JP2018197290A - 抗菌抗カビ用塗料、及び該塗料を用いる抗菌抗カビ性部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、公共施設のみならず一般家庭においても、様々な部材に抗菌性や抗カビ性を付与することが望まれている。
特に、無機系抗菌剤については、従来、銀イオン(Ag+)、亜鉛イオン(Zn2+)、及び二価銅イオン(Cu2+)等の金属イオンが微生物の増殖を抑制し、又は微生物に対して殺菌的に作用することが知られている(例えば、特許文献1)。この知見に基づいて、これらの金属イオンをゼオライトやシリカゲル等の物質に担持させた抗微生物材料や、上記金属と光触媒作用を有する酸化チタンと組み合わせた抗微生物材料等も多数開発されている。
そのため、銀よりも廉価な金属を抗菌抗カビ成分として用いた抗菌抗カビ用塗料の開発が望まれている。
本発明の抗菌抗カビ用塗料は、平均粒子径が1nm以上500nm以下の銅酸化物粒子と、リン酸基を有する有機化合物と、樹脂バインダーと、溶媒とを含む抗菌抗カビ用塗料であって、前記銅酸化物粒子の含有量が0.5質量%以上50質量%以下であり、前記リン酸基を有する有機化合物の含有量が0.05質量%以上20質量%以下であり、前記樹脂バインダーの含有量が0.05質量%以上40質量%以下であり、前記溶媒の含有量が5質量%以上99.4質量%以下であることを特徴とする。
本発明の抗菌抗カビ用塗料においては、前記樹脂バインダーがアクリレート基またはメタクリレート基の少なくともいずれか一方を有することが好ましい。
また、本発明の抗菌抗カビ用塗料においては、前記樹脂バインダーがリン酸基を有することも好ましい。
本発明に係る抗菌抗カビ性部材の製造方法は、上記抗菌抗カビ用塗料を用いるため、基材表面の全体又は所望の部分のみに、所望のパターンで優れた抗菌抗カビ性を付与した抗菌抗カビ性部材を提供することができる。
まず、本発明の抗菌抗カビ用塗料(本明細書中において「本発明の塗料」とも称する)について詳細に説明する。
本発明の抗菌抗カビ用塗料は、平均粒子径が1nm以上500nm以下の銅酸化物粒子と、リン酸基を有する有機化合物と、溶媒と、樹脂バインダーとを所定の含有量で含むことが特徴である。
本発明の塗料は、抗菌抗カビ成分として、所定の平均粒子径を有する銅酸化物粒子を所定の含有量で含む。銅酸化物粒子の具体例としては、酸化第一銅粒子、酸化第二銅粒子、又はその他の酸化数の酸化銅粒子、コア部が銅でありシェル部がいずれかの酸化数の酸化銅であるコア/シェル構造を有する粒子などが挙げられる。これら粒子は、少量の不純物として金属塩及び/又は金属錯体を含んでもよい。その中でも酸化第一銅粒子は抗菌抗カビ性が優れるため、好ましい。
本発明において、銅酸化物粒子の平均粒子径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。より具体的には、塗料に使用される溶媒中に分散させた銅酸化物粒子を測定対象とし、動的光散乱法を用いて測定した信号を、光子相関法で解析して自己相関関数を求め、求めた自己相関関数をキュムラント法で解析して平均粒子径を求めることができる。
本発明の銅酸化物粒子は、1nm以上500nm以下の平均粒子径を有することにより、塗料中での分散安定性が向上し、よって、塗料の抗菌抗カビ性能を向上させることができる。また、塗料の塗工性を向上させることができ、よって、塗料の基材表面への塗布方法として印刷法を用いることを可能にする。
平均一次粒径とは、画像解析により複数の一次粒子について求めた一次粒径の平均値をいう。ここで、一次粒径とは、分散媒中に分散させた酸化第一銅ナノ粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察したときに、取得される画像データから求められる一次粒子の粒子径をいい、通常、画像の任意の箇所を切り取り、この箇所に含まれる100個以上の粒子について、その一次粒径の平均値を求めて、平均一次粒径を算出する。
(1)ポリオール溶剤中に、水と銅アセチルアセトナト錯体を加え、一旦有機銅化合物を加熱溶解させ、次に、反応に必要な水を後添加し、さらに昇温して有機銅の還元温度で加熱する加熱還元する方法。
(2)有機銅化合物(銅-N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン錯体)を、ヘキサデシルアミン等の保護剤存在下、不活性雰囲気中で、300℃程度の高温で加熱する方法。
(3)水溶液に溶解した銅塩をヒドラジンで還元する方法。
この中でも、(3)の方法は操作が簡便で、かつ、粒径の小さい銅酸化物粒子や酸化第一銅粒子が得られるので好ましい。
本実施形態の塗料は、分散剤として、リン酸基を有する有機化合物を所定の含有率で含む。当該有機化合物中のリン酸基が銅酸化物粒子に吸着し、当該有機化合物間の立体障害効果によって銅酸化物粒子同士の凝集を抑制することができる。
前記有機化合物の数平均分子量は、特に制限はないが、300〜30000であることが好ましい。数平均分子量が300以上であると、得られる塗料の分散安定性が増す傾向があり、また、30000以下であると、塗料塗布後の焼成がしやすい。
前記有機化合物1分子中のリン酸基の数は、特に制限はないが、1個であることが好ましい。1個の場合、分散安定性に優れるので好ましい。
前記有機化合物の具体例としては、ビックケミー社製の「Disperbyk(登録商標)−142」、「Disperbyk−145」、「Disperbyk−110」、「Disperbyk−111」、「Disperbyk−118」、「Disperbyk−180」、「Byk(登録商標)−9076」、第一工業製薬製の「プライサーフ(登録商標)M208F」、「プライサーフDBS」などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
上記以外に、リン酸基を有する有機化合物として、リン酸基を有する樹脂バインダーも使用可能である。リン酸基を有する樹脂バインダーは、樹脂バインダー成分としての機能と、銅酸化物粒子の分散剤としての機能を併せ持つ。リン酸基を有する樹脂バインダーは、1種を単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。また、上記のようなリン酸基を有する有機化合物と併用してもよい。リン酸基を有する樹脂バインダーの詳細については、後述する。
本発明の塗料は、分散媒として、溶媒を所定の含有量で含む。溶媒は、単一溶媒であっても混合溶媒であってもよい。
単一溶媒としては、20℃における蒸気圧が0.010Pa以上20Pa未満である溶媒(以下、「溶媒(A)」とも称する)であっても、20℃における蒸気圧20Pa以上150hPa以下である溶媒(以下、「溶媒(B)」とも称する)であってもよい。
混合溶媒としては、2種以上の溶媒(A)からなる混合溶媒でも、2種以上の溶媒(B)にからなる混合溶媒でも、溶媒(A)と溶媒(B)との混合溶媒でもよい。中でも、溶媒(A)と、溶媒(B)との混合溶媒を用いることが好ましい。溶媒(A)と溶媒(B)との混合溶媒は、前記リン酸基を有する有機化合物と併せて用いることによって、本実施形態の塗料の大気中における分散安定性の向上と作業性とを両立させることができる。
本発明の塗料は、加工性を向上させるため、必須成分として、樹脂バインダーを所定の含有量で含む。樹脂バインダーとは、溶剤又は水に可溶性の樹脂類であり、溶剤の揮発による乾燥だけで塗膜を形成できるものや、乾燥と同時又はその後に紫外線などの光照射や加熱などによって重合、架橋、及び/又は縮合して硬化することにより塗膜を形成するものが使用可能である。これら樹脂バインダーは、銅酸化物粒子の保持と、塗膜としての強度や基材への密着性を出す為に使用される。
合成樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ラッカー、アルキッド樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂や、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂などの熱硬化樹脂などが挙げられる。
樹脂材料の具体例としては、光や熱に反応性の官能基を有し、光照射や加熱などによって重合、架橋、及び/又は縮合して硬化するモノマー類やオリゴマー類など、例えば、アクリレート基、メタクリレート基、エポキシ基、ビニルエーテル基、イソシアネート基などを有する紫外線硬化型や熱硬化型のモノマー類やオリゴマー類などが挙げられる。
天然樹脂の具体例としては、松脂、セラック、エステルガム、タールピッチなどを挙げることができる。
中でも、光硬化性樹脂バインダーがより好ましく、紫外線硬化に適したアクリレート基やメタクリレート基の少なくともいずれか一方を有する合成樹脂又は樹脂材料がさらに好ましい。
リン酸基を有する樹脂バインダーも、樹脂バインダー部分が、上述するような光硬化性や熱硬化性の合成樹脂又は樹脂材料であることが好ましく、光硬化性の樹脂又は樹脂材料であることがより好ましく、紫外線硬化に適したアクリレート基またはメタクリレート基の少なくともいずれか一方を有する合成樹脂又は樹脂材料であることがさらに好ましい。
リン酸基を有する樹脂バインダーの数平均分子量は、特に制限は無いが、銅酸化物粒子の分散剤としても機能する観点から、120〜30000であることが好ましく、1分子あたりのリン酸基の数は1個であることが好ましい。
リン酸基を有さない硬化性樹脂バインダーの市販品としては、共栄社化学(株)製ライトエステルE、ライトエステルNB、ライトエステルIBなど、ライトアクリレート(登録商標)IAA、ライトアクリレートL-A、ライトアクリレートS-A、エポライトM−1230、エポライト40E、エポライト100E、ウレタンアクリレートAH-600、ウレタンアクリレートUA-306H、ウレタンアクリレートUA-306Tなどや、DIC(株)製EPICLON(登録商標)840、EPICLON850、EPICLON855、EPICLON D-591、DIC(株)製ハイドラン(登録商標)HW-171、バーノック(登録商標)16−416、パンデックス(登録商標)P-870などを挙げることができる。
リン酸基を有する硬化性樹脂バインダーの市販品としては、共栄社化学(株)製ライトアクリレートP-1A(N)、ライトエステルP-M,ライトエステルP-1M、東邦化学工業(株)製リン酸エステル型アクリレートモノマー、ユニケミカル(株)製PhosmerM、PhosmerPE、PhosmerPPなどを挙げることができる。
例えば、非硬化性樹脂バインダーと、硬化性樹脂バインダーとを組み合わせてもよい。また、リン酸基を有さない硬化性樹脂バインダーと、リン酸基を有する硬化性樹脂バインダーとを組み合わせてもよい。
具体的に、光硬化性樹脂バインダーを使用する場合は、光重合開始剤を使用する。例えば、官能基としてアクリレート基やメタクリレート基を有する光硬化性樹脂バインダーには、BASFジャパン(株)製IRGACURE(登録商標)651、IRGACURE127、IRGACURE184、IRGACURE369Eなどのアルキルフェノンなどの光ラジカル重合開始剤を用いればよい。官能基としてエポキシ基やビニルエーテル基を有する光硬化性樹脂バインダーには、サンアプロ(株)製CPI(登録商標)−101A、CPI−200K、CPI−210S、三新化学工業(株)製サンエイド(登録商標)Si−45L、サンエイドSi−60Lなどの芳香族スルホニウム塩などの光カチオン重合開始剤を用いればよい。官能基としてエポキシ基やイソシアネート基を有する光硬化性樹脂バインダーには、和光純薬工業(株)製WPBG−266、WPBG−300など光照射で三級アミンなどの塩基を発生する光塩基開始剤などの光アニオン重合開始剤などを用いる。
また、熱硬化性樹脂バインダーを使用する場合には、熱重合開始剤を使用する。例えば、不飽和ポリエステルやビニルエステル樹脂などの熱硬化性樹脂バインダーには、アルケマ吉富(株)製t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、川口薬品(株)製BPO-SPなどの有機過酸化物などの熱ラジカル重合開始剤が、官能基としてエポキシ基を有する熱硬化性樹脂バインダーには、三菱ケミカル(株)製ST11、LV11、(株)T&K TOKA製トーマイド(登録商標)423、フジキュアー7001(登録商標)などのアミン化合物やアミド化合物などの硬化剤などを用いる。
また、リン酸基を有する有機化合物として、リン酸基を有する樹脂バインダーのみを用いる場合には、塗料100質量%中、0.05質量%以上40質量%以下であるのが好ましく、1質量%以上30質量%以下であるのがより好ましい。
本発明の塗料は、塗工性を向上させるため、任意成分として表面エネルギー調整剤を含んでもよい。これにより、基材に塗料の塗膜を形成する時、塗布された塗料塗膜の平滑性が向上して、より均一な塗膜を得ることができる。
表面エネルギー調整剤の具体例としては、Triton(登録商標) X−45、Triton X−100、Triton X、Triton A−20、Triton X−15、Triton X−114、Triton X−405、Tween(登録商標) #20、Tween #40、Tween #60、Tween #80、Tween #85、Pluronic(登録商標) F−68、Pluronic F−127、Span(登録商標) 20、Span 40、Span 60、Span 80、Span 83、Span 85、AGCセイミケミカル製の「サーフロン(登録商標)S−211」、「サーフロンS−221」、「サーフロンS−231」、「サーフロンS−232」、「サーフロンS−233」、「サーフロンS−242」、「サーフロンS−243」、「サーフロンS−611」、スリーエム製の「Novec(登録商標)FC−4430」、「NovecFC−4432」、DIC製の「メガファック(登録商標)F−444」、「メガファックF−558」等のノニオン性界面活性剤などが挙げられる。中でも含フッ素ノニオン性界面活性剤が特に好ましく、AGCセイミケミカル製の「サーフロンS−211」、「サーフロンS−221」、「サーフロンS−231」、「サーフロンS−232」、「サーフロンS−233」、「サーフロンS−242」、「サーフロンS−243」、「サーフロンS−611」、スリーエム製の「NovecFC−4430」、「NovecFC−4432」、DIC製の「メガファックF−444」、「メガファックF−558」が好適に用いられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
本発明の塗料は、上述する成分のほか、必要に応じて、塗料で一般に用いられるような他の添加剤を含んでもよい。
他の添加剤としては、可塑剤、乾燥剤、硬化剤、皮張り防止剤、平坦化剤、たれ防止剤、防カビ剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、熱線吸収剤、潤滑剤、界面活性剤、分散剤、増粘剤、粘性調整剤、安定剤、乾燥調整剤、着色剤、ラテックス等が挙げられ、さらに、別種の抗ウイルス組成物、抗菌組成物、防かび組成物、抗アレルゲン組成物、触媒、反射防止材料、遮熱特性を備える材料等も挙げられる。
本発明の塗料の25℃における粘度には特に制限はないが、JIS K5600−2−3に準拠しコーン・プレート型回転粘度計を用いて25℃で測定したずり速度が1×10-1s-1〜1×102s-1である領域において、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは30mPa・s以下である。25℃における粘度は、印刷時の均質な塗布膜の形成しやすさから、100mPa・s以下が好ましい。
本発明の塗料の25℃における粘度を上記範囲内に調整するには、必要に応じて、必須成分及び/若しくは任意成分の濃度を適宜調整するか、又は増粘剤などを適宜添加すればよい。例えば、25℃における粘度を低下させたい場合は、溶媒の濃度を増加させればよい。一方、25℃における粘度を上昇させたい場合は、銅酸化物粒子の濃度を増加させるか、又は増粘剤を添加すればよい。
増粘剤としては、特に限定はなく、塗料で通常使用されるもの全般が利用できる。
本発明の塗料の25℃における表面自由エネルギーは、特に制限はないが、好ましくは40mN/m以下、より好ましくは35mN/m以下、さらに好ましくは30mN/m以下である。後述する反転印刷において、塗料のブランケットに対する濡れ性の点から、25℃における表面自由エネルギーは40mN/m以下が好ましい。表面自由エネルギーは、接触角計を用いて測定することができる。
本発明の塗料の25℃における表面自由エネルギーを上記範囲内に調整するには、必要に応じて、表面エネルギー調整剤や各種溶媒の濃度を適宜調整すればよい。例えば、25℃における表面自由エネルギーを低下させたい場合は、表面エネルギー調整剤を添加若しくは増加させるか、又は表面自由エネルギーが低い溶媒(例えばフッ素系溶媒、具体的にはハイドロフルオロエーテル等)を添加若しくは増加させるか、又は混合溶媒を使用する場合はその中で表面自由エネルギーが高い溶媒の濃度を低下させればよい。一方、25℃における表面自由エネルギーを上昇させたい場合は、表面エネルギー調整剤を排除若しくは低減させるか、又は表面自由エネルギーが高い溶媒(例えば水等)を添加若しくは増加させるか、又は混合溶媒を使用する場合はその中で表面自由エネルギーが低い溶媒の濃度を低下させればよい。
本発明の抗菌抗カビ用塗料は、例えば、前述の銅酸化物粒子と、リン酸基を有する有機化合物と、溶媒とを混合して作製することができる。さらに前述の樹脂バインダーを混合する。
これらの必須成分をそれぞれ所定の割合で混合し、例えば、超音波法、ミキサー法、3本ロール法、2本ロール法、アトライター、バンバリーミキサー、ペイントシェイカー、ニーダー、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル等を用いて分散処理することにより、調製することができる。
本発明の抗菌抗カビ用塗料を調製する際、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては上述の表面エネルギー調整剤のほか、塗料に一般に用いられている上述のような添加剤、例えば、増粘剤、着色剤、分散剤、ラテックスなどを用いることができる。樹脂バインダーとして反応性官能基を有する樹脂や樹脂材料を用いた場合は、必要に応じて、それらに適合する反応開始剤も加える。
次に、本発明の抗菌抗カビ性部材の製造方法について詳細に説明する。
本発明の抗菌抗カビ性部材は、様々な方式で作製できる。例えば、基材を本発明の塗料に浸漬させることや、本発明の塗料をスプレーその他のコーティング法や各種印刷法を使って基材表面に塗布した後、前記塗料を乾燥させて、乾燥と同時に又はその後に任意により硬化させることによって、塗膜を形成することで、本発明の抗菌抗カビ性部材を製造することができる。特に、印刷法を用いて塗布することで、今までは基材全面を抗菌抗カビ材料で覆っていたところを、基材表面の塗りたい所だけ塗れるため好ましい。
基材表面に本発明の塗料を塗布し、塗膜を形成する方法としては、特に制限されず、スクリーン印刷、スプレーコート、スピンコート、スリットコート、ダイコート、バーコート、ナイフコート、エアードクターコート、ロールコート、静電塗装、オフセット印刷、反転印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、ディスペンサ印刷、グラビアダイレクト印刷、グラビアオフセット印刷、タンポ印刷などのコーティング法や印刷法などを用いることができる。また、本発明の塗料又は当該塗料を含む塗布液に浸す浸漬法も利用できる。
中でも、印刷法による塗布であれば、基材表面上に塗料を所望のパターンに直接印刷することができるため、抗菌抗カビ性が必要なところにのみ抗菌抗カビ用塗料を必要な量だけ塗布できるので好ましい。
抗菌抗カビ性を十分に得る観点からは、抗菌抗カビ性部材における銅酸化物粒子の含有量が、抗菌抗カビ性部材を100質量%として、0.001〜20質量%となるように塗布することが好ましく、0.1〜10質量%となるように塗布することがより好ましい。
本発明の塗料を基材へ塗布した後、塗料を乾燥させて、溶媒を除去する。樹脂バインダーとして光硬化性や熱硬化性の樹脂や樹脂材料を用いた場合は、任意により硬化させて、塗膜を形成させる。
本発明の塗料の乾燥方法としては、特に制限されず、加熱乾燥や自然乾燥等が挙げられる。そして、必要に応じて、乾燥と同時又はその後に、紫外線、赤外線、電子線、γ線等の光照射や加熱を行って、光重合反応や熱重合反応を起こさせることにより、樹脂バインダー成分を硬化させる。
基材上に形成された塗膜の厚みは、特に制限されず、製造される抗菌抗カビ性部材の用途などを考慮して、適宜決定することができる。抗菌抗カビ性を十分に得る観点からは、基材上の塗膜の厚みが1μm以上、10mm以下であることが好ましく、10μm以上〜5mm以下であることがより好ましい。
基材の材質は特に制限されるものではなく、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、高歪点ガラス、石英ガラス等のガラス、シリカなどガラス類、アルミナ等のセラミック、陶器、磁器等の焼き物、石材、コンクリートほか、アルミ、ステンレス、鉄等の金属類などの無機材料が挙げられる。さらに高分子材料等の有機材料、であっても良く、例えば、基材としてプラスチックなどの高分子材料や、天然原料由来の紙、木材、繊維等も基材とすることができる。
なお基材の形状としては板状に限らず、フィルム、シート、織物、不織布、立体的な構造物などであっても良い。
本発明の製造方法で製造された抗菌抗カビ性部材は、基材の全表面又は所望する表面部分のみに所望のパターンで付与された優れた抗菌抗カビ性を有し得るため、様々な用途に使用することができる。例えば、織物や不織布等が挙げられ、より具体的に、応用例としては、マスク;エアコン用フィルター、空気清浄機用フィルター、掃除機用フィルター、換気扇用フィルター、車両用フィルター、空調用フィルター等のフィルター;衣類用、寝具用、網戸用ネットや鶏舎用ネット等のネット;壁紙、窓用、天井用、車両用シート等のシート・フィルム;ドア、ブラインド、椅子、ソファー、床材等の各種設備(ウイルスを扱う設備、電車・車両、病院、ビル一般)用内装材等;が挙げられる。
本発明に係る抗菌抗カビ性部材の製造方法は、優れた抗菌抗カビ性を、基材の全表面又は所望の表面部分にのみ、所望のパターンで付与した抗菌抗カビ性部材を提供することができる。
Claims (4)
- 平均粒子径が1nm以上500nm以下の銅酸化物粒子と、リン酸基を有する有機化合物と、樹脂バインダーと、溶媒とを含む抗菌抗カビ用塗料であって、
前記銅酸化物粒子の含有量が0.5質量%以上50質量%以下であり、
前記リン酸基を有する有機化合物の含有量が0.05質量%以上20質量%以下であり、
前記樹脂バインダーの含有量が0.05質量%以上40質量%以下であり、
前記溶媒の含有量が5質量%以上99.4質量%以下である
ことを特徴とする、抗菌抗カビ用塗料。 - 前記樹脂バインダーがアクリレート基またはメタクリレート基の少なくともいずれか一方を有する、請求項1に記載の抗菌抗カビ用塗料。
- 前記樹脂バインダーがリン酸基を有する、請求項1または2に記載の抗菌抗カビ用塗料。
- 前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗菌抗カビ用塗料を、スクリーン印刷、スプレーコート、スピンコート、スリットコート、ダイコート、バーコート、ナイフコート、エアードクターコート、ロールコート、静電塗装、オフセット印刷、反転印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、ディスペンサ印刷、グラビアダイレクト印刷、グラビアオフセット印刷、及び浸漬法から選択される塗布方法を用いて、基材表面へ塗布する工程と、
塗布後に前記抗菌抗カビ用塗料を乾燥させて、前記乾燥と同時又はその後に任意により硬化させて、塗膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする、抗菌抗カビ性部材の製造方法。
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