JP2018194649A - 複合吸音材 - Google Patents

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Abstract

【課題】柔軟に屈曲が可能であり、被取付面への取り付けを容易に行うことができる複合吸音材を提供する。【解決手段】複数の突起22を有し、各突起22内が空洞である突起板10と、複数の突起22の開放側に設けられた遮蔽板12とを有し、突起板10および遮蔽板12の少なくともいずれか一方には、複数の突起22の各空洞により形成された複数の空間24にそれぞれ連通する孔16が設けられる第1の吸音層18と、第1の吸音層18の孔16が設けられる側の面に設けられ、多孔質材料または繊維質材料により構成される第2の吸音層14と、を備える複合吸音材1である。【選択図】図2

Description

本発明は、複合吸音材に係り、特に複数の吸音層を積層した複合吸音材に関する。
住宅および公共施設などの建築物の内部、および、自動車、列車および飛行機などの乗り物の内部の音響特性を改善するために吸音材が用いられている。また、工作機械などから発生する騒音を低減するために吸音材が用いられている。
吸音材として、例えば、下記の特許文献1には、一対の鋼板で樹脂板を挟み込んで積層構造を有する制振鋼板において、積層構造がヘルムホルツ型共鳴器構造を有する構造用積層鋼板が記載されている。特許文献2には、ヘルムホルツ吸音器と板・膜振動吸音構造とを組み合わせた吸音構造が記載されている。また、特許文献3には、表層と、コア層と、裏層との少なくとも3層により形成され、表層及びコア層の底面を貫通される穴と、表面の面に、貫通される穴を閉鎖しない状態に不織布を熱溶着してなる内装用吸音部材が記載されている。
特開2011−221283号公報 特開2010−97147号公報 特許第3103516号公報
従来の繊維質や多孔質の吸音材は、低音領域での吸音効果が十分でないうえに、十分な吸音効果を得るためには、吸音材の厚みを増やさなくてはならなかった。そのため、室内であれば、居住空間が減り、機械類であれば大型化する必要があった。また、特許文献1および特許文献2に記載のヘルムホルツ共鳴器構造を有する吸音材においても、特定の周波数の音を吸音することはできるが、広い範囲の周波数の音を吸音することはできていなかった。
また、特許文献3に記載されている吸音材は、不織布とヘルムホルツ共鳴構造を組み合わせており、広い範囲の周波数の音を吸音できる。しかしながら、貫通孔を表皮材と有底円筒体とを接合した後にカッターを用いて形成しており、表皮材と有底円筒体とを貫通させるための工具の強度、および、加工方法を適切に設定しないと、所望の大きさの貫通孔が形成されず、所望の吸音特性が得られないという課題があった。また、ヘルムホルツ共鳴器がハニカム構造のような剛性になり、曲がりにくくなり、壁などの平面の施工面以外に取り付けることが困難であった。吸音材を施工面に取り付けるために、共鳴器に切り込みなどを入れるなどして施行した場合、共鳴器が成り立たなくなり、吸音効果が著しく低下していた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、柔軟に屈曲が可能であり、被取付部材の形状に制限されることなく、被取付部材への取り付けを容易に行うことができる複合吸音材を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、複数の突起を有し各突起内が空洞である突起板と、突起板の複数の突起の開放側に設けられた遮蔽板とを有し、突起板および遮蔽板の少なくともいずれか一方には、複数の突起の各空洞により形成された複数の空間にそれぞれ連通する孔が設けられる第1の吸音層と、第1の吸音層の孔が設けられる側の面に設けられ、多孔質材料または繊維質材料により構成される第2の吸音層と、を備える複合吸音材を提供する。
本発明によれば、突起内が空洞である複数の突起を有する突起板と、複数の突起の開放側に設けられた遮蔽板との間で複数の空間を形成し、複数の空間にそれぞれ連通する孔を設けることで、複数の空間と孔とで、複数のヘルムホルツの共鳴器を構成し、第1の吸音層を形成する。これにより、周波数の低い領域の音を、第1の吸音層を用いて吸収させることができる。また、多孔質材料または繊維質材料により構成される第2の吸音層を用いて、周波数の高い領域の音を吸収させることができる。したがって、広い範囲の周波数の音を効果的に吸音することができる。
また、複合吸音材が、第1の吸音層と第2の吸音層とを積層した積層体により構成されるので、複合吸音材を柔軟に屈曲させることができる。したがって、例えば、建物の円柱状の柱、または、電車内の曲面で構成された車室内などへの施行、および、取り付けを容易に行うことができる。
本発明の別の態様においては、孔は、遮蔽板に設けられていることが好ましい。
この態様によれば、遮蔽板側に作用する音を効果的に吸音することができる。
本発明の別の態様においては、第1の吸音層は、複数の空間にそれぞれ対応する吸音特性が互いに同一となるように、空間の容積、孔の開孔面積、及び孔の軸方向長さが設定されていることが好ましい。
この態様によれば、第1の吸音層の複数の空間にそれぞれ対応する吸音特性が互いに同一になるように設定されているので、第1の吸音層で、特定の周波数の音を強く吸音することができる。したがって、特定の周波数の騒音が発生する機器の騒音対策に効果的に用いることができる。
本発明の別の態様においては、第1の吸音層は、複数の空間にそれぞれ対応する吸音特性が互いに異なる少なくとも2種類以上となるように、空間の容積、孔の開孔面積、及び孔の軸方向長さが設定されていることが好ましい。
この態様によれば、第1の吸音層の複数の空間にそれぞれ対応する吸音特性が互いに異なる少なくとも2種類以上となるように設定されているので、第1の吸音層で吸音される音の周波数の領域を広げることができる。したがって、複数のピーク周波数が含まれる音に対して効果的に吸音を行うことができる。
本発明の別の態様においては、孔は、遮蔽板および突起板のそれぞれに設けられていることが好ましい。
この態様によれば、孔を遮蔽板および突起板のそれぞれに設けることで、突起板の突起と遮蔽板とで形成される空間をヘルムホルツの共鳴器として用いるとともに、複合吸音材と施工面である壁面とで形成される空間もヘルムホルツの共鳴器として用いることができる。したがって、さらに、周波数の低い領域での吸音効果を得ることができる。
本発明の別の態様においては、第1の吸音層と第2の吸音層との間にフィルム状部材を有することが好ましい。
この態様によれば、第1の吸音層と第2の吸音層との間にフィルム状部材を設け、フィルム状部材を介して、第1の吸音層と第2の吸音層とを接合することで、第1の吸音層と第2の吸音層とを熱融着により接合できない材料に対しても接着することができる。また、フィルム状部材を設けることで、孔から複合吸音材内に、埃または水分などの侵入を防止することができ、所望の吸音特性を維持することができる。
本発明によれば、広い周波数範囲で効果的に吸音することが可能であるとともに、複合吸音材が、第1の吸音層と第2の吸音層とを積層した積層体により構成されるので、複合吸音材を柔軟に屈曲させることが可能となり、被取付部材の形状に制限されることなく、被取付部材への取り付けを容易に行うことができる。
第1実施形態の複合吸音材の平面図である。 図1における2−2線に沿う断面図である。 ヘルムホルツ共鳴器の作用を説明する図である。 各吸音材の周波数と吸音率の関係を示すグラフ図である。 第1の吸音層の孔径の変化に対する周波数と吸音率の関係を示すグラフ図である。 孔の他の構成例を示す断面図である。 本発明の効果を説明する図である。 第2実施形態の複合吸音材の平面図である。 図8における9−9線に沿う断面図である。 第3実施形態の複合吸音材の平面図である。 図10における11−11線に沿う断面図である。 第4実施形態の複合吸音材の断面図である。
以下、添付図面に従って、本発明に係る複合吸音材について説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の複合吸音材1の平面図である。図2は、図1における2−2線に沿う複合吸音材1の断面図である。
第1実施形態の複合吸音材1は、第1の吸音層18と第2の吸音層14とを積層した積層体により構成される。第1の吸音層18は、樹脂からなる突起板10および遮蔽板12で構成される。第2の吸音層14は、第1の吸音層18の孔16が設けられる側の面(遮蔽板12側の面)に設けられ、多孔質材料または繊維質材料により構成される。
突起板10は、内部が空洞である複数の突起22を備える。図1および図2に示すように、突起22は平面視で円形状に形成された円柱形状で形成されている。なお、突起22の形状は特に限定されず、平面視で、三角形状、四角形状の多角形状、または、楕円形状の柱状構造とすることもできる。また、球状としてもよく、円錐、角錐、円錐台、および角錐台など、突起の先端に向かって細くなる形状とすることもできる。
突起板10を形成する樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、および、ナイロンなどのポリアミド系樹脂などを用いることができる。
突起板10の厚み(肉厚)Dは、350μm以上1700μm以下であることが好ましい。また、突起22の高さHは、4mm以上20mm以下であることが好ましく、突起22の直径Rは、5mm以上25mm以下とすることが好ましい。
遮蔽板12は、突起板10の突起22の開放側(図2において上側)に配置される。突起板10の突起22と、遮蔽板12と、により空間24が形成される。遮蔽板12を形成する樹脂材料としては、突起板10と同様に、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、および、ナイロンなどのポリアミド系樹脂などを用いることができる。突起板10と遮蔽板12は、同じ樹脂材料を用いてもよいし、異なる材料を用いてもよい。
遮蔽板12には、突起板10の突起22に対応する位置に空間24と外部とを連通する孔16を有する。すなわち、図1に示すように、平面視において、空間24と重なる位置に孔16が設けられる。孔16の数は特に限定されず、1つの突起22に対応する位置に少なくとも1つ以上の孔16が設けられていればよい。
遮蔽板12の厚みDは、350μm以上1700μm以下であることが好ましい。また、孔16の直径Rは、少なくとも突起22の直径よりも小さく、0.5mm以上5.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは、1.5mm以上5.0mm以下であり、さらに好ましくは、1.5mm以上2.0mm以下である。孔16の直径を上記範囲に設定することで、孔16を形成するための加工を容易に行うことができ、かつ、複合吸音材1の厚み方向の剛性を維持することができる。
空間24と孔16により、ヘルムホルツ共鳴器の原理を用いて、吸音効果を得ることができる。第1の吸音層18は、孔16を介して空間24と外部との連通を許容することにより、孔16による径の小さい開孔部と、その背後に位置する空洞部たる空間24とを備えた構造を有している。この開孔部に存在する空気が塊となり、この塊に対して空間24がバネのような働きをする。このように、孔16が設けられる遮蔽板12側に作用した音を空間24内に直接導いて、空間24の内壁に反射させ、突起板10の突起22を振動させる。これにより、音のエネルギーを減衰させて吸音効果を得ることができる。そして、このヘルムホルツ共鳴器を多数配置することで、効果的な吸音を行うことができる。
ヘルムホルツ共鳴器の作用について、図3に示す模式図で説明する。ヘルムホルツ共鳴器は、開孔部の開口方向に対して、強い吸音効果を有している。ヘルムホルツ共鳴器30として、空間32、および空間32と外部とを連通する開孔部34とを有する。図3に示すように、開孔部34の断面積S(すなわち、孔16の開孔面積)、開孔部34の実長l(すなわち、孔16の軸方向長さ)、および、空間32の空洞容積V(空間24の体積)などのヘルムホルツ共鳴器を構成する各要素、および、作用する音の音速Cにより、以下の式(1)から共鳴周波数が決定され、この共鳴周波数付近の領域において、共振振動が生じ、高い吸音率を得ることができる。
Figure 2018194649
ここで、fは共鳴周波数(Hz)、Cは音速(m/s)、Sは開孔部34の開孔断面積(m)、Vは空間32の空洞容積(m)、lは開孔部34の実長(m)、および、δは補正値である。
ヘルムホルツ共鳴器を用いることで、ウレタンフォーム、および、ガラスウールなどの第2の吸音層14(図2参照)では、吸音されにくい周波数の低い音を吸収することができる。また、共鳴周波数以外の周波数の音は吸収されない特性を有する。なお、吸音率とは、[100−(反射音のエネルギー<I>/入射音のエネルギー<I>)×100](%)により求めることができる。本実施形態の複合吸音材1は、孔16の開孔面積、孔16の軸方向長さ、および、空間24の体積に依存する特性を備えたヘルムホルツ共鳴器となり、これらの値を適宜設定することにより、ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数を騒音の主要な周波数に合わせることができる。したがって、騒音源の特性に合わせた吸音材を提供することができる。
図2に戻り、第1の吸音層18の孔16が設けられる側の面(遮蔽板12側の面)には、多孔質材料または繊維質材料により構成される第2の吸音層14が設けられる。第2の吸音層14は、遮蔽板12に熱溶着により接合することができる。多孔質材料で構成される第2の吸音層14として、ウレタンフォームなどを用いることができる。また、繊維質材料で構成される第2の吸音層14として、布、フェルト、ガラスウールおよびロックウールなどの繊維に多数の隙間、または、連続気泡がある材料を用いることができる。第2の吸音層14を設けることで、周波数の高い領域の音を吸音することができる。なお、図1、図2においては、孔16は遮蔽板12側に設けられているが、突起板10側に設けてもよい。この場合、第2の吸音層14は、孔16が設けられる突起板10側の面に設けることが好ましい。また、孔16は、突起板10および遮蔽板12の両方に設けることができ、この場合、第2の吸音層14は、突起板10側の面および遮蔽板12側の面のいずれか一方に設けても良く、両方に設けてもよい。第2の吸音層14を、突起板10側の面および遮蔽板12側の面の両方に設けることで、複合吸音材1の両側から作用する広い範囲の周波数の音を吸音することができる。また、第2の吸音層14の材料を、突起板10側の面と遮蔽板12側の面とで異なる材料とすることで、複合吸音材1の両側で異なる吸音特性を付与することができる。
本実施形態によれば、第2の吸音層14により、周波数の高い領域の音を吸音することができる。また、第2の吸音層14では吸音できない周波数の低い領域の音を第1の吸音層18で、吸音させることができる。これにより、広い周波数範囲で効果的な吸音を行うことができる。第2の吸音層14で周波数の低い領域の吸音効果を高めるためには、第2の吸音層14の厚さを厚くする、すなわち、第2の吸音層14の容積が必要である。本実施形態によれば、第1の吸音層18で周波数の低い領域の音を吸音できるので、第2の吸音層14の厚みを薄くすることができ、複合吸音材1全体の厚みを薄くすることができる。
このような複合吸音材は、例えば、次のような方法で製造することができる。まず、突起板10と遮蔽板12を熱溶着により接合し、多数の空間24を有する第1の吸音層18を作製する。次に、第1の吸音層18の孔16が設けられる遮蔽板12側の面(すなわち、遮蔽板12の突起板10の反対側の面)に、第2の吸音層14を配置し、その後、加熱した針状の工具を押し当てることで、遮蔽板12に孔16を形成すると同時に、第2の吸音層14を第1の吸音層18の遮蔽板12と熱溶着する。このように、加熱した針状の工具を押し当てることで、複合吸音材1を容易に製造することができる。
図4は、(1)多孔質材料(第2の吸音層)、(2)繊維質材料(第2の吸音層)、(3)共鳴型吸音器(第1の吸音層)、(4)多孔質材料(第2の吸音層)と共鳴型吸音器(第1の吸音層)の組み合わせ、(5)繊維質材料(第2の吸音層)と共鳴型吸音器(第1の吸音層)の組み合わせ、の5種類の吸音材における、周波数と吸音率の関係を示すグラフ図である。
図4に示すように、(1)多孔質材料、および、(2)繊維質材料を用いた場合、周波数が高い領域において、高い吸音率を示す。また、(3)共鳴型吸音器を用いた場合、1350Hzから1400Hz付近で最も高い吸音率を示し、(1)多孔質材料または(2)繊維質材料を用いた場合と比較し、低周波数領域において高い吸音率を示す。第2の吸音層と第1の吸音層を組み合わせることで、(4)多孔質材料と共鳴型吸音器の組み合わせおよび(5)繊維質材料と共鳴型吸音器の組み合わせのように、周波数の低い領域から高い領域までの広い範囲で高い吸音特性を有することが確認できる。
また、図5は、第1の吸音層18における孔16の孔径の変化に対する周波数と吸音率の関係を示すグラフ図である。なお、空間32の空洞容積(図3におけるV)、開孔部34の実長(図3におけるl)は同一の条件である。また、比較例として、多孔質材料であるウレタンフォーム(厚みt=25mm)についても示す。図5に示すように、孔16の孔径を大きくすることで、周波数の高い領域の吸音を行うことができる。すなわち、孔径を変更することで、吸音特性を調整することができる。また、グラフ図では示さないが、開孔部34の実長l(孔16の軸方向長さ)を変更することで、吸音特性を調整することができる。すなわち、式(1)に示すように、開孔部34の実長lを長くすることで、周波数の低い領域で共振振動が生じ、周波数の低い音を吸収することができる。また、開孔部34の実長lを短くすることで、周波数の高い領域で共振振動が生じ、周波数の高い音を吸収することができる。
第1の吸音層18の各共鳴型吸音器において、吸音特性が互いに同一となるように、孔16の開孔面積(開孔部34の開孔面積S)、孔16の軸方向長さ(開孔部34の実長l)、および、空間24の容積(空洞容積V)を設定することで、特定の周波数の音を強く吸音する吸音特性を付与することができる。したがって、図1および図2に示すように、複数の突起22で構成されるヘルムホルツ共鳴器を同一の条件で形成することで、特定の周波数の騒音が発生する機器の騒音対策に効果的に用いることができる。
また、ヘルムホルツ共鳴器の各パラメータの少なくともいずれか1つを変更することで、2種類以上の異なる周波数の音を吸音することができる。例えば、空間24の容積および孔16の軸方向長さを一定にし、孔16の開孔面積を変更する。図5で示したように、孔16の孔径を大きくする(開孔面積を大きくする)ことで、周波数の高い領域の音を吸音することができ、孔径を小さくする(開孔面積を小さくする)ことで、周波数の低い領域の音を吸音することができる。したがって、異なる吸音特性を有するヘルムホルツ共鳴器を設置することで、吸音効果が表れる周波数の領域を広げることができ、複数のピーク周波数が含まれている音に対して効果的に吸音を行うことができる。互いに異なる複数の孔径の孔16を設けた場合、その比率を変更することで、吸音される音の周波数に対する吸音特性を調整することができる。
第1の吸音層18のパラメータの変更は、上記の(1)孔16の開孔面積を変更する、ことに限定されず、(2)孔16の形状を変更する(開孔部の面積に関係する)、(3)孔16の軸方向長さを変更する(開孔部の実長に関係する)、(4)突起22の径を変更する(空間24の容積に関係する)、(5)突起22の形状を変更する(空間24の容積に関係する)、(6)突起22の高さを変更する(空間24の容積に関係する)、または、これらを複数組み合わせて行うことができる。
また、図1および図2においては、孔16は遮蔽板12にのみ形成されているが、突起板10の突起22に設けることもできる。孔16を突起22に設けることで、突起板10側から作用する音を吸引することができる。
図6は、孔16の他の構成例を示す断面図である。図2においては、孔16が、遮蔽板12の厚さ方向(図の上下方向)と平行に設けられているが、孔16を設ける方向はこれに限定されない。図6(a)に示すように、孔16は、遮蔽板12の厚み方向に対して斜めに傾けた構成としてもよい。図6(a)に示す孔16は、遮蔽板12に第2の吸音層14を配置した後、加熱した針状の工具を斜めに押し当てることで形成することができる。
第2の吸音層14の接合前に、遮蔽板12に孔16を形成することで、図6(b)に示すように、孔16のみを斜めに傾けた構成としてもよい。また、孔16は、遮蔽板12の表面側(第2の吸音層14側)と裏面側(突起板10側)との間を直線状に接続する構成に限定されず、途中で屈曲した構成としてもよいし(図6(c))、遮蔽板12の表面側から裏面側に向かって曲線状に形成された構成としてもよい(図6(d))。これらの構成(図6(b)〜(d))の場合、遮蔽板12に孔16を形成した後、遮蔽板12に第2の吸音層14を配置し、加熱した針状の工具を押し当てることで遮蔽板12と第2の吸音層14とを熱溶着し、複合吸音材1を得ることができる。また、遮蔽板12に孔16を形成するととともに、第2の吸音材14に孔を形成した後、遮蔽板12に第2の吸音層14を配置し、熱溶着することで、複合吸音材1を得ることができる。孔16の形成は、加熱した針状の工具を用いて形成する他に、ドリルおよびパンチングなどの種々の工具を用いて行う、または、タッピングにより行うことができる。
孔16の断面形状を図6に示す形状とすることで、図1および図2に示した構成(孔16を遮蔽板12の厚さ方向と平行に設けた構成)に比べて、ヘルムホルツ共鳴器の開孔部34の実長l(孔16の軸方向長さ)を長くすることができるので、遮蔽板12の厚さ(すなわち、複合吸音材1全体の厚さ)を厚くすることなく、共鳴周波数を下げることができる。また、第2の吸音層14側を正面から見た場合に、孔16を目立たないようにすることができるので、設置した複合吸音材1自体を目立たなくすることができる。
なお、本明細書において、「孔16の軸方向長さ」とは、上述した開孔部34の実長lに相当し、具体的には、孔16を遮蔽板12の厚み方向に複数の断面にて切断したときの各開孔部の中心(重心位置)を互いに結んで得られる直線を中心軸としたとき、この中心軸方向における孔の長さのことをいう。
図7は、本発明の効果を説明する図である。第1の吸音層18を突起板10および遮蔽板12のみで構成し、遮蔽板12の反対側の突起板10の突起22が形成されていない領域が開放されている。このような構成とすることで、複合吸音材1を、柔軟に屈曲させることができる。例えば、図7に示すように、遮蔽板12側に屈曲させる(図7(a))、屈曲しない(図7(b))、突起板10側に屈曲させる(図7(c))など、複合吸音材1の形状を自由に設計することができる。これにより、例えば、建物の円柱状の柱、および、電車内の曲面で構成された車室内などの、曲面で構成された壁面への施工、取り付けを容易にすることができる。
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態の複合吸音材50の平面図である。図9は、図8における9−9線に沿う複合吸音材50の断面図である。第2実施形態の複合吸音材50は、第1の吸音層18と第2の吸音層14との間にフィルム状部材として粘着フィルム52を有する点が、第1実施形態の複合吸音材1と異なっている。
第2実施形態の複合吸音材50は、例えば、次のように製造することができる。先ず、第1実施形態の複合吸音材1と同様に、突起板10と遮蔽板12を熱溶着により接合する。次に、遮蔽板12の空間24と対応する位置に、加熱した針状の工具を押し当てることで、遮蔽板12に孔16を形成し、複合吸音材50の第1の吸音層18を作製する。このようにして作製した第1の吸音層18の遮蔽板12が設けられる側の面に、粘着フィルム52を貼り、さらに、第2の吸音層14を貼ることで、複合吸音材50を製造する。
第2実施形態の複合吸音材50によれば、第1の吸音層18(遮蔽板12)と、第2の吸音層14と、を熱融着できない材料を用いた場合においても、複合吸音材を作製することができる。さらに、粘着フィルム52を設けることで、空間24内に、埃および水分の侵入を防ぐことができる。
粘着フィルム52の厚みは、孔16の直径に対して、十分小さく、粘着フィルム52に到達する音波により、粘着フィルム52が振動する厚みとする必要がある。例えば、粘着フィルム52の厚みを、孔16の直径に対して、50分の1以下の厚みとすることで、粘着フィルム52を設けても複合吸音材50の吸音特性に影響を与えずに複合吸音材50を製造することができる。なお、粘着フィルム52の厚みとは、基材となるフィルムと粘着層の合計の厚みである。
粘着フィルム52を構成する基材としては、薄膜の樹脂フィルムを用いることができる。また、粘着フィルム52を、金属薄膜(アルミ箔)などの不燃性の材料とすることで、難燃性を付与することができる。この場合、第2の吸音層14を不燃材にすることが好ましい。
第2実施形態の複合吸音材50によれば、粘着フィルム52により、埃や水分などの汚れを防止することができるので、通常、吸音材が設置される壁および天井の他に、床材としても利用することが可能となる。したがって、四方を吸音材で取り囲むことができ、吸音効果を向上させることができる。
なお、フィルム状部材として粘着フィルム52を用いた態様で説明したが、フィルム状部材は粘着フィルム52に限定されず、フィルム状部材の両面に接着剤を塗布して用いることもできる。
<第3実施形態>
図10は、第3実施形態の複合吸音材100の平面図である。図11は、図10における11−11線に沿う複合吸音材100の断面図である。第3実施形態の複合吸音材100は、突起板10と遮蔽板12とを接着剤102を用いて接合している点が、第2実施形態の複合吸音材50と異なっている。
第3実施形態の複合吸音材100によれば、突起板10および遮蔽板20を熱溶着できない材料を用いて構成する場合に、接着剤102を用いて接合できるので効果的である。熱溶着できない材料としては、アルミニウムなどの金属の材料を挙げることができる。突起板10にプレス加工やエンボス加工などにより、突起22を形成する。また、遮蔽板12に孔16を形成する。孔16の形成方法としては、ドリル、針、および、パンチングなどの種々の工具を用いて行う、または、タッピングにより行うことができる。次に、突起板10および遮蔽板12の少なくともいずれか一方の接合面に接着剤102を塗布し、他方の接合面を接着剤102を介して一方の接合面に接合することで、第1の吸音層18を作製する。その後、第2実施形態の複合吸音材50を製造する方法と同様に、粘着フィルム52を用いて第2の吸音層14を接合することで、第1の吸音層18と第2の吸音層14との積層体からなる複合吸音材100を得ることができる。
<第4実施形態>
図12は、第4実施形態の複合吸音材150の断面図である。第4実施形態の複合吸音材150は、空間24に形成された孔16が、突起板10および遮蔽板12の両側に設けられている点が、第1実施形態の複合吸音材1と異なっている。
第4実施形態の複合吸音材150によれば、遮蔽板12側に作用する音を第1の吸音層18で吸音することができる。さらに、複合吸音材150が設置される施工面である壁面と複合吸音材150との間にできる空間を利用し、低周波数領域での吸音効果が期待できる。
孔16の形成は、第1実施形態から第3実施形態において孔16を形成する方法と同様の方法により形成することができる。
1、50、100、150…複合吸音材、10…突起板、12…遮蔽板、14…第2の吸音層、16…孔、18…第1の吸音層、22…突起、24、32…空間、30…ヘルムホルツ共鳴器、34…開孔部、52…粘着フィルム、102…接着剤

Claims (6)

  1. 複数の突起を有し各突起内が空洞である突起板と、前記突起板の前記複数の突起の開放側に設けられた遮蔽板とを有し、前記突起板および前記遮蔽板の少なくともいずれか一方には、前記複数の突起の各空洞により形成された複数の空間にそれぞれ連通する孔が設けられる第1の吸音層と、
    前記第1の吸音層の前記孔が設けられる側の面に設けられ、多孔質材料または繊維質材料により構成される第2の吸音層と、
    を備える複合吸音材。
  2. 前記孔は、前記遮蔽板に設けられている請求項1に記載の複合吸音材。
  3. 前記第1の吸音層は、前記複数の空間にそれぞれ対応する吸音特性が互いに同一となるように、前記空間の容積、前記孔の開孔面積、及び前記孔の軸方向長さが設定されている請求項2に記載の複合吸音材。
  4. 前記第1の吸音層は、前記複数の空間にそれぞれ対応する吸音特性が互いに異なる少なくとも2種類以上となるように、前記空間の容積、前記孔の開孔面積、及び前記孔の軸方向長さが設定されている請求項2に記載の複合吸音材。
  5. 前記孔は、前記遮蔽板および前記突起板のそれぞれに設けられている請求項1に記載の複合吸音材。
  6. 前記第1の吸音層と前記第2の吸音層との間にフィルム状部材を有する請求項1から5のいずれか1項に記載の複合吸音材。
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