JP2018206800A - 積層型圧電素子およびこれを備えた噴射装置ならびに燃料噴射システム - Google Patents

積層型圧電素子およびこれを備えた噴射装置ならびに燃料噴射システム Download PDF

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Abstract

【課題】 予定破断層のクラックの進展速度を遅くするようにした積層型圧電素子およびこれを備えた噴射装置ならびに燃料噴射システムを提供する。【解決手段】 本開示の積層型圧電素子10は、圧電体層1および内部電極層2が交互に積層されるとともに、少なくとも一部の隣り合う圧電体層1間に予定破断層4を有する積層体3と、内部電極層2と電気的に接続され、積層体3の側面に設けられた外部電極5とを備え、予定破断層4を介して互いに隣り合うそれぞれの圧電体層11は、ヤング率が他の圧電体層12とは異なっている。【選択図】 図1

Description

本開示は、圧電駆動素子(圧電アクチュエータ),圧力センサ素子,圧電回路素子等として用いられる積層型圧電素子およびこれを備えた噴射装置ならびに燃料噴射システムに関する。
積層型圧電素子として、圧電体層および内部電極層が交互に積層されるとともに、少なくとも一部の隣り合う圧電体層間に予定破断層を有する積層体と、内部電極層と電気的に接続され、積層体の側面に設けられた外部電極とを備えたものが知られている(特許文献1を参照)。ここで、予定破断層とは、周囲の層よりも容易に破断しやすくなっている層である。このような積層型圧電素子は、予定破断層でクラックを発生させることで他の部位にかかる応力およびクラックを低減し、性能を長期間にわたって維持することを目的としている。
特表2006−518934号公報
近年、更なる高変位、高周波数での駆動の要求があり、そのような駆動においても長期間安定的に使用できる積層型圧電素子が求められている。
しかしながら、上記のような駆動においては、全ての活性領域の圧電体層のヤング率を同じくして形成した場合、予定破断層にクラックが進展する際に、当該クラックの進展速度が速く一気に進展するので、外部電極が切れてノイズを発生させるおそれがあった。また、このノイズの発生により、積層型圧電素子の変位量が瞬間的に大きくなってしまうおそれもあった。
本開示は上記事情に鑑みてなされたもので、予定破断層のクラックの進展速度を遅くするようにした積層型圧電素子およびこれを備えた噴射装置ならびに燃料噴射システムを提供することを目的とする。
本開示の積層型圧電素子は、圧電体層および内部電極層が交互に積層されるとともに、少なくとも一部の隣り合う圧電体層間に予定破断層を有する積層体と、前記内部電極層と電気的に接続され、前記積層体の側面に設けられた外部電極とを備え、前記予定破断層を介して互いに隣り合うそれぞれの圧電体層は、ヤング率が他の圧電体層とは異なっていることを特徴とする。
また本開示の噴射装置は、噴射孔を有する容器と、上記構成の積層型圧電素子とを備え、該積層型圧電素子の駆動によって前記噴射孔が開閉されることを特徴とする。
また本開示の燃料噴射システムは、高圧燃料を蓄えるコモンレールと、該コモンレールに蓄えられた前記高圧燃料を噴射する上記構成の噴射装置と、前記コモンレールに記高圧燃料を供給する圧力ポンプと、前記噴射装置に駆動信号を与える噴射制御ユニットとを備えることを特徴とする。
本開示の積層型圧電素子によれば、予定破断層を一気にクラックが進展することができずに少しずつ進展するので、外部電極も切れにくくなり、ノイズも発生しにくくなる。
また本開示の噴射装置および燃料噴射システムによれば、ノイズの発生しにくい積層型圧電素子を備えていることから、精度よく安定した駆動を実現することができる。
積層型圧電素子の実施形態の一例を示す概略斜視図である。 図1に示す積層体の一例の概略断面図である。 図1に示す積層体の他の例の概略断面図である。 図1に示す積層体の他の例の概略断面図である。 噴射装置の一例を示す概略断面図である。 燃料噴射システムの一例を示す概略図である。
以下、積層型圧電素子の実施形態の一例について図面を参照して説明する。
図1は積層型圧電素子の実施形態の一例を示す概略斜視図、図2は図1に示す積層体の一例の概略断面図である。
図1および図2に示す積層型圧電素子10は、圧電体層1および内部電極層2が交互に積層されるとともに、少なくとも一部の隣り合う圧電体層1間に予定破断層4を有する積層体3と、内部電極層2と電気的に接続され、積層体3の側面に設けられた外部電極5とを備えている。
積層体3は、内部電極層2(第1の内部電極層21および第2の内部電極層22)が圧電体層1を介して交互に積層されたものである。この積層体3は、積層方向から見て第1の内部電極層21と第2の内部電極層22とが重なる活性領域と、積層方向から見て第1の内部電極層21と第2の内部電極層22とが重ならない不活性領域とを有している。ここで、活性領域は駆動時に積層方向に伸長または収縮する部位である。また、不活性領域は駆動時に積層方向に伸長または収縮しないかまたはしにくい部位である。
積層体3は、内部電極層2(第1の内部電極層21および第2の内部電極層22)が圧電体層1を介して交互に積層された部分を有しているとともに、この部分の積層方向両端部に圧電体層1のみが積層された部分を有している。この積層方向両端部に位置する圧電体層1のみが積層された部分も、駆動時に積層方向に伸長または収縮しないかまたはしにくい不活性領域である。
積層体3は、例えば縦0.5〜10mm、横0.5〜10mm、高さ1〜100mmの四角柱状(直方体状)にされている。積層体3の形状としては、六角柱形状や八角柱形状、円柱状などであってもよい。
圧電体層1は、圧電特性を有するセラミックスからなるものである。このようなセラミックスとして、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)からなるペロブスカイト型酸化物、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)などを用いることができる。この圧電体層1の厚みは、例えば3〜250μmとされる。
内部電極層2は、圧電体層1を形成するセラミックスと同時焼成により形成されたものである。内部電極層2は、第1の内部電極層21および第2の内部電極層22からなり、圧電体層1と交互に積層されて圧電体層1を上下から挟んでいる。例えば第1の内部電極層21を正極、第2の内部電極層22を負極またはグランド極として交互に配置されることにより、それらの間に挟まれた圧電体層1に駆動電圧が印加される。このような材料として、例えば低温焼成が可能な銀−パラジウム合金を主成分とする導体、あるいは銅、白金などを含む導体を用いることができる。第1の内部電極層21および第2の内部電極層22の厚みは、例えば0.1〜5μmとされる。
図に示す例では、第1の内部電極層21および第2の内部電極層22がそれぞれ積層体3の対向する一対の側面に互い違いに引き出されて、積層体3の側面に設けられた後述の一対の外部電極5と電気的に接続されている。なお、積層体3の対向する他の一対の側面に第1の内部電極層21および第2の内部電極層22の両方の端面が露出していてもよく、第1の内部電極層21および第2の内部電極層22の両方の端面が露出せずに側面から離れて内側に位置してもよい。
また、積層体3は、少なくとも一部の隣り合う圧電体層1(11)間に予定破断層4を有している。ここで、予定破断層4とは、積層型圧電素子10の駆動によって積層体3に生じる応力を緩和するための層である。この予定破断層4としては、例えば内部電極層として機能しない多孔質な金属層、あらかじめ亀裂の入った金属層などが挙げられる。
また、上述したように、第1の内部電極層21および第2の内部電極層22のいずれか一方の端面が達する一対の側面には、それぞれ外部電極5が設けられ、引き出された第1の内部電極層21または第2の内部電極層22と電気的に接続されている。この外部電極5は、例えばAgやCuなどの金属を含んだ導電性ペーストを焼き付けて作製することができる。ここで、外部電極5を積層体3の側面に垂直な横断面で見たときに、外部電極5の厚みは例えば5〜70μmとされる。また、図示しないが、外部電極5の端部にリード部材が接合され、リード部材を介して外部回路との電気的な接続がなされる。
なお、第1の内部電極層21および第2の内部電極層22の両方の端面が露出または両方の端面が露出していない側面には、必要により被覆材が設けられていてもよい。被覆材は、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂などからなり、単層のみならず、複数層で構成されていてもよい。この被覆材はマイグレーションや放電を抑制する効果を奏する。
そして、予定破断層4を介して互いに隣り合うそれぞれの圧電体層1(11)は、ヤング率が他の圧電体層1(12)とは異なっている。
これにより、予定破断層4を介して互いに隣り合うそれぞれの圧電体層11のヤング率を他の圧電体層12のヤング率と異ならせているので、当該予定破断層4に隣接する圧電体層11が変形しにくく、予定破断層4に瞬間的に大きな力が集中するのを抑制することができる。したがって、予定破断層4を一気にクラックが進展することができずに少しずつ進展するので、外部電極5が切れにくくなり、ノイズも発生しにくくなる。なお、圧電体層1のヤング率は、積層体3を切断して断面研磨し、測定しようとする圧電体層1を露出させたうえで、ナノインデンテーション試験を用いて測定することができる。
予定破断層4を介して互いに隣り合うそれぞれの圧電体層1(11)はヤング率が他の圧電体層1(12)とは異なっている構成とするために、予定破断層4を介して互いに隣り合うそれぞれの圧電体層11は、内部電極層2または予定破断層4に含まれる金属成分と同じ金属成分を除いた圧電体成分の組成が他の圧電体層12を構成する圧電体成分の組
成とは異なっていてもよい。
予定破断層4を挟んで配置された二つの圧電体層11の上下に同じ極となる内部電極層2が配置されて両圧電体層11に電界が印加されないような場合、電界がかかる活性領域の圧電体層12の変形に追従して圧電体層11も変形するが、ひとかたまりの圧電体のように変形できず、予定破断層4に瞬間的に大きな力が集中しにくい。したがって、予定破断層4を一気にクラックが進展することができずに少しずつ進展し、ノイズが発生しにくくなる。
一方、予定破断層4を挟んで配置された二つの圧電体層11の上下に異なる極となる内部電極層2が配置されて両圧電体層11に電界が印加されるような場合であっても、圧電体成分の組成が異なる圧電体層11は他の圧電体層12と同じような変位量であっても、変位速度(敏感さ)が異なるので、予定破断層4に瞬間的に大きな力が集中しにくい。したがって、予定破断層4を一気にクラックが進展することができずに少しずつ進展し、ノイズが発生しにくくなる。
ここで、積層型圧電素子10の製造過程において、圧電体層11を形成するグリーンシートに鉄、マンガン、クロム、コバルトなどのアクセプターを添加し、他の圧電体層12を形成するグリーンシートには当該アクセプターを添加しないようにすることができる。このようにすることで、酸素空孔を生成し、プラスの電荷が結晶格子内に生成され、これがBサイトのZr4+あるいはTi4+のプラスと反発することで、結晶格子の動きが制限されるピニング効果が得られる。その効果を利用し、予定破断層4に隣接する圧電体層11をこれ以外の圧電体層12よりもヤング率の高い層とすることができる。このとき、圧電体層11と圧電体層12とは、圧電体成分の組成が異なる構成となる。
また、積層型圧電素子10の製造過程において、圧電体層11を形成するグリーンシートにニオブ、タングステンなどのドナーを添加し、他の圧電体層12を形成するグリーンシートには当該ドナーを添加しないようにすることができる。このようにすることで、酸素空孔の生成を抑制し、ヤング率の上昇を抑制することができる。これにより、予定破断層4に隣接する圧電体層11をこれ以外の圧電体層12よりもヤング率の低い層とすることができる。このとき、圧電体層11と圧電体層12とは、圧電体成分の組成が異なる構成となる。
圧電体層11と圧電体層12とで圧電体成分の組成が異なることは、それぞれの層を断面研磨したうえで、エネルギー分散型X線分光器(EDS)または波長分散型X線分析装置(WDS)を用いて測定することにより、判別できる。
なお、予定破断層4に隣接する圧電体層11以外の圧電体層12のヤング率が例えば40〜60Gpaであった場合において、圧電体層12と予定破断層4に隣接する圧電体層11との差は例えば10〜40Gpaとされる。
ここで、予定破断層4を介して互いに隣り合うそれぞれの圧電体層11は、他の圧電体層12よりもヤング率が大きくても小さくてもよいが、圧電体層11のヤング率が大きいほうが変形しにくい点で、クラックの進展を抑制する効果が大きくなる。
また、予定破断層4を介して互いに隣り合うそれぞれの圧電体層11は、平均粒子径が他の圧電体層12の平均粒子径よりも小さくてもよい。圧電体層11を構成する圧電体粒子の平均粒子径が小さいと、粒子が密に配置され粒子間の隙間が少なくなることとなり、変形しにくくなる。他の圧電体層12の平均粒子径が例えば1〜5μmである場合において、圧電体層11の平均粒子径は圧電体層12の平均粒子径の75〜95%の大きさとす
ることができる。なお。この平均粒子径は、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、任意の線分間に含まれる粒子の数と粒子に含まれる線分の長さを測定し、この長さの合計距離を粒子数で割ることによって求めることができる。
また、図3に示すように、予定破断層4を介して互いに隣り合うそれぞれの圧電体層11は、厚みが他の圧電体層12よりも厚くてもよい。圧電体層11の厚みが増すと剛性が高くなって変形しにくくなるとともに、圧電体層12の変形の力が予定破断層4に伝わりにくくなる。予定破断層4を介して互いに隣り合うそれぞれの圧電体層11の厚みは、他の圧電体層12の厚みの例えば105%〜250%の厚みに設定される。
また、図4に示すように、予定破断層4を介して互いに隣り合う圧電体層11は、厚みが異なっていてもよい。予定破断層4を介して互いに隣り合う上下の圧電体層11の厚みの違いにより、予定破断層4に対して力が不均一にかかるとともに、これらの圧電体層11の変形の度合いが違うことで、クラックの進展速度をより遅くすることができる。なり、一気にクラックが進展することがなくなる。予定破断層4を介して互いに隣り合う上下の圧電体層11のうちの一方の厚みに対し、他方の厚みは例えば105〜200%の厚みに設定される。
次に、本実施形態の積層型圧電素子の製造方法について説明する。
まず、圧電体層1となるセラミックグリーンシートを作製する。具体的には、圧電セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系,ブチラール系等の有機高分子からなるバインダーと、可塑剤とを混合してセラミックスラリーを作製する。そして、ドクターブレード法、カレンダーロール法等のテープ成型法を用いることにより、このセラミックスラリーを用いてセラミックグリーンシートを作製する。圧電セラミックスとしては圧電特性を有するものであればよく、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)からなるペロブスカイト型酸化物等を用いることができる。また、可塑剤としては、フタル酸ジブチル(DBP),フタル酸ジオクチル(DOP)等を用いることができる。
ここで、予定破断層4の上下に隣接する圧電体層11となるセラミックグリーンシートは、鉄、マンガン、クロム、コバルトなどのアクセプターまたはニオブ、タングステンなどのドナーを添加したものとし、それ以外の圧電体層12となるセラミックグリーンシートはアクセプターおよびドナーの添加されていないものとすることができる。アクセプターである鉄、マンガン、クロム、コバルトなどを添加することで、予定破断層4の上下の圧電体層11層以外の圧電体層12よりヤング率の高い層を意図的に作製することができる。一方、ドナーであるニオブ、タングステンなどを添加することで、予定破断層4の上下の圧電体層11層以外の圧電体層12よりヤング率の低い層を意図的に作製することができる。
次に、内部電極層2となる導電性ペーストを作製する。具体的には、例えば銀−パラジウム合金の金属粉末にバインダーおよび可塑剤を添加混合することによって導電性ペーストを作製する。この導電性ペーストを上記のセラミックグリーンシート上に、例えばスクリーン印刷法を用いて内部電極層2のパターンで塗布する。
また、予定破断層4用の金属ペーストを作製する。この金属ペーストは、例えば銀を主成分とする金属粉末にバインダー、可塑剤等を添加混合したものでもよく、内部電極2用の導体ペーストよりも銀の比率を高めた銀パラジウムからなる金属粉末にバインダー、可塑剤等を添加混合したものでもよい。この金属ペーストを上記のセラミックグリーンシート状に、例えばスクリーン印刷法を用いて予定破断層4のパターンで塗布する。
さらに、これらの導電性ペースト、金属ペーストが印刷されたセラミックグリーンシートを複数枚積層し、所定の温度で脱バインダー処理を行なった後、900〜1200℃の温度で焼成し、平面研削盤等を用いて所定の形状になるよう研削処理を施すことによって作製する。
なお、圧電体層11と圧電体層12とは、圧電体成分の組成が異なる構成とするには、上記のアクセプターまたはドナーの添加によってもよいが、ジルコン、チタン比の異なる2つのチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の粉末を用いて、セラミックグリーンシートを作製してもよい。
また、圧電体層11の平均粒子径が他の圧電体層12の平均粒子径よりも小さい構成とするには、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の粉末の粉砕時間を長くすることで粒径の小さい粉末を作製し、これを予定破断層4に隣接する圧電体層11となるセラミックグリーンシートに用い、その他の圧電体層12となるセラミックグリーンシートには粉砕時間が短い粒径の大きい粉末を用いればよい。
また、予定破断層4を介して互いに隣り合うそれぞれの圧電体層11は、厚みが他の圧電体層12よりも厚い構成とするには、圧電体層11となるセラミックグリーンシートの厚みを圧電体層12となるセラミックグリーンシートの厚みよりも厚くすればよい。
また、予定破断層4を介して互いに隣り合う圧電体層11は厚みが異なる構成とするには、それぞれの圧電体層11となるセラミックグリーンシートの厚みを異ならせればよい。
なお、積層体3は上記の製造方法によって作製されるものに限定されるものではなく、圧電体層1と内部電極層2とを複数積層してなる積層体3を作製できれば、どのような製造方法によって作製されてもよい。
次に、外部電極5を形成する。具体的には、AgやCuのような金属を含んだ導電性ペーストを用いる。これを積層体3の側面における第1の内部電極層21および第2の内部電極層22のうちの一方の端面が引き出された領域に焼き付けて、例えば5〜70μmの厚さの外部電極5を形成する。スクリーン印刷やディスペンス方式により、所定の厚みや幅に制御して形成することができる。例えば、銀を主成分とする導電性粒子とガラスとを混合したものに、バインダー,可塑剤および溶剤を加えて作製した銀ガラス含有導電性ペーストを用いる。そして、外部電極5のパターンで積層体3の側面にスクリーン印刷法によって印刷後、乾燥させた後、650〜750℃の温度で焼き付け処理を行なう。
次に、必要により被覆材を形成する。具体的には、例えばエポキシ、シリコーン、ナイロンなどの樹脂を使用し、印刷やディスペンス方式により、所定の厚みに制御して形成する。
その後、外部電極5に0.1〜3kV/mmの直流電界を印加し、積層体3を構成する圧電体層1を分極することによって、積層型圧電素子10が完成する。
次に、本実施形態の噴射装置の一例について説明する。
図5は、本実施形態の噴射装置の一例を示す概略断面図である。図5に示すように、本例の噴射装置19は、一端に噴射孔21を有する容器としての収納容器23の内部に上記の例の積層型圧電素子10が収納されている。
収納容器23内には、噴射孔21を開閉することができるニードルバルブ25が配設されている。噴射孔21には流体通路27がニードルバルブ25の動きに応じて連通可能になるように配設されている。この流体通路27は外部の流体供給源に連結され、流体通路27に常時高圧で流体が供給されている。従って、ニードルバルブ25が噴射孔21を開放すると、流体通路27に供給されていた流体が外部または隣接する容器、例えば内燃機関の燃料室(図示せず)に、噴射孔21から吐出されるように構成されている。
ニードルバルブ25の上端部は内径が大きくなっており、収納容器23に形成されたシリンダ29と摺動可能なピストン31になっている。そして、収納容器23内には、上述した例の積層型圧電素子10がピストン31に接して収納されている。
このような噴射装置19では、積層型圧電素子10の駆動によって噴射孔21が開閉される。具体的には、積層型圧電素子10が電圧を印加されて伸長すると、ピストン31が押圧され、ニードルバルブ25が噴射孔21に通じる流体通路27を閉塞し、流体の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると積層型圧電素子10が収縮し、皿バネ33がピストン31を押し返し、流体通路27が開放され噴射孔21が流体通路27と連通して、噴射孔21から流体の噴射が行なわれるようになっている。
なお、積層型圧電素子10に電圧を印加することによって流体通路27を開放し、電圧の印加を停止することによって流体通路27を閉鎖するように構成してもよい。
また、積層型圧電素子10が必ずしも収納容器23の内部にある必要はなく、積層型圧電素子10の駆動によって収納容器23の内部に流体の噴射を制御するための圧力が加わるように構成されていればよい。なお、本例の噴射装置19において、流体とは、燃料,インク等の他、導電性ペースト等の種々の液体および気体が含まれる。本例の噴射装置19を用いることによって、流体の流量および噴出タイミングを長期にわたって安定して制御することができる。
また、上記の例の積層型圧電素子10を採用した本例の噴射装置19を内燃機関に用いれば、従来の噴射装置に比べてエンジン等の内燃機関の燃焼室に燃料をより精度よく噴射させることができる。
次に、本実施形態の燃料噴射システムの一例について説明する。
図6は、本実施形態の燃料噴射システムの一例を示す概略図である。図6に示すように、本例の燃料噴射システム35は、高圧流体としての高圧燃料を蓄えるコモンレール37と、このコモンレール37に蓄えられた高圧流体を噴射する複数の上記の例の噴射装置19と、コモンレール37に高圧流体を供給する圧力ポンプ39と、噴射装置19に駆動信号を与える噴射制御ユニット41とを備えている。
噴射制御ユニット41は、外部情報または外部からの信号に基づいて高圧流体の噴射の量およびタイミングを制御する。例えば、エンジンの燃料噴射に本例の燃料噴射システム35を用いた場合であれば、エンジンの燃焼室内の状況をセンサ等で感知しながら燃料噴射の量およびタイミングを制御することができる。圧力ポンプ39は、燃料タンク43から流体燃料を高圧でコモンレール37に供給する役割を果たす。例えばエンジンの燃料噴射システム35の場合には1000〜2000気圧(約101MPa〜約203MPa)、好ましくは1500〜1700気圧(約152MPa〜約172MPa)の高圧にしてコモンレール37に流体燃料を送り込む。コモンレール37では、圧力ポンプ39から送られてきた高圧燃料を蓄え、噴射装置19に適宜送り込む。噴射装置19は、前述したように噴射孔21から一定の流体を外部または隣接する容器に噴射する。例えば、燃料を噴
射供給する対象がエンジンの場合には、高圧燃料を噴射孔21からエンジンの燃焼室内に霧状に噴射する。
本例の燃料噴射システム35によれば、高圧燃料の所望の噴射を安定して行なうことができる。
本実施形態の積層型圧電素子を以下のようにして作製した。
まず、平均粒子径が0.4μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO3−PbTiO3)を主成分とする圧電セラミックの仮焼粉末、バインダー、及び可塑剤を混合したスラリーを作製し、ドクターブレード法で厚み85μmの圧電体層となるセラミックグリーンシートを作製した。
このセラミックグリーンシートの片面に、銀−パラジウム合金(銀95質量%−パラジウム5重量%)にバインダーを加えた導電性ペーストを、内部電極層となる部分にスクリーン印刷法により形成したセラミックグリーンシートを作製した。また、セラミックグリーンシートの片面に、銀−パラジウム合金(銀99質量%−パラジウム1重量%)の金属ペーストを、予定破断層となる部分にスクリーン印刷法により形成したセラミックグリーンシートを作製した。ここで、積層数は300層とし、予定破断層は30層目、100層目、200層目に配置した。
ここで、予定破断層に隣接する圧電体層となるセラミックグリーンシートにアクセプターを添加したもの(試料No.2〜5)と、アクセプターを添加していないもの(試料No.1)を用意した。
また、予定破断層に隣接する圧電体層となるセラミックグリーンシートに用いる圧電セラミックの仮焼粉末の粉砕時間を長くして平均粒子径が0.3μmとし、他の圧電体層の平均粒子径が0.4μmとなるもの(試料No.3)を用意した。
また、予定破断層に隣接する圧電体層の厚みが170μmで、他の圧電体層の厚みが85μmとなるもの(試料No.4)を用意した。
また、予定破断層に隣接する圧電体層において、上側の圧電体層の厚みが85μmで下側の圧電体層の厚みが170μmとなるもの(試料No.5)を用意した。
そして、この積層体を焼成した。焼成は、800℃で保持した後に、950℃で焼結させた後、さらに900℃で1時間加熱保持してから冷却した。
次に、銀ガラスペーストを積層体の外部電極形成面となる側面に印刷して乾燥した後、700℃で30分焼き付けを行い、外部電極15を形成した。
その後、外部電極にリード線を接続し、正極及び負極の外部電極にリード線を介して3kV/mmの直流電界を15分間印加して分極処理を行い、図1に示すような形態の積層型圧電素子を作製した。
得られた積層型圧電素子に170Vの直流電圧を印加したところ、すべての圧電アクチュエータにおいて、積層方向に変位量が得られた。
さらに、この圧電アクチュエータを室温で0〜+170Vの交流電圧を150Hzの周
波数で印加して、1×10回まで連続駆動した試験を行い、ノイズの発生回数を測定した。なお、ノイズの発生回数は、駆動回路に並列に測定プローブを介してオシロスコープを接続し、駆動波形をモニタリングしてカウントした。その結果を表1に示す。
Figure 2018206800
表1に示す結果より、本実施形態の積層型圧電素子によれば、ノイズの発生回数が少なく、予定破断層のクラックの進展速度を遅くできていることがわかる。
10・・・積層型圧電素子
1・・・圧電体層
11・・・第1の圧電体層
12・・・第2の圧電体層
2・・・内部電極層
21・・・第1の内部電極層
22・・・第2の内部電極層
3・・・積層体
4・・・予定破断層
5・・・外部電極
19・・・噴射装置
21・・・噴射孔
23・・・収納容器
25・・・ニードルバルブ
27・・・流体通路
29・・・シリンダ
31・・・ピストン
33・・・皿バネ
35・・・燃料噴射システム
37・・・コモンレール
39・・・圧力ポンプ
41・・・噴射制御ユニット
43・・・燃料タンク

Claims (8)

  1. 圧電体層および内部電極層が交互に積層されるとともに、少なくとも一部の隣り合う圧電体層間に予定破断層を有する積層体と、
    前記内部電極層と電気的に接続され、前記積層体の側面に設けられた外部電極とを備え、前記予定破断層を介して互いに隣り合うそれぞれの圧電体層は、ヤング率が他の圧電体層とは異なっていることを特徴とする積層型圧電素子。
  2. 前記予定破断層を介して互いに隣り合うそれぞれの圧電体層は、前記内部電極層または前記予定破断層に含まれる金属成分と同じ金属成分を除いた圧電体成分の組成が他の圧電体層を構成する圧電体成分の組成とは異なっていることを特徴とする請求項1に記載の積層型圧電素子。
  3. 前記予定破断層を介して互いに隣り合うそれぞれの圧電体層は、他の圧電体層よりもヤング率が大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層型圧電素子。
  4. 前記予定破断層を介して互いに隣り合うそれぞれの圧電体層は、平均粒子径が他の圧電体層の平均粒子径よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載の積層型圧電素子。
  5. 前記予定破断層を介して互いに隣り合うそれぞれの圧電体層は、厚みが他の圧電体層よりも厚いことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちのいずれかに記載の積層型圧電素子。
  6. 前記予定破断層を介して互いに隣り合う圧電体層は、厚みが異なっていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載の積層型圧電素子。
  7. 噴射孔を有する容器と、請求項1乃至請求項6のうちのいずれかに記載の積層型圧電素子とを備え、該積層型圧電素子の駆動によって前記噴射孔が開閉されることを特徴とする噴射装置。
  8. 高圧燃料を蓄えるコモンレールと、該コモンレールに蓄えられた前記高圧燃料を噴射する請求項7に記載の噴射装置と、前記コモンレールに記高圧燃料を供給する圧力ポンプと、前記噴射装置に駆動信号を与える噴射制御ユニットとを備えることを特徴とする燃料噴射システム。
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