本発明は、一般に微生物工業ならびに特に遺伝子組換え細菌を使用するL−セリンの製造に関する。本発明は、遺伝子組換え微生物、例えば、L−セリンの分解に関与する酵素をコードする遺伝子の発現を不活性化のようなものにより減衰した細菌を提供し、この不活性化は、特に高収率でL−セリンを生産するのに適切なものにする。また本発明は、微生物ならびに更に詳細には細菌をより高濃度のセリンに対して耐性であることができるようにする方法を提供する。また本発明は、このような遺伝子組換え微生物を使用するL−セリンまたはL−セリン誘導体の製造方法を提供する。
発明の背景
L−セリンは、化粧品、薬剤および医療産業で使用されているアミノ酸である。セリンの推定年間生産量は、300〜1000トンである(Leuchtenberger等、2005年)。この化合物は、生化学物質の構成ブロックとしてのその潜在的有用性ゆえに上位30の最も関心のある生化学物質のうち1つとして同定されている。現在の生産は、休止細胞を使用するグリセリンとメタノールの変換に基づいていて(Hagishita等、1996年)、その際、メチロトローフはメタノールをホルムアルデヒドに変換し、かつ分子のCH2−OH単位は、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼを使用してグリシンに変換される(glyA)。この発酵プロセスは時間がかかり、かつグリシンは高価な出発物質である。従って、グルコースからセリンを直接に低コストで生産する方法の開発は魅力的である。
セリンは、極めて高い理論収率で発酵によりグルコースから作られる可能性を秘めている(Burgard and Maranas、2001年)。しかし、収率を高めるために幾つかの挑戦に取り組む必要があり、最も重要なものは生産生物中でのセリンの分解である。セリンは、大腸菌内で2つの鍵となる分解経路を有する。大腸菌内でのセリンからピルベートへの炭化は、3つのデアミナーゼ、すなわちsdaA、sdaBおよびtdcGにより触媒されるのに対して、C.グルタミカムは、セリンに対して活性を有する1つだけのデアミナーゼ(sdaA)を有する。両方の生物中では、セリンからグリシンの変換は、glyAによりコードされる。デアミナーゼだけのノックアウトによるセリン生産は、大腸菌(Li等、2012年)とC.グルタミカム(Peters−Wendisch等、2005年)において試みられていた。大腸菌内での1g/Lグルコースから3.8mg/Lの一時的な蓄積は、経路遺伝子(serA)のうち1つだけが過剰発現した場合に観察された。C.グルタミカムのデアミナーゼの欠失は、セリン力価において重要ではなく、かつ一時的な増大しか生じない。最近の研究では、TCA回路とグリコキシレートシャウントを摂動させることにより、3−ホスホグリセレートのフラックスを増大させる大腸菌が設計された(Gu等、2014)。結果として得られた1つだけのデアミナーゼ(sdaA)が除去されている株は、75g/Lグルコースから8.45gL−セリンを生産したと報告されている(11.2%収率)。
C.グルタミカム中でのglyAのダウンレギュレーション(Peters−Wendlisch等、2005年)は、40g/Lグルコースから9g/Lセリンを生産したが、不安定な株を生じた。glyAは、セリンをグリシンに変換する重要な酵素であり、かつこの工程で一炭素単位はテトラヒドロ葉酸(THF)に転移し、これが補因子として使用される。葉酸経路の除去ならびに葉酸の供給は、安定なC.グルタミカムおよび36g/Lセリンの生産を生じるが、しかし比較的低い収率である(Stolz等、2007年)。
両方の主要なセリン分解経路(セリンからピルベートおよびセリンからグリシン)の欠如は、以前は達成されていなかった。更に、ピルベート分解経路が欠如した株の中ではセリンは、低濃度であっても毒性になることが公知である(Zhang and Newman、2008年)。セリンは大腸菌内での分枝アミノ酸の生産を阻害し得ること(Hama等、1990年)、すなわちセリンから細胞にとって毒性であるヒドロキシピルベートおよびアクリレートへの変換を阻害し得ることが期待されている(de Lorenzo、2014年)。従って、L−セリンまたはその誘導体の効率的な生産には、セリン分解経路を除去し、かつセリンの毒性に関連する問題にとりかかる事の両方が望ましい。
発明の概要
本発明の課題は、L−セリンのより効率的な製造を可能にする手段を提供することである。より詳しくは、本発明の課題、より高い名目収率および改善された質量収率でL−セリンの生産を可能にする手段を提供することである。
この課題は、例えば、L−セリンの分解に関与する酵素をコードする遺伝子、特に遺伝子sdaA、sdaB、tdcGおよびglyAの不活性化によりL−セリンの生産を増大できるという発見により達成された。
よって本発明は第一の態様では、細菌、特にL−セリンを生産する能力のある細菌を提供する。その際、前記細菌は、セリンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰し、かつセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰するように変性されている。
より詳しくは、本発明は遺伝子sdaA、sdaB、tdcGおよびglyAの発現を例えば、これらの遺伝子の不活性化により減衰するように変性された細菌を提供する。
本発明は、第二の態様では、培養液中で上記のような細菌を培養することを含むL−セリンの製造方法を提供する。
本発明は、更なる態様で酵母、例えば、サッカロミセス・セレビアエ、特にL−セリンを生産する能力のある酵母を提供し、その際、前記酵母は、セリンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰し、かつセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰するように変性されている。
より具体的には、本発明は酵母、サッカロミセス・セレビアエを提供するが、これは、遺伝子CHA1、SHM1およびSHM2の発現を、例えばこれらの遺伝子の不活性化により減衰するように変性されている。
本発明は更なる態様では、培地中で上記のような酵母を培養することを含むL−セリンまたはL−セリン誘導体の製造方法を提供する。
本発明は、更なる態様で、(単離)核酸分子、例えば、Y356、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を有する配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、例えば少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいるベクターを提供する。
本発明は、更なる態様で、Y356、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を有する配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、例えば少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の相同性を有するアミノ酸配列を有する(単離)ポリペプチドを提供する。(単離)ポリペプチドは、本発明の細菌により発現されたもの(および単離型)であってよい。
本発明は、以下の項目によりまとめることができる:
1.セリンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰するおよびセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰するように変性された細菌。
2.遺伝子sdaA、sdaB、tdcGおよびglyAの発現が減衰されている、項目1に記載の細菌。
3.遺伝子の発現は、遺伝子の不活性化により減衰されている、項目1または2に記載の細菌。
4.前記細菌は、3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ、ホスホセリンホスファターゼおよびホスホセリンアミノトランスフェラーゼを過剰発現するように更に変性されている、項目1から3までのいずれか1項に記載の細菌。
5.前記細菌は、3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含む、項目1から4までのいずれか1項に記載の細菌。
6.前記細菌は、3−ホグリセリンアミノトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含む、項目1から5までのいずれか1項に記載の細菌。
7.前記細菌は、ホスホセリンホスファターゼをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含む、項目1から6までのいずれか1項に記載の細菌。
8.外因性核酸分子は、発現ベクターである、項目5から7までのいずれか1項に記載の細菌。
9.外因性核酸は、細菌のゲノムに安定に導入される、項目5から7までのいずれか1項に記載の細菌。
10.前記細菌は、少なくとも約6.25g/Lの濃度でL−セリンを含んでいる最小培地中で成長できる、項目1から9までのいずれか1項に記載の細菌。
11.前記細菌は、少なくとも約6.25g/Lの濃度でL−セリンを含んでいる最小培地中、対数増殖の間に、少なくとも0.1hr-1の成長速度で成長できる、項目1から10までのいずれか1項に記載の細菌。
12.前記細菌は、遺伝子ydeDの過剰発現するように更に変性されている、項目1から11までのいずれか1項に記載の細菌。
13.前記細菌は、遺伝子ydeDのタンパク生成物をコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含む、項目1から12までのいずれか1項に記載の細菌。
14.外因性核酸は、発現ベクターである、項目13に記載の細菌。
15.外因性核酸は、細菌のゲノムに安定に導入される、項目13に記載の細菌。
16.前記細菌は、thrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中のY356の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、コードされたポリペプチド中S357の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、および/またはコードされたポリペプチド中S359の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含み、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択され;S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択され;かつS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される、項目1から15までのいずれか1項に記載の細菌。
17.前記細菌は、thrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中のY356の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含み、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択される、項目1から16までのいずれか1項に記載の細菌。
18.前記細菌は、thrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中のS357の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含み、その際、S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される、項目1から17までのいずれか1項に記載の細菌。
19.前記細菌は、thrA遺伝子内、コードされているポリペプチド中のS359の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含み、その際、S359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される、項目1から18までのいずれか1項に記載の細菌。
20.前記細菌は、thrA遺伝子内に、Y356C、S357RおよびS359Rから成る群から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む、項目1から19までのいずれか1項に記載の細菌。
21.前記細菌は、Y356C、S357RおよびS359Rから成る群から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を有するアスパラギン酸キナーゼI/ホモセリンデヒドロゲナーゼI(ThrA)突然変異体を発現する、項目1から20までのいずれか1項に記載の細菌。
22.前記細菌は、Y356、S357および/またはS359の位置にアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含む、項目1から15までのいずれか1項に記載の細菌。
23.Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356R、Y356Lから成る群から選択され;S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択され;S359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される、項目22に記載の細菌。
24.前記細菌は、Y356の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含む、項目1から23までのいずれか1項に記載の細菌。
25.Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356R、Y356Lから成る群から選択される、項目24に記載の細菌。
26.前記細菌は、S357の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む外因性核酸分子を含む、項目1から25までのいずれか1項に記載の細菌。
27.S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される、項目26に記載の細菌。
28.前記細菌は、S359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含む、項目1から25までのいずれか1項に記載の細菌。
29.S359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される、項目28に記載の細菌。
30.前記細菌は、Irp遺伝子内に、コードされたポリペプチド中の位置D143での非保存的アミノ酸置換のようなアミノ酸置換(例えばアミノ酸置換D143G)を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む、項目1から29までのいずれか1項に記載の細菌。
31.前記細菌は、rho遺伝子内に、コードされたポリペプチド中の位置R87での非保存的アミノ酸置換のようなアミノ酸置換(例えばアミノ酸置換R87L)を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む、項目1から30までのいずれか1項に記載の細菌。
32.前記細菌は、eno遺伝子内に、コードされたポリペプチド中の位置V164での非保存的アミノ酸置換のようなアミノ酸置換(例えばアミノ酸置換V164L)を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む、項目1から31までのいずれか1項に記載の細菌。
33.前記細菌は、argP遺伝子内に、コードされたポリペプチド中の位置Q132での非保存的アミノ酸置換のようなアミノ酸置換(例えばアミノ酸置換Q132K)を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む、項目1から32までのいずれか1項に記載の細菌。
34.前記細菌は、tufA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中の位置G19での非保存的アミノ酸置換のようなアミノ酸置換(例えばアミノ酸置換G19V)を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む、項目1から33までのいずれか1項に記載の細菌。
35.前記細菌は、cycA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中の位置I220での非保存的アミノ酸置換のようなアミノ酸置換(例えばアミノ酸置換I220V)を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む、項目1から34までのいずれか1項に記載の細菌。
36.前記細菌は、rpe遺伝子内に、コードされたポリペプチド中の位置I202での非保存的アミノ酸置換のようなアミノ酸置換(例えばアミノ酸置換I202T)を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む、項目1から35までのいずれか1項に記載の細菌。
37.前記細菌は、yojl遺伝子内に、コードされたポリペプチド中の位置D334での非保存的アミノ酸置換のようなアミノ酸置換(例えばアミノ酸置換D334H)を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む、項目1から36までのいずれか1項に記載の細菌。
38.前記細菌は、hyaF遺伝子内に、コードされたポリペプチド中の位置V120での非保存的アミノ酸置換のようなアミノ酸置換(例えばアミノ酸置換V120G)を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む、項目1から37までのいずれか1項に記載の細菌。
39.前記細菌は、遺伝子pykFの発現を減衰するように(例えば、遺伝子の不活性化により)更に変性されている、項目1から38までのいずれか1項に記載の細菌。
40.前記細菌は、遺伝子malTの発現を減衰するように(例えば、遺伝子の不活性化により)更に変性されている、項目1から39までのいずれか1項に記載の細菌。
41.前記細菌は、rpoB遺伝子内に、コードされたポリペプチド中の位置P520での非保存的アミノ酸置換のようなアミノ酸置換(例えばアミノ酸置換P520L)を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む、項目1から40までのいずれか1項に記載の細菌。
42.前記細菌は、fumB遺伝子内に、コードされたポリペプチド中の位置T218での非保存的アミノ酸置換のようなアミノ酸置換(例えばアミノ酸置換T218P)を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む、項目1から41までのいずれか1項に記載の細菌。
43.前記細菌は、gshA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中の位置A178での非保存的アミノ酸置換のようなアミノ酸置換(例えばアミノ酸置換A178V)の結果生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む、項目1から42までのいずれか1項に記載の細菌。
44.前記細菌は、遺伝子lamBの発現を減衰するように(例えば、遺伝子の不活性化により)更に変性されている、項目1から43までのいずれか1項に記載の細菌。
45.前記細菌は、そのゲノム内に、NCBI登録番号NC_000913.2で寄託されている参照ゲノムE.coli K12MG1655中の850092の位置に相応する位置から約2854塩基対の欠失を含む、項目1から44までのいずれか1項に記載の細菌。
46.欠失は、rhtAの最初の5塩基対の欠失、遺伝子ompXとybiPの完全な欠失、sRNA rybAの239塩基対の欠失およびmntS遺伝子の77塩基対の欠失を生じる、項目45に記載の細菌。
47.前記細菌は、そのゲノム内に、NCBI登録番号NC_000913.2で寄託されているE.coliK12MG1655参照ゲノム中の位置3966174に相応する位置で、ラギング鎖中に768塩基対長さの挿入配列エレメントIS1の挿入を含む、項目1から46までのいずれか1項に記載の細菌。
48.細菌は、そのゲノム内に、NCBI登録番号NC_000913.2で寄託されているE.coliK12MG1655参照ゲノム中の位置2942629に相応する位置で1塩基対の挿入を含む、項目1から47までのいずれか1項に記載の細菌。
49.細菌は、そのゲノム内に、NCBI登録番号NC_000913.2で寄託されているE.coliK12MG1655参照ゲノム中の位置2942878に相応する位置で、1342塩基対長さの挿入配列エレメントIS4の挿入を含む、項目1から48までのいずれか1項に記載の細菌。
50.細菌は、そのゲノム内に、NCBI登録番号NC_000913.2で寄託されているE.coliK12MG1655参照ゲノム中の位置2599854に相応する位置で、1塩基対の挿入を含む、項目1から49までのいずれか1項に記載の細菌。
51.細菌は、そのゲノム内に、NCBI登録番号NC_000913.2で寄託されているE.coliK12MG1655参照ゲノム中の位置2492323に相応する位置で、ラギング鎖中に768塩基対長さの挿入配列エレメントIS1の挿入を含む、項目1から51までのいずれか1項に記載の細菌。
52.細菌は、そのゲノム内に、NCBI登録番号NC_000913.2で寄託されているE.coliK12MG1655参照ゲノム中の位置121518に相応する位置で、1195塩基対長さの挿入配列エレメントIS5の挿入を含む、項目1から51までのいずれか1項に記載の細菌。
53.細菌は、そのゲノム内に、NCBI登録番号NC_000913.2で寄託されているE.coliK12MG1655参照ゲノム中の位置1673670に相応する位置で、ラギング鎖中に768塩基対長さの挿入配列エレメントIS1の挿入を含む、項目1から52までのいずれか1項に記載の細菌。
54.細菌は、グルコース6−ホスフェート−1−デヒドロゲナーゼ(G6PDH)活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰するように変性されている、項目1から53までのいずれか1項に記載の細菌。
55.zwf遺伝子の発現は、減衰されている、項目54に記載の細菌。
56.遺伝子の発現は、遺伝子の不活性化により減衰されている、項目54または55に記載の細菌。
57.細菌は、brnQ遺伝子によりコード化されたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチドは、位置308またはその上流の任意の位置で終了する、項目1から56までのいずれか1項に記載の細菌。
58.細菌は、更にthrA遺伝子によりコードされているポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチド中、357の位置でセリンは他のアミノ酸、例えばアルギニンにより置換されている、項目54から57までのいずれか1項に記載の細菌。
59.前記細菌は、rho遺伝子によりコードされているポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチドは87Rの位置で、他のアミノ酸、例えばLにより置換されている、項目54から58までのいずれか1項に記載の細菌。
60.前記細菌は、配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現するか、または配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現し、その際、前記アミノ酸配列は357の位置でセリンは他のアミノ酸、例えばアルギニンにより置換されている;
配列番号13に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現するか、または配列番号13に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現し、その際、前記アミノ酸配列は87の位置でRは他のアミノ酸、例えばLにより置換されている;および
配列番号32に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現するか、または配列番号32に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する、項目54から58までのいずれか1項に記載の細菌。
61.前記細菌は、遺伝子brnQの発現を減衰するように更に変性されている(例えば、遺伝子の不活性化により)、項目1から56までのいずれか1項に記載の細菌。
62.前記細菌は、配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現するか、または配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現し、その際、前記アミノ酸配列は357の位置でセリンは他のアミノ酸、例えばアルギニンにより置換されている、項目61に記載の細菌。
63.前記細菌は、配列番号13に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現するか、または配列番号13に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現し、その際、前記アミノ酸配列は87の位置でRは他のアミノ酸、例えばLにより置換されている、項目61または62に記載の細菌。
64.前記細菌は、大腸菌属に属している、項目1から63までのいずれか1項に記載の細菌。
65.前記細菌は、大腸菌、アルセノフォナス(Arsenophonus)、ビオストラチコラ(Biostraticola)、ブレンネリア(Brenneria)、ブフネラ(Buchnera)、ブドビシア(Budvicia)、ブティアウクセラ(Buttiauxella)、セデセア(Cedecea)、シトロバクター(Citrobacter)、コセンゾエア(Cosenzaea)、クロノバクター(Cronobacter)、ディケヤ(Dickeya)、エドワージエラ(Edwardsiella)、エンテロバクター(Enterobacter)、エルウィニア(Erwinia)、エウィンゲラ(Ewingella)、ギッブシエラ(Gibbsiella)、ハフニア(Hafnia)、クレブシエラ(Klebsiella)、レクレルシア(Leclercia)、レミノレラ(Leminorella)、ロンスダレア(Lonsdalea)、モングロビバクター(Mangrovibacter)、モエレレッラ(Moellerella)、モルガネラ(Morganella)、オベスムバクテリウム(Obesumbacterium)、パントエア(Pantoea)、ペクトバクテリウム(Pectobacterium)、ファセオリバクター(Phaseolibacter)、フォトルハブダス(Photorhabdus)、プレシオモナス(Plesiomonas)、プロテウス(Proteus)、ラーネラ(Rahnella)、ラオウルテラ(Raoultella)、サッカロバクター(Saccharobacter)、サルモネラ(Salmonella)、サムソニア(Samsonia)、セラチア(Serratia)、シムウェリア(Shimwellia)、ソダーリス(Sodalis)、タツメラ(Tatumella)、トルセリア(Thorsellia)、トラブルシエラ(Trabulsiella)、ウィグルスウォーチア(Wigglesworthia)、エルシニア(Yersinia)およびヨーケネラ(Yokenella)から成る群から選択される属に属する、項目64に記載の細菌。
66.前記細菌は、大腸菌属に属している、項目64または65に記載の細菌。
67.前記細菌は、大腸菌である、項目66に記載の細菌。
68.L−セリンまたはL−セリン誘導体を製造する方法であって、該方法は、項目1から67までのいずれか1項に記載の細菌を培地中で培養することを含む、L−セリンまたはL−セリン誘導体を製造する方法。
69.L−セリンを製造する方法である、項目68に記載の方法。
70.L−セリン誘導体を製造する方法である、項目68に記載の方法。
71.L−セリン誘導体は、L−システイン、L−メチオニン、L−アルギニン、O−アセチルセリン、L−トリプトファン、チアミン、エタノールアミンおよびエチレングリコールから成る群から選択される、項目68に記載の方法。
72.L−システインを製造するための方法である、項目68に記載の方法。
73.L−メチオニンを製造するための方法である、項目68に記載の方法。
74.L−グリシンを製造するための方法である、項目68に記載の方法。
75.O−アセチルセリンを製造するための方法である、項目68に記載の方法。
76.L−トリプトファンを製造するための方法である、項目68に記載の方法。
77.チアミンを製造するための方法である、項目68に記載の方法。
78.エタノールアミンを製造するための方法である、項目68に記載の方法。
79.エチレングリコールを製造するための方法である、項目68に記載の方法。
80.更に培地からL−セリンまたはL−セリン誘導体を回収することを含む、項目68から80までのいずれか1項に記載の方法。
81.セリンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰するために、かつセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰するために変性された酵母。
82.遺伝子CHA1、SHM1およびSHM2の発現が減衰されている、項目81に記載の酵母。
83.遺伝子の発現は、遺伝子の不活性化により減衰されている、項目81または82に記載の酵母。
84.前記酵母は、3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ、ホスホセリンホスファターゼおよびホスホセリンアミノトランスフェラーゼを過剰発現するように更に変性されている、項目81から83までのいずれか1項に記載の酵母。
85.酵母は、サッカロミセス属に属している、項目81から84までのいずれか1項に記載の酵母。
86.酵母は、サッカロミセス・セレビアエである、項目85に記載の酵母。
87.L−セリンまたはL−セリン誘導体を製造する方法であり;次の
項目81から86までのいずれか1項に記載の酵母を培地中で培養する
ことを含む、L−セリンまたはL−セリン誘導体を製造する方法。
88.(単離)核酸分子、例えば、ベクターであって、Y356、S357および/またはS359の位置にアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約90%、例えば、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、(単離)核酸分子。
89.ポリペプチドは、Y356、S357および/またはS359の位置にアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有する、項目88に記載の(単離)核酸分子。
90.アミノ酸置換はY356の位置である、項目88または89に記載の(単離)核酸分子。
91.アミノ酸置換はS357の位置である、項目88から90までのいずれか1項に記載の(単離)核酸分子。
92.アミノ酸置換はS359の位置である、項目88から91までのいずれか1項に記載の(単離)核酸分子。
93.Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択され;S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される、項目88から92までのいずれか1項に記載の(単離)核酸分子。
94.Y356、S357および/またはS359の位置でのアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約90%、例えば、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有する(単離)ポリペプチド。
95.ポリペプチドは、Y356、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有する、項目94に記載の(単離)ポリペプチド。
96.アミノ酸置換は、Y356の位置である、項目94または95に記載の(単離)ポリペプチド。
97.アミノ酸置換は、S357の位置である、項目94から96までのいずれか1項に記載の(単離)ポリペプチド。
98.アミノ酸置換は、S359の位置である、項目94から97までのいずれか1項に記載の(単離)ポリペプチド。
99.Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択され;S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択され;S359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される、項目94から98までのいずれか1項に記載の(単離)ポリペプチド。
図1は、大腸菌におけるセリン分解に関与する主要遺伝子sdaA、sdaB、tdcGおよびglyAの欠失を示す図である。
図2は、構築物のベクターマップを示す図である。
図3は、バッチ発酵の際のセリン生産を示す図である。
図4は、Q1(DE3)中でのエクスポーターydeDの過剰発現を使用した成長プロフィールを示す図である。
図5は、12.5gL−セリン中でのQ1とQ3の成長プロフィールを示す図である。
図6は、セリンに対する耐性を改善するための適応実験室進化(ALE)実験。(A)進化試験の間の成長速度。(B)高濃度セリンの存在での関連株の改善された成長を示す図である。
図7は、セリンに対する耐性におけるthrA内の突然変異の効率を示す図である。
図8は、セリンに対する増大した耐性を引き起こす突然変異の同定を示す図である。
図9は、(A)Q1(DE3)とQ3(DE3)株のフェドバッチ発酵の際の種々の時点で測定したセリン生産と細胞密度(OD600nm)を示す図である。
図10は、(A)ALE8−8(DE3)株の細胞密度とセリン力価。(B)グルコースからの質量収率を示す図である。
図11は、ThrAのそれぞれの位置356(11A)、357(11B)および359(11C)で観察された種々のアミノ酸置換(アミノ酸置換はそれぞれ1文字表記で示されている)を有する変異体大腸菌株の成長速度を示す図である。
本発明を以下に具体的に説明する。
発明の詳細な説明
本明細書中では特記されない限り、使用されている全ての工業的および科学的用語は、生化学、遺伝学および微生物学の分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書中で記載のものと類似のまたは同等の全ての方法および材料は、本明細書中で記載の適切な方法と材料を用いて、本発明の実施または試験で使用できる。本明細書で記載の全ての出版物、特許明細書、特許および他の参考文献を参照してそれらの全体を組込むことにする。矛盾する場合は定義を含めて本明細書が主流である。更に、材料、方法および実施例は、単に例証であり、特記されない限り制限する意図はない。
本発明の実施は、特記されない限り、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニックバイオロジー、微生物学ならびに組換えDNAの通常の技術を使用することになり、これらは、当業者が備えている技能の範囲内である。このような技術は、文献中に完全に説明されている。例えば、分子生物における現行プロトコール(Frederick M.AUSUBEL,2000,Wiley and son Inc,米国議会図書館、USA);分子クローニング:実験室マニュアル、第三版(Sambrook等、2001、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州:コールドスプリングハーバー研究所出版物);オリゴヌクレオチド合成(M.J.Gait編集者、1984);Mullis等、米国特許第4683195号;核酸ハイブリダイゼーション(B.D.Harries&S.J.Higgins等、1984);転写と翻訳(B.D.Hames& S.J. Higgins編集者、1984);動物細胞の培養(R.I.Freshney,Alan R.Liss,Inc.,1987);固定化細胞および酵素(IRL Press, 1986);B.Perbal, 分子クローニングの指針(1984);免疫学における方法(シリーズ)(J.Abelson and M.Simon編集長、学術出版株式会社、ニューヨーク州)、特に154巻および155巻(Wu等、編集者)および185巻、“遺伝子発現技術”(D. Goeddel編集者);哺乳類細胞に関する遺伝子移入ベクター(J. H. Miller and M. P. Calos編集者、1987, コールドスプリングハーバー研究所);細胞と分子生物学における免疫化学法(Mayer and Walker、編集、学会出版物、ロンドン、1987);実験免疫学の参考書、1〜4巻(編集者D.M.Weir&C.C.Blackwell、1986);およびマウス胚子の処置(コールドスプリングハーバー研究所出版物、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州、1986)を参照のこと。
本発明の細菌
上記のように、本発明はL−セリンの生産が、L−セリンの分解に関与する酵素をコードする遺伝子、とりわけ遺伝子sdaA、sdaB、tdcGおよびglyAを例えば不活性化することによって増大できるという発見に特に基づいている。
従って、本発明は、細菌、特に、L−セリンを生産する能力のある細菌を提供し、その際、前記細菌は、セリンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰し、かつセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰するように変性されている。
より詳しくは、本発明は遺伝子sdaA、sdaB、tdcGおよびglyAの発現を減衰するように変性された細菌を提供する。
遺伝子sdaA、sdaB、tdcGは、L−セリンデアミナーゼI(SdaA)、L−セリンデアミナーゼII(SdaB)およびL−セリンデアミナーゼIII(TdcG)をそれぞれコード化し、これらはL−セリン分解の経路において1段階だけを行い、セリンを基本的な細胞構成ブロックであるピルベートに変換する3つの酵素である。例えば、大腸菌のsdaA、sdaB、tdcGに関する更なる情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において、それぞれ登録番号EG10930、EG11623およびG7624で入手可能である。sdaA、sdaBおよびtdcGの代表的なヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号1から3に記載されている。
遺伝子glyAは、セリンをグリシンに変換するセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(GlyA)をコード化し、メチル基をテトラヒドロ葉酸に変換し、従って5,10−メチレン−テトラヒドロ葉酸(5,10−mTHF)が形成される。5,10−mTHFは、細胞中のC1単位の主要原であり、プリン、チミジン、メチオニン、コリンおよび脂肪の生合成においてGlyAを重要な酵素にする。glyAに関する更なる情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号EG10408で入手可能である。glyAの代表的なヌクレオチド配列は、配列番号4に記載されている。
遺伝子の発現は、遺伝子の不活性化により減衰させてもよい。従って、本発明による細菌は、セリンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子を不活性化し、かつセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を不活性化するように変性されたものであってもよい。特定の実施態様によれば、遺伝子sdaA、sdaB、tdcGおよびglyAの発現は、これらの遺伝子の不活性化により減衰される。従って、本発明による細菌は、遺伝子sdaA、sdaB、tdcGおよびglyAを不活性化するように変性したものであることができる。
染色体上の遺伝子への突然変異の導入により、該遺伝子によりコードされたタンパク質の細胞内活性が非変性株と比べて減少するようにして遺伝子の発現を減少させることができる。遺伝子の発現の減衰を生じる突然変異には、遺伝子によりコードされたタンパク質中の1つのアミノ酸置換を引き起こす1つのヌクレオチドまたはそれより多くの交換(ミスセンス突然変異)、ストップコドンの導入(ノンセンス突然変異)、フレームシフトを引き起こすヌクレオチドの欠失または挿入、薬物耐性遺伝子の挿入、または遺伝子の一部または全遺伝子の欠失(Qiu and Goodman,1997;Kwon等、2000)が含まれる。発現は、発現調節配列、例えばプロモーター、Shine−Dalgarno(SD)配列などの変性により減衰することもできる(WO95/34672)。
例えば、以下の方法を使用して遺伝子組換えによる突然変異を導入してもよい。減少した活性を有する突然変異体タンパク質をコードする突然変異体遺伝子を調製することもできる。従って、染色体上の在来遺伝子は、相同組換えにより突然変異体遺伝子と置き換えられ、かつ結果として生じる株を選択できる。相同組換えを使用する遺伝子置換は、線状DNAを用いることにより、これは“ラムダ・レッド媒介遺伝子交換(lambda−red mediated gene replacement)”(Datsenko and Wanner,2000)として公知である、または温度感応性の複製原点を含むプラスミドを用いることにより実施できる(米国特許第6303383号、またはJP05−007491A)。更に、遺伝子置換による部位特異的突然変異は、宿主中で複製できないプラスミドを用いて、上記のような相同組換えを使用して挿入することもできる。
トランスポゾンまたはISファクターを遺伝子のコード領域に挿入することにより(米国特許第5175107号)、または通常の方法、例えば、UV照射またはニトロソグアニジン(N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン)を用いる突然変異により、部位特異的突然変異、相同組換えを使用する遺伝子崩壊および/または遺伝子交換(Yu等、2000;and Datsenko and Wanner, 2000)、例えば“ラムダ−レッド媒介遺伝子交換”により遺伝子の発現を減衰することもできる。ラムダ・レッド媒介遺伝子交換は、本明細書で記載した1つまたは複数の遺伝子を不活性化する方法に特に適切である。よって、具体的な実施態様によれば、遺伝子の発現は、ラムダ・レッド媒介遺伝子交換を使用する遺伝子の不活性化により減衰される。
図3に示されているように、セリン分解に関与する4つ全ての遺伝子(sdaA、sdaB、tdcGおよびglyA)の不活性化は、セリンからピルベートへの経路を介するL−セリン分解に関与する3つの遺伝子(sdaA、sdaBおよびtdcG)だけの不活性と比較して、グルコースから最上の比生産性および最も高い収率を生じる。
セリンは、遺伝子serA(3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼをコードする)、serB(ホスホセリンホスファターゼをコードする)およびserC(ホスホセリンアミノトランスフェラーゼをコードする)によりコードされる3つの酵素を使用してグリセルアルデヒド−3−ホスフェートから製造される。L−セリンの生産を増大するために、これらの遺伝子を過剰発現してもよい。例えば、大腸菌のserA、serBおよびserCに関連する情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において、それぞれEG10944、EG10945およびEG10946の登録番号で入手可能である。
従って、特定の実施態様によれば、細菌を変性し、3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ、ホスホセリンホスファターゼおよびホスホセリンアミノトランスフェラーゼを過剰発現するようにした。より具体的には、細菌は遺伝子serA、serBおよびserCを過剰発現するように更に変性されている。これは、細菌に1つまたは複数の(例えば、2個または3個)の外因性の核酸分子、例えば、3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼをコードするヌクレオチド配列、ホスホセリンホスファターゼをコードするヌクレオチド配列および/またはホスホセリンアミノトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含んでいる1つまたは複数のベクターを挿入することにより達成してもよい。
3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼは、これが過剰発現されている細菌と同じ種から誘導されているか、またはこれが過剰発現されているものとは異なる種から誘導されていてもよい(すなわち、これは異種である)。特定の実施態様によれば、3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼは、これが過剰発現されているものと同じ種から誘導されている。特定のその他の実施態様によれば、3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼは、これが過剰発現されているものとは異なる種から誘導されている(すなわち、これは異種である)。
特定の実施態様によれば、細菌は3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性の核酸分子を含む。外因性の核酸分子は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含んでいるポペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。外因性核酸分子は、配列番号5に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよい。有利には、ポリペプチドは3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ活性を有する。より有利には、ポリペプチドは、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似した3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ活性を有する。
外因性核酸分子は、配列番号5に記載のアミノ酸配列に少なくとも約95%、例えば少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよい。有利には、ポリペプチドは3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ活性を有する。より有利には、ポリペプチドは、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似した3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ活性を有する。外因性核酸分子は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよく、その際、1つまたは複数の、例えば、約1〜約50個、約1〜約40個、約1〜約35個、約1〜約30個、約1〜約25個、約1〜約20個、約1〜約15個、約1〜約10個、約1〜約5個、または約1〜約3個のアミノ酸残基は、置換、欠失および/または挿入されている。有利には、ポリペプチドは、3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ活性を有する。より有利には、ポリペプチドは、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似した3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ活性を有する。外因性の核酸分子は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチドを含んでいてもよく、その際、約1個〜約5個、例えば約1〜約3個のアミノ酸残基は、置換、欠失および/または挿入されている。有利には、ポリペプチドは3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ活性を有する。より有利には、ポリペプチドは、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似した3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ活性を有する。
3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼをコードする突然変異体serA遺伝子を過剰発現する更なる利点は、セリンのフィードバック阻害に対する耐性である。これは、例えば、野生型3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ(SerA)の最後の4個のC末端残基の欠失により達成してもよい。二者択一的に、SerAのフィードバック阻害は、3個の残基H344、N346およびN364をアラニンにする突然変異により除去できる。このような3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ突然変異体の代表的なアミノ酸配列は、配列番号6に記載されている。従って、具体的な実施態様によれば、細菌は、セリンのフィードバック阻害に対して耐性である3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含む。外因性核酸分子は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよい。外因性核酸分子は、配列番号6に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよい。有利には、ポリペプチドは3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ活性を有する。より有利には、ポリペプチドは、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似した3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ活性を有する。外因性核酸分子は、配列番号6に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、例えば、少なくとも約95%、例えば少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するヌクレオチド配列を含んでいてもよい。有利には、ポリペプチドは3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ活性を有する。より有利には、ポリペプチドは、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似した3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ活性を有する。外因性核酸分子は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよく、その際、1つまたは複数の、例えば、約1〜約50個、約1〜約40個、約1〜約35個、約1〜約30個、約1〜約25個、約1〜約20個、約1〜約15個、約1〜約10個、約1〜約5個、または約1〜約3個のアミノ酸残基は、置換、欠失および/または挿入されている。有利には、ポリペプチドは、3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ活性を有する。より有利には、ポリペプチドは、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似した3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ活性を有する。外因性核酸分子は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよく、その際、約1〜約5個、例えば約1〜約3個のアミノ酸残基は、置換、欠失および/または挿入されている。有利には、ポリペプチドは、3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ活性を有する。より有利には、ポリペプチドは、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似した3−ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ活性を有する。
ホスホセリンホスファターゼは、これが過剰発現されている細菌と同じ種から誘導されているか、またはこれが過剰発現されているものとは異なる種から誘導されていてもよい(すなわち、これは異種である)。特定の実施態様によれば、ホスホセリンホスファターゼは、これが過剰発現されているものと同じ種から誘導されている。特定の他の実施態様によれば、ホスホセリンホスファターゼは、これが過剰発現されているものとは異なる種から誘導されている(すなわち、これは異種である)。
特定の実施態様によれば、細菌はホスホセリンホスファターゼをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含む。外因性核酸分子は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよい。外因性核酸分子は、配列番号7に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよい。有利には、ポリペプチドは、ホスホセリンホスファターゼ活性を有する。より有利には、ポリペプチドは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似した3−ホスホセリンホスファターゼ活性を有する。外因性核酸分子は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよく、その際、1つまたは複数個、例えば、約1〜約50個、約1〜約40個、約1〜約35個、約1〜約30個、約1〜約25個、約1〜約20個、約1〜約15個、約1〜約10個、約1〜約5個、または約1〜約3個のアミノ酸残基は、置換、欠失および/または挿入されている。有利には、ポリペプチドは、ホスホセリンホスフェート活性を有する。より有利には、ポリペプチドは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似したホスホセリンホスファターゼ活性を有する。外因性核酸分子は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよく、その際、約1〜約5個、例えば約1〜約3個のアミノ酸残基は、置換、欠失および/または挿入されている。有利には、ポリペプチドは、ホスホセリンホスファターゼ活性を有する。より有利には、ポリペプチドは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似したホスホセリンホスファターゼ活性を有する。
ホスホセリンアミノトランスフェラーゼは、これが過剰発現されている細菌と同じ種から誘導されているか、またはこれが過剰発現されているものとは異なる種から誘導されていてもよい(すなわち、これは異種である)。特定の実施態様によれば、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼは、これが過剰発現されている細菌と同じ種から誘導されている。特定の他の実施態様によれば、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼは、これが過剰発現されているものとは異なる種から誘導されていてもよい(すなわち、これは異種である)。
特定の実施態様によれば、細菌はホスホセリンアミノトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含む。外因性核酸分子は、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよい。外因性核酸分子は、配列番号8に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよい。有利には、ポリペプチドは、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する。より有利には、ポリペプチドは、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似したホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する。外因性核酸分子は、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよく、その際、1つまたは複数の、例えば、約1〜約50個、約1〜約40個、約1〜約35個、約1〜約30個、約1〜約25個、約1〜約20個、約1〜約15個、約1〜約10個、約1〜約5個、または約1〜約3個のアミノ酸残基は、置換、欠失および/または挿入されている。有利には、ポリペプチドは、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する。より有利には、ポリペプチドは、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似したホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する。外因性核酸分子は、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよく、その際、約1〜約5個、例えば約1〜約3個のアミノ酸残基は、置換、欠失および/または挿入されている。有利には、ポリペプチドは、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する。より有利には、ポリペプチドは、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似したホスホセリンアミノトランスフェラーゼ性を有する。
細菌、例えば、セリンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰するように、かつヒドロキシメチルトランスフェラーゼを有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰するように(例えば、遺伝子の不活性化により)変性した大腸菌は、セリンに対して低い耐性を示す。従って、セリンに対して増大した耐性を示す細菌を提供するのが望ましい。
これに関して、本発明者は、ランダム突然変異によりおよび適応進化により細菌を進化させることにより、新規エクスポーターの過剰発現により生成物の毒性を減少させることができることを見出した。結果として、セリンに対して増大した耐性を有する細菌が提供される。本明細書中で使用されているような“増大した耐性”とは、L−セリンを少なくとも約6.25g/Lの濃度で含んでいる最小培地(例えば、M9最小培地)で細菌が成長できることを意味する。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、L−セリンを少なくとも約6.25g/Lの濃度(例えば、少なくとも約12.5g/L)で含んでいる最小培地(例えば、M9最小培地)で成長できる。具体的な実施態様によれば、細菌は、L−セリンを少なくとも約12.5g/Lの濃度(例えば、少なくとも約25g/L)で含んでいる最小培地(例えば、M9最小培地)中で成長できる。具体的な実施態様によれば、細菌はL−セリンを少なくとも約25g/Lの濃度(例えば、少なくとも約40g/L)で含んでいる最小培地(例えば、M9最小培地)中で成長できる。特別な実施態様によれば、細菌は、L−セリンを少なくとも約40g/Lの濃度(例えば、少なくとも約50g/L)で含んでいる最小培地(例えば、M9最小培地)中で成長できる。具体的な実施態様によれば、細菌は、L−セリンを少なくとも約75g/Lの濃度(例えば、少なくとも約100g/L)で含んでいる最小培地(例えば、M9最小培地)で成長できる。特別な実施態様によれば、細菌は、L−セリンを少なくとも約100g/Lの濃度で含んでいる最小培地(例えば、M9最小培地)中で成長できる。
有利には、最小培地、例えばM9最小培地は、2mMグリシンと2g/Lグルコースが補充される。細菌は、一般的に約37℃で約24〜約40時間の間、十分な通気を使用して培養される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、L−セリンを少なくとも約6.25g/Lの濃度(例えば、少なくとも約12.5g/L)で含んでいる最小培地(例えば、M9最小培地)で、対数増殖の間に少なくとも約0.1hr-1の成長速度で成長できる。具体的な実施態様によれば、本発明の細菌は、L−セリンを少なくとも約12.5g/Lの濃度(例えば、少なくとも約25g/L)で含んでいる最小培地(例えば、M9最小培地)中で、対数増殖の間に少なくとも約0.1hr-1の成長速度で成長できる。具体的な実施態様によれば、本発明の細菌は、L−セリンを少なくとも約25g/Lの濃度(例えば、少なくとも約50g/L)で含んでいる最小培地(例えば、M9最小培地)中で、対数増殖の間に少なくとも約0.1hr-1の成長速度で成長できる。
有利には、最小培地、例えば、M9最小培地には、2mMグリシンと2g/Lグルコースが補充される。細菌は、一般的に約37℃で約24〜約40時間の間、37℃で十分な通気を使用して培養される。
具体的な実施態様によれば、本発明の細菌は、L−セリンを少なくとも約25g/Lの濃度(例えば、少なくとも約50g/L)で含んでいる最小培地(例えば、M9最小培地)で、対数増殖の間に少なくとも約0.1hr-1の成長速度で成長できる。
細菌中で過剰発現した場合に、セリンに対する耐性が改善された新規エクスポーターは、遺伝子ydeDによりコードされるO−アセチルセリン/システインエクスポートタンパク質である。大腸菌のydeDに関する更なる情報は、例えば、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号EG11639で入手可能である。このようなエクスポタータンパク質の代表的なアミノ酸配列は、配列番号9に記載されている。従って、本発明は遺伝子ydeDを過剰発現するように変性した細菌を提供する。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、遺伝子ydeDのタンパク質産生物をコードするヌクレオチド配列を含んでいる発現ベクターのような外因性核酸分子を含む。特定の実施態様によれば、細菌は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含む。
外因性核酸分子は、配列番号9に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよい。有利には、ポリペプチドはO−アセチルセリンおよび/またはシステイントランスポーター活性を有する。より有利には、ポリペプチドは、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似したO−アセチルセリンおよび/またはシステイントランスポーター活性を有する。外因性核酸分子は、配列番号9に記載のアミノ酸配列に約95%、例えば少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよい。有利には、ポリペプチドは、O−アセチルセリンおよび/またはシステイントランスポーター活性を有する。より有利には、ポリペプチドは配列番号9に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似したO−アセチルセリンおよび/またはシステイントランスポーター活性を有する。外因性核酸分子は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよく、その際、1つまたは複数の、例えば、約1〜約50個、約1〜約40個、約1〜約35個、約1〜約30個、約1〜約25個、約1〜約20個、約1〜約15個、約1〜約10個、約1〜約5個、または約1〜約3個のアミノ酸残基は、置換、欠失および/または挿入されている。有利には、ポリペプチドはO−アセチルセリンおよび/またはシステイントランスポーター活性を有する。より有利には、ポリペプチドは配列番号9に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似したO−アセチルセリンおよび/またはシステイントランスポーター活性を有する。外因性核酸分子は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよく、その際、約1〜約5個、例えば約1〜約3個のアミノ酸残基は、置換、欠失および/または挿入されている。有利には、ポリペプチドは、O−アセチルセリンおよび/またはシステイントランスポーター活性を有する。より有利には、ポリペプチドは配列番号9に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似したO−アセチルセリンおよび/またはシステイントランスポーター活性を有する。
C末端に6個のヒスチジン残基の更なる伸長を含んでいる変性YdeDポリペプチドは、配列番号10に記載されている。具体的な実施態様によれば、細菌は、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含む。外因性核酸分子は、配列番号10に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよい。有利には、ポリペプチドは、O−アセチルセリンおよび/またはシステイントランスポーター活性を有する。より有利には、ポリペプチドは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似したO−アセチルセリンおよび/またはシステイントランスポーター活性を有する。外因性核酸分子は、配列番号10に記載のアミノ酸配列に少なくとも約95%、例えば少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよい。有利には、ポリペプチドは、O−アセチルセリンおよび/またはシステイントランスポーター活性を有する。より有利には、ポリペプチドは配列番号10に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似したO−アセチルセリンおよび/またはシステイントランスポーター活性を有する。外因性核酸分子は、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよく、その際、1つまたは複数の、例えば、約1〜約50個、約1〜約40個、約1〜約35個、約1〜約30個、約1〜約25個、約1〜約20個、約1〜約15個、約1〜約10個、約1〜約5個、または約1〜約3個のアミノ酸残基は、置換、欠失および/または挿入されている。有利には、ポリペプチドはO−アセチルセリンおよび/またはシステイントランスポーター活性を有する。より有利には、ポリペプチドは配列番号10に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似したO−アセチルセリンおよび/またはシステイントランスポーター活性を有する。外因性核酸分子は、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいてもよく、その際、約1〜約5個、例えば約1〜約3個のアミノ酸残基は、置換、欠失および/または挿入されている。有利には、ポリペプチドは、O−アセチルセリンおよび/またはシステイントランスポーター活性を有する。より有利には、ポリペプチドは配列番号10に記載のアミノ酸配列を含んでいるポリペプチドのそれに類似したO−アセチルセリンおよび/またはシステイントランスポーター活性を有する。
図4に示されているように、主要なセリン分解経路が欠如している大腸菌のような細菌の成長は、低濃度のセリンの存在でさえも、著しく成長を阻害する。ydeDの過剰発現において、セリンに対する耐性も実質的に増大したので、YdeDが細胞からセリンを輸送している可能性を示唆している。
セリンに対する改善された耐性を有する本発明の細菌、例えば上記のように少なくとも約6.25g/Lの濃度でL−セリンを含んでいる最小培地中で成長可能なものは、ランダム突然変異によりまたは適応進化により得ることができる。各々の詳細は、それぞれ例4と5に提供されている。
例えば、以下の方法の実施により適応進化を達成してもよい:実験の開始前に、適切なチューブを培地25mlで満たし、これをヒートブロック中、37℃で保持する。制御された通気は、チューブ内に設置され、1800rpmで回転する磁気タンブル撹拌機を使用して得られた。実験の開始時に、チューブのうち1つの中で、(出発株)の単一コロニーが一晩で成長し、かつ100μLアリコートを使用して、新たな培地25mlを含有しているチューブに播種した。細菌が成長するにつれて、600nmで複数のOD測定を行った。OD測定値の対数にフィットする最小二乗線形回帰線の傾きを取ることにより成長速度を計算した。標的のODが0.4に達し次第、培地100μlを使用して、培地25ml含有の新たなチューブに播種した。このように、静止期に決して到達しないような標的細胞密度に達した後に、培養物を連続して(1日に2〜3回)新たな培地含有のチューブに通した。実験は、3gL−セリンのL−セリン濃度で開始し、続いて所望の成長速度に達した後に、L−セリン6g/Lに増大させた。一旦、集団が安定な表現型(すなわち、成長速度)に達成すると、L−セリンの濃度を12g/Lに増大させた。このプロセスをL−セリン24、50、75および100g/Lを使用して反復して繰り返した。次に、更なる培養のために最後の集団をLB−アガール上にプレーティングし、かつL−セリン耐性株を選択してもよい。先行方法は、それらの成長速度をモニタリングしながら数日にわたりマニュアル的にまたは進化する集団の繁殖を可能にする自動化システムを使用して行ってもよい。
本明細書中での更なる実証として、本発明者は、L−セリンに対する耐性を確信する多くの遺伝子で有益な突然変異を同定した。各々の遺伝子と突然変異は、表S5に記載されている。
このような遺伝子の1つは、アスパラギン酸キナーゼI/ホモセリンデヒドロゲナーゼI(ThrA)をコードするthrAである。例えば大腸菌のthrAに関する更なる情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号EG10998で入手可能である。野生型アスパラギン酸キナーゼI/ホモセリンデヒドロゲナーゼI(ThrA)の代表的なアミノ酸配列は、配列11に記載されている。例6と10の実証として、アスパラギン酸キナーゼI/ホモセリンデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列に特定の突然変異を挿入する結果、セリンに対する耐性において極めて著しい増大を生じた(図7と11)。特に、以下の突然変異は、利点があることが示された:Y356C、S357RおよびS359R。
特定の実施態様によれば、本発明はL−セリンにより阻害されていないアスパラギン酸キナーゼI/ホモセリンデヒドロゲナーゼI(ThrA)突然変異体を発現する細菌を提供する。
特定の実施態様によれば、本発明は、thrA遺伝子内に、L−セリンに対する耐性が増大した1つまたは複数のアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。より具体的には、thrA遺伝子内に、Y356、S357およびS359から成る群から選択される位置でコードされたポリペプチド中に1つまたは複数のアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌が提供される。従って、本発明の細菌は、Y356、S357およびS359から成る群から選択される位置で、1つまたは複数のアミノ酸置換を有するアスパラギン酸キナーゼI/ホモセリンデヒドロゲナーゼI(ThrA)を発現してもよい。より具体的には、本発明の細菌は、Y356、S357およびS359から成る群から選択される位置で、1つまたは複数のアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現してもよい。有利には、1つまたは複数のアミノ酸置換は非保存的置換である。
特定の実施態様によれば、本発明は、thrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中のY356の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはY356の位置でアミノ酸置換を含む。具体的な実施態様によれば、アミノ酸置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択される。具体的な実施態様によれば、アミノ酸置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択される。より具体的な実施態様によれば、アミノ酸置換は、Y356C、Y356T、Y356W、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択される。
その他のより具体的な実施態様によれば、アミノ酸置換は、Y356C、Y356W、Y356F、Y356I、Y356P、Y356RおよびY356Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にY356C置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはY356C置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にY356T置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌はthrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはY356T置換を含む。
特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内にコードされたポリペプチド中にY356V置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌はthrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはY356V置換を含む。特定の実施態様によれば、thrA遺伝子内にコードされたポリペプチド中にY356S置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはY356S置換を含む。
特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内にコードされたポリペプチド中にY356W置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはY356W置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内にコードされたポリペプチド中にY356G置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌はthrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはY356G置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にY356N置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはY356N置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にY356D置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはY356D置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にY356E置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはY356E置換を含む。
特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にY356F置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはY356F置換を含む。
特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内にコードされたポリペプチド中にY356A置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはY356I置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内にコードされたポリペプチド中にY356A置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌はthrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはY356I置換を含む。
特定の実施態様によれば、細菌thrA遺伝子内にコードされたポリペプチド中にY356P置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはY356P置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内にコードされたポリペプチド中にY356H置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはY356H置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内にコードされたポリペプチド中にY356R置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはY356R置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内にコードされたポリペプチド中にY356L置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはY356L置換を含む。
特定の実施態様によれば、本発明は、thrA遺伝子内にコードされたポリペプチド中のS357の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS357の位置でアミノ酸置換を含む。具体的な実施態様によれば、アミノ酸置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される。その他の具体的な実施態様によれば、アミノ酸置換は、S357R、S357V、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357FおよびS357Hから成る群から選択される。より具体的な実施態様によれば、アミノ酸置換は、S357R、S357A、S357NおよびS357Fから成る群から選択される。他のより具体的な実施態様によれば、アミノ酸置換は、S357AとS357Fから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、細菌はコードされたポリペプチド中にS357R置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をthrA遺伝子内に含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS357R置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内にコードされたポリペプチド中にS357V置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS357V置換を含む。
特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内にコードされたポリペプチド中にS357P置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS357P置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内にコードされたポリペプチド中にS357G置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS357G置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はコードされたポリペプチド中にS357L置換を生じるthrA遺伝子内に1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS357L置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内にコードされたポリペプチド中にS357Y置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS357Y置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内にコードされたポリペプチド中にS357A置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS357A置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内にコードされたポリペプチド中にS357N置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS357N置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はコードされたポリペプチド中にS357F置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をthrA遺伝子内に含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS357F置換を含む。
特定の実施態様によれば、細菌はコードされたポリペプチド中にS357H置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をthrA遺伝子内に含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS357H置換を含む。
特定の実施態様によれば、細菌はコードされたポリペプチド中にS357K置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をthrA遺伝子内に含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS357K置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内にコードされたポリペプチド中にS357I置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS357I置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はコードされたポリペプチド中にS357M置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をthrA遺伝子内に含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS357M置換を含む。
特定の実施態様によれば、本発明はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中S359の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS359の位置でアミノ酸置換を含む。具体的な実施態様によれば、アミノ酸置換はS359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。他の具体的な実施態様によれば、アミノ酸置換は、S359R、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。より具体的な実施態様によれば、アミノ酸置換はS359R、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。その他のより具体的な実施態様によれば、アミノ酸置換は、S359R、S359T、S359P、S359Q、S359A、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。その他のより具体的な実施態様によれば、アミノ酸置換は、S359R、S359T、S359Q、S359AおよびS359Eから成る群から選択される。その他のより具体的な実施態様によれば、アミノ酸置換は、S359R、S359TおよびS359Aから成る群から選択される。その他のより具体的な実施態様によれば、アミノ酸置換は、S359RとS359Aから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にS359R置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS359R置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にS359G置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS359G置換を含む。
特定の実施態様によれば、本発明はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にS359M置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS359M置換を含む。特定の実施態様によれば、コードされたポリペプチド中にS359F置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をthrA遺伝子内に含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS359F置換を含む。
特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にS359T置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS359T置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にS359P置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS359P置換を含む。
特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にS359V置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS359V置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はコードされたポリペプチド中にS359Q置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をthrA遺伝子内に含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS359Q置換を含む。
特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にS359A置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS359A置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にS359C置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌はthrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS359C置換を含む。
特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にS359K置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS359K置換を含む。
特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にS359E置換を生じる。1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS359E置換を含む。
特定の実施態様によれば、細菌はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にS359L置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS359L置換を含む。
特定の実施態様によれば、本発明はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中のY356の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、コードされたポリペプチド中のS357の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換および/またはコードされたポリペプチド中のS359の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する;その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択され;
S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;および
S359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中のY356の位置でアミノ置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換および/またはコードされたポリペプチド中S357の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する;その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356R、Y356Lから成る群から選択され;S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中のY356の位置でアミノ置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換および/またはコードされたポリペプチド中S359の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチドの置換を含む細菌を提供する;その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明は、コードされたポリペプチド中のS357の位置でアミノ置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、および/またはコードされたポリペプチド中のS359の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチドの置換をthrA遺伝子内に含む細菌を提供する;その際、S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明は、コードされたポリペプチド中のY356の位置でアミノ置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、コードされたポリペプチド中のS357の位置でアミノ置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチドの置換およびコードされたポリペプチド中のS359の位置でアミノ置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をthrA遺伝子内に含む細菌を提供する;その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択され;S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明はコードされたポリペプチド中のY356の位置でアミノ置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換およびコードされたポリペプチド中のS357の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチドの置換をthrA遺伝子内に含む細菌を提供する;その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択される;およびS357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中のY356の位置でアミノ置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換およびコードされたポリペプチド中S359の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチドの置換を含む細菌を提供する;その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356FおよびY356Aから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明はthrA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中のS357の位置でアミノ置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、およびコードされたポリペプチド中のS359の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチドの置換を含む細菌を提供する;その際、S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する;その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択され;S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356および/またはS357の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する;その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択される;およびS357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する;その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する;その際、S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する;その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、S357の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する;その際、S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、S359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する;その際、S359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356とS357の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する;その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356FおよびY356Aから成る群から選択される;およびS357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356とS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する;その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356FおよびY356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、S357およびS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する;その際、S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356、S357およびS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する;その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択される;S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、356の位置でチロシンがシステインに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、356の位置でチロシンがトレオニンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、356の位置でチロシンがバリンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、356の位置でチロシンがセリンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、356の位置でチロシンがトリプトファンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、356の位置でチロシンがグルタミンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、356の位置でチロシンがグリシンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、356の位置でチロシンがアスパラギンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、356の位置でチロシンがアスパラギン酸に置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、356の位置でチロシンがグルタミン酸に置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、356の位置でチロシンがフェニルアラニンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、356の位置でチロシンがアラニンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、356の位置でチロシンがイソロイシンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、356の位置でチロシンがプロリンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、356の位置でチロシンがヒスチジンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、356の位置でチロシンがアルギニンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、356の位置でチロシンがロイシンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、357の位置でセリンがアルギニンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、357の位置でセリンがバリンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、357の位置でセリンがプロリンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、357の位置でセリンがグリシンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、357の位置でセリンがロイシンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、357の位置でセリンがチロシンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、357の位置でセリンがアラニンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、357の位置でセリンがアスパラギンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、357の位置でセリンがフェニルアラニンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、357の位置でセリンがヒスチジンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、357の位置でセリンがリジンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、357の位置でセリンがイソロイシンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、357の位置でセリンがメチオニンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、359の位置でセリンがアルギニンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、359の位置でセリンがグリシンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、359の位置でセリンがメチオニンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、359の位置でセリンがフェニルアラニンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、359の位置でセリンがトレオニンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、359の位置でセリンがプロリンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、359の位置でセリンがバリンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、359の位置でセリンがグルタミンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、359の位置でセリンがアラニンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、359の位置でセリンがシステインに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、359の位置でセリンがリジンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、359の位置でセリンがグルタミン酸に置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、359の位置でセリンがロイシンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約90%、例えば、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現し、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択される;およびS357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;S359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356および/またはS357の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約90%、例えば、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現し、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択される;およびS357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約90%、例えば、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現し、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約90%、例えば、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現し、その際、S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約90%、例えば、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現し、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、S357の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約90%、例えば、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現し、その際、S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、S359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約90%、例えば、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現し、その際、S359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約93%、例えば少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現し、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、S357の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約93%、例えば少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現し、その際、S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、S359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約93%、例えば少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現し、その際、S359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約95%、例えば少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現し、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、S357の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約95%、例えば少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現し、その際、S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、S359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約95%、例えば少なくとも96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現し、その際、S359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356、S357およびS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約90%、例えば少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現し、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択され;S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356とS357の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約90%、例えば少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現し、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択される;およびS357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356とS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約90%、例えば少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現し、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356R、Y356Lから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、S357とS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約90%、例えば少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現し、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択され;S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択され;S359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現し、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択され;S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択され;その際、1つまたは複数の、例えば、約1〜約50個、約1〜約40個、約1〜約35個、約1〜約30個、約1〜約25個、約1〜約20個、約1〜約15個、約1〜約10個、約1〜約5個、または約1〜約3個の更なるアミノ酸残基は、置換、欠および/または挿入されている。
細菌は、Y356、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現してもよく、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択され;S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される;その際、約1〜約5個、例えば約1〜約3個の更なるアミノ酸残基は、置換、欠失および/または挿入されている。
特定の実施態様によれば、本発明は、コードされたポリペプチド中にY356C、S357RおよびS359Rから成る群から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をthrA遺伝子内に含む細菌を提供する。従って、本発明の細菌はthrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドは、Y356C、S357RおよびS359Rから成る群から選択される1つまたは複数の(例えば2個または3個の)アミノ酸置換を含んでいる。特定の実施態様によれば、本発明の細菌はthrA遺伝子内に、1つまたは複数のヌクレオチド置換を含み、結果として、コードされたポリペプチド中にY356CとS357Rから成る群から選択される1つまたは複数の(例えば2個の)アミノ酸置換を生じる細菌を提供する。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドは、コードされたポリペプチド中にY356CとS357Rから成る群から選択される1つまたは複数の(例えば2個の)アミノ酸置換を含む。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、コードされたポリペプチド中にY356CとS359Rから成る群から選択される1つまたは複数の(例えば2個の)アミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をthrA遺伝子内に含む。従って、本発明の細菌は、thrAによりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドは、コードされたポリペプチド中にY356CとS359Rから成る群から選択される1つまたは複数の(例えば2個の)アミノ酸置換を含む。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、コードされたポリペプチド中にS357RとS359Rから成る群から選択される1つまたは複数の(例えば2個の)アミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をthrA遺伝子内に含む。従って、本発明の細菌はthrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドは、コードされたポリペプチド中にS357RとS359Rから成る群から選択される1つまたは複数の(例えば2個の)アミノ酸置換を含む。
特定の実施態様によれば、細菌はコードされたポリペプチド中にY356C置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をthrA遺伝子内に含む。従って、本発明の細菌はthrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはY356C置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はコードされたポリペプチド中にS357R置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をthrA遺伝子内に含む。従って、本発明の細菌はthrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS357R置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌は、コードされたポリペプチド中にS359R置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をthrA遺伝子内に含む。従って、本発明の細菌は、thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現してもよく、その際、前記ポリペプチドはS359R置換を含む。
よって、本発明の細菌は、Y356C、S357RおよびS359Rから成る群から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を有するアスパラギン酸キナーゼI/ホモセリンデヒドロゲナーゼI(ThrA)を発現してもよい。より具体的には、本発明の細菌は、Y356C、S357RおよびS359Rから成る群から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現してもよい。
特定の実施態様によれば、細菌は356の位置でチロシンがシステインに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、細菌は357の位置でセリンがアルギニンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。特定の実施態様によれば、細菌は359の位置でセリンがアルギニンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、細菌は、Y356C、S357RおよびS359Rから成る群から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、細菌は、356の位置でチロシンがシステインに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。
具体的な実施態様によれば、細菌は、356の位置でチロシンがシステインに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約95%、例えば、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、細菌は、357の位置でセリンがアルギニンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。具体的な実施態様によれば、細菌は、357の位置でセリンがアルギニンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、細菌は、359の位置でセリンがアルギニンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。
具体的な実施態様によれば、細菌は、359の位置でセリンがアルギニンに置換されている配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、細菌は、Y356C、S357RおよびS359Rから成る群から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現し、その際、1つまたは複数の、例えば、約1〜約50個、約1〜約40個、約1〜約35個、約1〜約30個、約1〜約25個、約1〜約20個、約1〜約15個、約1〜約10個、約1〜約5個、または約1〜約3個の更なるアミノ酸残基は、置換、欠失および/または挿入されている。細菌は、Y356C、S357RおよびS359Rから成る群から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、その際、約1〜約5個、または約1〜約3個の更なるアミノ酸残基は、置換、欠失および/または挿入されている配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現してもよい。
上記のThrAポリペプチド突然変異体は、細菌に導入しておいた発現ベクターのような外因性核酸分子を用いて細菌により(過剰)発現されていてもよい。従って、特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、上記のようなアスパラギン酸キナーゼI/ホモセリンデヒドロゲナーゼI(ThrA)ポリペプチド突然変異体をコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含む。
例えば、本発明の細菌は、Y356、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子、例えば発現ベクターを含んでいてもよい。従って、特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含み、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択され;S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択され;S359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、例えば、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含む。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、例えば少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含み、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択され;S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含む。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含み、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択され;S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含む。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいる外因性核酸分子を含み、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択され;S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
これに関連して、更に本発明は、上記のようなThrA突然変異体をコードするヌクレオチド配列を含んでいる発現ベクターのような(単離)核酸分子を提供する。このような核酸を本発明の細菌に導入してもよい。特定の実施態様によれば、核酸分子は、Y356、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約90%、例えば少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
特定の実施態様によれば、核酸分子は、Y356、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列に、少なくとも約90%、例えば少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択され;S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。特定の実施態様によれば、核酸分子は、Y356、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいる。特定の実施態様によれば、核酸分子は、Y356、S357および/またはS359の位置でアミノ酸置換を含む配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、その際、Y356の位置での置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択され;S357の位置での置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;およびS359の位置での置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される。
(単離)核酸分子は、先に詳説したような外因性核酸であってもよい。(単離)核酸分子は、細菌細胞中で機能し、mRNA分子の生産を引き起こすプロモーターのような適切な調節エレメントを含んでいてもよく、かつこれは前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に作用的に連結している。適切な調節エレメントにおける更なる詳細は、“外因性”核酸分子に関して以下に提供され、かつ必要な変更を加えて適用される。
本発明は、Irp遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換D143Gを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。例えば、大腸菌のIrpに関する更なる情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号EG10547で入手可能である。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Irp遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチド中、143の位置でDがGに置換されている。Irp遺伝子によりコードされたポリペプチドの代表的なアミノ酸配列は、配列番号12に記載されている。具体的な実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号12に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号12に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列は143の位置でDはGに置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、本発明は、Irp遺伝子内にL−セリンに対する耐性を増大する1つまたは複数のアミノ酸置換を生じる1つまたは複数の置換を含む細菌を提供する。より具体的には、Irp遺伝子内に、コードされたポリペプチド中、D143の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌が提供される。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号12に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号12に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列は143の位置でDは他のアミノ酸に置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。有利には、1つまたは複数のアミノ酸置換は、非保存的置換である。
また本発明は、rho遺伝子内に、コードされたポリペプチド中アミノ酸置換R87Lを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。例えば、大腸菌に関する情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号EG10845で入手可能である。特定の実施態様によれば、本発明の細菌はrho遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチド中87の位置でRはLに置換されている。
rho遺伝子によりコードされたポリペプチドの代表的なアミノ酸配列は、配列番号13に記載されている。適切な実施態様によれば、本発明の細菌は配列番号13に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号13に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列中、87の位置でRはLに置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、本発明は、rho遺伝子内にL−セリンに対する耐性を増大する1つまたは複数のアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。より具体的には、コードされたポリペプチド中、R87の位置中にアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌が提供される。具体的な実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号13に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号13に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列は87の位置でRは他のアミノ酸に置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。有利には、1つまたは複数のアミノ酸置換は、非保存的置換である。
また本発明は、eno遺伝子内に、コードされたポリペプチド中アミノ酸置換V164Lを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。例えば、大腸菌に関する更なる情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号EG10258で入手可能である。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、eno遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチド中164の位置でVはLに置換されている。eno遺伝子によりコードされたポリペプチドの代表的なアミノ酸配列は、配列番号14に記載されている。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号14に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号14に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列は164の位置でVはLに置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、本発明は、eno遺伝子内にL−セリンに対する耐性を増大する1つまたは複数のアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。より具体的には、コードされたポリペプチド中、V164の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をeno遺伝子内に含む細菌が提供される。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号14に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号14に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列は164の位置でVは他のアミノ酸に置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。有利には、1つまたは複数のアミノ酸置換は、非保存的置換である。
また本発明は、argP遺伝子内に、コードされたポリペプチド中アミノ酸置換V164Lを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。例えば、大腸菌のargPに関する更なる情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号EG10490で入手可能である。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、argP遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチド中132の位置でQはKに置換されている。argP遺伝子によりコードされたポリペプチドの代表的なアミノ酸配列は、配列番号15に記載されている。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号15に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号15に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列は132の位置でQはKに置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、本発明は、argP遺伝子内にL−セリンに対する耐性を増大する1つまたは複数のアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。より具体的には、コードされたポリペプチド中のQ132の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をargP遺伝子内に含む細菌が提供される。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号15に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号15に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列は132の位置でQは他のアミノ酸に置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。有利には、1つまたは複数のアミノ酸置換は、非保存的置換である。
また本発明は、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換G19Vを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をtufA遺伝子内に含む細菌を提供する。例えば、大腸菌のtufAに関する更なる情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号EG11036で入手可能である。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、tufA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチド中19の位置でGはVに置換されている。tufA遺伝子によりコードされたポリペプチドの代表的なアミノ酸配列は、配列番号16に記載されている。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号16に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列は19の位置でGはVに置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、本発明は、tufA遺伝子内にL−セリンに対する耐性を増大する1つまたは複数のアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。より具体的には、コードされたポリペプチド中、G19の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をtufA遺伝子内に含む細菌が提供される。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号16に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチド(その際、前記アミノ酸配列は19の位置でGは他のアミノ酸に置換されている)を発現する。有利には、1つまたは複数のアミノ酸置換は、非保存的置換である。
また本発明は、cycA遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換I220Vを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。例えば、大腸菌のcycAに関する更なる情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号EG12504で入手可能である。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、cycA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチド中220の位置でIはVに置換されている。cycA遺伝子によりコードされたポリペプチドの代表的なアミノ酸配列は、配列番号17に記載されている。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号17に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチド(その際、前記アミノ酸配列は220の位置でIはVに置換されている)を発現する。
特定の実施態様によれば、本発明はcycA遺伝子内にL−セリンに対する耐性を増大する1つまたは複数のアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。より具体的には、コードされたポリペプチド中のI220の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をcycA遺伝子内に含む細菌が提供される。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号17に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列は220の位置でIは他のアミノ酸に置換されている)を有するポリペプチド、または配列番号17に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。有利には、1つまたは複数のアミノ酸置換は、非保存的置換である。
また本発明は、rpe遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換I202Tを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。例えば、大腸菌のrpeに関する更なる情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号M004で入手可能である。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、rpe遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチド中202の位置でIはTに置換されている。rpe遺伝子によりコードされたポリペプチドの代表的なアミノ酸配列は、配列番号18に記載されている。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号18に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列は202の位置でIはTに置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、本発明は、rpe遺伝子内にL−セリンに対する耐性を増大する1つまたは複数のアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。より具体的には、コードされたポリペプチド中の202Iの位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をrpe遺伝子内に含む細菌が提供される。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号18に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列は202の位置でIは他のアミノ酸に置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。有利には、1つまたは複数のアミノ酸置換は、非保存的置換である。
また本発明は、yojl遺伝子内に、コードされたポリペプチド中アミノ酸置換D334Hを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。例えば、大腸菌のyojlに関する更なる情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号EG12070で入手可能である。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、yojl遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチド中334の位置でDはHに置換されている。yojl遺伝子によりコードされたポリペプチドの代表的なアミノ酸配列は、配列番号19に記載されている。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号19に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列は334の位置でDはHに置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、本発明は、yojl遺伝子内にL−セリンに対する耐性を増大する1つまたは複数のアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。より具体的には、コードされたポリペプチド中のD334の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をyojl遺伝子内に含む細菌が提供される。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号19に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列は334の位置でDは他のアミノ酸に置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。有利には、1つまたは複数のアミノ酸置換は、非保存的置換である。
また本発明は、hyaF遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換V120Gを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。例えば、大腸菌のhyaFに関する更なる情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号EG10473で入手可能である。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、hyaF遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチド中120の位置でVはGに置換されている。hyaF遺伝子によりコードされたポリペプチドの代表的なアミノ酸配列は、配列番号20に記載されている。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号20に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号20に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列は120の位置でVはGに置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、本発明は、hyaF遺伝子内にL−セリンに対する耐性を増大する1つまたは複数のアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。より具体的には、コードされたポリペプチド中のV120の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をhyaF遺伝子内に含む細菌が提供される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号20に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号20に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列は120の位置でVは他のアミノ酸に置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。有利には、1つまたは複数のアミノ酸置換は、非保存的置換である。
また本発明は、pykF遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換E250*(ここで、*はストップコドンを示す)を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。二者択一的に、pykF遺伝子は、コードされたポリペプチドの終了を生じる位置250の上流の位置で1つまたは複数のヌクレオチド置換を含んでもよい。例えば、大腸菌のpykFに関する更なる情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号EG10804で入手可能である。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、pykF遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチドは位置249の後ろで、またはその上流の任意の位置で終了する。pykF遺伝子によりコードされたポリペプチドの代表的なアミノ酸配列は、配列番号21に記載されている。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号22に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号22に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。
その他の特定の実施態様によれば、本発明の細菌を更に変性させてpykF遺伝子の発現を減衰する(例えば、遺伝子の不活性化により)。遺伝子発現の減衰およびより具体的には不活性化は、本明細書中で先に説明したように達成できる。例えば、ラムダ・レッド媒介遺伝子交換を遺伝子発現の不活性化に使用してもよい。
また本発明は、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換Q420*(ここで、*はストップコドンを示す)を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をmalT遺伝子内に含む細菌を提供する。二者択一的に、コードされたポリペプチドの位置420の上流の位置で終了を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をmalT遺伝子に含んでもよい。例えば、大腸菌のmalTに関する更なる情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号EG10562で入手可能である。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、malT遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチドは位置419の後ろで、またはその上流の任意の位置で終了する。malT遺伝子によりコードされたポリペプチドの代表的なアミノ酸配列は、配列番号23に記載されている。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号24に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号24に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。
その他の特定の実施態様によれば、本発明の細菌を更に変性させてmalT遺伝子の発現を減衰する(例えば、遺伝子の不活性化により)。遺伝子発現の減衰およびより具体的には不活性化は、ここで上記のように達成できる。例えば、ラムダ・レッド媒介遺伝子交換を遺伝子発現の不活性化に使用してもよい。
また本発明は、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換P520Lを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をrpoB遺伝子内に含む細菌を提供する。例えば、大腸菌のrpoBに関する更なる情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号EG10894で入手可能である。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、rpoB遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチド中で520の位置でPはLにより置換されている。rpoB遺伝子によりコードされたポリペプチドの代表的なアミノ酸配列は、配列番号25に記載されている。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号25に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号25に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列中の位置520でPはLに置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、本発明はL−セリンに対する耐性を増大する1つまたは複数のアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をrpoB遺伝子内に含む細菌を提供する。より具体的には、コードされたポリペプチド中にP520の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をrpoB遺伝子内に含む細菌が提供される。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号25に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号25に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列は位置520でPは他のアミノ酸に置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。有利には、1つまたは複数のアミノ酸置換は、非保存的置換である。
また本発明は、コードされたポリペプチド中のアミノ酸置換T218Pを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をfumB遺伝子内に含む細菌を提供する。例えば、大腸菌のfumBに関する更なる情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号EG10357で入手可能である。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、fumB遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチド中、218の位置でTはPに置換されている。fumB遺伝子によりコードされたポリペプチドの代表的なアミノ酸配列は、配列番号26に記載されている。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号26に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号26に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列中、218の位置でTはPに置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。有利には、1つまたは複数のアミノ酸置換は、非保存的置換である。
特定の実施態様によれば、本発明はfumB遺伝子内に、L−セリンに対する耐性を増大する1つまたは複数のアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌を提供する。より具体的には、fumB遺伝子内にコードされたポリペプチド中にT218の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む細菌が提供される。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号26に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号26に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列は218の位置でTはPに置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。有利には、1つまたは複数のアミノ酸置換は、非保存的置換である。
また本発明は、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換A178Vを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をgshA遺伝子内に含む細菌を提供する。例えば、大腸菌のgshAに関する更なる情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号EG10418で入手可能である。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、gshA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチド中、位置178でAはVに置換されている。gshA遺伝子によりコードされたポリペプチドの代表的なアミノ酸配列は、配列番号27に記載されている。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号27に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号27に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列中、178の位置でAはVに置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。
特定の実施態様によれば、本発明は、L−セリンに対する耐性を増大する1つまたは複数のアミノ酸置換を生じる1つまたは複数の置換をgshA遺伝子内に含む細菌を提供する。より具体的には、コードされたポリペプチド中のA178の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をgshA遺伝子内に含む細菌が提供される。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号27に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号27に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列中、178の位置でAは他のアミノ酸に置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。有利には、1つまたは複数のアミノ酸置換は、非保存的置換である。
また本発明は、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換Q112*(ここで、*はストップコドンを示す)を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をlamB遺伝子内に含む細菌を提供する。二者択一的にlamB遺伝子は、位置112の上流の位置でコードされたポリペプチドの終了を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含んでもよい。例えば、大腸菌のlamBに関する更なる情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号EG10528で入手可能である。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、lamB遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチドは111の位置の後で、またはその上流の任意の位置で終了する。lamB遺伝子によりコードされたポリペプチドの代表的なアミノ酸配列は、配列番号28に記載されている。特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、配列番号29に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号29に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチドを発現する。
その他の特定の実施態様によれば、本発明の細菌を更に変性させてlamB遺伝子の発現を減衰させる(例えば、遺伝子の不活性化により)。遺伝子発現の減衰およびより具体的には不活性化は、本明細書中で先に説明したように達成できる。例えば、ラムダ・レッド媒介遺伝子交換を遺伝子発現の不活性化に使用してもよい。
本発明の細菌は、1つまたは複数の、例えば2個またはそれより多くの、3個またはそれより多くの、4個またはそれより多くの、または5個またはそれより多くの上記のような遺伝子突然変異を含んでいてもよい。
例えば、細菌は、次のものから成る群から選択される1つまたは複数(例えば2個またはそれ以上)の遺伝子突然変異を含んでいてもよい:
Irp遺伝子内に、コードされたポリペプチド中D143の位置でのアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、
rho遺伝子内に、コードされたポリペプチド中R87の位置でのアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、
eno遺伝子内に、コードされたポリペプチド中V164の位置でのアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、および
argP遺伝子内に、コードされたポリペプチド中V164の位置でのアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換。
例えば、細菌は、次のものから成る群から選択される1つまたは複数(例えば2個またはそれより多く)の遺伝子突然変異を含んでいてもよい:
Irp遺伝子内に、コードされたポリペプチド中アミノ酸置換D143Gを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、
rho遺伝子内に、コードされたポリペプチド中アミノ酸置換R87Lを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、
eno遺伝子内に、コードされたポリペプチド中アミノ酸置換V164Lを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、および
argP遺伝子内に、コードされたポリペプチド中アミノ酸置換V164Lを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌はコードされたポリペプチド中のY356の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をthrA遺伝子内に含み、前記置換は、Y356C、Y356T、Y356V、Y356S、Y356W、Y356Q、Y356G、Y356N、Y356D、Y356E、Y356F、Y356A、Y356I、Y356P、Y356H、Y356RおよびY356Lから成る群から選択され;コードされたポリペプチド中のS357の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含み、前記置換は、S357R、S357V、S357P、S357G、S357L、S357Y、S357A、S357N、S357F、S357H、S357K、S357IおよびS357Mから成る群から選択される;および/またはコードされたポリペプチド中のS359の位置でアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換を含み、前記置換は、S359R、S359G、S359M、S359F、S359T、S359P、S359V、S359Q、S359A、S359C、S359K、S359EおよびS359Lから成る群から選択される;ならびに次のもの:
Irp遺伝子内に、コードされたポリペプチド中D143の位置でのアミノ酸置換(例えばD143G)を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、
rho遺伝子内に、コードされたポリペプチド中R87の位置でのアミノ酸置換(例えばR87L)を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、
eno遺伝子内に、コードされたポリペプチド中のV164の位置でのアミノ酸置換(例えばV164L)を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、および
argP遺伝子内に、コードされたポリペプチド中のV164の位置でのアミノ酸置換(例えばV164L)を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換
から選択される1つまたは複数(例えば2個またはそれ以上)の遺伝子突然変異を含む。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、Y356C、S357RおよびS359Rから成る群から選択されるコードされたポリペプチド中に1つまたは複数のアミノ酸置換を生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をthrA遺伝子内に含む;ならびに次のもの:
Irp遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換D143Gを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、または
rho遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換R87Lを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、
eno遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換V164Lを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、および
argP遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換V164Lを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、
から成る群から選択される1つまたは複数(例えば2個またはそれより多く)の遺伝子突然変異を含む。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換Y356Cを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をthrA内に含み;ならびに次のもの:
Irp遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換D143Gを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、
rho遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換R87Lを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、
eno遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換V164Lを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、および
argP遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換V164Lを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換
から成る群から選択される1つまたは複数(例えば2個またはそれより多く)の遺伝子突然変異を含む。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換S357Rを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をthrA遺伝子内に含む;および次のもの:
Irp遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換D143Gを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、
rho遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換R87Lを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、
eno遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換V164Lを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、および
argP遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換V164Lを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、
から成る群から選択される1つまたは複数(例えば2個またはそれより多く)の遺伝子突然変異を含む。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換S359Rを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換をthrA遺伝子内に含む;および次のもの:
Irp遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換D143Gを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、
rho遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換R87Lを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、
eno遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換V164Lを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、および
argP遺伝子内に、コードされたポリペプチド中にアミノ酸置換V164Lを生じる1つまたは複数のヌクレオチド置換、
から成る群から選択される1つまたは複数(例えば2個またはそれより多く)の遺伝子突然変異を含む。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌はそのゲノム内にrhtA遺伝子の最初の5塩基対の欠失、遺伝子ompXとybiPの完全な欠失、239塩基対のsRNA rybAの欠失および77塩基対の遺伝子mntSの欠失を含む。特定の実施態様によれば、細菌はそのゲノム内に、ゲノム配列NC_000913中、850092の位置に相応する位置から約2854塩基対の欠失を含む。この欠失は、遺伝子rhtA遺伝子の最初の5塩基対の欠失、遺伝子ompXとybiPの完全な欠失、239塩基対のsRNA rybAの欠失および77塩基対の遺伝子mntSの欠失を生じる。このような欠失は、ラムダ・レッドまたはcam−sacB−系の使用により達成できる。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、そのゲノム内で遺伝子trxAとrhoの間の遺伝子間領域に、挿入配列エレメントIS1(例えば、約768塩基対の長さを有する)の挿入を含む。特定の実施態様によれば、細菌は、そのゲノム内にゲノム配列NC_000913中の位置3966174に相応する位置で、ラギング鎖中に挿入配列エレメントIS1(例えば、約768塩基対の長さを有する)の挿入を有する。具体的な実施態様によれば、細菌は更に、挿入配列の約9塩基上流と下流で重複を含む。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、そのゲノム内で遺伝子gcvAとygdlの間の遺伝子間領域に1塩基対の挿入を含む。特定の実施態様によれば、細菌は、そのゲノム内にゲノム配列中NC_000913中の位置2942629に相応する位置で、1塩基対の挿入を含む。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、そのゲノム内で遺伝子gcvAとygdlの間の遺伝子間領域に、挿入配列エレメントIS4(例えば、約1342塩基対の長さを有する)の挿入を含む。特定の実施態様によれば、細菌は、そのゲノム内にゲノム配列中NC_000913中の位置2942878に相応する位置で、挿入配列エレメントIS4(例えば、約1342塩基対の長さを有する)の挿入を含む。具体的な実施態様によれば、細菌は更に、挿入配列の約13塩基対上流と下流で重複を含む。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、そのゲノム内で遺伝子dapAとgcvRの間の遺伝子間領域に1塩基対の挿入を含む。特定の実施態様によれば、細菌は、そのゲノム内にゲノム配列NC_000913中の位置2599854に相応する位置で、1塩基対の挿入を含む。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、そのゲノム内に遺伝子frcのトランケーションにつながる挿入配列エレメントIS1(例えば、約768塩基対の長さを有する)の挿入を含む。特定の実施態様によれば、細菌は、そのゲノム内にゲノム配列NC_000913中の位置2492323に相応する位置で、ラギング鎖中に挿入配列エレメントIS1(例えば、約768塩基対の長さを有する)の挿入を含む。具体的な実施態様によれば、細菌は更に、挿入配列の9塩基対上流と下流で重複を含む。
その他の特定の実施態様によれば、本発明の細菌を更に変性させてfrc遺伝子の発現を減衰する(例えば、遺伝子の不活性化により)。遺伝子発現の減衰およびより具体的には不活性化は、本明細書中で先に説明したように達成できる。例えば、ラムダ・レッド媒介遺伝子交換を遺伝子発現の不活性化に使用してもよい。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌はそのゲノム内に遺伝子aroPの大半の欠失につながる挿入配列エレメントIS5(例えば、約1195塩基対の長さを有する)の挿入を含む。特定の実施態様によれば、細菌は、そのゲノム内にゲノム配列NC_000913中の位置121518に相応する位置で、挿入配列エレメントIS5(例えば、約1195塩基対の長さを有する)の挿入を含む。具体的な実施態様によれば、細菌は更に、挿入配列の4塩基対上流と下流で重複を含む。
その他の特定の実施態様によれば、本発明の細菌を更に変性させてaroP遺伝子の発現を減衰した(例えば、遺伝子の不活性化により)。遺伝子発現の減衰およびより具体的には不活性化は、本明細書中で先に説明したように達成できる。例えば、ラムダ・レッド媒介遺伝子交換を遺伝子発現の不活性化に使用してもよい。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌はそのゲノム内に遺伝子mdtJとtqsAの間の遺伝子間領域に、挿入配列エレメントIS1(例えば、約768塩基対の長さを有する)の挿入を含む。
特定の実施態様によれば、細菌はそのゲノム内にゲノム配列NC_000913中の位置1673670に相応する位置で、ラギング鎖中に挿入配列エレメントIS1(例えば、約768塩基対の長さを有する)の挿入を含む。具体的な実施態様によれば、細菌は更に、挿入配列の9塩基対上流と下流で重複を含む。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌はそのゲノム内に、遺伝子trxBとIrpの間の遺伝子間領域にC→T置換のようなヌクレオチド置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はそのゲノム内にゲノム配列NC_000913中の位置923321に相応する位置で、C→T置換のようなヌクレオチド置換を含む。このような突然変異は、trxBの271塩基対上流と、Irpの274塩基対上流である。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌はそのゲノム内に、遺伝子yftBとfklBの間の遺伝子間領域に、T→C置換のようなヌクレオチド置換を含む。特定の実施態様によれば、細菌はそのゲノム内に、ゲノム配列中NC_000913中の位置4428871に相応する位置で、T→C置換のようなヌクレオチド置換を含む。このような突然変異は、yftBの154塩基対上流とfklBの64塩基対上流である。
本明細書中での更なる実証として(例えば、遺伝子の不活性化により)、リバースエンジニアリングした株においてグルコース6−ホスフェート−1−デヒドロゲナーゼ(G6PDH)活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現の減衰(例えば、遺伝子の不活性化による)は、表S9(例8)に示されているように、グルコースからL−セリンの著しく増大した生産および収率を生じた。
従って、特定の実施態様によれば、本発明の細菌を変性させて、グルコース6−ホスフェート−1−デヒドロゲナーゼ(G6PDH)活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰した。より具体的には、本発明は遺伝子zwfの発現を減衰するように変性させておいた細菌を提供する。例えば、大腸菌のzwfに関する更なる情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号EG11221で入手可能である。zwfの代表的なヌクレオチド配列は、配列番号30に記載されている。
遺伝子発現は、遺伝子の不活性化により減衰されてもよい。従って、本発明による細菌は、グルコース6−ホスフェート−1−デヒドロゲナーゼ(G6PDH)活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子を変性し不活性化したものであることができる(例えば、遺伝子の不活性化により)。
遺伝子発現の減衰およびより具体的には不活性化は、本明細書中で先に説明したように達成できる。例えば、ラムダ・レッド媒介遺伝子交換を遺伝子発現の不活性化に使用してもよい。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌は、brnQ遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチドは308の位置の後またはその上流の任意の位置で終了する。その他の特定の実施態様によれば、本発明の細菌を更に変性しbrnQ遺伝子の発現を減衰させた(例えば、遺伝子の不活性化により)。遺伝子発現の減衰およびより具体的には不活性化は、本明細書中で先に説明したように達成できる。例えば、ラムダ・レッド媒介遺伝子交換を遺伝子発現の不活性化に使用してもよい。
特定の実施態様によれば、本発明の細菌を更に変性してグルコース6−ホスフェート−1−デヒドロゲナーゼ(G6PDH)活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰させた;thrA遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチド中357の位置でセリンはアルギニンに置換されている;rho遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチド中87の位置でRはLに置換されている;およびbrnQ遺伝子によりコードされたポリペプチドを発現し、その際、前記ポリペプチドは308の位置の後ろで、またはその上流の任意の位置で終了する。二者択一的に、細菌を変性してbrnQ遺伝子の発現を減衰してもよい(例えば、遺伝子の不活性化により)。遺伝子発現を減衰する適切な方法は、先に説明してある。
例えば、大腸菌のbrnQに関する更なる情報は、EcoCyc(www.biocyc.org)において登録番号EG12168で入手可能である。brnQの代表的なアミノ酸配列は、配列番号31に記載されている。
具体的な実施態様によれば、細菌を更に変性して遺伝子zwfの発現を減衰させた(例えば、遺伝子の不活性化により);配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたは配列番号11に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列中357の位置でセリンはアルギニンに置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する;
配列番号13に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたは配列番号13に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列中87の位置でRはLに置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する;および配列番号32に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたは配列番号32に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。
具体的な実施態様によれば、細菌を更に変性して遺伝子zwfとbrnQの発現を減衰させる(例えば、遺伝子の不活性化により);および配列番号11に記載のアミノ酸配列(その際、前記アミノ酸配列中357の位置でセリンはアルギニンに置換されている)を有するポリペプチドまたは配列番号11に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する;配列番号13に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたは配列番号13に記載のアミノ酸配列(前記アミノ酸配列中87の位置でRはLに置換されている)に少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを発現する。
先に詳説した通りに、本発明の細菌を変性して本明細書中で詳説したような特定のポリペプチドを過剰発現させるようにしてもよい。これは前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む外因性核酸分子、例えば、DNA分子を細菌に導入することを意味する。外因性核酸分子、例えば、DNA分子を細菌細胞に導入する技術は、当業者に周知であり、かつとりわけ形質転換(例えば、ヒートショックまたは自然形質転換)を含む。
細菌内でのポリペプチドの過剰発現を促進するために、外因性核酸分子は、適切な調節エレメント、例えば、プロモーターを含んでいてもよく、これは細菌細胞中で機能し、mRNAの生産を引き起こし、かつこれは前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に作動的に連結する。
本発明に従って有用なプロモーターは、mRNA分子の生産を引き起こす所定の宿主細胞中で機能する任意の公知のプロモーターである。このような多くのプロモーターは、当業者に公知である。このようなプロモーターには、通常は他の遺伝子と関連するプロモーターおよび/または細菌から単離されたプロモーターが含まれる。タンパク質発現用のプロモーターの使用は、分子生物学の専門家には一般的に公知である(例えば、Sambrook等;Molecular cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor N.Y.1989を参照のこと)。使用されるプロモーターは、誘発的であってよく、例えば、温度誘発性プロモーターであってよい(例えば、pLまたはpRファージλプロモーター、それぞれは温度に敏感なλリプレッサーc1857により制御することができる)。
プロモーターに関連して使用される“誘発性”という用語は、刺激が存在する場合に、例えば、温度変化または化学物質の存在で(“ケミカルインデューサー”)、プロモーターが作動的に連結したヌクレオチド配列の転写だけを導くことを意味する。ここで使用されているように、本発明による“化学的誘発”は、宿主細胞への外因性もしくは内因性物質(マクロ分子、例えば、タンパク質または核酸を含む)の物理的適用を意味する。これは、宿主細胞中に存在する標的プロモーターに、転写率を上げさせる効果を有する。二者択一的に、使用されるプロモーターは構成的であってよい。プロモーターに関連して使用される“構成的”という用語は、刺激(例えば、ヒートショック、化学物質など)が無くても作動的に連結したヌクレオチド配列の転写を導くことができることを意味する。
温度誘発系は、例えば、熱感受性のリプレッサーにより抑制されるプロモーターの使用によりはたらく。これらのリプレッサーはより低温で、例えば30℃で活性である。一方で、37℃では正しくフォールドできないので不活性である。従って、このような回路は、関心のある遺伝子を直接制御するために使用できる(St−Pierre等、2013)、またリプレッサーと一緒に遺伝子のゲノム挿入により使用できる。このような温度誘発性発現系の例は、熱感受性C1857リプレッサーにより制御されるPLおよび/またはpRλファージプロモーターに基づいている。ゲノムに導入されたDE系と類似して、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子の発現は、温度制御プロモーター系により制御してもよい(Mertens等、1995)、一方で、関心のある遺伝子の発現はT7プロモーターを使用して制御できる。
大腸菌のような細菌中で機能するプロモーターの限定されない例には、構成的および誘発性プロモーター、例えばT7プロモーター、β−ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系;アルカリホスファターゼ(phoA)プロモーター、トリプトファン(trp)プロモーター系、テトラサイクリンプロモーター、λ−ファージプロモーター、リボソームタンパク質プロモーターおよびハイブリッドプロモーター、例えばtacプロモーターが含まれる。その他の細菌および合成タンパク質も適切である。
プロモーターの他に、外因性核酸分子は更に、5’非翻訳領域(5’UTR)および3’非翻訳領域(3’UTR)から選択される少なくとも1つの調節エレメントを含んでもよい。原核生物と真核生物から由来するこのような5’UTRsと3’UTRsの多くは、当業者に周知である。このような調節エレメントには、通常は他の遺伝子と関連する5’UTRsと3’UTRsおよび/または任意の細菌から単離された5’UTRsと3’UTRsが含まれる。
通常は、5’UTRは、開始コドンから3〜10塩基対上流のシャイン・ダルガノ配列としても公知であるリボソーム結合部位(RBS)を含む。
外因性核酸分子は、ベクターまたはベクターの部分、例えば、発現ベクターであってもよい。通常は、このようなベクターは、細菌細胞内の染色体外に留まる。このことは、該ベクターが細菌の核または核様体領域の外側に見出されることを意味する。
また本発明により、外因性核酸分子を細菌のゲノム中に安定して挿入することも企てられている。宿主細胞のゲノムへ安定して挿入するための手段、例えば、相同組換えは当業者に周知である。
本発明に従う細菌は、任意の適切な細菌、例えばグラム陽性もしくはグラム陰性細菌から生産できる。
本発明の細菌の誘導に使用できる細菌の例は、腸内細菌科の属、例えば、大腸菌、アルセノフォナス(Arsenophonus)、ビオストラチコラ(Biostraticola)、ブレンネリア(Brenneria)、ブフネラ(Buchnera)、ブドビシア(Budvicia)、ブティアウクセラ(Buttiauxella)、セデセア(Cedecea)、シトロバクター(Citrobacter)、コセンゾエア(Cosenzaea)、クロノバクター(Cronobacter)、ディケヤ(Dickeya)、エドワージエラ(Edwardsiella)、エンテロバクター(Enterobacter)、エルウィニア(Erwinia)、エウィンゲラ(Ewingella)、ギッブシエラ(Gibbsiella)、ハフニア(Hafnia)、クレブシエラ(Klebsiella)、レクレルシア(Leclercia)、レミノレラ(Leminorella)、ロンスダレア(Lonsdalea)、モングロビバクター(Mangrovibacter)、モエレレッラ(Moellerella)、モルガネラ(Morganella)、オベスムバクテリウム(Obesumbacterium)、パントエア(Pantoea)、ペクトバクテリウム(Pectobacterium)、ファセオリバクター(Phaseolibacter)、フォトルハブダス(Photorhabdus)、プレシオモナス(Plesiomonas)、プロテウス(Proteus)、ラーネラ(Rahnella)、ラオウルテラ(Raoultella)、サッカロバクター(Saccharobacter)、サルモネラ(Salmonella)、サムソニア(Samsonia)、セラチア(Serratia)、シムウェリア(Shimwellia)、ソダーリス(Sodalis)、タツメラ(Tatumella)、トルセリア(Thorsellia)、トラブルシエラ(Trabulsiella)、ウィグルスウォーチア(Wigglesworthia)、エルシニア(Yersinia)およびヨーケネラ(Yokenella)から成る群から選択される属に属する細菌である。
その他の特定の実施態様によれば、細菌は、大腸菌、バチルス(Bacillus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、クロストリジウム(Clostridium)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、ゲオバチルス(Geobacillus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、シュードモナス(Pseudmonas)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、シゲラ(Shigella)、アシネトバクター(Acinetobacter)、シトロバクター(Citrobacter)、サルモネラ(Salmonella)、クレブシエラ(Klebsiella)、エンテロバクター(Enterobacter)、エルウィニア(Erwinia)、クルイベラ(Kluyvera)、セラチア(Serratia)、セデセア(Cedecea)、モルガネラ(Morganella)、ハフニア(Hafnia)、エドワージエラ(Edwardsiella)、プロビデンシア(Providencia)、プロテウス(Proteus)およびエルシニア(Yersinia)から選択される群から選択される属に属する。
具体的な実施態様によれば、細菌は大腸菌属に属する。具体的な実施態様によれば、細菌は大腸菌である。本発明の細菌を誘導するために使用できる大腸菌属に属する細菌の限定されない例は、大腸菌K−12(特に、亜株MG1655またはW3110)、BL21、W、またはCrooksである。より具体的な実施態様によれば、細菌は大腸菌K−12である。
具体的な実施態様によれば、細菌はコリネバクテリウム属に属する。コリネバクテリウム属の細菌の限定されない例は、コリネバクテリウム・グルタミカムである。より具体的な実施態様によれば、細菌はコリネバクテリウム・グルタミカムである。
その他の具体的な実施態様によれば、細菌はバチルス属に属する。バチルス属の細菌の限定されない例は、バチルス・サブチリス、バチルス・アミロリクエファシエンス、バチルス・リケニフォルミスおよびバチルス・モヤベンシスである。より具体的な実施態様によれば、細菌はバチルス・サブチリスである。その他のより具体的な実施態様によれば、細菌は、バチルス・リケニフォルミスである。
具体的な実施態様によれば、細菌はラクトコッカス属に属する。ラクトコッカス属の細菌の限定されない例は、ラクトコッカス・ラクティスである。より具体的な実施態様によれば、細菌はラクトコッカス・ラクティスである。
その他の具体的な実施態様によれば、細菌はストレプトマイセスに属する。ストレプトマイセス属の細菌の限定されない例は、ストレプトマイセス・リビダンス、ストレプトマイセス・セリカラー、またはストレプトマイセス・グリセウスである。より具体的な実施態様によれば、細菌はストレプトマイセス・リビダンスである。その他のより具体的な実施態様によれば、ストレプトマイセス・セリカラーである。その他のより具体的な実施態様によれば、細菌はストレプトマイセス・グリセウスである。
その他の具体的な実施態様によれば、細菌はシュードモナス属に属する。シュードモナス属の細菌の限定されない例は、シュードモナス・プチダである。より具体的な実施態様によれば、細菌はシュードモナス・プチダである。
本発明の方法
また本発明は、本発明による細菌を使用するL−セリンまたはL−セリン誘導体の製造方法を提供する。特に、本発明はL−セリンまたはL−セリン誘導体の製造方法を提供し、前記方法は、本明細書中で詳説したような細菌の培地中での培養を含む。
特定の実施態様によれば、本発明はL−セリンの製造方法を提供する。特に、本発明はL−セリンの製造方法を提供し、前記方法は、本明細書中で詳説したような細菌を培地中で培養することを含む。該方法は、更にL−セリンを培地から回収することを含んでもよい。
特定の実施態様によれば、本発明はL−セリン誘導体の製造方法を提供する。特に。本発明はL−セリン誘導体の製造方法を提供し、前記方法は本明細書中で詳説したような細菌を培地中で培養することを含む。L−セリン誘導体は、L−システイン、L−メチオニン、L−グリシン、O−アセチルセリン、L−トリプトファン、チアミン、エタノールアミンおよびエチレングリコールから成る群から選択されてもよい。該方法は、更にL−セリン誘導体を培地から回収することを含んでもよい。
特定の実施態様によれば、本発明はL−システインの製造方法を提供する。特に、本発明はL−システインの製造方法を提供し、前記方法は本明細書中で詳説したような細菌を培地中で培養することを含む。該方法は、更にL−システインを培地から回収することを含んでもよい。
特定の実施態様によれば、本発明はL−メチオニンの製造方法を提供する。特に、本発明はL−メチオニンの製造方法を提供し、前記方法は本明細書中で詳説したような細菌を培地中で培養することを含む。該方法は、更にL−メチオニンを培地から回収することを含んでもよい。
特定の実施態様によれば、本発明はL−グリシンの製造方法を提供する。特に、本発明はL−グリシンの製造方法を提供し、前記方法は本明細書中で詳説したような細菌を培地中で培養することを含む。該方法は、更にL−グリシンを培地から回収することを含んでもよい。
特定の実施態様によれば、本発明はO−アセチルセリンの製造方法を提供する。特に、本発明はO−アセチルセリンの製造方法を提供し、前記方法は本明細書中で詳説したような細菌を培地中で培養することを含む。該方法は、更にO−アセチルセリンを培地から回収することを含んでもよい。
特定の実施態様によれば、本発明はL−トリプトファンの製造方法を提供する。特に、本発明はL−トリプトファンの製造方法を提供し、前記方法は本明細書中で詳説したような細菌を培地中で培養することを含む。該方法は、更にL−トリプトファンを培地から回収することを含んでもよい。
特定の実施態様によれば、本発明はチアミンの製造方法を提供する。特に、本発明はチアミンの製造方法を提供し、前記方法は本明細書中で詳説したような細菌を培地中で培養することを含む。該方法は、更にチアミンを培地から回収することを含んでもよい。
特定の実施態様によれば、本発明はエタノールアミンの製造方法を提供する。特に、本発明はエタノールアミンの製造方法を提供し、前記方法は本明細書中で詳説したような細菌を培地中で培養することを含む。該方法は、更にエタノールアミンを培地から回収することを含んでもよい。
特定の実施態様によれば、本発明はエチレングリコールの製造方法を提供する。特に、本発明はエチレングリコールの製造方法を提供し、前記方法は本明細書中で詳説したような細菌を培地中で培養することを含む。該方法は、更にエチレングリコールを培地から回収することを含んでもよい。
使用される培地は、当該の細菌細胞を培養するために適切な通常の培地であってもよく、かつ従来技術の原則に従って構成されていてもよい。培地は、通常は個々の細菌の成長と生存に必要な全ての栄養素、例えば、炭素および窒素源ならびにその他の無機塩を含有するであろう。適切な培地、例えば、最小もしくは複合培地は市場の供給者から入手可能であるか、または公開されているレシピ、例えば、the American Type Culture Collection(ATCC)の株カタログに従って調製してもよい。当業者に公知である限定されない標準培地には、ルリアベルターニ(LB)培地、サブローデキストロース(SD)培地、MS培地、酵母ペプトンデキストロース、BMMY、GMMYまたは酵母麦芽エキス(YM)培地が含まれ、これらは全て市販されている。大腸菌細胞のような細菌細胞を培養するために適切な限定されない培地の例には、最小培地およびリッチ培地、例えば、ルリアブロス(LB)、M9培地、M17培地、SA培地、MOPS培地、Terrific培地、YTおよびその他のものが含まれる。
L−セリンまたはL−セリン誘導体の収率を更に上げるために、培地に更にL−トレオニンを補充してもよい。培地は、一般的にL−トレオニンを約0.05〜約10g/Lの濃度で、例えば、約0.05〜約5g/lの濃度で、約0.05〜約2.5g/Lの濃度で、約0.05〜約1g/Lの濃度でまたは約0.05〜約0.5g/Lの濃度で含有してもよい。特定の実施態様によれば、培地は、L−トレオニンを約0.05〜約5g/Lの濃度で含有している。その他の特定の実施態様によれば、培地は、L−トレオニンを例えば、約0.05〜約2.5g/Lの濃度で含有する。その他の特定の実施態様によれば、培地は、L−トレオニンを約0.05〜約1g/Lの濃度で含有する。その他の特定の実施態様によれば、培地は、L−トレオニンを例えば、約0.05〜約0.5g/Lの濃度で含有する。その他の特定の実施態様によれば、培地は、L−トレオニンを約0.1〜約1g/Lの濃度で含有する。その他の特定の実施態様によれば、培地はL−トレオニンを例えば、約0.2〜約1g/Lの濃度で含有する。
炭素源は、当技術分野で公知の適切な任意の炭素基質および特に、細菌の培養および/または発酵で一般的に使用されている任意の炭素基質であってよい。適切に発酵可能な炭素基質の限定されない例は、五炭糖(アラビノースまたはキシロース)、六炭糖(例えば、グルコース)、アセテート、グリセロール、植物油、酵母エキス、ペプトン、カサミノ酸またはこれらの混合物である。特に関心のある炭素源は、グルコースのような六炭糖である。
窒素源として、様々なアンモニウム塩、例えば、アンモニアおよび硫酸アンモニウム、その他の窒素化合物、例えばアミン、中性窒素源、例えばペプトン、大豆加水分解物、および消化発酵微生物を使用できる。ミネラルとして、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸鉄、硫酸マンガン、塩化カルシウムおよびそのようなものを使用できる。
培養は、有利には通気条件下に行うことができ、例えば、約20〜約40℃の温度で、例えば、約30〜38℃、有利には約37℃で振盪培養により、および通気しながら撹拌培養により行うことができる。培養のpHは、通常は約5〜約9、例えば約6.5〜7.5である。培養のpHは、アンモニア、炭酸カルシウム、様々な酸、様々な塩基ならびに緩衝液で調節できる。通常は1〜5日間の培養は培地中にL−セリンの蓄積をもたらす。
培養後に、細胞のような固体を遠心分離または膜濾過により培地から除去できる。L−セリンまたはL−セリン誘導体は、化学化合物を単離および精製する通常の方法により培地から回収できる。周知の精製造方法には、これに限定されるわけではないが、遠心分離または濾過、沈殿法、イオン交換、クロマトグラフ法、例えば、イオン交換クロマトグラフィーまたはゲル濾過クロマトグラフィーおよび結晶化法が含まれる。
従って、本発明は本明細書中で詳説した方法により得られるL−セリンまたはL−セリン誘導体を提供する。
その他の特定の定義
本明細書中で使用されているような“L−セリンを生産する能力のある細菌”という用語は、培地中でL−セリンを生産でき、かつ蓄積を生じることができる細菌を意味し、該細菌を2g/Lグルコース、2mMグリシンおよび1mMトレオニンを補充した最小M9培地中で十分に通気しながら37℃で40時間培養した場合に、少なくとも0.4g/Lの量の蓄積を生じることができることを意味する。
本明細書中で使用されているような“セリンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰するように変性した細菌”というフレーズは、変性された細菌が、セリンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドを少量含有するように細菌が変性されたことを意味する。より具体的には、このフレーズは細菌がセリンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドを合成できないことを意味する。
本明細書中で使用されているような“セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰するように変性した細菌”というフレーズは、変性された細菌が、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドを少量含有するように細菌が変性されたことを意味する。より具体的には、このフレーズは、細菌がセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドを合成できないことを意味する。
本明細書中で使用されているような“グルコース6−ホスフェート−1−デヒドロゲナーゼ(G6PDH)活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰するように変性した細菌”というフレーズは、変性された細菌が、少量のグルコース6−ホスフェート−1−デヒドロゲナーゼ(G6PDH)を有するポリペプチドを含有するように細菌が変性されたことを意味する。より具体的には、このフレーズは、細菌がグルコース6−ホスフェート−1−デヒドロゲナーゼ(G6PDH)活性を有するポリペプチドを合成できないことを意味する。
本明細書中で使用されているような“セリンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰するように変性した酵母”というフレーズは、変性された酵母が、セリンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドを少量含有するように酵母が変性されたことを意味する。より具体的には、このフレーズは、酵母がセリンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドを合成できないことを意味する。
本明細書中で使用されているような“セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子の発現を減衰するように変性した酵母”というフレーズは、変性された酵母が、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドを少量含有するように酵母を変性したことを意味する。より具体的には、このフレーズは、酵母がセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドを合成できないことを意味する。
“遺伝子の不活性化”というフレーズは、変性された遺伝子が完全に機能の無いタンパク質をコード化することを意味することができる。また、遺伝子配列の一部もしくは全体の欠失により、遺伝子のリーディングフレームのシフトにより、ミスセンス/ノンセンス突然変異の導入により、または遺伝子の隣接領域(遺伝子発現を制御する配列、例えば、プロモーター、エンハンサー、アテニュエーター、リボソーム結合部位などを含む)の変性により、変性されたDNA領域が遺伝子を自然に発現できないようにすることもできる。有利には、関心のある遺伝子は、全体の遺伝子配列の一部または全体の欠失、例えば遺伝子交換により不活性化される。
細菌の染色体上に遺伝子が存在するかまたは不在であるかは、PCR、サザンブロッティングおよびそのようなものを含む周知の方法により検出できる。更に、ノーザンブロッティング、定量的RT−PCRおよびそのようなものを含む様々な周知の方法を使用して、遺伝子発現レベルは、遺伝子から転写されたmRNAの量の測定により評価することもできる。遺伝子によりコードされるタンパク質の量は、SDS−PAGEそれに続く免疫ブロットアッセイ(ウェスタンブロッティング分析)およびそのようなものを含む周知の方法により測定できる。
本明細書中では“ポリペプチド”と“タンパク質”は、ほとんど同じ意味で使用され、長さまたは後翻訳変性(例えば、グリコシル化、リン酸化、脂質化、ミリスチル化、ユビキチン化など)に関わらずアミド結合により共有結合した少なくとも2つのアミノ酸のポリマーを意味する。この定義に含まれるものは、D−アミノ酸とL−アミノ酸ならびにD−アミノ酸とL−アミノ酸の混合物である。
本明細書中では“核酸”または“ポリヌクレオチド”は、ほとんど同じ意味で使用され、長さまたは塩基の変性にかかわらず、ホスホジエステル結合により共有結合した少なくとも2つの核酸モノマーユニットまたは塩基(例えば、アデニン、シトシン、グアニン、チミン)のポリマーを意味する。
例えば、宿主細胞、核酸またはポリペプチドに関して“組換体”または“非天然に生じる”という用語が使用される場合には、自然界には存在しない方法で変性された材料、または自然界に相当する材料または材料の天然型、またはこれに等しいが合成材料から生産もしくは誘導されたものおよび/または組換え技術を使用する操作により変性されたものを意味する。限定されない例には、とりわけ、細胞の天然(非組換体)型では見出されない遺伝子を発現する組換体宿主細胞、またはさもなければ異なるレベルで発現される在来遺伝子の発現が含まれる。
本明細書で使用されているような“異種”とは、ポリペプチドが通常は宿主生物中では見出されないかまたは宿主生物により作られ(すなわち発現され)ないが、異なる種から由来することを意味する。
“置換”または“置換された”とは、1つのアミノ酸残基を他のものと交換することによるポリペプチドの変性を意味し、例えば、ポリペプチド配列中でのセリン残基とグリシンまたはアラニン残基の交換は、アミノ酸置換である。ポリヌクレオチドに関連して使用する場合には、“置換”または“置換された”とは、1つのヌクレオチドを他のものと交換することによるポリヌクレオチドの変性を意味し、例えば、ポリヌクレオチド配列中でのシトシンとチミンの交換は、ヌクレオチド置換である。
ポリペプチドに関連して使用される場合には“保存的置換”とは、アミノ酸残基と類似の側鎖を有する異なる残基との置換を意味する。よって、ポリペプチド中のアミノ酸と、同じポリペプチド中のアミノ酸の置換もしくは、類似したクラスのアミノ酸の置換に通常は関わる。一例として、かつ限定されないものとして、脂肪族側鎖を有するアミノ酸は他の脂肪族アミノ酸と置換できる(例えば、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン);ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸は、ヒドロキシル側鎖を有する他のアミノ酸と置換できる(例えば、セリンおよびトレオニン);芳香族側鎖を有するアミノ酸は、芳香族側鎖を有する他のアミノ酸と置換できる(例えば、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンおよびヒスチジン);塩基性側鎖を有するアミノ酸は、塩基性側鎖を有する他のアミノ酸と置換できる(例えば、リジンおよびアルギニン);酸性側鎖を有するアミノ酸は、酸性側鎖を有する他のアミノ酸と置換できる(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸);および疎水性または親水性アミノ酸は、それぞれ他の疎水性または親水性アミノ酸と交換される。
ポリペプチドに関連して使用される場合の“非保存的置換”とは、ポリペプチド中のアミノ酸と、著しく異なる側鎖の特性を有するアミノ酸との置換を意味する。非保存的置換は、むしろ定義した群内よりは、定義した群間で使用してよく、かつ(a)置換(例えば、セリンをグリシンに)の周辺の場所でのペプチド骨格の構造、(b)電荷または疎水性度、または(c)側鎖の大きさに影響を与える。一例かつ制限されないものとして、例示的な非保存的置換は、塩基性または脂肪族アミノ酸と置換した酸性アミノ酸;小さなアミノ酸と置換した芳香族アミノ酸;および疎水性アミノ酸と置換した親水性アミノ酸であることができる。
“欠失”または“欠失された”がポリペプチドに関連して使用される場合には、参照ポリペプチド中の1つまたは複数のアミノ酸の除去によるポリペプチドの変性を意味する。欠失は、酵素活性を保持しながらおよび/または設計された酵素の改善された特性を保持しながら、1個または複数のアミノ酸の除去、2個またはそれより多くのアミノ酸、5個またはそれより多くのアミノ酸、10個またはそれより多くのアミノ酸、15個またはそれより多くのアミノ酸、20個またはそれより多くのアミノ酸の除去、ポリペプチドを形成しているアミノ酸の総数の10%までの除去、アミノ酸の総数の20%までの除去を含む。欠失は、ポリペプチドの内側部分および/または末端部分を支配することができ、様々な実施態様では、欠失は連続セグメントを含むことができるかまたは不連続的であることができる。
“挿入”または“挿入された”がポリペプチドに関連して使用される場合には、1つまたは複数のアミノ酸を参照ポリペプチドに付加することによるポリペプチドの変性を意味する。挿入は、1つまたはそれより多くのアミノ酸、2個またはそれより多くのアミノ酸、5個またはそれより多くのアミノ酸、10個またはそれより多くのアミノ酸、15個またはそれより多くのアミノ酸、または20個またはそれより多くのアミノ酸の付加を含むことができる。挿入は、ポリペプチドの内側の部分にあるか、またはカルボキシもしくはアミノ末端にあることができる。挿入は、アミノ酸の連続セグメントであるか、または参照ポリペプチド中で1つまたは複数のアミノ酸により分けられていてもよい。
“発現”には、ポリペプチド(例えば、コードされた酵素)の生産に関与するいずれかの工程、これに限定されるわけではないが、転写、後転写変性、翻訳、後翻訳変性および分泌が含まれる。
本明細書中で使用されているように、“ベクター”とは、これが結合した他の核酸分子を輸送できる核酸分子を意味する。ベクターの1つのタイプは、“プラスミド”であり、これは円形の二本鎖核酸ループであり、これに更なる核酸セグメントがライゲートできる。特定のベクターは遺伝子の発現を支配でき、これらの遺伝子にベクターが作動的に結合する。このようなベクターは、本明細書中では“発現ベクター”と称される。その他の特定のベクターは、外因性核酸分子が細菌のゲノムに挿入するのを促進させることができる。本明細書中では、このようなベクターは“形質転換ベクター”と称される。一般的に、組換え核酸技術で利用されるベクターは、しばしばプラスミドの形である。本明細書中では、“プラスミド”と“ベクター”は、ほとんど同じ意味で使用できる。それというのも、プラスミドが最も一般的に使用されるベクターの形であるからである。多数の適切なベクターは、当業者に公知であり、かつ市販されている。
本明細書中で使用されているように“プロモーター”とは、DNAの配列、通常は構造遺伝子のコード領域の上流(5’)を意味し、これはRNAポリメラーゼおよび転写の開始に必要であろうその他のファクターに認識部位と結合部位を提供することにより、コード領域の発現を制御する。プロモーターの選択は、関心のある核酸配列によるであろう。適切な“プロモーター”は、一般的に本発明の細菌中で転写の開始をサポートでき、mRNA分子の生産を引き起こすものである。
本明細書中で使用されているように“作動的に結合する”とは、記載したコンポーネントが、意図した方法で機能できるようにする関係にある近位を意味する。コーディング配列に“作動的に結合した”コントロール配列は、コーディング配列がコントロール配列と適合する条件下に達成される。プロモーター配列は、これが遺伝子の転写開始部位に十分に近い場合に遺伝子に“作動的に連結”して遺伝子の転写を制御する。
“配列相同性のパーセンテージ”、“%配列相同性”および“パーセント相同性”は、アミノ酸配列と参照アミノ酸配列の間の比較を参照するために本明細書では使用される。
本明細書で使用されているような“%配列相同性”は、以下のように2つのアミノ酸配列から計算される:バージョン9のGenetic Computing Group‘s GAP(グローバルアライメントプログラム)を使用し、12個のギャップオープンペナルティー(ギャップの最初の空白に)と−4のギャップ伸長ペナルティー(ギャップ中、各々の更なる空白に)で、default BLOSUM62マトリックス(以下を参照)を用いて配列は並べられる。整列後に、参照アミノ酸配列中のアミノ酸の数のパーセンテージとしてマッチした数を表示することによりパーセンテージ相同性を計算した。
“参照配列”または“参照アミノ酸配列”とは、他の配列を比較した定義付けられた配列を意味する。本発明に関連して、参照アミノ酸配列は、例えば配列番号5または6に記載されているアミノ酸配列であってよい。
本明細書で使用されているように“L−セリン誘導体”とは、L−セリンのアミノ基またはカルボキシ基での反応から、またはL−セリンの任意の水素とヘテロ原子の交換から生じるアミノ酸のような化合物を意味する。“L−セリン誘導体”の限定されない例には、L−システイン、L−メチオニン、L−グリシン、O−アセチルセリン、L−トリプトファン、チアミン、エタノールアミンおよびエチレングリコールが含まれる。“L−セリン誘導体の”更なる例は、Chemical Entities of Biological Interest(ChEBI)[https://www.ebi.ac.uk/chebi/init.do]により、例えば、ChEBI ID CHEBI:84135で記載されている。
本明細書中で数量的限界または範囲が記載される場合には、端点が含まれる。また、全ての数値および数量的限界内の部分範囲もしくは範囲は、あたかも明示されているかのように明確に含まれる。
本発明を大まかに説明してきたので、特定の具体的な実施例の参照により更なる理解が得られるであろう。これらは本明細書中では説明の目的だけに提供されるのであり、特記されない限り制限する意図はない。
実施例
本発明者等は、4つの全てのセリン分解遺伝子(sdaA、sdaB、tdcGおよびglyA)が欠損した大腸菌のような細菌を構築できたことを初めて示した(例1)。前記株は、セリン経路をアップレギュレートした場合に一重および三重デアミナーゼノックアウトよりも、高いセリン生産収率を示した(例2)。しかし、得られた株はセリンに対して極めて低い耐性を有し、このことはsdaA、sdaBおよびtdcGが欠失した大腸菌三重欠失株でも報告されていた(Zhang and Newman, 2008)。発明者らは、更に新規エクスポーターの過剰発現により(例3)、ランダム突然変異により株を進化させることにより(例4)および適応進化(例5)により、生成物の毒性を減少できることを証明した。更に、原因となる突然変異を同定するために株をリバースエンジニアリングした(例6)。供給バッチ発酵の間に、耐性株は、親の四重欠失株と比べた場合に改善されたセリン生産を示した(12.6g/L、グルコースからの質量収率36.7%)(例7)。これは、生産生物においてこれまでに報告されたグルコースからの最も高いセリン質量収率である。
更に発明者らは、他の原因となる突然変異の存在で、zwfの欠失によるペントースリン酸経路の阻害が、セリン生産収率において更なる増大を導いたことを実証した(例8)。
例1−重要な分解経路の欠失
セリンは、大腸菌において2つの重要な分解経路を有する:セリンからピルビン酸塩への変換、これは3つのデアミナーゼ、すなわちsdaA、sdaBおよびtdcGによりコード化される。そしてセリンからグリシンへの変換、これはglyAによりコードされる。glyAの欠失は、大腸菌をグリシンに対する栄養要求性にする。sdaA、sdaBおよびtdcGの欠失は、ラムダ・レッド媒介遺伝子交換法(Datsenko and Wanner, 2000)の使用により定量的に行われた。これらの遺伝子の欠失に適用されるプロトコールは、Sawitzke等(2013)により記載されているプロトコールに類似している。カナマイシンカセットの増幅に使用したプライマーは、表S1に示されている。PCR反応は、所定の遺伝子のKFとKRプライマーをそれぞれ250nM、dNTPmix250μM、Phusionポリメラーゼ4単位(Thermoscientific,Waltham,MA,USA)、HF緩衝液40μlおよびpkD4プラスミド10ngを含んだ。後続の2工程のPCRプロトコールをPCR増幅に使用した:初期変性工程、98℃で40秒間、続いて、98℃で10秒間の変性を5サイクル、55℃で30秒間のアニーリング、72℃で90秒間の伸長、続いてこのサイクルを20サイクル、その際、アニーリング温度を55℃から65℃に上げた。PCR産物をカラム精製(Macherey Nagel、Durn、ドイツ)し、かつNanodrop装置(Thermoscientific,Waltham,MA,USA)を使用して濃度を測定し、かつ一晩Dpnlで消化を行った。大腸菌MG1655を親株として使用し、連続的なノックアウトを作製した。親株をpkD46で形質転換し、2YT−amp培地中30℃および250rpmで成長させた。exo、βおよびγタンパク質の発現は、対数中期(O.D. 0.4〜0.5)で20mMアラビノースの添加により誘発し、かつ更なる1時間のインキュベーションの後に細胞を収穫した。次に培養物を氷冷したファルコンチューブ50mlに移し、かつ6500rpm、4℃で5分間遠心分離した。上澄みを捨て、かつ細胞を氷冷した10%グリセロールで2回洗浄した。これらのエレクトロコンピテント細胞をカナマイシンカセット200ngで形質転換し、かつ形質転換体をLB−kanプレート上にプレーティングした。カナマイシンカセットは、flippase遺伝子をコードするプラスミドpcp20を使用した除去された。ループアウトをチェックするプライマーは、表2に示されている。glyAによりコードされるセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼは、P1ファージ系プロトコールを使用して検出した(Thomason等、2007)。glyA::kanを棲息させるKeioコレクションからの株(Baba等、2006)を、0.2%グルコース、25mM CaCl2および1mMグリシン培地を補充したLB−kan5ml中で成長させた。初期の対数期(O.D.0.1)では、培養物をP1ファージ溶菌液で変換した。細胞溶菌のために培養物を37℃および250rpmで3時間インキュベートし、かつ細胞を250rpmで溶液した。0.45μMフィルターの使用により、溶菌液を滅菌濾過した。sdaA、sdaBおよびtdcGが欠失した大腸菌株の一夜培養物1mlをP1塩溶液200μL中に再懸濁させ、かつ上記溶菌液100μLと一緒に1時間インキュベートした。次に、2mMグリシンと200mMクエン酸ナトリウムを補充した2mL LB培地中で細胞を一晩成長させた。2mMグリシンと10mMクエン酸ナトリウムを補充したLB−kanプレート上に細胞をプレーティングした。ファージの混入を回避するために、クローンを新たなプレート上で筋を付け直し、かつ単離したクローンをカセット挿入についてチェックした。ループアウトは、pcp20プラスミドを使用して行った。結果として生じた四重欠失株(図1)をQ1と称する。この実施例は、大腸菌中でsdaA、sdaB、tdcGおよびglyAを欠失できることを実証する。これは以前には達成されなかったことであり、かつ予測できなかったことである。
表S1:カナマイシンカセットの増幅に使用したプライマー
表S2:所定の遺伝子の欠失をチェックするために使用したプライマー
例2−セリンを生産するためのセリン生合成経路の過剰発現
serA、serBおよびserCによりにコードされた3つの酵素から大腸菌中でセリンを生産した。全ての遺伝子は、それぞれの遺伝子名を有するプライマー(表S3)を使用して大腸菌MG1655から単離した。PCR100μl混合物は、それぞれフォワードプライマーとリバースプライマー250nM、dNTP250μM、Phusionポリメラーゼ2単位、1×HF緩衝液、一夜培養物1μlを含有した。後続の2工程PCRプロトコールをPCR増幅に使用した:初期変性工程、98℃で40秒間、続いて、98℃で10秒間の変性を5サイクル、55℃でアニーリングを30秒、72℃で90秒間の伸長、このサイクルを続いて20サイクル、その際、アニーリング温度を55℃から65℃に上げた。カラム精製後に、遺伝子生成物とプラスミドをFast digest enzyme(Thermoscientific,Waltham,MA,USA)を使用して消化した。1×fast digest buffer中の制限酵素それぞれ1μlにより、PCR産物約500ngまたはプラスミド1μgに消化を行った。反応物を3時間インキュベートし、かつ次に再びカラム精製した。serAには、NcoIとNotIを用いて二重消化を行い、一方でserCはNdeIとPacIで消化した。はじめに、serAのクローニングがプラスミドpCDF−Duet−serAを生じるようにpCDF−DuetをNcoIとNotIで消化し、かつこのプラスミドを後でserCのクローニングに使用し、このようにpCDF−Duet−serA−serCを作製した。NcoIとPacI部位で、serBをコード化する遺伝子をpACYC−Duetベクター中でクローン化しpACYC−serBを生じた。通常のライゲーション反応には、1×T4リガーゼ緩衝液、プラスミドDNA50ngおよびインサート100ngおよびT4DNAリガーゼ(Thermoscientific,Waltham,MA,USA)0.3μl/10μlが含まれる。
部位特異的突然変異(Al−Rabiee等、1996)により、3つ残基H344、N346およびN364をアラニンへ突然変異させることにより、serAのフィードバック阻害を取り除いた(表S4)。上記のようにマスターミックスを使用したが、マスターミックスを2つの等しいアリコートに分けたことだけを変更した。この後に、フォワードプライマーとリバースプライマープライマーを各アリコートに添加した。全部でpCDF−Duet−serA−serCプラスミド100ngをテンプレートとして使用した。2工程のPCRプログラム:98℃で40秒間の初期変性、98℃で10秒間の変性、60℃で30秒間のアニーリング、72℃で4分間と30秒の伸長、かつこのサイクルを5回繰り返し、次に2つのアリコートを合わせ、かつ更に15サイクル用に再分配した。ベクター骨格の取り換えを可能にするために、serCの内部のNcoI部位は、表S4に挙げられているプライマーを使用して同じアプローチにより除去した。
図2は、プラスミド構築物のベクターマップを示している。
表S3:セリン生産経路の増幅とクローニングに使用したプライマー
表S4:セリン生産経路の部位特異的突然変異に使用したプライマー
バッチ発酵の間のDE3挿入とセリン生産
セリン生産をM9最小培地中でチェックした。グルコースM9最小培地は、2g/Lグルコース、0.1mM CaCl2、2.0mM MgSO4、1×微量元素溶液、および1×M9塩から成る。4000×微量元素ストック溶液は、27g/L FeCl3*6H2O、2g/L ZnCl2*4H2O、2g/L CoCl2*6H2O、2g/L NaMoO4*2H2O、1g/L CaCl2*H2O、1.3g/L CuCl2*6H2O、0.5g/L H3BO3およびddH2O中に溶かした濃HClから成り、かつ滅菌濾過した。10×M9塩ストック溶液は、68g/L 無水Na2HPO4、30g/L KH2PO4、5g/L NaClおよびddH2O中に溶かした10g/L NH4Clから成り、かつオートクレーブした。
発現系としてpETベクターを使用するために、ラムダDE3溶原化キット(Millipore、Damstadt、ドイツ)を使用して、T7ポリメラーゼ含有DE3カセットを各欠失突然変異体のゲノムに挿入した。引き続き、一重(ΔsdaA)、三重(ΔsdaA、ΔtdcG、ΔsdaB)および四重欠失(ΔsdaA、ΔtdcG、ΔsdaBおよびΔglyA)を有する株(MG1655(DE3))をpCDF−Duet1−serAmut−serCおよびpACYC、SerBで形質転換した。結果として得られたグリセロールストックを0.1%グルコース含有および必要な抗生物質(スペクチノマイシンとクロラムフェニコール)を補充した2YT培地中で一晩成長させた。一夜培養物は、0.2%グルコース、1mMトレオニン、必要な抗生物質を補充したM9培地を含有するフラスコ中にトリプリケートで播種した(4重欠失株には、2mMグリシンも補充した)。フラスコを37℃、250rpmでインキュベートした。培養物がO.D. 0.55〜0.65の光学密度に達成した後に、セリン生産を40μM IPTGの添加により誘導した。O.D.測定とサンプリングは、その後60時間にわたり通常の時間間隔で行った。カラム温度を30℃に保持したこと以外は先に記載した方法を使用して試料を濾過し、かつグルコースと副生成物に関してHPLCを行った(Kildegaard等、2014)。LCMSを使用してセリン濃度を測定した。LC−MS/MS系は、CTCオートサンプラーモジュール、高圧混合ポンプおよびカラムモジュールから成る(Advance, Bruker, Fremont, CA, USA)。注入体積は1μlであった。クロマトグラフィーは、ZIC−cHILICカラム、150mm×2.1mm、孔サイズ3μm(SeQuant, Merck Millipore)において行った。分離カラムの前に、0.5μ深さのフィルターおよびガードカラム、フィルター(KrudKatcher Classic, phenomenex)およびガードカラムZIC−cHILIC、20×2.1mm(SeQuant, Merck)があった。溶出液A:20mM硝酸アンモニウム(milliQ中のギ酸でpHを3.5に調節した)。溶出液B:アセトニトリル。溶出液AとBの全流量は、0.4ml/分であった。均一溶媒の溶出35%および全運転時間は5分であった。滞留時間はセリンに関して2.8分であった。MS−MS検出は、大気圧イオン化(API)インターフェースを備えたEVOQトリプル四重極装置(Bruker, California, USA)において行った。質量分析装置は、陽イオンモード(ESI+)においてエレクトロスプレーを用いて運転した。このスプレー圧を4500Vに調節した。コーンガス流は、20リットル/hであり、かつコーン温度を350℃に調節した。温度は350℃で、加熱したプローブガス流を50リットル/hに調節した。Nebulizer流を50リットル/hに調節し、かつ排気ガスを出した。アルゴンを1.5mトルの圧力で衝突ガスとして使用した。検出は、複合反応検出(MRM)モードで行った。定量的移行106→60であり、かつ定性的移行は106→70であった。衝突エネルギーを双方の移行で7eVに最適化した。セリンの検量基準物をセリン生産に使用する培地中で調製し、かつアセトニトリル中の0.2%ギ酸で50:50に希釈した。検量基準物の濃度は、0.001〜0.5g/Lの範囲内であった。
図3に示されているように、この実験は、Q1(DE3)と称される大腸菌においてセリン分解に関与する4つ全ての遺伝子が、グルコースからの最上の比生産性と最も高い収率を生じたことを実証する。
例3:トランスポーターの過剰発現による生成物毒性の減少
大腸菌における主要なセリン分解経路の欠如は、結果としてセリンに対する著しく減少した耐性を生じた。耐性を増大するために、セリンへの潜在的な特異性を有するトランスポーター(ydeD)を過剰発現し、かつ高濃度のセリンの成長の間に試験した。表S3に記載のプライマーならびに例1に挙げられているプロトコールを使用し、NcoIとPacI部位にてydeDを増幅によりpCDF−1b中でクローン化した。
Q1(DE3)をpCDF−1b空ベクターとpCDF−ydeD−c−Hisプラスミドを用いて形質転換した(図4)。形質転換体をLB−スペクチノマイシンプレート上で選択した。これらの形質転換体の一夜培養物を、2mMグリシン、2g/Lグルコースおよびスペクトロマイシン(割合1:50)を補充したM9培地中に播種した。培養物を0.4〜0.5の広光学密度で37℃および250rpmでインキュベートし、この後に、800μlを様々なセリン濃度(12.5、25および50g/L)を有するM9培地800μl含有の48ウェルBiolectorプレートに添加した(M2P labs、Baeswieler、ドイツ)。ydeDの発現は、100μM IPTGで誘発した。次に、連続して振盪しながら37℃および湿度70%で、Biolector装置(M2P labs, Baeswieler、ドイツ)中でモニターした。得られたものを20%にセットし、かつ散乱強度を次の4時間にわたり5分おきに測定した。
この実験は、低濃度のセリンの存在でも、主要なセリン分解経路が欠如した大腸菌の成長が著しく阻害されたことを実証した。ydeDの過剰発現において、セリンに対する耐性は実質的に増大し(図4)、YdeDが細胞からセリンを運び出した可能性を示唆している。
例4−セリン耐性株に関するランダム突然変異
大腸菌中での主要セリン分解経路の不活性化は、セリンに対する著しく減少した耐性を生じた。耐性を増大するために、2mMグリシンと3gL−セリンを補充したM9培地中でQ1株(例1で得られた)を一晩成長させた。培地1mlを6ウェルペトリ皿中に広げ、かつUV照射に30分間曝した(CBS Scientific, San Diego, CA, USA)。次に、耐性突然変異体を増やすために、2mMグリシン、2g/Lグルコースおよび50g/Lセリンを補充した5mlM9培地に培養物を添加した。該培養物を37℃および250rpmで3日間インキュベートし、かつ次に耐性クローンの選択のために50g/Lセリンを補充したM9プレート上にプレーティングした。コロニーを単離し、かつ成長速度と耐性は以下の方法を使用して推定した:
培養物を2×YT培地中で一晩成長させた。次に、これらを0.2%グルコースおよび様々な濃度のセリン(3部構成にする)含有のM9培地150μLと一緒に96ウェルのフラットボトムマイクロタイタープレート中に播種した。全部で細胞1.5μL(1:100)を接種源として使用した。必要に応じて、体積における小規模な変更は、細胞が等量になることを保証するように行われた。プレートをMicroampの透明粘着フィルム(Applied Biosystems,Warrington,UK)で密閉し、かつマイクロタイタープレートリーダー(Biotek, Winooski VT, USA)中でインキュベートした。連続的に振盪させながらリーダーを37℃でセットし、かつO.Dを630nmで5〜10分おきに32時間にわたりモニターした。
この実験は、ランダム突然変異をセリンに対する耐性を著しく増大するために使用できることを実証した(図5)。得られた株を以後Q3と称する。
例5:L−セリン耐性に関する適応進化
ランダム突然変異とは異なり、主要なセリン分解経路が不活性化されている株のセリン耐性は、適応進化によっても増大できることが実証された。Q1株の7つの独立した集合を、2mMグリシンを補充したM9最小培地中で適応進化させ、かつアミノ酸L−セリンの濃度を37℃で60日間にわたり増大させた。
適応実験室進化(ALE)実験は、自動化システムを使用して達成され、これはそれらの成長速度をモニタリングしながら何日にもわたり進化する集団の繁殖を可能にする。実験開始前に、必要な培地25ml含有チューブをシステムに満たし、かつこれらをヒートブロック中37℃で保持した。制御された通気は、管の内側に設置され、かつ1800rpmでスピンする磁気タンブル撹拌機を使用して得られた。実験の開始時に、システムの内側に置かれたチューブのうち1つに単一のコロニーが一晩で成長し、かつ7つの独立したフラスコに播種するために、ロボティックスプラットフォームにより100μLアリコートを使用した。細菌が成長するにつれて、自動化システムは、各フラスコにおいて600nmで複数のOD測定を行った。細菌が成長するにつれて、600nmで複数のOD測定を行った。OD測定値の対数にフィットする最小二乗線形回帰線の傾きを取ることにより成長速度を自動的に計算した。標的のODが0.4に達し次第、培養物100μlを使用して、新たなチューブに播種した。このように、静止期に決して達しないような標的の細胞密度に達した後に、培養物を連続して(1日に2〜3回)新たな培地を有するフラスコに通した。所望の成長速度に達した後に、集団を3g/Lセリンで初めにインキュベートし、培養物に6g/LのL−セリンを補充した。集団が安定した表現型(すなわち、成長速度)に達した際に、L−セリン濃度は12g/Lに増大した。この方法を、反復的に24、50、75および100g/LのL−セリンを使用して繰り返した。最終的な集団をLB−アガールにプレーティングし、かつ各集団の2つのクローンを選択した。先に例5で記載したMTPベースアッセイの使用により、高濃度のセリンの存在で成長を試験した場合に、進化した株は、著しく増大した耐性を有した。結果は図6に示されている。
ゲノムDNAの抽出、ライブラリーシーケンシングおよび分析
進化した各培養物の2つのクローンならびにランダムUV−突然変異により進化した株(例5)をゲノムシーケンシングした。QIAamp DNA Mini Kit(QIAGEN、ドイツ)を使用して、ゲノムDNAを大腸菌株の一夜培養物1.5mlから抽出した。ゲノムライブラリーは、TruSeq(R)Nano DNA LTサンプル作製キット(Illumina InC, San Diego CA, USA)を使用して作製した。
簡単に述べると、52.5μlのTE緩衝液中で希釈したゲノムDNA100ngを、デューティファクター5%、175Wピークインシデンスパワー、200サイクル/バーストおよび5.5〜6℃にて周波数掃引モード下に50秒の滞留時間(350塩基対の平均断片サイズに対するイルミナ社の推奨)でコバリスE220ウルトラソニケーター(Covaris、Brighton、UK)においてCovaris Crimp Capマイクロチューブ中でフラグメント化した。断片化DNAの末端をT4DNAポリメラーゼ、Klenow DNAポリメラーゼおよびT4ポリヌクレオチドキナーゼにより補修した。Klenow exo minus酵素を使用し、次にDNA断片の3’末端“A”塩基に加えた。DNA断片の末端へのアダプターのライゲーションの後に、300〜400塩基の範囲内のDNA断片をビーズ精製により回復した。最後に、アダプター変性DNA断片を3サイクル−PCRにより増やした。各ライブラリーの最終濃度は、Qubit(R)2.0 FlorometerおよびQubit DNA広範囲アッセイ(Life Technologies,Paisly,UK)により測定した。平均dsDNAライブラリーサイズは、Agilent DNA 7500キットを使用してAgilent 2100 Bioanalyzerにおいて決定した。ライブラリーを標準化し、かつ10mMトリス−Cl(pH8.0)中にプールし、0.05%Tween20を足して10nMの最終濃度にした。0.2N NaOH中で変性し、600μl氷冷HT1緩衝液中の20ライブラリーの10pMプールをMiSeq Reagent kit v2 300 cyclesで用意されたフローセル上に乗せ、かつペアエンドプロトコールおよび151ntのリード長さを用いてMiseq(Illumina InC, San Diego, CA, USA)プラットフォーム上でシーケンシングした。
breseqパイプライン(Deatherage and Barric, 2014)バージョン0.23とBowrie2(Langmead and Salzberg)を使用して、シーケンシングリードをマッピングし、かつ大腸菌K12 MG1655参照ゲノムに対する配列変異体を同定した(NIBI登録番号NC_000913.2)。マニュアルに従って、株に存在する遺伝子欠失はゲノム中の失われたカバレッジ領域に基づいて評価した。MG1655ストック培養中(Freddolino等、2012)で見出される共通の変異体は更なる分析から取り除いた。全てのシーケンシング試料は、少なくとも25倍の平均マップカバレッジを有していた。この実験は、表S5に示されているように、高濃度のセリンに対する増大した耐性を引き起こす突然変異を示している。
表S5:増大したセリン耐性に関与する株で見出された突然変異。ゲノム配列の参照番号は、NC_000913である。
記号の説明:
*:ストップコドンを示す
挿入1:trxAとrhoの間の遺伝子間領域である位置3966174でのラギング鎖中に768塩基対長さの挿入配列エレメントIS1の挿入。挿入配列の9塩基対上流と下流の重複が観察される。
挿入2:遺伝子gcvAとygdIの間の遺伝子間領域である位置2942629での1塩基対の挿入。
挿入3:遺伝子gcvAとygdIの間の遺伝子間領域である位置2942878での1342塩基対長さの挿入配列エレメントIS4の挿入。挿入配列の13塩基対上流周辺と下流の重複が観察される。
挿入4:遺伝子dapAとgcvRの間の遺伝子間領域である位置2599854での1塩基対の挿入。
挿入5:位置2492323でのラギング鎖中に768塩基対長さの挿入配列エレメントIS1の挿入。これは、遺伝子frcのトランケーションにつながる。挿入配列の9塩基対上流と下流で重複が観察される。
欠失6:位置850092からの2854塩基対の欠失、これはrhtAの最初の5塩基対の欠失、遺伝子ompXとybiPの完全な欠失、sRNA rybAの239bpの欠失およびmntS遺伝子の77塩基対の欠失を生じる。
挿入7:位置121518での1195塩基対長さの挿入配列エレメントIS5の挿入、これはaroPの大半の欠失を生じる。
挿入8:遺伝子mdtJとtqsAの間の遺伝子間領域である位置1673670でのラギング鎖中に768塩基対長さの挿入配列エレメントIS1の挿入。挿入配列の9塩基対上流と下流で重複が観察される。
遺伝子間9:trxBとIrpの間の遺伝子間領域である位置923321でのC→Tへの突然変異。
遺伝子間10:yftBとfkIVの間の遺伝子間領域である位置4428871でのT→Cへの突然変異。突然変異は、yftBの154塩基対上流とfklBの64塩基対上流である。
例6−cam−sacB系によるALE突然変異のリバース・エンジニアリングおよび複合ゲノムエンジニアリング
セリンに対する増大した耐性を引き起こす突然変異を同定するために、以下に説明するような2つの異なる方法を使用して、例5で同定した突然変異をQ1(DE3)株に挿入した。
A.thrA突然変異の導入
thrAにおける突然変異をcam−sacBベースの選択系を使用してQ1(DE3)株のゲノムに導入した。cam−sacBは、組換え用のexo、βおよびγ遺伝子が棲息するpkD46プラスミドを使用して挿入した。カセット挿入に関するポジティブ選択は、クロラムフェノコール耐性用のクローンの選択により行われた。カセットの損失は、LB−クロラムフェノコールと15%スクロース含有(NaCl無し)LB−スクロースプレート上でのレプリカプレーティングクローンの選択により選択された。Cam−sacBカセットは、それぞれthrA_camsacB_FとR(表S6)プライマーを使用して増幅した。テンプレートおよび伸長時間とは別に、反応混合物とPCRプログラムは、例1で記載したものと同じであった。伸長時間は2分と30秒であるのに対して、テンプレートは、cam−sacBカセット含有の大腸菌培養物の一夜培養物1μlであった。次にコンピテントQ1(DE3)細胞をthrA−cam−sacBカセット200ngで形質転換し、かつ2時間後にLB−クロラムフェニコール−アンプリコンプレート上にプレーティングし、かつ30℃で一晩インキュベートした。単一コロニーを選び取り、かつ誘発の1時間後にエレクトロコンピテントにし(例1)、かつthrA対立遺伝子で形質転換した。回復の2時間後に、細胞をLB−スクロース上にプレーティングし、かつ37℃でインキュベートし、pkD46プラスミドを回復させた。各実験の24個のクローンをLB−クロラムフェニコールとLBプレート上に複製プレーティングした。クロラムフェニコールプレート上で成長しなかったクローンをカセットの損失について、コロニーPCRによりチェックし、かつ引き続きSangerシーケンシングによりシーケンス化した。
thrA突然変異体(Y356C、S357RまたはS359R)を含んでいる全ての3つの株を2mMグリシン、2g/Lグルコースおよび6.25g/L L−セリンを補充したM9培地中で成長させた。この実験では、バックグランドを測定値から引かず、その結果、Q1株のODに明らかな増大を生じた。しかし、これらの条件下では、Q1株は著しい成長を示さなかった。他方で、各々のthrA突然変異は、L−セリンに対して類似かつ極めて著しい耐性の増大を生じ(図7)、親株Q1とは異なり、これらを少なくとも6.25g/LのL−セリン濃度で成長できるようにする。全てのthrA突然変異体が同じ成長プロフィールを有するので、S357R突然変異体を以下に記載の複合ゲノムエンジニアリング用の親株(株Q1(DE3)−thrAS357Rと称する)として選択した。
表S6:ゲノム中でthrA突然変異のゲノム挿入に使用したプライマー
B.選択されたALE突然変異の複合ゲノムエンジニアリング、スクリーニングおよびアンプリコンシーケンシング
セリンに対する増大した耐性を引き起こす突然変異を同定するために、複合ゲノムエンジニアリング(Wang等、2011)を使用し、例5で示した選択突然変異をQ1(DE3)−thrAS357R株に導入した。
複合ゲノムエンジニアリングに適用したプロトコールは、Wang and Church(2011)により出版されている方法に類似していた。株Q1(DE3)−thrAS357RをプラスミドpMA1で形質転換した(アラビノース誘発性プロモーターによる制御下にβタンパク質だけを含有)。クローンをLB−アンプリコン上にプレーティングし、かつ37℃でインキュベートした。コロニーをTY−amp−gly培地中、37℃で一夜培養し、かつ翌日に新たなTY−gly培地25ml中に再度播種した。37℃で0.4のO.D.に達した後に、アラビノースを添加し0.2%の最終濃度にした。細胞を37℃および250rpmで更に15分間再度インキュベートし、かつ次に10%グリセロール(氷冷)での2回の洗浄によりエレクトロコンピテントにした。エレクトロコンピテントセルの最終的な容積を10%グリセロールを使用して200μlに調節した。lociを標的にしているプライマー(IrpD143G、enoV164L、argP Q132K、cycA1220V、pykF E250*、rpoB520L、gcvA*、yojL D334H、rho R87L)は、表S7に挙げられている。全てのプライマーをプールし、かつ10pmol/μlの最終濃度に調節した。細胞50μlには、この混合物1μlを添加し、かつ電気泳動により形質転換した。形質転換した細胞を直接に25mlTY−gly培地に添加し、かつ37℃、250rpmで2時間インキュベートし、0.4のO.D.に達するようにし、続いて2回目の複合エンジニアリングとして上記のようなアラビノース誘発および形質転換を行った。このプロセスを6回繰り返した。複合エンジニアリングの6回目のラウンドの後に、細胞を一晩インキュベートした。得られた突然変異体のライブラリーを引き続き、セリン有りまたは無しのM9最小培地中で成長させた。このように、最小培地中で増大した成長速度を生じるかまたはセリンに対する増大した耐性を生じた突然変異を増やした:全部で一夜培養物1.5μlを、2mMグリシンおよび2g/Lグルコースを補充したM9培地(最小培地)もしくは2mMグリシン、2g/Lグルコースおよび25g/Lセリンを有するM9培地(最小培地とセリン)の150μlトリプリケートを含有しているマイクロタイタープレート中のウェルにトリプリケートで加えた。マイクロタイタープレートリーダーにおいて連続的に素早く振盪しながら37℃で40時間にわたり成長プロフィールをモニターした。光学密度を630nmで5分おきに測定した。トリプリケートをプールし、かつアンプリコン作製のためのテンプレートとして使用した。PCRプログラムと反応組成物は、例1に記載されている。Illuminaプロトコールは、アンプリコンプロセシングに続いて行い、かつ次の遺伝子シーケンシングは例5に記載されている通りであった。得られたシーケンシングをコンピューターにより分析し、かつ様々な突然変異の富化を最小培地もしくはセリン有りの最小培地中のどちらかで突然変異の頻度として計算し、非選択ライブラリー中での突然変異の頻度で割った(図8)。この実験は、Irp、rho、argPおよびenoにおける突然変異が結果としてセリンに対する耐性を増大したことを示している。
表S7:複合ゲノムエンジニアリングに使用したプライマー
表S8:アンプリコンシーケンシングに使用したプライマー
例7:フェドバッチ発酵の間の耐性がありおよび感染しやすい大腸菌によるセリン生産
pACYC−Duetベクター中でセリン経路を伴うエクスポーターの発現を増加させるために、上記の例2と同じストラッテジーに従って新たなベクターを構築した。ydeD−C−Hisのクローニング用のNcoIとHindIII二重消化を使用してserBをクローン化し、続いてライゲーションした。次に、得られたベクター(pACYC−Duet−serB)に、ydeD−C−Hisのクローニング用のNcoIとPacIにより二重消化を行った。両方の株Q1(DE3)とQ3(DE3)は、細胞を0.2%グルコース補充の2×YT培地30ml中で中期対数期まで成長させる(37℃、250rpm)ことによりエレクトロコンピテントにした。細胞を4℃、6500rpmで5分間遠心分離することにより収穫し、かつ氷冷10%グリセロールにより2回洗浄した。最後に細胞を10%グリセロール500μL中に再懸濁させ、かつ細胞50μLをセリン生産用にプラスミドpcDF−Duet1−serAmut−serCおよびpACYC、SerB−ydeD−c−Hisで形質転換した。
セリン生産は、1L発酵槽(Sartorius, Gottingen、ドイツ)中でのフェドバッチ発酵の際に実証された。培地は、2g/L MGSO4*7H2O、2g/L KH2PO4、5g/L (NH4)SO4、7.5g/Lグルコース、2g/L酵母エキス、0.6g/Lグリシン、0.12g/Lチオニン、4×微量元素(例2で記載したような)、50mg/Lスペクチノマイシンおよび25mg/Lクロラムフェニコールを含有していた。大腸菌Q1(DE3)株に関しては、誘発前に成長を促進するために初期グルコース濃度は10g/Lであった。供給物は、一般的には140g/Lグルコース、24g/L硫酸アンモニウム、2g/Lグリシン、0.12g/Lトレオニン、それぞれ2.5g/LのMGSO4*7H2OとKH2PO、1×微量元素、50mg/Lスペクチノマイシンおよび25mg/Lクロラムフェニコールを含有していたのに対して、一方でQ1(DE3)株の供給物は、120g/Lグルコースを含有していた。
対数期の培養物は、500ml培地を1:50の播種比で播種するために使用した。培養物を37℃、1000rpmのバッフル速度および20%空気飽和で一晩成長させた。培地中のグルコース濃度が250mg/Lを下回った後に8g/hの供給速度を開始した。生産は、40μM IPTGの添加により遅い対数期(O.D.7.5〜9.5)で誘導され、かつ供給速度を6g/hに下げた。試料を一定の間隔で取り、かつ先に記載したようにHPLCとLCMS分析を行った。
この実験は、フェドバッチ発酵の使用により、セリンを大腸菌中で高力価かつ高収率で生産できることを実証している(図9)。力価は、Q1(DE3)とQ3(DE3)株に関して6.8g/Lおよび12.5g/Lであった。発酵は、Q1(DE3)株中の24.3%と比べると、Q3(DE3)株でのグルコースから結果として、36.7%という著しく高い質量収率を生じた(図9B)。このことは、セリンに対して耐性である生産株を使用して、より高い力価と収率を達成できることを示している。
例8−増大したセリン生産を示すリバースエンジリアニングされた株
例6でリバースエンジリアニングされた株を例3で記載したようにセリン耐性に関してチェックした。最も良い耐性株(F7)をセリン生産に関してチェックし、かつ例5に記載されているようにゲノムシーケンス化した。セリン生産経路を過剰発現するためのプラスミドを例7に記載されているように導入した。振盪フラスコ実験を例2で記載されているように実施したが、グルコースの濃度が2.5g/Lであったことだけが異なる。O.D.測定値とサンプリングは、一定の間隔で実施し、かつ例2に記載されている方法を使用して試料を分析した。意外にも、前記株は表S9に示されているようにグルコースからセリンの増大した生産と収率を生じた。ゲノム配列はzwfの欠失を明確にし、これはペントースホスフェート経路で最初の酵素をコードする。更に、この株はthrAS357RとrhoR87L突然変異を有していた。その上、株は分枝鎖アミノ酸エクスポーターbrnQのトランケーションを有した(105塩基対が419986の位置の始めに欠失された。439個のアミノ酸タンパク質を308個のアミノ酸の後にトランケートされた)。
例9−ALE8による生産
pETベクターを発現系として使用するために、λDE3溶菌化キット(Millipore、Damstadt、ドイツ)を使用してT7ポリメラーゼ含有のDE3カセットをALE8−8突然変異体(例5)のゲノムに挿入し、結果として株ALE8−8(DE3)を生じた。引き続き、0.2%グルコースを補充した2×YT培地30ml中で対数中期まで細胞を育てることにより(37℃、250rpm)ALE8−8(DE3)をエレクトロコンピテントにした。細胞を4℃、6500rpmで5分間の遠心分離により回収し、かつ氷冷10%グリセロールにより2回洗浄した。最後に細胞を10%グリセロール500μL中に再懸濁させ、かつ細胞50μLをセリン生産用のプラスミドpCDF−Duet1−serAmut−serCおよびpACYC、SerBで形質転換した。
セリン生産は、例7で記載した1L発酵槽(Sartorius、Gottingen、ドイツ)中でのフェドバッチ発酵の際に実証された。培地は、2g/L MGSO4*7H2O、2g/L KH2PO4、5gL(NH4)2SO4、10g/Lグルコース、2g/L酵母エキス、0.6g/Lグリシン、4×微量元素(例2に記載したような)、50mg/Lスペクチノマイシンおよび25mg/Lクロラムフェノールを含有した。供給物の375gは、400g/Lグルコース、24g/L硫酸アンモニウム、2g/Lグリシン、2.5g/L MGSO4*7H2OおよびKH2PO4 5g/L、1×微量元素50mg/L、50mg/Lスペクチノマイシンおよび25mg/Lクロラムフェノールを含有した。対数期の培養物を使用し、1:50の播種比により500ml培地に播種した。培養物を発酵槽中、37℃、1000rpmの撹拌速度および20%空気飽和で成長させた。80μM IPTGの添加により生産は、対数後期(O.D.8.5〜9.5)で誘発し、かつ供給を8g/hの速度で開始した。試料を一定の間隔で取り出し、かつ先に記載したようにHPLCとLCMS分析を行った。
この実験は、ALE8−8(DE3)株において、高い細胞密度と高いセリン力価(55.0g/L)の両方が得られたことを示し(図10A)、グルコースからの質量収率は36.0%であった(図10B)。
例10−Y356、S357およびS359の位置でのthrAの過剰発現および部位飽和突然変異
部位飽和突然変異(SSM)を使用し、選択されたアミノ酸残基を突然変異し他の全ての20種のアミノ酸にすることができる。このことは、酵素活性におけるアミノ酸置換の効率、そして今度は表現型における効率を調査することを可能にする。thrA遺伝子をプライマーthrA_NcoI_FおよびthrA_HindIII(表S10のプライマー配列)を使用してMG−1655wt株から増幅し、かつNcoIとHindIII酵素を使用してpACYC−Duet1プラスミド中でクローン化した。クローン化のプロトコールは例2のserBのクローン化と同じであった。構築されたベクターは、pACYC−thrAであった。このプラスミドをSSMのテンプレートとして使用した。ALE株(Y356、S357およびS359)中で観察されたthrA突然変異用のSSMは、表S10に挙げられたプライマーを使用して実施された。SSMプロトコールは、フィードバック・インテンシブserAの突然変異に関して例2に適用されたSDMプロトコールと類似していた。PCR産物をDpnlで消化し、かつQ1(DE3)株中で形質転換し、これはこのゲノム中で野生型thrA遺伝子を有し、かつ0.1%グルコースと4mMグリシンを補充したLB−クロラムフェノールプレート上にプレーティングした。クロラムフェニコールはプラスミドの安定のために以下の全ての培地で補充した。
個々のコロニーを選び取り、0.1%グルコースと2mMグリシンを補充した2×TY培地含有の96ウェルMTPプレートに播種した。各SSMライブラリーから90個のコロニー(1マイクロタイタープレート(MTP))を選び取った(全部で3プレート)。pACYC−Duet空ベクターとpACYC−thrAwtが棲息するQ1(DE3)株をコントロール株として各プレート中で播種した。このプレートを37℃および300rpmで一晩インキュベートした。このプレ培養プレートを播種源として使用し、これから1μLを、0.2%グルコース、2mMグリシンを補充したM9培地100μL含有の新たな96ウェルMTPプレートに加えた。培養物を4時間インキュベートし、この後に、1mM IPTG25μLを加えて発現を誘発した。引き続き、このプレートを2時間インキュベートし、かつ次に0.2%グルコース、2mMグリシンおよび12.5g/L L−セリン含有のM9培地を加え、このように6.25g/Lの最終セリン濃度に達した。次に、先に記載したように成長分析用にプレートを振盪させながらMTPリーダー中でインキュベートした。各プレートから耐性を示す選択クローンを1つのプレートに回収し、かつこれらの株に関して耐性試験を繰り返した。耐性のあるクローンからのプラスミドをシーケンス化し、かつ成長速度を培養物の対数期から見積もった。このように、セリンに対する耐性を生じるアミノ酸置換の数を同定した(図11)。図11(A〜C)は、種々のアミノ酸置換を有する突然変異体株の成長速度が、それぞれThrAの356、357および359の位置で観察されたことを示している(それぞれ1文字表記により表示)。野生型thrA遺伝子を有する大腸菌の成長速度は、“wt”と表示してある。
この実験は、在来のThrAタンパク質中の356、357および359の位置でのアミノ酸置換が、L−セリンに対する変性株の増大した耐性を保証したことを実証している。更に、データはThrAの突然変異体の過剰発現が、それらのゲノムに存在する在来のthrA遺伝子を有する株においてもL−セリンに対する耐性を増大できることを実証している。
表S10:thrAのクローニングおよび部位飽和突然変異(SSM)に使用したプライマー
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