以下に、実施形態について図面を参照して説明する。以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
<スピンドル装置の構成>
図1および図2を参照して、実施形態に係るスピンドル装置100の構成を説明する。図1に示すように、スピンドル装置100は、回転軸1(スピンドル)と、ハウジング2とを備える。
回転軸1は、軸部と、スラスト板部とを含む。以下、回転軸1の軸部およびスラスト板部の中心軸の延在方向をスラスト方向とよび、回転軸1の当該中心軸に対する径方向をラジアル方向とよぶ。回転軸1の軸部の中心軸は、スラスト板部の中心軸と同軸上に配置されている。回転軸1は、後述するハウジング2によって、当該中心軸を中心とする周方向に回転可能に支持されている。
回転軸1の軸部は、第1部分1a、第2部分1bおよび第3部分1cを有している。回転軸1の軸部は、円筒形状を有している。スラスト方向において、第1部分1aは第2部分1bと間隔を隔てて配置されている。第2部分1bは、第1部分1aよりも、カップ40(図4参照)が取り付けられる回転軸1の端部の近くに配置されている。以下、スピンドル装置100においてカップが取り付けられるスラスト方向の一方側を前側、他方側を後側とよぶ。
第1部分1aと第2部分1bとの間には、第3部分1cが配置されている。第3部分1cのスラスト方向の長さは、例えば第1部分1aおよび第2部分1bのスラスト方向の各長さよりも短い。
回転軸1の第3部分1cの外周面には、1つ以上の開口部1dが設けられている。1つ以上の開口部1dは、複数の開口部1dであってもよい。複数の開口部1dは、回転軸1の回転方向、すなわち上記周方向に対向する内壁面を有している。複数の開口部1dは、上記周方向において互いに間隔を隔てて配置されている。スラスト方向に垂直な断面において、1つの開口部1dの上記周方向の一端と他端とが回転軸1の中心軸に対して成す角度(中心角)は、360度未満であり、好ましくは90度以下であり、より好ましくは45度以下である。回転軸1を構成する材料は、例えば鉄(Fe)を含む。好ましくは、回転軸1を構成する材料は、比較的高強度な材料であり、例えば、マルテンサイト系ステンレスまたは炭素鋼である。強度は、例えば曲げ強度または硬度などにより評価され得る。回転軸1において少なくとも複数の開口部1dが面している部分を構成する材料は、焼入れ鋼である。言い換えると、回転軸1において少なくとも複数の開口部1dが面している部分には、焼入れ処理が施されていることが好ましい。
回転軸1において、スラスト板部は、軸部よりも後側に配置されている。第1部分1aは、第2部分1bよりもスラスト板部の近くに配置されている。スラスト板部は、軸部よりもラジアル方向に突出している。軸部とスラスト板部とは、一体として設けられてもよいし、別体として設けられてもよい。
スラスト板部には、複数の回転翼1eが設けられている。複数の回転翼1eは、例えばスラスト板部において軸部側に位置する面上に設けられている。複数の回転翼1eの各々は、上記周方向に互いに間隔を隔てて配置されている。
回転軸1には、貫通孔1fが設けられている。貫通孔1fは、スラスト方向に回転軸1を貫通している。貫通孔1fの孔軸は、スラスト方向に沿って延びている。
ハウジング2は、第1軸受スリーブ3および第2軸受スリーブ4と、第1ハウジングアッシ5および第2ハウジングアッシ6と、第1カバー7および第2カバー8と、ロック部9と、ロック部保持部10と、第3軸受スリーブ11と、ノズル板12と、ブレーキ部17と、ブレーキ部保持部18とを含む。ハウジング2の内部には、回転軸1を駆動するための回転駆動用気体の流通路13、回転軸1を回転可能に支持する静圧気体軸受を形成するために加圧された軸受用気体の流通路14,15、ロック部9を駆動するためのロック部駆動用気体の流通路16(第2流通路)、およびブレーキ部17を駆動するためのブレーキ部駆動用気体の流通路20(第1流通路)が設けられている。
第1軸受スリーブ3には、貫通孔3aが設けられている。貫通孔3aは、スラスト方向に第1軸受スリーブ3を貫通している。貫通孔3aの孔軸は、スラスト方向に沿って延びている。貫通孔3aの孔軸は、回転軸1の中心軸と同軸上に配置されている。スラスト方向に垂直な断面において、貫通孔3aの形状は円形である。貫通孔3aの内部に、回転軸1の第1部分1aが配置されている。貫通孔3aの内周面と、回転軸1の第1部分1aの外周面との間には、第1軸受隙間が設けられている。さらに、第1軸受スリーブ3の後側に向いた面と、回転軸1のスラスト板部の前側に向いた面との間には、第3軸受隙間が設けられている。
第1軸受スリーブ3には、第1軸受隙間および第3軸受隙間に連なる流通路14の一部が設けられている。流通路14において第1軸受スリーブ3内に位置する部分の一端は、第1軸受隙間または第3軸受隙間に連なるように配置されており、他端は第1軸受スリーブ3のラジアル方向の外周面に配置されている。
第2軸受スリーブ4は、第1軸受スリーブ3と、スラスト方向において間隔を隔てて配置されている。第2軸受スリーブ4には、貫通孔4aが設けられている。貫通孔4aは、スラスト方向に第2軸受スリーブ4を貫通している。貫通孔4aの孔軸は、スラスト方向に沿って延びている。貫通孔4aの孔軸は、貫通孔3aの孔軸と同軸上に配置されている。スラスト方向に垂直な断面において、貫通孔4aの形状は円形である。貫通孔4aの内部に、回転軸1の第2部分1bが配置されている。貫通孔4aの内周面と、回転軸1の第1部分1aの外周面との間には、第2軸受隙間が設けられている。
第2軸受スリーブ4には、第2軸受隙間に連なる流通路14の一部が設けられている。流通路14において第2軸受スリーブ4内に位置する部分の一端は、第2軸受隙間に連なるように配置されており、他端は第2軸受スリーブ4のラジアル方向の外周面に配置されている。
第1ハウジングアッシ5には、貫通孔5aが設けられている。貫通孔5aは、スラスト方向に第1ハウジングアッシ5を貫通している。貫通孔5aの孔軸は、スラスト方向に沿って延びている。貫通孔5aの孔軸は、例えば回転軸1の中心軸と同軸上に配置されている。貫通孔5aの内周面は、第1軸受スリーブ3の外周面に対向するように配置されている。つまり、貫通孔5aの内部に、第1軸受スリーブ3が配置されている。
第1ハウジングアッシ5の後側に位置する部分は、第1ハウジングアッシ5の前側に位置する部分よりも、ラジアル方向に突出している。第1ハウジングアッシ5の後側に位置する部分は、スラスト方向において、回転軸1の複数の回転翼1eと対向している。
第1ハウジングアッシ5の後側に位置する部分には、流通路13の一部が設けられている。第1ハウジングアッシ5の前側に位置する部分には、流通路14の一部が設けられている。第1ハウジングアッシ5に設けられた流通路14の一部は、第1軸受スリーブ3に設けられた流通路14の一部を介して第1軸受隙間および第3軸受隙間に接続されている。
第2ハウジングアッシ6は、第1ハウジングアッシ5と、スラスト方向において間隔を隔てて配置されている。第2ハウジングアッシ6には、貫通孔6aが設けられている。貫通孔6aは、スラスト方向に第2ハウジングアッシ6を貫通している。貫通孔6aの孔軸は、スラスト方向に沿って延びている。貫通孔6aの孔軸は、貫通孔5aの孔軸と同軸上に配置されている。貫通孔6aの内周面は、第2軸受スリーブ4の外周面に対向するように配置されている。つまり、貫通孔6aの内部に、第2軸受スリーブ4が配置されている。
第2ハウジングアッシ6には、流通路14の一部が設けられている。第2ハウジングアッシ6に設けられた流通路14の一部は、第2軸受スリーブ4に設けられた流通路14の一部を介して第2軸受隙間に接続されている。
第1カバー7には、貫通孔7aが設けられている。貫通孔7aは、スラスト方向に第1カバー7を貫通している。貫通孔7aの孔軸は、スラスト方向に沿って延びている。貫通孔7aの孔軸は、例えば回転軸1の中心軸と同軸上に配置されている。貫通孔7aの内周面は、第1ハウジングアッシ5の外周面に対向するように配置されている。つまり、貫通孔7aの内部に、第1ハウジングアッシ5が配置されている。
第1カバー7には、流通路13の一部が設けられている。さらに、第1カバー7には、流通路14の一部が設けられている。第1カバー7に設けられた流通路14の一部は、ラジアル方向の内周側において1つの流通路が2つの流通路に分岐されている分岐部を含んでいる。流通路14において第1カバー7の内部で分岐された一方の流通路は、第1軸受スリーブ3および第1ハウジングアッシ5に設けられた流通路14の各一部を介して第1軸受隙間および第3軸受隙間に接続されている。流通路14において第1カバー7の内部で分岐された他方の流通路は、ロック部保持部10、第2軸受スリーブ4および第2ハウジングアッシ6に設けられた流通路14の各一部を介して第2軸受隙間に接続されている。
第1カバー7のスラスト方向の前側に位置する面上には、スラスト方向に垂直な方向、すなわちラジアル方向および周方向において、後述するブレーキ部保持部18との相対的な位置を保持するための位置決め部が設けられてもよい。例えば、第1カバー7のスラスト方向の前側に位置する面上に、当該面よりも前側に突出している複数の凸部が設けられてもよい。
第2カバー8は、第1カバー7と、スラスト方向において間隔を隔てて配置されている。第2カバー8には、貫通孔8aが設けられている。貫通孔8aは、スラスト方向に第2カバー8を貫通している。貫通孔8aの孔軸は、スラスト方向に沿って延びている。貫通孔8aの孔軸は、貫通孔7aの孔軸と同軸上に配置されている。貫通孔8aの内周面は、第2ハウジングアッシ6の外周面に対向するように配置されている。つまり、貫通孔8aの内部に、第2ハウジングアッシ6が配置されている。
第2カバー8には、流通路14の一部が設けられている。第2カバー8に設けられた流通路14の一部は、第2軸受スリーブ4および第2ハウジングアッシ6に設けられた流通路14の各一部を介して第2軸受隙間に接続されている。
第2カバー8のスラスト方向の後側に位置する面上には、スラスト方向に垂直な方向、すなわちラジアル方向および周方向において、後述するロック部保持部10との相対的な位置を保持するための位置決め部が設けられてもよい。例えば、第2カバー8のスラスト方向の後側に位置する面上に、当該面よりも後側に突出している複数の凸部が設けられてもよい。
ロック部9およびブレーキ部17は、スラスト方向において、第1軸受スリーブ3と第2軸受スリーブ4との間、第1ハウジングアッシ5と第2ハウジングアッシ6との間、および第1カバー7と第2カバー8との間に配置されている。
図1および図2に示されるように、ロック部9は、ピン9a、第2弾性部材9b、メンテナンスタップ9c、および蓋部9dを有している。ロック部9は、後述するロック部保持部10の貫通孔10bの内部に配置されている。
固定部材であるピン9aは、軸部と、フランジ部とを含む。ピン9aの軸部およびフランジ部の各中心軸は、ラジアル方向に沿って延在している。ピン9aの軸部の中心軸は、フランジ部の中心軸と同軸上に配置されている。ピン9aにおいて、フランジ部は、ラジアル方向の外周側の軸部の端部に接続されている。ピン9aのフランジ部は、ピン9aの軸部よりも該中心軸に対して外側に突出している。ラジアル方向に垂直な断面において、ピン9aのフランジ部の最大幅は、ピン9aの軸部の最大幅よりも大きい。
ピン9aの軸部の少なくとも一部は、複数の開口部1dの内部に配置され得る。つまり、ピン9aの軸部の上記周方向の幅は複数の開口部1dの上記周方向の幅以下であり、ピン9aの軸部の上記スラスト方向の幅は複数の開口部1dの上記スラスト方向の幅以下である。ピン9の軸部の上記中心軸の延在方向に垂直な断面形状は、例えば円形状である。ピン9を構成する材料は、例えば鉄(Fe)を含む。好ましくは、ピン9を構成する材料は、比較的高強度な材料であり、例えば焼入れ鋼である。強度は、例えば曲げ強度または硬度などにより評価され得る。
第2弾性部材9bは、一端および他端を有し、その一端と他端との間の距離の変化に応じた弾性力を生じ得る。第2弾性部材9bは、ピン9aに対し、回転軸1に向かう向きとは反対方向に弾性力を付与可能である。第2弾性部材9bは、例えばバネである。第2弾性部材9bの一端は、後述するロック部保持部10に接続されており、ロック部保持部10によってラジアル方向の内周側への移動が制限されている。第2弾性部材9bの他端は、ピン9aのフランジ部と接続されている。これにより、第2弾性部材9bは、ピン9aに対して、ラジアル方向の外周側に向けてピン9aを付勢する弾性力を付与可能である。
ラジアル方向の外周側のピン9aの端部には、ラジアル方向に沿った孔軸を有するメンテナンスタップ9cが設けられている。
蓋部9dは、ピン9a、第2弾性部材9bおよびメンテナンスタップ9cよりも、ラジアル方向の外周側に配置されている。蓋部9dは、ピン9aのラジアル方向の外周側への移動を制限し、かつ流通路16の一部を構成し得る限りにおいて、任意の構成を備えていればよい。例えば、蓋部9dは、ラジアル方向に貫通している貫通孔が設けられている。これにより、ピン9aのラジアル方向の外周側への移動は、蓋部9dによって制限されている。また、蓋部9dの上記貫通孔は、ピン9aの外周側に、ロック部9を駆動するためのロック部駆動用気体が流通され得る空間(流通路16の一部)を形成している。当該空間に供給されたロック部駆動用気体は、ピン9aに対してラジアル方向の内側に向かう力を付与し得る。
ロック部9は、ピン9aが開口部1dの外部に配置されている第1状態と、ピンが開口部1dの内部に配置されている第2状態とを切替可能に設けられている。第1状態と第2状態との切替は、ロック部保持部10の内部においてピン9aの外周側に配置されている空間への気体の供給の有無により、制御される。第1状態では、ピン9aは後述するロック部保持部10の貫通孔10bの内部に収容されており、ロック部保持部10の貫通孔10aの内周面よりも内側に突出していない。第1状態では、ピン9aの先端部は、例えば貫通孔10bの内周部分の内部に配置されている。第2状態では、ピン9aはロック部保持部10の貫通孔10aの内周面よりも内側に突出している。第2状態では、蓋部9dの貫通孔内に供給された気体の圧力により、ピン9aに対しラジアル方向の外側から内側に向いた力が付与されている。第2状態での第2弾性部材9bは、第1状態での第2弾性部材9bよりも圧縮され、付勢されている。
ロック部9は、ロック部保持部10に保持されている。ロック部保持部10は、第1軸受スリーブ3と第2軸受スリーブ4との間、第1ハウジングアッシ5と第2ハウジングアッシ6との間、および第1カバー7と第2カバー8との間に配置されている。
図1および図2に示されるように、ロック部保持部10には、貫通孔10aが設けられている。貫通孔10aは、スラスト方向にロック部保持部10を貫通している。貫通孔10aの孔軸は、スラスト方向に沿って延びている。貫通孔10aの孔軸は、例えば回転軸1の中心軸と同軸上に配置されている。貫通孔10aの内周面は、回転軸1の第3部分1cの外周面と、ラジアル方向に間隔を隔てて対向して配置されている。つまり、貫通孔10aの内部に回転軸1の第3部分1cが配置されており、かつ貫通孔10aの内周面と回転軸1の第3部分1cの外周面との間には上記周方向に連なる隙間が設けられている。
図1および図2に示されるように、ロック部保持部10には、貫通孔10bがさらに設けられている。貫通孔10bは、ラジアル方向にロック部保持部10を貫通している。貫通孔10bの一端は貫通孔10aの内周面上に開口しており、貫通孔10bの他端はロック部保持部10の外周面上に開口している。
図1および図2に示されるように、貫通孔10bは、ラジアル方向の内側に位置する内周部分の孔径がラジアル方向の外側に位置する外周部分の孔径よりも小さくなるように設けられている。貫通孔10bの内周部分の孔径は、ピン9aの軸部の外径よりも大きいが、ピン9aのフランジ部の外径および第2弾性部材9bの外径よりも小さい。ロック部9は、貫通孔10bの上記外周部分の内部に配置されているが、ピン9aの軸部のみが貫通孔10bの上記内周部分の内部に移動可能である。これにより、ロック部9のラジアル方向の内周側への移動は、ロック部保持部10によって制限されている。
貫通孔10bの上記内周部分の孔径は、回転軸1の複数の開口部1dの各々の上記周方向の長さよりも小さくてもよい。貫通孔10bの上記内周部分の孔径は、回転軸1の複数の開口部1dの各々の上記周方向の長さ以上であってもよい。
図1および図2に示されるように、ロック部保持部10の貫通孔10bの上記他端は、蓋部9dにより縮径されている。蓋部9dは、例えば貫通孔10bに着脱可能に固定されている。蓋部9dは、例えば貫通孔10bに嵌め合されている。
図1に示されるように、ロック部保持部10には、貫通孔10cがさらに設けられている。貫通孔10cは、ラジアル方向にロック部保持部10を貫通している。貫通孔10cの一端は貫通孔10aの内周面上に開口しており、貫通孔10cの他端はロック部保持部10の外周面上に開口している。貫通孔10cは、ロック部保持部10の内部において貫通孔10bと接続されていない。貫通孔10cは、貫通孔10aの内周面と回転軸1の第3部分1cの外周面との間に設けられた上記隙間を介して貫通孔10bに連通している。貫通孔10cは、上記周方向において、貫通孔10bと間隔を隔てて配置されている。貫通孔10cの孔径は、例えば貫通孔10bの上記外周部分の孔径よりも小さい。
図1に示されるように、ロック部保持部10には、貫通孔10dがさらに設けられている。貫通孔10dは、スラスト方向にロック部保持部10を貫通している。貫通孔10dの一端は、後述するブレーキ部保持部18の前側に位置する面と対向する、ロック部保持部10の後側に位置する面上に開口している。貫通孔10dの一端は、第2カバー8の後側に位置する面と対向する、ロック部保持部10の前側に位置する面上に開口している。貫通孔10dは、ロック部保持部10の内部において貫通孔10a,10b,10cと接続されていない。
ロック部保持部10には、流通路14の一部が設けられている。ロック部保持部10内に設けられた流通路14の一部は、貫通孔10dにより構成されている。さらに、ロック部保持部10には、流通路16の一部が設けられている。ロック部保持部10内に設けられた流通路16の一部は、貫通孔10bおよび貫通孔10cにより構成されている。
ロック部保持部10のスラスト方向の両端面には、スラスト方向に垂直な方向、すなわちラジアル方向および周方向において、第1カバー7または第2カバー8との相対的な位置を保持するための位置決め部が設けられてもよい。例えば、ロック部保持部10の後側に位置する面上には、当該面から突出している複数の凸部が設けられてもよい。当該複数の凸部は、後述するブレーキ部保持部18の複数の凹部18eの各々と嵌合可能に設けられてもよい。ロック部保持部10の前側に位置する面上には、当該面に対して凹んでいる複数の凹部が設けられてもよい。当該複数の凹部は、第2カバー8の上記複数の凸部と嵌合可能に設けられてもよい。
第3軸受スリーブ11には、貫通孔11aが設けられ、貫通孔11aは、スラスト方向に第3軸受スリーブ11を貫通している。貫通孔11aの孔軸は、スラスト方向に沿って延びている。貫通孔11aの孔軸は、回転軸1の中心軸および貫通孔3aの孔軸と同軸上に配置されている。第3軸受スリーブ11の前側の面は、回転軸1のスラスト板部の後側の面と対向するように配置されている。第3軸受スリーブ11の前側の面と、回転軸1のスラスト板部の後側の面との間には、第4軸受隙間が設けられている。第3軸受スリーブ11には、流通路15の一部が設けられている。
ノズル板12は、スラスト方向において、回転軸1のスラスト板部の後側に向いた面と対向する、前側に向いた面12aを有している。さらに、ノズル板12には、前側に向いた面12aに開口している貫通孔12bが設けられている。貫通孔12bは、スラスト方向にノズル板12を貫通している。貫通孔12bの孔軸は、スラスト方向に沿って延びている。貫通孔12bの孔軸は、回転軸1の中心軸および貫通孔3aの孔軸と同軸上に配置されている。貫通孔12bの前側部分の孔径は、回転軸1のスラスト板部の外径よりも小さい。貫通孔12bの前側部分の内周面は、第3軸受スリーブ11の外周面と対向するように配置されている。貫通孔12bの前側部分の内部に、第3軸受スリーブ11が配置されている。ノズル板12には、流通路15の一部が設けられている。ノズル板12に設けられた流通路15の一部は、第3軸受スリーブ11に設けられた流通路15の一部を介して第4軸受隙間に接続されている。
ノズル板12は、前側に向いた面12aよりもスラスト方向の前側に突出している凸部をさらに有している。ノズル板12の当該凸部の前側の面は、スラスト方向において第1カバー7の後側の面と対向するように配置されている。ノズル板12の上記凸部には、流通路13の一部が設けられている。
ノズル板12には、回転センサ挿入口12cが設けられている。回転センサ挿入口12cは、スラスト方向にノズル板12を貫通している。
図1および図2に示されるように、ブレーキ部17は、接触部材17a、第1弾性部材17b、および蓋部17cを有している。ブレーキ部17は、後述するブレーキ部保持部18の貫通孔18bの内部に配置されている。
接触部材17aは、軸部と、フランジ部とを含む。接触部材17aの軸部およびフランジ部の各中心軸は、ラジアル方向に沿って延在している。接触部材17aの軸部の中心軸は、フランジ部の中心軸と同軸上に配置されている。接触部材17aにおいて、フランジ部は、ラジアル方向の外周側の軸部の端部に接続されている。接触部材17aのフランジ部は、接触部材17aの軸部よりも該中心軸に対して外側に突出している。ラジアル方向に垂直な断面において、接触部材17aのフランジ部の最大幅は、接触部材17aの軸部の最大幅よりも大きい。ラジアル方向から視て、ラジアル方向の内周側の接触部材17aの軸部の端部の平面形状は、例えば円形状である。ラジアル方向の内周側の接触部材17aの端面は、例えばラジアル方向に対して垂直な平面である。
ラジアル方向の内周側の接触部材17aの端部は、回転軸1の第3部分1cの外周面に接触され得る。接触部材17aの軸部の上記中心軸の延在方向に垂直な断面形状は、例えば円形状である。接触部材17aを構成する材料は、例えば炭素(C)を含む。好ましくは、接触部材17aを構成する材料は、摺動性の良い材料であり、例えば、カーボン系材料である。強度は、例えば曲げ強度または硬度などにより評価され得る。
第1弾性部材17bは、一端および他端を有し、その一端と他端との間の距離の変化に応じた弾性力を生じ得る。第1弾性部材17bは、接触部材17aに対し、回転軸1に向かう向きとは反対方向に弾性力を付与可能である。第1弾性部材17bは、例えばバネである。第1弾性部材17bの一端は、後述するブレーキ部保持部18に接続されており、ブレーキ部保持部18によってラジアル方向の内周側への移動が制限されている。第1弾性部材17bの他端は、接触部材17aのフランジ部と接続されている。これにより、第1弾性部材17bは、接触部材17aに対して、ラジアル方向の外周側に向けて接触部材17aを付勢する弾性力を付与可能である。第1弾性部材17bのバネ定数は、第2弾性部材9bのバネ定数と等しくてもよいし、第2弾性部材9bのバネ定数よりも小さくてもよい。
蓋部17cは、接触部材17aおよび第1弾性部材17bよりも、ラジアル方向の外周側に配置されている。蓋部17cは、接触部材17aのラジアル方向の外周側への移動を制限し、かつ流通路20の一部を構成し得る限りにおいて、任意の構成を備えていればよい。例えば、蓋部17cは、ラジアル方向に貫通している貫通孔が設けられている。これにより、接触部材17aのラジアル方向の外周側への移動は、蓋部17cによって制限されている。また、蓋部17cの上記貫通孔は、接触部材17aの外周側に、ブレーキ部17を駆動するためのブレーキ部駆動用気体が流通され得る空間(流通路20の一部)を形成している。当該空間に供給されたブレーキ部駆動用気体は、接触部材17aに対してラジアル方向の内側に向かう力を付与し得る。
ブレーキ部17は、接触部材17aが回転軸1に接触されていない第3状態と、接触部材17aが回転軸1に接触されている第4状態とを切替可能に設けられている。第3状態と第4状態との切替は、ブレーキ部保持部18の内部において接触部材17aの外周側に配置されている空間への気体の供給の有無により、制御される。第3状態では、接触部材17aは後述するブレーキ部保持部18の貫通孔18bの内部に収容されており、ブレーキ部保持部18の貫通孔18aの内周面よりも内側に突出していない。第3状態では、接触部材17aの先端部は、例えば貫通孔18bの内周部分の内部に配置されている。第4状態では、接触部材17aはブレーキ部保持部18の貫通孔18aの内周面よりも内側に突出している。第4状態では、蓋部17cの貫通孔内に供給された気体の圧力により、接触部材17aに対しラジアル方向の外側から内側に向いた力が付与されている。第4状態での第1弾性部材17bは、第3状態での第1弾性部材17bよりも圧縮され、付勢されている。
ブレーキ部17は、ブレーキ部保持部18に保持されている。ブレーキ部保持部18は、第1軸受スリーブ3と第2軸受スリーブ4との間、第1ハウジングアッシ5と第2ハウジングアッシ6との間、および第1カバー7と第2カバー8との間に配置されている。ブレーキ部保持部18は、例えばスラスト方向においてロック部保持部10と隣接して配置されている。ブレーキ部保持部18は、例えば第1カバー7よりも前側であってロック部保持部10よりも後側に配置されている。
図1から図3に示されるように、ブレーキ部保持部18には、貫通孔18aが設けられている。貫通孔18aは、スラスト方向にブレーキ部保持部18を貫通している。貫通孔18aの孔軸は、スラスト方向に沿って延びている。貫通孔18aの孔軸は、例えば回転軸1の中心軸と同軸上に配置されている。貫通孔18aの内周面は、回転軸1の第3部分1cの外周面と、ラジアル方向に間隔を隔てて対向して配置されている。つまり、貫通孔18aの内部に回転軸1の第3部分1cが配置されており、かつ貫通孔18aの内周面と回転軸1の第3部分1cの外周面との間には上記周方向に連なる隙間が設けられている。当該隙間は、ロック部保持部10の貫通孔10aの内周面と回転軸1の第3部分1cの外周面との間に設けられている上記隙間と、連通している。
図1から図3に示されるように、ブレーキ部保持部18には、貫通孔18bがさらに設けられている。貫通孔18bは、ラジアル方向にブレーキ部保持部18を貫通している。貫通孔18bの一端は貫通孔18aの内周面上に開口しており、貫通孔18bの他端はブレーキ部保持部18の外周面上に開口している。
図1および図2に示されるように、貫通孔18bは、ラジアル方向の内側に位置する内周部分の孔径がラジアル方向の外側に位置する外周部分の孔径よりも小さくなるように設けられている。貫通孔18bの内周部分の孔径は、接触部材17aの軸部の外径よりも大きいが、接触部材17aのフランジ部の外径および第1弾性部材17bの外径よりも小さい。ブレーキ部17は、貫通孔18bの上記外周部分の内部に配置されているが、接触部材17aの軸部のみが貫通孔18bの上記内周部分の内部に移動可能である。これにより、ブレーキ部17のラジアル方向の内周側への移動は、ブレーキ部保持部18によって制限されている。
図1から図3に示されるように、ブレーキ部保持部18の貫通孔18bの上記他端は、蓋部17cにより縮径されている。蓋部17cは、例えば貫通孔18bに着脱可能に固定されている。蓋部17cは、例えば貫通孔18bに嵌め合されている。
図3に示されるように、ブレーキ部保持部18には、貫通孔18dがさらに設けられている。貫通孔18dは、スラスト方向にブレーキ部保持部18を貫通している。貫通孔18dの一端は、第1カバー7の前側に位置する面と対向する、ブレーキ部保持部18の後側に位置する面上に開口している。貫通孔18dの一端は、ロック部保持部10の後側に位置する面と対向する、ブレーキ部保持部18の前側に位置する面上に開口している。貫通孔18dは、ブレーキ部保持部18の内部において貫通孔18a,18bと接続されていない。貫通孔18dは、貫通孔10dと接続されている。
ブレーキ部保持部18には、流通路14の一部が設けられている。ブレーキ部保持部18内に設けられた流通路14の一部は、貫通孔18dにより構成されている。さらに、ブレーキ部保持部18には、流通路20の一部が設けられている。ブレーキ部保持部18内に設けられた流通路20の一部は、貫通孔18bにより構成されている。
ブレーキ部保持部18のスラスト方向の両端面には、スラスト方向に垂直な方向、すなわちラジアル方向および周方向において、第1カバー7または第2カバー8との相対的な位置を保持するための位置決め部が設けられてもよい。例えば、図3に示されるように、ブレーキ部保持部18の前側に位置する面上に、当該面に対して凹んでいる複数の凹部18eが設けられてもよい。複数の凹部18eは、ロック部保持部10の上記複数の凸部と嵌合可能に設けられてもよい。ブレーキ部保持部18の後側に位置する面上に、当該面に対して凹んでいる複数の凹部が設けられてもよい。当該複数の凹部は、第1カバー7の上記複数の凸部の各々と嵌合可能に設けられてもよい。
流通路13の給気口は、ノズル板12の後側に位置する面に設けられている。流通路13の排気口は、第1カバー7の外周面に設けられている。流通路14の給気口は、例えば第1カバー7の外周面に設けられている。流通路14において、第1軸受隙間および第3軸受隙間と連なる部分と、第2軸受隙間と連なる部分とは、例えば第1カバー7の内部で接続されている。具体的には、流通路14において第2軸受隙間と連なる部分は、第2カバー8およびロック部保持部10の内部を通って、第1カバー7の内部に設けられている流通路14において第1軸受隙間および第3軸受隙間と連なる部分に接続されている。流通路15の給気口は、ノズル板12の後側に位置する面に設けられている。
流通路16の給気口および排気口は、ロック部保持部10の外周面に設けられている。流通路16の給気口は、ロック部保持部10の貫通孔10bであり、流通路16の排気口は、ロック部保持部10の貫通孔10cである。流通路20の給気口は、ブレーキ部保持部18の外周面に設けられている。流通路20の給気口は、ブレーキ部保持部18の貫通孔18bである。流通路20の排気口は、ロック部保持部10の外周面に設けられている。流通路20の排気口は、ロック部保持部10の貫通孔10cである。流通路20においてブレーキ部17よりも上流側に位置する部分は、流通路16においてロック部9よりも上流側に位置する部分と接続されておらず、両者はハウジング2の内部において互いに独立した流通路である。流通路20においてブレーキ部17よりも下流側に位置する部分は、流通路16においてロック部9よりも下流側に位置する部分と、貫通孔18aおよび貫通孔10aの各内周面と回転軸1の第3部分1cの外周面との間に設けられている上記隙間を介して連通している。
ハウジング2は、流通路14を経て第1軸受隙間および第2軸受隙間に供給される気体の静圧により、回転軸1をラジアル方向に非接触で支持可能である。つまり、第1軸受スリーブ3および第2軸受スリーブ4は、ジャーナル軸受を構成し得る。
さらに、ハウジング2は、流通路14を経て第3軸受隙間に供給される気体の静圧、および流通路15を経て第4軸受隙間に供給される気体の静圧により、回転軸1をスラスト方向に非接触で支持可能である。つまり、第1軸受スリーブ3および第3軸受スリーブ11は、スラスト軸受を構成し得る。
流通路16および流通路20は、例えば複数のOリング19(図1参照)により流通路13,流通路14,および流通路15と分離されている。1つのOリング19は、第1ハウジングアッシ5の外周面と第1カバー7の貫通孔7aの内周面との間に配置されている。1つのOリング19は、流通路13および流通路14において第1カバー7の内部の上記分岐部と第1軸受隙間および第3軸受隙間との間の流通路よりも前側に配置されている。別のOリング19は、第2ハウジングアッシ6の外周面と第2カバー8の貫通孔8aの内周面との間に配置されている。別のOリング19は、流通路14において第1カバー7の内部の上記分岐部と第2軸受隙間との間の流通路よりも後側に配置されている。
<塗装装置の構成>
図4は、実施形態に係る塗装装置200において、スピンドル装置100が取り付けられるスピンドルホルダ41を示す断面図である。図5は、実施形態に係る塗装装置200において、カップ40が取り付けられたスピンドル装置100を示す断面図である。塗装装置200は、スピンドル装置100と、カップ40と、スピンドルホルダ41とを備えている。
カップ40は、回転軸1の前端部に取り付けられている。スピンドルホルダ41には、スピンドル装置100のハウジング2の少なくとも一部が挿入され得る受入部41aが設けられている。受入部41aのラジアル方向に内側に向いた面は、第1カバー7、ブレーキ部保持部18、およびロック部保持部10の外周面と、第2カバー8の外周面の一部と接触可能に設けられている。
スピンドルホルダ41には、スピンドル装置100の流通路13に回転駆動用気体を供給するためのタービン気体給気口42と、流通路13から回転駆動用気体を排気するためのタービン気体排気口43と、流通路14に軸受用気体を供給するための軸受気体給気口44と、流通路15に軸受用気体を供給するための軸受気体給気口45と、流通路16にロック部駆動用気体を供給するためのロック気体給気口46と、貫通孔10cからロック部駆動用気体及びブレーキ部駆動用気体を排気するためのロック気体排気口47と、塗料を供給するための塗料供給口48と、回転センサを挿入するための挿入口49とが設けられている。さらに、スピンドルホルダ41には、流通路20にブレーキ部駆動用気体を供給するためのブレーキ気体給気口52が設けられている。
塗料供給口48には、塗料噴射ノズル50が取り付けられている。塗料噴射ノズル50は、スピンドル装置100がスピンドルホルダ41に取り付けられた状態で回転軸1の貫通孔1a内に挿通されて、その先端部がカップ40内に配置される。挿入口49には、回転センサ51が挿入されている。
<スピンドル装置および塗装装置の動作>
スピンドルホルダ41のタービン気体給気口42から流通路13内に駆動用気体が供給されることにより、回転軸1およびカップ40は上記周方向に回転する。このとき、軸受気体給気口44,45から流通路14,15内に軸受用気体が供給されることにより、回転軸1は、ハウジング2により非接触で回転可能に支持される。
塗料供給口48から塗料噴射ノズル50を経てカップ40内に塗料が供給されると、該塗料はカップ40の回転による遠心力でカップ40の外側に拡がり、カップ40から離れるときに噴霧化する。噴霧化された塗料が被塗装面に着くことにより、塗装装置200を用いた塗装が行われる。
このとき、スピンドル装置100の流通路16には、ロック部駆動用気体は供給されておらず、ロック部9は、ピン9aが開口部1dの外部に配置されている第1状態とされている。さらに、スピンドル装置100の流通路20には、ブレーキ部駆動用気体は供給されておらず、ブレーキ部17は、接触部材17aが回転軸1に接触されていない第3状態とされている。
塗装終了後にカップ40の交換作業を行う場合など、ブレーキ部17およびロック部9を駆動させる場合の作業は、例えば以下のようにする。
まず、流通路13への駆動用気体の供給が停止される。次に、スピンドルホルダ41のブレーキ気体給気口52から流通路20内にブレーキ部駆動用気体が供給される。ブレーキ部駆動用気体は、例えば圧縮空気である。ブレーキ部駆動用気体は、蓋部17cの貫通孔を経て接触部材17aのフランジ部に達し、接触部材17aをラジアル方向の内側に向けて押圧する。接触部材17aには、ブレーキ部駆動用気体により、第1弾性部材17bが接触部材17aに付与している弾性力よりも大きくかつ回転軸1に向かう方向への圧力が、付与される。これにより、接触部材17aは回転軸1の第3部分1cの外周面に接触し、ブレーキ部17は第3状態から第4状態に切り替えられる。ブレーキ部駆動用気体が流通路20に供給され続けることにより、ブレーキ部17は第4状態に維持される。これにより、回転軸1の回転が減速され、または回転軸1の回転が停止される。
次に、スピンドルホルダ41のロック気体給気口46から流通路16内にロック部駆動用気体が供給される。ロック部駆動用気体は、例えば圧縮空気である。ロック部駆動用気体は、蓋部9dの貫通孔を経てピン9aのフランジ部に達し、ピン9aをラジアル方向の内側に向けて押圧する。ピン9aには、ロック部駆動用気体により、第2弾性部材9bがピン9aに付与している弾性力より大きくかつ回転軸1に向かう向きへの圧力が、付与される。これにより、ピン9aは回転軸1の第3部分1cに設けられた複数の開口部1dのいずれかに挿入され、ロック部9は第1状態から第2状態に切り替えられる。ロック部駆動用気体が流通路16に供給され続けることにより、ロック部9は第2状態に維持される。これにより、回転軸1がロックされる。
カップ40の交換作業等が終了した後、ロック部駆動用気体の流通路16への供給が停止される。これにより、ピン9aは第2弾性部材9bによりラジアル方向の外側に押圧され、ロック部9は第2状態から第1状態に切り替えられる。
流通路16へのロック部駆動用気体の供給は、スピンドルホルダ41の外部に配置された図示しないロック部駆動用制御部により、制御され得る。ロック部駆動用制御部は、例えば電磁弁である。ロック部9は、ロック部駆動用電磁弁が閉止されることにより第1状態とされ、ロック部駆動用電磁弁が開放されることにより第2状態とされ得る。
さらに、ブレーキ部駆動用気体の流通路20への供給が停止される。これにより、接触部材17aは第1弾性部材17bによりラジアル方向の外側に押圧され、ブレーキ部17は第4状態から第3状態に切り替えられる。
ブレーキ部17の第4状態から第3状態への切替は、ロック部9の第1状態から第2状態への切替が実施可能な程度に回転軸1の回転が減速されまたは停止された後である限りにおいて、任意のタイミングで行い得る。ブレーキ部17の第4状態から第3状態への切替は、例えば上述のように、ロック部9の第2状態から第1状態への切替と同時に実施され得るし、またはロック部9の第1状態から第2状態への切替後の任意のタイミングで実施され得る。または、ブレーキ部17の第4状態から第3状態への切替は、ロック部9の第1状態から第2状態への切替が実施可能な程度に回転軸1の回転が減速された後であって、ロック部9の第1状態から第2状態への切替前に実施され得る。
流通路20へのブレーキ部駆動用気体の供給は、スピンドルホルダ41の外部に配置された図示しないブレーキ部駆動用制御部により、制御され得る。ブレーキ部駆動用制御部は、例えば電磁弁である。ブレーキ部17は、ブレーキ部駆動用電磁弁が閉止されることにより第3状態とされ、ブレーキ部駆動用電磁弁が開放されることにより第4状態とされ得る。
ブレーキ部駆動用気体は、例えばロック部駆動用気体とともに排気されてもよい。具体的には、ブレーキ部駆動用気体は、回転軸1の第3部分1cの外周面とブレーキ部保持部18の貫通孔18aとの間の隙間、回転軸1の第3部分1cの外周面とロック部保持部10の貫通孔10aとの間の隙間、およびロック部保持部10の貫通孔10cを経て、スピンドルホルダ41のロック気体排気口47から排気され得る。
<作用効果>
スピンドル装置100は、ハウジング2と、ハウジング2の内部に配置されている回転軸1とを備える。回転軸1の外周面には、1つ以上の開口部1dが配置されている。1つ以上の開口部1dは、回転軸1の回転方向において対向する1対の内壁を有している。ハウジング2は、ブレーキ部17と、ロック部9とを含む。ブレーキ部17は、回転軸1に接触し得る接触部材17aを有している。ロック部9は、1つ以上の開口部1dの内部に配置され得るピン9aを有し、ピン9aが1つ以上の開口部1dの外部に配置されている第1状態と、ピン9aが1つ以上の開口部1dの内部に配置されている第2状態とを切替可能に設けられている。
スピンドル装置100によれば、ハウジング2に含まれたブレーキ部17により回転軸1(スピンドル)の回転を減速し、かつロック部9により回転軸1の回転をロックし得る。そのため、スピンドル装置100は、回転軸1を破損させることなく回転軸1の回転をロックし得る。
スピンドル装置100において、回転軸1は、第1部分1aと、第2部分1bと、スラスト方向において第1部分1aと第2部分1bとの間に位置する第3部分1cとを含む。1つ以上の開口部1dは、第3部分1cの外周面に配置されている。ハウジング2は、ラジアル方向において第1部分1aに面しており、かつ、回転軸1を軸支している第1ジャーナル軸受部と、ラジアル方向において第2部分1bに面しており、かつ、回転軸1を軸支している第2ジャーナル軸受部とをさらに含む。ブレーキ部17およびロック部9は、スラスト方向において第1ジャーナル軸受部と第2ジャーナル軸受部との間に配置されている。
スピンドル装置100では、ブレーキ部17およびロック部9がハウジング2の内部に設けられている。そのため、ロック装置を設置するために必要なスペースを外部に確保することが困難である静電塗装用等のスピンドル装置に好適である。
スピンドル装置100において、ブレーキ部17は、接触部材17aが回転軸1に接触していない第3状態と、接触部材17aが回転軸1に接触している第4状態とを切替可能に設けられている。
スピンドル装置100では、ロック部9が第1状態から第2状態へ切り替えられるタイミングに応じて、ブレーキ部17が第3状態から第4状態へ切り替えられ得る。そのため、例えば回転軸1の回転は、ブレーキ部17により十分に減速された後に、ロック部9によりロックされ得る。
スピンドル装置100において、ブレーキ部17は、接触部材17aがブレーキ部駆動用気体の圧力を受けることにより、第3状態から第4状態に切り替え可能に設けられている。ロック部9は、ピン9aがロック部駆動用気体の圧力を受けることにより、第1状態から第2状態に切り替え可能に設けられている。
スピンドル装置100の製造コストは、ブレーキ部およびロック部が電磁的に制御可能に設けられている比較例のスピンドル装置の製造コストよりも低い。さらに、スピンドル装置100は、ブレーキ部およびロック部が電磁的に制御可能に設けられている比較例のスピンドル装置と比べて、静電塗装用スピンドル装置に好適である。なぜなら、静電塗装用スピンドル装置では、その内部を通される塗料には数万ボルトの高電圧が印加されており、スピンドル装置100は、静電塗装用スピンドル装置の内部での放電を防止し得るからである。
スピンドル装置100において、ブレーキ部17は、ブレーキ部17が第3状態から第4状態に切り替えられる際に接触部材17aに付与される圧力の向きとは反対方向に、接触部材17aに対して弾性力を付与する第1弾性部材17bをさらに有している。ロック部9は、ロック部9が第1状態から第2状態に切り替えられる際にピン9aに付与される圧力の向きとは反対方向に、ピン9aに対して弾性力を付与する第2弾性部材9bをさらに有している。
このようなスピンドル装置100では、流通路20へのブレーキ部駆動用気体の供給を停止するのみによって、ブレーキ部17は第1弾性部材17bにより第4状態から第3状態へ切り替えられる。また、流通路16へのロック部駆動用気体の供給を停止するのみによって、ロック部9は第2弾性部材9bにより第2状態から第1状態へ切り替えられる。
<変形例>
スピンドル装置100において、ハウジング2は1つのブレーキ部17のみを含んでいるが、これに限られない。図6および図7に示されるように、ハウジング2は、複数のブレーキ部17を含んでもよい。例えば、図6に示されるように、ハウジング2は2つのブレーキ部17を含んでもよい。2つのブレーキ部17は、例えば回転軸1の中心軸を中心として180度の回転対称性を有している。また、図7に示されるように、ハウジング2は、例えば3つのブレーキ部17を含んでもよい。3つのブレーキ部17は、例えば回転軸1の中心軸を中心として120度の回転対称性を有している。
スピンドル装置100において、ハウジング2は1つのロック部9のみを含んでいるが、これに限られない。図8に示されるように、ハウジング2は、複数のロック部9を含んでもよい。例えば、ハウジング2は2つのロック部9を含んでもよい。2つのロック部9は、例えば回転軸1の中心軸を中心として180度の回転対称性を有してもよい。
スピンドル装置100では、回転駆動用気体の回転軸1への供給が停止された後にも、回転軸1が惰性回転し得る。また、回転軸1の惰性回転が収まった後にも、静圧気体軸受に供給される気体や、いわゆるシェービングエアの作用により、回転軸1が回転し続けることがある。これらの場合、回転軸1が回転し続けている状態で回転軸1をロックする必要があるため、各ロック部9には負荷がかかる。ハウジング2が複数のロック部9を含むスピンドル装置では、第1状態から第2状態とされるときの各ロック部9への負荷が、1つのロック部9のみを備える場合と比べて、低減され得る。ロック部9の数が多いほど、1つのロック部9にかかる負荷は低減され得る。
スピンドル装置100において、ロック部保持部10とブレーキ部保持部18とは別体として設けられているが、両者は一体として設けられてもよい。言い換えると、ブレーキ部17は、ロック部9とともに、ロック部保持部10に保持されてもよい。図8は、4つのロック部9および4つのブレーキ部17を保持しているロック部保持部10を示す。
図8に示されるように、ロック部保持部10には、ブレーキ部17を収納している貫通孔10fがさらに設けられている。貫通孔10fは、ブレーキ部保持部18の貫通孔18bと同様の構成を有していればよい。貫通孔10fは、例えば貫通孔10bとスラスト方向において間隔を隔てて設けられている。複数のブレーキ部17および複数のロック部9が1つの保持部(ロック部保持部10)に保持されてもよい。保持部(ロック部保持部10)において、上記周方向に互いに間隔を隔てて設けられている複数の貫通孔10bの各々は、上記周方向に互いに間隔を隔てて設けられている複数の貫通孔10fの各々と、スラスト方向から視て重なる位置に、スラスト方向に間隔を隔てて配置されてもよい。上記周方向に互いに間隔を隔てて設けられている複数の貫通孔10bの各々は、上記周方向に互いに間隔を隔てて設けられている複数の貫通孔10fの各々と、スラスト方向から視て重ならない位置に配置されてもよい。
図9に示されるように、貫通孔10fは、貫通孔10bとラジアル方向において対向するように設けられてもよい。言い換えると、ブレーキ部17の接触部材17aの少なくとも一部は、回転軸1の開口部1dとラジアル方向において重なる位置に配置されてもよい。接触部材17aにおいて回転軸1に接触可能な面の面積は、開口部1dの開口面積より大きく設けられていることが好ましい。つまり、接触部材17aの先端面の面積は、ピン9aの先端面の面積よりも大きく設けられていることが好ましい。このようにすれば、接触部材17aは、ブレーキ部17が第4状態とされているときに、常に回転軸1と接触し得る。例えば、接触部材17aのスラスト方向の幅は、開口部1dのスラスト方向の幅より大きい。例えば、接触部材17aの上記周方向の幅は、開口部1dの上記周方向の幅より大きい。また、ピン9aの上記中心軸は、接触部材17aの上記中心軸と同一軸上に配置されてもよい。
このように、ロック部9およびブレーキ部17が1つの保持部(ロック部保持部10)に保持されている場合には、1つの保持部(ロック部保持部10)が交換されることにより、ロック部9およびブレーキ部17は容易に交換され得る。特に、ハウジング2が複数のブレーキ部17および複数のロック部9を含む場合には、複数のブレーキ部17および複数のロック部9は、1つの保持部(ロック部保持部10)が交換されることによって、まとめて交換され得る。
スピンドル装置100では、ロック部駆動用気体およびブレーキ部駆動用気体は、回転駆動用気体の経路及び軸受用気体の経路とは異なる専用経路を通して供給されてもよい。ロック部駆動用気体およびブレーキ部駆動用気体は、回転駆動用気体の経路及び軸受用気体の経路の少なくとも1つから分岐された経路を通して供給されてもよい。
スピンドル装置100および塗装装置200では、流通路16においてロック部9よりも上流側に位置する部分と、流通路20においてブレーキ部17よりも上流側に位置する部分とが、互いに独立に設けられているが、これらの部分は互いに接続されてもよい。これらの部分は、例えば、ハウジング2の内部において接続されてもよいし、例えばスピンドルホルダ41の内部などのハウジング2の外部において接続されてもよい。言い換えると、流通路20へのブレーキ部駆動用気体および流通路16へのロック部駆動用気体の供給が、1つの制御部により制御されてもよい。特定的には、流通路20へのブレーキ部駆動用気体の供給と流通路16へのロック部駆動用気体の供給とが1つの制御部によって同時に制御され得る。この場合にも、ブレーキ部17および流通路20の構成をロック部9および流通路16の構成と異ならせることによって、ロック部9の第1状態から第2状態への切替前にブレーキ部17の第3状態から第4状態への切替が実現され得る。
第1弾性部材17bのバネ定数は、第2弾性部材9bのバネ定数よりも小さいことが好ましい。流通路20へのブレーキ部駆動用気体および流通路16へのロック部駆動用気体の供給が1つの制御部によって制御され得るスピンドル装置では、ロック部9の第1状態から第2状態への切替に際し、流通路16および流通路20に供給されるブレーキ部駆動用気体およびロック部駆動用気体の圧力が段階的(少なくとも2段階)に強められることが好ましい。
具体的には、第1段階では、1つの制御部により、流通路20および流通路16にそれぞれ供給されるブレーキ部駆動用気体の圧力及びロック部駆動用気体の圧力が、第1弾性部材17bが接触部材17aに付与している弾性力よりも大きくかつ第2弾性部材9bがピン9aに付与している弾性力よりも小さい値に制御される。第1段階は、回転軸1の回転が所定の速度まで減速されるか、回転軸1の回転が停止されるまで維持される。
次に、第2段階では、上記1つの制御部により、流通路20および流通路16にそれぞれ供給されるブレーキ部駆動用気体の圧力及びロック部駆動用気体の圧力が、第2弾性部材9bがピン9aに付与している弾性力よりも大きい値に制御される。
こうして、ブレーキ部駆動用気体がブレーキ部17へ供給されるタイミングとロック部駆動用気体がロック部9に供給されるタイミングとが同時である場合にも、ロック部9が第1状態から第2状態に切り替えられる前に、ブレーキ部17は第3状態から第4状態へ切り替えられ得る。ブレーキ部17は、ロック部9が第1状態から第2状態に切り替えられる前に、回転軸1の回転を十分に減速することができる。そのため、回転軸1を破損させることなく、回転軸1の回転はロックされ得る。
スピンドル装置100では、ラジアル方向から視て、ラジアル方向の内周側の接触部材17aの軸部の端部の平面形状が円形状であるがこれに限られない。ラジアル方向の内周側の接触部材17aの軸部の端部の平面形状は、任意の形状であればよく、楕円状、矩形状、円環状、角環状またはC字状等であってもよい。
スピンドル装置100では、ラジアル方向の内周側の接触部材17aの端面はラジアル方向に対して垂直な平面であるが、これに限られない。図10に示されるように、ラジアル方向の内周側の接触部材17aの端面は、曲面であってもよい。スラスト方向に垂直な断面において、ラジアル方向の内周側の接触部材17aの端面は、回転軸1の第3部分1cの外周面に沿う円弧形状を有してもよい。そのため、接触部材17aと回転軸1との接触面積は、図1に示される接触部材17aと回転軸1との接触面積と比べて増加する。こうして、ブレーキ部17は回転軸1の回転をより効果的に減速し得る。
スピンドル装置100では、ブレーキ部17はスラスト方向において第1ジャーナル軸受と第2ジャーナル軸受との間に配置されており、接触部材17aが回転軸1の第3部分1cの外周面に接触可能に設けられているが、これに限られない。図11に示されるように、例えば、ブレーキ部17はノズル板12に保持され、接触部材17aは回転軸1のスラスト板部に接触可能に設けられている。この場合、ノズル板12には、ラジアル方向において、第3軸受スリーブ11を収納している貫通孔12bと間隔を隔てた位置に、貫通孔12dが設けられている。ブレーキ部17は、貫通孔12dの内部に収容されている。貫通孔12dのスラスト方向から視た平面形状は、任意の形状であればよく、例えば円形であってもよいし、C字状に設けられてもよい。後者の場合、接触部材17aの前側に位置する面のスラスト方向から視た平面形状は、例えばC字状である。このようにしても、ロック部9が第1状態から第2状態に切り替えられる前に、回転軸1の回転を十分に減速することができるため、回転軸1を破損させることなく回転軸1の回転をロックし得る。
スピンドル装置100では、ブレーキ部17は、接触部材17aがブレーキ部17に供給されたブレーキ部駆動用気体の圧力を受けることにより第3状態から第4状態に切り替えられ、ブレーキ部17へのブレーキ部駆動用気体の供給が停止されることにより第4状態から第3状態に切り替えられるが、これに限られない。図12に示されるように、ブレーキ部17は、接触部材17aがブレーキ部17に供給されたブレーキ部駆動用気体の圧力を受けることにより第4状態から第3状態に切り替えられ、ブレーキ部17へのブレーキ部駆動用気体の供給が停止されることにより第3状態から第4状態に切り替えられてもよい。この場合、ブレーキ部17は、第1弾性部材17bに代えて、接触部材17aに対し回転軸1に向かう方向に弾性力を付与する第3弾性部材17dを有している。
図12に示されるように、流通路20においてブレーキ部17よりも上流側に位置する部分は、ブレーキ部17を収納している貫通孔18bの内部において接触部材17aのフランジ部よりも回転軸1側に設けられた空間に接続される。蓋部17cの貫通孔は、流通路20においてブレーキ部17よりも下流側に位置する部分の一部を構成している。
図12に示されるように、第3弾性部材17dの一端は、蓋部17cに接続されており、蓋部17cによってラジアル方向の外周側への移動が制限されている。第3弾性部材17dの他端は、接触部材17aのフランジ部と接続されている。これにより、第3弾性部材17dは、接触部材17aに対しラジアル方向の内側に向いた弾性力を付与可能である。この場合、ブレーキ部17は、ブレーキ部駆動用気体の供給を受けている間、第3状態に保持され得る。
図12に示されるブレーキ部17においては、ブレーキ部駆動用気体は回転軸駆動用気体の一部であることが好ましい。つまり、流通路20においてブレーキ部17よりも上流側に位置する部分は、流通路13において回転軸1の回転翼1eよりも上流側に位置する部分と接続されていることが好ましい。流通路13への回転軸駆動用気体の供給および流通路20へのブレーキ部駆動用気体の供給は、1つの制御部により同時に制御され得る。このようにすれば、流通路13へ回転軸駆動用気体が供給されている間中、流通路20へブレーキ部駆動用気体が供給され続けて、ブレーキ部17は第3状態に維持される。流通路13への回転軸駆動用気体の供給が停止されると、流通路20へのブレーキ部駆動用気体の供給が停止されて、ブレーキ部17は第3状態から第4状態へ切り替えられる。
スピンドル装置100では、回転軸1が回転駆動されている間、ブレーキ部17は第3状態に維持されているが、これに限られない。例えば静電塗装用スピンドル装置のように回転軸1が数万rpm以上に高速回転される場合、ブレーキ部17は、回転軸1が高速回転している間、実質的に第4状態にあるように制御されてもよい。ここで、実質的に第4状態にあることは、接触部材17aが回転軸1と接触可能な状態とされているが、回転軸1の上記高速回転に伴う動圧効果により接触部材17aが回転軸1の回転を減速する作用がほとんど働いていない状態にあることを意味する。
回転軸1が高速回転している間実質的に第4状態にあるように制御されるブレーキ部17は、例えば図12に示される構成を備えてもよい。ブレーキ部17は、第3弾性部材17dの弾性力により、接触部材17aが回転軸1に接触した状態(第4状態)を維持可能に設けられている。ブレーキ部17は、接触部材17aがブレーキ部17に供給されたブレーキ部駆動用気体の圧力を受けることにより第4状態から第3状態に切り替えられ、ブレーキ部17へのブレーキ部駆動用気体の供給が停止されることにより第3状態から第4状態に切り替えられる。
このようにしても、例えば回転軸1の回転駆動が停止される際に回転軸1の回転が減速されることによって上記動圧効果の作用が低下すると、ブレーキ部17は接触部材17aが回転軸1に接触する第4状態とされる。そのため、回転軸1の回転がブレーキ部17によって減速され得る。
第3弾性部材17dが接触部材17aに対し回転軸に向かう弾性力を付与可能に設けられているブレーキ部17では、第3弾性部材17dのバネ定数を大きくすることによって、ブレーキ部17は回転軸1に対しより強力な制動力を付与し得る。図12に示されるように、回転軸1が高速回転している間、第3弾性部材17dには第3弾性部材17dの弾性力を弱めるまたは打ち消す力が付与されていることが好ましい。例えば、図12に示されるように、ブレーキ部駆動用気体は、回転軸駆動用気体の一部であることが好ましい。これにより、流通路13へ回転軸駆動用気体が供給されている間、流通路20へ供給される回転軸起動用気体の一部であるブレーキ部駆動用気体により、第3弾性部材17dの弾性力を弱めるまたは打ち消す力が第3弾性部材17dに付与され得る。
スピンドル装置100では、第1軸受スリーブ3および第2軸受スリーブ4には、1つの流通路14から分岐された流通路を介して軸受用気体が供給されているが、これに限られない。第1軸受スリーブ3に軸受用気体を供給するための流通路と、第2軸受スリーブ4に軸受用気体を供給するための流通路とは、互いに独立して構成されてもよい。
また、スピンドル装置100では、第1ジャーナル軸受と第2ジャーナル軸受との間に、軸受として構成されていない部分が配置されており、該部分にロック部が配置されている限りにおいて、任意の構成を備え得る。例えば、ロック部保持部10は、第1軸受スリーブ3および第2軸受スリーブ4と一体として設けられてもよい。
以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。