JP2018205331A - 静電潜像現像用トナー及びその製造方法 - Google Patents

静電潜像現像用トナー及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】画像形成中に外添剤粒子の脱離が起こった場合であっても、画質に優れる画像を形成できる。【解決手段】トナーコア21の表面には、複数の第1凹部H1が形成されている。シェル層23は、トナーコア21の表面領域における第1凹部H1の内側領域及び第1凹部H1の外側領域に存在する。トナー母粒子20の表面には、第1凹部H1に対応する第2凹部H2が形成されている。トナーコア21の表面領域の単位面積あたりの第1凹部H1の数は、0.30個/μm2以上である。トナーコア21の断面領域は、第1凹部H1の内側領域から500nm以内の領域である第1領域F1と、第1領域F1以外の領域である第2領域F2とで、構成されている。トナーコア21は、複数の高誘電率ドメイン25を有する。第1領域F1のうち高誘電率ドメイン25が占める合計面積の割合が、第2領域F2のうち高誘電率ドメイン25が占める合計面積の割合に比べて高い。【選択図】図3

Description

本発明は、静電潜像現像用トナー及びその製造方法に関する。
現像に使用される現像剤として、2成分現像剤が知られている。2成分現像剤は、トナーと、トナーを摩擦により正又は負に帯電させるキャリアとを、含む。トナーは、複数のトナー粒子を含む。トナー粒子は、各々、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着する複数の外添剤粒子とを、有する。例えば特許文献1には、外添剤粒子としてシリカ粒子を使用することが、記載されている。
特開2004−212508号公報
画像形成中に外添剤粒子がトナー母粒子の表面から脱離することがある。例えば、トナーを正又は負に帯電させるためにトナーを現像装置内で攪拌させると、トナーには熱的ストレス又は機械的ストレスが与えられる。そのため、現像装置内でのトナーの攪拌時(以下、「トナーの攪拌時」と記載する)、トナー母粒子の表面からの外添剤粒子の脱離(以下、「外添剤粒子の脱離」と記載する)が起こり易い。特に、トナー母粒子と外添剤粒子との間に作用する静電的引力が小さい場合、又は印刷枚数の増加に起因して画像形成装置へのトナーの補給量の合計が増加した場合、外添剤粒子の脱離が顕著となる。
外添剤粒子がトナー母粒子の表面から脱離すると、トナー母粒子の表面から脱離した外添剤粒子(以下、「脱離粒子」と記載する)が、トナー母粒子とは異なる部材に付着することがある。例えば、トナーの攪拌時に外添剤粒子の脱離が起こると、脱離粒子がキャリアに付着することがある。脱離粒子がキャリアに付着すると、トナーとキャリアとの間で摩擦帯電が起こり難い。そのため、トナーの帯電不良が発生することがある。例えば、逆帯電トナーが飛散することがある。よって、形成された画像において、かぶりが発生することがある。
画像形成中における外添剤粒子の脱離を防止できれば、かぶりの発生を防止できる、と考えられる。しかし、画像形成中における外添剤粒子の脱離を完全に防止することは、特にトナーの攪拌時における外添剤粒子の脱離を完全に防止することは、現実的でない。その一方で、画質に優れる画像を形成することが求められている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、画像形成中において外添剤粒子の脱離が起こった場合であっても画質に優れる画像を形成可能な静電潜像現像用トナー及びその製造方法を提供することである。
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、トナー粒子を複数含む。前記トナー粒子は、各々、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを、備える。前記トナー母粒子は、各々、トナーコアと、前記トナーコアの表面を覆うシェル層とを、有する。前記トナーコアの表面には、複数の第1凹部が形成されている。前記シェル層は、前記トナーコアの表面領域における前記第1凹部の内側領域及び前記第1凹部の外側領域に存在する。前記トナー母粒子の表面には、前記第1凹部に対応する第2凹部が形成されている。前記トナーコアの表面領域の単位面積あたりの前記第1凹部の数は、0.30個/μm2以上である。前記トナーコアの断面領域は、各々、前記第1凹部の内側領域から500nm以内の領域である第1領域と、前記第1領域以外の領域である第2領域とで、構成されている。前記トナーコアは、各々、複数の高誘電率ドメインを有する。前記高誘電率ドメインは、各々、比誘電率が100以上である高誘電率粒子を含む。前記第1領域のうち前記高誘電率ドメインが占める合計面積の割合が、前記第2領域のうち前記高誘電率ドメインが占める合計面積の割合に比べて高い。
本発明に係る静電潜像現像用トナーの製造方法は、トナー母粒子を作製する工程と、前記トナー母粒子と外添剤粒子とを混合する工程とを、含む。トナー母粒子を作製する工程は、トナーコアを作製する工程と、前記トナーコアの表面にシェル層を形成する工程とを、含む。前記トナーコアを作製する工程は、第1非結晶性ポリエステル樹脂と高誘電率粒子とを混合して、前記高誘電率粒子が前記第1非結晶性ポリエステル樹脂中に分散した状態で存在する混合物を得る工程と、前記混合物と第2非結晶性ポリエステル樹脂とを含むトナーコア材料を溶融混練して、溶融混練物を得る工程と、前記溶融混練物を粉砕して、複数の粒子を含む粉砕物を得る工程とを、含む。前記シェル層を形成する工程は、前記トナーコアとシェル材料とを含むとともにpHが6以下である液体を、準備する工程と、前記液体の温度を第1目標温度にまで上昇させる昇温工程と、前記昇温工程において前記液体の温度が第2目標温度に到達した時点で、前記液体のpHを8以上に変更する工程とを、含む。前記第2非結晶性ポリエステル樹脂の軟化点が、前記第1非結晶性ポリエステル樹脂の軟化点に比べて高い。前記高誘電率粒子の比誘電率が、100以上である。前記第1目標温度は、前記第1非結晶性ポリエステル樹脂の軟化点に比べて高い温度であって前記第2非結晶性ポリエステル樹脂の軟化点に比べて低い温度である。前記第2目標温度は、前記第1非結晶性ポリエステル樹脂の軟化点に比べて低い温度である。
本発明の静電潜像現像用トナーによれば、画像形成中に外添剤粒子の脱離が起こった場合であっても、画質に優れる画像を形成できる。
本発明の実施形態に係る静電潜像現像用トナーに含まれるトナー粒子の断面構造の一例を示す図である。 図1に示されるトナー母粒子の表面領域の一部領域を示す平面図である。 第1凹部の内面から500nm以内の領域を示す図である。
本発明の実施形態について説明する。なお、粉体に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の個数平均である。粉体としては、例えば、トナーコア、トナー母粒子、外添剤、又はトナーが、挙げられる。
粉体の個数平均粒子径は、何ら規定していなければ、顕微鏡を用いて測定された1次粒子の円相当径(ヘイウッド径:粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。また、粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、ベックマン・コールター株式会社製の「コールターカウンターマルチサイザー3」を用いてコールター原理(細孔電気抵抗法)に基づき測定した値である。
ガラス転移点(Tg)は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて「JIS(日本工業規格)K7121−2012」に従って測定した値である。また、軟化点(Tm)は、何ら規定していなければ、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いて測定した値である。高化式フローテスターで測定されたS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)において、「(ベースラインストローク値+最大ストローク値)/2」となる温度が、Tm(軟化点)に相当する。また、融点(Mp)の測定値は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて測定される吸熱曲線(縦軸:熱流(DSC信号)、横軸:温度)中の最大吸熱ピークの温度である。この吸熱ピークは、結晶化部位の融解に起因して現れる。
材料の「主成分」は、何ら規定していなければ、質量基準で、その材料に最も多く含まれる成分を意味する。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。また、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを包括的に「(メタ)アクリロニトリル」と総称する場合がある。
本実施形態に係る静電潜像現像用トナー(以下、「トナー」と記載する)は、例えば正帯電性トナーとして、静電潜像の現像に好適に用いることができる。本実施形態に係るトナーは、1成分現像剤として使用してもよい。1成分現像剤に含まれる正帯電性トナーは、現像装置内における現像スリーブ、又はブレードとの摩擦により、正に帯電する。また、混合装置(例えば、ボールミル)を用いてトナーとキャリアとを混合して、2成分現像剤を調製してもよい。2成分現像剤に含まれる正帯電性トナーは、現像装置内におけるキャリアとの摩擦により、正に帯電する。
本実施形態に係るトナーは、複数のトナー粒子を含む粉体である。トナー粒子は、各々、トナーコアと、トナーコアの表面を覆うシェル層とを備える。シェル層は、実質的に樹脂から構成される。例えば、低温で溶融するトナーコアを、耐熱性に優れるシェル層で覆うことで、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図ることが可能になる。シェル層を構成する樹脂中に添加剤が分散していてもよい。シェル層の表面には、又はシェル層で覆われていないトナーコアの表面領域には、外添剤が付着していることが好ましい。以下、外添剤が付着する前のトナー粒子を、トナー母粒子と記載する。
本実施形態に係るトナーは、例えば電子写真装置(画像形成装置)において画像の形成に用いることができる。電子写真装置は、像形成部として、帯電装置と露光装置とを備えることが好ましい。電子写真装置は、現像装置と転写装置と定着装置とをさらに備えることが好ましい。以下、電子写真装置による画像形成方法の一例について説明する。
まず、電子写真装置の像形成部が、画像データに基づいて、感光体に静電潜像を形成する。続く現像工程では、電子写真装置の現像装置(詳しくは、トナーを含む現像剤がセットされた現像装置)が、トナーを感光体に供給して、感光体に形成された静電潜像を現像する。トナーは、感光体に供給される前に、現像装置内で、キャリア、現像スリーブ、又はブレードとの摩擦により帯電する。例えば、正帯電性トナーは正に帯電する。現像工程では、感光体の近傍に配置された現像スリーブ上のトナー(詳しくは、帯電したトナー)が感光体に供給され、供給されたトナーが感光体の静電潜像に付着することで、感光体上にトナー像が形成される。消費されたトナーは、補給用トナーを収容するトナーコンテナから現像装置へ補給される。なお、感光体は、例えば、感光体ドラムの表層部に相当する。現像スリーブは、例えば、現像装置内の現像ローラーの表層部に相当する。
続く転写工程では、電子写真装置の転写装置が、感光体上のトナー像を中間転写体に転写した後、さらに中間転写体上のトナー像を記録媒体に転写する。その後、電子写真装置の定着装置がトナーを加熱及び加圧して、記録媒体にトナーを定着させる。その結果、記録媒体に画像が形成される。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合わせることで、フルカラー画像を形成できる。転写工程の後、感光体上に残ったトナーは、クリーニング部材により除去される。なお、中間転写体の一例としては、転写ベルトが挙げられる。記録媒体の一例としては、印刷用紙が挙げられる。クリーニング部材の一例としては、クリーニングブレードが挙げられる。転写方式は、間接転写方式に限定されず、直接転写方式であってもよい。直接転写方式では、感光体上のトナー像を、中間転写体を介さず、記録媒体に直接転写する。定着方式は、加熱ローラー及び加圧ローラーによるニップ定着方式であってもよいし、ベルト定着方式であってもよい。
[トナーの基本構成]
本実施形態に係るトナーは、次に示す構成(以下、基本構成と記載する)を有する。詳しくは、本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を複数含む。トナー粒子は、各々、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを、備える。トナー母粒子は、各々、トナーコアと、トナーコアの表面を覆うシェル層とを、有する。トナーコアの表面には、複数の第1凹部が形成されている。シェル層は、トナーコアの表面領域における第1凹部の内側領域及び第1凹部の外側領域に存在する。トナー母粒子の表面には、第1凹部に対応する第2凹部が形成されている。トナーコアの表面領域の単位面積あたりの第1凹部の数は、0.30個/μm2以上である。トナーコアの断面領域は、各々、第1凹部の内側領域から500nm以内の領域である第1領域と、第1領域以外の領域である第2領域とで、構成されている。トナーコアは、各々、複数の高誘電率ドメインを有する。高誘電率ドメインは、各々、比誘電率が100以上である高誘電率粒子を含む。第1領域のうち高誘電率ドメインが占める合計面積の割合が、第2領域のうち高誘電率ドメインが占める合計面積の割合に比べて高い。以下、第1凹部を「下地凹部」と記載する。また、第2凹部を「表面凹部」と記載する。
ここで、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)(例えば、日本電子株式会社製「JSM−7600F」)を用いてトナー母粒子の表面領域を観察することで、トナーコアの表面領域の単位面積あたりの下地凹部の数を求めることができる。トナー母粒子の表面から外添剤を取り除いた後に、トナー母粒子の表面領域を観察することが好ましい。
また、透過電子顕微鏡(TEM、例えば株式会社日立ハイテクノロジーズ製「H−7100FA」)を用いてトナー母粒子の断面TEM写真を観察することで、トナーコアにおける高誘電率ドメインの分布を確認できる。トナー母粒子の表面から外添剤を取り除いた後に、トナー母粒子の断面TEM写真を観察することが好ましい。
また、回転式レオメーター(例えば、TAインスツルメント社製「ARES−G2」)とLCRメーター(例えば、キーサイト・テクノロジーズ株式会社製「4284AプレシジョンLCRメーター」)とを用いて、高誘電率粒子の比誘電率を求めることができる。詳しくは、後述の実施例に記載の方法又はそれに準ずる方法で、高誘電率粒子の比誘電率を求めることができる。
[トナーの構成]
以下、図1〜図3を参照しながら、前述の基本構成を有するトナーを具体的に説明する。なお、図面において、同一の参照符号は、同一部分又は相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は、図面の明瞭化及び簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
図1は、本実施形態に係るトナーの構成の一例を示す図である。本実施形態に係るトナーは、トナー粒子10を複数含む。トナー粒子10は、各々、トナー母粒子20と、トナー母粒子20の表面に付着する複数の外添剤粒子30とを備える。トナー母粒子20は、各々、トナーコア21と、トナーコア21の表面を覆うシェル層23とを有する。外添剤粒子30は、トナー母粒子20の表面に付着していればよく、シェル層23の表面に付着していてもよいし、トナーコア21の表面領域のうちシェル層23から露出する部位に付着していてもよい。
図2は、トナー母粒子20の表面領域の一部領域を拡大して示す図である。図2に示すように、トナーコア21の表面には、複数の下地凹部H11〜H13が形成されている。トナーコア21の表面領域の単位面積あたりの下地凹部H1の数は、0.30個/μm2以上である。以下、下地凹部H11〜H13の各々を区別する必要がない場合には、下地凹部H11〜H13の各々を「下地凹部H1」と記載する。
下地凹部H1は、100nm以上の深さを有することが好ましい。そのため、意図せずとも自然にトナーコア21の表面に形成される微小な凹凸は、下地凹部H1に含まれない。より好ましくは、下地凹部H1の深さが3μm以下である。これにより、下地凹部H1の形成容易性を確保でき、ひいてはトナーコア21の加工容易性を確保できる。さらに好ましくは、下地凹部H1の深さが500nm以下である。これにより、トナーコア21の表面における下地凹部H1の数を確保できる。ここで、トナーコア21の表面における下地凹部H1の平面形状は、任意であり、真円状、楕円状、多角形状、又は異形であってもよい。また、図2には、下地凹部H1の深さの一例として、下地凹部H11の深さD1を記している。
トナーコア21の表面領域における下地凹部H12の内側領域及び下地凹部H12の外側領域には、シェル層23が存在する。また、トナーコア21の表面領域における下地凹部H13の内側領域及び下地凹部H13の外側領域には、シェル層23が存在する。そのため、トナー母粒子20の表面には、下地凹部H12に対応する表面凹部H22と、下地凹部H13に対応する表面凹部H23とが、形成されている。以下、表面凹部H22及びH23の各々を区別する必要がない場合には、表面凹部H22及びH23の各々を「表面凹部H2」と記載する。なお、図2にはシェル層23を粒状感のない膜として記しているが、シェル層23は粒状感のある膜であってもよい。シェル層23を形成するための材料として樹脂粒子を使用した場合、材料(樹脂粒子)が完全に溶けて膜状の形態で硬化すれば、シェル層23として粒状感のない膜が形成されると考えられる。他方、材料(樹脂粒子)が完全に溶けずに膜状の形態で硬化すれば、シェル層23として樹脂粒子が2次元的に連なった形態を有する膜(粒状感のある膜)が形成されると考えられる。
表面凹部H2は、100nm以上の深さを有することが好ましい。そのため、意図せずとも自然にトナー母粒子20の表面に形成される微小な凹凸は、表面凹部H2に含まれない。シェル層23の厚さが下地凹部H1の深さに比べて十分小さければ、表面凹部H2の深さは下地凹部H1の深さと概ね同じになると考えられる。例えば、下地凹部H1の深さが100nm以上であり、且つシェル層23の厚さが1nm以上50nm以下であれば、表面凹部H2の深さが100nm以上となり易い。なお、図2には、表面凹部H2の深さの一例として、表面凹部H23の深さD3を記している。また、図2において、下地凹部H13の内側領域の範囲を範囲R3と記している。
下地凹部H11の内側領域には、シェル層23は存在しない。このように、シェル層23は、複数の下地凹部H1のうちの数個において、下地凹部H1の内側領域に存在しなくてもよい。シェル層23が下地凹部H1の内側領域に存在しなければ、トナー母粒子20の表面において、その下地凹部H1に対応する表面凹部H2は形成されない。トナー母粒子20の機械的強度を確保するためには、トナー母粒子20の表面領域の単位面積あたりの表面凹部H2の数は0.30個/μm2以上であることが好ましい。なお、図2において、下地凹部H11の内側領域の範囲を範囲R1と記している。
トナーコア21は、複数の高誘電率ドメイン25を有する。高誘電率ドメイン25は、各々、1個以上の高誘電率粒子を含む。高誘電率粒子の比誘電率は、100以上である。このような高誘電率ドメイン25は、下地凹部H1の周囲に優先的に存在する。以下、図3を用いて、トナーコア21をさらに説明する。
図3は、下地凹部H1の内面から500nm以内の領域を示す図である。トナーコア21の断面領域は、第1領域F1と第2領域F2とで構成される。第1領域F1は、下地凹部H1の内側領域から500nm以内の領域に相当する。図3において、第1領域F1は、斜線を付した領域に相当し、そのため、距離d11が500nmに相当する。また、第2領域F2は、第1領域F1以外の領域である。そのため、第2領域F2は、下地凹部H1の内側領域から500nmよりも離れた領域に相当する。
トナーコア21では、第1領域F1のうち高誘電率ドメイン25が占める合計面積の割合が、第2領域F2のうち高誘電率ドメイン25が占める合計面積の割合に比べて高い。例えば、第1領域F1のうち高誘電率ドメイン25が占める合計面積の割合が20%以上60%以下であり、且つ第2領域F2のうち高誘電率ドメイン25が占める合計面積の割合が1%以上10%以下であることが好ましい。また、半数以上の下地凹部H1において第1領域F1に少なくとも1個の高誘電率ドメイン25が存在していることが好ましい。このように、本実施形態では、第1領域F1の比誘電率が、第2領域F2の比誘電率に比べて高い。ここで、第1領域F1は、下地凹部H1の内側領域から500nm以内の領域に相当し、第2領域F2は、第1領域F1以外の領域に相当する。よって、本実施形態では、比誘電率の高い領域(より具体的には、第1領域F1)がトナーコア21の表面側に存在する。
一般的に、2つの物体間に作用する静電的引力は、物体間の距離が短くなるほど、大きくなる傾向にある。そのため、比誘電率の高い領域がトナーコア21の表面側に存在すれば、トナーコア21の表面側に存在する高誘電率ドメイン25と脱離粒子との間には比較的大きな静電的引力が作用する。よって、画像形成中に外添剤粒子30の脱離が起こった場合であっても、脱離粒子は、画像形成中に、トナー母粒子20の表面領域へ静電的に引き寄せられる。例えば、トナーの攪拌時に外添剤粒子30の脱離が起こった場合であっても、脱離粒子は、トナーの攪拌時に、トナー母粒子20の表面領域へ静電的に引き寄せられる。なお、以下において、「脱離粒子が画像形成中(例えばトナーの攪拌時)にトナー母粒子20の表面領域へ静電的に引き寄せられること」を「脱離粒子が画像形成中にトナー母粒子20の表面領域に回収されること」と記載する。
脱離粒子が画像形成中にトナー母粒子20の表面領域に回収されれば、脱離粒子が画像形成中にキャリアに付着することを防止できる。これにより、トナーとキャリアとの間で摩擦帯電が起こる。よって、トナーの帯電不良の発生を防止できる。例えば、逆帯電トナーの飛散を防止できる。したがって、本実施形態に係るトナーを用いて画像を形成すれば、画像形成中に外添剤粒子30の脱離が起こった場合であっても、形成された画像において、かぶりの発生を防止できる。
脱離粒子が画像形成中にトナー母粒子20の表面領域に回収されれば、脱離粒子が画像形成中に現像スリーブ又は感光体に付着することを防止できる。これにより、本実施形態に係るトナーを用いて画像を形成すれば、画像形成中に外添剤粒子30の脱離が起こった場合であっても、画像濃度と画質とに優れる画像を形成できる。
このように、本実施形態では、画像形成中に外添剤粒子30の脱離が起こった場合であっても、脱離粒子が画像形成中にトナー母粒子20の表面領域に回収されるため、形成された画像において画像不具合が発生することを防止できる。例えば、連続印刷中に外添剤粒子30の脱離が起こった場合であっても、形成された何れの画像においても画像不具合の発生を防止できる。よって、画像不具合の発生を長期的に防止することが可能である。
前述したように、2つの物体間に作用する静電的引力は、物体間の距離が短くなるほど、大きくなる傾向にある。本発明者は、シェル層23の厚さが50nm以下であれば、トナー母粒子20の表面領域のうちシェル層23が存在する部位においても脱離粒子を回収できる、と考えている。そのため、シェル層23の厚さは、50nm以下であることが好ましい。
トナー母粒子20の表面領域における脱離粒子の回収形態は、特に限定されない。トナー母粒子20の表面領域のうちシェル層23が存在しない部位では、脱離粒子は、下地凹部H1の内部空間に収容される形態で、下地凹部H1の開口を塞ぐ形態で、又はトナー母粒子20の表面領域のうち下地凹部H1の開口周縁に位置する部位に付着する形態で、トナー母粒子20の表面領域に回収されてもよい。トナー母粒子20の表面領域のうちシェル層23が存在する部位では、脱離粒子は、表面凹部H2の内部空間に収容される形態で、表面凹部H2の開口を塞ぐ形態で、又はトナー母粒子20の表面領域のうち表面凹部H2の開口周縁に位置する部位に付着する形態で、トナー母粒子20の表面領域に回収されてもよい。脱離粒子が下地凹部H1の内部空間又は表面凹部H2の内部空間に収容される形態でトナー母粒子20の表面領域に回収されれば、脱離粒子の回収に起因してトナー母粒子の円形度が過剰に低下することを防止できる。
本発明者は、当初、トナーコア全体にわたって比誘電率を均一に高めることでトナー母粒子と脱離粒子との間に作用する静電的引力を大きくすることを考えた。しかし、トナーコア全体にわたって比誘電率を均一に高めると、トナー母粒子の表面領域全体にわたって、トナー母粒子と他の部材との間に作用する静電的引力が大きくなり易い。そのため、トナー母粒子がキャリア、現像スリーブ、又は感光体に付着し易くなる。これにより、トナーの現像性が低下することがある。
しかし、本実施形態では、第1領域F1のうち高誘電率ドメイン25が占める合計面積の割合が、第2領域F2のうち高誘電率ドメイン25が占める合計面積の割合に比べて高い。これにより、トナー母粒子20の表面領域全体にわたってトナー母粒子20と他の部材との間に作用する静電的引力が大きくなることを防止できる。よって、画像形成中にトナー母粒子20がキャリア、現像スリーブ、又は感光体に付着することを防止できる。したがって、トナーの現像性が低下することを防止できる。
その上、第1領域F1は、下地凹部H1の内側領域から500nm以内の領域に相当する。ここで、下地凹部H1の内側領域は、トナー母粒子20の表面領域よりもトナー母粒子20の径方向内側に存在する。そのため、本実施形態に係るトナーを用いて画像を形成すると、下地凹部H1の内側領域が現像スリーブ又は感光体に接触することを防止できるため、第1領域F1が現像スリーブ又は感光体に接触することを効果的に防止できる。このことによっても、画像形成中における現像スリーブ、又は感光体に対するトナー母粒子20の付着を防止できる。
また、本実施形態では、トナーコア21の表面領域の単位面積あたりの下地凹部H1の数が0.30個/μm2以上である。これにより、トナーコア21における第1領域F1の数が確保され易い。よって、画像形成中にトナー母粒子20の表面領域において回収される脱離粒子の数が確保され易い。このことによっても、本実施形態に係るトナーを用いて画像を形成すれば、画像形成中に外添剤粒子30の脱離が起こった場合であっても、形成された画像において画像不具合が発生することを防止できる。
なお、トナーコア21の表面領域の単位面積あたりの下地凹部H1の数が多くなり過ぎると、トナーコア21における第1領域F1の数が過剰となる。そのため、トナー母粒子20の表面領域全体にわたって、トナー母粒子20と他の部材との間に作用する静電的引力が大きくなることがある。このことを考慮すれば、トナーコア21の表面領域の単位面積あたりの下地凹部H1の数は、好ましくは1.00個/μm2以下であり、より好ましくは0.60個/μm2以下である。以上、図1〜図3を参照しながら、トナーの構成を説明した。以下では、図1〜図3を参照することなく、トナーのより好ましい構成を説明する。
まず、トナー母粒子の好ましい構成を説明する。
トナーコアの表面領域のうち、シェル層が覆うトナーコアの面積の割合(以下、「全体シェル被覆率」と記載する)は、30%以上80%以下であることが好ましい。前述したように、シェル層は、トナーコアに比べて耐熱性に優れる。そのため、画像形成時にトナーに熱が加えられた場合であっても、トナーコアの表面領域におけるシェル層の溶融を防止できる。
下地凹部の内側領域のうち、シェル層が覆う内側領域の面積の割合(以下、「凹部シェル被覆率」と記載する)は、30%以上80%以下であることが好ましい。前述したように、シェル層は、トナーコアに比べて耐熱性に優れる。そのため、画像形成時にトナーに熱が加えられた場合であっても、下地凹部の内側領域におけるシェル層の溶融を防止できる。
全体シェル被覆率(単位:%)は、式「全体シェル被覆率=100×シェル層が覆うトナーコアの表面領域の面積/トナーコアの表面全域の面積」で表される。全体シェル被覆率が100%であることは、トナーコアの表面全域がシェル層で覆われていることを意味する。
また、凹部シェル被覆率(単位:%)は、式「凹部シェル被覆率=100×シェル層が覆う下地凹部の内側領域の面積/下地凹部の内側領域全体の面積」で表される。凹部シェル被覆率が100%であることは、下地凹部の内側領域全域がシェル層で覆われていることを意味する。
全体シェル被覆率及び凹部シェル被覆率は、各々、以下に示す方法に従って求めることができる。まず、外添処理が施されていないトナー粒子(例えばトナー母粒子)をRu染色する。トナーコアの表面領域のうち、シェル層で被覆されている領域は、シェル層で被覆されていない領域に比べ、ルテニウムに染色され易い。染色されたトナー粒子を、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)(例えば日本電子株式会社製「JSM−7600F」)を用いて倍率50000倍で観察し、トナー粒子の反射電子像を得る。
画像解析ソフトウェア(例えば三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用い、得られた反射電子像に対し2値化処理を行う。そして、トナー粒子の反射電子像全体の面積SA1と、反射電子像において相対的に明るい領域の面積SB1とを求め、下記式に従って全体シェル被覆率(単位:%)を算出する。
全体シェル被覆率=100×面積SB1/面積SA1
観察倍率を50000倍から100000倍に変更することを除いては上記全体シェル被覆率の測定方法と同様にして、下地凹部の内側領域の面積SA2と、下地凹部の内側領域において相対的に明るい領域の面積SB2とを求める。そして、下記式に従って凹部シェル被覆率(単位:%)を算出する。
凹部シェル被覆率=100×面積SB2/面積SA2
次に、トナーコアの好ましい構成を説明する。トナーコアの表面における下地凹部の開口面積は、0.5μm2以上10μm2以下であることが好ましい。これにより、トナーコアの機械的強度を確保し易い。下地凹部の開口面積は、例えば、電界放射型走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JSM−7600F」)で撮影したトナー母粒子(例えば、予め染色されたトナー母粒子)の画像を解析することで測定できる。
トナーコアは、結着樹脂を含有することが好ましい。より好ましくは、トナーコアが下記構成X1及びX2を有する。トナーコアが下記構成X1及びX2を有せば、後述の[トナーの製造方法]に記載の方法で本実施形態に係るトナーを製造し易い。
構成X1:トナーコアは、軟化点が70℃以下である第1非結晶性ポリエステル樹脂と、軟化点が100℃以上である第2非結晶性ポリエステル樹脂とを含有する。
構成X2:トナーコアが含有する樹脂のうち、第1非結晶性ポリエステル樹脂が占める割合は、50質量%以上80質量%以下である。
続いて、高誘電率ドメインをさらに説明する。高誘電率ドメインは、1個の高誘電率粒子を含んでもよいし、2個以上の高誘電率粒子を含んでもよい。高誘電率ドメインが2個以上の高誘電率粒子を含む場合、2個以上の高誘電率粒子が2次元的に連なって配置されてもよいし、2個以上の高誘電率粒子が3次元的に連なって配置されてもよい。
高誘電率粒子の個数平均1次粒子径は、300nm以下であることが好ましい。高誘電率粒子の個数平均1次粒子径が300nm以下であれば、高誘電率粒子がトナーコアの表面側に存在し易い。これにより、高誘電率粒子と脱離粒子との距離が短くなり易いため、高誘電率粒子と脱離粒子との間に作用する静電的引力が大きくなり易い。よって、脱離粒子が画像形成中にトナー母粒子の表面領域に回収され易い。より好ましくは、高誘電率粒子の個数平均1次粒子径は、200nm以下である。高誘電率粒子の入手可能性を考慮すれば、高誘電率粒子の個数平均1次粒子径は5nm以上であることが好ましい。高誘電率粒子の取り扱い性を確保するためには、高誘電率粒子の個数平均1次粒子径は10nm以上であることが好ましい。
トナーコアにおける高誘電率粒子の含有量が少なすぎる場合、画像形成中に外添剤粒子の脱離が起こると、形成された画像において画像不具合が発生することがある。一方、トナーコアにおける高誘電率粒子の含有量が多すぎる場合、画像を形成できないことがある。これらを考慮して、トナーコアにおける高誘電率粒子の含有量を決定することが好ましい。例えば、高誘電率粒子の含有量は、100.0質量部のトナーコアに対して0.5質量部以上15.0質量部以下であることが好ましい。
比誘電率が100以上の粒子(高誘電率粒子)は、各々、二酸化チタン粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、又はチタン酸バリウム粒子であることが好ましい。例えば、高誘電率ドメインは、各々、同一の高誘電率材料を含有する1個以上の高誘電率粒子を含んでもよいし、互いに異なる高誘電率材料を含有する2種以上の高誘電率粒子を含んでもよい。
続いて、外添剤粒子をさらに説明する。外添剤粒子は、シリカ粒子を含むことが好ましい。外添剤粒子がシリカ粒子ではない他の粒子をさらに含む場合には、他の粒子の比誘電率は、高誘電率粒子の比誘電率に比べて低いことが好ましい。他の粒子の比誘電率が高誘電率粒子の比誘電率に比べて低ければ、トナーの製造時にシリカ粒子が他の粒子の表面に付着することを防止できる。これにより、他の粒子を外添剤粒子として機能させることができる。
[トナーの製造方法]
本実施形態に係るトナーを製造する方法として、下記第1及び第2の方法が考えられる。
第1の方法:まず、複数の高誘電率ドメインを有するトナーコアを作製する。次に、トナーコアの表面領域のうち高誘電率ドメインに近接する部位に下地凹部を形成する。続いて、下地凹部の内側領域及び外側領域にシェル層を形成する。
第2の方法:まず、複数の高誘電率ドメインを有するトナーコアの表面にシェル層を形成する。次に、シェル層の表面領域のうち高誘電率ドメインに近接する部位に凹部を形成する。
しかし、第1の方法では、下地凹部の深さが100nm以上と大きいため、シェル層を下地凹部の内側領域に形成することが難しい。また、シェル層の厚さを大きくすると、下地凹部の内側領域に対するシェル層の接着強度を確保できるが、シェル層の表面に凹部を形成することが難しい。さらに、トナーコアの表面を観察しても、トナーコアの表面領域のうち高誘電率ドメインに近接する部位を確認することは難しい。そのため、トナーコアの表面領域のうち高誘電率ドメインに近接する部位に下地凹部を形成することが難しい。
また、第2の方法では、シェル層の表面に凹部を形成するため、凹部の形成時にシェル層が剥離することがある。また、シェル層の表面を観察しても、シェル層の表面領域のうち高誘電率ドメインに近接する部位を確認することは難しい。そのため、シェル層の表面領域のうち高誘電率ドメインに近接する部位に下地凹部を形成することが難しい。
このように、第1の方法であっても、第2の方法であっても、本実施形態に係るトナーを製造することは難しい。本発明者は、本実施形態に係るトナーの製造方法について、鋭意検討した。そして、次に示す方法でトナーを製造すれば本実施形態に係るトナーを製造できるという結論に至った。
詳しくは、本実施形態に係るトナーの製造方法は、トナー母粒子の作製工程と外添工程とを含む。トナー母粒子の作製工程は、トナーコアの作製工程とシェル層の形成工程とを含む。トナーコアの作製工程では、まず、第1非結晶性ポリエステル樹脂と高誘電率粒子とを混合する。このようにして、高誘電率粒子が第1非結晶性ポリエステル樹脂中に分散した状態で存在する混合物(以下、「混合物Y1」と記載する)を得る。次に、混合物Y1と第2非結晶性ポリエステル樹脂とを含むトナー材料を溶融混練する。このようにして得られた溶融混練物を粉砕して、複数の粒子を含む粉砕物を得る。
シェル層の形成工程では、まず、得られたトナーコアとシェル材料とを含むとともにpHが6以下である液体(以下、「シェル形成用液体」と記載する)を準備する。次に、シェル形成用液体の温度を第1目標温度にまで上昇させる。このとき、シェル形成用液体の温度が第2目標温度に到達した時点で、シェル形成用液体の液性を酸性からアルカリ性へ変更する。以下、「シェル形成用液体の液性を酸性からアルカリ性へ変更すること」を「シェル形成用液体の液性を変更すること」と記載する。
このように、シェル層の形成工程では、シェル形成用液体の温度を上昇させる。ここで、第2非結晶性ポリエステル樹脂の軟化点は、第1非結晶性ポリエステル樹脂の軟化点に比べて高い。そのため、シェル形成用液体の温度を上昇させると、第1非結晶性ポリエステル樹脂は、第2非結晶性ポリエステル樹脂に比べて加水分解され易い。
また、シェル層の形成工程では、シェル形成用液体の温度が第2目標温度に到達した時点でシェル形成用液体の液性を変更する。ここで、第2目標温度は、第1非結晶性ポリエステル樹脂の軟化点に比べて低い。そのため、シェル形成用液体の温度が第2目標温度に到達した時点でシェル形成用液体の液性を変更することによっても、第1非結晶性ポリエステル樹脂の方が第2非結晶性ポリエステル樹脂に比べて優先的に加水分解される、と考えられる。
第1非結晶性ポリエステル樹脂の方が第2非結晶性ポリエステル樹脂に比べて優先的に加水分解されると、トナーコアの表面に下地凹部が形成され易い。ここで、トナーコアは、混合物Y1を含む。また、混合物Y1では、高誘電率粒子が第1非結晶性ポリエステル樹脂中に分散した状態で存在する。また、第1非結晶性ポリエステル樹脂が加水分解されても、高誘電率粒子は、加水分解及び溶解などされずにトナーコアに残存する。これらのことから、トナーコアの表面に下地凹部が形成されると、混合物Y1において分散していた高誘電率粒子のうちトナーコアの表面近傍に存在していた高誘電率粒子が、トナーコアのうち下地凹部の内側領域の周囲に位置する部位に存在し易くなる。このようにして、第1領域のうち高誘電率ドメインが占める合計面積の割合が、第2領域のうち高誘電率ドメインが占める合計面積の割合に比べて高くなる。
第1目標温度は、第1非結晶性ポリエステル樹脂の軟化点に比べて高く、第2非結晶性ポリエステル樹脂の軟化点に比べて低い。そのため、第1目標温度は、第2目標温度よりも高い。よって、本実施形態に係るトナーの製造方法では、シェル形成用液体の液性を変更した後においても、シェル形成用液体の温度をさらに上昇させる。これにより、下地凹部が形成されたトナーコアの表面にシェル層が形成される、と考えられる。以下、各工程を具体的に説明する。
<トナー母粒子の作製工程>
前述したように、トナー母粒子の作製工程は、トナーコアの作製工程とシェル層の形成工程とを含む。なお、効率的にトナー母粒子を製造するためには、多数のトナー母粒子を同時に製造することが好ましい。同時に製造されたトナー母粒子は、互いに同一の構成を有すると考えられる。
(トナーコアの作製工程)
粉砕法又は凝集法により、トナーコアを作製することが好ましい。これにより、トナーコアを容易に得ることができる。以下では、粉砕法によるトナーコアの作製方法を例に挙げて、トナーコアの作製工程を説明する。
まず、高誘電率粒子が第1非結晶性ポリエステル樹脂中に分散した状態で存在する混合物(混合物Y1)を作製する。詳しくは、混合装置(例えば、FMミキサー)を用いて、第1非結晶性ポリエステル樹脂と高誘電率粒子とを混合する。得られた混合物を溶融混練し、溶融混練物を得る。溶融混練には、二軸押出機、三本ロール混練機、又は二本ロール混練機を好適に使用できる。次に、ドラムフレーカーのような冷却固化装置を用いて、溶融混練物を冷却する。得られた固化物を、粉砕装置を用いて粉砕する。このようにして、混合物Y1を得る。
次に、混合装置(例えば、FMミキサー)を用いて、混合物Y1と第2非結晶性ポリエステル樹脂とを混合する。混合物Y1及び第2非結晶性ポリエステル樹脂に対して着色剤、離型剤、及び電荷制御剤のうちの少なくとも1つを加えてもよい。得られた混合物を溶融混練し、溶融混練物を得る。溶融混練には、二軸押出機、三本ロール混練機、又は二本ロール混練機を好適に使用できる。次に、ドラムフレーカーのような冷却固化装置を用いて、溶融混練物を冷却する。得られた固化物を、粉砕装置を用いて粉砕する。必要に応じて、得られた粉砕物を分級する。このようにして、複数のトナーコアを含む粉体を得る。
(シェル層の形成)
シェル層の形成工程では、トナーコアの表面にシェル層を形成する。シェル層の形成時におけるトナーコア成分(特に、結着樹脂及び離型剤)の溶解又は溶出を抑制するためには、水性媒体中でシェル層を形成することが好ましい。
まず、シェル形成用液体を準備する。前述した理由から、シェル形成用液体は、水性媒体を含むことが好ましい。水性媒体は、水を主成分として含み、例えば、純水、又は水と極性媒体との混合液であることが好ましい。水性媒体は溶媒として機能してもよい。水性媒体中に溶質が溶けていてもよい。水性媒体は分散媒として機能してもよい。水性媒体中に分散質が分散していてもよい。水性媒体中の極性媒体としては例えばアルコールを使用でき、アルコールとしては例えばメタノール又はエタノールを使用できる。水性媒体の沸点は約100℃であることが好ましい。より好ましくは、水性媒体としてイオン交換水を準備する。
酸性物質を用いて、水性媒体のpHを6以下に調整する。好ましくは、酸性物質を用いて水性媒体のpHを3以上6以下に調整する。酸性物質としては、例えば、塩酸、又はp−トルエンスルホン酸水溶液を使用できる。その後、pHが6以下に調整された水性媒体に、前述の方法で得られたトナーコアとシェル材料とを加える。シェル材料としては、熱可塑性樹脂のサスペンションを使用することが好ましい。サスペンションに含まれる樹脂粒子の粒子径が大きくなるほど、形成されるシェル層の厚さが大きくなる傾向がある。また、シェル材料の添加量を多くするほど、形成されるシェル層の被覆率が高くなる傾向がある。このようにして、シェル形成用液体を得る。
トナーコアとシェル材料とを水性媒体に加えると、水性媒体中においてトナーコアの表面にシェル材料(より具体的には、樹脂粒子)が付着する。トナーコアの表面にシェル材料を均一に付着させるためには、シェル材料を含む液中においてトナーコアを高度に分散させることが好ましい。液中においてトナーコアを高度に分散させるために、液中に界面活性剤を含ませてもよいし、強力な攪拌装置(例えば、プライミクス株式会社製「ハイビスディスパーミックス」)を用いて液を攪拌してもよい。トナーコアがアニオン性を有する場合には、同一極性を有するアニオン界面活性剤を使用することで、トナーコアの凝集を抑制できる。アニオン界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩、又は石鹸を使用できる。
次に、シェル形成用液体を第1目標温度にまで上昇させる。例えば、シェル形成用液体を攪拌しながらシェル形成用液体を第1目標温度にまで上昇させることが好ましい。昇温開始時のシェル形成用液体の温度は、20℃以上35℃以下の温度範囲から選ばれる温度であることが好ましい。昇温の速度は、好ましくは0.1℃/分以上3.0℃/分以下の速度範囲から選ばれる速度であり、より好ましくは0.1℃/分以上1.0℃/分以下の速度範囲から選ばれる速度である。
シェル形成用液体の温度が第2目標温度に到達すると、シェル形成用液体のpHを8以上に変更する。例えば、塩基性物質をシェル形成用液体に加えると、シェル形成用液体のpHを8以上に変更できる。塩基性物質としては、例えば水酸化ナトリウムを使用できる。好ましくは、シェル形成用液体のpHを8以上12以下に変更する。シェル形成用液体のpHが高くなり過ぎると、第1非結晶性ポリエステル樹脂の加水分解が過剰に進行することがある。また、シェル形成用液体の液性を短時間(例えば10秒以内)で変更することが好ましい。第2目標温度は、30℃以上60℃以下の温度範囲から選ばれる温度であり、好ましくは30℃以上40℃以下の温度範囲から選ばれる温度である。
シェル形成用液体の液性を変更した後においても、昇温を止めず、シェル形成用液体の温度を第1目標温度にまで上昇させる。前述したように、シェル形成用液体の液性を変更した後においても昇温を継続することで、下地凹部が形成されたトナーコアの表面がシェル材料で覆われる、と考えられる。そのため、シェル形成用液体の液性を変更した後における昇温時間を最適化することで、トナーコアの表面に対するシェル材料の付着量が最適化され、よって、シェル層の厚さが最適化される。第1目標温度、第2目標温度、及び昇温の速度のうちの少なくとも1つを変更すれば、前述の昇温時間(より具体的には、シェル形成用液体の液性を変更した後における昇温時間)を最適化できる。例えば、昇温の速度は、好ましくは0.1℃/分以上3.0℃/分以下の速度範囲から選ばれる速度であり、より好ましくは0.1℃/分以上1.0℃/分以下の速度範囲から選ばれる速度である。また、第1目標温度は、例えば60℃以上70℃以下の温度範囲から選ばれる温度であることが好ましい。また、第1目標温度と第2目標温度との差は、好ましくは10℃以上であり、より好ましくは30℃以上である。
シェル材料としてスチレン−アクリル酸系樹脂粒子を含むサスペンションを使用し、昇温開始時のシェル形成用液体の温度を30℃とし、且つ昇温の速度を1℃/分とした場合を一例として挙げる。この場合、シェル形成用液体の温度が40℃になる頃には、トナーコアの表面領域がシェル材料で十分に覆われると考えられる。また、シェル形成用液体の温度が60℃になる頃には、シェル材料がトナーコアの表面に固定化され始めると考えられる。
好ましくは、シェル形成用液体の温度を所定の時間にわたって第1目標温度に保つ。このような保温処理を行うと、トナーコアの表面においてトナーコアとシェル材料との間で反応が進行する。トナーコアとシェル材料とが結合することで、シェル層が形成される。例えば、トナーコアの表面でシェル材料が2次元的に連なることで、粒状感のある膜(シェル層)が形成される。また、トナーコアの表面でシェル材料が完全に溶けて膜状の形態で硬化することで、粒状感のない膜(シェル層)が形成される。
得られたトナー母粒子の分散液を濾過して、ウェットケーキ状のトナー母粒子を得る。ウェットケーキ状のトナー母粒子を、洗浄した後、乾燥する。このようにして、複数のトナー母粒子を含む粉体を得る。
<外添処理>
混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー)を用いて、乾燥されたトナー母粒子と外添剤粒子とを混合する。これにより、トナー母粒子の表面には外添剤粒子が物理的に結合する。こうして、トナー粒子を多数含むトナーが得られる。
[トナーを構成する材料の例示]
<トナーコア>
トナーコアでは、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、水酸基価、酸価、Tg、又はTm等)を調整することができる。例えば、結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナーコアはアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基を有する場合には、トナーコアはカチオン性になる傾向が強くなる。
トナーコアは、結着樹脂だけでなく、着色剤、離型剤、及び電荷制御剤のうちの少なくとも1つをさらに含有してもよい。以下、順に説明する。
(結着樹脂)
前述したように、トナーコアは、前述の構成X1及びX2を有することが好ましい。より好ましくは、トナーコアが含有する結着樹脂のうち第2非結晶性ポリエステル樹脂が占める割合は、10質量%以上である。これにより、トナーの耐熱保存性を十分に確保できる。
トナーコアは、第1非結晶性ポリエステル樹脂と第2非結晶性ポリエステル樹脂とに加えて、第3非結晶性ポリエステル樹脂をさらに含有していてもよい。第3非結晶性ポリエステル樹脂の軟化点は、第1非結晶性ポリエステル樹脂の軟化点よりも高いことが好ましく、第2非結晶性ポリエステル樹脂の軟化点よりも低いことが好ましい。例えば、第3非結晶性ポリエステル樹脂は、軟化点が80℃以上95℃以下である非結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
トナーコアは、第1非結晶性ポリエステル樹脂と第2非結晶性ポリエステル樹脂とに加えて、結晶性指数0.98以上1.20以下の結晶性ポリエステル樹脂をさらに含有していてもよい。結晶性指数は、融点(Mp)に対する軟化点(Tm)の比率(=Tm/Mp)に相当する。ポリエステル樹脂の結晶性指数は、ポリエステル樹脂を合成するための材料の種類又は量を変更することで、調整できる。ポリエステル樹脂を合成するための材料としては、例えば、ポリエステル樹脂を合成するためのアルコール、及びポリエステル樹脂を合成するためのカルボン酸のうちの少なくとも1つが挙げられる。なお、非結晶性ポリエステル樹脂については、明確なMpを測定できないことが多い。
第1非結晶性ポリエステル樹脂の好適な例としては、アルコール成分としてビスフェノールを含み、且つ酸成分として芳香族ジカルボン酸及び不飽和ジカルボン酸を含む非結晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。ビスフェノールは、例えば、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、及びビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のうちの少なくとも1つであることが好ましい。芳香族ジカルボン酸は、例えば、テレフタル酸であることが好ましい。不飽和ジカルボン酸は、例えば、フマル酸であることが好ましい。
第2非結晶性ポリエステル樹脂の好適な例としては、アルコール成分としてビスフェノールを含み、且つ酸成分として炭素数10以上20以下のアルキル基を有するジカルボン酸と不飽和ジカルボン酸と3価カルボン酸とを含む非結晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。ビスフェノールは、例えば、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、及びビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のうちの少なくとも1つであることが好ましい。炭素数10以上20以下のアルキル基を有するジカルボン酸は、例えば、炭素数12のアルキル基を有するドデシルコハク酸であることが好ましい。不飽和ジカルボン酸は、例えば、フマル酸であることが好ましい。3価カルボン酸は、例えば、トリメリット酸であることが好ましい。
第3非結晶性ポリエステル樹脂の好適な例としては、アルコール成分としてビスフェノールを含み、且つ酸成分として芳香族ジカルボン酸を含むが不飽和ジカルボン酸を含まない非結晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。ビスフェノールは、例えば、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、及びビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のうちの少なくとも1つであることが好ましい。芳香族ジカルボン酸は、例えば、テレフタル酸であることが好ましい。
結晶性指数0.98以上1.20以下の結晶性ポリエステル樹脂の好適な例としては、アルコール成分として炭素数2以上12以下のα,ω−アルカンジオールを含み、且つ酸成分として炭素数4以上14以下の脂肪族ジカルボン酸を含む結晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。炭素数2以上12以下のα,ω−アルカンジオールは、例えば、炭素数4の1,4−ブタンジオールであることが好ましい。炭素数4以上14以下の脂肪族ジカルボン酸は、例えば、炭素数4のフマル酸であることが好ましい。
(着色剤)
着色剤としては、正帯電性トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。正帯電性トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、着色剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナーコアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナーコアは、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含有していてもよい。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローを使用できる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)を使用できる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーを使用できる。
(離型剤)
離型剤は、例えば、正帯電性トナーの定着性又は耐高温オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーコアのカチオン性を強めるためには、カチオン性を有するワックスを用いてトナーコアを作製することが好ましい。
離型剤は、例えば、脂肪族炭化水素ワックス、植物性ワックス、動物性ワックス、鉱物ワックス、脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、又は脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスであることが好ましい。脂肪族炭化水素ワックスは、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスであることが好ましい。脂肪族炭化水素ワックスには、これらの酸化物も含まれる。植物性ワックスは、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスであることが好ましい。動物性ワックスは、例えば、みつろう、ラノリン、又は鯨ろうであることが好ましい。鉱物ワックスは、例えば、オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムであることが好ましい。脂肪酸エステルを主成分とするワックス類は、例えば、モンタン酸エステルワックス、又はカスターワックスであることが好ましい。1種類のワックスを単独で使用してもよいし、複数種のワックスを併用してもよい。
結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナーコアに添加してもよい。
(電荷制御剤)
電荷制御剤は、例えば、正帯電性トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。正帯電性トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルに正帯電性トナーを帯電可能か否かの指標になる。トナーコアに正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナーコアのカチオン性を強めることができる。トナーコアに負帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナーコアのアニオン性を強めることができる。
<シェル層>
シェル層は、熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。これにより、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図ることができる。シェル層がスチレン−アクリル酸系樹脂を含有する場合には、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立に加え、トナーの帯電安定性の向上を図ることができる。そのため、シェル層は、スチレン−アクリル酸系樹脂を含有することが好ましい。また、シェル層が含有する樹脂が、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、又はメタクリル酸2−ヒドロキシプロピルに由来する1種以上のアルコール性水酸基を有する単位を含む場合には、シェル層の膜質の向上を図ることができる。
スチレン−アクリル酸系樹脂は、1種以上のスチレン系モノマーと1種以上のアクリル酸系モノマーとの共重合体である。スチレン−アクリル酸系樹脂を合成するためのスチレン系モノマーの好適な例としては、例えば、スチレン、アルキルスチレン、ヒドロキシスチレン、又はハロゲン化スチレンが挙げられる。アルキルスチレンは、例えば、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、又は4−tert−ブチルスチレンであることが好ましい。ヒドロキシスチレンは、例えば、p−ヒドロキシスチレン、又はm−ヒドロキシスチレンであることが好ましい。ハロゲン化スチレンは、例えば、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、又はp−クロロスチレンであることが好ましい。
スチレン−アクリル酸系樹脂を合成するためのアクリル酸系モノマーの好適な例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルであることが好ましい。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルは、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルであることが好ましい。
<外添剤>
外添剤は、内添剤とは異なり、トナー母粒子の内部には存在せず、トナー母粒子の表面(トナー粒子の表層部)のみに選択的に存在する。トナー母粒子と外添剤粒子とは、互いに化学反応せず、化学的ではなく物理的に結合する。トナー母粒子と外添剤粒子との結合の強さは、攪拌条件、外添剤粒子の粒子径、外添剤粒子の形状、及び外添剤粒子の表面状態などによって調整できる。攪拌条件には、例えば、攪拌時間と攪拌の回転速度とが含まれる。
トナー粒子からの外添剤粒子の脱離を抑制しながら外添剤の機能を十分に発揮させるためには、外添剤の量が、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。トナー粒子が2種以上の外添剤粒子を備える場合には、外添剤粒子の合計量が、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
外添剤粒子は、無機粒子であることが好ましい。より好ましくは、外添剤粒子は、シリカ粒子、又は金属酸化物の粒子である。ここで、金属酸化物は、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウムであることが好ましい。ただし、外添剤粒子として、脂肪酸金属塩のような有機酸化合物の粒子、又は樹脂粒子を使用してもよい。脂肪酸金属塩は、例えば、ステアリン酸亜鉛であることが好ましい。また、外添剤粒子として、複数種の材料の複合体である複合粒子を使用してもよい。1種類の外添剤粒子を単独で使用してもよいし、複数種の外添剤粒子を併用してもよい。
トナーの流動性を向上させるためには、外添剤粒子として、個数平均1次粒子径5nm以上30nm以下の無機粒子(粉体)を使用することが好ましい。また、外添剤をトナー粒子間でスペーサーとして機能させてトナーの耐熱保存性を向上させるためには、外添剤粒子として、個数平均1次粒子径50nm以上100nm以下の樹脂粒子(粉体)を使用することが好ましい。
本発明の実施例について説明する。表1には、実施例又は比較例に係るトナーT−1〜T−10の構成を示す。表1において、「比誘電率」には、後述の<比誘電率の算出方法>に記載の方法で算出された比誘電率を記す。「粒子径」には、微粒子の個数平均1次粒子径を記す。「含有量」には、100質量部のトナーコアが含有する微粒子の量を記す。「下地凹部の数」には、トナーコアの表面領域の単位面積あたりの下地凹部の数を記す。なお、トナーT−8では、微粒子を使用することなくトナーを製造した。
Figure 2018205331
表2には、実施例又は比較例に係るトナーT−1〜T−10の製造条件を示す。「温度」には、何れも、シェル形成用液体が収容されたフラスコ内の温度を記す。「pH」には、何れも、シェル形成用液体のpHを記す。なお、トナーT−9では、シェル形成用液体の液性を変更することなくトナーを製造した。
Figure 2018205331
以下では、まず、実施例又は比較例に係るトナー(より具体的には、トナーT−1〜T−10の各々)の製造方法を説明する。次に、実施例又は比較例に係るトナーの各々に含まれるトナー粒子の物性値の測定方法を説明する。続いて、実施例又は比較例に係るトナーの評価方法、及び評価結果を説明する。なお、誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。また、粉体の個数平均粒子径は、何ら規定していなければ、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて測定された1次粒子の円相当径の個数平均値である。また、Tg(ガラス転移点)及びTm(軟化点)は、各々、次に示す方法で測定した。また、比誘電率は、次に示す方法で測定した。
<Tgの測定方法>
示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて、試料(例えば、樹脂)の吸熱曲線(縦軸:熱流(DSC信号)、横軸:温度)を求めた。得られた吸熱曲線から試料のTg(ガラス転移点)を読み取った。得られた吸熱曲線中の比熱の変化点(ベースラインの外挿線と立ち下がりラインの外挿線との交点)の温度が、試料のTg(ガラス転移点)に相当する。
<Tmの測定方法>
高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)に試料(例えば、樹脂)をセットし、ダイス細孔径1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分の条件で、1cm3の試料を溶融流出させて、試料のS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)を求めた。得られたS字カーブから試料のTm(軟化点)を読み取った。得られたS字カーブにおいて、ストロークの最大値をS1とし、低温側のベースラインのストローク値をS2とすると、S字カーブ中のストロークの値が「(S1+S2)/2」となる温度が、試料のTm(軟化点)に相当する。
<比誘電率の算出方法>
回転式レオメーター(TAインスツルメント社製「ARES−G2」)とLCRメーター(キーサイト・テクノロジーズ株式会社製「4284AプレシジョンLCRメーター」)とを用いて、微粒子の比誘電率を求めた。詳しくは、まず、回転式レオメーターに、一対の電極を装着した。次に、試料(より具体的には、微粒子)を一対の電極で挟んだ。続いて、試料に所定の荷重をかけた状態で、電極間の距離を所定の長さに調整した。その後、LCRメーターを用いて、試料の静電容量を測定した。このとき、LCRメーターにおいて、印加電圧を1.0Vとし、周波数を1.0kHzとした。そして、下記式を用いて、試料の比誘電率εr[単位:F/m]を算出した。なお、下記式において、真空の誘電率εvを5.854×10-12[単位:F/m]とした。
εr=(L×C)÷(S×εv
εr:試料の比誘電率[単位:F/m]
L:電極間の距離[単位:m]
S:電極面積[単位:m2
C:測定された試料の静電容量[単位:F/m]
εv:真空の誘電率[単位:F/m]
[トナーT−1の製造方法]
(トナーコアの作製)
まず、混合物Y1を作製した。詳しくは、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、92.5質量部の低粘度非結晶性ポリエステル樹脂(Tg=38℃、Tm=65℃)と、7.5質量部のチタン酸バリウム粒子(SkySpring Nanomaterials社製「1401GC」)とを、回転速度2400rpmで混合した。得られた混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料供給速度5kg/時、軸回転速度160rpm、設定温度範囲(シリンダー温度範囲)を40℃以上80℃以下の条件で、溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却し、冷却された溶融混練物を粉砕機(旧東亜機械製作所製「ロートプレックス16/8型」)を用いて粗粉砕した。このようにして、混合物Y1を得た。
次に、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、66質量部の混合物Y1と、9質量部の中粘度非結晶性ポリエステル樹脂(Tg=53℃、Tm=84℃)と、12質量部の高粘度非結晶性ポリエステル樹脂(Tg=71℃、Tm=120℃)と、5質量部のカルナバワックス(株式会社加藤洋行製「カルナウバワックス1号」)と、8質量部の着色剤(DIC株式会社製「KET BLUE 111」、フタロシアニンブルー)とを、回転速度2400rpmで混合した。得られた混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料供給速度5kg/時、軸回転速度160rpm、設定温度範囲(シリンダー温度範囲)80℃以上130℃以下の条件で、溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却し、冷却された溶融混練物を粉砕機(旧東亜機械製作所製「ロートプレックス16/8型」)を用いて粗粉砕した。得られた粗粉砕物を、ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製「超音波ジェットミルI型」)を用いて微粉砕した。得られた微粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。このようにして、体積中位径(D50)6μmのトナーコアを得た。得られたトナーコアでは、100質量部のトナーコアに対して5質量部のチタン酸バリウム粒子が含まれていた。
(シェル層の形成)
まず、シェル材料を調製した。詳しくは、温度計及び攪拌羽根を備えた3つ口フラスコ(容量:1L)をウォーターバスにセットした。フラスコに、875gのイオン交換水(温度:30℃)と、75gのアニオン界面活性剤(花王株式会社製「ラテムル(登録商標)WX」、成分:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、固形分濃度:26質量%)とを入れた。フラスコ内容物を攪拌しながら、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を80℃に上昇させた。フラスコ内の温度を80℃に保った状態で、フラスコ内容物を攪拌しながら2種類の液の各々を5時間かけてフラスコ内に滴下した。2種類の液は、第1の液と第2の液とを含んでいた。第1の液は、17gのスチレンと3gのアクリル酸ブチルとの混合液であった。第2の液は、0.5gの過硫酸カリウムを30gのイオン交換水に溶かした溶液であった。
フラスコ内の温度を80℃に保ちつつ、フラスコ内容物をさらに2時間攪拌して、フラスコ内容物の重合反応を十分に進行させた。その結果、疎水性モノマーの重合体からなる粒子(樹脂粒子)を含むサスペンション(固形分濃度3.6質量%)を得た。得られたサスペンションに含まれる樹脂粒子に関して、個数平均粒子径は32nmであり、Tgは71℃であった。このようにして、シェル材料を得た。
次に、シェル形成用液体を調製した。詳しくは、温度計及び攪拌羽根を備えた3つ口フラスコ(容量:1L)をウォーターバスにセットし、フラスコに300gのイオン交換水を入れた。その後、ウォーターバスを用いて、フラスコ内の温度を30℃に保った。その後、フラスコに希塩酸を加えて、フラスコ内容物のpHを4に調整した。その後、フラスコに、30gのシェル材料(前述の手順で調製したサスペンション)を加えた。このようにして、シェル材料の分散液を得た。
得られたシェル材料の分散液に、300gのトナーコア(前述の手順で作製したトナーコア)を加えた。その後、フラスコ内容物を回転速度200rpmで1時間攪拌した。その後、フラスコに300gのイオン交換水をさらに加えた。このようにして、シェル形成用液体を得た。
続いて、シェル形成用液体の温度を上昇させた(昇温処理)。詳しくは、フラスコ内容物を回転速度100rpmで攪拌しながら、1.0℃/分の昇温速度でフラスコ内の温度が70℃となるまでフラスコ内容物を昇温させた。なお、昇温開始時、フラスコ内容物の温度は30℃であり、フラスコ内容物のpHは4であった。
昇温中にフラスコ内の温度が35℃に到達した時点で、フラスコに水酸化ナトリウム水溶液を加えてフラスコ内容物のpHを4から9に変更した。水酸化ナトリウム水溶液の添加中においても、またフラスコ内容物のpHを9に変更した後においても、昇温処理を停止せず、シェル形成用液体の温度を70℃まで上昇させた。
フラスコ内容物の温度が70℃に到達したら、フラスコ内容物の温度を70℃に保った状態で、回転速度100rpmでフラスコ内容物をさらに1時間攪拌した。その後、フラスコ内容物を常温(約25℃)まで冷却した。このようにして、トナー母粒子を含む分散液を得た。
(洗浄)
得られたトナー母粒子の分散液を、ブフナー漏斗を用いて、ろ過(固液分離)した。このようにして、ウェットケーキ状のトナー母粒子を得た。得られたウェットケーキ状のトナー母粒子をイオン交換水に再分散させた。その後、分散とろ過とを5回繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。
(乾燥)
トナー母粒子を、エタノール水溶液(濃度:50質量%)に分散させた。このようにして、スラリーを得た。連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)を用いて、熱風温度45℃かつブロアー風量2m3/分の条件で、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させた。このようにして、トナー母粒子(粉体)を得た。
(外添処理)
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製、容量:10L)を用いて、100質量部のトナー母粒子(前述の手順で得られたトナー母粒子)と、2.5質量部の疎水性シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)RA−200H」)と、1.5質量部の導電性酸化チタン粒子(チタン工業株式会社製「EC−100」)とを、5分間混合した。得られた粉体を、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて、篩別した。このようにして、多数のトナー粒子を含むトナー(トナーT−1)を得た。
トナーT−1に含まれるトナー粒子では、厚さが20nmのシェル層がトナーコアの表面領域に形成されていた。また、前述の<比誘電率の算出方法>に記載の方法で、導電性酸化チタン粒子(チタン工業株式会社製「EC−100」)の比誘電率を算出した。導電性酸化チタン粒子(チタン工業株式会社製「EC−100」)の比誘電率は、110と算出された。
[トナーT−2の製造方法]
チタン酸ストロンチウム粒子(イーエムジャパン株式会社製「NP−SRTIO3」)を使用して混合物Y1を作製したことを除いてはトナーT−1の製造方法に従い、トナーT−2を製造した。得られたトナーコアでは、100質量部のトナーコアに対して5質量部のチタン酸ストロンチウム粒子が含まれていた。また、トナーT−2に含まれるトナー粒子では、厚さが20nmのシェル層がトナーコアの表面領域に形成されていた。
[トナーT−3の製造方法]
二酸化チタン粒子(イーエムジャパン株式会社製「NP−TIO2−11」)を使用して混合物Y1を作製したことを除いてはトナーT−1の製造方法に従い、トナーT−3を製造した。得られたトナーコアでは、100質量部のトナーコアに対して5質量部の二酸化チタン粒子が含まれていた。また、トナーT−3に含まれるトナー粒子では、厚さが20nmのシェル層がトナーコアの表面領域に形成されていた。
[トナーT−4の製造方法]
チタン酸バリウム粒子の配合量を15質量部に変更したことを除いてはトナーT−1の製造方法に従い、トナーT−4を製造した。得られたトナーコアでは、100質量部のトナーコアに対して10質量部のチタン酸バリウム粒子が含まれていた。また、トナーT−4に含まれるトナー粒子では、厚さが20nmのシェル層がトナーコアの表面領域に形成されていた。
[トナーT−5の製造方法]
チタン酸バリウム粒子の配合量を1.5質量部に変更したことを除いてはトナーT−1の製造方法に従い、トナーT−5を製造した。得られたトナーコアでは、100質量部のトナーコアに対して1質量部のチタン酸バリウム粒子が含まれていた。また、トナーT−5に含まれるトナー粒子では、厚さが20nmのシェル層がトナーコアの表面領域に形成されていた。
[トナーT−6の製造方法]
二酸化チタン粒子の配合量を1.5質量部に変更したことを除いてはトナーT−3の製造方法に従い、トナーT−6を製造した。得られたトナーコアでは、100質量部のトナーコアに対して1質量部の二酸化チタン粒子が含まれていた。また、トナーT−6に含まれるトナー粒子では、厚さが20nmのシェル層がトナーコアの表面領域に形成されていた。
[トナーT−7の製造方法]
昇温処理において、昇温速度を0.3℃/分に変更し、目標温度を60℃に変更した。このことを除いてはトナーT−1の製造方法に従い、トナーT−7を製造した。得られたトナーコアでは、100質量部のトナーコアに対して5質量部のチタン酸バリウム粒子が含まれていた。また、トナーT−7に含まれるトナー粒子では、厚さが20nmのシェル層がトナーコアの表面領域に形成されていた。
[トナーT−8の製造方法]
チタン酸バリウム粒子を使用することなくトナーコアを作製したことを除いてはトナーT−1の製造方法に従い、トナーT−8を製造した。トナーT−8に含まれるトナー粒子では、厚さが20nmのシェル層がトナーコアの表面領域に形成されていた。
[トナーT−9の製造方法]
水酸化ナトリウム水溶液を加えることなく昇温工程を行ったことを除いてはトナーT−1の製造方法に従い、トナーT−9を製造した。得られたトナーコアでは、100質量部のトナーコアに対して5質量部のチタン酸バリウム粒子が含まれていた。また、トナーT−9に含まれるトナー粒子では、厚さが20nmのシェル層がトナーコアの表面領域に形成されていた。
[トナーT−10の製造方法]
シリカ粒子(株式会社日本触媒製「シーホスター(登録商標)KE−P10」)を使用して混合物Y1を作製したことを除いてはトナーT−1の製造方法に従い、トナーT−10を製造した。得られたトナーコアでは、100質量部のトナーコアに対して5質量部のシリカ粒子が含まれていた。また、トナーT−10に含まれるトナー粒子では、厚さが20nmのシェル層がトナーコアの表面領域に形成されていた。
[トナー粒子の物性値の測定方法]
(トナーコアの表面領域の単位面積あたりの下地凹部の数の測定)
得られたトナー(より具体的には、トナーT−1〜T−10の各々)に関して、トナーコアの表面領域の単位面積あたりの下地凹部の数を測定した。測定対象を、トナーの各々に含まれているトナー母粒子とした。つまり、外添処理を行う前に、トナーコアの表面領域の単位面積あたりの下地凹部の数を求めた。詳しくは、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)(日本電子株式会社製「JSM−7600F」)を用いて、トナー母粒子の表面全域を観察した。1つの試料につき、20個のトナー母粒子を観察した。そして、トナーコアの表面領域の単位面積あたりの下地凹部の数(個数平均値)を求めた。結果を表1に示す。
(トナーコアにおける微粒子の存在状態の確認)
得られたトナー(より具体的には、トナーT−1〜T−10の各々)に関して、トナーコアにおける微粒子の存在状態を調べた。測定対象を、トナーの各々に含まれているトナー母粒子とした。詳しくは、透過電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製「H−7100FA」)を用いて、トナー母粒子の断面TEM写真を観察した。
トナーT−1〜T−7及びT−10の各々では、微粒子が第2領域よりも第1領域に優先的に存在することが確認された。より具体的には、第1領域のうち高誘電率ドメインが占める合計面積の割合が、第2領域のうち高誘電率ドメインが占める合計面積の割合に比べて高いことが、確認された。さらに具体的には、半数以上の下地凹部において第1領域に少なくとも1個の高誘電率ドメインが存在していることが確認された。一方、トナーT−8では、微粒子が確認されなかった。また、トナーT−9では、下地凹部が確認されなかった。そのため、微粒子が第1領域に優先的に存在することを確認できなかった。
(シェル層の厚さの測定)
得られたトナー(より具体的には、トナーT−1〜T−10の各々)に関して、シェル層の厚さを測定した。測定対象を、トナーの各々に含まれているトナー母粒子とした。詳しくは、まず、透過電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製「H−7100FA」)を用いて、トナー母粒子の断面TEM写真を撮影した。次に、得られたトナー母粒子の断面TEM写真を、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて解析した。詳しくは、トナー母粒子の断面の略中心で直交する2本の直線を引いた。その2本の直線の各々において、トナーコアとシェル層との界面(トナーコアの表面に相当)からシェル層の表面までの長さを測定した。このようにして測定された4箇所の長さの平均値を、1個のトナー母粒子が備えるシェル層の厚さとした。このようなシェル層の厚さの測定を複数のトナー母粒子に対して行い、複数のトナー母粒子(測定対象)が備えるシェル層の厚さの平均値を求めた。このようにして求められたシェル層の厚さの平均値を「シェル層の厚さ」とした。
トナー母粒子の断面TEM写真においてトナーコアとシェル層との境界が不明瞭である場合には、トナー母粒子の断面TEM写真を、電子エネルギー損失分光法(EELS)検出器(ガタン社製「GIF TRIDIEM(登録商標)」)と画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)とを用いて解析した。これにより、トナー母粒子の断面TEM写真においてトナーコアとシェル層との境界が明瞭となった。
[トナーの評価方法]
<評価装置の準備>
以下に示す方法で評価装置を準備した。詳しくは、まず、粉体混合機(愛知電機株式会社製「ロッキングミキサー(登録商標)」)を用いて、30分間にわたって、9質量部のトナー(より具体的には、トナーT−1〜T−10の各々)と100質量部のフェライトキャリア(パウダーテック社製「F−150」)とを混合した。このようにして、2成分現像剤を得た。
次に、トナー(より具体的には、トナーT−1〜T−10の各々)を、複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の「Taskalfa5551ci」)のトナーコンテナに供給した。また、前述の方法で得られた2成分現像剤を複合機の現像装置に供給した。その後、インストール動作を行った。このようにして、評価装置を準備した。
<かぶり濃度の評価>
まず、温度25℃且つ湿度50%RHの環境下において、評価装置を用いて耐刷試験を行った。耐刷試験では、以下に示すプロセス条件で、A4サイズの普通紙に対してベタ画像を5万枚連続印刷した。
(プロセス条件)
・現像バイアス電圧:トナー載り量が0.4mg/cm2となるように現像バイアス電圧を調整した。
・線速:200mm/秒
・定着温度:160℃
次に、評価装置を用いて、A4サイズの普通紙に対してサンプル画像を印刷した。サンプル画像は、ソリッド画像部と空白部(印字の無い領域)とを含んでいた。その後、カラー反射濃度計(伊原電子工業株式会社製「R710」)を用いて、サンプル画像の空白部の反射濃度を測定した。そして、下記式に基づいて、かぶり濃度(FD)を算出した。
FD=(空白部の反射濃度)−(未印刷紙の反射濃度)
評価基準は以下に示すとおりである。評価結果を表3に示す。
良好(○):かぶり濃度(FD)が0.010以下である。
悪い(×):かぶり濃度(FD)が0.010超である。
<帯電量、及びスペント量の評価>
まず、前述の方法で得られた2成分現像剤(より具体的には、トナーT−1〜T−10の各々を含む2成分現像剤)を、ポリエチレン製の容器(容量:20mL)に入れた。温度25℃且つ湿度50%RHの環境下で、ロッキングミキサーを用いて、30分間にわたって、容器の内容物を攪拌した。その後、ポリエチレン製の容器から少量の2成分現像剤を取り出した。
取り出した2成分現像剤を評価対象として、トナーの帯電量を測定した。詳しくは、Q/mメーター(トレック社製「MODEL 210HS−1」)の測定セルに、0.10gの評価対象(より具体的には、ポリエチレン製の容器から取り出した2成分現像剤)を入れた。評価対象のうちのトナーのみを、篩(金網)を介して、10秒間吸引した。そして、下記式に基づいて、トナーの帯電量[単位:μC/g]を算出した。このようにして、初期の帯電量を算出した。
トナーの帯電量[単位:μC/g]=吸引されたトナーの総電気量[単位:μC]/吸引されたトナーの質量[単位:g]
また、評価対象のうち吸引されずに篩上に残った試料について、蛍光X線分析を行った。詳しくは、1.5gの試料(より具体的には、評価対象のうち吸引されずに篩上に残った試料)を圧力20MPa且つ加圧時間3秒間の条件で加圧成形した。このようにして、直径30mmの円柱状ペレットを作製した。得られた円柱状ペレットについて、下記に示す分析条件で蛍光X線分析を行った。このようにして、蛍光X線スペクトル[横軸:エネルギー、縦軸:強度(光子の数)]を得た。蛍光X線スペクトルは、珪素元素に由来するピークを含んでいた。そして、蛍光X線スペクトルを用いて、珪素元素に由来するピークのピーク強度を求めた。このようにして、初期のピーク強度を求めた。
(分析条件)
・分析装置:走査型蛍光X線分析装置(株式会社リガク製「ZSX」)
・X線管球(X線源):Rh(ロジウム)
・励起条件:管電圧50kV、管電流50mA
・測定領域(X線照射範囲):直径30mm
・測定元素:Si(珪素)
キャリア粒子の粒子径は、トナー粒子の粒子径に比べ、大きかった。そのため、評価対象のうち吸引されずに篩上に残った試料としては、キャリア粒子が考えられた。得られた蛍光X線スペクトルは、珪素元素に由来するピークを含んでいたが、キャリア粒子は、珪素元素を含んでいなかった。しかし、トナー粒子は、外添剤粒子として疎水性シリカ粒子を含んでいた。これらのことから、珪素元素に由来するピークは、トナー母粒子の表面から脱離してキャリア粒子の表面に付着した疎水性シリカ粒子に由来する、と考えられる。つまり、珪素元素に由来するピークのピーク強度が、キャリア粒子の表面に対する疎水性シリカ粒子の付着量(以下、「スペント量」と記載する)に相当する、と考えられる。
なお、トナー粒子の単位個数あたりの導電性酸化チタン粒子の含有量(個数)は、トナー粒子の単位個数あたりの疎水性シリカ粒子の含有量(個数)に比べ、圧倒的に少ない。そのため、本発明者は、脱離粒子の個数をスペント量で近似できる、と考えている。
次に、前述の<かぶり濃度の評価>に記載の条件で耐刷試験を行った。その後、評価装置の現像装置から少量の2成分現像剤を取り出した。取り出した2成分現像剤を評価対象として、トナーの帯電量を測定した。トナーの帯電量の測定方法については、前述したとおりであった。このようにして、耐刷後の帯電量を算出した。
また、トナーの帯電量を測定した際に評価対象のうち吸引されずに篩上に残った試料について、前述の分析条件で蛍光X線分析を行った。得られた蛍光X線スペクトルを用いて、珪素元素に由来するピークのピーク強度を求めた。このようにして、耐刷後のピーク強度を求めた。
下記式に基づいて、帯電量の変動率(単位:%)を算出した。
帯電量の変動率(単位:%)=100×(初期の帯電量−耐刷後の帯電量)/初期の帯電量
評価基準は以下に示すとおりである。評価結果を表3に示す。
良好(○):帯電量の変動率が15%以下である。
悪い(×):帯電量の変動率が15%超である。
また、下記式に基づいて、スペント量の変動率(単位:%)を算出した。
スペント量の変動率(単位:%)=100×(初期のピーク強度−耐刷後のピーク強度)/初期のピーク強度
評価基準は以下に示すとおりである。評価結果を表3に示す。
良好(○):ピーク強度の変動率が15%以下である。
悪い(×):ピーク強度の変動率が15%超である。
[トナーの評価結果]
表3に、トナーの評価結果を示す。
Figure 2018205331
トナーT−1〜T−7(より具体的には、実施例1〜7に係るトナー)は、各々、前述の基本構成を有していた。詳しくは、トナー粒子は、各々、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを、備えていた。トナー母粒子は、各々、トナーコアと、トナーコアの表面を覆うシェル層とを、有していた。トナーコアの表面には、複数の第1凹部が形成されていた。シェル層は、トナーコアの表面領域における第1凹部の内側領域及び第1凹部の外側領域に存在していた。トナー母粒子の表面には、第1凹部に対応する第2凹部が形成されていた。トナーコアの表面領域の単位面積あたりの第1凹部の数は、0.30個/μm2以上であった。トナーコアの断面領域は、各々、第1凹部の内側領域から500nm以内の領域である第1領域と、第1領域以外の領域である第2領域とで、構成されていた。トナーコアは、各々、複数の高誘電率ドメインを有していた。高誘電率ドメインは、各々、比誘電率が100以上である高誘電率粒子を含んでいた。第1領域のうち高誘電率ドメインが占める合計面積の割合が、第2領域のうち高誘電率ドメインが占める合計面積の割合に比べて高かった。
表3に示されるように、トナーT−1〜T−7では、各々、形成された画像において、かぶりの発生を防止できた。また、トナー帯電量の変動率を低く抑えることができ、スペント量の変動率を低く抑えることができた。
一方、トナーT−8〜T−10(比較例1に係るトナー)は、各々、前述の基本構成を有していなかった。詳しくは、トナーT−8は、高誘電率粒子を含んでいなかった。そして、トナーT−8では、形成された画像において、かぶりが発生した。また、トナー帯電量の変動率を低く抑えることができず、スペント量の変動率を低く抑えることができなかった。
また、トナーT−9では、下地凹部と表面凹部とが形成されていなかった。そして、トナーT−9では、形成された画像において、かぶりが発生した。また、トナー帯電量の変動率を低く抑えることができず、スペント量の変動率を低く抑えることができなかった。
また、トナーT−10は、高誘電率粒子を含んでいなかった。そして、トナーT−10では、形成された画像において、かぶりが発生した。また、トナー帯電量の変動率を低く抑えることができず、スペント量の変動率を低く抑えることができなかった。
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、例えば、複写機、プリンター、又は複合機において画像を形成するために用いることができる。
10 トナー母粒子
11 トナーコア
12 シェル層
12A 表面
13 界面
15a〜15d 無機粒子
H11〜H14 下地凹部
H22、H23 表面凹部

Claims (5)

  1. トナー粒子を複数含む静電潜像現像用トナーであって、
    前記トナー粒子は、各々、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを、備え、
    前記トナー母粒子は、各々、トナーコアと、前記トナーコアの表面を覆うシェル層とを、有し、
    前記トナーコアの表面には、複数の第1凹部が形成され、
    前記シェル層は、前記トナーコアの表面領域における前記第1凹部の内側領域及び前記第1凹部の外側領域に存在し、
    前記トナー母粒子の表面には、前記第1凹部に対応する第2凹部が形成されており、
    前記トナーコアの表面領域の単位面積あたりの前記第1凹部の数は、0.30個/μm2以上であり、
    前記トナーコアの断面領域は、各々、前記第1凹部の内側領域から500nm以内の領域である第1領域と、前記第1領域以外の領域である第2領域とで、構成され、
    前記トナーコアは、各々、複数の高誘電率ドメインを有し、
    前記高誘電率ドメインは、各々、比誘電率が100以上である高誘電率粒子を含み、
    前記第1領域のうち前記高誘電率ドメインが占める合計面積の割合が、前記第2領域のうち前記高誘電率ドメインが占める合計面積の割合に比べて高い、静電潜像現像用トナー。
  2. 前記外添剤は、シリカ粒子と、シリカ粒子ではない外添剤粒子とを含み、
    前記シリカ粒子ではない外添剤粒子の比誘電率が、前記高誘電率粒子の比誘電率未満である、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 前記高誘電率粒子は、各々、二酸化チタン粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、又はチタン酸バリウム粒子である、請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 前記トナーコアは、軟化点が70℃以下である第1非結晶性ポリエステル樹脂と、軟化点が100℃以上である第2非結晶性ポリエステル樹脂とを、含有し、
    前記トナーコアが含有する樹脂のうち、前記第1非結晶性ポリエステル樹脂が占める割合は、50質量%以上80質量%以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
  5. トナー母粒子を作製する工程と、
    前記トナー母粒子と外添剤粒子とを混合する工程と、
    を含み、
    トナー母粒子を作製する工程は、
    トナーコアを作製する工程と、
    前記トナーコアの表面にシェル層を形成する工程と、
    を含み、
    前記トナーコアを作製する工程は、
    第1非結晶性ポリエステル樹脂と高誘電率粒子とを混合して、前記高誘電率粒子が前記第1非結晶性ポリエステル樹脂中に分散した状態で存在する混合物を得る工程と、
    前記混合物と第2非結晶性ポリエステル樹脂とを含むトナーコア材料を溶融混練して、溶融混練物を得る工程と、
    前記溶融混練物を粉砕して、複数の粒子を含む粉砕物を得る工程と、
    を含み、
    前記シェル層を形成する工程は、
    前記トナーコアとシェル材料とを含むとともにpHが6以下である液体を、準備する工程と、
    前記液体の温度を第1目標温度にまで上昇させる昇温工程と、
    前記昇温工程において前記液体の温度が第2目標温度に到達した時点で、前記液体のpHを8以上に変更する工程と、
    を含み、
    前記第2非結晶性ポリエステル樹脂の軟化点が、前記第1非結晶性ポリエステル樹脂の軟化点に比べて高く、
    前記高誘電率粒子の比誘電率が、100以上であり、
    前記第1目標温度は、前記第1非結晶性ポリエステル樹脂の軟化点に比べて高い温度であって前記第2非結晶性ポリエステル樹脂の軟化点に比べて低い温度であり、
    前記第2目標温度は、前記第1非結晶性ポリエステル樹脂の軟化点に比べて低い温度である、静電潜像現像用トナーの製造方法。
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