊維材料を端部からめくる不具合が生じるのを防止することができる。
第7の発明によれば、成形工程時に、強化繊維材料が金型に密着することで、SMC材料にめくられることをさらに確実に防止することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
なお、以下の実施形態では、説明の便宜上、車両前後方向における前側を「前」、後側を「後」と称し、車両前方を向いて車幅方向における左側を「左」、右側を「右」と称し、車高方向における上側を「上」、下側を「下」と称する。
−バックドアの構成−
〈概略構成〉
図1に示す車両用外装パネルとしてのバックドア1は、自動車3の車体の後端に設けられた上下開閉式のバックドアである。バックドア1は、上下方向に開閉可能に上端部でヒンジ(図示せず)によって車体に連結されている。これにより、バックドア1がヒンジを支点に上下方向に揺動して車体の開口を開閉するようになっている。また、車体後端の左右両側部には、棒状のスプリング内蔵ダンパー(図示せず)の一端が取り付けられ、該ダンパーの他端は、バックドア1のインナパネル部材5の車幅方向両側端縁に連結されており、バックドア1はダンパーによって付勢されながら開閉するようになっている。
〈概略構成〉
図1に示す車両用外装パネルとしてのバックドア1は、自動車3の車体の後端に設けられた上下開閉式のバックドアである。バックドア1は、上下方向に開閉可能に上端部でヒンジ(図示せず)によって車体に連結されている。これにより、バックドア1がヒンジを支点に上下方向に揺動して車体の開口を開閉するようになっている。また、車体後端の左右両側部には、棒状のスプリング内蔵ダンパー(図示せず)の一端が取り付けられ、該ダンパーの他端は、バックドア1のインナパネル部材5の車幅方向両側端縁に連結されており、バックドア1はダンパーによって付勢されながら開閉するようになっている。
図2に示すように、このバックドア1は、車内側(前側)に位置するインナパネル部材5と、車外側(後側)に位置するアウタパネル部材7と窓パネル9とを備える。これらのインナパネル部材5とアウタパネル部材7とは、それぞれの裏面同士で一体的に貼り合わされている。また、窓パネル9は、アウタパネル部材7に取り付けられている。
〈インナパネル部材〉
インナパネル部材5は、樹脂製のパネルである。インナパネル部材5は、インナパネル本体11を備えている。インナパネル本体11は、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂の主材料にガラス繊維、カーボン繊維、有機繊維等の強化繊維が混入されているものである。また、インナパネル本体11の肉厚は1.4mm以上1.8mm以下であるのが好ましい。
インナパネル部材5は、樹脂製のパネルである。インナパネル部材5は、インナパネル本体11を備えている。インナパネル本体11は、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂の主材料にガラス繊維、カーボン繊維、有機繊維等の強化繊維が混入されているものである。また、インナパネル本体11の肉厚は1.4mm以上1.8mm以下であるのが好ましい。
図2及び図3に示すように、インナパネル本体11の上部には、車幅方向に延びる略矩形状の窓用開口15が形成されている。インナパネル本体11のうち窓用開口15の周縁部には、後方に向いて起立した立ち壁17と、この立ち壁17の後端から窓用開口15の内方へ突出した接合片19とが設けられている。インナパネル本体11の下部には、車幅方向に延びる略矩形状の作業用開口21が形成されている。インナパネル本体11のうち作業用開口21の周縁部には、後方に向いて起立した立ち壁23と、この立ち壁23の後端から作業用開口21の内方へ突出した接合片25とが設けられている。さらに、インナパネル本体11の外周縁部には、後方に向いて起立した立ち壁27と、この立ち壁27の後端から外側方へ突出した接合片29とが設けられている。
このように、インナパネル本体11は、窓用開口15及び作業用開口21の各々の周りの内周縁部と外周縁部とが後方に起立することで、全体が凹形状とされている。
図3に示すように、インナパネル本体11の裏面(後側の面)には複数の補強部13,13,…が部分的に形成されている。これら補強部13,13,…は、インナパネル本体11の外周縁に位置する上記接合片29の全体と、窓用開口15の立ち壁17の周囲の凹んだ部分のうち、窓用開口15の左右両側から上側部分の左右両端部に亘る部分に対応する箇所とに形成されている。補強部13は、インナパネル本体11よりも後方側に凸状に膨出するようにインナパネル本体11と一体に形成されている。そして、補強部13は、例えばガラス繊維、炭素繊維、セルロース繊維、ケブラー繊維などの各種強化繊維からなる不織布や織布で構成されている。
〈アウタパネル部材〉
アウタパネル部材7は、樹脂製のパネルである。アウタパネル部材7は、アウタパネル本体31を備えている。アウタパネル本体31は、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の主材料にガラス繊維、カーボン繊維、有機繊維等の補強繊維材が混入されている。また、アウタパネル本体31の肉厚は1.2mm以上1.6mm以下であるのが好ましい。
アウタパネル部材7は、樹脂製のパネルである。アウタパネル部材7は、アウタパネル本体31を備えている。アウタパネル本体31は、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の主材料にガラス繊維、カーボン繊維、有機繊維等の補強繊維材が混入されている。また、アウタパネル本体31の肉厚は1.2mm以上1.6mm以下であるのが好ましい。
図2及び図4に示すように、アウタパネル本体31の上部には、車幅方向に延びる略矩形状の窓用開口33が形成されている。アウタパネル本体31の窓用開口33は、インナパネル部材5の窓用開口15に対応するように形成されている。
図4に示すように、アウタパネル本体31の裏面(前側の面)には複数の補強部13,13,…が部分的に形成されている。これらの補強部13,13,…は、アウタパネル本体31の外周縁全体と、窓用開口33の周縁部全体と、アウタパネル本体31下部における左右両側部分とに形成されている。補強部13は、インナパネル本体11よりも前方側に凸状に膨出するようにアウタパネル本体31と一体に形成されている。また、補強部13は、例えばガラス繊維、炭素繊維、セルロース繊維、ケブラー繊維などの各種強化繊維からなる不織布や織布で構成されている。
〈窓パネル〉
窓パネル9は、図1及び図2に示すように、バックドア1の左右両端に亘って車幅方向に延びる横長パネルである。窓パネル9は、アウタパネル部材7に後側から貼り付けられて、アウタパネル部材7及びインナパネル部材5の窓用開口15,33を気密状に塞いでいる。この窓パネル9は、樹脂製又はガラス製の透明な本体パネル35と、この本体パネル35の外周部分の車内側の面に外周に亘って設けられた黒色のセラミックス等からなる隠蔽層37とを備える。
窓パネル9は、図1及び図2に示すように、バックドア1の左右両端に亘って車幅方向に延びる横長パネルである。窓パネル9は、アウタパネル部材7に後側から貼り付けられて、アウタパネル部材7及びインナパネル部材5の窓用開口15,33を気密状に塞いでいる。この窓パネル9は、樹脂製又はガラス製の透明な本体パネル35と、この本体パネル35の外周部分の車内側の面に外周に亘って設けられた黒色のセラミックス等からなる隠蔽層37とを備える。
−バックドアの製造方法−
以下に、上記構成の車両用外装パネルとしてのバックドア1を製造する方法での手順を図5〜図7により説明する。この製造方法は、配置工程、成形工程及び貼付工程を有する。
以下に、上記構成の車両用外装パネルとしてのバックドア1を製造する方法での手順を図5〜図7により説明する。この製造方法は、配置工程、成形工程及び貼付工程を有する。
このバックドア1のインナパネル部材5及びアウタパネル部材7の成形には、キャビティ型41及びコア型43を備えたプレス金型40を用いる。パネル部材5,7のパネル本体11,31を形成する材料は、SMC材料45である。本実施形態のSMC材料45は、例えば不飽和ポリエステル樹脂の主材料にガラス繊維、カーボン繊維、有機繊維等の強化繊維を混入させて板状に加工したものである。また、パネル部材5,7の補強部13を形成する材料は、強化繊維材料としてのFRPプリプレグ47である。FRPプリプレグ47は、例えばガラス繊維のような強化繊維からなる不織布や織布に不飽和ポリエステルのような熱硬化性樹脂を含浸させてシート状に加工したものである。
〈金型の構成〉
上記キャビティ型41は、その内部に水平方向に延びる成形面49を有している。この成形面49は、上記パネル部材5,7の表面及び端面を成形するものである。また、図5に示すように、上記コア型43は、その内部にパネル部材5,7の裏面を成形する成形面51を有する。この成形面51には、部分的に凹部53が形成されている。この凹部53は、FRPプリプレグ47を配置収容するための部分である。また、凹部53は、その深さがFRPプリプレグ47の肉厚と略同一になるように形成されている。インナパネル部材5の金型では、凹部53は、コア型43の成形面51における、インナパネル本体11の外周縁の接合片29全体を形成する部分と、窓用開口15の立ち壁17の周囲の凹んだ部分を形成する部分のうち、窓用開口15の左右両側から上側部分の左右両端部に亘る部分に対応する箇所を形成する部分とに設けられている。また、アウタパネル部材7の金型では、凹部53は、アウタパネル本体31の外周縁全体を形成する部分と、窓用開口33の周縁部全体を形成する部分と、アウタパネル本体31下部における左右両側を形成する部分とに設けられている。また、各凹部53の底面の端部には例えば2カ所の吸引孔55が開口されている。この吸引孔55は、コア型43を貫通して図外の負圧吸引装置に連通しており、凹部53内に配置されたFRPプリプレグ47を負圧によって吸引してコア型43に密着させるようになっている。
上記キャビティ型41は、その内部に水平方向に延びる成形面49を有している。この成形面49は、上記パネル部材5,7の表面及び端面を成形するものである。また、図5に示すように、上記コア型43は、その内部にパネル部材5,7の裏面を成形する成形面51を有する。この成形面51には、部分的に凹部53が形成されている。この凹部53は、FRPプリプレグ47を配置収容するための部分である。また、凹部53は、その深さがFRPプリプレグ47の肉厚と略同一になるように形成されている。インナパネル部材5の金型では、凹部53は、コア型43の成形面51における、インナパネル本体11の外周縁の接合片29全体を形成する部分と、窓用開口15の立ち壁17の周囲の凹んだ部分を形成する部分のうち、窓用開口15の左右両側から上側部分の左右両端部に亘る部分に対応する箇所を形成する部分とに設けられている。また、アウタパネル部材7の金型では、凹部53は、アウタパネル本体31の外周縁全体を形成する部分と、窓用開口33の周縁部全体を形成する部分と、アウタパネル本体31下部における左右両側を形成する部分とに設けられている。また、各凹部53の底面の端部には例えば2カ所の吸引孔55が開口されている。この吸引孔55は、コア型43を貫通して図外の負圧吸引装置に連通しており、凹部53内に配置されたFRPプリプレグ47を負圧によって吸引してコア型43に密着させるようになっている。
〈配置工程〉
図6に示すように、配置工程は、強化繊維材料配置工程と、SMC材料配置工程とを備える。
図6に示すように、配置工程は、強化繊維材料配置工程と、SMC材料配置工程とを備える。
まず、強化繊維材料配置工程では、コア型43の成形面51に形成された凹部53内にFRPプリプレグ47を載置して収容する。このとき、凹部53の形状に合わせて、FRPプリプレグ47に切り込みや折目を形成することができる。その後のSMC材料配置工程で、SMC材料45をコア型43の成形面51に、SMC材料45の端部がFRPプリプレグ47の端部を覆うように載置する。図6では、2枚のSMC材料45を重ねて載置しているが、SMC材料45を重ねる枚数は成形する箇所によって適宜変更可能である。
〈成形工程〉
次に、図7に示すように、成形工程では、上記FRPプリプレグ47及びSMC材料45がコア型43の成形面51に配置された状態で上記キャビティ型41を下降させて、FRPプリプレグ47及びSMC材料45を同時に熱圧成形する。このとき、FRPプリプレグ47及びSMC材料45に含まれる不飽和ポリエステルは流動するので、これらの不飽和ポリエステルは混ざり合う。また、成形工程中は、上記吸引孔55から吸引を行うことでFRPプリプレグ47をコア型43(凹部53内)に密着させる。このようにして上記インナパネル部材5及びアウタパネル部材7をそれぞれ作製する。
次に、図7に示すように、成形工程では、上記FRPプリプレグ47及びSMC材料45がコア型43の成形面51に配置された状態で上記キャビティ型41を下降させて、FRPプリプレグ47及びSMC材料45を同時に熱圧成形する。このとき、FRPプリプレグ47及びSMC材料45に含まれる不飽和ポリエステルは流動するので、これらの不飽和ポリエステルは混ざり合う。また、成形工程中は、上記吸引孔55から吸引を行うことでFRPプリプレグ47をコア型43(凹部53内)に密着させる。このようにして上記インナパネル部材5及びアウタパネル部材7をそれぞれ作製する。
〈貼付工程〉
このようにして、上記成形工程で作製されたインナパネル部材5とアウタパネル部材7とをそれぞれの裏面同士で接着剤等により一体的に貼り合わせる。そして、アウタパネル部材7の窓用開口33の周縁部に、上記窓パネル9を接着により貼り付ける。このようにして、本実施形態の車両用外装パネルとしてのバックドア1を製造する。
このようにして、上記成形工程で作製されたインナパネル部材5とアウタパネル部材7とをそれぞれの裏面同士で接着剤等により一体的に貼り合わせる。そして、アウタパネル部材7の窓用開口33の周縁部に、上記窓パネル9を接着により貼り付ける。このようにして、本実施形態の車両用外装パネルとしてのバックドア1を製造する。
−実施形態の効果−
したがって、本実施形態によれば、バックドア1におけるインナパネル部材5とアウタパネル部材7とは、いずれも各々のパネル本体11,31に強化繊維からなる補強部13が部分的に形成されている。このため、上述した成形時において、パネル部材5,7のパネル本体11,31を形成するSMC材料45の流動性が悪くなる箇所も部分的になる。その分、熱圧成形後もパネル部材5,7の中に残る気泡が低減される。また、インナパネル本体11の肉厚を1.4mm以上1.8mm以下、アウタパネル本体31の肉厚を1.2mm以上1.6mm以下にまで薄くしても、表面のうち補強部13の強化繊維の凹凸が反映される箇所も部分的になる。このことにより、パネル部材5,7の意匠性の低下を抑えることができる。
したがって、本実施形態によれば、バックドア1におけるインナパネル部材5とアウタパネル部材7とは、いずれも各々のパネル本体11,31に強化繊維からなる補強部13が部分的に形成されている。このため、上述した成形時において、パネル部材5,7のパネル本体11,31を形成するSMC材料45の流動性が悪くなる箇所も部分的になる。その分、熱圧成形後もパネル部材5,7の中に残る気泡が低減される。また、インナパネル本体11の肉厚を1.4mm以上1.8mm以下、アウタパネル本体31の肉厚を1.2mm以上1.6mm以下にまで薄くしても、表面のうち補強部13の強化繊維の凹凸が反映される箇所も部分的になる。このことにより、パネル部材5,7の意匠性の低下を抑えることができる。
また、補強部13はパネル部材5,7の裏面に形成されている。このため、補強部13は、バックドア1の外部から目視されない。したがって、補強部13を設けたことによるバックドア1の意匠性の低下を抑えることができる。
また、パネル部材5,7の外周縁が補強部13によって補強されることでバックドア1のねじり剛性を向上させることができる。したがって、強度が要求される部分に部分的に補強を行うことができる。
さらに、アウタパネル部材7及びインナパネル部材5の両方に補強部13を設けるので、バックドア1の強度をさらに高めることができる。
また、バックドア1を製造する際において、FRPプリプレグ47がコア型43の成形面51の凹部53内に載置される。このため、成形工程時に、FRPプリプレグ47が、流動するSMC材料45によって成形面51上で押されて移動し位置ずれすることを防止することができる。したがって、パネル部材5,7の補強を行いたい部分に確実に補強部13を形成することができる。また、補強部13の凸形状を容易に成形することができる。
さらに、バックドア1の製造時にSMC材料45は、FRPプリプレグ47の端部を覆うようにコア型43の成形面51に載置されて、そのFRPプリプレグ47の端部を押さえ込んでいると共に、そのFRPプリプレグ47自体も真空引きによってコア型43に密着している。このため、成形工程時に、流動するSMC材料45がFRPプリプレグ47の端部を押圧しても、そのFRPプリプレグ47が端部からめくれ上がって変形等することを防止して、正常な形状の補強部13を形成することができる。
また、補強部13はパネル本体11,31から凸状に膨出するように設けられていて、パネル部材5,7の裏側から目視可能である。このため、貼付工程でのパネル部材5,7の貼り合わせの際に、その補強部13に接着剤を設ければよく、補強部13を、接着剤を設ける箇所の目印とすることもできる。さらに、貼付工程等で作業者がパネル部材5,7を取り扱うときに、作業者はパネル部材5,7の外周縁や開口の周縁部を掴むことが多い。それらの作業者の掴む位置に補強部13が設けられているので、作業者の手が補強部13に引っ掛かり易くなり、作業者がパネル部材5,7を扱い易くなって作業性が向上する。また、作業者が掴んだ部分に誤って割れ等の損傷が生じるのを防止することができる。
また、インナパネル部材5の窓用開口15の立ち壁17の周囲の凹んだ部分のうち、窓用開口15の左右両側から上側部分の左右両端部に亘る部分に対応する箇所は、上記ダンパーからの力が掛かるため、強度が求められている部分である。また、アウタパネル本体31下部における左右両側は、車両が追突される場合に備えるために強度が求められている。そして、本実施形態では、これらの強度が求められる部位に確実に補強部13を形成することができる。したがって、車両用外装パネルにおける強度が求められる部分を補強することができる。
(その他の実施形態)
上記実施形態のアウタパネル部材7は一枚物のパネルであるが、本発明はこれに限定されない。例えばアウタパネル部材7は、上側に位置するアッパアウタパネル部材及び下側に位置するロアアウタパネル部材の2枚のパネルから構成されるようにしてもよい。
上記実施形態のアウタパネル部材7は一枚物のパネルであるが、本発明はこれに限定されない。例えばアウタパネル部材7は、上側に位置するアッパアウタパネル部材及び下側に位置するロアアウタパネル部材の2枚のパネルから構成されるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、インナパネル本体11の肉厚を1.4mm以上1.8mm以下とし、アウタパネル本体31の肉厚を1.2mm以上1.6mm以下としていたが、本発明のパネル本体11,13の肉厚はこれに限定されない。
また、上記実施形態では、補強部13は、パネル部材5,7裏面の外周縁全体に設けられていたが、本発明はこれに限定されない。パネル部材5,7裏面の外周縁に断続的に設けてもよいし、上述した箇所以外に設けてもよい。また、アウタパネル部材又はインナパネル部材のどちらか一方に設けてもよい。要は、補強部13は、パネル部材5,7の少なくとも一方の裏面に部分的に設けられていればよい。
また、上記実施形態では、凹部53の深さは、FRPプリプレグ47の肉厚と等しくなるようにしていたが、本発明はこれに限定されない。凹部53は、FRPプリプレグ47の肉厚よりも深くてもよい。このことにより、成形時にFRPプリプレグ47がSMC材料45にめくられることがより抑制される。さらに、補強部13におけるパネル部材5、7の板厚が厚くなり、パネル部材5、7の強度をより高めることができる。
また、上記実施形態では、車両用外装パネルとしてのバックドアについて説明したが、本発明はこれに限定されない。車両用外装パネルとしては、バックドアの他に例えばサイドドア、ボンネット、ルーフ、フェンダー等が挙げられる。
本発明では、意匠性と強度に優れた車両用外装パネルが得られて有用である。
1 バックドア(車両用外装パネル)
5 インナパネル部材
7 アウタパネル部材
11 インナパネル本体
13 補強部
15 窓用開口(開口)
31 アウタパネル本体
33 窓用開口(開口)
40 プレス金型
43 コア型
45 SMC材料
47 強化繊維材料
51 成形面
53 凹部
5 インナパネル部材
7 アウタパネル部材
11 インナパネル本体
13 補強部
15 窓用開口(開口)
31 アウタパネル本体
33 窓用開口(開口)
40 プレス金型
43 コア型
45 SMC材料
47 強化繊維材料
51 成形面
53 凹部
Claims (7)
- 樹脂製のインナパネル部材(5)と樹脂製のアウタパネル部材(7)とがそれぞれの裏面同士で一体的に貼り合わされて形成された車両用外装パネルであって、
上記インナパネル部材(5)はインナパネル本体(11)を、アウタパネル部材(7)はアウタパネル本体(31)をそれぞれ備えており、
上記インナパネル本体(11)及びアウタパネル本体(31)の少なくとも一方の裏面には、強化繊維を含む補強部(13)が形成され、
上記補強部(13)は、上記パネル部材(5,7)の裏面に部分的に、かつ上記パネル本体(11,31)よりも凸状に膨出するように形成されていることを特徴とする車両用外装パネル。 - 請求項1に記載の車両用外装パネルにおいて、
上記補強部(13)は、上記パネル部材(5,7)の外周縁に形成されていることを特徴とする車両用外装パネル。 - 請求項1又は2に記載の車両用外装パネルにおいて、
上記パネル部材(5,7)には開口(15,33)が設けられており、
上記補強部(13)は、上記パネル部材(5,7)の上記開口(15,33)の周縁部に形成されていることを特徴とする車両用外装パネル。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用外装パネルにおいて、
上記補強部(13)は、上記インナパネル部材(5)及びアウタパネル部材(7)の両方に形成されていることを特徴とする車両用外装パネル。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用外装パネルの製造方法であって、
内部の成形面(51)に凹部(53)が形成された金型(43)の該凹部(53)内に、上記補強部(13)を形成する強化繊維材料(47)を配置する強化繊維材料配置工程と、
上記金型(43)内の成形面(51)に、上記パネル本体(11,31)を形成するSMC材料(45)を配置するSMC材料配置工程と、
上記強化繊維材料(47)及びSMC材料(45)を同時に熱圧成形して、上記インナパネル部材(5)及びアウタパネル部材(7)の少なくとも一方を作製する成形工程と、
上記インナパネル部材(5)と上記アウタパネル部材(7)とをそれぞれの裏面同士で一体的に貼り合わせる貼付工程とを備えることを特徴とする車両用外装パネルの製造方法。 - 請求項5に記載の車両用外装パネルの製造方法において、
上記SMC材料配置工程において、上記SMC材料(45)は上記強化繊維材料(47)の端部を覆うように上記金型(43)内の成形面(51)に配置することを特徴とする車両用外装パネルの製造方法。 - 請求項5又は6に記載の車両用外装パネルの製造方法において、
上記強化繊維材料配置工程で上記凹部(53)内に配置された上記強化繊維材料(47)を真空引きによって上記金型(43)に密着させることを特徴とする車両用外装パネルの製造方法。
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JP2017127162A JP2019010910A (ja) | 2017-06-29 | 2017-06-29 | 車両用外装パネル及びその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110091924A (zh) * | 2019-04-23 | 2019-08-06 | 河北立格新材料科技股份有限公司 | 一种由热固性与热塑性复合材料制备车顶的方法 |
JP2019151325A (ja) * | 2018-03-05 | 2019-09-12 | 三井化学株式会社 | 車両用樹脂製バックドア |
WO2020152819A1 (ja) * | 2019-01-24 | 2020-07-30 | 三井化学株式会社 | 車両用樹脂製バックドア |
-
2017
- 2017-06-29 JP JP2017127162A patent/JP2019010910A/ja active Pending
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JP7270415B2 (ja) | 2018-03-05 | 2023-05-10 | 三井化学株式会社 | 車両用樹脂製バックドア |
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