JP2018203654A - ビスフェノール化合物の製造方法、およびポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

ビスフェノール化合物の製造方法、およびポリカーボネート樹脂の製造方法 Download PDF

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健史 中村
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Tomoko Maeda
智子 前田
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Toshiki Kadota
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Abstract

【課題】ポリカーボネート樹脂用原料等として安定した重合活性を示すビスフェノール化合物を、工業的規模で容易に、効率的かつ高選択的に製造する方法の提供。
【解決手段】アルデヒド類とモノフェノール化合物とを、式(2)で表されるスルホン酸化合物の存在下に反応させて式(1)で表されるビスフェノール化合物を製造する方法。
Figure 2018203654

[RはC6〜24の一価脂肪族炭化水素基;R及びRは夫々独立にC1〜15の一価炭化水素基;a及びbは0〜4の整数;a又はbが2以上の場合、同一のベンゼン環上にある2以上のR又はRは互いに結合して環を形成していても良い]
Figure 2018203654

[RはC1〜20のn価炭化水素基;nは1〜2の整数]
【選択図】なし

Description

本発明はビスフェノール化合物の製造方法に関する。詳しくは、ポリカーボネート樹脂用原料等として安定した重合活性を示すビスフェノール化合物を効率よく製造するビスフェノール化合物の製造方法に関する。本発明はまた、この方法で得られたビスフェノール化合物を原料として用いたポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。
ビスフェノール化合物は、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂などの原料として広く用いられている有用な化合物である。中でも、柔軟な長鎖アルキル基を側鎖に有するビスフェノール化合物は、分子骨格内に長鎖アルキル基由来のソフトセグメントを有するために、ポリカーボネート樹脂などの原料として用いた場合に、樹脂に柔軟性を付与することができ、さらに該長鎖アルキル基により親油性も増大するため、得られる樹脂に特異的な低吸水性を付与することも期待できる。そしてこのようなビスフェノール化合物を原料に用いたポリカーボネート樹脂は、自動車、電気電子、住宅・建材をはじめとする様々な分野に応用することができ、特に近年、電気電子機器部品の分野において要求される機器の小型化、高性能化の要求に対し、柔軟性、耐熱性、吸水特性に優れるポリカーボネート樹脂を提供することが可能となり非常に期待されている。
このようなビスフェノール化合物は、公知の方法では、例えば4−ヒドロキシフェニル基を連結するアルカンに対応するアルデヒド、アセタール、チオアセタール、又はトリオキサンなどをフェノール化合物と酸触媒の存在下で縮合するなどして製造されている。例えば、非特許文献1には、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカンの製造方法として、硫酸を触媒としてノナナールとフェノールを縮合させる方法が記載されている。特許文献1には、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ウンデカンの製造方法として、カチオン交換樹脂を触媒としてデカナールとフェノールを縮合させる方法が記載されている。
また、特許文献2には、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカンの製造方法として、塩酸を触媒としてドデカナールとフェノールを縮合させる方法が記載されており、さらにはこのようにして得られた1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカンを原料として界面重合法にてポリカーボネート樹脂を製造する例が開示されている。
米国特許第3242220号明細書 特開昭59−131623号公報
工業化学雑誌、1965年(59号)94頁
本発明者が検討した結果、非特許文献1の方法では反応が遅く、目的のビスフェノール化合物を効率的に、高選択的に得ることができないことが判明した。また、特許文献1の方法では、カチオン交換樹脂を詰めた新たな反応槽やその他の過大な付帯設備の設置が必要となることから、建設費用、単位生産量あたりのロスが大きくなるため、やはり目的のビスフェノール化合物を効率的に得ることができないという課題がある。この課題は、大規模工業生産を志向した場合にはある程度克服することができるが、小規模から中規模の工業生産においては、著しくロス量が多く、大きな課題となる。
また、本発明者は、特許文献2の方法で得られた1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカンを用いてポリカーボネート樹脂の製造を試みた結果、目的のポリマーを安定に得ることができないという致命的な欠点があることを見出した。この理由の詳細は明確ではないが、ビスフェノール化合物の製造のスケールによって影響されること、ポリカーボネート樹脂の製造法によっても影響されることが判明した。
例えば、近年、ポリカーボネート樹脂の製造方法としては、界面重合法のようにホスゲンや溶媒を使用せず、かつ廃棄物の発生量も少なく、環境や人体に対する悪影響や毒性が低いとして溶融エステル交換法が注目を集めているが、特許文献2の方法で得られたビスフェノール化合物を原料として、溶融エステル交換法によってポリカーボネート樹脂を製造しようとした場合は、顕著に重合が阻害されることが判明した。
このように、従来においては、ポリカーボネート樹脂原料等として用いた場合にも安定した重合活性を示すビスフェノール化合物を、工業的規模で容易に、効率的にかつ高選択的に得る方法は未だ見出されていないのが現状である。
従って、本発明は、ポリカーボネート樹脂用原料等として安定した重合活性を示すビスフェノール化合物を、工業的規模で容易に、効率的かつ高選択的に製造することができるビスフェノール化合物の製造方法と、この方法で製造されたビスフェノール化合物を用いて良品質のポリカーボネート樹脂を安定生産するポリカーボネート樹脂の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題に鑑み、長鎖アルキル基を側鎖に有する特定のビスフェノール化合物の製造方法において、使用する触媒の反応性やビスフェノール化合物との親和性、精製工程での洗浄性、ポリカーボネート樹脂重合時における残留不純物の影響に注目して鋭意検討した結果、特定の触媒種を選択することで、著しく安定した重合活性を示すビスフェノール化合物を、効率的かつ高選択的に得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、以下の[1]〜[7]に存する。
[1] 下記式(1)で表されるビスフェノール化合物の製造方法であって、アルデヒド類と、モノフェノール化合物とを、下記式(2)で表されるスルホン酸化合物の存在下に反応させることを特徴とするビスフェノール化合物の製造方法。
Figure 2018203654
[式(1)中、Rは、炭素数6〜24の一価脂肪族炭化水素基を表し、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜15の一価炭化水素基を表し、a及びbはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。a又はbが2以上の場合、同一のベンゼン環上にある2以上のR又はRは互いに結合して当該ベンゼン環に縮合する環を形成していても良い。]
Figure 2018203654
[式(2)中、Rは、炭素数1〜20の、置換基を有していても良いn価炭化水素基を表し、nは1〜2の整数を表す。]
[2] 前記モノフェノール化合物が、下記式(3)で表されるモノフェノール化合物であることを特徴とする[1]に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
Figure 2018203654
[式(3)中、Rおよびaは式(1)におけると同義である。]
[3] 前記スルホン酸化合物が、芳香族モノスルホン酸化合物であることを特徴とする[1]または[2]に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
[4] 前記スルホン酸化合物がトルエンスルホン酸であることを特徴とする[3]に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
[5] 前記モノフェノール化合物1モルに対して、前記スルホン酸化合物を0.01〜1モル用いることを特徴とする[1]乃至[3]の何れかに記載のビスフェノール化合物の製造方法。
[6] [1]乃至[5]の何れかに記載のビスフェノール化合物を原料として用いることを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
[7] 溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造することを特徴とする[6]に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
本発明によれば、ポリカーボネート樹脂用原料等として安定した重合活性を示すビスフェノール化合物を、工業的規模で容易に、効率的かつ高選択的に製造することができ、また製造されたビスフェノール化合物を用いて良品質のポリカーボネート樹脂を安定生産することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。
なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値または物性値を含む表現として用いるものとする。
〔ビスフェノール化合物の製造方法〕
本発明のビスフェノール化合物の製造方法は、下記式(1)で表されるビスフェノール化合物(以下、「本発明のビスフェノール化合物」と呼称する場合がある。)の製造方法であって、アルデヒド類と、モノフェノール化合物とを、下記式(2)で表されるスルホン酸化合物の存在下に反応させることを特徴とする。
Figure 2018203654
[式(1)中、Rは、炭素数6〜24の一価脂肪族炭化水素基を表し、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜15の一価炭化水素基を表し、a及びbはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。a又はbが2以上の場合、同一のベンゼン環上にある2以上のR又はRは互いに結合して当該ベンゼン環に縮合する環を形成していても良い。]
Figure 2018203654
[式(2)中、Rは、炭素数1〜20の、置換基を有していても良いn価炭化水素基を表し、nは1〜2の整数を表す。]
[本発明のメカニズム]
本発明のビスフェノール化合物の製造方法により、重合を阻害する恐れがなく、安定した重合活性を有するビスフェノール化合物を効率的に製造できる理由について以下に説明する。
アルデヒド類とモノフェノール化合物との反応によりビスフェノール化合物を製造する工程で、塩酸のようなハロゲン原子を含む酸触媒を用いると、微量ハロゲン化された副生物が生成する。特に、本発明のビスフェノール化合物は、三級炭素原子に結合した不安定な水素原子を有し、この水素原子にハロゲンアニオンが容易に反応し、ハロゲン化物を生成する。このハロゲン化物は、樹脂化の条件下で脱離することで酸を発生させ、重合触媒活性を阻害すると考えられる。このハロゲン化物の生成は、ビスフェノール化合物製造時の諸条件、例えば、原料混合比、酸触媒混合比、反応温度、精製条件、洗浄条件等に影響され、また同条件に調整したとしても製造スケールによって、原料の局所濃度や、反応条件の偏り(局所的な発熱など)によって大きく左右され、その結果、樹脂化の際に、重合が進行したり、進行しなかったりして、安定な重合活性が得られない。
硫酸のような触媒では上記状況は起こりにくいが、油溶性原料との親和性、馴染みが悪いことにより反応速度が低く、このため、目的のビスフェノール化合物を効率良く製造することができない。
一方で、本発明のビスフェノール化合物の製造方法において、酸触媒として用いる特定のスルホン酸化合物は、原料であるアルデヒド類及びモノフェノール化合物との親和性が高く、馴染みが良く、効率的にビスフェノール化合物を製造することができ、さらには樹脂化時に重合阻害要因となる副生物を生成させないため、得られたビスフェノール化合物は樹脂原料として極めて有用なものとなる。さらに、本発明で用いる特定のスルホン酸化合物は、工業的な生産を志向した場合に、触媒充填槽などの新たな設備の設置は不要であり、本発明のビスフェノール化合物の製造方法は、一般的な反応設備で容易に実施することが可能であるという利点も有している。
[ビスフェノール化合物]
本発明のビスフェノール化合物は、下記式(1)で表されるものである。
Figure 2018203654
式(1)中、Rは、炭素数6〜24の一価脂肪族炭化水素基である。ここで、脂肪族炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基であるアルキル基、或いはアルケニル基、アルキニル基、アルカジエニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基が挙げられる。
が炭素数6以上の一価脂肪族炭化水素基であることで、樹脂の原料とした場合に、樹脂に良好な柔軟性や低吸水性を付与することができる。また低融点性を発現することより、特定の顕色剤として好適に用いることも可能となる。このような観点より、上述のRの炭素数は9以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、11以上であることがさらに好ましい。
一方、Rの炭素数が24を超える場合は、樹脂原料とした場合に、樹脂の耐熱性や機械強度を著しく低下させる傾向にあるため好ましくない。また融点が高くなりすぎて、顕色剤としての機能も低下するため好ましくない。このような観点より、上述のRの炭素数は22以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましく、16以下であることがさらに好ましい。
の炭素数6〜24の一価脂肪族炭化水素基としては、好ましくは直鎖状又は分岐状のアルキル基、一部環状構造を有するアルキル基、アルケニル基などが挙げられるが、なかでも本発明のビスフェノール化合物を樹脂原料として用いた場合、得られる樹脂の柔軟性をより効果的に高めることができることから、直鎖状又は分岐状アルキル基であることが好ましく、直鎖状アルキル基がさらに好ましい。
の直鎖状アルキル基の具体例としては、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基、n−ヘンイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基などが挙げられるが、n−ノニル基、n−デシル、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基が好ましく、n−デシル基、n−ウンデシル基がより好ましく、n−ウンデシル基が特に好ましい。
の分岐状アルキル基の具体例としては、メチルペンチル基、メチルヘキシル基、メチルへプチル基、メチルオクチル基、メチルノニル基、メチルデシル基、メチルウンデシル基、メチルドデシル基、メチルトリデシル基、メチルテトラデシル基、メチルペンタデシル基、メチルヘキサデシル基、メチルヘプタデシル基、メチルオクタデシル基、メチルノナデシル基、メチルイコシル基、メチルヘンイコシル基、メチルドコシル基、メチルトリコシル基;
ジメチルブチル基、ジメチルペンチル基、ジメチルヘキシル基、ジメチルへプチル基、ジメチルオクチル基、ジメチルノニル基、ジメチルデシル基、ジメチルウンデシル基、ジメチルドデシル基、ジメチルトリデシル基、ジメチルテトラデシル基、ジメチルペンタデシル基、ジメチルヘキサデシル基、ジメチルヘプタデシル基、ジメチルオクタデシル基、ジメチルノナデシル基、ジメチルイコシル基、ジメチルヘンイコシル基、ジメチルドコシル基;
トリメチルペンチル基、トリメチルヘキシル基、トリメチルへプチル基、トリメチルオクチル基、トリメチルノニル基、トリメチルデシル基、トリメチルウンデシル基、トリメチルドデシル基、トリメチルトリデシル基、トリメチルテトラデシル基、トリメチルペンタデシル基、トリメチルヘキサデシル基、トリメチルヘプタデシル基、トリメチルオクタデシル基、トリメチルノナデシル基、トリメチルイコシル基、トリメチルヘンイコシル基;
エチルペンチル基、エチルヘキシル基、エチルへプチル基、エチルオクチル基、エチルノニル基、エチルデシル基、エチルウンデシル基、エチルドデシル基、エチルトリデシル基、エチルテトラデシル基、エチルペンタデシル基、エチルヘキサデシル基、エチルヘプタデシル基、エチルオクタデシル基、エチルノナデシル基、エチルイコシル基、エチルヘンイコシル基、エチルドコシル基;
プロピルヘキシル基、プロピルへプチル基、プロピルオクチル基、プロピルノニル基、プロピルデシル基、プロピルウンデシル基、プロピルドデシル基、プロピルトリデシル基、プロピルテトラデシル基、プロピルペンタデシル基、プロピルヘキサデシル基、プロピルヘプタデシル基、プロピルオクタデシル基、プロピルノナデシル基、プロピルイコシル基、プロピルヘンイコシル基;
ブチルヘキシル基、ブチルへプチル基、ブチルオクチル基、ブチルノニル基、ブチルデシル基、ブチルウンデシル基、ブチルドデシル基、ブチルトリデシル基、ブチルテトラデシル基、ブチルペンタデシル基、ブチルヘキサデシル基、ブチルヘプタデシル基、ブチルオクタデシル基、ブチルノナデシル基、ブチルイコシル基;
が挙げられる。
これらのうち、エチルペンチル基、エチルヘキシル基、エチルへプチル基、エチルオクチル基、エチルウンデシル基、エチルペンタデシル基等の炭素数7〜17の分岐アルキル基が好ましく、エチルペンチル基、エチルヘキシル基がより好ましく、エチルペンチル基が特に好ましい。
なお、上記分岐アルキル基の例において、分岐の位置は任意である。
の一部環状構造を有するアルキル基の具体例としては、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基;
シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチルメチル基、シクロオクチルメチル基、シクロノニルメチル基、シクロデシルメチル基、シクロウンデシルメチル基、シクロドデシルメチル基;
シクロヘキシルエチル基、シクロヘプチルエチル基、シクロオクチルエチル基、シクロノニルエチル基、シクロデシルエチル基、シクロウンデシルエチル基、シクロドデシルエチル基;
シクロヘキシルプロピル基、シクロヘプチルプロピル基、シクロオクチルプロピル基、シクロノニルプロピル基、シクロデシルプロピル基、シクロウンデシルプロピル基、シクロドデシルプロピル基;
メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、メチルシクロオクチル基、メチルシクロノニル基、メチルシクロデシル基、メチルシクロウンデシル基、メチルシクロドデシル基;
ジメチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロオクチル基、ジメチルシクロノニル基、ジメチルシクロデシル基、ジメチルシクロウンデシル基、ジメチルシクロドデシル基;
エチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘプチル基、エチルシクロオクチル基、エチルシクロノニル基、エチルシクロデシル基、エチルシクロウンデシル基、エチルシクロドデシル基;
プロピルシクロヘキシル基、プロピルシクロヘプチル基、プロピルシクロオクチル基、プロピルシクロノニル基、プロピルシクロデシル基、プロピルシクロウンデシル基、プロピルシクロドデシル基;
ヘキシルシクロヘキシル基、ヘキシルシクロヘプチル基、ヘキシルシクロオクチル基、ヘキシルシクロノニル基、ヘキシルシクロデシル基、ヘキシルシクロウンデシル基、ヘキシルシクロドデシル基;
メチルシクロヘキシルメチル基、メチルシクロヘプチルメチル基、メチルシクロオクチルメチル基、メチルシクロノニルメチル基、メチルシクロデシルメチル基、メチルシクロウンデシルメチル基、メチルシクロドデシルメチル基;
メチルシクロヘキシルエチル基、メチルシクロヘプチルエチル基、メチルシクロオクチルエチル基、メチルシクロノニルエチル基、メチルシクロデシルエチル基、メチルシクロウンデシルエチル基、メチルシクロドデシルエチル基;
メチルシクロヘキシルプロピル基、メチルシクロヘプチルプロピル基、メチルシクロオクチルプロピル基、メチルシクロノニルプロピル基、メチルシクロデシルプロピル基、メチルシクロウンデシルプロピル基、メチルシクロドデシルプロピル基;
ジメチルシクロヘキシルメチル基、ジメチルシクロヘプチルメチル基、ジメチルシクロオクチルメチル基、ジメチルシクロノニルメチル基、ジメチルシクロデシルメチル基、ジメチルシクロウンデシルメチル基、ジメチルシクロドデシルメチル基;
ジメチルシクロヘキシルエチル基、ジメチルシクロヘプチルエチル基、ジメチルシクロオクチルエチル基、ジメチルシクロノニルエチル基、ジメチルシクロデシルエチル基、ジメチルシクロウンデシルエチル基、ジメチルシクロドデシルエチル基;
ジメチルシクロヘキシルプロピル基、ジメチルシクロヘプチルプロピル基、ジメチルシクロオクチルプロピル基、ジメチルシクロノニルプロピル基、ジメチルシクロデシルプロピル基、ジメチルシクロウンデシルプロピル基、ジメチルシクロドデシルプロピル基、シクロヘキシルシクロヘキシル基;
等が挙げられる。
これらのうち、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチルメチル基、シクロオクチルメチル基、シクロノニルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘプチルエチル基、シクロオクチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチルメチル基、シクロオクチルメチル基等の炭素数6〜10の環状アルキル基又は環状アルキル基を置換基として有するアルキル基が好ましく、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基がより好ましく、シクロヘキシル基が特に好ましい。
なお、上記一部環状構造を有するアルキル基において、置換基の置換位置は任意である。
のアルケニル基、アルカジエニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基の具体例としては、上記直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、及び一部環状構造を有するアルキル基の構造中に1つ以上の炭素−炭素二重結合をもつ構造のものであれば特に制限はないが、具体例としては、ヘキセニル基、ぺプチニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、シクロヘキセニル基、ビシクロ[2,2,1]ヘプタ−5−エン−2−イル基等が挙げられる。
式(1)中のR、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜15の一価炭化水素基を表す。
炭素数1〜15の一価炭化水素基を有することで、本発明のビスフェノール化合物を樹脂の原料とした場合に、樹脂の流動性や柔軟性等を向上させることができる。また、特定の溶媒や添加剤に対する溶解性を変化させることも可能となり、顕色剤などの各種材料原料、添加剤に使用する場合に目的に応じた物性に制御することも可能となる。
、Rの炭素数1〜15の一価炭化水素基としては、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であっても良い。R、Rの飽和炭化水素基としては、炭素数1〜15のアルキル基が、不飽和炭化水素基としては、炭素数2〜15のアルケニル基等が挙げられる。これらは直鎖状であっても分岐状であっても、環状であっても良い。R、Rの一価炭素水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アリル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、フェニル基、ベンジル基、トリル基などが挙げられるが、なかでもメチル基、エチル基、アリル基などの炭素数3以下の炭化水素基であることが、本発明のビスフェノール化合物を樹脂原料として用いた場合に、得られる樹脂に良好な物性を得やすい点で好ましく、メチル基が特に好ましい。
なお、同一のベンゼン環上にRまたはRが2以上ある場合、2以上のRまたはRは同一であってもよく、異なるものであっても良い。また、2以上のRまたはRのうち2つが互いに結合して、当該ベンゼン環に縮合する環を形成しても良い。
なお、RおよびRは同一であることが本発明のビスフェノール化合物を効率的に製造しやすい点で好ましい。
式(1)中のa、bはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、本発明のビスフェノール化合物に対する要求物性に応じて適宜選択すれば良いが、ポリカーボネート樹脂の原料として用いる場合は、なかでも0〜2が好ましく、0〜1がより好ましく、0であることがさらに好ましい。a又はbが2以上の場合、前述の通り、同一のベンゼン環上にある2以上のR又はRは互いに結合して当該ベンゼン環に縮合する環を形成していても良い。
aおよびbは同一であることが、本発明のビスフェノール化合物を効率的に製造しやすい点で好ましい。
式(1)におけるヒドロキシル基の結合位置は特に規定されず、本発明のビスフェノール化合物に対する要求物性に応じて適宜選択すれば良いが、Rが隣接している炭素原子に対してオルト位またはパラ位に結合していることが好ましい。また式(1)におけるRおよびRの結合位置は特に規定されず、本発明のビスフェノール化合物に対する要求物性に応じて適宜選択すれば良いが、ヒドロキシル基に対してオルト位に結合していることが好ましい。R、R、およびヒドロキシル基の結合位置を上述のようにすることで、本発明のビスフェノール化合物を樹脂原料とした際に、十分な重合活性が得られる傾向にある。
本発明のビスフェノールの具体例を、式(1)におけるR、R、R、a、bの組み合わせ例として以下に例示する。なお、以下において、ヒドロキシル基、RおよびRの置換位置は任意である。また、本発明のビスフェノールは以下の具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2018203654
なかでも、本発明のビスフェノール化合物としては、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン(化合物P−1)
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン(化合物P−2)
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン(化合物P−3)
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン(化合物P−4)
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ウンデカン(化合物P−5)
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン(化合物P−6)
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トリデカン(化合物P−7)
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタデカン(化合物P−8)
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン(化合物P−31)
がより好ましく、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ウンデカン
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン
がさらに好ましい。このようなビスフェノール化合物は、樹脂原料や顕色剤の原料として特に好適に用いることができる。
[アルデヒド類]
本発明のビスフェノール化合物の製造方法に用いるアルデヒド類は、アルデヒド化合物、及びそれに対応するアセタール化合物、チオアセタール化合物、トリオキサン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であるが、なかでも、副生物の生成量が少なく、さらには主の副生物が水であることより精製工程が簡略化でき廃棄物も少ないという点より、アルデヒド化合物であることがより好ましい。
上記アルデヒド化合物の具体例としては、直鎖状アルキルアルデヒド、分岐状アルキルアルデヒド、一部環状構造を有するアルキルアルデヒド、アルケニルアルデヒド等の前記式(1)におけるRの脂肪族炭化水素基が不飽和結合を有するものとなるアルデヒド等が挙げられる。
直鎖状アルキルアルデヒドの具体例としては、n−ヘプタナール、n−オクタナール、n−ノナナール、n−デカナール、n−ウンデカナール、n−ドデカナール、n−トリデカナール、n−テトラデカナール、n−ペンタデカナール、n−ヘキサデカナール、n−ヘプタデカナール、n−オクタデカナール、n−ノナデカナール、n−ノナデシルアルデヒド、n−イコシルアルデヒド、n−ヘンイコシルアルデヒド、n−ドコシルアルデヒド、n−トリコシルアルデヒド、n−テトラコシルアルデヒドなどが挙げられるが、n−ノナナール、n−デカナール、n−ウンデカナール、n−ドデカナール、n−ヘキサデカナール、n−オクタデカナールなど炭素数9〜18の直鎖状アルキルアルデヒドが好ましく、n−ウンデカナール、n−ドデカナールがより好ましく、n−ドデカナールが特に好ましい。
分岐状アルキルアルデヒドの具体例としては、メチルペンチルアルデヒド、メチルヘキシルアルデヒド、メチルへプチルアルデヒド、メチルオクチルアルデヒド、メチルノニルアルデヒド、メチルデシルアルデヒド、メチルウンデシルアルデヒド、メチルドデシルアルデヒド、メチルトリデシルアルデヒド、メチルテトラデシルアルデヒド、メチルペンタデシルアルデヒド、メチルヘキサデシルアルデヒド、メチルヘプタデシルアルデヒド、メチルオクタデシルアルデヒド、メチルノナデシルアルデヒド、メチルイコシルアルデヒド、メチルヘンイコシルアルデヒド、メチルドコシルアルデヒド、メチルトリコシルアルデヒド;
ジメチルブチルアルデヒド、ジメチルペンチルアルデヒド、ジメチルヘキシルアルデヒド、ジメチルへプチルアルデヒド、ジメチルオクチルアルデヒド、ジメチルノニルアルデヒド、ジメチルデシルアルデヒド、ジメチルウンデシルアルデヒド、ジメチルドデシルアルデヒド、ジメチルトリデシルアルデヒド、ジメチルテトラデシルアルデヒド、ジメチルペンタデシルアルデヒド、ジメチルヘキサデシルアルデヒド、ジメチルヘプタデシルアルデヒド、ジメチルオクタデシルアルデヒド、ジメチルノナデシルアルデヒド、ジメチルイコシルアルデヒド、ジメチルヘンイコシルアルデヒド、ジメチルドコシルアルデヒド;
トリメチルヘキシルアルデヒド、トリメチルへプチルアルデヒド、トリメチルオクチルアルデヒド、トリメチルノニルアルデヒド、トリメチルデシルアルデヒド、トリメチルウンデシルアルデヒド、トリメチルドデシルアルデヒド、トリメチルトリデシルアルデヒド、トリメチルテトラデシルアルデヒド、トリメチルペンタデシルアルデヒド、トリメチルヘキサデシルアルデヒド、トリメチルヘプタデシルアルデヒド、トリメチルオクタデシルアルデヒド、トリメチルノナデシルアルデヒド、トリメチルイコシルアルデヒド、トリメチルヘンイコシルアルデヒド;
エチルペンチルアルデヒド、エチルヘキシルアルデヒド、エチルへプチルアルデヒド、エチルオクチルアルデヒド、エチルノニルアルデヒド、エチルデシルアルデヒド、エチルウンデシルアルデヒド、エチルドデシルアルデヒド、エチルトリデシルアルデヒド、エチルテトラデシルアルデヒド、エチルペンタデシルアルデヒド、エチルヘキサデシルアルデヒド、エチルヘプタデシルアルデヒド、エチルオクタデシルアルデヒド、エチルノナデシルアルデヒド、エチルイコシルアルデヒド、エチルヘンイコシルアルデヒド、エチルドコシルアルデヒド;
プロピルヘキシルアルデヒド、プロピルへプチルアルデヒド、プロピルオクチルアルデヒド、プロピルノニルアルデヒド、プロピルデシルアルデヒド、プロピルウンデシルアルデヒド、プロピルドデシルアルデヒド、プロピルトリデシルアルデヒド、プロピルテトラデシルアルデヒド、プロピルペンタデシルアルデヒド、プロピルヘキサデシルアルデヒド、プロピルヘプタデシルアルデヒド、プロピルオクタデシルアルデヒド、プロピルノナデシルアルデヒド、プロピルイコシルアルデヒド、プロピルヘンイコシルアルデヒド;
ブチルヘキシルアルデヒド、ブチルへプチルアルデヒド、ブチルオクチルアルデヒド、ブチルノニルアルデヒド、ブチルデシルアルデヒド、ブチルウンデシルアルデヒド、ブチルドデシルアルデヒド、ブチルトリデシルアルデヒド、ブチルテトラデシルアルデヒド、ブチルペンタデシルアルデヒド、ブチルヘキサデシルアルデヒド、ブチルヘプタデシルアルデヒド、ブチルオクタデシルアルデヒド、ブチルノナデシルアルデヒド、ブチルイコシルアルデヒド;
等が挙げられる。
これらのうち、エチルペンチルアルデヒド、エチルヘキシルアルデヒド、エチルへプチルアルデヒド、エチルオクチルアルデヒド、エチルウンデシルアルデヒド、エチルペンタデシルアルデヒド等の炭素数8〜18の分岐状アルキルアルデヒドが好ましく、エチルペンチルアルデヒド、エチルヘキシルアルデヒドがより好ましく、エチルペンチルアルデヒドが特に好ましい。
なお、上記分岐状アルキルアルデヒドの例において、分岐の位置は任意である。
一部環状構造を有するアルキルアルデヒドの具体例としては、ホルミルシクロヘキサン、ホルミルシクロヘプタン、ホルミルシクロオクタン、ホルミルシクロノナン、ホルミルシクロデカン、ホルミルシクロウンデカン、ホルミルシクロドデカン;
ホルミルメチルシクロヘキサン、ホルミルメチルシクロヘプタン、ホルミルメチルシクロオクタン、ホルミルメチルシクロノナン、ホルミルメチルシクロデカン、ホルミルメチルシクロウンデカン、ホルミルメチルシクロドデカン;
ホルミルジメチルシクロヘキサン、ホルミルジメチルシクロヘプタン、ホルミルジメチルシクロオクタン、ホルミルジメチルシクロノナン、ホルミルジメチルシクロデカン、ホルミルジメチルシクロウンデカン、ホルミルジメチルシクロドデカン;
ホルミルエチルシクロヘキサン、ホルミルエチルシクロヘプタン、ホルミルエチルシクロオクタン、ホルミルエチルシクロノナン、ホルミルエチルシクロデカン、ホルミルエチルシクロウンデカン、ホルミルエチルシクロドデカン;
ホルミルジエチルシクロヘキサン、ホルミルジエチルシクロヘプタン、ホルミルジエチルシクロオクタン、ホルミルジエチルシクロノナン、ホルミルジエチルシクロデカン、ホルミルジエチルシクロウンデカン、ホルミルジエチルシクロドデカン;
ホルミルプロピルシクロヘキサン、ホルミルプロピルシクロヘプタン、ホルミルプロピルシクロオクタン、ホルミルプロピルシクロノナン、ホルミルプロピルシクロデカン、ホルミルプロピルシクロウンデカン、ホルミルプロピルシクロドデカン、ホルミルシクロヘキシルシクロヘキサン;
等が挙げられる。
これらのうち、ホルミルシクロヘキサン、ホルミルシクロヘプタン、ホルミルシクロオクタン、ホルミルシクロノナン、ホルミルシクロデカン、ホルミルメチルシクロヘキサン、ホルミルメチルシクロヘプタン、ホルミルメチルシクロオクタン、ホルミルジメチルシクロヘキサン、ホルミルジメチルシクロヘプタン、ホルミルエチルシクロヘキサン、ホルミルエチルシクロヘプタン等の炭素数7〜11の環状アルキルアルデヒドが好ましく、ホルミルシクロヘキサン、ホルミルシクロヘプタン、ホルミルシクロオクタンがより好ましく、ホルミルシクロヘキサンが特に好ましい。
なお、上記環状アルキルアルデヒドの例において、ホルミル基の置換位置は任意である。
不飽和結合を有するアルデヒドの具体例としては、上記直鎖状アルキルアルデヒド、分岐状アルキルアルデヒド、及び一部環状構造を有するアルキルアルデヒドの構造中に1つ以上の炭素−炭素二重結合をもつ構造のものであれば特に制限はないが、具体例としては、n−ヘキセニルアルデヒド、n−へプチニルアルデヒド、n−オクテニルアルデヒド、n−ノネニルアルデヒド、n−デセニルアルデヒド、n−ウンデセニルアルデヒド、n−ドデセニルアルデヒド、n−トリデセニルアルデヒド、n−テトラデセニルアルデヒド、n−ペンタデセニルアルデヒド、n−ヘキサデセニルアルデヒド、n−ヘプタデセニルアルデヒド、n−オクタデセニルアルデヒド、n−ノナデセニルアルデヒド、n−イコセニルアルデヒド、n−ヘンイコセニルアルデヒド、n−ドコセニルアルデヒド、n−トリコセニルアルデヒド、n−テトラコセニルアルデヒド、シクロヘキセニルアルデヒド、ノルボルネンカルボキシアルデヒド等が挙げられる。
なお、上記不飽和結合を有するアルデヒドの例において、不飽和結合の位置は任意である。
これらのアルデヒド化合物は、単独で用いても、二種以上を混合して用いても良い。
また、本発明のビスフェノール化合物の製造方法に用いるアセタール化合物、チオアセタール化合物、トリオキサン化合物については、それぞれ上述に例示したアルデヒド化合物から誘導されたアセタール化合物、チオアセタール化合物、トリオキサン化合物を用いることができる。
[モノフェノール化合物]
本発明のビスフェノール化合物の製造方法に用いるモノフェノール化合物(以下、本発明のモノフェノール化合物と呼称することがある)は、特に制限はなく、所望のビスフェノール化合物に応じて適宜選択して用いることができるが、なかでも下記式(3)で表されるモノフェノール化合物であることが好ましい。
Figure 2018203654
式(3)中、Rおよびaは式(1)におけると同義である。
上記式(3)で表されるモノフェノール化合物の具体例としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2−エチルフェノール、2−エチル−6−メチルフェノール、2−アリルフェノール、2−イソプロピルフェノール、2−プロピルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール、2−sec−ブチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、カルバクロール、チモール、2−tert−アミルフェノール、6−tert−ブチル−o−クレゾール、2−フェニルフェノール、2−シクロヘキシルフェノール、2−アミル−5−メチルフェノール、2,6−ジイソプロピルフェノール、2−ベンジルフェノール、2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール等が挙げられるが、なかでもフェノール、o−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2−エチルフェノール、2−エチル−6−メチルフェノール、2−イソプロピルフェノール、2−プロピルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール等の炭素数3以下の炭化水素基を有するモノフェノール化合物が好ましく、フェノール、o−クレゾール、2,6−ジメチルフェノールがより好ましく、フェノールが特に好ましい。
なお、これらモノフェノール化合物は、単独で用いても、二種以上を混合して用いても良い。
[アルデヒド類とモノフェノール化合物の使用割合]
本発明のビスフェノール化合物の製造時において、反応に供するアルデヒド類とモノフェノール化合物の使用割合は、本発明のビスフェノール化合物の製造方法の目的を損なわない範囲であれば特に規定はなく、適宜選択することができるが、通常アルデヒド類1モルに対してモノフェノール化合物の使用量は、1モル以上であり、なかでも2モル以上であることが好ましく、3モル以上であることがより好ましい。モノフェノール化合物の使用量が上記下限値以上であることで、本発明のビスフェノール化合物の選択率が向上し、目的のビスフェノール化合物を効率よく製造できる傾向にあるため好ましい。一方、アルデヒド類1モルに対するモノフェノール化合物の使用量は通常20モル以下、好ましくは15モル以下、特に好ましくは10モル以下である。モノフェノール化合物の使用量が上記上限値以下であることで、本発明のビスフェノール化合物の製造の際に、後述のスルホン酸化合物濃度を過度に下げることなく目的のビスフェノール化合物を効率よく製造できる傾向にあり、さらには未反応のモノフェノール化合物を分離する工程の負荷が低減する傾向にあるため好ましい。
なお、本発明のビスフェノール化合物を製造する際、上記アルデヒド類とモノフェノール化合物は一部または全量を混合した状態から製造しても良いし、いずれか一方もしくは両方を連続的もしくは間歇的に添加しながら製造しても良い。
特に、アルデヒド類を連続的もしくは間歇的に添加しながら製造することで、目的のビスフェノール化合物をより高選択的に効率良く製造できるため好ましい。
[スルホン酸化合物]
本発明のビスフェノール化合物の製造方法では、下記式(2)で表されるスルホン酸化合物を用いる。
Figure 2018203654
式(2)中、Rは、炭素数1〜20の、置換基を有していても良いn価炭化水素基を表し、nは1〜2の整数を表す。ここで、Rの炭素数はRのn価炭化水素基が置換基を有する場合、当該置換基の炭素数も含めた合計の炭素数をさす。
式(2)で表されるスルホン酸化合物の具体例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、オクタデカンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、3−ヒドロキシプロパンスルホン酸、カンファースルホン酸などの、置換基を有していても良い脂肪族モノスルホン酸;
1,2−エタンジスルホン酸、1,3−プロパンジスルホン酸などの、置換基を有していても良い脂肪族ジスルホン酸;
ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ヨードベンゼンスルホン酸、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸、4−(2−ブロモエチル)ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、p−キシレン−2−スルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−ニトロベンゼンスルホン酸、4−ニトロベンゼンスルホン酸、2,5−ジニトロベンゼンスルホン酸、ピクリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、3−スルホ安息香酸、3−スルホフタル酸、4−スルホフタル酸、1−(4’−スルホフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’−クロロ−5’−スルホフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,5−ジクロロ−4−スルホフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロンなどの、置換基を有していても良い芳香族モノスルホン酸;
1,5−ナフタレンジスルホン酸、4,4’−ビフェニルジスルホン酸などの、置換基を有していても良い芳香族ジスルホン酸、等が挙げられる。
これらのうち、スルホン酸化合物の分散性に優れ、反応中の酸強度を制御しやすく、結果効率よくビスフェノール化合物が得られる点で、モノスルホン酸であることが好ましく、なかでも効率よく目的のビスフェノール化合物を製造することができる点から、芳香族モノスルホン酸であることが特に好ましい。具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、カンファースルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などが好ましく、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸がさらに好ましく、p−トルエンスルホン酸が特に好ましい。
ここで、Rの炭素数が20を超えるスルホン酸化合物、もしくはnが3以上のスルホン酸化合物を用いることは、該スルホン酸化合物の入手性が悪く、なおかつ取り扱いや精製工程での除去に問題が生じることがあり好ましくない。
なお、上記のスルホン酸化合物は、単独で用いても、二種以上を混合して用いても良い。
本発明のビスフェノール化合物を製造する際に用いるスルホン酸化合物の量は、本発明のビスフェノール化合物の製造方法の目的を損なわない範囲であれば特に規定されないが、反応に供するモノフェノール化合物1モルに対するスルホン酸化合物の使用量は、通常0.001モル以上であり、好ましくは0.005モル以上であり、より好ましくは0.01モル以上である。スルホン酸化合物の使用量を上記下限値以上とすることで、本発明のビスフェノール化合物を短時間で効率良く製造でき、着色の少ないビスフェノール化合物が得られる傾向にあり、好ましい。また、モノフェノール化合物1モルに対するスルホン酸化合物の使用量は通常10モル以下であり、好ましくは5モル以下であり、より好ましくは1モル以下である。スルホン酸化合物の使用量が上記上限値以下であることで、本発明のビスフェノール化合物の製造の際、副生成物の量を低減でき、製造効率の向上、過度の酸による着色物質の生成量の低減、使用後のスルホン酸化合物の分離工程の負荷の低減を図ることができる傾向にあるため好ましい。
[第三成分]
本発明のビスフェノール化合物を製造する際には、縮合反応を活性化するなどの目的で反応系が第三成分を含んでいても良い。この第三成分としては、具体的には、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムハイドロサルフェート、テトラブチルアンモニウムクロリドなどの四級アンモニウム塩;エタンチオール、ブタンチオール、オクタンチオール、ドデカンチオール、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトエタノール、2−アミノエタンチオール、チオ乳酸エチル、チオ酪酸、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプト酢酸)、1,4−ブタンジオールビス(チオグリコール酸)、2−エチルヘキシル(チオグリコール酸)などの含硫黄化合物などが挙げられる。これらのうち、含硫黄化合物を第三成分として用いることが本発明のビスフェノール化合物の製造が容易となる点で好ましい。一方、これら第三成分を含まないことが、本発明のビスフェノール化合物から第三成分由来の副生物を除去する工程が不要となり精製工程が簡略化される点で好ましい。
本発明のビスフェノール化合物を製造する際に用いる第三成分の量は、本発明のビスフェノール化合物を効率良く製造できれば特に規定されないが、反応に供するアルデヒド類に対する第三成分の量は、通常0.001モル倍以上であり、好ましくは0.005モル倍以上であり、特に好ましくは0.01モル倍以上である。第三成分の量が上記下限値以上であることで、目的のビスフェノール化合物を高選択的に効率良く製造できる傾向にあり、好ましい。また、反応に供するアルデヒド類に対する第三成分の量は、通常1モル倍以下であり、好ましくは0.5モル倍以下であり、特に好ましくは0.2モル倍以下である。第三成分の量が上記上限値以下であることで、本発明のビスフェノール化合物製造の際、使用後の第三成分を分離する工程の負荷が低減する傾向にあり、また本発明のビスフェノール化合物を原料とし得られる樹脂の色調が良好になるため好ましい。
[溶媒]
本発明のビスフェノール化合物を製造する際は、溶媒を用いて反応しても良い。溶媒の具体例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、石油エーテルなどの炭素数5〜18の直鎖状炭化水素溶媒;イソオクタンなどの炭素数5〜18の分岐鎖状炭化水素溶媒;シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサンなどの炭素数5〜18の環状炭化水素溶媒;水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール溶媒;アセトニトリルなどのニトリル溶媒;ジブチルエーテルなどのエーテル溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫黄溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの含塩素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒などが挙げられる。なお、これらの溶媒を用いることが、反応時における原料の固化抑止や内部発熱による予期せぬ副反応を抑止するなど、反応の操作性を向上できる点で好ましい。一方、これらの溶媒を用いないことが、本発明のビスフェノール化合物と溶媒との分離が不要となり本発明のビスフェノール化合物の精製工程を簡略化できる点で好ましい。
本発明のビスフェノール化合物を製造する際に用いる溶媒の量は、本発明のビスフェノール化合物を効率良く製造できれば特に規定されないが、反応に供するアルデヒド類に対する溶媒の量は、通常0.1重量倍以上であり、好ましくは0.2重量倍以上であり、特に好ましくは0.5重量倍以上である。溶媒の量が上記下限値以上であることで、本発明のビスフェノール化合物の製造時に溶媒の効果をより効率的に発揮できる傾向にあり、好ましい。また、反応に供するアルデヒド類に対する溶媒の量は、通常20重量倍以下であり、好ましくは10重量倍以下であり、特に好ましくは5重量倍以下である。溶媒の量が上記上限値以下であることで、本発明のビスフェノール化合物を効率良く製造できる傾向にあり、好ましい。
[反応温度]
本発明のビスフェノール化合物を製造する際の反応温度は通常0℃以上であり、好ましくは15℃以上であり、特に好ましくは30℃以上である。反応温度が上記下限値以上であることで反応混合物の固化を防止しやすくなる傾向にあり、好ましい。一方、反応温度は通常150℃以下、好ましくは120℃以下、特に好ましくは90℃以下である。反応温度が上記上限値以下であることで、本発明のビスフェノール化合物を効率的に製造できる傾向にあり、好ましい。
[精製]
<スルホン酸化合物の除去工程>
本発明のビスフェノール化合物を製造する工程は、スルホン酸化合物の存在下でのアルデヒド類とモノフェノール化合物との反応により得られる本発明のビスフェノール化合物を含む反応混合物から、用いたスルホン酸化合物を除去する工程を含んでいても良い。該除去工程の具体例としては、塩基による中和工程、溶媒に溶解させることによる除去工程、ろ過による除去工程等が挙げられる。これらのうち、塩基による中和工程を含むことが、効率良くスルホン酸化合物を除去することができる傾向にあり、好ましい。なお、これら除去工程は単独でも、組み合わせて用いても良い。
塩基による中和工程に用いられる塩基の具体例としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド等のアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子を有する無機塩基;クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、コハク酸カルシウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子を有する有機塩基;ピリジン、アニリン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、モルホリン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、ジアザビシクロウンデセンなどの含窒素化合物等が挙げられる。これらのうち、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水素化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム等のアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子を有する塩基を用いることが、中和塩の除去が容易となる点で好ましい。また、これら塩基は単独でも、二種以上を組み合わせて用いても良い。
中和工程では、反応混合物の酸性度を調整する目的で第二成分を添加しても良い。その具体例としては、酢酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸などの有機酸;リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、塩化アンモニウム、クエン酸一ナトリウム、クエン酸三ナトリウムなどの酸素以外のヘテロ原子を含む有機塩および無機塩などが挙げられる。第二成分の種類および量は、反応工程に用いられるスルホン酸化合物および中和工程に用いられる塩基の種類および量、および中和後の反応混合物の酸性度目標値に応じて種々選択される。
中和工程後の反応混合物は弱酸性もしくは弱塩基性であることが本発明のビスフェノール化合物の安定性が向上する傾向にあり、好ましい。なお、反応混合物が弱酸性もしくは弱塩基性であるとは、反応混合物中に水を加えて水とそれ以外の成分の重量比を1:3に調整した際に、水層のpHが通常2以上、好ましくは3以上、特に好ましくは4以上であって、通常11以下、好ましくは10以下、特に好ましくは9以下であることを言う。水層のpHが上記範囲内であることで、本発明のビスフェノール化合物の安定性が向上する傾向にあり、好ましい。
溶媒に溶解させることによる除去工程に用いられる溶媒の具体例としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、N−メチルピロリドンなどの有機溶媒等が挙げられる。これらのうち、水を用いることが精製工程を簡略化できる点で好ましい。
ろ過による除去工程で用いられるろ過剤としては、活性炭、シリカゲル、活性白土、珪藻土などの粉状、破砕状もしくは球状等ののろ過剤;ろ紙、ろ布、糸巻きフィルタ等の繊維状もしくは布状等に成形されたろ過剤等が挙げられる。これらろ過剤は、使用する酸触媒の性状や、酸触媒の再利用の可能性有無等を踏まえて、種々選択される。
<濃縮工程>
本発明のビスフェノール化合物の製造方法は、本発明のビスフェノール化合物を含む反応混合物から、溶媒や未反応の原料などの低沸点成分を濃縮により除去する工程(以下、濃縮工程と呼称する場合がある。)を含んでいても良い。本工程を実施することで、後述の析出工程における本発明のビスフェノール化合物の取り出し効率が向上する傾向にある。濃縮工程は通常加熱減圧条件で実施する。加熱温度は40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがさらに好ましく、80℃以上で実施することが特に好ましい。また、通常200℃以下であり、180℃以下であることが好ましく、160℃以下であることが特に好ましい。加熱温度が上記温度の範囲内であることで、効率良く濃縮工程を実施でき、かつ本発明のビスフェノール化合物の分解を抑制できる傾向にある。なお、本濃縮工程における加熱温度とは、加熱に用いる熱媒の温度を指す。減圧度は通常760Torr未満であり、200Torr以下であることが好ましく、100Torr以下であることがさらに好ましく、50Torr以下であることが特に好ましい。減圧度が上記上限値以下であることで、効率良く濃縮工程を実施できる傾向にある。一方、減圧度の下限値は特に規定されないが、広く一般的に使用されている減圧機器を使用できる観点から通常0.1Torr以上であり、好ましくは1Torr以上であり、さらに好ましくは10Torr以上であり、特に好ましくは20Torr以上である。
<粗精製工程>
本発明のビスフェノール化合物を製造する際、通常、前述のアルデヒド類とモノフェノール化合物との反応、その後のスルホン酸化合物の除去工程、或いはスルホン酸化合物の除去工程及び濃縮工程を経て得られる反応混合物は、本発明のビスフェノール化合物を主成分とする混合物となる。本発明のビスフェノール化合物の製造方法では、後述の析出工程に先立ち、この本発明のビスフェノール化合物を主成分とする反応混合物から本発明のビスフェノール化合物以外の成分を粗取りする粗精製工程を含むことが好ましい。
この粗精製工程は、好ましくは、反応混合物から抽出溶媒で本発明のビスフェノール化合物を抽出した後、本発明のビスフェノール化合物を含む抽剤層を水で洗浄し、その後、この抽剤層から減圧下で抽出溶媒を除去することにより行われる。
この抽出に用いる抽出溶媒としては、本発明のビスフェノール化合物の良溶媒であればよく、特に制限はないが、その具体例としては、本発明のビスフェノール化合物を製造する際に用いることができる溶媒のうち、水を除いたもの等が挙げられる。これらのうち、エーテル溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒、含塩素溶媒、芳香族炭化水素溶媒から選ばれる溶媒のいずれかを少なくとも含むことが、本発明のビスフェノール化合物の抽出が容易となる点で好ましく、エーテル溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒、含塩素溶媒、芳香族炭化水素溶媒のいずれかから選ばれる溶媒を少なくとも含むことがさらに好ましく、芳香族炭化水素溶媒から選ばれる溶媒を少なくとも含むことが特に好ましく、その中でもトルエンもしくはキシレンを含むことが好ましく、トルエンを含むことが最も好ましい。
これらの抽出は、単独で用いても良いし、二種以上を混合して用いても良い。
抽出溶媒は、反応混合物に対して0.1重量倍以上用いることが好ましく、0.5重量倍以上用いることがさらに好ましく、1重量倍以上用いることが特に好ましい。抽出溶媒の量が上記下限値以上であることで、効率良く本発明のビスフェノール化合物を抽出できる傾向にある。また、抽出溶媒は、反応混合物に対して20重量倍以下用いることが好ましく、10重量倍以下用いることがさらに好ましく、5重量倍以下用いることが特に好ましい。抽出溶媒の量が上記上限値以下であることで、本発明のビスフェノール化合物の製造効率が向上する傾向にある。
また、抽出により得られる本発明のビスフェノール化合物を含む抽剤層の水洗の際に用いる水の量は、抽剤層の全量に対して通常0.1重量倍以上であり、0.5重量倍以上であることが好ましく、1重量倍以上であることが特に好ましい。水量が上記下限値以上であることで粗精製工程における精製効率が向上する傾向にある。また、この水量は、抽剤層の全量に対して通常10重量倍以下であり、5重量倍以下であることが好ましく、3重量倍以下であることが特に好ましい。水量が上記上限値以下であることで、本発明のビスフェノール化合物の製造効率が向上する傾向にある。
抽剤層の水洗回数は、通常1〜20回程度であり、2〜10回であることが好ましく、3〜6回であることが特に好ましい。水洗回数が上記下限値以上であることで、粗精製工程における精製効率が向上する傾向にあり、上記上限値以下であることで、本発明のビスフェノール化合物の製造効率が向上する傾向にある。
上記水洗後に抽出溶媒を除去する際は、通常40〜200℃の温度で、760〜1Torrの減圧下に実施される。なお、前述の温度は使用する熱媒の温度を表す。
なお、本粗精製工程は、前述のスルホン酸化合物の除去工程や濃縮工程を兼ねて実施しても良い。
<析出工程>
本発明のビスフェノール化合物の製造方法は、本発明のビスフェノール化合物を含む反応混合物から本発明のビスフェノール化合物を、少なくとも1種の脂肪族炭化水素溶媒を含む溶媒から析出させる工程(以下、「析出工程」と呼称する場合がある。)を含むことが好ましい。
この析出工程は、通常、本発明のビスフェノール化合物を含む反応混合物と、脂肪族炭化水素溶媒を含む溶媒とを混合した後、温度を下げて静置することにより行うことができる。
析出工程に用いる脂肪族炭化水素溶媒の具体例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、石油エーテルなどの炭素数5〜18の直鎖状炭化水素溶媒;イソオクタンなどの炭素数5〜18の分岐鎖状炭化水素溶媒;シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサンなどの炭素数5〜18の環状炭化水素溶媒などが挙げられる。これらのうち、本発明のビスフェノール化合物から溶媒を除去することが容易となる点より、炭素数6〜10の炭化水素溶媒を用いることが好ましく、炭素数6〜8の炭化水素溶媒であることがより好ましい。また、これら炭化水素溶媒は、1種でも、2種以上を混合して用いても良い。
また、析出工程で用いる溶媒には、第二溶媒として脂肪族炭化水素溶媒以外の溶媒を含んでいても良い。その具体例としては、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール溶媒;アセトニトリルなどのニトリル溶媒;ジブチルエーテルなどのエーテル溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫黄溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの含塩素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒などが挙げられる。これらのうち、本発明のビスフェノール化合物を効率良く精製できる観点から、アルコール溶媒、芳香族炭化水素溶媒のいずれかを第二溶媒として含むことが好ましい。また、これら第二溶媒は、1種でも、2種以上を混合して用いても良い。
第二溶媒と、脂肪族炭化水素溶媒の混合比は、本発明のビスフェノール化合物の特性を損なわない限り特に制限はなく、適宜設定し用いれば良いが、全溶媒中の脂肪族炭化水素溶媒の構成比は、通常10〜99重量%である。全溶媒中の脂肪族炭化水素溶媒の構成比を上記上限値以下とすることで、副生物を効率的に除去しやすくなり好ましい。また、全溶媒中の脂肪族炭化水素溶媒の構成比を上記下限値以上とすることで、本発明のビスフェノール化合物が第二溶媒中に選択的に溶解し、除去されてしまうこと、すなわち収率が低下することを抑止できるため、好ましい。このような観点より、全溶媒中の脂肪族炭化水素溶媒の構成比は、20〜98重量%であることがより好ましく、25〜97重量%であることがさらに好ましく、30〜96重量%であることが特に好ましい。
本発明のビスフェノール化合物を含む反応混合物と、上述の溶媒との混合比は、効率良く本発明のビスフェノール化合物を析出させることができれば特に規定されないが、通常本発明のビスフェノール化合物を含む反応混合物に対して全溶媒の重量比が好ましくは0.2倍以上であり、さらに好ましくは0.5倍以上であり、特に好ましくは1倍以上である。一方、本発明のビスフェノール化合物を含む反応混合物に対して全溶媒の重量比は、好ましくは100倍以下であり、さらに好ましくは50倍以下であり、特に好ましくは10倍以下である。全溶媒の重量比が上記下限値以上であることで、本発明のビスフェノール化合物を含む反応混合物から本発明のビスフェノール化合物を優先的に析出させやすくなる傾向にあり、一方上記上限値以下であることで本発明のビスフェノール化合物の製造効率が向上する傾向にあり、好ましい。
本発明のビスフェノール化合物を含む反応混合物と上記の少なくとも1種の脂肪族炭化水素溶媒と第二溶媒を含む溶媒とを混合する際、脂肪族炭化水素溶媒と第二溶媒はそれぞれ別々に添加しても、予め混合した状態で反応混合物と混合しても良い。なお、本発明のビスフェノール化合物の製造効率を向上させる観点から、これらの溶媒は予め混合しておくことが好ましい。
本発明のビスフェノール化合物を含む反応混合物と上記の少なくとも1種の脂肪族炭化水素溶媒を含む溶媒を混合する際の温度は、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、特に好ましくは40℃以下であり、通常溶媒の沸点以下、好ましくは(溶媒の沸点−5)℃以下、特に好ましくは(溶媒の沸点−10)℃以下である。混合時の温度が上記下限値以上で上記上限値以下であることで、本発明のビスフェノール化合物を効率良く溶解させることが可能となり、好ましい。ここで、溶媒を二種以上混合して用いる場合、上記の溶媒の沸点は、混合後の溶媒の沸点を表す。
混合後、本発明のビスフェノール化合物を析出させる析出工程の温度は、本発明のビスフェノール化合物の特性を損なわない限り特に制限はなく、適宜設定することが可能であるが、通常−20℃以上であり、−10℃以上であることが好ましく、0℃以上であることが特に好ましい。一方、この温度は通常70℃以下であり、65℃以下であることが好ましく、60℃以下であることが特に好ましい。析出工程の温度が上記範囲内であることで、本発明のビスフェノール化合物を効率良く精製できる傾向にあり、好ましい。
上記析出工程では、本発明のビスフェノール化合物の析出効率を向上させるために本発明のビスフェノール化合物の種晶を添加しても良い。種晶の量は、本発明のビスフェノール化合物の製造効率を向上させる点から、本発明のビスフェノール化合物を含む反応混合物に対して重量比で通常0.0001〜10%であり、0.0005〜5%であることが好ましく、0.001〜1%であることが特に好ましい。
上記析出工程で本発明のビスフェノール化合物を析出させた後は、ろ過、遠心分離、デカンテーション等より固液分離することで、用いた溶媒からの本発明のビスフェノール化合物の粉体を回収する。
上記析出工程の回数は本発明のビスフェノール化合物の精製度合いに応じて種々選択されるが、精製処理を簡略化できる点から、通常3回以下であることが好ましく、2回以下であることがより好ましく、1回であることが特に好ましい。
<洗浄工程>
上記析出工程後の本発明のビスフェノール化合物の粉体を、さらに表面洗浄の目的で溶媒を用いて洗浄しても良い。この洗浄工程に使用される溶媒の具体例は、上記脂肪族炭化水素溶媒および第二成分として挙げられた溶媒が挙げられる。本洗浄処理の温度は、通常−20℃以上、好ましくは−10℃以上、特に好ましくは0℃以上であり、通常70℃以下、好ましくは60℃以下、特に好ましくは50℃以下である。洗浄温度が上記範囲内であることで、洗浄用の溶媒に本発明のビスフェノール化合物を過剰に溶解させることを抑制できる傾向にあり、好ましい。
<脱溶媒処理>
上記析出工程および洗浄を経て得られた本発明のビスフェノール化合物の粉体を、さらに加熱、減圧、風乾などにより脱溶媒処理を行い、実質的に溶媒を含まない本発明のビスフェノール化合物を得ても良い。ここで、脱溶媒処理の際の温度は、脱溶媒処理を円滑に進行させるために通常20℃以上であり、40℃以上であることが好ましい。なお、温度の上限は通常本発明のビスフェノール化合物の融点以下であり、75℃以下であることが好ましく、72℃以下であることが特に好ましい。
[用途]
本発明のビスフェノール化合物は、光学材料、記録材料、絶縁材料、透明材料、電子材料、接着材料、耐熱材料など種々の用途に用いられるポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂など種々の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリベンゾオキサジン樹脂、シアネート樹脂など種々の熱硬化性樹脂などの構成成分、添加剤もしくはそれらの前駆体などに用いることができる。また、本発明のビスフェノール化合物は、pH調整剤、界面活性剤等にも使用することができるが、なかでもポリカーボネート樹脂原料として用いることが、本発明の効果を最も有効に得ることができることから、好ましい。
〔ポリカーボネート樹脂の製造方法〕
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法は、本発明のビスフェノール化合物を原料として用いることを特徴とする。
[ポリカーボネート樹脂]
以下に、本発明のビスフェノール化合物を用いて製造されるポリカーボネート樹脂(以下、「本発明のポリカーボネート樹脂」と呼称する場合がある。)について説明する。
なお、本発明のポリカーボネート樹脂は、後述の通り、ポリエステルカーボネートを包含する広義のポリカーボネート樹脂を意味する。
<ポリカーボネート樹脂の構造単位>
本発明のポリカーボネート樹脂は、本発明のビスフェノール化合物を用いて製造されたものであり、このビスフェノール化合物に由来して、下記式(4)で表されるカーボネート構造単位(以下、「構造単位(4)」と呼称する場合がある。)を少なくとも含む。
Figure 2018203654
式(4)中、R、R、Rおよびa、bは式(1)におけると同義である。
本発明のポリカーボネート樹脂は、上記構造単位(4)のみからなるものであってもよく、構造単位(4)と、本発明のビスフェノール化合物以外の他のジヒドロキシ化合物に由来するカーボネート構造単位(以下、「他の構造単位」と呼称する場合がある。)とを含んでいても良い。また、他の構造単位は1種類のみであっても、複数種であっても良い。なお、ジヒドロキシ化合物とは、分子内に2つのヒドロキシ基を含む化合物であり、本発明のビスフェノール化合物も含む。
他の構造単位の具体例としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ビス(ヒドロキシピバルアルデヒド)ペンタエリトリトールアセタール環状アセタール、イソソルバイドなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物に由来するカーボネート構造単位;ビスフェノールA、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、、ビスフェノールS、レゾルシノールなどの芳香族ジヒドロキシ化合物に由来するカーボネート構造単位などが挙げられる。その他、例えば「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、初版)21〜31頁に記載のカーボネート構造単位も好適に用いることができる。これらのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来するカーボネート構造単位を含むことが、ポリカーボネート樹脂の耐熱性、強度、湿熱安定性、熱安定性に優れる点で好ましく、ビスフェノールAに由来する構造単位を含むことが特に好ましい。また、ポリカーボネート樹脂中における各構造単位はランダム状であっても、ブロック状であっても良い。
本発明のポリカーボネート樹脂に含まれる構造単位(4)と、他の構造単位の比率は特に規定されないが、通常、構造単位(4)がポリカーボネート樹脂中の全カーボネート構造単位に対し1モル%以上99モル%以下であり、3モル%以上70モル%以下であることが好ましく、5モル%以上50モル%以下であることが特に好ましい。構造単位(4)が上記範囲内であることにより、構造単位(4)に由来する種々の特性を発揮させつつ、他の構造単位の特徴も付与することができるため、好ましい。
<ポリカーボネート樹脂の分子量>
本発明のポリカーボネート樹脂の分子量は、溶液粘度から換算した粘度平均分子量(Mv)で、5,000〜80,000であることが好ましい。ポリカーボネート樹脂の分子量が上記範囲内であることで、構造単位(4)によるポリカーボネート樹脂への効果をより発揮できる傾向にあり、好ましい。またこのような観点より、本発明のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、好ましくは9,000以上、より好ましくは10,000以上、さらに好ましくは11,500以上であり、また好ましくは30,000以下、より好ましくは28,000以下、さらに好ましくは25,000以下である。
なお、本発明のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量を上記範囲に制御する際には、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を用いて混合し、本発明のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)を制御しても良い。
ここで、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、溶媒として塩化メチレンを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での固有粘度(極限粘度)[η](単位dL/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83、から算出される値を意味する。また固有粘度(極限粘度)[η]とは、各溶液濃度[C](g/dL)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 2018203654
<ポリカーボネート樹脂の末端水酸基量>
本発明のポリカーボネート樹脂の末端水酸基量は、本発明のポリカーボネート樹脂の優れた諸物性を損なわない範囲であれば特に制限はないが、通常10〜5,000ppmであり、好ましくは20ppm以上、より好ましくは50ppm以上、さらに好ましくは100ppm以上で、一方で、好ましくは3,000ppm以下、より好ましくは2,000ppm以下、さらに好ましくは1,500ppm以下である。末端水酸基量が、上記範囲の下限値以上であれば、本発明のポリカーボネート樹脂、及びこれを用いたポリカーボネート樹脂組成物の色相、生産性をより向上させることができ、また上記範囲の上限値以下であれば、本発明のポリカーボネート樹脂、及びこれを用いたポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性、湿熱安定性をより向上させることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂の末端水酸基量は、公知の任意の方法によって上記範囲に調整することができる。例えば、本発明のポリカーボネート樹脂をエステル交換反応によって重縮合して製造する場合は、カーボネートエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率;エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を上記範囲に調整することができる。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、本発明のポリカーボネート樹脂を界面重合法にて製造する場合には、分子量調整剤(末端停止剤)の配合量を調整することにより、末端水酸基量を任意に調整することができる。
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の質量に対する、末端水酸基の質量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。複数のジヒドロキシ化合物から由来するカーボネート構造単位よりなるポリカーボネート樹脂においては、対応するジヒドロキシ化合物を共重合比率に応じて混合したサンプルを最低3水準の濃度で用意し、該3点以上のデータから検量線を引いた上で共重合ポリカーボネート樹脂の末端水酸基量を測定する。また、検出波長は546nmとする。
[ポリカーボネート樹脂の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂は、本発明のビスフェノール化合物および必要に応じて用いられるその他のジヒドロキシ化合物と、カーボネート形成性化合物とを重縮合することによって得られる。ここで、その他のジヒドロキシ化合物の具体例としては、前述のその他の構造単位を形成するためのジヒドロキシ化合物を挙げることができる。
カーボネート形成性化合物の例としては、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート形成性化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には、下記式(5)で表される化合物であればよく、アリールカーボネート類、ジアルキルカーボネート類やジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
Figure 2018203654
式(5)中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜30のアルキル基またはアリール基、アリールアルキル基を表す。以下、R及びRが、アルキル基、アリールアルキル基のときジアルキルカーボネートと称し、アリール基のときジアリールカーボネートと称すことがある。なかでもジヒドロキシ化合物との反応性の観点より、R及びRは、共にアリール基であることが好ましく、カーボネートエステルは、下記式(6)で表されるジアリールカーボネートであることがより好ましい。
Figure 2018203654
式(6)中、R及びRは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、p及びqはそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。
カーボネートエステルとしては、具体的にはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ビス(4−メチルフェニル)カーボネート、ビス(4−クロロフェニル)カーボネート、ビス(4−フルオロフェニル)カーボネート、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4−ジフルオロフェニル)カーボネート、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(2−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(メチルサリチルフェニル)カーボネート、ジトリルカーボネート等の(置換)ジアリールカーボネートが挙げられるが、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
なお、これらのカーボネートエステルは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、前記のカーボネートエステルは、好ましくはその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換しても良い。置換し得る代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
本発明のポリカーボネート樹脂は、従来から知られている重合法により製造することができ、その重合法としては、特に限定されるものではない。重合法の例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができるが、なかでも界面重合法、溶融エステル交換法が好ましく、溶融エステル交換法が特に好ましい。以下、これらの方法のうち特に好適なものについて具体的に説明する。
<界面重合法>
まず、本発明のポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。
界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、原料のジヒドロキシ化合物とカーボネート形成性化合物(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしても良い。
原料のジヒドロキシ化合物及びカーボネート形成性化合物は、前述のとおりである。なお、カーボネート形成性化合物の中でもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられる。中でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限は無いが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10〜12にコントロールするために、5〜10重量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10〜12、好ましくは10〜11になる様にコントロールするために、原料のジヒドロキシ化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、中でも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、中でも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’−ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’−ジメチルアニリン、N,N’−ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;ピリジン;グアニン;グアニジンの塩;等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
分子量調節剤としては、特に限定されないが、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する芳香族フェノール;メタノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール;メルカプタン;フタル酸イミド等が挙げられるが、中でも芳香族フェノールが好ましい。このような芳香族フェノールとしては、具体的には例えば、フェノール、o−n−ブチルフェノール、m−n−ブチルフェノール、p−n−ブチルフェノール、o−イソブチルフェノール、m−イソブチルフェノール、p−イソブチルフェノール、o−t−ブチルフェノール、m−t−ブチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、o−n−ペンチルフェノール、m−n−ペンチルフェノール、p−n−ペンチルフェノール、o−n−ヘキシルフェノール、m−n−ヘキシルフェノール、p−n−ヘキシルフェノール、p−t−オクチルフェノール、o−シクロヘキシルフェノール、m−シクロヘキシルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、o−n−ノニルフェノール、m−n−ノニルフェノール、p−n−ノニルフェノール、o−クミルフェノール、m−クミルフェノール、p−クミルフェノール、o−ナフチルフェノール、m−ナフチルフェノール、p−ナフチルフェノール;2,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,4−ジ−t−ブチルフェノール;3,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,5−ジクミルフェノール;3,5−ジクミルフェノール;p−クレゾール、ブロモフェノール、トリブロモフェノール、平均炭素数12〜35の直鎖状又は分岐状のアルキル基をオルト位、メタ位又はパラ位に有するモノアルキルフェノール;9−(4−ヒドロキシフェニル)−9−(4−メトキシフェニル)フルオレン;9−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−9−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン;4−(1−アダマンチル)フェノールなどが挙げられる。これらのなかでは、p−t−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール及びp−クミルフェノールが好ましく用いられる。なお、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
分子量調節剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、原料のジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。分子量調整剤の使用量をこの範囲とすることで、芳香族ポリカーボネート樹脂の熱安定性及び耐加水分解性を向上させることができる。
反応の際に、反応基質(反応原料)、反応媒(有機溶媒)、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すれば良い。例えば、カーボネート形成性化合物としてホスゲンを用いた場合には、分子量調節剤は原料のジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。
なお、反応温度は、特に限定されないが、通常0〜40℃であり、反応時間は、特に限定されないが、通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば6時間)である。
<溶融エステル交換法>
次に、本発明のポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。
溶融エステル交換法では、例えば、カーボネートエステルと原料のジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。原料のジヒドロキシ化合物、及びカーボネートエステルは、上述の通りである。
原料のジヒドロキシ化合物とカーボネートエステル(カーボネートエステルの一部を前記のジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換した場合は、これらを含む。以下同じ。)との比率は所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、これらカーボネートエステルは、ジヒドロキシ化合物と重合させる際に、原料のジヒドロキシ化合物に対して過剰に用いることが好ましい。すなわち、カーボネートエステルの使用量は、ジヒドロキシ化合物に対して1.01〜1.30倍量(モル比)であることが好ましく、1.02〜1.20倍量(モル比)であることがより好ましい。このモル比が小さすぎると、得られるポリカーボネート樹脂の末端水酸基が多くなり、樹脂の熱安定性が悪化する傾向となる。また、このモル比が大きすぎると、エステル交換の反応速度が低下し、所望の分子量を有するポリカーボネート樹脂の生産が困難となったり、樹脂中のカーボネートエステルの残存量が多くなり、成形加工時や成形品としたときの臭気の原因となる場合がある。
溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は、特に限定されず、従来から公知のものを使用できる。エステル交換触媒としては、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用しても良い。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融エステル交換法において、反応温度は、特に限定されないが、通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は、特に限定されないが、通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えば良い。
反応形式は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すれば良い。ただし中でも、ポリカーボネート樹脂の安定性等を考慮すると、溶融エステル交換反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いても良い。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体、リン含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
触媒失活剤の使用量は、特に限定されないが、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは8当量以下である。さらには、得られるポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは50ppm以下である。
本発明のビスフェノール化合物は、重合活性及びその安定性に優れることから、上記界面重合法、溶融エステル交換法いずれにおいても、良品質のポリカーボネート樹脂を安定的に生産できるため、好適に用いることができる。なお、これらポリカーボネート樹脂の製造方法のうち、溶融エステル交換法を用いることが、本発明のビスフェノール化合物の重合安定性の利点を有効に発揮することができ、生産性が高いため好ましい。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例における各種分析方法は以下の通りである。
<高速液体クロマトグラフ(HPLC)分析>
サンプル20mgを100mlのアセトニトリルに溶解させた後、うち5μlに対して、アセトニトリル/0.1重量%酢酸アンモニウム水溶液の混合液を溶離液として用い、下記の条件にて測定および解析した。LC純度は、254nmにおける面積比として得た。反応選択率、および単離収率は、標準品を用いて予め作成した検量線による絶対検量線法にて求め、原料アルデヒドに対するモル%として得た。
(測定条件)
コントローラ:島津製作所社製SCL−10AVP
カラム:ジーエルサイエンス社製inertsil ODS3V(4.6×150mm、5μm)
カラムオーブン:島津製作所社製CTO−10AVP、40℃
ポンプ:島津製作所社製LC−10ADVP、流速1.0ml/分
溶離条件:K1=アセトニトリル、K2=0.1重量%酢酸アンモニウム水溶液
K1/K2=60/40(0−5分)
K1/K2=60/40→95/5(線形に濃度変化、5−30分)
K1/K2=95/5(30−80分)
(比率は体積比)
検出器:島津製作所社製SPD−10AVP UV254nm
(解析条件)
ソフトウェア:島津製作所社製LC−solution ver.1.22SP1
設定:Width=5、Slope=200、Drift=0、T.DBL=1000、Min.Area=500
<含Na分析>
サンプル200mgを硫酸、硝酸、過酸化水素水を用いて湿式分解し、原子吸光光度計により測定した。測定条件は以下の通りとした。定量下限は1ppmであり、定量下限未満の場合は<1ppmと表記した。
(測定条件)
装置:アジレント・テクノロジー社製 原子吸光光度計 SpectrAA−220
<含S、Cl分析>
サンプル300mgをArガスキャリア内で熱分解後、Oガスを添加して燃焼させ、燃焼ガスを吸収液で捕集する前処理を行った後、この吸収液をイオンクロマトグラフにより測定した。前処理条件及び測定条件は以下の通りとした。定量下限は0.5ppmであり、定量下限未満の場合は<0.5ppmと表記した。
(前処理条件)
装置:三菱化学アナリテック社製 自動試料燃焼装置/マクロシステム AQF−2100M
吸収液:アルカリ溶液と過酸化水素水溶液の混合液
(測定条件)
装置:サーモフィッシャーサイエンティフィク社製イオンクロマトグラフ Dionex ICS―1600
カラム:サーモフィッシャーサイエンティフィク社製
Dionex IonPac AG12A/AS12A IC カラム
溶離液組成:2.7mM炭酸ナトリウム−0.3mM炭酸水素ナトリウム
[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン(化合物I)の合成およびそれを用いたポリカーボネート樹脂の製造]
<実施例1>
フェノール(237g)を40℃に加温して融解させた後、トルエンスルホン酸一水和物(19.0g)を加えた。そこへ、ドデカナール(92.0g)を、内温43±3℃を保ちながら4時間かけて滴下した。滴下後、40℃で1時間熟成した後、得られた反応液に20重量%水酸化ナトリウム水溶液(18.0g)および20重量%クエン酸三ナトリウム水溶液(12.9g)を加えて反応を停止させた。該反応液中の化合物Iの選択率を測定したところ、49.7%であった。
反応液をトルエン(405g)で抽出し、水(230g)で6回洗浄した。その後、トルエン、フェノールおよび水を減圧留去した。得られた残渣(190g)中のNa量、Cl量およびS量を測定したところ、それぞれ<1ppm、<0.5ppm、<0.5ppmであった。
該残渣にトルエン(330g)およびヘプタン(330g)を加え、内温70℃に加温して溶解させた。その後、10℃/時間の速度で内温5℃まで降温させて粉体析出を完了させた。得られた粉体をろ過した後、70℃で1時間減圧(20Torr)乾燥させ粗結晶を得た。得られた粗結晶(64.0g)にトルエン(368g)およびヘプタン(184g)の混合液を加え、内温15℃で1時間撹拌した。得られた混合液をろ過し、ヘプタン(27.6g)を用いて15℃で3回ふりかけ洗浄した後、60℃で48時間減圧(20Torr)乾燥して化合物Iの白色固体(52.6g)を得た。このもののHPLC純度は99.2%であり、Na量、Cl量およびS量を測定したところ、それぞれ<1ppm、<0.5ppm、<0.5ppmであった。
得られた化合物Iの1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカンを用い、次の工程(1)〜工程(3)に従い、溶融エステル交換法にてポリカーボネート樹脂を製造した。
(工程1)
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン32.64g、ビスフェノールA(三菱化学社製)84.07g、ジフェニルカーボネート(三菱化学社製)105.02gを反応器加熱装置、反応器圧力調整装置を付帯した内容量150mLのガラス製反応器に投入し、さらに触媒として炭酸セシウム2重量%水溶液を、炭酸セシウムが全ジヒドロキシ化合物1モル当たり0.5マイクロモルとなるように添加し、原料混合物を調製した。次に、ガラス製反応器内を約100Pa(0.75Torr)に減圧し、続いて、窒素で大気圧に復圧する操作を3回繰り返し、反応器の内部を窒素置換した。窒素置換後、反応器外部温度を220℃にし、反応器の内温を徐々に昇温させ、混合物を溶解させた。
(工程2)
次に、100rpmで撹拌機を回転させ、反応器の内部で行われるジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートのオリゴマー化反応により副生するフェノールを留去しながら、40分間かけて反応器内の圧力を絶対圧で101.3kPa(760Torr)から13.3kPa(100Torr)まで減圧した。
続いて、反応器内の圧力を13.3kPaに保持し、フェノールをさらに留去させながら、80分間、エステル交換反応を行った。
(工程3)
その後、反応器外部温度を260℃に昇温すると共に、40分間かけて反応器内圧力を絶対圧で13.3kPa(100Torr)から399Pa(3Torr)まで減圧し、留出するフェノールを系外に除去した。その後、さらに反応器外部温度を255℃まで昇温、反応器内の絶対圧を30Pa(約0.2Torr)まで減圧、攪拌機の回転速度を30rpmに減速し、重縮合反応を行った。次いで、反応器の攪拌機が予め定めた所定の攪拌動力となったときに、重縮合反応を終了した。
このように溶融エステル交換法による重合を行ったところ、問題なく重合させることができ、工程(3)での重合時間190分で重合が終了し、粘度平均分子量(Mv)14,700のポリカーボネート樹脂が得られた。
<実施例2>
フェノール(225kg)を40℃に加温して融解させた後、トルエンスルホン酸一水和物(18.1kg)を加えた。そこへ、ドデカナール(87.4kg)を、内温43±3℃を保ちながら4時間かけて滴下した。滴下後、40℃で1時間熟成した後、得られた反応液に20重量%水酸化ナトリウム水溶液(17.1kg)および20重量%クエン酸三ナトリウム水溶液(12.3kg)を加えて反応を停止させた。該反応液中の化合物Iの選択率を測定したところ、48.6%であった。
反応液をトルエン(385kg)で抽出し、水(219kg)で6回洗浄した。その後、トルエン、フェノールおよび水を減圧留去した。得られた残渣(179kg)中のNa、S、およびCl量を測定したところ、それぞれ<1ppm、<0.5ppm、<0.5ppmであった。
該残渣にトルエン(313kg)およびヘプタン(313kg)を加え、内温70℃に加温して溶解させた。その後、10℃/時間の速度で内温5℃まで降温させて粉体析出を完了させた。得られた粉体をろ過した後、70℃で24時間減圧(20Torr)乾燥させ粗結晶を得た。得られた粗結晶(60.0kg)にトルエン(350kg)およびヘプタン(175kg)の混合液を加え、内温15℃で1時間撹拌した。得られた混合液をろ過し、ヘプタン(26.2kg)を用いて15℃で3回ふりかけ洗浄した後、60℃で72時間減圧(20Torr)乾燥して化合物Iの白色固体(53.6kg)を得た。このもののHPLC純度は99.5%であり、Na量、Cl量およびS量を測定したところ、それぞれ<1ppm、<0.5ppm、<0.5ppmであった。
得られた化合物Iの1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカンを用い、実施例1と同様に溶融エステル交換法にて重合を実施したところ、問題なく重合させることができ、工程(3)での重合時間180分で重合が終了し、粘度平均分子量(Mv)14,600のポリカーボネート樹脂が得られた。
<実施例3>
トルエンスルホン酸一水和物の代わりにメタンスルホン酸(14.4g)を用い、反応を停止させる際に20重量%水酸化ナトリウム水溶液(27.0g)および20重量%クエン酸三ナトリウム水溶液(12.9g)を用いた以外は実施例1と同様の条件で反応した。反応液中の化合物Iの選択率を測定したところ47.5%であった。
その後、実施例1と同様の方法で抽出、水洗し、溶媒留去して残渣(186g)を得た。得られた残渣のNa、Cl量およびS量を測定したところ、それぞれ<1ppm、<0.5ppm、<0.5ppmであった。該残渣を実施例1と同様の方法で晶析、洗浄し、60℃で48時間乾燥させることで化合物Iの白色固体(50.9g)を得た。このもののHPLC純度は99.3%であり、Na量、Cl量およびS量を測定したところ、それぞれ<1ppm、<0.5ppm、<0.5ppmであった。
得られた化合物Iの1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカンを用い、実施例1と同様に溶融エステル交換法にて重合を実施したところ、問題なく重合させることができ、工程(3)での重合時間200分で重合が終了し、粘度平均分子量(Mv)14,500のポリカーボネート樹脂が得られた。
<比較例1>
トルエンスルホン酸一水和物の代わりに濃塩酸(3.15g)を用い、反応を停止させる際に20重量%クエン酸三ナトリウム水溶液(19.3g)を用いた以外は実施例1と同様の条件で反応を実施した。反応液中の化合物Iの選択率を測定したところ50.5%であった。
その後、実施例1と同様の方法で抽出、水洗し、溶媒留去して残渣(190g)を得た。得られた残渣のNa、Cl量、およびS量を測定したところ、それぞれ<1ppm、17ppm、<0.5ppmであった。該残渣を実施例1と同様の方法で晶析、洗浄し、60℃で48時間乾燥させることで化合物Iの白色固体(53.5g)を得た。このもののHPLC純度は99.5%であり、Na量、Cl量およびS量を測定したところ、それぞれ<1ppm、<0.5ppm、<0.5ppmであった。
得られた化合物Iの1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカンを用い、実施例1と同様に溶融エステル交換法にて重合を実施したところ、問題なく重合させることができ、工程(3)での重合時間195分で重合が終了し、粘度平均分子量(Mv)14,900のポリカーボネート樹脂が得られた。
<比較例2−1>
トルエンスルホン酸一水和物の代わりに濃塩酸(3.00kg)を用い、反応を停止させる際に20重量%クエン酸三ナトリウム水溶液(18.3kg)を用いた以外は実施例2と同様の条件で反応を実施した。反応液中の化合物Iの選択率を測定したところ49.8%であった。
その後、実施例1と同様の方法で抽出、水洗し、溶媒留去して残渣(183kg)を得た。得られた残渣のNa、およびCl量を測定したところ、それぞれ<1ppm、6ppm、<0.5ppmであった。該残渣を実施例1と同様の方法で晶析、洗浄し、60℃で48時間乾燥させることで化合物Iの白色固体(50.8kg)を得た。このもののHPLC純度は99.4%であり、Na量、Cl量およびS量を測定したところ、それぞれ<1ppm、<0.5ppm、<0.5ppmであった。
得られた化合物Iの1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカンを用い、実施例1と同様に溶融エステル交換法にて重合を実施しようとしたところ、工程(1)の段階で副生するはずのフェノールが留出せず、重合が進行しなかった。次に、触媒である炭酸セシウムの量を2倍量として、全ジヒドロキシ化合物1モル当たり1.0マイクロモルに増量し、再度重合を実施したが、同様に重合が進行しなかった。
<比較例2−2>
比較例2−1で得られた化合物I(69.9g)をトルエン(382g)に溶解させ、水(220g)で4回洗浄した。その後、トルエンおよび水を減圧留去した。該残渣にトルエン(163g)およびヘプタン(314g)を加え、内温70℃に加温し溶解させた。その後、10℃/時間の速度で内温5℃まで降温させて粉体析出を完了させた。得られた粉体をろ過した後、70℃で24時間減圧(20Torr)乾燥させることで化合物Iの白色固体(65.1g)を得た。このもののHPLC純度は100%であり、Na量、Cl量およびS量を測定したところ、それぞれ<1ppm、<0.5ppm、<0.5ppmであった。
得られた化合物Iの1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカンを用い、実施例1と同様に溶融エステル交換法にて重合を実施しようとしたところ、工程(1)の段階で副生するはずのフェノールが留出せず、重合が進行しなかった。次に、触媒である炭酸セシウムの量を4倍量として、全ジヒドロキシ化合物1モル当たり2.0マイクロモルに増量し、再度重合を実施したが、同様に重合が進行しなかった。
<比較例3>
トルエンスルホン酸一水和物の代わりに濃硫酸(9.80g)を用いた以外は実施例1と同様の条件で反応した。反応停止後、反応液中の化合物Iの選択率を測定したところ34.4%であった。
以上の結果を下記表2にまとめた。
Figure 2018203654
表2より以下のことが分かる。
本発明のビスフェノール化合物の製造方法に従い、特定のスルホン酸化合物を用いて反応を行った実施例1〜実施例3で得られた化合物Iは、目的化合物の反応選択率も高く、効率的な製造法であることがわかる。また、このようにして得られたビスフェノール化合物を原料とし、ポリカーボネート樹脂を重合した際も、問題なく重合が進行し、所望のポリカーボネート樹脂を得ることができた。
一方で、従来既知の酸触媒である塩酸を用いて反応を行った比較例1及び比較例2−1,2−2では、製品のHPLC純度に問題はなく、残Na、残Sおよび残Clも定量下限未満であったにも関わらず、得られたビスフェノール化合物を原料としてポリカーボネート樹脂の重合を試みたところ、ポリカーボネート樹脂を得られる場合(比較例1)と得られない場合(比較例2−1および2−2)があることが分った。比較例1と比較例2−1,2−2では基本的に製造方法は同じであり、その生産スケールだけが異なる。さらに比較例1および比較例2−1,2−2で得られたビスフェノール化合物中の不純物を比較した場合、無機分量は比較例1の方がむしろ多く、製品中の残無機分はいずれも定量下限であったにも関わらず、比較例2−1,2−2で得られた化合物Iのみ重合しなかった。
このことは、ビスフェノール化合物の製造過程で、従来、樹脂の重合阻害因子として知られている不純物以外の阻害因子が発生していることを明確に示唆しており、その発生量はスケールアップにおける各工程の処理時間の差などの細かい処理条件の変更により、異なるものとなることが明らかである。このため、少なくとも塩酸を用いたビスフェノール化合物の合成では本質的に品質不安定のリスクを抱えており、工業的使用に耐えうるものではないことが分かる。より詳しくは、塩酸を用いた比較例1及び比較例2−1,2−2の晶析前残渣の残Na、残Sおよび残Clを比較すると、Clが過剰に残存していることから、製造工程にて微量の有機塩素化合物が副生し、それが精製を繰り返し行った製品までHPLCや無機分析にて検出できない量残存することで、ポリカーボネート樹脂製造時の重合時触媒の作用を阻害したと考えられる。
また、硫酸を用いて反応を行った比較例3では、油溶性のアルデヒドと高極性の硫酸との馴染みが悪く、十分な反応性が得られず、その結果、化合物Iの選択性が著しく低下し、非効率的な製造方法であることが分かる。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表されるビスフェノール化合物の製造方法であって、アルデヒド類と、モノフェノール化合物とを、下記式(2)で表されるスルホン酸化合物の存在下に反応させることを特徴とするビスフェノール化合物の製造方法。
    Figure 2018203654
    [式(1)中、Rは、炭素数6〜24の一価脂肪族炭化水素基を表し、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜15の一価炭化水素基を表し、a及びbはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。a又はbが2以上の場合、同一のベンゼン環上にある2以上のR又はRは互いに結合して当該ベンゼン環に縮合する環を形成していても良い。]
    Figure 2018203654
    [式(2)中、Rは、炭素数1〜20の、置換基を有していても良いn価炭化水素基を表し、nは1〜2の整数を表す。]
  2. 前記モノフェノール化合物が、下記式(3)で表されるモノフェノール化合物であることを特徴とする請求項1に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
    Figure 2018203654
    [式(3)中、Rおよびaは式(1)におけると同義である。]
  3. 前記スルホン酸化合物が、芳香族モノスルホン酸化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
  4. 前記スルホン酸化合物がトルエンスルホン酸であることを特徴とする請求項3に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
  5. 前記モノフェノール化合物1モルに対して、前記スルホン酸化合物を0.01〜1モル用いることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のビスフェノール化合物を原料として用いることを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
  7. 溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造することを特徴とする請求項6に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
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