JP2018512891A - 標的真核細胞のサイトゾルへのポリペプチドカーゴの形質導入効率を改善するためのポリペプチドベースのシャトル剤、その使用、それと関連する方法及びキット - Google Patents
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Abstract
Description
(a)エンドソーム漏出ドメイン(ELD)又は細胞透過性ドメイン(CPD)と作動可能に連結された、エンドソーム溶解性活性を有するその変異体又は断片を含み、前記ELDは、配列番号1〜15、63又は64のいずれか1つのアミノ酸配列を含み、
(b)前記独立ポリペプチドカーゴと共有結合によって結合しておらず、
(c)20から100個のアミノ酸残基の全長を有し、
(d)生理学的pHで少なくとも+6の正味電荷を有し、
(e)生理学的pHで水溶液に可溶性であり、
前記CPDは、前記合成ペプチドを細胞内送達可能であり、前記ELDは、エンドソームによってトラップされた独立ポリペプチドカーゴの標的真核細胞のサイトゾルへの脱出を可能にする、方法。
(b)前記ヌクレアーゼが、RNAによってガイドされるエンドヌクレアーゼ、CRISPRエンドヌクレアーゼ、I型CRISPRエンドヌクレアーゼ、II型CRISPRエンドヌクレアーゼ、III型CRISPRエンドヌクレアーゼ、IV型CRISPRエンドヌクレアーゼ、V型CRISPRエンドヌクレアーゼ、VI型CRISPRエンドヌクレアーゼ、CRISPR関連タンパク質9(Cas9)、Cpf1、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ホーミングエンドヌクレアーゼ又はメガヌクレアーゼである、項目11の方法。
(b)前記ヌクレアーゼが、RNAによってガイドされるエンドヌクレアーゼ、CRISPRエンドヌクレアーゼ、I型CRISPRエンドヌクレアーゼ、II型CRISPRエンドヌクレアーゼ、III型CRISPRエンドヌクレアーゼ、IV型CRISPRエンドヌクレアーゼ、V型CRISPRエンドヌクレアーゼ、VI型CRISPRエンドヌクレアーゼ、CRISPR関連タンパク質9(Cas9)、Cpf1、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ホーミングエンドヌクレアーゼ若しくはメガヌクレアーゼである、項目16の方法。
(a)細胞透過性ドメイン(CPD)と作動可能に連結されたエンドソーム漏出ドメイン(ELD)を含み、前記ELDは、直鎖状カチオン性αへリックス抗菌性ペプチド、セクロピン-A/メリチンハイブリッド(CMシリーズ)ペプチド、pH依存性膜活性ペプチド(PAMP)、ペプチド両親媒性物質、インフルエンザ血球凝集素(HA)のHA2サブユニットのN末端に由来するペプチド、CM18、ジフテリア毒素Tドメイン(DT)、GALA、PEA、INF-7、LAH4、HGP、H5WYG、HA2、EB1、VSVG、シュードモナス毒素、メリチン、KALA、JST-1、C(LLKK)3C若しくはG(LLKK)3Gであるか、又はそれに由来する、エンドソーム溶解性ペプチドであり、
(b)前記独立ポリペプチドカーゴと共有結合によって結合しておらず、
(c)20から100個のアミノ酸残基の全長を有し、
(d)生理学的pHで少なくとも+6の正味電荷を有し、
(e)生理学的pHで水溶液に可溶性であり、
前記CPDは、前記合成ペプチドを細胞内送達可能であり、前記ELDは、エンドソームによってトラップされた独立ポリペプチドカーゴの標的真核細胞のサイトゾルへの脱出を可能にする、方法。
(a)前記ELDが、配列番号1〜15、63又は64のいずれか1つのアミノ酸配列を含み、
(b)前記CPDが、配列番号16〜27又は65のいずれか1つのアミノ酸配列を含み、
(c)前記ヒスチジンリッチドメインが、少なくとも2つの連続するヒスチジン残基を含む、方法。
(a)前記ELDは、配列番号1〜15、63又は64のいずれか1つのアミノ酸配列を含み、
(b)前記CPDは、配列番号16〜27又は65のいずれか1つのアミノ酸配列を含み、
(c)前記ヒスチジンリッチドメインは、少なくとも2つの連続するヒスチジン残基を含む、方法。
表題及びその他の識別子、例えば、(a)、(b)、(i)、(ii)、などは、単に、本明細書及び特許請求の範囲の読み取りを容易にするために提示される。本明細書及び特許請求の範囲における表題及びその他の識別子の使用は、ステップ又は要素が、アルファベット順又は番号順で、又はそれらが提示される順序で実施されることを必ずしも必要としない。
この適用は、Sequence_Listing.txtと題された、2016年4月3日に作成された、約57kbの大きさを有するコンピュータによって読み取り可能な形態の配列表を含有する。コンピュータによって読み取り可能な形態は、参照によって本明細書に組み込まれる。
本明細書において、「合成ペプチド」又は「合成ポリペプチド」などの表現において使用される、用語「合成」は、in vitroで製造され得る(例えば、化学的に合成される、及び/又は組換えDNA技術を使用して製造される)天然に存在しない分子を指すものとする。種々の合成調製物の純度は、例えば、高性能液体クロマトグラフィー解析及び質量分析法によって評価され得る。化学合成アプローチは、それらが、大規模な組換えタンパク質精製ステップ(例えば、臨床使用のために必要とされる)の必要性を排除し得るので、細胞発現系(例えば、酵母又は細菌タンパク質発現系)を上回って有利であり得る。対照的に、より長い合成ポリペプチドは、より複雑であり得る、及び/又は化学合成アプローチによって製造するのに費用がかさみ得、このようなポリペプチドは、細胞発現系を使用してより有利に製造され得る。いくつかの実施形態では、本記載のペプチド又はシャトル剤は、組換え宿主細胞から発現されるのとは対照的に、化学的に合成(例えば、固相又は液相ペプチド合成)され得る。いくつかの実施形態では、本記載のペプチド又はシャトル剤は、N末端メチオニン残基を欠き得る。当業者は、本記載の合成ペプチド又はシャトル剤を、1種若しくは複数の修飾されたアミノ酸(例えば、天然に生じないアミノ酸)を使用することによって、又は本記載の合成ペプチド若しくはシャトル剤を化学的に修飾することによって、安定性の特定の必要性又はその他の必要性に合うように適応させることができる。
いくつかの態様では、本記載の合成ペプチド又はポリペプチドベースのシャトル剤は、エンドソーム脱出及び細胞質コンパートメントへの接近を促進するためにエンドソーム漏出ドメイン(ELD)を含み得る。本明細書において、表現「エンドソーム漏出ドメイン」は、エンドソームによってトラップされた高分子が、細胞質コンパートメントに入る能力を付与するアミノ酸の配列を指す。理論に捉われるものではないが、エンドソーム漏出ドメインは、短い配列(ウイルス又は細菌ペプチドに由来することが多い)であり、これは、エンドソーム膜の不安定化及びエンドソーム内容物の細胞質への遊離を誘導すると考えられる。本明細書において、表現「エンドソーム溶解性ペプチド」は、エンドソーム膜不安定化特性を有するペプチドのこの全般的なクラスを指すものとする。したがって、いくつかの実施形態では、本記載の合成ペプチド又はポリペプチドベースのシャトル剤は、エンドソーム溶解性ペプチドであるELDを含み得る。このようなペプチドの活性は、例えば、実施例2に記載されるカルセインエンドソーム脱出アッセイを使用して評価され得る。
いくつかの態様では、本記載のシャトル剤は、細胞浸透ドメイン(CPD)を含み得る。本明細書において、表現「細胞浸透ドメイン」とは、細胞中に形質導入されるべきCPDを含有する高分子(例えば、ペプチド又はタンパク質)の能力を付与するアミノ酸の配列を指す。
いくつかの態様では、本記載のシャトル剤は、ヒスチジンリッチドメインを含み得る。その他の実施形態では、本記載のシャトル剤は、本質的にヒスチジンリッチドメイン及びCPDを含む又はからなる(例えば、ただし、ELDを欠く)さらなる独立合成ペプチドと組み合わされ/一緒に使用され得る。この後者のアプローチは、ヒスチジンリッチドメインの濃度が、シャトル剤中に含有されるELD及びCPDの濃度とは独立に変えられる又は制御されることを可能にするという追加の利点を提供し得る。理論に捉われるものではないが、ヒスチジンリッチドメインは、エンドソームにおいてプロトンスポンジとして作用し得、エンドソーム膜不安定化の別の機序を提供する。
いくつかの実施形態では、本記載の合成ペプチド及びシャトル剤中において、ドメイン(CPD、ELD又はヒスチジンリッチドメイン)を互いに作動可能に結合するために、適したリンカー(例えば、可動性ポリペプチドリンカー)が使用され得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、回転力を有さない小さい疎水性アミノ酸(グリシンなど)並びに安定性及び可動性を付与する極性セリン残基の配列を付加することによって形成され得る。リンカーは、柔らかく、シャトル剤のドメインが動くのを可能にし得る。いくつかの実施形態では、プロリンは、相当なコンホメーション強剛性を付加し得るので回避され得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、セリン/グリシンリッチリンカー(例えば、GGS、GGSGGGS、GGSGGGSGGGSなど)であり得る。いくつかの実施形態では、適したリンカーを含むシャトル剤の使用は、独立ポリペプチドカーゴを、接着細胞ではなく懸濁細胞に送達するために有利であり得る。
いくつかの態様では、本記載の合成ペプチド又はポリペプチドベースのシャトル剤は、独立カーゴ(例えば、ポリペプチドカーゴ)を標的真核細胞のサイトゾルに送達するのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、ポリペプチドカーゴは、細胞内送達を更に促進するために1つ又は複数のCPDと融合され得る。いくつかの実施形態では、ポリペプチドカーゴと融合されるCPDは、本記載のシャトル剤のCPDと同一であっても、異なっていてもよい。このような融合タンパク質は、標準組換え技術を使用して構築され得る。いくつかの実施形態では、独立ポリペプチドカーゴは、第2の生物学的に活性なカーゴ(例えば、生物学的に活性なポリペプチド又は化合物)と、融合され、複合体形成され、又は共有結合によって結合され得る。或いは又は同時に、ポリペプチドカーゴは、細胞内ターゲッティングドメインを含み得る。
・非相同末端結合(NHEJ)及び/又は相同依存性(Homologous-directed)組換え(HDR)(Congら、2013)を実施するCas媒介性ゲノム編集法、
・その他のタンパク質パートナーとの複合体形成を伴って、又は伴わずに、プロモーター配列と、1種又は数種のgRNAと、及びRNAポリメラーゼと結合された場合に転写開始を抑制及び/又は活性化し得る、触媒機能を喪失した(catalytically dead)Cas(dCas)(Bikardら、2013)、
・転写抑制、転写活性化、クロマチンリモデリング、蛍光リポーター、ヒストン修飾、リコンビナーゼ系アセチル化、メチル化、ユビキチン化、リン酸化、SUMO化、リボシル化及びシトルリン化を含むゲノムの特定の部位に酵素活性をもたらす方法として種々の機能性タンパク質ドメインとも融合され得る、触媒機能を喪失した(catalytically dead)Cas(dCas)(Gilbertら、2013)。
いくつかの実施形態では、本記載の合成ペプチド及びシャトル剤は、最大50μM、45μM、40μM、35μM、30μM、25μM、20μM、15μM、10μM、9μM、8μM、7μM、6μM、5μM、4μM、3μM、2μM、1μM、0.5μMm 0.1μM又は0.05μMの濃度で意図される標的真核細胞に対して非毒性であり得る。本記載のシャトル剤の細胞毒性は、任意の適した方法を使用して測定され得る。更に、形質導入プロトコールは、シャトル剤の毒性を低減又は最小にするように、及び/又はトランスフェクション効率を改善/最大化するように適応され得る(例えば、使用されるシャトル及び/又はカーゴの濃度、シャトル/カーゴ曝露時間、血清の存在下又は非存在下での曝露)。
いくつかの実施形態では、本記載は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4又は少なくとも5種類の異なる種類の本明細書において定義されるような合成ペプチド又はポリペプチドベースのシャトル剤のカクテルを含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、種々の種類の合成ペプチド又はポリペプチドベースのシャトル剤(例えば、種々の種類のCPDを含む種々のシャトル剤)を含むことは、種々のポリペプチドカーゴを細胞内に送達するための増大した多用途性を提供し得る。更に、理論に捉われるものではないが、低濃度の種々の種類のシャトル剤を組み合わせることは、単一種類のシャトル剤(例えば、より高濃度の)を使用することと関連する細胞毒性を低減するのに役立ち得る。
いくつかの実施形態では、本記載は、ポリペプチドカーゴの標的真核細胞のサイトゾルへの形質導入効率を増大させるための方法に関する。方法は、標的真核細胞を、本明細書において定義されるような合成ペプチド、ポリペプチドベースのシャトル剤又は組成物、及びポリペプチドカーゴと接触させることを含み得る。いくつかの実施形態では、合成ペプチド、ポリペプチドベースのシャトル剤又は組成物は、混合物を形成するためにポリペプチドカーゴとともにプレインキュベートされ得、その後、標的真核細胞を混合物に対して曝露する。いくつかの実施形態では、CPDの種類は、細胞内に送達されるべきポリペプチドカーゴのアミノ酸配列に基づいて選択され得る。その他の実施形態では、CPD及びELDの種類は、細胞内に送達されるべきポリペプチドカーゴのアミノ酸配列、細胞の種類、組織の種類などを考慮するように選択され得る。
材料及び方法
1.1 材料
すべての化学物質は、別に断りのない限り、Sigma-Aldrich社(セントルイス、ミズーリ州、米国又はオークビル、オンタリオ州、カナダ)から、又は同等の等級のものをBioShop Canada Inc.社(ミシサガ、オンタリオ州、カナダ)又はVWR社(モントリオール市、ケベック州、カナダ)から購入した。
HeLa、HEK293A、HEK293T、THP-1、CHO、NIH3T3、CA46、Balb3T3及びHT2細胞は、American Type Culture Collection(マナッサス、バージニア州、米国)から入手し、製造業者の使用説明書に従って培養した。筋芽細胞は、Professor J.P. Tremblay(ラバル大学、ケベック州、カナダ)によって寄贈された一次ヒト細胞である。
融合タンパク質を、T5プロモーターを含有する、イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)誘導性ベクターを使用して標準条件下で、細菌(大腸菌BL21DE3)中で発現させた。培養培地は、1リットルあたり、24gの酵母抽出物、12gのトリプトン、4mLのグリセロール、2.3g KH2PO4及び12.5g K2HPO4を含有していた。細菌培養液を、撹拌下、適当な抗生物質(例えば、アンピシリン)とともに37℃でインキュベートした。発現は、1mM IPTGの最終濃度を用い、0.5から0.6の間の光学濃度(600nm)で、30℃で3時間誘導した。5000RPMで遠心分離した後、細菌を回収し、細菌ペレットを-20℃で保存した。
この研究に使用したすべてのペプチドは、GLBiochem (Shanghai、China)から購入し、その純度は、高性能液体クロマトグラフィー解析及び質量分析法によって確認した。いくつかの場合には、ペプチド二量体の調製を可能にするC末端システイン残基を含有するようにキメラペプチドを合成した。これらの二量体のペプチドを、2つの単量体のC末端システイン間のジスルフィド橋を用いて直接合成した。本実施例において試験した合成ペプチド及びシャトル剤の各々のアミノ酸配列及び特徴は、Table 1.3(表8)にまとめられている。
ペプチドシャトル剤は、エンドソームによってトラップされたカルセインの脱出を促進する
2.1エンドソーム脱出アッセイ
エンドソーム漏出を研究するために、及びシャトル剤の添加が、ポリペプチドカーゴのエンドソーム漏出を促進するか否かを調べるために、顕微鏡ベースの、及びフローサイトメトリーベースの蛍光アッセイを開発した。
カルセインは、細胞外培地に投与された場合に、細胞によって容易に内部移行される膜不透過性蛍光分子である。その蛍光は、pH依存性であり、カルセインは、高濃度で自己消光する。ひとたび内部移行されると、カルセインは、細胞エンドソームにおいて高濃度で捕捉されるようになり、点状パターンとして蛍光顕微鏡によって可視化され得る。エンドソーム漏出後、カルセインは、細胞質に放出され、この放出は、拡散パターンとして蛍光顕微鏡によって可視化され得る。
顕微鏡に加えて、ひとたび、カルセインが細胞質中に放出されると、蛍光強度シグナルが増大するので、フローサイトメトリーによって、エンドソーム漏出のより定量的な解析が可能となる。カルセイン蛍光は、エンドソームの酸性環境と比較して、生理学的pHで(例えば、サイトゾル中で)最適である。
2.2.1 HeLa細胞
HeLa細胞を培養し、実施例2.1に記載されるようなエンドソーム脱出アッセイにおいて試験した。フローサイトメトリー解析の結果は、以下にまとめられている。各場合において、フローサイトメトリー結果はまた、蛍光顕微鏡によって確認した(示されていないデータ)。
種々の細胞株に対するシャトル剤の効果を調べるために、HEK293A細胞を培養し、実施例2.1に記載されるようなエンドソーム脱出アッセイにおいて試験した。フローサイトメトリー解析の結果は、以下のTable 2.8(表16)において、及び図1Bにおいてまとめられている。
シャトル剤の初代細胞に対する効果を調べるために、一次筋芽細胞を培養し、実施例2.1に記載されるようなエンドソーム脱出アッセイにおいて試験した。フローサイトメトリー解析の結果は、以下のTable 2.9(表17)及びTable 2.10(表18)において、及び図4においてまとめられている。各場合において、フローサイトメトリー結果はまた、蛍光顕微鏡によっても確認された。
(実施例3)
3.1 タンパク質形質導入アッセイ
形質導入アッセイが実施される1日前に、対数増殖期にある哺乳動物細胞(例えば、HEK293、CHO、HeLa、THP-1及び筋芽細胞)を回収し、96ウェルプレート(ウェルあたり20,000個細胞)中にプレーティングした。細胞をFBSを含有する適当な成長培地中で一晩インキュベートした(実施例1を参照のこと)。翌日、別個の滅菌1.5mLチューブ中で、0.5〜10μMのカーゴタンパク質(GFP、TAT-GFP、GFP-NLS又はFITC標識された抗チューブリン抗体)を、50μLの、血清を含まない(特に断りのない限り)新鮮培地中でシャトル剤(0.5〜5μM)とともに37℃で10分間予め混合した(プレインキュベートした)。GFP、GFP-NLS及びTAT-GFPは、Feldanによって開発され、製造された組換えタンパク質である(以下の実施例3.4を参照のこと)。FITC標識された抗チューブリン抗体は、Abcam社(ab64503)から購入した。ウェル中の培地を除去し、細胞を、37℃に予め加温した新たに調製したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて3回洗浄した。細胞を、カーゴタンパク質/シャトル剤混合物とともに37℃で5又は60分間インキュベートした。インキュベートした後、細胞を、37℃に予め加温した新たに調製したPBS及び/又はヘパリン(0.5mg/mL)を用いて3回迅速に洗浄した。ヒトTHP-1血液細胞には、その後の解析(顕微鏡及びフローサイトメトリー)における望ましくない細胞膜結合タンパク質バックグラウンドを避けるために、ヘパリンを用いる洗浄が必要であった。細胞を、50μLの、血清を含む新鮮培地中、37℃で最後にインキュベートし、その後解析した。
細胞質及び核細胞コンパートメントにおける蛍光タンパク質カーゴの送達を、蛍光ランプ(モデルU-LH100HGAPO)及び種々のフィルターを備えたOlympus IX70(商標)顕微鏡(Japan)を用いて観察した。Olympus filter U-MF2(商標)(C54942-Exc495/Em510)を使用して、GFP及びFITC標識した抗体蛍光シグナルを観察した。OlympusフィルターHQ-TR(商標)(V-N41004-Exc555-60/Em645-75)を使用して、mCherry(商標)及びGFP抗体蛍光シグナルを観察した。OlympusフィルターU-MWU2(商標)(Exc330/Em385)を使用して、DAPI又はBlue Hoechst蛍光シグナルを観察した。50μLの新鮮培地においてインキュベートされた細胞を、種々の倍率視野(4×〜40×)で顕微鏡(明視野及び蛍光)によって直接観察した。CoolSNAP-PRO(商標)カメラ(シリーズA02D874021)を使用して細胞を観察し、Image-Proplus(商標)ソフトウェアを使用して像を捕らえた。
接着細胞を、24プレートウェル中のウェルあたり1.5×105個細胞で滅菌ガラスストリップ上にプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした。固定化のために、細胞をウェルあたり500μLのホルムアルデヒド(3.7% v/v)中で、室温で15分間インキュベートし、PBSを用いて3回5分間洗浄した。透過処理のために、細胞をウェルあたり500μLのTriton(商標)X-100(0.2%)中で、室温で10分間インキュベートし、PBSを用いて3回5分間洗浄した。ブロッキングのために、細胞を、ウェルあたり500μLの、1% BSA(PBS/BSA)を含有するPBS中で、室温で60分間インキュベートした。一次マウスモノクローナル抗体をPBS/BSA(1%)で希釈した。細胞を、30μLの一次抗体中で、4℃で一晩インキュベートした。細胞をPBSを用いて3回5分間洗浄した。二次抗体をPBS/BSA(1%)で希釈し、細胞を250μLの二次抗体中で、室温、暗所で30分間インキュベートした。細胞をPBSを用いて3回5分間洗浄した。細胞を含有するガラスストリップを、10μLの封入剤、DAPIを含むFluoroshield(商標)を用いて顕微鏡ガラススライド上にのせた。
GFPの蛍光を、フローサイトメトリー(Accuri C6、Becton、Dickinson and Company社 (BD))を使用して定量化した。処理細胞における蛍光タンパク質の内部移行による蛍光の増大を定量化するために、未処理細胞を使用してベースラインを確立した。未処理細胞の最大蛍光を上回る蛍光シグナルを有する細胞のパーセンテージ、「平均%」又は「Pos細胞(%)」を使用して、陽性蛍光細胞を同定する。「相対蛍光強度(FL1-A)」は、シャトル剤を用いる蛍光タンパク質送達後の蛍光シグナルを有する各細胞からのすべての蛍光強度の平均に相当する。また、細胞に対応するフローサイトメトリーによってスキャンされる事象(大きさ及び粒度)も解析した。未処理細胞と比較して、処理細胞のスキャンされた総事象における細胞のパーセンテージを比較して、細胞毒性(細胞生存率%)をモニタリングした。
レザズリン試験を用いて細胞の生存率を評価した。レザズリンは、代謝的に活性な細胞においてミトコンドリア酵素によって青色から桃色に変換されるナトリウム塩着色剤である。生存細胞のパーセンテージを定量化するために、生存細胞においてのみ起こるこの比色変換を、分光法解析によって測定できる。レザズリンの保存溶液を、水中、1mg/100mLで調製し、4℃で保存した。96ウェルプレートの各ウェルに25μLの保存溶液を添加し、細胞を37℃で1時間インキュベートし、その後、分光法解析した。レザズリン酵素反応に使用したインキュベーション時間は、細胞の量及びウェル中の使用された培地の容量に応じて変えた。
N末端に6xヒスチジンタグ及びセリン/グリシンリッチリンカー並びにC末端にセリン/グリシンリッチリンカー及び停止コドン(-)を含有するGFPタンパク質を発現するように、GFPをコードする遺伝子を、T5細菌発現ベクター中にクローニングした。組換えGFPタンパク質を、実施例1.4に記載されるように精製した。GFP構築物の配列は、以下であった:
HeLa細胞を培養し、実施例3.1に記載されるタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、GFP組換えタンパク質を、0、3又は5μMのCM18-TATとともに同時インキュベートし、次いで、HeLa細胞に対して1時間曝露した。細胞を、実施例3.2に記載されるように明視野及び蛍光顕微鏡によって観察した。図5に示される結果は、GFPが、シャトル剤CM18-TATの存在下でHeLa細胞に細胞内に送達されたことを示す。
HeLa細胞を培養し、実施例3.1〜3.3に記載されるタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、GFP組換えタンパク質を、種々の濃度のCM18-TAT-Cys又は二量体化されたCM18-TAT-Cys(dCM18-TAT-Cys)と同時インキュベートし、次いで、HeLa細胞に1時間曝露した。結果は、Table 3.1(表20)及び図6に示されている。
HeLa細胞を培養し、実施例3.1に記載されるタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、GFP組換えタンパク質(5μM)を、CM18-TAT-Cys、CM18-ペネトラチン-Cys及び各々の二量体(dCM18-TAT-Cys、dCM18-ペネトラチン-Cys)の種々の濃度及び組合せとともに同時インキュベートし、次いで、HeLa細胞に1時間曝露した。細胞を、実施例3.3に記載されるようにフローサイトメトリー解析に付した。結果は、Table 3.3(表22)及び図8に、並びにTable 3.4(表23)及び図9に示されている。
HeLa細胞を培養し、実施例3.1に記載されるタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、GFP組換えタンパク質(5μM)を、各5μMの以下のペプチド:TAT-Cys;CM18、ペネトラチン-Cys、TAT-Cys+CM18、ペネトラチン-Cys+CM18及びCM18-TAT-Cysと同時インキュベートし、次いで、HeLa細胞に対して1時間曝露した。GFP蛍光を明視野及び蛍光顕微鏡によって可視化した。顕微鏡結果(示されていないデータ)は、GFPが、CM18-TAT-Cysを使用して成功裏に細胞内に送達されたことを示した。しかし、GFPは、単一ドメインペプチドを単独(CM18、TAT-Cys、ペネトラチン-Cys)又は一緒に(CM18+TAT-Cys、CM18+ペネトラチン-Cys)使用すると、成功裏に細胞内に送達されなかった。これらの結果は、カルセインエンドソーム脱出アッセイに関してTable 2.1(表9)及びTable 2.2(表10)に示されるものと一致する。
ペプチドシャトル剤は、TAT-GFP形質導入効率を増大させる
実施例3における実験は、シャトル剤の、GFPを細胞内に送達する能力を示した。この実施例において示された実験は、シャトル剤がまた、CPDと融合されているGFPカーゴタンパク質(TAT-GFP)の細胞内送達も増大させ得ることを示す。
構築は、TAT配列が、6xヒスチジンタグとGFP配列の間にクローニングされた点を除いて、実施例3.4に示されるように実施した。6xヒスチジンタグ、TAT、GFP及び停止コドン(-)は、セリン/グリシンリッチリンカーによって分離されている。組換えTAT-GFPタンパク質を、実施例1.4に記載されるように精製した。TAT-GFP構築物の配列は以下であった:
HeLa細胞を培養し、実施例3.1に記載されるタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、TAT-GFP組換えタンパク質(5μM)を、3μMのCM18-TAT-Cysと同時インキュベートし、次いで、HeLa細胞に対して1時間曝露した。細胞及びGFP蛍光を、10×及び40×倍率で明視野及び蛍光顕微鏡によって可視化し(実施例3.2に記載されるように)、サンプル結果は、図10に示されている。顕微鏡結果は、CM18-TAT-Cysの非存在下で、TAT-GFPは、低い強度、文献に報告されたようなエンドソーム分布を示すことを示した。対照的に、TAT-GFPは、シャトル剤CM18-TAT-Cysの存在下で細胞質に、及び核に送達される。理論に捉われるものではないが、TATペプチド自体は、核局在シグナル(NLS)として作用し得、TAT-GFPの核局在性を説明する。これらの結果は、CM18-TAT-Cysが、TAT-GFP形質導入効率を増大させ、エンドソームによってトラップされたTAT-GFPが、細胞質及び核コンパートメントに入ることを可能にすることができることを示す。
HeLa細胞を培養し、実施例3.1に記載されるタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、TAT-GFP-Cys組換えタンパク質(5μM)を、種々の濃度のCM18-TAT-Cys(0、0.5、1、3又は5μM)と同時インキュベートし、次いで、HeLa細胞に対して1時間曝露した。細胞を、実施例3.3に記載されたようなフローサイトメトリー解析に付した。結果は、Table 4.3(表24)及び図11Aに示されている。対応する細胞毒性データは、図11Bに示されている。
ペプチドシャトル剤は、GFP-NLS形質導入効率及び核局在性を増大させる
実施例3及び4における実験は、シャトル剤の、GFP及びTAT-GFPを細胞内に送達する能力を示した。この実施例において示される実験は、シャトル剤が、核局在シグナル(NLS)と融合されたGFPタンパク質カーゴの核送達を促進し得ることを示す。
構築は、最適化されたNLS配列を、GFP配列と停止コドン(-)の間にクローニングしたという点を除いて実施例3.4に記載されるように実施した。NLS配列は、GFP配列及び停止コドンから2つのセリン/グリシンリッチリンカーによって分離されている。組換えGFP-NLSタンパク質を、実施例1.4に記載されるように精製した。GFP-NLS構築物の配列は、以下であった:
HeLa細胞を培養し、実施例3.1に記載されるタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、GFP-NLS組換えタンパク質(5μM)を5μMのCM18-TAT-Cysと同時インキュベートし、次いで、HeLa細胞に対して曝露した。5分後、GFP蛍光を、10×、2×及び40×の倍率で明視野及び蛍光顕微鏡によって可視化し(実施例3.2に記載されるように)、サンプル結果が図12に示されている。顕微鏡結果は、GFP-NLSが、わずか5分のインキュベーション後に、シャトル剤CM18-TAT-Cysの存在下で核に効率的に送達されることを示した。
HeLa細胞を培養し、実施例3.1に記載されるタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。GFP-NLS組換えタンパク質(5μM)を、0、0.5、1、3又は5μMのCM18-TAT-Cysと同時インキュベートし、次いで、HeLa細胞に対して1時間曝露した。細胞を、実施例3.3に記載されるようにフローサイトメトリー解析に付した。結果は、Table 5.1(表25)及び図13Aに示されている。対応する細胞毒性データは、図13Bに示されている。
HeLa細胞を培養し、実施例3.1に記載されるタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。GFP-NLS組換えタンパク質(5μM)を、CM18-TAT-Cys、CM18-ペネトラチン-Cys及び各々(dCM18-TAT-Cys、dCM18-ペネトラチン-Cys)の二量体の種々の濃度及び組合せと同時インキュベートし、次いで、HeLa細胞に対して1時間曝露した。細胞を、実施例3.3に記載されるようにフローサイトメトリー解析に付した。結果は、Table 5.2(表26)及びTable 5.3(表27)に、並びに図14及び図15に示されている。
HeLa細胞を培養し、実施例3.1に記載されるタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。GFP-NLS組換えタンパク質(5μM)を、CM18-TAT-Cys(3.5μM)単独と、又はdCM18-ペネトラチン-Cys(1μM)と同時インキュベートした。細胞を、簡素なDMEM培地(「DMEM」)又は10% FBS(「FBS」)を含有するDMEM培地中で5分又は1時間インキュベートし、その後、実施例3.3に記載されたようなフローサイトメトリー解析に付した。結果は、Table 5.4(表28)に、及び図16に示されている。シャトル剤又はGFP-NLSを用いて処理されなかった細胞(「ctrl」)及びGFP-NLSを用いて処理したが、シャトル剤を用いない細胞(「GFP-NLS 5μM」)を対照として使用した。
シャトル剤のGFP-NLSを細胞内に送達する能力を、懸濁液中で成長する急性単球性白血病細胞株であるTHP-1細胞において試験した。THP-1細胞を培養し(実施例1を参照のこと)、実施例3.1に記載されるタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。GFP-NLS組換えタンパク質(5μM)を、1μM CM18-TAT-Cysと同時インキュベートし、又は1μM CM18-TAT-Cysを伴わずにインキュベートし、THP-1細胞に対して5分間曝露し、その後、実施例3.3に記載されるようにフローサイトメトリー解析に付した。結果は、Table 5.5(表29)に、及び図17Aに示されている。対応する細胞毒性データは、図17Bに示されている。
ペプチドシャトル剤は、FITC標識された抗チューブリン抗体の形質導入効率を増大させる
実施例3〜5における実験は、シャトル剤の、GFP、TAT-GFP及びGFP-NLSの形質導入効率を増大させる能力を示した。この実施例において示された実験は、シャトル剤がまた、より大きなタンパク質カーゴ:FITC標識された抗チューブリン抗体も送達し得ることを示す。FITC標識された抗チューブリン抗体は、(Abcam社、ab64503)から購入し、150KDaの推定分子質量を有する。送達及び顕微鏡プロトコールは、実施例3に記載されている。
FITC標識された抗チューブリン抗体(0.5μM)を、5μMのCM18-TAT-Cysと同時インキュベートし、HeLa細胞に対して1時間曝露した。抗体送達を明視野(20×)及び蛍光顕微鏡(20×及び40×)によって可視化した。図18に示されるように、細胞質において蛍光チューブリン繊維が可視化され、細胞の内側の抗体の機能性を実証した。
HeLa細胞を培養し、実施例3.1に記載されるタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。FITC標識された抗チューブリン抗体(0.5μM)を、3.5μMのCM18-TAT-Cys、CM18-ペネトラチン-Cys又はdCM18-ペネトラチン-Cys又は3.5μMのCM18-TAT-Cys及び0.5μMのdCM18-ペネトラチン-Cysの組合せと同時インキュベートし、HeLa細胞に対して1時間曝露した。細胞を実施例3.3に記載されるようなフローサイトメトリー解析に付した。結果は、Table 6.1(表30)及び図19Aに示されている。対応する細胞毒性データは、図19Bに示されている。
CM18-TAT-Cysは、細胞内プラスミドDNA送達を可能にするが、プラスミド発現は不十分である
GFPをコードするプラスミドを使用するHEK293A細胞でのこの実施例において、CM18-TAT-Cysシャトル剤の、プラスミドDNAを細胞内送達する能力を試験した。
トランスフェクションアッセイが実施される1日前に、対数増殖期にある哺乳動物細胞(HEK293A)を回収し、24ウェルプレート(ウェルあたり50,000個細胞)中にプレーティングした。細胞を、FBSを含有する適当な成長培地で一晩インキュベートした。翌日、別個の滅菌1.5mLチューブにおいて、Cy5(商標)蛍光を用いて標識されたpEGFPを、37℃で10分間、100μLの最終容量で、新鮮PBS中、CM18-TAT-Cys(0.05、0.5又は5μM)と混合した。ウェル中の培地を除去し、細胞を、PBSを用いて3回迅速に洗浄し、500μLの、FBSを含まない加温培地を添加した。細胞にpEGFP及びCM18-TAT-Cys溶液を添加し、37℃で4時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をPBSを用いて洗浄し、FBSを含有する新鮮培地を添加した。細胞を37℃でインキュベートし、その後、実施例3に記載されるようなフローサイトメトリー解析に付した。
プラスミドDNA(pEGFP)を、Cy5(商標)色素を用い、製造業者の使用説明書(Mirus Bio LLC)に従って標識した。Cy5(商標)部分は、標準トランスフェクションプロトコール(示されていないデータ)を使用する非標識プラスミドと比較した場合に、トランスフェクション効率に影響を及ぼさなかった。フローサイトメトリー解析は、DNA細胞内送達に対応するCy5(商標)発光、核送達の成功、DNA転写及びタンパク質発現に対応するGFP発光の定量化を可能にした。結果は、Table 7.1(表31)に、及び図20に示されている。
シャトル剤へのヒスチジンリッチドメインの添加は、GFP-NLS形質導入効率を更に改善する
8.1 HeLa細胞におけるHis-CM18-TAT-CysによるGFP-NLS形質導入:顕微鏡による可視化
GFP-NLS(5μM;実施例5を参照のこと)を、5μMのCM18-TAT-Cys又はHis-CM18-TATと同時インキュベートし、HeLa細胞に対して1時間曝露した。細胞内送達されたGFP-NLSの核蛍光が、蛍光顕微鏡によって確認され(示されていないデータ)、GFP-NLSの核への送達の成功を示す。
HeLa細胞を培養し、実施例3.1に記載されるタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。GFP-NLS(5μM)を、0、1、3又は5μMのCM18-TAT-Cys又はHis-CM18-TATと同時インキュベートし、HeLa細胞に対して1時間曝露した。細胞を、実施例3.3に記載されたようなフローサイトメトリー解析に付した。結果は、Table 8.1(表32)及び図21Aに示されている。対応する細胞毒性データは、図21Bに示されている。
His-CM18-PTD4は、GFP-NLS、mCherry(商標)-NLS及びFITC標識された抗チューブリン抗体の形質導入効率及び核送達を増大させる
9.1 タンパク質形質導入プロトコール
プロトコールA:細胞培養培地における送達のためのタンパク質形質導入アッセイ
形質導入アッセイが実施される1日前に、対数増殖期にある細胞を回収し、96ウェルプレート(ウェルあたり20,000個細胞)中にプレーティングした。細胞を、FBSを含有する適当な成長培地中で一晩インキュベートした(実施例1を参照のこと)。翌日、別個の滅菌1.5mLチューブ中で、所望の濃度のカーゴタンパク質を、50μLの新鮮血清不含培地(特に断りのない限り)中で所望の濃度のシャトル剤とともに37℃で10分間予め混合した(プレインキュベートした)。ウェル中の培地を除去し、細胞を、37℃に予め加温したPBSを用いて1〜3回(使用した細胞の種類に応じて)洗浄した。細胞を、カーゴタンパク質/シャトル剤混合物とともに37℃で所望長さの時間インキュベートした。インキュベートした後、細胞を、37℃に予め加温したPBS及び/又はヘパリン(0.5mg/mL)を用いて3回洗浄した。ヒトTHP-1血液細胞には、その後の解析(顕微鏡及びフローサイトメトリー)における望ましくない細胞膜結合タンパク質バックグラウンドを避けるためにヘパリンを用いる洗浄を使用した。細胞を、50μLの、血清を含む新鮮培地中、37℃で最後にインキュベートし、その後解析した。
形質導入アッセイが実施される1日前に、対数増殖期にある細胞を回収し、96ウェルプレート(ウェルあたり20,000個細胞)中にプレーティングした。細胞を、血清を含有する適当な成長培地中で一晩インキュベートした(実施例1を参照のこと)。翌日、別個の滅菌1.5mLチューブ中で、シャトル剤を室温で滅菌蒸留水中で希釈した(カーゴが、核酸であるか、又は核酸を含んでいた場合には、ヌクレアーゼ不含を使用した)。シャトル剤にカーゴタンパク質を添加し、必要に応じて、滅菌PBSを添加して、細胞を覆うのに十分な最終容量(例えば、96ウェルプレートのウェルあたり10〜100μL)で、所望の濃度のシャトル剤及びカーゴを得た。次いで、シャトル剤/カーゴ混合物を実験に直ちに使用した。各実験に少なくとも3種:(1)シャトル剤単独(例えば、試験される最高濃度で);(2)カーゴ単独及び(3)任意のカーゴ又はシャトル剤を伴わない対照を含めた。ウェル中の培地を除去し、細胞を、37℃に予め加温したPBSを用いて1回洗浄し、次いで、所望の長さの時間、すべての細胞を覆うように、シャトル剤/カーゴ混合物を添加した。ウェル中のシャトル剤/カーゴ混合物を除去し、細胞をPBSを用いて1回洗浄し、新鮮完全培地を添加した。解析の前に、細胞をPBSを用いて1回洗浄し、新鮮完全培地を添加した。
形質導入アッセイが実施される1日前に、対数増殖期にある懸濁細胞を回収し、96ウェルプレート(ウェルあたり20,000個細胞)中にプレーティングした。細胞を、血清を含有する適当な成長培地中で一晩インキュベートした(実施例1を参照のこと)。翌日、別個の滅菌1.5mLチューブ中で、シャトル剤を室温で滅菌蒸留水中で希釈した(カーゴが、核酸であるか、又は核酸を含んでいた場合には、ヌクレアーゼ不含を使用した)。シャトル剤にカーゴタンパク質を添加し、必要に応じて、滅菌PBS又は細胞培養培地(血清不含)を添加して、細胞を再懸濁に十分な最終容量(例えば、96ウェルプレートのウェルあたり10〜100μL)で、所望の濃度のシャトル剤及びカーゴを得た。次いで、シャトル剤/カーゴ混合物を実験に直ちに使用した。各実験に少なくとも3種の対照を含み、(1)シャトル剤単独(例えば、試験される最高濃度で);(2)カーゴ単独及び(3)任意のカーゴ又はシャトル剤を伴わないを含む。細胞を400gで2分間遠心分離し、次いで、培地を除去し、細胞を、37℃に予め加温したPBSに再懸濁した。細胞を400gで再度2分間遠心分離し、PBSを除去し、細胞をシャトル剤/カーゴ混合物中に再懸濁した。所望のインキュベーション時間後、100μLの完全培地を細胞に直接添加した。細胞を、400gで2分間遠心分離し、培地を除去した。ペレットを200μLの、37℃に予め加温したPBS中に再懸濁し、洗浄した。更に遠心分離した後、PBSを除去し、細胞を100μLの完全培地に再懸濁した。解析の前に最後の2ステップを1回反復した。
シャトル剤形質導入効率に対する異なるプロトコールの効果を比較するために、HeLa細胞を培養し、実施例9.1に記載されるようなプロトコールA又はBを使用するタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、プロトコールAを使用し、GFP-NLS組換えタンパク質(5μM;実施例5.1を参照のこと)を、10μMのHis-CM18-PTD4と同時インキュベートし、HeLa細胞に対して1時間曝露するか、又はプロトコールBを使用し、35μMのHis-CM18-PTD4と同時インキュベートし、HeLa細胞に対して10秒間曝露した。細胞を実施例3.3に記載されるようなフローサイトメトリー解析に付した。結果は、Table 9.1(表33)及び図22Aに示されている。(「Pos細胞(%)」は、GFPシグナルを発する細胞のパーセンテージである)。
用量反応実験を実施して、タンパク質形質導入効率に対するHis-CM18-PTD4濃度の効果を評価した。HeLa細胞を培養し、実施例9.1のプロトコールBに記載されるタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、GFP-NLS組換えタンパク質(5μM;実施例5.1を参照のこと)を、0、50、35、25又は10μMのHis-CM18-PTD4と同時インキュベートし、次いで、HeLa細胞に対して10秒間曝露した。細胞を、実施例3.3に記載されるようなフローサイトメトリー解析に付した。結果は、Table9.2(表34)及び図22Bに示されている。
実施例9.1.に記載されるようなプロトコールBを使用して、GFP-NLS組換えタンパク質(5μM;実施例5.1を参照のこと)を、35μMのHis-CM18-PTD4と同時インキュベートし、次いで、HeLa細胞に10秒間曝露した。次いで、細胞を、実施例3.2及び3.2aに記載されるように蛍光顕微鏡解析に付した。
FITC標識抗チューブリン抗体(0.5μM;Abcam社、ab64503)を、実施例9.1に記載されるようにプロトコールBを使用して、50μMのHis-CM18-PTD4と同時インキュベートし、次いで、HeLa細胞に対して10秒間曝露した。次いで、細胞を、実施例3.2及び3.2aに記載されるように蛍光顕微鏡解析に付し、HeLa細胞における抗チューブリン抗体のFITC蛍光を、最終洗浄ステップ後に20×の倍率で明視野及び蛍光顕微鏡によって直ちに可視化した。サンプル結果は、図24C及び図24Dに示されている。陰性対照サンプルでは有意なFITC蛍光は観察されなかった(すなわち、任意のシャトル剤を伴わずにFITC標識抗チューブリン抗体に対して曝露された細胞;示されていないデータ)。
GFP-NLS組換えタンパク質(5μM;実施例5.1を参照のこと)を、実施例9.1に記載されるようにプロトコールBを使用して、50μMのHis-CM18-PTD4と同時インキュベートし、次いで、HeLa細胞に対して10秒間曝露した。洗浄ステップ後、HeLa細胞のGFP蛍光を、種々の時間間隔後に20×の倍率で蛍光顕微鏡(実施例3.2)によって直ちに可視化した。図27に典型的な結果が示されており、これでは、45、75、100及び120秒後に蛍光顕微鏡像が捉えられた(それぞれ、パネルA、B、C及びDを参照のこと)。
mCherry(商標)-NLS組換えタンパク質を、実施例1.4に記載されるように構築し、細菌発現系から発現させ、精製した。mCherry(商標)-NLS組換えタンパク質の配列は、以下であった:
His-CM18-PTD4の、GFP-NLSを懸濁細胞の核に送達する能力を、THP-1細胞を使用して試験した。THP-1細胞を培養し、実施例9.1に記載されるようなプロトコールA及びCを使用してタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。GFP-NLS(5μM;実施例5.1を参照のこと)を、1μMのHis-CM18-PTD4と同時インキュベートし、THP-1細胞に対して1時間曝露するか(プロトコールA)、又は5μMのHis-CM18-PTD4と同時インキュベートし、THP-1細胞に対して15秒間曝露した(プロトコールC)。細胞を、実施例3.3に記載されるようにフローサイトメトリー解析に付した。結果は、Table 9.3(表35)に、及び図31に示されている。
GFP-NLS組換えタンパク質(5μM;実施例5.1を参照のこと)を、実施例9.1に記載されるようなプロトコールCを使用して、5μMのHis-CM18-PTD4と同時インキュベートし、次いで、THP-1細胞に対して15秒間曝露した。細胞を、実施例3.2に記載されるような顕微鏡可視化に付した。
種々の複数ドメインシャトル剤が、HeLa及びTHP-1細胞においてGFP-NLSを成功裏に形質導入するが、単一ドメインペプチドは、形質導入しない
10.1 HeLa細胞における種々のシャトル剤によるGFP-NLS形質導入:フローサイトメトリー
HeLa細胞を培養し、実施例9.1に記載されるようなプロトコールBを使用してタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、GFP-NLS組換えタンパク質(5μM;実施例5.1を参照のこと)を、50μMの種々のシャトル剤と同時インキュベートし、HeLa細胞に対して10秒間曝露した。細胞を、実施例3.3に記載されるようにフローサイトメトリー解析に付した。結果は、Table 10.1(表36)及び図29Aに示されている。「Pos細胞(%)」は、GFPシグナルを発するすべての細胞の平均パーセンテージである。陰性対照(「Ctrl」)は、任意のシャトル剤を伴わずにGFP-NLS組換えタンパク質(5μM)とともにインキュベートされた細胞に対応する。
HeLa細胞を培養し、実施例9.1に記載されるようなプロトコールBを使用してタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、GFP-NLS組換えタンパク質(5μM;実施例5.1を参照のこと)を、10μMのTAT-KALA、His-CM18-PTD4又はHis-C(LLKK)3C-PTD4と1、2又は5分間同時インキュベートした。最終洗浄ステップ後、細胞を、実施例3.3に記載されるようにフローサイトメトリー解析に付した。結果は、Table 10.2(表37)及び図29Bに示されている。「Pos細胞(%)」は、GFPシグナルを発するすべての細胞の平均パーセンテージである。陰性対照(「Ctrl」)は、任意のシャトル剤を伴わずにGFP-NLS組換えタンパク質(5μM)とともにインキュベートされた細胞に対応する。
HeLa細胞を培養し、実施例9.1に記載されるようなプロトコールCを使用してタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、GFP-NLS組換えタンパク質(5μM;実施例5.1を参照のこと)を、5μMのTAT-KALA、His-CM18-PTD4又はHis-C(LLKK)3C-PTD4と1、2又は5分間同時インキュベートした。最終洗浄ステップ後、細胞を、実施例3.3に記載されるようにフローサイトメトリー解析に付した。結果は、Table 10.3(表38)及び図29Cに示されている。陰性対照(「Ctrl」)は、任意のシャトル剤を伴わずにGFP-NLS組換えタンパク質(5μM)とともにインキュベートされた細胞に対応する。
HeLa細胞を培養し、実施例9.1に記載されるようなプロトコールBを使用してタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、GFP-NLS組換えタンパク質(5μM;実施例5.1を参照のこと)を、50μMの種々のシャトル剤と同時インキュベートし(アミノ酸配列及び特性についてはTable 1.3(表8)を参照のこと)、HeLa細胞に対して10秒間曝露した。細胞を、実施例3.3に記載されるようにフローサイトメトリー解析に付した。結果は、Table 10.3a(表39) & Table 10.3b(表40)並びに図29E & 図29Fに示されている。「Pos細胞(%)」は、GFPシグナルを発するすべての細胞の平均パーセンテージである。陰性対照(「Ctrl」)は、任意のシャトル剤を伴わずにGFP-NLS組換えタンパク質(5μM)とともにインキュベートされた細胞に対応する。
HeLa細胞を培養し、実施例9.1に記載されるようなプロトコールBを使用してタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、GFP-NLS組換えタンパク質(5μM;実施例5.1を参照のこと)を、50μMの種々の単一ドメインペプチド(TAT、PTD4、ペネトラチン、CM18、C(LLKK)3C、KALA)又は2ドメインペプチドHis-PTD4(ELDを欠く)と同時インキュベートし、HeLa細胞に対して10秒間曝露した。最終洗浄ステップ後、細胞を、実施例3.3に記載されるようにフローサイトメトリー解析に付した。結果は、Table 10.4(表44)及び図29Dに示されている。「Pos細胞(%)」は、GFPシグナルを発するすべての細胞の平均パーセンテージである。陰性対照(「Ctrl」)は、任意の単一ドメインペプチド又はシャトル剤を伴わずにGFP-NLS組換えタンパク質(5μM)とともにインキュベートされた細胞に対応する。
実施例9.1に記載されるようなプロトコールBを使用して、GFP-NLS組換えタンパク質(5μM;実施例5.1を参照のこと)を、50μMのシャトル剤と同時インキュベートし、HeLa細胞に対して10秒間曝露した。2分のインキュベーション後、細胞を、実施例3.2に記載されるように顕微鏡によって可視化した。
THP-1細胞を培養し、実施例9.1に記載されるようなプロトコールCを使用してタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、GFP-NLS組換えタンパク質(5μM;実施例5.1を参照のこと)を、1μMのTAT-KALA、His-CM18-PTD4又はHis-C(LLKK)3C-PTD4と、15、30、60又は120秒間同時インキュベートした。最終洗浄ステップ後、細胞を、実施例3.3に記載されるようにフローサイトメトリー解析に付した。GFPシグナルを発するすべての細胞の平均パーセンテージ(「Pos細胞(%)」)が、Table 10.4(表45)に、及び図34Aに示されている。平均蛍光強度は、Table 10.5(表46)及び図34Bに示されている。陰性対照(「Ctrl」)は、任意のシャトル剤を伴わずにGFP-NLS組換えタンパク質(5μM)とともにインキュベートされた細胞に対応する。
血清の存在下で低濃度のシャトル剤を用いる反復毎日処理は、THP-1細胞においてGFP-NLS形質導入をもたらす
11.1 THP-1細胞におけるHis-CM18-PTD4又はHis-C(LLKK)3C-PTD4を用いるGFP-NLS形質導入:フローサイトメトリー
THP-1細胞を培養し、実施例9.1に記載されるようなプロトコールAを使用し、ただし、以下の修飾を用い、タンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。GFP-NLS組換えタンパク質(5、2.5又は1μM;実施例5.1を参照のこと)を、0.5若しくは0.8μMのHis-CM18-PTD4と、又は0.8μMのHis-C(LLKK)3C-PTD4と同時インキュベートし、次いで、THP-1細胞に対して、血清を含有する細胞培養培地の存在下で各日150分間曝露した。1又は3日のシャトル剤/カーゴに対する反復曝露後に、細胞を洗浄し、実施例3.3に記載されるようにフローサイトメトリー解析に付した。結果は、Table 11.1(表47)に、並びに図35A、図B、図C及び図Fに示されている。陰性対照(「Ctrl」)は、任意のシャトル剤を伴わずにGFP-NLS組換えタンパク質(5μM)とともにインキュベートされた細胞に対応する。
His-CM18-PTD4は、複数の細胞株においてGFP-NLSの形質導入効率及び核送達を増大させる
12.1 種々の接着&懸濁細胞における、His-CM18-PTD4を用いるGFP-NLS形質導入:フローサイトメトリー
実施例9.1に記載されるようなプロトコールB(接着細胞)又はC(懸濁細胞)を使用して、シャトル剤His-CM18-PTD4の、GFP-NLSを種々の接着及び懸濁細胞の核に送達する能力を調べた。試験された細胞株は、以下:HeLa、Balb3T3、HEK293T、CHO、NIH3T3、筋芽細胞、ジャーカット、THP-1、CA46及びHT2細胞を含んでおり、これらを実施例1に記載されるように培養した。GFP-NLS(5μM;実施例5.1を参照のこと)を、35μMのHis-CM18-PTD4と同時インキュベートし、接着細胞に対して10秒間曝露するか(プロトコールB)、又は5μMのHis-CM18-PTD4と同時インキュベートし、懸濁細胞に対して15秒間曝露した(プロトコールC)。細胞を洗浄し、実施例3.3に記載されるようにフローサイトメトリー解析に付した。結果は、Table 12.1(表50)及び図36に示されている。「Pos細胞(%)」は、GFPシグナルを発するすべての細胞の平均パーセンテージである。
実施例9.1に記載されるように、GFP-NLS組換えタンパク質(5μM;実施例5.1を参照のこと)を、プロトコールAを使用して、35μMのHis-CM18-PTD4と同時インキュベートし、接着細胞に対して10秒間曝露するか、又はプロトコールBを使用して、5μMのHis-CM18-PTD4と同時インキュベートし、懸濁細胞に対して15秒間曝露した。細胞を洗浄した後、GFP蛍光を、明視野及び蛍光顕微鏡によって可視化した。GFP蛍光を示す10×の倍率で捉えられたサンプル像が、(A)293T、(B)Balb3T3、(C)CHO、(D)筋芽細胞、(E)ジャーカット、(F)CA46、(G)HT2及び(H)NIH3T3細胞について図37に示されている。挿入図は、実施例3.3に記載されるように実施された対応するフローサイトメトリー結果を示し、GFP-NLS-陽性細胞のパーセンテージを示す。陰性対照サンプルでは有意なGFP蛍光は観察されなかった(すなわち、任意のシャトル剤を伴わずにGFP-NLSに対して曝露された細胞;示されていないデータ)。
His-CM18-PTD4は、CRISPR/Cas9-NLS系の形質導入及びHeLa細胞におけるゲノム編集を可能にする
13.1 Cas9-NLS組換えタンパク質
実施例1.4に記載されるように、Cas9-NLS組換えタンパク質を構築し、細菌発現系から発現させ、精製した。製造されたCas9-NLS組換えタンパク質の配列は、以下であった:
このアッセイによって、成功裏に送達された活性CRISPR/Cas9複合体を視覚的に同定することが可能になる。図39Aに示されるように、アッセイは、蛍光タンパク質mCherry(商標)及びGFPを、その2つのオープンリーディングフレームを隔てる停止コドンとともにコードする発現プラスミドDNAを細胞にトランスフェクトすることを含む。発現プラスミドを用いる細胞のトランスフェクションは、mCherry(商標)発現をもたらすが、GFP発現をもたらさない(図39B)。次いで、プラスミドDNAを停止コドンで切断するように設計/プログラムされているCRISPR/Cas9複合体が、mCherry(商標)を発現するトランスフェクトされた細胞に、細胞内送達される(図39D)。活性CRISPR/Cas9複合体の形質導入の成功は、プラスミドDNAを停止コドンで切断するCRISPR/Cas9複合体をもたらす(図39C)。一部の細胞では、切断されたプラスミドのランダムな非相同DNA修復が生じ、停止コドンの除去、したがって、GFP発現及び蛍光をもたらす(図39E)。
RNA(crRNA & tracrRNA)を、実施例13.2のプラスミド中のmCherry(商標)及びGFPコード配列の間に停止コドンを含有するEMX1遺伝子のヌクレオチド配列をターゲッティングするように設計した。使用したcrRNA及びtracrRNAの配列は以下であった:
T7E1アッセイを、Edit-R(商標)合成crRNA陽性対照(Dharmacon U-007000-05番)及びT7エンドヌクレアーゼI(NEB、カタログ番号M0302S)を用いて実施した。CRISPR/Cas9複合体の送達後、細胞を100μLのPhusion(商標)High-Fidelity DNAポリメラーゼ(NEB M0530S番)実験室に添加物とともに溶解した。細胞を56℃で15〜30分間インキュベートし、続いて、96℃で5分間不活性化した。プレートを短時間遠心分離して、ウェルの底に液体を集めた。解析されるべき各サンプルについて、50μLのPCRサンプルを設定した。PCRサンプルを95℃に10分間加熱し、次いで、ゆっくりと(>15分)室温に冷却した。次いで、PCR産物(約5μL)をアガロースゲル(2%)上で分離して、増幅を確認した。各反応物の15μLをT7E1ヌクレアーゼとともに37℃25分間インキュベートした。直ちに、全反応容量を、アガロースゲル(2%)上で適当なゲルローディングバッファーとともに流した。
実施例9.1に記載されるようなプロトコールAを使用して、Cas9-NLS組換えタンパク質(25nM;実施例13.1)及びPPIB遺伝子のヌクレオチド配列をターゲッティングするcrRNA/tracrRNA(50nM;以下を参照のこと)から構成される混合物を、10μMのHis-CM18-PTD4又はHis-C(LLKK)3C-PTD4と同時インキュベートし、血清を含まない培地中でHeLa細胞とともに16時間インキュベートした。
実施例9.1に記載されるようなプロトコールBを使用して、Cas9-NLS組換えタンパク質(2.5μM;実施例13.1)及びHPTR遺伝子のヌクレオチド配列をターゲッティングするcrRNA/tracrRNA(2μM;以下を参照のこと)から構成される混合物を、35μMのHis-CM18-PTD4、His-CM18-PTD4-His、His-C(LLKK)3C-PTD4又はEB1-PTD4と同時インキュベートし、HeLa又はジャーカット細胞とともにPBS中で2分間インキュベートした。
His-CM18-PTD4は、THP-1細胞における転写因子HOXB4の形質導入を可能にする
14.1 HOXB4-WT組換えタンパク質
ヒトHOXB4組換えタンパク質を、実施例1.4に記載されるように構築し、細菌発現系から発現させ、精製した。製造したHOXB4-WT組換えタンパク質の配列は以下であった:
対照及び処理細胞を、別個の滅菌1.5mLチューブに移し、300gで5分間遠心分離した。細胞ペレットを適当なバッファーに再懸濁して、細胞を溶解する。次いで、RNAアーゼ不含70%エタノールを添加し、続いて、ピペッティングによって混合する。溶解物をRNeasy(商標)Miniスピンカラムに移し、13000RPMで30秒間遠心分離する。適当なバッファーを用いる数回の洗浄及び遠心分離ステップの後、溶出物を、氷上で滅菌1.5mLチューブ中に集め、次いで、各チューブ中のRNA量を分光光度計を用いて定量化する。DNアーゼ処理のために、2μgのRNAを15μLのRNアーゼ不含水で希釈する。次いで、1.75μLの10XDNアーゼバッファー及び0.75μLのDNアーゼを添加し、続いて、37℃で15分間インキュベートする。逆転写酵素処理のために、0.88μLのEDTA(50nM)を添加し、続いて、75℃で5分間インキュベートする。PCRチューブ中で、0.5μgのDNアーゼ処理RNAを、4μLのiScript(商標)逆転写Supermix(5X)及び20μLのヌクレアーゼ不含水と混合する。PCR機器において以下のプログラム: 25℃で5分、42℃で30分及び85℃で5分を用いて混合物をインキュベートする。新たに合成されたcDNAを滅菌1.5mLチューブ中に移し、2μLのヌクレアーゼ不含水で希釈する。qPCR機器(CFX-96(商標))のウェルあたり18μLの混合物を解析のためにPCRプレートに添加する。
THP-1細胞を培養し、実施例9.1に記載されるようなプロトコールAを使用して、タンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、形質導入の1日前にTHP-1細胞を、30000個細胞/ウェルでプレーティングした。HOXB4-WT組換えタンパク質(0.3、0.9又は1.5μM;実施例14.1)を、種々の濃度のHis-CM18-PTD4(0、0.5、7.5、0.8又は1μM)と同時インキュベートし、次いで、血清の存在下でTHP-1細胞に対して2.5時間曝露した。HOXB4活性のマーカーとして標的遺伝子のmRNAレベルを測定するために、細胞を実施例14.2に記載されるようなリアルタイムPCR解析に付し、次いで、陰性対照細胞(処理なし)において検出された標的遺伝子mRNAレベルに対して正規化し、「対照を上回る倍数」値を得た。全RNAレベル(ng/μL)も細胞生存率のマーカーとして測定した。結果は、Table 14.1(表51)及び図42に示されている。
THP-1細胞を培養し、実施例9.1に記載されるようなプロトコールAを使用して、タンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、最初の経時的推移実験の1日前にTHP-1細胞を、30000個細胞/ウェルでプレーティングした。HOXB4-WT組換えタンパク質(1.5μM;実施例14.1)を、His-CM18-PTD4(0.8μM)と同時インキュベートし、次いで、血清の存在下でTHP-1細胞に対して0、2.5、4、24又は48時間曝露した。HOXB4活性のマーカーとして標的遺伝子のmRNAレベルを測定するために、細胞を実施例14.2に記載されるようなリアルタイムPCR解析に付し、次いで、陰性対照細胞(処理なし)において検出された標的遺伝子mRNAレベルに対して正規化し、「対照を上回る倍数」値を得た。全RNAレベル(ng/μL)も細胞生存率のマーカーとして測定した。結果は、Table 14.2(表52)及び図43に示されている。
THP-1細胞を培養し、実施例9.1に記載されるようなプロトコールAを使用して、タンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、最初の経時的推移実験の1日前にTHP-1細胞を、30000個細胞/ウェルでプレーティングした。HOXB4-WT組換えタンパク質(0.3μM;実施例14.1)を、His-CM18-PTD4(0.8μM)と同時インキュベートし、次いで、THP-1細胞に対して血清の存在下で0、0.5、1、2、2.5、3又は4時間曝露した。HOXB4活性のマーカーとして標的遺伝子のmRNAレベルを測定するために、細胞を実施例14.2に記載されるようなリアルタイムPCR解析に付し、次いで、陰性対照細胞(処理なし)において検出された標的遺伝子mRNAレベルに対して正規化し、「対照を上回る倍数」値を得た。全RNAレベル(ng/μL)も細胞生存率のマーカーとして測定した。結果は、Table 14.3(表53)及び図44に示されている。
実施例9.1に記載されるようなプロトコールBを使用して、組換えHOXB4-WT転写因子(25μM;実施例14.1)を35μMのHis-CM18-PTD4と同時インキュベートし、HeLa細胞に対して10秒間曝露した。形質導入されたHOXB4-WTが核に蓄積するのを可能にするために30分インキュベートした後、実施例3.2aに記載されるように、細胞を固定し、透過処理し、免疫標識した。HOXB4-WTを1/500希釈した一次マウス抗HOXB4モノクローナル抗体(Novus Bio NBP2-37257番)及び1/1000希釈した二次抗マウス抗体Alexa(商標)-594(Abcam社 150116番)を使用して標識した。核をDAPIを用いて標識した。実施例3.2に記載されるように、20×及び40×の倍率で明視野及び蛍光顕微鏡によって細胞を可視化し、サンプル結果は、図45に示されている。核標識(パネルA及びC)とHOXB4-WT標識(パネルB及びD)の間に同時局在性が観察され、HOXB4-WTが、シャトル剤His-CM18-PTD4の存在下で30分後に核に成功裏に送達されたことを示す。白色三角窓は、核(DAPI)及びHOXB4-WT免疫標識の間の同時局在性の領域の例を示す。
THP-1細胞を培養し、実施例9.1に記載されるようなプロトコールAを使用して、タンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、最初の経時的推移実験の1日前にTHP-1細胞を、30000個細胞/ウェルでプレーティングした。HOXB4-WT組換えタンパク質(1.5μM;実施例14.1)を、0.8μMのシャトル剤His-CM18-PTD4、TAT-KALA、EB1-PTD4、His-C(LLKK)3C-PTD4及びHis-CM18-PTD4-Hisと同時インキュベートし、次いで、血清の存在下でTHP-1細胞に対して2.5時間曝露した。HOXB4活性のマーカーとして標的遺伝子のmRNAレベルを測定するために、細胞を実施例14.2に記載されるようなリアルタイムPCR解析に付し、次いで、陰性対照細胞(処理なし)において検出された標的遺伝子mRNAレベルに対して正規化し、「対照を上回る倍数」値を得た。全RNAレベル(ng/μL)も細胞生存率のマーカーとして測定した。結果は、Table 14.4(表54)及び図47に示されている。
His-CM18-PTD4によるラット頭頂皮質におけるin vivo GFP-NLS送達
シャトル剤His-CM18-PTD4の、ラット脳細胞の核においてin vivoでGFP-NLSを送達する能力を試験した。
・非相同末端結合(NHEJ)及び/又は相同依存性(Homologous-directed)組換え(HDR)(Congら、2013)を実施するCas媒介性ゲノム編集法、
・その他のタンパク質パートナーとの複合体形成を伴って、又は伴わずに、プロモーター配列と、1種又は数種のgRNAと、及びRNAポリメラーゼと結合された場合に転写開始を抑制及び/又は活性化し得る、触媒機能を喪失した(catalytically dead)Cas(dCas)(Bikardら、2013)、
・転写抑制、転写活性化、クロマチンリモデリング、蛍光リポーター、ヒストン修飾、リコンビナーゼ系アセチル化、メチル化、ユビキチン化、リン酸化、SUMO化、リボシル化及びシトルリン化を含むゲノムの特定の部位に酵素活性をもたらす方法として種々の機能性タンパク質ドメインとも融合され得る、触媒機能を喪失した(catalytically dead)Cas(dCas)(Gilbertら、2013)。
THP-1細胞を培養し、実施例9.1に記載されるようなプロトコールCを使用してタンパク質形質導入アッセイにおいて試験した。手短には、GFP-NLS組換えタンパク質(5μM;実施例5.1を参照のこと)を、1μMのTAT-KALA、His-CM18-PTD4又はHis-C(LLKK)3C-PTD4と、15、30、60又は120秒間同時インキュベートした。最終洗浄ステップ後、細胞を、実施例3.3に記載されるようにフローサイトメトリー解析に付した。GFPシグナルを発するすべての細胞の平均パーセンテージ(「Pos細胞(%)」)が、Table 10.4a(表45)に、及び図34Aに示されている。平均蛍光強度は、Table 10.5(表46)及び図34Bに示されている。陰性対照(「Ctrl」)は、任意のシャトル剤を伴わずにGFP-NLS組換えタンパク質(5μM)とともにインキュベートされた細胞に対応する。
Claims (28)
- 細胞透過性ドメイン(CPD)と作動可能に連結されたエンドソーム漏出ドメイン(ELD)、又はヒスチジンリッチドメイン及びCPDと作動可能に連結されたELDを含む合成ペプチド。
- 標的真核細胞のサイトゾルへの独立ポリペプチドカーゴの形質導入効率を増大させる際に使用するための、細胞透過性ドメイン(CPD)と作動可能に連結されたエンドソーム漏出ドメイン(ELD)、又はヒスチジンリッチドメイン及びCPDと作動可能に連結されたELDを含むポリペプチドベースのシャトル剤。
- (a)20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30アミノ酸残基の最小の長さ及び35、40、45、50、55、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145又は150アミノ酸残基の最大の長さを含む、
(b)生理学的pHで、少なくとも+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14又は+15の予測される正味電荷を有する、
(c)水溶液に可溶性である、又は
(d)(a)〜(c)のいずれかの組合せである、
請求項1又は2に記載の合成ペプチド又はポリペプチドベースのシャトル剤。 - (a)前記ELDが、エンドソーム溶解性ペプチド、抗菌性ペプチド(AMP)、直鎖状カチオン性αへリックス抗菌性ペプチド、セクロピン-A/メリチンハイブリッド(CMシリーズ)ペプチド、pH依存性膜活性ペプチド(PAMP)、ペプチド両親媒性物質、インフルエンザ血球凝集素(HA)のHA2サブユニットのN末端に由来するペプチド、CM18、ジフテリア毒素Tドメイン(DT)、GALA、PEA、INF-7、LAH4、HGP、H5WYG、HA2、EB1、VSVG、シュードモナス毒素、メリチン、KALA、JST-1、C(LLKK)3C、G(LLKK)3G又はそれらの任意の組合せであるか、又はそれに由来する、
(b)前記CPDが、細胞透過性ペプチド又は細胞透過性ペプチド由来のタンパク質形質導入ドメイン、TAT、PTD4、ペネトラチン(アンテナペディア)、pVEC、M918、Pep-1、Pep-2、キセントリー(Xentry)、アルギニンストレッチ、トランスポータン、SynB1、SynB3又はそれらの任意の組合せであるか、又はそれに由来する、
(c)前記ヒスチジンリッチドメインが、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%若しくは少なくとも90%のヒスチジン残基を含む、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5又は少なくとも6個のアミノ酸のストレッチである、及び/又は少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8若しくは少なくとも9個の連続するヒスチジン残基を含む、或いは
(d)(a)〜(c)の任意の組合せである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の合成ペプチド又はポリペプチドベースのシャトル剤。 - (a)配列番号1〜15、63若しくは64のいずれか1つのアミノ酸配列を含むELD又はエンドソーム溶解性活性を有するその変異体若しくは断片、
(b)配列番号16〜27若しくは65のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCPD又は細胞透過性活性を有するその変異体若しくは断片、
(c)少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5若しくは少なくとも6個の連続するヒスチジン残基を有するヒスチジンリッチドメイン、又は
(d)(a)〜(c)の任意の組合せ
を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の合成ペプチド又はポリペプチドベースのシャトル剤。 - 前記ドメインが、1つ又は複数のリンカードメインと作動可能に連結している、請求項1から5のいずれか一項に記載の合成ペプチド又はポリペプチドベースのシャトル剤。
- 少なくとも2つの異なる種類のCPD及び/又はELDを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の合成ペプチド又はポリペプチドベースのシャトル剤。
- (a)配列番号1、14若しくは63のアミノ酸配列を有するCM18、KALA若しくはC(LLKK)3Cである、又は配列番号1、14若しくは63に対して少なくとも85%、90%若しくは95%の同一性を有し、エンドソーム溶解性活性を有するその変異体であるELD、
(b)配列番号17若しくは65のアミノ酸配列を有するTAT若しくはPTD4である、又は配列番号17若しくは65に対して少なくとも85%、90%若しくは95%の同一性を有し、細胞透過性活性を有するその変異体、或いは配列番号18のアミノ酸配列を有するペネトラチン、又は配列番号18に対して少なくとも85%、90%若しくは95%の同一性を有し、細胞透過性活性を有するその変異体であるCPD、
(c)少なくとも6個の連続するヒスチジン残基を含むヒスチジンリッチドメイン、又は
(d)(a)〜(c)の任意の組合せ
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の合成ペプチド又はポリペプチドベースのシャトル剤。 - 配列番号57〜59、66〜72若しくは82〜102のいずれか1つのアミノ酸配列又は配列番号57〜59、66〜72若しくは82〜102のいずれか1つに対して少なくとも85%、90%若しくは95%の同一性を有するその機能的変異体を含む若しくはからなる、請求項1から8のいずれか一項に記載の合成ペプチド若しくはポリペプチドベースのシャトル剤。
- 非毒性であり、及び/又は代謝可能である、請求項1から9のいずれか一項に記載の合成ペプチド又はポリペプチドベースのシャトル剤。
- (a)請求項1から10のいずれか一項に規定された合成ペプチド若しくはポリペプチドベースのシャトル剤並びにヒスチジンリッチドメイン及びCPDを含むさらなる独立合成ペプチド、並びに/又は
(b)請求項1から10のいずれか一項に規定された少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4若しくは少なくとも5種の異なる種類の合成ペプチド若しくはポリペプチドベースのシャトル剤のカクテル
を含む組成物。 - 独立ポリペプチドカーゴを標的真核細胞のサイトゾルに送達するための、請求項1から11のいずれか一項に規定された合成ペプチド、ポリペプチドベースのシャトル剤又は組成物の使用。
- ポリペプチドカーゴの標的真核細胞のサイトゾルへの形質導入効率を増大させるための方法であって、標的真核細胞を、請求項1から11のいずれか一項に規定された合成ペプチド、ポリペプチドベースのシャトル剤又は組成物及びポリペプチドカーゴと接触させるステップを含む方法。
- ポリペプチドカーゴの標的真核細胞のサイトゾルへの形質導入効率を増大させるためのキットであって、請求項1から11のいずれか一項に規定された合成ペプチド、ポリペプチドベースのシャトル剤又は組成物及び適した容器を含むキット。
- 血清の存在下で、ポリペプチドカーゴの標的真核細胞のサイトゾルへの形質導入効率を増大させる際に使用するための、請求項1から14のいずれか一項に記載の合成ペプチド、ポリペプチドベースのシャトル剤、組成物、使用、方法又はキット。
- 前記ポリペプチドカーゴが、
(a)請求項4(b)に規定されたCPD若しくはCPDを含む又は欠く、
(b)組換えタンパク質である、
(c)細胞内ターゲッティングドメインを含む、
(d)DNA及び/若しくはRNA分子と複合体形成される、又は
(e)(a)〜(d)の任意の組合せである、
請求項2から15のいずれか一項に記載の合成ペプチド、ポリペプチドベースのシャトル剤、組成物、使用、方法又はキット。 - 前記細胞内ターゲッティングドメインが、
(a)核局在シグナル(NLS)、
(b)核小体シグナル配列、
(c)ミトコンドリアシグナル配列、又は
(d)ペルオキシソームシグナル配列
である、請求項16に記載の合成ペプチド、ポリペプチドベースのシャトル剤、組成物、使用、方法又はキット。 - (a)前記NLSが、E1a、T-Ag、c-myc、T-Ag、op-T-NLS、Vp3、ヌクレオプラスミン、ヒストン2B、アフリカツメガエル(Xenopus)N1、PARP、PDX-1、QKI-5、HCDA、H2B、v-Rel、アミダ(Amida)、RanBP3、Pho4p、LEF-1、TCF-1、BDV-P、TR2、SOX9若しくはMaxに由来する、
(b)前記核小体シグナル配列が、BIRC5若しくはRECQL4に由来する、
(c)前記ミトコンドリアシグナル配列が、Tim9若しくは酵母チトクロームCオキシダーゼサブユニットIVに由来する、又は
(d)前記ペルオキシソームシグナル配列が、PTS1に由来する、
請求項17に記載の合成ペプチド、ポリペプチドベースのシャトル剤、組成物、使用、方法又はキット。 - 前記ポリペプチドカーゴが、転写因子、ヌクレアーゼ、サイトカイン、ホルモン、増殖因子又は抗体である、請求項2から18のいずれか一項に記載の合成ペプチド、ポリペプチドベースのシャトル剤、組成物、使用、方法又はキット。
- (a)前記転写因子が、HOXB4、NUP98-HOXA9、Oct3/4、Sox2、Sox9、Klf4、c-Myc、MyoD、Pdx1、Ngn3、MafA、Blimp-1、Eomes、T-bet、FOXO3A、NF-YA、SALL4、ISL1、FoxA1、Nanog、Esrrb、Lin28、HIF1-α、Hlf、Runx1t1、Pbx1、Lmo2、Zfp37、Prdm5、Bcl-6若しくはそれらのいずれかの組合せであり、及び/又は
(b)前記ヌクレアーゼが、RNAによってガイドされるエンドヌクレアーゼ、CRISPRエンドヌクレアーゼ、I型CRISPRエンドヌクレアーゼ、II型CRISPRエンドヌクレアーゼ、III型CRISPRエンドヌクレアーゼ、IV型CRISPRエンドヌクレアーゼ、V型CRISPRエンドヌクレアーゼ、VI型CRISPRエンドヌクレアーゼ、CRISPR関連タンパク質9(Cas9)、Cpf1、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ホーミングエンドヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ又はそれらの任意の組合せである、
請求項19に記載の合成ペプチド、ポリペプチドベースのシャトル剤、組成物、使用、方法又はキット。 - 細胞治療、ゲノム編集、養子細胞移入及び/又は再生医学において使用するための、請求項1から20のいずれか一項に記載の合成ペプチド、ポリペプチドベースのシャトル剤、組成物、使用、方法又はキット。
- 前記標的真核細胞が、幹細胞、初代細胞、免疫細胞、T細胞又は樹状細胞である、請求項2から21のいずれか一項に記載のシャトル剤、シャトルシステム、組成物、使用、方法又はキット。
- 請求項1から10のいずれか一項に規定された合成ペプチド若しくはポリペプチドベースのシャトル剤又は請求項11に記載の組成物を含む真核細胞。
- 前記合成ペプチド又はポリペプチドベースのシャトル剤によって細胞内に送達された独立ポリペプチドカーゴを更に含む、請求項23に記載の真核細胞。
- 独立ポリペプチドカーゴを、標的真核細胞のサイトゾルに送達するための方法であって、前記標的真核細胞を、請求項1から10のいずれか一項に規定された合成ペプチド又はポリペプチドベースのシャトル剤又は請求項11に記載の組成物、及び前記合成ペプチド若しくはポリペプチドベースのシャトル剤によって細胞内に送達されるべき独立ポリペプチドカーゴと接触させるステップを含む方法。
- 前記独立ポリペプチドカーゴが、請求項16から20のいずれか一項に規定されたとおりである、請求項23若しくは24に記載の真核細胞又は請求項25に記載の方法。
- 前記独立ポリペプチドカーゴが、請求項16から20のいずれか一項に記載のとおりである、請求項24若しくは26に記載の真核細胞又は請求項25若しくは26に記載の方法。
- 前記真核細胞が、動物細胞、哺乳動物細胞、ヒト細胞、幹細胞、初代細胞、免疫細胞、T細胞又は樹状細胞である、請求項23、24、26若しくは27に記載の真核細胞又は請求項25、26若しくは27に記載の方法。
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