JP2018188677A - 金属酸化物透明導電膜及びその製造方法 - Google Patents

金属酸化物透明導電膜及びその製造方法 Download PDF

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【課題】微小なコランダム型酸化インジウム結晶相がビックスバイト型酸化インジウム結晶相同士の結晶粒界に存在する構造を有する金属酸化物透明導電膜が、高い移動度と低い抵抗を示すこと、当該膜が160℃以下の低い成膜温度条件下で得られるため、フレキシブルデバイスとして不可欠な低軟化温度の有機基材との積層体として提供できることを見出したものである。【解決手段】酸化インジウムを含み、かつ、コランダム型酸化インジウム結晶相及びビックスバイト型酸化インジウム結晶相を含み、前記コランダム型酸化インジウム結晶相の平均結晶粒径が10nm以上50nm以下、かつ、前記ビックスバイト型酸化インジウム結晶相の平均結晶粒径が300nm以上1000nm以下である金属酸化物透明導電膜。【選択図】なし

Description

本発明は、酸化インジウムを主成分とする低抵抗な金属酸化物透明導電膜およびその製造方法に関するものである。
液晶等の表示素子をはじめ、タッチパネル検出素子や太陽電池の受光素子として用いられている素子は、透明基板に透明導電膜を形成した透明積層基板が使用されており、一般に透明基板にはガラス基板、透明導電膜にはITO(Indium Tin Oxide)薄膜等が用いられている。
近年、タッチパネルデバイスにおいては、高い検出速度とタッチ検出素子の大型化を可能にするため透明導電膜層の配線の微細化が必要であり、微細化された透明導電膜層の配線の導電性を維持するため低抵抗な透明導電膜の開発が求められている。また、太陽電池デバイスにおいても、太陽電池特性を向上させるため低抵抗な透明導電膜の開発が求められている。
一方、タッチパネルデバイスや太陽電池デバイスの軽量化やフレキシブル性付与の目的から、透明基材に極薄ガラス基材または樹脂基材を利用した透明積層基材の開発が求められている。
しかし、上記ITO薄膜は導電性に優れるものの成膜時もしくはその後の熱処理時に200℃以上のプロセス温度が一般に必要である。このため、ITO薄膜を極薄ガラス基材や樹脂基材に適応させた場合、200℃以上のプロセス温度により前記基材に反りや変形が発生するという問題があった。なお、ITO薄膜を200℃未満の低い基板温度で成膜することも可能であるが、抵抗率が悪化してしまう問題が発生していた(例えば、特許文献1参照)。従って、タッチパネルデバイスの高い検出速度とタッチ検出素子の大型化や太陽電池特性の向上を達成するためには、200℃未満のプロセス温度で低い抵抗率を達成する必要がある。
さらに近年では、耐熱性が比較的乏しい有機基材を用いた場合には、160℃以下で低抵抗化が可能な透明導電膜が求められており、より低温で低抵抗が達成されるという技術への需要が高まっている。
酸化インジウムの結晶形態については、ビックスバイト型あるいはコランダム型の結晶構造を有することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。コランダム型の酸化インジウム結晶相は、ビックスバイト型の結晶相と比較し、高密度であってInイオン間の距離も近いため、より高いキャリア移動度を有し、低抵抗を発現すると考えられている。しかしながら、コランダム型の酸化インジウム結晶は準安定相であり、一般に高温高圧などの条件下において形成する。高温高圧の条件を経ることなくコランダム型酸化インジウム結晶相を含むITO膜を得る方法として、所定の成分比率に調整した金属塩化物の溶液を200〜500℃に加熱した基板上に塗布する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。しかしながら、160℃以下の非常に低いプロセス温度においてコランダム型インジウム結晶相を得る方法や、工業的に最も広く普及している薄膜形成方法の一つであるスパッタリング法によってコランダム型の結晶構造を含む酸化インジウム薄膜を得る方法については現状十分な検討がされていない。
特開2012−218163号公報 特開2004−75427号公報 Acta Chem.Scand.,21,1046(1967)
本発明の目的は、微小なコランダム型酸化インジウム結晶相がビックスバイト型酸化インジウム結晶相同士の結晶粒界に存在する構造を有する金属酸化物透明導電膜が、高い移動度と低い抵抗を示すこと、当該膜が160℃以下の低い成膜温度条件下で得られるため、フレキシブルデバイスとして不可欠な低軟化温度の有機基材との積層体として提供できることを見出したものである。
このような状況に鑑み、本発明者等は鋭意検討の結果、特定の組成を有する酸化インジウム系金属酸化物ターゲットを用いて、なおかつ、特定の条件化でスパッタリング法による成膜を行うことで、ビックスバイト型酸化インジウム結晶相の結晶粒界に微小なコランダム型酸化インジウムの結晶相が存在する金属酸化物透明導電膜を形成すること、及び当該透明導電膜が高い移動度及び低い抵抗を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の様態は以下の通りである。
(1)酸化インジウムを含み、かつ、
コランダム型酸化インジウム結晶相及びビックスバイト型酸化インジウム結晶相を含み、
前記コランダム型酸化インジウム結晶相の平均結晶粒径が10nm以上50nm以下、かつ、前記ビックスバイト型酸化インジウム結晶相の平均結晶粒径が300nm以上1000nm以下である金属酸化物透明導電膜。
(2)タンタルを含み、タンタルの含有量が0.1at%以上1.2at%以下である(1)に記載の金属酸化物透明導電膜。
(3)ジルコニウム、ハフニウムの少なくともいずれかを含み、その合計の含有量が0.1at%以上1.2at%以下である(1)または(2)に記載の金属酸化物透明導電膜。
(4)前記コランダム型酸化インジウム結晶相の結晶率が0.30%以上1.50%以下、
前記ビックスバイト型酸化インジウム結晶相の結晶率が50%以上98.5%以下である(1)乃至(3)いずれか一つに記載の金属酸化物透明導電膜。
(5)酸化インジウムを含む金属酸化物スパッタリングターゲットを用いたスパッタリングを行う成膜工程を有し、成膜工程におけるE=(投入電力)/(導入ガス圧力)の式により定義される条件が300W/Pa以上1500W/Pa以下を満たす(1)乃至(4)いずれか一つに記載の透明導電膜の製造方法。
(6)(1)乃至(4)いずれか一つに記載の透明導電膜を含む積層基材。
本発明によれば、酸化インジウムを主成分とする金属酸化物透明導電膜において、その結晶の大部分を占めるビックスバイト型酸化インジウム結晶相、およびその結晶粒界に存在する微小なコランダム型酸化インジウム結晶相の存在により、当該膜の移動度が増大すること、160℃以下の低温度プロセスにおいても300μΩ・cm以下という低抵抗な透明導電膜を得ることができること、さらに低温下で低抵抗成膜が可能なため軟化温度の低い透明基板との積層体を得ることが可能なことから、表示素子、検出素子、光電変換素子などに好適に用いることができ産業上極めて有用である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明により得られる金属酸化物透明導電膜は、
酸化インジウムを含み、かつ、
コランダム型酸化インジウム結晶相及びビックスバイト型酸化インジウム結晶相を含み、
前記コランダム型酸化インジウム結晶相の平均結晶粒径が10nm以上50nm以下、ビックスバイト型酸化インジウム結晶相の平均結晶粒径が300nm以上1000nm以下である。これにより、結晶膜中の大部分を占めるビックスバイト型酸化インジウム結晶相の粒界散乱によるキャリア移動度低下の影響を軽減され、高移動度かつ低抵抗な透明導電膜を得ることが可能となる。本発明においてはビックスバイト型酸化インジウム結晶相の平均粒径が400nm以上700nm以下であることがより好ましい。
ここで各結晶相の平均粒径は、結晶粒子の長径の平均を示し、電子顕微鏡による表面組織観察により測定することができる。ここで、結晶粒子の長径とは、当該粒子の最大直径を示す。各結晶相は、X線回折のリファレンスデータと参照することで同定することができる。測定において、例えば、コランダム型構造はJCPDSカードNo.22−0336、ビックスバイト型構造はJCPDSカードNo.44−1087のデータをリファレンスデータとして用いることができる。回折パターンの得られない部分の相は、非晶質と判断した。各結晶相の平均結晶粒径は、結晶粒マップを用いて算出した。測定条件に関して、測定倍率5000〜20000倍、測定領域1.0μm×1.0μm〜5.0μm×5.0μm、測定点数10000以上を例示することができる。
さらに、本発明における金属酸化物透明導電膜は、コランダム型酸化インジウム結晶相の形成の観点から、添加元素としてタンタルを含んでいることが好ましく、その含有量は0.05at%以上1.50at%以下であることが好ましく、0.1at%以上1.20at%以下であることがより好ましい。これにより本発明の膜がより低抵抗になり、また、160℃以下の低温下でも結晶性の高い膜を得ることができる。
本発明における金属酸化物透明導電膜は、添加元素としてジルコニウムまたはハフニウムの少なくともいずれかを含んでいることが好ましく、当該元素の合計含有量は0.1at%以上2.0at%以下であることが好ましく、0.5at%以上2.0at%以下であることがより好ましい。これにより本発明の膜がより低抵抗になり、また、160℃以下、さらには130℃以下の低温下でも結晶性の高い膜を得ることができる。
本発明における金属酸化物透明導電膜は、タンタル、ジルコニウムまたはハフニウムの総含有量が3.0at%以下であることが好ましい。これにより透明導電膜のキャリア移動度がより高くなる。
さらに、本発明の膜は、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム以外の別の元素を添加元素として含んでいても良い。しかしながら、インジウム、タンタル、ジルコニウム、ハフニウムからなることが好ましく、さらにはインジウム、タンタルおよびハフニウムからなることが好ましい。
ここで膜の組成は、ICP−AES等の一般的な組成分析により測定することができる。
本願の膜において、コランダム型酸化インジウム結晶相の結晶率が0.30%以上1.50%以下、前記ビックスバイト型酸化インジウム結晶相の結晶率が50%以上98.5%以下であることが好ましい。これにより、ビックスバイト型酸化インジウム結晶同士の粒界にコランダム型酸化インジウム結晶相が明確に偏析し、膜の抵抗が低くなる。前記二つの結晶相以外の部分は同定が困難であり、便宜上残部と称する。前記残部は、非晶質相、欠陥を多く含み結晶性の悪い部分、添加元素が析出した部分のいずれかであるものと推測される。
ここで結晶率とは、後方散乱電子回折像解析(EBSP)付属電界放出形走査型電子顕微鏡により測定した観察画像から測定領域に占める各結晶相の面積分率より算出することができる。測定条件は前述の平均粒径計測と同じ条件を例示できる。
次に、本発明の金属酸化物透明導電膜の製造方法について説明する。
本発明の金属酸化物透明導電膜は、酸化インジウムを含む金属酸化物スパッタリングターゲットを用いたスパッタリングを行う成膜工程を有し、当該成膜工程において、以下の式 E=(投入電力)/(導入ガス圧力)により定義される条件が、300W/Pa以上1500W/Pa以下を満たす方法により製造される。
本発明においてはスパッタリング法により透明導電膜の製造を行う。スパッタリング法による成膜の際に使用するスパッタリングターゲットとしては酸化インジウムを含む金属酸化物を含んでいれば特に制限はなく、インジウムを主成分とするスパッタリングターゲット上に添加元素として用いるタンタル、ハフニウム、ジルコニウムからなる群の少なくとも1つの元素のメタルチップを乗せて成膜することで膜中に元素を添加する方法であるチップオン成膜や、予め所望の組成を有する単一のスパッタリングターゲットを用いて成膜を行うなどの方法により透明導電膜の製造を行うことが可能である。
前記成膜工程に供する金属酸化物スパッタリングターゲットは、酸化インジウムを含み、添加元素としてタンタルを含んでいることが好ましく、その含有量は0.05at%以上1.50at%以下であることが好ましく、0.1at%以上1.20at%以下であることがより好ましい。
前記成膜工程に供する金属酸化物スパッタリングターゲットは、添加元素としてジルコニウムまたはハフニウムの少なくともいずれかを含んでいることが好ましく、当該元素の合計含有量は0.1at%以上2.0at%以下であることが好ましく、0.5at%以上2.0at%以下であることがより好ましい。
前記成膜工程に供する金属酸化物スパッタリングターゲットは、タンタル、ジルコニウムまたはハフニウムの総含有量が3.0at%以下であることが好ましい。
さらに、前記成膜工程に供する金属酸化物スパッタリングターゲットは、インジウム、タンタル、ジルコニウム、ハフニウムからなることが好ましく、さらにはインジウム、タンタルおよびハフニウムからなることが好ましい。
スパッタリング法としては、DCスパッタリング法、RFスパッタリング法、ACスパッタリング法、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法等を適宜選択することができ、これらの中でも大面積に均一に、かつ高速成膜が可能である点でDCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法が好ましい。
スパッタリング時の導入ガスは、通常、不活性ガス、例えばアルゴンガスを用いる。必要に応じて、酸素ガス、窒素ガス、水素ガス、水蒸気等を用いてもよい。
本発明の製造方法においては、スパッタリング法による透明導電膜の成膜時に投入電力と導入ガス圧力を制御する必要がある。すなわち、成膜工程におけるスパッタ粒子のエネルギーをEと表したとき、
=(投入電力[W])/(導入ガス圧力[Pa])
で定義されるEの値が300W/Pa以上1500W/Pa以下であることが好ましい。この理由についてはいかなる理論にも限定されないが、Eの大小によりスパッタ粒子が基板に到達した際の付着力やマイグレーションの様子が異なり、コランダム型酸化インジウム結晶相の形成に影響を及ぼすためと考えられる。
ここで、投入電力とは成膜工程におけるスパッタリングターゲットに対する放電電力[W]である。同様に導入ガス圧とは、成膜工程において、一度真空引きを行った後でチャンバー内の導入する際のガス圧力[Pa]である。
本発明の製造方法は、成膜工程の後で熱処理工程を有することが好ましい。その条件は、成膜した透明導電膜付基板を大気中で30分以上加熱処理を行う方法が例示される。好ましくは、加熱温度は160℃以下、さらには130℃以下である。加熱温度は通常、80℃以上である。
本発明により製造される透明導電膜は、用途に応じて適切な膜厚で使用される。例えば、太陽電池等の各種受光素子の電極や表示素子のTFTやCF、有機EL素子の透明電極等に用いられる場合には100nm程度の膜厚を有する酸化物透明導電膜が用いられる場合が多い。液晶等の表示素子、特にタッチパネルの用途では、ガラス基板の他に、高分子フィルムを用いたフレキシブル基板が採用される場合も多い。このような用途では、膜厚が5nm以上50nm以下の非常に薄い膜として用いられる。また、耐熱性の低い材料を積層した構造をとることや高分子フィルムを用いることがあるため、成膜プロセスの最高温度は例えば160℃以下などのように低温に抑えることが求められ、130℃以下で成膜できればより好ましい。
本発明の酸化物透明導電膜は、基材と構成される酸化物透明導電膜を含む積層基材として好適に用いることができる。
ここで、基材とは無アルカリガラスや石英等を含むガラス基材、樹脂製の高分子フィルム基材、セラミックスや金属の基材等が挙げられる。特に表示素子向けの場合は視認性が極めて重要であるため、無アルカリガラスや石英等を含むガラス基材、樹脂製の高分子フィルム基材が好適である。
このような積層基材は複数の機能部品と構成された素子として好適に用いられる。例えば、太陽電池等の光学素子、FPDやタッチパネル等の表示素子に好適である。特に上述の表示素子は電子機器内に組み込まれて好適に用いられ、モバイル機器のように小型高性能電子機器には特に好適である。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
本発明を以下の実施例を参照してより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)透明導電膜の作製
所定の組成を有する焼結体を作製して、適切なサイズに加工した後、バッキングプレートに貼り合わせてスパッタリングターゲットとした。得られたスパッタリングターゲットをDCマグネトロンスパッタリング法により下記条件でガラス基板上に成膜した。
また、無添加酸化インジウムスパッタリングターゲット上に添加元素のメタルチップを乗せて成膜を行うチップオン成膜によって膜に対する元素添加を行い、所定の組成を有する透明導電膜を作製する方法も実施した。チップオン成膜においても下記条件でガラス基板上に成膜を行った。
(成膜条件)
・装置 :DCマグネトロンスパッタ装置
・磁界強度 :1000Gauss(ターゲット直上、水平成分)
・ターゲット基板間距離 :90mm
・基板温度 :室温(約25℃)
・到達真空度 :8×10−5Pa
・導入ガスの種類 :アルゴン+酸素
・膜厚 :30nm
・使用基板 :無アルカリガラス
(コーニング社製EAGLE XGガラス 厚さ0.7mm)
(成膜後の後熱処理条件)
成膜後に、透明導電膜付基板を大気中で60分間、150℃または120℃で加熱処理を行った。このときの昇温速度は50℃/minとした。
(2)透明導電膜の特性評価
(組成)
ICP発光分光分析装置(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、ICP発光分光分析法により定量を行った。
(電気抵抗)
熱処理後の透明導電膜の抵抗率およびキャリア移動度は、HL5500(日本バイオ・ラッド ラボラトリーズ社製)を用いて測定した。
(平均結晶粒径・結晶分率)
熱処理後の透明導電膜の各結晶相の平均結晶粒径および結晶分率は、EBSP付属電界放出形走査型電子顕微鏡JSM−7100F(日本電子製)により測定した。測定条件は以下の通りである。
・加速電圧 :15kV
・試料傾斜角 :70°
・収集速度 :6.35Hz
データ収集および解析の際に必要となる結晶構造データについては、JCPDS(Joint Committee of Powder Diffraction Standards)カードで確認することができる。酸化インジウムのコランダム型構造はJCPDSカードNo.22−0336であり、ビックスバイト型構造はJCPDSカードNo.44−1087である。
各結晶相の平均結晶粒径は結晶粒マップを用いて算出し、各結晶相の結晶率については測定領域に占める各結晶相の面積分率より算出した。この際の測定画像は、測定倍率15000倍、測定領域2.5μm×3.5μm、測定点数22000個とした。また、測定において回折パターンの得られないサンプルに関しては、非晶質と判断した。
[実施例1〜7]
透明導電膜の成膜にあたり、表1の膜組成となるように元素添加した酸化インジウムを主成分とした焼結体を作製し、これをバッキングプレートに貼り付けることでスパッタリングターゲットとしてマグネトロンスパッタリング装置(アルバック社製)に設置した。
その後、基板加熱等は行わずに室温でスパッタ成膜により膜厚30nmの薄膜を形成した後、大気雰囲気下で150℃、60分間の加熱処理を行った。加熱処理後の透明導電膜の膜特性評価は、前記評価方法によって行った。
[実施例8〜10]
透明導電膜の成膜にあたり、無添加の酸化インジウム焼結体をバッキングプレートに貼り付けスパッタリングターゲットとして用意し、マグネトロンスパッタリング装置(アルバック社製)に設置した。上記スパッタリングターゲット上に、表1の膜組成となるように2.5mm×2.5mm×t1.0mmのメタルチップ1〜10個を均等に乗せた。
その後、基板加熱等は行わずに室温でスパッタ成膜により膜厚30nmの薄膜を形成した後、大気雰囲気下で150℃、60分間の加熱処理を行った。加熱処理後の透明導電膜の膜特性評価は、前記評価方法によって行った。
[実施例11〜17]
透明導電膜の成膜にあたり、表2の膜組成となるように元素添加した酸化インジウムを主成分とした焼結体を作製し、これをバッキングプレートに貼り付けることでスパッタリングターゲットとしてマグネトロンスパッタリング装置(アルバック社製)に設置した。
その後、基板加熱等は行わずに室温でスパッタ成膜により膜厚30nmの薄膜を形成した後、大気雰囲気下で120℃、60分間の加熱処理を行った。加熱処理後の透明導電膜の膜特性評価は、前記評価方法によって行った。
[実施例18〜20]
透明導電膜の成膜にあたり、無添加の酸化インジウム焼結体をバッキングプレートに貼り付けスパッタリングターゲットとして用意し、マグネトロンスパッタリング装置(アルバック社製)に設置した。上記スパッタリングターゲット上に、表2の膜組成となるように約2.5mm×2.5mm×t1.0mmのメタルチップ1〜10個を均等に乗せた。
その後、基板加熱等は行わずに室温でスパッタ成膜により膜厚30nmの薄膜を形成した後、大気雰囲気下で120℃、60分間の加熱処理を行った。加熱処理後の透明導電膜の膜特性評価は、前記評価方法によって行った。
[比較例1〜13、参考例1]
透明導電膜の成膜にあたり、表1の膜組成となるように元素添加した酸化インジウムを主成分とした焼結体をスパッタリングターゲットとして用意し、マグネトロンスパッタリング装置(アルバック社製)に設置した。
その後、基板加熱等は行わずに室温でスパッタ成膜により膜厚30nmの薄膜を形成した後、大気雰囲気下で150℃、60分間の熱処理を行った。熱処理後の透明導電膜の膜特性評価は、前記評価方法によって行った。なお、表1、2において、膜全体が非晶質の場合、明確な結晶粒子が観察されないため平均粒径はできなかった。
[比較例14〜26]
透明導電膜の成膜にあたり、表2の膜組成となるように元素添加した酸化インジウムを主成分とした焼結体をスパッタリングターゲットとして用意し、マグネトロンスパッタリング装置(アルバック社製)に設置した。
その後、基板加熱等は行わずに室温でスパッタ成膜により膜厚30nmの薄膜を形成した後、大気雰囲気下で120℃、60分間の熱処理を行った。熱処理後の透明導電膜の膜特性評価は、前記評価方法によって行った。
Figure 2018188677
Figure 2018188677

Claims (6)

  1. 酸化インジウムを含み、かつ、コランダム型酸化インジウム結晶相及びビックスバイト型酸化インジウム結晶相を含み、前記コランダム型酸化インジウム結晶相の平均結晶粒径が10nm以上50nm以下、かつ、前記ビックスバイト型酸化インジウム結晶相の平均結晶粒径が300nm以上1000nm以下である金属酸化物透明導電膜。
  2. タンタルを含み、タンタルの含有量が0.1at%以上1.2at%以下である請求項1に記載の金属酸化物透明導電膜。
  3. ジルコニウム、ハフニウムの少なくともいずれかを含み、その合計の含有量が0.1at%以上1.2at%以下である請求項1または2に記載の金属酸化物透明導電膜。
  4. 前記コランダム型酸化インジウム結晶相の結晶率が0.30%以上1.50%以下、前記ビックスバイト型酸化インジウム結晶相の結晶率が50%以上98.5%以下である請求項1乃至3いずれか一項に記載の金属酸化物透明導電膜。
  5. 酸化インジウムを含む金属酸化物スパッタリングターゲットを用いたスパッタリングを行う成膜工程を有し、成膜工程におけるE=(投入電力)/(導入ガス圧力)の式により定義される条件が300W/Pa以上1500W/Pa以下を満たす請求項1乃至4いずれか一項に記載の透明導電膜の製造方法。
  6. 請求項1乃至4いずれか一項に記載の透明導電膜を含む積層基材。
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