JP2018192609A - 環状部品に軸状部品を挿入する組み立て装置 - Google Patents

環状部品に軸状部品を挿入する組み立て装置 Download PDF

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青山 好高
Yoshitaka Aoyama
好高 青山
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Abstract

【課題】環状部品と軸状部品の軸心合致を正確に維持して、高い組み立て信頼性を求めるとともに、組立後の部品を円滑に移送すること。
【解決手段】環状部品6を挿入軸線O−Oと同軸状態で支持する挿入基部材27と、軸状部品1を挿入軸線O−Oと同軸状態で保持する受けヘッド59と、受けヘッド59を挿入軸線O−Oに沿って移動させる挿入作動手段64と、組み立て完了後の組立部品を挿入基部材27から送り出し通路28へ移送する移載駆動手段54を含んで構成され、挿入基部材27に円弧型受け面44が形成され、平面的に見てシャフト送出通路16と挿入基部材27と送り出し通路28が一直線上に配置されている装置である。
【選択図】図2

Description

この発明は、ワッシャのような環状部品にボルトのような軸状部品を挿入する、組み立て装置に関している。
特開平08−071870号公報には、頭部が吊り下げ状態で滑降してきたボルトを落下させて、待機しているワッシャにボルトの下部を差し込み、その後、傾斜面を吊り下げ状態で滑降させながら、頭部がワッシャに達するまでボルト軸部を挿入しきることが記載されている。
一方、特開2008−142819号公報には、吊り下げ状態で移送されてきたボルトをボルト受け部で支持し、その下方からワッシャを上昇させて、相対的にボルトをワッシャに差し込むことが記載されている。
さらに、特開2016−179540号公報には、可動式の挿入基部材において、環状部品に軸状部品を挿入し、この挿入された部品を挿入基部材と一体の状態で送り出し通路へ移行させてから、送り出すことが記載されている。
特開平08−071870号公報 特開2008−142819号公報 特開2016−179540号公報
上記特許文献1に記載された先行技術は、待機しているワッシャにボルトを落下させるものであるから、ボルトの落下軌跡が少しでも狂うと、ボルト下端がワッシャに正しく入らないこととなる。また、ボルト挿入前にボルトが何らかの外力で揺動すると、これも同様に軸部下端がワッシャに正しく入らないこととなる。このような問題を解決するためには、ボルト挿入前にワッシャとボルトが完全に同軸状態になっていて、この状態が挿入動作中にも維持されることが重要である。
上記特許文献2に記載された先行技術は、ボルト受け部で吊り下げられたボルトに対して、下からワッシャを上昇させるものであるから、ボルトとワッシャの中心が完全に合致していないと、ボルト下端がワッシャに挿入されないこととなる。とくに、ワッシャ上昇の途上でワッシャ中心がずれないようにすることが重要である。やはり特許文献1と同様に、同軸性が重要になる。
上記特許文献3に記載された先行技術は、挿入基部材において組み合わされた環状部品と軸状部品が、挿入基部材と一体になって送り出し通路へ送り出されるものであるから、挿入基部材の移動軌跡が増大し、そのための機構が複雑になる、という問題がある。また、送り出し通路への移載を確実に実行することにおいても、困難性がある。
さらに、上記各特許文献においては、長尺で質量の大きな軸状部品の移動軌跡が、直角に変向した形態であるために、円滑な部品移動が実現しにくい、という問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、環状部品と軸状部品の軸心合致を、挿入組み立て前の段階から正確に維持して、高い組み立て信頼性を求めるとともに、長尺で質量の大きな軸状部品にとってより有利な移動を行うことを目的とする。
請求項1記載の発明は、
環状部品と軸状部品が同軸の状態になって、環状部品に軸状部品が挿入されるときの中心線が挿入軸線とされ、
リング送出通路からの環状部品をその中心が前記挿入軸線と同軸となった状態で支持する円弧型受け面を備えた静止状態の挿入基部材と、
シャフト送出通路を移送されてきた軸状部品を受け止めて前記挿入軸線と同軸の状態で保持する受けヘッドと、
前記受けヘッドを挿入軸線に沿って移動させることにより軸状部品を環状部品に挿入する挿入作動手段と、
環状部品に軸状部品が挿入された組み立て完了後の組立部品を、前記挿入基部材から前記組立部品の送り出し通路へ移載するための移載駆動手段を含んで構成され、
前記リング送出通路と前記シャフト送出通路は、平面的に見て直交した位置関係とされ、
平面的に見て前記シャフト送出通路と前記挿入基部材と前記送り出し通路は、一直線上に配置してあり、
前記挿入基部材の円弧型受け面で位置決めされた環状部品は、前記組立部品とされた後、前記移載駆動手段によって前記送り出し通路の方へ移行されるように構成したことを特徴とする環状部品に軸状部品を挿入する組み立て装置である。
静止状態の挿入基部材に対して、進入してきた環状部品が円弧型受け面で受け止められて挿入軸線上に停止し、軸状部品の挿入に待機する。一方、シャフト送出通路からの軸状部品は挿入軸線上に受けヘッドで保持される。このように、環状部品と軸状部品が挿入軸線上に位置決めされるので、軸状部品は正確に環状部品に挿入されて、信頼性の高い組み立て装置がえられる。
平面的に見てシャフト送出通路と挿入基部材と送り出し通路は、一直線上に配置してあり、挿入基部材の円弧型受け面で位置決めされた環状部品は、組立部品とされた後、移載駆動手段によって送り出し通路の方へ移行される。そして、側面的に見て軸状部品は、シャフト送出通路における水平方向移動と、挿入作動手段の動作による鉛直方向の挿入移動と、水平方向の送り出し移動である。したがって、長尺で質量の大きな軸状の部材が、水平方向の直線的移動と鉛直方向の挿入移動とされるので、軸状部品に求められる移動軌跡が最も単純な形態となり、湾曲したり、傾斜したりした複合状態の移動軌跡を求めることがなく、軸状部品の円滑な移動にとって有利である。しかも、軸状部品の方向変換に要する機構を最少化できるので、装置の簡素化にとって効果的である。
リング送出通路と挿入基部材との間には、何の部材も介入することなく、環状部品は挿入基部材に、直接移載される。また、受けヘッドの移動によって軸状部品はそのまま環状部品に挿入される。このように、挿入基部材に対する環状部品や軸状部品の移動が直接的になされるので、環状部品や軸状部品の移動機構を最も単純なものとすることができ、各部品の移動軌跡を正確に維持できるとともに、構造簡素化にとって有効である。
円弧型受け面に環状部品を密着させることにより、環状部品を挿入軸線と同軸状態にすることが確実に行える。よって、環状部品の位置決めが正確に達成される。
請求項2記載の発明は、
前記環状部品を送出するパーツフィーダと、軸状部品を送出するパーツフィーダは、それぞれ円形のボウルの内側に螺旋形の搬送通路を備えた形式のものであり、搬送通路の延長上にリング送出通路とシャフト送出通路が連続させて配置してあり、
一方のパーツフィーダの搬送旋回方向は時計方向であり、他方のパーツフィーダの搬送旋回方向は反時計方向とされている請求項1記載の環状部品に軸状部品を挿入する組み立て装置である。
一方のパーツフィーダの搬送旋回方向は時計方向であり、他方のパーツフィーダの搬送旋回方向は反時計方向とされているので、両パーツフィーダのボウルを接近させて配置することができ、装置全体の小型化にとって有効である。
装置全体の簡略的な平面図である。 挿入基部材の平面図と各部の断面図である。 挿入基部材部分の断面図である。 シャフト送出通路の側面図である。 受けヘッドと挿入基部材を示す断面図である。 ボルトとワッシャの移動軌跡を示す線図である。 ボルトとワッシャを示す斜視図である。
つぎに、本発明の環状部品に軸状部品を挿入する組み立て装置を実施するための形態を説明する。
図1〜図7は、本発明の実施例を示す。
最初に、組み立ての対象となる軸状部品と環状部品を説明する。
軸状部品としては、ボルト、回転軸、支持ロッドなど種々なものがあるが、ここでは鉄製のボルトである。図7に示すように、ボルト1は頭部2と軸部3から構成され、軸部3に雄ねじ4が形成されている。頭部2には、回転工具を差し込む角孔5が設けてある。ボルト1の各部寸法は、軸部3の直径と長さがそれぞれ9mmと130mm、頭部2の直径と軸方向高さがそれぞれ16mmと11mmである。
なお、軸部3の断面形状は、円形である。
環状部品としては、ワッシャ、Oリング、ディスタンスピースなど種々なものがあるが、ここでは鉄製のワッシャである。図7に示すように、円形のワッシャ6に軸部3が挿入される挿入孔7が形成されている。ワッシャ6の各部寸法は、外径と内径がそれぞれ20mmと9.4mm、厚さが2.8mmである。
つぎに、装置全体の配置構造を説明する。
組み立て装置全体は、符号100で示されている。支持部材8は、平面的に見た形状が四角くなっている分厚くて平たい鋼板製であり、水平に配置してある。この支持部材8は基台のような役割を果たし、図示していないが、床から起立している支柱に支持されている。
軸状部品を貯留しているパーツフィーダ、すなわちボルト用パーツフィーダ12は、円形のボウル13を有している。ボウル13に円弧方向と上下方向の振動が付与されて、ボルト1が搬送通路14上を移送される。ボルト1は、寝かされた状態で螺線形の搬送通路14を時計方向に移送され、出口通路11で鉛直方向の吊り下げ状態となり、直進フィーダ15へ移行される。
寝かされたボルト1を鉛直方向に起立させて吊り下げ状態に変換する構造は、一般的に採用されている構造であり、後述の平行に配置した2本の搬送レールに頭部2を載せ、軸部3が両搬送レールの間を通過する形式である。吊り下げ構造は、図2(C)や図4(C)に示されている。ボルト1を吊り下げ状態で送出する出口通路11と、同じくボルト1を吊り下げ状態で移送する直進フィーダ15の搬送通路が一直線に連なった一連の通路を構成し、これがボルト1のシャフト送出通路16を構成している。
吊り下げ構造、すなわち首吊り構造について説明すると、図4(C)に示すように、2本の細長いレール部材17を平行に配置して、両レール部材17の上面を滑動面18とし、両レール部材17の間の空間を軸部3の通過空間19としてある。滑動面18上を頭部2の下面が滑動し、軸部3が通過空間19を通過する。符号20は、両レール部材17を一体化する結合部材であり、レール部材17の下部に溶接してある。
上記の図4(C)に示す鉛直方向の吊り下げ構造は、後述の環状部品付き軸状部品の送り出し通路28における吊り下げ構造(図2(C)参照)においても同じであり、そこにも図4(C)と同じ符号が記載してある。
なお、ワッシャ6にボルト1が挿入された環状部品付き軸状部品を、以下、「組立部品」と呼称する。
環状部品を貯留しているパーツフィーダ、すなわちワッシャ用パーツフィーダ22は、円形のボウル23を有するもので、螺線形の搬送通路24から送り出されたワッシャ6が出口通路25から送出される。上記ボルト用パーツフィーダ12と同様な振動がボウル23に付与されて、ワッシャ6が搬送通路24上を反時計方向に移送される。
出口通路25を構成する通路部材と、直進フィーダ26における通路部材の断面形状は、図2(A)のB−B断面図である図2(B)に示した形状である。すなわち、通路部材30は、扁平な通過空間を有しており、その幅や厚さ寸法はワッシャ6の外形寸法よりも僅かに大きく設定されている。そして、中央部にワッシャ6の一部が見えるように、細長い空間31が設けてある。
出口通路25のワッシャ6は、直進フィーダ26へ移行される。ワッシャ用パーツフィーダ22の出口通路25と、直進フィーダ26の搬送通路が一直線に連なった一連の通路を構成し、これによりワッシャ6のリング送出通路21を構成している。
真っ直ぐなボルト1のシャフト送出通路16と、真っ直ぐなワッシャ6のリング送出通路21が直交した状態になっている。この直交した箇所に挿入基部材27が配置してある。挿入基部材27は、支持部材8に起立状態で固定したり、支持部材8に取り付けた柱状の部材10(図4(A)参照)に固定したりして、静止状態で配置してある。挿入基部材27において、待機しているワッシャ6にボルト1の軸部3が差し込まれる。ボルト1が差し込まれた組立部品を送出する送り出し通路28が、挿入基部材27に隣接した状態で配置してある。挿入基部材27から送出された組立部品は、隣接する送り出し通路28へ直接移載される。
送り出し通路28は、ワッシャ6が組み付けられたボルト1を吊り下げ状態で送出するもので、主として直進フィーダ29によって構成されている。ワッシャ6のリング送出通路21と直進フィーダ29の送出通路32は、挿入基部材27を介して直交した状態で配置されている。直進フィーダ29から送り出されたボルト1・ワッシャ6の組立部品は、受け箱40内に転落してそこに貯留される。平面的に見てシャフト送出通路16と、送り出し通路28が挿入基部材27を介して一直線上に配列されている。そのため、リング送出通路21がシャフト送出通路16や送り出し通路28に対して、直交した位置関係とされている。
図5(A)に示すように、ボルト1は下方に待機しているワッシャ6に向って鉛直方向に下降するので、シャフト送出通路16を構成する直進フィーダ15や出口通路11は、挿入基部材27の上方に配置してある。
ボルト1が下降するものであるから、支持部材8には高低差構造が採用されている。そのために図示していないが、直進フィーダ15は、支持部材8から起立させた支柱を介して高い箇所に設置したり、直進フィーダ26は、低い基台上に設置したりしてある。
つぎに、直進フィーダについて説明する。
ボルト1のシャフト送出通路16における直進フィーダ15、ワッシャ6のリング送出通路21における直進フィーダ26、送り出し通路28における直進フィーダ29は、いずれも同じ構造であり、各直進フィーダの構成部材には、同じ番号が付してある。すなわち、支持部材8または支持部材8に固定した支持台に、傾斜した板ばね34の下部が固定され、その上部が結合部材20に固定され、電磁石35で結合部材20やレール部材17に送出振動を付与する。
つぎに、挿入基部材について説明する。
ワッシャ6とボルト1を同軸状態とし、すなわちワッシャ6の中心線とボルト1の中心線が同軸状態とされ、このほぼ鉛直方向の同軸線が挿入軸線O−Oとされている。
ワッシャ6の待機位置を設定するとともに、ワッシャ6のリング送出通路21の搬送方向と、送り出し通路28の送出通路32の搬送方向を、直交した状態で連通させる挿入基部材27が、図2(A)に示すように配置されている。挿入基部材27は、支持部材8に固定してあり、前述のように、静止状態になっている。
挿入基部材27は、直方体形状のステンレス鋼製ブロック材で作られている。その上面には、受入凹部36が形成してある。この受入凹部36は、挿入基部材27の上面を薄く削り取って形成したもので、ワッシャ6が滑り込んでくる平面状の底面37がほぼ水平方向の姿勢で形成してある。リング送出通路21からのワッシャ6を受入凹部36に受け入れるために、受入凹部36に進入開放部38が形成してある。また、組立部品とされたワッシャ6とボルト1を受入凹部36から送出するために、送出開放部39と、軸部3の鉛直方向進入と水平方向送出を可能とする開放溝41が形成してある。この開放溝41には、軸部2を受け入れる円弧面42と、軸部3が通過する開放部43が形成してある。
進入してきたワッシャ6を挿入軸線O−Oと同心状態で受け止めるために、縦壁状の円弧型受け面44が形成してある。この円弧型受け面44は、ワッシャ6の進入方向線と組立部品の送出方向線がなす直交部分の外側に配置してあり、受入凹部36を削り出しで形成するときに、同時に形成される。円弧型受け面44は、通路部材30側に向かう真っ直ぐな縦壁状のガイド面45と滑らかに連なっており、また、送り出し通路28側に向かう真っ直ぐな縦壁状のガイド面46と滑らかに連なっている。円弧型受け面44、ガイド面45、46の高さ寸法は、ワッシャ6の厚さ寸法よりもわずかに大きく設定してある。
通路部材30の端部が進入開放部38の直近まで伸びていて、ワッシャ6は、リング送出通路21から、直接受入凹部36へ導かれる。さらに、送り出し通路28におけるレール部材17の端部が送出開放部39の直近まで伸びていて、ワッシャ6とボルト1の組立部品は、受入凹部36から、直接レール部材17へ導かれる。
ワッシャ6の外周面を円弧型受け面44に密着させて、ワッシャ6の位置ずれを防止している。この密着を一層確実に維持するために、永久磁石48が挿入基部材27の上部に埋め込んである。図2(D)に示すように、底面37の斜め下方に配置してある。挿入基部材27の側面から挿入孔を開け、ここに永久磁石48を挿入し、詰め部材を溶接して封じ込んである。図2(A)から明らかなように、平面的に見て円弧型受け面44とガイド面45の境界付近と、円弧型受け面44とガイド面46の境界付近の各々に配置してある。このように、2つの永久磁石48で二箇所に吸引力を付与することによって円弧型受け面44への密着安定性が確保できる。
上述の永久磁石48の2個配置に換えて、円弧型受け面44の中央部に、図2(D)に示すような埋め込み式で1個の永久磁石48を配置することも可能である。この場合には、永久磁石48の吸引力を強めて、ワッシャ6を円弧型受け面44の中央方向へ吸引する。
なお、永久磁石48の吸引力をより強くワッシャ6に作用させるために、挿入基部材27は上述のように、非磁性材料であるステンレス鋼で作られている。
ワッシャ6が高速で送給されてきた場合には、円弧型受け面44で受け止められても、弾かれて停止位置にずれが発生する恐れがある。そのような送給速度である場合に備えて、補助部材49が進退可能な状態で挿入基部材27に取り付けてある。補助部材49は、リング送出通路21の長手方向に進退するように配置してあり、その進退動作は挿入基部材27の側面に取り付けたエアシリンダ50によって行われる。エアシリンダ50のピストンロッド52に補助部材49は結合してある。この補助部材49には円弧型受け面44と対をなす補助受け面51が形成され、進入してきたワッシャ6の半分近い領域を補助受け面51と円弧型受け面44で受け入れることとなる。この補助受け面51を、図2(A)に示すように、円弧面にすることによって、ワッシャ6の外周面の保持性をさらに向上させることができる。
したがって、高速でワッシャ6が進入してくるような搬送速度の場合には、補助部材49を動作させことによって、挿入軸線O−O上にワッシャ6が停止し、安定したワッシャ待機が実現する。
図2(E)には、補助部材49の配置状態が示してある。上方に開放した凹溝53が挿入基部材27の上部に形成してあり、そこに進退自在な状態で補助部材49が挿入してある。補助部材49は、図2(E)の紙面に対して、垂直方向に進退する。補助部材49が進出すると、補助受け面51と円弧型受け面44が対をなして、ワッシャ6の約半分を受け入れるようになる。ボルト1がワッシャに組み込まれたら、すなわち、組立部品になったら、補助部材49が後退し、組立部品が送り出し通路28のレール部材17の方へ移行できるようになる。
挿入基部材27で完成された組立部品は、ワッシャ6の進入方向から直交する方向へ送出される。この送出の動作は、移載駆動手段によって遂行される。移載駆動手段としては、直線的出力をするものであればよく、エアシリンダや進退出力式の電動モータなどが採用できる。ここでは、エアシリンダである。移載駆動手段であるエアシリンダ54は送り出し通路28の長手方向に沿って配置してあり、そのピストンロッド55の先端に押出し部材56が取り付けてある。このように、送り出し通路28とエアシリンダ54を平行に配置することによって、構造的なコンパクト化が実現する。
エアシリンダ54は図3にも示され、支持部材8から起立させた機枠などの静止部材57に結合してある。ピストンロッド55の進退方向は、レール部材17の長手方向と合致させてあり、ピストンロッド55に押出し部材56が固定してある。押出し部材56は細長い部材で、エアシリンダ54の動作で図2(A)や図3の左方へ移動することによって、組立部品の頭部2を左方へ押し出すようになっている。組立部品の頭部2に押出し力を作用させるので、つまり質量の大きな頭部2を押すので、軸部3の揺動を最小化してワッシャ6が滑動面18上を円滑に滑動できる。
つぎに、ボルトの供給について説明する。
図5には、ボルト用パーツフィーダ12からのボルト1が、直進フィーダ15から出てきて、受けヘッド59に保持されることが記載されている。
図4および図5に示すように、直進フィーダ15からのボルト1は、受けヘッド59に移載される。受けヘッド59には、軸部2が貫通する開放溝60がレール部材17側に開放した状態で形成され、そこに移載されたボルト1は、挿入軸線O−Oと同軸となるように、開放溝60の位置決めがなされている。そして、挿入軸線O−O上に挿入基部材27が配置してあり、挿入基部材27の受入凹部36や底面37に密着したワッシャ6も挿入軸線O−Oと同軸となっている。
上面側に平坦な滑動面62が形成された支持板63が、鉛直方向に進退出力をする挿入作動手段64に結合してある。具体的には、支持部材8に固定したエアシリンダが挿入作動手段64であり、エアシリンダ64が上昇すると、受けヘッド59の開放溝60が吊り下げ状のボルト1を受け入れることができる位置となり、直進フィーダ15の送出振動でボルト1が開放溝60内に進入して、挿入軸線O−Oと合致する。
ボルト1を1本ずつ受けヘッド59へ移載するために、図5(B)に示すように、通過空間19に進入して最先のボルト1を停止したり、通過空間19から後退して最先のボルト1を開放溝60へ移行させたりする進退部材69が設けてある。進退部材69は、細長い棒状の部材であり、レール部材17に取り付けたエアシリンダ70のピストンロッドで構成されている。
保持ヘッドの開放溝60に入った軸部2がむやみに揺動することを防止するために、開放溝60の奥に永久磁石65が埋設してある。支持板63は、挿入軸線O−O方向にエアシリンダ64によって昇降する。エアシリンダ64のピストンロッド68に、支持板63が固定してある。そして、支持板63の上面に直進フィーダ15の搬送方向と同方向に進退するエアシリンダ66が固定され、そのピストンロッド67が受けヘッド59に結合してある。永久磁石65に吸引された軸部3は挿入軸線O−O上で静止し、軸部3の下端が揺れ動いたりしないので、ワッシャ6への挿入が正確になされ、動作精度が向上する。
なお、図4(B)には、ワッシャ6の通路部材30に移送振動を付与する事例が図示してある。ここでも、直進フィーダ15と同じ形式の直進フィーダ26が採用されており、各部の構成については、直進フィーダ15のものと同じ符号が付してある。
つぎに、ボルトの挿入組み立て動作について説明する。
図2(A)の実線図示のとおり、補助部材49は進出した状態になっており、リング送出通路21を移動してきたワッシャ6は、その移動慣性力と永久磁石48の吸引力で底面37上を滑動しながら受入凹部36の奥まで進入し、永久磁石48の吸引力でワッシャ6の外周面が円弧型受け面44と補助受け面51に密着して位置決めがなされる。この位置決めされたワッシャ6が挿入軸線O−Oと同軸になっている。このようにして、リング送出通路21からのワッシャ6が直接的に静止した挿入基部材27へ移載され、待機状態になる。
ワッシャ6が挿入基部材27へ進入してくるのと同時またはその直後に、挿入作動手段64の下降動作によって、受けヘッド59に保持されたボルト1が挿入軸線O−Oに沿って下降し、軸部3の先端部がワッシャ6を貫通してゆく。このときには、突き出た軸部3は開放溝41内へ進入してゆき、所定進入長さに達すると、受けヘッド59がエアシリンダ66の動作で後退し、これによってボルト1は自重で落下し、頭部2の下面がワッシャ6の表面に密着して、ボルト挿入が完了する。
ボルト挿入完了後には、組立部品を送り出し通路28へ移送する。このときには、エアシリンダ50の動作で補助部材49が後退している。その後、エアシリンダ54の動作で押出し部材56が頭部2を図3の左方へ押すので、軸部3は開放溝41を抜け出るのと同時に、フランジ6がレール部材17の滑動面18上へ移載され、直進フィーダ29で目的箇所、たとえば、受け箱40に送給されて貯留される。
図6は、部品の移動経路を立体的に示した線図である。シャフト送出通路16を移送されてきたボルト1は、挿入作動手段であるエアシリンダ64の動作で挿入軸線O−Oに沿って下降し、リング送出通路21から挿入基部材27上に送給されて待機しているワッシャ6に挿入される。挿入が完了した組立部品は、送り出し通路28に沿って送り出されてゆく。
なお、上記各種のエアシリンダに換えて、進退出力をする電動モータを採用することもできる。また、上記各種の永久磁石を電磁石に置き換えることも可能である。
上記各エアシリンダに、作動空気の給排ホースが接合されているが、その図示は省略してある。
上述の各種エアシリンダを上述の作動順序にしたがって動作させたり、パーツフィーダの動作を断続させたりする種々な動作は、一般的に採用されている制御手法で容易に行うことが可能である。簡単なコンピュータ装置で構成される制御装置またはシーケンス回路などからの信号で動作する空気切換弁や、エアシリンダの所定位置で信号を発して前記制御装置に送信するセンサー等を組み合わせることによって、所定の動作を確保することができる。
なお、上記実施例は、装置発明を前提にしているが、これに換えて、図6に示すような各移動要素を組み合わせた方法発明として存在させることができる。
以上に説明した実施例の作用効果は、つぎのとおりである。
静止状態の挿入基部材27に対して、進入してきたワッシャ6が円弧型受け面44で受け止められて挿入軸線O−O上に停止し、ボルト1の挿入に待機する。一方、シャフト送出通路16からのボルト1は挿入軸線O−O上に受けヘッド59で保持される。このように、ワッシャ6とボルト1が挿入軸線O−O上に位置決めされるので、ボルト1は正確にワッシャ6に挿入されて、信頼性の高い組み立て装置がえられる。
平面的に見てシャフト送出通路16と挿入基部材27と送り出し通路28は、一直線上に配置してあり、挿入基部材27の円弧型受け面44で位置決めされたワッシャ6は、組立部品とされた後、移載駆動手段であるエアシリンダ54によって送り出し通路28の方へ移行される。そして、側面的に見てボルト1は、シャフト送出通路16における水平方向移動と、挿入作動手段64の動作による鉛直方向の挿入移動と、水平方向の送り出し移動である。したがって、長尺で質量の大きな軸状の部材が、水平方向の直線的移動と鉛直方向の挿入移動とされるので、ボルト1に求められる移動軌跡が最も単純な形態となり、湾曲したり、傾斜したりした複合状態の移動軌跡を求めることがなく、ボルト1の円滑な移動にとって有利である。しかも、ボルト1の方向変換に要する機構を最少化できるので、装置の簡素化にとって効果的である。
リング送出通路21と挿入基部材27との間には、何の部材も介入することなく、ワッシャ6は挿入基部材27の受入凹部36に、直接移載される。また、受けヘッド59の移動によってボルト1はそのままワッシャ6に挿入される。このように、挿入基部材27に対するワッシャ6やボルト1の移動が直接的になされるので、ワッシャ6やボルト1の移動機構を最も単純なものとすることができ、各部品の移動軌跡を正確に維持できるとともに、構造簡素化にとって有効である。
円弧型受け面44にワッシャ6を密着させることにより、ワッシャ6を挿入軸線O−Oと同軸状態にすることが確実に行える。よって、ワッシャ6の位置決めが正確に達成される。
ワッシャ6を送出するパーツフィーダ22と、ボルト1を送出するパーツフィーダ12は、それぞれ円形のボウル13、23の内側に螺旋形の搬送通路14、24を備えた形式のものであり、搬送通路14、24の延長上にリング送出通路21とシャフト送出通路16が連続させて配置してあり、一方のパーツフィーダ12の搬送旋回方向は時計方向であり、他方のパーツフィーダ22の搬送旋回方向は反時計方向とされている。
一方のパーツフィーダ12の搬送旋回方向は時計方向であり、他方のパーツフィーダ22の搬送旋回方向は反時計方向とされているので、両パーツフィーダのボウル13、23を接近させて配置することができ、装置全体の小型化にとって有効である。
ワッシャ6は、挿入基部材27の円弧型受け面44の形状によって、直角に変向できるので、ワッシャ6そのものに対する移動機構を採用する必要がない。また、ボルト1に対しては、受けヘッド59への挿入動作と、エアシリンダ64による鉛直方向の挿入動作と、送り出し通路28による組立部品の送り出し動作の機構だけでよいので、可動機構を最少化でき、装置全体の簡素化にとって有効である。
進退動作をする補助部材49には、円弧型受け面44と対をなす補助受け面51が形成されているので、挿入基部材27に進入してきたワッシャ6は、円弧型受け面44と補助受け面51によってより安定性の高い保持状態が確保され、ボルト1の挿入待機状態として好適である。補助部材49は進退動作式であるから、補助部材49を後退させて組立部品が確実に送り出し通路28へ移送される。
リング送出通路21からのワッシャ6は、直接挿入基部材27へ送り込まれるので、ワッシャ6が挿入軸線O−Oに対して、確実に合致する。
シャフト送出通路16からのボルト1は、挿入軸線O−O上で直接受けヘッド59に受け止められる。このように、受けヘッド59に受け止められるのと同時に、ボルト1の挿入軸線O−O上の位置決めが達成されるので、挿入動作前のワッシャ6とボルト1の相対位置が挿入軸線O−O上において設定され、挿入動作を正確に遂行することにとって効果的である。
挿入基部材27に入ってきたワッシャ6は、ボルト1が挿入された後、その進入方向とは直交する向きに送り出されるので、平面的に見てシャフト送出通路16と挿入基部材27と送り出し通路2を一直線上に配置することが行いやすくなる。とくに、直角方向に変更する角部の外側に円弧型受け面44が配置してあるので、ワッシャ6を挿入軸線O−O上に停止させたり、送り出し通路28側への送出が円滑化されたりして、部品移動が円滑に達成される。
ボルト1の頭部2を押出部材56で押すので、質量の大きな箇所に押出し力を作用させることができ、吊り下げ状態の組立部品が異常な向きに傾いたりすることがなく、バランスのよい安定した組立部品の送り出し動作がえられる。
上述のように、本発明の装置によれば、環状部品と軸状部品の軸心合致を、挿入組み立て前の段階から正確に維持して、高い組み立て信頼性を求めるとともに、長尺で質量の大きな軸状部品にとってより有利な移動を行い、高い組み立て信頼性を求めるとともに、組立後の部品を円滑に移送することができる。したがって、自動車の車体組立工程や、家庭電化製品の板金組立工程などの広い産業分野で利用できる。
1 ボルト、軸状部品
2 頭部
3 軸部
6 ワッシャ、環状部品
7 挿入孔
8 支持部材
12 ボルト用パーツフィーダ
13 ボウル
14 搬送通路
15 直進フィーダ
16 シャフト送出通路
21 リング送出通路
22 ワッシャ用パーツフィーダ
23 ボウル
24 搬送通路
26 直進フィーダ
27 挿入基部材
28 送り出し通路
29 直進フィーダ
36 受入凹部
44 円弧型受け面
49 補助部材
51 補助受け面
54 エアシリンダ、移載駆動手段
56 押出し部材
59 受けヘッド
64 エアシリンダ、挿入作動手段
68 直進フィーダ
100 組み立て装置
O−O 挿入軸線

Claims (2)

  1. 環状部品と軸状部品が同軸の状態になって、環状部品に軸状部品が挿入されるときの中心線が挿入軸線とされ、
    リング送出通路からの環状部品をその中心が前記挿入軸線と同軸となった状態で支持する円弧型受け面を備えた静止状態の挿入基部材と、
    シャフト送出通路を移送されてきた軸状部品を受け止めて前記挿入軸線と同軸の状態で保持する受けヘッドと、
    前記受けヘッドを挿入軸線に沿って移動させることにより軸状部品を環状部品に挿入する挿入作動手段と、
    環状部品に軸状部品が挿入された組み立て完了後の組立部品を、前記挿入基部材から前記組立部品の送り出し通路へ移載するための移載駆動手段を含んで構成され、
    前記リング送出通路と前記シャフト送出通路は、平面的に見て直交した位置関係とされ、
    平面的に見て前記シャフト送出通路と前記挿入基部材と前記送り出し通路は、一直線上に配置してあり、
    前記挿入基部材の円弧型受け面で位置決めされた環状部品は、前記組立部品とされた後、前記移載駆動手段によって前記送り出し通路の方へ移行されるように構成したことを特徴とする環状部品に軸状部品を挿入する組み立て装置。
  2. 前記環状部品を送出するパーツフィーダと、軸状部品を送出するパーツフィーダは、それぞれ円形のボウルの内側に螺旋形の搬送通路を備えた形式のものであり、搬送通路の延長上にリング送出通路とシャフト送出通路が連続させて配置してあり、
    一方のパーツフィーダの搬送旋回方向は時計方向であり、他方のパーツフィーダの搬送旋回方向は反時計方向とされている請求項1記載の環状部品に軸状部品を挿入する組み立て装置。
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