JP2019010675A - 板部材の接合方法 - Google Patents

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【課題】凸部の頭部を尖塔形とすることで、凸部を板厚方向に圧縮させてかしめるカシメ工程のときに凸部が面方向に広がり、様々な材質の板部材同士を確実にかしめる。【解決手段】第1板部材10の一部を突出させることで中空の凸部11を設ける成形工程と、第2板部材20に前記凸部11が貫通する孔21を設ける孔開け工程と、前記孔21に前記凸部11を貫通させて前記第1板部材10と前記第2板部材10とを積層させる積層工程と、前記凸部11を前記第1板部材10の板厚方向に圧縮させてかしめるカシメ工程と、を含む接合方法において、前記凸部11が前記第1板部材10の面より立設される円筒部12と、前記円筒部12の端部を塞ぐ尖塔形の頭部14とになるように前記成形工程を行なう。【選択図】図6

Description

本発明は、板部材同士を積層させて接合する板部材の接合方法に関する。
従来、接合強度を向上させる等の目的で、特開2016−144817号公報に、第1部材と、貫通穴が設けられた第2部材とを準備し、第1形セットを用い、前記第1部材を弾性的に押さえつつ部分的に膨出させて、前記貫通穴に挿通可能な最終形状における第2の径よりも大きい第1の径を有する突起を前記第1部材に形成し、第2金型セットを用い、前記突起を前記第1の径から前記第2の径に縮径するように成形し、第3金型セットを用い、前記突起が前記貫通穴に挿通されるように前記第1部材と前記第2部材を重ねた状態で前記突起を潰して前記第1部材と前記第2部材をかしめる、部材の接合方法が開示されている。
特開2016−144817号公報
しかし、特許文献1に開示されている技術によって形成された突起では、突起を潰してかしめるときに、材料が変更される等の材質の変化によって座屈の方向が変わる等して上手く潰れず、例えば、板厚方向のみに座屈して面方向に広がらずに潰れ、かしめることができなくなるということが考えられる。
また、上記文献には、突起を形成する際に、段付きパンチを使用する旨が開示されているものの、この段付きパンチは、材料の割れ防止のために設けられているものであり、突起の形状について特に開示されている訳ではない。
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、凸部の頭部を尖塔形とすることで、凸部を板厚方向に圧縮させてかしめるカシメ工程のときに凸部が面方向に広がり、様々な材質の板部材同士を確実にかしめることができる板部材の接合方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の板部材の接合方法は、
第1板部材の一部を突出させることで中空の凸部を設ける成形工程と、
第2板部材に前記凸部が貫通する孔を設ける孔開け工程と、
前記孔に前記凸部を貫通させて前記第1板部材と前記第2板部材とを積層させる積層工程と、
前記凸部を前記第1板部材の板厚方向に圧縮させてかしめるカシメ工程と、を含む接合方法において、
前記凸部が前記第1板部材の面より立設される円筒部と、前記円筒部の端部を塞ぐ尖塔形の頭部とになるように前記成形工程を行なうことを特徴とする。
本発明の板部材の接合方法によれば、凸部の頭部が尖塔形となっているため、凸部を潰すときの圧縮力が加えられたとき、頭部が板部材の面方向に広がる。これにより、円筒部の上部も面方向に広がることとなり、凸部全体が板厚方向のみに座屈することなく面方向に広がりながら潰れ、様々な材質の板部材でも確実にかしめて接合することができる。
(2)本発明の板部材の接合方法の好ましい例は、
前記カシメ工程のとき、前記凸部の内側に挿入する受け側パンチを使用しないことを特徴とする。
本発明の板部材の接合方法の好ましい例によれば、カシメ工程のとき、凸部の内側に挿入する受け側パンチを使用しないため、金型と加工工程の簡素化を図ることができ、金型の費用及び加工費用を抑えることができる。
(3)本発明の板部材の接合方法の好ましい例は、
前記カシメ工程で使用するカシメ用パンチが、前記凸部に接触する面が平面であることを特徴とする。
本発明の板部材の接合方法の好ましい例によれば、カシメ工程で使用するカシメ用パンチの、凸部に接触する面が平面であるため、金型と加工工程の簡素化を図ることができ、金型の費用及び加工費用を抑えることができる。
(4)本発明の板部材の接合方法の好ましい例は、
前記成形工程で使用する金型に、
前記第1板部材の裏面から押し付ける成形用パンチと、
前記第1板部材の表面から前記円筒部の周囲を覆うとともに前記頭部には接触しない成形用ダイと、
を備えることを特徴とする。
本発明の板部材の接合方法の好ましい例によれば、成形工程で使用する成形用ダイが、凸部のうち頭部には接触しないものであるため、内面が円筒形のダイで足り、金型の費用及び加工費用を抑えることができる。
(5)本発明の板部材の接合方法の好ましい例は、
前記尖塔形を、円錐形に、又は半球形をなす頭部のうちの頂点部分及び前記円筒部と接続される接続部分の径を、前記頂点部分と前記接続部分との間の中間部分の径より小さく形成することを特徴とする。
本発明の板部材の接合方法の好ましい例によれば、頭部を円錐形に、又は頭部のうち頂点部分と接続部分との間の中間部分を、前記頂点部分及び前記接続部分より直線的に形成するため、カシメ工程のときの凸部を第1板部材の板厚方向に圧縮させる力を、より効果的に面方向に広がる力に変換することができる。
以上、説明したように、本発明の板部材の接合方法によれば、凸部の頭部を尖塔形とすることで、凸部を板厚方向に圧縮させてかしめるカシメ工程のときに凸部が面方向に広がり、様々な材質の板部材同士を確実にかしめることができる。
本発明の一実施形態に係る板部材の接合方法における成形工程を説明する図である。 成形工程を説明する他の図である。 成形工程を説明する他の図である。 第1板部材の凸部を説明する図である。 積層工程を説明する図である。 カシメ工程を説明する図である。 カシメ工程を説明する他の図である。 従来の板部材の接合方法を説明する図である。
以下、本発明に係る板部材の接合方法の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態の板部材の接合方法は、成形工程と、孔開け工程と、積層工程と、カシメ工程とを経て実施される。なお、成形工程と孔開け工程は、その順序が前後しても構わない。
先ず、成形工程によって第1板部材10の一部を突出させる。この成形工程では、一度の成形で所望の形状にすると割れ等が発生することがあるため、本実施形態の板部材の接合方法では、複数の成形用ダイと成形用パンチとを用い、第1成形工程、第2成形工程、第3成形工程と3回ほど成形工程を繰り返している。なお、成形工程の繰返し回数は、本実施形態の3回に限られず、第1板部材10の材質、板厚、温度等の条件によって様々に変更することができる。
第1成形工程は、図1に示すように、金型として比較的大きな径の第1成形用ダイ30と第1成形用パンチ40とを用いる。そして、第1成形用ダイ30を第1板部材10の表面から押し付けることで、第1成形用ダイ30と第1ブランクホルダ50との間に第1板部材10を挟み、第1板部材10の裏面から第1成形用パンチ40を上昇させ、第1板部材10の一部を突出させる。ここで、第1成形用ダイ30は、略円筒形のダイであり、突出させた第1板部材10の上部には接触せずに、その部分は開放されている(後述する第2成形用ダイ31、第3成形用ダイ32も同様。)。
次に、第2成形工程を行なう。第2成形工程では、図2に示すように、金型として中間径の第2成形用ダイ31と第2成形用パンチ41とを用いる。そして、第2成形用ダイ31を第1板部材10の表面から押し付けることで、第2成形用ダイ31と第2ブランクホルダ51との間に第1板部材10を挟み、第1板部材10の裏面から第2成形用パンチ41を上昇させ、第1成形工程で突出させた部分を縮径させる。
次に、第3成形工程を行なう。第3成形工程では、図3に示すように、金型として細径の第3成形用ダイ32と第3成形用パンチ42とを用いる。そして、第3成形用ダイ32を第1板部材10の表面から押し付けることで、第3成形用ダイ32と第3ブランクホルダ52との間に第1板部材10を挟み、第1板部材10の裏面から第3成形用パンチ42を上昇させ、第2成形工程で縮径させた部分を所定の寸法までさらに縮径させ、凸部11を形成する。なお、第3成形工程の後に、凸部11の根元の形状等を整える第4成形工程(図示せず)をさらに行なってもよい。
この凸部11の形状であるが、図4(A)に示すように、その内部は中空とされ、第1板部材10の面より立設される円筒部12と、円筒部12の上方の端部を塞ぐ尖塔形の頭部14とを備える。この円筒部12の高さhは、後述する積層工程で積層させる第2板部材20の板厚より高くすることが好ましい。また、頭部14が尖塔形とは、先端に向かって漸次その径が縮小され尖っているものであるが、本実施形態では先端が丸みを帯びている形状も含む。そして、この尖塔形の形状のなかで、半球形をなす頭部14のうちの頂点部分15の径r1及び前記円筒部12と接続される接続部分16の径r3が、前記頂点部分15と前記接続部分16との間の中間部分17の径r2より小さく形成された形状が好ましい。さらに、図4(B)に示すような、尖塔形をなす頭部114を備える凸部111の他の例として、円錐形ないし略円錐形をした頭部114も好適である。
次に、穴開け工程であるが、第2板部材20に、成形工程で形成した凸部11が貫通する大きさの孔21(図5参照)を、公知の打ち抜きプレスやドリル等によって形成する。この孔開け工程は、図示しなくともその工程を理解できるため、図面は省略する。なお、第1板部材10と第2板部材20は必ずしも分離された別々の板部材である必要はなく、例えば、1枚の板部材を折曲げて箱状にするとき、又は円筒形にするとき等は、1枚の板部材の別々の端部を第1板部材及び第2板部材とすることができる。
次に、積層工程として、図5に示すように、成形工程で形成した凸部11を、孔開け工程で形成した孔21に貫通させて、第1板部材10と第2板部材20とを積層させる。
次に、カシメ工程を行なう。カシメ工程では、図6に示すように、金型としてカシメ用ダイ60とカシメ用パンチ61とを用いる。そして、カシメ用ダイ60の上に、上述の積層工程で積層させた第1板部材10と第2板部材20とを載置させ、上からカシメ用パンチ61で第1板部材10の板厚方向に圧縮させてかしめる。このカシメ用パンチ61として、凸部11に接触する面である加圧面62の中央を、下向きに突出させた形態(図示せず)とすることもできるが、本実施形態の板部材の接合方法では、カシメ用パンチ61の加圧面62は平面としている。また、カシメ工程のとき、凸部11の内側の中空部分に、カシメ用ダイ60側から受け側パンチ(図示せず)を挿入することもできるが、本実施形態では受け側パンチを用いていない。
これは、既に述べたように、第1板部材10に形成された凸部11が、尖塔形の頭部14と円筒部12とで構成されているため、頭部14の頂点部分15に加えられた下向きの力が、頭部14の頂点部分15及び接続部分16より直線的に形成された中間部分17(図4(A)参照。)を通じて図6の矢印の方向に伝達され、接続部分16及び円筒部12の上部13が第1板部材10及び第2板部材20の面方向に広がるためである。この、頭部が面方向に広がる作用は、図4(B)に示す円錐形ないし略円錐形の頭部114でも同様で、頭部114の頂点部分115に加えられた下向き矢印方向の力が、中間部分117を通じて斜め矢印の方向に伝達され、接続部分116及び円筒部112の上部113が広がる。
一方、図8に示すような、頭部214を半球形に形成した凸部211とすると、半球形はその全体が強度に優れるため、曲がりや座屈の方向が予測しづらい。このため、第1板部材210の材質や板厚によっては、頭部214が図中の下向き矢印の方向である板厚方向に座屈して、凸部211の内側に向かって潰れるおそれがある。そうなると、頭部214が第1板部材210の面方向に広がらず、第2板部材220をかしめて接合することができなくなる。そのため、カシメ用パンチ61のうち凸部に接触する加圧面62の中央を下向きに突出させる(図示せず)、又はカシメ工程のときに、カシメ用ダイ60側から凸部211の内側に挿入する受け側パンチ(図示せず)を用いる等の対策が必要となる。
本実施形態のカシメ工程に戻り、次に、図7に示すように、カシメ用パンチ61がさらに下降することによって、凸部11が第1板部材10及び第2板部材20の面方向に広がりながら潰れる。そして、第1板部材10と第2板部材20とをかしめによって接合することができる。
以上、説明したように、本実施形態の板部材の接合方法によれば、第1板部材に形成された凸部が、尖塔形の頭部と、円筒部とを備えるため、カシメ工程でのカシメ用パンチによる下向きの加圧力が、頭部の中間部分によって斜め下方向に伝達される。これにより頭部の下側の接続部分と円筒部の上部とが第1板部材の面方向に広がり、様々な材質や板厚の板部材においても問題なくかしめることができる。
また、成形用ダイの奥に凸部の頭部を接触させないため成形用ダイを略円筒形にできること、カシメ用パンチの加圧面を平面にできること、及びカシメ工程での受け側パンチが不要であるため、金型の費用を抑えることができ、製造にかかる費用のコストダウンを図ることができる。
10,210・・第1板部材、11,111,211・・凸部、12,112・・円筒部、13,113・・上部、14,114,214・・頭部、15,115・・頂点部分、16,116・・接続部分、17,117・・中間部分、
20,220・・第2板部材、21・・孔、
30・・第1成形用ダイ、31・・第2成形用ダイ、32・・第3成形用ダイ、
40・・第1成形用パンチ、41・・第2成形用パンチ、42・・第3成形用パンチ、
50・・第1ブランクホルダ、51・・第2ブランクホルダ、52・・第3ブランクホルダ、
60・・カシメ用ダイ、61・・カシメ用パンチ、62・・加圧面、

Claims (5)

  1. 第1板部材の一部を突出させることで中空の凸部を設ける成形工程と、
    第2板部材に前記凸部が貫通する孔を設ける孔開け工程と、
    前記孔に前記凸部を貫通させて前記第1板部材と前記第2板部材とを積層させる積層工程と、
    前記凸部を前記第1板部材の板厚方向に圧縮させてかしめるカシメ工程と、を含む接合方法において、
    前記凸部が前記第1板部材の面より立設される円筒部と、前記円筒部の端部を塞ぐ尖塔形の頭部とになるように前記成形工程を行なうことを特徴とする板部材の接合方法。
  2. 前記カシメ工程のとき、前記凸部の内側に挿入する受け側パンチを使用しないことを特徴とする請求項1に記載の板部材の接合方法。
  3. 前記カシメ工程で使用するカシメ用パンチが、前記凸部に接触する面が平面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の板部材の接合方法。
  4. 前記成形工程で使用する金型に、
    前記第1板部材の裏面から押し付ける成形用パンチと、
    前記第1板部材の表面から前記円筒部の周囲を覆うとともに前記頭部には接触しない成形用ダイと、
    を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の板部材の接合方法。
  5. 前記尖塔形を、円錐形に、又は半球形をなす頭部のうちの頂点部分の径及び前記円筒部と接続される接続部分の径を、前記頂点部分と前記接続部分との間の中間部分の径より小さく形成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の板部材の接合方法。
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