JP2018198135A - 電流遮断装置とその製造方法、及び蓄電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】信頼性の高い電流遮断装置を提供する。【解決手段】電流遮断装置は、蓄電装置のケース内の圧力が所定値を超えたときに電極端子と電極の導通を遮断する。電流遮断装置は、第1通電部材と、第2通電部材と、変形部材を備えている。第1通電部材は、電極端子に接続されている。第2通電部材は、第1通電部材と間隔をおいて第1通電部材に対向して配置されており、蓄電装置の電極に接続されている。変形部材は、第1通電部材と第2通電部材の間に配置されているとともに、端部が第1通電部材に接続されており、中央部が第2通電部材に溶接されている。この電流遮断装置は、第2通電部材の変形部材とは反対側に、変形部材の中央部と第2通電部材の溶接に伴う溶接ビードが存在する。【選択図】図2
Description
本明細書に開示する技術は、電流遮断装置とその製造方法、及び蓄電装置に関する。
蓄電装置が過充電されたり、内部で短絡が発生したときに、ケース内の圧力上昇を利用し、電極端子間(正極端子と負極端子)に流れる電流を遮断する電流遮断装置の開発が進められている。電流遮断装置は、電極端子と電極の間(正極端子と正極の間又は負極端子と負極の間)に配置される。特許文献1には、電極端子(キャップ3)に接合されている第1通電部材(PTC6)と、電極(電極体9)に接続されている第2通電部材(封口板2)と、端部が第1通電部材に接続されているとともに中央部が第2通電部材に接合されている変形部材(電流遮断弁4)を備えた電流遮断装置が開示されている。特許文献1には、変形部材の中央部を第1通電部材に溶接する形態、及び、変形部材の中央部を金属箔(破断金属箔14)を介して第1通電部材に超音波溶着する形態が開示されている。
特許文献1の電流遮断装置は、変形部材と第2通電部材を接合するときに、変形部材の表面(変形部材の第2通電部材側とは反対側の面)から溶接又は溶着を行う。すなわち、変形部材の表面からエネルギーを加え、変形部材と第2通電部材を接合している。変形部材の表面からエネルギーを加えて両者を接合する場合、特に、変形部材を第2通電部材に溶接する場合、溶接に伴い、溶接部分の周囲において変形部材の表面に意図しない窪みが形成され、溶接部分の周囲において変形部材の厚みが薄くなる。簡単にいうと、溶接ビードの周囲に、変形部材の厚みが局所的に薄い薄肉部が生じる。その結果、ケース内の圧力が上昇したときに、変形部材の中央部が上方に移動する前に、変形部材が薄肉部を起点として破壊することが起こり得る。変形部材に破壊が生じると、ケース内の圧力が上昇したときに、変形部材にケース内の圧力が加わらない。その結果、第1通電部材と第2通電部材の導通が遮断されないことが起こり得る。このように、変形部材の厚みが設計値からずれると、電流遮断装置の信頼性を確保することができない。本明細書は、信頼性の高い電流遮断装置を提供することを目的とする。
本明細書に開示する電流遮断措置は、蓄電装置のケース内の圧力が所定値を超えたときに電極端子と電極の導通を遮断する。この電流遮断装置は、電極端子に接続されている第1通電部材と、電極に接続されている第2通電部材と、第1通電部材と第2通電部材の間に配置されている変形部材を備えていてよい。第2通電部材は、第1通電部材と間隔をおいて第1通電部材に対向して配置されていてよい。変形部材は、端部が第1通電部材に接続されており、中央部が第2通電部材に溶接されていてよい。この電流遮断装置では、第2通電部材の変形部材とは反対側に、変形部材の中央部と第2通電部材の溶接に伴う溶接ビードが存在していてよい。
上記電流遮断装置は、変形部材と第2通電部材が第2通電部材の表面(第2通電部材の変形部材側と反対の面)から溶接されている。すなわち、変形部材の表面にエネルギーを加えることなく、変形部材と第2通電部材が溶接されている。溶接の際に変形部材に直接エネルギーが加わらないので、変形部材の厚みが局所的に薄くなることが抑制され、変形部材の耐圧(強度)が向上する。ケース内の圧力が上昇したときに、電流遮断装置が駆動(変形部材の中央部が上方に移動)する前に変形部材に破壊が生じることを抑制できる。上記電流遮断装置は、変形部材に薄肉部が生じることが抑制されており、高い信頼性が確保されている。
変形部材の中央部と第2通電部材が溶接されている部分において、第2通電部材の厚みが、変形部材の厚みより薄くてもよい。上記電流遮断装置では、ケース内の圧力が上昇したときに、変形部材の中央部が第2通電部材の一部とともに上方に移動し、導通を遮断する。変形部材の中央部は第2通電部材に溶接されているので、ケース内の圧力が上昇すると、第2通電部材の溶接部分が他の部分から分離(破断)し、変形部材とともに上方に移動する。溶接部分において第2通電部材の厚みを変形部材の厚みよりも薄くすることにより、第2通電部材の溶接部分が分離(電流遮断装置が駆動)する前に変形部材に破壊が生じることを、より確実に抑制できる。
変形部材の中央部と第2通電部材が溶接されている部分よりも外側において、第2通電部材の変形部材とは反対側の面に溝が設けられていてよい。すなわち、第2通電部材は、溶接ビードの外側に溝を有していてよい。上記したように、変形部材と第2通電部材を溶接すると、溶接に伴なって溶接ビードの周囲に薄肉部が生じる。その結果、ケース内の圧力が上昇したときに、溶接に伴なって生じた薄肉部を起点として第2通電部材が破断することがある。すなわち、ケース内の圧力が所定圧に達する前に、第2通電部材が破断し、導通が遮断されることがある。溶接ビードの外側に溝を設けると、ケース内の圧力が上昇したときに、その溝を起点として第2通電部材を破断させることができる。なお、第2通電部材の破断させる圧力は、溝の深さ(溝が設けられている部分の第2通電部材の厚さ)を調整することにより容易に制御することができる。
第2通電部材に溝(溶接ビードの外側の溝)を設けられている場合、溝より外側の第2通電部材の厚みが、溝より内側の第2通電部材の厚みより厚くてよい。導通の遮断に寄与しない部分(溝より外側)の厚みを厚くすることにより、第2通電部材の強度を維持しながら、ケース内の圧力が上昇した際は第2通電部材を破断することができる。
上記電流遮断装置は、ホルダをさらに備えていてよい。ホルダは、第1通電部材を囲むようにケース内に設けられており、第1通電部材と第2通電部材の間隔を維持した状態で両者を接続していてよい。また、ホルダには、変形部材と第2通電部材の間の空間と電流遮断装置外のケース内空間を連通する連通孔が設けられていてよい。連通孔を有するホルダを用いることにより、第2通電部材に貫通孔を設けることなく、変形部材にケース内(電流遮断装置外のケース内)の圧力を加えることができる。すなわち、第2通電部材の強度を維持したまま、ケース内の圧力が上昇したときに、変形部材にケース内の圧力を加えることができる。
本明細書では、蓄電装置のケース内の圧力が所定値を超えたときに電極端子と電極の導通を遮断する電流遮断装置の製造方法も開示する。その電流遮断装置は、電極端子に接続されている第1通電部材と、第1通電部材と間隔をおいて第1通電部材に対向して配置されており、電極に接続されている第2通電部材と、第1通電部材と第2通電部材の間に配置されているとともに、端部が第1通電部材に接続されており、中央部が第2通電部材に溶接されている変形部材を備えていてよい。この製造方法では、第2通電部材の変形部材とは反対側より、第2通電部材にエネルギーを加えて変形部材の中央部と第2通電部材を溶接してよい。
図1を参照し、蓄電装置100について説明する。蓄電装置100は、二次電池であり、電流遮断装置10を備えている。蓄電装置100は、ケース1と、ケース1に収容された電極組立体3と、ケース1に固定された正極接続端子5及び負極接続端子7を備えている。なお、以下の説明では、正極接続端子5及び負極接続端子7を併せて、電極接続端子5,7と称することがある。ケース1は、金属製であり、略直方体形状の箱型部材である。ケース1の内部には、電極組立体3と電流遮断装置10が収容されている。電極組立体3は、電極接続端子5,7に電気的に接続されている。電流遮断装置10は、電極組立体3と負極接続端子7の間に配置されている。なお、ケース1の内部は、電解液が注入されており、大気が除去されている。また、電極組立体3は、電解液に浸漬している。
ケース1は、本体111と、本体111に固定された蓋部112を備えている。蓋部112は、本体111の上部を覆っている。蓋部112には、取付孔81,82が設けられている。正極接続端子5は、取付孔81を介してケース1の内外に通じている。負極接続端子7は、取付孔82を介してケース1の内外に通じている。
電極組立体3は、正極電極と負極電極とセパレータを備えている(図示省略)。セパレータは、正極電極と負極電極の間に配置されている。電極組立体3は、正極電極、負極電極及びセパレータからなる積層体(単位セル)が複数積層された構造を有している。複数の正極電極の各々は、正極集電部材と、正極集電部材上に形成されている正極活物質層を備えている。正極集電部材の一例として、アルミニウム箔が挙げられる。また、複数の負極電極の各々は、負極集電部材と、負極集電部材上に形成されている負極活物質層を備えている。負極集電部材の一例として、銅箔が挙げられる。また、電極組立体3は、正極電極毎に設けられた正極集電タブ51と、負極電極毎に設けられた負極集電タブ52を備えている。正極集電タブ51は、正極電極の上端部(電極組立体3の蓋部112側の端部)に設けられている。負極集電タブ52は、負極電極の上端部に設けられている。正極集電タブ51及び負極集電タブ52は、電極組立体3の上方(蓋部112側)に突出している。複数の正極集電タブ51は、1つに纏められて正極リード53に接続されている。複数の負極集電タブ52は、1つに纏められて負極リード54に接続されている。
正極リード53は、正極集電タブ51と正極接続端子5に接続されている。正極リード53を介して、正極集電タブ51と正極接続端子5が電気的に接続されている。正極リード53とケース1の間に、絶縁部材70が配置されている。絶縁部材70は、正極リード53とケース1(蓋部112)を絶縁している。
負極リード54は、負極集電タブ52と接続端子56に接続されている。接続端子56は、電流遮断装置10を介して負極接続端子7に電気的に接続されている。すなわち、負極リード54、接続端子56及び電流遮断装置10を介して、負極集電タブ52と負極接続端子7が電気的に接続されている。これにより、電極組立体3と負極接続端子7を接続する通電経路が形成されている。電流遮断装置10は、この通電経路を遮断することができる。電流遮断装置10の詳細については後述する。負極リード54とケース1との間に、絶縁部材71が配置されている。絶縁部材71は、負極リード54とケース1(蓋部112)を絶縁している。
蓋部112の上面(ケース1の外部)に、樹脂製のガスケット62,63が配置されている。ガスケット62,63は、絶縁性を有している。ガスケット62は、正極接続端子5に固定されている。また、正極外部端子(金属プレート)60が、ガスケット62の上面に配置されている。正極外部端子60には、貫通孔60aが形成されている。貫通孔60aは、上面側に比べ、下面側のサイズが大きくなっている。ガスケット62は、蓋部112と正極外部端子60を絶縁している。ボルト64が、貫通孔60aを通過している。具体的には、ボルト64の頭部が、貫通孔60a内に収容されている。また、ボルト64の軸部が、貫通孔60aを通って正極外部端子60の上方に突出している。正極接続端子5,正極外部端子60及びボルト64は、電気的に接続されており、正極端子を構成している。
ガスケット63は、負極接続端子7に固定されている。負極外部端子(金属プレート)61が、ガスケット63の上面に配置されている。負極外部端子61には、正極外部端子60の貫通孔60aと同様の貫通孔61aが形成されている。貫通孔61a内にボルト65の頭部が収容され、ボルト65の軸部が貫通孔61aを通って負極外部端子61の上方に突出している。ガスケット63、負極外部端子61及びボルト65の構成は、上述したガスケット62、正極外部端子60及びボルト64の構成と同様である。負極接続端子7、負極外部端子61及びボルト65は、電気的に接続されており、負極端子を構成している。
図2を参照して電流遮断装置10について説明する。電流遮断装置10は、負極接続端子7と、変形板20と、破断板30と、ホルダ80を備えている。負極接続端子7は第1通電部材の一例であり、変形板20は変形部材の一例であり、破断板30は第2通電部材の一例である。負極接続端子7は、蓋部112にかしめ固定されている。負極接続端子7は、かしめ部品(かしめ端子)である。負極接続端子7は、円筒部94、基部95及び固定部96を備えている。円筒部94は、取付孔82を通過している。また、円筒部94は、貫通孔97を備えている。基部95は環状であり、円筒部94の下端に固定されている。基部95は、ケース1の内部に配置されている。基部95は、蓋部112に沿って広がる平面を有している。基部95の面方向端部に、下方(電極組立体3側)に突出する突出部99が設けられている。また、基部95には、凹部98が形成されている。凹部98の中央に、貫通孔97が位置している。凹部98と貫通孔97は連通している。そのため、凹部98内の空間12は大気圧に保たれる。固定部96は、円筒部94の上端に固定されている。固定部96はケース1の外部に配置されている。負極接続端子7は、固定部96によってケース1(蓋部112)に固定されている。
変形板20は、導電性を有するダイアフラムである。変形板20は、負極接続端子7の下方に配置されている。変形板20は、中央部21及び外周部(端部)22を有している。変形板20の中央部21は、下方に凸となっており、破断板30に溶接されている。変形板20の外周部22は、負極接続端子7(基部95)に溶接されている。負極接続端子7の凹部98は、変形板20によって覆われている。そのため、凹部98内の空間12は、貫通孔97を介してケース1外の空間と連通しており、ケース1内の空間(ケース1内であって電流遮断装置10外の空間)から分離されている(図1も参照)。
破断板30は、導電性を有している。破断板30は、平面視において円形であり、変形板20の下方に配置されている。また、破断板30は、基部95に対向する位置に配置されている。そのため、変形板20は、負極接続端子7(基部95)と破断板30の間に配置されている。破断板30と負極接続端子7(基部95)は直接接しておらず、両者の間には間隔が設けられている。破断板30は、中央部31及び外周部32を有している。変形板20の中央部21は、破断板30の中央部31に接続(溶接)されている。破断板30の外周部32には、接続端子56が接続されている。すなわち、破断板30は、接続端子56を介して負極電極に接続されている。
破断板30の上面(変形板20側の表面)は、中央部31から外周部32にかけてほぼ平坦である。それに対して、破断板30の下面(変形板20と反対側の表面)は、外周部32に対して中央部31が窪んでいる。そのため、中央部31の厚みは、外周部32の厚みより薄い。なお、破断板30には、破断板30の上面側の空間と下面側の空間を連通する孔が設けられていない。破断板30の中央部31の下面には、変形板20と破断板30を溶接した際に形成された溶接ビード40が存在する。また、溶接ビード40に隣接する位置に、窪み42が設けられている。窪み42は、溶接ビード40と同様に、変形板20と破断板30を溶接する際に形成されたものである。破断溝33が、破断板30の下面に設けられている。破断溝33は、破断板30の中央部31と外周部32の間に設けられている。そのため、破断溝33より外側の破断板30(外周部32)の厚みは、破断溝33より内側(中央部31)の破断板30の厚みより厚い。破断溝33は、変形板20の中央部21と破断板30が溶接されている部分(破断板30の中央部31)より外側に設けられている。破断溝33の溝深さは、窪み42の深さより深い。
図3を参照し、変形板20と破断板30の接続部分について説明する。変形板20の中央部21は、破断板30の中央部31に溶接されている。また、変形板20と破断板30の溶接部分において、破断板30(中央部31)の厚みt31は、変形板20(中央部21)の厚みt21より薄い。なお、変形板20は、中央部21と外周部22で厚みが均一である。そのため、破断板30の中央部31の厚みt31は、変形板20の厚みより薄いということもできる。変形板20と破断板30を溶接する際、変形板20を治具で固定し、破断板30を変形板20に接触させた状態で、破断板30の表面(破断板30の変形板20側とは反対側の面)からレーザを照射する。溶接ビード40及び窪み42は、レーザ照射によって生じた溶接痕である。なお、上記したように、厚みt31は厚みt21より薄い。溶接する際に破断板30側からレーザ照射することにより、変形板20の表面(変形板20の破断板30側とは反対側の面)に溶接痕(溶接ビード,窪み)が生じることを抑制することができる。
図4は、破断板30の中央部31の下面を示している。なお、図4では、溶接ビード40に隣接して形成される窪み42(図3を参照)を省略している。破断溝33は、中央部31と外周部32の間で周方向に一巡している。すなわち、破断溝33は、中央部31の周囲を囲っている。破断溝33が設けられている部分の機械的強度は、破断板30において最も小さい。破断板30の中央部31に、変形板20を溶接した際に生じた溶接ビード40が存在する。溶接ビード40は、破断板30で囲まれた範囲に設けられている。このことより、変形板20は、破断板30で囲まれた範囲で破断板30に溶接されていることが分かる。
次に、図2を参照し、負極接続端子7と破断板30の接続状態について説明する。負極接続端子7と破断板30は、ホルダ80によって接続されている。ホルダ80は、負極接続端子7の基部95を囲むように、ケース1内に配置されている。ホルダ80は、上部79及び下部78を有している。上部79は、ケース1の蓋部112に沿って広がる平面を有している。上部79の中央に貫通孔79aが設けられている。負極接続端子7の円筒部94は、貫通孔79aを通過している。上部79は、ケース1の蓋部112と、負極接続端子7の基部95の間に配置されている。ホルダ80は、負極接続端子7とともに、ケース1に固定されている。ホルダ80は、絶縁性を有しており、ケース1と負極接続端子7を絶縁している。ホルダ80の下部78は、上部79の外周縁から下方に伸びている。ホルダ80の下部78は、基部95の下端より下方まで伸びている。基部95は、下部78の内側に配置されている。
破断板30は、接続層75を介してホルダ80の下端に固定されている。接続層75は、破断板30及びホルダ80の双方に溶着している。破断板30をホルダ80の下端に固定することにより、負極接続端子7(基部95)と破断板30は、直接接触することなく接続される。すなわち、ホルダ80は、負極接続端子7と破断板30を、両者の間隔を維持した状態で接続している。また、ホルダ80は、下端の一部が窪んでおり、破断板30の一部と接触していない。そのため、ホルダ80と破断板30の間の一部に、連通孔77が形成される。連通孔77は、変形板20と破断板30の間の空間14と、ケース1内の空間(電流遮断装置10外の空間)を連通している。
蓄電装置100は、ケース1内の圧力が所定値以下のときは、負極接続端子7と負極集電タブ52が電流遮断装置10を介して電気的に接続している。すなわち、負極接続端子7と負極電極の間が導通している。ケース1内の圧力が所定値を超えると、電流遮断装置10が、負極接続端子7と負極集電タブ52の導通を遮断し、蓄電装置100に電流が流れることを防止する。具体的には、ケース1内の圧力が上昇すると、空間14の圧力が上昇し、変形板20の下面にケース1内の圧力が作用する。一方、変形板20の上面には大気圧が作用する。変形板20の上面と下面に圧力差が生じる。ケース1の内圧が上昇して所定値に達すると、変形板20に対して、中央部21を上方に移動させる力が作用する。変形板20は、破断板30に接合しているため、破断板30の機械的強度の低い破断溝33を起点として破断板30が破断する。その結果、変形板20が反転し、中央部21が上方に移動し、変形板20が上方に凸の状態に変化する。これによって、破断板30と変形板20を接続する通電経路が遮断され、電極組立体3(負極電極)と負極接続端子7とが非通電状態となる。
上記したように、蓄電装置100では、ケース1内の圧力が上昇すると、変形板20の下面にケース1内の圧力が作用し、変形板20が反転することによって通電を遮断する。そのため、例えば変形板20に設計値よりも薄い部分(薄肉部)が存在すると、変形板20が反転する前に、薄肉部を起点として変形板20が破断することが起こり得る。変形板20が破断すると、変形板20の上面と下面に圧力差が生じなくなり、変形板20が反転せず、通電が遮断されないことが起こり得る。電流遮断装置10では、破断板30の表面にエネルギーを加え(レーザ照射し)、変形板20と破断板30を溶接している。そのため、変形板20の厚みが意図せず設計値より薄くなることを抑制することができる。その結果、電流遮断装置10の信頼性を向上させることができる。
また、蓄電装置100では、ホルダ80の下端の一部に窪みを形成し、変形板20と破断板30の間の空間14とケース1内の空間を連通している。そのため、破断板30に貫通孔を設けることなく、変形板20の下面にケース1内の圧力を加えることができる。破断板30の強度が低下することを抑制することができるとともに、変形板20がケース1内の空間に露出することを抑制することもできる。変形板20に電解液等が付着することが抑制され、変形板20の劣化を抑制することができる。
なお、上記実施例では、負極電極と負極端子の通電経路上に電流遮断装置を配置する例について説明した。しかしながら、電流遮断装置は、正極電極と正極端子の通電経路上に配置してもよいし、負極電極と負極端子の通電経路上及び正極電極と正極端子の通電経路上の双方に配置してもよい。
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
1:ケース
3:電極組立体
7:第1通電部材
10:電流遮断装置
20:変形部材
30:第2通電部材
80:ホルダ
100:蓄電装置
3:電極組立体
7:第1通電部材
10:電流遮断装置
20:変形部材
30:第2通電部材
80:ホルダ
100:蓄電装置
Claims (8)
- 蓄電装置のケース内の圧力が所定値を超えたときに電極端子と電極の導通を遮断する電流遮断装置であって、
前記電極端子に接続されている第1通電部材と、
前記第1通電部材と間隔をおいて前記第1通電部材に対向して配置されており、前記電極に接続されている第2通電部材と、
前記第1通電部材と前記第2通電部材の間に配置されているとともに、端部が前記第1通電部材に接続されており、中央部が前記第2通電部材に溶接されている変形部材と、
を備えており、
前記第2通電部材の前記変形部材とは反対側に、前記中央部と前記第2通電部材の溶接に伴う溶接ビードが存在する電流遮断装置。 - 前記中央部と前記第2通電部材が溶接されている部分において、前記第2通電部材の厚みが、前記変形部材の厚みより薄い請求項1に記載の電流遮断装置。
- 前記中央部と前記第2通電部材が溶接されている部分よりも外側において、前記第2通電部材の変形部材とは反対側の面に溝が設けられている請求項1又は2に記載の電流遮断装置。
- 前記溝より外側の前記第2通電部材の厚みが、前記溝より内側の前記第2通電部材の厚みより厚い請求項3に記載の電流遮断装置。
- 前記第1通電部材を囲むように前記ケース内に設けられており、前記第1通電部材と前記第2通電部材の間隔を維持した状態で両者を接続するとともに、前記変形部材と前記第2通電部材の間の空間と電流遮断装置外のケース内空間とを連通する連通孔が設けられているホルダをさらに備える請求項1から4のいずれか一項に記載の電流遮断装置。
- 請求項1から5のいずれか一項に記載の電流遮断装置を備える蓄電装置。
- 前記蓄電装置は、二次電池である請求項6に記載の蓄電装置。
- 蓄電装置のケース内の圧力が所定値を超えたときに電極端子と電極の導通を遮断する電流遮断装置の製造方法であり、
前記電流遮断装置は、
前記電極端子に接続されている前記第1通電部材と、
前記第1通電部材と間隔をおいて前記第1通電部材に対向して配置されており、前記電極に接続されている前記第2通電部材と、
前記第1通電部材と前記第2通電部材の間に配置されているとともに、端部が前記第1通電部材に接続されており、中央部が前記第2通電部材に溶接されている変形部材と、を備えており、
前記第2通電部材の前記変形部材とは反対側より前記第2通電部材にエネルギーを加えて前記中央部と第2通電部材を溶接する、電流遮断装置の製造方法。
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