JP2018197009A - シートベルトリトラクタ - Google Patents

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昂辰 井尻
Takayoshi Ijiri
昂辰 井尻
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【課題】簡単な構造で慣性質量体の上方向への移動を規制することができるシートベルトリトラクタを提供する。【解決手段】シートベルトリトラクタは、車両の加速度が所定値以上となったときに検知状態となる車両加速度検知機構と、車両加速度検知機構が検知状態となったときに、ウエビング引出方向への回転が阻止される巻取ドラムと、車両加速度検知機構を収納するケーシングと、を備え、車両加速度検知機構は、球状の慣性質量体が載置される円錐面を有するセンサーホルダと、センサーホルダに揺動可能に取り付けられたセンサーレバーであって、円錐面上を転動する慣性質量体によって押し上げられるセンサーレバーと、を含み、センサーレバーは、慣性質量体上に載置される椀状部を有し、この椀状部の中心には、貫通穴が設けられており、ケーシングには、貫通穴の上方から貫通穴内に貫入し、慣性質量体の上方向への移動を規制するリブが設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載されるシートベルトリトラクタに関する。
シートベルトリトラクタは、車両の衝突などで車両の速度が急激に変化したときに、慣性力で乗員が前方へ移動することによって引き出されたシートベルトであるウエビングの引き出しを阻止する。具体的に、シートベルトリトラクタは、車両加速度検知機構と巻取ドラムを含む。車両加速度検知機構は、車両の加速度が所定値以上となったときに検知状態となり、これにより巻取ドラムのウエビング引出方向への回転が阻止される。
車両加速度検知機構は、一般的に、球状の慣性質量体と、慣性質量体が載置される円錐面を有するセンサーホルダと、センサーホルダに揺動可能に取り付けられたセンサーレバーを含む。車両の加速度が所定値以上となったときにはセンサーホルダの円錐面上を転動する慣性質量体によってセンサーレバーが押し上げられ、車両加速度検知機構が検知状態となる。
ところで、車両加速度検知機構は、車両の水平方向の加速度が所定値以上となったときだけでなく、車両が上下動したときにも慣性質量体が上方向へ移動して検知状態となることがある。これを防止するために、特許文献1に開示された図7に示すシートベルトリトラクタ100では、以下のような構成が採用されている。
センサーホルダ110には、慣性質量体120が載置される円錐面111の周囲に筒状部112が設けられ、筒状部112で取り囲まれる空間がキャップ130で閉塞されている。キャップ130の中心には貫通穴131が設けられており、キャップ130と慣性質量体120の間には椀状の振子140が配置されている。振子140には、貫通穴131を通って上向きに延びる突起141が設けられており、センサーレバー150には、突起141によって操作される傘状の突起受け部151が設けられている。このような構造により、慣性質量体120の円錐面111上の転動はセンサーレバー150へ伝えられるものの、慣性質量体120の上方向への移動は規制される。
実開昭64−49457号公報
しかしながら、図7に示すシートベルトリトラクタ100では、慣性質量体120とセンサーレバー150との間に振子140およびキャップ130が必要であり、部品点数が多いという問題がある。
そこで、本発明は、簡単な構造で慣性質量体の上方向への移動を規制することができるシートベルトリトラクタを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明のシートベルトリトラクタは、車両の加速度が所定値以上となったときに検知状態となる車両加速度検知機構と、前記車両加速度検知機構が検知状態となったときに、ウエビング引出方向への回転が阻止される巻取ドラムと、前記車両加速度検知機構を収納するケーシングと、を備え、前記車両加速度検知機構は、球状の慣性質量体と、前記慣性質量体が載置される円錐面を有するセンサーホルダと、前記センサーホルダに揺動可能に取り付けられたセンサーレバーであって、前記円錐面上を転動する前記慣性質量体によって押し上げられるセンサーレバーと、を含み、前記センサーレバーは、前記慣性質量体上に載置される椀状部を有し、この椀状部の中心には、貫通穴が設けられており、前記ケーシングには、前記貫通穴の上方から前記貫通穴内に貫入し、前記慣性質量体の上方向への移動を規制するリブが設けられている、ことを特徴とする。
上記の構成によれば、センサーレバーに貫通穴を設け、かつ、通常設置されるケーシングにリブを設けるという簡単な構造で、かつ、一般的な車両加速度検知機構に比べて部品点数の増加のない安価な構造で、慣性質量体の上方向への移動を規制することができる。
本発明によれば、簡単な構造で慣性質量体の上方向への移動を規制することができる。
本発明の一実施形態に係るシートベルトリトラクタの斜視図である。 ハウジング、車両加速度検知機構およびメカニズムカバーの分解斜視図である。 車両加速度検知機構および内側ケーシングの分解斜視図である。 車両加速度検知機構が検知状態となっていないときのシートベルトリトラクタの概略的な断面図である。 車両加速度検知機構が検知状態となったときのシートベルトリトラクタの概略的な断面図である。 変形例のシートベルトリトラクタの概略的な断面図である。 従来のシートベルトリトラクタの概略構成図である。
図1に、本発明の一実施形態に係るシートベルトリトラクタ1を示す。このリトラクタ1は、図略の車体に固定されるハウジング2と、シートベルトである図略のウエビングが巻き回される巻取ドラム12と、ハウジング2に取り付けられて巻取ドラム12を回転可能に支持するプリテンショナユニット13および巻取・ロックユニット14を含む。ただし、本発明は、プリテンショナ機能を有しないリトラクタにも適用可能である。
ハウジング2には、ウエビング挿通孔11a(図2参照)を有するブラケット11が取り付けられている。ウエビング挿通孔11aには、樹脂製のプロテクタ17が嵌め込まれている。
ハウジング2は、図2に示すように、断面コ字状で上下方向に延びる部材である。より詳しくは、ハウジング2は、巻取ドラム12の軸方向(水平方向)で互いに対向する一対の側壁21,22と、側壁21,22の一端同士を連結するリア壁23を有している。リア壁23と反対側の側壁21,22の他端には、上下一対のタイバー24が取り付けられている。
側壁21,22には、貫通穴21a,22aがそれぞれ設けられており、これらの貫通穴21a,22aに巻取ドラム12が挿通される。一方の側壁22にはプリテンショナユニット13が取り付けられ、他方の側壁21には巻取・ロックユニット14が取り付けられている。
以下では、説明の便宜上、巻取ドラム12の軸方向のうち巻取・ロックユニット14側を左方、プリテンショナユニット13側を右方といい、ハウジング2の開口方向を前方、その反対方向を後方ということもある。
プリテンショナユニット13は、車両の衝突などの緊急時に、ウエビングの弛みを除去するために巻取ドラム12をウエビング巻取方向に回転させる。
巻取・ロックユニット14は、巻取ドラム12をウエビング巻取方向に付勢する巻取スプリング(図示せず)を含む。また、巻取・ロックユニット14は、車両の衝突などで車両の速度が急激に変化したとき、またはウエビングが急激に引き出されたときに、巻取ドラム12のウエビング引出方向への回転を阻止するロック機構8(図4参照)を含む。
より詳しくは、巻取・ロックユニット14は、車両の加速度が所定値以上となったことを検知するための車両加速度検知機構3(図2参照)と、ウエビングの引出速度が所定値以上となったことを検知するためのウエビング速度検知機構(図示せず)を含む。また、巻取・ロックユニット14は、ハウジング2の側壁21に固定されるメカニズムカバー15と、メカニズムカバー15に固定されるスプリングカバー16を含む。上述したロック機構8は、巻取ドラム12とメカニズムカバー15との間に配置され、図略の巻取スプリングはメカニズムカバー15とスプリングカバー16との間に配置される。
図2に示すように、車両加速度検知機構3は、ケーシング7に収納された状態で、ハウジング2の側壁21に取り付けられる。本実施形態では、ケーシング7が、左方の外側ケーシング7Aと右方の内側ケーシング7Bに分割されている。外側ケーシング7Aは、メカニズムカバー15と一体的に形成されている。内側ケーシング7Bは、側壁21に設けられた開口21bに嵌め込まれる。
車両加速度検知機構3は、車両の加速度が所定値(例えば、0.3G)以上となったときに検知状態となる。車両加速度検知機構3が検知状態となったとき、ロック機構8が巻取ドラム12のウエビング引出方向への回転を阻止する。
本実施形態では、図4に示すように、ロック機構8が、巻取ドラム12に対して所定角度だけ相対回転可能に構成されたクラッチ81と、クラッチ81と車両加速度検知機構3との間に配置された中継レバー82を含む。そして、車両加速度検知機構3が検知状態となったときに、中継レバー82が揺動してクラッチ81に係合し、これによりロック機構8の図略のその他の部材(例えば、パウルなど)が作動して巻取ドラム12のウエビング引出方向への回転が阻止される。
図3および図4に示すように、車両加速度検知機構3は、球状の慣性質量体5と、慣性質量体5の下方に配置されたセンサーホルダ4と、慣性質量体5の上方に配置されたセンサーレバー6を含む。
センサーホルダ4は、慣性質量体5が載置される円錐面42を有するベース部41と、円錐面42の後方でベース部41から立ち上がる左右一対の支柱部43を含む。
センサーレバー6は、センサーホルダ4の支柱部43に揺動可能に取り付けられており、円錐面42上を転動する慣性質量体5によって押し上げられる。より詳しくは、センサーレバー6は、支点部61および椀状部63を含む。
支点部61は、支柱部43に設けられた穴と揺動可能に係合する軸部62を有する。椀状部63は、支点部61のうち軸部62から前方に向かって延びている部分の先端に設けられており、慣性質量体5上に載置される。椀状部63の中心には、当該椀状部63を上下方向に貫通する貫通穴64が設けられている。また、椀状部63には、上向きに突出する突起65が設けられている。
図3に示すように、内側ケーシング7Bは、左方へ向かって開口する容器状であり、底壁71、前壁72、後壁73、側壁74および天井壁75を含む。この内側ケーシング7B内に、車両加速度検知機構3の右側の略半分が嵌まり込む。天井壁75には、センサーレバー6の突起65が挿通される切欠き77が設けられている。さらに、天井壁75には、センサーレバー6の貫通穴64の上方から貫通穴64内に貫入し、慣性質量体5の上方向への移動を規制するリブ76が設けられている。
図4に示すように、慣性質量体5が円錐面42の中央に位置するときには、慣性質量体5とリブ76の先端との間に僅かな隙間が形成されることが望ましい。つまり、慣性質量体5は、僅かな距離だけ上方へ移動したときにリブ76に当接し、これによりそれ以上の上方への移動が規制される。
車両の加速度が所定値以上となったときには、図5に示すように、センサーホルダ4の円錐面42上を転動する慣性質量体5によってセンサーレバー6が押し上げられ、車両加速度検知機構3が検知状態となる。その結果、上述したようにロック機構8により巻取ドラム12のウエビング引出方向への回転が阻止される。
以上説明したように、本実施形態のシートベルトリトラクタ1では、センサーレバー6に貫通穴64を設け、かつ、通常設置されるケーシング7にリブ76を設けるという簡単な構造で、かつ、一般的な車両加速度検知機構に比べて部品点数の増加のない安価な構造で、慣性質量体5の上方向への移動を規制することができる。
さらに、本実施形態のシートベルトリトラクタ1では、センサーホルダ4のベース部41の円錐面42に対する垂直方向の中心軸と天井壁75から延出するリブ76の長手方向の中心軸とを同軸上に設けている。つまり、図4に示すように、慣性質量体5が円錐面42の中央に配置された状態から、車両の加速度が所定値以上または車両の傾きが一定以上になったときに、慣性質量体5が円錐面42の中心よりいずれの径方向に転動しても、車両加速度検知機構3による検知が均一・良好に行われるという効果を有する。ただし、円錐面42の中心軸とリブ76の中心軸とが必ずしも同軸上にある必要はないことは言うまでもない。
ところで、リブ76は、先細りに形成されることが望ましい。この構成によれば、上方へ移動した慣性質量体5とリブ76の先端との接触面積が小さくなり、慣性質量体5とリブ76との当接音を低減することができるという効果が得られる。
さらに、リブ76を先細りに形成することで、円錐面42を転動、つまり斜め上方へ移動する慣性質量体5は、リブ76の先端との接触を避けること(先細りにしなければ、先端の径が大きいので接触しやすい)ができ、上述した車両加速度検知機構3による検知が均一・良好に行われるという効果をより効率よく奏することができる。
(変形例)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、図6に示す変形例のシートベルトリトラクタ1’のように、ロック機構8は中継レバー82を有さず、車両加速度検知機構3のセンサーレバー6が直接クラッチ81に係合してもよい。
また、リブ76は、内側ケーシング7Bではなく、メカニズムカバー15と一体的に形成された外側ケーシング7Aに設けられてもよい。さらに、ケーシング7の分割は、必ずしも左右である必要はなく、例えば上下であってもよい。
1,1’ シートベルトリトラクタ
12 巻取ドラム
3 車両加速度検知機構
4 センサーホルダ
42 円錐面
5 慣性質量体
6 センサーレバー
63 椀状部
64 貫通穴
7 ケーシング
76 リブ

Claims (1)

  1. 車両の加速度が所定値以上となったときに検知状態となる車両加速度検知機構と、
    前記車両加速度検知機構が検知状態となったときに、ウエビング引出方向への回転が阻止される巻取ドラムと、
    前記車両加速度検知機構を収納するケーシングと、を備え、
    前記車両加速度検知機構は、球状の慣性質量体と、前記慣性質量体が載置される円錐面を有するセンサーホルダと、前記センサーホルダに揺動可能に取り付けられたセンサーレバーであって、前記円錐面上を転動する前記慣性質量体によって押し上げられるセンサーレバーと、を含み、
    前記センサーレバーは、前記慣性質量体上に載置される椀状部を有し、この椀状部の中心には、貫通穴が設けられており、
    前記ケーシングには、前記貫通穴の上方から前記貫通穴内に貫入し、前記慣性質量体の上方向への移動を規制するリブが設けられている、シートベルトリトラクタ。
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