JP2018191373A - アクティブフィルタ装置、及びそれを用いた空気調和装置 - Google Patents

アクティブフィルタ装置、及びそれを用いた空気調和装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電力系統に空気調和装置とともに他の負荷が接続された場合において、アクティブフィルタ装置の大型化を抑制しつつ、力率の改善を図る。【解決手段】力率を改善するための補償電流(Ic)を空気調和装置(10)が接続された電力系統に流す電流源(110)を設ける。電力系統に接続された他の負荷器(20)における無効電流に相当する電流値(iq2*)と、電力系統から空気調和装置(10)に流れる電流の電流値(ir1,it1)とを用いて、補償電流(Ic)の大きさを求める力率制御器(120)を設ける。【選択図】図1

Description

本発明は、アクティブフィルタ装置、及びそれを用いた空気調和装置に関するものである。
空気調和装置などには、アクティブフィルタ装置が設けられ、アクティブフィルタ装置によって力率の改善を図るものがある(例えば特許文献1を参照)。
特開2016−116330号公報
しかしながら、空気調和装置が接続される電力系統には、空気調和装置以外の負荷(例えばインバータ回路などを有した機器。一例としてエレベータなど)も接続される場合があり、空気調和装置以外の負荷が力率悪化の原因となる場合がある。それに対しては、例えば空気調和装置が備えるアクティブフィルタ装置によって、他の負荷の影響による電流位相のずれを補償することも考えられるが、それによってアクティブフィルタ装置が大型になるのは好ましくない。
本発明は前記の問題に着目してなされたものであり、電力系統に空気調和装置とともに他の負荷が接続された場合において、アクティブフィルタ装置の容量を大きくすることなく、力率の改善を図ることを目的としている。
前記の課題を解決するため、第1の態様は、
空気調和装置(10)に接続されたアクティブフィルタ装置において、
力率を改善するための補償電流(Ic)を、前記空気調和装置(10)が接続された電力系統に流す電流源(110)と、
前記電力系統に接続された他の負荷器(20)における無効電流に相当する電流値(iq2*)と、前記電力系統から前記空気調和装置(10)に流れる電流の電流値(ir1,it1)とを用いて、前記補償電流(Ic)の大きさを求める力率制御器(120)と、
を備えたことを特徴とするアクティブフィルタ装置である。
この構成では、他の負荷器(20)における無効電流に基づいて力率の改善を図るようにした。そのため、電力系統に空気調和装置とともに他の負荷が接続された場合において、アクティブフィルタ装置の容量を大きくすることなく、力率の改善を図ることが可能になる。
また、第2の態様は、第1の態様において、
前記力率制御器(120)は、前記無効電流に相当する電流値(iq2*)として該無効電流の基本波成分のみを用いることを特徴とするアクティブフィルタ装置である。
この構成は、他の負荷器(20)が出力する高調波電流が小さい乃至は出力しない構成において、力率の改善を行うのに適した構成である。
また、第3の態様は、第1又は第2の態様において、
前記電力系統に流れる電流(Is)、又は前記他の負荷器(20)に流れる電流(I2)を検出する電流センサ(125)を備え、
前記力率制御器(120)は、前記電流センサ(125)の検出値を用いて前記補償電流(Ic)を求めることを特徴とするアクティブフィルタ装置である。
この構成では、電流センサ(125)の検出結果に基づいて、補償電流(Ic)の大きさが定められる。
また、第4の態様は、第3の態様において、
前記電流センサ(125)は、前記電力系統からの電力を分配する分電盤(40)に配置されていることを特徴とするアクティブフィルタ装置である。
また、第5の態様は、第3又は第4の態様において、
前記電流センサ(125)は、無線方式で検出結果を前記力率制御器(120)に送信することを特徴とするアクティブフィルタ装置である。
また、第6の態様は、第1から第5の態様においての何れかのアクティブフィルタ装置(100)が組み込まれていることを特徴とする空気調和装置である。
また、第7の態様は、第1から第5の態様の何れかのアクティブフィルタ装置(100)を複数台備え、
それぞれのアクティブフィルタ装置(100)で前記補償電流(Ic)を分担して出力することを特徴とする空気調和装置である。
この構成では、複数台のアクティブフィルタ装置(100)によって力率改善が図られる。
第1の態様によれば、アクティブフィルタ装置の大型化を抑制しつつ、力率の改善を図ることが可能になる。
また、第2の態様によれば、電力系統に空気調和装置とともに電力系統に接続された負荷において、高調波電流対策が不要の場合に適した補償電流の生成が可能になる。
また、第3の態様によれば、容易に補償電流の大きさを定めることができる。
また、第4の態様によれば、電流センサを容易に設置することが可能になる。また、電流センサのために専用のスペースを確保する必要がなく、利便性が大きい。
また、第5の態様によれば、電流センサと力率制御器との間の配線を省略できる。すなわち、電流センサの設置が容易になる。
また、第6の態様によれば、空気調和装置に組み込まれたアクティブフィルタ装置を利用して力率を改善することが可能になる。
また、第7の態様によれば、設備をコンパクトに構成することが可能になる。
図1は、実施形態1に係るアクティブフィルタ装置を示すブロック図である。 図2は、実施形態1の変形例に係るクティブフィルタ装置を示すブロック図である。 図3は、発明の実施形態2に係るクティブフィルタ装置を示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係るアクティブフィルタ装置(100)を示すブロック図である。アクティブフィルタ装置(100)は、ビル、工場、マンション、戸建て住宅等(以下、ビル等)に設置される。ビル等には、交流電源(30)を含む電力系統から電力が供給されている。この例では、交流電源(30)は、三相の交流電源(商用電源)である。
また、ビル等には、交流電源(30)に接続されて交流電源(30)からの交流電力を受電する分電盤(40)が設けられている。分電盤(40)は、複数のブレーカを備えており、各ブレーカを介して、交流電源(30)からの交流電力を複数の機器に分配している。この例では、それらのブレーカの1つに空気調和装置(10)が接続されている。空気調和装置(10)は、分電盤(40)を介して供給された交流電力によって稼働する。
具体的に、空気調和装置(10)は、冷媒が循環して冷凍サイクル運転動作を行う冷媒回路(図示省略)を備え、ビル等において室内の冷房や暖房を行う。空気調和装置(10)の冷媒回路は、冷媒を圧縮する圧縮機を備えている。また、空気調和装置(10)は、図1に示すように、コンバータ回路(11)、リアクトル(12)、コンデンサ(13)、インバータ回路(14)、及びモータ(15)を備えている。
コンバータ回路(11)は、交流を直流に変換する回路である。例えばコンバータ回路(11)は、ダイオードブリッジ回路で構成される。コンデンサ(13)は、コンバータ回路(11)の出力を平滑化するものである。また、インバータ回路(14)は、コンデンサ(13)によって平滑化された直流を、所定周波数及び所定電圧を有した交流に変換する。インバータ回路(14)は、具体的には、ブリッジ接続された複数(ここでは6個)のスイッチング素子を備え、入力された直流をスイッチングすることで、直流を交流に変換する。
空気調和装置(10)のモータ(15)は、いわゆるIPMモータ(Interior Permanent Magnet Motor)である。モータ(15)は、前記圧縮機を駆動する。ここで、何らの手当も行わないとすれば、モータ(15)が稼働することにより、電力系統の電流(以下、系統電流(Is))に高調波電流が加わる。
また、ブレーカの1つには、空気調和装置(10)とは別の負荷器(20)も接続されている。ここでは、負荷器(20)の一例として、エレベータを挙げる。エレベータは、図1に示すように、コンバータ回路(21)、リアクトル(22)、コンデンサ(23)、インバータ回路(24)、及びモータ(25)を備えている。コンバータ回路(21)は、交流を直流に変換する回路であり、空気調和装置(10)のコンバータ回路(11)と同様の構成である。コンデンサ(23)は、コンバータ回路(21)の出力を平滑化する。また、インバータ回路(24)は、コンデンサ(23)によって平滑化された直流を、所定周波数及び所定電圧を有した交流に変換する。インバータ回路(24)は、コンバータ回路(11)を同様の構成を有している。モータ(25)も、いわゆるIPMモータであり、前記エレベータを駆動する。ここで、何らの手当も行わないとすれば、モータ(25)が稼働することにより、系統電流(Is)に高調波電流が加わる。
〈アクティブフィルタ装置の構成〉
図1に示すように、アクティブフィルタ装置(100)は、電流源(110)、力率制御器(120)、及びPWM制御器(140)を備えている。この例では、アクティブフィルタ装置(100)は、空気調和装置(10)に組み込まれている。アクティブフィルタ装置(100)は、後述の補償電流(Ic)を電源系統に流すことで、力率改善と空気調和装置(10)の高調波抑制とを行う。なお、ここでは、補償電流(Ic)は、一例として、アクティブフィルタ装置(100)から交流電源(30)に向かう方向を正とする。また、系統電流(Is)と補償電流(Ic)の和が、電源系統(交流電源(30))から空気調和装置(10)に流れる電流(負荷電流(I1))と電源系統(交流電源(30))から負荷器(20)に流れる電流(負荷電流(I2))との和に等しいものとする。
−電流源(110)−
電流源(110)は、インバータ回路(111)とコンデンサ(113)を備えている。コンデンサ(113)は、例えば電解コンデンサで構成される。インバータ回路(111)は、補償電流(Ic)を入出力することにより、コンデンサ(113)に充放電を行わせる。この例では、インバータ回路(111)は、交流電源(30)に三相のリアクトル(160)を介して接続されている。
本実施形態のインバータ回路(111)では、詳細な図示を省略するが、6つのスイッチング素子(112)がブリッジ接続されている。このインバータ回路(111)は、所定周波数のキャリア信号に同期して、複数のスイッチング素子(112)のスイッチング状態(オンオフ状態)をそれぞれ変化させて、補償電流(Ic)を入出力する。スイッチング素子(112)のオンオフの制御は、PWM制御器(140)が行う。なお、この例では、補償電流(Ic)のリプルを除去する目的で、ローパスフィルタ(150)が、リアクトル(160)と、ブレーカと空気調和装置(10)の接続点との間に設けられている。ローパスフィルタ(150)は、いわゆるLCフィルタである。
−力率制御器(120)−
力率制御器(120)は、電源位相検出器(121)、位相演算部(122)、3つの電流センサ(123,124,125)、3つのdq変換器(126,127,128)、ハイパスフィルタ(129)、2つの加算器(130,132)、3つの減算器(131,133,135)、電圧制御器(134)、及び2つの電流制御器(136,137)を備えている。力率制御器(120)の主要部は、具体的には、マイクロコンピュータと、それを動作させるためのソフトウエアが格納されたメモリディバイス等を用いて構成することができる。
電源位相検出器(121)は、交流電源(30)の所定の線間(r相,s相,t相の何れか2つ)に接続され、その線間電圧の位相を検出して位相演算部(122)に出力する。位相演算部(122)は、電源位相検出器(121)が出力した信号(ゼロクロス信号(S1)と呼ぶ)を用いて、電源位相検出器(121)が接続された線間の位相(ωt)を求める。位相演算部(122)は、求めた位相(ωt)をdq変換器(126)、dq変換器(127)、及びdq変換器(128)に出力する。
電流センサ(123)は、負荷電流(I1)を検出する。負荷電流(I1)は三相であるが、電流センサ(123)は、三相のうちの二相分の負荷電流(ir1,it1)を検出している。電流センサ(124)は、補償電流(Ic)を検出する。補償電流(Ic)も三相であるが、電流センサ(124)は、三相のうちの二相分の負荷電流を検出している。また、電流センサ(125)は、負荷電流(I2)を検出する。負荷電流(I2)も三相であるが、電流センサ(125)は、三相のうちの二相分の負荷電流(ir2,it2)を検出している。なお、負荷電流(I1,I2)や補償電流(Ic)は、三相のうちの二相の電流値を検出しておけば、残りの一相の電流値は容易に算出することができるので、各電流センサ(123,124,125)は、二相分の電流を検出する構成でよい。また、これらの電流センサ(123,124,125)には種々の構成の電流センサを採用できる。これらの電流センサ(123,124,125)の一例としては、カレントトランスが挙げられる。また、電流センサ(125)の検出値を無線方式でdq変換器(128)に送信するように構成することも可能である。
dq変換器(126)は、電流センサ(123)の検出値から求めた負荷電流(I1)(三相)に対して三相/二相変換(dq軸変換)を行う。ここで、d軸及びq軸は、位相演算部(122)で求められた位相(ωt)と同期して回転する回転座標系である。dq変換器(126)の変換結果として得られたq軸成分(以下、q軸成分(iq1*))は、空気調和装置(10)における無効電流である。一方、変換結果として得られたd軸成分は、空気調和装置(10)における有効電流である。dq変換器(126)は、q軸成分(iq1*)を加算器(130)に出力し、d軸成分をハイパスフィルタ(129)に出力する。
dq変換器(127)は、電流センサ(124)の検出値から求めた補償電流(Ic)に対して三相/二相変換を行って、有効電流であるd軸成分(以下、d軸電流(id)と呼ぶ)と、無効電流であるq軸成分(以下、q軸電流(iq)と呼ぶ)とを求める。d軸電流(id)は、減算器(135)に出力され、q軸電流(iq)は、減算器(131)に出力される。
また、dq変換器(128)は、電流センサ(125)の検出値から求めた負荷電流(I2)(三相)に対して三相/二相変換を行って、q軸成分(iq2*)を求める。q軸成分(iq2*)は、負荷器(20)における無効電流である。dq変換器(128)が求めたq軸成分(iq2*)は、加算器(130)に出力されている。これにより、加算器(130)からは、q軸成分(iq1*)とq軸成分(iq2*)との加算値が出力される。この加算値は、アクティブフィルタ装置(100)が設置されているビル等における無効電流の合計値と考えてよい。すなわち、この加算値は、補償電流(Ic)として流すべき電流のq軸成分と考えてよい。以下では、この加算値をq軸電流指令値(iq*)と呼ぶことにする。
ハイパスフィルタ(129)は、dq変換器(126)が出力した負荷電流(I1)のd軸成分から直流成分を除去して、加算器(132)に出力する。dq変換器(126)の出力は、負荷電流(I1)に高調波成分が無ければ直流となる。これは、負荷電流(I1)のうちで交流電源(30)の位相と同期する成分が直流として現れるからである。すなわち、ハイパスフィルタ(129)は、負荷電流(I1)のd軸成分に含まれる高調波成分のみを加算器(132)に出力する。
補償電流(Ic)におけるd軸成分及びq軸成分のそれぞれが、負荷電流(I1)の高調波成分とそれぞれ一致するように、補償電流(Ic)を流したとすれば、負荷電流(I1)の高調波成分を打ち消すことができる(以下、このように、所定の成分が打ち消されるように電流を流すことを補償と呼ぶ)。すなわち、ハイパスフィルタ(129)の出力は、補償電流(Ic)のd軸成分(d軸電流(id))の指令値(d軸電流指令値(id*))の生成に用いることができる。
一方、dq変換器(126)が出力する負荷電流(I1)のq軸成分(iq1*)は、直流成分も含んでいる。そのため、このq軸成分(iq1*)に相当する電流を、補償電流(Ic)に重畳することで、負荷電流(I1)が含む高調波成分の低減に加え、基本波力率も改善することが可能になる。
なお、この例では、d軸電流指令値(id*)として、ハイパスフィルタ(129)の出力をそのまま用いるのではなく、コンデンサ(113)の端子間電圧(以下、直流電圧(Vdc))の変動に対応するための修正が行われている。具体的に力率制御器(120)では、まず、減算器(133)によって、コンデンサ(113)の直流電圧(Vdc)とその指令値(Vdc*)との偏差が求められる。電圧制御器(134)は、減算器(133)によって求められた偏差に基づいて比例積分制御を行って修正値を求める。この修正値は、加算器(132)においてハイパスフィルタ(129)の出力と加算され、加算結果がd軸電流指令値(id*)として出力される。これにより、直流電圧(Vdc)の変動の影響が低減される。
減算器(135)は、d軸電流(id)をd軸電流指令値(id*)から差し引いた偏差(Δid)を求め、偏差(Δid)を電流制御器(136)に出力する。また、減算器(131)は、q軸電流(iq)をq軸成分(iq1*)から差し引いた偏差(Δiq)を求め、偏差(Δiq)を電流制御器(137)に出力する。
電流制御器(136)は、偏差(Δid)に基づいてフィードバック制御(例えば、いわゆるPID制御)等のアルゴリズムを利用することによって、二相の電圧指令値のうちの1つであるd軸電圧指令値(Vid)を出力する。また、電流制御器(137)は、偏差(Δiq)に基づいてフィードバック制御(例えば、いわゆるPID制御)等のアルゴリズムを利用することによって、二相の電圧指令値のうちの1つであるq軸電圧指令値(Viq)を出力する。
−PWM制御器(140)−
PWM制御器(140)は、d軸電圧指令値(Vid)及びq軸電圧指令値(Viq)に基づいて電流源(110)を駆動する駆動信号(G)を生成する。具体的に、PWM制御器(140)は、いわゆるPWM(pulse width modulation)制御を行って、電流源(110)に補償電流(Ic)の入出力を行わせる。PWM制御器(140)は、マイクロコンピュータと、それを動作させるためのソフトウエアが格納されたメモリディバイスを用いて構成することができる。
〈アクティブフィルタ装置の動作〉
アクティブフィルタ装置(100)は、空気調和装置(10)に組み込まれているので、アクティブフィルタ装置(100)を稼働させるには、空気調和装置(10)に通電させる。そうすると、アクティブフィルタ装置(100)では、力率制御器(120)において、電流センサ(123)の検出値等に基づいて、負荷電流(I1)のq軸成分(iq1*)が求められる。また、電流センサ(125)の検出値に基づいて、q軸成分(iq2*)が、dq変換器(128)によって求められる。
負荷電流(I1)のq軸成分(iq1*)と、負荷電流(I2)のq軸成分(iq2*)とは、加算器(130)で加算され、q軸電流指令値(iq*)として出力される。このq軸電流指令値(iq*)からは、dq変換器(127)が求めたq軸電流(iq)が、減算器(131)によって減算されて、偏差(Δiq)として出力される。
更に、力率制御器(120)では、dq変換器(126)等の動作によってd軸電流指令値(id*)が生成される。このd軸電流指令値(id*)からは、dq変換器(127)が求めたd軸電流(id)が、減算器(135)によって減算されて、偏差(Δid)として出力される。
偏差(Δid)が定まると、電流制御器(136)からd軸電圧指令値(Vid)が出力される。また、偏差(Δiq)が定まると、電流制御器(137)からq軸電圧指令値(Viq)が出力される。それにより、d軸電圧指令値(Vid)及びq軸電圧指令値(Viq)に見合った駆動信号(G)がPWM制御器(140)からインバータ回路(111)に出力される。その結果、電流源(110)からは、d軸電流指令値(id*)及びq軸電流指令値(iq*)に相当する成分を有した補償電流(Ic)が流れる。これにより、系統電流(Is)からは、空気調和装置(10)による高調波電流が低減するとともに、基本波力率が改善する。
〈本実施形態における効果〉
以上のように、本実施形態では、空気調和装置(10)に関しては、その有効電流の高調波成分及び無効電流を補償して、高調波電流の低減と力率改善の両方を行っている。一方、空気調和装置(10)と同じ電力系統に接続された他の負荷器(20)に関しては、その無効電流のみに基づいて力率改善(補償)を行い、有効電流に関しては補償を行っていない。すなわち、アクティブフィルタ装置(100)では、他の負荷器(20)に関して有効電流の補償を行わないので、その分のアクティブフィルタ装置(100)の容量を確保する必要がない。したがって、本実施形態を適用すれば、電力系統に空気調和装置(10)とともに別の負荷器(20)が接続された場合において、アクティブフィルタ装置(100)の容量を大きくすることなく、力率の改善を図ることが可能になる。本実施形態は、空気調和装置(10)に組み込まれているアクティブフィルタ装置(100)の余力を利用してビル等全体の力率改善を図る場合に有用な形態である。
《実施形態1の変形例》
図2は、実施形態1の変形例に係るアクティブフィルタ装置(100)を示すブロック図である。同図に示すように、本変形例に係るアクティブフィルタ装置(100)は、実施形態1のアクティブフィルタ装置(100)にローパスフィルター(138)を追加したものである。また、この例では、空気調和装置(10)とは別の負荷器(20)として、電流に高調波成分を含まない誘導性のモータ(25)が接続されている。この場合も、何らの手当も行わないとすれば、系統電流(Is)は、遅れ位相となる。
本変形例では、図2に示すように、dq変換器(128)のq軸成分がローパスフィルター(138)を通してq軸成分(iq2*)として出力されるように構成されている。そのため、本変形例では、負荷器(20)の無効電流の基本波成分のみが補償される。すなわち、本変形例は、他の負荷器(20)の無効電流が、高調波成分を含まない場合に有用な構成である。
《発明の実施形態2》
図3は、発明の実施形態2に係るアクティブフィルタ装置(100)を示すブロック図である。図3に示すように、このアクティブフィルタ装置(100)は、実施形態1の変形例に係るアクティブフィルタ装置(100)とは、電流センサ(125)の位置が異なっている。詳しくは、本実施形態では、電流センサ(125)は、分電盤(40)の入力側に配置されている。本実施形態では、電流センサ(125)は、系統電流(Is)を検出する。この電流センサ(125)には、例えば、ビル等に設置される電力計(いわゆるスマートメータなど)を利用することができる。
また、この例では、dq変換器(126)が求めたd軸成分は、前記実施形態等と同様にハイパスフィルタ(129)に出力されて制御に利用されるが、q軸成分(iq1*)は、制御に使用されていない。そのため、この例では、加算器(130)が不要である。また、dq変換器(127)が求めたq軸電流(iq)も、制御に用いられていない。本実施形態では、減算器(131)には、ゼロ(固定値)がq軸電流指令値(iq*)として入力されるとともに、dq変換器(128)が出力したq軸成分(すなわち、系統電流(Is)のq軸電流(iq))が入力されている。つまり、本実施形態では、ビル等全体における無効電流(q軸電流)が、電流センサ(125)とdq変換器(128)とによって把握され、その無効電流がゼロとなるように制御される。また、空気調和装置(10)の有効電流が含む高調波成分も実施形態1と同様にして補償される。
なお、この場合においても、ローパスフィルター(138)を設けて、dq変換器(128)のq軸成分がローパスフィルター(138)を通してq軸電流(iq)として出力されるように構成し、負荷器(20)の無効電流の基本波成分のみを補償してもよい。
したがって、本実施形態においても、電力系統に空気調和装置(10)とともに他の負荷器(20)が接続された場合において、アクティブフィルタ装置(100)の容量を大きくすることなく、力率の改善を図ることが可能になる。
《その他の実施形態》
なお、アクティブフィルタ装置(100)は、空気調和装置(10)に必ずしも組み込む必要はない。すなわち、空気調和装置(10)とは別個の設備としてビル等に設置してもよい。
また、複数台のアクティブフィルタ装置(100)を設けてもよい。この場合は、複数のアクティブフィルタ装置(100)で補償電流(Ic)を分担(例えば均等に分担)して出力すればよい。
また、例示した負荷器(20)の種類(この例ではエレベータ等)や台数は例示である。例えば、更に多数の負荷器(20)が空気調和装置(10)と同じ電力系統に接続されていてもよい。また、負荷器(20)として、LED等の照明器具が接続されている場合にも前記実施形態は有用である。
また、空気調和装置(10)の構成は例示である。空気調和装置(10)は、上述の冷暖房を行う装置の他に、例えば冷蔵装置、冷凍装置、換気装置、或いは調湿装置であってもよい。
本発明は、アクティブフィルタ装置として有用である。
10 空気調和装置
20 負荷器
40 分電盤
100 アクティブフィルタ装置
110 電流源
120 力率制御器
125 電流センサ

Claims (7)

  1. 空気調和装置(10)に接続されたアクティブフィルタ装置において、
    力率を改善するための補償電流(Ic)を、前記空気調和装置(10)が接続された電力系統に流す電流源(110)と、
    前記電力系統に接続された他の負荷器(20)における無効電流に相当する電流値(iq2*)と、前記電力系統から前記空気調和装置(10)に流れる電流の電流値(ir1,it1)とを用いて、前記補償電流(Ic)の大きさを求める力率制御器(120)と、
    を備えたことを特徴とするアクティブフィルタ装置。
  2. 請求項1において、
    前記力率制御器(120)は、前記無効電流に相当する電流値(iq2*)として該無効電流の基本波成分のみを用いることを特徴とするアクティブフィルタ装置。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記電力系統に流れる電流(Is)、又は前記他の負荷器(20)に流れる電流(I2)を検出する電流センサ(125)を備え、
    前記力率制御器(120)は、前記電流センサ(125)の検出値を用いて前記補償電流(Ic)を求めることを特徴とするアクティブフィルタ装置。
  4. 請求項3において、
    前記電流センサ(125)は、前記電力系統からの電力を分配する分電盤(40)に配置されていることを特徴とするアクティブフィルタ装置。
  5. 請求項3又は請求項4において、
    前記電流センサ(125)は、無線方式で検出結果を前記力率制御器(120)に送信することを特徴とするアクティブフィルタ装置。
  6. 請求項1から請求項5においての何れかのアクティブフィルタ装置(100)が組み込まれていることを特徴とする空気調和装置。
  7. 請求項1から請求項5の何れかのアクティブフィルタ装置(100)を複数台備え、
    それぞれのアクティブフィルタ装置(100)で前記補償電流(Ic)を分担して出力することを特徴とする空気調和装置。
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