JP2018206524A - 蓄電システム及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】早期かつ確実に非水系蓄電素子の熱暴走の予兆を判定し、熱暴走を防止する。【解決手段】正極、負極及びこれらの間に配置されたセパレータを含む非水系蓄電素子と、非水系蓄電素子の熱暴走予兆診断装置と、制御装置と、を備えた蓄電システムであって、熱暴走予兆診断装置は、非水系蓄電素子の少なくとも電圧及び温度のデータ並びに内部抵抗の算出に必要なデータを取得する電池情報取得部と、セパレータのシャットダウンの有無を判定するシャットダウン判定部と、温度の上昇幅を算出する温度上昇演算部と、内部抵抗を算出する内部抵抗算出部と、セパレータがシャットダウンしていない時間領域において温度の上昇幅と内部抵抗の増加量とから非水系蓄電素子の熱暴走の予兆の有無の判定をする判定部と、を有し、制御装置は、判定部における判定の結果に基づき、熱暴走の予兆がある場合には、非水系蓄電素子の充電を停止する操作、非水系蓄電素子の充電における電流値を低減する操作又は非水系蓄電素子の放電を開始する操作を行う。【選択図】図1
Description
本発明は、蓄電システム及びその制御方法に関する。
電力貯蔵、電力負荷平準化などに用いられる非水系蓄電素子、たとえばリチウムイオン二次電池は、システムの安全性を確保するために過負荷や過充電による熱暴走を防止することが求められる。
特許文献1には、セパレータのシャットダウン機能の作動を所定周波数のインピーダンスを測定することで検知し、異常充電を防止する方法が開示されている。
特許文献2には、充電電流の増加や充電電圧の低下から熱逸走の発生を予測し制御する熱逸走抑制制御技術が開示されている。
特許文献1に記載されている異常充電防止方法は、シャットダウンが開始する温度(120℃以上)に達した部分のセパレータが部分的にシャットダウンし、その部分のイオン伝導が阻害され、部分的に内部抵抗が上昇する現象を検知するものであり、セパレータの破損が始まってから異常充電を検知するものである。また、特許文献1においては、インピーダンスを測定しているため、交流発生装置を設ける必要がある。
特許文献2に記載されている熱逸走抑制制御技術は、充電電流の増加による熱逸走の検知には、定電圧充電が必要であるが、実際の蓄電システムの稼働状態では、電圧も電流も変動するため、検知が困難である。また、電圧の低下による検知は、特許文献2の段落(0029)に記載されているように、「熱逸走が起こっているか、熱逸走に至るような発熱などの異常事態が起こりつつあると予測」され、異常充電が進行した時点でのみ検知可能となる。そのため、より早期にかつ確実にリチウムイオン二次電池等の非水系蓄電素子の熱暴走の予兆を検知し防止することが望まれている。
本発明の目的は、早期かつ確実に非水系蓄電素子の熱暴走の予兆を判定し、熱暴走を防止することにある。
本発明の蓄電システムは、正極、負極及びこれらの間に配置されたセパレータを含む非水系蓄電素子と、非水系蓄電素子の熱暴走予兆診断装置と、制御装置と、を備え、熱暴走予兆診断装置は、非水系蓄電素子の少なくとも電圧及び温度のデータ並びに内部抵抗の算出に必要なデータを取得する電池情報取得部と、セパレータのシャットダウンの有無を判定するシャットダウン判定部と、温度の上昇幅を算出する温度上昇演算部と、内部抵抗を算出する内部抵抗算出部と、セパレータがシャットダウンしていない時間領域において温度の上昇幅と内部抵抗の増加量とから非水系蓄電素子の熱暴走の予兆の有無の判定をする判定部と、を有し、制御装置は、判定部における判定の結果に基づき、熱暴走の予兆がある場合には、非水系蓄電素子の充電を停止する操作、非水系蓄電素子の充電における電流値を低減する操作又は非水系蓄電素子の放電を開始する操作を行う。
本発明によれば、早期かつ確実に非水系蓄電素子の熱暴走の予兆を判定することができ、熱暴走を防止することができる。したがって、熱暴走によって安全性が損なわれることのない蓄電システムの実現が可能となる。
本発明は、非水系蓄電素子を含む蓄電システム及びその制御方法に関し、非水系蓄電素子の熱暴走の予兆を診断することにより、熱暴走を防止することが可能としたものである。ここで、非水系蓄電素子の例としては、リチウムイオン二次電池が挙げられる。また、非水系蓄電素子の他の例としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウムやカルシウム等のイオンを用いて蓄電する素子(電池)が検討されている。なお、本明細書においては、リチウムイオン二次電池を例に説明しているが、本発明は、リチウムイオン二次電池に限定されるものではない。
以下、図面を参照して、本発明に係るリチウムイオン二次電池の内部状態を推定する装置(熱暴走予兆診断装置)の例について説明する。
図1は、熱暴走予兆診断装置を含む蓄電システムの例を示す構成図である。
本図において、蓄電システムは、リチウムイオン二次電池10(以下、単に「電池」と称する。)と、熱暴走予兆診断装置100と、コントローラ108(制御装置)と、を含む。
熱暴走予兆診断装置100は、電池情報取得部101と、シャットダウン判定部102と、温度上昇演算部103と、内部抵抗算出部104と、記憶部105と、判定部106と、を備えている。熱暴走予兆診断装置100においては、各部101〜106が連関する形で接続されている。
電池情報取得部101は、電池10の情報として、電池10の電圧、電流および温度などを収集する機能ブロックである。言い換えると、電池情報取得部101は、非水系蓄電素子の少なくとも電圧及び温度のデータ並びに内部抵抗の算出に必要なデータを取得する。電池情報取得部101で取得した電池10の温度の情報は、シャットダウン判定部102や温度上昇演算部103、内部抵抗算出部104に送信される。なお、電池10は、たとえば電力貯蔵や電力負荷平準化のための定置型用途や、ハイブリッド自動車や電気自動車等の用途に用いられるリチウムイオン二次電池等である。
シャットダウン判定部102は、セパレータのシャットダウンの有無を判定する機能ブロックである。セパレータのシャットダウンの有無は、例えば、次の(1)〜(3)のいずれかの方法により判定することができる。
(1)電池情報取得部により取得された電圧が、非水系蓄電素子の充電に伴い単調に増加しているときには、セパレータがシャットダウンしていないと判定する。
(2)電池情報取得部により取得されたデータに基づき、セパレータがシャットダウンする温度と非水系蓄電素子の内部温度とを比較し、セパレータがシャットダウンする温度よりも内部温度が低いときには、セパレータがシャットダウンしていないと判定する。
(3)セパレータがシャットダウン機能を有するか否かを判定し、セパレータがシャットダウン機能を有していないときには、セパレータがシャットダウンしていないと判定する。ここで、セパレータのシャットダウン機能とは、セパレータの温度がセパレータの融点に近い温度又はそれ以上の温度となった場合に、セパレータの細孔が閉塞し、セパレータに接する正極と負極との間におけるイオンの移動が困難になる現象を利用して、内部抵抗を大きくする機能をいう。
(1)の方法では、電池情報取得部101で取得した電池10の情報に基いて、同一の電流値で充電する場合に、電圧が単調増加しているかどうかを判定する。電流が変化した場合においても、電流や内部抵抗の情報から公知の技術で補正し、判定することができる。なお、電圧が単調増加しているかどうかの判定は、時間領域において大域的に行うことが望ましい。これは、周囲温度等の環境条件が変動した場合や、電圧、電流等がわずかに変動した場合であっても、比較的短時間(数秒以下)の電圧の変化は無視することを意味する。一般的に過充電の場合は、電圧の変化が数分にわたって続くため、数秒以下の電圧の変化は誤差やノイズであると考えられるためである。よって、本明細書においては、「単調増加」の判定は、微小な変化を無視して大域的に行うこと意味するものとする。また、本明細書における「電圧が単調増加している」状態とは、セパレータの破損やその原因となるセパレータの融点付近の高温への温度上昇は生じていないと考えられる状態であって、セパレータのシャットダウンの影響を受けない状態をいう。
(2)の方法では、電池情報取得部で電池の内部温度を測定するか、又は電池情報取得部で取得した電圧、電流などのデータから電池の内部温度を推定する。測定された内部温度又は推定された内部温度とセパレータのシャットダウンが発生する温度と比較することで、セパレータのシャットダウンの影響を受けていないことを確認する。
(3)の方法では、セパレータがシャットダウン機能を有していないという情報を熱暴走予兆診断装置が有する場合は、前記判定を行うことなく、シャットダウンの影響を受けない状態であると判断することができる。
温度上昇演算部103は、電池情報取得部101で取得した電池10の温度情報に基いて、所定時間の経過に伴う温度の上昇幅を算出する機能ブロックである。
内部抵抗算出部104は、電池10の電圧や電流情報から内部抵抗を算出する機能ブロックである。内部抵抗の算出には、電池情報取得部101で取得した蓄電システムの稼働データを用いてもよいし、別途設置した不図示の抵抗測定装置を用いてもよい。言い換えると、内部抵抗は、直流のデータを用いて算出した直流抵抗であってもよいし、交流発生装置を用いて算出したインピーダンスであってもよい。装置構成を簡素化し、コストを抑える観点からは、直流抵抗を用いることが望ましい。
記憶部105は、101から104の機能ブロックから出力される情報を記憶する記憶装置である。なお、記憶部105は、不図示のRAMやROM、不揮発性メモリなどの記憶媒体を有している。
判定部106は、電池10の温度の上昇幅と内部抵抗の増加量とから、電池10の熱暴走の予兆の有無を判定する機能ブロックである。ここで、電池10の温度の上昇幅は、所定の時間領域における温度上昇率であってもよい。言い換えると、判定部106は、記憶部105に記憶された過去の時間領域での温度上昇率と、それ以降の時間領域での温度上昇率との比較に基いて、電池10の熱暴走の予兆の有無を判定する。判定部106における電池10の熱暴走の予兆の有無の判定方法については後述する。判定部106で推定した電池10の熱暴走の予兆の有無についての情報は、コントローラ108へ伝達される。なお、コントローラ108は、判定部106の結果に基づき、電池10の充放電を制御する装置である。
また、判定部106は、電池10の熱暴走の予兆の有無の情報を出力部107から外部に出力してもよい。なお、出力部107を介して出力された電池10の熱暴走の予兆の有無の情報は、不図示の表示装置等によってユーザに伝達されたり、不図示の外部機器に伝達されたりする。
なお、図1においては、符号101〜104で示す構成要素が直列に接続された状態となっているが、本発明は、これに限定されるものではなく、各構成要素が並列に接続され、互いに信号のやり取りをすることができるように構成してもよい。
(電池10の熱暴走の予兆の有無の判定方法について)
以下の説明では、電池10が単電池であるとする。
以下の説明では、電池10が単電池であるとする。
本発明者は、電池10を充電状態(以下「SOC」という。)0%から3Cで充電した際の電圧及び温度の変化を観測した結果、熱暴走に至る前の温度情報と内部抵抗情報から熱暴走の予兆を抽出し、熱暴走を防止することが可能な判定方法に想到した。その効果により、過充電領域まで充電した後であっても、充電を停止し電池10が熱暴走に至ることなく周囲温度まで冷却可能であることを確認した。ここで、1Cは電池の定格容量を1時間で放電する電流値であり、3Cはその3倍の電流値である。また、熱暴走とは、発熱が更なる発熱を招くという正のフィードバックによって、温度の制御ができなくなる状態をいう。
図2は、満充電を超えて充電をし続ける試験(過充電試験)における電圧及び温度を測定した結果(経時変化)を示すグラフである。すなわち、本図においては、充電開始時から終了時までの電圧および温度の推移を示している。
本図に示す過充電試験における充電条件は、充電時間20分でSOCが100%に到達し、それ以降は過充電状態となる条件である。
本図においては、電圧および温度は単調に増加している。そして、温度は、25分前後から加速的に上昇していることがわかる。
図3は、各SOCにおける内部抵抗を、充電開始時であるSOC0%の値で規格化して算出した内部抵抗比を示すグラフである。
本図においては、内部抵抗比は、充電時間28分付近まで単調減少した後、上昇している。なお、内部抵抗は、各SOCで充電を停止した際の電圧低下を充電電流で割ることにより算出した。
図4は、図2の温度から温度上昇率を算出して示すグラフである。
本図においては、温度上昇率は、充電を開始した直後から約3分間は増加し、その後、低下している。25分程度経過した時点で再度増加し、35分前後から増加速度(温度上昇率の傾き)が大きくなっている。なお、この間、電流は一定で充電を継続している。すなわち、電流が変化する充電開始直後を除き、過充電でない20分以前は温度上昇率が減少している。一方、25分以降の温度上昇率は、増加傾向を示す。
以上の電圧、温度、温度上昇率及び内部抵抗の傾向を熱暴走の予兆として検知することにより、熱暴走を防止することが可能となる。
具体的な制御装置による電池の熱暴走を防止する方法の例としては、判定部の判定結果に基づき、電池の充電を停止する操作、電池の充電における電流値を低減する操作、又は電池の放電を開始する操作を行うことが挙げられる。
以下、シャットダウン判定部が、電池情報取得部により取得された電圧が、非水系蓄電素子の充電に伴い単調に増加しているときに、セパレータがシャットダウンしていないと判定する場合(上記(1)の方法)について、実施例を用いて詳細に説明する。
図5は、電流が一定とみなせる場合の熱暴走の予兆の有無を判定するフローチャートである。なお、以下の説明においては、図1に示す構成要素及びその符号を適宜用いる。
図5に示すように、まず、充電に伴う電圧、電流、温度等の電池情報を取得する(S501)。
つぎに、電圧が単調増加しているかを判別する(S502)。
ここで、電流値が一定の場合、記憶部105に記憶されている電圧の前回値と現在値を比較することにより、単調増加しているか否かを判定可能である。なお、電流が変化する場合には、電流変化量と内部抵抗の積を測定された電圧から差し引くことで、電流変化が無い場合の電圧挙動を推定可能である。推定された電圧値が単調増加していれば、判定部106は単調増加と判定する。
温度及び内部抵抗に関しても、記憶部105に記憶されている前回値と現在値を比較することにより、単調増加しているか否かを判定可能である(S503)。リチウムイオン電池は、一般に、温度増加に伴い内部抵抗が減少することが知られている。本発明では、温度の上昇に伴う内部抵抗の上昇を検知することにより、簡易に熱暴走の予兆判定が可能である(S504)。すなわち、図2及び図3に示す場合には、充電時間30分付近から、温度上昇と内部抵抗上昇が同時に生じており、熱暴走の予兆ありと診断される。上記の特徴が見られない場合には、熱暴走の予兆無しと判定する(S505)。
本実施例では、実施例1における単純な温度上昇ではなく、図4に示すような加速的な温度上昇を検知し熱暴走の予兆を判定する手段を開示する。
実施例2において、温度上昇演算部103は、電池情報取得部101で取得した電池10の温度の情報に基づいて、単位時間当たりの温度変化である温度上昇率を演算する。温度上昇演算部103にて演算した温度上昇率は、記憶部105に記憶する。
図6は、電流が一定とみなせる場合の熱暴走の予兆の有無を判定するフローチャートである。ここで、時間をtと表し、温度をTと表すこととする。tは時間の経過に伴い単調に増加する指標とする。
以下、実施例1と同一の内容は省略し、実施例2で追加される内容を示す。すなわち、図6におけるS701及びS702は、図5におけるS501及びS502と同様である。
S702において電圧が単調増加していると判定された場合、電流値が一定か否かを判別する(S703)。
電流値が一定の場合、第一の時間領域での温度上昇率ΔT1を演算し、記憶部105に記憶する(S704)。ここで、第一の時間領域をt11からt12までとし、温度がT11からT12へ上昇したとすると、ΔT1は、次の式により演算される。
ΔT1=(T12−T11)/(t12−t11)
そして、第二の時間領域をt21からt22までとし、温度がT21からT22へ上昇したとすると、ΔT2は、次の式により演算される(S705)。
そして、第二の時間領域をt21からt22までとし、温度がT21からT22へ上昇したとすると、ΔT2は、次の式により演算される(S705)。
ΔT2=(T22−T21)/(t22−t21)
ここで、第一の時間領域に対して、第二の時間領域は時間的に後である。このとき、t11<t21またはt12<t22の内少なくとも一方は成立する必要がある。加速的な温度上昇が生じていれば、ΔT2>ΔT1となる(S706)。ΔT2>ΔT1となり、かつ、内部抵抗が増加した場合(S707)には、熱暴走の予兆有りと判定する(S708)。一方、ΔT2>ΔT1でない場合又は内部抵抗が増加しない場合は、熱暴走の予兆無しと判定する(S709)。
ここで、第一の時間領域に対して、第二の時間領域は時間的に後である。このとき、t11<t21またはt12<t22の内少なくとも一方は成立する必要がある。加速的な温度上昇が生じていれば、ΔT2>ΔT1となる(S706)。ΔT2>ΔT1となり、かつ、内部抵抗が増加した場合(S707)には、熱暴走の予兆有りと判定する(S708)。一方、ΔT2>ΔT1でない場合又は内部抵抗が増加しない場合は、熱暴走の予兆無しと判定する(S709)。
なお、電流値が一定でないと判定された場合、この判定操作を終了する(S703)。
図7は、温度測定ノイズによる誤検知を防止するために、ΔT1およびΔT2にしきい値ΔT0(基準値)を設定した場合のフローチャートである。
ΔT0は、予め記憶部105に保存されている。以下、実施例1または実施例2と同一の内容は省略し、実施例3で追加される内容を示す。すなわち、図7におけるS801〜S804は、図6におけるS701〜S704と同様である。
S805においては、S804において演算されたΔT1がΔT0より大きいか否かを判別する。ΔT1がΔT0より大きい場合には、ΔT2を演算する(S806)。なお、ΔT1がΔT0以下の場合は、S801から再度演算する。
S807においては、S806において演算されたΔT2がΔT1より大きいか否かを判別する。
ΔT2>ΔT1となり、かつ、内部抵抗が増加した場合(S808)には、熱暴走の予兆有りと判定する(S809)。一方、ΔT2>ΔT1でない場合又は内部抵抗が増加しない場合は、熱暴走の予兆無しと判定する(S810)。
このような方法を用いることで、温度測定ノイズの誤検知を防止し、かつ、演算負荷を低減することが可能となる。
図8は、電流値が一定でない場合の判定フローチャートである。
電流が増加すると、ジュール発熱が増加し、電池の温度上昇が加速する。増加した電流による電池温度の上昇分は、公知の方法で演算できる。例えば、電流値の2乗に内部抵抗を乗じた値から発熱量を算出し、電池10の熱容量で除して温度上昇を算出するなどの方法が考えられる。第一の時間領域から第二の時間領域までの電池温度の上昇は、電流が一定であった場合の温度上昇と、電流が増加しジュール発熱量が増加したことによる温度上昇との合計となるため、電流が増加の影響を差し引くことで電流が一定でない場合も熱暴走の予兆を検知することが可能である。
まとめると、電池10の温度だけでなく、電池10の電流値を蓄積し、電流値のデータの履歴を加味して、電池10の温度上昇率の変化を判定に用いる。
以下、実施例1、実施例2または実施例3と同一の内容は省略し、実施例3の内容に追加された内容について説明する。すなわち、図8におけるS901〜S910は、図7におけるS801〜S810と同様である。
電流値が一定でない場合(S903)、温度上昇率ΔT1の演算(S911)をした後に変化した電流による第一の時間領域から第二の時間領域までの温度上昇率ΔTを演算する(S912)。ここで、ΔTは、例えば次の式により演算することができる。
ΔT=(T22−T11)/(t22−t11)
その後、温度上昇率ΔT2を演算し(S913)、ΔT1とΔT2の比較の際にΔT2からΔTを差し引いて、ΔT2−ΔT>ΔT1であるか否かを判別する(S914)。ΔT2−ΔT>ΔT1かつ内部抵抗が増加した場合は、熱暴走の予兆有りと判定する(S916)。T2−ΔT≦ΔT1または内部抵抗が増加しない場合は、熱暴走の予兆無しと判定する(S917)。
その後、温度上昇率ΔT2を演算し(S913)、ΔT1とΔT2の比較の際にΔT2からΔTを差し引いて、ΔT2−ΔT>ΔT1であるか否かを判別する(S914)。ΔT2−ΔT>ΔT1かつ内部抵抗が増加した場合は、熱暴走の予兆有りと判定する(S916)。T2−ΔT≦ΔT1または内部抵抗が増加しない場合は、熱暴走の予兆無しと判定する(S917)。
図6〜8においては、演算の容易さから、第一の時間領域と第一の時間領域より後の第二の時間領域とを設定し、第一の時間領域での温度上昇率よりも第二の時間領域での温度上昇率が大きい場合を熱暴走の予兆と判定したが、その本質は下に凸の形状の温度上昇挙動を検知することであり、温度の二階微分値を算出し、その値が正であることを条件としてもよい。
なお、図6〜8においては、温度の上昇を判別した後、内部抵抗の増加を判別しているが、本発明は、これに限定されるものではなく、内部抵抗の増加を判別した後、温度の上昇を判別してもよい。
以上の説明は、電池10が単電池である場合についてであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数個の電池を用いた蓄電システムにおいても適用可能である。複数個の電池の集合体である電池群を用いた蓄電システムにも適用可能である。また、複数個の電池が集合体を形成していなくても適用可能である。
その場合、それぞれの電池の設置位置の違いにより、例えば、電池群の中央部に位置する電池と電池群の外縁部に位置する電池とでは、放熱のしやすさが異なるため、充放電の繰り返しにより、それぞれの電池の温度が異なるものとなる。
本発明者の検討において、電池の温度が異なる場合(電池の初期温度が異なる場合を含む。)であっても、温度上昇率の経時変化はほぼ一致することがわかっている。このことから、電池群を構成する複数個の電池のそれぞれに対して上述の実施例1〜3のいずれかの方法を適用することにより、それぞれの電池の熱暴走の予兆を診断することが可能である。
また、複数個の電池を用いた蓄電システムにおいて、電圧および内部抵抗は、各電池の情報であっても、複数個の電池を直列および/または並列接続した電池群の情報であっても同様の判定が可能である。
したがって、本発明によれば、過充電が進行し充電に伴い電圧が低下する挙動から判定する方法よりも早期に熱暴走の予兆を判定できるという効果を奏する。
10:リチウムイオン二次電池、100:熱暴走予兆診断装置、101:電池情報取得部、102:シャットダウン判定部、103:温度上昇演算部、104:内部抵抗算出部、105:記憶部、106:判定部、107:出力部、108:コントローラ。
Claims (12)
- 正極、負極及びこれらの間に配置されたセパレータを含む非水系蓄電素子と、
前記非水系蓄電素子の熱暴走予兆診断装置と、
制御装置と、を備え、
前記熱暴走予兆診断装置は、前記非水系蓄電素子の少なくとも電圧及び温度のデータ並びに内部抵抗の算出に必要なデータを取得する電池情報取得部と、前記セパレータのシャットダウンの有無を判定するシャットダウン判定部と、前記温度の上昇幅を算出する温度上昇演算部と、前記内部抵抗を算出する内部抵抗算出部と、前記セパレータがシャットダウンしていない時間領域において前記温度の上昇幅と前記内部抵抗の増加量とから前記非水系蓄電素子の熱暴走の予兆の有無の判定をする判定部と、を有し、
前記制御装置は、前記判定部における前記判定の結果に基づき、前記熱暴走の予兆がある場合には、前記非水系蓄電素子の充電を停止する操作、前記非水系蓄電素子の前記充電における電流値を低減する操作又は前記非水系蓄電素子の放電を開始する操作を行う、蓄電システム。 - 前記シャットダウン判定部は、次の(1)〜(3)のいずれかの方法によりシャットダウンの有無を判定する請求項1に記載の蓄電システム。
(1)前記電池情報取得部により取得された前記電圧が、前記非水系蓄電素子の前記充電に伴い単調に増加しているときには、前記セパレータがシャットダウンしていないと判定する。
(2)前記電池情報取得部により取得されたデータに基づき、前記セパレータがシャットダウンする温度と前記非水系蓄電素子の内部温度とを比較し、前記セパレータがシャットダウンする温度よりも前記内部温度が低いときには、前記セパレータがシャットダウンしていないと判定する。
(3)前記セパレータがシャットダウン機能を有するか否かを判定し、前記セパレータが前記シャットダウン機能を有していないときには、前記セパレータがシャットダウンしていないと判定する。 - 前記温度上昇演算部は、第一の時間領域と前記第一の時間領域より遅い時間領域である第二の時間領域とでそれぞれ単位時間当たりの前記温度の上昇幅である温度上昇率を算出し、
前記判定部は、前記第一の時間領域の前記温度上昇率に対し前記第二の時間領域の前記温度上昇率が大きい場合であって前記内部抵抗の増加が発生している場合には、前記熱暴走の予兆があると判定する、請求項1又は2に記載の蓄電システム。 - 前記熱暴走予兆診断装置は、更に記憶部を有し、
前記記憶部は、前記温度上昇率の基準値を予め保有し、
前記判定部は、前記第一の時間領域の前記温度上昇率が前記基準値を超える場合には、前記判定を実施する、請求項3に記載の蓄電システム。 - 前記電池情報取得部は、前記非水系蓄電素子の電流値のデータを取得し、
前記判定部は、蓄積された前記非水系蓄電素子の電流値のデータの履歴を加味して前記温度上昇率を比較する、請求項3又は4に記載の蓄電システム。 - 前記内部抵抗は、直流抵抗である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の蓄電システム。
- 正極、負極及びこれらの間に配置されたセパレータを含む非水系蓄電素子と、
前記非水系蓄電素子の熱暴走予兆診断装置と、
制御装置と、を備えた蓄電システムを制御する方法であって、
熱暴走の予兆の有無の判定対象である前記非水系蓄電素子の少なくとも電圧及び温度のデータ並びに内部抵抗の算出に必要なデータを取得する工程と、
前記内部抵抗を算出する工程と、
前記セパレータのシャットダウンの有無を判定する工程と、
前記セパレータがシャットダウンしていない時間領域において、前記温度の上昇幅と前記内部抵抗の増加量とから前記熱暴走の予兆の有無の判定をする工程と、
前記判定の結果に基づき、前記熱暴走の予兆がある場合には、前記非水系蓄電素子の充電を停止する操作、前記非水系蓄電素子の前記充電における電流値を低減する操作又は前記非水系蓄電素子の放電を開始する操作を行う工程と、を含む、蓄電システムの制御方法。 - 前記シャットダウンの有無は、次の(1)〜(3)のいずれかの方法により判定する請求項7に記載の蓄電システムの制御方法。
(1)取得された前記電圧が、前記非水系蓄電素子の前記充電に伴い単調に増加しているときには、前記セパレータがシャットダウンしていないと判定する。
(2)取得された前記データに基づき、前記セパレータがシャットダウンする温度と前記非水系蓄電素子の内部温度とを比較し、前記セパレータがシャットダウンする温度よりも前記内部温度が低いときには、前記セパレータがシャットダウンしていないと判定する。
(3)前記セパレータがシャットダウン機能を有するか否かを判定し、前記セパレータが前記シャットダウン機能を有していないときには、前記セパレータがシャットダウンしていないと判定する。 - 第一の時間領域と前記第一の時間領域より遅い時間領域である第二の時間領域とでそれぞれ単位時間当たりの前記温度の上昇幅である温度上昇率を算出し、
前記第一の時間領域の前記温度上昇率に対し前記第二の時間領域の前記温度上昇率が大きい場合であって前記内部抵抗の増加が発生している場合には、前記熱暴走の予兆があると判定する、請求項7又は8に記載の蓄電システムの制御方法。 - 前記第一の時間領域の前記温度上昇率が、前記温度上昇率の基準値を超える場合には、前記判定を実施する、請求項9記載の蓄電システムの制御方法。
- 前記非水系蓄電素子の電流値のデータを取得し、
蓄積された前記非水系蓄電素子の電流値のデータの履歴を加味して前記温度上昇率を比較する、請求項9又は10に記載の蓄電システムの制御方法。 - 前記内部抵抗は、直流抵抗である、請求項7〜11のいずれか一項に記載の蓄電システムの制御方法。
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