JP2018202695A - セラミックグリーンシート製造用離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】離型フィルムの厚みを薄くしてもカールの発生がなく、剥離性、走行性が良好であり、成型される極薄のセラミックグリーンシートにピンホール欠点等を生じ難いセラミックグリーンシート成型用離型フィルムを提供すること。【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも片面に直接又は他の層を介して離型層が積層された離型フィルムであって、離型層表面の領域表面粗さ(Sa)が7nm以下であり、前記離型層が1分子内の官能基数が4つ以上のウレタンアクリレートと離型剤を少なくとも含む塗膜が硬化されてなるセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、超薄層のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムに関するものであり、詳しくは超薄層のセラミックグリーンシート製造時にピンホール及び厚みムラによる工程不良の発生を抑制したものを製造し得る、超薄層のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムに関するものである。
従来ポリエステルフィルムを基材とし、その上に離型層を積層した離型フィルムは、積層セラミックコンデンサ(以下MLCCとする)、セラミック基板等のセラミックグリーンシート成型用に使用されている。近年、積層セラミックコンデンサの小型化・大容量化に伴い、セラミックグリーンシートの厚みも薄膜化する傾向にある。セラミックグリーンシートは、離型フィルムに、チタン酸バリウムなどのセラミック成分とバインダー樹脂を含有したスラリーを塗工し乾燥することで成型される。成型したセラミックグリーンシートに電極を印刷し離型フィルムから剥離したのち、セラミックグリーンシートを積層、プレスし裁断後、焼成、外部電極を塗布することで積層セラミックコンデンサが製造される。これまで、ポリエステルフィルムの離型層表面にセラミックグリーンシートを成型する場合、離型層表面の微小な突起が成型したセラミックグリーンシートに影響を与え、ハジキやピンホール等の欠点を生じやすくなるといった問題点があった。そのため、優れた平坦性を有する離型層表面を実現するための手法が種々開発されてきた(例えば、特許文献1)。
しかしながら近年、さらなるセラミックグリーンシートの薄膜化が進み、1.0μm以下、より詳しくは0.2μm〜1.0μmの厚みのセラミックグリーンシートが要求されるようになってきた。そのため、離型層表面により高い平滑性が求められるようになってきている。また、セラミックグリーンシートの薄膜化に伴い、セラミックグリーンシートの強度が低下するため、離型層表面の平滑化だけではなく、セラミックグリーンシートを離型フィルムから剥離するときの剥離力を低くかつ均一にすることが好ましく、離型フィルムからセラミックグリーンシートを剥離するときにセラミックグリーンシートにかかる負荷を極力少なくし、セラミックグリーンシートにダメージを与えないようにすることが好ましくなってきている。
また近年、環境負荷とコストダウンの観点から離型フィルムの厚みを薄くすることが求められている。しかし、離型フィルムにの厚みを薄くすると、離型フィルム表面の平滑性が低下したり、離型フィルムのコシ感が低下しカールなどを起こしやすくなり、セラミックグリーンシート成型時や電極印刷時の離型フィルムの走行性が悪くなる課題があった。より具体的には、離型フィルムの走行性が悪化すると、セラミックグリーンシートの塗布成型時の均一性が悪化し、セラミックグリーンシートの膜厚が不均一になったり、電極印刷工程で印刷精度が低下し、成形加工したMLCCの不良率が悪化する課題があった。
剥離時のセラミックグリーンシートへの負荷を抑制する方法としては、離型フィルムの離型層に活性エネルギー線硬化成分を用いることで離型層の架橋密度を高め、弾性率を向上させることで、セラミックグリーンシート剥離時における離型層の弾性変形を抑制し剥離力を軽くする方策が検討されている(例えば、特許文献2、3)。
しかし、特許文献2や3のように離型層の架橋密度を高めるだけでは、離型層の硬化収縮が大きくなることがあり離型層加工後の離型フィルムにカールが発生する懸念があった。また、離型フィルムの厚みが薄くなると、カールがより顕著となり、セラミックグリーンシートの成型時に課題が発生する懸念があった。
特開2000−117899号公報 国際公開第2013/145864号 国際公開第2013/145865号
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、離型フィルムの離型層に特定の材料を使用することで、離型層の高架橋密度と低硬化収縮が両立することを見出した。そして、本発明の課題は、離型フィルムの厚みを薄くしてもカールの発生がなく、剥離性、走行性が良好であり、成型される極薄のセラミックグリーンシートにピンホール欠点等を生じ難いセラミックグリーンシート成型用離型フィルムを提供することである。
即ち、本発明は以下の構成よりなる。
1.ポリエステルフィルムの少なくとも片面に直接又は他の層を介して離型層が積層された離型フィルムであって、離型層表面の領域表面粗さ(Sa)が7nm以下であり、前記離型層が1分子内の官能基数が4つ以上のウレタンアクリレートと離型剤を少なくとも含む塗膜が硬化されてなることを特徴とするセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
2. 離型剤が、ポリオルガノシロキサンであることを特徴とする上記第1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
3. 離型剤が、側鎖にシリコーン成分とアクリレート基を有するアクリル系化合物であることを特徴とする上記第1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
4. ポリエステルフィルムが、少なくとも2層以上からなる積層フィルムであって、前記積層フィルムの離型層が積層された側の表面層Aには、実質的に粒子が含有されていないことを特徴とする上記第1〜第3のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
5. 積層フィルムの表面層Aとは反対側の表面層Bが粒子を含有し、前記粒子がシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子であり、合計の粒子の含有量が表面層Bの総質量に対して5000〜15000ppmであることを特徴とする上記第4に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
6. 上記第1〜第5のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを用いてセラミックグリーンシートを成型するセラミックグリーンシートの製造方法であって、成型されたセラミックグリーンシートが0.2μm〜1.0μmの厚みを有することを特徴とするセラミックグリーンシートの製造方法。
7. 上記第6に記載のセラミックグリーンシートの製造方法を採用することを特徴とするセラミックコンデンサの製造方法。
本発明のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムは、従来のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムと比較して、カールが少なく、剥離性、走行性が良く、セラミックグリーンシート剥離時の離型層の変形が少ないため、離型フィルムの厚みを薄くしても、成型される厚み1μm以下といった超薄膜セラミックグリーンシートにピンホールなどの欠点を少なくできるセラミックグリーンシート製造用離型フィルムの提供が可能となった。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を有しており、前記離型層は、官能基数が4つ以上の多官能ウレタンアクリレートと離型剤を少なくとも含んだ塗膜を硬化させてなることを特徴とするセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを好ましい態様とするものである。
(ポリエステルフィルム)
本発明の離型フィルムにおいて基材として用いるポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、特に限定されず、離型フィルム基材として通常一般に使用されているポリエステルをフィルム成型したものを使用することが出来るが、好ましくは、芳香族二塩基酸成分とジオール成分からなる結晶性の線状飽和ポリエステルであるのが良く、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート又はこれらの樹脂の構成成分を主成分とする共重合体がさらに好適であり、とりわけポリエチレンテレフタレートから形成されたポリエステルフィルムが好適である。ポリエチレンテレフタレートは、エチレンテレフタレートの繰り返し単位が好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上であり、他のジカルボン酸成分、ジオール成分が少量共重合されていてもよいが、コストの点から、テレフタル酸とエチレングリコールのみから製造されたものが好ましい。また、本発明のフィルムの効果を阻害しない範囲内で、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶化剤などを添加してもよい。ポリエステルフィルムは双方向の弾性率の高さ等の理由からポリエステルフィルムであることが好ましい。
上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの固有粘度は0.50〜0.70dl/gが好ましく、0.52〜0.62dl/gがより好ましい。固有粘度が0.50dl/g以上の場合、延伸工程で破断が発生しづらく好ましい。逆に、0.70dl/g以下の場合、所定の製品幅に裁断するときの裁断性が良く、寸法不良が発生しないので好ましい。また、原料は十分に真空乾燥することが好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムの製造方法は特に限定されず、従来一般に用いられている方法を用いることが出来る。例えば、前記ポリエステルを押出機にて溶融して、フィルム状に押出し、回転冷却ドラムにて冷却することにより未延伸フィルムを得て、該未延伸フィルムを一軸又は二軸延伸することにより得ることが出来る。二軸延伸フィルムは、縦方向あるいは横方向の一軸延伸フィルムを横方向または縦方向に逐次二軸延伸する方法、或いは未延伸フィルムを縦方向と横方向に同時二軸延伸する方法で得ることが出来る。
本発明において、ポリエステルフィルム延伸時の延伸温度はポリエステルの二次転移点(Tg)以上とすることが好ましい。縦、横おのおのの方向に1〜8倍、特に2〜6倍の延伸をすることが好ましい。
上記ポリエステルフィルムは、厚みが12〜31μmであることが好ましく、さらに好ましくは12〜25μmであり、より好ましくは、15μm〜22μmである。フィルムの厚みが12μm以上であれば、フィルム生産時や離型層の加工工程、セラミックグリーンシートの成型の時に、熱により変形するおそれがなく好ましい。一方、フィルムの厚みが31μm以下であれば、使用後に廃棄するフィルムの量が極度に多くならず、環境負荷を小さくする上で好ましく、さらには、使用する離型フィルムの面積当たりの材料が少なくなるため経済的観点からも好ましい。
上記ポリエステルフィルム基材は、単層であっても2層以上の多層であっても構わないが、少なくとも片面には実質的に粒子を含まない表面層Aを有する積層フィルムであることが好ましい。2層以上の多層構成からなる積層ポリエステルフィルムの場合は、実質的に粒子を含有しない表面層Aの反対面には、粒子などを含有することができる表面層Bを有することが好ましい。積層構成としては、離型層を塗布する側の層を表面層A、その反対面の層を表面層B、これら以外の芯層を芯層Cとすると、厚み方向の層構成は離型層/表面層A/表面層B、あるいは離型層/表面層A/芯層C/表面層B等の積層構造が挙げられる。当然ながら芯層Cは複数の層構成であっても構わない。また、表面層Bには粒子を含まないこともできる。その場合、フィルムをロール状に巻き取るための滑り性を付与するため、表面層B上には粒子とバインダーを含んだコート層を設けることが好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルム基材において、離型層を塗布する面を形成する表面層Aは、実質的に粒子を含有しないことが好ましい。このとき、表面層Aの領域表面平均粗さ(Sa)は、7nm以下が好ましい。Saが7nm以下であると、離型層の膜厚が2.0μm以下、更に薄く0.5μm以下のような薄膜でも、積層する超薄層セラミックグリーンシートの成型時にピンホールなどの発生が起こりにくく好ましい。表面層Aの領域表面平均粗さ(Sa)は小さいほど好ましいと言えるが、0.1nm以上であって構わない。但し表面層A上に後述のアンカーコート層などを設ける場合は、コート層に実質的に粒子を含まないことが好ましく、コート層積層後の領域表面平均粗さ(Sa)が前記範囲内であることが好ましい。本発明において「粒子を実質的に含有しない」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下であることにより定義され、好ましくは10ppm以下、最も好ましくは検出限界以下となる含有量である。これは積極的に粒子をフィルム中に添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分や、原料樹脂あるいはフィルムの製造工程におけるラインや装置に付着した汚れが剥離して、フィルム中に混入する場合があるためである。
本発明におけるポリエステルフィルム基材が積層フィルムである場合において、離型層を塗布する表面層Aと反対面を形成する表面層Bは、フィルムの滑り性や空気の抜けやすさの観点から、粒子を含有することが好ましく、特にシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子を含有することが好ましい。含有される粒子含有量は、表面層B中に粒子の合計で5000〜15000ppmであることが好ましい。このとき、表面層Bのフィルムの領域表面平均粗さ(Sa)は、1〜40nmの範囲であることが好ましい。より好ましくは、5〜35nmの範囲である。表面層Bのシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子の合計が5000ppm以上、Saが1nm以上の場合には、フィルムをロール状に巻き上げるときに、空気を均一に逃がすことができ、巻き姿が良好で平面性良好により、超薄層セラミックグリーンシートの製造に好適なものとなる。また、シリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子の合計が15000ppm以下、Saが40nm以下の場合には、滑剤の凝集が生じにくく、粗大突起ができないため、超薄層のセラミックグリーンシートを成型後に巻き取った場合でもセラミックグリーンシートにピンホールなどの欠点を発生させることがなく好ましい。
上記表面層Bに含有する粒子としては、透明性やコストの観点からシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子を用いることがより好ましい。シリカ及び/又は炭酸カルシウム以外に不活性な無機粒子及び/又は耐熱性有機粒子などを用いることができ、他に使用できる無機粒子としては、アルミナ−シリカ複合酸化物粒子、ヒドロキシアパタイト粒子などが挙げられる。また、耐熱性有機粒子としては、架橋ポリアクリル系粒子、架橋ポリスチレン粒子、ベンゾグアナミン系粒子などが挙げられる。またシリカ粒子を用いる場合、多孔質のコロイダルシリカが好ましく、炭酸カルシウム粒子を用いる場合は、ポリアクリル酸系の高分子化合物で表面処理を施した軽質炭酸カルシウムが、滑剤の脱落防止の観点から好ましい。
上記表面層Bに添加する粒子の平均粒子径は、0.1μm以上2.0μm以下が好ましく、0.5μm以上1.0μm以下が特に好ましい。粒子の平均粒子径が0.1μm以上であれば、離型フィルムの滑り性が良好であり好ましい。また、平均粒子径が2.0μm以下であれば、離型層表面に粗大粒子によるピンホールが発生するおそれがなく好ましい。なお、粒子の平均粒子径の測定方法は、加工後のフィルムの断面の粒子を走査型電子顕微鏡で観察を行い、粒子100個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とする方法で行うことができる。本発明の目的を満たすものであれば、粒子の形状は特に限定されるものでなく、球状粒子、不定形の球状でない粒子を使用できる。不定形の粒子の粒子径は円相当径として計算することができる。円相当径は、観察された粒子の面積を円周率(π)で除し、平方根を算出し2倍した値である。
表面層Bには素材の異なる粒子を2種類以上含有させてもよい。また、同種の粒子で平均粒子径の異なるものを含有させてもよい。
表面層Bに粒子を含まない場合は、表面層B上に粒子を含んだコート層で易滑性を持たせることも好ましい。本コート層を設ける手段は、特に限定されないが、ポリエステルフィルムの製膜中に塗工する所謂インラインコート法で設けることが好ましい。
表面層Bの領域表面平均粗さ(Sa)は、40nm以下が好ましく、35nm以下がより好ましく、さらに好ましくは30nm以下である。また、表面層Bにコート層で易滑性を持たせる場合は、表面層BのSaは、コート層を積層した表面を測定するものとする。
上記離型層を設ける側の層である表面層Aには、ピンホール低減の観点から、滑剤などの粒子の混入を防ぐため、再生原料などを使用しないことが好ましい。
上記離型層を設ける側の層である表面層Aの厚み比率は、基材フィルムの全層厚みの20%以上50%以下であることが好ましい。20%以上であれば、表面層Bなどに含まれる粒子の影響をフィルム内部から受けづらく、領域表面平均粗さSaが上記の範囲を満足することが容易であり好ましい。基材フィルムの全層の厚みの50%以下であると、表面層Bにおける再生原料の使用比率を増やすことができ、環境負荷が小さく好ましい。
また、経済性の観点から上記表面層A以外の層(表面層Bもしくは前述の芯層C)には、50〜90質量%のフィルム屑やペットボトルの再生原料を使用することができる。この場合でも、表面層Bに含まれる滑剤の種類や量、粒子径ならびに領域表面平均粗さ(Sa)は、上記の範囲を満足することが好ましい。
また、後に塗布する離型層などの密着性を向上させたり、帯電を防止するなどのために表面層A及び/または表面層Bの表面に製膜工程内の延伸前または一軸延伸後のフィルムにコート層を設けてもよく、コロナ処理などを施すこともできる。コート層も設ける場合は、各層のSaはコート層表面の測定値で代用する。また、表面層Aの表面にこれらコート層を設ける場合は、粒子を含有しないことが好ましい。
(離型層)
本発明の離型層は、官能基数が4つ以上のウレタンアクリレートと離型剤を少なくとも含む塗膜を硬化してなることが好ましい。官能基数が4つ以上のウレタンアクリレートを用いることで、離型層の硬化収縮を抑えつつ、架橋密度を向上させることができるため、離型層の弾性率が向上し剥離時の変形も少なくすることができる。また、離型層の耐溶剤性を向上させることができるためスラリー塗工時に溶剤による離型層の浸食なども防げるため好ましい。
(ウレタンアクリレート)
本発明で用いるウレタンアクリレートとは、分子鎖中にウレタン結合と、アクリロイル基及びメタクリロイル基より選択される1種以上の反応性官能基を有するものをいう。本発明においては、ウレタンアクリレートはウレタンメタクリレートを含む用語として用いている。本発明で用いるウレタンアクリレートには、一分子内に前記反応性官能基を4つ以上有することが好ましく、より好ましくは6つ以上、さらに好ましくは9つ以上である。反応性官能基を4つ以上有することで離型層の架橋密度が向上し、弾性率が高くなるため、セラミックグリーンシートを剥離するときに離型層の変形が少なくなるため好ましい。また、反応性官能基の上限は特に定めないが、20以下が好ましく、15以下がより好ましい。なお、本明細書中で、6官能のウレタンアクリレートというときは、一分子内に反応性官能基を6つ有するウレタンアクリレートのことをいう。
本発明で用いるウレタンアクリレートは、モノマーであってもよくオリゴマーであってもよく、モノマーとオリゴマーが混合されていてもよい。本発明で用いるウレタンアクリレートの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、600〜20000であることが好ましく、800〜10000あることがより好ましく、1000〜5000であることがさらに好ましい。
なお、上記重量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定されるポリスチレン換算値である。
本発明で用いるウレタンアクリレートの合成方法は特に限定されないが、例えば、多価アルコール及び有機ポリイソシアネートとヒドロキシアクリレートとの反応によって得ることができる。
上記多価アルコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール、ビス−[ヒドロキシメチル]−シクロヘキサン等;上記多価アルコールと多塩基酸(例えば、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等)との反応によって得られるポリエステルポリオール;上記多価アルコールとε−カプロラクトンとの反応によって得られるポリカプロラクトンポリオール;ポリカーボネートポリオール(例えば、1,6−ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートとの反応によって得られるポリカーボネートジオール等);及び、ポリエーテルポリオールを挙げられる。上記ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA等を挙げられる。
上記有機ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルイソシアネート等のイソシアネート化合物、これらイソシアネート化合物の付加体、或いはこれらイソシアネートの多量体等が挙げられる。
上記ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチロールシクロヘキシルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートであることが硬度の面から好ましい。
本発明に使用するウレタンアクリレートは市販されているものを用いることもできる。市販品の例としては、日本合成化学工業社製:UV1700B(重量平均分子量2000、10官能)、UV7620EA(重量平均分子量4100、9官能)、UV7600B(重量平均分子量1400、6官能)、UV7610B(重量平均分子量11000、9官能)、UV7650B(重量平均分子量2300、5官能)、日本化薬社製:DPHA40H(重量平均分子量7000、10官能)、UX5003(重量平均分子量700、6官能)、荒川化学工業社製:ビームセット577(重量平均分子量1000、6官能)、大成ファインケミカル社製:8UX−015A(重量平均分子量1000、15官能)及び、新中村化学工業社製:U15HA(重量平均分子量2300、15官能)等を挙げることができる。
本発明においてウレタンアクリレートは、1種単独でも又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、4官能以上のウレタンアクリレート以外にアクリレート系化合物やウレタンアクリレート系化合物を含有しても構わない。アクリレート系化合物は、アクリレートモノマーやアクリレートオリゴマーであってもよく、官能基数などは特に限定されないが、2つ以上の多官能であることが好ましい。また2種類以上を含有する場合は、本発明の効果を発現するために4官能以上のウレタンアクリレートを30質量%以上含むことが好ましい。
(光ラジカル開始剤)
本発明の離型層にラジカル重合系樹脂を用いる場合は、光ラジカル重合開始剤を添加することが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、(2,4,6−トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2−ベンゾチアゾール−N,N−ジエチルジチオカルバメート等が挙げられる。特に、表面硬化性に優れるとされる、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが好ましく、中でも2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが特に好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光ラジカル重合開始剤の添加量は、特に限定されない。例えば、用いられるラジカル系硬化樹脂に対して0.1から20質量%程度を用いることが好ましい。
(離型剤)
本発明における離型層に用いる離型剤(離型層の離型性を向上させる添加剤)としては、シリコーン系添加剤や、オレフィン系、長鎖アルキル系、フッ素系などの非シリコーン系添加剤などを用いることができるが、剥離性の観点からシリコーン系添加剤を用いることが好ましい。
シリコーン系添加剤とは、分子内にシリコーン骨格を有する化合物のことであり、ポリオルガノシロキサンなどを好適に使用することができる。また、ポリオルガノシロキサンを側鎖に有するアクリル樹脂やアルキッド樹脂なども使用することができる。ポリオルガノシロキサンの中でもポリジメチルシロキサン(略称、PDMS)が好適に使用することができ、ポリジメチルシロキサンの一部に官能基を有するものも好ましい。
ポリジメチルシロキサンに導入する官能基としては特に限定されないが、反応性官能基でも非反応性官能基でも構わない。また、官能基はポリジメチルシロキサンの片末端に導入されていてもよいし、両末端でも側鎖でも構わない。また、導入される位置は1つでもよいし、複数でも構わない。 また、1分子中に2種類以上の官能基を有していてもよい。
ポリジメチルシロキサンに導入する反応性官能基としては、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、メタクリル基、アクリル基などを使用することができる。非反応性官能基としては、ポリエーテル基、アラルキル基、フロロアルキル基、長鎖アルキル基、エステル基、アミド基、フェニル基などを使用することができる。本発明では、セラミックグリーンシートへの離型剤の移行を低減させるため、ウレタンアクリレートと反応するメタクリル基やアクリル基を有するものが好ましい。
また、ポリジメチルシロキサンを側鎖に有するアクリル樹脂やポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などのポリジメチルシロキサン変性樹脂を使用することも好ましい。ポリジメチルシロキサン変性樹脂は他の一般的な離型剤に比べウレタンアクリレートとの相溶性がよく均一な離型層を形成することができるため、剥離性が向上し好ましい。また、ポリジメチルシロキサン変性樹脂は、セラミックグリーンシートへの離型剤の移行を低減させるためウレタンアクリレートと反応するメタクリル基やアクリル基を有するものがさらに好ましい。
PDMS骨格を側鎖に有するアクリル樹脂の市販品の例としては、サイマック(登録商標)US350、サイマック(登録商標)US352、(東亜合成社製)、8BS−9000(大成ファインケミカル社製)、GL−01、GL−02R(共栄社化学社製)などが挙げられる。
PDMS骨格とアクリロイル基を側鎖に有するアクリル樹脂の市販品の例としては、8SS−723、(大成ファインケミカル社製)、GL−03、GL−04R(共栄社化学社製)などが挙げられる。
フッ素系添加剤としては、特に限定されず既存のものを使用できる。例えば、パーフルオロ基を有するものやパーフルオルエーテル基を有するものが好適に使用できる。市販品としては、メガファック(登録商標)(DIC社製)や、オプツール(登録商標)(ダイキン工業社製)などが挙げられる。
長鎖アルキル系添加剤としては、長鎖アルキル変性された樹脂を使用することもでき、ポリビニルアルコールやアクリル樹脂などの側鎖に炭素数が8〜20程度のアルキル基を有するものが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステルを主な繰り返し単位とする重合体であり、エステル交換された部分に炭素数8〜20の長鎖アルキル基を含む共重合体も好適に使用することができる。
また、長鎖アルキルにアクリレート基がついたオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレートなども好適に使用することができる。
本発明の離型層には、離型剤が離型層全体の固形分に対して0.1質量%以上、15質量%以下含まれることが好ましい。より好ましくは、0.5質量%以上、10質量%以下、さらに好ましくは、0.5質量%以上、5質量%以下である。0.1質量%以上であると、離型性が向上し、セラミックグリーンシートの剥離性が向上するため好ましい。一方、15質量%以下であると、離型層全体の弾性率が低下し過ぎることがなく、セラミックグリーンシート剥離時に離型層の変形が生じにくいため好ましい。このとき、離型層全体の固形分とは、ウレタンアクリレート成分と離型剤の固形分の合計した値とする。
本発明の離型層には、粒子径が1μm以下の粒子などを含有することができるが、ピンホール発生の観点から粒子など突起を形成するものは含有しないほうが好ましい。
本発明の離型層には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、密着向上剤や、帯電防止剤などの添加剤などを添加してもよい。また、基材との密着性を向上させるために、離型塗布層を設ける前にポリエステルフィルム表面に、アンカーコート、コロナ処理、プラズマ処理、大気圧プラズマ処理等の前処理をすることも好ましい。
本発明において、離型層の厚みは、その使用目的に応じて設定すれば良く、特に限定されないが、好ましくは、硬化後の離型層が0.2〜2.0μmとなる範囲がよく、より好ましくは、0.3〜1.5μmであり、さらに好ましくは0.4〜1.2μmであり、0.6〜1.0μmであればより好ましい。離型層の厚みが0.2μm以上であるとウレタンアクリレートの硬化性がよく離型層の弾性率が向上するため良好な剥離性能が得られ好ましい。また、2.0μm以下であると、離型フィルムの厚みが薄くなってもカールを起こしにくくセラミックグリーンシートを成型、乾燥する過程で走行性不良を起こさず好ましい。
本発明の離型フィルムは、離型層表面の平滑性が高いことが好ましい。そのため、離型層表面の領域表面平均粗さ(Sa)が7nm以下であることが好ましい。また、前記のSaを満足し、且つ離型層表面の最大突起高さ(P)が100nm以下であることが更に好ましい。さらには領域表面平均粗さ(Sa)は5nm以下であることが好ましく、その際同時に最大突起高さ(P)が80nm以下であることが特に好ましい。領域表面粗さ(Sa)が7nm以下であれば、セラミックグリーンシート形成時に、ピンホールなどの欠点の発生がなく、歩留まりが良好で好ましい。前記のSaを満足し、且つ離型層表面の最大突起高さ(P)が100nm以下であれば、更にピンホール欠点を生じるおそれが少なくなり好ましい。前記の領域表面平均粗さ(Sa)は小さいほど好ましいと言えるが、0.1nm以上であっても構わず、0.3nm以上であっても構わない。最大突起高さ(P)も小さいほど好ましいと言えるが、1nm以上でも構わず、3nm以上であっても構わない。
本発明の離型層フィルムの離型層表面の表面自由エネルギーは、18mJ/m以上40mJ/m以下であることが好ましい。より好ましくは、21mJ/m以上35mJ/m以下であり、さらに好ましくは23mJ/m以上30mJ/m以下である。18mJ/m以上であるとセラミックスラリーを塗工したときにハジキが発生しづらく均一に塗工することができるため好ましい。また40mJ/m以下だとセラミックグリーンシートの離型性が低下してしまう恐れがなく好ましい。上記範囲とすることで塗工時にハジキがなく、離型性に優れた離型フィルムを提供できる。
本発明において、離型層の形成方法は、特に限定されず、離型性の樹脂を溶解もしくは分散させた塗液を、基材のポリエステルフィルムの一方の面に塗布等により展開し、溶媒等を乾燥により除去後、硬化させる方法が用いられる。
本発明の離型層を基材フィルム上に溶液塗布により塗布する場合の溶媒乾燥の乾燥温度は、50℃以上、120℃以下であることが好ましく、60℃以上、100℃以下であることがより好ましい。その乾燥時間は、30秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましい。さらに溶剤乾燥後、活性エネルギー線を照射し硬化反応を進行させることが好ましい。この時用いる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線などが使用することができるが、紫外線が使用しやすく好ましい。照射する紫外線量としては光量で30〜300mJ/cmが好ましく、より好ましくは、30〜200mJ/cmである。30mJ/cm以上とすることで樹脂の硬化が十分進行し、300mJ/cm以下とすることで加工時の速度を向上させることができるため経済的に離型フィルムを作成することができ好ましい。
前記活性エネルギー線を照射するときの雰囲気は、一般的な空気中でも窒素ガス雰囲気下でも構わない。窒素ガス雰囲気では、酸素濃度を減少させることでラジカル反応がスムーズに進行し離型層の弾性率を向上させることができるが、空気中で照射しても実用上問題なければ、空気中で照射する方が経済的観点から好ましい。
本発明において、離型層を塗布するときの塗液の表面張力は、特に限定されないが30mN/m以下であることが好ましい。表面張力を前記のようにすることで、塗工後の塗れ性が向上し、乾燥後の塗膜表面の凹凸を低減することができる。
上記塗液の塗布法としては、公知の任意の塗布法が適用出来、例えばグラビアコート法やリバースコート法などのロールコート法、ワイヤーバーなどのバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、等の従来から知られている方法が利用できる。
以下に、実施例を用いて本発明のさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。本発明で用いた特性値は下記の方法を用いて評価した。なお、以下、重量平均分子量を単にMwと記載することがある。また、ポリジメチルシロキサンを単にPDMSと記載することがある。
(基材フィルム厚み)
ミリトロン(電子マイクロインジケーター)を用い、測定すべきフィルムの任意の4箇所より5cm角サンプル4枚を切り取り、一枚あたり各5点(計20点)測定して平均値を厚みとした。
(離型層厚み)
離型層の厚みは、光干渉式膜厚計(F20、フィルメトリクス社製)を用いて測定した。(離型層の屈折率は1.52として計算)
(領域表面粗さSa、最大突起高さP)
非接触表面形状計測システム(VertScan R550H−M100、菱化システム社製)を用いて、下記の条件で測定した値である。領域表面平均粗さ(Sa)は、5回測定の平均値を採用し、最大突起高さ(P)は7回測定し最大値と最小値を除いた5回の最大値を使用した。

(測定条件)
・測定モード:WAVEモード
・対物レンズ:10倍
・0.5×Tubeレンズ
・測定面積 936μm×702μm
(解析条件)
・面補正: 4次補正
・補間処理: 完全補間
(表面自由エネルギー)
25℃、50%RHの条件下で接触角計(協和界面科学株式会社製: 全自動接触角計 DM−701)を用いて離型フィルムの離型面に水(液滴量1.8μL)、ジヨードメタン(液適量0.9μL)、エチレングリコール(液適量0.9μL)の液滴を作成しその接触角を測定した。接触角は、各液を離型フィルムに滴下後10秒後の接触角を採用した。前記方法で得られた、水、ジヨードメタン、エチレングリコールの接触角データを「北崎−畑」理論より計算し離型フィルムの表面自由エネルギーの分散成分γsd、極性成分γsp、水素結合成分γshを求め、各成分を合計したものを表面自由エネルギーγsとした。本計算には、本接触角計ソフトウェア(FAMAS)内の計算ソフトを用いて行った。
(セラミックスラリーの塗工性評価)
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、直径0.5mmのガラスビーズを分散媒とするビーズミルを用いて30分間分散し、セラミックスラリーを得た。
トルエン 76.3質量部
エタノール 76.3質量部
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT−1) 35.0質量部
ポリビニルブチラール 3.5質量部
(積水化学工業社製 エスレック(登録商標)BM−S)
DOP(フタル酸ジオクチル) 1.8質量部
次いで得られた離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のスラリーが1μmになるように塗工し90℃で1分乾燥後、以下の基準で塗工性を評価した。
○:ハジキなどがなく全面に塗工できている。
△:塗工端部でややハジキがあるが、ほぼ全面に塗工できている。
×:ハジキが多く、塗工できていない。
(セラミックグリーンシートのピンホール評価)
離型フィルムの離型面に、厚さが0.8μmのセラミックグリーンシートの厚みになるように塗布した他は、前記セラミックスラリーの塗工性評価と同様にして塗布し、90℃で1分乾燥後、離型フィルムを剥離し、セラミックグリーンシートを得た。
得られたセラミックグリーンシートのフィルム幅方向の中央領域において25cmの範囲でセラミックスラリーの塗布面の反対面から光を当て、光が透過して見えるピンホールの発生状況を観察し、下記基準で目視判定した。測定は5回測定し平均値を採用した。
◎:ピンホールの発生なし
○:ピンホールの発生がほぼなし(目安:ピンホールが測定面積当たり2個以下)
△:ピンホールの発生があり(目安:ピンホールが測定面積当たり5個以下)
×:ピンホールの発生が多数あり
(セラミックグリーンシートの剥離性評価)
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、直径0.5mmのガラスビーズを分散媒とするビーズミルを用いて60分間分散し、セラミックスラリーを得た。
トルエン 38.3質量部
エタノール 38.3質量部
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT−1) 64.8質量部
ポリビニルブチラール 6.5質量部
(積水化学工業社製 エスレック(登録商標)BM−S)
DOP(フタル酸ジオクチル) 3.3質量部
次いで得られた離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のスラリーが10μmの厚みになるように塗布し90℃で1分乾燥しセラミックグリーンシートを離型フィルム上に成型した。得られたセラミックグリーンシート付き離型フィルムを除電機(キーエンス社製、SJ−F020)を用いて除電した後に30mmの幅で剥離角度90度、剥離速度10m/minでに剥離した。剥離時にかかる応力を測定し剥離力とした。以下の基準で剥離性の評価を行った。
◎:剥離力が1.5mN/mm以下の非常に軽い力で剥離できた。
○:剥離力が1.5mN/mmよりも大きく、2.0mN/mm以下の比較的軽い力で剥離できた。
△:剥離力が2.0mN/mmよりも大きく、7.0mN/mm以下の軽い力で剥離できた。
×:剥離力が7.0mN/mmよりも大きい力を必要であった。(剥離できなかった場合も含む)
(離型フィルムのカール評価)
離型フィルムサンプルを10cm×10cmサイズにカットし、離型フィルムに張力がかからないようにして熱風オーブンで90℃で1分間熱処理を行った。その後、オーブンから取り出し室温まで冷却したのち、離型面が上になるようにガラス板の上に離型フィルムサンプルを置いて、ガラス板から浮いている部分の高さを測定した。このときガラス板から一番大きく浮いている部分の高さを測定値とした。以下の基準でカール性の評価を行った。
◎:カールが1mm以下であり、ほとんどカールしていない
○:カールが1mmよりも大きく、3mm以下であり、少しカールが見られた。
△:カールが3mmよりも大きく、10mm以下であり、カールが見られた。
×:カールが10mmよりも大きくカールしていた。
(ポリエチレンテレフタレートペレット(PET(I))の調製)
エステル化反応装置として、攪拌装置、分縮器、原料仕込口及び生成物取出口を有する3段の完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を用いた。TPA(テレフタル酸)を2トン/時とし、EG(エチレングリコール)をTPA1モルに対して2モルとし、三酸化アンチモンを生成PETに対してSb原子が160ppmとなる量とし、これらのスラリーをエステル化反応装置の第1エステル化反応缶に連続供給し、常圧にて平均滞留時間4時間、255℃で反応させた。次いで、第1エステル化反応缶内の反応生成物を連続的に系外に取り出して第2エステル化反応缶に供給し、第2エステル化反応缶内に第1エステル化反応缶から留去されるEGを生成PETに対して8質量%供給し、さらに、生成PETに対してMg原子が65ppmとなる量の酢酸マグネシウム四水塩を含むEG溶液と、生成PETに対してP原子が40ppmのとなる量のTMPA(リン酸トリメチル)を含むEG溶液を添加し、常圧にて平均滞留時間1時間、260℃で反応させた。次いで、第2エステル化反応缶の反応生成物を連続的に系外に取り出して第3エステル化反応缶に供給し、高圧分散機(日本精機社製)を用いて39MPa(400kg/cm)の圧力で平均処理回数5パスの分散処理をした平均粒子径が0.9μmの多孔質コロイダルシリカ0.2質量%と、ポリアクリル酸のアンモニウム塩を炭酸カルシウムあたり1質量%付着させた平均粒子径が0.6μmの合成炭酸カルシウム0.4質量%とを、それぞれ10%のEGスラリーとして添加しながら、常圧にて平均滞留時間0.5時間、260℃で反応させた。第3エステル化反応缶内で生成したエステル化反応生成物を3段の連続重縮合反応装置に連続的に供給して重縮合を行い、95%カット径が20μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターで濾過を行ってから、限外濾過を行って水中に押出し、冷却後にチップ状にカットして、固有粘度0.60dl/gのPETチップを得た(以後、PET(I)と略す)。PETチップ中の滑剤含有量は0.6質量%であった。
(ポリエチレンテレフタレートペレット(PET(II))の調製)
一方、上記PETチップの製造において、炭酸カルシウム、シリカ等の粒子を全く含有しない固有粘度0.62dl/gのPETチップを得た(以後、PET(II)と略す。)。
(ポリエチレンテレフタレートペレット(PET(III))の調製)
PET(I)の粒子の種類、含有量をポリアクリル酸のアンモニウム塩を炭酸カルシウムあたり1質量%付着させた平均粒子径が0.9μmの合成炭酸カルシウム0.75質量%に変更した以外は、PET(I)と同様にしてPETチップを得た(以後、PET(III)と略す)。PETチップ中の滑剤含有量は0.75質量%であった。
(積層フィルムX1の製造)
これらのPETチップを乾燥後、285℃で溶融し、別個の溶融押出し機押出機により290℃で溶融し、95%カット径が15μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターと、95%カット径が15μmのステンレススチール粒子を焼結したフィルターの2段の濾過を行って、フィードブロック内で合流して、PET(I)を表面層B(反離型面側層)、PET(II)を表面層A(離型面側層)となるように積層し、シート状に45m/分のスピードで押出(キャスティング)し、静電密着法により30℃のキャスティングドラム上に静電密着・冷却させ、固有粘度が0.59dl/gの未延伸ポリエチレンテレフタレートシートを得た。層比率は各押出機の吐出量計算でPET(I)/(II)=60%/40%となるように調整した。次いで、この未延伸シートを赤外線ヒーターで加熱した後、ロール温度80℃でロール間のスピード差により縦方向に3.5倍延伸した。その後、テンターに導き、140℃で横方向に4.2倍の延伸を行なった。次いで、熱固定ゾーンにおいて、210℃で熱処理した。その後、横方向に170℃で2.3%の緩和処理をして、厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムX1を得た。得られたフィルムX1の表面層AのSaは2nm、表面層BのSaは29nmであった。
(積層フィルムX2の製造)
積層フィルムX1と同様の層構成、延伸条件は変更せずに、キャスティング時の速度を変更することで厚みを調整し、22μmの厚みの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムX2を得た。得られたフィルムX2の表面層AのSaは3nm、表面層BのSaは29nmであった。
(積層フィルムX3の製造)
積層フィルムX1と同様の層構成、延伸条件は変更せずに、キャスティング時の速度を変更することで厚みを調整し、19μmの厚みの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムX3を得た。得られたフィルムX3の表面層AのSaは4nm、表面層BのSaは30nmであった。
(積層フィルムX4の製造)
積層フィルムX1と同様の層構成、延伸条件は変更せずに、キャスティング時の速度を変更することで厚みを調整し、12μmの厚みの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムX4を得た。得られたフィルムX4の表面層AのSaは5nm、表面層BのSaは35nmであった。
(積層フィルムX5)
積層フィルムX5としては、厚み25μmのE5101(東洋紡エステル(登録商標)フィルム、東洋紡社製)を使用した。E5101は、フィルム中に粒子を含有した構成になっている。積層フィルムX5の表面層AのSaは24nm、表面層BのSaは24nmであった。
(積層フィルムX6)
積層フィルムX6としては、厚み25μmのA4100(コスモシャイン(登録商標)、東洋紡社製)を使用した。A4100は、フィルム中に粒子を実質的に含有せず、表面層B側にインラインコートで粒子を含んだコート層を設けた構成をしている。積層フィルムX6の表面層AのSaは1nm、表面層BのSaは2nmであった。
(実施例1)
積層フィルムX1の表面層A上に以下組成の塗布液1をリバースグラビアを用いて乾燥後の離型層膜厚が0.8μmになるように塗工し、90℃で15秒乾燥後、高圧水銀ランプを用いて150mJ/cmとなるように紫外線を照射することで超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。得られた離型フィルムに上記方法にてセラミックスラリーを塗工し塗工性、剥離性、ピンホール、カールなどを評価したところ、良好な評価結果が得られた。
(塗布液1)
メチルエチルケトン 39.5質量部
イソプロピルアルコール 38.5質量部
ウレタンアクリレート(官能基数15、Mw1000) 20.0質量部
(製品名:8UX−015A、大成ファインケミカル社製、固形分100質量%)
離型剤 1.0質量部
(アクリロイル基含有PDMS変性アクリル樹脂、GL−04R、共栄社化学社製、固形分20質量%)
光ラジカル開始剤(イルガキュア(登録商標)907、BASF社製)1.0質量部
(実施例2〜6、比較例1)
ウレタンアクリレートを表1に記載の官能基数が異なるウレタンアクリレートに変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
上記実施例1〜6および比較例1で作成したセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを評価したところ、官能基数が4つ以上のウレタンアクリレートを用いた実施例1〜6では、離型フィルムのカールが小さく、剥離性も良好なものが得られたが、比較例1で示した官能基数が3つのウレタンアクリレートを用いた場合は、剥離性が十分ではない結果が得られた。これらの結果から、剥離性と低カール性を両立するためには、ウレタンアクリレートの官能基数を4つ以上、より好ましくは6つ以上とすることがよいことがわかった。
(実施例7,8)
離型層の膜厚を表1に記載した値にした以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例9、10)
基材フィルムの厚みを表1に記載した厚みに変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例11、12)
基材フィルムの構成を変更し表1記載の基材フィルムに変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例13)
離型剤をアクリロイル基を有するPDMSに変更した塗布液2に変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(塗布液2)
メチルエチルケトン 39.5質量部
イソプロピルアルコール 39.3質量部
ウレタンアクリレート(官能基数15、Mw1000) 20.0質量部
(製品名:8UX−015A、大成ファインケミカル社製、固形分100質量%)
離型剤 0.2質量部
(アクリロイル基含有PDMS、BYK(登録商標)−3500、ビック・ケミー社製、固形分100質量%)
光ラジカル開始剤(イルガキュア(登録商標)907、BASF社製)1.0質量部
(実施例14)
離型剤をアクリロイル基を有するパーフルオロポリエーテル系化合物に変更した塗布液3に変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(塗布液3)
メチルエチルケトン 39.5質量部
イソプロピルアルコール 39.0質量部
ウレタンアクリレート(官能基数15、Mw1000) 20.0質量部
(製品名:8UX−015A、大成ファインケミカル社製、固形分100質量%)
離型剤 0.5質量部
(アクリロイル基含有パーフルオロポリエーテル、メガファック(登録商標)RS−75、DIC社製、固形分40質量%)
光ラジカル開始剤(イルガキュア(登録商標)907、BASF社製)1.0質量部
(実施例15)
離型剤をステアリルアクリレートに変更した塗布液4に変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(塗布液4)
メチルエチルケトン 39.5質量部
イソプロピルアルコール 39.3質量部
ウレタンアクリレート(官能基数15、Mw1000) 20.0質量部
(製品名:8UX−015A、大成ファインケミカル社製、固形分100質量%)
離型剤 0.2質量部
(ステアリルアクリレート、大阪有機化学工業社製、固形分100質量%)
光ラジカル開始剤(イルガキュア(登録商標)907、BASF社製)1.0質量部
(実施例16)
離型剤をアクリロイル基を有さないPDMS変性アクリル樹脂に変更した塗布液5に変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(塗布液5)
メチルエチルケトン 39.5質量部
イソプロピルアルコール 38.5質量部
ウレタンアクリレート(官能基数15、Mw1000) 20.0質量部
(製品名:8UX−015A、大成ファインケミカル社製、固形分100質量%)
離型剤 1.0質量部
(PDMS変性アクリル樹脂、GL−02R、共栄社化学社製、固形分20質量%)
光ラジカル開始剤(イルガキュア(登録商標)907、BASF社製)1.0質量部
(実施例17)
離型剤の添加量を変更した塗布液6に変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(塗布液6)
メチルエチルケトン 37.5質量部
イソプロピルアルコール 36.5質量部
ウレタンアクリレート(官能基数15、Mw1000) 20.0質量部
(製品名:8UX−015A、大成ファインケミカル社製、固形分100質量%)
離型剤 5.0質量部
(アクリロイル基含有PDMS変性アクリル樹脂、GL−04R、共栄社化学社製、固形分20質量%)
光ラジカル開始剤(イルガキュア(登録商標)907、BASF社製)1.0質量部
(実施例18)
離型剤の添加量を変更した塗布液7に変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(塗布液7)
メチルエチルケトン 39.5質量部
イソプロピルアルコール 39.0質量部
ウレタンアクリレート(官能基数15、Mw1000) 20.0質量部
(製品名:8UX−015A、大成ファインケミカル社製、固形分100質量%)
離型剤 0.5質量部
(アクリロイル基含有PDMS変性アクリル樹脂、GL−04R、共栄社化学社製、固形分20質量%)
光ラジカル開始剤(イルガキュア(登録商標)907、BASF社製)1.0質量部
(実施例19)
光ラジカル開始剤をイルガキュア(登録商標)127(BASF社製)に変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(比較例2)
ウレタンアクリレートを、分子内にウレタン部位を有さない多官能アクリレート(A−DPH、官能基数6、Mw578、新中村化学工業社製)に変更した以外は、実施例13と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
得られた離型フィルムは、セラミックグリーンシートの剥離は可能であったが、離型フィルムのカールが大きく、セラミックグリーンシートの成型に不具合が懸念される結果であった。
(比較例3)
基材フィルムをフィルム内に粒子を含む構成である基材フィルムX5(厚み25μm、E5101(東洋紡エステル(登録商標)フィルム、東洋紡社製)に変更し、離型層厚みを0.3μmに変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
得られた離型フィルムは、基材フィルムの表面凹凸に対して、離型層厚みが薄いため、離型層表面の領域表面粗さSaが高くなり、成形したセラミックグリーンシートにピンホールなどの欠点が発生する結果となった。
(比較例4)
離型剤の未添加の塗布液8に変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(塗布液8)
メチルエチルケトン 40.0質量部
イソプロピルアルコール 39.0質量部
ウレタンアクリレート(官能基数15、Mw1000) 20.0質量部
(製品名:8UX−015A、大成ファインケミカル社製、固形分100質量%)
光ラジカル開始剤(イルガキュア(登録商標)907、BASF社製)1.0質量部
得られた離型フィルムは、離型剤がないため成型したセラミックグリーンシートを剥離できなかった。
本発明のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムによれば、従来のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムと比較して、離型層表面の平滑性に優れ、かつセラミックグリーンシート剥離後の離型層表面の変形が少なく、カールも小さいため、厚み1μm以下といった超薄膜セラミックグリーンシートを成型してもピンホールなどの欠点が少なく、良好なセラミックグリーンシートの製造を可能とした。

Claims (7)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に直接又は他の層を介して離型層が積層された離型フィルムであって、離型層表面の領域表面粗さ(Sa)が7nm以下であり、前記離型層が1分子内の官能基数が4つ以上のウレタンアクリレートと離型剤を少なくとも含む塗膜が硬化されてなることを特徴とするセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  2. 離型剤が、ポリオルガノシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  3. 離型剤が、側鎖にシリコーン成分とアクリレート基を有するアクリル系化合物であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  4. ポリエステルフィルムが、少なくとも2層以上からなる積層フィルムであって、前記積層フィルムの離型層が積層された側の表面層Aには、実質的に粒子が含有されていないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  5. 積層フィルムの表面層Aとは反対側の表面層Bが粒子を含有し、前記粒子がシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子であり、合計の粒子の含有量が表面層Bの総質量に対して5000〜15000ppmであることを特徴とする請求項4に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを用いてセラミックグリーンシートを成型するセラミックグリーンシートの製造方法であって、成型されたセラミックグリーンシートが0.2μm〜1.0μmの厚みを有することを特徴とするセラミックグリーンシートの製造方法。
  7. 請求項6に記載のセラミックグリーンシートの製造方法を採用することを特徴とするセラミックコンデンサの製造方法。
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