以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
〔第1実施形態〕
まず、構成を説明する。図1は、本実施形態におけるブレーキ装置1の斜視図である。ブレーキ装置1は、第1ユニット1Aと第2ユニット1Bと第3ユニット1Cを有する。図2は、ブレーキ装置1の概略構成を液圧回路と共に示す。第1ユニット1Aおよび第3ユニット1Cの軸心を通る断面を示す。ブレーキ装置1は、車輪を駆動する原動機として内燃機関(エンジン)のみを備えた一般的な車両のほか、内燃機関に加えて電動式のモータ(ジェネレータ)を備えたハイブリッド車や、電動式のモータのみを備えた電気自動車等で利用可能である。ブレーキ装置1は、液圧による摩擦制動力を車両の各車輪W(前左輪FL、前右輪FR、後左輪RL、後右輪RR)に付与する液圧制動装置である。各車輪Wには、ブレーキ作動ユニットが設けられる。ブレーキ作動ユニットは例えばディスク式であり、ホイルシリンダW/Cとキャリパを有する。キャリパはホイルシリンダW/Cの液圧によって作動し、摩擦制動力を発生する。
ブレーキ装置1は2系統(プライマリP系統及びセカンダリS系統)のブレーキ配管を有する。ブレーキ装置1は、配管(ブレーキ配管)を介して各ブレーキ作動ユニットに作動流体(作動液)としてのブレーキ液を供給し、ホイルシリンダW/Cの液圧(ブレーキ液圧)を発生させる。これにより、各車輪Wに液圧制動力を付与する。配管形式は、例えばX配管形式である。なお、前後配管等、他の配管形式を採用してもよい。以下、P系統に対応して設けられた部材とS系統に対応する部材とを区別する場合は、それぞれの符号の末尾に添字P,Sを付す。各ユニット1A〜1Cは、車両の運転室から隔離されたエンジンルーム等に設置され、マスタシリンダ配管10M(プライマリ配管10MP、セカンダリ配管10MS)及び吸入配管10Rによって互いに接続される。第2ユニット1Bと各車輪WのホイルシリンダW/Cは、ホイルシリンダ配管10Wによって接続される。配管10M,10Wは金属製のブレーキパイプ(金属配管)である。配管10Rは、ゴム等の材料によりフレキシブルに形成されたブレーキホース(ホース配管)である。以下、説明の便宜上、X軸、Y軸、Z軸を有する三次元直交座標系を設ける。各ユニット1A〜1Cが車両に搭載された状態で、Z軸方向が鉛直方向となり、Z軸正方向側が鉛直方向上側となる。X軸方向が車両の前後方向となり、X軸正方向側が車両前方側となる。Y軸方向が車両の横方向となる。
第1ユニット1Aは、ストロークシミュレータ4を有するストロークシミュレータユニットである。第2ユニット1Bは、マスタシリンダ7と各車輪Wのブレーキ作動ユニットとの間に設けられる液圧制御装置である。第1ユニット1Aと第2ユニット1Bは一体的に設けられ、1つのユニットとして車両に設置される。第3ユニット1Cは、ブレーキペダルBPとメカ的に接続されるブレーキ操作ユニットであり、マスタシリンダ7を有するマスタシリンダユニットである。ブレーキペダルBPは、運転者(ドライバ)のブレーキ操作の入力を受けるブレーキ操作部材である。第3ユニット1Cは、第1ユニット1Aおよび第2ユニット1Bとは別体に設けられ、第1ユニット1Aおよび第2ユニット1Bとは空間的に離れて車両に設置される。図3は、第1ユニット1Aを部品毎に分解して同一軸心上に並べた斜視図である。説明の便宜上、図1と同様の座標系を設ける。図4は、互いに分離された状態の第1ユニット1Aと第2ユニット1Bを斜め(X軸正方向側かつY軸正方向側かつZ軸正方向側)から見る。図5〜図11は、第1ユニット1Aが取り付けられた第2ユニット1Bの外観を各方向から示す。図5は、図4と同様の斜視図、図6はY軸正方向側から見た正面図、図7はY軸負方向側から見た背面図、図8はZ軸正方向側から見た上面図、図9はZ軸負方向側から見た下面図、図10はX軸負方向側から見た左側面図、図11はX軸正方向側から見た右側面図である。図12は図11のXII-XII視断面、図13は図11のXIII-XIII視断面を示す。
まず、図2、3にて、第1ユニット1Aの構成を説明する。第1ユニット1Aは、ハウジング3とストロークシミュレータ4を有する。ハウジング3は、その内部にストロークシミュレータ4を収容(内蔵)する。ストロークシミュレータ4は、運転者のブレーキ操作に伴い作動し、ブレーキペダルBPに反力及びストロークを付与する。ハウジング3は、例えばアルミ合金を材料として鋳造により母材が形成された後、機械加工により各部が形成される。ハウジング3は段付きの円筒状であり、Z軸正方向側からZ軸負方向側へ向って順に、小径部31、中間部32、大径部33、および端部34を有する。小径部31、中間部32、大径部33、および端部34は、この順に外径が大きい。ハウジング3は、第1フランジ部351、第2フランジ部352、第1液路部361、第2液路部362、第1ブリーダー部371、および第2ブリーダー部372を有する。これら第1フランジ部351等は、ハウジング3の外表面から外側へ突出する。第1液路部361は小径部31のZ軸正方向端に、第2液路部362は大径部33のZ軸正方向端に、第1フランジ部351は小径部31のZ軸負方向側と中間部32(Z軸方向で第1液路部361と第2液路部362の間)に、第2フランジ部352はZ軸方向で大径部33と端部34に跨って、配置される。第1液路部361は、小径部31のX軸負方向端からY軸負方向に延びる第1部分361Aと、第1部分361AのY軸負方向端からX軸負方向に延びる第2部分361Bとを有する。X軸正方向側から見て、第1部分361AのZ軸方向両端は直線状であり、Y軸負方向端は半円状である。X軸負方向側から見て、第2部分361BのY軸方向両端は直線状であり、Z軸正方向端は半円状である。すなわち、X軸方向から見て第2部分361Bは半円状である。Y軸方向から見て、第2部分361BのX軸負方向端は直線状であり、X軸正方向端は半円状である。すなわち、Y軸方向から見て第1部分361Aは半円状である。第1液路部361(第2部分361B)は、そのX軸負方向端に、YZ平面に略平行な面381を有する。第2液路部362は、大径部33のX軸負方向端からY軸負方向に延びる第1部分362Aと、第1部分362AのY軸負方向端からX軸方向に延びる第2部分362Bとを有する。X軸方向から見て、第1部分362AのZ軸方向両端は直線状であり、Y軸負方向端は半円状である。すなわち、X軸方向から見て第2部分362Bは半円状である。Y軸方向から見て、第2部分362BのX軸両方向端は直線状である。第2液路部362(第2部分362B)は、そのX軸負方向端に、YZ平面に略平行な面382を有する。
第1フランジ部351は、小径部31と中間部32のX軸負方向端からX軸負方向かつY軸負方向に延びる。X軸方向から見て、第1フランジ部351のY軸負方向端は、直線状である。Y軸方向から見て、第1フランジ部351のX軸両方向端は直線状である。第1フランジ部351は、そのX軸負方向端に、YZ平面に略平行な面383を有し、そのX軸正方向端に、YZ平面に略平行な面384を有する。第1フランジ部351のZ軸方向略中央には、X軸方向に延びるボルト孔391が貫通する。ボルト孔391は面383,384に開口する。第2フランジ部352は、大径部33と端部34の間のX軸負方向端からY軸負方向に延びる。X軸方向から見て、第2フランジ部352(のY軸負方向端)は半円状である。Y軸方向から見て、第1フランジ部351のX軸両方向端は直線状である。第2フランジ部352は、そのX軸負方向端に、YZ平面に略平行な面385を有し、そのX軸正方向端に、YZ平面に略平行な面386を有する。第2フランジ部352には、上記半円の中心を軸心としてX軸方向に延びるボルト孔392が貫通する。ボルト孔392は面385,386に開口する。各ブリーダー部371,372は円筒状である。第1ブリーダー部371は、小径部31のX軸負方向端であって第1液路部361と略同じZ軸方向位置(小径部31のZ軸正方向端)から、Y軸正方向側に延びる。第2ブリーダー部372は、大径部33のX軸負方向端であって第2液路部362と略同じZ軸方向位置(大径部33のZ軸正方向端)から、Y軸正方向側に延びる。各ブリーダー部371,372のY軸正方向端は、XZ平面に略平行であり、大径部33のY軸正方向端と端部34のY軸正方向端との間にある。各ブリーダー部371,372の外径、上記半円状である第1部分361A、第2部分361B,362B、および第2フランジ部352の上記半円の径は、互いに略等しい。
第1フランジ部351、第1液路部361、および第2液路部362は、一体的に連続する。第1フランジ部351のZ軸正方向端は第1液路部361に連続し、第1フランジ部351のZ軸負方向端は第2液路部362に連続する。第1液路部361のY軸負方向端は第1フランジ部351のY軸負方向端と略一致する。第2液路部362のY軸負方向端は、第1フランジ部351のY軸負方向端よりも僅かにY軸負方向側にあり、第2フランジ部352のY軸負方向端と略一致する。第1フランジ部351、第1液路部361、および第2液路部362のX軸負方向端は略一致する。すなわち面381,382,383は略同一面上にある。面381,382,383は、大径部33のX軸負方向端よりも若干X軸負方向側(端部34のX軸負方向端)に位置する。第1フランジ部351および第2フランジ部352のX軸正方向端は略一致する。すなわち面384,386は略同一面上にある。第1液路部361のX軸正方向端は第1フランジ部351のX軸正方向端よりも若干X軸正方向側にある。第2液路部362のX軸正方向端は第1液路部361のX軸正方向端よりもX軸正方向側にあり、大径部33のX軸正方向端よりも若干X軸負方向側にある。
ハウジング3の内部には、シリンダ30と、複数の液路と、複数のポートとが形成される。シリンダ30は、Z軸方向に延びる有底円筒状であり、Z軸正方向側(小径部31の側)が閉塞し、Z軸負方向側(端部34の側)が開口する。シリンダ30は、Z軸正方向側(小径部31の内周側)に小径部301を有し、Z軸負方向側(大径部33の内周側)に大径部302を有する。小径部301のZ軸方向略中央には第1シール溝303Aが設けられ、Z軸負方向側には第2シール溝303Bが設けられる。シール溝303はシリンダ30の軸心周り方向に延びる環状である。図12〜図13に示すように、複数の液路は、シミュレータ接続液路としての第1接続液路304および第2接続液路305と、第1ブリーダー液路307Aおよび第2ブリーダー液路307Bとを有する。複数のポートは、シミュレータ接続ポートとしてのシミュレータ第1接続ポート306Aおよびシミュレータ第2接続ポート306Bと、第1ブリーダーポート308Aおよび第2ブリーダーポート308Bとを有する。
シミュレータ第1接続ポート306Aは、第2部分361Bの内部をX軸方向に延びる円筒状であり、面381に開口する。第1接続液路304は、第1部分304Aと第2部分304Bを有する。第1部分304Aは、一端が小径部301のZ軸正方向側かつX軸負方向側かつY軸負方向側に接続(開口)し、この一端から第1液路部361(第1部分361A)の内部をY軸負方向に延びる。第1部分304Aは、Y軸方向から見て半円状である第1部分361Aの上記半円の中心上を延びる。第2部分304Bは、一端が第1部分のY軸負方向端に接続すると共に、この一端から(第1部分に対し略直角に折れ曲がり)第2部分361Bの内部をX軸負方向側に延び、X軸負方向端がポート306Aに接続(開口)する。第2部分304Bおよびポート306Aは、X軸方向から見て半円状である第2部分361Bの上記半円の中心上を延びる。シミュレータ第2接続ポート306Bは、第2部分362Bの内部をX軸方向に延びる円筒状であり、面382に開口する。第2接続液路305は、第1部分305Aと第2部分305Bを有する。第2接続液路305の第1部分305Aは、一端が大径部302のZ軸正方向側かつX軸負方向側かつY軸負方向側に接続(開口)し、この一端から第2液路部362(第1部分362A)の内部をY軸負方向に延びる。第2接続液路305の第2部分305Bは、一端が第2接続液路305の第1部分305AのY軸負方向端に接続すると共に、この一端から(第2接続液路305の第1部分に対し略直角に折れ曲がり)第2部分362Bの内部をX軸負方向側に延び、X軸負方向端がポート306Bに接続(開口)する。第2接続液路305の第2部分305Bおよびポート306Bは、X軸方向から見て半円状である第2部分362Bの上記半円の中心上を延びる。
第1ブリーダーポート308Aは、第1ブリーダー部371の軸心上をY軸方向に延びる円筒状であり、第1ブリーダー部371のY軸正方向端面に開口する。第2ブリーダーポート308Bは、第2ブリーダー部372の軸心上をY軸方向に延びる円筒状であり、第2ブリーダー部372のY軸正方向端面に開口する。各ブリーダーポート308A,308BにはブリーダーバルブBVがそれぞれ取付けられる。第1ブリーダー液路307Aは、第1ブリーダー部371の軸心上をY軸方向に延びる。第1ブリーダー液路307Aの一端は小径部301のZ軸正方向側かつX軸負方向側かつY軸正方向側に接続(開口)に開口し、他端は第1ブリーダーポート308Aに接続(開口)する。第1ブリーダー液路307Aは、第1接続液路304の第1部分304Aと略同一直線上を延びる。第2ブリーダー液路307Bは、第2ブリーダー部372の軸心上をY軸方向に延びる。第2ブリーダー液路307Bの一端は大径部302のZ軸正方向側かつX軸負方向側かつY軸正方向側に接続(開口)に開口し、他端は第2ブリーダーポート308Bに接続(開口)する。第2ブリーダー液路307Bは、第2接続液路305の第1部分305Aと略同一直線上を延びる。
図2〜図3に示すように、ストロークシミュレータ4は、ピストン41と、第1シール部材421と、第2シール部材422と、第1スプリング431と、第2スプリング432と、第1リテーナ部材44Aと、第2リテーナ部材44Bと、ストッパ部材45と、シート部材46と、第1ダンパ471と、第2ダンパ472と、プラグ部材48とを有する。ピストン41は、有底円筒状であり、シリンダ30に収容される。ピストン41は、Z軸正方向側に開口する第1凹部411と、Z軸負方向側に開口する第2凹部412を有する。凹部411,412は壁部410により隔てられる。第2凹部412の内部には、壁部410から円柱状の凸部413が突出する。ピストン41は、小径部301の内周面に沿ってZ軸方向に移動可能である。シリンダ30の内部は、ピストン41により2室に隔てられ分離される。ピストン41の(第1凹部411の内周側を含む)Z軸正方向側と小径部301との間に、第1室としての正圧室(主室)401が画成される。ピストン41のZ軸負方向側と大径部302との間に、第2室としての背圧室(副室)402が画成される。正圧室401には第1接続液路304が常時開口し、背圧室402には第2接続液路305が常時開口する。第1,第2シール溝303A,303Bには、第1,第2シール部材421,422がそれぞれ設置される。シール部材421,422はカップ状であり、そのリップ部がピストン41の外周面に摺接する。第1シール部材421は、Z軸正方向側(正圧室401)からZ軸負方向側(背圧室402)へ向うブレーキ液の流れを抑制する。第2シール部材422は、Z軸負方向側(背圧室402)からZ軸正方向側(正圧室401)へ向うブレーキ液の流れを抑制する。シール部材421,422により正圧室401と背圧室402が液密に隔てられる。なお、シール部材421,422はそれぞれ、Xリングでもよいし、カップ状のシール部材を2つ並べて正圧室401と背圧室402の双方へのブレーキ液の流れを抑制できるように配置してもよい。更に、シール部材421,422を設置するための構造として、本実施形態ではシリンダ30にシール溝303A,303Bを設けた(所謂、ロッドシールとした)が、代わりにピストン41にシール溝を設け(所謂、ピストンシールとし)てもよい。
スプリング431,432、リテーナ部材44、ストッパ部材45、シート部材46、およびダンパ471,472は、背圧室402に収容される。第1スプリング431、リテーナ部材44、およびストッパ部材45は、1つのスプリングユニットを構成する。スプリング431,432は、弾性部材としてのコイルスプリングである。第1スプリング431は小径であり、第2スプリング432は大径であって第1スプリング431よりもばね係数が大きい。リテーナ部材44は、円筒部440を有する。円筒部440の軸方向一端側に第1フランジ部441が径方向外側に広がり、円筒部440の軸方向他端側に第2フランジ部442が径方向内側に広がる。第1スプリング431は、第1リテーナ部材44A(の第1フランジ部441)と第2リテーナ部材44B(の第1フランジ部441との間に押し縮められた状態で設置される。ストッパ部材45は、軸部450を有するボルト状であり、軸部450の一端に頭部451が径方向外側に広がる。軸部450の他端は第2リテーナ部材44Bの第2フランジ部442に固定される。頭部451は、第1リテーナ部材44Aの円筒部440の内周側に、円筒部440の内周面に沿って移動可能に収容される。頭部451が第2フランジ部442に当接した状態で、第1スプリング431が最大長となる。
シート部材46は、円筒部460と底部461を有する有底円筒状であり、円筒部460の開口側にフランジ部462が径方向外側に広がる。第1ダンパ471はゴム等の弾性部材であり、円柱状である。第2ダンパ472はゴム等の弾性部材であり、軸方向中央部がくびれた円柱状である。プラグ部材48は、端部34に固定され、シリンダ30(大径部302)の開口を液密に閉塞する。プラグ部材48のZ軸正方向側には、有底円筒状の第1凹部481が設けられると共に、第1凹部481を囲むように有底円環状の第2凹部482が設けられる。第1凹部481には、第2ダンパ472が設置される。第1スプリング431のユニットは、ピストン41とシート部材46の間に設置される。第1リテーナ部材44Aの第1フランジ部441はピストン41の隔壁410に設置される。第1リテーナ部材44Aの円筒部440のZ軸正方向側は、凸部413に嵌合する。円筒部440の内周側には、第1ダンパ471が、凸部413に当接して設置される。第2リテーナ部材44Bは、シート部材46(円筒部460)の内周側に設置され、フランジ部441が底部461に当接する。第2スプリング432は、シート部材46とプラグ部材48の間に設置される。第2スプリング432のZ軸正方向側は、シート部材46の円筒部460に嵌合し、シート部材46に保持される。第2スプリング432のZ軸負方向側は、プラグ部材48の第2凹部482に収容され、プラグ部材48に保持される。第2スプリング432は、シート部材46のフランジ部462とプラグ部材48(第2凹部482の底部)との間に押し縮められた状態で設置される。第1,第2スプリング431,432は、ピストン41を正圧室401の側(正圧室401の容積を縮小し、背圧室402の容積を拡大する方向)に常時付勢する戻しばねとして機能する。
次に、図2、図4〜図6にて、第2ユニット1Bの構成を説明する。第2ユニット1Bは、液路を介してホイルシリンダW/Cに液圧を発生させる液圧ユニットである。第2ユニット1Bは、ハウジング5と、モータ20と、ポンプ2と、複数の電磁弁21等と、複数の液圧センサ91等と、電子制御ユニット(コントロールユニット。以下、ECUという)90とを有する。ハウジング5は、その内部にポンプ2や電磁弁21等の弁体を収容(内蔵)する。ハウジング5の内部には、ブレーキ液が流通するP系統及びS系統の回路(ブレーキ液圧回路)が複数の液路11等により形成される。また、ハウジング5の内部には複数のポート51が形成され、これらのポート51はハウジング5の外表面に開口する。これらの液路11等やポート51はドリル等を用いた機械加工により形成される。複数のポート51は、ハウジング5の内部の液路11等に連続し、液路11等とハウジング5の外部の液路(配管10M等)とを接続する。液路11等は、供給液路11と、吸入液路12と、吐出液路13と、調圧液路14と、減圧液路15と、正圧液路16と、背圧液路17と、第1シミュレータ液路18と、第2シミュレータ液路19とを有する。
複数のポート51は、マスタシリンダポート511(プライマリポート511P、セカンダリポート511S)と、ホイルシリンダポート512と、吸入ポート513と、ユニット第1接続ポート(正圧ポート)514と、ユニット第2接続ポート(背圧ポート)515とを有する。マスタシリンダポート511は、供給液路11に接続すると共に、マスタシリンダ配管10Mを介してハウジング5(第2ユニット1B)をマスタシリンダ7(液圧室70)に接続する。ポート511はマスタシリンダ接続ポートであり、プライマリポート511Pにはプライマリ配管10MPの一端が接続され、セカンダリポート511Sにはセカンダリ配管10MSの一端が接続される。ホイルシリンダポート512は、供給液路11に接続すると共に、ホイルシリンダ配管10Wを介してハウジング5(第2ユニット1B)をホイルシリンダW/Cに接続する。ホイルシリンダポート512はホイルシリンダ接続ポートであり、ホイルシリンダポート512にはホイルシリンダ配管10Wの一端が接続される。吸入ポート513は、ハウジング5の内部の第1液溜め室521に接続すると共に、吸入配管10Rを介してハウジング5をリザーバタンク8(第2室83R)に接続する。吸入ポート513にはニップル10R2が固定設置され、吸入配管10Rの一端がニップル10R2に接続される。ユニット第1接続ポート514は、正圧液路16に接続すると共に、ハウジング5をストロークシミュレータ4(正圧室401)に接続する。ポート514には第1ユニット1Aのシミュレータ第1接続ポート306Aが接続される。ユニット第2接続ポート515は、背圧液路17に接続すると共に、ハウジング5をストロークシミュレータ4(背圧室402)に接続する。ポート515には第1ユニット1Aのシミュレータ第2接続ポート306Bが接続される。
モータ20は、回転式の電動機であり、ポンプ2を駆動するための回転軸を備える。モータ20は、ブラシ付きモータでもよいし、上記回転軸の回転角度ないし回転数を検出するレゾルバを備えるブラシレスモータでもよい。ポンプ2は、ホイルシリンダW/Cに対し作動液圧を供給可能な第1の液圧源であり、1つのモータ20により駆動される複数(5個)のポンプ部2A〜2Eを有する。ポンプ2は、固定シリンダ形のラジアルプランジャポンプであり、S系統及びP系統で共通に用いられる。電磁弁21等は、制御信号に応じて動作するアクチュエータであり、ソレノイドと弁体を有する。弁体は、ソレノイドへの通電に応じてストロークし、液路11等の開閉を切り換える(液路11等を断接する)。電磁弁21等は、上記回路の連通状態を制御し、ブレーキ液の流通状態を調整することで、制御液圧を発生する。電磁弁21等は、遮断弁21と、増圧弁(以下、SOL/V INという)22と、連通弁23と、調圧弁24と、減圧弁(以下、SOL/V OUTという。)25と、ストロークシミュレータイン弁(以下、SS/V INという)28と、ストロークシミュレータアウト弁(以下、SS/V OUTという)29とを有する。弁21,22,24は非通電状態で開弁する常開弁であり、弁23,25,28,29は非通電状態で閉弁する常閉弁である。弁21,22,24は、ソレノイドに供給される電流に応じて弁の開度が調整される比例制御弁であり、弁23,25,28,29は、弁の開閉が二値的に切り替え制御されるオン・オフ弁である。尚、これらの弁23,25,28,29に比例制御弁を用いることも可能である。液圧センサ91等は、ポンプ2の吐出圧やマスタシリンダ圧を検出する。液圧センサ91等は、マスタシリンダ圧センサ91と、ホイルシリンダ圧センサ92(プライマリ圧センサ92P及びセカンダリ圧センサ92S)と、吐出圧センサ93とを有する。
以下、第2ユニット1Bのブレーキ液圧回路を図2に基づき、詳細に説明する。各車輪W(FL), W(FR), W(RL), W(RR)に対応する部材には、その符号の末尾にそれぞれ添字a〜dを付して適宜区別する。供給液路11Pの一端側は、プライマリポート511Pに接続する。液路11Pの他端側は、前左輪用の液路11aと後右輪用の液路11dとに分岐する。液路11Sの一端側は、セカンダリポート511Sに接続する。液路11Sの他端側は、前右輪用の液路11bと後左輪用の液路11cとに分岐する。各液路11a〜11dはそれぞれ対応するホイルシリンダポート512a〜512dに接続する。液路11の上記一端側には遮断弁21が設けられる。各液路11a〜11dにはSOL/V IN22が設けられる。SOL/V IN22をバイパスして各液路11と並列にバイパス液路110が設けられ、液路110にはチェック弁220が設けられる。弁220は、ホイルシリンダポート512の側からマスタシリンダポート511の側へ向うブレーキ液の流れのみを許容する。液路11Sにおけるセカンダリポート511Sと遮断弁21Sとの間からは、正圧液路16が分岐する。正圧液路16の一端側は液路11Sに接続し、他端側は正圧ポート514に接続する。
吸入液路12は、第1液溜め室521とポンプ2の吸入部とを接続する。吐出液路13の一端側は、ポンプ2の吐出部に接続する。吐出液路13の他端側は、P系統用の液路13PとS系統用の液路13Sとに分岐する。各液路13P,13Sは、供給液路11における遮断弁21とSOL/V IN22との間に接続する。各液路13P,13Sには連通弁23が設けられる。各液路13P,13Sは、P系統の供給液路11PとS系統の供給液路11Sとを接続する連通路として機能する。ポンプ2は、上記連通路(吐出液路13P,13S)及び供給液路11P,11Sを介して、各ホイルシリンダポート512に接続する。調圧液路14は、吐出液路13におけるポンプ2と連通弁23との間と、第1液溜め室521とを接続する。液路14には第1減圧弁としての調圧弁24が設けられる。減圧液路15は、各液路11a〜11dにおけるSOL/V IN22とホイルシリンダポート512との間と、第1液溜め室521とを接続する。液路15には第2減圧弁としてのSOL/V OUT25が設けられる。
背圧液路17の一端側は、背圧ポート515に接続する。液路17の他端側は、第1シミュレータ液路18と第2シミュレータ液路19とに分岐する。第1シミュレータ液路18は、供給液路11Sにおける遮断弁21SとSOL/V IN22b,22cとの間に接続する。液路18にはSS/V IN28が設けられる。SS/V IN28をバイパスして液路18と並列にバイパス液路180が設けられ、液路180にはチェック弁280が設けられる。弁280は、背圧液路17の側から供給液路11Sの側へ向うブレーキ液の流れのみを許容する。第2シミュレータ液路19は、第1液溜め室521に接続する。液路19にはSS/V OUT29が設けられる。SS/V OUT29をバイパスして液路19と並列にバイパス液路190が設けられ、液路190にはチェック弁290が設けられる。弁290は、第1液溜め室521の側から背圧液路17の側へ向うブレーキ液の流れのみを許容する。供給液路11Sにおける遮断弁21Sとセカンダリポート511Sとの間には、この箇所の液圧(ストロークシミュレータ4の正圧室401の液圧であり、マスタシリンダ圧)を検出する液圧センサ91が設けられる。供給液路11における遮断弁21とSOL/V IN22との間には、この箇所の液圧(ホイルシリンダ液圧に相当)を検出する液圧センサ92が設けられる。吐出液路13におけるポンプ2と連通弁23との間には、この箇所の液圧(ポンプ吐出圧)を検出する液圧センサ93が設けられる。
図4〜図6にて、第2ユニット1Bの外観構成を説明する。
第2ユニット1Bのハウジング5は、アルミ合金を材料として形成される略直方体状のブロックである。ハウジング5の外表面は、第2の面としての正面501と、第1の面としての背面502と、車両搭載時に車両下方向を向く、第4の面としての下面503と、車両搭載時に車両上方を向き、ホイルシリンダW/Cに繋がる配管が接続されるホイルシリンダ接続ポート512を備える、第3の面としての上面504と、第5の面としての左側面505と、第6の面としての右側面506とを有する。正面501は、比較的面積が広い平面である。背面502は、正面501に略平行な平面であり、(ハウジング5を挟んで)正面501の反対側にある。下面503は、正面501及び背面502に連続する平面である。上面504は、下面503に略平行な平面であり、(ハウジング5を挟んで)下面503の反対側にある。左側面505は、正面501、背面502、下面503、及び上面504に連続する平面である。右側面506は、左側面505に略平行な平面であり、(ハウジング5を挟んで)左側面505の反対側にある。右側面506は、正面501、背面502、下面503、及び上面504に連続する。ハウジング5が車両に搭載された状態で、正面501は、Y軸正方向側に配置され、XZ平面と略平行に広がる。背面502は、Y軸負方向側に配置され、XZ平面と略平行に広がる。上面504は、Z軸正方向側に配置されXY平面と略平行に広がる。下面503は、Z軸負方向側に配置され、XY平面と略平行に広がる。右側面506は、X軸正方向側に配置され、YZ平面と略平行に広がる。左側面505は、X軸負方向側に配置され、YZ平面と略平行に広がる。なお、実際の使用においてはXY平面内でのハウジング5の配置は何ら規制されるものではなく、車両レイアウト等に合わせて任意の位置、向きに、ハウジング5をXY平面内で配置することができる。
ハウジング5における正面501と上面504との間の角部には、凹部50が形成される。すなわち、正面501と上面504と右側面506とにより形成される頂点、および、正面501と上面504と左側面505とにより形成される頂点は、切り欠かれた形状であり、それぞれ第1,第2凹部50A,50Bを有する。第1凹部50Aは、正面501、上面504、及び左側面505に開放される(開口する)。第2凹部50Bは、正面501、上面504、及び右側面506に開放される(開口する)。第1凹部50Aは、第1平面部507と第2平面部508と第3平面部509とを有する。第1平面部507は、Y軸に略直交し、XZ平面に略平行である。第2平面部508は、X軸に略直交し、YZ平面に略平行である。第3平面部509は、Y軸方向に延び、Y軸正方向側から見て右側面506に対し反時計回り方向に略50度の角度をなす。第2平面部508と第3平面部509は、Y軸方向に延びる凹曲面を介して滑らかに連続する。第2凹部50Bの構成は第1凹部50Aと同様である。第1,第2凹部50A,50Bは、ハウジング5のX軸方向中央におけるYZ平面に関して略対称である。ハウジング5は、第1液溜め室521と、第2液溜め室522と、カム収容孔と、複数(5個)のシリンダ収容孔53A〜53Eと、複数の弁収容孔54(図12、13参照)と、複数のセンサ収容孔と、電源孔55と、複数の固定孔56(図12、13参照)とを内部に有する。これらの孔や室もドリル等により形成される。
図4、図5、図8に示すように、第1液溜め室521(吸入ポート513)は、Z軸方向に延びる有底円筒状であって、上面504におけるX軸方向略中央かつY軸正方向寄りに開口し、上面504からハウジング5の内部へ配置される。図9、図12にて示すように、第2液溜め室522は、その軸心がZ軸方向に延びる有底円筒状であって、下面503におけるX軸負方向側かつY軸正方向寄りに開口し、下面503からハウジング5の内部へ配置される。カム収容孔は、Y軸方向に延びる有底円筒状であって、正面501に開口する。カム収容孔の軸心Oは、正面501におけるX軸方向略中央であって、Z軸方向中央より若干Z軸負方向側に配置される。シリンダ収容孔53は、段付きの円筒状であり、カム収容孔の径方向(軸心Oを中心とする放射方向)に延びる軸心を有する。シリンダ収容孔53A〜53Eにおいて、カム収容孔(軸心O)に近い側の一部はそれぞれポンプ部2A〜2Eの吸入部として機能し、第1連通液路により互いに接続される。シリンダ収容孔53A〜53Eにおいて、カム収容孔から遠い側の一部はそれぞれポンプ部2A〜2Eの吐出部として機能し、第2連通液路により互いに接続される。複数の孔53A〜53Eは、軸心Oの周り方向で略均等(略等間隔)に配置される。孔53A〜53EはY軸方向に沿って単列であり、ハウジング5のY軸正方向側に配置される。すなわち、孔53A〜53Eの軸心は、軸心Oに対して略直交する略同一の平面内にある。この平面は、正面501および背面502と略平行であり、背面502よりも正面501の側にある。
図4〜図13に示すように、各孔53A〜53Eは以下のようにハウジング5の内部へ配置される。孔53Aは、下面503からZ軸正方向側に延びる。孔53Bは、左側面505における軸心OよりもZ軸負方向側から、X軸正方向側かつZ軸正方向側に延びる。孔53Cは、第1凹部50AからX軸正方向側かつZ軸負方向側に延びる。孔53Dは、第2凹部50BからX軸負方向側かつZ軸負方向側に延びる。孔53Eは、右側面506における軸心OよりもZ軸負方向側から、X軸負方向側かつZ軸正方向側に延びる。軸心Oに対しZ軸負方向側で、孔53Aは軸心Oと略同じX軸方向位置にあり、孔53B, 53Eは、軸心O(孔53A)を挟んでX軸方向両側に配置される。軸心Oに対しZ軸正方向側で、孔53C,53Dは、軸心Oを挟んでX軸方向両側に配置される。各孔53A〜53Eの一端はカム収容孔の内周面に開口する。孔53Aの他端は下面503のX軸方向略中央かつY軸正方向側に開口する。孔53Bの他端は左側面505のY軸正方向側かつZ軸負方向側に開口する。孔53Eの他端は右側面506のY軸正方向側かつZ軸負方向側に開口する。孔53C,53Dの他端はそれぞれ第1,第2凹部50A, 50Bに開口する。具体的には、孔53C,53Dの他端の過半は第3平面部509に開口し、残りの部分は第2平面部508に開口する。第1液溜め室521は、カム収容孔よりZ軸正方向側において、軸心Oの周り方向で孔53C,53Dの間の領域に形成される。Y軸方向で(X軸方向から見て)、室521と孔53C,53Dは部分的に重なる。第2液溜め室522は、カム収容孔の軸心OよりもZ軸負方向側において、軸心Oの周り方向で孔53A,53Bの間の領域に形成される。カム収容孔と第2液溜め室522はドレン液路により接続される。
図2に示すように、カム収容孔には、ポンプ2の回転軸であり駆動軸である回転駆動軸と、カムユニット2Uが収容される。回転駆動軸は、その軸心がモータ20の回転軸の軸心の延長上を延びるようにモータ20の回転軸に連結固定され、モータ20により回転駆動される。カムユニット2Uは、回転駆動軸に設けられる。ポンプ部2A〜2Eは、回転駆動軸の回転により作動する往復ポンプとしてのプランジャポンプ(ピストンポンプ)であり、プランジャ(ピストン)の往復運動に伴い、作動液としてのブレーキ液の吸入と吐出を行う。カムユニット2Uは、回転駆動軸の回転運動をプランジャの往復運動に変換する。各プランジャは、カムユニット2Uの周りに配置され、それぞれシリンダ収容孔53に収容される。プランジャの軸心は、シリンダ収容孔53の軸心と略一致し、回転駆動軸の径方向に延びる。言換えると、図8〜10に示すように、プランジャは、シリンダ収容孔53の数(5個)だけ設けられ、軸心Oに対し放射方向に延びる。これらのプランジャは、同一の回転駆動軸および同一のカムユニット2Uにより駆動される。各ポンプ部2A〜2Eが第2連通液路へ吐出するブレーキ液は1つの吐出液路13に集められ、2系統の液圧回路で共通に用いられる。
図12〜13に示すように、複数の弁収容孔54は、有底円筒状であり、Y軸方向に延びて背面502に開口する。複数の弁収容孔54はY軸方向に沿って単列であり、ハウジング5のY軸負方向側に配置される。Y軸方向に沿って、シリンダ収容孔53と弁収容孔54が並ぶ。Y軸方向から見て、弁収容孔54はシリンダ収容孔53と少なくとも部分的に重なる。各弁収容孔54には電磁弁21等の弁部が嵌合し、弁体が収容される。複数のセンサ収容孔は、その軸心がY軸方向に延びる有底円筒状であって、背面502に開口する。各センサ収容孔には液圧センサ91等の感圧部が収容される。電源孔55は、円筒状であり、ハウジング5(正面501と背面502との間)をY軸方向に貫通する。孔55は、ハウジング5のX軸方向略中央かつZ軸正方向側に配置される。孔55は、シリンダ収容孔53C,53Dの間の領域に形成される。
図4〜6に示すように、マスタシリンダポート511は、その軸心がY軸方向に延びる有底円筒状であって、正面501におけるZ軸正方向側の端部であって凹部50A, 50Bに挟まれた部位に開口する。プライマリポート511PはX軸正方向側、セカンダリポート511SはX軸負方向側に配置される。両ポート511P,511Sは、X軸方向に並び、X軸方向で(Y軸方向から見て)、第1液溜め室521を挟む。各ポート511P,511Sは、軸心Oの周り方向で(Y軸方向から見て)、第1液溜め室521とシリンダ収容孔53C,53Dとに挟まれる。図8に示すように、ホイルシリンダポート512は、その軸心がZ軸方向に延びる有底円筒状であって、上面504のY軸負方向側(正面501よりも背面502に近い位置)に開口する。ホイルシリンダポート512a〜512dは、X軸方向に1列に並ぶ。P系統のホイルシリンダポート512a,512dはX軸正方向側に、S系統のホイルシリンダポート512b,512cはX軸負方向側に配置される。ホイルシリンダポート512aはホイルシリンダポート512dよりX軸正方向側に、ホイルシリンダポート512bはホイルシリンダポート512cよりX軸負方向側に配置される。ホイルシリンダポート512c,512dは、Y軸方向から見て、吸入ポート513(第1液溜め室521)を挟む。ホイルシリンダポート512と第1液溜め室521とはZ軸方向で部分的に重なる。第1液溜め室521は、マスタシリンダポート511P,511Sとホイルシリンダポート512c,512dとに囲まれた領域に配置される。Z軸方向から見て、吸入ポート513(第1液溜め室521)は、ホイルシリンダポート511P,511S,512c,512d(の中心)を線分で結んだ四角形の内部にある。吸入ポート513は、上面504における第1液溜め室521の開口部であり、鉛直方向上側に開口する。ポート513は、上面504において、X軸方向中央側かつY軸正方向寄り(ホイルシリンダポート512よりも正面501に近い位置)に開口する。ポート513は、ポンプ部2A〜2Eの吸入部よりもZ軸正方向側に配置される。シリンダ収容孔53C,53Dは、Y軸方向から見て、ポート513を挟む。Y軸方向で(X軸方向から見て)、シリンダ収容孔53C,53Dの開口とポート513は部分的に重なる。ユニット第1接続ポート514は、その軸心がX軸方向に延びる有底円筒状であって、右側面506のY軸方向中央より若干Y軸負方向側、かつZ軸正方向側に開口する。ポート514は、マスタシリンダポート511よりも若干Z軸負方向側に、第2凹部50B(第1平面部507)のY軸負方向側に隣接して、開口する。ユニット第2接続ポート515は、その軸心がX軸方向に延びる有底円筒状であって、右側面506のY軸方向中央より若干Y軸負方向側、かつZ軸方向略中央に開口する。ポート515は、第2凹部50BよりもZ軸負方向側、軸心Oよりも若干Z軸正方向側、かつポート514よりも僅かにY軸負方向側に開口する。複数の液路11等は、ポート51と、液溜め室521,522と、シリンダ収容孔53と、弁収容孔54と、液圧センサ収容孔とを接続する。
図9、図12に示すように、複数の固定孔56は、モータ固定用のボルト孔と、ECU固定用のボルト孔561〜564と、第1ユニット固定用のボルト孔565,566と、ハウジング固定用のボルト孔567,569とを有する。モータ固定用のボルト孔は、その軸心がY軸方向に延びる有底円筒状であって、正面501に開口する。ECU固定用のボルト孔561〜564は、その軸心がY軸方向に延びる円筒状であって、ハウジング5を貫通する。孔561,562がZ軸負方向側に、孔563,564がZ軸正方向側に位置する。孔561,562は、下面503と側面505,506とに挟まれる両角部にそれぞれ位置し、正面501と背面502に開口する。孔563,564は、Y軸方向から見て上面504と凹部50の第2平面部508とに挟まれる角部に位置し、第1平面部507と背面502に開口する。X軸方向で、孔563はホイルシリンダポート512b,512cに挟まれ、孔564はホイルシリンダポート512a,512dに挟まれる。図4、図5に示すように、第1ユニット固定用のボルト孔565,566は、その軸心がX軸方向に延びる有底円筒状であって、右側面506に開口する。第1孔565は、右側面506の若干Y軸負方向側、かつZ軸正方向側に開口する。第1孔565は、X軸方向から見て第2凹部50Bの第1平面部507と第3平面部509とに挟まれる角部に隣接して開口する。第1孔565のZ軸方向位置は、ユニット接続ポート514,515の間の略中間位置である。第1孔565のY軸方向位置は、ポート514のY軸方向位置と略同じである。第2孔566は、右側面506の若干Y軸負方向側、かつZ軸負方向側に開口する。第2孔566のZ軸方向位置は、シリンダ収容孔53Eの開口よりZ軸負方向側であって、第2孔566のY軸方向位置は、ポート515のY軸方向位置と略同じである。ハウジング固定用のボルト孔567,568,569は、その軸心がそれぞれY軸方向、Z軸方向に延びる有底円筒状である。ボルト孔567は、正面501のX軸負方向端かつZ軸負方向側に開口し、図4、図5に示すように、ボルト孔568は、右側面506側に配置される第1ユニット1Aのハウジング3(例えば第2液路部362の第2部分362B)のX軸正方向端面に軸心Oに直行してX軸正方向側に開口し、ボルト孔569は、下面503のZ軸負方向側に開口している。X軸負方向側の孔567は、X軸方向で左側面505に隣接し、左側面505と第2液溜め室522に挟まれ、Z軸方向でシリンダ収容孔53Bとボルト孔561に挟まれる。
図4〜図9に示すように、ハウジング5の右側面506には、第1ユニット1Aが配置され、取付けられる。右側面506は第1ユニット取付面として機能する。第1ユニット1Aのハウジング3のZ軸正方向端は第2ユニット1Bのハウジング5のZ軸正方向端(上面504)よりも若干Z軸負方向側に位置する。ハウジング3のZ軸負方向端は、ハウジング5のZ軸負方向端(下面503)よりも若干Z軸負方向側に位置し、第2ユニット1B(ECU90)のZ軸負方向端よりも若干Z軸正方向側に位置する。(ブリーダーバルブBVを含めた)第1ユニット1AのY軸正方向端は、ハウジング5のY軸正方向端(正面501)よりもY軸正方向側に位置し、第2ユニット1B(モータハウジング200)のY軸正方向端(底部202)よりもY軸負方向側に位置する。ハウジング3のY軸負方向端はハウジング5のY軸負方向端(背面502)よりも若干Y軸正方向側に位置する。
図12、図13に示すように、ハウジング3の面381〜383は、ハウジング5の右側面506に当接する。第1フランジ部351のボルト孔391の軸心とハウジング5のボルト孔565の軸心とが略一致し、かつ第2フランジ部352のボルト孔392の軸心とハウジング5のボルト孔566の軸心とが略一致した状態で、X軸方向(接続ポート306の軸方向)から見て、ユニット第1接続ポート514はシミュレータ第1接続ポート306Aと重なり合い、ユニット第2接続ポート515はシミュレータ第2接続ポート306Bと重なり合う。前者の重なり合いにより、ポート306Aは、ハウジング5の外表面に開口する正圧液路16(ポート514)に接続する。後者の重なり合いにより、ポート306Bは、ハウジング5の外表面に開口する背圧液路17(ポート515)に接続する。この状態で、ハウジング3は、ハウジング5の右側面506に固定される。第1, 第2フランジ部351,352は、それぞれボルトb3により、ハウジング5に対して固定される。ボルトb3の頭部は第1, 第2フランジ部351,352のX軸正方向側に配置される。ボルトb3の軸部はボルト孔391,392を貫通し、軸部の先端側の雄ねじがハウジング5のボルト孔565,566の雌ねじに螺合する。ボルトb3の軸力により、フランジ部351,352は、ボルトb3の頭部とハウジング5の右側面506との間で、右側面506に対して締結固定される。ボルト孔565,566は、第1ユニット1A(ハウジング3)を第2ユニット1B(ハウジング5)に固定するための固定部として機能する。ポート306,514,515の開口部から面381,382と右側面506との間の隙間を通って外部にブレーキ液が漏れ出ることは、ボルトb3の軸力により各面381,382,506が密着することで抑制される。第1フランジ部351は液路部361,362と一体的に設けられている。よって、第1フランジ部351をハウジング5に対して固定することで、ポート306A,306Bとポート514,515との接続をより効率的に強化できる。また、第1フランジ部351に対しハウジング3(ストロークシミュレータ4)の軸方向に離れた位置に、第2フランジ部352が設けられている。よって、軸方向に長いハウジング3をハウジング5に取付ける強度を向上できる。なお、第1フランジ部351の面383と右側面506との間に隙間があってもよい。また、面381,382と右側面506との間にガスケット(シール部材)を設けてもよい。例えば、面381,382または右側面506に、ポート306,514,515の開口部を囲むようにOリングを設置してもよい。また、面381,382と右側面506との間に、シート状のガスケットを介在させてもよいし、ガスケットに限らず、ポート306,514(515)を連結する液路を有する部材を介在させてもよい。
図4に示すように、モータ20は、モータハウジング200を有する。ハウジング5の正面501には、モータ20が配置され、モータハウジング200が取り付けられる。正面501は、モータ取付面として機能する。マスタシリンダポート511(511S、511P)はモータハウジング200よりもZ軸正方向側に位置する。モータハウジング200は有底円筒状であり、円筒部201と、底部202と、フランジ部203とを有する。円筒部201は、DCブラシ付きモータを例に挙げると、内周側にステータとしてのマグネットやロータ等を収容する。モータ20の回転軸は円筒部201の軸心O上を延びる。底部202は、円筒部201の軸方向一方側を閉塞する。フランジ部203は、円筒部201の軸方向他方側(開口側)の端部に設けられ、円筒部201の外周面から径方向外側に広がる。フランジ部203には、ボルト孔が貫通する。各ボルト孔にはボルトb1が挿入され、ボルトb1はハウジング5(正面501)のモータ固定用のボルト孔に締結される。ロータにはブラシを介して通電用の導電部材(電源コネクタ)が接続される。この導電部材は、図13に示す電源孔55に収容(装着)され、背面502からY軸負方向側へ突出する。
図14は、第1ユニット1Aが取り付けられた第2ユニット1Bを車体に固定するためのマウントブラケット1000が取り付けられた状態のY軸正方向側からみた正面図であり、図15は、第1ユニット1Aが取り付けられた第2ユニット1Bを車体に固定するためのマウントブラケット1000が取り付けられた状態のX軸正方向側からみた右側面図であり、図16は、第1ユニット1Aが取り付けられた第2ユニット1Bを車体に固定するためのマウントブラケット1000が取り付けられた状態で、ケース901の蓋部902aを取り除いたY軸負方向側からみた背面図である。
図6〜図11、および図14〜図16に基づき、ECU90の構成を説明する。ECU90はハウジング5に一体的に備えられる。ハウジング5の背面502には、ECU90が配置され、取付けられる。ECU90は、制御基板90aとケース901を有する。制御基板90aは、モータ20や電磁弁21等のソレノイドへの通電状態を制御する。制御基板90aはケース901に収容される。ケース901は、ハウジング5の背面502(ボルト孔561〜564)にボルトb2で取付けられる。背面502はケース取付面として機能する。ボルト孔561〜564は、ECU90をハウジング5に固定するための固定部として機能する。ボルトb2の頭部は正面501の側に配置される。ボルトb2の軸部はボルト孔561〜564を貫通し、軸部の先端側の雄ねじがケース901の側の雌ねじに螺合する。ボルトb2の軸力によりケース901がハウジング5の背面502に締結固定される。第1凹部50Aと第2凹部50Bにはそれぞれ、ボルトb2の頭部が突出する。頭部は凹部50の内部に収容される。ケース901は、樹脂材料で形成されるカバー部材であり、基板収容部902とコネクタ部903を有する。基板収容部902は、制御基板90a及び電磁弁21等のソレノイドの一部(以下、制御基板等という。)を収容する。基板収容部902は、蓋部902aを有する。蓋部902aは、制御基板等を覆って外部から隔離する。制御基板90aは、背面502と略平行に基板収容部902に搭載される。背面502からは、電磁弁21等のソレノイドの端子や、液圧センサ91等の端子や、モータ20からの導電部材が突出する。上記端子や導電部材はY軸負方向側へ延びて制御基板に接続される。コネクタ部903は、基板収容部902における上記端子や導電部材よりもX軸負方向側に配置され、基板収容部902のY軸正方向側へ突出する。Y軸方向から見て、コネクタ部903は、ハウジング5の左側面505よりも若干外側(X軸負方向側)に配置される。コネクタ部903の端子は、Y軸正方向側に向かって露出すると共に、Y軸負方向側へ延びて制御基板に接続される。コネクタ部903の(Y軸正方向側に向かって露出する)各端子は、ストロークセンサ94やリザーバタンク8の液面センサを含む外部機器に接続可能である。これらの外部機器に接続する別のコネクタがY軸正方向側からコネクタ部903に挿入されることで、外部機器と制御基板90a(ECU90)との電気的接続が実現する。また、コネクタ部903を介して、外部の電源(バッテリ)から制御基板90aへの給電が行われる。上記導電部材は、制御基板90aとモータ20(のロータ)とを電気的に接続する接続部として機能し、制御基板から上記導電部材を介してモータ20への給電が行われる。
また、制御基板90aは、Z軸負方向側に位置するマウントブラケット1000に向かって、ハウジング5の背面502より下面503とマウントブラケット1000間に延出した延出部90bを有している。
これに対応して、制御基板90aの延出部90bを収容するため、ケース901も、マウントブラケット1000に向かって、延出している。
Y軸正方向から見て、ケース901の延出部90bに対応する部分の表面には、複数のリブ900aが形成されている。
また、Z軸負方向からみたケース901には、図9に示すように、ラビリンス形状に構成された呼吸孔901bが、マウントブラケット1000に対向して形成されている。
金属板を折り曲げて形成された台座であるマウントブラケット1000は、第1ユニット1Aおよび第2ユニット1Bに対し、3位置でボルト結合している。
第1ユニット1Aおよび第2ユニット1Bを支持するマウントブラケット1000は、車体側(通常、エンジンルーム内の底面または側壁に設けられる取り付け部材)にボルト等により固定される。
マウントブラケット1000は、ハウジング5の下面503と略平行に配置される第1支持部1000aと、正面501と略平行に配置される第2支持部1000bと右側面506と略平行に配置される第3支持部1000cにて、第1ユニット1Aおよび第2ユニット1Bを支持している。
第1支持部1000aとして、ハウジング5の下面503に、マウントブラケット1000への固定用のボルト孔569が設けられる。孔569は下面503に開口し、鉛直方向(Z軸方向)に延びる。孔569に固定されるボルトb4、及びボルトb4に装着されるインシュレータSも、鉛直方向に延びる。インシュレータSは、振動を抑制(絶縁)するための弾性部材であり、ゴム材料により略円筒状に形成されている。インシュレータSがその軸方向に第2ユニット1Bの重量(鉛直方向下側へ作用する重力による荷重)を受け止め、この鉛直方向荷重を効率的に支持することで、車体側に対して第2ユニット1Bを安定的に支持することができる。
第2支持部1000bとして、ハウジング5の正面501における、軸心Oよりも鉛直方向下側に、マウントブラケット1000への固定用のボルト孔567が設けられる。ボルト孔567は正面501に開口し、水平方向に延びる。ボルト孔567に固定されるボルトb4、およびボルトb4に装着されるインシュレータSも水平方向に延びる。
第3支持部1000cとして、ハウジング5の右側面506側に位置する第1ユニット1Aのハウジング3(例えば第2液路部362の第2部分362B)のX軸正方向端面にボルト孔568を有し、このボルト孔568に挿入した水平方向に延びるボルトb4とインシュレータSを介して第1ユニット1Aおよび第2ユニット1Bが車体に固定される。
ハウジング5の下面503に設けられた第1支持部1000aと正面501に設けられた第2支持部1000bと、右側面506側に位置する第2ユニット1Bに固定された第1ユニット1Aを第3支持部1000cにより支持することで、第1ユニット1Aおよび第2ユニット1Bを安定的に保持できる。下面503の第1支持部1000aと正面501の第2支持部1000bと、右側面506の第3支持部1000cでハウジング5の支持方向が異なるため、ハウジング5に多方向に作用しうる荷重に対し、支持強度を向上できる。
また、図16に示すように、制御基板90aの延出部90b位置に、電源回路91aが実装されている。すなわち、ケース901の延出部90bの表面には、複数のリブ900aが形成されているため、表面積が増加するので、電源回路91aの放熱性が向上できる。
さらに、車両挙動検出センサ91bは、第1支持部1000aと第2支持部1000bと第3支持部1000cを結んだ領域内で、制御基板90aに実装されている。これにより、車両挙動検出センサ91bを3点の第1〜第3支持部1000a、1000b、1000cにより近く、かつ第2ユニット1Bの揺動の影響を受けにくい下方に実装でき、各支持部1000a、1000b、1000cの規制を受けることもなく、自由に設置位置を決めることができる。
次に、第3ユニット1Cの構成を説明する。図2に示すように、第3ユニット1Cは、ハウジング6と、マスタシリンダ7と、リザーバタンク8と、ストロークセンサ94とを有する。以下、説明の便宜上、マスタシリンダ7の軸方向に延びるx軸を設け、ブレーキペダルBPに対してマスタシリンダ7の側を正方向とする。ハウジング6は、その内部にマスタシリンダ7を収容する。ハウジング6の内部には、シリンダ60と補給ポート62と供給ポート63とが形成される。シリンダ60は、x軸方向に延びる有底円筒状であり、x軸正方向側が閉塞し、x軸負方向側が開口する。シリンダ60は、x軸正方向側に小径部601を有し、x軸負方向側に大径部602を有する。小径部601は、P,S系統毎に、2つのシール溝603,604と1つのポート605を有する。シール溝603,604とポート605はシリンダ60の軸心周り方向に延びる環状である。ポート605は溝603,604の間に配置される。補給ポート62は、ポート605から延びて、ハウジング6の外表面に開口する。供給ポート63は、シリンダ60の小径部601から延びて、ハウジング6の外表面に開口する。供給ポート63Pにはプライマリ配管10MPの他端が接続され、供給ポート63Sにはセカンダリ配管10MSの他端が接続される。図1に示すように、ハウジング6の外周には、小径部601と大径部602の間の位置に、板状のフランジ部64が設けられる。フランジ部64は、ボルトにより、車体側のダッシュパネルに固定される。
マスタシリンダ7は、ホイルシリンダW/Cに対し作動液圧を供給可能な第2の液圧源であり、プッシュロッドPRを介してブレーキペダルBPに接続され、運転者によるブレーキペダルBPの操作に応じて作動する。マスタシリンダ7は、ピストン71とスプリング72を有する。マスタシリンダ7は、タンデム型であり、ピストン71として、プッシュロッドPRに接続されるプライマリピストン71Pと、フリーピストン型のセカンダリピストン71Sとを、直列に有する。ピストン71はシリンダ60に収容され、液圧室70を画成する。ピストン71P,71Sは、有底円筒状であり、ブレーキペダルBPの操作に応じて小径部601の内周面に沿ってx軸方向に移動可能である。ピストン71は、隔壁710を底部とする第1凹部711と第2凹部712を有する。第1凹部711はx軸正方向側に配置され、第2凹部712はx軸負方向側に配置される。第1凹部711の周壁には孔713が貫通する。小径部601には、プライマリピストン71P(第1凹部711P)とセカンダリピストン71S(第2凹部712S)との間にプライマリ室70Pが画成され、セカンダリピストン71S(第1凹部711S)と小径部601のx軸正方向端部との間にセカンダリ室70Sが画成される。各室70P,70Sには供給ポート63P,63Sがそれぞれ常時開口する。プライマリピストン71Pについてみると、プッシュロッドPRのx軸正方向端部は第2凹部712Pに収容され、隔壁710Pに当接する。ストロークセンサ94は、マグネットとセンサ本体(ホール素子等)を有する。プライマリピストン71Pにはマグネットが設けられ、センサ本体はハウジング6の外面に取り付けられる。プッシュロッドPRにはフランジ部PR1が設けられる。プッシュロッドPRのx軸負方向側への移動は、シリンダ60(大径部602)の開口部に設けられたストッパ部600とフランジ部PR1とが当接することで、規制される。
スプリング72P,72Sは、弾性部材としてのコイルスプリングである。プライマリ室70Pおよびセカンダリ室70Sには、ストロークシミュレータ4におけるスプリングユニットと同様、リテーナ部材やストッパ部材を含むスプリング72P,72Sのユニットが、それぞれ設置される。スプリング72Pのユニットは隔壁710Pと隔壁710 Sの間に設置される。スプリング72Sのユニットは小径部601のx軸正方向端部と隔壁710Sの間に設置される。スプリング72は、ピストン71をx軸負方向側に常時付勢する戻しばねとして機能する。シール溝603,604には、カップ状のシール部材731,732がそれぞれ設置される。シール部材731,732のリップ部がピストン71の外周面に摺接する。プライマリ側で、x軸負方向側のシール部材731Pは、x軸正方向側(ポート605P)からx軸負方向側(大径部602)へ向うブレーキ液の流れを抑制する。x軸正方向側のシール部材732Pは、x軸負方向側(ポート605P)へ向うブレーキ液の流れを抑制し、x軸正方向側(プライマリ室70P)へ向うブレーキ液の流れを許可する。セカンダリ側で、x軸負方向側のシール部材731Sは、x軸負方向側(プライマリ室70P)からx軸正方向側(ポート605S)へ向うブレーキ液の流れを抑制する。x軸正方向側のシール部材732Sは、x軸負方向側(ポート605S)へ向うブレーキ液の流れを抑制し、x軸正方向側(セカンダリ室70S)へ向うブレーキ液の流れを許可する。両ピストン71P, 71Sがx軸負方向側に最大変位した初期状態で、孔713は、両シール部材731,732(リップ部)とピストン71の外周面とが接触する部位の間(シール部材732に近い側)に位置する。
リザーバタンク8は、ブレーキ液を貯留するブレーキ液源であり、大気圧に解放される低圧部である。リザーバタンク8はハウジング6のZ軸正方向側に設置される。リザーバタンク8の底部側(Z軸負方向側)は第1隔壁821と第2隔壁822により3つの室83に仕切られる。第1室83P,83Sは、ハウジング6の補給ポート62P,62Sにそれぞれ接続する。第2室83Rには供給ポート81が開口する。供給ポート81にはニップル10R1を介して吸入配管10Rの他端が接続される。
次に、図2に基づき、制御構成を説明する。第2ユニット1BのECU90は、ストロークセンサ94および液圧センサ91等の検出値や車両側からの走行状態に関する情報が入力され、内蔵されたプログラムに基づき、電磁弁21等の開閉動作やモータ20の回転数(すなわちポンプ2の吐出量)を制御することで、各車輪Wのホイルシリンダ液圧(液圧制動力)を制御する。これにより、ECU90は、各種のブレーキ制御(制動による車輪Wのスリップを抑制するためのアンチロックブレーキ制御や、運転者のブレーキ操作力を低減するための倍力制御や、車両の運動制御のためのブレーキ制御や、先行車追従制御等の自動ブレーキ制御や、回生協調ブレーキ制御等)を実行する。車両の運動制御には、横滑り防止等の車両挙動安定化制御が含まれる。回生協調ブレーキ制御では、回生ブレーキと協調して目標減速度(目標制動力)を達成するようにホイルシリンダ液圧を制御する。
ECU90は、ブレーキ操作量検出部90Aと、目標ホイルシリンダ液圧算出部90Bと、踏力ブレーキ創生部90Cと、倍力制御部90Dと、制御切換え部90Eとを備える。ストロークセンサ94は、プライマリピストン71Pのストローク(ペダルストローク)を検出する。ブレーキ操作量検出部90Aは、ストロークセンサ94の検出値の入力を受けてブレーキ操作量としてのブレーキペダルBPの変位量(ペダルストローク)を検出する。目標ホイルシリンダ液圧算出部90Bは、目標ホイルシリンダ液圧を算出する。具体的には、検出されたペダルストロークに基づき、所定の倍力比、すなわちペダルストロークと運転者の要求ブレーキ液圧(運転者が要求する車両減速度)との間の理想の関係特性を実現する目標ホイルシリンダ液圧を算出する。また、回生協調ブレーキ制御時には、回生制動力との関係で目標ホイルシリンダ液圧を算出する。例えば、車両の回生制動装置のコントロールユニットから入力される回生制動力と目標ホイルシリンダ液圧に相当する液圧制動力との和が、運転者の要求する車両減速度を充足するような目標ホイルシリンダ液圧を算出する。なお、運動制御時には、例えば検出された車両運動状態量(横加速度等)に基づき、所望の車両運動状態を実現するよう、各車輪Wの目標ホイルシリンダ液圧を算出する。踏力ブレーキ創生部90Cは、ポンプ2を非作動とし、遮断弁21を開方向に、SS/V IN28を閉方向に、SS/V OUT29を閉方向に制御する。倍力制御部90Dは、運転者のブレーキ操作時に、ポンプ2を作動させ、遮断弁21を閉方向に、連通弁23を開方向に制御する。
また、ECU90は、急ブレーキ操作状態判別部90F及び第2踏力ブレーキ創生部90Gを有する。急ブレーキ操作状態判別部90Fは、ブレーキ操作量検出部90A等からの入力に基づきブレーキ操作状態を検出し、ブレーキ操作状態が所定の急ブレーキ操作状態であるか否かを判別する。例えば、ペダルストロークの時間当り変化量が所定の閾値を超えたか否かを判定する。制御切換え部90Eは、急ブレーキ操作状態であると判定されたとき、第2踏力ブレーキ創生部90Gによりホイルシリンダ液圧を創生するよう、制御を切換える。第2踏力ブレーキ創生部90Gは、ポンプ2を作動させ、遮断弁21を閉方向に、SS/V IN28を開方向に、SS/V OUT29を閉方向に制御する。その後、急ブレーキ操作状態であると判定されなくなり、及び/または、ポンプ2の吐出能力が十分となったことを示す所定の条件が成立すると、制御切換え部90Eは、倍力制御部90Dによりホイルシリンダ液圧を創生するよう、制御を切換える。すなわち、SS/V IN28を閉方向に、SS/V OUT29を開方向に制御する。
次に、図2に基づき、作用を説明する。
(液圧制御機能)
第2ユニット1Bは、各ホイルシリンダW/Cにマスタシリンダ圧を供給可能である。第1踏力ブレーキ創生部90Cにより遮断弁21が開方向に制御された状態で、マスタシリンダ7の液圧室70とホイルシリンダW/Cとを接続する液路系統(供給液路11等)は、ペダル踏力を用いて発生させたマスタシリンダ圧によりホイルシリンダ液圧を創生する踏力ブレーキ(非倍力制御)を実現する。各液圧室70P,70Sは、リザーバタンク8からブレーキ液を補給されると共に、ピストン71の移動により液圧(マスタシリンダ圧)を発生する。運転者のブレーキ操作に伴いマスタシリンダ7から流出したブレーキ液は、マスタシリンダ配管10Mに流れ、マスタシリンダポート511を介して第2ユニット1Bの供給液路11内に取り込まれる。プライマリ室70Pに発生したマスタシリンダ圧によりP系統の液路(供給液路11P)を介してホイルシリンダW/C(FL),W/C(RR)が加圧される。また、セカンダリ室70Sにより発生したマスタシリンダ圧によりS系統の液路(供給液路11S)を介してホイルシリンダW/C(FR),W/C(RL)が加圧される。なお、第3ユニット1Cは、車両のエンジン又は別に設けた負圧ポンプが発生する負圧を利用して運転者のブレーキ操作力を倍力する負圧ブースタを備えていない。SS/V OUT29が閉方向に制御されることで、ストロークシミュレータ4が機能しない。すなわち、ピストン41の作動が抑制されるため、液圧室70(セカンダリ室70S)から正圧室401へのブレーキ液の流入が抑制される。これにより、ホイルシリンダ液圧をより効率的に増圧可能となる。なお、SS/V IN28を開方向に制御してもよい。
第2ユニット1Bは、運転者によるブレーキ操作とは独立に、ポンプ2が発生する液圧を用いて各ホイルシリンダW/Cの液圧を個別に制御可能である。遮断弁21が閉方向に制御されているときは、マスタシリンダ7とホイルシリンダW/Cとの連通が遮断されると共に、第2ユニット1Bが、ポンプ2によりホイルシリンダ液圧を創生可能な状態となる。第2ユニット1Bは、ポンプ2により昇圧されたブレーキ液を、ホイルシリンダ配管10Wを介してブレーキ作動ユニットへ供給し、ブレーキ液圧(ホイルシリンダ液圧)を発生させる。第1液溜め室521とホイルシリンダW/Cを接続するブレーキ系統(吸入液路12、吐出液路13等)は、ポンプ2を用いて発生させた液圧によりホイルシリンダ液圧を創生し、倍力制御や回生協調制御等を実現する所謂ブレーキバイワイヤシステムとして機能する。倍力制御部90Dは、運転者のブレーキ操作力では不足する液圧制動力を発生させる倍力制御を実行する。具体的には、ポンプ2を所定回転数で作動させたまま調圧弁24を制御してポンプ2からホイルシリンダW/Cへ供給されるブレーキ液量を調整することで、目標ホイルシリンダ液圧を実現する。すなわち、ブレーキ装置1は、エンジン負圧ブースタに代えて第2ユニット1Bのポンプ2を作動させることで、ブレーキ操作力を補助する倍力機能を発揮する。また、倍力制御部90Dは、SS/V IN28を閉方向に、SS/V OUT29を開方向に制御する。これにより、ストロークシミュレータ4を機能させる。
運転者のブレーキ操作に応じてマスタシリンダ7からストロークシミュレータ4の正圧室401にブレーキ液が流入することで、ペダルストロークが発生すると共に、弾性体の付勢力により運転者のブレーキ操作反力(ペダル反力)が生成される。運転者のブレーキ操作に伴いセカンダリ室70Sから流出したブレーキ液は、セカンダリ配管10MSに流れ、第2ユニット1Bの供給液路11Sを介して正圧液路16内に取り込まれる。正圧液路16は、ユニット第1接続ポート514、第1ユニット1Aのシミュレータ第1接続ポート306A、および第1接続液路304を介して、正圧室401と接続する。正圧室401は円筒状であり、その径方向断面積は、正圧室401に開口する第1接続液路304の流路断面積よりも大きい。正圧室401は、第1接続液路304上の容積室である。正圧室401におけるピストン41の受圧面に所定以上の液圧(マスタシリンダ圧)が作用すると、ピストン41がスプリング431等を押し縮めつつ背圧室402側に向かって軸方向に移動する。このとき正圧室401の容積が拡大すると同時に、背圧室402の容積が縮小する。これにより、セカンダリ室70Sから流れ出たブレーキ液は、正圧室401の内部に流入する。同時に、背圧室402からブレーキ液が流出し、背圧室402のブレーキ液が排出される。背圧室402は円筒状であり、その径方向断面積は、背圧室402に開口する第2接続液路305の流路断面積よりも大きい。背圧室402は、第2接続液路305上の容積室である。背圧室402は、第2接続液路305、シミュレータ第2接続ポート306B、および第2ユニット1Bのユニット第2接続ポート515を介して、背圧液路17と接続する。運転者のブレーキ操作に伴い背圧室402から流出したブレーキ液は、液路17内に取り込まれる。ストロークシミュレータ4は、このようにマスタシリンダ7からのブレーキ液を吸入することでホイルシリンダW/Cの液剛性を模擬し、ペダル踏込み感を再現する。正圧室401内の圧力が所定未満に減少すると、スプリング431等の付勢力(弾性力)によりピストン41が初期位置に復帰する。ピストン41が初期位置にあるとき、第1ダンパ471とストッパ部材45の頭部451との間には第1のZ軸方向隙間があり、第2ダンパ472とシート部材46の底部461との間には第2のZ軸方向隙間がある。ピストン41のZ軸負方向側へのストロークに伴い、第1スプリング431が第1のZ軸方向隙間以上圧縮されると、第1ダンパ471が凸部413と頭部451との間に挟まれて弾性変形し始める。第2スプリング432が第2のZ軸方向隙間以上圧縮されると、第2ダンパ472が底部461に接し、弾性変形し始める。これらにより、衝撃が緩和され、また、ペダル踏力(ペダル反力)とペダルストロークとの関係特性を調整可能である。よって、ペダルフィーリングが向上する。
SS/V OUT29とSS/V IN28及びチェック弁280とは、背圧室402から背圧液路17に流入したブレーキ液の流れを調整する。これらの弁は、液路17に流入したブレーキ液がいずれかの低圧部(第1液溜め室521やホイルシリンダW/C)へ向けて流れることを許容または禁止することで、マスタシリンダ7からストロークシミュレータ4(正圧室401)内へのブレーキ液の流入を許可または禁止する。これによりストロークシミュレータ4の作動を調整する。弁29,28は、ストロークシミュレータ4への作動液の流入の有無を切換える切換電磁弁として機能する。また、弁29,28,280は、液路17に流入したブレーキ液の供給先(流出先)を、第1液溜め室521とホイルシリンダW/Cとの間で切換える切換え部として機能する。
第2踏力ブレーキ創生部90Gは、ポンプ2が十分に高いホイルシリンダ液圧を発生可能になるまでの間、背圧室402から流出するブレーキ液を用いてホイルシリンダ液圧を創生する、第2の踏力ブレーキを実現する。具体的には、SS/V OUT29を閉方向に制御する。これにより、背圧室402から背圧液路17に流入するブレーキ液が、SS/V IN28(第1シミュレータ液路18)およびチェック弁280(バイパス液路180)を通って供給液路11へ向って流れる。すなわち、液路17に流入したブレーキ液の供給先が、ホイルシリンダW/Cとなる。よって、ホイルシリンダ液圧の昇圧応答性を確保できる。なお、ホイルシリンダW/C側の圧力が背圧室402側より高圧になると、チェック弁280は自動的に閉弁状態となるため、ホイルシリンダW/C側から背圧室402側へのブレーキ液の逆流は抑制される。なお、遮断弁21を開方向に制御してもよい。また、SS/V IN28を閉方向に制御してもよく、この場合、背圧室402からのブレーキ液は、(ホイルシリンダW/C側が背圧室402側よりも未だ低圧であるため開弁状態となる)チェック弁280を通って、ホイルシリンダW/C側へ供給される。本実施形態では、SS/V IN28を開方向に制御することで、背圧室402側からホイルシリンダW/C側へブレーキ液を効率よく供給できる。
制御切換え部90Eは、急ブレーキ操作状態であると判定されたとき、SS/V OUT29を閉方向に制御し、ブレーキ液の供給先をホイルシリンダW/Cに切換える。よって、ホイルシリンダ液圧の昇圧応答性が必要とされる場面で的確に第2の踏力ブレーキを実現することができる。ポンプ2は往復ポンプであるため、応答性が比較的高い。よって、ポンプ2が作動を開始してから十分なホイルシリンダ液圧を発生可能になるまでの時間が比較的短く、第2の踏力ブレーキを作動させる時間を短縮することが可能である。なお、ギヤポンプを用いてもよい。制御切換え部90Eは、ポンプ2の吐出能力が十分となったことを示す所定の条件が成立すると、SS/V OUT29を開方向に制御する。これにより、背圧室402から背圧液路17に流入するブレーキ液が、SS/V OUT29(第2シミュレータ液路19)を通って第1液溜め室521へ向って流れる。すなわち、背圧室402から流出するブレーキ液の供給先が、第1液溜め室521となる。よって、ストロークシミュレータ4が作動し、良好なペダルフィーリングを確保できる。なお、ストロークシミュレータ4の作動中にSS/V OUT29が閉弁状態で固着する失陥が生じた場合でも、第1液溜め室521側からブレーキ液がチェック弁290を通って背圧室402へ供給されることにより、ピストン41が初期位置へ戻ることが可能である。
(リザーバ機能)
第1液溜め室521は、吸入配管10Rを介してリザーバタンク8からブレーキ液が補給されると共に、リザーバ(内部リザーバ)として機能し、各ポンプ部2A〜2Eの吸入部へブレーキ液を供給する。各ポンプ部2A〜2Eは、第1液溜め室521を介してブレーキ液を吸入し、吐出する。配管10Rがニップル10R1,10R2から外れたり、配管10Rをニップル10R1,10R2に締め付けるバンドが緩んだりして、配管10Rからのブレーキ液の漏出が発生した場合、第1液溜め室521は、ブレーキ液を貯留するリザーバとして機能する。ポンプ2は、第1液溜め室521のブレーキ液を吸入して吐出することにより、ホイルシリンダ液圧を発生可能であり、ブレーキ装置1が搭載される車両に制動トルクを発生可能である。なお、配管10Rからの液漏れが発生した場合、リザーバタンク8の第2室83Rのブレーキ液は減少するものの、第1室83P,83sのブレーキ液は確保されるため、踏力ブレーキを継続して実現可能である。第1液溜め室521がポンプ部2A〜2Eの吸入部よりも鉛直方向上側に配置されれば、ブレーキ液の自重により、第1液溜め室521から吸入液路12を介して各吸入部へブレーキ液を容易に供給可能である。また、吸入液路12の内部に空気が滞留することが抑制され、ポンプ2が空気(気泡)を吸入することが抑制される。なお、吸入ポート513は上面504以外の面501等に開口してもよい。本実施形態では、吸入ポート513が上面504に開口する。よって、第1液溜め室521がハウジング5の鉛直方向上側に配置されるため、第1液溜め室521を、ポンプ部2A〜2Eの吸入部よりも鉛直方向上側に配置することが容易である。
(ポンプ機能)
ポンプ部2A〜2Eは複数である。軸心Oを挟んで対向する2つのポンプ部2A,2C等の軸心は、同一直線上になく、0度より大きい角度をなす。よって、各ポンプ部2A〜2Eの吸入・吐出行程の位相が同期せず互いにずれる。これにより、各ポンプ部2A〜2Eの吐出圧の周期的変動(脈圧)を互いに低減し合うことが可能であり、ポンプ2全体としての脈圧の低減を図ることができる。複数のポンプ部2A〜2Eは周方向で略等間隔に配置される。よって、ポンプ部2A〜2E間での吸入・吐出行程の位相ずれを略均等にすることで、複数のポンプ部2A〜2Eの吐出圧を重ね合わせた大きさの変動を、ポンプ2全体として可及的に小さくできる。よって、より大きな脈圧低減効果を得ることができる。なお、ポンプ部2A〜2Eの数は偶数でもよい。本実施形態では、上記数が3以上の奇数である。よって、上記数が偶数の場合に比べ、複数のポンプ部2A〜2Eを周方向で略等間隔に配置しつつ、位相をずらせてポンプ2の全体としの脈圧の大きさ(変動の幅)を小さくすることが容易であり、脈圧の低減効果を顕著に得ることができる。なお、ポンプ部2A〜2Eの数は5つに限定されず、例えば3つでもよい。本実施形態では、上記数が5である。よって、上記数が3の場合に比べ、脈圧の低減効果を向上して十分な静粛性を得ることが可能であると共に、各ポンプ部2A〜2Eのサイズを小さくして第2ユニット1Bの大型化を抑制しつつ、ポンプ2全体として十分な吐出量を確保することが可能である。また、上記数が6以上の場合に比べ、ポンプ部2A〜2Eの数の増大が抑制されるため、レイアウト等の観点から有利であり、第2ユニット1Bの小型化を図ることが容易である。
(ドレン機能)
各シリンダ収容孔からカム収容孔へ漏れ出るブレーキ液は、ドレン液路を介して第2液溜め室522へ流入し、室522に貯留される。よって、カム収容孔のブレーキ液がモータ20に入り込むことを抑制できるため、モータ20の作動性を向上できる。なお、室522の開口は蓋部材により閉塞される。
(エア抜き機能)
背圧室402の側に第2ブリーダー部372およびブリーダーバルブBVが設けられる。背圧室402に接続する液路17,18等はポンプ2(の吐出部)とも接続しており、第2ユニット1Bはポンプ2(の吐出部)と背圧室402との連通状態を切替えることが可能に設けられている。バルブBVが開かれた状態で、ポンプ2(の吐出部)と背圧室402とを連通させる。そして、ポンプ2を作動させることで、ポンプ2からのブレーキ液を背圧室402へ供給する。よって、ポンプ2から吐出されるブレーキ液が、液路17等のエア、及び、背圧室402のエアを押し出し、上記エアと共にバルブBVから排出される。この動作は連続的に行われ、多量のエアを排出することが可能であるため、エアが効果的に抜かれる。
(小型化、レイアウト性向上)
図1に示すように、ブレーキ装置1は第1ユニット1Aと第2ユニット1Bと第3ユニット1Cを有する。よって、車両へのブレーキ装置1の搭載性を向上できる。ストロークシミュレータ4(第1ユニット1A)は第2ユニット1Bと一体的に配置される。よって、ストロークシミュレータ4が第3ユニット1C(マスタシリンダ7)の側に配置される場合よりも、第3ユニット1Cの大型化を抑制できる。ストロークシミュレータ4がマスタシリンダ7とは別体に設けられることで、ブレーキペダルBPの廻りの部品(第3ユニット1C)の小型化を図ることができる。よって、車両の衝突時にマスタシリンダ7が運転席側へ突出してくるような場合でも、突出量を短くできる。このため、衝突安全性を向上できる。特に、運転席の足回りのスペースが限られる小型車等で有効である。ストロークシミュレータ4(第1ユニット1A)は第2ユニット1Bと一体的に配置される。よって、ストロークシミュレータ4と第2ユニット1B(正圧液路16)とを接続する配管が不要となる。すなわち、正圧室401と第2ユニット1Bとを接続する配管が不要となる。また、運転者のブレーキ操作によりピストン41の移動に伴い背圧室402からブレーキ液が流出する構成において、背圧室402と第2ユニット1B(背圧液路17)とを接続する配管が不要となる。よって、ブレーキ装置1全体としての配管の数を減らすことができるため、ブレーキ装置1の複雑化を抑制できると共に、配管の増加に伴うコストアップを抑制できる。
電磁弁21等及び液圧センサ91等(以下、電磁弁等という)は、第2ユニット1Bに配置される。主な電制品が第2ユニット1Bの側に設けられることで、第1ユニット1Aおよび第3ユニット1Cの簡素化を図ることができる。第3ユニット1Cについてみると、第3ユニット1Cに電磁弁等を配置せず、また、第3ユニット1Cに電磁弁駆動用のECUを必要としないため、第3ユニット1Cを小型化し、そのレイアウト自由度を向上できる。また、第3ユニット1CとECU90(第2ユニット1B)との間に電磁弁制御用や液圧センサ信号伝達用の配線(ハーネス)を必要としない。よって、ブレーキ装置1の複雑化を抑制できると共に、配線の増加に伴うコストアップを抑制できる。第1ユニット1Aについても同様である。例えば、第2ユニット1Bは、ストロークシミュレータ4への作動液の流入の有無を切り換える切換電磁弁を含む。すなわち、SS/V IN28及びSS/V OUT29は第2ユニット1Bに配置される。ストロークシミュレータ4に関わる電制品が第2ユニット1Bの側に設けられることで、第1ユニット1Aの簡素化を図ることができる。第1ユニット1Aにストロークシミュレータ4の作動を切換えるためのECUを必要とせず、また、第1ユニット1AとECU90(第2ユニット1B)との間にSS/V IN28等を制御するための配線(ハーネス)を必要としない。
ECU90は、ハウジング5に取付けられ、ECU90と(電磁弁等を収容する)ハウジング5は第2ユニット1Bとして一体化される。よって、電磁弁等とECU90とを接続する配線(ハーネス)を省略できる。具体的には、電磁弁21等のソレノイドの端子や、液圧センサ91等の端子は制御基板に直接(ハウジング5の外部におけるハーネスやコネクタを介さず)接続される。よって例えば、ECU90とSS/V IN28等とを接続するハーネスを省略できる。モータ20は、第2ユニット1Bに配置され、(ポンプ2を収容する)ハウジング5とモータ20は第2ユニット1Bとして一体化される。第2ユニット1Bはポンプ装置として機能する。よって、モータ20とECU90とを接続する配線(ハーネス)を省略できる。具体的には、モータ20への通電用及び信号伝達用の導電部材は、ハウジング5の電源孔55に収容され、制御基板90aに直接(ハウジング5の外部におけるハーネスやコネクタを介さず)接続される。導電部材は、制御基板90aとモータ20とを接続する接続部材として機能する。ハウジング5はモータ20とECU90に挟まれる。すなわち、モータ20の軸方向(Y軸方向)に沿って、モータ20とハウジング5とECU90とがこの順に並んで配置される。具体的には、ECU90はモータ20が取付けられる正面501と反対側の背面502に取付けられる。よって、モータ20の側またはECU90の側から見て(Y軸方向から見て)、モータ20とECU90とが重なるような配置が可能である。これにより、モータ20の側またはECU90の側から見た第2ユニット1Bの面積を小さくできるため、第2ユニット1Bの小型化を図ることができる。第2ユニット1Bを小型化することで、第2ユニット1Bの軽量化を図ることができる。
図6に示すように、ECU90のコネクタ部903は、ハウジング5の正面501および背面502に連続する面505に隣接する。言換えると、モータ20の側(Y軸正方向側)から見て、コネクタ部903は、ハウジング5によって覆われず、面505に対し突出する。よって、ECU90の制御基板90aを、モータ20の側から見てハウジング5と重なる領域だけでなく、コネクタ部903と重なる領域(左側面505に隣接する領域)まで、広くできる。なお、ECU90を背面502に取付けるためのボルトb2は、背面502(ECU90)の側からECU90を貫通してハウジング5に固定されるのではなく、正面501の側からハウジング5を貫通してECU90に固定される。ボルトb2がECU90(制御基板90a)を貫通する場合、このボルトb2の貫通部位に制御基板90aを配置できない。また、コネクタ部903の裏にも制御基板90aを配置する場合は、ボルトb2の貫通部位の近傍で、制御基板90aを配置できない。制御基板90aを配置できないと、その部位に配線パターンをひけないし、素子を搭載できない。言換えると制御基板90aの実装面積が小さくなる。ボルトb2がECU90でなくハウジング5を貫通するように設けられることで、ボルトb2と制御基板90aとが干渉する部位をなくせる。よって、制御基板90aの実装面積を広く確保でき、ECU90の多機能化に対応しやすい。
コネクタ部903の端子は、Y軸方向に延びる。よって、Y軸方向から見た(X軸方向での)第2ユニット1Bの寸法増大を抑制可能である。コネクタ部903の端子は、モータ20の側(Y軸正方向側)に向かって露出する。よって、コネクタ部903に接続されるコネクタ(ハーネス)がモータ20の軸方向(Y軸方向)でハウジング5等と重なるため、このコネクタ(ハーネス)を含めた第2ユニット1BのY軸方向(モータ20の軸方向)での寸法増大を抑制できる。車両へ搭載された状態で、コネクタ部903は水平方向に延びる。これにより、コネクタ部903へのハーネスの接続を容易化しつつ、コネクタ部903への水分の浸入を抑制できる。コネクタ部903は、ハウジング5の左側面505に隣接する。よって、コネクタ部903が上面504に隣接する場合に比べ、コネクタ部903に接続されるコネクタ(ハーネス)と、上面504のホイルシリンダポート512,513に接続される配管10W,10Rとの干渉を抑制できる。また、コネクタ部903が下面503に隣接する場合に比べ、上記コネクタ(ハーネス)と、下面503に対向する車体側部材(マウント)との干渉を抑制できる。言い換えると、コネクタ部903へのコネクタ(ハーネス)の接続を容易化できる。よって、ブレーキ装置1の車両への搭載作業性を向上できる。
第1ユニット1Aは、ハウジング5においてモータ20が取付けられる正面501とは別の右側面506に取付けられる。よって、第1ユニット1Aが正面501に取付けられる場合に比べ、第1ユニット1Aとモータ20との干渉を抑制しつつ、正面501の面積を小さくし、ハウジング5の小型化を図ることができる。よって、第1ユニット1Aを含めた第2ユニット1Bの小型化を図り、車両への搭載時にレイアウト制限が生じることを抑制できる。第1ユニット1Aは、ハウジング5においてECU90が取付けられる背面502とは別の面506に取付けられる。よって、第1ユニット1AとECU90との干渉を抑制しつつ、背面502の面積を小さくし、ハウジング5の小型化を図ることができる。第1ユニット1Aは、ハウジング5において車体側部材(マウント)が対向する下面503とは別の面506に取付けられる。よって、第1ユニット1Aと車体側部材(マウント)との干渉を抑制しつつ、下面503の面積を小さくし、ハウジング5の小型化を図ることができる。第1ユニット1Aは、ハウジング5においてホイルシリンダポート512,513が開口する上面504とは別の面506に取付けられる。よって、第1ユニット1Aとポート512,513に接続される配管10W,10Rとの干渉を抑制しつつ、上面504の面積を小さくし、ハウジング5の小型化を図ることができる。第1ユニット1Aは、ハウジング5においてコネクタ部903が対向(隣接)する左側面505とは別の面506に取付けられる。よって、第1ユニット1Aとコネクタ部903に接続されるコネクタ(ハーネス)との干渉を抑制しつつ、左側面505の面積を小さくし、ハウジング5の小型化を図ることができる。
図12、図13に示すように、第1ユニット1A(ハウジング3)は接続液路304,305を備える。よって、第2ユニット1Bに対しストロークシミュレータ4(第1ユニット1A)を取付ける位置や向きを比較的自由に変えることができる。すなわち、第2ユニット1B(ハウジング5)に対するストロークシミュレータ4(室401,402)の位置や向き(姿勢)に関わらず、室401,402とハウジング5の液路とを液路304,305によって接続できる。このため、第2ユニット1Bに対するストロークシミュレータ4のレイアウト性を向上できる。これにより、ストロークシミュレータ4(第1ユニット1A)を含めた第2ユニット1Bを車両へ搭載する際に、そのレイアウトに制限が生じることを抑制できる。具体的には、第1接続液路304の一端側は正圧室401に接続する。液路304の他端側(シミュレータ第1接続ポート306A)はハウジング3の外表面に開口する。ポート306Aと第2ユニット1B(ハウジング5)のユニット第1接続ポート514とを接続すれば、正圧室401と第2ユニット1Bの正圧液路16とが接続する。その際、ハウジング3の外表面におけるポート306Aの位置を任意に設定できるため、ポート514(ハウジング5)に対する正圧室401(ハウジング3)の位置や向きは拘束されない。よって、第2ユニット1Bに対し第1ユニット1Aを取付ける位置や向きの自由度が向上する。また、ハウジング3の外表面におけるポート306Aの位置を任意に設定できるため、ポート306 Aに接続する第2ユニット1Bのポート514(正圧液路16)のハウジング5における位置を変更する必要も少ない。言換えると、ハウジング5の内部における各孔(ポートや液路等)のレイアウト性を向上できる。これにより、ハウジング5(第2ユニット1B)の小型化・軽量化を図ることができる。
ポート306Aの軸心は、ストロークシミュレータ4(正圧室401)の軸心に対して(0度より大きい)角度を有しており(平行でなく)、ストロークシミュレータ4の軸心に対して曲がった方向に延びる。よって、ポート514が開口するハウジング5の面506の法線方向にストロークシミュレータ4の軸心が延びるよう第1ユニット1Aがハウジング5に設置されることを回避できる。これにより、上記法線方向における、第1ユニット1Aを含めた第2ユニット1Bの寸法の増大を抑制できるため、車両への搭載時におけるレイアウトに制限が生じることを抑制できる。具体的には、ポート306Aの軸心は、ストロークシミュレータ4の軸心に対して略直交する。よって、ストロークシミュレータ4の軸心が面506と略平行に配置されるため、上記法線方向における寸法増大を最大限抑制することが可能である。第2接続液路305の一端側は背圧室402に接続する。液路305の他端側(シミュレータ第2接続ポート306B)はハウジング3の外表面の任意の位置に開口する。ポート306Bと第2ユニット1B(ハウジング5)のユニット第2接続ポート515とを接続すれば、背圧室402と第2ユニット1Bの背圧液路17とが接続する。また、ポート306Bの軸心は、ストロークシミュレータ4(背圧室402)の軸心に対して(0度より大きい)角度を有している。よって、運転者のブレーキ操作によりピストン41の移動に伴い背圧室402からブレーキ液が流出する構成において、上記と同様の作用効果が得られる。
ストロークシミュレータ4(ハウジング3)の正圧室401(小径部31)は、ハウジング5の面506に対し、面506の長手方向(Z軸方向)で、マスタシリンダポート511が位置する側(Z軸正方向側)に配置される。具体的には、面506のZ軸方向中央よりもZ軸正方向側に、正圧室401の少なくとも一部が位置する。よって、マスタシリンダポート511と正圧室401との間の距離を短くできるため、セカンダリポート511Sに接続する正圧液路16と、正圧室401に接続する第1接続液路304との合計の距離を短くできる。これにより、ハウジング3における液路304を簡素化し、ハウジング3の内部のレイアウト性を向上できる。または、ハウジング5における液路16を簡素化し、ハウジング5の内部のレイアウト性を向上できる。よって、ハウジング3(第1ユニット1A)またはハウジング5(第2ユニット1B)の小型化・軽量化、すなわち第1ユニット1Aを含めた第2ユニット1Bの小型化・軽量化を図ることができる。ピストン41がZ軸正方向側に最大限変位した状態でも、液路304から正圧室401へブレーキ液を円滑に供給するため、液路304は正圧室401のZ軸正方向側に開口することが好ましい。本実施形態では、正圧室401のZ軸正方向側の少なくとも一部が面506のZ軸正方向側に位置する。よって、より効率的にポート511と室401との間の距離を短くできる。
ストロークシミュレータ4(ハウジング3)は、面506の長手方向(Z軸方向)に沿って延びる。具体的には、X軸方向から見て、ハウジング3の軸方向両端(の少なくとも一部)が面506に重なる。これにより、X軸方向から見てハウジング3と面506とが重なり合う範囲が大きくなる。X軸方向で面506に対向するハウジング3の外表面の範囲、および、X軸方向でハウジング3の外表面に対向する面506の範囲が、Z軸方向で大きくなる。よって、ハウジング3の外表面に開口するポート306A,306Bを配置可能なZ軸方向範囲が広がる。すなわち、ポート306のレイアウト性が向上する。よって、ポート306に接続する液路304,305の簡素化を図ることができる。液路304の一端は正圧室401に接続し、液路305の一端は背圧室402に接続する。これら液路304,305の上記一端同士はZ軸方向で離れている。ポート306A,306Bを配置可能なZ軸方向範囲が広いことで、例えば、液路304,305の上記一端と他端(ポート306A,306B)とを略同じZ軸方向位置とすることができる。これにより液路304,305の曲がる箇所を減らし、液路304,305の簡素化を図ることができる。ハウジング3は鋳造により母材が形成され、液路304,305等が機械加工により形成される。液路304,305が曲がる箇所を減らすことで、ハウジング3の外表面における液路304,305の開口部が減り、この開口部にボールを圧入することでこれを封止する回数も減る。ボール(圧入)による封止を減らすことで、ハウジング3に作用する応力を小さくし、ハウジング3の耐久性を向上できる。また面506に開口するポート514,515を配置可能なZ軸方向範囲が広がる。すなわち、ポート514,515のレイアウト性が向上する。よって、ポート514,515に接続する液路16,17の簡素化を図ることができる。これにより、ハウジング5(第2ユニット1B)の小型化・軽量化を図ることができる。
液路304の少なくとも一部分(第1部分304A)は第1ブリーダー液路307Aと略同一直線上を延びる。よって、両液路304A,307Aを同一の加工工程で形成できるため、生産性を向上できる。同様に、液路305の少なくとも一部分(第1部分305A)は第2ブリーダー液路307Bと略同一直線上を延びるため、生産性を向上できる。
第1ユニット1A(ハウジング3)のZ軸正方向端は、第2ユニット1B(ハウジング5)のZ軸正方向端(上面504)よりもZ軸負方向側にある。よって、第1ユニット1Aが第2ユニット1Bに対しZ軸正方向側に突出することを抑制し、第1ユニット1Aを含めた第2ユニット1BのZ軸方向寸法の増大を抑制できる。第1ユニット1A(ハウジング3)のZ軸負方向端は、第2ユニット1B(ECU90)のZ軸負方向端よりもZ軸正方向側にある。よって、第1ユニット1Aが第2ユニット1Bに対しZ軸負方向側に突出することを抑制し、第1ユニット1Aを含めた第2ユニット1BのZ軸方向寸法の増大を抑制できる。
ストロークシミュレータ4は、車両へ搭載された状態で、重力方向(重力が作用する方向。すなわち鉛直方向)に沿って延びる。よって、第1ユニット1Aを重力方向(Z軸方向)からみると、ストロークシミュレータ4を略その軸方向からみることになる。このため、第1ユニット1Aを重力方向(Z軸方向)からみた面積、言換えると重力方向における投影面積が小さくなる。よって、第1ユニット1Aを含めた第2ユニット1Bの上記投影面積を小さくし、その車両搭載性を向上することができる。なお、ストロークシミュレータ4の軸心が重力方向に対し多少傾いていても、ストロークシミュレータ4の上記投影面積が、ストロークシミュレータ4の軸心に対し直交する方向でのストロークシミュレータ4の投影面積よりも小さい限り、上記作用効果を得ることができる。本実施形態では、ストロークシミュレータ4の軸心はZ軸方向に延びる。よって、車両に搭載された状態で、上記投影面積を最大限減らし、水平方向(X軸方向またはY軸方向)における第1ユニット1Aの寸法増大を抑制できる。
ブリーダー部371,372の軸心(ブリーダー液路307A,307B)は面506と略平行に延びる。よって、面506の法線方向(X軸方向)にブリーダー部371,372が延びたりブリーダーバルブBVが突出したりすることが抑制される。これにより、上記法線方向における、第1ユニット1Aを含めた第2ユニット1Bの寸法の増大を抑制できるため、車両への搭載時においてレイアウト制限が生じることを抑制できる。ブリーダー部371,372の軸心(ブリーダー液路307A,307B)は、正面501の側に向ってモータハウジング200の軸方向と略平行(Y軸方向)に延びる。よって、第1ユニット1A(ストロークシミュレータ4)とモータハウジング200(円筒部201)との間のスペースにブリーダー部371,372およびブリーダーバルブBVが配置される。これにより、第1ユニット1Aを含めた第2ユニット1Bのコンパクト化、およびブリーダーバルブBVの開閉によるエア抜き作業の容易化を図ることができる。
シリンダ収容孔53A〜53Eはモータ20の軸方向に沿って単列である。複数のポンプ部2A〜2EはY軸方向で互いに重なる。よって、カムユニット2Uを複数のポンプ部2A〜2Eで共通に用いることができるため、部品点数及びコストの増大を抑制できる。また、ポンプ2の回転駆動軸を短くし、Y軸方向におけるハウジング5の寸法の増大を抑制できる。また、複数のポンプ部2A〜2Eが回転駆動軸の軸方向で互いに重なることで、液路のレイアウトを簡素化できるため、ハウジング5の大型化を抑制できる。シリンダ収容孔53はハウジング5の正面501側(モータ20が取付けられる側)に配置される。よって、回転駆動軸をより短くできるため、ハウジング5の内部のレイアウト性を向上できる。複数の弁収容孔はモータ20の軸方向に沿って単列である。よって、Y軸方向におけるハウジング5の寸法の増大を抑制できる。弁収容孔はハウジング5の背面502の側(ECU90が取付けられる側)に配置される。よって、ECU90と電磁弁21等のソレノイドとの電気的接続性を向上できる。具体的には、複数の弁収容孔の軸心は、モータ20の軸心と略平行であり、全ての弁収容孔は背面502に開口する。よって、電磁弁21等のソレノイドをハウジング5の背面502に集中して配置し、ECU90とソレノイドとの電気的接続を簡素化できる。同様に、複数のセンサ収容孔は背面502側に配置される。よって、ECU90と液圧センサ91等との電気的接続性を向上できる。ECU90の制御基板は背面502と略平行に配置される。よって、ECU90とソレノイド(及びセンサ)との電気的接続を簡素化できる。
Y軸方向から見て、複数のシリンダ収容孔53と弁収容孔は少なくとも部分的に重なる。よって、モータ20の側から見た第2ユニット1Bの面積を小さくできる。ハウジング5は、モータ20の軸方向に沿って、正面501側から背面502側に向って順に、ポンプ領域(ポンプ部)と電磁弁領域(電磁弁部)とを有する。モータ20の軸方向に沿って、シリンダ収容孔53が位置する領域がポンプ領域であり、弁収容孔が位置する領域が電磁弁領域である。このようにモータ20の軸方向における領域毎にシリンダ収容孔53と弁収容孔を集中して配置することで、モータ20の軸方向におけるハウジング5の寸法増大の抑制が容易である。また、ハウジング5における各要素のレイアウト性を向上し、ハウジング5の小型化を図ることができる。すなわち、各領域で、モータ20の軸心に直交する平面内における複数の孔のレイアウト自由度が高くなる。例えば電磁弁領域で、上記平面内におけるハウジング5の寸法増大を抑制するように複数の弁収容孔を配置することが容易である。なお、両領域がモータ20の軸方向で部分的に重なってもよい。
ホイルシリンダポート512は、上面504に開口する。よって、ホイルシリンダポート512が正面501に開口する場合に比べ、正面501のスペースを節約し、ハウジング5の角部に凹部50A, 50Bを形成することが容易である。ホイルシリンダポート512は、上面504のY軸負方向側に配置される。よって、ホイルシリンダポート512を電磁弁領域に配置することで、ホイルシリンダポート512とシリンダ収容孔53との干渉を避けつつ、ホイルシリンダポート512とSOL/V IN収容孔等との接続が容易となり、液路を簡素化できる。ホイルシリンダポート512は、上面504のY軸負方向側にX軸方向に4つ並んで配置される。よって、ホイルシリンダポート512を、Y軸方向で単列とすることで、ハウジング5のY軸方向寸法の増大を抑制できる。
マスタシリンダポート511は、正面501に開口する。よって、ポート511が上面504に開口する場合に比べ、上面504のスペースを節約し、ホイルシリンダポート512等を上面504に形成することが容易である。ポート511は、X軸方向で(Z軸方向から見て)モータハウジング200に重なる。よって、正面501のX軸方向寸法の増大を抑制できる。ポート511P,511Sは、X軸方向で(Y軸方向から見て)、第1液溜め室521を挟む。言換えると、第1液溜め室521は、X軸方向で、ポート511P,511Sの間に配置される。このように、ポート511P,511Sの間のスペースを活用して第1液溜め室521を形成することで、ハウジング5の内部のレイアウト性が向上すると共に、正面501の面積を小さくし、ハウジング5の小型化を図ることができる。各ポート511P,511Sは、軸心Oの周り方向で(Y軸方向から見て)、室521とシリンダ収容孔53C,53Dとに挟まれる。よって、軸心Oからハウジング5の外表面(上面504)までの寸法の増大を抑制し、ハウジング5の小型化を図ることができる。また、正面501におけるポート511の開口部をX軸方向中央側に配置することができるため、ポート511P,511SよりX軸方向外側に凹部50A, 50Bを形成することが容易となる。ハウジング5の正面501の側かつ上面504の側は、凹部50A, 50Bの分だけ体積が小さくなり、軽量化される。吸入ポート513は、Y軸正方向側(ポンプ領域)にある。よって、シリンダ収容孔53(ポンプ部2C,2Dの吸入部)にポート513(第1液溜め室521)を接続することが容易であり、液路を簡素化できる。ポート513は、X軸方向中央側にある。よって、1つの室521をP,S両系統で共通に用いる場合において、両系統の弁収容孔にポート513(室521)を接続することが容易であり、液路を簡素化できる。X軸方向で(Y軸方向から見て)、ホイルシリンダポート512c,512dは吸入ポート513(室521)を挟むと共に、ホイルシリンダポート512c,512dの開口とポート513(室521)とは部分的に重なる。よって、ハウジング5のX軸方向寸法の増大を抑制し、小型化を図ることができる。第1液溜め室521の軸心が軸心Oに対し直交する方向に延び、この方向と交差する(軸心Oの周り方向に沿って広がる)ハウジング5の外表面(上面504)に室521が開口し、この開口部が吸入ポート513として機能する。よって、軸心Oから、軸心Oの周り方向に沿って広がるハウジング5の外表面(室521が開口する上面504)までの寸法の増大を抑制し、ハウジング5の小型化を図ることができる。
第1液溜め室521、電源孔55、および第2液溜め室522は、軸心Oの周り方向で、隣り合うシリンダ収容孔53の間の領域に形成される。よって、室521とポンプ部2C,2Dの吸入部とを接続する吸入液路12を短縮することができる。また、隣接する孔53の間のスペースを活用して室521,522および孔55を形成することで、ハウジング5の内部のレイアウト性(容積効率)が向上すると共に、正面501の面積を小さくし、ハウジング5の小型化を図ることができる。室521は、マスタシリンダポート511P,511Sとホイルシリンダポート512c,512dとに囲まれた領域に配置される。具体的には、室521はZ軸方向で上記各ポート511P等に重なると共に、Z軸方向から見て、上記ポート511P等を線分で結んだ四角形の内部にある。このように、上記ポート511P等の間のスペースを活用して室521を形成することで、ハウジング5の内部のレイアウト性が向上すると共に、ハウジング5の小型化を図ることができる。第2液溜め室522の軸心が軸心Oに対し直交する方向に延び、この方向と交差する(軸心Oの周り方向に沿って広がる)ハウジング5の外表面(下面503)に室522が開口する。よって、軸心Oから、軸心Oの周り方向に沿って広がるハウジング5の外表面(室522が開口する下面503)までの寸法の増大を抑制し、ハウジング5の小型化を図ることができる。Y軸方向で(X軸方向から見て)、孔53A〜53Eと室522は部分的に重なる。よって、ハウジング5のY軸方向寸法の増大を抑制し、小型化を図ることができる。室522は、下面503において、Y軸正方向側に開口する。よって、カム収容孔における孔53A〜53Eが開口する領域に室522を接続することが容易であり、ドレン液路を簡素化できる。
第1凹部50Aと第2凹部50Bは、上面504に開放される。ハウジング5の上面504の側は、凹部50A, 50Bの分だけ軽量化される。このため、第2ユニット1Bの重心を鉛直方向下側に位置させることが容易である。また、第1ユニット1Aの重心を鉛直方向下側に位置させることで、第1ユニット1Aを含めた第2ユニット1Bの設置安定性を向上できる。正圧室401(小径部31)は背圧室402(大径部33)に対しZ軸正方向側に配置される。小径部31の側は大径部33の側よりも軽量化が容易である。このため、第1ユニット1Aの重心を鉛直方向下側に位置させることが容易である。
(作業性の向上)
マスタシリンダポート511及びホイルシリンダポート512は、ハウジング5の鉛直方向上側に配置される。よって、車体側へ設置されたハウジング5のポート511,512へ配管10MP,10MS,10Wをそれぞれ取付ける際の作業性を向上できる。ホイルシリンダポート512は、上面504に開口する。よって、上記作業性をより向上できる。マスタシリンダポート511は、正面501の鉛直方向上側の端部に開口する。よって、上記作業性をより向上できる。また、第1液溜め室521に連通する吸入ポート513が上面504に配置されることで、吸入ポート513に接続される配管の取り回しが容易になる。また、車両への搭載時における上方からの作業が容易である。
正面501のポート511に配管10Mを固定する際、工具を用いてナットを締め付ける。工具は正面501に接近する。ECU90を背面502に取付けるためのボルトb2の一部が正面501に突出していると、工具によりナットを締め付けることが困難になる。本実施形態では、第1凹部50Aと第2凹部50Bにそれぞれ、ボルトb2の一部(頭部)が突出する。言い換えると、凹部50A,50Bを除く正面501に、ボルトb2の一部が突出しない。よって、ボルトb2の一部と工具との干渉が抑制されるため、工具を用いてポート511に配管10Mを固定する作業が容易になる。なお、凹部50A, 50Bにはシリンダ収容孔53C,53Dがそれぞれ開口する。よって、孔53C,53Dの軸方向寸法の増大を抑制し、孔53C,53Dへのポンプ構成要素の組付け性を向上できる。
ブリーダーバルブBVの近傍にはエア抜き作業のためのスペースが必要である。バルブBVの少なくとも一方は、ハウジング3の鉛直方向上側(Z軸正方向側)に配置される。鉛直方向上側にバルブBVがあることで、バルブBVの開閉によるエア抜き作業を容易化できる。バルブBV(ポート308)はY軸方向側を向く。よって、第1ユニット1Aを含めた第2ユニット1BのX軸方向に隣接したスペースを小さくできる。バルブBV(ポート308)は正面501の側(Y軸正方向側)を向く。ハウジング3のY軸正方向端はモータハウジング200のY軸正方向端よりもY軸負方向側にある(図8参照)。よって、両ハウジング3,200間のスペースを活用してここにバルブBVを配置することで、第1ユニット1Aを含めた第2ユニット1Bの小型化・コンパクト化を図ることができる。
(大型化抑制と必要基板面積確保との両立)
ハウジング5の背面502には、複数の電磁弁21等や液圧センサ91等が配置される。このため、制御基板90a上に実装される各素子は、多数の電磁弁21等との干渉を避けて配置しなければならず、制御基板90aの面積をY軸方向から見たハウジング5の投影面積内に収めると、実装面積が不足する。よって、必要実装面積の確保のためには、制御基板90aの一部をY軸方向から見たハウジング5の投影面積外へ延出させる必要があり、ブレーキ装置1が大型化するおそれがあった。
そこで、実施形態1のブレーキ装置1では、ハウジング5とマウントブラケット1000の間の空間がデッドスペースであった点に着目し、このデッドスペースに制御基板90aの延出部90bを配置した。これにより、Y軸方向から見た第2ユニット1Bの投影面積の拡大を伴うことなく、制御基板90aの必要実装面積を確保することができる。また、延出部90bは、Z軸方向から見た第2ユニット1Bの投影面積にも影響を与えない。つまり、制御基板90aをマウントブラケット1000側に延出させることにより、ブレーキ装置1の大型化の抑制と必要基板面積の確保との両立を実現することができる。
実施態様1の効果を以下に列挙する。
(1)コントロールユニット90は、車両左方向の背面(第1の面)502に配置され、車両右方向の正面(第2の面)501に垂直な方向から見て、車両下方向の下面(第4の面)503に配置されるハウジング5を車体に固定するためのマウントブラケット1000の側に、前記背面(第1の面)502から延出した延出部90bを有する制御基板90aを備えた。
よって、ハウジング5とマウントブラケット1000の間のデッドスペースを有効活用して、制御基板90aを大きくしたので、第1ユニット1Aを備える第2ユニット1Bの大型化を抑制することができるとともに、第2ユニット1Bの多数の電磁弁、圧力センサを避けて素子を制御基板90aに実装できる。また、制御基板90aは、第2ユニット1Bのホイルシリンダポート521が形成された上面504側にははみ出さないので、配管と干渉もしない。さらに、第2ユニット1B上面視での投影面積を小さくでき、車載搭載性が良い。
(2)車両後方向の左側面(第5の面)505側には、ECU90を電気的に接続するコネクタ部903が配置される。
よって、制御基板90aがコネクタ部903の反対側にはみ出す場合と比べて、制御基板90a上のパターン引き回しが容易になる。また、パターンが集中するコネクタ部903側に制御基板90aが延長する場合と比べて、素子配置、パターンの引き回しが容易になる。
(3)車両前方向の右側面(第6の面)506側には、ブレーキペダルの操作反力を生成するストロークシミュレータ4が配置される。
ストロークシミュレータ4を第2ユニット1Bに設置する場合、ハウジング5の各面に配置される構成が決まってしまい、ハウジング5の下面(第4の面)503より、デッドスペースへ制御基板90aを延出させることは必須となる可能性は高いため、本第2ユニット1B構成の場合、特に適正配置となる。
(4)ECU90は、制御基板90aを収容するケース901を備え、ケース901は、正面(第2の面)501に垂直な方向から見て、延出部90bと重なる位置にリブ901aを備える。
よって、リブ901aにより、ケース901の剛性が向上するとともに、ケース901の表面積が増加するため、放熱性を向上することができる。また、ケース901のマウントブラケット1000側の底面に設けた車両下方向に開口する呼吸孔901bへの水の浸入を抑制することができる。
(5)電力供給を受ける電源回路91aは、正面(第2の面)501に垂直な方向から見て、リブ901aと重なる位置で制御基板90aに実装されている。
よって、電源回路91aに近い位置にリブ901aを設けることで表面積増加による放熱性を向上できる。
(6)ハウジング5は、下面(第4の面)503とマウントブラケット1000との間でハウジング5を支持する第1支持部1000aと、下面(第4の面)503以外の面とマウントブラケット1000との間でハウジング5を支持する第2支持部1000bと、第4の面503以外の面とマウントブラケット1000との間でハウジング5を支持する第3支持部1000cとによってマウントブラケット1000に固定され、車両挙動検出センサ91bは、正面(第2の面)501に垂直な方向から見て、第1、第2、第3支持部1000a、1000b、1000cを結んだ領域内で制御基板90aに実装されている。
よって、制御基板90aに実装する車両挙動検出センサ91bをマウント支持点により近く第2ユニット1Bの揺動の影響が少ない下方に配置することができる。また、マウント支持位置の規制を受けることなく自由に搭載できる。
(7)第1、第2、第3支持部1000a、1000b、1000cを結んだ領域は、ハウジング5の第4の面503に垂直な方向において、第4の面503側である。
よって、制御基板90aに実装する車両挙動検出センサ91bをマウント支持点により近く第2ユニット1Bの揺動の影響が少ない下方に配置することができる。また、マウント支持位置の規制を受けることなく自由に搭載することができる。
〔第2実施形態〕
まず、構成を説明する。以下、第1実施形態と共通する構成については第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図17は、本実施形態の第1ユニット1Aを具備しないタイプの第2ユニット1BをY軸負方向側からみた正面図であり、図18は、X軸正方向側かつY軸正方向側かつZ軸正方向側からみた斜視図である。
第1ユニット1Aを具備しないので、第3支持部1000cのボルトb4が、ハウジング5の右側面506に形成されたボルト孔に挿入、螺合することで、マウントブラケット1000と固定されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
よって、第2実施形態の効果は、第1実施形態と同様である。
〔第3実施形態〕
まず、構成を説明する。以下、第2実施形態と共通する構成については第2実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図19は、本実施形態の第1ユニット1Aを具備しないタイプの第2ユニット1BをY軸負方向側からみた正面図であり、図20は、X軸正方向側かつY軸正方向側かつZ軸正方向側からみた斜視図である。
コントロールユニット90は、背面(第1の面)502に配置され、正面(第2の面)501に垂直な方向から見て、右側面(第6の面)506に配置されるハウジング5を車体に固定するためのマウントブラケット1000の側に、前記背面(第1の面)502から延出した延出部90bを有する制御基板90aを備えた。
すなわち、ハウジング5の右側面506とマウントブラケット1000の間のデッドスペースを有効活用することができる。
その他の構成は第2実施形態と同様である。
よって、第3実施形態の効果は、第2実施形態と同様である。
〔他の実施形態〕
以上、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明したが、本発明の具体的な構成は、実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、ケース901を金属製としても良い。
また、ハウジング3,5の具体的な形状は実施形態のものに限定されない。さらに、ハウジング5の車両搭載時に、ホイルシリンダポート521が形成された上面504を車両上方側に配置したが、車両の搭載レイアウトにより、自由に配置できる。ストロークシミュレータ4の具体的な構造(スプリングの数やダンパ等の配置)は実施形態のものに限らない。
また、延出部90bは下面503側あるいは右側面506側で説明したが、左側面505側に設けても良い。
以上説明した実施形態から把握しうる技術思想について、以下に記載する。
ブレーキ装置は、その1つの態様において、ハウジングと、コントロールユニットと、を備え、前記ハウジングは、複数の電磁弁が配置される第1の面と、前記第1の面の反対側に位置し、モータが取り付けられる第2の面と、前記第1の面と第2の面と連続し、ホイルシリンダに繋がる配管が接続されるホイルシリンダ接続ポートが配置される第3の面と、前記第3の面の反対側に位置する第4の面と、前記第1、第2、第3、第4の面と連続する第5の面と、前記第5の面の反対側に位置する第6の面とを備え、前記コントロールユニットは、前記第1の面に配置され、前記第2の面に垂直な方向から見て、前記第4、第5、第6の面のうちの少なくとも1つの面に配置される前記ハウジングを車体に固定するためのブラケットの側に、前記第1の面から延出した延出部を有する制御基板を備える。
より好ましい態様では、上記態様において、前記第4の面には前記ブラケットが配置され、前記延出部は、前記第4の面の側に延出している。
別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記延出部は、前記第2の面に垂直な方向から見て、前記第4の面に垂直な方向で、前記ブラケットと前記第4の面との間に延出している。
別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記第5の面の側には、前記コントロールユニットを電気的に接続するコネクタ部が配置される。
別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記第6の面の側には、ブレーキペダルの操作反力を生成するストロークシミュレータが配置される。
別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記コントロールユニットは、前記制御基板を収容するケースを備え、前記ケースは、前記第2の面に垂直な方向から見て、前記延出部と重なる位置にリブを備える。
別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、電力供給を受ける電源回路は、前記第2の面に垂直な方向から見て、前記リブと重なる位置で前記制御基板に配置されている。
別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記コントロールユニットは、前記制御基板に実装された車両の挙動を検出する車両挙動検出センサを備え、前記ハウジングは、前記第4の面と前記ブラケットとの間で前記ハウジングを支持する第1支持部と、前記第4の面以外の面と前記ブラケットとの間で前記ハウジングを支持する第2支持部と、前記第4の面以外の面と前記ブラケットとの間で前記ハウジングを支持する第3支持部と、によって前記ブラケットに固定され、前記車両挙動検出センサは、前記第2の面に垂直な方向から見て、前記第1、第2、第3支持部を結んだ領域内で前記制御基板に実装されている。
別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記第1、第2、第3支持部を結んだ領域は、前記ハウジングの前記第4の面に垂直な方向において、前記第4の面の側である。
別の好ましい態様では、前記延出部は、前記第4の面または第5の面または第6の面と、前記ブラケットとの間に延出している。
また、他の観点から、ブレーキ装置は、その1つの態様において、ハウジングと、コントロールユニットと、を備え、前記ハウジングは、複数の電磁弁が配置される第1の面と、前記第1の面の反対側で、モータが取り付けられる第2の面と、前記第1の面と第2の面と連続し、前記ハウジングが車両に搭載された状態で鉛直方向上側となる第3の面と、前記第3の面の反対側に位置する第4の面と、前記第1、第2、第3、第4の面と連続する第5の面と、前記第5の面の反対側に位置する第6の面とを備え、前記コントロールユニットは、前記第1の面に配置され、前記第4の面の側、または前記第5の面の側、または前記第6の面の側で、前記第1の面より延出した延出部を有する制御基板を備える。
別の好ましい態様では、上記態様において、前記延出部は、前記第4の面側に延出している。
別の好ましい態様では、上記態様において、前記第4の面には、前記ハウジングを車体に固定するためのブラケットが配置され、前記延出部は、前記第2の面に垂直な方向から見て、前記第4の面に垂直な方向で、前記ブラケットと前記第4の面との間に延出している。
別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記第5の面側には、前記コントロールユニットを電気的に接続するコネクタ部が配置され、前記第6の面側には、ブレーキペダルの操作反力を生成するストロークシミュレータが配置される。
別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記コントロールユニットは、前記制御基板に実装された車両の挙動を検出する車両挙動検出センサを備え、前記ハウジングは、前記第4の面と前記ブラケットとの間で前記ハウジングを支持する第1支持部と、前記第4の面以外の面と前記ブラケットとの間で前記ハウジングを支持する第2支持部と、前記第4の面以外の面と前記ブラケットとの間で前記ハウジングを支持する第3支持部と、によって前記ブラケットに固定され、前記車両挙動検出センサは、前記第2の面に垂直な方向から見て、前記第1、第2、第3支持部を結んだ領域内で前記制御基板に実装されている。
別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記第1、第2、第3支持部を結んだ領域は、前記第2の面に垂直な方向から見て、前記ハウジングの前記第4の面に垂直な方向において、前記第4の面側である。
また、他の観点から、ブレーキ装置は、その1つの態様において、ハウジングと、コントロールユニットと、を備え、前記ハウジングは、複数の電磁弁が配置される第1の面と、前記第1の面の反対側で、モータが取り付けられる第2の面と、前記第1の面と第2の面と連続し、ホイルシリンダに繋がる配管が接続されるホイルシリンダ接続ポートが配置される第3の面と、前記第3の面の反対側に位置する第4の面と、前記第1、第2、第3、第4の面と連続する第5の面と、前記第5の面の反対側に位置する第6の面とを備え、前記コントロールユニットは、前記第1の面に配置され、前記第2の面に垂直な方向から見て、前記第4の面の側、または前記第5の面の側、または前記第6の面の側で、前記第1の面より延出した延出部を有する制御基板を備える。
より好ましい態様では、上記態様において、前記延出部は、前記第2の面に垂直な方向から見て、前記第4の面の側に延出している。
別の好ましい態様では、前記延出部は、前記第2の面に垂直な方向から見て、前記第4の面または第5の面または第6の面と、前記第4、第5、第6の面のうちの少なくとも1つの面に配置される前記ハウジング5を車体に固定するためのブラケットとの間に延出している。