JP6072459B2 - 内容物付着防止蓋材 - Google Patents

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本発明は、主として食品類の包装用容器に適用されるヒートシール蓋材、更に具体的には、ヨーグルト、ゼリー、プリン、ジャム、カフェラッテ等の包装用のカップ状容器に適用される内容物付着防止性を備えた蓋材に関する。
この種の熱封緘用の蓋材は、一般に基材フィルムとアルミニウム箔との積層からなる基材層のアルミ箔面側に、必要に応じて中間樹脂層を介してヒートシール剤、即ち熱封緘層を設けたものとなされ、ヨーグルト等の被包装物を充填したカップ状の容器本体の上面開口に被せて、周縁部を容器本体の上縁フランジ部上に熱融着することによって密封包装物を形成するものとなされている。
従って、かかる蓋材においては、良好なヒートシール性、密封性と、開封のための適当な易剥離性が求められるのと同時に、内容物の非付着性、即ち容器の内面側の蓋材裏面に内容物が付着するのを防止しうるものであることが望まれる。蓋材の裏面に内容物が付着すると、開封時に手指や衣服、あるいは周辺を汚すおそれがあると共に、内容物の棄損による無駄を生じ、あるいは付着物を剥がし取る手間がかかり、更には不潔感を催す等の不利益を生じるためである。
このような要請に対し、従来、内容物付着防止性能を備えた蓋材について、下記特許文献1、2に示されるような提案がなされてきた。
特許文献1に示される先行技術は、熱封緘層の外面に、内容物付着防止層として、微細な疎水性シリカ等の疎水性酸化物微粒子による三次元網目状構造の多孔質層を形成するというものである。
この特許文献1の先行提案技術は、内容物付着防止効果の点では優れた効果を奏し得るものの、付着防止層が熱安定性(耐熱性)に劣り、好ましくない熱履歴を受けた場合に付着防止効果が損なわれ易いという難点があった。即ち、疎水性酸化物微粒子として、乾式法で製造されるシリカ微粒子を代表例とする一次粒子平均径が3〜100nmというような超微細な疎水性酸化物微粒子を用いるものであり、これを特に、一般的なホットメルトタイプの熱封緘層を備えた蓋材の内容物付着防止層の形成に適用した場合、付着防止層の形成工程における微粒子分散液の塗工後の乾燥時において、加熱温度が高かったり乾燥時間が長くなると、内容物付着防止効果が著しく損なわれ、安定した付着防止性能を維持できないおそれがある。このため、蓋材の製造時の工程管理がいささか厄介なものになるという難点があった。
このような耐熱性の問題は、乾燥時の熱や熱封緘時の待機中に熱盤から輻射熱で熱封緘層のホットメルト接着剤が溶融すると、微細な酸化物微粒子がホットメルト接着剤の中に沈み込んだり、あるいは、微粒子間の隙間にホットメルト接着剤の溶融成分が毛細管現象で入り込んで粒子間を埋めてしまい、疎水性シリカの撥水性表面積を減殺してしまうことで内容物付着防止効果が十分に得られなくなることによるものと考えられる。
一方、上記のような特許文献1による先行技術の特に熱安定性の問題に対して、この問題の解決をはかりつつ優れた非付着性の確保をも可能とする改善技術として、本発明者らは先に特許文献2に記載の発明を提案した。
この改善提案技術は、付着防止層の形成材料として、従来公知の疎水性乾式シリカの使用に代えて、疎水性の湿式シリカ粒子を用いることを主たる特徴点とするものである。湿式シリカ粒子は、一般的にその粒径がミクロンサイズであり、乾式シリカ粒子に較べてかなり大きい。そのため熱封緘層がホットメルト接着剤で構成されている場合に該接着剤が溶融しても、疎水性シリカ粒子が熱封緘層内に沈み込みにくい。その分、付着防止層の表面の撥水性を良好に維持しやすい。このことにより、熱による影響を特許文献1の先行技術に較べて改善できるものである。
しかしながら、一方で、湿式シリカ粒子はその粒径が比較的大きいものであるために、超微細な一次粒子の凝集体からなる乾式シリカ粒子を使用する場合に較べて、塗布量(付着量)との相対関係における表面撥水性が劣り、高い付着防止性能を得るためにはいささか多くの量の疎水性湿式シリカの塗布を必要とし、そのためにまた熱封緘層に対する密着性に劣るものになりやすいという難点があり、実用化のためにはこれらの点の更なる改善が強く求められるところであった。
特許第4348401号公報 特許第4668352号公報
本発明は、従来技術における上記のような要請に応えるものとすること、具体的には、熱影響を受けても十分な内容物付着防止性能を維持しうる良好な耐熱性を有すると共に、少ない湿式シリカ微粒子の塗布量でも高い内容物付着防止性能を確保でき、かつ疎水性湿式シリカ微粒子の熱封緘層に対する密着性をも良好に確保し得て、上記内容物付着防止効果の安定持続性を担保しうる改善技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的において鋭意実験と研究を重ねた結果、前記特許文献2の先行技術に準じて熱封緘層を疎水性湿式シリカで形成するものとしながら、該疎水性湿式シリカを特に、特定の処理剤で疎水化処理された疎水性湿式シリカ粒子、すなわち特定粘度領域のシリコーンを用いて疎水化した湿式シリカ粒子を用いることで、上記課題をきわめて効果的に解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明はその特徴事項として下記の構成を提示する。
[1] 少なくとも基材層と熱封緘層とを有し、該熱封緘層の外面に付着防止層が設けられたヒートシール蓋材において、
前記付着防止層が、粘度100cst以上のシリコーンを用いて疎水化処理された疎水性湿式シリカ粒子からなることを特徴とする内容物付着防止蓋材。
[2] 疎水化処理剤に用いる前記シリコーンの粘度が2000cst以下である前項[1]に記載の内容物付着防止蓋材。
[3] 疎水化処理剤に用いる前記シリコーンが、ジメチルポリシロキサンである前項[1]または[2]に記載の内容物付着防止蓋材。
[4] 前記付着防止層における疎水性湿式シリカ粒子の塗布量が、乾燥後重量で0.1〜1.0g/mである前項[1]〜[3]のいずれか1項に記載の内容物付着防止蓋材。
[5] 疎水性湿式シリカ粒子の平均粒径が0.5〜7.0μmである前項[1]〜[4]のいずれか1項に記載の内容物付着防止蓋材。
前記[1]項の発明においては、熱封緘層上の付着防止層の形成に粒径の比較的大きな疎水性湿式シリカ粒子を用いる。従って、熱封緘層がホットメルト接着剤で形成されている場合にあって該接着剤が溶融しても、超微細な乾式シリカを用いる場合に較べて粒径が大きい分だけ上記粒子が熱封緘層内に沈み込みにくく、その表面の露出面積を大きく減少しない。ひいては、熱影響による付着防止性能の低下を効果的に防止しうる。このことは前記特許文献2に示した先行技術と同様であるが、本発明にあってはさらに、上記疎水性湿式シリカ粒子として、特に、疎水化処理剤として粘度100cts以上のシリコーンを用いて疎水化処理したものが用いられる。このような疎水性シリカ粒子は、それ自体表面にきわめて高い撥水性を発現しており、それ故に該疎水性湿式シリカで形成される付着防止層は、比較的少ないシリカ粒子の塗布量のもとで十分に優れた付着防止性能を発揮する。ひいてはまた、少ない塗布量で足りることから、シリカ粒子の熱封緘層に対する定着性、密着性を良好に保つことができ、密着力不足によるシリカ粒子の脱落、剥離による経時的性能低下、不衛生を回避できる。
このような効果を得ることができる機序は、未だ必ずしも明確ではないが、次のように推定される。元来、疎水性シリカは、表面に親水性のシラノール基を持つ親水性シリカ粒子を、疎水化処理によりメチル基に代表される疎水基で表面親水基を置換することによって製造される。疎水化処理剤として用いられる有機珪素化合物にはハロゲンシランやヘキサメチルジシラザン、オルガノポリシロキサン(シリコーン)などがあるが、なかでも処理法が簡単であり、湿式シリカに対して疎水化効果に優れ、しかも最も一般的であり市場からの入手も容易なシリコーンを用いることが有利である。その場合、シリコーンの粘度が低いと分子量も低いので、導入される疎水基の分子鎖が短くなる傾向がある。一方、湿式シリカの粒子はそれ自体の構造としてきわめて小さい微細粒子の多数個の凝集体からなるものであり、それ故に該湿式シリカ粒子自体、その内部に空気を取り込めるきわめて多数の微細孔を有する。従って、疎水化処理した疎水性シリカ粒子は、表面に置換された疎水基と内部に取り込む空気との相乗作用で撥水性を示すが、前記疎水化処理によっても表面の親水基のすべてが疎水基に置換される訳ではなく、なお表面の一部には親水性のシラノール基が残存する。もとよりこの残存シラノール基は粒子表面の撥水性を低下する方向に作用する。このような前提下において、粘度が100cst以上のシリコーンからなる疎水化処理剤を使用することで、疎水基の分子鎖が比較的長くなり、該分子鎖によって残存シラノール基の表面を効果的に覆うことができる。このため、疎水化湿式シリカ粒子の疎水化度を一段と高いものとすることができ、少量の塗布量で効果的な付着防止性能の発現を可能とする。シリコーンの粘度が100cst未満では、疎水基の分子鎖が短くなるので、上記の効果を期待することができない。
一方、前記[2]項に記載のように、疎水化処理剤に用いる前記シラノールの粘度は、2,000cst以下のものとすることが望ましい。これが2,000cstを超えてあまり高すぎると、却って表面撥水性の低下傾向を招く。このことは、疎水基の分子鎖が必要以上に長くなることでシリカ粒子の表面の微孔を被覆してしまい、粒子に空気を取り込むことができなくなる結果、空気による撥水作用が十分に発揮されなくなってしまうことによるものと考えられる。
また前記[3]項に記載のように、疎水化処理剤としてのシリコーンにジメチルポリシロキサンを用いることにより、最も一般的で入手し易くかつ安価な処理剤を用いて、簡易かつ確実に所望の疎水化度に疎水化処理しうる。
また、前記[4]項に記載のように、疎水性シリカ粒子の塗布量(付着量)を、乾燥後重量で0.1〜1.0g/mに設定することにより、付着防止層に必要かつ十分な付着防止性能を付与しうる。
さらにまた、前記[5]項に記載のように、疎水性湿式シリカ粒子として平均粒径が0.5〜7.0μmのものを用いることにより、熱封緘層に対する良好な密着性を維持しうると共に、熱封緘層のヒートシール性を阻害することがなく、シール強度、容器の密封性能の点でも均一かつ安定した優れた性能を発現しうる。
図1は本発明による内容物付着防止蓋材の積層構成の概要を示す断面図である。
図1は、本発明に係る内容物付着防止蓋材の積層構成の一例を示す。該蓋材は、基材フィルム層(2)と金属箔層(3)との積層からなる基材層(1)と、該基材層(1)の金属箔(3)側の外面、即ち施蓋使用時に容器本体の内部に向く側の面に中間樹脂層(4)を介して熱封緘層(5)が設けられている。上記の積層構成は従来の蓋材のそれと同様であり、基材層(1)/中間樹脂層(4)/熱封緘層(5)の積層体をここでは「蓋材本体」と呼称することとする。
本発明に係る内容物付着防止蓋材は、上記蓋材本体の熱封緘層(4)の外面に、更に付加的に付着防止層(6)を有するものである。
基材フィルム層(2)は、包装容器の表側に配置されるもので、その材料としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、セルロースアセテート、セロハンなどの単層または複合フィルム、あるいはこれらのフィルム、樹脂を紙などにラミネートしたものなどを例示することができる。基材フィルム層(2)は通常適宜印刷(7)が施されて意匠性が付与される。
金属箔層(3)は、ガスバリヤ性、遮光性などを付与するものであり、多くはアルミニウム箔が用いられる。特にコーヒー飲料やヨーグルトの容器用の蓋材にあっては、遮光性、軽量性を満足するものとして厚さ5〜100μm程度のアルミニウム箔が好適に用いられる。また、基材フィルム層(2)との積層接着には一般的な接着剤が用いられる。
なお、基材層(1)として、金属箔層(3)を使用せずに、シリカやアルミナ等の金属を基材フィルム層(2)に蒸着した金属蒸着フィルムを使用することも可能である。
中間樹脂層(4)は、基材層(1)と熱封緘層(5)との間に介在して、蓋材に所定の剛性やヒートシール時のためのクッション性を付与するものであり、適宜必要に応じて設けられる。一般的には厚さ5〜40μmのポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のオレフィン樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等が用いられる。
熱封緘層(5)は、中間層樹脂層(4)および容器側との接着性が良好なものであれば、その材料は、特に限定されないが、特にヨーグルト等包装用の紙/ポリエチレン容器の蓋材にあっては、ホットメルト接着剤を用いるのが一般的であり好適である。そしてまた、ホットメルト接着剤の中でも、ワックスとエチレン−不飽和エステル共重合体を主成分とし、残部がロジン等の粘着付与剤であり、更にはエチレン−不飽和エステル共重合体、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体を30重量%以上、好ましくは40重量%以上含有するホットメルト樹脂組成分からなるものを用いることが望ましい。即ち、エチレン−不飽和エステル共重合体の含有量が30重量%未満のホットメルト接着剤では、低融点成分であるワックスやロジンの含有量が相対的に増大するため、実験結果によれば付着防止層の耐熱性を低下する傾向が強くなる。その理由は、乾燥時やヒートシール時に受ける熱の影響で、上記低融点成分が溶融して疎水性湿式シリカ粒子に吸着される量が多くなり、ひいては該粒子の疎水性表面積を減少して、付着防止効果を低下させるおそれがあるためと推測される。
熱封緘層の厚みに関しては、特に限定されるものではないが、コスト、密封性、生産性等の点から、厚さ3〜100μm程度とするのが一般的であり、好適には、10〜50μmの範囲とするのが良い。
ところで、本発明の主要構成要素をなす付着防止層(6)は、湿式法によって製造される合成非晶質シリカである湿式シリカ粒子の表面の水酸基に有機ケイ素化合物を化学的に反応させて疎水性を付与した疎水性湿式シリカ粒子であって、しかも特に、粘度100cst以上のシリコーンを処理剤に用いて疎水化処理された湿式シリカ粒子で構成されていることを特徴とする。本発明は、このような粘度100cst以上のシリコーンを用いて疎水化処理された疎水性湿式シリカ粒子を用いることにより該粒子自体に高い撥水性を帯有させることができ、ひいては少ない塗布量においても高い内容物付着防止性を持つ蓋材の提供を可能とする。
その理由は、次のように推測される。
先ず、湿式シリカ粒子を用いることにより、該粒子は製造段階で表面シラノール基が多く、ひいては該表面を疎水か処理した場合、乾式シリカに較べて一般的に優れた撥水性、疎水性を示す。即ち、内部に細孔を有しない一次粒子の凝集体である二次粒子を最小単位とする乾式シリカ粒子に較べ、粒子径が大きいだけでなく、内部に空気を取り込める多数の微細孔を有し、粒子径に対しての比表面積が大きく、細孔容積も大きい。このため、疎水化された湿式粒子は、表面に置換された疎水基による作用と、微細孔に取り込まれる空気の作用との相乗作用ですぐれた撥水性、疎水性を発揮する。
そしてまた、本発明においては、湿式シリカ粒子の疎水化処理剤として、特に主骨格にシロキサン結合を有するポリマーとしてのシリコーンを用い、しかも粘度が100cst以上であるシリコーンを用いて疎水化処理されたものを用いることにより、付着防止層形成材料として一段と性能的に優れたものとすることができる。
シリコーンの種類としては特に限定されるものではなく、例えばメチルハイドロジエンポリシロキサンを使用することも可能であるが、処理の容易性、コスト等の点から最も一般的なジメチルポリシロキサンを用いることが推奨される。
ここに、該シリコーンの粘度を100cst以上とする理由は、実験結果から求められた事項であるが、その機序としては次のように考えられる。
即ち、湿式シリカ粒子は、シリコーンで疎水化処理した場合にも、その表面のすべての親水基(シラノール基)が疎水基に置換されるわけではなく、表面の一部にはシラノール基が残存する。この残存シラノール基は、親水性であるから、元来、撥水性に悪影響を与えることになるが、シリコーンの粘度を100cst以上とする場合、置換される疎水基の分子鎖が好ましい範囲で比較的長いものとなり、該分子鎖によって残存シラノール基の表面を適当な範囲で覆うことができる。このことで、湿式シリカ粒子の表面の疎水化度を一段と高いものにすることができるものと考えられる。実際に、シリコーンの粘度が100cst未満では、十分な満足が得られるほどの疎水化効果を得ることができない。これは、置換される疎水基の分子鎖が短いため、残存シラノール基の表面を十分に覆いきれないことによるものと推定される。
しかしながら、一方で、シリコーンの粘度が2000cstを超える場合には、却って表面撥水性の低下傾向があらわれる。このことは、疎水基の分子鎖が必要以上に長すぎるものとなり、それが粒子表面の微細孔を覆ってしまい、粒子の空気を取り込めなくなる結果、空気による撥水作用が十分に発揮されなくなってしまうことによるものと考えられる。
上記のような考察から、疎水化剤に使用するシリコーンの粘度は必要的には100cst以上であり、好ましくは2000cst以下、更に好ましくは200〜1000cstの範囲のものとすることが望ましい。
本発明で使用する疎水性湿式シリカ粒子の粒径は、平均粒径0.5〜7.0μmの範囲のものを用いることが望ましい。
平均粒径が0.5μm未満の微粒子を用いるときは、概して、ヒートシール性に悪影響を及ぼさないような少ない塗布量、付着量の範囲において良好な内容物付着防止効果を得ることができない。逆に7.0μmを超えるような粗大な粒子を用いるときは、熱封緘層(5)との密着性が悪いものとなるのみならず、ヒートシール性を阻害する。好ましくは、平均粒径が2.0〜5.0μmの範囲のものを用いるのが良い。
また、付着防止層(6)における上記疎水性湿式シリカ粒子の付着量(塗布量)は、これを0.1〜1.0g/mの範囲、好ましくは0.4〜0.6g/mの範囲に設定される。疎水性湿式シリカ粒子の付着量が上記の下限値0.1g/m未満であると、良好な内容物付着防止効果を得ることができない。反面、付着量が上記の上限値1.0g/mを超えると、内容物付着防止効果が飽和する一方で、付着防止層(6)が熱封緘層(5)のヒートシール性を阻害し、具体的には付着防止層(6)を有しない場合に較べてシール強度(耐剥離強度)が20%以上も低下し、安定した良好な容器の封止性が損なわれるおそれがある。のみならず、熱封緘層(5)との密着性も低下する。
本発明に係る蓋材の製造において、付着防止層(6)の形成は、先ず、有機溶媒中に所定濃度に疎水性湿式シリカ粒子を分散した分散液を調製し、これを蓋材本体における熱封緘層(5)の外面に塗布することによって行われる。
分散液の調製に用いる溶媒は、下地の熱封緘層(5)に対する疎水性湿式シリカ粒子の定着性、付着性を確保するために有機溶媒を用いることが好ましい。特に極性基を有する有機溶媒を用いるのが好ましい。なかでもアルコール類の使用が好適であり、特にコスト、安全性、撥水性の発現効果等の面からエタノールやメタノールの使用が好適である。
分散液中のシリカ粒子の分散濃度は、該粒子の塗布量との関係を考慮して任意に設定しうるが、2%未満(シリカ粒子2g:溶媒100ml)では十分な量のシリカ粒子の均一塗布が困難であり、10%を超える高濃度では、塗布量が過剰になり易い。好適な分散濃度は概ね3〜6%程度である。
分散液の塗工手段は、公知の任意の方法を採用しうる。例えばグラビアコート法、吹き付け、バーコート法等を任意に採用しうる。
分散液の塗布量は、付着防止層(5)における前記のような疎水性湿式シリカ粒子の付着量に対応するものとなすべきことは言うまでもない。
次いで、上記の塗工工程後、蓋材本体を乾燥工程に供し、塗工分散液中の溶媒を揮散させて、乾燥した所定量の疎水性湿式シリカ粒子が均一に分布した所期する付着防止層(6)を形成する。この乾燥は、自然乾燥で行っても良いが、作業効率及び疎水性湿式シリカ粒子の熱封緘層(5)との密着性の向上のためには、強制的な加熱乾燥で行うことが望ましい。このときの加熱条件は特に限定されるものではないが、温度80〜140℃、好ましくは100〜120℃、時間5〜30秒、好ましくは10〜20秒程度に設定すべきである。温度が上記下限値80℃より低いと乾燥工程に時間がかかり、時間が5秒未満では乾燥が不十分なものとなり、その後の取扱いにおいて付着防止層の部分的剥離や脱落を生じ易い。反面、乾燥温度を140℃を超える高い温度に設定したり、あるいは時間を30秒を超える時間に設定すると、疎水性湿式シリカ粒子がもつ表面疎水性、撥水性が損なわれるおそれがある。
次に、本発明の効果を確認するために行った各種の実験例とその結果を示す。
(蓋材本体の作製)
基材フィルム(2)として厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その片面に厚さ30μmのアルミニウム箔(3)をポリウレタン系ドライラミネート接着剤により貼合わせ、基材層(1)とした。
次に、上記基材層(1)のアルミニウム箔(3)側の表面に上記同様の接着剤により、厚さ20μmのポリエチレンフィルムを積層接着して中間樹脂層(4)を形成し、更にその外側にグラビアコート法により熱封緘層(5)を形成した。これによって得られた基材層(1)/中間樹脂層(4)/熱封緘層(5)の積層体をもって蓋材本体とした。ここに、上記熱封緘層(5)としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体55重量%/ワックス40重量%/粘着付与剤(ロジン)5重量%の組成からなるホットメルト接着剤を用い、塗布量を18g/mとした。
(付着防止層の形成)
湿式法によって製造された親水性の湿式シリカ粒子として、平均粒径2.7μmのシリカ粒子(商品名「サイロホービック200」)を用いた。
一方、疎水化処理剤として、粘度がそれぞれ50cst、100cst、200cst、1000cst、2000cst、2500cstに調整された6種類のジメチルポリシロキサンを用意した。
そして、上記各種のジメチルポリシロキサンを用いて前記湿式シリカ粒子をそれぞれ常法に従って疎水化処理し、上記処理剤粘度に対応した6種類の疎水性湿式シリカ粒子を作成した。
次いで、上記の各種疎水性湿式シリカ粒子を、エタノール溶媒中にいずれも5%の分散濃度で分散させて各種の分散液を調製し、これらの各種分散液を、蓋材本体の前記熱封緘層(5)の外面にグラビアコート法により表1、2に示すように0.1〜1.0g/mの範囲の各種の塗布量のもとに塗布したのち、強制乾燥し、熱封緘層(5)上に上記疎水性湿式シリカ粒子からなる内容物付着防止層(6)が形成された各種の試料を得た。なお、表1、2に示す塗布量は、いずれも乾燥後の疎水性湿式シリカ粒子の重量割合を示すものである。
(評価試験)
そして、各試料について下記の評価試験を行った。
(1)付着防止性能
各試料の蓋材の裏面、即ち付着防止層の外面上に、アロエヨーグルト(森永乳業株式会社製 商標「森永アロエヨーグルト」)を約0.5ccの液滴として滴下し、試料をゆっくりと傾けたときに上記液滴が「転がりはじめたときの傾斜角度」を測定して、次の基準で評価判定した。
◎・・・15度以下
○・・・16度以上30度以下
△・・・31度以上45度以下
×・・・46度以上
(2)密着性
各試料の蓋材の付着防止層の面に、黒い布を巻き付けた重り(500g)を垂直に載せ、ゆっくりと長さ200mm擦り、布に付着したシリカ量を目視で検査した。
そして、黒い布における疎水性湿式シリカの転移付着量(剥離量)を下記の評価基準で評価した。
◎・・・ほとんど付着なし
○・・・許容範囲と認められる僅かな付着あり
△・・・多少の付着あり
×・・・明らかに多くの付着あり
上記(1)の付着防止性能評価試験の結果を表1に、上記(2)の密着性評価試験の結果を表2に示す。
Figure 0006072459
Figure 0006072459
先ず、表1の「付着防止性能」の試験結果に示すように、疎水化処理剤のジメチルポリシロキサンの粘度が50cst、2500cstであるものを用いて疎水化した疎水性湿式シリカ粒子を用いた試料においては、上記粘度が100cst、200cst、1000cst、2000cstであるものに較べていずれも付着防止性能が劣るものとなることが確認された。50cstのものにおいて特に少ない塗布量の場合に付着防止性能が低下する傾向を示すのは、疎水基の分子鎖が短いため残存シラノール基を十分に覆うことができなかったためと考えられる。これに対して粘度2500cstのものにおいても同様の傾向を示すのは、疎水基の分子鎖が必要以上に長く、それがシリカ粒子の表面の微孔を覆って塞いでしまい、微孔への空気の取り込みが減少して、空気による撥水作用が損なわれるためと考えられる。特に疎水化処理剤の粘度が200cst近傍のものにおいて、最良の結果が得られる。
また、表2の「密着性」の試験結果に示すように、付着防止層における疎水性湿式シリカ粒子の密着性は、全ての塗布量の系においてほぼ付着(脱落)が無いか、多少の付着が見られる程度であり、その傾向としては塗布量が少ないほど密着性が高くなる傾向を示している。この傾向は、単純に塗布量が増えるにしたがって脱落する疎水性湿式シリカの量が増えることよるものと推測できる。このことから、湿式シリカの疎水化処理に用いる処理剤の粘度は、密着性に関して大きな影響を与えないことが判明した。
以上の結果により、粘度100cst以上、好ましくは200から2000cstのシリコーンを用いて疎水化処理した疎水性湿式シリカ粒子を用いて付着防止層を形成することにより、塗布量の比較的少ない0.1〜1.0g/mの範囲で十分な付着防止性能と密着性を発揮できること、更に塗布量0.4〜0.6g/mの範囲でより高い効果が得られることが確認された。
1・・・基材層
2・・・基材フィルム層
3・・・金属箔層
4・・・中間樹脂層
5・・・熱封緘層
6・・・付着防止層

Claims (3)

  1. 少なくとも基材層と熱封緘層とを有し、該熱封緘層の外面に付着防止層が設けられたヒートシール蓋材において、
    前記付着防止層が、粘度100cst以上2000cst以下のシリコーンで粒子表面が覆われた疎水性湿式シリカ粒子からなり、
    前記付着防止層における疎水性湿式シリカ粒子の塗布量が、乾燥後重量で0.4〜0.6g/m 2 であることを特徴とする内容物付着防止蓋材。
  2. 前記シリコーンが、ジメチルポリシロキサンである請求項1に記載の内容物付着防止蓋材。
  3. 疎水性湿式シリカ粒子の平均粒径が0.5〜7.0μmである請求項1または2に記載の内容物付着防止蓋材。
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