JP2018187759A - 研磨装置、研磨方法、及び組成物 - Google Patents

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周平 黒河
貴彬 外山
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貴彬 外山
潤 徳田
Jun Tokuda
潤 徳田
須田 栄作
Eisaku Suda
栄作 須田
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Abstract

【課題】セリウム系酸化物砥粒を用いることにより、ガラス基板等の研磨対象物の表面品質のさらなる向上、及び研磨レートの向上を両立可能な研磨装置、及び研磨方法の提供を目的とする。
【解決手段】研磨装置10は、パッド14と、パッド14に研磨剤を供給する研磨剤供給部18とを有する。研磨剤供給部18は、セリウム系酸化物を砥粒として含有する研磨用組成物をパッド14に向けて供給する研磨用組成物供給系統20と、研磨用組成物のpHを調整するためのpH調整剤を供給するpH調整剤供給系統22とを有する。研磨用組成物供給系統20から排出された研磨用組成物がパッド14より研磨されるガラス基板Gに到達するまでに通過する経路において、pH調整剤供給系統22から排出されたpH調整剤を合流させて研磨剤として調製してパッド14に供給可能である
【選択図】図1

Description

本発明は、研磨装置、研磨方法、及び組成物に関する。
従来、ガラス基板は、大規模記録媒体やハードディスクドライブの材料として用いられている。これらの機器の高性能化や高密度化に伴い、ガラス基板の表面をより一層高精度に平坦化することが求められている。現在、ガラス基板の表面を平坦化するための技術として、CMP(Chemical Mechanical Planarization)が用いられている。ここで、ガラス基板をCMPにより処理する場合には、スラリーとして金属酸化物が用いられる。また、下記特許文献1に開示されているように、他の金属酸化物に比べて高い研磨レートで研磨できることから、スラリーとしてセリア砥粒が用いられることが多い。
特開2017−25295号公報
ここで、セリア砥粒には、セリアの焼成物(焼成セリア)を機械的に粉砕した粉砕物が用いられることが多い。焼成セリア砥粒を用いて調製されたスラリーを用いてガラス基板の研磨を行うと、ガラス基板の表面に大きなスクラッチを生じさせる懸念がある。
そこで、本発明者らが鋭意検討したところ、焼成セリアの粉砕物を用いたセリア砥粒(焼成セリア砥粒)では、液中においてセリアが凹凸のある凝集体を形成する傾向を有することが判明した。また、凝集体の凹凸が、ガラス基板の表面に大きなスクラッチを生じさせる原因になることが判明した。
かかる知見に基づき、本発明者らは、基板表面品質のさらなる向上と研磨レートの向上の両立を目指して検討したところ、焼成セリア砥粒とは粒径、形状が異なるセリウム系酸化物を用いた砥粒(セリウム系酸化物砥粒)を研磨に用いることで、基板の表面に大きなスクラッチが生じるのを抑制できるのではないかと考えた。
そこで本発明は、セリウム系酸化物砥粒を用いることにより、ガラス基板等の研磨対象物の表面品質のさらなる向上、及び研磨レートの向上を両立可能な研磨装置、研磨方法、及び組成物の提供を目的とした。
上述した課題を解決すべく提供される本発明の研磨装置は、研磨対象物の研磨に用いるパッドと、前記パッドに研磨剤を供給する研磨剤供給部とを有し、前記研磨剤供給部が、平均粒径D50が10〜300nmの一次粒子で構成されたセリウム系酸化物を少なくとも含む研磨用組成物を前記パッドに向けて供給する研磨用組成物供給系統と、前記研磨用組成物のpHを調整するためのpH調整剤を供給するpH調整剤供給系統とを有し、前記研磨用組成物供給系統から排出された前記研磨用組成物が前記パッドにより研磨される前記研磨対象物に到達するまでに通過する経路において、前記pH調整剤供給系統から排出された前記pH調整剤を合流させて研磨剤として調製して供給可能であることを特徴とするものである。
ここで、本発明者らは、セリウム系酸化物を砥粒として含有する研磨用組成物にpH調整剤を加えて研磨用組成物のpHを変化させると、セリウム系酸化物が速やかに凝集する特性を見いだした。また、本発明者らは、pH調整により凝集させたセリウム系酸化物を含む研磨剤を研磨に用いることにより、セリウム系酸化物が液中に分散した状態の研磨剤を用いる場合に比べて研磨レートの向上が図れることを見いだした。また、凝集させたセリウム系酸化物を含む研磨剤を研磨に用いることにより、焼成セリアを含む研磨剤を用いる場合に比べて研磨対象物の表面品質が格段に向上することを見いだした。本発明の研磨装置は、このような特性を研磨に活用したものである。
具体的には、本発明の研磨装置により研磨を行う場合は、研磨用組成物供給系統から排出された研磨用組成物がpH調整剤と合流した後、研磨対象物に到達するまでのごく短時間の間にセリウム系酸化物が凝集した状態になる。そのため、本発明の研磨装置では、凝集したセリウム系酸化物を含む研磨剤により研磨対象物を研磨することができる。従って、本発明によれば、研磨対象物の表面品質のさらなる向上、及び研磨レートの向上を両立可能な研磨装置を提供できる。
ここで、上述したように、セリウム系酸化物を含有する組成物にpH調整剤を加えてpHを変化させると、セリウム系酸化物は速やかに凝集する。そのため、本発明の研磨装置では、セリウム系酸化物を含有する研磨用組成物とpH調整剤とを何らかの容器等において混合して研磨剤を準備するための工程や装置を必要としない。すなわち、pH調整剤供給系統から排出されたpH調整剤を研磨用組成物供給系統から排出された研磨用組成物の流れに合流させれば凝集したセリウム系酸化物を含む研磨剤を調製し、研磨に用いることができる。すなわち、本発明の研磨装置は、研磨剤を調製してパッドに供給する部分において、いわゆるバッチ式のフローではなく、連続式のフローにより処理を行える。従って、本発明の研磨装置によれば、装置構成をシンプルなものとすると共に、研磨に要する時間を短縮することができる。
上述した本発明の研磨装置は、前記研磨用組成物の排出量、及び前記pH調整剤の排出量のいずれか一方又は双方を調整可能であることが好ましい。
かかる構成によれば、研磨用組成物のpH調整を容易かつ的確に行うことができる。これにより、セリウム系酸化物の凝集状態を最適化し、研磨対象物の表面品質の向上、及び研磨レートの向上を図ることができる。
上述した本発明の研磨装置は、前記研磨剤のpHが研磨の進行に応じて変動するように、前記研磨用組成物の排出量、及び前記pH調整剤の排出量のいずれか一方又は双方を調整可能なものであることが望ましい。
かかる構成によれば、研磨の進行に応じてセリウム系酸化物の凝集状態が最適な状態になるように研磨用組成物のpHを的確に調整できる。これにより、研磨対象物の表面品質及び研磨レートをより一層向上させることができる。
ここで、上述した研磨装置では、例えば研磨用組成物供給系統を構成する配管に対し、pH調整剤供給系統を構成する配管を接続させるなどして、配管内で研磨用組成物とpH調整剤とを合流させて研磨剤を調製するようにしても良い。また、研磨材は、パッドにより研磨される研磨対象物に到達するまでに調製されれば良いため、例えばパッド上で研磨用組成物とpH調整剤とを調製してから、研磨対象物に供給するようにしても良い。しかしながら、配管内においてセリウム系酸化物の凝集物が滞留する等の問題が発生のを抑制する観点からすれば、研磨剤は配管等の外側で調製されることが望ましい。また、研磨剤が確実に調製された状態で研磨対象物に到達するようにするためには、パッドに到達するまでに研磨剤の調製が完了していることが望ましい。
そのため、上述した本発明の研磨装置は、前記研磨用組成物と前記pH調整剤とを空中において合流させ、前記パッドに滴下できるものであることが望ましい。
本発明の研磨装置では、研磨用組成物とpH調整剤とを空中で合流させてパッドに滴下させるため、セリウム系酸化物の凝集物が配管内で滞留等せず、確実にパッドに供給される。そのため、本発明の研磨装置によれば、研磨対象物の表面品質及び研磨レートをより一層向上させることができる。また、上述した構成によれば、研磨用組成物及びpH調整剤の合流箇所からパッドにより研磨される研磨対象物に到達するまでの区間に配管を設けないようにする等、装置構成を簡略化することができる。
本発明の研磨方法は、研磨用のパッドに研磨剤を供給しつつ、研磨対象物に対してパッドを接触させて前記研磨対象物を研磨する研磨方法であって、平均粒径D50が10〜300nmの一次粒子で構成されたセリウム系酸化物を少なくとも含む研磨用組成物を前記パッドに向けて供給しつつ、前記研磨用組成物が前記パッドにより研磨される前記研磨対象物に到達するまでに通過する経路において、前記研磨用組成物のpHを調整するためのpH調整剤を合流させることにより前記研磨剤として調製し、供給可能であることを特徴とするものである。
本発明の研磨方法により研磨を行う場合は、研磨用組成物供給系統から排出された研磨用組成物とpH調整剤とを合流させることにより、凝集状態になったセリウム系酸化物を研磨剤として供給できる。従って、本発明によれば、研磨対象物の表面品質のさらなる向上、及び研磨レートの向上を両立可能な研磨装置を提供できる。
また、本発明の研磨方法では、pH調整剤供給系統から排出されたpH調整剤を研磨用組成物供給系統から排出された研磨用組成物の流れに合流させれば、凝集状態になったセリウム系酸化物を含む研磨剤を調製し、研磨に用いることができる。そのため、本発明の研磨方法によれば、研磨剤を調製してパッドに供給する工程において、いわゆるバッチ式のフローではなく、連続式のフローにより処理を行える。従って、本発明の研磨方法によれば、研磨装置の構成をシンプルなものとすると共に、研磨に要する時間を短縮することができる。
上述した本発明の研磨方法は、前記研磨剤のpHが研磨の進行に応じて変動するように、前記研磨用組成物の供給量、及び前記pH調整剤の供給量のいずれか一方又は双方を調整するものであることが好ましい。
本発明の研磨方法によれば、研磨用組成物のpH調整を容易かつ的確に行い、セリウム系酸化物の凝集状態を最適化することができる。そのため、本発明の研磨方法によれば、研磨対象物の表面品質の向上、及び研磨レートの向上を図ることができる。
上述した本発明の研磨方法は、前記研磨剤として前記研磨用組成物及び前記pH調整剤の混合物を供給して研磨する第一の研磨工程と、前記第一の研磨工程よりも後に、前記pH調整剤の供給を停止した状態で前記研磨剤を供給して研磨する第二の研磨工程とを含むものであることが望ましい。
本発明の研磨方法では、第一の研磨工程においてセリウム系酸化物が凝集した状態で含まれている研磨剤を用いて研磨対象物を迅速に研磨することができる。また、第一研磨工程よりも後に行われる第二の研磨工程においては、第一の研磨工程で用いた研磨剤よりもセリウム系酸化物の凝集度が低い研磨剤を用いて研磨対象物を表面品質が高品質なものとなるように研磨することができる。そのため、本発明の研磨方法によれば、研磨対象物の表面品質の向上、及び研磨レートの向上を両立することができる。
また、本発明の研磨方法では、pH調整剤の供給を停止することで第一の研磨工程から第二の研磨工程に工程を移行することができる。そのため、本発明の研磨方法によれば、第一の研磨工程と第二の研磨工程とで研磨装置の共通化や、第一の研磨工程から第二の研磨工程への移行に要する時間や手間の抑制等を図ることができる。
上述した本発明の研磨方法は、前記研磨用組成物と前記pH調整剤とを空中において合流させ、前記パッドに滴下させるものであることが好ましい。
本発明の研磨方法は、研磨用組成物とpH調整剤とを空中で合流させてパッドに滴下させるものであるため、セリウム系酸化物の凝集物が配管内で滞留等せず、確実にパッドに供給される。そのため、本発明の研磨方法によれば、研磨対象物の表面品質及び研磨レートをより一層向上させることができる。また、本発明の研磨方法によれば、研磨用組成物及びpH調整剤の合流箇所からパッドにより研磨される前記研磨対象物に到達するまでの区間に配管を設けないようにする等、研磨に使用する装置の構成を簡略化することができる。
上述した本発明の研磨方法は、前記pH調整剤として、塩基性の調整剤を供給するものであることが望ましい。
本発明のようにpH調整剤として塩基性の調整剤を供給することにより、セリウム系酸化物を強固かつスムーズに凝集させることができる。これにより、研磨対象物の表面品質、及び研磨レートのさらなる向上を両立することができる。
上述した本発明の研磨方法は、前記研磨剤のpHが12以上となるように前記pH調整剤を供給するものであることが望ましい。
本発明のように研磨剤のpHが12以上となるようにpH調整剤を供給することにより、セリウム系酸化物を強固かつスムーズに凝集させることができる。これにより、研磨対象物の表面品質、及び研磨レートのさらなる向上を両立することができる。
上述した本発明の研磨方法において、前記研磨対象物に対して前記パッドを接触させる圧力は、2.0[kPa]〜40.0[kPa]であることが望ましい。
なお、特許請求の範囲を含む明細書全体を通じ、「〜を含む」という用語は、特に明記しない限り、「少なくとも一つを含む」という用語と同義であると理解すべきであり、「〜の間」等の範囲を示す表現は限界を含む表現であると理解されるべきである。以下の特許請求の範囲を含む明細書全体において、特に言及しない限り、限界値は与えられた値の範囲に含まれる。濃度の範囲を指定する際には、任意の特定の上限濃度を任意の特定の低濃度と関連付けることができることに留意されたい。また、特に言及しない限り、含有量は酸化物のものとして示される。酸化物は、組成物を構成する種々の元素酸化物の積分として定義される最終混合酸化物を指す。また、特許請求の範囲を含む明細書全体を通じ、「比表面積」という用語は、定期刊行物である”The Journal of the American Chemical Society,60,309(1938)”に開示されているBrunauer−Emmett−Teller法から明らかにされたASTM規格のD3663−78に従って窒素吸着によって測定されたBET比表面積を意味する。比表面積は、指定された焼成温度および時間のものについて表される。記載された比表面積は、最終的に空気中で焼成した時の値である。さらに、比表面積は所定の温度と時間のもとで示される値であるが、特に断らない限り、所定の温度で十分保持された場合の値を示す。
IUPACによって定義されている希土類元素(REE)または希土類金属(REM)とは、周期律表の17の化学元素の一群の一つであり、具体的には15種のランタニドならびにスカンジウムおよびイットリウムである。希土類元素には、セリウム(Ce)、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ホルミウム(Ho)、ランタン(La)、ルテチウム(Lu)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、スカンジウム(Sc)、テルビウム(Tb)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)およびイットリウム(Y)が含まれる。
上述した本発明の研磨方法において、前記セリウム系酸化物は、2〜85[m/g]の比表面積(BET)を有するものであることが好ましい。
上述した本発明の研磨方法において、前記セリウム系酸化物は、50〜150[nm]の体積平均粒径D50を有する一次粒子から構成されていることが望ましい。
上述した本発明の研磨方法において、前記セリウム系酸化物は、アスペクト比が0.5〜1.5の立方晶構造であることが望ましく、アスペクト比が約1の立方晶構造であることがより一層望ましい。
上述した本発明の研磨方法において、前記セリウム系酸化物の平均粒径D50は、前記平均粒径の値の1〜30%に含まれる標準偏差を有することが好ましい。
本発明の組成物は、一次粒子から構成されたセリウム系酸化物を含み、pHが12以上であることを特徴とする。
本発明によれば、セリウム系酸化物砥粒を用いることにより、ガラス基板等の研磨対象物の表面品質のさらなる向上、及び研磨レートの向上を両立可能な研磨装置、研磨方法、及び組成物を提供できる。
本発明の一実施形態に係る研磨装置の構成を示す概念図である。 (a)はセリウム系酸化物粒子のTEM写真、(b)は焼成セリア粒子のSEM写真である。 レーザー回折式粒度分布測定装置によりセリウム系酸化物と焼成セリアの粒度分布を計測した結果を示すグラフである。 セリウム系酸化物のゼータ電位のpH依存性を示したグラフである。 焼成セリア砥粒を用いた際の、砥粒濃度変化における研磨レートと基板表面の算術平均表面粗さRaの変化の関係を示したグラフである。 焼成セリア砥粒を用いて研磨した後の石英ガラス基板表面を、CLSMを用いて観察した写真である。 焼成セリア砥粒を用いて研磨した後の石英ガラス基板表面を、AFMを用いて観察した写真である。 セリウム系酸化物砥粒に任意の濃度の水酸化カリウム(KOH)を添加したスラリーを用いた際の、KOHのモル濃度変化と研磨レートとの関係、及びKOHのモル濃度変化と基板表面の算術平均表面粗さRaとの関係を示したグラフである。 セリウム系酸化物砥粒にKOHを添加したスラリーを用いて研磨した後の石英ガラス基板表面を、CLSMを用いて観察した写真である。 セリウム系酸化物砥粒にKOHを添加したスラリーを用いて研磨した後の石英ガラス基板表面を、AFMを用いて観察した写真である。 KOHモル濃度と研磨レートとの関係、及びKOHモル濃度と算術平均表面粗さRaとの関係を示すグラフである。 セリウム系酸化物砥粒を含むスラリーを用いて研磨した石英ガラス基板、及びセリウム系酸化物砥粒を含むスラリーとKOHとを用いて研磨した場合の石英ガラス基板の表面粗さRaを示すグラフである。 焼成セリアを砥粒として含有するスラリー、及びセリウム系酸化物を砥粒として含有するスラリーについて、超高分解能SEMを用いて観察した写真である。 第二の研磨工程における研磨時間を相違させて作成したサンプル表面状態をAFMにより観察した写真である。 図14の写真を表面状態が分かりやすくなるように画像処理したものである。 砥粒濃度2[wt%]、3[wt%]および5[wt%]のセリウム系酸化物砥粒のスラリーにKOHを添加して研磨した際の研磨レートと研磨圧力との変化の関係を示したグラフである。 砥粒濃度5[wt%]のセリウム系酸化物砥粒のスラリーにKOHを添加して研磨した後の石英ガラス基板表面の中心付近を、CLSMを用いて観察した写真である。 砥粒濃度2[wt%]又は3[wt%]のセリウム系酸化物砥粒のスラリーにKOHを添加して研磨した後の石英ガラス基板表面の中心付近を、CLSMを用いて観察した写真である。 砥粒濃度2[wt%]又は3[wt%]のセリウム系酸化物砥粒のスラリーにKOHを添加して研磨した後の石英ガラス基板表面の端部付近を、CLSMを用いて観察した写真である。 砥粒濃度2[wt%]のセリウム系酸化物砥粒のスラリーにKOHを添加して研磨した後の石英ガラス基板表面を、AFMを用いて観察した写真である。 砥粒濃度3[wt%]のセリウム系酸化物砥粒のスラリーにKOHを添加して研磨した後の石英ガラス基板表面を、AFMを用いて観察した写真である。
先ず、本発明において使用されるセリウム系酸化物について説明する。
≪セリウム系酸化物≫
セリウム系酸化物は、通常50〜100重量%の酸化セリウム、特に60〜95重量%の酸化セリウムを含む。セリウム系酸化物はまた、希土類元素(REE)または希土類金属(REM)のような、セリウム以外の1つまたは複数の希土類を含んでもよい。これは、例えば、ジルコニウム、ランタンイットリウム、ネオジム、および/またはプラセオジムであり得る。また、セリウム系酸化物は、例えば、遷移金属のような金属または遷移金属のような少なくとも1つのドーパントを含むものとすることができる。
これらの元素は一般に酸化物として存在する。しかしながら、それらが少なくとも部分的に水酸化物またはオキシ水酸化物の形態で存在することは除外されない。これらの元素の割合は、例えばPANalytical Axios −Max分光計のような蛍光X線分析装置(XRF)を用いる等、実験室での標準的な分析技術を用いて決定することができる。セリウムは酸化セリウムであることが好ましく、ジルコニウムは酸化ジルコニウムであることが好ましく、ランタンは酸化ランタンであることが好ましく、任意の希土類は、酸化セリウムおよび酸化ランタン以外の希土類酸化物であることが好ましい。
本発明において採用されるセリウム系酸化物は、2〜85[m/g]の比表面積(BET)を有するものであることが好ましく、5〜20[m/g]の比表面積(BET)を有するものであることがより一層好ましい。また、本発明において採用されるセリウム系酸化物は、空気中において400℃で2時間焼成した後の比表面積(BET)が2〜85[m/g]の範囲のものであることが好ましく、5〜20[m/g]の範囲のものであることがより一層好ましい。また、本発明において採用されるセリウム系酸化物は、好ましくは、体積平均粒径D50が10〜300[nm]の一次粒子から構成されていることが望ましく、50〜150[nm]の一次粒子から構成されていることがより一層望ましい。
一次粒子の平均粒径は、X線回折法(XRD)によって測定することができる。XRDによって測定された値は、2つの最も強い回折線の幅に基づいて計算されたコヒーレントレンジの大きさに対応する。また、平均粒子径を透過型電子顕微鏡(TEM)によって導出することも可能である。
本発明で用いられるセリウム系酸化物は、アスペクト比が0.5〜1.5の範囲である立方体構造物であることが好ましく、アスペクト比が約1である立方体構造を有するものであることがより一層好ましい。また、本発明で用いられるセリウム系酸化物は、一次粒子が微細かつ単分散の性質を示すものであってもよい。本発明で用いられるセリウム系酸化物は、平均粒径D50が、平均粒径の値の1〜30%の範囲に含まれる標準偏差を有するものであることが望ましい。ここで、「標準偏差」とは通常の数学的意味で解釈され、分散の平方根により示されるものであり、米国特許出願US2010 / 072417A1に特に示されている。従って、標準偏差は、以下の数式で示すように分散の平方根により示される。
様々な粒子(n>300)の粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって得られた写真を用いて測定される。この標準偏差は、一次粒子の平均粒径D50の値の最大20%の範囲内であることが好ましく、最大15%の範囲内であることがより好ましく、最大10%の範囲内であることが最も好ましい。
二次粒子は、一次粒子または微結晶と呼ばれる他のより細かい粒子から作られた凝集物である。本発明の酸化物の二次粒子サイズD50は、0.05〜30[μm]であることが好ましく、0.1〜20[μm]であることがより一層好ましい。二次粒子の粒径は、例えばヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液中のCeOの光学的指数(体積分布)に対して1.2の値を取るHoriba LA920レーザー粒径測定器を用いて測定することができる。
研磨用組成物は、液体媒体にセリウム系酸化物を含有した懸濁液であることが好ましい。液体媒体は、例えば水または水/水混和性溶媒混合物等とすることができる。このタイプの溶媒の例として、メタノールまたはエタノール等のアルコール、エチレングリコール等のグリコール、エチレングリコールモノアセテート等のグリコールのアセテート誘導体、またはポリオールを挙げることができる。また、セリウム系酸化物を含む本発明の研磨用組成物は、例えば分散剤、固結防止剤および殺生物剤のような研磨用途に古典的に使用される他の添加剤を含んでもよい。セリウム系酸化物コロイドセリアとしては、ソルベイ・スペシャルケム・ジャパン株式会社製のZenus(登録商標)が適しており、同社のZenus(登録商標)HC60(以下、HC60と略記することがある)が特に好適である。平均粒径D50が10〜300nmである一次粒子からなるセリウム系酸化物は、例えば少なくとも酸化物粒子形成のための前駆体調製工程、及び酸化工程を含む方法によって得ることができる。
以下、本発明の一実施形態に係る研磨装置10、及び研磨方法について図面を参照しつつ詳細に説明する。
研磨装置10は、大規模記録媒体やハードディスクドライブの材料として用いられるガラス基板Gを研磨するものである。図1に示すように、研磨装置10は、定盤12と、パッド14と、キャリア16と、研磨剤供給部18とを備えている。定盤12は、円板状のものであり、図示しないモータなどの駆動源から動力を受けて回動する。パッド14は、定盤12の上面に設置されている。パッド14には、例えば発泡性の樹脂や、無発泡の樹脂、不織布などの素材により形成されたものを採用することができる。パッド14は、定盤12に対して貼付されており、定盤12と共に回転可能とされている。キャリア16は、研磨対象物であるガラス基板Gを保持するものである。キャリア16は、ガラス基板Gをパッド14に所定の接触圧で接触させつつ、ガラス基板Gを回動させることができる。キャリア16は、図示しないモータなどの駆動源から動力を受けて、定盤12(パッド14)と同一方向にガラス基板Gを回動させることができる。また、キャリア16は、定盤12(パッド14)にガラス基板Gを押圧する押圧機構(図示なし)を備える。押圧機構は、ガラス基板Gがパッド14に押圧される圧力、すなわち研磨圧力を調整することができる。
研磨剤供給部18は、パッド14に研磨剤を供給するためのものである。研磨剤供給部18は、研磨用組成物供給系統20と、pH調整剤供給系統22とを有する。研磨用組成物供給系統20は、セリウム系酸化物(例えば酸化セリウムゾル)を砥粒として含有するスラリーを研磨用組成物として、パッドに向けて供給することができる。
具体的には、研磨用組成物供給系統20は、スラリーを供給するための配管24と、スラリーを圧送するためのポンプ26と、スラリーを貯留しておくためのタンク28とを備えている。研磨用組成物供給系統20は、ポンプ26を作動させることによりタンク28からスラリーを汲み上げ、配管24を通じてパッド14に向けて供給することができる。配管24は、端部がパッド14に対して上方側の位置に到達するように配されている。そのため、研磨用組成物供給系統20は、ポンプ26を作動させることにより、スラリーをパッド14に向けて滴下することができる。
セリウム系酸化物には、例えばソルベイ・スペシャルケム・ジャパン株式会社製のZenus(登録商標)などを好適に利用でき、特にソルベイ・スペシャルケム・ジャパン株式会社製のZenus(登録商標)HC60(以下、HC60とも称す)が好適に利用できる。
pH調整剤供給系統22は、pH調整剤を供給するためのものである。pH調整剤は、研磨用組成物のpHを調整するためのものである。pH調整剤には、水酸化カリウムや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、水酸化テトラメチルアンモニウム(第四級アンモニウム)、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、2−アミノエタノール、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ピペラジン、グアニジン、アニリン、ピリジン等の塩基性物質や、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、ホスホン酸、スルファミン酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、マロン酸、乳酸、マンデル酸、酒石酸、酪酸、アジピン酸、シュウ酸、吉草酸、カプロン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、サリチル酸、アスコルビン酸、ピコリン酸等の酸性物質を用いることができる。
上述したHC60を含むスラリーは、pHが5付近である。また、酸化セリウムの等電点は、pH7.5である。この場合、塩基を添加して等電点を越えるpH(7.5以上)に調整することで、セリウム系酸化物粒子を凝集させることができ、高いpHに調整することで強い結合力をもった凝集体を形成できる。強い結合力をもったセリウム系酸化物の凝集体を得るためには、塩基解離定数Kb>0.1(pKb<1)である水酸化ナトリウムや水酸化カリウムがpH調整剤として好適である。
なお、上述したスラリーとは異なり、塩基性を示すスラリーを用いた場合に粒子を凝集させるためには、粒子の等電点を超えて酸性になるように酸性物質を添加し、pH調整することが好適である。またこの場合には、上述した酸性物質のうちでも、クエン酸、ギ酸、酢酸等のように−COOH基を有し、酸化セリウムとの相互作用が期待されるものをpH調整剤として採用することが望ましい。
pH調整剤供給系統22は、pH調整剤を供給するための配管30と、pH調整剤を圧送するためのポンプ32と、pH調整剤を貯留しておくためのタンク34とを備えている。pH調整剤供給系統22は、ポンプ32を作動させることによりタンク34からpH調整剤を汲み上げ、配管30を通じてパッド14に向けて供給することができる。配管30は、上述した研磨用組成物供給系統20の配管24から排出されたスラリーがパッド14により研磨されるガラス基板Gに到達するまでに通過する経路(空間)において、空中でpH調整剤を合流させることができるように配置されている。そのため、pH調整剤供給系統22からpH調整剤を供給することにより、研磨用組成物供給系統20から排出されたスラリーのpH調整を行い、研磨剤として調製してパッド14に供給することができる。
研磨剤供給部18は、研磨用組成物供給系統20及びpH調整剤供給系統22からパッド14に向けて供給されるスラリー及びpH調整剤の供給量(排出量)を調整できる。具体的には、研磨剤供給部18は、ポンプ26,32の出力等の作動条件を制御することにより、スラリー及びpH調整剤の供給量(排出量)を調整できる。また、研磨用組成物供給系統20やpH調整剤供給系統22に弁を設け、この弁の開閉制御を行うことによりスラリー及びpH調整剤の供給量(排出量)を調整可能なものとすることができる。これにより、研磨剤のpHが研磨の進行に応じて変動するように、研磨用組成物供給系統20におけるスラリーの排出量、及びpH調整剤供給系統22におけるpH調整剤の排出量を調整することができる。
続いて、研磨装置10によるガラス基板Gの研磨方法について説明する。研磨装置10によりガラス基板Gを研磨する際には、キャリア16にガラス基板Gをセットする。また、定盤12に配置されたパッド14に対し、ガラス基板Gを接触させた状態とする。この状態で、研磨剤供給部18からパッド14に研磨剤を供給しつつ、ガラス基板G及びパッド14を回転させる。
ここで、研磨装置10によりガラス基板Gを研磨する場合には、大別して第一の研磨工程及び第二の研磨工程からなる2つの工程を経て研磨が行われる。第一の研磨工程は、セリウム系酸化物を含むスラリーと、水酸化カリウム(KOH)を主成分とするpH調整剤の混合物を研磨剤としてパッド14に供給して研磨する工程である。
上述したように、研磨装置10は、研磨用組成物供給系統20の配管24からセリウム系酸化物を含むスラリーを滴下しつつ、スラリーがパッド14やガラス基板Gに到達するまでの間にpH調整剤供給系統22から滴下されたpH調整剤を合流させることにより研磨剤として調製し、パッド14に供給することができる。このようにして調製された研磨剤には、セリウム系酸化物が凝集した状態で含まれている。そのため、第一の研磨工程では、セリウム系酸化物の凝集体を砥粒としてパッド14に供給してガラス基板Gの研磨が行われる。これにより、研磨用組成物供給系統20を介して供給されるセリウム系酸化物を含むスラリーをそのまま用いる場合よりも高い研磨レートでガラス基板Gを研磨することができる。
また、第二の研磨工程は、第一の研磨工程よりも後に行われる工程である。第二の研磨工程は、pH調整剤の供給を停止した状態でセリウム系酸化物を含むスラリー研磨剤としてパッド14に供給して研磨する工程である。第二の研磨工程では、pH調整剤の供給が停止されるため、研磨用組成物供給系統20の配管24から滴下されたスラリーに含まれているセリウム系酸化物は、凝集することなく液中に分散されたままの状態でパッド14に供給される。これにより、第一の研磨工程よりも研磨レートが低下するものの、高品位な研磨を行うことができる。
上述したように、本実施形態の研磨装置10及び研磨方法により研磨を行う場合は、研磨用組成物供給系統20から排出された研磨用組成物がpH調整剤と合流した後、パッド14やガラス基板Gに到達するまでのごく短時間の間にセリウム系酸化物が凝集した状態になる。そのため、上述した研磨装置10及び研磨方法によれば、凝集したセリウム系酸化物を含む研磨剤によりガラス基板Gを研磨することができる。これにより、ガラス基板Gの表面品質のさらなる向上、及び研磨レートの向上を両立できる。
本実施形態の研磨装置10及び研磨方法によれば、セリウム系酸化物を含有する研磨用組成物とpH調整剤とを何らかの容器等において混合して研磨剤を準備するための工程や装置を必要としない。上述した研磨装置10及び研磨方法によれば、研磨剤を調製してパッド14に供給する部分において、いわゆるバッチ式のフローではなく、連続式のフローにより処理を行える。従って、上述した構成及び方法によれば、研磨装置10の装置構成をシンプルなものとすると共に、研磨に要する時間を最小限に抑制できる。
上述した本実施形態の研磨装置10は、研磨剤のpHが研磨の進行に応じて変動するようにpH調整剤の排出量を調整可能とされている。具体的には、第一の研磨工程においてセリウム系酸化物を含むスラリーとKOH(pH調整剤)とによって調製された塩基性の研磨液により研磨を行った後、第二の研磨工程においてはpH調整剤の供給が停止される。第二の研磨工程において使用される研磨液は、セリウム系酸化物を含むスラリーそのものである。そのため、第二の研磨工程において使用される研磨液は、第一の研磨工程における研磨液よりも中性側に戻った状態になる。このように研磨の進行に応じて研磨剤のpHを変動させることにより、セリウム系酸化物の凝集状態が研磨の各段階において最適な状態になる。従って、上述した研磨装置10や研磨方法によれば、ガラス基板Gの表面品質及び研磨レートをより一層向上させることができる。
なお、本実施形態では、第一の研磨工程において滴下されていたKOH(pH調整剤)を、第二の研磨工程に移行すると共に滴下を停止することで、pH調整剤の排出量(滴下量)や研磨剤のpHを2段階に変化させる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、pH調整剤の排出量(滴下量)や研磨剤のpHをさらに多段階に変化させることとしたり、無段階に変化させるようにしても良い。
また、本実施形態では、KOH(pH調整剤)の排出量(滴下量)のみを調整し、研磨液のpHを調整する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、研磨用組成物の排出量(滴下量)及びKOH(pH調整剤)の排出量(滴下量)のいずれか一方又は双方を調整可能としても良い。また、例えば水に代表される溶媒等の組成物を研磨液の調整用として供給するための系統を別途設け、この系統を介して供給された組成物を研磨用組成物及びKOH(pH調整剤)に加えることにより研磨剤のpHやセリウム系酸化物の凝集状態を調整可能なものとしても良い。
上述した研磨装置10や研磨方法では、研磨用組成物とpH調整剤とを空中において合流させ、パッド14に滴下する。そのため、セリウム系酸化物の凝集物が配管内で滞留等せず、確実にパッド14に供給される。従って、上述した研磨装置10や研磨方法によれば、ガラス基板Gの表面品質及び研磨レートをより一層向上させることができる。また、上述した構成によれば、研磨用組成物及びpH調整剤の合流箇所からパッド14やガラス基板Gに到達するまでの区間に配管を設けないようにする等、研磨装置10の装置構成を簡略化できる。
上述した研磨方法では、pH調整剤として、KOHに代表される塩基性の調整剤が用いられる。これにより、セリウム系酸化物を強固かつスムーズに凝集させ、ガラス基板Gの表面品質、及び研磨レートのさらなる向上を両立することができる。
また、上述した研磨方法では、研磨剤のpHが12以上となるようにpH調整剤を供給するものであることが望ましい。このようにすることで、セリウム系酸化物を強固かつスムーズに凝集させることができる。これにより、ガラス基板Gの表面品質、及び研磨レートのさらなる向上を両立することができる。
上述した研磨方法は、例えばクリスタルやミラーの製造、フラットガラス、テレビ用のスクリーンあるいは眼鏡等におけるガラスの研磨や、ガラス質のセラミックまたは他の材料を研磨するために使用することができる。上述した研磨方法は、特にエレクトロニクス産業におけるCMPのために使用可能である。そのため、上述した研磨方法は、マイクロプロセッサを構成する金属基板の研磨のみならず、マイクロプロセッサの絶縁層または層間絶縁層(ILD)の研磨にも使用できる。また、上述した研磨用組成物は、前述した層の研磨に特に適している。化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Planarization)は、STI(Shallow Trench Isolation)を可能にする重要なプロセスであり、現在の集積回路製造プロセスにおいてデバイスの絶縁を達成するために使用されている。これらの層は、一般的にドープされたシリカまたは多孔質シリカ等のシリカで作成される。また、本研磨方法は、集積回路における配線やバリア用の金属CMPにも使用でき、特に合成石英ガラス製のフォトマスク基板を研磨することに使用できる。
本明細書は本発明の開示を目的としており、上述した実施形態及び以下の実施例はいずれも本発明の一例を示したものに過ぎず、本発明の範囲を本開示の範囲に限定することを意図するものではない。本開示の範囲内にある他の例も、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
本実施例においては、上記実施形態に示した研磨装置10や研磨方法において使用されるセリウム系酸化物の特性について説明する。本実施例では、セリウム系酸化物としてソルベイ・スペシャルケム・ジャパン株式会社製のZenus(登録商標)HC60(以下、HC60とも称す)をサンプルとして採用した。
図2(a)は、セリウム系酸化物(HC60)のTEM画像である。また、図2(b)は、比較対象として準備した焼成セリア粒子のTEM画像である。これらの画像に示すように、セリウム系酸化物の粒子は形状及び粒度が略均一であるのに対し、焼成セリアは大きく不均一な形状の粒子とされている。セリウム系酸化物(HC60)は、TEM画像に基づく測定による平均粒子サイズが約80nmであり、BET法で測定した一次粒子径が約65nmである。
また、コロイドセリア(HC60)及び焼成セリアの二次粒子径分布の差をレーザー回折粒度分析器で比較測定した結果を図3に示す。図3に示すように、コロイド状セリアは、焼成セリアと比較して、より小さくかつシャープな粒度分布を示す。セリウム系酸化物(HC60)および焼成セリアのD50は、それぞれ100nmおよび850nmであった。
図4は、セリウム系酸化物(HC60)のゼータ電位のpH依存性を示すグラフである。このグラフから、セリウム系酸化物(HC60)の等電点は7.5であることが分かる。標準生成物のpHがpH5に設定されているため、セリウム系酸化物(HC60)のゼータ電位は約40mVである。これにより、セリウム系酸化物(HC60)は、良好な分散状態にあることが分かる。
以下、本発明に係る研磨装置及び研磨方法に関する実施例について説明する。
本実施例では、焼成セリア砥粒と、水酸化カリウム(KOH)を添加したセリウム系酸化物砥粒を用いて石英ガラス基板を研磨し、研磨面の観察を行うことにより、砥粒の持つ研磨特性の把握を試みた。
研磨実験の実験条件を表1に示す。本実施例では、試料として3inch(直径76.2mm)の石英ガラス基板を使用し、卓上CMP装置を用いて研磨実験を行なった。研磨レートはデジタル秤量計(島津製作所:AUW220D)を用いて研磨前後の基板の質量差を測定し、密度、基板面積、研磨時間から算出した。表面粗さの測定は非接触式表面粗さ計測器(Veeco社製WykoNT3300)を用いて行なった。研磨面の観察は、共焦点レーザー顕微鏡(ConfocalLaserScanningMicroscope:CLSM:ORYMPUS社製OLS3500)、走査型プローブ顕微鏡(AtomicForceMicroscope:AFM:Bruker・AXS社製DimensionIcon)を用いて行なった。
焼成セリア砥粒を用いた際の、砥粒濃度変化における研磨レートと基板表面の算術平均表面粗さRaの変化の関係を図5に示す。図5より、焼成セリアの砥粒濃度が5[wt%]付近まで増加する範囲内において研磨レートが急激に上昇し、5[wt%]を越えると研磨レートが緩やかに上昇することが判明した。表面粗さRaは、砥粒濃度が2.5[wt%]以上の範囲内において、約1.5[nm]でほぼ一定となった。
ここで、5[wt%]の焼成セリア砥粒を用いて研磨した後の石英ガラス基板表面を、CLSMを用いて観察した結果を図6に示す。図6に示すように、基板表面には、大小様々なスクラッチが発生していることが判明した。さらに高精度な観察をするため、AFMを用いて基板表面を観察した。その結果を図7に示す。図7より、表面にスクラッチが発生し、基板全体がうねりを持っている様子が確認できる。以上より、焼成セリア砥粒は、石英ガラス基板を高能率研磨できるが、高品位研磨は困難であることが判明した。
次に、砥粒濃度5[wt%]のセリウム系酸化物砥粒に任意の濃度の水酸化カリウム(KOH)を添加したスラリーを用いた際の、KOHのモル濃度変化と研磨レートとの関係、及びKOHのモル濃度変化と基板表面の算術平均表面粗さRaとの関係を図8に示す。図8に示すように、KOHの濃度を高くするにつれて、研磨レートが上昇することがわかる。KOHを添加せずセリウム系酸化物砥粒のみで研磨を行った場合は、研磨レートが約25[nm/min]と焼成セリア砥粒を用いた際の1/4程度であった。しかしながら、0.1[mol/L]のKOHを添加することで、研磨レートが約100[nm/min]まで上昇した。また、Raは1.0[nm]〜1.2[nm]を推移し、焼成セリア砥粒を用いた際のRa(1.5[nm])より良好な結果となった。
ここで、5[wt%]のセリウム系酸化物砥粒に0.1[mol/L]のKOHを添加したスラリーを用いて研磨した後の石英ガラス基板表面を、CLSMを用いて観察した結果を図9に示す。図9に示すように、セリウム系酸化物砥粒にKOHを添加して研磨するとスクラッチのない高品質な表面を得られることが判明した。また、同様にAFMを用いて基板表面を観察した基板表面を図10に示す。図10に示すように、基板に焼成セリア砥粒を用いた際のようなスクラッチは発生せず、高品質な表面が得られることが判明した。
上述した実施例により、セリウム系酸化物砥粒にKOHなどのpH調整剤を添加して研磨剤のpH値を調整すると、研磨レートが向上することが判明した。これにより、少なくとも焼成セリア砥粒と同等の研磨レートまで研磨レートを向上させうることが判明した。本実施例では、0.1[mol/L]のKOHを添加することで、焼成セリア砥粒と同等の研磨レート(100[nm/min])を達成できることが判明した。
また、上述した実施例により、にKOHなどのpH調整剤を添加して研磨剤のpH値を調整することにより、焼成セリア砥粒を用いた際と比べてスクラッチのない表面を創成することができ、高能率・高品位研磨が可能であることが判明した。本実施例では、0.1[mol/L]のKOHを添加することで、焼成セリア砥粒を用いた場合よりも高能率・高品位研磨が可能であることが立証された。
本実施例では、セリウム系酸化物スラリーにKOHを添加して研磨した際の表面粗さ、研磨レート向上の要因についての検討結果について説明する。本実施例では、直径76.2mm(3inch)の石英ガラス基板を試料とした。また、スラリーとしてセリウム系酸化物砥粒(ソルベイ・スペシャルケム・ジャパン株式会社製Zenus(登録商標)HC60)を用い、卓上CMP装置(NanoFactor社製NF−300)にて研磨し、研磨レート及び表面性状を調べた。研磨レートはデジタル秤量計(島津製作所:AUW220D)を用いて研磨前後の基板の質量差を測り、密度、基板面積、研磨時間から算出した。表面粗の観察は非接触式表面粗さ計測器(Veeco社製WykoNT3300)、走査型プローブ顕微鏡(ブルカー・エイエックスエス株式会社製DimensionIcon)を用いて行なった。本実施例における研磨条件を、以下の表2に示す。
研磨時のKOHの添加は、スラリー供給用ポンプとは異なるポンプを用意し、スラリーとKOHはパッド上にて混合させた。図11にKOHモル濃度と研磨レートとの関係、及びKOHモル濃度と算術平均表面粗さRaとの関係を示す。図11に示すように、KOH濃度が0[mol/L]〜0.01[mol/L]の範囲内では、研磨レートが約25nm/minと一定であることが判明した。一方、KOH濃度が0.01[mol/L]を越えると、約100[nm/min]まで研磨レートが急激に上昇することが判明した。この研磨レートは、砥粒濃度5[wt%]の焼成セリア砥粒を用いた際の研磨レートに匹敵するものであった。また、表面粗さRaは、1.0[nm]〜1.2[nm]の間で推移し、焼成セリア砥粒を用いた際の表面粗さRa(1.5[nm])より良好な結果が得られた。
次に、研磨後の表面性状をより微視的に観察するため、走査型プローブ顕微鏡を用いて観察した。図12に、セリウム系酸化物砥粒(HC60)を砥粒濃度5[wt%]となるように調製したスラリーを用いて研磨した石英ガラス基板(サンプルA)のRa、及びセリウム系酸化物砥粒(HC60)を砥粒濃度5[wt%]となるように調製したスラリーとKOH(濃度:0.1[mol/L])とを用いて研磨した場合の石英ガラス基板(サンプルB)のRaを示す。観察範囲は500nm×500nm、5μm×5μm、50μm×50μmとした。図12に示すように、サンプルAのほうが、サンプルBよりも表面粗さRaは約25%良好であった。また、サンプルA、サンプルBのいずれも、観察範囲が小さいほど表面粗さは小さくなった。
上述したように、セリウム系酸化物砥粒(HC60)にKOHを添加することで高能率・高品位研磨できることが判明した。研磨レートが上昇する要因が砥粒の凝集にあると考えられるため、KOHモル濃度の変化によるセリウム系酸化物スラリーの沈殿の様子を観察した。
セリウム系酸化物スラリーへのKOHの添加量を0[mol/L]〜0.1[mol/L]の範囲で変動させたサンプルを準備し、サンプルの様子をKOHの添加直後から3日経過後まで観察した結果、KOH濃度を0.005[mol/L]以上とした場合には、撹拌直後から10[s]ほどで沈殿がみられた。沈殿は沈殿部分と白濁している分散部分に分離しながら沈降していく。最終的に、KOH濃度を0.001[mol/L]以上としたスラリーは、3日経つと完全に沈殿した。また、10[s]後、60[min]後の様子に着目すると、KOH濃度が0.1[mol/L]のスラリーは、0.01[mol/L]及び0.005[mol/L]のスラリーに比べて分散状態にあるスラリー濃度が高いことがわかる。この結果に基づき、本発明者らは0.1[mol/L]のスラリーに含まれているセリウム系酸化物の凝集体の大きさが、他の2つのサンプルに比べて小さく、分散しているのではないかと推定した。
ここで一般的に、砥粒の粒径が小さいと研磨レートも減少すると考えられるが、セリウム系酸化物の粒径が小さいと推測されるスラリー(KOH濃度=0.1[mol/L])を用いた方が、セリウム系酸化物の粒径が小さいと推測されるスラリー(KOH濃度=0.01[mol/L],0.005[mol/L])を用いた場合に比べて研磨レートが高い。この要因を調査するために、0.05[mol/L]〜0.1[mon/L]のKOH混合スラリーを2時間超音波分散した。超音波分散直後からの時間経過の様子を観察した結果、KOH濃度を0.1[mol/L]としたスラリーは、徐々に沈殿し、超音波分散処理を行ってから3日後には全て沈殿した。これにより、KOH濃度を0.1[mol/L]としたスラリーは、超音波分散程度では分散しないほど強い結合力で凝集していることが判明した。この結果に基づけば、KOH濃度を0.1[mol/L]としたスラリーを用いた場合には、研磨中においてもセリウム系酸化物の凝集体が分散せず、高い研磨レートが得られたと推測される。
一方、KOH濃度を0.01[mol/L]あるいは0.005[mol/L]としたスラリーは、超音波分散処理を行ってから3日経過してもなお分散状態を維持していた。これは、超音波分散により凝集していた砥粒同士の結合が切れて分散したためと考えられる。この結果に基づけば、KOH濃度を0.01[mol/L]あるいは0.005[mol/L]としたとしたスラリーを用いた場合には、研磨中にもセリウム系酸化物の凝集体の少なくとも一部が分散してしまい、KOH濃度を0.1[mol/L]としたスラリーよりも研磨レートが低下してしまったと推測される。
また、焼成セリアを砥粒として含有するスラリー、及びセリウム系酸化物を砥粒として含有するスラリーについて、超高分解能SEMを用いて観察した。図13(a)に示すように、焼成セリアを砥粒として含有するスラリーは、鋭角な凹凸が多数観察された。これに対し、セリウム系酸化物スラリー(HC60)へのKOHの添加量が0[mol/L]であるサンプルについては、図13(b)に示すように、スラリー中にセリウム系酸化物が殆ど凝集することなく分散していることが観察された。また、図13(c)及び図13(d)に示すように、セリウム系酸化物スラリー(HC60)に添加するKOHの濃度を0.01[mol/L]、0.1[mol/L]と向上させると、KOH濃度の上昇に連れて砥粒同士が強固に凝集していく様子が観察された。この観察結果に基づけば、セリウム系酸化物スラリー(HC60)にKOHを添加することで見かけ上の粒径が増大し、研磨レートが大幅に増大したと考えられる。また、セリウム系酸化物スラリー(HC60)にKOHを添加することで研磨レートの向上だけでなく、高品位研磨も可能となったのは、図13(a)と図13(d)を比較して分かるように、砥粒に鋭角な凹凸が少ないためであると考えられる。
本実施例では、上述した実施例1〜実施例3で得られた知見に基づき、上述した実施形態で示した研磨装置10と同様の装置を用い、上記実施形態において説明した研磨方法により石英ガラス基板の研磨を行った。具体的には、図1に示すように、セリウム系酸化物を砥粒として含有するスラリー(研磨用組成物)と、水酸化カリウム(KOH)を主成分とするpH調整剤とを別系統(研磨用組成物供給系統20,pH調整剤供給系統22)で供給した。また、研磨装置10による研磨開始後、所定時間(本実施例では5分間)に亘って第一の研磨工程を実施し、その後に第二の研磨工程を実施した。第一の研磨工程においては、研磨用組成物供給系統20の配管24から滴下されたスラリーが研磨用のパッド14やガラス基板Gに到達するまでの間に、pH調整剤供給系統22の配管30から滴下されたpH調整剤を合流させる方法により研磨剤を調製し、研磨を行った。また、第二の研磨工程においては、pH調整剤供給系統22によるKOHの滴下を停止し、研磨用組成物供給系統20から滴下されたスラリーを研磨剤として研磨を行った。本実施例においては、第二の研磨工程における研磨時間を0[s],5[s],10[s],20[s]と相違させて比較実験を行った。具体的な実験条件は、以下の表3に示す通りである。
図14は、第二の研磨工程における研磨時間を0[s],5[s],10[s],20[s]と相違させて作成したサンプル(3−1)〜サンプル(3−4)の表面状態をAFMにより観察した状態を示したものである。また、図15は、図14の写真を表面状態が分かりやすくなるように画像処理したものである。図14及び図15から分かるように、第二の研磨工程における研磨時間を行わなかったサンプル(3−1)に比べて、第二の研磨工程における研磨を行ったサンプル(3−2)〜(3−4)の方が表面状態が平滑であることが分かった。また、サンプル(3−2)〜(3−4)を比較すると、第二の研磨工程における研磨時間が長いほうが表面状態が平滑になることが判明した。そのため、第二の研磨工程の長さを調整することにより、要求レベルに応じた表面品質になるように研磨を行えることが判明した。
本実施例では、上述した実施例1〜実施例4で得られた知見に基づき、上述した実施形態で示した研磨装置10と同様の装置を用い、実施形態において説明した研磨方法により、セリウム系酸化物の砥粒濃度および研磨圧力を変更して研磨レートの測定および研磨対象物の研磨した表面の観察を行った結果について説明する。
本実施例では、直径76.2mm(3inch)の石英ガラス基板を試料とした。また、スラリーとして、砥粒濃度は2[wt%]、3[wt%]および5[wt%]のセリウム系酸化物砥粒を用い、0.1[mol/L]の水酸化カリウム(KOH)を添加した3種類の条件の下で、卓上CMP装置(NanoFactor社製NF−300)にて石英ガラス基板を研磨した。研磨レートはデジタル量計(島津製作所:AUW220D)を用いて研磨前後の基板の質量差を測り、密度、基板面積、研磨時間から算出した。表面粗の観察は非接触式表面粗さ計測器(Veeco社製WykoNT3300)を用いて行った。
また、石英ガラス基板の研磨面の観察は、共焦点レーザー顕微鏡(CLSM:ORYMPUS社製OLS3500)および走査型プローブ顕微鏡(AtomicForceMicroscope:AFM:Bruker・AXS社製DimensionIcon)を用いて行った。本実施例における研磨条件を、以下の表4に示す。
まず、砥粒濃度が2[wt%]、3[wt%]および5[wt%]のスラリーに水酸化カリウム(KOH)を添加した3種類の条件による、研磨レート(Removal rate)と研磨圧力(Polishing pressure)との関係を示したグラフを図16に示す。図16に示すように、研磨圧力を高くすると研磨レートも上昇する傾向が確認された。このことから、パッド14を研磨対象物のガラスGに接触させる研磨圧力は、少なくとも2.0[kPa]〜40.0[kPa]の範囲であることが望ましい。
砥粒濃度2[wt%]および3[wt%]のスラリーにおいては、研磨圧力が4.0[kPa]〜31.4[kPa]範囲で研磨レートは直線的に増加した。一方、砥粒濃度5[wt%]のスラリーにおいては、研磨圧力が20[kPa]までは研磨レートは直線的に増加したが、研磨圧力が20[kPa]を越えると頭打ちとなった。なお、砥粒濃度3[wt%]のスラリーにおいては、研磨圧力が31.4[kPa]で研磨レートは220[nm/min]であった。
ここで、砥粒濃度5[wt%]のスラリーを用いて研磨した後の石英ガラス基板表面の中心付近を、CLSMを用いて観察した結果を図17に示す。図17(a)は研磨圧力4.0[kPa]で研磨した石英ガラス基板表面の中心付近を観察した写真であり、図17(b)は研磨圧力31.4[kPa]で研磨した石英ガラス基板表面の中心付近を観察した写真である。図17(a)および図17(b)に示すように、石英ガラス基板の中心付近には、どちらの研磨圧力で研磨した石英ガラス基板であっても、スクラッチは発生せず、高品質な表面が得られることが判明した。
次に、砥粒濃度が2[wt%]または3[wt%]のスラリーに水酸化カリウム(KOH)を添加して研磨した後の石英ガラス基板表面の中心付近を、CLSMを用いて観察した結果を図18に示す。図18(a)は、砥粒濃度2[wt%]のスラリーにより研磨圧力4.0[kPa]で研磨した石英ガラス基板表面の中心付近を観察した写真であり、図18(b)は、砥粒濃度2[wt%]のスラリーにより研磨圧力31.4[kPa]で研磨した石英ガラス基板表面の中心付近を観察した写真であり、図18(c)は、砥粒濃度3[wt%]のスラリーにより研磨圧力4.0[kPa]で研磨した石英ガラス基板表面の中心付近を観察した写真であり、図18(d)は、砥粒濃度3[wt%]のスラリーにより研磨圧力31.4[kPa]で研磨した石英ガラス基板表面の中心付近を観察した写真である。
図18(a)〜図18(d)に示すように、石英ガラス基板の中心付近には、砥粒濃度2[wt%]、3[wt%]どちらの砥粒濃度のスラリーを用いて研磨した場合であっても、また、研磨圧力4.0[kPa]、31.4[kPa]どちらで研磨した場合であっても、スクラッチは発生せず、高品質な表面が得られることが判明した。このことから、パッド14を研磨対象物のガラスGに接触させる研磨圧力は、特に4.0[kPa]〜31.4[kPa]の範囲であることが望ましい。
また、同じ砥粒濃度のスラリー(2[wt%]又は3[wt%])で研磨した後の石英ガラス基板表面の端部付近を、CLSMを用いて観察した結果を図19に示す。図19(a)は砥粒濃度2[wt%]のスラリーにより研磨圧力20.3[kPa]で研磨した石英ガラス基板表面の端部付近を観察した写真であり、図19(b)は砥粒濃度2[wt%]のスラリーにより研磨圧力24.4[kPa]で研磨した石英ガラス基板表面の端部付近を観察した写真であり、図19(c)は砥粒濃度2[wt%]のスラリーにより研磨圧力31.4[kPa]で研磨した石英ガラス基板表面の端部付近を観察した写真であり、図19(d)は砥粒濃度3[wt%]のスラリーにより研磨圧力20.3[kPa]で研磨した石英ガラス基板表面の端部付近を観察した写真であり、図19(e)は砥粒濃度3[wt%]のスラリーにより研磨圧力24.4[kPa]で研磨した石英ガラス基板表面の端部付近を観察した写真であり、図19(f)は砥粒濃度3[wt%]のスラリーにより研磨圧力31.4[kPa]で研磨した石英ガラス基板表面の端部付近を観察した写真である。
図19(a)〜図19(c)に示すように、砥粒濃度2[wt%]のスラリーにより研磨された石英ガラス基板の端部付近では、残留物は観察されなかった。また、図19(d)に示すように、砥粒濃度3[wt%]のスラリーにより研磨圧力20.3[kPa]で研磨された石英ガラス基板の端部付近では、砥粒濃度2[wt%]のスラリーにより研磨された石英ガラス基板の端部付近と同様に残留物は観察されなかった。一方、図19(e)、図19(f)に示すように、砥粒濃度3[wt%]のスラリーにより、研磨圧力24.4[kPa]又は研磨圧力31.4[kPa]で研磨された石英ガラス基板の端部付近では、残留物が観察された。しかし、残留物は少量であり、これらの残留物は研磨レートに影響を与えなかったと考えられる。
次に、砥粒濃度が2[wt%]のスラリーに水酸化カリウム(KOH)を添加して研磨した後の石英ガラス基板表面の中心付近を、AFMを用いて観察した結果を図20に示す。図20(a)は、砥粒濃度2[wt%]のスラリーにより研磨圧力4.0[kPa]で研磨した石英ガラス基板表面を観察した写真であり、図20(b)は、砥粒濃度2[wt%]のスラリーにより研磨圧力31.4[kPa]で研磨した石英ガラス基板表面を観察した写真である。
図20に示すように、砥粒濃度2[wt%]のスラリーにより研磨した後の石英ガラス基板表面には、研磨圧力4.0[kPa]および研磨圧力31.4[kPa]のいずれの条件でも焼成セリアで観察されたような深い傷は形成されなかった。なお、平均正面粗さRaは、研磨圧力4.0[kPa]の条件で0.169[nm]、磨圧力31.4[kPa]の条件で0.251[nm]であった。
ここで、研磨圧力31.4[kPa]の条件は、非常に高い数値であり、一般的な焼成セリアを用いた場合、多くの深いスクラッチが形成される。しかし、セリウム系酸化物砥粒を用いた場合には、研磨圧力31.4[kPa]であっても、スクラッチは発生せず、高品質な表面が得られることが判明した。
次に、砥粒濃度が3[wt%]のスラリーに水酸化カリウム(KOH)を添加して研磨した後の石英ガラス基板表面の中心付近を、AFMを用いて観察した結果を図21に示す。図21(a)は、砥粒濃度3[wt%]のスラリーにより研磨圧力4.0[kPa]で研磨した石英ガラス基板表面を観察した写真であり、図21(b)は、砥粒濃度3[wt%]のスラリーにより研磨圧力31.4[kPa]で研磨した石英ガラス基板表面を観察した写真である。
図21に示すように、砥粒濃度3[wt%]のスラリーにより研磨した後の石英ガラス基板表面には、研磨圧力4.0[kPa]および研磨圧力31.4[kPa]のいずれの条件でも、砥粒濃度2[wt%]のスラリーにより研磨した後の石英ガラス基板表面を観察した場合と同様に、スクラッチは発生せず、高品質な表面が得られることが判明した。なお、平均正面粗さRaは、研磨圧力4.0[kPa]の条件で0.220[nm]、磨圧力31.4[kPa]の条件で0.250[nm]であった。
本発明の研磨装置及び研磨方法は、大規模記録媒体やハードディスクドライブの材料として用いられるガラス基板のように、表面状態が高精度に平滑であることが求められる研磨対象物の研磨において好適に利用できる。
10 研磨装置
14 パッド
18 研磨剤供給部
20 研磨用組成物供給系統
22 pH調整剤供給系統
24 配管
30 配管
G ガラス基板(研磨対象物)

Claims (16)

  1. 研磨対象物の研磨に用いるパッドと、
    前記パッドに研磨剤を供給する研磨剤供給部とを有し、
    前記研磨剤供給部が、
    平均粒径D50が10〜300nmの一次粒子で構成されたセリウム系酸化物を少なくとも含む研磨用組成物を前記パッドに向けて供給する研磨用組成物供給系統と、
    前記研磨用組成物のpHを調整するためのpH調整剤を供給するpH調整剤供給系統とを有し、
    前記研磨用組成物供給系統から排出された前記研磨用組成物が前記パッドにより研磨される前記研磨対象物に到達するまでに通過する経路において、前記pH調整剤供給系統から排出された前記pH調整剤を合流させて研磨剤として調製して供給可能であることを特徴とする研磨装置。
  2. 前記研磨用組成物の排出量、及び前記pH調整剤の排出量のいずれか一方又は双方を調整可能であることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
  3. 前記研磨剤のpHが研磨の進行に応じて変動するように、前記研磨用組成物の排出量、及び前記pH調整剤の排出量のいずれか一方又は双方を調整可能であることを特徴とする請求項2に記載の研磨装置。
  4. 前記研磨用組成物と前記pH調整剤とを空中において合流させ、前記パッドに滴下できることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の研磨装置。
  5. 研磨用のパッドに研磨剤を供給しつつ、研磨対象物に対してパッドを接触させて前記研磨対象物を研磨する研磨方法であって、
    平均粒径D50が10〜300nmの一次粒子で構成されたセリウム系酸化物を少なくとも含む研磨用組成物を前記パッドに向けて供給しつつ、前記研磨用組成物が前記パッドにより研磨される前記研磨対象物に到達するまでに通過する経路において、前記研磨用組成物のpHを調整するためのpH調整剤を合流させることにより前記研磨剤として調製して供給可能であることを特徴とする研磨方法。
  6. 前記研磨剤のpHが研磨の進行に応じて変動するように、前記研磨用組成物の供給量、及び前記pH調整剤の供給量のいずれか一方又は双方を調整することを特徴とする請求項5に記載の研磨方法。
  7. 前記研磨剤として前記研磨用組成物及び前記pH調整剤の混合物を供給して研磨する第一の研磨工程と、
    前記第一の研磨工程よりも後に、前記pH調整剤の供給を停止した状態で前記研磨剤を供給して研磨する第二の研磨工程とを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の研磨方法。
  8. 前記研磨用組成物と前記pH調整剤とを空中において合流させ、前記パッドに滴下させることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の研磨方法。
  9. 前記pH調整剤として、塩基性の調整剤を供給することを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の研磨方法。
  10. 前記研磨剤のpHが12以上となるように前記pH調整剤を供給することを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の研磨方法。
  11. 前記セリウム系酸化物が、2〜85[m/g]の比表面積(BET)を有することを特徴とする請求項5〜10のいずれかに記載の研磨方法。
  12. 前記セリウム系酸化物が、50〜150[nm]の体積平均粒径D50を有する一次粒子から構成されていることを特徴とする請求項5〜11のいずれかに記載の研磨方法。
  13. 前記セリウム系酸化物のアスペクト比が0.5〜1.5の立方晶構造であることを特徴とする請求項5〜12のいずれかに記載の研磨方法。
  14. 前記セリウム系酸化物の平均粒径D50が、前記平均粒径の値の1〜30%に含まれる標準偏差を有することを特徴とする請求項5〜13のいずれかに記載の研磨方法。
  15. 平均粒径D50が10〜300[nm]である一次粒子から構成されたセリウム系酸化物を含み、pHが12以上であることを特徴とする組成物。
  16. 前記研磨対象物に対して前記パッドを接触させる圧力は、2.0[kPa]〜40.0[kPa]であることを特徴とする請求項5〜14のいずれかに記載の研磨方法。
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