JP2019006692A - 抗アレルギー剤、メディエーター遊離阻害剤及び内服薬 - Google Patents

抗アレルギー剤、メディエーター遊離阻害剤及び内服薬 Download PDF

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Abstract

【課題】副作用の少なく安全性の高い抗アレルギー剤及び抗アレルギー作用を有する内服薬を提供する。【解決手段】本発明の一形態に係る抗アレルギー剤は、化合物(A)及び化合物(B)の少なくとも一方を有効成分として含有する。上記化合物(A)は、所定の炭素数のアルキル基を有する2−O−アルキルアスコルビン酸、その異性体、又は上記アスコルビン酸誘導体若しくはその異性体の薬学的に許容される塩である。上記化合物(B)は、所定の炭素数のアルキル基を有する3−O−アルキルアスコルビン酸、その異性体である。【選択図】図3

Description

本発明は、アルキル基を有するL−アスコルビン酸誘導体又はその異性体等を有効成分とする抗アレルギー剤、メディエーター遊離阻害剤及び抗アレルギー作用を有する内服薬に関する。
近年、花粉症等のI型アレルギーの罹患者数が増加している。I型アレルギーは、肥満細胞の脱顆粒反応により、ヒスタミン等のメディエーターが放出されることにより発症する。
そこで、特許文献1には、ヒスタミンH1受容体拮抗作用を有するフェキソフェナジン塩酸塩を含有する抗ヒスタミン剤が記載されている。
また、特許文献2には、フマル酸クレマスチン又はd−マレイン酸クロルフェニラミンを抗ヒスタミン剤として含有する抗ヒスタミン作用増強剤が記載されている。
特開2013−75892号公報 特開2009−185058号公報
ここで、ヒスタミン受容体は、覚醒作用等を有することが知られている。これにより、ヒスタミン受容体と拮抗する上記の抗ヒスタミン剤を服用すると、副作用として眠気、倦怠感や口の渇き等を引き起こすことがあり、服用に注意を要する。
したがって、より副作用の少ない安全な抗アレルギー剤が求められていた。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、副作用の少なく安全性の高い抗アレルギー剤、メディエーター遊離阻害剤及び抗アレルギー作用を有する内服薬を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る抗アレルギー剤は、化合物(A)及び化合物(B)の少なくとも一方を有効成分として含有する。
上記化合物(A)は、
一般式(1)
(一般式(1)中、R1は炭素数4以上のアルキル基である)で表されるL−アスコルビン酸誘導体、その異性体、又は上記L−アスコルビン酸誘導体若しくはその異性体の薬学的に許容される塩である。
上記化合物(B)は、
一般式(2)
(一般式(2)中、R2は炭素数10以上18以下のアルキル基である)で表されるL−アスコルビン酸誘導体又はその異性体である。
化合物(A)及び(B)は、炎症メディエーター遊離阻害作用を有する。このため、炎症メディエーター受容体拮抗作用を有する薬剤に見られるような眠気、倦怠感や口の渇き等の副作用を生じさせない。また、化合物(A)及び(B)は、抗酸化作用を有しビタミンCとして知られるL−アスコルビン酸の誘導体である。したがって、副作用の少なく安全性の高い抗アレルギー剤を提供することができる。
上記一般式(1)のR1は、炭素数16以上のアルキル基であってもよい。
あるいは、上記一般式(2)のR2は、炭素数12以上16以下のアルキル基であってもよい。
これにより、より高い炎症メディエーター遊離阻害作用を有する抗アレルギー剤を提供することができる。
また、上記抗アレルギー剤は、上記化合物(A)及び上記化合物(B)を有効成分として含有してもよい。
化合物(A)及び(B)の双方を有効成分として用いることにより、高い炎症メディエーター遊離阻害作用を有し、かつ副作用の少なく安全性の高い抗アレルギー剤を提供することができる。
本発明のさらに他の形態に係るメディエーター遊離阻害剤は、化合物(A)及び化合物(B)の少なくとも一方を有効成分として含有する。
上記化合物(A)は、
一般式(1)
(一般式(1)中、R1は炭素数4以上のアルキル基である)で表されるL−アスコルビン酸誘導体、その異性体、又は上記L−アスコルビン酸誘導体若しくはその異性体の薬学的に許容される塩である。
上記化合物(B)は、
一般式(2)
(一般式(2)中、R2は炭素数10以上18以下のアルキル基である)で表されるL−アスコルビン酸誘導体又はその異性体である。
本発明のさらに他の形態に係る内服薬は、化合物(A)及び化合物(B)の少なくとも一方を有効成分として含有し、抗アレルギー作用を有する。
上記化合物(A)は、
一般式(1)
(一般式(1)中、R1は炭素数4以上のアルキル基である)で表されるL−アスコルビン酸誘導体、その異性体、又は上記L−アスコルビン酸誘導体若しくはその異性体の薬学的に許容される塩である。
上記化合物(B)は、
一般式(2)
(一般式(2)中、R2は炭素数10以上18以下のアルキル基である)で表されるL−アスコルビン酸誘導体又はその異性体である。
化合物(A)及び化合物(B)は、経口摂取時にも抗アレルギー作用を有する。このため、副作用の少なく安全性の高い抗アレルギー作用を有する内服薬を提供することができる。
以上のように、本発明によれば、副作用の少なく安全性の高い抗アレルギー剤、メディエーター遊離阻害剤及び抗アレルギー作用を有する内服薬を提供することができる。
本発明の試験例1における2−O−アルキルアスコルビン酸及びL−アスコルビン酸(実施例1〜5及び比較例3)の結果を示すグラフである。 本発明の試験例1における3−O−アルキルアスコルビン酸(実施例6〜8並びに比較例1及び2)の結果を示すグラフである。 本発明の試験例2の結果を示すグラフである。 本発明の試験例3の結果を示すグラフである。 本発明の試験例4の結果を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
<本発明の概要>
本発明の抗アレルギー剤、メディエーター遊離阻害剤及び内服薬は、L−アスコルビン酸の誘導体等である化合物(A)及び化合物(B)の少なくとも一方を有効成分とする。すなわち、本発明の抗アレルギー剤、メディエーター遊離阻害剤及び内服薬は、化合物(A)又は化合物(B)を有効成分としてもよいし、化合物(A)及び化合物(B)の双方を有効成分としてもよい。化合物(A)及び化合物(B)は、後述するように、いずれもL−アスコルビン酸にアルキル鎖が結合したアルキルアスコルビン酸等である。
L−アスコルビン酸誘導体は、一般的に不安定で、容易に活性を失ってしまう。本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、安定性が高く、経口摂取しても活性が失われずに高いメディエーター遊離阻害作用を有するL−アスコルビン酸誘導体としてアルキルアスコルビン酸を見出し、本発明に想到した。
<化合物A>
本発明の化合物(A)は、一般式(1)で表されるL−アスコルビン酸誘導体、その異性体、又は上記アスコルビン酸誘導体若しくはその異性体の薬学的に許容される塩である。
一般式(1)中、R1は炭素数4以上のアルキル基である。すなわち、一般式(1)で表されるL−アスコルビン酸誘導体は、2−O−アルキルアスコルビン酸である。
<2−O−アルキルアスコルビン酸>
本発明の2−O−アルキルアスコルビン酸は、L−アスコルビン酸の2位にアルキル基R1を有する化合物である。アルキル基R1の炭素数は、4以上であり、好ましくは16以上であり、例えば16以上18以下である。アルキル基R1は、直鎖状の構造でも分岐した構造でもよいが、好ましくは直鎖状である。本発明の2−O−アルキルアスコルビン酸の具体例としては、2−O−ブチルアスコルビン酸、2−O−オクチルアスコルビン酸、2−O−ドデシルアスコルビン酸、2−O−ヘキサデシルアスコルビン酸、2−O−オクタデシルアスコルビン酸が挙げられる。
<2−O−アルキルアスコルビン酸の異性体>
本発明の2−O−アルキルアスコルビン酸の異性体とは、L−アスコルビン酸の異性体の2位にアルキル鎖が結合されている化合物である。L−アスコルビン酸の異性体としては、例えば、D−アスコルビン酸、L−アラボアスコルビン酸、D−アラボアスコルビン酸(エリソルビン酸、イソアスコルビン酸とも称する)が挙げられる。このうち、流通性等を鑑み、エリソルビン酸が好適に用いられる。
これらの異性体は、L−アスコルビン酸と同様の機能を有することが知られており(鈴木他著、J. Nutr. Sci. Vitaminol., 41, 17-24, (1995) 等参照)、本発明においてもL−アスコルビン酸と同様に用いることができる。
<2−O−アルキルアスコルビン酸又はその異性体の塩>
本発明の2−O−アルキルアスコルビン酸又はその異性体の薬学的に許容される塩は、典型的には、L−アスコルビン酸の3位が陰イオンとなる構造となる。
本発明の2−O−アルキルアスコルビン酸又はその異性体の塩としては、特に毒性の低いものが好ましい。これらの塩を生成させる無機塩基としては、アルカリ金属(例えばナトリウム、カリウムなど)、アンモニウム、アルカリ土類金属(例えばカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムなど)、アルミニウム塩などが、有機塩基としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ジシクロヘキシルアミンなどから選択される一種又は二種以上の混合物が挙げられる。この中でも、特にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムから選択される一種又は二種以上の混合物から選択されるものが特に適用しやすい。
<化合物B>
本発明の化合物(B)は、一般式(2)で表されるL−アスコルビン酸誘導体又はその異性体である。
一般式(2)中、R2は炭素数10以上18以下のアルキル基である。すなわち、一般式(2)で表されるL−アスコルビン酸誘導体は、3−O−アルキルアスコルビン酸である。
また、3−O−アルキルアスコルビン酸の異性体は、2−O−アルキルアスコルビン酸の異性体と同様に、L−アスコルビン酸の異性体の3位にアルキル鎖が結合されている化合物である。L−アスコルビン酸の異性体としては、上述のD−アスコルビン酸、L−アラボアスコルビン酸、D−アラボアスコルビン酸を用いることができる。
<3−O−アルキルアスコルビン酸>
本発明の3−O−アルキルアスコルビン酸は、L−アスコルビン酸の3位にアルキル基R2を有する化合物である。アルキル基R2の炭素数は、炭素数10以上18以下であり、好ましくは12以上16以下である。アルキル基R2は、直鎖状の構造でも分岐した構造でもよいが、好ましくは直鎖状である。本発明の3−O−アルキルアスコルビン酸の具体例としては、3−O−ドデシルアスコルビン酸、3−O−ヘキサデシルアスコルビン酸、3−O−オクタデシルアスコルビン酸が挙げられる。後述するように、3−O−ドデシルアスコルビン酸は、非常に高い炎症メディエーター遊離阻害作用を有する。
<アルキルアスコルビン酸誘導体の製造方法>
本発明のアルキルアスコルビン酸の製造方法は、種々の方法を取り得る。
2−O−アルキルアスコルビン酸の合成は、例えば、加藤他著、「Studies on scavengers of active oxygen species. 1.synthesis and biological activity of 2-O-alkylascorbic acids.」、Journal of Medicinal Chemistry, 31, 793- 798 (1988) を参照することができる。
一例として、L−アスコルビン酸の5,6位の水酸基をイソプロピリデン基で保護した5,6−イソプロピリデン−アスコルビン酸を準備し、5,6−イソプロピリデン−アスコルビン酸の3位を保護基で保護する。この保護基としては、例えばメトキシメチル基(MOM基)やベンジル基等が挙げられる。続いて、5,6位及び3位が保護されたアスコルビン酸誘導体に対し、アルキル化剤を反応させアルキル化する。アルキル化剤としては、例えばハロゲン化アルキル、アルキルベンゼンスルフォネート等が挙げられる。最後に、アルキル化された上記L−アスコルビン酸誘導体を脱保護し、2−O−アルキルアスコルビン酸を合成することができる。
3−O−アルキルアスコルビン酸の合成は、例えば、田井他著、「A simple efficient synthesis and biological evaluation of 3-O-ethylascorbic acid.」 Bioscience Biotechnology and Biochemistry, 12, 1984-1987 (2014) を参照することができる。
一例として、L−アスコルビン酸塩にアルキル化剤を反応させることで、3−O−アルキルアスコルビン酸を合成することができる。L−アスコルビン酸塩としては、L−アスコルビン酸ナトリウムが挙げられる。アルキル化剤としては、例えばハロゲン化アルキル、アルキルベンゼンスルフォネート等が挙げられる。他の例としては、L−アスコルビン酸の5,6位の水酸基をイソプロピリデン基で保護した5,6−イソプロピリデン−アスコルビン酸にアルキル化剤を反応させ、脱保護することで、3−O−アルキルアスコルビン酸を生成することもできる。
これらの方法によって得られた本発明のアルキルアスコルビン酸は、物性を鑑みた適切な方法により精製することができる。精製方法としては、例えば、塩析、透析、濾過、濃縮、分別沈澱、分液抽出、ゲルクロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、ガスクロマトグラフィ、親和クロマトグラフィ、ゲル電気泳動、等電点電気泳動、結晶化等が挙げられる。これらは、適宜組合せて用いてもよい。
<メディエーター遊離阻害剤>
本発明のメディエーター遊離阻害剤は、上記化合物(A)及び上記化合物(B)の少なくとも一方を有効成分として含有し、I型アレルギーの原因となるヒスタミン等の炎症メディエーターの遊離を阻害することができる。上述のように、I型アレルギーは、肥満細胞の脱顆粒反応により、ヒスタミン等のメディエーターが放出されることにより発症する。上記アスコルビン酸誘導体は、後述するように、肥満細胞の脱顆粒反応を抑制することができ、メディエーター遊離阻害作用を発揮することができる。
<抗アレルギー剤>
本発明の抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤は、上記化合物(A)及び上記化合物(B)の少なくとも一方を有効成分として含有し、アレルギー、特にI型アレルギーに適用することができる。具体的には、上記抗アレルギー剤は、例えば鼻炎、結膜炎、気管支喘息、食物アレルギー、アナフィラキシー、蕁麻疹又はアトピー性皮膚炎等の症状を抑制することができる。また、上記抗アレルギー剤が適用されるアレルギーのアレルゲンは、特に限定されず、例えば花粉、ダニ、動物のフケ、カビ、化学物質、食物中の蛋白質等とすることができる。
<医薬品、医薬部外品>
本発明の抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤は、例えば医薬品又は医薬部外品として、用途に応じた種々の剤形を採り得る。投与形態としては、経口投与、非経口投与のいずれでもよいが、好ましくは経口投与が挙げられる。これにより、侵襲性の低い投与が可能で、かつ安全性の高い抗アレルギー剤等を提供することができる。なお、ここでいう医薬品とは、ヒト用の医薬品の他、動物用医薬品も含むものとする。
本発明の医薬品又は医薬部外品の剤形は、特に制限されないが、液剤(ドリンク剤を含む)、シロップ剤、顆粒剤、散剤、丸剤、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、チュアブル剤、軟膏、点眼剤、点鼻剤、吸入剤、懸濁剤、貼付剤、注射剤等が挙げられる。
本発明の抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤は、有効成分であるアルキルアスコルビン酸又はその塩等を、公知の製剤学的製造法に準じて製剤化することができる(第十七改正日本薬局方(平成28年3月7日 厚生労働省告示第64号)参照)。
この場合、上記抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤は、上記有効成分のほか、本発明の作用が低減されない範囲内で、医薬上許容される基剤、担体、他の薬効成分及び添加物等を配合できる。担体は、日本薬局方、又は「医薬品添加物事典」(薬事日報社発行)等を参照して選択することができる。添加物としては、通常の医薬品の添加物として許容される安定剤、分散剤、流動化剤、緩衝剤、潤滑剤、防腐剤、pH調整剤、溶剤、溶解補助剤などが挙げられる。
<内服薬>
本発明の化合物(A)及び化合物(B)の少なくとも一方は、抗アレルギー作用を有する内服薬の有効成分とすることができる。ここでいう内服薬は、内服散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、内服液剤、シロップ剤等をいう。これにより、本発明の抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤を、医薬品として経口摂取させることができる。
本発明の内服薬において、上記アルキルアスコルビン酸の投与量は、例えば体重1 kgあたり一日0.1 mg以上100 mg以下とすることができる。また、投与頻度は特に限定されないが、一日1〜6回程度とすることができる。
<飲料及び食品>
本発明の抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤は、例えば飲料及び食品としても調製することができる。なお、ここでいう飲料及び食品とは、ヒト用の飲料及び食品の他、動物用飼料やペットフードも含むものとする。
飲料及び食品としては、特に制限されることはないが、例えば飲料(例:乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、野菜飲料、野菜・果実飲料、アルコール飲料、スポーツ飲料、粉末飲料、茶飲料など)、冷菓(例:ゼリー、ババロア、プリンなど)、氷菓(例:アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、シャーベット)、菓子類(例:クッキー、ビスケット、おかき、飴類、チョコレート類、ガム類)、パン類、麺類(例:中華麺、パスタ、うどん、蕎麦、素麺)、スープ類(粉末または固形スープを含む)、調味料(例:ドレッシング、ジュレ、ソース、マヨネーズ様ソース、たれ)等が挙げられる。
さらに、飲料及び食品としては、サプリメントを含む機能性食品(栄養機能食品、特定保健用食品等)、及び病者用食品(要介護者用食品及び嚥下困難者用食品を含む)等も含まれる。
これらの飲料及び食品は、公知の成分や素材を組み合わせ、又は飲料及び食品の分野で許容される添加剤等を添加して製造され得る。
<化粧品>
本発明の抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤は、化粧品、あるいは医薬部外品の薬用化粧品の成分として用いられてもよい。このような化粧品として、具体的には、敏感肌用又はアレルギー肌用のクリーム、乳液、ローション、パック、浴用剤等が挙げられる。上記化粧品は、油性又は水性基剤、ビタミン剤、皮膚軟化剤、美白剤、保湿剤、酸化防止剤、緩衝剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、増粘剤、アルコール類、清涼化剤、着色剤、香料等を必要に応じて配合することができる。
<本発明の作用効果>
本発明の抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤は、ヒスタミン等の炎症メディエーターの遊離自体を効果的に阻害することができる。このため、メディエーター受容体拮抗作用を有する抗ヒスタミン剤等で生じる眠気や倦怠感や口の渇き等の副作用を回避できる。また、アルキルアスコルビン酸は、抗酸化作用を有しビタミンCとして知られるL−アスコルビン酸の誘導体である。これにより、本発明は、副作用の少なく安全性の高い抗アレルギー剤を提供することができる。
さらに、本発明の抗アレルギー剤及びメディエーター遊離阻害剤は、経口によっても高い炎症メディエーターの遊離阻害作用を有する。これにより、より侵襲性の低い投与が可能となり、患者に対しても摂取しやすい形態で提供することができる。
以下、本発明を実施例等に基づき、さらに説明する。なお、L−アスコルビン酸を「AA」、2−O−アルキルアスコルビン酸を「2−アルキルAA」、3−O−アルキルアスコルビン酸を「3−アルキルAA」と略称する。他の化合物についても適宜略称するものとする。
[実施例1:2−ブチルAA]
実施例1として、2位に炭素数4のブチル基が結合しているAA誘導体を準備した。この誘導体は、2−O−ブチルアスコルビン酸であり、以下、2−ブチルAA(2-butylAA)と称する。
2−ブチルAAは、加藤他著、「Studies on scavengers of active oxygen species. 1.synthesis and biological activity of 2-O-alkylascorbic acids.」、Journal of Medicinal Chemistry, 31, 793- 798 (1988) を参照して以下のように製造した。
(5,6−イソプロピリデンAAの合成)
AAをアセトン(和光純薬工業株式会社)に溶解し、アセチルクロライド(和光純薬工業株式会社)を加えて40℃、1時間攪拌した。その後濾過、洗浄及び乾燥することで、5,6−イソプロピリデンAA(5,6-isopropilideneAA)を合成した。
(5,6−イソプロピリデン−3−メトキシメチルAAの合成)
5,6−イソプロピリデンAAをテトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(ナカライテスク株式会社)で溶解し、炭酸カリウム(和光純薬工業株式会社)を加えて30℃で10分攪拌した。攪拌後、クロロメチルメチルエーテル(和光純薬工業株式会社)を加え、30℃で3時間攪拌した。攪拌後、水を加えて反応を停止させ、反応液を1 M 塩化水素(和光純薬工業株式会社)で中和し、酢酸エチル(和光純薬工業株式会社)で分液を行った。酢酸エチル層を水で洗浄、脱水及び濃縮し、反応物として5,6−イソプロピリデン−3−メトキシメチルAA(5,6-isopropilidene-3-MOMAA)を得た。
(ブチル化)
5,6−イソプロピリデン−3−メトキシメチルAAをTHF、DMSO(Dimethyl sulfoxide)(和光純薬工業株式会社)で溶解し、炭酸カリウム、アルキル化剤としての1−ヨウ化ブタン(1-iodobutane)(東京化成工業株式会社)を加えて、50℃、2時間攪拌した。攪拌後、水を加えて反応を停止させ、反応液を1 M 塩化水素で中和し、酢酸エチルで分液を行った。酢酸エチル層を洗浄、脱水及び濃縮し、反応物を湿式充填したWakogel(登録商標)C-200カラム(和光純薬工業株式会社)に供し、ヘキサン(和光純薬工業株式会社)−酢酸エチル溶媒により溶出した。これにより、5,6−イソプロピリデン−3−メトキシメチル−2−ブチルAA(5,6-isopropilidene-3-MOM-2-butylAA)を得た。
(脱保護及び精製)
5,6−イソプロピリデン−3−メトキシメチル−2−ブチルAAをエタノールで溶解し、1 M 塩化水素を加えて80℃、1時間攪拌した。攪拌後、反応液を濃縮した。濃縮された反応物をDIAION(登録商標)HP20カラム(三菱化学株式会社)に供し、メタノール(和光純薬工業株式会社)−水溶媒により溶出した2−ブチルAAの溶出画分を濃縮し、残渣を得た。
得られた残渣をジイソプロピルエーテル(IPE)(和光純薬工業株式会社)と酢酸エチルの混合液により再結晶させ、2−ブチルAAを得た。得られた物質を核磁気共鳴スペクトル測定法、高分解能質量分析法(HRMS: high resolution mass spectrometry)等によって分析し、2−ブチルAAであることを確認した。
[実施例2:2−オクチルAA]
実施例2として、2位に炭素数8のオクチル基が結合しているAA誘導体を準備した。このAA誘導体は、2−O−オクチルアスコルビン酸であり、以下、2−オクチルAA(2-octylAA)と称する。
2−オクチルAAは、実施例1と同様に製造された。但し、アルキル化剤として1−ヨウ化オクタン(1-iodooctane)(東京化成工業株式会社)を用いた。2−オクチルAAの精製には、Wakogel(登録商標)C-200カラム及びヘキサン−酢酸エチル−メタノール溶媒を用いた。得られた物質を実施例1と同様に分析し、2−オクチルAAであることを確認した。
[実施例3:2−ドデシルAA]
実施例3として、2位に炭素数12のドデシル基が結合しているAA誘導体を準備した。この誘導体は、2−O−ドデシルアスコルビン酸であり、以下、2−ドデシルAA(2-dodecylAA)と称する。
2−ドデシルAAは、実施例1と同様に製造された。但し、アルキル化剤としては、1−ヨウ化ドデカン(1-iodododecane)(東京化成工業株式会社)を用いた。2−ドデシルAAの精製は、カラムによる溶出に替えて、酢酸エチルによって分液し、酢酸エチル層を水で洗浄、脱水及び濃縮し、得られた残渣を再結晶することにより行った。得られた物質を実施例1と同様に分析し、2−ドデシルAAであることを確認した。
[実施例4:2−ヘキサデシルAA]
実施例4として、2位に炭素数16のヘキサデシル基が結合しているAA誘導体を準備した。この誘導体は、2−O−ヘキサデシルアスコルビン酸であり、以下、2−ヘキサデシルAA(2-hexadecylAA)と称する。
2−ヘキサデシルAAは、実施例3と同様に製造された。但し、アルキル化剤として1−ヨウ化ヘキサデカン(1-iodohexadecane)(東京化成工業株式会社)を用いた。得られた物質を実施例1と同様に分析し、2−ヘキサデシルAAであることを確認した。
[実施例5:2−オクタデシルAA]
実施例5として、2位に炭素数18のオクタデシル基が結合しているAA誘導体を準備した。この誘導体は、2−O−オクタデシルアスコルビン酸であり、以下、2−オクタデシルAA(2-octadecylAA)と称する。
2−オクタデシルAAは、実施例3と同様に製造された。但し、アルキル化剤として1−ヨウ化オクタデカン(1-iodooctadecane)(東京化成工業株式会社)を用いた。得られた物質を実施例1と同様に分析し、2−オクタデシルAAであることを確認した。
[比較例1:3−ブチルAA]
比較例1として、3位に炭素数4のブチル基が結合しているAA誘導体を準備した。この誘導体は、3−O−ブチルアスコルビン酸であり、以下、3−ブチルAA(3-butylAA)と称する。
3-ブチルAAは、田井他著、「A simple efficient synthesis and biological evaluation of 3-O-ethylascorbic acid.」 Bioscience Biotechnology and Biochemistry, 12, 1984-1987 (2014) を参照して以下のように製造した。
L−アスコルビン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社)をDMSOに溶解し、50℃、10分攪拌した。攪拌後、アルキル化剤としての1−ヨウ化ブタンを加えて、50℃、3時間攪拌し、水を加えて反応を停止させた。反応液を、濃縮せずに直接DIAION(登録商標)HP20カラムに供し、メタノール−水溶媒により溶出し、3−ブチルAAの溶出画分を濃縮した。残渣を湿式充填したWakogel(登録商標)C-200カラムに供し、トルエン−アセトン溶媒により溶出した。3−ブチルAAの溶出画分を濃縮し、3−ブチルAAを得た。得られた物質を実施例1と同様に分析し、3−ブチルAAであることを確認した。
[比較例2:3−オクチルAA]
比較例2として、3位に炭素数8のオクチル基が結合しているAA誘導体を準備した。この誘導体は、3−O−オクチルアスコルビン酸であり、以下、3−オクチルAA(3-octylAA)と称する。
3−オクチルAAは、比較例1に準じて以下のように製造した。
L−アスコルビン酸ナトリウムをDMSOに溶解し、50℃、10分攪拌した。攪拌後、アルキル化剤としての1−ヨウ化オクタンを加えて、50℃、3時間攪拌し、水を加えて反応を停止させた。反応液を、酢酸エチルによって分液し、酢酸エチル層を水で洗浄、脱水及び濃縮した。反応物を湿式充填したWakogel(登録商標)C-200カラムに供し、トルエン−アセトン溶媒により溶出した。3−オクチルAAの溶出画分を濃縮し、3−オクチルAAを得た。得られた物質を実施例1と同様に分析し、3−オクチルAAであることを確認した。
[実施例6:3−ドデシルAA]
実施例6として、3位に炭素数12のドデシル基が結合しているAA誘導体を準備した。この誘導体は、3−O−ドデシルアスコルビン酸であり、以下、3−ドデシルAA(3-dodecylAA)と称する。
3−ドデシルAAは、比較例2と同様に製造された。但し、アルキル化剤としては、1−ヨウ化ドデカンを用いた。また、Wakogel(登録商標)C-200カラムを用いて溶出された3−ドデシルAAの溶出画分を濃縮した後、残渣をIPEにより再結晶することで、3−ドデシルAAを得た。得られた物質を実施例1と同様に分析し、3−ドデシルAAであることを確認した。
[実施例7:3−ヘキサデシルAA]
実施例7として、3位に炭素数16のヘキサデシル基が結合しているAA誘導体を準備した。この誘導体は、3−O−ヘキサデシルアスコルビン酸であり、以下、3−ヘキサデシルAA(3-hexadecylAA)と称する。
3−ヘキサデシルAAは、実施例6と同様に製造された。但し、アルキル化剤としては、1−ヨウ化ヘキサデカンを用いた。得られた物質を実施例1と同様に分析し、3−ヘキサデシルAAであることを確認した。
[実施例8:3−オクタデシルAA]
実施例8として、3位に炭素数18のオクタデシル基が結合しているAA誘導体を準備した。この誘導体は、3−O−オクタデシルアスコルビン酸であり、以下、3−オクタデシルAA(3-octadecylAA)と称する。
3−オクタデシルAAは、実施例6と同様に製造された。但し、アルキル化剤としては、1−ヨウ化オクタデカンを用いた。得られた物質を実施例1と同様に分析し、3−オクタデシルAAであることを確認した。
[比較例3:AA]
比較例3として、AAを準備した。AAは、製品名L−アスコルビン酸ナトリウムを和光純薬工業株式会社から購入した。
実施例1〜8及び比較例1〜3の化合物を用いて、以下の試験例1、試験例2及び試験例3を行った。
<試験例1:抗原刺激性脱顆粒抑制試験(実施例1〜8、比較例1〜3)>
まず、実施例1〜8及び比較例1〜3に係る化合物のI型アレルギーの症状を引き起こす肥満細胞の脱顆粒に対する作用を確認するため、ラット好塩基球性白血病細胞RBL-2H3を用いた抗原刺激性の脱顆粒抑制試験を行った。
(使用細胞)
本試験例で用いたラット好塩基球性白血病細胞(RBL-2H3)は、ヒューマンサイエンスセルバンク(JCRB)より購入した。実験に用いた細胞(RBL-2H3)はいずれも37℃、5% CO2の条件下で10% FBS(非働化済)含有DMEM培地により培養し、2-4日毎に継代培養を行った。FBS(Fetal bovine serum)(lot.No.42k9155k)はHyCloneより購入した。DMEM 培地は、Sigma-Aldrich Japanより購入し、100 U/mlペニシリンと100 μg/mlストレプトマイシン(いずれもナカライテスク株式会社)を添加して用いた。
(試薬類の調整)
抗体溶液は、マウスモノクローナル抗-DNP IgE抗体(Sigma-Aldrich Japan)をDulbecco's phosphate buffered saline (DPBS) (PBS(-))(Sigma-Aldrich Japan)に加え、250 μg/mlになるように調製された。その後、-30℃で保存し、使用時に、10% FBS含有DMEM 培地で500 ng/mlに希釈した。
MTバッファー(Modified Tyrode buffer)は、超純水に、137 mM塩化ナトリウム(和光純薬工業株式会社)、2.7 mM塩化カリウム(ナカライテスク株式会社)、1.8 mM塩化カルシウム(和光純薬工業株式会社)、1 mM塩化マグネシウム六水和物(和光純薬工業株式会社)、5.6 mM (+)-グルコース(和光純薬工業株式会社)、20 mM 2-[4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazinyl]ethanesulfonic acid (HEPES)(和光純薬工業株式会社)、及び0.1% 牛血清アルブミン (BSA)(ナカライテスク株式会社)を加えて溶解させ、水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社)でpH 7.3に調製された。調製されたMTバッファーは、4℃で保存され、使用時には、37℃に加温された。
抗原溶液は、Dinitrophenyl(DNP)-labeled Human serum albumin (HAS)(Sigma-Aldrich Japan)をDPBS(-)に加え、10 mg/mlになるように調製された。調製された抗原溶液は、4℃で保存され、使用時に上記MTバッファーで500 ng/ml(終濃度 50 ng/ml)に希釈された。
0.1% Triton溶液は、使用時に、Triton X-100(Sigma-Aldrich Japan)をMTバッファーで希釈し、0.1%に調製された。
基質溶液は、使用時に、3.3 mM p-nitrophenyl-2-acetamido-2-deoxy-β-D-glucopyranoside (PNAG)(和光純薬工業株式会社)を100 mMクエン酸buffer (pH 4.5)に加え、調製された。
酵素反応停止液 (2 M Glycine buffer)は、2 Mのグリシン溶液(和光純薬工業株式会社)を水酸化ナトリウムに加え、pH 10.4になるように調製された。
実施例1〜8及び比較例1,2の化合物は、いずれも、0.28% DMSOを含むMTバッファーにより所定の濃度に調製された。このように調製された実施例1〜8及び比較例1,2を、それぞれ本試験例におけるサンプルと称する。
また、ネガティブコントロールとして、化合物が添加されていない0.28% DMSOを含むMTバッファーを用いた(図1において、「control」と記載している)。
ポジティブコントロールとして、75 μM オキサトミド(oxatomide)(和光純薬工業株式会社)を用いた。オキサトミドは、H1受容体遮断薬及び炎症メディエーター遊離抑制薬として知られている。
(脱顆粒抑制活性の測定)
まず、セミコンフルエントになるまで培養された使用細胞を、0.05%トリプシン-0.02% EDTAで剥離して、96穴平底マルチプレート(NUNC, 167008)に5.0 x 104 cells/well/200 μlの密度で播種した。細胞を24時間培養した後、培養上清を除去し、抗体溶液を100μlずつ各ウェルに添加して、2時間、37℃、5% CO2の条件下でインキュベートし、細胞を感作させた。
インキュベート後、MTバッファーを用いて細胞層を2回洗浄し、各ウェルにサンプル溶液及びポジティブコントロールを90 μlずつ添加し、1時間、37℃、5% CO2の条件下でインキュベートした。
続いて、各ウェルに抗原溶液を10 μlずつ添加し、1時間インキュベートした後、10分間氷冷して反応を停止し、上清を回収した。この上清を、20 μlずつ測定用の96穴マイクロプレート(「WATSON(登録商標)」、深江化成株式会社)に分注した。分注された上清に100 μlの0.1% Triton溶液を添加し、撹拌(500 rpm, 5分)して細胞を破砕した。この細胞破砕液を20 μlずつ測定用96穴マイクロプレートに分注した。
続いて、各ウェルに基質溶液を40 μlずつ添加し、90分間、37℃の条件下で反応させた。反応後、40 μlの酵素反応停止液で酵素反応を停止し、発色させ、405 nmにおける吸光度を測定した(製品名「MULTISKAN FC」、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)。β-ヘキソサミニダーゼ放出率(脱顆粒率)は、以下の計算式により算出した。
脱顆粒率(%)
= [(SX-SY)/ {(SX-SY)+(CLX-CLY)}] x 100 - [(BSX-BSY)/{(BSX-BSY)+(BCLX-BCLY)}] x 100
S: 上清のβ-ヘキソサミニダーゼ放出量
CL: 細胞破砕液のβ-ヘキソサミニダーゼ放出量
X: 基質溶液、酵素反応停止液の順で添加した場合
Y: 酵素反応停止液、基質溶液の順で添加した場合
B: 抗体溶液及びサンプル未添加の細胞層を使用した場合
なお、Yは、サンプル自体の吸光度を差し引くために使用した。
(統計処理)
定量的データは、平均値+/−標準偏差で示した。
多群間の平均値の比較については、一元配置分散分析の後、Dunnett's testにて行い、危険率0.05未満を持って有意差ありと判定した。
(結果)
図1は、本試験例における2−アルキルAA及びAA(実施例1〜5及び比較例3)の結果を示すグラフであり、横軸はサンプル、縦軸は脱顆粒率(Degranulation ratio)を示す。各サンプルにおいては、左から順に50, 75, 100 μMの濃度の結果を示す。なお、棒グラフの数値は平均値を、各エラーバーは標準偏差を示す。
図1に示すように、実施例1〜5は、いずれも濃度依存的に脱顆粒の減少が見られたため、実施例1〜5に係る各化合物に脱顆粒抑制作用があることが確認された。
実施例1〜5は、アルキル基の炭素数が大きくなるに従い、高い脱顆粒抑制作用を示した。特に、実施例4(2−ヘキサデシルAA)及び実施例5(2−オクタデシルAA)のサンプルは、ネガティブコントロール(control)と比較して、有意な活性が認められた。これにより、2位のアルキル基の炭素数が16以上であることにより、高い脱顆粒抑制作用を発揮できることが確認された。
さらに、実施例5(2−オクタデシルAA)のサンプルは、ポジティブコントロールであるオキサトミドと同等の活性を発揮した。これにより、本発明の2−アルキルAAが十分に高い脱顆粒抑制作用を有することが確認された。
一方で、比較例3は、脱顆粒抑制作用が見られなかった。これにより、実施例1〜5に係る脱顆粒抑制作用は、代謝物であるAAによるものではなく、アルキル基が付加された本発明のアルキルアスコルビン酸自体によるものであると考えられる。
図2は、本試験例における3−アルキルAA(実施例6〜8並びに比較例1及び2)の結果を示すグラフであり、横軸はサンプル、縦軸は脱顆粒率(Degranulation ratio)を示す。各サンプルにおいては、左から順に50, 75, 100 μMの濃度の結果を示す。なお、棒グラフの数値は平均値を、各エラーバーは標準偏差を示す。
同図に示すように、実施例6〜8は、いずれもネガティブコントロール(control)と比較して脱顆粒の減少が見られ、実施例6〜8に係る各化合物に脱顆粒抑制作用があることが確認された。
特に実施例6(3−ドデシルAA)では、いずれの濃度も、ポジティブコントロールであるオキサトミドよりも高い活性を示した。これにより、炭素数が12程度のアルキル基が付加された本発明の3−アルキルAAは、非常に高い脱顆粒抑制作用を有することが確認された。
一方で、比較例1及び2は、脱顆粒抑制活性が見られなかった。これにより、炭素数が8以下の3−アルキルAAは、脱顆粒抑制作用を有さないことが確認された。
なお、本試験例では、肥満細胞のモデルとしてラット好塩基球性白血病細胞(RBL-2H3)を用い、脱顆粒率としてβ-ヘキソサミニダーゼ放出率を評価している。同細胞は、ケミカルメディエーターとして、β-ヘキソサミニダーゼの他、ヒスタミンも内包している。同細胞では、β-ヘキソサミニダーゼの放出量は、ヒスタミンの放出量とパラレルの関係であることから、β-ヘキソサミニダーゼ放出量を脱顆粒の指標として精度よく評価できるものと考えられる(Passante N他著、「The RBP-2H3 cell line: its provenance and suitability as a model for the mast cell.」、Inflammation Research, 58, 737-745 (2009) 参照)。
<試験例2:カルシウムイオノフォア刺激誘導性脱顆粒抑制試験(実施例4,5,6,7>
続いて、試験例1で特に高い脱顆粒抑制作用が見られた実施例4〜7のサンプルの脱顆粒機序を探るため、カルシウムイオノフォア刺激誘導性脱顆粒抑制試験を行った。
脱顆粒は、抗原刺激により細胞膜のシグナル分子が活性化されることで細胞内へのCa2+流入が促され、その結果生じた細胞内のCa2+濃度の上昇により引き起こされることが知られている。カルシウムイオノフォア(calcium ionophore A23187)は、細胞膜におけるCa2+の輸送を亢進させ、細胞外Ca2+を細胞内に流入させる作用を有する。
そこで、本試験例では、実施例4〜7のサンプルがカルシウムイオノフォア刺激誘導性の脱顆粒を抑制するか否か検討した。
(使用細胞及び試薬類の調製)
使用細胞については、試験例1と同様の細胞を用いた。
試薬類のうち、カルシウムイオノフォア溶液については、カルシウムイオノフォア(calcium ionophore A23187)(Sigma-Aldrich Japan)をDMSOに溶解し、50 mMに調製した。-30℃で保存し、使用時はMT バッファーで100 μM(終濃度10 μM)に希釈して用いた。
本試験例に用いたその他の試薬は、試験例1と同様に調製した。
(カルシウムイオノフォア刺激による脱顆粒抑制活性の測定及び統計処理)
0.05%トリプシン-0.02% EDTA溶液で剥離した細胞を、96穴平底マルチプレート(NUNC, 167008)に5.0 x 104 cells/well/200 μlの密度で播種した。細胞を24時間培養した後、MTバッファーで細胞層を2回洗浄し、各ウェルにサンプル溶液及びポジティブコントロールを90 μl添加した後、20分間、37℃、5% CO2の条件下でインキュベートした。
各ウェルに、カルシウムイオノフォア溶液を10 μlずつ添加し、1時間、37℃、5% CO2の条件下でインキュベートし脱顆粒を誘発させた。その後プレートを10分間氷冷し、反応を停止させた。上清を回収し、20 μlずつ測定用の96穴マイクロプレート(「WATSON(登録商標)」、深江化成株式会社)に分注した。
一方、細胞層に対しては、100 μlの0.1% Triton溶液を添加し、撹拌(500 rpm, 5分)して溶解した。この細胞破砕液を20 μlずつ測定用96穴マイクロプレートに分注した。
続いて、各ウェルに基質溶液を40 μlずつ添加し、90分間、37℃の条件下で反応させた。反応後、40 μlの酵素反応停止液(グリシンバッファー)で酵素反応を停止し、発色させ、405 nmにおける吸光度を測定した(製品名「MULTISKAN FC」、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)。β-ヘキソサミニダーゼ放出率(脱顆粒率)は、試験例1と同様の計算式により算出した。
統計処理については、試験例1と同様に行った。
(結果)
図3は、本試験例における結果を示すグラフであり、横軸はサンプル、縦軸は脱顆粒率(Degranulation ratio)を示す。各サンプルにおいては、左から順に25, 50, 75, 100 μMの濃度の結果を示す。なお、棒グラフの数値は平均値を、各エラーバーは、標準偏差を示す。
同図に示すように、実施例4〜7のサンプルは、いずれもカルシウムイオノフォア刺激誘導性の脱顆粒を抑制した。特に、実施例4〜6のサンプル、すなわち2−ヘキサデシルAA、2−オクタデシルAA、3−ドデシルAAでは、ポジティブコントロールのオキサトミドと同等以上の高い脱顆粒抑制作用が見られた。これらのうち実施例6の3−ドデシルAAでは、オキサトミドよりも高い脱顆粒抑制作用が見られ、非常に高い活性を有していることが確認された。
<試験例3:実施例5(2−オクタデシルAA)及び実施例6(3−ドデシルAA)の共添加による脱顆粒抑制試験>
アルキルAAの脱顆粒抑制機序をさらに探るため、本発明者は、アルキルAAを添加した場合における、抗原刺激時の細胞内のCa2+動態を経時的に測定した。その結果、2−アルキルAAの添加時にはCa2+濃度の上昇が認められたが、3−アルキルAAの添加時にはCa2+濃度の上昇が阻害されていた(図示せず)。
すなわち、2−アルキルAAは、抗原刺激時に細胞内のCa2+濃度を上昇させてしまうが、脱顆粒を抑制することはできる。一方で、3−アルキルAAは、抗原刺激時に細胞内のCa2+濃度を上昇させずに、脱顆粒を抑制する。このことから、2−アルキルAAと3−アルキルAAは、脱顆粒抑制の機序が異なることが示唆された。その場合、これらを共添加した場合、相加作用が見られるものと推察される。
そこで、本発明者は、実施例5の2−オクタデシルAAと実施例6の3−ドデシルAAを共添加し、抗原刺激による脱顆粒抑制について相加作用が見られるか評価した。
使用細胞については、試験例1と同様の細胞を用いた。
また、試薬類についても試験例1と同様に調製した。
脱顆粒抑制活性の測定及び統計処理についても、試験例1と同様に行った。
(結果)
図4は、本試験例における結果を示すグラフであり、横軸はサンプル、縦軸は脱顆粒率(Degranulation ratio)を示す。各サンプルにおいては、左から順に12.5, 25, 50, 75, 100, 150 μMの濃度の結果を示す。
同図に示すように、実施例5(2−オクタデシルAA)及び実施例6(3−ドデシルAA)をそれぞれ単独で25 μM添加した際には、実施例5(2−オクタデシルAA)では約10%、実施例6(3−ドデシルAA)では約25%の脱顆粒阻害率を示したのに対し、共添加では約40%の阻害率を示した。さらに、50μM添加時には、実施例5(2−オクタデシルAA)は約24%、実施例6(3−ドデシルAA)は約60%の脱顆粒阻害率を示したのに対し、共添加では、約81%の阻害率を示した。
この結果から、実施例5(2−オクタデシルAA)及び実施例6(3−ドデシルAA)の共添加により、脱顆粒抑制作用が相加されることが確認された。
なお、共添加において、100, 150 μMの濃度では、濃度依存的な減少は見られなかったが、いずれも有意な脱顆粒率の減少が見られた。
<試験例4:受動皮膚アナフィラキシー試験(Passive cutaneous anaphylaxis; PCA)(実施例5及び6)>
試験例1〜3の結果により、本発明のアルキルAAはin vitroにおいて抗アレルギー作用を有することが確認された。
そこで、本発明のアルキルAAがin vivoにおいても抗アレルギー作用を有するか、特に経口摂取された場合においても活性が維持されるか評価するため、実施例5(2−オクタデシルAA)及び実施例6(3−ドデシルAA)を用いたマウスPCAを行った。
PCA反応とは、抗体を皮内に投与した後、対応する抗原と色素を静脈内投与すると、抗体を皮内投与した部位に青色色素が露出する反応をいい、局所アナフィラキシーの一種である。PCA反応は、抗体と結合した肥満細胞が抗原刺激を受けてヒスタミン等のメディエーターを放出することにより血管透過性が亢進して起こる反応であると考えられており、I型アレルギーモデルとして用いられている。
(試薬類の調整)
0.9% 塩化ナトリウム水溶液は、0.9%となるように塩化ナトリウムを超純水に溶解させ、0.22 μmフィルターで濾過滅菌した。
抗体溶液は、マウスモノクローナル抗-DNP IgE抗体をDPBS (-) に加え、250 μg/mlになるように溶解させた。その後、-30℃で保存し、使用時に、0.9% 塩化ナトリウム水溶液で5 μg/mlに希釈した。
DNP-HAS溶液は、0.9% 塩化ナトリウム水溶液で希釈し(希釈後は遮光)、エバンスブルー溶液と混合して終濃度0.4 mg/mlとなるように調製した。
エバンスブルー溶液は、エバンスブルーを0.9% 塩化ナトリウム水溶液で希釈し、DNP-HAS溶液と混合して終濃度1%となるように調製した。
1 M水酸化カリウム水溶液は、1 Mとなるように水酸化カリウムを超純水に溶解した。
0.4 M リン酸水溶液は、0.4 Mとなるようにリン酸を超純水に溶解した。
アセトン-0.4 Mリン酸混合溶液は、アセトンと0.4 Mリン酸水溶液を13: 5の割合(v/v)で混合して調製した。
実施例5及び6の化合物は、いずれも、経口投与量100, 200 μmol/kgとなるように5% エタノール/DPBSに懸濁し、均一になるように混合した。このように調製された実施例5及び6を、それぞれ本試験例におけるサンプルと称する。
ポジティブコントロールとして、オキサトミドを経口投与量100 μmol/kgになるようにエタノール/DPBSに懸濁し、均一になるように混合した。
(使用動物)
JcI: ICR雄性マウス(7週齢)(日本SLCより購入)を用いた。恒温、恒湿の一定環境の飼育室で飼育し、固形飼料(CE-2)を一日5 g/mouseずつ与え、水道水は自由摂取させた。約一週間の予備飼育を行った後、実験に供した。
(PCA反応におけるエバンスブルー量の測定)
ICR系雄性マウスの耳介に、一箇所当たり20 μlずつ0.9% 塩化ナトリウム水溶液又は抗DNP-IgE抗体を麻酔下で皮下投与した。24時間後、麻酔下で、ネガティブコントロール群には5% エタノール/DPBSを、2−オクタデシルAA(実施例5)群及び3−ドデシルAA(実施例6)群にはサンプル溶液を、ポジティブコントロール(オキサトミド)群にはオキサトミド溶液を、それぞれ100または200 μmol/kg b.w.になるよう経口投与した。各群のマウスは、5又は6頭とした。この2時間後にDNP-HAS溶液を0.25 ml尾静脈投与した。30分後に頸椎脱臼により安楽死させ、両耳の皮膚中に漏出してくるエバンスブルー量を測定した。安楽死後の耳介は切断し、500 μlの1 M水酸化カリウム水溶液に浸漬させ、一晩かけて溶解させた(37℃)。その後、アセトン-0.4 Mリン酸混合溶液を3.75 ml加え、攪拌後、遠心(1000 x g, 20 min)し、上清の620 nmにおける吸光度を測定した。
(結果)
図5は、本試験例の結果を示すグラフであり、横軸はサンプル、縦軸はエバンスブルー(Evans blue)量[%]を示す。エバンスブルー量は、ネガティブコントロール(Control)におけるエバンスブルーの吸光度を100%とした場合の各群の吸光度の割合を示す。各サンプルにおいては、左から順に100, 200 μmol/kg b.w.の結果を示す。オキサトミドについては、100 μmol/kg b.w.の結果を示す。なお、棒グラフの数値は平均値を、各エラーバーは、標準偏差を示す。
同図に示すように、実施例5及び6とも、濃度依存的に有意な抑制活性を示した。また、ポジティブコントロールとして使用した抗アレルギー剤であるオキサトミドと比較しても、上記アルキルAAは、オキサトミドの2倍程度の濃度で、同程度の抑制活性が確認された。
以上の結果より、本発明のアルキルAAは、経口投与によっても抗アレルギー作用を有することが確認された。
<総括>
試験例1〜4の結果から、本発明の実施例1〜8に係るアルキルAAは、抗アレルギー作用としてメディエーター遊離阻害作用を有することが確認された。
試験例1の結果から、2−アルキルAAは、いずれのサンプルでもメディエーター遊離阻害作用を有することが確認されたが、アルキル基の長さが長くなるに従い、高いメディエーター遊離阻害作用を有することが確認された。特に、アルキル基の炭素数が16以上であれば、高いメディエーター遊離阻害作用を有することが確認された。
また、3−アルキルAAは、炭素数12の3−ドデシルAAと炭素数16のヘキサデシルAAで高いメディエーター遊離阻害作用を有することが認められ、炭素数18のオクタデシルAAでも同作用が認められた。このことから、3−アルキルAAは、炭素数12以上16以下のアルキル基を有する構成で高い活性を有することが確認され、炭素数10以上18以下のアルキル基を有すれば、メディエーター遊離阻害作用を有する。
試験例3の結果から、2−アルキルAAと3−アルキルAAの双方を用いることで、相加作用が生じることが確認された。同試験例では、2−アルキルAAとして2−オクタデシルAAを、3−アルキルAAとして3−ドデシルAAを用いた。試験例1の結果に鑑みれば、この例に限定されず、炭素数が4以上のアルキル基を有する2−アルキルAAと炭素数が10以上18以下のアルキル基を有する3−アルキルAAを共に有効成分として用いることで、メディエーター遊離阻害作用を有する抗アレルギー剤を提供することができる。
試験例4の結果から、2−オクタデシルAAと3−ドデシルAAが経口投与においてPCA反応を抑制することが確認された。試験例1の結果に鑑み、炭素数が4以上のアルキル基を有する2−アルキルAAと、炭素数が10以上18以下のアルキル基を有する3−アルキルAAは、いずれも、経口投与でI型アレルギーを抑制する作用を有するものと推認される。これにより、本発明のアルキルAAは、抗アレルギー作用及びメディエーター遊離抑制作用を有する内服薬の有効成分とすることができる。

Claims (6)

  1. 化合物(A)及び化合物(B)の少なくとも一方を有効成分として含有する抗アレルギー剤であって、
    前記化合物(A)は、
    一般式(1)
    (一般式(1)中、R1は炭素数4以上のアルキル基である)で表されるL−アスコルビン酸誘導体、その異性体、又は前記L−アスコルビン酸誘導体若しくはその異性体の薬学的に許容される塩であり、
    前記化合物(B)は、
    一般式(2)
    (一般式(2)中、R2は炭素数10以上18以下のアルキル基である)で表されるL−アスコルビン酸誘導体又はその異性体である
    抗アレルギー剤。
  2. 請求項1に記載の抗アレルギー剤であって、
    前記一般式(1)のR1は、炭素数16以上のアルキル基である
    抗アレルギー剤。
  3. 請求項1又は2に記載の抗アレルギー剤であって、
    前記一般式(2)のR2は、炭素数12以上16以下のアルキル基である
    抗アレルギー剤。
  4. 請求項1から3のうちいずれか一項に記載の抗アレルギー剤であって、
    前記化合物(A)及び前記化合物(B)を有効成分として含有する
    抗アレルギー剤。
  5. 化合物(A)及び化合物(B)の少なくとも一方を有効成分として含有するメディエーター遊離阻害剤であって、
    前記化合物(A)は、
    一般式(1)
    (一般式(1)中、R1は炭素数4以上のアルキル基である)で表されるL−アスコルビン酸誘導体、その異性体、又は前記L−アスコルビン酸誘導体若しくはその異性体の薬学的に許容される塩であり、
    前記化合物(B)は、
    一般式(2)
    (一般式(2)中、R2は炭素数10以上18以下のアルキル基である)で表されるL−アスコルビン酸誘導体又はその異性体である
    メディエーター遊離阻害剤。
  6. 化合物(A)及び化合物(B)の少なくとも一方を有効成分として含有し、抗アレルギー作用を有する内服薬であって、
    前記化合物(A)は、
    一般式(1)
    (一般式(1)中、R1は炭素数4以上のアルキル基である)で表されるL−アスコルビン酸誘導体、その異性体、又は前記L−アスコルビン酸誘導体若しくはその異性体の薬学的に許容される塩であり、
    前記化合物(B)は、
    一般式(2)
    (一般式(2)中、R2は炭素数10以上18以下のアルキル基である)で表されるL−アスコルビン酸誘導体又はその異性体である
    内服薬。
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