JP2018203911A - 集光型太陽電池レンズ用メタクリル系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】繰り返される温度変化にクラック等の損傷を生じず、低複屈折性に優れた集光レンズの提供。【解決手段】メタクリル系樹脂を含むメタクリル系樹脂組成物であって、メタクリル系樹脂が、マレイミド系構造単位、グルタル酸無水物系構造単位、グルタルイミド系構造単位、ラクトン環構造単位から選ばれる少なくとも一種の構造単位を含み、面内方向位相差(Re)が厚さ1mm換算で0〜50nmである、集光型太陽電池レンズ用メタクリル系樹脂組成物、及び前記組成物を使用した集光型太陽電池用レンズ。メタクリル系樹脂100質量部に対し、0.01〜5質量部の紫外線吸収剤を含むメタクリル系樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、集光型太陽電光発電装置に用いられる集光レンズ部材に関する。
現在、太陽光のエネルギーを使用した太陽光発電が注目をされている。特に、集光型太陽電池は小さい面積だが高い光電効率があり、全体的に低コストである点で有利である。高日照地域では集光型太陽電池が増加しており、さらに光電効率のよい太陽光発電装置の開発が求められている。
集光型太陽光発電装置に用いられる集光レンズの部材としては、アクリル系樹脂にフレネルレンズの形に成型された形態が用いられる。集光型太陽光発電装置はさまざまな悪天候にさらされる。雨、風、雹、雪、氷のような天候によりレンズがダメージを受ける。加えて、太陽からの熱さと紫外線とに長期間さらされることにより、レンズの劣化の原因にもなる。
これを解決する方法として、レンズ形状部分において紫外線硬化型ブロック重合組成をもつアクリル系の熱可塑性樹脂からなるレンズシートの技術が開示されている(例えば、特許文献1)。しかし、ブロック重合成分をもつアクリル系樹脂組成物は複屈折率が高くなり、この光学素子で集約された光の集光スポットが大きく広がってしまい、光電効率が得られない。
また、アクリル系樹脂の場合、複屈折率が大きいため、レンズを成型する際にひずみが生じてしまう。射出成型であれば、ゲート付近にひずみが生じ、集約された光の集光スポットが大きく広がり、光電効率が低下してしまう。
国際公開第2015/102100号
上述した従来技術の問題点に鑑み、本発明においては、繰り返される温度変化にクラック等の損傷を生じず、低複屈折性に優れた集光レンズを提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した従来技術の問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、温度変化があっても、面内方向のレタデーション(Re)が低いメタクリル系樹脂用いることによって、所望の効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
メタクリル系樹脂を含むメタクリル系樹脂組成物であって、
前記メタクリル系樹脂が、マレイミド系構造単位、グルタル酸無水物系構造単位、グルタルイミド系構造単位、ラクトン環構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含み、
面内方向位相差(Re)が厚さ1mm換算で0〜50nmである
ことを特徴とする、集光型太陽電池レンズ用メタクリル系樹脂組成物。
[2]
前記メタクリル系樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)−30℃からガラス転移温度(Tg)−60℃までの温度範囲で熱処理したときに、初期の面内方向位相差(Re)より前記熱処理後の面内方向位相差(Re)が低くなることを特徴とする、請求項1に記載の集光型太陽電池用レンズ用メタクリル系樹脂組成物。
[3]
前記メタクリル系樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部の紫外線吸収剤を含む、請求項1又は2に記載の集光型太陽電池用レンズ用メタクリル樹脂組成物。
[4]
請求項1〜3のいずれか一項に記載の集光型太陽電池用レンズ用メタクリル系樹脂組成物を使用した集光型太陽電池用レンズ。
本発明によれば、耐熱性、耐候性、低複屈折性に優れる。また太陽電池の設置環境は日中は高日照でるため太陽電池の内部の温度は高く、砂漠地域であれば夜間は急激に温度が下がるため、冷熱サイクル耐性に優れる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について、詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
なお、以下において、本実施形態のメタクリル系樹脂をなす重合体を構成する構成単位のことを、「〜単量体単位」、及び/又は複数の該「〜単量体単位」を含む「〜構造単位」という。
また、かかる「〜単量体単位」の構成材料のことを、「単位」を省略して、単に「〜単量体」と記載する場合もある。
まず、本実施形態の集光型太陽電池レンズ用樹脂組成物について説明する。
本実施形態の集光型太陽光発電用集光型レンズとは、例えば、太陽電池素子と集光レンズ部材とガラス基板等からなり、上記集光レンズは、ガラス基板とガラス基板との一方に粘着層によって貼り付けられる。この時、集光レンズは、太陽光の入射側若しくは出射側に配置される。
集光型レンズは、光の屈折を利用した、曲面を有するレンズ形状、凸レンズ、又はフレネルレンズであることが好ましい。このようなレンズにより、光電変換効率に優れたものとなる。特に、フレネルレンズはレンズの厚みが薄くなることができるので好ましい。
接着剤は、レンズとガラス基板との接着と、ガラス基板と太陽電池セルとの接着とに用いられる。具体的には、太陽電池セルの透明電極が、ガラス板の一方の面に透明接着剤によって接着されており、レンズの受光面に対する反対面が、ガラス板の他方の面に接着されている。また、接着剤は透明であることが好ましい。
樹脂レンズとガラス基板を接合させるのに、接着剤を使用することができる。樹脂レンズと接する表面にプライマー層を設けることにより、ガラス基板と樹脂レンズとの密着性を向上することができる。この場合、プライマー層の材料としては、エポキシ亜クリレート樹脂組成物、ウレタンアクリレート樹脂組成物、シランカップリング剤等を挙げられる。さらに密着性を向上させるために接着面にプラズマを照射することで、接着表面を活性化させることができる。またプライマー層の厚さについては特に限定されない。
(メタクリル系樹脂)
本実施形態のメタクリル系樹脂は、メタクリル酸エステル単量体単位50〜97質量%と、主鎖に環構造を有する構造単位3〜30質量%と、メタクリル酸エステル単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体単位0〜20質量%とを満たすメタクリル系樹脂である。
以下、本実施形態のメタクリル系樹脂に含まれる単量体単位及び構造単位について詳細に記載する。
(メタクリル酸エステル単量体単位)
本実施形態のメタクリル系樹脂を構成するメタクリル酸エステル単量体単位(以下、単量体単位と記載する場合がある。)としては、下記一般式(1)で示される単量体単位が好適に用いられる。
・・・・・(1)
前記一般式(1)中、R1は、炭素数が1〜6の置換若しくは非置換のアルキル基を表し、当該アルキル基は、例えば、水酸基で置換されていてもよい。R1は、メチル基であることが好ましい。
2は、炭素数が1〜12の基、好ましくは炭素数が1〜12の炭化水素基を表し、当該炭化水素基は、例えば、水酸基で置換されていてもよい。R2は、炭素数が1〜8の基であることが好ましい。
前記一般式(1)に示すメタクリル酸エステル単量体単位をなす単量体としては、特に限定されるものではないが、下記一般式(2)で示すメタクリル酸エステル単量体を用いることが好ましい。
・・・・・(2)
前記一般式(2)中、R1は、炭素数が1〜6の置換若しくは非置換のアルキル基を表し、当該アルキル基は、例えば、水酸基で置換されていてもよい。R1は、メチル基であることが好ましい。
2は、炭素数が1〜12の基、好ましくは炭素数が1〜12の炭化水素基を表し、当該炭化水素基は、例えば、水酸基で置換されていてもよい。R2は、炭素数が1〜8の基であることが好ましい。
かかる単量体の具体例としては、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸(2−エチルヘキシル)、メタクリル酸(t−ブチルシクロヘキシル)、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸(2,2,2−トリフルオロエチル)等が挙げられ、耐熱性や取扱性、光学特性の観点から、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジルが好ましく、入手しやすさ等の観点から、メタクリル酸メチルが好ましい。
前記メタクリル酸エステル単量体は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記メタクリル系樹脂のメタクリル酸エステル単量体単位は、後述する主鎖に環構造を有する構造単位により、メタクリル系樹脂、メタクリル系樹脂組成物、及び本実施形態のフィルムに対して耐熱性を十分に付与する観点から、メタクリル系樹脂中に50〜97質量%含まれ、好ましくは55〜97質量%、より好ましくは55〜95質量%、さらに好ましくは60〜93質量%、さらにより好ましくは60〜90質量%含まれる。
(主鎖に環構造を有する構造単位)
本実施形態のメタクリル系樹脂を構成する、主鎖に環構造を有する構造単位(以下、構造単位と記載する場合がある。)は、マレイミド系構造単位、グルタル酸無水物系構造単位、グルタルイミド系構造単位、ラクトン環構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含む。
主鎖に環構造を有する構造単位は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
[マレイミド系構造単位]
本実施形態のメタクリル系樹脂を構成するマレイミド系構造単位としては、下記一般式(3)で示される構造単位が好適に用いられる。
・・・・・(3)
前記一般式(3)中、R1は、水素原子、炭素数が1〜12のアルキル基、炭素数が1〜12のシクロアルキル基、炭素数が1〜12のアルコキシ基、炭素数が6〜12のアリール基からなる群より選択されるいずれかを表し、当該アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基は、炭素原子上に置換基を有していてもよい。
マレイミド系構造単位を形成するための単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、マレイミド;N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−アルキル基置換マレイミド;N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−エチルフェニルマレイミド、N−ブチルフェニルマレイミド、N−ジメチルフェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−(o−クロロフェニル)マレイミド、N−(m−クロロフェニル)マレイミド、N−(p−クロロフェニル)マレイミド等のN−アリール基置換マレイミドが挙げられる。
上記単量体は、耐熱性付与、耐湿熱性の観点から、好ましくは、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−(o−クロロフェニル)マレイミド、N−(m−クロロフェニル)マレイミド、N−(p−クロロフェニル)マレイミドが挙げられ、入手のしやすさ、耐熱性付与の観点から、より好ましくはN−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドが挙げられ、さらに好ましくはN−フェニルマレイミドが挙げられる。
上述したマレイミド系構造単位は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[グルタル酸無水物系構造単位]
本実施形態のメタクリル系樹脂を構成するグルタル酸無水物系構造単位は、樹脂重合後に形成されてよい。
構造単位としては、下記一般式(4)で示される構造単位が好適に用いられる。
・・・・・(4)
前記一般式(4)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数が1〜6の置換若しくは非置換のアルキル基を表し、当該アルキル基は、例えば、水酸基で置換されていてもよい。
上述したグルタル酸無水物系構造単位は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
グルタル酸無水物系構造単位の形成方法は、特に限定されないが、例えば、下記一般式(5)で表される構造の単量体を、上述したメタクリル酸エステル単量体単位をなす単量体と共重合させた後、触媒の存在/非存在下での加熱処理により環化する方法が挙げられる。
・・・・・(5)
前記一般式(5)中、R1は、水素原子、炭素数が1〜6の置換、又は非置換のアルキル基を表し、当該アルキル基は、例えば、水酸基で置換されていてもよい。
2は、水素原子、又はt−ブチルを表す。
また、本発明の効果を発揮できる範囲であれば、一般式(5)で表される構造の単量体がメタクリル系樹脂中に未反応のまま残っていてもよい。
[グルタルイミド系構造単位]
本実施形態のメタクリル系樹脂を構成するグルタルイミド系構造単位は、樹脂重合後に形成されてよい。
構造単位としては、下記一般式(6)で示される構造単位が好適に用いられる。
・・・・・(6)
前記一般式(6)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数が1〜6の置換若しくは非置換のアルキル基を表し、当該アルキル基は、例えば、水酸基で置換されていてもよい。
また、R3は、水素原子、炭素数が1〜6の置換又は非置換のアルキル基、炭素数が6〜18の置換又は非置換のアリール基からなる群より選択されるいずれかを表す。
特に好適には、R1、R2、及びR3は、いずれもメチル基である。
上述したグルタルイミド系構造単位は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記グルタルイミド系構造単位の含有量は、特に限定されず、耐熱性や成型加工性、光学特性等を考慮して、適宜決定することができる。
グルタルイミド系構造単位の含有量は、メタクリル系樹脂を100質量%として、1〜60質量%であることが好ましく、更に好ましくは3〜50質量%であり、とりわけ好ましくは3〜25質量%である。
なお、グルタルイミド系構造単位の含有量は、例えば、国際公開第2015/098096号の[0136]〜[0137]に記載の方法で、算出することができる。
グルタルイミド系構造単位を含む樹脂の酸価は、樹脂の物性、成型加工性、色調等のバランスを考慮すると、0.50mmol/g以下であることが好ましく、より好ましくは0.45mmol/g以下である。
なお、酸価は、例えば、特開2005−23272号公報に記載の滴定法等により算出することができる。
グルタルイミド系構造単位は、メタクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸を共重合させた後、高温下で、アンモニアやアミンを、尿素又は非置換尿素反応させる方法、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体とアンモニア又はアミンとを反応させる方法、ポリメタクリル酸無水物とアンモニア又はアミンとを反応させる方法等の公知の方法によって得ることができる。
具体的には、アールエムコプチック(R.M.Kopchik)の米国特許第4,246,374号明細書に記載された方法等挙げられる。
また、無水マレイン酸等の酸無水物、当該酸無水物と炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖のアルコールとのハーフエステル、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸をイミド化することによっても、上記グルタルイミド系構造単位を形成することができる。
さらに、他の好ましい調製法としては、(メタ)アクリル酸エステル及び、必要に応じて、芳香族ビニル単量体やその他のビニル単量体を重合させた後、イミド化反応を行い、上記グルタルイミド系構造単位を含む樹脂を得る方法も挙げられる。
イミド化反応の工程においては、イミド化剤を用いて行ってよく、必要に応じて、閉環促進剤を添加してもよい。ここで、イミド化剤としては、アンモニア又は一級アミンを用いることができる。一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、シクロヘキシルアミン等を好適に用いることができる。
イミド化反応を実施する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、押出機、又は横型二軸反応装置、バッチ式反応槽を用いる方法が挙げられる。押出機としては、特に限定されず、単軸押出機、二軸押出機又は多軸押出機を好適に用いることができる。より好適には、二軸押出機を2台直列に並べたタンデム型反応押出機を用いることができる。
また、上記樹脂を製造するにあたっては、イミド化反応の工程に加えて、エステル化剤で処理するエステル化工程を含むことができる。エステル化工程を含めることによって、イミド化工程中に副生した、樹脂中に含まれるカルボキシル基をエステル基に変換することができ、樹脂の酸価を所望の範囲に調整することができる。ここで、エステル化剤としては、本願の効果を発揮できる範囲であれば特に制限はされないが、好適にはジメチルカーボネート、トリメチルアセテートを使用することができる。エステル化剤の使用量は、特に制限されないが、樹脂100質量部に対して、0〜12質量部であることが好ましい。また、エステル化剤に加えて、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族3級アミンを、触媒として併用することもできる。
[ラクトン環構造単位]
本実施形態のメタクリル系樹脂を構成するラクトン環構造単位は、樹脂重合後に形成されてよい。
構造単位としては、下記一般式(7)で示される構造単位が好適に用いられる。
・・・・・(7)
前記一般式(7)中、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜20の有機基を表す。なお、当該有機基は、酸素原子を含んでいてもよい。
上述したラクトン環構造単位は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラクトン環構造単位を含有する重合体の形成方法は、特に限定されないが、側鎖に水酸基を有する単量体、例えば、下記一般式(8)で表される構造の単量体(2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル等)と、上述したメタクリル酸エステル系単量体等のエステル基とを有する単量体を共重合した後に、得られた共重合体を、所定の触媒の存在/非存在下で加熱処理することによりラクトン環構造を重合体に導入することにより製造する方法が挙げられる。
・・・・・(8)
前記一般式(8)中、R1は、水素原子、又は炭素数が1〜6の置換又は非置換のアルキル基を表し、当該アルキル基は、例えば、水酸基で置換されていてもよい。
2は、炭素数が1〜12の基、好ましくは炭素数が1〜12の炭化水素基を表し、当該炭化水素基は、例えば、水酸基で置換されていてもよい。
特に好適には、R1は、水素原子であり、R2は、メチル基である。
また、本発明の効果を発揮できる範囲であれば、一般式(8)で表される構造の単量体がメタクリル系樹脂中に未反応のまま残っていてもよい。
ここまでに記載されるメタクリル系樹脂に含まれる構造単位としては、熱安定性、成型加工性から、マレイミド系構造単位及びグルタルイミド系構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含むことが好ましく、マレイミド系構造単位を含むことがより好ましい。
マレイミド系構造単位の中でも、入手のしやすさを考慮すると、好ましくはN−シクロヘキシルマレイミド系の構造単位及び/又はN−アリール置換マレイミド系の構造単位であり、少量添加での耐熱性付与効果を考慮すると、N−アリール置換マレイミド系の構造単位がより好ましく、さらに好ましくはN−フェニルマレイミド系の構造単位である。
主鎖に環構造を有する構造単位は、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物の耐熱性や熱安定性、強度及び流動性の観点から、メタクリル系樹脂中に3〜30質量%含まれている。メタクリル系樹脂中における前記主鎖に環構造を有する構造単位の含有量は、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物の耐熱性・熱安定性付与の観点から、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上である。また、フィルムとして必要な強度、流動性をバランスよく保持する観点から、メタクリル系樹脂中における前記主鎖に環構造を有する構造単位の含有量は、好ましくは28質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、さらにより好ましくは18質量%以下、よりさらに好ましくは15質量%未満である。
メタクリル系樹脂中に、主鎖に環構造を有する構造単位を含むことにより、メタクリル系樹脂を高温環境下に置いた際、熱分解が抑制され、揮発成分の発生量を低減することができる。これにより、本実施形態のメタクリル系樹脂の熱安定性の向上効果が得られる。
(メタクリル酸エステル単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体単位)
本実施形態のメタクリル系樹脂を構成する、メタクリル酸エステル単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体単位(以下、単量体単位と記載する場合がある。)としては、芳香族ビニル系単量体単位、アクリル酸エステル単量体単位、シアン化ビニル系単量体単位、これら以外の単量体単位が挙げられる。
メタクリル酸エステル単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体単位は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
前記単量体単位は、本実施形態のメタクリル系樹脂に求められる特性に応じて、適宜材料を選択することができるが、熱安定性、流動性、機械特性、耐薬品性等の特性が特に必要な場合は、芳香族ビニル系単量体単位、アクリル酸エステル単量体単位、シアン化ビニル系単量体単位からなる群より選ばれる少なくとも一種が好適である。
[芳香族ビニル系単量体単位]
本実施形態のメタクリル系樹脂を構成する芳香族ビニル系単量体単位をなす単量体としては、特に限定されるものではないが、下記一般式(9)で表される芳香族ビニル系単量体が好ましい。
・・・・・(9)
前記一般式(9)中、R1は、水素原子、又は炭素数が1〜6のアルキル基を表し、当該アルキル基は、例えば、水酸基で置換されていてもよい。
2は、水素原子、炭素数が1〜12のアルキル基、炭素数が1〜12のアルコキシ基、炭素数が6〜8のアリール基、炭素数が6〜8のアリーロキシ基からなる群より選択されるいずれかであり、R2は、全て同じ基であっても、異なる基であってもよい。また、R2同士で環構造を形成してもよい。
nは、0〜5の整数を表す。
上記一般式(9)で表される単量体の具体例としては、特に限定されるものではないが、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、о−エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、1,1−ジフェニルエチレン、イソプロペニルベンセン(α−メチルスチレン)、イソプロペニルトルエン、イソプロペニルエチルベンゼン、イソプロペニルプロピルベンゼン、イソプロペニルブチルベンゼン、イソプロペニルペンチルベンゼン、イソプロペニルヘキシルベンゼン、イソプロペニルオクチルベンゼン等が挙げられる。
上記の中でも、スチレン、イソプロペニルベンゼンが好ましく、流動性付与や、重合転化率の向上による未反応モノマー類の低減等の観点から、スチレンがより好ましい。
これらは、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物において、要求される特性に応じて適宜選択してよい。
芳香族ビニル系単量体単位を使用する場合の含有量は、耐熱性、残存モノマー種の低減、流動性のバランスを考慮すると、メタクリル酸エステル単量体単位と主鎖に環構造を有する構造単位との合計量を100質量%とした場合に、23質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは18質量%以下、さらにより好ましくは15質量%以下、よりさらに好ましくは10質量%以下である。
芳香族ビニル系単量体単位を、上述したマレイミド系構造単位と併用する場合、マレイミド系構造単位の含有量に対する芳香族ビニル系単量体単位の含有量の割合(質量比)(すなわち、芳香族系ビニル含有量/マレイミド系含有量)としては、レンズを成型加工する際の加工流動性や、残存モノマー低減によるシルバーストリークス低減効果等の観点から、0.3〜5であることが好ましい。
ここで、良好な色調や耐熱性を保持する観点から、上限値は、5以下であることが好ましく、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1以下である。また、残存モノマー低減の観点から、下限値は、0.3以上であることが好ましく、より好ましくは0.4以上である。
上述した芳香族ビニル系単量体は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[アクリル酸エステル単量体単位]
本実施形態のメタクリル系樹脂を構成するアクリル酸エステル単量体単位をなす単量体としては、特に限定されるものではないが、下記一般式(10)で表されるアクリル酸エステル単量体が好ましい。
・・・・・(10)
前記一般式(10)中、R1は、水素原子、又は炭素数が1〜12のアルコキシ基を表し、R2は、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数が1〜18のシクロアルキル基、又は炭素数が1〜18のアリール基を表す。
前記アクリル酸エステル単量体単位を形成するための単量体としては、本実施形態のフィルム用のメタクリル系樹脂において、耐候性、耐熱性、流動性、熱安定性を高める観点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル等が好ましく、より好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルであり、入手しやすさの観点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルがさらに好ましい。
上記アクリル酸エステル単量体単位は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル酸エステル単量体単位を使用する場合の含有量は、耐熱性及び熱安定性の観点から、メタクリル酸エステル単量体単位と主鎖に環構造を有する構造単位との合計量を100質量%とした場合に、5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以下である。
[シアン化ビニル系単量体単位]
本実施形態のメタクリル系樹脂を構成するシアン化ビニル系単量体単位をなす単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられ、中でも、入手のしやすさ、耐薬品性付与の観点から、アクリロニトリルが好ましい。
上記シアン化ビニル系単量体単位は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シアン化ビニル系単量体単位を使用する場合の含有量は、耐溶剤性、耐熱性保持の観点から、メタクリル酸エステル単量体単位と主鎖に環構造を有する構造単位との合計量を100質量%とした場合に、15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは12質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
[上記以外の単量体単位]
本実施形態のメタクリル系樹脂を構成する芳香族ビニル系単量体単位、アクリル酸エステル単量体単位、シアン化ビニル系単量体単位以外の単量体単位をなす単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のエチレングリコール又はそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート等の2個のアルコールの水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール誘導体をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;ジビニルベンゼン等の多官能モノマー等が挙げられる。
上述したメタクリル酸エステル単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体単位を構成する単量体の中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、スチレン、アクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも一種が、入手のしやすさの観点から、好ましい。
メタクリル酸エステル単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体単位の含有量は、主鎖に環構造を有する構造単位による耐熱性付与の効果を高める観点から、メタクリル系樹脂を100質量%として、0〜20質量%であり、0〜18質量%であることが好ましく、0〜15質量%であることがより好ましい。
特に、メタクリル酸エステル単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体単位として反応性二重結合を複数有する架橋性の多官能(メタ)アクリレートを使用する場合は、メタクリル酸エステル単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体単位の含有量は、重合体の流動性の観点から、0.5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.3%質量以下、更に好ましくは0.2質量%以下である。
特に、本実施形態では、メタクリル系樹脂の耐熱性、光学特性の観点から、主鎖に環構造を有する構造単位とメタクリル酸エステル単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体単位との合計量を100質量%とした時に、主鎖に環構造を有する構造単位の含有量が、45〜100質量%である。このとき、メタクリル酸エステル単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体単位の含有量が0〜55質量%である。そして、主鎖に環構造を有する構造単位の含有量は、好ましくは50〜100質量%であり、より好ましくは50〜90質量%であり、さらに好ましくは50〜80質量%である。
なお、上記メタクリル系樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい
本実施形態のメタクリル系樹脂のガラス転移温度は、耐熱性を十分に得る観点から、115℃以上であることが好ましく、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは122℃以上、さらにより好ましくは123℃以上、よりさらに好ましくは124℃以上、特に好ましくは125℃以上である。
なお、ガラス転移温度は、ASTM−D−3418に準拠して中点法により測定することができ、具体的には、後述する実施例において記載する方法により測定することができる。
(メタクリル系樹脂の製造方法)
本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法は、前述の本実施形態のメタクリル系樹脂が得られる限り、特に限定されるものではない。
本実施形態のメタクリル系樹脂は、メタクリル酸エステル単量体単位、主鎖に環構造を有する構造単位、及び、必要に応じて、上述したメタクリル酸エステル単量体に共重合可能なその他のビニル系単量体単位を形成するための各単量体を用い、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法により製造できる。メタクリル系樹脂の製造には、好ましくは塊状重合法、溶液重合法が用いられ、より好ましくは溶液重合法が用いられる。
また、本実施形態のメタクリル系樹脂の製造は、連続式としてもよいし、バッチ式としてもよい。
そして、本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法では、ラジカル重合により単量体を重合することが好ましい。
以下、本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法の一例として、溶液重合法を用いてバッチ式でラジカル重合で製造する場合について、具体的に説明する。
本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法の一例は、反応器に単量体と、必要に応じて有機溶媒とを加える調合工程と、重合開始剤を前記反応器に添加して、単量体の重合反応を行う重合工程と、必要に応じて、有機溶媒及び未反応の単量体を除去する脱揮工程とを含む。
((調合工程))
本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法の一例においては、初めに、メタクリル酸エステル単量体単位を構成し得る単量体、主鎖に環構造を有する構造単位を構成し得る単量体、必要に応じてさらに、メタクリル酸エステル単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体単位を構成し得る単量体と、有機溶媒とを反応器で調合する(調合工程)。
−単量体−
単量体としては、本実施形態のメタクリル系樹脂における各単量体単位は前記で述べた通りである。
なお、使用する単量体中には、重合反応を過度に妨げない範囲で重合禁止剤が残存していてもよく、残存する重合禁止剤の含有量は、重合反応性及び取扱性の観点から、全単量体の総量に対して、10質量ppm以下であることが好ましく、より好ましくは5質量ppm以下、さらに好ましくは3質量ppm以下である。
−有機溶媒−
任意選択的に用いられる有機溶媒としては、メタクリル系樹脂中に残存するモノマーを除去するための脱揮工程(後述)での除去効率を考慮して、メタクリル系樹脂の良溶媒であることが好ましい。
有機溶媒の溶解度パラメーターδは、メタクリル系樹脂を構成する共重合体の溶解度を考慮して、7.0〜12.0(cal/cm31/2であることが好ましく、より好ましくは8.0〜11.0(cal/cm31/2、さらに好ましくは8.2〜10.5(cal/cm31/2である。
溶解度パラメーターδの値の求め方は、例えば、非特許文献「Journal of Paint Technology Vol.42、No.541、February 1970」中のP76−P118に記載されているK.L.Hoy著「New Values of the Solubility Parameters From Vapor Pressure Data」や、J.Brandrup他著「Polymer Handbook Fourth Edition」P−VII/675−P714等を参考にすることができる。
なお、1(cal/cm31/2は、約0.489(MPa)1/2である。
有機溶媒の具体例としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒等が挙げられる。
また、有機溶媒として、重合後の脱揮工程において回収された有機溶媒を使用することもできる。
回収された有機溶媒中には未反応の単量体成分が含まれている場合には、有機溶媒中に含まれる未反応の単量体の含有量を分析し、その後、必要な分だけ単量体を追加することによって、調合を行うこともできる。
本実施形態のメタクリル系樹脂の重合工程において使用する有機溶媒の添加量は、重合が進行し、生産時に共重合体や使用モノマーの析出等が起こらず、容易に除去できる量であることが好ましい。
メタクリル系樹脂の重合を溶液重合法で行う場合、有機溶媒の配合量は、具体的には、配合する全単量体の総量を100質量部とした場合に、10〜200質量部とすることが好ましい。より好ましくは25〜200質量部、さらに好ましくは50〜200質量部、さらにより好ましくは50〜150質量部である。
−反応器−
反応器は、材料の量及び除熱の観点から必要となる大きさを考慮して、適宜選択すればよい。
反応器のL/Dは、重合反応溶液の撹拌効率の観点から、0.5〜50が好ましく、より好ましくは1〜25であり、さらに好ましくは、1〜10である。
また、反応器に供する単量体及び/又は有機溶媒の量は、十分に除熱ができる範囲であれば特に問題なく、満液での重合でもよいし、反応器中50〜99%の仕込み量で重合させてもよい。また、重合時は還流させてもよい。
反応器には撹拌装置が取り付けられていることが好ましく、使用に供される撹拌装置としては、例えば、傾斜パドル翼、平パドル翼、プロペラ翼、アンカー翼、ファウドラー翼(後退翼)、タービン翼、ブルマージン翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼、リボン翼、スーパーミックス翼、インターミグ翼、特殊翼、軸流翼等の撹拌翼が挙げられ、中でも、傾斜パドル翼、ファウドラー翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼が好適に用いられる。
重合時の撹拌速度は、用いる撹拌装置の種類、撹拌翼の撹拌効率、重合槽の容量等にも依存するが、重合初期の低粘度状態及び重合後期の高粘度状態のいずれも十分に撹拌混合できる速度であればよく、重合安定性を考慮すると、1〜500回転/分程度であることが好ましい。
各単量体を反応器に導入する方法としては、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限はなく、予め混合して反応器に導入しても、別々に反応器に導入してもよい。生産性、取り扱い性を考慮すると、一部又は全部の単量体を予め混合してから反応器に導入することが好ましい。
特に、予め混合する際には、重合で使用可能な有機溶媒の一部又は全部を同時に混合することができる。有機溶媒を使用する際には、重合に供される単量体を溶解可能なものを使用することが好ましく、有機溶媒の溶解度パラメーターδは、7.0〜12.0(cal/cm31/2であることが好ましい。
なお、調合工程においては、本発明の効果を発揮できる範囲で、必要に応じて、単量体及び有機溶媒以外に、分子量調整剤やその他の添加剤(後述の重合工程においても用いられる)も、予め添加することができる。
(重合工程)
本実施形態のメタクリル系樹脂の製造方法の一例においては、次いで、重合開始剤、必要に応じて、分子量調整剤、その他の添加剤、追加の単量体を、調合工程後の反応器に添加して、単量体の重合反応を行う(重合工程)。
この工程では、重合開始剤の添加開始により、単量体の重合反応が開始される。
なお、重合開始剤は、追加の単量体及び/又は追加の有機溶媒に溶解させたうえで、反応器に添加してもよい。
−重合開始剤−
本実施形態において使用される重合開始剤は、重合温度で分解し活性ラジカルを発生するものであればよいが、滞留時間の範囲内で必要な重合転化率を達成することが必要であり、重合温度における半減期が0.6〜60分、好ましくは1〜30分を満足するような重合開始剤が選択される。但し、重合温度における半減期が60分を超える開始剤に関しても、所定量を一括もしくは10分程の時間で投入することで、本実施形態に適した活性ラジカル量を発生する重合開始剤として使用することができる。その場合に必要な重合転化率を達成するためには、重合温度における半減期が60〜1800分、好ましくは260〜900分を満足するような重合開始剤が選択される。
好適に使用される重合開始剤は、重合温度、重合時間を鑑みて適宜選択することができ、例えば、日本油脂(株)「有機過酸化物」資料第13版、アトケム吉富(株)技術資料及び和光純薬工業(株)「Azo Polymerization Initiators」等に記載の開始剤を好適に使用することができ、上記半減期は、記載の諸定数等により容易に求めることができる。
前記重合開始剤としては、ラジカル重合を行う場合は、以下に限定されるものではないが、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(例えば、パーヘキサ(登録商標)C)、アセチルパーオキサイド、カプリエルパーオキサイド、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシビパレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、iso−プロピルパーオキシジカーボネート、iso−ブチルパーオキシジカーボネート、sec−ブチルパーオキシジカーボネート、n−ブチルパーオキシジカーボネート、2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシエチルヘキサノエート、1,1,2−トリメチルプロピルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(例えば、パーヘキサ(登録商標)25B)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−アミルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,2−トリメチルプロピルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイソノナエート、1,1,2−トリメチルプロピルパーオキシ−イソノナエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸等のアゾ系化合物等の、一般的なラジカル重合開始剤を挙げることができる。
これらのラジカル重合開始剤と適当な還元剤とを組み合わせてレドックス系開始剤として用いてもよい。
これらの重合開始剤は、1種単独で用いることができ、2種以上組み合わせて用いることもできる。
重合開始剤は、重合反応器で所望の重合率を得るために必要な量を添加すればよい。
重合反応においては重合開始剤の供給量を増やすことで重合度を上げることができるが、多量の開始剤を使用することで全体の分子量が低下する傾向にあるうえ、重合時の発熱量が増大するため、過熱により重合安定性が低下する場合もある。
重合開始剤は、所望の分子量を得やすくし、重合安定性を確保するという観点から、使用する全単量体の総量100質量部に対して、0〜1質量部の範囲で用いるのが好ましく、より好ましくは0.001〜0.8質量部であり、より好ましくは0.01〜0.5質量部である。重合開始剤の添加量は、重合を行う温度及び開始剤の半減期も考慮して、適宜選ぶことができる。
本実施形態におけるメタクリル系樹脂の製造方法では、(a)重合後期におけるオリゴマー(例えば、2量体及び3量体)や低分子量体(例えば、重量平均分子量で500〜10,000)の生成量を抑える観点、(b)重合転化率を上げる観点、(c)得られるメタクリル系樹脂の分子量を上げる観点、(d)重合時の過熱抑制による重合安定性の観点等から、重合反応系におけるラジカル量を最適量とすることが好ましい。
より具体的には、本発明の実施形態では、反応系内に残存する未反応モノマー総量に対する重合開始剤より発生するラジカル総量の割合が、常時一定値以下となるように、開始剤の種類、開始剤量、及び重合温度等を適宜選択することが好ましい。
以下、重合工程における、好適な重合開始剤の添加方法について記載する。
かかる方法によれば、重合時のラジカル発生量を制御することによって、メタクリル系樹脂中の成分の合計量や重量平均分子量1万以下の成分量を所望の範囲とすることができる。
本実施形態では、重合開始剤の添加開始から添加終了までの時間の合計をB時間として、重合開始剤の添加開始から0.5×B時間までに、少なくとも一度、重合開始剤の単位時間当たりの添加量を、添加開始時の単位時間当たりの添加量よりも小さくすること(条件(i))が好ましい。
ここで、特に、ラジカル濃度の最適化の観点から、添加速度は漸減させることが好ましい。
また、本実施形態では、上記条件(i)に加えて、前記重合開始剤の添加開始から0.01×B〜0.3×B時間の間に、重合開始剤の単位時間当たりの添加量を、添加開始時の単位時間当たりの添加量の70%以下とすること(条件(ii))が好ましく、60%以下とすることがより好ましく、50%以下とすることが更に好ましく、40%以下とすることが特に好ましい。
例えば、重合開始時の重合開始剤の添加速度(単位時間当たりの添加量)を100ppm/時とし、重合開始剤の添加開始から添加終了までの時間の合計であるB時間を10時間とした場合に、重合開始剤の添加開始から0.1〜3時間の間に、添加速度(単位時間当たりの添加量)を70ppm/時以下とすることが好ましい。
なお、重合開始時に一定量の重合開始剤を添加した後に、定量フィードする場合は条件(ii)を満たさない。例えば、初めに必要開始剤量のうち1/3量を一括で投入した直後に、残りの2/3量を一定時間(例えば3時間など)かけて投入する場合は、重合開始剤の添加開始から0時間で添加量を変更していることとなるため、条件(ii)を満たさない。
更に好適には、本実施形態では、上記に加えて、前記重合開始剤の添加開始から0.01×B〜0.3×B時間の間における、重合開始剤の単位時間当たりの添加量の平均を、重合開始剤の添加開始から0.01×B時間までの間における重合開始剤の単位時間当たりの添加量の平均の70%以下とすることが好ましく、60%以下とすることがより好ましく、50%以下とすることが更に好ましく、40%以下とすることが特に好ましい。
そして、本実施形態では、上記条件(i)に加えて、重合開始剤の添加開始から0.7×B〜1.0×B時間の間に、重合開始剤の単位時間当たりの添加量を、添加開始時の単位時間当たりの添加量の25%以下とすること(条件(iii))が好ましく、20%以下とすることがより好ましく、18%以下とすることが更に好ましい。
例えば、重合開始時の重合開始剤の添加速度(単位時間当たりの添加量)を100ppm/時とし、重合開始剤の添加開始から添加終了までの時間の合計であるB時間を10時間とした場合に、重合開始剤の添加開始から7〜10時間の間に、添加速度(単位時間当たりの添加量)を25ppm/時以下とすることが好ましい。
更に好適には、本実施形態では、上記に加えて、重合開始剤の添加開始から0.7×B〜1.0×B時間の間における重合開始剤の単位時間当たりの添加量の平均を、重合開始剤の添加開始から0.01×B時間までの間における重合開始剤の単位時間当たりの添加量の平均の25%以下とすることが好ましく、20%以下とすることがより好ましく、18%以下とすることがさらに好ましい。
上記条件(ii)及び条件(iii)は、組み合わせて採用することがより好ましい。
さらに、本実施形態では、上記条件(i)に加えて、重合開始剤の添加開始から0.5×B〜1.0×B時間の間における重合開始剤の添加量を、重合開始剤の全添加量を100質量%として、20〜80質量%とすること(条件(iv))が好ましく、20〜70質量%とすることがより好ましく、20〜60質量%とすることが更に好ましい。
また、本実施形態では、上記条件(i)に加えて、単量体の重合反応を行う重合反応時間を、1.0×B〜5.0×B時間とすること(条件(v))が好ましく、1.0×B〜4.5×B時間とすることがより好ましく、1.0×B〜4.0×B時間とすることがさらに好ましい。
上記条件(iv)及び条件(v)は、組み合わせて採用することがより好ましい。
なお、上記(i)〜(v)のいずれの場合にも、重合開始剤を供給する方法としては、供給安定性の観点から、重合反応で使用する単量体及び/又は有機溶媒に予め溶解させてから供給することが好ましい。使用する単量体及び/又は有機溶媒は、重合反応で使用するものと同一のものが好ましい。また、重合配管での閉塞等を回避する観点から、重合開始剤は有機溶媒に溶解して供給することがより好ましい。
−分子量調整剤−
任意選択的に用いられる分子量調整剤としては、連鎖移動剤やイニファータ等が挙げられる。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物に含まれるメタクリル系樹脂の製造工程においては、本発明の目的を損なわない範囲で、製造する重合体の分子量の制御を行うことができる。
連鎖移動剤及びイニファータとしては、例えば、アルキルメルカプタン類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤;ジチオカルバメート類、トリフェニルメチルアゾベンゼン、テトラフェニルエタン誘導体等のイニファータ等を用いることによって分子量の制御を行うことができ、さらには、これらの連鎖移動剤やイニファータの添加量を調整することにより、分子量を制御することができる。
これらの連鎖移動剤やイニファータを用いる場合、取扱性や安定性の点から、アルキルメルカプタン類が好適に用いられ、以下に限定されるものではないが、例えば、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)等が挙げられる。
これら分子量調整剤は、要求される分子量に応じて適宜添加することができるが、一般的には使用する全単量体の総量100質量部に対して、0.001〜3質量部の範囲で用いられる。
また、その他の分子量制御方法としては重合方法を変える方法、重合開始剤の量を調整する方法、重合温度を変更する方法等が挙げられる。
これらの分子量制御方法は、1種の方法だけを単独で用いてもよいし、2種以上の方法を併用してもよい。
本実施形態のメタクリル系樹脂においては、分子量を調整したり、ポリマーの熱安定性を向上させる目的で、連鎖移動剤(分子量調整剤)を使用してもよく、使用に供される連鎖移動剤としては、本発明の効果を発揮できるものであれば、その種類及び使用方法は限定されるものではない。
本実施形態のメタクリル系樹脂においては、2量体及び3量体を含む成分の合計量を適量に制御する必要があり、また重量平均分子量1万以下の成分量も適量に制御する観点から、重合反応系に残るモノマー量に対して、残存する連鎖移動剤の量が過剰にならないような方法を選択することが好ましい。
連鎖移動剤の供給する方法の一例としては、連鎖移動剤を予めモノマーに溶解させておく方法、重合度が50%以下の段階で一括及び/又は逐次添加する方法、重合度90%までの間に一括及び/又は連続的に添加する方法で、連鎖移動剤を添加する量を、徐々に減じていく方法等の方法を好適に用いることができる。
−その他の添加剤−
任意選択的に用いられるその他の添加剤は、本発明の効果を発揮できる限り特に限定されることなく、目的に応じて、適宜選択されてよい。
重合工程における、重合溶液中の溶存酸素濃度としては、特に限定はされないが、10ppm以下であることが好ましい。
なお、溶存酸素濃度は、例えば、溶存酸素計 DOメーターB−505(飯島電子工業株式会社製)を用いて測定することができる。
溶存酸素濃度を低下させる方法としては、重合溶液中に不活性ガスをバブリングする方法、重合前に重合溶液を含む容器内を不活性ガスで0.2MPa程度まで加圧した後に放圧する操作を繰り返す方法、重合溶液を含む容器内に不活性ガスを通ずる方法等が挙げられる。
メタクリル系樹脂を溶液重合で製造する場合の重合温度は、重合が進行する温度であれば特に限定されないが、生産性の観点から、50〜200℃であることが好ましく、より好ましくは80〜200℃であり、さらに好ましくは80〜180℃であり、さらにより好ましくは80〜160℃であり、特に好ましくは90〜160℃である。
重合反応時間としては、必要な重合度を得ることができる時間であれば特に限定はされないが、生産性等の観点から、0.5〜15時間であることが好ましく、より好ましくは1〜12時間であり、さらに好ましくは1〜10時間である。
なお、重合反応時間とは、重合開始剤の添加開始から重合反応の停止を行うまでの時間、又は、重合開始剤の添加開始から、重合反応溶液の反応器内からの取り出しを開始するまでの時間をいう。
重合工程において、単量体の重合反応を停止する方法は、反応系に合わせて公知の方法を適宜選択してよい。
((脱揮工程))
該重合反応器から抜き出された重合反応生成物は、脱揮装置を用いて有機溶媒及び未反応の単量体を除去することができる。除去した溶媒は、精留操作を行った後、重合反応に再利用してもよい。
本発明において好適に使用できる脱揮装置としては、重合反応生成物を、150〜320℃の温度で加熱処理し、揮発分を分離回収処理ができる装置であればよい。
一例を挙げると、一か所又は複数個所にベント口を有する押出機や、SCプロセッサ、KRCニーダー、ギアポンプ付真空減圧タンク、高粘度用薄膜蒸発器EXEVA、フラッシュドラム等が挙げられる。
上記の脱揮装置は、1種単独でも2種以上の装置を併用して使用することができる。
本発明においては、脱揮発工程にて、脱揮後の樹脂中に含まれる残存揮発分量の総計が1質量%以下であることが好ましい。
本実施形態のメタクリル系樹脂は、以上に記載の製造方法により、製造することができる。
−その他の樹脂−
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、上述したメタクリル系樹脂以外に、その他の樹脂を組み合わせて含有してもよい。
当該その他の樹脂としては、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物に求められる特性を発揮できるものであれば、公知の熱可塑性樹脂を使用することができる。
使用可能な当該熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シンジオタクテックポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS樹脂、アクリル系樹脂、AS樹脂、BAAS系樹脂、MBS樹脂、AAS樹脂、生分解性樹脂、ポリカーボネート−ABS樹脂のアロイ、ポリアルキレンアリレート系樹脂(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。
特に、AS樹脂、BAAS樹脂は、流動性向上の観点から好ましく、ABS樹脂、MBS樹脂は、耐衝撃性向上の観点から好ましく、また、ポリエステル樹脂は、耐薬品性向上の観点から好ましい。また、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂等は、難燃性向上の観点から好ましい。ポリカーボネート系樹脂は、耐熱性付与、耐衝撃性付与や光学特性の調整が必要な場合に好ましい。さらに、アクリル系樹脂は、前述のメタクリル系樹脂との相溶性が良好であり、透明性を保持したままで、流動性、耐衝撃性等の特性を調整する場合に好ましい。
−−アクリル系樹脂−−
本実施形態のメタクリル系樹脂に、当該メタクリル系樹脂とは異なるアクリル系樹脂を組み合わせて使用する場合に、当該アクリル系樹脂を構成するメタクリル酸エステル単量体単位を形成するために用いる単量体としては、下記一般式(9)で表される単量体が好適に用いられる。
・・・・・(11)
一般式(11)中、R1は、メチル基である。
また、R2は、炭素数が1〜12の基、好ましくは炭素数が1〜12の炭化水素基であり、基はその炭素上に水酸基を有していてもよい。
一般式(11)に示すメタクリル酸エステル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸(2−エチルヘキシル)、メタクリル酸(t−ブチルシクロヘキシル)、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸(2,2,2−トリフルオロエチル)等が挙げられ、入手しやすさ等の観点からメタクリル酸メチルが好ましい。
前記メタクリル酸エステル単量体は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記メタクリル酸エステル単量体単位は、耐熱性、熱安定性及び流動性のバランスを考慮すると、アクリル系樹脂を100質量%として、80〜99.5質量%含まれていてよく、好ましくは85〜99.5質量%、より好ましくは90〜99質量%、さらに好ましくは92〜99.3質量%、さらにより好ましくは92〜99質量%、よりさらに好ましくは94〜99質量%含まれる。
前記アクリル系樹脂は、前記メタクリル酸エステル単量体単位と、当該メタクリル酸エステル単量単位に共重合可能な他のビニル系単量体単位を含む。
前記アクリル系樹脂に含まれる、前記メタクリル酸エステル単量単位に共重合可能な他のビニル系単量体単位を形成するために用いる単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、下記一般式(12)で表されるアクリル酸エステル単量体が挙げられる。
・・・・・(12)
一般式(12)中、R3は、水素原子であり、R4は、炭素数が1〜18のアルキル基である。
メタクリル酸エステル単量単位に共重合可能な他のビニル系単量体単位を形成するために用いる単量体としては、上記アクリル酸エステル単量体以外に、アクリル酸やメタクリル酸等;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ケイ皮酸等の不飽和基含有二価カルボン酸及びこれらのエステル;スチレン系単量体(例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、о−エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、イソプロペニルベンセン(α−メチルスチレン)等)、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、1,1−ジフェニルエチレン、イソプロペニルトルエン、イソプロペニルエチルベンゼン、イソプロペニルプロピルベンゼン、イソプロペニルブチルベンゼン、イソプロペニルペンチルベンゼン、イソプロペニルヘキシルベンゼン、イソプロペニルオクチルベンゼン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のエチレングリコール又はそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート等の2個のアルコールの水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール誘導体をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;ジビニルベンゼン等の多官能モノマー等が挙げられる。
特に、本実施形態のメタクリル系樹脂において、耐候性、耐熱性、流動性、熱安定性を高める観点から、メタクリル酸エステル単量単位に共重合可能な他のビニル系単量体単位を形成するために用いる単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸 n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が好ましく、より好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルであり、さらに入手しやすさの観点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルがさらに好ましい。
上記ビニル系単量体は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記アクリル系樹脂中における、メタクリル酸エステル単量単位に共重合可能な他のビニル系単量体単位を形成するために用いる単量体の含有量は、メタクリル系樹脂組成物とした際の特性を損なわない範囲で適宜選択できるが、流動性、耐熱性、熱安定性の観点から、アクリル系樹脂を100質量%として、0.5〜20質量%であり、好ましくは0.5〜15質量%であり、より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは0.7〜8質量%であり、さらにより好ましくは1〜8質量%であり、よりさらに好ましくは1〜6質量%である。
アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、メタクリル樹脂の耐熱性、加工流動性、熱安定性を考慮して、所望の耐熱性、流動性、熱安定性となるように適宜選択すればよいが、2万〜30万であることが好ましく、より好ましくは2万〜25万、さらに好ましくは5万〜25万、とりわけ好ましくは7万〜23万である。
なお、前述したメタクリル系樹脂とアクリル系樹脂との混合メタクリル系樹脂の重量平均分子量は、機械的強度、耐溶剤性及び流動性の観点から、6.5万以上30万以下であることが好ましく、より好ましくは6.5万以上25万以下であり、さらに好ましくは7万以上23万以下である。
また、アクリル系樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、流動性、機械特性等の特性のバランスを考慮して適宜選択すればよいが、1.5〜7であることが好ましく、より好ましくは1.5〜5、さらに好ましくは1.5〜4である。
なお、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。詳細には、予め単分散の重量平均分子量、数平均分子量及びピーク分子量が既知で試薬として入手可能な標準メタクリル樹脂と、高分子量成分を先に溶出する分析ゲルカラムとを用い、溶出時間と重量平均分子量から検量線を作成しておく。次に、得られた検量線から、測定対象であるメタクリル系樹脂の試料の重量平均分子量及び数平均分子量、ピーク分子量を求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
アクリル系樹脂の製造方法は、特に限定されることなく、メタクリル酸エステル単量体、メタクリル酸エステル単量体に共重合可能なその他のビニル系単量体を用い、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法により製造できる。アクリル系樹脂の製造には、好ましくは塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法が用いられ、より好ましくは溶液重合法、懸濁重合法であり、さらに好ましくは懸濁重合法が用いられる。
前述の各種熱可塑性樹脂は、1種のみを単独で用いても、2種以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物において、上述したメタクリル系樹脂と、前記その他の樹脂とを組み合わせて使用する場合、本発明の効果を発現できる範囲であれば特に限定されないが、特性を付与する効果を考慮して、その他の樹脂の配合割合は、前述のメタクリル系樹脂とその他の樹脂との合計量100質量%に対して、(i)その他の樹脂としてアクリル系樹脂を配合する場合は、95質量%以下であることが好ましく、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、さらにより好ましくは75質量%以下であり、また、(ii)その他の樹脂としてアクリル系樹脂以外の樹脂を配合する場合は、前述のメタクリル系樹脂とその他の樹脂との合計量100質量%に対して、50質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは45質量%であり、さらに好ましくは40質量%以下、さらにより好ましくは30質量%以下、よりさらに好ましくは20質量%以下である。
また、その他の樹脂を配合するときの特性付与効果を考慮すると、その他の樹脂の配合量の下限値としては、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上、さらにより好ましくは3質量%以上、よりさらに好ましくは5質量%以上である。
その他の樹脂の種類や含有量は、その他の樹脂と組み合わせて使用する場合に期待される効果に応じて、適宜選択することができる。
本実施形態において、メタクリル系樹脂と、その他の樹脂とを組み合わせて使用する場合、その他の樹脂としては、メタクリル酸エステル単量体単位を少なくとも80〜99.5質量%含み、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が2万〜30万であるアクリル系樹脂が好適に用いられる。
この場合、混合系の樹脂を、色調の観点から、メタクリル系樹脂を10〜99質量%、アクリル系樹脂を90〜1質量%含むものとすることが好ましく、より好ましくはメタクリル系樹脂を15〜95質量%、アクリル系樹脂を85〜5質量%含むもの、さらに好ましくはメタクリル系樹脂を20〜80質量%、アクリル系樹脂を80〜20質量%含むものである。
−添加剤−
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物には、剛性や寸法安定性等の各種特性を付与するため、所定の添加剤を添加してもよい。
添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤;可塑剤(パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル);難燃剤(例えば、有機リン化合物、赤リン、無機系リン酸塩等のリン系、ハロゲン系、シリカ系、シリコーン系等);難燃助剤(例えば、酸化アンチモン類、金属酸化物、金属水酸化物等);硬化剤(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジエチルアミノプロピルアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、m−キシレンジアミン、m−フェヒレンジアミン、ジアミノフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒドラジド等のアミン類や、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂類、液状ポリメルカプタン、ポリサルファイド等のポリメルカプタン、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ドデシル無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水クロレンディック酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)等の酸無水物等);硬化促進剤(2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノール、テトラメチルヘキサンジアミン等の三級アミン類、トリフェニルホスファインテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアミンテトラフェニルボレート等のボロン塩、1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン等のキノイド化合物等);帯電防止剤(例えば、ポリアミドエラストマー、四級アンモニウム塩系、ピリジン誘導体、脂肪族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩共重合体、硫酸エステル塩、多価アルコール部分エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、ポリアルキレングリコール誘導体、ベタイン系、イミダゾリン誘導体等);導電性付与剤;応力緩和剤;離型剤(アルコール、及びアルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、シリコーンオイル等);結晶化促進剤;加水分解抑制剤;潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸、及びその金属塩、エチレンビスステアロアミド等の高級脂肪酸アミド類等);衝撃付与剤;摺動性改良剤(低分子量ポリエチレン等の炭化水素系、高級アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸と脂肪族アルコールとのエステル、脂肪酸と多価アルコールとのフルエステル又は部分エステル、脂肪酸とポリグリコールとのフルエステル又は部分エステル、シリコーン系、フッ素樹脂系等);相溶化剤;核剤;フィラー等の強化剤;流動調整剤;染料(ニトロソ染料、ニトロ染料、アゾ染料、スチルベンアゾ染料、ケトイミン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン/ポリメチン染料、チアゾール染料、インダミン/インドフェノール染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化染料、アミノケトン/オキシケトン染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、フタロシアニン染料等の染料);増感剤;着色剤(酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄系顔料、群青、コバルトブルー、酸化クロム、スピネルグリーン、クロム酸鉛系顔料、カドミウム系顔料等の無機顔料、アゾレーキ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジアリリド顔料、縮合アゾ顔料等のアゾ系顔料、フタリシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料等の有機系顔料、リン片状のアルミのメタリック顔料、ウェルド外観を改良するために使用されている球状のアルミ顔料、パール調メタリック顔料用のマイカ粉、その他ガラス等の無機物の多面体粒子に金属メッキやスパッタリングで被覆したもの等のメタリック顔料等);増粘剤;沈降防止剤;タレ防止剤;充填剤(ガラス繊維、炭素繊維等の繊維状補強剤、さらにはガラスビーズ、炭酸カルシウム、タルク、クレイ等);消泡剤(シリコーン系消泡剤、界面活性剤やポリエーテル、高級アルコール等の有機系消泡剤等);カップリング剤;光拡散性微粒子;防錆剤;抗菌・防カビ剤;防汚剤;導電性高分子等が挙げられる。
−−熱安定剤−−
前記熱安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。本実施形態のメタクリル系樹脂は、溶融押出や、射出成形、フィルム成型用途等、様々な用途で好適に使用される。加工の際に受ける熱履歴は加工方法により異なるが、押出機のように数十秒程度から、肉厚品の成型加工やシート成型のように数十分〜数時間の熱履歴を受けるものまで様々である。
長時間の熱履歴を受ける場合、所望の熱安定性を得るために、熱安定剤量添加量を増やす必要がある。熱安定剤のブリードアウト抑制やフィルム製膜時のフィルムのロールへの貼りつき防止の観点から、複数種の熱安定剤を併用することが好ましく、例えば、リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤から選ばれる少なくとも一種とヒンダードフェノール系酸化防止剤とを併用することが好ましい。
これらの酸化防止剤は、1種又は2種以上を併用してしてもよい。
熱安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリン)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミン)フェノール、アクリル酸2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニル、アクリル酸2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル等が挙げられる。
特に、ペンタエリスリトールテラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、アクリル酸2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルが好ましい。
また、前記熱安定剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤は、市販のフェノール系酸化防止剤を使用してもよく、このような市販のフェノール系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、イルガノックス1010(Irganox 1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、BASF社製)、イルガノックス1076(Irganox 1076:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、BASF社製)、イルガノックス1330(Irganox 1330:3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、BASF社製)、イルガノックス3114(Irganox3114:1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、BASF社製)、イルガノックス3125(Irganox 3125、BASF社製)、アデカスタブAO−60(ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ADEKA社製)、アデカスタブAO−80(3、9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルキシオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ADEKA社製)、スミライザーBHT(Sumilizer BHT、住友化学製)、シアノックス1790(Cyanox 1790、サイテック製)、スミライザーGA−80(Sumilizer GA−80、住友化学製)、スミライザーGS(Sumilizer GS:アクリル酸2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニル、住友化学製)、スミライザーGM(Sumilizer GM:アクリル酸2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル、住友化学製)、ビタミンE(エーザイ製)等が挙げられる。
これらの市販のフェノール系酸化防止剤の中でも、当該樹脂での熱安定性付与効果の観点から、イルガノックス1010、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−80、イルガノックス1076、スミライザーGS等が好ましい。
これらは1種のみを単独で用いても、2種以上併用してもよい。
また、前記熱安定剤としてのリン系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,4−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ジ−t−ブチル−m−クレジル−ホスフォナイト、4−[3−[(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン)−6−イルオキシ]プロピル]−2−メチル−6−tert−ブチルフェノール等が挙げられる。
さらに、リン系酸化防止剤として市販のリン系酸化防止剤を使用してもよく、このような市販のリン系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、イルガフォス168(Irgafos 168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、BASF製)、イルガフォス12(Irgafos 12:トリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、BASF製)、イルガフォス38(Irgafos 38:ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、BASF製)、アデカスタブ329K(ADK STAB−229K、ADEKA製)、アデカスタブPEP−36(ADK STAB PEP−36、ADEKA製)、アデカスタブPEP−36A(ADK STAB PEP−36A、ADEKA製)、アデカスタブPEP−8(ADK STAB PEP−8、ADEKA製)、アデカスタブHP−10(ADK STAB HP−10、ADEKA製)、アデカスタブ2112(ADK STAB 2112、ADEKA社製)、アデカスタブ1178(ADKA STAB 1178、ADEKA製)、アデカスタブ1500(ADK STAB 1500、ADEKA製)Sandstab P−EPQ(クラリアント製)、ウェストン618(Weston 618、GE製)、ウェストン619G(Weston 619G、GE製)、ウルトラノックス626(Ultranox 626、GE製)、スミライザーGP(Sumilizer GP:4−[3−[(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン)−6−イルオキシ]プロピル]−2−メチル−6−tert−ブチルフェノール、住友化学製)、HCA(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド、三光株式会社製)等が挙げられる。
これらの市販のリン系酸化防止剤の中でも、当該樹脂での熱安定性付与効果、多種の酸化防止剤との併用効果の観点から、イルガフォス168、アデカスタブPEP−36、アデカスタブPEP−36A、アデカスタブHP−10、アデカスタブ1178が好ましく、アデカスタブPEP−36A、アデカスタブPEP−36が特に好ましい。
これらのリン系酸化防止剤は、1種のみを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、前記熱安定剤としての硫黄系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2、4−ビス(ドデシルチオメチル)−6−メチルフェノール(イルガノックス1726、BASF社製)、イルガノックス1520L、BASF社製)、2,2−ビス{〔3−(ドデシルチオ)−1−オキソポロポキシ〕メチル}プロパン−1,3−ジイルビス〔3−ドデシルチオ〕プロピオネート〕(アデカスタブAO−412S、ADEKA社製)、2,2−ビス{〔3−(ドデシルチオ)−1−オキソポロポキシ〕メチル}プロパン−1,3−ジイルビス〔3−ドデシルチオ〕プロピオネート〕(ケミノックスPLS、ケミプロ化成株式会社製)、ジ(トリデシル)3,3’−チオジプロピオネート(AO−503、ADEKA社製)等が挙げられる。
これらの市販の硫黄酸化防止剤の中でも、当該樹脂での熱安定性付与効果、多種の酸化防止剤との併用効果の観点、取り扱い性の観点から、アデカスタブAO−412S、ケミノックスPLSが好ましい。
これらの硫黄系酸化防止剤は、1種のみを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
熱安定剤の含有量は、熱安定性を向上させる効果が得られる量であればよく、含有量が過剰である場合、加工時にブリードアウトする等の問題が発生するおそれがあることから、メタクリル系樹脂100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下、さらにより好ましくは0.8質量部以下であり、よりさらに好ましくは0.01〜0.8質量部、特に好ましくは0.01〜0.5質量部である。
−−潤滑剤−−
前記潤滑剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩、炭化水素系滑剤、アルコール系滑剤等が挙げられる。
前記潤滑剤として使用可能な脂肪酸エステルとしては、特に制限はなく従来公知のものを使用することができる。
脂肪酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アラキン酸、ベヘニン酸等の炭素数12〜32の脂肪酸と、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の1価脂肪族アルコールや、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビタン等の多価脂肪族アルコールとのエステル化合物、脂肪酸と多塩基性有機酸と1価脂肪族アルコール又は多価脂肪族アルコールとの複合エステル化合物等を用いることができる。このような脂肪酸エステル系滑剤としては、例えば、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、クエン酸ステアリル、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンジパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、グリセリンモノオレエート、グリセリンジオレエート、グリセリントリオレエート、グリセリンモノリノレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアレート、グリセリンジ12−ヒドロキシステアレート、グリセリントリ12−ヒドロキシステアレート、グリセリンジアセトモノステアレート、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールアジピン酸ステアリン酸エステル、モンタン酸部分ケン化エステル、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ソルビタントリステアレート等を挙げることができる。
これらの脂肪酸エステル系滑剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
市販品としては、例えば、理研ビタミン社製リケマールシリーズ、ポエムシリーズ、リケスターシリーズ、リケマスターシリーズ、花王社製エキセルシリーズ、レオドールシリーズ、エキセパールシリーズ、ココナードシリーズが挙げられ、より具体的にはリケマールS−100、リケマールH−100、ポエムV−100、リケマールB−100、リケマールHC−100、リケマールS−200、ポエムB−200、リケスターEW−200、リケスターEW−400、エキセルS−95、レオドールMS−50等が挙げられる。
脂肪酸アミド系滑剤についても、特に制限はなく従来公知のものを使用することができる。
脂肪酸アミド系滑剤としては、例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;N−ステアリルステアリン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド等の置換アミド;メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド等のメチロールアミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド(エチレンビスステアリルアミド)、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸ビスアミド;m−キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド等を挙げることができる。
これらの脂肪酸アミド系潤滑剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
市販品としては、例えば、ダイヤミッドシリーズ(日本化成社製)、アマイドシリーズ(日本化成社製)、ニッカアマイドシリーズ(日本化成社製)、メチロールアマイドシリーズ、ビスアマイドシリーズ、スリパックスシリーズ(日本化成社製)、カオーワックスシリーズ(花王社製)、脂肪酸アマイドシリーズ(花王社製)、エチレンビスステアリン酸アミド類(大日化学工業社製)等が挙げられる。
脂肪酸金属塩とは、高級脂肪酸の金属塩を指し、例えば、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、リシノール酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、2−エチルヘキソイン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、2塩基性ステアリン酸鉛、ナフテン酸鉛、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム等が挙げられ、その中でも、得られる透明樹脂組成物の加工性が優れ、極めて透明性に優れたものとなることから、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛が特に好ましい。
市販品としては、一例をあげると、堺化学工業社製SZシリーズ、SCシリーズ、SMシリーズ、SAシリーズ等が挙げられる。
上記脂肪酸金属塩を使用する場合の配合量は、透明性保持の観点から、0.2質量%以下であることが好ましい。
上記潤滑剤は、1種単独で用いてもいいし、2種以上を併用して使用してもよい。
使用に供される潤滑剤としては、分解開始温度が200℃以上であるものが好ましい。分解開始温度はTGAによる1%減量温度によって測定することができる。
潤滑剤の含有量は、潤滑剤としての効果が得られる量であればよく、含有量が過剰である場合、加工時にブリードアウトの発生やスクリューの滑りによる押出不良等の問題が発生するおそれがあることから、メタクリル系樹脂100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下、さらにより好ましくは0.8質量部以下であり、よりさらに好ましくは0.01〜0.8質量部、特に好ましくは0.01〜0.5質量部である。上記範囲の量で添加すると、潤滑剤添加による透明性の低下を抑制されるうえ、フィルム製膜時に金属ロールへの貼りつきが抑制される傾向にあるうえ、プライマー塗布等のフィルムへの二次加工後の長期信頼性試験において剥がれ等の問題が出難いため、好ましい。
−−紫外線吸収剤−−
前記紫外線吸収剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、フェノール系化合物、オキサゾール系化合物、マロン酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、ラクトン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンズオキサジノン系化合物等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(チヌビンP)、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−C7−9側鎖及び直鎖アルキルエステルが挙げられる。
ベンゾトリアジン系化合物としては、2−モノ(ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン化合物、2,4−ビス(ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン化合物、2,4,6−トリス(ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン化合物が挙げられ、具体的には、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシエトキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−エトキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−プロポキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−メトキシカルボニルプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−エトキシカルボニルエチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−(1−(2−エトキシヘキシルオキシ)−1−オキソプロパン−2−イルオキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−エトキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ブトキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−プロポキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−メトキシカルボニルプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−エトキシカルボニルエチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−(1−(2−エトキシヘキシルオキシ)−1−オキソプロパン−2−イルオキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
その中でも、非晶性の熱可塑性樹脂、特にアクリル樹脂と相溶性が高く吸収特性が優れている点から、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(3−アルキルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−5−α−クミルフェニル]−s−トリアジン骨格(「アルキルオキシ」は、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ等の長鎖アルキルオキシ基を意味する)を有する紫外線吸収剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、特に、樹脂との相溶性、加熱時の揮散性の観点から、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物が好ましく、また、紫外線吸収剤自体の押出加工時加熱による分解抑制の観点から、ベンゾトリアジン系化合物が好ましい。
これら紫外線吸収剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
紫外線吸収剤は、通常、紫外光を吸収し、200〜380nmの透過を抑えるために添加するが、薄肉のフィルム等では多量に添加する必要があるうえ、一種の紫外線吸収剤のみでは効果的に透過を抑えることができない。少量で効率的に透過を抑えるためには、200〜315nm波長に吸収極大を有する化合物と315〜380nm波長に吸収極大を有する化合物を二種併用することが好ましい。例えば、280〜300nmの吸収極大を有する、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール(株式会社ADEKA製、LA−46)と、350〜380nmの吸収極大を有する、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)1,3,5−トリアジン(BASF社製、チヌビン460)、ヒドロキシフェニルトリアジン系のチヌビン477(BASF社製)、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(株式会社ADEKA製、LA−F70)からなる群から選ばれる少なくとも一種とを併用することが好ましい。
前記紫外線吸収剤の配合量は、耐熱性、耐湿熱性、熱安定性、及び成型加工性を阻害せず、本発明の効果を発揮する量であればよいが、多量に入れて過ぎた場合、加工時にブリードアウトする等の問題が発生するおそれもあることから、メタクリル系樹脂100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2.5質量部以下、よりさらに好ましくは2質量部以下であり、また、0.01質量部以上であることが好ましく、より好ましくは1.9質量部以上であり、さらに好ましくは1.8質量部以上である。
以下、本実施形態の集光型太陽電池レンズ用樹脂組成物の特性について記載する。
<面内位相差Re>
本実施形態に係る集光型太陽電池用レンズのメタクリル系樹脂は、面内方向位相差Reの絶対値が0〜50nmである。但し、ここで面内方向位相差Reは、1mm厚に換算して求めた値である。
面内方向位相差Reの絶対値は、0〜40nmであることがより好ましく、0〜30nmであることがさらに好ましく、0〜20nmであることが特に好ましい。
一般に、面内方向位相差Reの絶対値は、複屈折の大小を表す指標である。本実施形態に係るレンズは厚みがある程度あるため、低複屈折やゼロ複屈折の材料であることが好ましい。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、熱処理を行ったときに、初期の(熱処理前の)面内方向位相差より熱処理後の面内方向位相差(Re)が低いことが好ましい。太陽電池に集光型レンズを組み込む前にエージングをする必要がないので有効である。また、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、面内方向位相差(Re)が低いうえに、実装している間も面内方向位相差(Re)が低下するため、電光効率が上がり好ましい。
熱処理の温度は、太陽電池が置かれている環境に準じていることが好ましいが、メタクリル系樹脂組成物のガラス転移(Tg)−30℃からガラス転移Tg−60℃までの温度範囲であることが好ましい。より好ましくはガラス転移(Tg)−35℃からガラス転移(Tg)−55℃までの温度範囲、さらに好ましくはガラス転移(Tg)−40℃からガラス転移(Tg)−50℃までの温度範囲であることが好ましい。熱処理は断続的であっても構わないし、連続的であっても構わない。
また、熱処理の時間は、長期であることが好ましい。合計1〜5時間で熱処理前後の上記面内方向位相差(Re)の大小関係が成り立っていれば、初期の成型品のひずみを緩和することができ、合計5時間以上で熱処理前後の上記面内方向位相差(Re)の大小関係が成り立っていれば、温度が成型品内部にいきわたり、面内方向のレターデーションが低下するので好ましい。
また、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、連続する冷却と加熱とからなる処理(冷熱処理)を行ったときに、初期の(冷熱処理前の)面内方向位相差より冷熱処理後の面内方向位相差(Re)が低いことが好ましい。すなわち、(冷熱処理前のRe)>(冷熱処理後のRe)となることが好ましい。
冷却温度は、−50℃〜0℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは−35℃〜0℃の範囲である。
加熱温度は、ガラス転移温度(Tg)−60℃〜ガラス転移温度(Tg)−30℃の範囲であることが好ましく、より好ましくはガラス転移温度(Tg)−55℃〜ガラス転移温度(Tg)−35℃の範囲である。
冷却1回及び加熱1回の時間としては、30分間〜5時間であることが好ましく、より好ましくは30分間〜3時間である。
冷熱処理を冷却1回と加熱1回とからなる冷熱サイクルを複数回繰り返すものとしてもよく、この場合の冷熱サイクルの回数としては、1〜50回であることが好ましく、より好ましくは1〜30回である。
<透明性>
透明性の指標としては、全光線透過率を用いることができる。
本実施形態の集光型太陽電池用レンズの1m厚みにおける全光線透過率は、用途に応じて適宜最適化すればよいが、透明性の求められる用途で使用される場合は、視認性の観点から、1m厚みにおける全光線透過率が80%以上であることが好ましい。より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは88%以上、特に好ましくは90%以上である。
全光線透過率は、例えば、JIS K7105規格に準拠した方法により測定することができる。
本実施携帯の集光型太陽電池用レンズの1mm厚みにおける380nmの光線透過率は、80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上である。
また、本実施形態の紫外線吸収剤を含有する集光型太陽電池用レンズの1mm厚みにおける380nmの光線透過率は、15%以下であることが好ましく、より好ましくは13%以下、更に好ましくは10%以下である。
なお、380nmの光線透過率は、全光線透過率の測定と同様の方法で、波長380nmの光線について測定することで求めることができる。
<外観性>
外観性は、例えば、気泡の有無、筋ムラの有無、シルバーストリークスの有無等により評価することができ、具体的には、後述する実施例に記載の方法により評価することができる。
(集光型太陽電池用レンズ)
本実施形態の集光型太陽電池用レンズは、好適に太陽電池に用いることができる。
本実施形態の集光型太陽電池用レンズの製法について記載する。
集光型太陽電池用レンズの製法としては、所望の形状となるように形成できる方法であれば特に限定されず、一般的な樹脂レンズの製法を用いることができる。例えば、樹脂を準備し、レンズの表面形状を有する金型に注入して樹脂を硬化させて成型する方法等がある。また、樹脂フィルム・シート等にレンズ表面形状を有する金型を押し当てて所望の形状に成型する方法等がある。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[原料]
後述する実施例及び比較例において使用した原料について下記に示す。
[[メタクリル系樹脂を構成するモノマー]]
・メタクリル酸メチル(MMA)
旭化成ケミカルズ(株)社製(重合禁止剤として中外貿易(株)社製2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール(2,4−di−methyl−6−tert−butylphenol)を2.5ppm添加されているもの)
・N−フェニルマレイミド(N−PMI):株式会社日本触媒製
・N−シクロヘキシルマレイミド(N−CMI):株式会社日本触媒製
[[有機溶媒]]
・メタキシレン:三井化学株式会社製
[[その他]]
・n−オクチルメルカプタン(n−octylmercaptan、NOM):日油(株)社製、連鎖移動剤として使用。
・パーヘキサC−75(EB):日油株式会社製、純度75%(エチルベンゼン25%入り)、重合開始剤として使用。
・パーヘキサ25B:日油株式会社製、純度90%以上、重合開始剤として使用。
[[添加剤]]
・チヌビンP:BASF社製
・PEP−36:ADEKA製
・Irganox 1010:BASF社製
以下、メタクリル系樹脂及びメタクリル系樹脂組成物の特性の測定方法について記載する。
(単量体単位の組成の測定)
重合により得られたアクリル系共重合体について、NMR及びFT−IRの測定を実施し、単量体単位及び構造単位の組成を確認した。
NMR:日本電子株式会社製、JNM−ECA500
FT−IR:日本分光社製、IR−410、ATR法(Dura Scope(ATR結晶:ダイヤモンド/ZnSe)、分解能:4cm-1)を用いた。
以下、メタクリル系樹脂、メタクリル系樹脂組成物、及び3段プレートの特性の評価方法について記載する。
<1.耐熱性:ガラス転移温度の測定>
後述の実施例及び比較例で得られたメタクリル系樹脂組成物について、熱分析装置(Perkin Elmer社製、Diamond DSC)を用いて、ASTM−D−3418に準拠して測定を行い、中点法によりガラス転移温度(℃)を算出した。評価結果を表1に示す。
<2.光学特性>
(2−a)面内方向位相差(Re)
メタクリル系樹脂及び樹脂組成物について、大塚電子(株)製RETS−100を用いて、回転検光子法により波長400〜800nmの範囲における位相差(nm)を測定し、得られた値を厚さ1mmに換算して測定値とした。評価結果を表1に示す。
なお、複屈折の絶対値(|Δn|)と面内位相差(Re)は、以下の関係にある。
Re=|Δn|×d
(d:サンプルの厚み)
また、複屈折の絶対値(|Δn|)は、以下に示す値である。
|Δn|=|nx−ny|
(nx:延伸方向の屈折率、ny:面内で延伸方向と垂直な方向の屈折率)
(2−b)透明性
(2−b−1)全光線透過率の測定
後述の実施例及び比較例で得られたメタクリル系樹脂を3段プレート(厚さ1mm)を用いて、ISO13468−1規格に準拠して、全光線透過率の測定を行い、透明性の指標とした。評価結果を表1に示す。
(2−b−2)380nm光線透過率の測定
上記(2−b−1)と同様に、波長380nmの光線について光線透過率の測定を行った。評価結果を表1に示す。
<3.外観性>
後述の実施例及び比較例で得られた3段プレート用いて、光学顕微鏡を用いて観察し、3段プレート10cm2当たりに含まれる長径が30μm以上の気泡及び異物の個数を数えた。
<4.熱処理前後のRe>
連続的な熱処理の評価としては、3段プレートを恒温恒湿槽(ESPEC株式会社社製PL−4KP)を用いて、熱処理試験を100℃で、45時間と1000時間の面内方向位相差(Re)の評価行った。特に、比較例1については熱処理温度を75℃とした。
評価は成型品サンプル数N=3で行い、その平均をとった。
<5.冷熱処理前後のRe>
冷熱サイクルの評価としては、3段プレートを恒温恒湿槽(エスペック株式会社製低温恒温恒湿器PL−2J)を用いて、冷熱サイクル試験を、1サイクル:−30℃×1時間、85℃×1時間として、20サイクル実施し、このときの面内方向位相差(Re)の評価を行った。
評価は成形品のサンプル数N=3で行い、その平均をとった。
<6.冷熱処理後の外観>
冷熱サイクル試験後の3段プレートの外観を目視にて確認した。
評価基準
○:試験前と大きく変化がなく良好の場合
△:多少の白化又は黄色がみられる場合
×:クラック・亀裂が発生及び/又は大きく意匠性が低下している場合
以下、メタクリル系樹脂の製造例について記載する。
[製造例1]
パドル翼を備え付けた撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した1.25m3の反応釜に、432.3kgのメタクリル酸メチル(MMA)、33.0kgのN−フェニルマレイミド(PMI)、84.7kgのN−シクロヘキシルマレイミド(CMI)、450.0kgのメタキシレン、及びn−オクチルメルカプタンを全単量体の総量100質量部に対して100質量ppm仕込み、溶解して原料溶液を調整した。これに窒素を通じつつ、撹拌しながら125℃まで昇温した。
別途、0.23kgのパーヘキサC−75と1.82kgのメタキシレンとを混合してなる開始剤フィード液を調製した。
原料溶液が127℃に到達したところで、開始剤フィード液(重合開始剤混合液)のフィード(添加)を(1)〜(6)のプロファイルにて開始した。
(1)0.0〜0.5時間:フィード速度1.00kg/時
(2)0.5〜1.0時間:フィード速度0.50kg/時
(3)1.0〜2.0時間:フィード速度0.42kg/時
(4)2.0〜3.0時間:フィード速度0.35kg/時
(5)3.0〜4.0時間:フィード速度0.14kg/時
(6)4.0〜7.0時間:フィード速度0.13kg/時
合計7時間かけて開始剤をフィードした(B時間=7時間)後、さらに1時間反応を継続し、開始剤の添加開始時から8時間後まで重合反応を行った。
重合反応中、内温は127±2℃で制御した。得られた重合液の重合転化率を測定したところ、MMA単位:93.7質量%、PMI単位:95.5質量%、CMI単位:91.2質量%であった。総じて、重合転化率は93%であった。
上記で得られた重合液を、4フォアベント、1バックベント付φ42mm脱揮押出機を用いて、140rpm、樹脂量換算で10kg/時で脱揮処理を行い、樹脂ペレットを得た。
得られたペレットの重量平均分子量は18万、ガラス転移温度は135℃であった。
また、NMRより求めた組成は、MMA単位:79質量%、PMI単位:6質量%、CMI単位:15質量%であった。
なお、製造例1における製造方法は、前述の製法の条件(i)〜(v)を満たしていた。
[製造例2]
パドル翼を備え付けた撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した1.25m3の反応釜に、437.5kgのメタクリル酸メチル(MMA)、46.5kgのN−フェニルマレイミド(PMI)、66.0kgのN−シクロヘキシルマレイミド(CMI)、450kgのメタキシレン、及びn−オクチルメルカプタンを全単量体の総量100質量部に対して100質量ppm仕込み、これに窒素を通じつつ、撹拌しながら120℃まで昇温した。
別途、0.18kgのパーヘキサ25Bと0.73kgのメタキシレンとを混合した開始剤フィード液A、及び0.061kgのパーヘキサ25Bと0.24kgのメタキシレンとを混合した開始剤フィード液Bを調整した。
原料溶液温度が130℃に到達したところで、フィード速度5.5kg/時で開始剤フィード液Aを10分間フィードした。2時間経過後、原料溶液温度を0.5時間かけて115℃に降温し、115℃となった段階で、フィード速度1.8kg/時で開始剤フィード液Bを10分間フィードした(B時間=2.83時間)後、そのまま反応を継続し、合計13時間重合反応を実施して反応を完結させた。
得られた重合液を4フォアベント、1バックベント付φ42mm脱揮押出機を用いて、140rpm、樹脂量換算で10kg/時で脱揮処理を行い、樹脂ペレットを得た。
得られたペレットのガラス転移温度は132℃であった。
また、NMRより求めた組成は、MMA単位:81質量%、PMI単位:8質量%、CMI単位:11質量%であった。
なお、製造例2における製造方法は、前述の製法の条件(i)〜(v)を満たしていた。
[製造例3]
パドル翼を備え付けた撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した1.25m3の反応釜に、550kgのメタクリル酸メチル(MMA)、450kgのメタキシレン、及びn−オクチルメルカプタンを全単量体の総量100質量部に対して400質量ppm仕込み、溶解して原料溶液を調整した。これに窒素を通じつつ、撹拌しながら125℃まで昇温した。
別途、0.23kgのパーヘキサC−75と1.82kgのメタキシレンを混合した開始剤フィード液を調整した。原料溶液が127℃に到達したところで、開始剤フィード液のフィードを(1)〜(6)のプロファイルにて開始した。
(1)0.0〜0.5時間:フィード速度1.00kg/時
(2)0.5〜1.0時間:フィード速度0.50kg/時
(3)1.0〜2.0時間:フィード速度0.42kg/時
(4)2.0〜3.0時間:フィード速度0.35kg/時
(5)3.0〜4.0時間:フィード速度0.20kg/時
(6)4.0〜7.0時間:フィード速度0.13kg/時
合計7時間かけて開始剤をフィードした(B時間=7時間)後、さらに1時間反応を継続し、合計8時間かけて重合反応を完結させた。
得られた重合液を4フォアベント、1バックベント付φ42mm脱揮押出機を用いて、140rpm、樹脂量換算で10kg/時で脱揮処理を行い、樹脂ペレットを得た。
得られた樹脂ペレット100質量部に対してモノメチルアミンとして5質量部(40質量%モノメチルアミン水溶液)をバレル温度250℃にてベント付二軸押出機にサイドフィーダーより導入し、イミド化反応を実施した。過剰のメチルアミンや水分は押出機下流側に備え付けたベント口から適宜除去し、グルタルイミド環含有メタクリル樹脂ペレットを得た。
イミド化率は5%、すなわち、得られた共重合体の組成は、MMA単位:95質量%、グルタルイミド系構造単位:5質量%であり、ガラス転移温度は122℃であった。
なお、製造例3における製造方法は、前述の製法の条件(i)〜(v)を満たしていた。
前述の各製造例により製造したメタクリル系樹脂を用いて、3段プレートを作成した。
(実施例1)
製造例1で得られた樹脂100質量部に対し、PEP−36:0.15質量部、及びIrganox1010:0.05質量部をハンドブレンドによりブレンドし、東芝機械株式会社製のベント付(3か所)Φ26mm二軸押出機TEM−26SS(L/D=48、4穴ダイス使用、ダイス設定温度280℃、バレル設定温度280℃;出口側、ホッパー横バレル設定温度230℃)にて、吐出量10kg/時、回転数150rpmにて溶融混練を行って、ペレット状のメタクリル系樹脂組成物を製造した。
また、得られたペレットを、評価するために下記の条件で3段プレートを作成した。
・射出成形機:JSW製350t電動射出成形機
・成形品サイズ:幅50mm、長さ80mm、厚み3、2、1mmと段階的に変化する3段プレート
・射出条件;
バレル温度:240℃
金型温度:80℃
射出速度:800mm/sec、一定
保圧力と保持時間:200MPa、20sec
成形品の取り出し:射出開始から40sec後
メタクリル系樹脂及び添加剤の配合量等の条件の詳細、及び評価結果を、表1に示す。
(実施例2)
製造例1で得られた樹脂100質量部に対し、チヌビンP0.03質量部を用いて、実施例1の方法と同様の方法で造粒を実施し、評価を実施した。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
製造例1で得られた樹脂の代わりに製造例1で得られた樹脂を用いて、実施例1の方法と同様の方法で造粒を実施し、評価を実施した。評価結果を表1に示す。
(実施例4)
製造例1で得られた樹脂の代わりに製造例1で得られた樹脂を用いて、実施例3の方法と同様の方法で造粒を実施し、評価を実施した。評価結果を表1に示す。
(実施例5)
製造例3で得られた樹脂を用いて、実施例1の方法と同様の方法で造粒を実施し、評価を実施した。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
デルペット80N(旭化成株式会社製)を用いて実施例1の方法と同様の方法で射出成型を行い、評価を実施した。評価結果を表1に示す。
表1に示す通り、環構造を有するメタクリル系樹脂は集光型太陽電池用レンズに良好であることがわかる。

Claims (4)

  1. メタクリル系樹脂を含むメタクリル系樹脂組成物であって、
    前記メタクリル系樹脂が、マレイミド系構造単位、グルタル酸無水物系構造単位、グルタルイミド系構造単位、ラクトン環構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含み、
    面内方向位相差(Re)が厚さ1mm換算で0〜50nmである
    ことを特徴とする、集光型太陽電池レンズ用メタクリル系樹脂組成物。
  2. 前記メタクリル系樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)−30℃からガラス転移温度(Tg)−60℃までの温度範囲で熱処理したときに、初期の面内方向位相差(Re)より前記熱処理後の面内方向位相差(Re)が低くなることを特徴とする、請求項1に記載の集光型太陽電池用レンズ用メタクリル系樹脂組成物。
  3. 前記メタクリル系樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部の紫外線吸収剤を含む、請求項1又は2に記載の集光型太陽電池用レンズ用メタクリル樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の集光型太陽電池用レンズ用メタクリル系樹脂組成物を使用した集光型太陽電池用レンズ。
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