JP2019006111A - 苦味催吐性積層体 - Google Patents

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義浩 今井
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Abstract

【課題】本発明の課題は、苦味催吐性を有する層から他の層への苦味催吐剤の移行が防止された苦味催吐性積層体を提供する。【解決手段】本発明に係る苦味催吐性積層体は、基材1と、苦味催吐剤を含有する苦味催吐性塗膜2と、苦味催吐剤の移行を防止する移行防止層4とを含み、基材1と苦味催吐性塗膜2と移行防止層4とがこの順に積層された構造を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば薬、お菓子などの包装材料などとして使用される苦味催吐性積層体に関する。
錠剤や丸剤のような薬剤の包装手段、あるいはチョコレートのようなお菓子などの包装手段としては、例えば、特許文献1に記載のようなプレススルーパック包装などが挙げられる。このようなプレススルーパック包装に使用される包装材料には、誤飲を防止するために、苦味催吐剤を含有させることがある。
苦味催吐剤を含む包装材料は、例えばグラビア塗工機などで、包装材料用基材の表面に苦味催吐性を有する層を形成することによって得られる。包装材料は一般的に帯状のシートで得られるため、製造工程において巻き取られたり、巻き取った状態で保管されたりすることがある。このように、苦味催吐剤を含む包装材料を巻き取った状態にすると、苦味催吐性を有する層が他の層(例えば、包装材料用基材)と接触して、苦味催吐剤が他の層に移行することがある。そのため、苦味催吐剤が別の層に移行した包装材料は、誤って口に入れたとしても苦味を感じさせる効果が弱く、誤飲を十分に防止できない。さらに、苦味催吐剤が移行してきた層(面)は、例えば、接着層の形成を阻害して包装する際の接着性が乏しくなったり、包装される内容物に苦味催吐剤を移行させたりすることがある。
特開2014−94757号公報
本発明の課題は、苦味催吐性を有する層から他の層への苦味催吐剤の移行が防止された苦味催吐性積層体、およびこのような苦味催吐性積層体を製造する方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)基材と、苦味催吐剤を含有する苦味催吐性塗膜と、苦味催吐剤の移行を防止する移行防止層とを含み、基材と苦味催吐性塗膜と移行防止層とがこの順に積層された構造を有する苦味催吐性積層体。
(2)苦味催吐剤が、サッカリンデナトリウム、安息香酸デナトニウム、ジメトキストリキーネ、タンニン、センブリエキスおよびメトロキシンからなる群より選択される少なくとも1種の成分である上記(1)に記載の苦味催吐性積層体。
(3)苦味催吐性塗膜が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、湿気硬化型樹脂および紫外線・電子線硬化型樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の合成樹脂で形成されている上記(1)または(2)に記載の苦味催吐性積層体。
(4)移行防止層が水溶性高分子で形成されている上記(1)〜(3)のいずれかに記載の苦味催吐性積層体。
(5)基材が包装材料用基材である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の苦味催吐性積層体。
(6)基材の一方の表面に、苦味催吐剤および合成樹脂を含む苦味催吐性塗料組成物を塗布し、苦味催吐性塗料組成物を硬化若しくは固化させて、苦味催吐性塗膜を形成する工程と、苦味催吐性塗膜の表面に、移行防止組成物を塗布し、移行防止組成物を製膜させて、苦味催吐剤の移行を防止する移行防止層を形成する工程とを含む苦味催吐性積層体の製造方法。
(7)基材の一方の表面に、苦味催吐剤および合成樹脂を含む苦味催吐性塗料組成物を塗布し、苦味催吐性塗料組成物が硬化若しくは固化する前に、苦味催吐性塗料組成物の表面に移行防止組成物を塗布し、苦味催吐性塗料組成物を硬化若しくは固化させるとともに移行防止組成物を製膜させて、苦味催吐性塗膜および苦味催吐剤の移行を防止する移行防止層を形成する工程とを含む苦味催吐性積層体の製造方法。
本発明に係る苦味催吐性積層体によれば、苦味催吐性を有する層から他の層への苦味催吐剤の移行が防止される。さらに、本発明に係る苦味催吐性積層体の製造方法によれば、このような苦味催吐性積層体を得ることができる。例えば、このような苦味催吐性積層体を包装材料として使用すると、苦味催吐剤が他の層に移行していないため、包装する際の接着性は問題がなく、包装される内容物にも影響を及ぼさない。さらに、誤って口に入れたとしても苦味を感じさせることができ、誤飲防止効果も十分に発揮される。
本発明に係る苦味催吐性積層体の一実施形態を示す模式図である。
本発明の苦味催吐性積層体は、基材と、苦味催吐剤を含有する苦味催吐性塗膜と、苦味催吐剤の移行を防止する移行防止層とを含む。本発明の苦味催吐性積層体に含まれる基材は特に限定されない。このような基材としては、例えば、アルミニウム箔などのような金属箔、樹脂フィルム、紙、蒸着フィルムなどが挙げられる。さらに、これらを2種以上複合させた複合体、あるいは表面に文字、図、絵などが印刷された基材などであってもよい。基材の用途は特に限定されず、例えば、包装材料用基材などである。
苦味催吐剤を含有する苦味催吐性塗膜は、例えば、苦味催吐剤および合成樹脂を含む苦味催吐性塗料組成物から形成される。苦味催吐剤は、口に入れた際に苦味を感じさせる成分であれば特に限定されない。このような苦味催吐剤としては、例えば、サッカリンデナトリウム、安息香酸デナトニウム、ジメトキストリキーネ、タンニン、センブリエキス、メトロキシンなどが挙げられる。これらの中でも口の中でより苦味を感じさせやすい点で、サッカリンデナトリウム、安息香酸デナトニウム、タンニン、ジメトキストリキーネまたはセンブリエキスが好ましい。苦味催吐剤は、苦味催吐性塗料組成物中において、固形分換算で通常0.02〜30質量%程度、好ましくは0.05〜15質量%程度、より好ましくは1〜6質量%程度の濃度となるように添加される。苦味催吐剤は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
苦味催吐剤は、そのまま合成樹脂に分散させたり溶解させたりして使用してもよく、例えば、多孔質粉末に吸着させた状態で合成樹脂に分散させて使用してもよい。このような多孔質粉末としては、例えば、シリカ粉末、ゼオライト粉末、活性炭粉末、樹脂ビーズ粉末、フェライト粉末などが挙げられる。多孔質粉末は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
粉末の平均粒子径は特に限定されず、所望の塗膜の厚みに応じて適宜設定される。多孔質粉末は、通常0.001〜50μm程度、好ましくは0.01〜30μm程度、より好ましくは0.1〜12μm程度の平均粒子径を有する。例えば塗膜の厚みの1/100〜3倍程度、好ましくは1/10〜1.5倍程度、より好ましくは1/5〜1.2倍程度の平均粒子径の粉末が用いられる。多孔質粉末の形状は特に限定されず、球状、不定形(鱗片状を含む)などの形状が挙げられる。これらの形状の中でも口の中でより苦味を感じさせやすい点で、球状を有する多孔質粉末が好ましい(表1参照)。さらに、多孔質粉末の表面は無処理であってもよく、炭化水素系化合物あるいは無機化合物で処理したものであってもよい。
苦味催吐剤を多孔質粉末に吸着させる方法は特に限定されない。例えば、苦味催吐剤、溶剤および多孔質粉末を混合して、苦味催吐剤を多孔質粉末に吸着させればよい。具体的には、まず、苦味催吐剤を溶剤に溶解する。溶剤としては、苦味催吐剤を溶解し得る溶剤であれば限定されず、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール系溶剤が挙げられ、沸点の低いメタノール及びエタノールが苦味催吐剤をより塗膜表面付近に持ってきやすい為、最も好ましい。苦味催吐剤を溶解させた溶液に上記の多孔質粉末を添加して、例えば、撹拌しながら多孔質粉末に苦味催吐剤を吸着させればよい。苦味催吐剤と粉末との割合は、多孔質粉末に苦味催吐剤が十分に吸着すれば特に限定されず、適宜設定される。
苦味催吐性塗料組成物に含まれる合成樹脂は特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、湿気硬化型樹脂、紫外線・電子線硬化型樹脂などが挙げられる。合成樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂(例えば、t-ブチルアクリレート、グリシジルアクリレートなど)、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、アミノ樹脂(例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂など)、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、アルキド樹脂、フェノキシ樹脂などが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ビニル系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールなど)、ポリスチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体など)、ポリエチレン系樹脂(例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、ポリメチル(メタ)アクリレートなどのようなポリアルキル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体などのようなアルキル(メタ)アクリレートとスチレン類との共重合体など)、酢酸セルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、セルロイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
湿気硬化型樹脂としては、例えば、湿気硬化型シリコーン樹脂、湿気硬化型ポリウレタン樹脂、湿気硬化型アクリルシリコーン樹脂、湿気硬化型アクリルウレタン樹脂などが挙げられる。紫外線・電子線硬化型樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリエステル・アルキド樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテル・エポキシ樹脂、ウレタンビニルエーテル樹脂、ポリエステルビニルエーテル樹脂などが挙げられる。
苦味催吐性塗料組成物を調製する場合、必要に応じて溶剤が使用される。溶剤としては特に限定されず、例えば、トルエン、キシレンなどのような芳香族系炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのようなケトン類、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのようなアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのようなエステル類、シクロヘキサンなどのような脂肪族または脂環式炭化水素、エチレングリコールモノノルマルブチルエーテルなどのようなアルキレングリコールモノアルキルエーテル類などが挙げられる。溶剤は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
苦味催吐性塗料組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに他の添加剤が含まれていてもよい。このような他の添加剤としては、例えば、滑剤、可塑剤、レベリング剤、充填剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、減粘剤、増粘剤、硬化促進剤、顔料などが挙げられる。
移行防止層は、苦味催吐性塗膜に含まれる苦味催吐剤が他の層に移行するのを防止するために形成される。移行防止層は、例えば水溶性高分子を含む移行防止組成物から形成される。移行防止層は、苦味催吐剤の移行を防止する一方で、唾液で容易に溶解する必要がある。苦味催吐性積層体を誤って口に入れた際に苦味を感じさせるためには、移行防止層を除去しなければならないためである。
水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、食品添加物として認められている物質、摂取しても人体に影響を及ぼさない物質などが好ましい。このような水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、澱粉、デキストリン、プルラン、アルギン酸またはその塩、膠、ゼラチン、寒天、マンナン、ペクチン、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。水溶性高分子は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
移行防止組成物を調製する際、必要に応じて、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール系溶剤、水などを用いてもよい。さらに、移行防止組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、滑剤として脂肪酸炭化水素(流動パラフィン、合成パラフィン、石油系ワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス等)、高級脂肪酸、脂肪酸アルコール・ポリグリコール(グリセリン、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール等)、シリコーン油(ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等)など、可塑剤としてエポキシ化植物油(エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化ステアリン酸オクチル等)、脂肪酸エステル系可塑剤(クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジオクチル等)など、レベリング剤としてアクリルポリマー系、シリコーン系など、充填剤として酸化物(酸化鉄等)、水酸化物(水酸化カルシウム等)、炭酸塩(炭酸カルシウム等)、ケイ酸塩(ケイ酸マグネシウム等)、天然物(クレー、タルク、セルロース等)など、界面活性剤として非イオン性界面活性剤(グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)など、分散剤としてポリアクリル酸系、モノグリセライド系(グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート等)など、消泡剤としてシリコーン系、アルコール類(エタノール、イソプロピルアルコール等)など、減粘剤、増粘剤、硬化促進剤、顔料としてシリカなどの艶消し顔料などが挙げられる。これらの具体例は苦味催吐性塗料組成物の添加物としても用いられる。その場合、同じものでもよく、異なるものでもよい。
次に、本発明に係る苦味催吐性積層体の製造方法の一実施形態について説明する。一実施形態に係る製造方法は、まず、包装材料用基材などの基材を準備する。この基材の表面に苦味催吐性塗料組成物を塗布する。基材の表面に苦味催吐性塗料組成物を塗布する方法は特に限定されず、例えば、苦味催吐性塗料組成物に基材を浸漬させる方法、基材の表面に苦味催吐性塗料組成物を刷毛などで塗布する方法、基材の表面に苦味催吐性塗料組成物をグラビアコーター、バーコーター、ナイフコーターなどで塗布する方法、基材の表面に苦味催吐性塗料組成物を噴霧する方法などが挙げられる。苦味催吐性塗料組成物の塗布量は特に限定されず、乾燥後の質量が、例えば0.0005〜75g/m程度、好ましくは0.005〜45g/m程度、より好ましくは0.05〜18g/m程度となるように、苦味催吐性塗料組成物が塗布される。苦味催吐性塗料組成物の塗布量がこのような範囲であれば、例えば0.001〜50μm程度、好ましくは0.01〜30μm程度、より好ましくは0.1〜12μm程度の厚みを有する苦味催吐性塗膜が形成される。
苦味催吐性塗料組成物を乾燥させる方法は特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂組成物の場合、80〜180℃程度、好ましくは90〜170℃程度、より好ましくは100〜160℃程度の雰囲気下で乾燥させる。乾燥時間も特に限定されず、例えば、1〜60秒程度、好ましくは3〜30秒程度、より好ましくは5〜10秒である。特に、10秒以上乾燥させるような場合には、乾燥温度は低い方が好ましく、高くても160℃程度、好ましくは高くても150℃程度、より好ましくは高くても140℃程度である。このようにして、苦味催吐性塗料組成物が製膜し、基材の表面に苦味催吐剤を含有する苦味催吐性塗膜が形成される。
次いで、苦味催吐剤を含有する苦味催吐性塗膜の表面に、移行防止組成物を塗布する。苦味催吐性塗膜の表面に移行防止組成物を塗布する方法は特に限定されず、例えば、移行防止組成物に苦味催吐性塗膜を浸漬させる方法、苦味催吐性塗膜の表面に移行防止組成物を刷毛などで塗布する方法、苦味催吐性塗膜の表面に移行防止組成物をグラビアコーター、バーコーター、ナイフコーターなどで塗布する方法、苦味催吐性塗膜の表面に移行防止組成物を噴霧する方法などが挙げられる。移行防止組成物の塗布量は特に限定されず、乾燥後の質量が、例えば0.01〜10g/m程度、好ましくは0.05〜3g/m程度、より好ましくは0.1〜1.0g/m程度、さらに好ましくは0.1〜0.5g/m程度となるように、移行防止組成物が塗布される。移行防止組成物の塗布量がこのような範囲であれば、例えば0.006〜12μm程度、好ましくは0.03〜4μm程度、より好ましくは0.06〜2μm程度、さらに好ましくは0.06〜1μm程度の厚みを有する移行防止層が形成される(製膜される)。
移行防止組成物を乾燥させる方法は特に限定されず、例えば、100〜200℃程度、好ましくは110〜190℃程度、より好ましくは120〜180℃程度の雰囲気下で乾燥させる。乾燥時間も特に限定されず、例えば、3〜120秒程度、好ましくは5〜60秒程度、より好ましくは10〜30秒程度である。このようにして、苦味催吐剤を含有する苦味催吐性塗膜の表面に移行防止層が形成される。
本発明に係る苦味催吐性積層体は上述の方法によって得られるだけでなく、他の製造方法によっても得られる。本発明に係る苦味催吐性積層体の製造方法の他の実施形態としては、苦味催吐性塗料組成物が硬化する前に、苦味催吐性塗料組成物の表面に移行防止組成物を塗布する方法が挙げられる。すなわち、基材に塗布した苦味催吐性塗料組成物が完全に硬化する前に、苦味催吐性塗料組成物の表面に移行防止組成物を塗布してもよい。苦味催吐性塗料組成物が未硬化、半硬化状態や、未固化、半固化、固化状態で移行防止組成物を塗布し、苦味催吐性塗料組成物を硬化若しくは固化させるとともに移行防止組成物を製膜させることによって、形成される苦味催吐性塗膜と移行防止層との密着性がより向上する。なお、合成樹脂として熱可塑性樹脂を用いている場合は、苦味催吐性塗料組成物が完全に固化した状態で移行防止組成物を塗布しても、移行防止組成物を製膜させる際の乾燥工程で加えられる熱によって表面部分が柔らかくなる(軟化する)ため、苦味催吐性塗膜と移行防止層との密着性が向上する。
以上のような製造方法によって、例えば、図1に示すような苦味催吐性積層体が形成される。図1に示す苦味催吐性積層体は、基材1と苦味催吐性塗膜2と移行防止層4とがこの順に積層された構造を有している。この図1に示す苦味催吐性積層体において、苦味催吐性塗膜2に含まれる苦味催吐剤は多孔質粉末に吸着させて、苦味催吐剤を吸着させた多孔質粉末3として使用している。
苦味催吐剤(苦味催吐剤を吸着させた多孔質粉末3)は、苦味催吐性塗膜2に分散していれば、特に限定されない。好ましくは、苦味催吐剤(苦味催吐剤を吸着させた多孔質粉末3)は、図1に示すように苦味催吐性塗膜2の表面付近に少なくとも存在しているのが好ましい。苦味催吐剤が苦味催吐性塗膜2の表面付近に存在することによって、口の中でより苦味を感じさせやすくなる。苦味催吐剤の全てが苦味催吐性塗膜2の表面付近に存在している必要はなく、少なくとも一部の苦味催吐剤が苦味催吐性塗膜2の表面付近に存在していればよい。
以上のように、本発明に係る苦味催吐性積層体であれば、苦味催吐性を有する層から他の層への苦味催吐剤の移行が防止される。例えば、このような苦味催吐性積層体を包装材料として使用すると、苦味催吐剤が他の層、例えば基材1の裏面に設けたヒートシール層、接着層などに移行していないため、包装する際の接着性は問題がなく、包装される内容物にも影響を及ぼさない。さらに、誤って口に入れたとしても苦味を感じさせることができ、誤飲防止効果も十分に発揮される。したがって、本発明に係る苦味催吐性積層体は、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤などのような薬剤を包装するプレススルーパック包装、あるいはチョコレートのようなお菓子などの包装など、包装一般に好適に使用される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、ニトロセルロース樹脂を40質量%、アクリル樹脂を35質量%、およびアミノ樹脂を25質量%の割合で混合して、樹脂混合物を調製した。樹脂混合物とは別に、苦味催吐剤として安息香酸デナトニウムをエタノールに溶解して、安息香酸デナトニウムの10質量%溶液(苦味催吐剤溶液)を調製した。
次いで、富士シリシア化学(株)製のサイロスフェアC−1504(シリカ、平均粒子径4.5μm、表面処理無し、不定形)と苦味催吐剤溶液とを、20:80の質量比で混合して混合液を得た。得られた混合液には、安息香酸デナトニウムが吸着したサイロスフェアC−1504が含まれる。次いで、安息香酸デナトニウムの濃度が3質量%となるように、得られた混合液を樹脂混合物に添加した。さらに、その他の添加剤として滑剤を1質量%の濃度となるように、樹脂混合物に添加して苦味催吐性塗料組成物を得た。次いで、20μmの厚みを有するアルミニウム箔の片面に、得られた苦味催吐性塗料組成物を塗布した。苦味催吐性塗料組成物は、乾燥後に1.2〜1.7g/mとなるように塗布した。アルミニウム箔に塗布された苦味催吐性塗料組成物を100℃で10秒間加熱乾燥させ、アルミニウム箔の片面に、苦味催吐剤を吸着させたシリカを含む苦味催吐性塗膜を形成した。
次いで、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと水とイソプロピルアルコールとを3:20:77の質量比で混合した移行防止組成物を調製した。苦味催吐性塗膜の表面に、得られた移行防止組成物を塗布した。この移行防止組成物は、乾燥後に0.1g/mとなるように塗布した。苦味催吐性塗膜に塗布された混合物を180℃で10秒間加熱乾燥させ、苦味催吐性塗膜の表面に移行防止層を形成した。このようにして、アルミニウム箔、苦味催吐性塗膜および移行防止層を含む苦味催吐性積層体を形成した。
(実施例2)
アルミニウム箔に塗布された苦味催吐性塗料組成物を120℃で10秒間加熱乾燥させた以外は、実施例1と同様の手順でアルミニウム箔、苦味催吐性塗膜および移行防止層を含む苦味催吐性積層体を形成した。
(実施例3)
アルミニウム箔に塗布された苦味催吐性塗料組成物を140℃で5秒間加熱乾燥させた以外は、実施例1と同様の手順でアルミニウム箔、苦味催吐性塗膜および移行防止層を含む苦味催吐性積層体を形成した。
(実施例4)
アルミニウム箔に塗布された苦味催吐性塗料組成物を140℃で10秒間加熱乾燥させた以外は、実施例1と同様の手順でアルミニウム箔、苦味催吐性塗膜および移行防止層を含む苦味催吐性積層体を形成した。
(実施例5)
アルミニウム箔に塗布された苦味催吐性塗料組成物を160℃で5秒間加熱乾燥させた以外は、実施例1と同様の手順でアルミニウム箔、苦味催吐性塗膜および移行防止層を含む苦味催吐性積層体を形成した。
(実施例6)
アルミニウム箔に塗布された苦味催吐性塗料組成物を180℃で5秒間加熱乾燥させた以外は、実施例1と同様の手順でアルミニウム箔、苦味催吐性塗膜および移行防止層を含む苦味催吐性積層体を形成した。
(実施例7)
アルミニウム箔に塗布された苦味催吐性塗料組成物を120℃で10秒間加熱乾燥させ、苦味催吐性塗膜に塗布された移行防止組成物の塗布量を乾燥後に0.3g/mとなるようにした以外は、実施例1と同様の手順でアルミニウム箔、苦味催吐性塗膜および移行防止層を含む苦味催吐性積層体を形成した。
(実施例8)
苦味催吐性塗膜に塗布された移行防止組成物を180℃で15秒間加熱乾燥させた以外は、実施例7と同様の手順でアルミニウム箔、苦味催吐性塗膜および移行防止層を含む苦味催吐性積層体を形成した。
(実施例9)
苦味催吐性塗膜に塗布された移行防止組成物の塗布量を乾燥後に0.2g/mとなるようにした以外は、実施例7と同様の手順でアルミニウム箔、苦味催吐性塗膜および移行防止層を含む苦味催吐性積層体を形成した。
実施例1〜9で得られた苦味催吐性積層体について、苦味催吐性塗膜と移行防止層との密着性および苦味催吐剤の移行の有無を、下記の手順で評価した。結果を表1に示す。
<密着性>
形成した積層体を硝子板上に置いた状態で、幅18mm、長さ15cmのセロハンテープをコート面(移行防止層面)に置き、セロハンテープの上から親指の腹で強く3回押しつけた後、一方の手でコート面を押さえ、他方の手でセロハンテープの端を持ち、コート面と引っ張られたセロハンテープとの角度が180度となるようにして、セロハンテープを強く引っ張り塗膜の剥離度合いを見る。
5:全く剥離しない。
4:1/4剥離する。
3:1/2剥離する。
2:3/4剥離する。
1:全面剥離する。
<移行の有無>
形成した積層体を幅5cm×長さ5cmに切ったものを試料とし、移行有無の評価をする被着体を幅5cm×長さ4cmに切り、試料の移行防止層面と被着体の評価面を組み合わせた試験体を2枚のガラス板に挟み、スプリング式加圧器にセットし、ネジを廻して0.1MPaの加重がかかる様に調整し、40℃に設定されている恒温器に入れ、48時間後取り出し放冷後、被着体の評価面を舐めることにより苦み成分の移行有無を見る。
○:苦み無し
×:苦み有り
Figure 2019006111
苦味催吐性塗料組成物に熱硬化性樹脂を用いた実施例において、苦味催吐性塗料組成物が上記乾燥温度及び時間で未硬化あるいは半硬化状態の塗膜上に、移行防止組成物を塗布し、移行防止組成物を上記乾燥温度及び時間で製膜させる時に、同時に苦味催吐性塗料組成物を硬化させることによって、形成される苦味催吐性塗膜と移行防止層との密着性が良好な結果が得られた。
1 基材
2 苦味催吐性塗膜
3 苦味催吐剤を吸着させた多孔質粉末
4 移行防止層

Claims (7)

  1. 基材と、苦味催吐剤を含有する苦味催吐性塗膜と、苦味催吐剤の移行を防止する移行防止層とを含み、基材と苦味催吐性塗膜と移行防止層とがこの順に積層された構造を有する苦味催吐性積層体。
  2. 前記苦味催吐剤が、サッカリンデナトリウム、安息香酸デナトニウム、ジメトキストリキーネ、タンニン、センブリエキスおよびメトロキシンからなる群より選択される少なくとも1種の成分である請求項1に記載の苦味催吐性積層体。
  3. 前記苦味催吐性塗膜が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、湿気硬化型樹脂および紫外線・電子線硬化型樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の合成樹脂で形成されている請求項1または2に記載の苦味催吐性積層体。
  4. 前記移行防止層が水溶性高分子で形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の苦味催吐性積層体。
  5. 前記基材が包装材料用基材である請求項1〜4のいずれかに記載の苦味催吐性積層体。
  6. 基材の一方の表面に、苦味催吐剤および合成樹脂を含む苦味催吐性塗料組成物を塗布し、
    苦味催吐性塗料組成物を硬化若しくは固化させて、苦味催吐性塗膜を形成する工程と、
    苦味催吐性塗膜の表面に、移行防止組成物を塗布し、
    移行防止組成物を製膜させて、苦味催吐剤の移行を防止する移行防止層を形成する工程と、
    を含む苦味催吐性積層体の製造方法。
  7. 基材の一方の表面に、苦味催吐剤および合成樹脂を含む苦味催吐性塗料組成物を塗布し、
    苦味催吐性塗料組成物が硬化若しくは固化する前に、苦味催吐性塗料組成物の表面に移行防止組成物を塗布し、
    苦味催吐性塗料組成物を硬化若しくは固化させるとともに移行防止組成物を製膜させて、苦味催吐性塗膜および苦味催吐剤の移行を防止する移行防止層を形成する工程、
    を含む苦味催吐性積層体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019006985A (ja) * 2017-06-21 2019-01-17 株式会社リーダー 苦味催吐性塗膜
GB2588839A (en) * 2019-07-15 2021-05-12 Johnson Matthey Plc Process

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