本発明の請求項1に記載の発明は、洗浄水により被洗浄物を洗浄する洗浄空間を覆うハウジングに設けられ、前記洗浄空間に連通する開口を形成する略矩形状の開口枠と、前記略矩形状の開口枠に対応し、前記開口を閉じる開閉自在な略矩形状の扉体とを備えるヒンジ扉であって、前記扉体は、前記開口を閉じるように開閉自在な矩形状の本体部と、前記矩形状の本体部の底辺に沿うように取り付けられた下端部と、前記下端部を上下方向に移動可能とする移動機構と、を有し、前記略矩形状の扉体が閉じられた状態で、前記下端部を、前記略矩形状の開口枠の底辺を形成する下枠部の上方の位置である上位置から、前記下枠部に当接する位置である下位置へと、前記移動機構により移動させ、前記下端部と前記下枠部とを当接させることにより、前記扉体と前記下枠部との間の隙間からの洗浄水の漏れを防止することを特徴とするヒンジ扉としたものである。
このヒンジ扉によれば、略矩形状の扉体が閉じられた状態で、下端部を下位置へと移動させ、下端部と下枠部とを当接させるだけで、特に扉体と下枠部との間の隙間の止水性を向上させることができる。これにより、洗浄空間内で飛散した洗浄水が、特に扉体と下枠部との間の隙間から、ハウジングの外側へと漏れ出ることを防止することができる。したがって、ドライシステムを採用している環境で床面を洗浄水で濡らしてしまうことを防ぐことができる。
本発明の請求項2に記載の発明は請求項1に記載の発明において、扉体が閉じられた状態で、下端部を下位置へと移動させ、前記下端部と前記下枠部とを係合させることにより、前記扉体を開けることができない施錠状態に保つことができることを特徴とするヒンジ扉としたものである。
このヒンジ扉によれば、扉体が閉じられた状態で下端部を下位置に移動するだけで、下端部と下枠部とを当接させることができるとともに、下端部と下枠部とを係合させ、扉体を施錠状態とすることができる。それにより、洗浄空間内で被洗浄物を洗浄水で洗浄しているとき、誤って扉体が開くことを防止することができる。
本発明の請求項3に記載の発明は請求項1または2に記載の発明において、扉体は開閉自在となるように、開口枠の右枠部または左枠部へとヒンジにより取り付けられ、下端部は樋状に形成されて前記扉体に飛散した洗浄水を受ける下端部樋状部を有し、前記下端部樋状部は、一方端側に前記下端部樋状部に受けた洗浄水を流出させる下端部流水口と、前記下端部流水口と反対側となる他方端側に、前記下端部樋状部に受けた洗浄水の流出を防止する流水防止壁と、を備えることを特徴とするヒンジ扉としたものである。
このヒンジ扉によれば、扉体へと飛散した洗浄水を下端部樋状部により受けて、洗浄水の勢いを弱め、下端部樋状部の一方端側に備える下端部流水口から流すことができる。これにより、扉体に飛散する洗浄水の勢いが強くとも、確実に洗浄水が扉体と下枠部との間の隙間から漏れ出ることを防止することができる。
本発明の請求項4に記載の発明は請求項3に記載の発明において、下端部樋状部は、下端部流水口をヒンジ側となる一方端側に有し、流水防止壁を下端部流水口と反対側となる他方端側に有して、ヒンジ扉の上面視で、扉体が閉じられた状態から、前記下端部流水口と下枠部とを重なるように位置させつつ、所定の位置まで扉体を開くことを可能とすることを特徴とするヒンジ扉としたものである。
このヒンジ扉によれば、下枠部樋状部に洗浄水が残っているとき、所定の位置まで扉体を開いても、下端部流水口と下枠部とが重なるように位置しているため、下端部樋状部に受けた洗浄水を下端部流水口から下枠部へと流すことができる。そして、扉を開く際にも、床面を洗浄水で濡らしてしまうことを防ぐことができる。
本発明の請求項5に記載の発明は請求項3または4に記載の発明において、下端部の、下端部流水口側を流水防止壁側より低くなるように傾斜させることを特徴とするヒンジ扉としたものである。
このヒンジ扉によれば、下端部流水口側を流水防止壁側より低くすることで、下端部樋状部に受けた洗浄水を円滑に下端部流水口から流し出すことができる。
本発明の請求項6に記載の発明は請求項1〜5に記載の発明において、扉体の本体部は、洗浄空間に向く内面の少なくとも下部に水返部を備え、前記水返部は下枠部より高い位置で洗浄空間側に突出し、樋状に形成されて洗浄水を受ける水返樋状部を有することを特徴とするヒンジ扉としたものである。
このヒンジ扉によれば、扉体へと飛散した洗浄水を、水返樋状部を有する水返部により受けて、扉体と下枠部との間の隙間への飛散する洗浄水の勢いを弱めることができる。
本発明の請求項7に記載の発明は請求項1〜6に記載の発明において、扉体は本体部の外側に回転可能な取手部を備え、移動機構は、取手部を回転することにより、下端部を上位置と下位置とに移動させることを特徴とするヒンジ扉としたものである。
このヒンジ扉によれば、扉体が閉じられた状態で、取手部のハンドルを回転するだけで、下端部を下位置に移動させ、扉体の底辺と下枠との間の隙間から洗浄水が漏れ出ることを防止することができる。また、下端部が下位置にあるとき、取手部のハンドルを回転するだけで、下端部を上位置へと移動させることができる。
本発明の請求項8に記載の発明は請求項7に記載の発明において、取手部を所定の位置まで回転することにより、下端部を上位置に移動し、前記上位置に保持することを特徴とするヒンジ扉としたものである。
このヒンジ扉によれば、扉体が閉じられた状態で、下端部が下位置にあるとき、取手部のハンドルを所定の角度まで回転して、下端部を上位置に移動して下端部と下枠部との当接を解除し、その状態を保持することができる。したがって、下端部を上位置に保持したまま扉体を開くことができるので、操作性に優れたヒンジ扉とすることができる。
本発明の請求項9に記載の発明は請求項1〜8に記載の発明において、開口を閉じる開閉自在な略矩形状の扉体は、観音開きの一対の扉体であり、前記一対の扉体はそれぞれ、下端部と移動機構とを備えることを特徴とするヒンジ扉としたものである。
このヒンジ扉によれば、観音扉の一対の扉体と下枠との間の隙間からの洗浄水の漏れを防止することができるので、開口の大きさに対して、それぞれの扉体を小型化することができる。
本発明の請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載のヒンジ扉を備えることを特徴とする洗浄装置とするものである。
この洗浄装置によれば、ハウジングに設けたヒンジ扉の、扉体と下枠部との間の隙間から、洗浄水が漏れ出すことを防止することができる。
本発明の請求項11に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載のヒンジ扉の取付方法であって、本体部に移動機構を設けること、前記移動機構に下端部を結合すること、前記本体部をハウジングに取り付けることを含むヒンジ扉の取付方法とするものである。
このヒンジ扉の取付方法によれば、扉体と下枠部との間の隙間からの洗浄水の漏れを防止することができるヒンジ扉を、洗浄装置のハウジングへ容易に取り付けることができる。
本発明の請求項12に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載のヒンジ扉を備える洗浄装置の清掃方法であって、洗浄空間で被洗浄物を洗浄するために噴射される洗浄水の噴射を停止すること、移動機構により下端部を上方に移動すること、扉体を開いて前記洗浄装置の内部を清掃することを含む洗浄装置の清掃方法とするものである。
この洗浄装置の清掃方法によれば、扉体と下枠部との間の隙間からの洗浄水の漏れを防止することができるヒンジ扉を開いて、洗浄装置内を容易に清掃することができる。
(実施形態1)
まず、本発明の洗浄装置Wについて、基本的な構成を説明する。
本明細書において、洗浄装置のハウジングに形成された開口に対して、洗浄空間に向かう方向を「奥方向」とし、洗浄空間から開口に向かう方向を「手前方向」とし、開口から奥方向を見て右方向を「右方向」とし、左方向を「左方向」とする。また、特に断りがない場合に、方向の定義は、扉体が閉じられた状態を想定して説明する。
(洗浄装置)
本発明の実施形態に係る洗浄装置Wは、食器、スプーン、杓子、トレイ、食缶等の食器類を被洗浄物Gとして、所定の温度、例えば略60度Cの洗浄水をノズルから噴射することにより被洗浄物Gを個別に洗浄する。なお、被洗浄物Gは篭に収容された状態で洗浄水を噴射し、洗浄するものとしてもよい。また、洗浄水はノズルから噴射することなく、被洗浄物Gの上方から洗浄水を流し落として、洗浄物Gを洗浄してもよい。
図1に示すように、洗浄装置Wは、ノズルNから洗浄水を被洗浄物Gに噴射して被洗浄物Gを洗浄するための洗浄空間Sを覆うハウジングHと、ハウジングHの側面に設けた複数のヒンジ扉1と、一対のスプロケットqの間で循環走行する無端コンベアからなる搬送装置Dと、洗浄水を受ける洗浄タンクTとを備える。
洗浄装置Wは、ハウジングH内の洗浄空間Sで被洗浄物Gを搬送装置Dにより搬送しつつ、高圧で噴射する洗浄水により洗浄する。ハウジングHは、被洗浄物Gを洗浄するために噴射された洗浄水をハウジングHの外側に飛散させないように、洗浄空間Sを覆うように設けている。また、ハウジングH内の洗浄空間Sの下部には、洗浄水を受ける洗浄タンクTを設けている。洗浄装置WのハウジングHは、洗浄水により腐食することがなく衛生面で優れたステンレスを材料とする。
ハウジングHの側面に設けた複数のヒンジ扉1は、洗浄空間S内で被洗浄物Gの洗浄を行う前に閉じる。そして、被洗浄物Gに噴射された洗浄水が、開口2を通じてハウジングHの外側に飛散するのを防止する。また、被洗浄物Gの洗浄前後には洗浄空間S内の清掃、点検等をするため、ヒンジ扉1を開いて、開口2を通じてハウジングHの内部と外部とを連通させる。
(ヒンジ扉)
図2、図3(A)および(B)に示すように、ヒンジ扉1は、洗浄空間Sに連通し、ハウジングHの側面に形成された開口2を形成する略矩形状の開口枠100と、開口枠100の開口2を閉じる一対の略矩形状の扉体である左扉体200、右扉体300とを備える。
本実施形態において、開口枠100は、左右対称に配置された左扉体200および右扉体300によって閉じられる。一対の扉体である左扉体200、右扉体300は、左右対称に開閉する、いわゆる観音扉である。左扉体200および右扉体300を開いたとき、開口枠100は、洗浄空間Sに連通する略矩形状の開口2を形成する。
(開口枠)
図3(C)に示すように、開口枠100は、ハウジングHの側面に設けられた上枠部110、左枠部120、右枠部130、および下枠部140からなり、上枠部110、左枠部120、右枠部130、および下枠部140をそれぞれ、開口2の上辺、側辺、底辺に沿うように有する。開口枠100の左枠部120および右枠部130には、それぞれ、ヒンジtにより左扉体200および右扉体300が開閉自在となるように取り付けられる。ヒンジtは開口枠100と左扉体200および右扉体300とを着脱自在とする抜き差し蝶番であり、上下に間隔をおいて2つ取り付けている。
上枠部110は、左右方向に左端から右端まで同一の断面形状が連続するように形成され、左端が左枠部120の上端に連続し、右端が右枠部130の上端に連続する。また、開口枠100は、上枠部110の略中央から下方に延びて下枠部140の略中央に及ぶ仮想的な中央線iを有し、中央線iで左扉体200の右端と右扉体300の左端とは近接して閉じられる。
また、図4(A)に示すように、上枠部110は、ハウジングHの上面10と、上面10の手前端から下方向に延在する第1の上枠延在部111と、第1の上枠延在部111の下端から奥方向に延在する第2の上枠延在部112と、第2の上枠延在部112の奥端から上方向に延在する第3の上枠延在部113とを備える。
第1〜第3の上枠延在部111〜113は、上方に開放する上枠コ字状部114を左右方向に同一の断面形状が連続するように形成する。第2の上枠延在部112の下面は開口2の上辺を規定する。本実施形態において、第1〜第3の上枠延在部111〜113は、ハウジングHの上面10から連続して一枚の板状部材が折り曲げられ、左右方向に同一の断面形状が連続するように形成されている。
図3(C)に示すように、左枠部120は、上下方向に同一の断面形状が連続するように形成され、上端で上枠部110の左端に連続し、また、下端で下枠部140の左端に連続する。左枠部120には、左扉体200が開閉自在となるように、ヒンジtを上下に間隔をおいて2つ取り付けている。
また、図5(A)に示すように、左枠部120は、ハウジングHの側面左部20と、側面左部20の右端から奥方向に延在する第1の左枠延在部121と、第1の左枠延在部121の奥端から右方向に延在する第2の左枠延在部122と、第2の左枠延在部122の右端から奥方向に延在する第3の左枠延在部123とを備える。
本実施形態において、第1〜第3の左枠延在部121〜123は、ハウジングHの側面左部20から連続して一枚の板状部材が折り曲げられ、上下方向に同一の断面形状が連続するように形成されている。
また、左枠部120は、上下方向に同一の断面形状が連続するように形成される左枠L字状部128を備える。左枠L字状部128は、第3の左枠延在部123と上下方向で略同一の長さである。また、左枠L字状部128は、奥端から手前方向に延在し、第3の左枠延在部123に面で結合する第4の左枠延在部124と、第4の左枠延在部124の手前端から右方向に延在する第5の左枠延在部125とを有する。
第5の左枠延在部125は、第2の左枠延在部122と組み合わさり、左扉体200の内面201を受ける左枠平面126を形成する。本実施形態において、第4および第5の左枠延在部124、125は、一枚の板状部材を折り曲げて、同一の断面形状が連続するように形成されている。
第1の左枠延在部121には、ヒンジtを取り付けている。また、第1〜第3の左枠延在部121〜123は、左扉体左部220を受ける左枠段部127を上下方向に同一の断面形状が連続するように形成する。左枠段部127と左枠L字状部128とは、ボルトとナットのような結合手段(図示なし)により、第4の左枠延在部124と第3の左枠延在部123とを面で接触させて結合する。
図3(C)に示すように、右枠部130は、上下方向に同一の断面形状が連続するように形成され、上端で上枠部110の右端に連続し、また、下端で下枠部140の右端に連続する。右枠部130には、右扉体300が開閉自在となるように、ヒンジtを上下に間隔をおいて2つ取り付けている。
図6(A)に示すように、右枠部130は、ハウジングHの側面右部30と、側面右部30の左端から奥方向に延在する第1の右枠延在部131と、第1の右枠延在部131の奥端から左方向に延在する第2の右枠延在部132と、第2の右枠延在部132の左端から奥方向に延在する第3の右枠延在部133とを備える。
本実施形態において、第1〜第3の右枠延在部131〜133は、側面右部30から連続して一枚の板状部材を折り曲げ、上下方向に同一の断面形状が連続するように形成している。
また、右枠部130は、上下方向で同一の断面形状が連続するように形成される右枠L字状部138を備える。右枠L字状部138は、第3の右枠延在部133と上下方向で略同一の長さである。また、右枠L字状部138は、第3の右枠延在部133の奥端から手前方向に延在し、第3の右枠延在部133に面で結合する第4の右枠延在部134と、第4の右枠延在部134の手前端から左方向に延在する第5の右枠延在部135とを有する。
第5の右枠延在部135は、第2の右枠延在部132と組み合わさり、右扉体300の内面301を受ける右枠平面136を形成する。本実施形態において、第4および第5の右枠延在部134、135は、一枚の板状部材を折り曲げ、上下方向に同一の断面形状が連続するように形成されている。
第1の右枠延在部131には、ヒンジtを取り付けている。また、第1〜第3の右枠延在部131〜133は、右扉体右部330を受ける右枠段部137を上下方向に同一の断面形状が連続するように形成する。右枠段部137と右枠L字状部138とは、ボルトとナットのような結合手段(図示なし)により、第4の右枠延在部134と第3の右枠延在部133とを面で当接させて結合している。
図3(C)に示すように、下枠部140は、左右方向(水平方向)に左端から右端まで同一の断面形状が連続するように形成され、左端が左枠部120の下端に連続し、右端が右枠部130の下端に連続する。
図7(A)に示すように、下枠部140は、ハウジングHの側面下部40から接続し、下方から上方に延在する第1の下枠延在部141と、第1の下枠延在部141の上端から奥方向および下方向の斜めに延在する第2の下枠延在部142と、第1の下枠延在部141の下端から奥方向に延在する第3の下枠延在部143とを備える。第1〜第3の下枠延在部141〜143は、一枚の板状部材が折り曲げられて形成されており、左右方向に同一の断面形状が連続するように形成する。第1の下枠延在部141の上端は開口2の底辺となる。
また、下枠部140は、第3の下枠延在部143の上面において手前から奥方向に延在する第4の下枠延在部144と、第4の下枠延在部144の奥端から上方向に延在する第5の下枠延在部145とを備え、これら第4の下枠延在部144と第5の下枠延在部145とは下枠L字状部146を形成している。
第4および第5の下枠延在部144、145は、一枚の板状部材が折り曲げられて形成され、また当該一枚の板状部材は第5の下枠延在部145の上端にて折り返されている。これにより、下枠L字状部146の強度を向上し、形状を維持しやすくすることができる。第4および第5の下枠延在部144、145は、折り曲げられた形状を維持して左右方向に同一の断面形状が連続するように形成される。第1〜第5の下枠延在部141〜145は、上方に開放する下枠樋状部147を左右方向に同一の断面形状が連続するように形成する。
(扉体)
図3(A)および(B)に示すように、一対の扉体である左扉体200、右扉体300において、左扉体200は左枠部120に、右扉体300は右枠部130に、それぞれ一対のヒンジtにより取り付けられている。左扉体200と右扉体300は、取手部pの把持する部位であるハンドル(符号なし)を把持して、それぞれ一対のヒンジtの上下方向の軸(図示なし)を中心に回転させて、開閉することができる。
両取手部pは、左扉体200および右扉体300の中央線i寄りの位置に設けられており、中央線iを挟んで肩幅程度の間隔をおいて取り付けられている。両取手部pはハンドルを把持することで、ハンドルが鉛直方向から、左扉体200の取手部pは右回り(時計回り)に、右扉体300の取手部pは左回り(反時計回り)に略90度の範囲で回転可能となるように取り付けられている。
以下、左扉体200、右扉体300でそれぞれ共通する構成について右扉体300を例に、図7〜図10を参照ながら説明する。
図8に示すように、右扉体300は、内板構成体360および外板構成体370からなる本体部380と、本体部380の外板構成体370に設けられた下端部410と、移動機構420と、接続機構430とを備える。内板構成体360と外板構成体370とは、略同一の矩形状の、内板外周枠362と外板外周枠372とを有する。本体部380は、開口2に対応した矩形状に形成し、下端部410は矩形状の本体部380の底辺に沿って、長手方向の長さを矩形状の本体部380の底辺と略同じ長さとして、本体部380の下部に設けられる。
内板構成体360は洗浄空間に面するように内面301を有し、外板構成体370はハウジングHの外側に面するように外面302を有する。また、内板構成体360と外板構成体370との間に収容空間kを形成し、収容空間kは移動機構420および接続機構430を収容する。
本体部380の内板構成体360は、洗浄空間Sに面する内板部361と、内板部361の矩形状の外周に形成された内板外周枠362とを有する。本実施形態において、内板外周枠362は、一枚の板状部材である内板構成体360の外周部を手前側に折り込んで形成する。内板構成体360は、内面301の下方に水返部390と、内面301の中央に把持部363とを有する。
図7(B)および(C)に示すように、水返部390は、上下方向に延在し内板部361に結合される水返結合部399と、水返結合部399の下端から奥方向および下方向の斜めに延在する第1の水返延在部391と、第1の水返延在部391の奥端から下方向に延在する第2の水返延在部392と、第2の水返延在部392の下端から奥方向に延在する第3の水返延在部393と、第3の水返延在部393の奥端から上方に延在する第4の水返延在部394とを備える。
本実施形態において、水返結合部399と第1〜第4の水返延在部391〜394とは、一枚の板状部材を折り曲げ、左右方向に同一の断面形状が連続するように形成している。第2〜第4の水返延在部392〜394は水返部390の端部として、上方に開放するコ字状の水返樋状部395を形成している。水返樋状部395は、扉体の開閉に支障がないように下枠部140より高い位置に配置し、右扉体300をヒンジtにより右枠部130へ取り付けて、右扉体300を開閉する際に、水返樋状部395が下枠部410に接触しないように設けている。
図8に示すように、水返樋状部395は、左右方向に同一の断面形状が連続するように形成している。水返樋状部395は、ヒンジt側である一端側に開口する水返流水口396と、反対側である他端側に鉛直方向に立ち上げた壁となる流水防止壁397とを有する。水返樋状部395に受けた洗浄水について、詳しくは後述するが、流水防止壁397によりヒンジt側とは反対側である他端側から洗浄水が流れ出るのを防止し、ヒンジt側である一端側から水返流水口396から流す。なお、水返樋状部395は、水返流水口396側が下方となるように傾斜してもよい。そうすることにより、水返樋状部395に受けた洗浄水を円滑にヒンジt側である一端側から流すことができる。
図8および図9に示すように、本体部380の外板構成体370は、ハウジングHの外側に面する外板部371と、外板部371の矩形状の外周に形成された外板外周枠372とを有する。本実施形態において、外板外周枠372は、一枚の板状部材である外板構成体370の外周部を奥側に折り込んで、さらに折り曲げることで外板部371に対向する面を形成される。外板構成体370の下部に下端部410を設け、外板構成体370の内側に移動機構420および接続機構430を設けている。なお、図2に示すように、取手部pは、外板構成体370の外面302側に設けている。
外板構成体370は、外板外周枠372の洗浄空間Sに向かう面で、外板外周枠372の左右に、一対の段付きピン(係合凸部)373を有する。また、内板構成体360は、内板外周枠362の外板構成体370に対向する面の左右に、一対の段付きピン(係合凸部)373に対応するだるま穴(係合凹部)(図示なし)を有する。だるま穴を段付きピン373に掛けるように係合することにより、外板構成体370に内板構成体360を取り付けて、本体部380を構成している。
(下端部)
図7(B)および(C)に示すように、下端部410は、上下方向に延在する第1の下端部延在部411と、第1の下端部延在部411の下端から奥方向に延在する第2の下端部延在部412と、第2の下端部延在部412の奥端から上方に延在する第3の下端部延在部413と、第3の下端部延在部413の上端から奥方向に延在する第4の下端部延在部414と、第4の下端部延在部414の奥端から下方に延在する第5の下端部延在部415とを有する。
第1〜第3の下端部延在部411〜413は、上方に開放するコ字状の下端部樋状部416を形成している。また、第4および第5の下端部延在部414、415はL字状の下端部返し部417を形成している。本実施形態において、下端部樋状部416と下端部返し部417は、一枚の板状部材を折り曲げて形成し、左右方向に同一の断面形状が連続するように形成している。
図10に示すように、下端部410の下端部樋状部416は、ヒンジt側である一端側に開口する下端部流水口418と、反対側である他端側に鉛直方向に立ち上げた壁となる流水防止壁419とを有する。下端部樋状部416に受けた洗浄水について、詳しくは後述するが、下端部樋状部416は、洗浄空間Sから右扉体300に飛散した洗浄水のうち、水返部390により受けることができなかった洗浄水を受ける。下端部樋状部416は、流水防止壁419により洗浄水が流れ出るのを防止し、下端部流水口418から流す。流水防止壁419は、下端部樋状部416の他端側から洗浄水が漏れ出さないように、折り曲げた下端部の他端を溶接により接合して形成している。
図7(B)および(C)に示すように、下端部410は、第1の下端部延在部411が外板構成体370の左右側の面に有するスリット状の溝部375に差し込まれた状態で、右扉体300に取り付ける。後述するが、下端部410は接続機構430と移動機構420とにより上下動できるように構成されているが、下端部410を上下動させても第1の下端部延在部411が外板外周枠372に干渉することなく、下端部410を上下動させることができる。下端部樋状部416は、上方向へと移動させると、上方に向けて開口するコ字状の中に右扉体300の下端を受け入れる。
(移動機構と接続機構)
図9に示すように、移動機構420と接続機構430とは、本体部380の外板外周枠372の枠内に設けられ、下端部410は、移動機構420を介して接続機構430に接続している。接続機構430の回転部432を軸部431を中心として回転させることにより、接続機構430に接続した移動機構420を上下に移動させる。移動機構420が上下に移動する際には、案内部422により略鉛直方向に移動できるよう案内する。以下、移動機構420と接続機構430とについて右扉体300を例に、図9を参照しながら詳細に説明する。
移動機構420は、下端部410に連結する移動部421と、移動部421を上下動可能に案内する一対の案内部422とを備える。移動部421は、左右方向に略水平に配置された横桟部423と、横桟部423と接続部434とを軸支する軸部425と、横桟部423の両側から下方に延びる一対のシャフト424とを有する。一対のシャフト424の下端は、第1の下端部延在部411の長手方向に間隔を置いた2点で、下端部410と結合する。
案内部422は、一対のシャフト424を外側から支持するローラ426と、ローラ426を取り付けた一対のブラケット部427とを備える。ローラ426は、外板外周枠372へネジ(図示なし)により固定されたブラケット部427に、上下方向に間隔をおいて2つ回転可能に取り付けられる。また、ローラ426は、シャフト424が上下動する際に回転し、シャフト424が略鉛直方向に円滑に移動できるよう支持する。
横桟部423は、左右方向の両端を下方に略直角に折り曲げることで、横桟折曲部450を形成する。また、各ブラケット部427の上端を奥側に略直角に折り曲げることで上端折曲部452を形成する。各横桟折曲部450が案内部422の一対のブラケット部427の上端折曲部452に当接することにより、移動部421は下端部410を下方向へと移動した位置である下位置に保持することができる(下位置については後述する)。
横桟部423は、左右方向の両端に形成した横桟折曲部450の近傍かつ、横桟折曲部450より内側の位置に上下方向に貫通する孔(図示なし)を有する。シャフト424の上部は、横桟部423の前記した孔に挿通される。シャフト424の上部は雄ネジが切られており、横桟部423を上下から挟むように一対のナット429を螺合して、横桟部423に結合している。これにより、一対のシャフト424は、横桟折曲部450より内側の位置で横桟部423に結合される。
また、一対のシャフト424は、下部に第1の下端部延在部411に沿った平面部(図示なし)を有し、当該平面部に孔を形成している。前記した孔に雄ネジ(図示なし)を通し、第1の下端部延在部411に設けられた雌ネジであるネジ穴451へと螺合して、一対のシャフト424は下端部410に結合している。一対のシャフト424は、下端部410の両側に結合して、下端部410が略水平となるよう支持し、下端部410と横桟部423とが略平行となるように配置される。
横桟部423と一対のシャフト424と下端部410とは、略矩形状の枠vを形成する。枠vは、横桟部423とシャフト424とを結合する一対のナット429の位置を上下に変動させることにより、一対のシャフト424それぞれで横桟部423と下端部410との間隔を調整することができる。また、左右方向に間隔をおいて平行に延びる一対のシャフト424は、上下方向に間隔をおいたローラ426により規制されている。
ローラ426は、ローラ426をボルトによりブラケット部427へと回転可能となるように固定されている。ローラ426のボルトの軸方向の断面形状では、ローラ426は一対のシャフト424が接する箇所をV字状に切れ込みを入れている。そのため、一対のシャフト424を略鉛直方向に移動させる際に、枠vの左右両側をローラ426により案内し、枠vの奥側と手前側とへの移動を規制している。
なお、一対のシャフト424を上下方向に間隔をおいたローラ426で案内しているが、他の方法で一対のシャフト424の移動を案内してもよい。その場合、枠vが略鉛直方向に移動できるよう案内し、かつ手前および奥方向へと移動するのを規制できればよく、棒状部材やその他の形状の部材でもよい。
枠vにおいて、左右一方のナット429の位置を上下方向に変更し、下端部410と横桟部423との距離を調整することにより、下端部410を水平方向に対して傾斜させることができる。例えば、下端部410の流水防止壁419側で下端部410と横桟部423との距離を短くすることにより、下端部流水口418側に下降傾斜させることができる。
また、横桟部423には孔428を設けている。接続機構430は軸部425を一方の孔428にピン止めし、軸部425を中心として接続部434が回転可能となるように接続している。これにより、移動部421は、接続部434と接続する。なお、孔428は長孔としてもよい。その場合、接続部434の軸部425を中心とした回転に対して寸法的な余裕、いわゆるあそびが形成され、接続部434の回転をより円滑とすることができる。
接続機構430は、外板外周枠372の枠内で、移動機構420より上方に設けられている。接続機構430は、外板構成体370の外板部371を貫通する軸部431によって取手部pに結合し、回転軸を形成する軸部431と、軸部431に固定して取り付けられる回転部432と、回転部432の軸部431から径方向に間隔を置いた位置で軸部431と平行な回転軸を形成する軸部433と、軸部433と移動機構420に有する軸部425とを接続する接続部434とを備える。
回転部432は、短手方向の断面形状がコ字状となるよう板材を折り曲げて形成した部材で、長手方向の一端側に軸部431を取り付け、軸部431の径方向に間隔をおいて、一方端側と他方端側との略中間に孔をあけて、軸部433を取り付けている。取手部pと軸部431とは、取手部pのハンドルを回転すると、軸部431がともに回転するように接続している。
接続部434は、平板状で、長手方向の断面形状がクランク状の部材であり、一方端側に軸部433を介して回転可能に回転部432へと接続し、他方端側に軸部425を介して回転可能に横桟部423の孔428に接続している。
以上は、右扉体300について説明したが、左扉体200は、右扉体300と同様な構成を左右対称に備える。
(止水部)
次に、左扉体200および右扉体300と、開口枠100との間の隙間から洗浄水が漏れ出ないように止水するための、上側止水部(止水部)510と、左側止水部(止水部)520と、右側止水部(止水部)530と、下側止水部(止水部)540とについて説明する。その後に、左扉体200と右扉体300との間の隙間から洗浄水が漏れ出さないように止水するための、中央側止水部(止水部)550について説明する。
図2、図3(A)および(B)に示すように、左扉体200は、上枠部110に対応する左扉体上部210と、ヒンジtを介して左枠部120に取り付けられる左扉体左部220と、右扉体左部320に対応する左扉体右部230と、下枠部140に対応する左扉体下部240とを有する。
また、右扉体300は、左扉体200と左右対称に、上枠部110に対応する右扉体上部310と、ヒンジtを介して右枠部130に取り付けられる右扉体右部330と、左扉体右部230に対応する右扉体左部320と、下枠部140に対応する右扉体下部340とを有する。
図4(B)に示すように、左扉体上部210は、左扉体200が閉じられた状態で、左扉体200の内面201が第1の上枠延在部111に当接して、上枠部110と左扉体上部210との間から洗浄水が漏れ出ないように止水する上側止水部(止水部)510を形成する。
右扉体上部310は、左扉体上部210と同様に、右扉体300の内面301が第1の上枠延在部111に当接して、上枠部110と右扉体上部310との間から洗浄水が漏れ出ないように止水する上側止水部(止水部)510を形成する。
図5(A)および(B)に示すように、左扉体200が開かれた状態から閉じられた状態へと移行すると、左扉体左部220が左枠段部127に受け入れられる。そして、扉体200が閉じられた状態で、左扉体200の内板外周部262と第1の左枠延在部121との間に、間隙21を形成する。
また、図5(B)に示すように、左扉体200が閉じられた状態で、左扉体200の内面201が、第2の左枠延在部122と第5の左枠延在部125とから形成する左枠平面126に当接して、左枠部120と左扉体左部220との隙間から洗浄水が漏れ出ないように止水する左側止水部(止水部)520を形成する。
図6(A)および(B)に示すように、右扉体300が開かれた状態から閉じられた状態へと移行すると、右扉体右部330が右枠段部137に受け入れられる。そして、右扉体300が閉じられた状態で、右扉体300と第1の右枠延在部131との間に、間隙31を形成する。
また、図6(B)に示すように、右扉体300が閉じられた状態で、右扉体300の内面301が第2の右枠延在部132と第5の右枠延在部135とから形成する右枠平面136に当接して右枠部130と右扉体右部330との隙間から洗浄水が漏れ出ないように止水する右側止水部(止水部)530を形成する。
図7(B)に示すように、左扉体200は、下端部410を下枠樋状部147より上方の位置である上位置に保持した状態で閉じる。その後、図7(C)に示すように、第3の下端部延在部413の奥側の面が、第5の下枠延在部145の手前側の面に当接する位置である下位置に、下端部410を移動させる。このとき、下端部410の第1の下端部延在部411の手前側の面と、第2の下枠延在部142の奥端とは近接する。
これにより、左扉体下部240は、下枠部140と組み合わさり、左扉体下部240と下枠部140との隙間から洗浄水が漏れ出ないように止水する下側止水部(止水部)540を形成する。また、下端部410が下位置に保持された状態で左扉体200を開こうとすると、第2の下枠延在部142の奥端が下端部410の第1の下端部延在部411の手前側の面に当接して、下端部410は手前方向に向けて下枠部140に係合し、左扉体200は開けることができない状態(施錠状態)となる。
図7(B)に示すように、右扉体300は、左扉体200と同様に、下端部410を上位置とした状態で閉じる。その後、図7(C)に示すように、下端部410を下位置に移動させる。すると、第5の下枠延在部145の手前側の面が第3の下端部延在部413の奥側の面に当接する。また、第2の下枠延在部142の奥端と、下端部410の第1の下端部延在部411の手前側の面とは近接する。
これにより、右扉体下部340は、下枠部140と組み合わさり、右扉体下部340と下枠部140との隙間から洗浄水が漏れ出ないように止水する下側止水部(止水部)540を形成する。また、下端部410が下位置に保持された状態で右扉体300を開こうとすると、第2の下枠延在部142の奥端が下端部410の第1の下端部延在部411の手前側の面に当接して、下端部410は手前方向に向けて下枠部140に係合し、右扉体300は開けることができない状態(施錠状態)となる。
図11(A)に示すように、左扉体200は左扉体右部230で、左扉体200の内板構成体360の内板外周枠262の右側面に左扉体右部結合部239を有する。左扉体右部結合部239は、内板構成体260および外板構成体270の右端に沿って手前から奥方向に延在する。
また、左扉体200は左扉体右部230に、左扉体右部結合部239の奥端から右方向に延在する第1の左扉体右部延在部231と、第1の左扉体右部延在部231の右端から奥方向に延在する第2の左扉体右部延在部232と、第2の左扉体右部延在部232の奥端から右方向に延在する第3の左扉体右部延在部233と、第3の左扉体右部延在部233の右端から手前方向に延在する第4の左扉体右部延在部234とを有する。
第2〜第4の左扉体右部延在部232〜234は、手前方向に開放する左扉体右部コ字状部235を形成する。本実施形態において、左扉体右部結合部239および第1〜第4の左扉体右部延在部231〜234は、一枚の板状部材を折り曲げ、上下方向に同一の断面形状が連続するように形成している。
図11(B)に示すように、右扉体300は右扉体左部320に、右扉体300の内面301に沿って左右方向に延在する右扉体左部結合部321と、右扉体左部結合部321の左端から奥方向に延在する右扉体左部延在部322とを備える。右扉体左部結合部321と右扉体左部延在部322とは右扉体左部L字状部323を形成する。本実施形態において、右扉体左部L字状部323は、一枚の板状部材を折り曲げ、上下方向に同一の断面形状が連続するように形成している。
図11(C)に示すように、扉体である左扉体200と右扉体300とを閉じた状態で、左扉体右部230と右扉体左部320とは、開口2の中央線i(図2を参照)の位置で間隙50を有して近接する。左扉体200と右扉体300とを閉じるときは、先に左扉体200を閉じ、次いで右扉体300を閉じる。そうすることで、第1の左扉体右部延在部231が右扉体300の内面301に当接し、右扉体300を開けない限り、左扉体200を開くことはできない構成となっている。ここで、左扉体右部230の右端と右扉体左部320の左端とは開閉を容易にするために間隙50を形成する。
左扉体200を先に閉じ、次いで右扉体300を閉じると、左扉体200の左扉体右部コ字状部235は、右扉体300の右扉体左部L字状部323を受け入れる。そして、左扉体右部コ字状部235の第4の左扉体右部延在部234と、右扉体左部L字状部323の右扉体左部延在部322とが当接または近接し、さらに、上述したように第1の左扉体右部延在部231が右扉体300の内面301に当接する。そして、扉体である左扉体200および右扉体300は中央線i近傍(図3(B)を参照)に、いわゆるラビリンス構造の中央側止水部(止水部)550を形成する。
なお、本実施形態では左扉体200を閉じてから右扉体300を閉じるようにしているが、左扉体200と右扉体300の構成を左右対称に変更することにより、右扉体300を閉じてから左扉体200を閉じるようにすることができる。その場合も、本実施形態と同様に、扉体である左扉体200および右扉体300は、中央線i近傍に、いわゆるラビリンス構造の中央側止水部550を形成する。
(マグネットキャッチ)
図2に示すように、開口枠100は上枠部110と下枠部140に、中央線iの付近にマグネットキャッチmを有する。マグネットキャッチmは、中央線iの右側に設けられ、右扉体300を吸着し、閉じた状態を維持する。左扉体200と右扉体300とが閉じられていれば、先に閉じられている左扉体200の第1の左扉体右部延在部231が右扉体300の内面301に当接して、左扉体200は開くことはない。
上枠部110側のマグネットキャッチmは第2の上枠延在部112の下面に直接取り付ける。下枠部140側のマグネットキャッチmは、ブラケットbを介して下枠部140へと取り付ける。ここで、ブラケットbは、左扉体200および右扉体300を、所定の位置で閉じることができるように位置決めする。
前段に記載した左扉体200および右扉体300を閉じる所定の位置は、左扉体200および右扉体300を閉じることで、上側止水部510と左側止水部520と右側止水部530と中央側止水部550とが形成される位置である。加えて、下側止水部540で、下端部410を下枠樋状部147へ差し込むと、第3の下端部延在部413が第5の下枠延在部145に当接する位置である。
(下端部の移動について)
次に、本発明の移動機構および接続機構による下端部の移動について説明する。
図7(B)に示すように、扉体である左扉体200、右扉体300を開閉するとき、下端部410を上位置に保持しておく。また、図7(C)に示すように、各扉体200、300が閉じられた状態で、下端部410を下位置に移動する。これにより、各扉体200、300の下端部410は、下枠部140に係合して、各扉体200、300を開けることができない状態(施錠状態)に保つことができる。
扉体である左扉体200、右扉体300の下端部410の移動は、図12(A)〜(C)に示す動作により行われる。図12(A)〜図12(C)においては、図面の左右方向をそのまま説明に用いる。以下の説明では、右扉体300について、下端部410の動きを説明するが、左扉体200においても、左右対称に同様の動きとなる。
まず、図12(A)は、右扉体300の下端部410が上位置に保持されている状態を示す。このとき、軸部433は、移動機構420の移動部421の荷重を受けて回転部432を軸部431を中心として右回転(時計回り)させる方向に力を受けている。しかし、軸部431を介して取手部pに一端を連結された回転部432は、外板外周枠372に他端部を当接させているため、それ以上右回転(時計回り)することはない。これにより、作業者が取手部pに右回転(時計回り)の力を加えて保持せずとも、下端部410を上位置に保持することができる。
このとき、図13(A)に示すように、横桟部423の横桟折曲部450は、ブラケット部427の上端折曲部452に間隔をおいた位置に保持される。なお、この状態で取手部pの把持する部位であるハンドルは略水平方向となり保持される。
次に、図12(B)は、右扉体300の下端部410が上位置と下位置との間で移動する途中の位置にある状態を示す。このとき、下端部410および移動機構420の質量により移動機構420は下方向に力を受け、下端部410を下位置に移動するために取手部pを左回転(反時計回り)する力を小さくすることができる。このとき、図13(B)に示すように、横桟部423の横桟折曲部450とブラケット部427の上端折曲部452との間隔は、横桟部423が下方に移動することにより、図13(A)における間隔よりも小さくなる。
次に、図12(C)は、右扉体300の下端部410が下位置に保持された状態を示す。このとき、軸部433は、移動部421および下端部410の荷重を受けて、軸部431を中心として左回転(反時計回り)させる方向に力を受けている。
このとき、図13(C)に示すように、横桟部423の横桟折曲部450は、ブラケット部427の上端折曲部452に当接して、横桟部423は下方向への移動を規制される。これにより、横桟部423に連結する下端部410は、下位置に保持される。なお、この状態で、取手部pの把持する部位であるハンドルは、略鉛直方向に沿った状態となる。
次いで、図14により、移動機構420および接続機構430による下端部410の移動の概念について説明する。
二点鎖線で示す直線Lは、移動機構420の軸部425の軌道を示す(図9参照)。直線L上の黒点LAは、図12の(A)の状態に対応し、下端部410が上位置PAにおかれた状態の軸部425の位置を示している。また、直線L上の黒点LBは、図12の(B)の状態に対応し、下端部410が上位置PAと下位置PCとで移動する途中の位置におかれた状態の軸部425の位置を示している。さらに、直線L上の黒点LCは、図12の(C)の状態に対応し、下端部410が下位置PCにおかれた状態の軸部425の位置を示している。
二点鎖線で示す正円Cは、軸部433の軌跡を説明するために示したものである(図9参照)。正円C上の黒点CAは、図12の(A)の状態に対応し、下端部410が上位置PAに保持された状態の軸部433の位置を示している。また、正円C上の黒点CBは、図12の(B)の状態に対応し、下端部410が上位置PAと下位置PCとの間を移動する途中の状態の軸部433の位置を示している。さらに、正円C上の黒点CCは、図12の(C)の状態に対応し、下端部410が下位置PCにおかれた状態の軸部433の位置を示している。また、正円Cの中心の黒点は軸部431を示し、軸部433は回転部432を介して軸部431を中心に正円Cの軌跡を描く。
実線で示す直線は、長尺の接続部434を示す(図9参照)。したがって直線434は、黒点LAと黒点CAとを接続し、黒点LBと黒点CBとを接続し、黒点LCと黒点CCとを接続する。すなわち、軸部433と軸部425とが接続部434によって接続されていることを示している。
二点鎖線で示す直線434は、軸部431と軸部433と軸部425とが直線状に並ぶ状態を示す。この状態で正円C上の黒点CDは、軸部433の位置を示し、いわゆる上死点となる。上死点では、軸部425が直線L上の黒点LDに位置し、この点が下端部410の移動軌跡の中で最も高い位置となる。
下端部410が結合する移動機構420の軸部425は、上位置PAから下位置PCに移動する場合に、LAからLDとLBを経てLCに移動する。すなわち、下端部410が結合する移動機構420の軸部425は、上位置PAから、一旦上昇してPAよりも高い位置を経てから下降し、下位置PCまで移動する。下端部410が結合する移動機構420の軸部425の移動に伴い、下端部410も同様に上下動する。軸部425が上位置PAに移動したときには下端部410は上位置に移動し、軸部425が下位置PCに移動したときには下端部410は下位置に移動することとなる。
軸部433は、接続部434を介して移動部421から、常に右回転(時計回り)または左回転(反時計回り)するように荷重を受ける。したがって、軸部433は、上死点となる黒点CDより右に位置すると右回転の力を受ける。これにより、下端部410が下位置に保持された状態から、取手部pの把持する部位であるハンドルを回転することにより、軸部431を右回り(時計回り)に回転させて、軸部433を上死点(黒点CD)まで軸部433を移動させると、下端部410は上位置PAを越え、最上位の位置まで移動する。そして、軸部433が上死点(黒点CD)を越えると、下端部410の重量により、回転部432が外板外周枠372に当接する位置(黒点CA)まで移動し、下端部410は上位置で保持される。したがって、下端部410は、所定の位置である上死点(黒点CD)を超える位置まで取手部pの把持する部位であるハンドルを回転することにより下端部の重量により右回転し、上位置PAで保持される。
一方で、下端部410を下位置PCに移動させるとき、下端部410が上位置PAで保持された状態から、取手部pを左回り(反時計回り)に回転させて、上死点(黒点CD)を越える位置まで軸部433を移動させると、軸部433の移動に伴って、軸部433に接続部434を介して接続する横桟部423が下降して、横桟部423の横桟折曲部450とブラケット部427の上端折曲部452とが当接する位置(黒点CC)まで移動し、下端部410が下位置PCに移動する。このとき、取手部pのハンドルは略鉛直方向に沿った状態となる。なお、取手部pは、移動部421の横桟折曲部450が案内部422のブラケット部427の上端折曲部452に当接するまで(図13を参照)、取手部pの把持する部位であるハンドルは回転を許容される。
(水返部、下端部、および下枠部の周辺へと飛散した洗浄水の流れ)
次に、ヒンジ扉1を閉じて下端部410を下枠樋状部147へ差し込んだときの、水返部390、下端部410、および下枠部140の周辺へと飛散した洗浄水の流れを、図7(c)と図15を参照しながら詳細に説明する。
水返部390の斜め上方から飛散してきた洗浄水(図15矢印a)は、内面301に接触して内面301上を下方へと流れ、水返結合部399へと至る。水返結合部399へと至った洗浄水のうち、勢いの強い洗浄水は水返延在部391の斜面を流れ、洗浄空間Sの下部にある洗浄タンクTへと流し戻される。また、飛散してきた洗浄水(図15矢印a)のうち、勢いの弱い洗浄水は水返延在部391の斜面を伝い流れて、第2の水返延在部392へと伝い、水返樋状部395へと貯まる。そして、水返樋状部395へと貯まった洗浄水は、水返樋状部395のヒンジt側に有する水返流水口396から、洗浄空間Sの下部にある洗浄タンクTへと流し戻される。
水返部390の斜め上方から飛散してきた洗浄水(図15矢印b)のうち、勢いの強い洗浄水は水返延在部391の斜面に接触して水返延在部391の斜面を流れ、洗浄空間Sの下部にある洗浄タンクTへと流し戻される。また、飛散してきた洗浄水(図15矢印b)のうち、勢いの弱い洗浄水は水返延在部391の斜面を伝い流れて、第2の水返延在部392へと伝い、水返樋状部395へと貯まる。そして、水返樋状部395へと貯まった洗浄水は、水返樋状部395のヒンジt側に有する水返流水口396から、洗浄空間Sの下部にある洗浄タンクTへと流し戻される。
水返部390の斜め上方から飛散してきた洗浄水(図15矢印c)は第2の水返延在部392に接触し、第2の水返延在部392から水返樋状部395へと流れて貯まる。そして、水返樋状部395へと貯まった洗浄水は、水返樋状部395のヒンジt側に有する水返流水口396から、洗浄空間Sの下部にある洗浄タンクTへと流し戻される。
水平方向から飛散してきた洗浄水(図15矢印d)のうち、第5の下端部延在部415に接触して上方へと飛散し、第3の水返延在部393の下面へと向かった洗浄水は、第3の水返延在部393の下面に接触して洗浄空間Sの下部にある洗浄タンクTへと流し戻される。また、水平方向から飛散してきた洗浄水(矢印d)のうち、第5の下端部延在部415に接触して上方へと飛散し、第5の下端部延在部415と第3の水返延在部393との間の隙間へと入った洗浄水は、下端部樋状部416へと入り込む。下端部樋状部416へと入り込んだ洗浄水は、下端部樋状部416をヒンジt側へと流れ、下端部流水口418から下枠樋状部147へと入り、後述する第5の下枠延在部145の途切れた端から洗浄空間Sの下部にある洗浄タンクTへと流し戻される。
斜め下方から飛散してきた洗浄水(図15矢印e)のうち、第3の下端部延在部413に接触して上方へと流れた洗浄水は、下端部返し部417により流れる方向を下方へと変更され、洗浄空間Sの下部にある洗浄タンクTへと流し戻される。また、斜め下方から飛散してきた洗浄水(図15矢印e)のうち、第3の下端部延在部413に接触して下方へと流れた洗浄水は、第3の下端部延在部413と第5の下枠延在部145とが当接する箇所により、第5の下枠延在部145の洗浄空間S側を伝い、洗浄空間Sの下部にある洗浄タンクTへと流し戻される。
また、矢印dよりも下方で、水平方向に飛散してきた洗浄水(図15矢印f)は、第5の下枠延在部145に沿って上方に流れ、下端部返し部417により流れる方向を下方へと変更され、洗浄空間Sの下部にある洗浄タンクTへと流し戻される。
これらにより、ヒンジ扉1を閉じている状態で、洗浄空間Sで洗浄水が噴射されている間は、水返部390、下端部410および下枠部140周辺に飛散する洗浄水を洗浄空間Sへと流し返すことができる。そして、洗浄空間Sで被洗浄物Gを洗浄するために噴射された洗浄水は、洗浄空間Sの下部に設けた洗浄タンクTへと流し戻される。洗浄タンクTに貯めた洗浄水は、洗浄ポンプにより圧送され、ノズルNより再び噴射されて被洗浄物Gの洗浄に繰り返し使用される。
(再帰流路による洗浄水の流し戻し)
被洗浄物Gの洗浄が終わり、洗浄空間Sで洗浄水の噴射を止めた後、閉じられた状態の左扉体200の内板構成体260の内面201、および右扉体300の内板構成体360の内面301に付着した洗浄水を、洗浄空間Sに設けた洗浄タンクTへと流し戻す。また、取手部pのハンドルを回転して下端部410を上位置に保持した状態で、左扉体200および右扉体300を開かれた状態とするときの、洗浄タンクTへと流し戻す洗浄水の流れについて、右扉体300を例に、図16および図17(A)〜(C)を参照しながら説明する。
図16に示すように、左枠部120および右枠部130の下端には下枠部140と接する箇所を切り欠いて流路Fを形成する。さらに、下枠部140の流路Fの途中で第5の下枠延在部145は途切れ、再帰流路Rを形成する。再帰流路Rから洗浄空間S内へと流れ落ちた洗浄水は、洗浄空間Sに設けた洗浄タンクTへと流れ戻される。
下端部410のヒンジt側となる一端は右扉体300のヒンジt側に張り出しており、下端部410のヒンジt側となる一端を右枠部130の下端に設けた切り欠きに入れ込むことで、右扉体300を閉じることができる。
図17(A)に示すように、右扉体300が閉じられた状態で、水返部390の水返樋状部395は、下枠樋状部147の奥端である第5の下枠延在部145を越えて奥側に位置する。
右扉体300が閉じられた状態で、右扉体300の内板構成体360の内面301に付着した洗浄水は内面301を流れ、水返樋状部395および下端部樋状部416にて受ける。
水返樋状部395にて受けた洗浄水は、水返流水口396から洗浄空間Sに設けた洗浄タンクTへと洗浄水を流し戻すことができる。
また、水返部390により受けられなかった洗浄水のうち、下端部樋状部416で受けた洗浄水は、下端部流水防止壁419により下端部樋状部416を右扉体300のヒンジt側に流れ、下端部流水口418から下枠樋状部147へと流れる。そして、図16に示すように、下枠樋状部147を流れる洗浄水は矢印rの方向へと流路Fを流れ、再帰流路Rにより、洗浄空間Sに設けた洗浄タンクTへと流れ戻される。
図17(B)に示すように、ヒンジ扉の上面視で、開かれた右扉体300が所定の位置、例えば、右扉体300と下枠部140とのなす角度が90度より小さい角度となるような位置にあるとき、水返樋状部395の水返流水口396および下端部樋状部416の下端部流水口418と、下枠樋状部147とは、重なるように位置する。これにより、水返樋状部395を流れる洗浄水および下端部樋状部416を流れる洗浄水は、それぞれ、水返流水口396および下端部流水口418から下枠樋状部147へと流れる。そして、図16に示すように、下枠樋状部147を流れる洗浄水は矢印rの方向へと流路Fを流れ、再帰流路Rにより、洗浄空間Sに設けた洗浄タンクTへと流れ戻される。
図17(C)に示すように、ヒンジ扉の上面視で、開かれた右扉体300が所定の位置、例えば、右扉体300と下枠部140とのなす角度が90度より大きい角度となるような位置にあるとき、水返樋395の水返流水口396および下端部樋状部416の下端部流水口418は、下枠部140より手前側、すなわち床面の上方に位置する。しかし、開かれた右扉体300が所定の位置、例えば、右扉体300と下枠部140とのなす角度が90度より小さい角度となるような位置であるときに、水返樋状部395と下端部樋状部416とで受けた洗浄水を下枠樋状部147へと流し切っていれば、洗浄水が床面に落ちることはない。
図17(A)〜(C)において、右扉体300について説明したが、左扉体200は、同様の流れにより、洗浄水を洗浄空間Sに設けた洗浄タンクtへと流し戻すことができる。
(止水部の止水性)
図4(B)に示すように、左扉体200の内板構成体260の内面201、および右扉体300の内板構成体360の内面301と、第1の上枠延在部111とは当接して上側止水部510を形成する。上側止水部510は、洗浄空間Sで飛散した洗浄水を、左扉体200の内板構成体260の内面201、および右扉体300の内板構成体360の内面301と、第1の上枠延在部111との間からハウジングHの外側へと漏らさないように、止水することができる。
図5(B)に示すように、左扉体200の内面201と左枠平面126とは当接して左側止水部520を形成する。左側止水部520は、洗浄空間Sで飛散した洗浄水を、左扉体200の左扉体左部220と左枠平面126との間からハウジングHの外側へと漏らさないように、止水することができる。そして、左枠平面126を左右方向に長く形成し、左扉体200の内面201との接触面を長く確保することで、より止水性を向上させている。
また、左枠L字状部128は、洗浄空間Sで略左右方向に飛散する洗浄水を受けて、洗浄空間Sの下部に有する洗浄タンクTへと洗浄水を流し戻すことができる。これにより、左枠平面126と内面201との間に洗浄水が入り込むのを抑制して、左側止水部520の止水性を向上させている。
左側止水部520は、左扉体200の内板外周部262と第1の左枠延在部121とで間隙21を形成する。左扉体200の内面201と左枠平面126との狭い隙間に染み込んだ洗浄水は、隙間の幅が広がる間隙21で下方へと流れ落ちる。下方へと流れ落ちた洗浄水は、下枠樋状部147へと流れ落ち、矢印rの方向へと流れて、再帰流路Rから洗浄空間Sに設けた洗浄タンクTへと流し戻される(図16および図17(a)を参照)。
図6(B)に示すように、右扉体300の内面301と右枠平面136とは当接して、右側止水部530を形成する。右側止水部530は、洗浄空間Sで飛散した洗浄水を、右扉体300の右扉体右部330と右枠平面136との間からハウジングHの外側へと漏らさないように、洗浄水を止水することができる。そして、右枠平面136を左右方向に長く形成し、右扉体300の内面301との接触面を長く確保することで、より止水性を向上させている。
右側止水部530は、左側止水部520と同様に間隙31を形成する。そして、右扉体300の内面301と右枠平面136との狭い隙間に染み込んだ洗浄水は、間隙31により流れ落ち、下枠樋状部147を矢印rの方向へと流れて、再帰流路Rから洗浄空間Sに設けた洗浄タンクTへと流し戻される。
また、右枠L字状部138は、洗浄空間Sで略左右方向に飛散する洗浄水を受けて、洗浄空間Sの下部に有する洗浄タンクTへと洗浄水を流し戻すことができる。これにより、右枠平面136と内面301との間に洗浄水が入り込むのを抑制して、右側止水部530の止水性を向上させている。
図11(C)に示すように、第1の左扉体右部延在部231と、右扉体左部320の内面301とは当接する。また、右扉体左部320の右扉体左部延在部322と、左扉体右部230の第4の左扉体右部延在部234とは当接する。これにより、左扉体200と右扉体300とが近接する部位は、いわゆるラビリンス構造により、中央側止水部550を形成している。中央側止水部550は、洗浄空間Sで飛散した洗浄水を、左扉体右部230と右扉体左部320との間の隙間である間隙50からハウジングHの外側へと漏らさないように、止水することができる。
前述したように、下枠部140に取付けたブラケットbは、左扉体200および右扉体300を、所定の位置で閉じることができるように位置決めする。
左扉体200および右扉体300を閉じる所定の位置は、左扉体200および右扉体300を閉じることで、上側止水部510と左側止水部520と右側止水部530と中央側止水部550とが形成される位置である。また、下側止水部540で、下端部410を下枠樋状部147へ差し込むと、第3の下端部延在部413が第5の下枠延在部145に当接する位置とする。
これにより、本実施形態のヒンジ扉1は、洗浄空間S内で噴射された洗浄水を、開口枠100と、左扉体200および右扉体300との間の隙間からハウジングHの外側へと漏らさないようにする上側止水部510と、左側止水部520と、右側止水部530とを形成する。さらに、左扉体200と右扉体300との間の隙間からハウジングHの外側へと漏らさないようにする中央側止水部550を形成する。これら止水部510、520、530、550を形成しつつ、下側止水部540の止水性を向上させることができるものである。
また、下端部410を下枠樋状部147へと差し込むことで、上側止水部510と、左側止水部520と、右側止水部530と、中央側止水部550とでハウジングHの外側へと洗浄空間S内で噴射された洗浄水を漏らさないようにした上に、下側止水部540の止水性を向上させつつ、ヒンジ扉1を施錠することができる。
これにより、洗浄空間Sで被洗浄物Gを洗浄している間に誤って扉体を開けることや、洗浄空間Sで噴射される洗浄水の圧力によって扉体が開くことを防止し、洗浄空間Sから開口2を通じて洗浄水を飛散させて床面を濡らすことや、作業者に飛散し衣服を汚すことを防止することができる。
なお、左側止水部520は左枠段部127と左枠L字状部128とを組み合わせて左枠平面126を形成し、左枠平面126と内板構成体260の内面201とを面接触させて止水している。第3の左枠延在部123と第4の左枠延在部124を組み合わせているのは、左側止水部520の強度を保つためである。そのため、強度を保つことができるのであれば、第2の左枠延在部122と第5の左枠延在部125とを1枚の板により構成し、リブを形成して強度を保ってもよい。または、第2の左枠延在部122と第5の左枠延在部125とを、厚みの厚い1枚の板により構成してもよい。
なお、右側止水部530も左側止水部520と同様に、右枠段部137と右枠L字状部138とを組み合わせて右枠平面136を形成し、右枠平面136と内板構成体360の内面301とを面接触させて止水している。第3の右枠延在部133と第4の右枠延在部134を組み合わせているのは、右側止水部530の強度を保つためである。そのため、強度を保つことができるのであれば、第2の右枠延在部132と第5の右枠延在部135とを1枚の板により構成し、リブを形成して強度を保ってもよい。または、第2の右枠延在部132と第5の右枠延在部135とを厚みの厚い1枚の板により構成してもよい。
なお、下端部410を下位置に移動させたとき、第1の下端部延在部411と第2の下枠延在部142とを当接するようにしてもよい。そうすることで、扉体の奥側である第3の下端部延在部413と第5の下枠延在部145とを当接し、そのうえ、扉体の手前側である第1の下端部延在部411と第2の下枠延在部142とを当接することができ、下側止水部540の止水性をより向上させることができる。
なお、製造時の組立等の公差を考慮したとき、内板構成体360の内面301と第1の上枠延在部111との間に所定の隙間、例えば1ミリメートルの隙間を形成するように、第1の上枠延在部111を奥側に配置することにより、左側止水部520と右側止水部530とで当接する面の密着性を向上させることができる。この場合、上側止水部510には所定の隙間、例えば1ミリメートルの隙間が形成されるが、上側止水部510には洗浄水が飛散しにくく、第1の上枠延在部111の鉛直方向の長さを所定の距離、例えば60ミリメートルとすることで、飛散する洗浄水が上側止水部510から漏れ出すことを防止することができる。
(右扉体および左扉体の二重構造)
図8に示すように、本実施形態において、右扉体300の本体部380は、内板構成体360と外板構成体370との二重構造となっており、内板構成体360と外板構成体370との間に収容空間kを形成している。収容空間kに接続機構430と移動機構420を収容しているため、洗浄空間S内で噴射する洗浄水や、被洗浄物Gから飛散する残菜が、接続機構430と移動機構420に付着するのを防ぐことができる。
また、洗浄空間Sで噴射する洗浄水は、被洗浄物Gに付着した汚れを効果的に落とすことができる所定の温度、例えば略60度Cの洗浄水であり、被洗浄物Gに噴射することで洗浄する。所定の温度の洗浄水を洗浄空間S内で噴射すると洗浄空間S内の温度が上昇するが、それにより所定の温度の洗浄水の温度低下を防ぎ、洗浄水を所定の温度へと再加熱するエネルギーを節約することができる。
そして、右扉体300の本体部380の内部に収容空間kを形成していることにより、収容空間k内の空気が断熱材となり、洗浄空間S内の温度がハウジングHの外側へと伝熱することを抑え、洗浄空間S内の温度が低下することを防ぐことができる。つまり、収容空間kは、洗浄空間S内の温度を保つ保温効果を有している。そして、洗浄空間S内の温度が外板構成体370に伝熱しにくいため、外板構成体370が加熱されることを抑えることができる。
また、右扉体300の本体部380の内部に収容空間kを形成していることにより、収容空間k内の空気が遮音材となり、洗浄空間S内で噴射した洗浄水が、被洗浄物Gや洗浄装置W内の配管や設備に接触した時の音、洗浄空間S内で搬送する被洗浄物G同士が接触して発生する音などの、ハウジングHの外側への音の漏れを抑えることができる。つまり、収容空間kは、洗浄空間S内で発生する音の、ハウジングHの外側への音の漏れを抑える遮音効果を有している。
なお、収容空間k内に吸音材や断熱材を収納してもよい。その場合は、遮音性や断熱性の機能を向上させることができる。
図8で右扉体300を用いて、本体部380の二重構造について説明したが、左扉体200も同様に内板構成体260と外板構成体270との二重構造となっており、左扉体200の内板構成体260と外板構成体270との間に収容空間kを形成している。そのため、左扉体200も同様に、洗浄空間S内で噴射する洗浄水や、食器類から飛散する残菜が、接続機構430と移動機構420に付着するのを防ぐことができる。そして、保温効果と遮音効果も、右扉体300の収容空間kと同様に有しているものである。
(洗浄装置の清掃方法)
次に、本発明に係る洗浄装置の清掃方法について洗浄装置Wを用いて説明する。なお、洗浄装置の清掃方法は、他の洗浄装置に用いてもよい。
本発明の洗浄装置Wの清掃方法は、洗浄空間Sで被洗浄物Gを洗浄するために噴射される洗浄水の噴射を停止し、ヒンジ扉1を開いて洗浄装置Wの内部を清掃するものである。以下、順を追って説明する。
先ず、ノズルNからの洗浄水の噴射を停止する。洗浄装置Wの清掃は、洗浄水の噴射が停止してから行われるが、洗浄装置Wは、例えばドライシステムと称される床面に洗浄水が落下することを敬遠される環境で使用されるため、洗浄装置Wの清掃時といえども、洗浄水をハウジングの外側に漏らさないことが要求される。
図12(A)に示すように、取手部pのハンドルを回転させ、下端部410を上位置に移動する。取手部pのハンドルを回転させて下端部410を上位置に移動すると、回転部432が外板外周枠372に当接し、下端部410を上位置に保持させることができる。また、回転部432が外板外周枠372に当接すると、その当接により下端部410は振動を受ける。この振動により、下端部410の下端部樋状部416に残った洗浄水を、下端部流水口418から下枠部140の下枠樋状部147へと流すことができる。また、第2の下端部延在部412の下面側に付着した洗浄水を下枠樋状部147に落下させることができる。これらにより、右扉体300を開く際に、右扉体300の下端部樋状部410に貯まった洗浄水や、第2下端部延在部412の下面に付着した洗浄水が、床に落下するのを抑制することができる。
図17(B)に示すように、次に右扉体300を開く。右扉体300を開いたとき、上面視で、下枠部140と右扉体300とのなす角度を90度よりも小さい角度とし、前記したように、右扉体300の内面301に付着した洗浄水の大部分が下端樋状部416および水返樋状部395により受けられ、下枠樋状部147へと流れ込み、下枠樋状部147の再起流路Rを通じて、洗浄空間Sの下部に有する洗浄タンクTへと流れ戻ったことを確認した後に、図17(C)に示すように、上面視で、下枠部140と右扉体300とのなす角度を90度よりも大きい角度とする。そうすることで、床面に洗浄水が落下することを防止できる。また、上面視で、下枠部140と右扉体300とのなす角度を90度よりも大きい角度で大きく開くことにより、洗浄装置Wの清掃を容易に行うことができる。
次に、右扉体300を開くことにより左扉体200を開くことが可能となるので、左扉体200を開く。左扉体200についても、右扉体300と同様に、取手部pの把持する部位であるハンドルの回転によって、下端部410に残った洗浄水や、第2の下端部延在部412の下面側に付着した洗浄水が、下枠樋状部147から洗浄空間Sの下部に有する洗浄タンクTへと流れ戻るため、右扉体300を開く際に、右扉体300から床に洗浄水が落下するのを抑制することができる。
また、左扉体200を開いたとき、上面視で、下枠部140と左扉体200とのなす角度を90度よりも小さい角度とし、左扉体200の内面201に付着した洗浄水の大部分が洗浄空間Sの下部に有する洗浄タンクTへとも流れ戻ったことを確認した後に、上面視で、下枠部140と左扉体200とのなす角度を90度よりも大きい角度とする。そうすることで、床面に洗浄水が落下することを防止できる。また、上面視で、下枠部140と左扉体200とのなす角度を90度よりも大きい角度で大きく開くことにより、洗浄装置Wの清掃を容易に行うことができる。
また、左扉体200の内板構成体260と右扉体300の内板構成体360との内面201、301には、被洗浄物から除去した汚れが洗浄水とともに飛散し付着する。しかし、左扉体200と右扉体300とに内板構成体260と内板構成体360とを取り付けた状態で布等で拭きながら清掃すると、内板構成体260と内板構成体360とに残菜が付着していた場合、洗浄装置Wを設置している床面に残菜を落下させるおそれがある。もしくは、内板構成体260と内板構成体360とに付着した残菜を清掃するために、内板構成体260と内板構成体360とにホース等で散水しながら清掃すると、床面に大量の洗浄水を落下させてしまう。そのため、内板構成体260と内板構成体360とを、左扉体200の外板構成体270と右扉体300の外板構成体370から取り外して清掃する。
図8を参照して右扉体300について具体的に説明すると、右扉体300と左扉体200とを大きく開き、右扉体300の内板構成体360の把持部363を把持して、右扉体300の内板構成体360を、右扉体300の外板構成体370から取り外す。
そして、内板構成体360を清掃するためのシンクへと運ぶことで、洗浄装置Wの清掃とは別に、水をかけながら手洗いによる清掃を行うことができる。これにより、洗浄装置Wが設置されている場所の床面に洗浄水を落下させることなく、内板構成体360を取り外して洗浄し、ヒンジ扉1の内面301、および洗浄装置Wの内部を衛生的に保つことができる。なお、左扉体200においても同様の方法で清掃することができる。
(ヒンジ扉の取付方法)
次に図8および図9を参照して、本発明に係るヒンジ扉の取付方法について説明する。
先ず、右扉体300の外板構成体370を準備する。準備した右扉体300の外板構成体370の外板外周枠372に段付きピン373を取り付けるとともに、外板構成体370の開口枠100へと取り付ける側である、外板外周枠372の左側の面に抜き差し蝶番であるヒンジtの上部側であるヒンジスリーブを取り付ける。
そして、本体部380の外板構成体370の外板外周枠372の枠内に移動機構420を設けるとともに、移動機構420のシャフト424に下端部410を結合する。
移動機構420を設ける前後または、それに並行して、外板構成体370の外面側に取手部pを取付け、取手部pに接続機構430の軸部431を接続する。その後、接続機構430の接続部434と、移動機構420の横桟部423とを軸部425により結合し、接続機構430と移動機構420とを連結する。
次に、外板構成体370に備える段付きピン373に、右扉体300の内板構成体360に有するだるま穴を、掛けるように係合させて、外板構成体370に内板構成体360を取り付けて右扉体300を完成させる。これにより、外板構成体370に設けられた移動機構420および接続機構430が内板構成体360で覆われる。
次に、完成した右扉体300のヒンジスリーブを、開口枠100に取付けたヒンジtの下部側であるヒンジスリーブに設けたヒンジピンへと差し込んで、右扉体300を開口枠100に取り付ける。
なお、図12(A)に示すように、右扉体300を取り付けるとき、取手部pのハンドルを回転して略水平方向として、下端部410を上位置に保持した状態で取り付けるのが好ましい。そうすることで、右扉体300を開口枠100へ取り付けるときに、下端部410が下枠部140に接触することを防止することができ、右扉体300を容易に開口枠100へと取り付けることができる。
なお、移動機構420、接続機構430および下端部410が設けられた外板構成体370を、ヒンジtを介してハウジングHに取り付けた後に、内板構成体360を外板構成体に取付けてもよい。
このヒンジ扉の取付方法によれば、移動機構420および接続機構430を外板構成体270、370に取り付けた後に内板構成体260、360を掛けるように係合するため、移動機構420および接続機構430の取付けを容易にすることができる。また、左扉体200および右扉体300の構造を簡素化することができる。
以上のように、本実施形態に係るヒンジ扉によれば、移動機構420により下端部410を上位置と下位置とに適宜移動させることにより、本体部を持ち上げて支えつつ開閉することなく、容易に左扉体200および右扉体300を開閉できる。かつ左扉体200および右扉体300の底辺と、開口2の底辺との間の隙間からの洗浄水の漏れを防止することができる。また、ヒンジ扉の洗浄装置への取り付けを容易にした上で、左扉体200および右扉体300の構造を簡素化することができる。また、洗浄装置の清掃時に、洗浄水、清掃に用いた水、および残菜の床面への落下を抑止することができる。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について、図18(A)〜(B)および図19(A)〜(B)を用いて説明する。
実施形態1と異なるのは、図2における上枠部110および下枠部140を略半分の長さとし、左扉体200とそのヒンジtを削除して右扉体300のみとして、いわゆる片開き扉としたところである。そして、扉体700を、上下に間隔をおいて2つ取り付けた抜き差し蝶番であるヒンジtにより、右枠部630へ開閉自在となるように取り付けたものである。
また、扉体700をいわゆる片開き扉とすることで、実施形態1の図5(A)〜(B)における左止水部520に関する構成、および左側止水部520が実施形態1と異なる。以下に実施形態1と異なる左側止水部520について説明する。
(左枠部)
図18(B)に示すように、左枠部620は、上下方向に同一の断面形状が連続するように形成され、上端で上枠部610の左端に連続し、また、下端で下枠部640の左端に連続する。
また、図19(A)に示すように、左枠部620は、ハウジングHの側面左部20と、側面左部20の右端から奥方向に延在する第1の左枠延在部621と、第1の左枠延在部621の奥端から右方向に延在する第2の左枠延在部622とを備える。本実施形態において、第1および第2の左枠延在部621、622は、ハウジングHの側面左部20から連続して一枚の板状部材が折り曲げられ、上下方向に同一の断面形状が連続するように形成される。
また、左枠部620は、第1の左枠延在部621に沿って手前から奥方向に延在する第3の左枠延在部623と、第3の左枠延在部623の奥端から右方向に延在する第4の左枠延在部624と、第4の左枠延在部624の右端から奥方向に延在する第5の左枠延在部625と、第5の左枠延在部625の奥端から右方向に延在する第6の左枠延在部626と、第6の左枠延在部626の右端から手前方向に延在する第7の左枠延在部627とを備える。
第3および第4の左枠延在部623、624は、左枠L字状部628を形成する。左枠L字状部628は、上下方向に同一の断面形状が連続するように形成される。第4の左枠延在部624と第2の左枠延在部622とを面で接触させた上で、第3の左枠延在部623と第1の左枠延在部621とを面で接触させて、ボルトとナットのような結合手段(図示なし)により、第3の左枠延在部623と第1の左枠延在部621とを結合する。
第5〜第7の左枠延在部625〜627は、手前方向に開放する左枠コ字状部629を形成する。本実施形態において、第3〜第7の左枠延在部623〜627は、一枚の板状部材を折り曲げ、上下方向に同一の断面形状が連続するように形成されている。
(扉体)
図18(A)および図19(B)に示すように、扉体700は、実施形態1の右扉体300と同様に、内板構成体760および外板構成体770からなる本体部780と、内板構成体760の奥側に設けられた水返部790と、本体部780の外板構成体770に設けられた下端部810、移動機構(図示なし)、接続機構(図示なし)とを備える。また、扉体700は、内面701および外面702を有する。
扉体700は、閉じられた状態で、上枠部610に対応する扉体上部710と、左枠部620に対応する扉体左部720と、ヒンジtを介して右枠部630に取り付けられる扉体右部730と、下枠部640に対応する扉体下部740とを有する。
(左側止水部)
図19(B)に示すように、扉体左部720は、扉体700の内面701に沿って左右方向に延在する扉体左部結合板部721と、扉体左部結合板部721の左端から奥方向に延在する扉体左部延在部722とを備える。扉体左部結合板部721と扉体左部延在部722とは扉体左部L字状部723を形成する。本実施形態において、扉体左部L字状部723は、一枚の板状部材を折り曲げて形成されており、折り曲げられた形状を維持して上下方向に同一の断面形状が連続するように形成されている。
扉体左部720は、扉体700が閉じられた状態で、左枠部620に近接する。扉体左部720と左枠部620とは、開閉を容易にするように間隙60を形成する。左枠部620の第7の左枠延在部627と、扉体左部L字状部723の扉体左部延在部722とが当接または近接し、扉体700の内面701は、第4の左枠延在部624に当接する。このように、扉体左部720は、左枠部620と共同して、いわゆるラビリンス構造の左側止水部(止水部)920を形成する。
ヒンジ扉3は、実施形態1のヒンジ扉1の右扉体300と同様に動作し、同様の作用を有する。実施形態1のヒンジ扉1の右扉体300と異なる点として、図18(B)に示すように、左側止水部920において、間隙60は、奥側で第4の左枠延在部624が扉体700の内面701に当接して封鎖される。また、扉体左部720の扉体左部延在部722と、左枠部620の第7の左枠延在部627とは当接または近接する。これにより、扉体左部720と左枠部620とが近接する部位は、いわゆるラビリンス構造により、左側止水部920が形成され、隙間60から洗浄水が漏れ出ないように止水することができる。
実施形態1のヒンジ扉1と同様に、下枠部640に取付けたブラケットbは、右扉体700を、所定の位置で閉じることができるように位置決めする。
扉体700を閉じる所定の位置は、右扉体700を閉じることで、左側止水部920に加え、上側止水部(図示なし)と右側止水部(図示なし)とが形成される位置である。また、実施形態1で記載した、下端部410を下枠樋状部147へ差し込むと、第3の下端部延在部413が第5の下枠延在部145に当接する位置となるという作用とその効果も同様に備えている。
これにより、本実施形態のヒンジ扉3は、洗浄空間S内で噴射された洗浄水を、開口枠600と扉体700との間の隙間からハウジングHの外側へと漏らさないようにする上側止水部と、左側止水部920と、右側止水部とを形成する。これら止水部を形成しつつ、下側止水部(図示なし)の止水性を向上させることができるものである。
また、実施形態1で記載した、下端部410を下枠樋状部147へと差し込むことで、上側止水部510と、左側止水部520と、右側止水部530とでハウジングHの外側へと洗浄空間S内で噴射された洗浄水を漏らさないようにした上に、下側止水部540の止水性を向上させつつ、ヒンジ扉1を施錠することができるという作用とその効果も同様に備えるものである。
これにより、洗浄空間Sで被洗浄物Gを洗浄している間に誤って扉体を開けることや、洗浄空間Sで噴射される洗浄水の圧力によって扉体が開くことを防止し、洗浄空間Sから洗浄水を飛散させて床面を濡らすことや、作業者に飛散し衣服を汚すことを防止することができる。
(変形例1)
次に、実施形態1に係るヒンジ扉1の変形例1を説明する。変形例1の説明において、説明を簡単にするために、実施形態1との相違点のみについて説明する。以下の説明では、右扉体300を例に説明するが、変形例は、他の扉体、例えば左扉体200に適用されてもよい。
図20に示すように、本変形例に係る下枠部1140および下端部1410は、右扉体300に設けられ、実施形態1の下枠部140および下端部410に対して断面形状が相違し、異なる下側止水部(止水部)940を形成する。
下枠部1140は、ハウジングHの側面下部40を形成するように上方に延在する第1の下枠延在部1141と、第1の下枠延在部1141の上端から奥方向および下方に延在する第2の下枠延在部1142と、第2の下枠延在部1142の奥端から下方向に延在する第3の下枠延在部1143と、第1の下枠延在部1141の下端から奥方向に延在する第4の下枠延在部1144とを備える。第1〜第4の下枠延在部1141〜1144は、一枚の板状部材が折り曲げられ、左右方向に同一の断面形状が連続するように形成されている。
下端部1410は、上下方向に延在する下端部延在部1411を備える。下端部1410は左右方向に同一の断面形状が連続するように形成される矩形状の板状部材である。下端部延在部1411は、外板外周枠372の左右側の面に有するスリット状の溝部375に差し込まれた状態で、右扉体300に取り付けられる。これにより、下端部1410を上下動させても下端部延在部1411が外板外周枠372に干渉することなく、下端部1410を上下動させることができる。
下端部1410は、右扉体300が閉じられた状態で、移動機構420によって下方に移動すると、下端部延在部1411の手前面が第3の下枠延在部1143に当接する。これにより、下側止水部(止水部)940が形成され、右扉体300と下枠部1140との間の隙間から洗浄水が漏れ出ないように止水することができる。また、下端部1410は下枠部1140と当接し、右扉体300が開く方向に係合して、施錠状態となる。
下端部1410を下位置に移動させたとき、下端部延在部1411の下端は、第4の下枠延在部1144に近接する。なお、下端部延在部1411の下端を第4の下枠延在部1144に当接させてもよく、当接させた場合、下側止水部940の止水性を向上させることができる。
(変形例2)
次に、実施形態1に係るヒンジ扉1の変形例2を説明する。変形例2の説明において、説明を簡単にするために、実施形態1との相違点のみについて説明する。以下の説明では、右扉体300を例に説明するが、変形例は、他の扉体、例えば左扉体200に適用されてもよい。
図21に示すように、変形例2に係る水返部2390は、右扉体300に設けられ、実施形態1の水返部390に対して長さ方向に直交する方向の断面形状が相違する。水返部2390は、上下方向に延在し、内板部361に結合される水返結合部2399と、水返結合部2399の下端から奥方向および下方向の斜めに延在する第1の水返延在部2391と、第1の水返延在部2391の奥端から下方向に延在する第2の水返延在部2392とを備える。第2の水返延在部2392は、右扉体300の開閉の障害にならない高さまで上下方向に延在している。
本変形例において、水返結合部2399と第1および第2の水返延在部2391、2394とは、一枚の板状部材を折り曲げ、左右方向に同一の断面形状が連続するように形成している。水返部2390の奥端で上下方向に延在する第2の水返延在部2392は、下端部410よりも奥方向に突出している。
なお、洗浄空間S内で飛散する洗浄水の量が少ない場合には、変形例1および変形例2の構成としてもよく、扉体である左扉体200および右扉体300の底辺と下枠部1140との間の隙間から、洗浄空間S内で飛散した洗浄水がハウジングHの外側へと漏れ出すことを防止することができる。また、変形例1および変形例2は、実施形態1および実施形態2に比較して、下端部1410または水返部2390を簡素な構成とすることにより、製作を容易とすることができる。
実施形態1、実施形態2、変形例1および変形例2において、各構成は、金属を材料にする。特に、洗浄水が飛散する部位には、ステンレスの材料が用いられる。したがって、各構成は、特別に強力な力を加えなければ変形することはない。しかし、各構成の一部を弾性のある樹脂等の材料としてもよい。なお、マグネットキャッチにより吸着される箇所は、磁性体であるステンレスの材料、例えばSUS430を使用する。
但し、上記各実施形態および変形例に示す構成は構成要素の具体例を挙げたものであり、各構成、形状、又は取り付け態様は本発明の趣旨を逸脱しない限り、実施形態および変形例として示すものに限定されることなく、種々の変形ないし変更が可能である。