JP2018526312A - 面状のガラス部材から部分片をレーザアシストにより切り離すための方法および装置 - Google Patents

面状のガラス部材から部分片をレーザアシストにより切り離すための方法および装置 Download PDF

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Abstract

本願では、切り離すべき部分片(4)と残留させるべき主部(3)とに面状のガラス部材(2)を分ける所定の分割線(21)に沿って、当該ガラス部材(2)から当該部分片(4)を切り離す方法であって、ガラス部材(2)の体積に線条状の傷(20)を分割線(21)に沿って並べて形成し、傷(20)を超短パルスレーザ(10)のレーザパルス(12)によって形成し、ガラス部材(2)の材料はレーザパルス(12)に対して透過性であり、レーザパルス(12)はガラス部材(2)の体積においてプラズマを生成し、当該プラズマは線条状の傷(20)を形成し、ガラス部材(2)上におけるレーザパルス(12)の入射点(13)を当該ガラス部材(2)の表面(22)上において分割線(21)に沿って移動させ、分割線(21)に沿って並んで配置された線条状の傷(20)を入れた後、部分片(4)と主部(3)とをそれぞれ完全体として維持しながら、並んだ線条状の傷(20)において部分片(4)を分割線(21)に沿って主部(3)から引き離すように、ガラス部材(2)の主部(3)の領域を加熱して膨張させ、および/または、ガラス部材(2)の部分片(4)の領域を冷却して圧縮させる方法を開示する。

Description

本発明は一般的に、面状のガラス部材からの部分片のレーザアシストによる切り離しに関する。具体的には本発明は、面状のガラス部材の内側からの部分片のレーザアシストによる切り離しに関する。
国際公開第2012/006736号(WO 2012/006736 A2)から、高エネルギーのレーザパルスを用いてガラス基材に線条の形態の不可逆的な傷を引き起こすことができ、ガラスにおけるかかる複数の傷の整列によってガラスを分割できることが公知となっている。線条は超短レーザパルスによって生じ、ガラスの内側においてカー効果に基づき、プラズマが点弧するほど1点においてエネルギー密度が高くなるまで自己集光が行われる。ガラスがプラズマ発生場所の周辺に不可逆的な傷を受けるプラズマ爆発が生じる。ここからさらなる放射が放出され、この放射は自己集光を受けて、さらなるプラズマ爆発となって終了する。この効果は、強度如何に応じて複数回繰り返される。このエネルギーはガラス全厚において減少していくので、最初のプラズマスポットが最大のエネルギーを有し、最初のプラズマスポットが生成する傷も最大となる。
独国特許出願公開第102012110971号明細書(DE 10 2012 110 971 A1)に、透明な被加工物の分割前処理方法が記載されており、この方法では、超短レーザパルスによって、被加工物を通って交差する整列された線条パターンが、分割線に沿って形成される。これにより、材料にはこの分割線に沿ってパーフォレーションが形成され、これにより事前傷形成がなされる。次のステップにおいて、被加工物の分割を行う。
1つの被加工物から所定の部分片を完全に切り離す必要がある場合、材料は分割線によって、通常は2つの完全に互いに区切られた領域に分けられる。ここで、材料に上述のような分割線に沿って線条が形成された後に後続のステップにおいて材料に適切な応力を印加すると、材料は上述の生成された規定破損線すなわち分割線に沿って分割され、この材料から、切り離された部分片と、残留する主部とが得られる。切り離された部分片は、典型的には内側部分と称され、残留する主部は外側部分と称され得る。
分割線が直線である場合、レーザ加工の次の切り離しは簡単になる。それに対して切り離しが困難になるのは、分割線が曲線である場合、互いに角度を成す複数の区間を有する場合、または、閉じた線を成している場合である。後者の場合は特に、内側輪郭ないしは孔を形成しなければならない場合である。たとえばこれは、ガラスプレートに窓を切り抜かなければならないときに生じる。また、上述の後者の場合は、外側輪郭の全部が分割線によって設定されたガラス部品を製造しなければならないときにも生じる。
全体的に曲線の分割線、局所的に角を有する分割線、または、それ自体で閉じられた分割線に沿ってガラスを分割することが困難であるのは、かかる分離線でガラスに十分な曲げモーメントを与えることが容易ではないからである。
にもかかわらず面状基材から内側輪郭を切り出す一手段は、欧州特許出願公開第2781296号明細書(EP 2 781 296 A1)から導き出すことができる。ここで記載されている方法は、輪郭線に沿って亀裂線を入れた後(輪郭規定ステップ)、基材から切り離すべき部分片を基材からより容易に切り離せるように、当該基材から切り離すべき部分片を高いレーザ出力で熱により変形し、または溶融する(材料変形工程または材料アブレーション工程)。切り離しをアシストするためには、切り離すべき部分片をさらに小さい小片に切り出し加工するため、部分片にさらに他の、たとえば螺旋形またはV字形の亀裂線を入れることができる。この手法の欠点は、コストが高くて経済的有用性が低減すること、および、切り離すべき部分片の破壊であり、かかる部分片の形状は、基材の残留する主部に対して正確に嵌合する形状なので、部分片が関心対象となり得る。また、部分片の破壊については、粒子および破片が生じ、これによって洗浄コストが高くなるという欠点もある。
よって、本発明の基礎となる課題は、面状のガラス部材の切り離された部分片および残留する主部の双方がこれ以上損傷することがないように、面状のガラス部材から非直線の分割線に沿って部分片を効率的かつ清浄に、特に破片無しで切り離せるようにすることである。
課題の一側面は、それ自体で閉じた分割線に沿って内側の部分片を上述のように切り離せるようにすることである。
課題の他の一側面は、ガラスの切り離された部分片および残留する主部の双方において損傷となる亀裂形成のおそれを最小限にしながら、上述のような切り離しを可能にすることである。
前記課題は、独立請求項の対象だけで既に解決される。各従属請求項に、本発明の有利な実施形態および発展形態が記載されている。
切り離すべき部分片と残留させるべき主部とに面状のガラス部材を分ける所定の分割線に沿って、当該ガラス部材から部分片を切り離す本発明の方法は、ガラス部材の体積に線条状の傷を分割線に沿って並べて形成し、かつ、当該傷を超短パルスレーザのレーザパルスによって形成し、ガラス部材の材料はレーザパルスに対して透過性であり、レーザパルスはガラス部材の体積においてプラズマを生成し、プラズマは上述の線条状の傷を形成し、ガラス部材上におけるレーザパルスの入射点を当該ガラス部材の表面上において分割線に沿って移動させ、当該分割線に沿って並んで配置された線条状の傷を入れた後、部分片と主部とをそれぞれ完全体として維持しながら、並んだ線条状の傷において部分片を分割線に沿って主部から引き離すように、ガラス部材の主部の領域を加熱して膨張させ、および/または、ガラス部材の部分片の領域を冷却して圧縮させることに基づいている。
主部の膨張および/または部分片の圧縮によって、これらの各部のサイズは互いに相対的に異なって変化することとなる。部分片を冷却する場合、たとえば、主部に対する部分片の「収縮」が生じる。かかる相対的なサイズ変化によって、部分片は主部から引き離される。
有利には、分割線に沿って並んで配置された線条状の傷を入れた後に、分割線に沿ってガラスに局所的な引張応力を引き起こして、隣り合った線条状の傷間に亀裂形成を引き起こすように、ガラス部材上におけるレーザ放射の入射点、有利には二酸化炭素レーザの入射点を、当該ガラス部材の表面上において分割線に沿って移動させる。かかる工程は「クリービング工程」とも称される。このクリービング工程は、加熱後に局所的に冷却を行って、材料に生成された引張応力を増大させることによって、支援することもできる。
クリービング工程は事前分割処理に供される。ガラス部材に分割線において熱力学的な応力を生成するため、ガラス部材に分割線に沿って、有利にはCOレーザを用いて照射がなされる。この照射により、線条の傷を繋ぐ亀裂形成を分割線に沿って生じさせることができ、これにより、分割線に沿って少なくとも局所的な分割を生じさせることができ、しかも、このことは通常、主部から部分片が引き離されることなく生じさせることができる。この観点において有利なのは、主部の領域において加熱を行う工程の前、および/または、部分片の領域において冷却を行う工程の前に、クリービング工程を行うことである。
線条パターン自体、および、クリービング工程によって材料に引き起こされる追加の亀裂は双方とも、材料の、分割線に沿って延在する事前傷となる。
本発明は、主部および部分片をそれぞれ完全体として維持するものである。主部および部分片をそれぞれ完全体として維持することの利点は、両部分とも引き続き使用できることである。どのような目的で当該分割方法を使用するかに応じて、主部または部分片のいずれか一方または双方の部分が関心対象となり得る。特に主部が関心対象である場合には、生じる残留部分および破片が少なくなり、部分片を溶解する必要なく出発材料として再使用することができるので、部分片の維持が有利である。両部分が関心対象である場合には、両部分の形状が正確に相補的となることに利点が奏され得る。さらに、切り離すべき部分を複数のより小さい小片に分割する手法と比較して、プロセスコストも格段に削減される。
本発明に使用される、材料に規定された傷を極小空間に超短パルスレーザのレーザパルスによって形成する精密分割手法は、レーザ光との相互作用ゾーンにおいて、互いに密に位置するサブミクロン中空チャネルの形成、すなわち1μm未満の径の中空チャネルの形成によって、材料の局所的破壊が生じることに基づいている。
レーザパルスによって形成される線条状の傷は有利には、少なくとも200μmの長さ、特に有利には500μmの長さを有する。こうするためには、適切なパルスエネルギーおよびパルス幅を選択する。線条状の傷の上記の最低限の長さが有利である理由は、この最低限の長さによって部分片の切り離しが容易になるからである。
長い線条状の傷を形成するために特に有利なのは、超短パルスレーザをいわゆるバーストモードで動作させることである。この動作モードでは、レーザパルスを単パルスとして出力するのではなく、短時間で連続して出力される複数のパルスの列として出力し、このパルスの列は1つのパルスパケットすなわちバーストを構成する。したがって本発明の発展形態では、超短パルスレーザの動作は、バーストの形態ないしはパルスパケットの形態でのレーザパルスの時間的に連続する出力の形態でなされ、有利にはこれらの各バーストは、線条の傷のうちそれぞれ1つを形成する。
かかるパルスパケットは一般的に、通常のシングルショットモードでの単パルスよりある程度大きいエネルギーを有する。しかし、バーストのパルス自体のエネルギーは単パルスより格段に小さい。また、1バーストにおいてパルスのパルスエネルギーが低減していくことも典型的である。
本発明の適切なレーザ光源は、波長1064nmのネオジムドープされたイットリウム・アルミニウム・ガーネットレーザである。レーザ光源はとりわけ、10kHz〜120kHzの間の繰り返し周波数、有利には30kHz〜110kHzの間、非常に特に有利には35kHz〜105kHzの間の繰り返し周波数で動作する。スキャン速度は有利には、繰り返し周波数に依存して、隣り合った線条状の傷間の距離が4μm〜10μmの範囲内になるように選択することができる。
レーザパルスの適切なパルス幅は100ps未満、有利には10ps未満の範囲内である。パルス持続時間は1ps未満とすることもできる。レーザ光源の典型的な出力は、特に有利には40〜100Wの範囲内である。線条状の傷を達成するためには、本発明の有利な一発展形態では、200μJ超のバーストでパルスエネルギーを使用し、さらに有利には、バースト総エネルギーは500μJ超である。
超短パルスレーザをバーストモードで動作させる場合、繰り返し周波数はバーストの出力の繰り返し周波数である。パルス幅は基本的に、レーザを単パルスモードまたはバーストモードで動作させるか否かに依存しない。バーストにおけるパルスのパルス長は典型的には、単パルスモードのパルスのパルス長と同様である。
本発明においてマイクロパーフォレーションが使用される場合には、(微量を除いて)分割継目から材料が除去されない。分割すべき両部分は、線条状の傷を入れた後は、実質的には未だ互いに結合している。
本発明のマイクロパーフォレーションを行った後は、分割線に沿って規定破損線が材料に存在することとなる。これは、当該規定破損線に沿って未だ分割していないが、材料に適切な応力が引き起こされた場合にはこの規定破損線に沿って材料を良好に分割できる、というものである。そのために適しているのは、特にクリービング工程である。
基本的には、たとえば面状のガラス基材を曲げることによっても、面状のガラス基材に応力を簡単に生じさせることができる。曲げられると、材料の体積の半分が延びて、この半分に引張応力が生じ、それと同時に、当該材料の他方の体積半分が縮んで、ここに圧縮応力が生じる。上述の両体積半分は、基材の両表面の中間に位置する平面によって互いに区切られ、この平面は「中性ゾーン」とも称される。というのも、この平面では引張応力も圧縮応力も生じないからである。ガラス基材を曲げることは、規定破損線に沿って分割するために適しており、しかも、主に規定破損線が可能な限り直線である場合に適している。
それに対して、本発明の、ガラス部材の主部の領域の加熱および/または部分片の領域の冷却によって、当該部材の実質的に全厚に及ぶ引張応力を当該部材に生じさせることができる。すなわち、同時に圧縮応力を発生させることなく引張応力を発生することができる、ということである。
本発明の第1の態様は、部材の部分片の領域は加熱しないようにしながら、当該部材の主部の領域のみを加熱することによって膨張させる、というものである。こうすることにより、部材の主部の領域の方が、当該部材の部分片の領域より大きく膨張する。この膨張によってガラスに引張応力が生じることができ、この引張応力によって主部から部分片が分割線に沿って切り離される。さらに、部分片は主部から引き離される。よって、部材から内側の部分片を切り離す必要がある場合には、基材を加熱して内側幾何形状を切り抜くことができる。内側幾何形状は、所定の温度に達したときに取り出すことができる。
内側幾何形状を有しないガラス部材の加熱を実現する一例は、内側幾何形状の辺りにおいて切り抜かれた加熱プレートを用いて加熱することである。さらに他にも、ガラス部材の主部の領域のみを加熱する数多くの態様が可能であり、たとえば、部分片を覆いながらガラス部材を光作用によって加熱することが可能である。主部に高温の流体を吹き付け、ないしは噴射し、または、主部においてCOレーザを移動させることによって、主部を加熱することもできる。
本発明の第2の態様は、部材の主部の領域のみを加熱することによって膨張させ、かつ、部材の部分片の領域を冷却して圧縮させる、というものである。このようにして、材料における引張応力をさらに増大させることができる。
内側の部分片の場合の一例は、内側幾何形状が切り抜かれた加熱プレートを用いてガラス部材の加熱を実現し、ガラス部材の内側幾何形状の領域をさらに冷却させるように、この切抜部を通じて部材に空気を吹き付ける、というものである。また、部材の内側幾何形状を空気とは異なる流体によって冷却すること、または冷却プレートを用いることも可能である。
しかし、部材の主部の領域の加熱と、部分片の領域の冷却とを、同時に行う必要はない。たとえばガラス部材全体を加熱し、(これによって結果的には主部の領域も加熱される)、その後に部分片の領域を冷却させることも可能である。またその逆に、部材全体を冷却して、その後に主部の領域を加熱することも可能である。
本発明の第3の態様は、部材の主部の領域を冷却しないようにしながら、部材の部分片の領域のみを冷却して圧縮させることである。
本発明では、部分片はいかなる場合においても、当該部分片において追加の補助工程を行うことなく、主部から切り離される。追加の補助工程を回避することについての利点は、ガラス部材において加熱および/または冷却の結果として生じ得る引張応力を、かかる追加の補助工程に分配せずに、引張応力の全部が所望の分割線に作用することである。よって本発明では、部分片も主部も、分割線に沿って線条を入れることによる傷によっては損傷しない。引き離し後は、部分片および主部は、この入れられた傷のみをカットエッジに有する。
マイクロパーフォレーションを用いた、使用される精密分割手法によって、カットエッジにおいて非常に高いエッジ品質が達成される。ガラスエッジの性状はガラス部材の曲げ強度に非常に重要であるから、エッジ品質が高いと、主部および部分片の曲げ強度も向上する。換言すると、破片飛散、ノッチおよび他の凹凸が可能な限り少なくかつ可能な限り小さい、有利には全く無い、可能な限り清浄なガラスエッジは、ガラス破損のおそれを低下するために寄与することができる。
ガラス部材の主部の領域を加熱する場合において、その次に強化処理またはセラミック化プロセスが行われる場合には、加熱工程を強化処理またはセラミック化プロセスに統合することができる。
本発明の一発展形態では、ガラス部材の主部の領域を加熱して膨張させ、および/または、部分片の領域を冷却して圧縮させて、主部の平均温度と部分片の平均温度との間に、少なくとも150℃、有利には少なくとも200℃、特に有利には少なくとも300℃の温度差を生じさせる。
本発明の一発展形態では、ガラス部材の主部の領域を加熱して膨張させ、部分片が分割線に沿って、複数の並んだ線条状の傷において主部から引き離した後に、上述の行った加熱を利用して主部を熱強化処理する。
本発明の上述の発展形態では、ガラス部材の既に加熱された部分を直接強化処理し、これによって、さらに高いエネルギーコストが生じることはない。つまり、主部は高いエネルギー効率で熱強化処理される。切り離しの直後に行われる、加熱された部分の強化処理は、特に、線条形成を用いた、使用される精密分割手法によって行うことができ、これによって高いエッジ品質が得られる。このことによって特に、主部からの部分片の切り離しによって形成されたエッジを研磨し、または他の態様で処理する必要がなくなる。
さらに、なされた加熱を利用して主部をセラミック化することもできる。このようにして、高いエネルギー効率で主部をセラミック化すること、すなわち、ガラス・結晶混合体に変換することができる。よって、エネルギー削減のためには、切り離しプロセスの次にセラミック化を行うことが有利である。
したがって、プロセスラインはたとえば以下のように実現することができる:まずガラス部材に、規定された少なくとも1つの分割線に沿って、レーザパルスにより線条すなわちマイクロパーフォレーションを形成する。この分割線のうち少なくとも1つは、本発明でいうところの非直線の分割線である(この例では、部分片を描出する内側輪郭を前提としている)。さらに、まず本発明の方法とは異なる態様で、たとえば曲げることによってガラス部材に応力を加えることにより、またはCOレーザを照射することによって、ガラス部材を分割する他の分割線、たとえば外側輪郭を付与することができる。この他の分割線に沿って分割することにより生じたエッジは、分割後に研磨することができ、たとえばいわゆるC研磨を行うことができる。他のオプションのステップは、ガラス部材の洗浄および印刷とすることができる。その際に有利なのは、内側輪郭が主部から切り離されるが、主部からは引き離されないように、線条を互いに結合するクリービング工程を当該内側輪郭の分割線に沿って行うことである。その後に本発明の方法を用いて、主部を加熱して膨張させることにより、主部から部分片を引き離す。このようにして内側輪郭が切り出され、部分片および主部の双方に生じたカットエッジは非常に高いエッジ品質を示し、特に、チッピングが10μm未満、特に有利には5μm未満であり、かつ30μm未満のRz値、有利には20μm未満、特に有利には10μm未満のRz値の粗さであることを特徴とする。最後に、既に分割のために行った加熱を利用して、主部を熱強化処理する。行った加熱を利用して、主部をセラミック化することもできる。次に、ガラス部材の主片および/または部分片をパッケージングすることができる。
熱強化処理ないしは熱硬化は、硬化すべきガラス部材を急冷することに基づいている。まず、部材の表面が冷却するが、内部には未だ、より高温またはより軟質の相が存在する。内部と周辺との温度差は、外部と周辺との温度差より大きい。その後、ガラス部材の内部はますます圧縮し得るが、この圧縮は、既に固化した表面によって阻止される。このことによって内部に引張応力が生じ、かつ、表面には圧縮応力が発生する。
このような熱強化処理の利点は、これが強度を向上させる比較的低コストの手法であることである。これにより、本発明の本発展形態では、切り離しとその後の強化処理とを行う効率的な方法が実現される。よって、本発明の本実施形態の経済的有用性が向上する。その上、熱強化処理されたガラス部材は通常、良好にカットして分割することができなくなる。しかし、強化処理が行われた後のマイクロパーフォレーション、カットおよび分割は、本発明の本実施形態では絶対に必須というものではない。というのも、必要な分割工程は全て、未だ強化処理がなされていないガラス部材において既に行うことができるからである。このことは、(上記に説明した一例のプロセスラインに従えば)本発明でいうところの非直線の分割線に沿った分割、および、従来の手法を用いて分割を行える、場合によっては他の分割線に沿った分割の双方について当てはまる。
欧州特許出願公開第2781296号明細書に記載の方法は、表面が硬化または強化処理されたガラスにも使用することができる。しかし当該方法の欠点は、かかるガラスは(上記にて既に述べたように)未だ硬化処理ないしは強化処理がなされていないガラスほど良好にカットしたり容易に剥離することができなくなるので、硬化または強化処理されたガラスでの輪郭画定工程中に損傷となる亀裂形成のおそれが増大することである。その上、レーザ出力およびカット速度等のレーザパラメータを厳密に正確に維持しなければならない。これらの欠点は、本発明の上記の発展形態によって回避される。
本発明の一発展形態では、ガラス部材の材料は、3×10−6−1超の熱膨張係数、有利には4×10−6−1超の熱膨張係数、特に有利には7×10−6−1超の熱膨張係数を有する。
ガラスの熱膨張係数は、温度の変化による膨張または圧縮に起因して当該ガラス部材の寸法がどの程度変化するかを表すパラメータである。この「熱膨張係数」とは、線膨張係数α=(1/L)(ΔL/ΔT)をいい、ここでΔTは温度差を表し、ΔLは元の長さLの1次元における変化を表す。
本発明の一発展形態では、ガラス部材は少なくとも2mmの厚さ、有利には少なくとも3mmの厚さ、特に有利には少なくとも4mmの厚さ、さらに有利には少なくとも5mmの厚さを有する。本発明の、面状のガラス部材から部分片をレーザアシストにより切り離す方法は、特に上掲の厚さの面状のガラス部材に適している。それに対して、従来の分割手法を用いて、たとえば曲げモーメントを加えて、全般的に曲線の分割線、局所的に角を有する分割線、または、それ自体で閉じられた分割線に沿ってガラスを分割することは、ガラスの厚さが厚くなるにつれてますます困難になる。その根拠は、従来の分割手法では基材厚が厚くなるにつれて、未だ接触している両部分間に引っ掛かりが生じるおそれがますます増大するからである。よって、ガラス部材が比較的厚くなると、従来の手法で確実に分割を行うことは困難になるか、または不可能にもなり得る。
欧州特許出願公開第2781296号明細書に記載された方法は、照射された領域において熱により基材材料の流動が誘発されることに基づいて、切り離すべき輪郭を、重力に起因して滴状に隆起させることにより、他の残りの基材材料との間にギャップを形成するものである。しかし、この方法の欠点は、限られたガラス厚にしか適していないことである。つまり、ガラスが過度に厚いと、基材の平面における、切り離すべき輪郭の加熱に起因する膨張に対する材料の流動によるギャップ形成の効果は、ますます弱くなってしまう。それに対して、面状のガラス部材から部分片をレーザアシストにより切り離す本発明のこの方法は、特に比較的厚いガラス部材に適している。5mm超の厚さのガラスを加工することも可能であり、特に、8mm超の厚さのガラスを上手く加工することも可能である。
さらに、ガラス部材が最大20mmの厚さ、さらに有利には最大15mmの厚さ、特に有利には最大10mmの厚さを有することが有利である。上掲の範囲内のかかる最大厚のガラスは、本発明の方法によって両部分を分割して確実に分割するためにも非常に適している。
ガラス部材が厚くなると、1加工工程で、ないしは分割線に沿ってレーザビームの入射点を1回移動するだけで、全厚にわたってマイクロパーフォレーションを行うことができなくなるか、または少なくとも不都合になることが多い。部分片を簡単かつ確実に切り離せるようにするためには、むしろ、2回以上通過をそれぞれ異なる焦点深度で行うことが有利である。
本発明の一発展形態では、分割線のどの点においても分割線から少なくとも5μmかつ最大50μmの距離に、有利には最大40μmの距離に、特に有利には最大30μmの距離に離隔したオフセット線に沿って並んだ複数の線条状の傷を、ガラス部材の体積に形成し、オフセット線に沿って並んだ複数の線条状の傷を、分割線に沿って形成された線条状の傷の長手方向に投影したものは、分割線に沿って形成された線条状の傷と200μm未満の重なり部分、有利には100μm未満、有利には50μm未満の重なり部分を有する。
さらに、上述の第1のオフセット線から離隔した第2のオフセット線に沿っても同様に、ガラス部材の体積に線条状の傷を形成することができる。
本発明の一発展形態では、部分片の第1の横方向次元における最小寸法は少なくとも5mm、有利には少なくとも10mm、特に有利には少なくとも20mmであり、かつ、当該部分片の、第1の横方向次元に対して直交する第2の横方向次元における最小寸法は、少なくとも5mm、有利には少なくとも10mm、特に有利には少なくとも20mmである。
切り離すべき部分片は、上述の両横方向次元において、すなわち面状のガラス部材に対して平行に、つまり当該部材の平面内にて延在する両次元において、それぞれある程度の最低限の広がりを有するのが有利である。このことは、切り離すべき部分片が大きいほど、本方法において引き起こされる、部分片に対する主部の相対的な膨張が(または、主部に対する部分片の圧縮も)引き起こす引張応力が大きくなることに基づく。追加的にクリービング工程を行う場合も、特に内側の部分片(内側輪郭)の場合には、以下例に基づいて説明するように、ある程度の最低限の広がりが有利である。
このことはたとえば、部分片にマイクロパーフォレーションが形成されるだけでなく、部分片がクリービング工程によって既に、分割線に沿って完全に主部から分割されると仮定することにより、具体的に理解することができる。ここで部分片が、たとえば主部の内側に存在する10mm×10mmの寸法の正方形である場合、主部が10%膨張または部分片が10%圧縮すると、どの横方向次元においても1mmのギャップ全幅が、すなわち、正方形の部分片の周囲に0.5mmのギャップ全幅が生じる。それに対して、部分片の寸法が1mm×1mmのみであると仮定した場合、ギャップ幅は0.05mmのみとなる。
部分片の面積が大きいほど、主部と部分片との間に温度差によって生じる引張応力(クリービング工程を行わない場合)、または、引き起こされるギャップ幅(クリービング工程を行う場合)は大きくなる。部分片の各横方向次元における最小寸法が少なくとも5mm、有利には少なくとも10mm、特に有利には少なくとも20mmであると、有利であることが判明している。かかる寸法に達すると、多くのガラス材料の場合、材料の部分片の領域を常温に維持し、場合によっては部分片の領域にさらに空気を吹き付けることによって材料を冷却しながら、材料の主部の領域をガラス転移温度未満の温度まで加熱することによって、引き離しを生じさせることができる。
しかし、部分片が上掲の寸法を超えることは、(有利であるが)必ずしも必須ではない。たとえば、窒素等の特殊な冷却液、冷却プレート等を用いて冷却することによっても、比較的小さい部分片でも切り離しに十分な引張応力を生じさせるように、部分片を非常に強力に冷却することができる。ガラス如何に応じて、比較的小さい部分片も切り離せるようにすべく、永久変形を伴わない主部のより強力な加熱が可能になるように、ガラス転移温度を高くすることもできる。
また、ガラス部材の主部の領域を不均一に加熱すること、および/または、部分片の領域を不均一に冷却することも可能である。たとえば、部分片の末端部または舌片をより大きく冷却することができる。
主部からの部分片の所望の引き離しは、本発明の方法では種々のパラメータに依存する。1つの重要なパラメータは、部分片の第1または第2の横方向次元における最小寸法Lである。他の1つの重要なパラメータは、本発明の方法において主部の平均温度と部分片の平均温度との間に生じる温度差ΔT(単位K)である。もう1つの重要なパラメータは、使用されるガラスの熱膨張係数(線膨張係数)α=(1/L)(ΔL/ΔT)である。これら3つのパラメータを用いて、本発明の方法において加熱および/または冷却により主部と部分片との間に生じる最小ギャップ幅Sを、簡単に推定することができる:S=ΔL/2=L・ΔT・α/2。有利には、主部から引き離される部分片のエッジ面の平均粗さRより最小ギャップ幅Sが大きくなるように、パラメータL、ΔTおよびαを互いに合わせて調整する。平均粗さRは通常の定義では、エッジ面上の1点から平均面までの平均距離を表すものであり、ここで平均面は、理想的なエッジ面と一致し、または、(数学的にいうと)平均面を基準とするエッジ面の有効断面形状の偏差の総和が最小になるように当該有効断面形状と交差するものである。
よって本発明の方法の一発展形態では、面状のガラス部材の平面内における部分片の最小寸法L、主部の平均温度と部分片の平均温度との間に生じる単位Kの温度差ΔT、ガラス部材の材料が有する熱膨張係数α、および、主部から切り離される部分片のエッジ面の平均粗さRが、不等式L・ΔT・α>Rを満たす。
本発明の一発展形態では、主部が面状のガラス部材の平面においてとる2次元の形状が、数学的トポロジーでいうところの星形にならないように、ガラス部材を分割線によって分ける。
分割線それ自体の曲がりまたは角がきつくなるほど、従来の分割手法を用いて全般的に曲線の規定破損線、または局所的に角を有する規定破損線に沿って、ガラスを分割することは困難になる。部分片の一部またはほとんどが内側にある場合(それ自体閉じた分割線によって部分片が内側にある場合を除く)、すなわち、分割線が未だ完全には閉じていないだけでも既に、部分片の切り離しが特に困難になる。かかる状況の判断基準は、ガラス部材の主部に相当する2次元の領域が、数学的にいうと星形領域でなくなっていることである。つまり、2次元の領域内に完全に包含される直線の接続区間を含む当該領域の他のいずれか任意の点に到達できる点が、当該2次元の領域内に存在しない、ということである。
ガラス部材の主部が数学的トポロジーでいうところの星形でない場合に特に困難に陥る従来の分割手法は多くあるが、本発明は、かかる状況に特に適している。
主部は、星形でない形状を容易にとることができるが、可能な限り清浄な切り離しを実現するために(必ずしも必要でないにしても)有利なのは、部分片が星形の形状をとることである。その根拠は、部分片に相当する2次元の領域が、2次元の領域内に完全に包含される直線の接続区間を含む当該領域の他のいずれか任意の点に到達できる少なくとも1つの点を有するからである。よって、部分片に相当する領域が収縮時に、主部に相当する領域に引っ掛かることがないように、かかる星点を基準として領域を収縮させることができる。上述の領域の「収縮」とは、部分片の冷却に相当するものということができる。
部分片がガラス部材の平面内においてとり得る、数学的にいうところの星形の2次元形状の例としては、正多角形、角が丸み付けされた正多角形、楕円形または円の形状がある。
本発明の一発展形態では、主部が面状のガラス部材の平面において部分片を完全に包囲するように、ガラス部材を分割線によって分ける。
それ自体で閉じた分割線に沿ったガラスの分割、すなわち、2次元の面において内側に位置する部分片の切り離し、または換言すると、面状のガラス部材への孔または切抜部の形成は、従来の分割手法では困難であった。このことは特に、曲げモーメントを加える上述の問題に拠るものであり、また、マイクロパーフォレーションの場合にはレーザパルスによって材料をほとんど除去せず、または全く除去しない場合があることにも拠る。それに対して本発明は、かかる状況に特に適している。
本発明の方法は、内側の部分片、または換言すると内側輪郭、またはそれ自体閉じた分割線のほぼいかなる形状にも、適用することができる。上記にて述べたように、可能な限り清浄な切り離しを実現するために(必ずしも必須でないにしても)有利なのは、部分片が面状のガラス部材の平面において、星形である2次元形状を有することである。たとえば、丸形、簡単な角形、またはさらに複雑な形状の部分片を、ガラス部材から取り出すことができる。
本発明の一発展形態では、レーザパルスの光伝播方向がガラス部材の表面に対して斜めに延在し、これにより線条状の傷の長手方向も当該表面に対して斜めに延在し、さらに分割線が光入射平面に対して斜めに、有利には垂直に延在するように、レーザパルスの向きをガラス部材の表面に対して斜めにする。光入射平面は、レーザビームの伝播方向と面法線とによって定まるものである。
よって換言すると、傷チャネルの長手方向がガラス部材の表面の法線方向から偏差するように傷チャネルを入れる、ということである。したがって、分割すべき両部分間には斜めのカット面または分割面が生じる。
斜めに延在する線条状の傷の形成、または換言すると、角度をつけてパーフォレーションを材料に傾斜することにより、部分片の切り出しを容易にすることができる。というのもこのことによって、嵌合の代わりにある程度の開放角が生じ、これによって引っ掛かりのおそれがさらに低下するからである。
レーザ加工装置を複数回通過させて比較的厚いガラスを加工する場合、典型的には複数の異なる焦点深度を使用する。具体的には、形成される線条の長さがガラスの全厚を完全に横断するのに十分ではない場合、それぞれ異なる深度の複数の線条を形成するため、分割線上においてレーザを複数回通過させる、ということである。焦点深度が大きくなると、すなわち、傷チャネルからガラスへの侵入面までの距離が遠いほど、線条状の傷の長さは短くなることになり得る。その原因は、傾斜角を使用することによってレーザ放射の一部が基材表面によって反射されるからである。ここで「傾斜角」とは、ガラス部材の面法線とレーザパルスの入射方向との間の0ではない角度をいう。よって、ガラスが比較的厚い場合には、傾斜角を小さく抑えることが有利である場合が多い。傾斜角が小さくても、本発明の方法によって既に、引っ掛かりのおそれを伴うことなく切り出しを行うことができる。
内側幾何形状を切り出す多くの適用例のうちの1つは、ガラスから、たとえば石灰ソーダガラスから、ホブ天板を作製することである。その際には、石灰ソーダガラスをさらに、上述のように強化処理する。
本発明の方法により、2つの面状すなわちプレート状または板状のガラス部材のセットの形態で、本発明に係る物を製造することができる。
2つの面状のガラス部材の本発明のセットが特徴とする点は、一方の面状のガラス部材の平面における当該一方の面状のガラス部材の2次元形状が、他方の面状のガラス部材の平面における当該他方の面状のガラス部材の2次元形状に対して相補的であり、各面と、当該各面を接続するエッジ面との間の移行部を成す、一方の面状のガラス部材の2つの各エッジが、各面と、当該各面を接続するエッジ面との間の移行部を成す、他方の面状のガラス部材の2つのエッジと同一形状を有し、2つの面状のガラス部材のこれらの各エッジ面にそれぞれ、並んで延在する複数の線条状の傷が設けられており、これらの複数の線条状の傷は当該エッジ面の窪部を成し、線条状の傷の各長手方向はそれぞれ、一方のエッジから他方のエッジへ向かう方向に延在することである。
よって理論的には、摩擦および引っ掛かりの問題を除外すれば、一方の面状のガラス部材を他方の面状のガラス部材とぴったり接合することができる。
本発明の一発展形態では、一方の面状のガラス部材の平面における当該一方の面状のガラス部材の2次元形状は、他方の面状のガラス部材の平面における当該他方の面状のガラス部材の2次元形状を包囲する。
本発明の一発展形態では、一方の面状のガラス部材は熱強化処理されている。本発明の本発展形態では、この強化処理される面状のガラス部材は、熱強化処理によって、広がりが僅かに拡大した状態に留まることができる。これによって、本発明の本発展形態では、一方の面状のガラス部材を他方の面状のガラス部材とぴったり接合することが、理論的にだけでなく実用的にも可能となり得る。というのも、強化処理によって一方の面状のガラス部材の僅かな拡大が生じることにより、摩擦および引っ掛かりの問題が回避されるからである。ぴったり接合できる2つの面状のガラス部材の上述のセットは、液体密になるほどの高精度で嵌合することができる。これは、たとえば液体密のガラス製蓋部を製造するために使用することができる。
また、一方または双方の面状のガラス部材の、線条状の傷を有するエッジ面を研磨することも可能である。このことによっても、接合を実用上可能にすることができる。
さらに、2つの面状のガラス部材の本発明のセットの一方の面状のガラス部材をセラミック化することもできる。
複数のレーザ加工工程をそれぞれ異なる焦点深度で使用する、本発明の方法の上述の発展形態により、面状すなわちプレート状または板状のガラス部材の形態で、本発明に係る物を製造することができる。
本発明の面状のガラス部材が特徴とする点は、エッジ面において並んで延在する複数の線条状の傷が設けられており、これらの線条状の傷はエッジ面の窪部を成し、線条状の傷の長手方向は、当該面状のガラス部材の各面とエッジ面との間の移行部となる一方のエッジから他方のエッジへ向かう方向に延在し、エッジ面は、当該エッジ面全体に沿って延在する少なくとも1つのオフセットを有し、当該少なくとも1つのオフセットは、線条状の傷の長手方向に対して実質的に垂直に延在し、オフセットは、少なくとも2μmかつ最大30μmの段部を成すことである。
本発明のもう1つの実施形態の、面状のガラス部材から部分片を除去する本発明の方法は、ガラス部材を、除去すべき部分片と残留すべき主部とに分ける分割線を定め、ガラス部材の体積に線条状の傷を分割線に沿って並べて形成し、かつ、当該傷を超短パルスレーザのレーザパルスによって形成し、ガラス部材の材料はレーザパルスに対して透過性であり、レーザパルスはガラス部材の体積においてプラズマを生成し、プラズマは上述の線条状の傷を形成し、ガラス部材上におけるレーザパルスの入射点を当該ガラス部材の表面上において分割線に沿って移動させ、当該分割線に沿って並んで配置された線条状の傷を入れた後にガラス部材を強化処理して、ガラス部材の強化処理後、部分片の領域において亀裂形成をトリガし、亀裂形成の伝播は、分割線に沿って整列して並んだ線条状の傷によって制限されて、主部を完全体として維持しながら、部分片を分割線に沿って、並んだ線条状の傷において主部から除去することができるようにすることに基づいている。
面状のガラス部材から部分片を除去する方法では、基材全体すなわちガラス部材全体を強化処理する。この強化処理を行える手法は種々存在し、たとえば熱強化処理または化学強化処理が可能である。強化処理後、部分片において自己割断がトリガされ、上述の線条形成は、結果として生じる亀裂の伝播限界として作用する。これによって、たとえば熱強化処理された単板安全ガラスによって公知であるように、部分片のみがガラス小片に破砕する。有利には、面状のガラス部材の平面における部分片の形状は、単純に一続きである。必須ではないが、この2次元の形状が星形または凸形であると有利となり得る。
以下、添付図面を参照して、本発明を詳細に説明する。図面中、同一の符号は同一または対応する要素を示している。
ガラス部材の体積に種々の分割線に沿って線条状の傷を形成するためのレーザ加工装置の概略的な斜視図である。 ガラス部材の主部の領域を加熱するための加熱装置の概略的な斜視図である。 面状のガラス部材の横方向次元における位置の関数としての温度の概略的なグラフの線図である。 面状のガラス部材において加熱/冷却によって生じた引張応力を概略的に示す平面図である。 部分片を取り出せるように主部の領域において加熱された、線条が形成されたガラス部材の概略的な斜視図である。 分割線、および対応する主部ならびに部分片の種々の形状の概略的な平面図である。 斜めに延在する線条状の傷を形成するための他の代替的なレーザ加工装置の概略的な斜視図である。 複数回レーザ加工を行った後のガラス部材の概略的な側面図である。 分割線と追加のオフセット線とに沿って複数回レーザ加工を行った後のガラス部材の概略的な斜視図である。 それぞれ2つの面状のガラス部材のセットを概略的に示す斜視図である。 エッジ面に1つ/複数のオフセットを有する面状のガラス部材の概略的な斜視図である。
図1は、規定された分割線21に沿ってガラス部材2に線条状の傷20を入れることによりマイクロパーフォレーションを形成し、これによって後続の切り離しのために前処理できる、レーザ加工装置1の概略図である。
レーザ加工装置1は超短パルスレーザ10を備えており、この超短パルスレーザ10のレーザパルス12はガラス部材2へ送られる。こうするためには、集光装置11を用いてレーザパルス12をガラス部材2に集光させる。超短パルスレーザ10の波長は、レーザパルス12がガラス部材2内に侵入できるように選択される。
レーザパルス12はガラス部材2の体積においてプラズマを生成し、プラズマは上述の線条状の傷20を形成する。ガラス部材2上におけるレーザパルス12の入射点13を、表面22上において、規定された分割線21に沿って順次移動させる。
分割線21は、ガラス部材2を、切り離すべき部分片4と残留すべき主部3とに完全に分けるように規定されている。
図1には、複数の異なる分割線21の例が示されている。図1aは、それ自体では閉じていない、曲線の非直線の分割線を示している。図1b〜図1dは、それ自体で閉じた種々の形状の分割線21を示している。図1bは楕円形の分割線21を示しており、図1cは正五角形の形状の分割線21を示しており、図1dは、正五角形の角を丸めた形状の分割線21を示している。
図2は、ガラス部材2の主部3の領域を加熱するための加熱装置5の一例の概略的な斜視図である。見やすくするため、ガラス部材2は図2では、加熱装置5から顕著な距離にある。実際には、これとは異なってガラス部材2を加熱装置5に接触させることができる。したがって、面状のガラス部材2の下面の表面を加熱装置5上に載置することができる。
図2では面状のガラス部材2は、図示されたx次元とy次元とにおいて最長寸法を有する。ガラス部材2の最長寸法に沿って延在するこれらの両次元は、「第1の横方向次元6」および「第2の横方向次元7」とも称することとする。横方向次元6,7に対して直交する次元において、ガラスは厚さ23を有する。
図2に一例として示されている加熱装置5は面状に構成されているので、「加熱プレート」とも称することができる。加熱プレートの表面は、ガラス部材2の両横方向次元6および7に対して平行、すなわち、図2に示されているx次元およびy次元に対して平行である。
加熱プレートはガラス部材2の主部3の領域を加熱する。一般的に、上記一例の加熱装置に限定されることなく、加熱プレートは、主部3の形状に適合された加熱場50を有することができる。図示の実施例では、加熱場は第1の横方向次元6において値x=0から値x=xまで延在し、かつ、第2の横方向次元7において値y=0から値y=yまで延在しており、その中心には、部分片4に適合された切抜部が設けられており、たとえば値y=yの場合、加熱場はx=xからx=xまで及ぶ。よって、ガラス部材2の、両横方向次元(x次元およびy次元)の平面内に延在する表面は、当該表面における位置(x値およびy値)に依存して異なる温度にさらされる。
図3は、主部3からの部分片4の本発明の分割を行うために適した、ガラス部材2における複数の異なる概略的な温度プロファイルを示している。これらの温度プロファイルは、第2の横方向次元7の値が固定値y=yである場合の、第1の横方向次元6の位置xの関数として示されている。第2の横方向次元の固定値y=yは、第1の横方向次元における値xの推移について、主部3の領域における位置および部分片4の領域における位置の双方が現れるように選択されている。図3aは、主部3の温度が一定であり、かつ、部分片4の温度より高い場合の、理想的な温度プロファイルを示している。図3cは、分割線21によって描出された規定破損箇所を経由する温度勾配が存在する場合の、類似の温度プロファイルを示している。図3bおよび図3dも、温度勾配が存在する場合の温度プロファイルを示しており、この温度勾配は、完全に部分片4ないしは主部3の中で推移している。図3a〜図3dに示されている温度プロファイル全てに共通する点は、主部3における平均温度が部分片4における平均温度より高いことである。ここでは、ガラス部材2の主部3の領域を加熱したか、または部分片4の領域を冷却したか、または双方を同時もしくは時間シフトして行ったかは、重要ではない。本発明の方法において決定的に重要なのは、このようにして生じた温度プロファイルによってガラス部材2の主部3の領域が膨張し、および/または部分片4の領域が圧縮することのみである。
図4は、本発明の加熱および/または冷却によってガラス部材2に引張応力が生じた、当該ガラス部材2の平面図、すなわち、クリービング工程を行わなかった場合のガラス部材2の平面図である。引張応力は矢印によって概略的に示されている。ガラス部材2には既に、分割線21に沿って整列された複数の線条状の傷が既に入れられているものとする。図4aは、図3dに示された温度プロファイルに従ってなされたガラス部材2の主部3の領域の加熱に起因する引張応力を示している。図4bは、図3cに示された温度プロファイルに従ってなされた主部3の領域の加熱に起因する引張応力を示している。図4cは、図3bに示された温度プロファイルに従ってなされた部分片4の領域の冷却に起因する引張応力を示している。図4dは、図3cに示された温度プロファイルに従ってなされた部分片4の領域の冷却に起因する引張応力を示している。図4eは、図3dに示された温度プロファイルに従ってなされた主部3の領域の加熱と、それと同時または時間シフトして、図3bに示された温度プロファイルに従ってなされた部分片4の領域の冷却とに起因する、引張応力を示している。図4fは、図3cに示された温度プロファイルに従ってなされた主部3の領域の加熱と、それと同時または時間シフトして、図3bに示された温度プロファイルに従ってなされた部分片4の領域の冷却とに起因する、引張応力を示している。図4gは、図3dに示された温度プロファイルに従ってなされた主部3の領域の加熱と、それと同時または時間シフトして、図3cに示された温度プロファイルに従ってなされた部分片4の領域の冷却とに起因する、引張応力を示している。図4hは、図3cに示された温度プロファイルに従ってなされた主部3の領域の加熱と、それと同時または時間シフトして、図3cに示された温度プロファイルに従ってなされた部分片4の領域の冷却とに起因する、引張応力を示している。
図4a〜図4hに示された、加熱および/または冷却によってガラス部材2に引張応力を生じさせるための態様は全て、分割線21に沿って、隣り合った線条状の傷において部分片4が主部3から切り離されることを引き起こすことができる。
図5は、主部3の領域において加熱されて膨張したガラス部材2の概略的な斜視図である。ガラス部材2の部分片4は、分割線に沿って、隣り合った線条状の傷において主部3から引き離されている。このことにより、部分片4を主部3から取り出すことができる。
主部3が未だ加熱されている限りにおいては、部分片4の取り出しは問題ない。すなわち、特に主部3に引っ掛かったり、部分片4の破壊または永久変形を伴うことなく、部分片4を取り出すことができる。その根拠は、部分片4に対する主部3の相対的な膨張によって分割線に沿って切り離しがなされるだけでなく、主部3と部分片4との間に、分割線の形状に応じたギャップ24も生じているからである。このギャップは、主部3に引っ掛かることなく部分片4を取り出せるようにするためのある程度の遊びを提供するものである。
曲げモーメントを加えることにより働く分割手法、または、たとえばCOレーザ等のレーザ放射によって局所的に加熱することにより働く分割手法では、ガラス部材2が厚くなるほど困難さが一層増大していくが、本発明の方法では部分片4の取り出しは、特に、厚さ23が少なくとも2mmのガラス部材2、有利には少なくとも3mm、特に有利には少なくとも4mm、さらに有利には少なくとも5mmの厚さ23のガラス部材2にも、問題なく行うことができる。
主部3の領域の加熱および/または部分片4の領域の冷却によって生じるギャップの幅は、特に、主部3と部分片4との間に生じる平均温度の差に依存する。ギャップ幅はまた、両横方向次元6および7における部分片4の面の大きさにも依存する。本発明の方法について有利なのは、部分片4がこれら両次元においてある程度の最低限寸法を有すること、特に、部分片4の第1の横方向次元6における最小寸法および部分片4の第2の横方向次元7における最小寸法が、それぞれ最低限の長さを有することである。本発明の一発展形態では、この最低限の長さは5mm、有利には10mm、特に有利には20mmである。
これに代えて、横方向次元6および7によって定まる平面内において部分片4を包囲する最小方形が、それぞれ最低限の長さを有する側辺長41および42を有することも可能である。その際には、部分片4の第1の横方向次元6における最大寸法および当該部分片4の第2の横方向次元7における最大寸法の双方が、それぞれ最低限の長さを有する。
図6は、分割線21、および対応する主部3ならびに部分片4の種々の形状のガラス部材2の平面図である。主部3から部分片4を無傷で切り離すこと(すなわち、主部3および部分片4が双方とも、分割エッジのマイクロパーフォレーションを除いて他に傷を負わないように行われる切り離し)は、分割線21が図6aに示されているように直線である場合、簡単に行うことができる。かかる場合、無傷の切り離しは本発明の方法を用いて行うことができるが、たとえば十分な曲げモーメントを加える等の従来の分割手法を用いても行うことができる。たとえば図6bないしは図6cに示されたような、僅かな曲線または僅かに角張った形状の分割線21についても、同様のことが当てはまる。
慣用されている分割手法では特に、分割線21がきつい曲線の場合、または角がきつい形状の場合、すなわち、図6dないしは図6eに例示されているように部分片4がガラス部材2の平面において「大部分が内側」または「完全に内側」にあるといえる場合、問題となる。それに対して、本発明の方法はかかる場合に非常に適している。
図6dは、部分片4の大部分がガラス部材2の内側にある事例を示している。本事例で使用される判断基準は、ガラス部材2の平面における主部3の2次元形状が、数学的トポロジーでいうところの星形ではないことである。つまり、主部3に相当する2次元の領域内には、星点の性質を有する点31が1つも存在しない、ということである。同図中の点31について星点の性質が欠けている理由は、この点31からは、主部3に相当する2次元の領域内の他の点であって、完全に当該2次元の領域内に収まっている他の点全てまで、直線の接続区間を引くことができないからである。よって、点31からは、主部3の領域内の陰影で示された領域には、上述のようにして達することはできない。よって、主部3の領域は星形ではない。図6eに示された主部3の領域についても同様のことが当てはまり、これは星形でもなく、また単純に一続きでもない。この部分片4は完全に内側に収まっている。すなわち、部分片4はガラス部材2の平面において完全に包囲されている。このように内側に収まった部分片4は、「内側輪郭」または「内側幾何形状」と称されることもある。
本発明の方法について通常有利となるのは、ガラス部材2の平面における部分片4の2次元形状が星形である場合、すなわち、部分片4が、当該部分片4に相当する2次元の領域において少なくとも1つの星点43を有する場合である。このことは、図6dおよび図6eに示された状況に当てはまる。図6dおよび図6eに示された実施例では、部分片4の領域のどの点も星点となる。換言すると、これらの実施例では、部分片4の領域は凸形の領域にもなる。部分片4が面状のガラス部材2の平面において凸形の領域となる場合、切り離しのために有利となる。よって、図示されている実施例に限定されることなく一般的には、本発明の一発展形態では、面状のガラス部材の平面において凸形の領域の2次元形状を有する部分片を引き離す。
しかし、本発明の方法を機能させるためには、必ずしも、ガラスの面内における部分片の形状を星形または凸形とする必要はない。それは、切り離しが所定の部分において一旦開始すると、この切り離しは、分割線21に従った形状の規定破損箇所に沿って進行する傾向にあることに拠る。さらに、主部3および/または部分片4の不均一な冷却および/または加熱も、非星形の部分片4の切り離しに同様に寄与することができる。
主部も部分片4もガラスの面内において星形または凸形でないもう1つの事例を、図6fに示す。同図では、ガラス部材2に相当する2次元の領域は星形でなく、また凸形でもなく、また単純に一続きでもない。孔を有するかかるガラス部材2は、たとえば、図6eに示されたように内側に収まった部分片を本発明により切り離すことにより得ることができるものである。この場合、分割線21はそれ自体で閉じている。数学的にいうと、この分割線21によって定まる部分片4は、もはや内側の部分片4ではない。しかし実際には、(孔の大きさ如何によっては)「内側幾何形状」といってもおかしくはない。非星形であり、かつ単純に一続きではない部分片4は、本発明の方法によって無傷で、かつ、非星形であって単純に一続きでない主部3から引っ掛かることなく切り離すことができる。
図7aを見ると明らかであるように、本発明の一発展形態では、面法線14とレーザパルス12の向きとの間に角度が生じるように、レーザパルス12の向きをガラス部材2の表面22に対して斜めにすることもできる。このことにより、線条状の傷20の長手方向も表面22に対して斜めに延在することとなる。さらに留意すべき点は、ガラス部材2の表面22におけるレーザ光の屈折の影響である。
光入射方向と面法線14との間の角度は、部分片の切り離しを容易にするため、数度から10°を有意に上回る角度までの範囲内とすることができる。有利には、レーザパルス12の光入射方向とガラス部材2の表面22の面法線14との間の角度を、3°〜30°の範囲内、特に有利には3°〜15°の範囲内、さらに有利には少なくとも5°に調整する。
図7aを見ると分かるように、さらに、光入射平面15が分割線21と交差するように、有利には分割線21に対して垂直となるように、レーザパルス12の向きを表面22に対して斜めにする。このことに応じて、入射点13が表面22上を移動する送り方向も、光入射平面15と交差し、有利には光入射平面15に対して垂直となる。光入射平面15は、光入射方向と面法線14とによって定まる。分割線21が図示の実施例のように曲線である場合、たとえば円形である場合には、分割線21の向きが光入射平面15と交差するとは、分割線21における接線が光入射平面15と交差し、有利には光入射平面15に対して垂直であることをいう。
図7bは、ガラス部材2の、図7aに対応する断面図である。線条状の傷20の長手方向と表面22の法線との間の角度によって、部分片4を主部3から分離する送り方向が、矢印によって示されている方向となる。
図8は、レーザ加工を複数回、それぞれ異なる焦点深度で行った後のガラス部材の、図7bに類する断面図である。つまり、レーザパルス12の入射点13をガラス部材2上において分割線21に沿って表面22にわたって移動させることにより、超短パルスレーザのレーザパルス12によってガラス部材2の体積に傷20を形成する加工工程後に、同様の手法であるが、レーザパルス12の焦点深度を変えて、ガラス部材2の体積に別の深さで傷20’,20’’等を形成する他の加工工程がある、ということである。
かかる複数回のレーザ加工は特に、比較的厚いガラス部材2であって、1加工工程で、ないしは分割線21に沿ってレーザビーム12の入射点13を1回移動するだけで、全厚23にわたってマイクロパーフォレーションを行うことができなくなるか、または少なくとも不都合になることが多いガラス部材2の場合に好適である。
レーザビームを複数回それぞれ異なる焦点深度で通過する場合に生じる問題は、ガラス部材2の体積のそれぞれ異なる深さの複数の傷が理想的に揃わない、ということである。
図8aに、表面22においてレーザ加工を2回行った後のガラス部材2を概略的に例示する。1回目の加工工程では傷20を形成し、2回目の工程では、その下の深さに傷20’を形成した。傷20と20’とは、相互間にある程度のオフセットを有し、このオフセットは典型的には、位置精度が有限であることに起因して統計的なばらつきを有する。このオフセットにより、本発明の方法によって部分片4を主部3から切り離すことが困難になる。このオフセットによって、線条形成自体に起因する粗さRより大きい、カットエッジの粗さR’が生じる。
本発明の一発展形態では、主部3からの部分片4の切り離しについては線条形成自体に起因する粗さRのみが決定要因となり、オフセットを考慮した、エッジ面の粗さR’は決定要因とならないように、傷20と20’との間のオフセットを引き起こす。
図8bに示されているように、表面22からガラス部材2の体積内により深い位置にある傷20’は、部分片4の表面22とは反対側の面の方が、表面22側の面より若干大きくなるように形成されている。このことによって、部分片4を主部3から分離する送り方向が、矢印によって示されている方向となる。この送り方向においては、線条形成にのみ起因する粗さRが切り離しの決定要因となるのに対し、送り方向とは逆方向においては、傷20と20’との間のオフセットによっても生じる粗さR’が、切り離しの決定要因となる。部分片4は完全に内側に収まった部分片である必要はなく、むしろ、既に述べた全ての形状とすることができる。部分片4が円形の内側片である場合には、部分片4は傷20と20’との間のオフセットに起因して、絵的にいうとケーキ形を有する。
図1の傷20は、レーザパルス12の入射点13をガラス部材2上において分割線21に沿って表面22にわたって移動させることによって形成されるのに対し、図9aの傷20’は、分割線21から僅かに離隔したオフセット線21’に沿ってレーザパルス12の入射点13をガラス部材2上において表面22にわたって移動させることによって形成される。有利には、オフセット線の全部が分割線21の片側に延在するが、オフセット線21’から分割線21までの距離が当該線にわたって一定であることは、有利ではあっても、必ずしも必須ではない。
本発明の上述の発展形態は、2回のレーザ加工に限定されるものではない。レーザを3回またはそれ以上の回数で通過することも可能である。図8cに、レーザ加工を3回行った後のガラス部材2の断面を概略的に例示しており、この3回のレーザ加工によって傷20,20’および20’’が生じている。図8dの方では、主部3から部分片4を切り離すための送り方向が、矢印によって示された方向になるようにするためには、本発明の本発展形態において傷20と20’との間のオフセット、および、傷20’と20’’との間のオフセットをどのようにして形成できるかを示している。
図9bの傷20’は、ガラス部材2におけるレーザパルス12の入射点13を分割線21から僅かに離隔した第1のオフセット線21’に沿って表面22にわたって移動させることによって形成される。さらに、傷20’’は、ガラス部材2におけるレーザパルス12の入射点13を、分割線21からの距離が第1のオフセット線21’より遠い第2のオフセット線21’’に沿って表面22にわたって移動させることによって形成される。有利には、第2のオフセット線21’’の全部が第1のオフセット線21’の片側に延在するが、第2のオフセット線21’’から第1のオフセット線21’までの距離が当該線にわたって一定であることは、有利ではあっても、必ずしも必須ではない。
レーザ加工の2工程より多くの工程を実施することも可能である。こうするためには、ガラス部材2におけるレーザパルス12の入射点13を表面22にわたって移動させる、さらに他のオフセット線を規定することができ、この他のオフセット線も、分割線21から若干遠くに離隔している。
複数回異なる焦点深度でレーザ加工を行うことにより形成される傷間の1つのオフセットまたは複数のオフセットの上述の意図的なコントロールは、図7に示されている、レーザパルス12の向きをガラス部材2の表面22に対して斜めにするレーザ加工と、組み合わせることができる。実際には、光入射方向と面法線14との間の角度は、通常は正確に0°に調整することができない。よって、厳密には通常は(たとえそうでも)小さい角度が生じるので、通常は、傷チャネルの長手方向とガラス部材2の面法線14との間にはある程度の角度が生じる。この調整の場合にも、位置決めのときと同様、方向精度より小さい統計的な偏差が想定される。
図8eは、ガラス部材2を2回レーザ加工したことによる斜めの傷20および20’を示している。同図でも、傷20と20’とは厳密に1つの線上にはなく(ないしは、厳密に1つの面内にはなく)、相互間にある程度のオフセットを有する。このことによっても、本発明の方法によって部分片4を主部3から切り離すことが困難になる。
しかし図8fに示されているように、このオフセットは有利には、切り離しのための送り方向が矢印によって示されている方向になるように調整することができる。送り方向とは逆方向において、オフセットによって生じたエッジが妨害となって作用することなく、部分片4を主部3から切り離すことができる。
本発明の上述の発展形態は、レーザパルス12を表面22に斜めに入射させて2回行われるレーザ加工にのみ限定されるものではない。レーザ加工工程を3回またはそれ以上の回数で異なる焦点深度で行うことも可能である。図8gに、レーザパルス12の向きを表面に対して斜めにしてレーザ加工を3回行った後のガラス部材2の断面を概略的に例示しており、この3回のレーザ加工によって傷20,20’および20’’が生じている。図8hの方では、主部3から部分片4を切り離すための送り方向が、矢印によって示された方向になるようにするためには、本発明の本発展形態において傷20と20’との間のオフセット、および、傷20’と20’’との間のオフセットをどのようにして配置できるかを示している。これらのオフセットは、実用上は等しい大きさである必要はない。
図10は、本発明の方法により製造可能な、それぞれ2つの面状のガラス部材から成る2つのセット(図10aおよび図10b)を示している。図10bに示されている、2つの面状のガラス部材から成るセットは、一方の面状のガラス部材2の平面内における当該一方の面状のガラス部材2の2次元の形状が、他方の面状のガラス部材2’の平面内における当該他方の面状のガラス部材2’の2次元の形状を完全に包囲するように構成されているのに対し、図10aに示されている、2つの面状のガラス部材2から成るセットについては、そうではない。具体的には図10bに示されているセットについては、ガラス部材2’が、ガラス部材2に嵌合する内側片である、ということである。つまり、図10aに示されているセットについては、ガラス部材2’が、ガラス部材2に嵌合する部分片であり、これは、「大部分が内側にある」ということができる。
図示の両セット(図10aおよび図10b)については、双方共に、一方の面状のガラス部材2が少なくとも理論的には、他方の面状のガラス部材2’とぴったり接合することが可能であることが適用される。
1つのセットのいずれの面状のガラス部材2(または2’)も、並んで延在する複数の線条状の傷26(または26’)が設けられたエッジ面25(または25’)を有し、これらの線条状の傷26(または26’)は、当該エッジ面25(または25’)において窪部を形成する。線条状の傷は、本発明の方法によるマイクロパーフォレーションレーザ加工によって得ることができる。
2つの面状のガラス部材を有するセットの1つの面状のガラス部材のエッジ面25(または25’)にある線条状の傷26(または26’)の長手方向は、ガラス部材の各面29(または29’)および30(または30’)と当該エッジ面25(または25’)との間の移行部となる一方のエッジから他方のエッジへ向かう方向に延在している。2つのガラス部材のセットのうち1つのガラス部材2(または2’)を本発明の方法によって製造する場合、線条状の傷26(または26’)の長手方向は、レーザパルスの光伝播方向に相当する。
1つのセットの両面状のガラス部材2および2’をぴったり接合すると、両ガラス部材2および2’のエッジ面25および25’は互いに接触し、または互いに非常に近接することとなる。また、エッジ27および27’も互いに接触し、または互いに非常に近接することとなり、さらに、エッジ28および28’も互いに接触し、または互いに非常に近接することとなる。両ガラス部材2および2’を接合すると、両面状のガラス部材2および2’の平面内における2次元の面は、2つのパズルピースのように符合する。
有利には、1つのセットの両面状のガラス部材は、同一の切り離しプロセスから得られたものである。具体的には、本発明の方法を使用して、元の1つの面状のガラス部材を主部と部分片とに分割し、これらが合わさって、面状のガラス部材の本発明の1セットを構成する、ということである。1セットの両面状のガラス部材が同一のプロセスから得られたものである場合には、特に非常に高い嵌合精度を保証することができ、また、複数の同等の切り離しプロセスから、互いに同等の複数の部分片の部分片ロットと、互いに同等の複数の主部の主部ロットとを作製する場合であって、部分片ロットのいずれか任意の部分片と主部ロットのいずれか任意の主部とから、面状のガラス部材の本発明の1セットを構成する場合より、嵌合精度が一層高くなる。
本発明の一発展形態では、2つの面状のガラス部材を有する1セットの各面状のガラス部材2(または2’)が、少なくとも1つのオフセット32(または32’)すなわち段部があるエッジ面25(または25’)を有し、この少なくとも1つのオフセット32(または32’)は、並んで延在する線条状の傷26(または26’)の長手方向と交差し、有利には実質的に垂直に延在する。かかる面状のガラス部材2のイメージを、図11に示す。
少なくとも1つのオフセット32(または32’)によって、エッジ面25(または25’)に、線条状の傷26(または26’)に起因する粗さRより大きい粗さR’を生じさせることができる。
少なくとも1つのオフセットは、肉眼では知覚できない段部となるので、引き続き「単一のエッジ面25(または25’)」ということができる。有利には、少なくとも1つのオフセットは、少なくとも5μmかつ最大50μmの段部となる。
図11aに示す本発明の面状のガラス部材2が特徴とする点は、エッジ面25において並んで延在する複数の線条状の傷26が設けられており、これらの線条状の傷26はエッジ面25の窪部を成し、線条状の傷26の長手方向は、当該面状のガラス部材2の各面30とエッジ面25との間の移行部となる一方のエッジ27から他方のエッジ28へ向かう方向に延在し、エッジ面25は、当該エッジ面25全体に沿って延在するオフセット32を有し、当該オフセットは、線条状の傷26の長手方向に対して実質的に垂直に延在することである。オフセットは有利には、エッジ面の中央において20%の偏差で、すなわち、エッジ27と28との間の中央において20%の偏差で延在する。
図11bは、本発明の他の面状のガラス部材2を示しており、この面状のガラス部材は、エッジ面25が当該エッジ面25全体に沿って延在する2つのオフセット32を有し、これらのオフセット32は、線条状の傷26の長手方向に対して実質的に垂直に延在する。これら両オフセットは有利には、ガラス部材2の表面30からエッジ面25の幅23の1/3または2/3の距離に20%の偏差で延在する。
1 レーザ加工装置
10 超短パルスレーザ
11 集光装置
12 レーザパルス
13 ガラス部材におけるレーザパルスの入射点
14 ガラス部材の面法線
15 レーザパルスの光入射平面
2 面状のガラス部材
2’ 面状のガラス部材
20,20’,20’’ 線条状の傷
21,21’,21’’ 分割線
22 ガラス部材の表面
23 ガラス部材の厚さ
24 部分片と主部との間のギャップ
25 並んで延在する線条状の傷が存在するエッジ面
25’ 並んで延在する線条状の傷が存在するエッジ面
26 エッジ面の線条状の傷
26’ エッジ面の線条状の傷
27,28 面状のガラス部材の、各面と当該各面を接続するエッジ面との間の移行部を成すエッジ
27’,28’ 面状のガラス部材の、各面と当該各面を接続するエッジ面との間の移行部を成すエッジ
29,30 面状のガラス部材の面
29’,30’ 面状のガラス部材の面
32 エッジ面におけるオフセット
3 主部
31 主部に相当する2次元の領域内の1点
4 切り離すべき部分片
41 第1の横方向次元における部分片の最大広がり
42 第2の横方向次元における部分片の最大広がり
43 部分片に相当する2次元の領域内の1点
5 加熱装置
50 加熱場
6 ガラス部材の第1の横方向次元
7 ガラス部材の第2の横方向次元
国際公開第2012/006736号(WO 2012/006736 A2)から、高エネルギーのレーザパルスを用いてガラス基材に線条の形態の不可逆的な傷を引き起こすことができ、ガラスにおけるかかる複数の傷の整列によってガラスを分割できることが公知となっている。線条は超短レーザパルスによって生じ、ガラスの内側においてカー効果に基づき、プラズマが点弧するほど1点においてエネルギー密度が高くなるまで自己集光が行われる。ガラスがプラズマ発生場所の周辺に不可逆的な傷を受けるプラズマ爆発が生じる。ここからさらなる放射が放出され、この放射は自己集光を受けて、さらなるプラズマ爆発となって終了する。この効果は、強度如何に応じて複数回繰り返される。このエネルギーはガラス全厚において減少していくので、最初のプラズマスポットが最大のエネルギーを有し、最初のプラズマスポットが生成する傷も最大となる。
米国特許出願公開第2014/027951号明細書(US 2014/027951 A1)は、レーザ放射を用いてガラス、セラミックまたはサファイア等の脆性材料を分割する方法に関するものである。当該方法を用いて500μm未満の厚さの薄い基材を分割することができる。
米国特許出願公開第2015/165560号明細書(US 2015/165560 A1)は、ガラス基材から内側片を切り出すことができるレーザ手法に関するものである。当該手法は、0.7mmの厚さの薄いガラス基材に孔を形成するために用いられる。
内側輪郭を切り出すため、追加の分割線を形成して個々の切片を割断することが提案されている。他の代替的な一実施形態は、内側輪郭を加熱によって溶解して除去するというものである。
米国特許出願公開第2015/166393号明細書(US 2015/166393 A1)もレーザアシスト手法に関するものであり、当該手法によって、ガラス部材から切片を切り出すことをアシストしようとするものである。ガラス部材は0.4mmまたは0.7mmの厚さを有する。個片化は、曲げ力を加えることによって行うことができる。他の一実施形態は、追加的なCO レーザを使用して分割線を入れ、局所的に熱応力を生じさせて、ステップごとの切り離しを実現しようというものである。
最後に、欧州特許出願公開第2754524号明細書(EP 2 754 524 A1)は、レーザ光源を用いてガラス製の面状の基材または半導体ウェハをレーザアシストにより加工する方法に関するものである。分割線に沿って行われる材料の分割は、材料の自己応力または加えられた力のいずれかによって行われる。

Claims (17)

  1. 切り離すべき部分片(4)と残留させるべき主部(3)とに面状のガラス部材(2)を分ける所定の分割線(21)に沿って、前記ガラス部材(2)から前記部分片(4)を切り離す方法であって、
    前記ガラス部材(2)の体積に線条状の傷(20)を前記分割線(21)に沿って並べて形成し、
    前記傷(20)を超短パルスレーザ(10)のレーザパルス(12)によって形成し、前記ガラス部材(2)の材料は、前記レーザパルス(12)に対して透過性であり、
    前記レーザパルス(12)は、前記ガラス部材(2)の体積においてプラズマを生成し、前記プラズマは、前記線条状の傷(20)を形成し、
    前記ガラス部材(2)上における前記レーザパルス(12)の入射点(13)を前記ガラス部材(2)の表面(22)上において前記分割線(21)に沿って移動させ、
    前記分割線(21)に沿って並んで配置された前記線条状の傷(20)を入れた後、前記部分片(4)と前記主部(3)とをそれぞれ完全体として維持しながら、並んだ前記線条状の傷(20)において前記部分片(4)を前記分割線(21)に沿って前記主部(3)から引き離すように、前記ガラス部材(2)の前記主部(3)の領域を加熱して膨張させ、および/または、前記ガラス部材(2)の前記部分片(4)の領域を冷却して圧縮させる、
    方法。
  2. 前記分割線(21)に沿って並んで配置された線条状の傷を入れた後に、前記分割線(21)に沿って前記ガラスに局所的な引張応力を引き起こして、隣り合った線条状の傷間に亀裂形成を引き起こすように、前記ガラス部材(2)上におけるレーザ放射の入射点、有利には二酸化炭素レーザの入射点を、前記ガラス部材(2)の表面(22)上において前記分割線(21)に沿って移動させる、
    請求項1記載の方法。
  3. 前記ガラス部材(2)の前記主部(3)の領域を加熱して膨張させ、および/または、前記部分片(4)の領域を冷却して圧縮させ、
    前記主部の平均温度と前記部分片の平均温度との間に、少なくとも150℃、有利には少なくとも200℃、特に有利には少なくとも300℃の温度差を生じさせる、
    請求項1または2記載の方法。
  4. 前記ガラス部材(2)の前記主部(3)の領域を加熱して膨張させ、前記部分片(4)が前記分割線(21)に沿って、複数の並んだ前記線条状の傷(20)において前記主部(3)から引き離された後に、行った前記加熱を利用して前記主部(3)を熱強化処理する、
    請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 前記ガラス部材(2)の材料は、3×10−6−1超の熱膨張係数、有利には4×10−6−1超の熱膨張係数、特に有利には7×10−6−1超の熱膨張係数を有する、
    請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. 前記ガラス部材(2)は、少なくとも2mmの厚さ(23)、有利には少なくとも3mmの厚さ(23)、特に有利には少なくとも4mmの厚さ(23)、さらに有利には少なくとも5mmの厚さ(23)を有する、
    請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. 前記面状のガラス部材(2)から切り離される前記部分片(4)の第1の横方向次元(6)における最小寸法(41)は、少なくとも5mm、有利には少なくとも10mm、特に有利には少なくとも20mmであり、かつ、前記部分片の、前記第1の横方向次元に対して直交する第2の横方向次元(7)における最小寸法(42)は、少なくとも5mm、有利には少なくとも10mm、特に有利には少なくとも20mmである、
    請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
  8. 前記面状のガラス部材(2)の平面内における前記部分片(4)の最小寸法L、前記主部の平均温度と前記部分片の平均温度との間に生じる単位Kの温度差ΔT、前記ガラス部材(2)の材料が有する熱膨張係数α、および、前記主部から切り離される前記部分片のエッジ面の平均粗さRが、不等式L・ΔT・α>Rを満たす、
    請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
  9. 前記主部(3)が前記面状のガラス部材(2)の平面において、数学的トポロジーでいうところの星形でない2次元の形状をとるように、前記面状のガラス部材(2)を前記分割線(21)によって分ける、
    請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
  10. 前記主部(3)が前記面状のガラス部材(2)の平面において前記部分片(4)を完全に包囲するように、前記面状のガラス部材(2)を前記分割線(21)によって分ける、
    請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. 前記分割線(21)から少なくとも5μmかつ最大50μmの距離に離隔したオフセット線(21’)に沿って並んだ複数の線条状の傷(20’)を、前記ガラス部材(2)の体積に形成し、前記オフセット線(21’)に沿って並んだ複数の線条状の傷(20’)を、前記分割線(21)に沿って形成された前記線条状の傷(20)の長手方向に投影したものは、前記分割線(21)に沿って形成された前記線条状の傷(20)と200μm未満の重なり部分を有する、
    請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
  12. 前記レーザパルス(12)の光伝播方向が前記ガラス部材(2)の表面(22)に対して斜めに延在することによって前記線条状の傷(20)の長手方向も前記表面(22)に対して斜めに延在し、さらに、前記分割線(21)が光入射平面(15)に対して斜めに、有利には垂直に延在するように、前記レーザパルス(12)の向きを前記ガラス部材(2)の表面(22)に対して斜めにする、
    請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
  13. 請求項1から12までのいずれか1項記載の方法を用いて製造可能な2つの面状のガラス部材(2,2’)を有するセットであって、
    前記面状のガラス部材の一方の面状のガラス部材(2)の平面における前記一方の面状のガラス部材(2)の2次元形状が、前記面状のガラス部材の他方の面状のガラス部材(2’)の平面における前記他方の面状のガラス部材(2’)の2次元形状に対して相補的であり、
    各面(29,30)と、前記各面(29,30)を接続するエッジ面(25)と、の間の移行部を成す、前記一方の面状のガラス部材(2)の2つの各エッジ(27,28)が、各面(29’,30’)と、前記各面(29’,30’)を接続するエッジ面(25’)と、の間の移行部を成す、前記他方の面状のガラス部材(2’)の2つのエッジ(27’,28’)と同一形状を有し、
    前記2つの面状のガラス部材(2,2’)の前記各エッジ面(25,25’)にそれぞれ、並んで延在する複数の線条状の傷(26,26’)が設けられており、前記複数の線条状の傷(26,26’)は、前記エッジ面(25,25’)の窪部を成し、
    前記線条状の傷(26,26’)の各長手方向はそれぞれ、一方のエッジ(27,27’)から他方のエッジ(28,28’)へ向かう方向に延在する、
    2つの面状のガラス部材(2,2’)を有するセット。
  14. 前記一方の面状のガラス部材(2)の平面における前記一方の面状のガラス部材(2)の2次元形状は、前記他方の面状のガラス部材(2’)の平面における前記他方の面状のガラス部材(2’)の2次元形状を完全に包囲する、
    請求項13記載の2つの面状のガラス部材(2,2’)を有するセット。
  15. 前記一方の面状のガラス部材(2)は、熱強化処理されている、
    請求項13または14記載の2つの面状のガラス部材(2,2’)を有するセット。
  16. 請求項11または12に記載の方法を用いて製造可能な面状のガラス部材(2)であって、
    前記面状のガラス部材(2)のエッジ面(25)において並んで延在する複数の線条状の傷(26)が存在しており、前記線条状の傷(26)は、前記エッジ面(25)の窪部を成し、
    前記線条状の傷(26)の長手方向は、前記面状のガラス部材(2)の各面(30)とエッジ面(25)との間の移行部となる一方のエッジ(27)から他方のエッジ(28)へ向かう方向に延在し、
    前記エッジ面(25)は、前記エッジ面(25)全体に沿って延在するオフセット(32)を有し、前記オフセット(32)は、前記線条状の傷(26)の長手方向に対して実質的に垂直に延在する、
    面状のガラス部材(2)。
  17. 除去すべき部分片(4)と残留させるべき主部(3)とに面状のガラス部材(2)を分ける所定の分割線(21)に沿って、前記ガラス部材(2)から前記部分片(4)を除去する方法であって、
    前記ガラス部材(2)の体積に線条状の傷(20)を前記分割線(21)に沿って並べて形成し、
    前記傷(20)を超短パルスレーザ(10)のレーザパルス(12)によって形成し、前記ガラス部材(2)の材料は、前記レーザパルス(12)に対して透過性であり、
    前記レーザパルス(12)は、前記ガラス部材(2)の体積においてプラズマを生成し、前記プラズマは、前記線条状の傷(20)を形成し、
    前記ガラス部材(2)上における前記レーザパルス(12)の入射点(13)を前記ガラス部材(2)の表面(22)上において前記分割線(21)に沿って移動させ、
    前記分割線(21)に沿って並んで配置された前記線条状の傷(20)を入れた後、前記ガラス部材(2)を強化処理し、
    前記ガラス部材(2)の強化処理後、前記部分片(4)の領域において亀裂形成をトリガし、前記亀裂形成の伝播は、前記分割線(21)に沿って整列して並んだ前記線条状の傷(20)によって制限されて、前記主部(3)を完全体として維持しながら、前記部分片(4)を前記分割線(21)に沿って、並んだ前記線条状の傷(20)において前記主部(3)から除去できるようにする、
    方法。
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