JP5705657B2 - 内容物付着防止蓋材 - Google Patents

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Description

本発明は、主として食品類の包装用容器に適用されるヒートシール蓋材、更に具体的には、ヨーグルト、ゼリー、プリン、ジャム等の包装用のカップ状容器に適用される内容物付着防止性を備えた蓋材に関する。
この種の熱封緘用の蓋材は、一般に基材フィルムとアルミニウム箔との積層からなる基材層のアルミ箔面側に、中間樹脂層を介してヒートシール層、即ち熱封緘層を設けたものとなされ、ヨーグルト等の被包装物を充填したカップ状の容器本体の上面開口に被せて、周縁部を容器本体の上縁フランジ部上に熱融着することによって密封包装物を形成するものとなされている。
従って、かかる蓋材においては、良好なヒートシール性、密封性と、開封時のための適当な易剥離性が求められるのと同時に、内容物の非付着性、即ち容器の内面側の蓋材裏面に内容物が付着するのを防止しうるものであることが望まれる。蓋材の裏面に内容物が付着すると、開封時に手指や衣服、あるいは周辺を汚すおそれがあると共に、内容物の棄損による無駄を生じ、あるいは付着物を剥がし取る手間がかかり、更には不潔感を催す等の不利益を生じるためである。
そこで、従来、内容物付着防止性能を備えた蓋材について、下記特許文献1〜6に示されるような種々の提案がなされてきた。
特開2002−37310号公報 特開2007−153385号公報 特開2008−100736号公報 特開2009−73523号公報 特開2009−241943号公報 特許第4348401号公報
上記特許文献1〜3に示す先行技術は、基材の片面の熱封緘層に、付着防止効果を有する非イオン界面活性剤又は疎水性添加物、あるいはワックス等を添加するものであり、熱封緘層そのものに付着防止性能を付与しようとしているものであるが、いずれも未だ所期する内容物付着防止効果の点で不満足なものでしかなかった。
また、特許文献4〜5の先行技術は、熱封緘層の外面(容器側の面)に、別途内容物付着防止層を付加形成するというものであり、該付着防止層をワックスと、その中に分散された固体微粒子充填剤との組成物で構成するものである。これらの先行技術は、前記特許文献1〜3の先行技術に比べて内容物付着防止効果は一段と改善されるが、それでも未だ十分とはいえないのに加えて、ワックス中に充填剤を分散させているものであるため、熱封緘層のヒートシール性に悪影響を及ぼして密封性が不安定なものになりやすい懸念があった。
更に、特許文献6に示される先行技術は、熱封緘層の外面に、極めて微細な疎水性シリカ等の酸化物微粒子による三次元網目状構造の多孔質層を形成するというものである。
この先行提案技術は、内容物付着防止効果の点では非常に優れた効果を奏し得るものの、付着防止層が耐熱性に劣り、好ましくない熱履歴を受けた場合に付着防止効果が損なわれ易いという難点があった。即ち、疎水性微粒子として、合成シリカ、なかでも特に乾式法で製造されるシリカ微粒子を代表例とする一次粒子平均径が3〜100nmというような超微細な疎水性酸化物微粒子を用いるものであり、これを最も一般的なホットメルトタイプの熱封緘層を備えた蓋材の内容物付着防止層に適用した場合、付着防止層の形成工程における微粒子分散液の塗工後の乾燥時において、加熱温度が高すぎたり乾燥時間が長くなると、内容物付着防止効果が著しく損なわれる。また微粒子分散液の塗布ムラにより乾燥状態に差が生じ、塗布量の多いところが乾燥するまでの間に塗布量の少ない領域部分が過度に熱せられることになると、その部分の内容物付着防止効果が部分的に損なわれる恐れがあった。更にまた、ヨーグルト、ゼリー、プリン等の容器への充填シール時においても、待機中あるいはヒートシール中に蓋材が熱板から受けるいささか過酷な熱影響によっても、内容物付着防止効果が損なわれる恐れがあり、特にヒートシール部周辺、即ち容器のフランジ部近傍領域において内容物付着防止効果が他の部分に較べて相対的に著しく低下してしまうことが懸念されていた。このため、蓋材の製造時及びヒートシール時の温度管理がいささか厄介であり、取扱いが困難であるという難点があった。
さらに、上記先行提案技術は、微細な疎水性無機微粒子層からなる付着防止層が、ヒートシール部において容器本体と蓋材の熱封緘層との間に介在する夾雑物となるため、ヒートシール性が損なわれる危惧がある。この点、上記先行技術文献6の記載では、疎水性無機微粒子はヒートシール時に溶融軟化する熱封緘層の中に入り込み、埋没してしまうことから、ヒートシール性を阻害しないものとされているが、付着防止層における疎水性無機微粒子の分布密度は、微粒子分散液の塗布工程において必然的にかなり大きなバラツキを生じ易い。このため、疎水性無機微粒子の塗布量の多い部分と少ない部分との間で封緘強度や開封強度が大きく異なるものとなり、強度分布が安定しないという新たな実用上の問題点が派生してきている。
一方、このような問題点の解消ないし軽減のため、ヒートシール温度を高めに設定することで疎水性無機微粒子を熱封緘層中に完全に取り込むものとするときは、ヒートシール時に蓋材が熱板から受けるいささか過酷な熱影響が増大して、内容物付着防止効果が益々損なわれるおそれがあり、特に容器のフランジ部近傍領域における内容物付着防止効果が他の部分に較べて相対的に著しく低下してしまうことが懸念される。
本発明者らは、このような付着防止層の熱的な影響による性能劣化の問題に対し、その原因の解明のために鋭意実験と研究を重ねたところ、付着防止層そのものの組成や組織構造に起因するというより、むしろその下地層である熱封緘層の成分組成に1つの重大な原因があることを突きとめるに至った。
即ち、上記のような耐熱性の低下、即ち付着防止効果の熱安定性の低下は、乾燥時に受ける熱や、充填シール時に熱板から直接受ける熱、さらには待機中に熱板から受ける輻射熱等の影響で熱封緘層のホットメルト接着剤が溶融すると、微細な疎水性酸化物微粒子がホットメルト接着剤の中に沈み込んだり、あるいは微粒子間の隙間にホットメルト接着剤の溶融成分が毛細管現象で入り込んで粒子間を埋めてしまい、撥水性表面積を減殺してしまうことで内容物付着防止効果が充分得られなくなるものであることを見出すに至り、このような知見に基づいて本発明を完成し得たものである。
本発明は、従来技術における上記のような諸問題に鑑み、それらの更なる改善をはかること、更に具体的には、良好なヒートシール性、密封性、開封時のための適当な易剥離性と同時に、比較的低い温度でシール可能でありながら、夾雑シール性に優れ、しかも内容物付着防止性能の熱安定性にも優れた効果を発現する新たな改善技術を提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成する手段として、内容物付着防止蓋材について次の[1]〜[8]項の手段を提示する。
なお、以下において、軟化点は、環球法(JIS K6863 に準拠)により求め、融点はDSC法(JIS K7121 に準拠)により求めたものである。
[1]少なくとも基材層と熱封緘層とを有し、該熱封緘層の外面に疎水性無機微粒子を主成分として含む内容物付着防止層が設けられた蓋材において、
前記熱封緘層が、エチレン−不飽和エステル共重合体、ワックス、および粘着付与剤を必須成分として含む樹脂組成物からなり、
前記エチレン−不飽和エステル共重合体が、
190℃のメルトフローレート(以下「MFR」と略記)50〜500g未満/10分、不飽和エステル含有量20〜40wt%のエチレン−不飽和エステル共重合体からなる第1成分(I)と、
190℃のMFR10〜50g未満/10分、不飽和エステル含有量10〜30wt%のエチレン−不飽和エステル共重合体からなる第2成分(II)と、
190℃のMFR500〜5000g/10分、不飽和エステル含有量10〜30wt%のエチレン−不飽和エステル共重合体からなる第3成分(III)との3成分の組合せからなり、
前記ワックスおよび粘着付与剤の軟化点または融点が80〜130℃であり、
前記樹脂組成物の軟化点が90〜160℃、160℃における溶融粘度が2000〜4000mPa・sに設定されてなることを特徴とする内容物付着防止蓋材。
[2]前記樹脂組成物の配合割合が、
前記第1成分(I);10〜40wt%、
前記第2成分(II);1〜20wt%、
前記第3成分(III);1〜20wt%、
ワックス;10〜50wt%
粘着付与剤;5〜40wt%
からなることを特徴とする前項[1]に記載の内容物付着防止蓋材。
[3]前記エチレン−不飽和エステル共重合体が、
190℃のMFR80〜300g/10分、不飽和エステル含有量25〜35wt%のエチレン−不飽和エステル共重合体からなる第1成分(I)と、
190℃のMFR15〜30g/10分、不飽和エステル含有量15〜25wt%のエチレン−不飽和エステル共重合体からなる第2成分(II)と、
190℃のMFR800〜3000g/10分、不飽和エステル含有量15〜25wt%のエチレン−不飽和エステル共重合体からなる第3成分(III)との3成分の組合せからなることを特徴とする前項[1]または[2]に記載の内容物付着防止蓋材。
[4]前記ワックスおよび粘着付与剤の軟化点または融点が90〜120℃であることを特徴とする前項[1]〜[3]のいずれか1項に記載の内容物付着防止蓋材。
[5]前記樹脂組成物の軟化点が100〜140℃、160℃における溶融粘度が2000〜3500mPa・sであることを特徴とする前項[1]〜[4]のいずれか1項に記載の内容物付着防止蓋材。
[6]前記疎水性微無機粒子が疎水性シリカである前項[1]〜[5]のいずれか1項に記載の内容物付着防止蓋材。
[7]前記疎水性無機微粒子は、平均粒径1nm〜5,000nmである前項[1]〜[6]のいずれか1項に記載の内容物付着防止蓋材。
[8]前記付着防止層が、疎水性無機微粒子と、熱可塑性樹脂微粒子との混合組成物からなる前項[1]〜[7]のいずれか1項に記載の内容物付着防止蓋材。
本発明は、前記[1]項の構成において、熱封緘層の外面に疎水性シリカ等の疎水性無機微粒子による内容物付着防止層を形成したものであることにより、それ自体が前記特許文献6に記載されているような固有の優れた内容物付着防止性能を有する。
しかも該付着防止層に隣接する熱封緘層が、エチレン−不飽和エステル共重合体、ワックス、および粘着付与剤を必須成分として含む樹脂組成物からなり、前記エチレン−不飽和エステル共重合体が、190℃MFR50〜500g未満/10分、不飽和エステル含有量20〜40wt%のエチレン−不飽和エステル共重合体からなる第1成分(I)と、190℃のMFR10〜50g未満/10分、不飽和エステル含有量10〜30wt%のエチレン−不飽和エステル共重合体からなる第2成分(II)と、190℃のMFR500〜5000g/10分、不飽和エステル含有量10〜30wt%のエチレン−不飽和エステル共重合体からなる第3成分(III)との3成分の組合せからなり、かつ前記ワックスおよび粘着付与剤の軟化点または融点が80〜130℃であり、前記樹脂組成物の軟化点が90〜160℃、160℃における溶融粘度が2000〜4000mPa・sに設定された樹脂組成物が用いられていることにより、好ましい低温ヒートシール性を維持しながら熱封緘層の溶融粘度の上昇を低く抑えることで夾雑シール性を向上しうると共に、付着防止性能の熱安定性を顕著に向上し得て、容器本体への封緘使用後においても上記の優れた内容物付着防止効果を良好に維持しうる。
このような付着防止性能の熱安定性の向上効果は、本発明者らの考察によれば、次のような現象によって達成されているものと考えられる。即ち熱封緘層の外面に付加して設けられた内容物付着防止層が疎水性シリカ等の疎水性無機微粒子の層によって形成されているものであることとの関係において、該微粒子分散液の塗工後の乾燥時の加熱、あるいは内容物充填後の容器シール時の待機中に受ける熱板からの輻射熱、更にはヒートシール時に直接熱板から受ける熱影響等によっても、樹脂組成物中のワックスや粘着付与剤等の低融点成分が早期かつ過度に溶融して高い流動性を発現するのを抑制ないし防止しうる。即ち、樹脂組成物の軟化点が高いことでその溶融を遅らせることができ、また抑制することができる。その結果、付着防止層の疎水性無機微粒子が、不本意に熱封緘層中に沈み込んだり、あるいは微粒子間の隙間に熱封緘層の溶融成分が毛細管現象で入り込んで上記隙間を埋めてしまうのを防止しうる。従って、上記微粒子の疎水性表面の露出面積の極端な減少を防いで、良好な内容物付着防止効果を維持しうるものと考えられる。
さらに、疎水性無機微粒子が容器本体と蓋材の熱封緘層との間に介在する夾雑物となることに対し、熱封緘層の軟化点を上げつつも溶融粘度の上昇を低く抑えるものとしたことにより、具体的にはヒートシール温度を考慮した160℃における溶融粘度を4000mPa・s以下に抑えるものとしたことにより、ヒートシール時において熱封緘層の溶融後においては疎水性無機微粒子がシール圧力を加えられている部分において該熱封緘層内に容易かつ迅速に入り込む。即ち、熱封緘層内に無機微粒子を取り込み易い。従って、夾雑シール性に優れ、さほどシール時の温度を上げる必要なくシールできる。つまり低温ヒートシール性を阻害しない。ひいてはまた、このことにより熱封緘層の軟化点を90℃以上としたことによる前述の熱安定性の向上効果を最大限に発揮できる。
これらの特性は、熱封緘層の接着成分としての主剤をなすエチレン−不飽和エステル共重合体として、相互にMFRを異にする前記3成分(I)(II)(III)を併用し、かつワックス及び粘着付与剤にそれらの軟化点または融点が比較的高い80〜130℃の範囲にあるものを選択使用することによって、好適かつ確実に達成できる。
特に、エチレン−不飽和エステル共重合体に前記第3成分(III)を配合することで、付着防止の熱安定性を損なうことなく、160℃における溶融粘度を低く誘導することができる。
また、上記のような諸効果は、熱封緘層の樹脂組成物の配合割合を、前記[2]項に記載のような範囲に設定することで、より一層確実かつ良好に享受することができる。
また、前記[3]項に記載のように、前記エチレン−不飽和エステル共重合体に、190℃のMFR80〜300g/10分、不飽和エステル含有量25〜35wt%の第1成分(I)と、190℃のMFR15〜30g/10分、不飽和エステル含有量15〜25wt%の第2成分(II)と、190℃のMFR800〜3000g/10分、不飽和エステル含有量15〜25wt%の第3成分(III)との3成分を併用することにより、前記[I]の構成によって奏しうる付着防止性能の熱安定性の向上効果、夾雑シール性および、低温ヒートシール性の改善効果を一層良好に達成しうる。
また、前記[4]項に記載のように、前記ワックスおよび粘着付与剤にそれらの軟化点または融点が90〜120℃の範囲であるものを用いることにより、前記[3]項による効果をより確実に達成しうる。
更にまた、前記[5]項に記載のように、前記樹脂組成物の軟化点が100〜140℃、160℃における溶融粘度が2000〜3500mPa・sであることで上記諸効果を一層確実かつ良好に享受することができる。
軟化点を高く設定し過ぎると溶融時の粘度が高くなるため、後述するように好ましくは140℃以下に設定すべきであり、さらに好ましくは130℃以下、最も好ましくは120℃以下に設定することが望ましい。一方、同様の理由で溶融粘度も、160℃における溶融粘度で、好ましくは2000〜3500mPa・sに設定することが望ましい。
また、前記[6]項に記載のように疎水性無機微粒子に疎水性シリカを選択使用するときは、市場から入手し易い比較的安価な材料をもって、優れた内容物付着防止効果を達成することができる。
また、前記[7]項に記載のような平均粒径を有する疎水性無機微粒子を用いることにより、愈々市場から入手しやすい比較的安価な材料を用いて、前記のような内容物付着防止効果を一層確実に実現することができる。
更にまた、前記[8]項に記載のように、付着防止層を主成分である疎水性無機微粒子と、熱可塑性樹脂微粒子との混合組成物からなるものとすることにより、熱可塑性樹脂微粒子によって疎水性無機微粒子相互間の結合力を補うと同時に、それの熱封緘層に対する密着性をも向上し、不本意な粒子の脱落、付着防止層の剥落を防いで長期に亘り安定した内容物付着防止効果を維持しうる。加えて、付着防止層への上記熱可塑性樹脂微粒子の含有により、これが熱封緘層のヒートシール性を補うべく作用し、疎水性無機微粒子群の介在にかかわらず蓋材の容器本体に対する良好で安定した、適度なヒートシール性、つまり易開封性と封緘性とが調和した好適な密封性を確保しうる。
図1は本発明による内容物付着防止蓋材の積層構成の概要を示す断面図である。
図1は、本発明に係る内容物付着防止蓋材の積層構成の一例を示す。該蓋材は、基材フィルム層(2)と金属箔層(3)との積層からなる基材層(1)と、該基材層(1)の金属箔(3)側の外面、即ち施蓋使用時に容器本体の内部に向く側の面に中間樹脂層(4)を介して熱封緘層(5)が設けられている。上記の積層構成は従来の蓋材のそれと同様であり、基材層(1)と熱封緘層(5)とを含む積層体をここでは「蓋材本体」と呼称することとする。
本発明に係る内容物付着防止蓋材は、上記蓋材本体の熱封緘層(5)の外面に、更に付加的に付着防止層(6)を有するものである。
基材フィルム層(2)は、包装容器の表側に配置されるもので、その材料としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、セルロースアセテート、セロハンなどの単層または複合フィルム、あるいはこれらのフィルムを紙などにラミネートしたものなどを例示することができる。基材フィルム層(2)は通常適宜印刷(7)が施されて意匠性が付与される。
金属箔層(3)は、ガスバリヤ性、遮光性などを付与するものであり、多くはアルミニウム箔が用いられる。特にヨーグルトの容器用の蓋材にあっては、遮光性、軽量性を満足するものとして厚さ5〜50μm程度のアルミニウム箔が好適に用いられる。また、基材フィルム層(2)との積層接着には一般的な接着剤が用いられる。
なお、基材層(1)として、金属箔層(3)を使用せずに、アルミニウムやシリカ等の金属又は酸化物を基材フィルム層(2)に蒸着した蒸着フィルムを使用することも可能である。
中間樹脂層(4)は、基材層(1)と熱封緘層(5)との間に介在して、蓋材に所定の剛性やヒートシール時のクッション性を付与するものであり、適宜必要に応じて設けられる。一般的には厚さ5〜40μmのポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のオレフィン樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等が用いられる。
熱封緘層(5)は、中間層樹脂層(4)および容器側との接着性が良好なものでなくてはならない。本発明において該熱封緘層は、エチレン−不飽和エステル共重合体、ワックス、および粘着付与剤を必須成分として含む樹脂組成物からなる。
かかる成分組成の樹脂組成物を熱封緘層として用いること自体は、従来公知であるが、従来一般に汎用されている当該樹脂組成物は、比較的低軟化点のものが用いられていた。例えば、最も一般的には軟化点65℃〜75℃程度の樹脂組成物が用いられていた。また、高軟化点のものは高粘度であった。
このような技術的背景下において、本発明では、先ず、熱封緘層(5)の高軟化点化と同時に、溶融時の低粘度化をはかることを意図し、具体的には、上記樹脂組成物の軟化点が90〜160℃、好ましくは100〜140℃、更に好ましくは110〜130℃であって、かつ160℃での溶融粘度が2000〜4000mPa・s、好ましくは2000〜3500mPa・sのものとすることを特徴事項とする。このような比較的高軟化点でしかも所定の溶融粘度を有する樹脂組成物を熱封緘層に用いることにより、前述したように熱封緘層の外面側に付加形成される疎水性無機微粒子による付着防止層の撥水性、ひいては付着防止性の熱安定性を顕著に向上しうるものである。
軟化点が160℃を超えて高すぎる樹脂組成物の使用は、熱封緘層の低温ヒートシール性、夾雑シール性を阻害するおそれがあるため、排除される。好ましくは軟化点140℃以下に設定すべきである。更に好ましくは130℃以下、最も好ましくは120℃以下のものとすることが望ましい。
一方、溶融粘度も、160℃でのそれが4000mPa・sを超えて高すぎると、夾雑シール性を阻害する。逆に2000mPa・s未満では、付着防止性能の熱安定性が悪くなる傾向がみられる。従って、好ましくは上記のように、ヒートシール時の一般的な加熱温度を考慮した160℃での溶融粘度において2000〜3500mPa・s、更に好ましくは2500〜3000mPa・sの範囲に設定したものとすることが望ましい。
ところで、熱封緘層に用いる樹脂組成物の上記のような軟化点の設定及び溶融粘度の設定は、当該組成物を構成する各成分の選択と組合せによることのほか、各成分の配合組成比の調整によって行うことが望ましい。
ここに、本発明は、樹脂組成物の高軟化点化をはかりながら、溶融粘度を可及的低く抑えるという、技術常識的にはジレンマを伴う特異な要請に対して、ワックス及び粘着付与剤に比較的高い融点または軟化点を有するものを選択使用することに加えて、接着成分であるエチレン−不飽和エステル共重合体に、相互にメルトフローレート(MFR)および不飽和エステル含有量の異なる第1〜第3の3つの成分(I)(II)(III)を組み合わせて用いることで対応するものとした点に、もう1つの主要な特徴点を有するものである。
即ち、先ずワックスとしては融点が80〜130℃、好ましくは90〜120℃のものを用い、粘着付与剤としても、融点または軟化点が同じく80〜130℃、好ましくは90〜120℃のものを用いる。
このような比較的高融点(80℃以上)のワックスおよび粘着付与剤を含有する樹脂組成物を熱封緘層に用いることにより、前述したように熱封緘層の外面側に付加形成される疎水性無機微粒子による付着防止層の撥水性、ひいては付着防止性の熱安定性を顕著に向上しうる。
即ち、130℃を超えて融点または軟化点が高すぎるワックスおよび粘着付与剤の使用は、樹脂組成物の粘度が高くなって加工適性が低下する恐れがあり、熱封緘層の安定した良好なヒートシール性を阻害する恐れがある。このため、いずれも融点130℃以下のものを使用すべきであり、好ましくは120℃以下のものを用いることが望ましい。
なお、本発明において使用する前記ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナバワックス、変性ワックス等が挙げられるが、なかでもポリエチレンワックスの使用が好適である。
また、粘着付与剤としては、ロジン、ロジン誘導体(水素化ロジン、付近化ロジン、ロジンエステル)、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂あるいはそれらの水添付加されたもの、テルペン樹脂(α−ピネン、β−ピネン)等が挙げられるが、好ましくは芳香族系石油樹脂の水添付加されたものを用いるのが最適である。
次に、本発明は、熱封緘層(5)に用いる前記樹脂組成物において必須の接着成分であるエチレン−不飽和エステル共重合体としては、特にMFRを相互に異にしたエチレン−不飽和エステル共重合体からなる下記の3つの成分(I)(II)(III)の組合せからなるものを用いる。
第1成分(I);190℃のMFR50〜500g未満/10分、好ましくは80〜3
00g/10分、
不飽和エステル含有量20〜40wt%、好ましくは25〜35wt%、
第2成分(II);190℃のMFR10〜50g未満/10分、好ましくは15〜30
g/10分、
不飽和エステル含有量10〜30wt%、好ましくは15〜25wt%、
第3成分(III);190℃のMFR500〜5000g/10分、好ましくは
800〜3000g/10分、
不飽和エステル含有量10〜30wt%、好ましくは15〜25wt%
上記第1成分(I)は、熱封緘層の接着成分として主剤をなすものであり、MFR値の低い第2成分(II)は、これを配合することで、主として接着成分の凝集力を維持し、ヒートシール強度を高める作用効果を担うものである。また、MFR値の高い前記第3成分(III)は、特に重要な働きを受けもつもので、これを配合することにより、付着防止効果の熱安定性を損ねることなく溶融粘度を低く抑えることができる。
なお、熱封緘層に用いるエチレン−不飽和エステル共重合体は、その不飽和エステル単量体として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニルのようなビニルエステル等を用いることができるが、なかでも特に酢酸ビニル、メタクリル酸メチルの採用が好適である。不飽和エステル含有量や分子量の異なるものを適宜選択して、2種類以上組合わせて利用できる。
上記エチレン−不飽和エステル共重合体における前記第1〜第3成分(I)(II)(III)の配合組成比としては、概ね、第1成分(I);20〜96wt%、第2成分(II);2〜60wt%、第3成分(III);2〜60wt%であるが、これらの各成分の配合量は、下記のように熱封緘層を構成する樹脂組成物の全体量に対する配合割合として決定する方が、該樹脂組成物の軟化点および溶融粘度の調整を行い易い点で望ましい。
このような樹脂組成物の全量を基準としての配合割合は、好ましくは
エチレン−不飽和エステル共重合体の第1成分(I);10〜40wt%、
特に好ましくは15〜35wt%
エチレン−不飽和エステル共重合体の第2成分(II);1〜20wt%、
特に好ましくは5〜15wt%
エチレン−不飽和エステル共重合体の第3成分(III);1〜20wt%、
特に好ましくは5〜15wt%
ワックス;10〜50wt%、特に好ましくは20〜40wt%
粘着付与剤;5〜40wt%、特に好ましくは10〜30wt%
である。
樹脂組成物中の必須成分の配合組成比を上記の範囲に設定することにより、該樹脂組成物に求める軟化点、溶融粘度を本発明が求める範囲内に容易に調整することができるのはもとより、最も好適なバランス関係のもとに低温ヒートシール性、夾雑シール性、密封性、開封時のための適当な易剥離性と内容物付着防止効果の熱安定性の向上効果を達成できる。即ち、エチレン−不飽和エステル共重合体中の各成分(I)(II)(III)の配合量が下限規定値未満では、十分なシール強度を得ることが難しく、また良好な夾雑シール性、低温シール性を得ることが困難になる。逆に上限規定値を超えると、一般的にはシール強度が大きくなりすぎてシール蓋の易開封性が損なわれ、あるいは付着防止効果の熱安定性が損なわれる。またワックスの配合量が下限値未満では、樹脂組成物のコーティング適性(加工適性)が損なわれると共に、易開封性が損なわれる。一方、上限値を超えると、十分なシール強度が得られない。また、粘着付与剤は、その配合量が下限値未満では十分なシール強度を得ることが困難であり、逆に上限値を超えて過多に含有すると、付着防止層の付着防止効果が低下するおそれがある。
これらのワックス、粘着付与剤はそれぞれ複数の種類を適宜選択し組合わせて使用しても良い。
熱封緘層の厚みは特に限定されるものではないが、コスト、密封性、生産性等の点から、厚さ3〜100μm程度とするのが一般的であり、好適には、10〜50μmの範囲とするのが良い。
付着防止層(6)は、疎水性無機微粒子、または熱可塑性樹脂微粒子と疎水性無機微粒子との混合組成物からなるものである。
疎水性無機微粒子は、蓋材の内容物付着防止性能の支配的役割を担うものであり、20mN/m以上の表面エネルギーを有する疎水性物質からなるものであればその材料は特に限定されない。具体的に例示すれば、疎水性のシリカ、アルミナ、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等の疎水性無機微粒子を挙げることができる。なかでも、疎水性能、コスト、超微粒子材料の市場からの入手のし易さ等の観点から、疎水性シリカやアルミナの使用が好適である。疎水性シリカは、乾式法シリカ及び湿式法シリカのいずれでも好適に用いることができる。疎水性無機微粒子の平均粒径は、1〜5,000nmの範囲のものを用いるべきである。平均粒径1nmの未満の超微粒子は、市場からの入手が困難であり、またコストの面からも不利である。他方、平均粒径5,000nmを超えるものでは、ヒートシール性を阻害するおそれがあると共に、付着防止効果が低下するおそれがあるため不適である。好ましい平均粒径は3〜1000nm、特に好ましくは3〜500nmの範囲である。
付着防止層(6)中に混用されることのある熱可塑性樹脂微粒子は、その材料が特に限定されるものではないが、熱封緘層(5)及び疎水性無機微粒子とのなじみが良く、容器本体の表面層と良好な接着性を有する熱可塑性樹脂を選択して用い、少なくとも該熱可塑性樹脂を主成分として含むものを用いることが望ましい。かかる熱可塑性樹脂を例示すれば、酢酸ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂等の単独重合体、または2種以上の共重合体等を挙示しうる。熱可塑性樹脂であるから、従来から蓋材の付着防止剤として良く使用されている分子量の小さいワックス類の使用は排除される。特に好ましい熱可塑性樹脂の種類としては、オレフィン系樹脂の1種または2種以上を少なくとも主成分として含む熱可塑性樹脂を用いることにより最も好ましい結果を得ることができる。
更に具体的には、オレフィン系樹脂の具体例としてポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−不飽和エステル共重合体を挙げることができる。またエチレン−不飽和エステル共重合体としてエチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、および酢酸ビニル−塩化ビニル−マレイン酸共重合体を挙げることができる。
上記熱可塑性樹脂は、微粒子に粉砕または溶剤に溶解させた後、微粒子として析出させた状態で使用する。熱可塑性樹脂微粒子の平均粒径は、1nm〜5000nmが好ましい。5000nmより大きい場合は、熱封緘層から脱落し易くなり好ましくない。1nmより小さい場合は、工業的に得難いという問題が生じる。好ましい平均粒径は、50nm〜1000nm、さらに好ましくは、100nm〜500nmである。
熱可塑性樹脂微粒子は、一般的なプラスチックの粉砕機で粉砕できるが、粉砕時に樹脂を軟化溶融させないように低温状態に維持しうる冷却手段を具備する粉砕機を用いることが好ましい。
次に、熱可塑性樹脂微粒子と疎水性微粒子との好ましい配合割合は、熱可塑性樹脂微粒子(固形分):疎水性無機微粒子の重量比において、0〜50wt%:100〜50wt%である。疎水性無機微粒子の配合量は、好ましくは50wt%以上含有されておれば、比較的良好な付着防止性能を得ることができる。熱可塑性樹脂微粒子を配合することで容器とのシール性、熱封緘性が良くなる点で好ましい。
本発明に係る付着防止蓋材の製造において、上記付着防止層(6)の形成方法もまた、蓋材の内容物付着防止性能に重大な影響をもつ。
付着防止層(6)の形成は、液体分散媒中に疎水性無機微粒子、または熱可塑性樹脂微粒子と疎水性無機微粒子の所定量を均一に分散させてコート液を調製し、これを蓋材本体の熱封緘層の外面に塗布し、乾燥させることによって行われる。
コート液の調製は、熱可塑性樹脂微粒子と疎水性無機微粒子を水または有機液体分散媒を用いて分散させて所定濃度のコロイド溶液とするものであるが、分散媒には特に極性基を有する有機分散媒を用いるのが好ましい。なかでもアルコール類の使用が好適であり、特にコスト、安全性、撥水性の発現効果等の面からメタノール又はエタノールの使用が好適である。極性基を有しない溶剤、たとえばトルエンを使用するときは、付着防止性能が損なわれることが判明している。その機序は未だ不明確であるが、熱封緘層のワックスがトルエンによって一部溶解し疎水性シリカ粒子との密着性が高くなりすぎることによるものと推測される。
コート液の塗工は、公知の任意の方法を採用しうる。例えば、グラビアコート法、吹き付け、バーコート法等を任意に採用しうる。
コート液の塗布量は、付着防止層の前記の厚みに応じて設定すればよいが、乾燥後重量で0.1〜5.0g/m程度が好ましく、0.2〜1.2g/mがより好ましく、更には0.4〜0.8g/mの範囲に設定するのが最適である。0.1g/m未満の場合には、内容物付着防止効果が不十分になるおそれがある。他方、5.0g/mを超えるとコストアップを招くほか、微粒子の脱落の恐れが生じるため好ましくない。
塗布後の乾燥工程も重要な要素をなす。もとより自然乾燥させても良いが、生産性、熱封緘層との密着性を高めるためには加熱乾燥させるべきであり、その場合の乾燥条件としては、温度80〜140℃、時間5〜30秒の範囲に設定するべきである。温度が上記下限値80℃より低いと乾燥工程に時間がかかり、時間が5秒未満では乾燥が不十分なものとなり、その後の取扱いにおいて付着防止層の部分的剥離や脱落を生じ易い。反面、乾燥温度を140℃を超える高い温度に設定したり、あるいは時間を30秒を超える時間に設定すると、殊に疎水性無機微粒子に疎水性乾式シリカを用いている場合、それのもつ疎水性、撥水性が損なわれ易い傾向がみられる。
次に、本発明の効果を確認するために、その各種の実施例を比較例との対比において示す。
(蓋材本体の作製)
基材フィルム(2)として厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その片面に厚さ30μmのアルミニウム箔(3)をポリウレタン系ドライラミネート接着剤により貼合わせ、基材層(1)とした。
次に、上記基材層(1)のアルミニウム箔(3)側の表面に上記同様の接着剤により、厚さ20μmのポリエチレンフィルムを積層接着して中間樹脂層(4)を形成し、更にその外側にグラビアコート法により熱封緘層(5)を形成した。これによって得られた基材層(1)/中間樹脂層(4)/熱封緘層(5)の積層体をもって蓋材本体とした。
ここに、上記熱封緘層(5)の構成材料としては下記の各種樹脂、ワックス、および粘着付与剤を用い、これらの材料により後記表1に示すような各種配合の樹脂組成物による種々の熱封緘層(5)を形成するものとした。
樹脂(EVA)
EVA(I):エチレン−酢酸ビニル共重合体(190℃のMFR150g/10
分、酢酸ビニル含有量26%)
EVA(II):エチレン−酢酸ビニル共重合体(190℃のMFR20g/10分、
酢酸ビニル含有量20%)
EVA(III−1)エチレン−酢酸ビニル共重合体(190℃のMFR800g/
10分、酢酸ビニル含有量20%)
EVA(III−2)エチレン−酢酸ビニル共重合体(190℃のMFR2000g/
10分、酢酸ビニル含有量20%)
ワックス(WX)
WX(I):融点115℃のポリエチレンワックス
WX(II):融点108℃のポリエチレンワックス
WX(III):融点94℃のマイクロワックス
WX(IV):融点75℃のパラフィンワックス
粘着付与剤(TF)
TF(I)石油系水添樹脂 融点105℃
TF(II)ロジン 軟化点68℃
そして、表1に示す各種組成の樹脂組成物を、前記中間樹脂層(4)上にいずれも塗布量18g/mの割合でグラビアコート法により塗工し、熱封緘層(5)を形成した。
(付着防止層の形成)
付着防止層の材料として、下記の疎水性無機微粒子と熱可塑性樹脂微粒子を用意した。
疎水性無機微粒子(SP)
SP(I):疎水性乾式シリカ 一次粒子平均粒径 7nm
SP(II):疎水性湿式シリカ 平均粒径 2700nm
SP(III):疎水性湿式シリカ 平均粒径 3900nm
熱可塑性微粒子(MP)
MP(I):エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル20%、エチレン80%、
平均粒径 100nm)
MP(II):酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体(酢酸ビニル20%、塩化ビニル
80%、平均粒径 100nm)
上記各疎水性無機微粒子(SP)、または疎水性無機微粒子(SP)と熱可塑性微粒子(MP)の両方をエタノール中に均一分散させてコート液を作製した。疎水性無機微粒子と熱可塑性微粒子の配合割合を表1に示す。
そして、これらの各種コート液を、蓋材本体(1)の前記熱封緘層(5)の外面にグラビアコート法により塗布し、かつ強制乾燥して付着防止層を形成した。なお、塗布量は、試料No.1〜9および12〜13においては0.5g/m(乾燥後重量)に設定し、試料No.10、11においては、0.8g/m(乾燥後重量)に設定した。また、強制乾燥は、いずれも温度100℃×時間15秒の乾燥条件で行った。
(作製試料の種類)
上記により得た表1に示す各種蓋材の試料1〜13のうち、試料1〜9は、熱封緘層における樹脂組成物の配合組成、配合材料を変えて該樹脂組成物の軟化点、溶融粘度を変化させ、その影響を調べたものである。
試料10,11は、付着防止層を疎水性無機微粒子と熱可塑性微粒子との混合物からなるものとし、かつ塗布量を0.8g/mに変えてその影響を調べたものである。
試料12,13は、疎水性無機微粒子の粒径を変えてその影響を調べたものである。
(評価試験)
(1)付着防止性能
各試料No.1〜13の蓋材の裏面、即ち付着防止層の外面上に、アロエヨーグルト(森永乳業株式会社製 商標「森永アロエヨーグルト」)を約0.5ccの液滴として滴下し、試料をゆっくりと傾けたときに上記液滴が「転がりはじめたときの傾斜角度」を測定して、次の基準で判定評価した。
◎・・・15度以下
○・・・16度以上30度以下
×・・・31度以上
(2)熱処理後の付着防止性能
各試料No.1〜13の各蓋材について、第1の耐熱試験は「温度100℃×時間30秒」の加熱条件で、第2の耐熱試験は「温度100℃×時間10分」の加熱条件で、第3の耐熱試験は「温度100℃×時間15分」の加熱条件で、それぞれ各試料を加熱囲気中に保管後、常温まで冷却した各試料について前記(1)と同様の付着防止性能評価試験を行った。
(3)容器シール後の付着防止性能
試料No.1〜5、8〜13の各蓋材を、口径88mmの容器本体に125gのアロエヨーグルト(森永乳業株式会社製 商標「森永アロエヨーグルト」)を入れた後、140℃×90kgf×1.0secのシール条件で容器本体のフランジ面上にヒートシールした。一方、上記同様のシール条件では封緘強度が弱かった試料No.6、7については、150℃×90kgf×1.0secのシール条件で蓋材をフランジ面上にヒートシールした。
次いでこれらの各密封容器を上下逆さにして12時間保存した後、開封して蓋材の裏面のヨーグルトの付着状態を目視観察し、下記の基準で評価した。
◎・・・ヨーグルトの付着なし
○・・・フランジ部周辺領域部分にわずかな付着が見られる
×・・・フランジ部周辺領域部分に付着がみられ。
(4)シール性
(4)−1 封緘強度
試料No.1〜5、8〜13の蓋材を、140℃×90kgf×1.0secのシール条件で、試料No.6、7の蓋材を、150℃×90kgf×1.0secのシール条件でそれぞれ容器本体(紙/ポリエチレン製容器)のフランジ面上にヒートシールした。
そして、「封緘強度」は、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(昭和54年4月16日厚生省令第17号)の封緘強度試験法に準じて、封緘強度が13.3kPa以上であるものを合格(◎印)、13.3kPa未満のものを不合格(×印)として判定した。
(4)−2 開封強度
次に、「開封強度」は、上記同様にヒートシールした蓋材を、仰角45°、100mm/分の速度で引っ張り、開封時の最大荷重を開封強度(N)とした。そして最適な開封強度の範囲を8〜15Nとし、この範囲内のものを合格(◎印)、範囲外のものを不合格(×印)として評価した。
(4)−3 ヒートシール強度
試料No.1〜13の蓋材を15mm幅に切り出し、150℃×0.2MPa×1.0secのシール条件で容器本体(紙/ポリエチレン製容器)から切り出した15mm幅の短冊にヒートシールした。次いで、この蓋材を180°の方向に100mm/分の速度で引っ張り、剥離時の最大荷重をヒートシール強度とした。
そして、付着防止層を設けていない蓋材本体のままの蓋材におけるヒートシール強度(蓋材の耐剥離強度・密封性)を基準値として、ヒートシール強度の低下率または増加率を下記の基準で判定評価した。
◎・・・強度低下又は増加10%未満
○・・・強度低下又は増加10%〜20%未満
×・・・強度低下又は増加20%以上
(5)密着性
試料No.1〜13の各蓋材の付着防止層の面に、黒い布を巻き付けた重り(500g)を垂直に載せ、ゆっくりと長さ200mm擦り、布の表面に付着した微粒子の有無を目視で検査した。
そして、黒い布における疎水性微粒子及び熱可塑性樹脂微粒子の転移付着量(剥離量)により下記の基準で評価した。
◎・・・ほとんど付着なし
○・・・許容範囲と認められる僅かな付着あり
×・・・明らかに多くの付着あり
上記(1)〜(4)の各評価試験の結果を、表2に示す。
Figure 0005705657
Figure 0005705657
表2の「付着防止の性能」試験の結果に示すように、本発明による内容物付着防止蓋材においては、試料を僅かに傾けるだけでヨーグルト液滴が転がり移動を始める。しかもこの付着防止効果は、「熱処理後の付着防止性能」試験の結果に見られるように100℃×15分間のかなり過酷な熱履歴をうけたのちもほとんど低下することなく良好に維持される。このことは、「容器シール後の付着防止性能」試験の結果に示すように、ヨーグルト、プリン、ゼリー等の粘稠な液体成分を含むような内容物を充填した容器に蓋材を熱封緘したのちにおいても、蓋材裏面への該内容物の付着防止効果に優れたものであることを保証する。しかも「シール性」試験の結果に示すように、付着防止層の存在によってヒートシール性(シール強度)及び易開封性をいずれも大きく損なうことなく、適度な密封性を維持しつつ、上記付着防止性能を付与しうる。加えて、「密着性」試験の結果に見られるように、疎水性粒子及びそれを含む付着防止層の密着性が良好で、不本意な疎水性微粒子等の分離脱落、付着防止層の部分剥離等のおそれがなく、長期に亘って内容物付着防止性能を安定に維持しうると共に、容器内への異物混入のおそれもない。
1・・・基材層
2・・・基材フィルム
3・・・金属箔
5・・・熱封緘層
6・・・付着防止層

Claims (8)

  1. 少なくとも基材層と熱封緘層とを有し、該熱封緘層の外面に疎水性無機微粒子を主成分として含む内容物付着防止層が設けられた蓋材において、
    前記熱封緘層が、エチレン−不飽和エステル共重合体、ワックス、および粘着付与剤を必須成分として含む樹脂組成物からなり、
    前記エチレン−不飽和エステル共重合体が、
    190℃のメルトフローレート(以下「MFR」と略記)50〜500g未満/10分、不飽和エステル含有量20〜40wt%のエチレン−不飽和エステル共重合体からなる第1成分(I)と、
    190℃のMFR10〜50g未満/10分、不飽和エステル含有量10〜30wt%のエチレン−不飽和エステル共重合体からなる第2成分(II)と、
    190℃のMFR500〜5000g/10分、不飽和エステル含有量10〜30wt%のエチレン−不飽和エステル共重合体からなる第3成分(III)との3成分の組合せからなり、
    前記ワックスおよび粘着付与剤の軟化点または融点が80〜130℃であり、
    前記樹脂組成物の軟化点が90〜160℃、160℃における溶融粘度が2000〜4000mPa・sに設定されてなることを特徴とする内容物付着防止蓋材。
  2. 前記樹脂組成物の配合割合が、
    前記第1成分(I);10〜40wt%、
    前記第2成分(II);1〜20wt%、
    前記第3成分(III);1〜20wt%、
    ワックス;10〜50wt%
    粘着付与剤;5〜40wt%
    からなることを特徴とする請求項1に記載の内容物付着防止蓋材。
  3. 前記エチレン−不飽和エステル共重合体が、
    190℃のMFR80〜300g/10分、不飽和エステル含有量25〜35wt%のエチレン−不飽和エステル共重合体からなる第1成分(I)と、
    190℃のMFR15〜30g/10分、不飽和エステル含有量15〜25wt%のエチレン−不飽和エステル共重合体からなる第2成分(II)と、
    190℃のMFR800〜3000g/10分、不飽和エステル含有量15〜25wt%のエチレン−不飽和エステル共重合体からなる第3成分(III)との3成分の組合せからなることを特徴とする請求項1または2に記載の内容物付着防止蓋材。
  4. 前記ワックスおよび粘着付与剤の軟化点または融点が90〜120℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の内容物付着防止蓋材。
  5. 前記樹脂組成物の軟化点が100〜140℃、160℃における溶融粘度が2000〜3500mPa・sであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の内容物付着防止蓋材。
  6. 前記疎水性微無機粒子が疎水性シリカである請求項1〜5のいずれか1項に記載の内容物付着防止蓋材。
  7. 前記疎水性無機微粒子は、平均粒径1nm〜5,000nmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の内容物付着防止蓋材。
  8. 前記付着防止層が、疎水性無機微粒子と、熱可塑性樹脂微粒子との混合組成物からなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の内容物付着防止蓋材。
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