JP2018531294A6 - ポリアルコキシ脂肪族化合物 - Google Patents

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Abstract


構造(I)を有するポリアルコキシ脂肪族化合物が提供され、式中、Rは、脂肪族基であり、Rは、Hまたは置換もしくは非置換ヒドロカルビル基であり、nは0〜5であり、XはSまたはNHであり、XはO、S、またはNHであり、Rは、構造(II)及び構造(III)の重合単位を含むポリマー基である。
【化1】

Description

多くの場合、タンパク質の水溶液を提供することが望まれる。そのような水溶液は、長期間安定したままでいることが望まれる。安定性の欠如には、例えば、次のプロセス:タンパク質の変性またはタンパク質分子の凝集うちののいずれか、またはそれらの両方が含まれる。
US5,635,461は、以下の式を有する陰イオン界面活性剤を記載している。
タンパク質の水溶液に改善された安定性を提供する界面活性剤を提供することが望まれる。そのような界面活性剤とタンパク質との混合物を提供することも望まれ、該混合物は、タンパク質の水溶液を形成することができ、該溶液は、良好な安定性を有する。
以下は、本発明の要旨である。
本発明の第1の態様は、構造(I)を有するポリアルコキシ脂肪族化合物であり、
式中、Rは、脂肪族基(fatty group)であり、Rは、Hまたは置換もしくは非置換ヒドロカルビル基であり、nは0〜5であり、XはSまたはNHであり、XはO、S、またはNHであり、Rは、構造(II)及び構造(III)
の重合単位を含むポリマー基である。
nが2以上である場合、様々なX基は、互いに異なり得るか、もしくは互いと同じであり得るか、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。nが2以上である場合、様々なR基は、互いに異なり得るか、もしくは互いと同じであり得るか、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
本発明の第2の態様は、1つ以上のタンパク質及び1つ以上のポリアルコキシ脂肪族化合物を含む組成物であり、前記タンパク質の前記ポリアルコキシ脂肪族化合物に対する重量比は、0.05:1〜200:1であり、前記ポリアルコキシ脂肪族化合物は、構造(I)を有し、
式中、Rは、脂肪族基であり、Rは、Hまたは置換もしくは非置換ヒドロカルビル基であり、nは0〜5であり、XはO、S、またはNHであり、XはO、S、またはNHであり、Rは、(II)及び(III)の重合単位を含むポリマー基である。
以下は、本発明の詳細な説明である。
本明細書において使用する場合、以下の用語は、その文脈が明確に示さない限り、指定された定義を有する。
ポリアルコキシ化合物は、構造−(−A−O)−を有する1つ以上の基を含む化合物であり、式中、mは、3以上であり、Aは、非置換アルキル基である。基Aは、直鎖、分岐鎖、環状、またはそれらの組み合わせであり得る。様々な−(−A−O)−基の中でも様々なA基は、互いと同じであるか、または異なり得る。
脂肪族化合物は、1つ以上の脂肪族基を含む化合物である。脂肪族基は、8個以上の炭素原子を含む基であり、これらの各々は、その基内の他の炭素原子のうちの1つ以上と結合している。ポリアルコキシ脂肪族化合物は、ポリアルコキシ化合物及び脂肪族化合物の両方である化合物である。
ヒドロカルビル基は、水素及び炭素原子を含む基である。非置換ヒドロカルビル基は、水素及び炭素原子のみを含む。置換ヒドロカルビル基は、水素及び炭素以外に1つ以上の原子を含む1つ以上の置換基を含む。
ポリマー基は、より小さい化学的繰り返し単位の反応生成物からできた比較的大きい基である。ポリマー基は、500以上の数平均分子量を有する。ポリマー基は、直鎖、分岐鎖、星形、輪、超分岐鎖、架橋、またはそれらの組み合わせである構造を有し得、ポリマー基は、単一の種類の繰り返し単位を有し得るか(「ホモポリマー基」)、またはポリマー基は、2種類以上の繰り返し単位を有し得る(「コポリマー基」)。コポリマー基は、ランダムに、順序通りに、ブロックで、他の配向で、またはそれらの任意の混合物もしくは組み合わせで配向された様々な種類の繰り返し単位を有し得る。
互いと反応してポリマー基の繰り返し単位を形成することができる分子は、本明細書で「モノマー」として知られる。そのようにして形成される繰り返し単位は、本明細書でモノマーの「重合単位」として知られる。1つ以上のポリマー基を含む化合物は、ポリマーである。
タンパク質は、重合単位がアミノ酸の重合単位であるポリマーである。アミノ酸は、ペプチド結合によって一緒に結合している。タンパク質は、1つ以上のアミノ酸の20個以上の重合単位を含む。用語、タンパク質には、直鎖ポリペプチド鎖及びポリペプチド鎖を含むより複雑な構造が含まれる。
タンパク質の分子が溶解した個々の分子の形態で連続的液体媒質全体にわたって分散している場合、タンパク質は、液体媒質中の溶液中にある(または同義的に、液体媒質に溶解している)と考えられる。タンパク質は、連続的液体媒質の重量に基づいて60重量%以上の量の水を含有する場合、水に溶解しているとみなされる。
化学基は、4.5〜8.5のpH値が存在する場合、化学基がそのpH値の水と接触しているときに、50モル%以上のそれらの化学基がイオン形態で存在するような、イオン基である。
緩衝液は、(i)陽子を受け取って、その化合物の共役酸を形成する能力を有する化合物であって、その化合物の共役酸は、9未満のpKaを有する、化合物、または(ii)陽子を放出する能力を有する化合物であって、該化合物は5超のpKaを有する、化合物のいずれかである。
ある比率が本明細書でX:1以上であるといわれるとき、これは、その比率がY:1(ここでYはX以上である)であることを意味する。例えば、ある比率が3:1以上であるといわれるとき、該比率は3:1または5:1または100:1であり得るが、2:1ではあり得ない。同様に、ある比率が本明細書でW:1以下であるといわれるとき、これは、その比率がZ:1(ここでZはW以下である)であることを意味する。例えば、ある比率が15:1以下であるといわれるとき、該比率は15:1または10:1または0.1:1であり得るが、20:1ではあり得ない。
本発明の組成物は、構造(I)を有するポリアルコキシ脂肪族化合物であり、
式中、Rは脂肪族基であり、RはHまたは置換もしくは非置換ヒドロカルビル基であり、nは0〜5であり、Xは、O、S、またはNHであり、Xは、O、S、またはNHであり、Rは、構造(II)及び構造(III)の重合単位を含むポリマー基である。
好ましくは、Rは、置換もしくは非置換脂肪族基である。置換脂肪族基の中でも、好ましい置換基は、ヒドロキシルである。より好ましくは、Rは、非置換脂肪族基であり、より好ましくは、Rは、非置換アルキル基である。好ましくは、Rは、直鎖である。好ましくは、Rは、9個以上の炭素原子、より好ましくは10個以上有する。好ましくは、Rは、22個以下の炭素原子、より好ましくは20個以下、より好ましくは18個以下、より好ましくは16個以下有する。
好ましくは、Xは、NHである。好ましくは、Xは、OまたはNH、より好ましくはNHである。
好ましくは、Rは、20個以下の原子、より好ましくは15個以下を有する。好ましくは、Rが水素ではない場合、Rは、1つ以上の炭素原子を含む。好ましくは、Rは、水素または非置換炭化水素基のいずれか、より好ましくは、Rは、水素、非置換アルキル基、または唯一の置換基が非置換芳香族炭化水素基であるアルキル基のいずれかである。非置換アルキル基の中でも、好ましいのは、メチルである。唯一の置換基が非置換芳香族炭化水素基であるアルキル基の中でも、好ましいのは、−CH−(C)であり、ここで、−(C)は、ベンゼン環である。好ましくは、Rは、構造(IV)を有する化合物が
20個の標準生物アミノ酸のうちの1つであるように選択される。
好ましくは、Rは、600以上、より好ましくは800以上の数平均分子量を有する。好ましくは、Rは、10,000以下、より好ましくは5,000以下、より好ましくは3,000以下、より好ましくは2,500以下、より好ましくは2,000以下、より好ましくは1,500以下の数平均分子量を有する。好ましくは、基Rは、(II)及び(III)のランダムコポリマー、または(II)及び(III)のブロックコポリマーのいずれかであり、より好ましくは、基Rは、(II)及び(III)のランダムコポリマーである。好ましくは、−Rは、構造−R−CHを有し、ここで、Rは、構造(II)及び構造(III)の重合単位を含むポリマー基である。好ましくは、Rは、構造(II)及び(III)に加えて、他の重合単位を有しない。
好ましくは、nは、0または1である。
構造(II)の単位の構造(III)の単位に対するモル比(本明細書において「PO/EO比」)を特徴づけるのが有用である。好ましくは、PO/EO比は、0.01:1以上、より好ましくは0.02:1以上、より好ましくは0.05:1以上、より好ましくは0.1:1以上である。好ましくは、PO/EO比は、2:1以下、より好ましくは1.5:1以下、より好ましくは1:1以下、より好ましくは0.5:1以下である。
好ましくは、構造(I)の化合物は、イオン基を有しない。
構造(I)の化合物は、任意の方法によって作製され得る。好ましい方法は、構造NH−Rを有する化合物を、構造Vの化合物
及び構造VIの化合物から選択される化合物と反応させることであり、
式中、Xは、O、S、またはNHである。R、X、R、R、及びnの選択は、上述のものと同じである。好ましくは、Xは、Oである。
構造(I)の化合物のいくつかの実施形態を作製するより好ましい方法は、以下の通りである。第1のステップにおいて、塩化アシルをアミノ酸と反応させて、以下のカルボキシル官能脂肪酸アミドを形成する。
次いで、第2のステップにおいて、カルボキシル官能脂肪酸アミドを、以下のアミン末端ポリアルコキシ化合物と反応させ、
式中、POは構造(II)であり、EOは構造(III)である。
構造(I)の化合物の好ましい使用は、1つ以上のタンパク質及び構造(I)の1つ以上の化合物を含有する組成物中での使用である。
好ましいタンパク質は、アミノ酸の40個以上の重合単位、より好ましくは100個以上の重合単位を有する。
好ましいタンパク質は、モノクローナル抗体、成長因子、インスリン、免疫グロブリン、ポリクローナル抗体、ホルモン、酵素、ポリペプチド、ペプチドの融合物、グリコシル化タンパク質、抗原、抗原サブユニット、またはそれらの組み合わせから選択される。好ましいタンパク質は、疾病または病態を治療するか、またはワクチンとして機能するための治療有効性を有する。食品組成物もしくは洗浄組成物または、コーティング配合物に有益な効果を有するタンパク質も企図される。
好ましくは、タンパク質の構造(I)の化合物に対する重量比は、0.1:1以上、より好ましくは0.2:1以上、より好ましくは0.5:1以上、より好ましくは0.9:1以上である。好ましくは、タンパク質の構造(I)の化合物に対する重量比は、150:1以下、より好ましくは100:1以下である。
タンパク質及び構造(I)の化合物の両方を含有する配合物を作製する好ましい方法は、水、1つ以上のタンパク質、構造(I)の1つ以上の化合物、及び任意の追加の成分を一緒に混合して、タンパク質が水中に溶解した配合物(本明細書で配合物「F1」と呼ばれる)を作製することである。
好ましくは、配合物F1の重量に基づいて、配合物F1中の水の量は、50重量%以上、より好ましくは60%重量以上、より好ましくは70重量%以上である。
配合物F1中、好ましくは、凝集した粒子が液状媒質中に分散したとしても、タンパク質の分子は凝集して大きな粒子にならない。好ましくは、タンパク質分子を含有するあらゆる凝集した粒子が存在する場合、そのような粒子の体積平均直径は、10nm以下、より好ましくは6nm以下である。
配合物F1中、好ましくは、タンパク質の量は、0.01mg/mL以上、より好ましくは0.1mg/mL以上、より好ましくは0.9mg/mL以上であり、配合物F1中、好ましくは、タンパク質の量は、400mg/mL以下、より好ましくは300mg/mL以下、より好ましくは250mg/mL以下である。
配合物F1中、好ましくは、構造(I)の化合物の量は、0.01mg/mL以上、より好ましくは0.1mg/mL以上、より好ましくは0.5mg/mL以上である。配合物F1中、好ましくは、構造(I)の化合物の量は、50mg/mL以下、より好ましくは10mg/mL以下、より好ましくは5mg/mL以下である。
配合物F1は、任意で、1つ以上の追加の成分を含有する。追加の成分は、水、タンパク質、及び構造(I)を有する化合物以外の化合物である。好ましい追加の成分は、構造(I)を有しない界面活性剤、糖、塩、緩衝液、アミノ酸、アミノ酸の塩、及びそれらの混合物である。そのような追加の成分が存在するとき、好ましくは、すべての追加の成分の総量は、300mg/mL以下である。
配合物F1中の含有物に関して、構造(I)を有しない界面活性剤の中で、好ましいものは、非イオン性界面活性剤、より好ましいものは、モノラウリン酸ソルビタンのポリオキシエチレン誘導体(例えば、ポリソルベート20及びポリソルベート80)、ならびにプロピレンオキシドの重合単位の中央ブロック及びエチレンオキシドの重合単位の末端ブロックを有するトリブロックコポリマー(例えばポリオキサマーF127及びポリオキサマー188)である。
配合物F1中の含有物について、好ましい糖は、スクロース、グルコース、マンノース、トレハロース、マルトース、及びそれらの混合物である。
配合物F1中の含有物について、好ましい塩は、水素、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、及びそれらの混合物から選択される陽イオンを有する。好ましい塩は、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、リン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、硫酸塩、及びそれらの混合物から選択される陰イオンを有する。好ましい緩衝液は、水素、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、及びそれらの混合物から選択される陽イオンを有する。好ましい緩衝液は、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、リン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、硫酸塩、及びそれらの混合物から選択される陰イオンを有する。
配合物F1中の含有物について、好ましいアミノ酸及びその塩は、リジン、グリシン、アルギニン、ヒスチジン、及びそれらの混合物から選択される。
配合物F1中、タンパク質を含有する粒子が連続的水溶媒質に溶解することが企図される。配合物F1中に存在するタンパク質以外の化合物について、各化合物は、他の化合物から独立して、水溶媒質中に溶解して見られ得るか、タンパク質を含有しない分散した粒子中に見られ得るか、タンパク質の溶解した分子の一部またはすべてに結合して見られ得るか、またはこれらの位置のうちの2つ以上の間に分散して見られ得る。
配合物F1が良好な安定性を有することが企図される。つまり、配合物F1がタンパク質の変性に抵抗し、かつ溶解した分子が凝集して凝集した粒子になることに抵抗することが企図される。
タンパク質と構造(I)の化合物との混合物を保管及び/または輸送する一方法は、配合物F1を作製し、次いで乾燥プロセスにより配合物F1から水を除去することである。配合物F1を乾燥させることにより生成される固形物質(本明細書で固形「S1」と呼ばれる)は、タンパク質を変性させるかまたは他の分解を起こさずに容易に保管及び輸送され得ることが企図される。輸送及び/または保管後、固形S1は、水と混合されて、配合物F1の特性と類似した特性を有する溶液を生成し得ることがさらに企図される。
以下は、本発明の実施例である。
手順は、特に明記される場合を除いて、おおよそ23℃の室温で行った。
以下の用語及び略語を使用する。
BSA=ウシ血清アルブミン
IgG=免疫グロブリンG、一般的にウサギまたはヒト血清から利用可能、以下の実施例において、IgG源を記載する。
THF=テトラヒドロフラン
PO=構造(II)
EO=構造(III)
PEA1=Jeffamine(商標)M1000ポリエーテルアミン(Hunstman)、1,000のおおよその分子量、及び3/19のPO/EO比
PEA2=Jeffamine(商標)M2070ポリエーテルアミン(Hunstman)、2070のおおよその分子量、及び10/31のPO/EO比
動的光散乱(DLS)測定を以下の通り行った。光散乱測定を、Wyatt DyanaPro(商標)ハイスループットDLS器具によって行った。試料を、可変タンパク質濃度で、クエン酸塩生理的食塩水緩衝液(pH7)中の1mg/mL界面活性剤、15ミリモルのクエン酸ナトリウム、150ミリモルのナトリウムクロリド(sodium cloride)で調製した。Orencia(商標)及びRemicade(商標)粉末を、緩衝液よりもむしろ水でもどした。30μLの各試料を、明澄な底を有するAurora384ウェルブラックシクロオレフィンポリマープレート(Brooks Life Science Systems)のウェル内に置いた。各ウェルの上に、15μLのシリコーンオイルを添加した。温度傾斜研究のために、試料を25℃で平衡させ、次いで0.05C/分で80℃に傾斜をつけた。DLS測定を、1サイクル当たり1つのウェル当たり5×3秒の取得でウェルからウェルに循環させて、連続して得た。等温研究のために、試料を1℃/分で40℃、50℃、及び最終温度(Remicadeについては50℃、BSAについては65℃、Orenciaについては73℃)に傾斜させ、データをおおよそ36時間にわたって連続的に収集した。
円二色性実験(CD)を、JASCO J−1500 CD分光偏光計によって行った。タンパク質溶液[5%のBSA(50mg/mL)、及び0.2%のIgG(2mg/mL)]を、pH7.3の10mMのリン酸緩衝食塩水(PBS)緩衝液中に調製した。BSA試料を、測定前にPBS緩衝液を用いて1:10で希釈した。
ナノ示差走査熱量測定(ナノDSC)を、Model 6100 Nano II DSC、Calorimetry Science Corporation,USAを使用して行った。試料(典型的には2.5mg/mlのタンパク質溶液)及び基準(リン酸塩緩衝液)の両方を、0.3MPa(3バール)の圧力及び1℃/分の走査速度で走査した。走査は、15℃から105℃までであった。
構造(I)の化合物(「界面活性剤」)の合成を、以下の通り行った。
N−ミリストイルアミノ酸誘導体を、水酸化ナトリウム及びトリエチルアミンの存在下で、塩化ミリストイルとグリシンとを室温(おおよそ23℃)で4時間、反応させることによって調製した。N−ミリストイルアミノ酸誘導体(5mmol)及びポリエーテルアミン(PEA1またはPEA2のいずれか)(5mmolアミン基)を、攪拌子を含む50mL一口丸底フラスコに添加し、凝縮器及びガス入口アダプタをはめた。このフラスコを油浴内に置き、次の通り加熱した。100℃で1時間、125℃で1時間、150℃で1時間、175℃で1.5時間、及び200℃で1.5時間。この時間の間、反応温度が175〜200℃に達したら、水発生を観察した。反応混合物を室温(おおよそ23℃)にまで冷却し、フラスコに真空を加え、次いでフラスコを100℃で30分間、125℃で30分間、150℃で30分間、175℃で30分間、及び200℃で2時間再加熱した。加熱を中止し、反応混合物を室温にまで冷まし、次いでフラスコに窒素を充填した。1H及び13C NMRスペクトルは、界面活性剤の構造と一致した。
n=0での構造(I)の化合物について、塩化ミリストイルを上述の通り、Jeffamine樹脂と直接反応させた。
作製した各本発明の界面活性剤において、R−は、CH(CH11CH−であった。X及びXは両方ともNであった。Rは、メチル基で末端キャッピングした、プロピレンオキシド単位とエチレンオキシド単位とのコポリマーであった。
作製した本発明の界面活性剤は、次の通りである。
実施例1:BSAを含有するタンパク質溶液の試験
示される様々な界面活性剤を用いた5mg/mLのBSAの走査DLS。走査速度は、25から80℃まで0.05℃/分であった。界面活性剤は、すべて1mg/mLであった。走査DLSにおいて、試料を、温度の関数として体積平均粒子直径に関して試験した。各試料は、最終的には直径の増加を示した。開始の温度(T開始)を記録した。より高いT開始は、より安定したタンパク質溶液を意味する。
BSA(5mg/mL)のナノDSCを、様々な界面活性剤(5mg/mL)を用いて行った。熱流に対する温度のナノDSCグラフは、60℃〜85℃で「アンフォールディング」ピークと呼ばれるピークを示し、これは、タンパク質が最大速度で変性する温度を示す。アンフォールディングピークの温度(Tm)を報告する。より高いTmは、タンパク質溶液がより安定していることを意味する。
異なる界面活性剤を用いた円二色性(CD)BSA試料(5mg/mL)を、70℃で30分間、次の熱老化で測定した。CDに対する波長のグラフは、222nmでのピークを示し、アルファヘリックスの吸光度を示す。アルファヘリックスピークの減少は、変性を示す。各試料に関して、222nmでのCDを調査し、最初の試料の値間の差を、70℃で30分間の熱老化後の同じ試料の値と比較し、この差をΔCDとして報告する。ΔCDのより高い絶対値は、より安定しないタンパク質溶液を意味する。
62℃の1mg/mLの界面活性剤を用いたBSA(5mg/mL)の等温DLSも行った。体積平均粒子直径を、時間の関数として測定した。2000秒での直径(D2k)を記録した。D2kのより低い値は、より安定したタンパク質溶液を意味する。
結果は以下の通りであった。「nt」は、試験しなかったことを意味する。
開始の結果において、すべての本発明の実施例は、比較実施例に匹敵するか、または比較実施例よりも優れた安定性を示し、実施例2、3、及び4は、特に比較実施例よりも優れていた。Tmの結果において、すべての本発明の実施例は、比較実施例に匹敵するか、または比較実施例よりも優れた安定性を示し、実施例4は、特に比較実施例よりも優れていた。ΔCDの結果において、すべての本発明の実施例は、比較試料よりもはるかに優れた結果を示した。D2kの結果において、試験した唯一の本発明の実施例である実施例4は、比較実施例よりも優れていた。
実施例2:IgGを含有するタンパク質溶液の試験
走査DLSを、すべて1mg/mLの界面活性剤を用いて25℃から80℃で、0.05℃/分で、ウサギの1mg/mLのIgGを含有するタンパク質溶液に対して行った。T開始は、すべての試料について66℃であったが、温度がT開始を超えて上昇するに従い、実施例1を使用した試料は、すべての他の試料よりもかなり遅い粒子直径の成長を示した。
等温DLSを、1mg/mLのウサギIgGで、65℃で行い、4000秒での大きさ(D4k)を報告した。ヒトIgGを使用したCD技法は、65℃で18時間の熱老化に起因する218nmでの吸光度の変化を比較した。結果は以下の通りであった。
ΔCDの結果において、本発明の実施例は、比較実施例よりも優れていた。D4kの結果において、実施例3は、比較実施例よりも優れていた。
実施例3:Orencia(商標)粉末を使用した結果。
ORENCIA(商標)(アバタセプト)粉末(Bristol−Myers Squib製)を、処方によって得た。Orenciaを水で希釈して4mg/mLにし、T開始について走査DLSによって試験した。また、Orenciaを水で希釈して10mg/mLにし、73℃での等温DLSによって試験し、20時間の時点での直径(D20h)を記録した。タンパク質溶液中、D20hは、時間が経過するに従いより大きく成長する傾向があり、より不安定な溶液は、D20hのより高い値に達した。D20hのより小さい値は、より安定したタンパク質溶液を意味する。1mg/mLのOrencia溶液を、等温ステップ実験で試験し、粒子直径を50℃で45時間、続いて60℃で15時間維持している間、時間の関数としてDLSによって測定した。このプロセスの最後の直径Dstepを記録した。Dstepのより小さい値は、より安定したタンパク質溶液を意味する。
結果は以下の通りであった。
開始及びD20hの結果において、本発明の試料は、比較試料よりも安定したタンパク質溶液を有した。
実施例4:Remicade(商標)の試験結果
REMICADE(商標)(インフリキシマブ)粉末(Johnson and Johnson製)を、処方によって得た。Remicade粉末を、水中に1mg/mLに希釈した。走査DLSを使用して、T開始を上述の通り測定した。また、等温DLSを50℃で行い、粒子直径が急速に成長し始めた時間(t−grow)を書き留めた。結果は以下の通りであった。
本発明の試料は、比較試料に匹敵する性能を示した。

Claims (8)

  1. 構造(I)を有するポリアルコキシ脂肪族化合物であって、
    式中、Rは、脂肪族基(fatty group)であり、Rは、Hまたは置換もしくは非置換ヒドロカルビル基であり、nは0〜5であり、XはSまたはNHであり、XはO、S、またはNHであり、Rは、構造(II)及び構造(III)
    の重合単位を含むポリマー基である、ポリアルコキシ脂肪族化合物。
  2. −Rは、構造−R−CHを有し、式中、Rは、(II)及び(III)
    の重合単位を含むポリマー基である、請求項1に記載のポリアルコキシ脂肪族化合物。
  3. −Rは、イオン基を有しない、請求項1に記載のポリアルコキシ脂肪族化合物。
  4. −Rは、600〜10,000の数平均分子量を有する、請求項1に記載のポリアルコキシ脂肪族化合物。
  5. −Rは、20個以下の原子を有する、請求項1に記載のポリアルコキシ脂肪族化合物。
  6. −Rは、直鎖非置換アルキル基である、請求項1に記載のポリアルコキシ脂肪族化合物。
  7. −Rは、10〜16個の炭素原子を有する直鎖非置換アルキル基であり、
    −Rは、水素、メチル、及び−CH−(C)からなる群から選択され、−(C)は、ベンゼン環であり、
    −Rは、800〜3000の数平均分子量を有する、請求項1に記載のポリアルコキシ脂肪族化合物。
  8. 請求項1に記載のポリアルコキシ脂肪族化合物を作製する方法であって、構造NH−Rを有する化合物を、構造Vの化合物
    及び構造VIの化合物
    から選択される化合物と反応させることを含み、式中、Xは、SまたはNHである、方法。
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