JP6261292B2 - 内容物付着防止蓋材およびその製造方法 - Google Patents

内容物付着防止蓋材およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、主として食品類の包装用容器に適用されるヒートシール蓋材、更に具体的には、ヨーグルト、ゼリー、プリン、ジャム等の包装用のカップ状容器に適用される内容物付着防止性を備えたヒートシール蓋材に関する。
この種の熱封緘用蓋材は、一般にフィルムや紙等のベース素材に、アルミニウム箔あるいはアルミニウム蒸着フィルム等の機能性フィルムを貼り合わせた積層体を基材層として、その片面にヒートシール剤からなる熱封緘層を設けたものとなされている。そして、この蓋材をコーヒー飲料やヨーグルト等の被包装物を充填したカップ状の容器本体の上面開口に被せて、周縁部を容器本体の上縁フランジ部上に熱融着することによって密封包装物を形成するものとなされている。
従って、かかる蓋材においては、良好なヒートシール性、密封性と、開封のための適当な易剥離性が求められるのと同時に、内容物の非付着性、即ち容器の内面側の蓋材裏面に内容物が付着するのを防止しうるものであることが望まれる。蓋材の裏面に内容物が付着すると、開封時に手指や衣服、あるいは周辺を汚すおそれがあると共に、内容物の棄損による無駄を生じ、あるいは付着物を剥がし取る手間がかかり、更には不潔感を催す等の不利益を生じるためである。
このような要請に対し、従来、内容物付着防止性能を付与するための効果的な手段として、熱封緘層の外面に疎水性シリカなどの疎水性無機微粒子からなる付着防止層を形成するものとする、下記特許文献1〜3に示すような先行技術が提案されている。
特許第4348401号公報 特開2011−03315号公報(段落[0010][0018]) 特開2012−180118号公報
上記特許文献1(特許第4348401号公報)に示される先行技術は、熱封緘層の外面に極めて微細な疎水性シリカ等の疎水性酸化物微粒子による三次元網目状構造の多孔質層を形成するというものである。即ち、疎水性酸化物微粒子として、合成シリカ、なかでも特に乾式法で製造されるシリカ微粒子を代表例とする一次粒子平均径が3〜100nmというような超微細な疎水性酸化物微粒子を用い、これをアルコール等の溶媒に分散させたコート液として塗布したのち、乾燥させることによって熱封緘層上に前記疎水性酸化物微粒子による付着防止層を形成するものである。
しかしながら、この先行技術においては、概して疎水性酸化物微粒子による付着防止層の熱封緘層に対する結合力ないし密着力が弱く、特にそれを最も一般的なラッカータイプの熱封緘層を備えた蓋材に適用した場合、わずかな外力で付着防止層が容易に脱落し易く、付着防止効果が経時的に長期に安定しないという難点があった。
また、特許文献2(特開2011−03315号公報)に示す先行技術は、熱封緘層に有機成分および無機成分の少なくとも1種を含む充填粒子を含有させることによって該熱封緘層の表面を凹凸状に形成し、その凹部に疎水性酸化物微粒子を凝集状態で入り込ませることで、付着防止層の熱封緘層に対する密着力を向上させようとするものである。
しかしながら、この先行技術では、熱封緘層の表面の全域に亘って必ずしも所期するような安定した疎水性無機微粒子の密着性向上効果を発揮させることができず、特に、熱封緘層内への充填粒子の分散に不均一を生じると、粒子の分散密度の低い部分において部分的に付着防止層の脱落の危険が高くなるという問題があった。
更にまた、特許文献3(特開2012−180118号公報)に示す先行技術は、熱封緘層を特定の酸変性ポリオレフィン樹脂と、ワックスと粘着付与剤とを必須成分として含む樹脂組成物で構成することにより、該樹脂組成物の無機微粒子に対する接着力を利用して、付着防止層の密着性を高めようとするものである。
この先行技術は、ある程度の所期効果を実現しうるものであるが、粒子の熱封緘層に対する接着が物理的なものではないことから、依然として粒子の脱落の危険を残す点で必ずしも十分な満足度が得られるものではなかった。
本発明は、従来技術における上記のような問題点に鑑み、その改善をはかること、具体的には、所要の良好なヒートシール性能および内容物付着防止性能を維持しつつ、付着防止効果を発現する疎水性無機粒子の熱封緘層に対する密着性を高めて、上記内容物付着防止効果の安定持続性を向上しうるものとなすことを目的とする。
本発明は、上記の目的において、特に疎水性無機微粒子と熱封緘層との密着性不良の問題に対し、熱封緘層を特定のラッカータイプの樹脂組成物で構成することにより、疎水性酸化物微粒子による付着防止性能を良好に維持しながら、熱封緘層に対する粒子の密着性不良の問題をも画期的に改善できることを見出すことにより完成し得たものである。
即ち、本発明は、付着防止層を、疎水性無機微粒子をアルコールに分散させて塗布し乾燥させる手法で形成することを前提として、その下地面となる熱封緘層を特定の樹脂組成物で構成することを主たる特徴点とするものであり、具体的には下記の構成を要旨とする。
[1]少なくとも基材層と熱封緘層とを有し、該熱封緘層の外面に、疎水性無機微粒子をアルコールに分散させて塗布する方法で形成した内容物付着防止層が設けられた蓋材において、
前記熱封緘層が、アクリル変性ウレタン樹脂を主成分として含み、かつ前記アルコールに対して可溶である樹脂組成物からなることを特徴とする内容物付着防止蓋材。
[2] 前記熱封緘層を形成するアクリル変性ウレタン樹脂の分子量が、20,000〜60,000である前項[1]に記載の内容物付着防止蓋材。
[3] 前記熱封緘層を形成するアクリル変性ウレタン樹脂の酸価が、3.0〜7.0KOHmg/gである前項[1]または[2]に記載の内容物付着防止蓋材。
[4] 前記疎水性無機微粒子が疎水性シリカである前項[1]〜[3]のいずれか1項に記載の内容物付着防止蓋材。
[5] 前記疎水性無機微粒子は、平均粒径1nm〜5,000nmである前項[1]〜[4]のいずれか1項に記載の内容物付着防止蓋材。
[6] 前記付着防止層は、疎水性無機微粒子の塗布量が0.2〜1.0g/mである前項[1]〜[5]のいずれか1項に記載の内容物付着防止蓋材。
本発明は、前記[1]項の構成において、熱封緘層の外面に疎水性シリカ等の疎水性酸化物微粒子をアルコールに分散させた分散液の状態で塗布し乾燥させることによって内容物付着防止層を形成することを前提とするものであるから、それによって形成される付着防止層のそれ自体が前記特許文献1〜3に記載されているような固有の優れた内容物付着防止性能を有する。
しかも該付着防止層の下面側に隣接して位置する熱封緘層が、アクリル変性ウレタン樹脂を主成分として含む樹脂組成物からなり、しかも前記アルコールに対して可溶である樹脂組成物で構成されていることにより、熱封緘層上に付着防止層を形成するにあたって、疎水性無機微粒子をアルコールに分散させた分散液に状態で熱封緘層上に塗布した段階で、熱封緘層の表面部が溶解し、アルコールを揮散させる乾燥工程を経て前記微粒子の一部が熱封緘層の表層部内に埋め込み固着される。従って、疎水性無機微粒子の凝集層からなる付着防止層が熱封緘層に強固に密着固定されたものとなり、その付着防止性能を長期間に亘って良好に維持することができる。即ち、輸送中における容器の内容物との接触や熱封緘工程におけるガイドローラなどの装置類との接触によって外力を受けることがあっても、付着防止層の剥落、脱落を効果的に抑制ないし防止でき固有の優れた付着防止性能を長期間に亘って良好に持続することができる。
また、前記[2]項に記載のように、前記熱封緘層を形成するアクリル変性ウレタン樹脂として、分子量20,000〜60,000のものを選択使用することにより、アルコールに対する適度の可溶性を保有させることができ、前記の優れた付着防止性能とその長期持続性を確実に発揮することができる。
また、前記[3]項に記載のように、前記熱封緘層を形成するアクリル変性ウレタン樹脂として、酸価3.0〜7.0KOHmg/gのものを選択使用することにより、このことによってもアルコールに対する適度の可溶性を保有させることができ、前記の優れた付着防止性能とその長期持続性能をさらに確実に発揮することができる。
また、前記[4]項に記載のように、前記疎水性無機微粒子に疎水性シリカを選択使用するときは、市場から入手し易い比較的安価な材料をもって、優れた内容物付着防止効果を達成することができる。
また、前記[5]項に記載のように、前記疎水性無機微粒子として平均粒径1nm〜5,000nmの範囲のものを選択使用することにより、市場から入手可能な粒径1nm以上の微粒子を用いながら、付着防止層の形成工程で該微粒子の一部を確実に熱封緘層の表層部内に埋め込み状態に固定し良好な密着性を確保することができ、ひいては前記の優れた付着防止性能とその長期持続性を確実に享受することができる。
また、前記[6]項に記載のように、前記付着防止層における疎水性無機微粒子の塗布量を0.2〜1.0g/mの範囲に設定制御することにより、さらに一層前記の優れた付着防止性能とその長期持続性を確実に享受することができる。
図1は本発明による内容物付着防止蓋材の構成を模式的に示した断面図である。
図1は、本発明に係る内容物付着防止蓋材の積層構成の一例を示す。該蓋材は、ヒートシール用の蓋材であり、基材層(1)の外面、即ち施蓋使用時に容器本体の内部に向く側の面に熱封緘層(2)が設けられ、さらに該熱封緘層(2)の外面に付加的に疎水性無機微粒子(3a)からなる内容物付着防止層(3)が形成されたものである。上記の積層構成は前記特許文献1〜3に示した従来の付着防止蓋材のそれと同様である。
上記基材層(1)は、例えばポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニルなどの樹脂フィルムやラミネート紙をベース素材として、これに必要に応じてガスバリヤ性や遮光性などを付与するためにアルミニウムなどの金属箔や金属蒸着フィルム等の機能性フィルムを積層したものが用いられるのが一般的であるが、本発明の適用に関してこの基材層の構成は何ら限定されるものではない。
熱封緘層(2)は、基材層(1)および容器側との接着性が良好なものでなくてはならないが、本発明においては特に該熱封緘層(2)が後述するようにアクリル変性ウレタン系ヒートシール材によって構成されることを必須とする。
即ち、本発明においては特に、該熱封緘層(2)が、アクリル変性ウレタン樹脂を主成分として含む樹脂組成物、即ちアクリル変性ウレタン系ヒートシール剤であり、かつ付着防止層(3)の形成工程で分散媒ないし溶媒に用いるアルコールに対して可溶であるものを用いて構成されることを必要とする。ここに用いられるアクリル変性ウレタン樹脂は、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルのようなアクリルモノマーを希釈剤として、有機イソシアネートとポリオールをウレタン化反応させる方法によって製造される公知のものである。
後掲の実施例に示されるように、アルコールに可溶なアクリル変性ウレタン系ヒートシール剤を用いて熱封緘層を構成することにより、従来一般的に用いられてきたアクリル系ヒートシール剤や塩化ビニル−酢酸ビニル系ヒートシール剤を用いる場合に較べて、顕著に熱封緘層(2)上に形成される付着防止層(3)の密着性、つまり疎水性無機微粒子(3a)の熱封緘層(2)に対する固定力を強固なものとし、その剥落、脱落を確実に抑制ないし防止しうるものとなすことができる。
この効果は、次の事象によって達成されるものと考えられる。
即ち、本発明において付着防止層(3)は、後述するようにアルコールに分散させた疎水性無機微粒子(3a)の分散液を塗布し、これを乾燥させることによって形成されるものであることを前提とする。従って、上記分散液を塗布した段階で、アクリル変性ウレタン系ヒートシール剤からなる熱封緘層(2)の表面部が上記分散液のアルコール溶媒によって部分溶解される。そのため、[図1]に模式的に示すように、塗布液の乾燥工程を経て付着防止層(3)を形成する疎水性無機微粒子(3a)の、特に下層部に存在する微粒子の一部が、熱封緘層(2)の表面部に適当に埋まり込み、該層に強固に接着固定される。
本発明は上記のようなメカニズムで付着防止層の密着力を強化するものであるから、熱封緘層(2)に用いるアクリル変性ウレタン系ヒートシール剤は、アルコールに対して適度な溶解度を示すものであることが重要である。
ここに、上記の溶解度を決定づける支配的要素としては、接着成分としての主成分をなすアクリル変性ウレタン樹脂の分子量および酸価が挙げられる。従って、それらが適値の範囲内に設定制御されたものを用いることが必要である。
即ち、使用するアクリル変性ウレタン樹脂は、分子量(数平均分子量)が20,000〜60,000であり、酸価が3.0〜7.0KOHmg/gに設定されたものであることが望ましい。分子量が20,000未満、あるいは酸価が7.0KOHmg/gを超えるものである場合には、アルコールに対するアクリル変性ウレタン樹脂の溶解度が高すぎるものとなるため、付着防止層(3)の形成工程において熱封緘層(2)が過度に溶解し、疎水性無機微粒子(3a)が熱封緘層に埋没してしまう傾向が強くなり、ひいては疎水性微粒子の露出表面積が減少して付着防止性能の低下を招くおそれがある。逆に、分子量が60,000を超えて高すぎたり、あるいは酸価が3.0KOHmg/g未満と低すぎるものである場合には、疎水性無機微粒子(3a)の熱封緘層表面部への埋め込み固定が不十分なものとなり、結果的に付着防止層(3)の密着性の向上効果に十分な満足度が得られない。内容物付着防止性能と密着性のバランスを考えると、分子量が30,000〜50,000、酸価が4.0〜6.0KOHmg/gの範囲のものを用いることが特に好ましい。
付着防止層(3)は、疎水性無機微粒子(3a)の凝集層からなるものであり、本発明においてはそれが特に疎水性無機微粒子をアルコール溶媒に分散させたコート液を熱封緘層(2)の外面に均一塗布し、乾燥させる手法によって形成されたものである。
上記の疎水性無機微粒子(3a)は、蓋材の内容物付着防止性能の支配的役割を担うものであり、20mN/m以上の表面エネルギーを有する疎水性物質からなるものであればその材料は特に限定されない。具体的に例示すれば、疎水性のシリカ、アルミナ、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等の疎水性無機微粒子を挙げることができる。なかでも、疎水性能、コスト、超微粒子材料の市場からの入手のし易さ等の観点から、疎水性シリカやアルミナの使用が好適である。疎水性シリカは、乾式法シリカ及び湿式法シリカのいずれでも好適に用いることができる。
但し、疎水性無機微粒子(3a)の平均粒径は、1〜5,000nmの範囲のものを用いるべきである。平均粒径が1nmの未満の超微粒子は、市場からの入手が困難であり、またコストの面からも不利である。他方、平均粒径が5,000nmを超えるものでは、付着防止層(3)の形成工程において該微粒子が熱封緘層(2)に埋め込まれにくく、付着防止層(3)の密着性が低下するおそれがある。好ましい平均粒径は3〜3000nm程度の範囲である。
また、疎水性無機微粒子(3a)としては、特に疎水性湿式シリカ粒子を用いることが好ましく、その場合、粒径として2000〜3000nmのものを用いることが好ましい。
付着防止層(3)の形成は、上述のように分散媒ないし溶剤中に疎水性無機微粒子の所定量を均一に分散させてコート液(分散液)を調製し、これを蓋材本体の熱封緘層(2)の外面に塗布し、乾燥させることによって行われるものであるが、ここに使用する上記コート液の調製のための分散媒ないし溶媒としては、コスト、安全性、撥水性の発現効果等の面からアルコールが用いられる。中でも特にメタノール、エタノールを用いることが好ましい。
コート液の塗工は、公知の任意の方法を採用しうる。例えば、グラビアコート法、吹き付け、バーコート法等を任意に採用しうる。
また疎水性無機微粒子の塗布量は、乾燥後重量で0.2〜1.0g/mの範囲とすることが好ましく、0.4〜0.6g/mがより好ましい。0.2g/m未満の場合には、内容物付着防止効果が不十分になるおそれがある。他方、1.0g/mを超えると微粒子の脱落のおそれが生じるため好ましくない。
塗布後の乾燥工程も良好な付着防止層を形成するための一つの要素をなす。もとより自然乾燥させても良いが、生産性、熱封緘層との密着性を高めるためには加熱乾燥させることが有利である。その場合の乾燥条件としては、温度60〜150℃、時間5〜60秒の範囲に設定するべきである。温度が上記下限値60℃より低いと乾燥工程に時間がかかり、時間が5秒未満では乾燥が不十分なものとなり、その後の取扱いにおいて付着防止層の部分的剥離や脱落を生じ易い。反面、乾燥温度を150℃を超える高い温度に設定したり、あるいは時間を60秒を超える時間に設定すると、殊に疎水性無機微粒子に疎水性乾式シリカのような平均粒径の小さい超微粒子を用いる場合、それのもつ疎水性、撥水性が損なわれ易い傾向がみられる。
次に、本発明の効果を確認するために、その各種の実施例を比較例及び対照例との対比において示す。
(蓋材本体の作製)
ベース素材として55g/mのコート紙を用い、その片面に厚さ16μmのアルミニウム蒸着PETフィルムをポリウレタン系ドライラミネート接着剤により貼合わせ、基材層(1)とした。
次に、上記基材層(1)のアルミニウム蒸着PETフィルム側の表面にウレタン系アンカーコート剤を1g/m塗布したのち、更にその上にアクリル変性ウレタン系ヒートシール剤を5.5g/m塗布することにより熱封緘層(2)を形成した。これによって得られた基材層(1)/熱封緘層(2)の積層体をもって蓋材本体とした。
ここに、上記熱封緘層(4)としては、アクリル変性ウレタン樹脂の分子量および酸価を、分子量15,000〜70,000、および酸価2.0〜8.0KOHmg/gの範囲で種々の組み合わせに変化させたものとし、後記表1、2に示すような各種の樹脂組成物を使用した。
一方、性能比較のために、ヒートシール剤として従来から汎用されているアクリル系ヒートシール剤(株式会社T&K TOKA社製、「PPZ-3000DG」)および塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなるヒートシール剤(東洋インキ株式会社製、「MF−672MF HSワニス」)を用い、それぞれを前記同様の基材層(1)上に各々塗布量5.5g/mの割合で塗布し熱封緘層(2)を形成したものを作成し、それらを蓋材本体の比較試料とした。
(付着防止層の形成)
疎水性無機微粒子として平均粒子径2,700nmの疎水性シリカ粒子を使用し、これをエタノール中に均一分散させてコート液を作製した。そして、このコート液を、前記により得た各種の蓋材本体に対し、その前記熱封緘層の外面にグラビアコート法で塗布し、かつ温度100℃×時間30秒の条件で乾燥して乾燥後の塗布量が0.5g/mとなる付着防止層を形成し、各種の試験用試料を作成した。
そして、得られた各種試料を用いて、下記の性能評価試験を行った。
(評価試験)
(1)付着防止性能
各試料の蓋材の裏面、即ち付着防止層の外面上に、アロエヨーグルト(森永乳業株式会社製 商標「森永アロエヨーグルト」)を約0.5mlの液滴として滴下し、試料をゆっくりと傾けたときに上記液滴が「転がりはじめたときの傾斜角度」を測定して、次の基準で判定評価した。
◎・・・15度以下
○・・・16度以上30度以下
×・・・31度以上
(2)密着性
各試料の蓋材の付着防止層の面に、黒い布を巻き付けた重り(500g)を垂直に載せ、ゆっくりと200mmの距離に亘って擦り、布の表面に付着した微粒子の有無を目視で検査した。
そして、黒い布への疎水性無機微粒子の転移付着量(剥離量)により下記の評価基準で判定評価した。
◎・・・ほとんど付着なし
○・・・許容範囲と認められる僅かな付着あり
×・・・明らかに多くの付着あり
上記(1)〜(2)の各評価試験の結果を、[表1][表2]に示す。
なお、表中の評価項目欄に示す「−」の記号は、近接試料の評価結果から結果が明らかに予測できることにより、「該当試料を作製しなかった」ことを示す。
Figure 0006261292
Figure 0006261292
[表1]の「付着防止性能」の試験結果に示すように、アルコールに対する溶解度が好
適範囲に設定制御されたアクリル変性ウレタン樹脂系ヒートシール剤、即ち分子量20,000〜60,000、酸価3.0〜7.0KOHmg/gの範囲に設定されたアクリル変性ウレタン樹脂系ヒートシール剤を熱封緘層に用いた本発明による内容物付着防止蓋材においては、従来汎用されているアクリル系ヒートシール剤や塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系ヒートシール剤を用いた場合に較べて、ヨーグルト液滴が転がり移動を始める時の試料の傾斜角度が明らかに小さく、いずれも優れた付着防止効果を発現するものであることを確認し得た。このことは、ヨーグルト、プリン、ゼリー等の粘稠な液体成分を含むような内容物を充填した容器に当該蓋材を熱封緘した場合において、蓋材裏面への該内容物の付着防止効果に優れたものであることを示す。
しかも、[表2]の「密着性」試験の結果に示すように、上記同様の本発明による内容物付着防止蓋材においては、従来汎用されているアクリル系ヒートシール剤や塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系ヒートシール剤を用いたものに較べて、疎水性無機微粒子による付着防止層の密着性が良好で、不本意な疎水性無機微粒子の分離脱落、付着防止層の部分剥離等のおそれがなく、長期に亘って内容物付着防止性能を安定に維持しうること、即ち付着防止性能の持続性に優れることを確認し得た。
1・・・基材層
2・・・熱封緘層
3・・・付着防止層
3a・・疎水性無機微粒子

Claims (8)

  1. 少なくとも基材層と熱封緘層とを有し、該熱封緘層の外面に、疎水性無機微粒子をアルコールに分散させて塗布する方法で形成した内容物付着防止層が設けられた蓋材において、
    前記熱封緘層が、アクリル変性ウレタン樹脂を主成分として含み、かつ前記アルコールに対して可溶である樹脂組成物からなり、
    前記熱封緘層を形成するアクリル変性ウレタン樹脂は、数平均分子量が20,000〜60,000であり、酸価が3.0〜7.0KOHmg/gであることを特徴とする内容物付着防止蓋材。
  2. 前記疎水性無機微粒子が疎水性シリカである請求項1に記載の内容物付着防止蓋材。
  3. 前記疎水性無機微粒子は、平均粒径1nm〜5,000nmである請求項1または2に記載の内容物付着防止蓋材。
  4. 前記付着防止層は、疎水性無機微粒子の塗布量が0.2〜1.0g/m2である請求項1〜のいずれか1項に記載の内容物付着防止蓋材。
  5. 数平均分子量が20,000〜60,000であり、酸価が3.0〜7.0KOHmg/gであるアクリル変性ウレタン樹脂を主成分として含み、かつアルコールに対して可溶である樹脂組成物からなる熱封緘層に基材層が積層されてなる蓋材本体の前記熱封緘層の外面に、アルコールに疎水性無機微粒子を分散させた分散液を塗布し、乾燥させることによって、前記熱封緘層の外面に内容物付着防止層を形成することを特徴とする内容物付着防止蓋材の製造方法。
  6. 前記疎水性無機微粒子が疎水性シリカである請求項に記載の内容物付着防止蓋材の製造方法。
  7. 前記アルコールは、メタノールまたはエタノールである請求項5または6に記載の内容物付着防止蓋材の製造方法。
  8. 前記乾燥を60〜150℃の温度で加熱することにより行う請求項のいずれか1項に記載の内容物付着防止蓋材の製造方法。
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