各実施の形態の概要.
各実施形態の詳細説明の前に、各実施の形態の特徴を簡単に説明する。
(1)実施の形態1:加熱調理器8の本体8Aの左右中心線CL1を挟んで、その両側 に加熱口を配置したものである。各加熱口は、外径寸法が同等の二つのIHコイ ルを有している。
主電源スイッチ95は、前記左右中心線と交差する位置に配置されている。
(2)実施の形態2:加熱調理器8の本体8Aの上部に、中間線CLMを挟んで、その 両側に加熱口を配置したものである。左側加熱口と右側の加熱口では、互いに外 径寸法が異なる二つ以上のIHコイルを配置している。
左側のIHコイルは、中心部の主コイルと、その周囲に同心円状に点在する4つ の副コイルとから構成されている。主電源スイッチ95は、前記中間線と交差す る位置に配置されている。
本体8Aの左右中心線CL1と中間線CLMの位置は、左右方向に所定距離離れ
ている(横に偏倚している)。
(3)実施の形態3:加熱調理器8の本体8Aの左右中心線CL1を挟んで、その両側
に加熱口を配置したものである。前記左右中心線CL1を挟んで、左側の加熱口
と右側の加熱口は、平面的な外形寸法が同じで、かつ最大加熱能力も同等である
多数のIHコイルを規則正しく縦横に配置している。
隣接する複数のIHコイルで、1つの被加熱物を加熱するマルチコイル方式の加
熱口を備えている。
主電源スイッチ95は、前記左右中心線CL1と交差する位置に配置されている
。
(4)実施の形態4:加熱調理器8の本体8Aの左右中心線CL1を挟んで、その両側 に、加熱口を配置したものである。本体8Aの上面には、人の指の接触を感知で きる感知面108を備えている。主電源スイッチ95は、前記左右中心線CL1
と交差する位置に配置されている。
前記感知面108は、この主電源スイッチの操作ボタン94の左右両側に配置さ れている。また前記感知面108に使用者が触れたことが検知されると、音声合 成装置145によって報知される。
(5)実施の形態5:加熱調理器8の本体8Aの左右中心線CL1を挟んで、その両側 に加熱口を配置したものである。1つの加熱口は、外径寸法が同等で、かつ最大 加熱能力も同等である4つのIHコイルを縦横に規則正しく配置し、隣接する複 数のIHコイルで1つの被加熱物を加熱するマルチコイル方式の加熱口を備えた もの。
主電源スイッチ95の操作面94は、前記左右中心線CL1と交差する位置に配
置されている。また、本体8Aの上面には、人の指の接触を感知する感知面10 8を備えており、前記感知面108に使用者が触れたことが検知されると、音声
合成装置145によって報知される。
(6)実施の形態6:加熱調理器8の本体8Aの左右中心線CL1を挟んで、その両側 及び左右中心線の上の合計3個所に、それぞれ加熱口を配置したものである。左 右の加熱口は、外径寸法が同等の2つのIHコイルを有している。
加熱調理器8と電力指令装置(統合管理装置)10を備えた統合運転管理システ ムに関するものである。
加熱調理器8から排気装置9に対して、排気運転の開始指令信号F0を直接受信 させ、排気装置9の運転を開始させる。加熱調理器8が発信した排気運転の開始
指令信号F0で排気装置9を運転できない場合の対策として、加熱調理器8の運
転状況を電力指令装置10が感知し、この電力指令装置が排気装置の排気運転を
制御するシステムである。
(7)実施の形態7:加熱調理器8の本体8Aの左右中心線CL1を挟んで、その両側 及び左右中心線の上の合計3個所に、それぞれ加熱口を配置したものである。左 右の加熱口は、外径寸法が同等の二つのIHコイルを有している。
加熱調理器8と電力指令装置(統合管理装置)10を備えた統合運転管理システ ムに関するものである。
排気装置9が、「常時排気モード」で運転される場合も、加熱調理器8から排気
装置9に対する排気運転の指令信号によって不用意に、当該排気装置を停止させ
ることがないように工夫している。また加熱調理器8では、加熱調理動作を実際
に行わずに、所定の排気指令信号が発信されていることを容易に確認できる「テ
ストモード」を設定できるものである。
(8)実施の形態8:加熱調理器8の本体8Aの左右中心線CL1を挟んで、その両側 及び左右中心線の上の合計3個所に、それぞれ加熱口を配置したものである。左 右の加熱口は、外径寸法が同等の二つのIHコイルを有している。
加熱調理器8と電力指令装置(統合管理装置)10を備えた統合運転管理システ ムに関するものである。
加熱口で加熱される調理器具62自体の温度を直接検知して、この計測結果を利
用して加熱工程の進捗(加熱温度上昇など)を判定し、排気装置9の排気能力を
上げるための指令信号の発信タイミングを決めているので、実際の加熱調理の状 況に追従して排気装置9の排気運転を変更できる。これにより、的確な排気を行
わせることが期待できる。
(9)実施の形態9:本体8Aの左右中心線CL1を挟んで、その両側に加熱口67を
配置しており、各加熱口は、外径寸法が同等の2つのIHコイルを有している。
左右中心線CL1の真上にも、IHコイル又は電熱式ヒータを配置して1つの加
熱口を構成している。
主電源スイッチ95の操作面94は、前記左右中心線CL1と交差する位置に配
置されている。排気装置9制御用の運転指令信号を発信する赤外線発光素子15
4の赤外線信号は、化粧カバー38の2カ所に形成した通信用窓68L、68R
を透過する。
前記赤外線発光素子154と、前記加熱口67との間には、冷却風路197が形 成されている。前記IHコイルの冷却用として前記本体8A内部に強制的に導入 された冷却風の一部は、分岐して前記冷却風路197にも流れ、その冷却風11 0Fで、赤外線発光素子154も冷却される構成である。
実施の形態1.
図1〜図23は、実施の形態1を示すものである。
(定義)
「家電機器」EEとは、主に家庭で使用されることを想定して設計された電気機器をいう。家電機器EEには、後述する誘導加熱調理器8、空気調和機5、空気清浄機7、排気装置9、照明器具6が含まれる。なお、以下の説明では、家電機器EEという場合には、特に断りがない限り、誘導加熱調理器8、空気調和機5、空気清浄機7、排気装置9を含む。
誘導加熱調理器8は、加熱調理器の一種である。他の種類の加熱調理器としては、トッププレートの下方から熱線を放射して加熱調理を行う輻射式電気加熱源を利用した加熱調理器もある、そこで以下の説明では、誘導加熱調理器は「加熱調理器」と呼ぶ。
排気装置9とは、居住空間(キッチン等)の壁に取り付けられ、排気用ファンによって排気だけを行う「換気扇」と呼ばれるものや、加熱調理器8の上方位置に設置され、吸込口から室内の空気を吸引して居住空間の外に排出するレンジフードファンと呼ばれるもの、さらには天井面よりも上方空間(天井裏)に設置され、天井面に近い位置で室内の空気を吸引する天井埋込型排気装置等を含む。排気と同時に居住空間の外部から新鮮な空気を導入するタイプであっても良い。また排気流から熱を回収し、外部からの空気流にその熱を伝える熱交換器を備えた方式であっても良い。
家電機器EEの「識別情報」とは、家電機器EEを特定するための情報で、家電機器EEに固有の情報のことであり、的確な修理や点検を行う場合に必要となる重要な情報である。例えば、具体的には、以下のようなものが識別情報に含まれるが、これらには限定されない。
(1)家電機器の製造者名
(2)型名
(3)形式番号
(4)定格消費電力
(5)購入年月日(製造業者や販売業者の品質保証期間の起算日になる場合が多い)
(6)使用開始年月日
(7)品質保証書番号
「統合管理装置」10とは、2つ以上の家電機器EEを連携して動作させるための装置をいう。例えば加熱調理器8の運転と、他の家電機器EE、例えば空気清浄機7、排気装置9等の運転とを連携させる装置をいう。統合管理装置10は、家電機器EEの運転や停止、待機状態等の状況に関する情報を、有線又は無線信号で家電機器EEから取得する機能を有する。
「電力指令装置」10とは、複数の家電機器EEの消費電力を個々に制限し、1つの家庭又はブレーカーで設定されている総消費電力を超えないよう、総消費電力の上限を規制する機能を備えたものをいう。1つの家電機器EEに対して、「統合管理装置」が「電力指令装置」を兼ねている場合がある(以下述べる実施の形態1がこれに該当する)。
また1つの家電機器の「電力指令装置」10が、他の家電機器についても電力指令装置であるとは限らない。例えば、実施の形態1では、後述する空気清浄機7にとって統合管理装置10は電力指令装置ではない。電力指令装置10は、空気清浄機7の運転情報を取得するが、その消費電力の上限値を規制して、1つの家庭の総消費電力の上限が、所定値を超えないように規制する機能がない。つまり、統合管理装置10は、空気清浄機7の運転開始と運転停止及び空気清浄能力の変更を指令する機能だけを有している。言い換えると、他の電気機器EEの運転状況や、その時点の消費電力の総量が統合管理装置10で判定され、その判定結果によって、空気清浄機7自体の消費電力が制限されたり、運転の開始が禁止されたりすることはない。
後述する統合環境検知部16の「環境情報」とは、統合環境検知部16で得られた室内気温等の「環境データ」それ自体と、そのような環境データに基づいて作成した「環境評価情報」を総称したものをいう。「環境情報」には、家屋の居住快適性に影響する以下のような種類の情報を含むが、これに限定されない。
(1)温度情報
(2)湿度情報
(3)塵埃飛散度(単位空気容積あたりの塵埃量)情報
(4)花粉飛散量情報
(5)光量(可視光線量)情報(言い換えると居住空間の明るさの情報である)。
(6)騒音情報(居住空間の静けさの情報である)。
統合環境検知部10が取得した気温(例えば、35℃)のデータは環境データに該当する。その気温(35℃)に基づいて、何らかの評価基準や計算処理等を経て分類やランク付け、又はその他加工をされた情報は、前述したように「環境評価情報」に該当する。例えば、「室温は高い」、「標準気温」というような情報が前記「環境評価情報」に該当する。
「空気質改善機器」とは、居住空間内の空気の温度、湿度、清浄度等を改善する効果のあるものをいう。清浄度を向上させると有害物質や塵埃の含有量が少なく、清浄な空気となる。実施の形態1では、空気調和機5、空気清浄機7、排気装置9が該当する。
図1は、1つの家屋の例を示している。図1において、3は、1つの家屋1の居住空間を示すもので。例えばキッチンである。この図1の家屋1では、居住空間3が1つしか示されていないが、他に居間や寝室等の居住空間がある。この居住空間3には、家屋1の外部にある電力会社の商用電源EPから例えば200Vの電力が供給されている。その電力は、電力量計2を介して家屋1の内部に引き込まれている。
4は、200Vの商用電源EPにブレーカーBKを介して接続された電源線(主幹線)である。電源線には、空気調和機5、照明器具6、天井設置型の空気清浄機7、加熱調理器8、レンジフード等の空気の排気装置9が、それぞれ接続されている。なお、図1においては、空気調和機5、照明器具6、空気清浄機7、排気装置9は、それぞれ1つしか示されていないが、複数個あっても良い。
10はブレーカーBKを介して電力が供給される電力指令装置を兼ねた統合管理装置であり、キッチンの垂直壁面11(図2、図13参照)等のように、家族が容易に接近できる場所に壁掛け状態で設置されているか、又は床面の上に置いてある。なお、照明器具6、空気清浄機7及び排気装置9は、居住空間の天井を構成する水平壁面12に支持されている。なお、ブレーカーBK以降の電源線を複数に分岐し、それぞれの分岐回路に副ブレーカーを配置するものでも良い。
図1において、13は、居住空間HAの室内の気温と湿度を検出する複合センサー(温度・湿度センサー)であり、環境センサーの1種である。14は、家屋の外部空間に設置された温度センサーであり、環境センサーの1種である。
前記複合センサー13、温度センサー14は、測定された温度や湿度を無線又は電気信号で後述する統合管理装置10の統合環境検知部16に送信する機能を有している。またこれら環境センサーの電源は充電された電池でも良いし、電源線1からの電力でも良い。またこれらセンサーは、その消費電力は1W(ワット)程度の小さいものであるため、電源線1からの電力で運転する場合でも、電力指令装置5の電力制限対象にはしていない。
これら環境センサーは、所定のタイミングで統合管理装置10へ計測データを継続的に送信している。例えば、空気調和機5のある居住空間3においては、1分間隔で、また寝室(図示せず)では2分間隔で気温と湿度が計測されている。なお、前記各種環境センサー13、14は、外部環境、例えば可視光線を受けて自ら電力を発生することにより自ら電源を備えたものでも良い。このようにすれば、前記電源線(主幹線)4との接続は不要にでき、設置が容易となる。
図示していないが、上記したものの他に、環境センサーの1種として、空気中の花粉の飛散量を測定する花粉センサーと、空気中の単位容積あたりの塵埃量を測定する塵埃センサーと、室内の騒音の大きさを検知する騒音センサーと、室内の明るさを検知する照度センサーとが、各居住空間内のそれぞれ適当な位置に設けてある。また前記複合センサー13の他に、室外又は家屋の外部の気温と湿度とを検知する温度センサーや湿度センサーを設けても良い。更に屋内には、粒子状物質の量を計測するように、例えば、後述するPM2.5センサー42のようなセンサーを設けても良い。これら各センサーの検知結果のデータは、随時統合管理装置10の統合環境検知部16に送信される。
一方、家屋1の外部の空気質は、粒子状物質や花粉等の影響が大きいため、花粉センサーや粒子状物質センサーを設けると良い。例えば、図1では花粉センサー41とPM2.5センサー42を設けている。これらセンサー41、42は、例えば家屋1の外壁表面や玄関のドアの外側表面、窓の外枠、ベランダ、屋上等に設置している。これら各センサーの検知結果のデータは、随時統合管理装置10の統合環境検知部16に送信される。
統合環境検知部16自体は統合管理装置10に内蔵されている必要はなく、統合環境検知部9が、統合管理装置10の本体10Aと離れた場所、あるいは別の居住空間に設置され、その本体10Aと無線又は有線で接続されている場合も、「統合管理装置10には統合環境検知部16を備えている」と定義している。
図1において、20は、人間が自然に発する赤外線を検知して居住空間3の中に人間が居るかどうかを検知できる人感知センサーである。なお、この家屋1の他の居住空間にもこのような人感知センサーを設置しても良い。
人感知センサー20は、人が居るかどうかを検出した結果を、統合管理装置10の本体10Aに内蔵された人感知部21に対し、無線又は電気信号で送信する機能を有している。また人感知センサー20は、所定のタイミング(例えば数秒〜10秒毎)で統合管理装置10へ計測データを継続的に送信している。なお、人感知センサー20は、赤外線式だけに限定されず、他の方式、例えば超音波方式のものを採用しても良い。
引き続いて図1を説明する。
15は、前記加熱調理器8を設置(ビルトイン)した流し台等の厨房家具であり、あとで詳しく説明する。
17は、統合管理装置10に接続されたルーターであり、このルーターは統合管理装置10を電力会社やその家屋1がある地域に情報を発信する地域地震情報提供機関、調理情報提供機関等の外部機関が設置したサーバー19に、インターネット等の広域の通信回路網(「通信ネットワーク」又は「公衆通信網」という)18を介して接続している。なお、ここでいう「外部機関」は、例えば放送番組を提供する放送局や、医療・健康情報を提供する公的機関や民間会社等であるが、これら以外であっても良い。これら外部機関は1つには限られない。
43は、情報通信の端末機器であり、以下、単に「端末機器」と呼ぶ。この端末機器43は、スマートフォン、携帯端末、タブレットと呼ばれており、人が携帯することに便利な情報通信用の端末機器である。この端末機器43は、不特定多数と通信ができるように通信部44と、端末機器への入力操作(タッチ式や音声入力式)ができる入力画面を備えた表示部45と、前記通信部44と表示部45を制御する制御部46と、を備えている。そしてこの端末機器は、家屋1に居住する家電機器EEの使用者が所有しており、屋外の遠隔地から広域の通信回路網(通信ネットワーク)18を介して統合管理装置10に接続できるし、また外部機関のサーバー19にも接続できるという前提で以下説明する。
端末機器43は、家屋1の外部から通信回路網18を介して統合管理装置10に接続し、家電機器EEの一部を遠隔操作できる。この場合の遠隔操作の内容は、家電機器EEによって異なるが、例えば空気調和機5の場合は、冷房や暖房の運転開始、運転停止、室内基本の目標温度(設定温度ともいう)、運転時間の長さ、運転開始時刻と終了時刻等である。つまり、所定時刻になった場合には、空気調和運転を開始したり、停止したりする「予約運転」も設定できる。
端末機器43から家電機器EEの運転状況や予約運転状況が遠隔地にあっても確認できるように、端末機器43から統合管理装置10を呼び出して、運転状況を示す情報を受信し、確認できる。つまり、統合管理装置10から所定のサーバー19に家電機器EEの運転情報を送信しているので、そのサーバー19にアクセスして端末機器43は家電機器EEの状態を知ることができる。これらについては、後でも詳しく説明する。
図2は、本実施形態1の空気排出システムが適用されたハードウエアの構成例を示している。1つの居住空間3として、キッチンを例にして以下説明する。
本発明に係る空気排出システムは、以下の構成を備えている。
すなわち、1つの居住空間3において、天井(水平壁面)12に配置され、室内の空気を清浄化するための空気清浄機7と、キッチンに配置された調理を行うための加熱調理器8と、加熱調理器8の真上の位置に配置されるレンジフードファン(排気装置9の一種であり、以下では単に「レンジフード」と呼ぶ)26と、空気調和機5と、統合管理装置10とから構成されている。
統合管理装置10は、これら家電機器EEを無線通信によって接続し、連携動作させるために必要である。
前記レンジフード26は、その上方に排気口27を有しており、この排気口27には、屋外に連通しているダクト28の一端部が接続されている。29は、下面全体が吸込口29Aとして開放されたフードであり、このフードの内部には排気用の電動ファン26Fが設置されている。なお、このレンジフード26は、天井(水平壁面)12に固定されているが、詳しい構成については説明を省略する。
このレンジフード26の運転状況は、統合管理装置10の制御装置22(後で詳しく述べる)に随時送信される。このため、レンジフード26の内部には、統合管理装置10との間で、排気運転の開始、停止と、運転の強度(排気能力の大小)等の各種運転情報を送信する送信部(図示せず)と、受信部(図示せず)とを備えている。例えば、それら送信部と受信部をハードウエアでは一体化し、通信部30として備えている。通信部30は統合管理装置10との無線通信又は赤外線通信で情報の授受を行う。この実施の形態1の通信部30は、統合管理装置10との無線通信を行う第1の送受信部と、加熱調理器8からの赤外線信号を受信する赤外線受信部と、を統合させたものである。
電動ファン26Fが回転駆動されると、レンジフード26の吸込口29Aから空気を吸引し、調理時の臭いや煙も吸引して、ダクト28を通して室外に排気するものである。なお、レンジフード26は、加熱調理器8の側から赤外線信号等の運転指令信号を受信して、運転を開始する方式である。この運転指令信号を受信する前記通信部30の一部を構成する赤外線受光素子は、図示していないが、加熱調理器8の真上の位置となるよう、レンジフード26のフード29の左右中央部下部に設置されている。
排気装置9に、加熱調理器8の方向に向けて熱感知センサー(熱起電力素子)を配置しても良い。そのような構成にすれば、排気装置9自身が加熱調理器8の運転開始を感知し、電動ファン26Fの運転を制御することができる。
天井設置型の空気清浄機7は、居住空間3の天井(水平壁面)12上方空間に埋め込む形で設置されている。空気清浄機7の箱型本体7Aの内部には、送風ファン7Fとフィルター33が備えられている。
32は、空気案内板であり、空気清浄機7の下方全体を覆っている。34Aは、空気案内板32によって一方の端部(前記レンジフード26に近い側)に形成した吸込口である。34Bは、空気案内板32によって吸込口34Aとは反対側の端部に形成した吹出口である。
前記送風ファン7Fは、居住空間(キッチン)3内の汚れた空気を吸込口34Aから吸引し、フィルター33を通して清浄化した空気を、前記吹出口34Bから居住空間3に向けて排出する。このような空気循環を行うことにより、空気中のほこりや臭いを取り除き、室内の空気を清浄化するものである。
35は、空気清浄機7の臭いセンサーであり、前記吸込口34Aの入口部に臨むように配置されている。これは、運転時に空気清浄機7に取り込む空気の中から、臭いを検出し、空気の汚染度を検出している。なお、臭いセンサー35の位置は、吸込口34A側の風路で、かつフィルター33の前段であれば、どこに配置してもその効果に大きな差異はない。
前記臭いセンサー35の検出結果は、空気清浄機7の本体7Aの内部に配置された臭い感知部(図示せず)で、臭いの強度が判定され、またその結果は、前記統合管理装置10の統合環境検知部16に随時送信される。このため、空気清浄機7の内部には、統合管理装置10との間で、空気清浄運転の開始、停止、臭いの強度の判定結果等の各種情報を送信する送信部(図示せず)と、受信部(図示せず)とを備えている。例えば、それら送信部と受信部をハードウエアでは一体化し、通信部31として備えている。通信部31は、統合管理装置10との無線通信又は赤外線通信で情報の授受を行う。
空気清浄機7が、臭いを検出できるのは、空気清浄機7が運転中であり、しかも、居住空間3のどこかの場所で発生した臭いが、その発生場所から空気清浄機7に到達したときである。
ところで、この空気清浄機7は、一般的に空気中の塵埃や花粉等を捕捉するために、微細な空気の通路を有したフィルター33を1枚又は複数枚(複数層)備えた構成である。そのため、油調理で発生した油煙を濾過すると、油の粒子がフィルター33の表面に付着し、油の粒子が結合して油膜を形成し、フィルター33の濾過性能が低下する。すなわち、フィルター33を通過する空気の量が低下し、空気清浄機7の空気浄化能力が低下する事態を招く。そこで、加熱調理で発生した排気の中に油調理で発生した油煙が含まれる場合には、空気清浄機7の運転をできるだけ避けるというアイデアが既に提案されている(特開2016−95126号公報)。そこでこの実施形態1では、このアイデアを更に発展させているが、詳しくは後で述べる。
次に図3について説明する。図3は、統合管理装置10と家電機器EEの関係を示したブロック図である。なお、家電機器EEの側から見て、統合管理装置10が電力指令装置を兼ねている場合があることは、前に説明したので、ここでは説明しない。
図3において、統合管理装置10の本体10Aの中には、人感知センサー20の検知出力を受ける人感知部21、前記複合センサー13と温度センサー14から、測定された温度や湿度を無線又は電気信号で受信する統合環境検知部16、入力部24を備えている。統合環境検知部16は、花粉センサー41やPM2.5センサー42等からの検知結果も所定の形式のデータで受信している
入力部24は、液晶表示画面に形成されたタッチ入力式のキーを複数備えている。それらキーを操作すれば、消費電力の上限値を設定する家電機器EEを特定(登録)でき、その上で、その家電機器EEについて、消費電力の上限値や使用できる時間帯等も設定できる。例えば、使用者は、加熱調理器8の最大消費電力は、例えば3000Wであると、使用する上限値を設定できる。
図3において、さらに統合管理装置10の本体10Aの中には、加熱調理器8や空気清浄機7、空気調和機5、排気装置9等の家電機器EEと個別に無線通信や赤外線通信ができる通信部(受信部・送信部)23と、統合管理装置10の全体の動作を制御する制御装置22と、家電機器EEの毎日の電力制御の履歴情報や統合環境検知部16で取得した毎日の「環境情報」等、比較的大きなデータ量の情報を記録する記憶装置25と、をそれぞれ備えている。記憶装置25は、例えば各種半導体メモリーやHDD等である。制御装置22には、情報処理の中核となるマイクロコンピューターと、ROM及びRAMを内蔵し、各種動作を規定するコンピュータプログラムが格納されている。う
次に図4と図5を説明する。
本実施の形態1における加熱調理器8は、流し台付きの厨房家具15に組み込まれており、商用電源200Vを使用した誘導加熱調理器である。
15Aは、厨房家具2に形成された設置口である。前記加熱調理器8は、この設置口15Aの口縁部に載せて支持されている。厨房家具15は、この実施の形態1では図5に示すように、水道の給水口51から出る水を一時的に貯めることができる水槽52を備えている。
15Bは、厨房家具15の前側に形成した開口であり、この開口は、加熱調理器8を組み込んだ場合、その正面(後述するカバー71側)を前方へ露出させるためのものである。なお、開口15Bと設置口15Aの大きさは、規格によって所定の寸法になっている。
加熱調理器8を厨房家具2に組み込む通常の方法は、図18に示している通りである。この図18は、厨房家具15への組み込み作業の途中段階を示す模式図である。この図のように、後述する本体ケース53の前方側(手前側)が下になるように傾けたまま、前記設置口15Aの中に本体ケース53を入れ、その後、本体ケース53の後方側を下げると、加熱調理器8が厨房家具15の設置口15Aの周縁部に載せられた状態になるので、最後にその状態を固定するため、ネジを締めて本体ケース53の周縁部に設置してある固定金具(図示せず)を移動(回動)させ、当該固定金具を厨房家具15に強く押し当てた状態にし、設置が完了する。なお、このような設置方法は既に広く採用されているので、詳しい構造については説明を省略する。
図6に示すように、加熱調理器8は、その本体8Aの外郭を構成する箱型形状の本体ケース53と、この上部に固定された金属製の額縁状の外枠54と、この外枠の上面の略全体を覆うように、その上面に重ねて取り付けられた結晶化ガラスや耐熱強化ガラス製のトッププレート55とから構成されている。なお、このトッププレート55は、その下面全体は可視光線が透過しない塗装面で覆われることにより、トッププレート55の上方からは、その下方の機能部品、例えば後述する右IHコイル60Rが視認できないようになっている。
加熱調理器8は、2つの誘導加熱部を備えている。1つは、トッププレート55上を、左右均等に2分する直線、言い換えるとトッププレート55を左右方向へ2つに分ける(前後方向に延びる)中心線CL1(図7参照)を基準に、その右側に配置された加熱部(以下、「加熱口」という)67Rである。もう1つは、前記中心線CL1を基準に、その左側に配置された加熱部(以下、「加熱口」という)67Lである
この加熱口67Rに合わせて、トッププレート55の下方には、右側の誘導加熱コイル60Rが配置してある。このコイルは、ドーナッツ状形状を有している。
右側の誘導加熱コイル60Rの最大火力は3000Wである。最大外径寸法(直径)RRは210mmである。そして最適な被加熱物(磁性金属鍋など)の底面外径寸法は240mmである。このため、この実施の形態1では、直径(外径)寸法が240mmの円形部分を上記「加熱口」67Rと定義する。
67Lは、前記左右中心線CL1(図7参照)から左側に配置された誘導加熱部(「加熱口」ともいう)であり、ドーナッツ形状の誘導加熱コイル60Lを有している。なお、このコイル60Lの最大火力は3000Wである。最大外径寸法(直径)RLは210mmである。
右側誘導加熱コイル60Rは、以下、「右IHコイル」と呼ぶ。また左側誘導加熱コイル60Lは、以下、「左IHコイル」と呼ぶことにする。
なお、以下の説明では、左右2つの「加熱口」を総称する場合には、符号は67を用いる。
前記した右IHコイル60Rと左IHコイル60Lの位置と直径寸法によって定まる「加熱口」67L、67Rの範囲を視覚的、目安的に示すために、トッププレート55上面には印刷により円形のマーク61L、61Rが形成されている。つまり、マーク61L、61Rの直径は240mm程度である。なお、図4と図6、図7では右側のマーク61Rは記載していない。また、加熱口67L、67Rの外縁を実線や点線等で表示せず、中心部だけに何らかの中心点マークを示すという構成でも良い。
前記円形のマーク61R、61Lの位置と大きさ(直径寸法)は、左右のIHコイル60L、60Rの外径寸法に応じて決定される。図7、図8では2つのIHコイル60L、60Rの位置が円で示されているが、実際には前述したように非透過性であるトッププレート55が上にあるため、使用者にはこれらIHコイル60L、60Rを目視することはできない。また2つのIHコイル61R、61Lの内、1つ又は2つを、ラジエントヒータや赤外線ヒータ等の輻射式電熱源に代えても良い。
左右のIHコイル60L、60Rは、図7に示すように、中心線CL1を挟んで互いに対称的な位置に配置されている。つまり、左右2つの加熱口67も、中心線CL1を挟んで互いに対称的な位置に、同じ形状と大きさ(直径)で配置されている。
図4、図6、図7、図9において、62は、平面形状が楕円形又は長方形の調理器具(第1の調理器具)であり、図6、図11、図16にそれぞれ詳しく示しているように、ステンレスや鉄等の磁性金属製の皿部63と、この皿部の上方を覆う透明な耐熱ガラス製の蓋体64と、から構成されている。65は、使用者が蓋体64を持ち運ぶための摘みである。また66は、皿部63の両端部に一体成型された取っ手である。
図7に2点鎖線で示した長方形状は、前記皿部63の底面の範囲を示しており、皿部63の外郭形状を示していない。言い換えると、皿部63底面の短径寸法は、図7に符号SSで示している通りである。また、皿部9A底面の長径寸法は、図7に符号LSで示している通りである。この第1の調理器具62は、この加熱調理器8のために(この加熱調理器の製造者によって)専用に製造されたものである。
加熱調理器8の上面を除く他の面を構成するために、薄い金属板から形成された本体ケース53を有している。
図9と図10に示すように、本体ケース53は、薄い金属板をプレス装置による折り曲げ加工して断面U字形に成形した胴部53Uと、この胴部の前方側に溶接やネジ止めによって結合された前板53Fと、胴部の後方側に溶接やネジ止めによって結合された後面板53Hとの3者から、上面全体が開口した本体ケースが構成されている。その上面開口部は、トッププレート55が覆っている。前記胴部53Uは、左側面部53Lと右側面部53Rと、これら2つの間を一連に繋いでいる底面部53Bと、の3つで構成されている。
後面板53H(図9参照)は、1枚の金属製薄板を折り曲げて形成しても良いが、通常は2又は3枚の薄板を溶接やネジ止めによって繋ぎ合せて形成している。53Jは、後述するように設置口15Aの中に、加熱調理器8を挿入する場合(図18参照)、後面板53Hが厨房家具15に当たらないように(後面板3Hに)形成された傾斜面部である。
図6において、58は、後述する第1の送風機BM1が本体ケース53の外部から空気を導入するための吸気口であり、多数の小さい口径の貫通孔を傾斜面部53Jの背面(後ろ面)右端部と、右側面の後部に形成している。なお、この吸気口に導入される空気は、後述する空隙GPUから導入されるものである。つまり、居住空間3の中の新鮮な空気は、空隙GPU(図14参照)を経由し、第1の送風機BM1に吸引され、最終的に排気口77から再び居住空間3に放出される。
図6において、70は、この実施の形態1の特徴点の1つである収納室である。この収納室70は、前記本体ケース53の中に区画形成されている。ここで「区画形成」とは、後で説明する下部空間112の中で、収納室70と冷却ユニットCUの部屋(図10参照)との間が、物理的な物(板や壁等をいう。金属又はプラスチック等で形成されている)で仕切られ、空気の流通が設計上では許容されていない状態をいう。
図6において、71は、前記収納室70の前面開口を開閉自在に閉鎖するプラスチック製のカバー(扉)であり、後述するトレイ72の前方端部が(連結と分離可能な状態で)連結されている。73は、カバー71によって開閉自在に覆われる長方形の挿入口であり、この挿入口を介して、収納室70に物品を入れたり、出したりすることができる。
収納室70には、一般の小型鍋はもちろん、第1の調理器具62もその挿入口73から挿入して格納できる。第1の調理器具62の外形形状が、皿部63の両端部に取っ手66を一体に設けたシンプルな構造であるため、前記挿入口73から収納室70の中に格納する場合、また逆にその挿入口73を介して取り出す場合でも、使用者は皿部63と蓋体64を一括して移動でき、便利である。鍋以外にも、調味料やスプーン等を収納しても良い。
取っ手66は、図6に示しているように皿部63の最も上部に設けると、トッププレート15上面からの間隔を大きくできる。つまり、このトッププレート15の下方にある2つのIHコイル60L、60Rからの距離が大きくなるため、取っ手66が誘導加熱されることを抑制できる。取っ手66は、皿部63の底面(トッププレート15の上面に近接する面)から5cm以上離れた位置にあることが望ましいが、あまり離すと、それだけ皿部63の最大高さ寸法が大きくなり、収納室70や挿入口73の高さ寸法を大きくしなければならない。
図7において、90は、平面形状が円形の調理器具(第2の調理器具)であり、一般に市販されている金属製(少なくとも底面部が、磁性金属製)の大径の鍋である。なお、第1の調理器具62や第2の調理器具90よりも、鍋底の直径が小さい鍋を使用することもできる。
図14において、空隙GPUは、前記カバー71の下面と、家具表面材80の上面との間に形成された空隙である。この空隙は、カバー71の移動を許容するために、数ミリメートル(mm)〜2cm程度の大きさで形成されている。
この空隙GPUも、後述する空隙BS1(図13参照)に連通しているので、この前方側の空隙GPUから、第1の送風機BM1が空気を導入できる。
この加熱調理器8では、空隙GPUを利用して吸気する形態にしているので、本体ケース53の上面に吸気口を設置することを省略できる。このため、本体8A上面のデザイン性を向上させることが期待できる。また、トッププレート55の上方に発生する蒸気や油煙等を吸込まないようにできる。
図14において、GPTは、カバー71の最上部にある手掛け部75天面と、厨房家具15の前面にある開口15Bの下面との間に、カバー71の移動を許容するために形成される数ミリメートル(mm)〜2cm程度の空隙である。
図6において、84は、正面形状が正方形の右カバーであり、全体がプラスチックの一体成型で形成されている。この右カバーは、前記本体ケース53の前面において、前記収納室70の挿入口73より右側部分を覆うものである。この右カバーは、前記カバー71と同じ厚みを有し、カバー71の右側に隣接するように本体ケース53の前壁面53Fに固定されている。なお、右カバー84とカバー30の高さ寸法は同じであり、またそれら両者の表面の色も同じにしてある。
図8には、前記カバー71と右カバー84の外形を、破線にて参考的に示している。図8で、WD1は、前記カバー71の横幅寸法を示しており、挿入口73の横幅、言い換えると間口寸法よりも大きく設定されている。
図3、図5、図6において、前記カバー71と、右カバー84のそれぞれの前面71F、84Fの色と表面処理形態(模様や光沢の有無、凹凸状態等)は、厨房家具15の前面を構成する家具表面材80、81の前面の色や表面処理形態と合わせている。これによって統一的意匠感を高めている。
例えば、家具表面材80、81の正面全体が、単色や木目調で統一されている場合、カバー71の前面71Fと、右カバー84の前面84Fも、同じ単色の色や木目調デザインで統一すれば、この前面71F、84Fだけが厨房家具15の中で目立つこともない。なお、カバー71と家具表面材80、81の前面の色や模様を異ならせ、収納室70の挿入口73を覆うカバー71の存在感を示しても良い。
図5において、82は、家具表面材80、81の前面に印刷で表示した枠線であり、家具表面材80、81の前面に物理的な凹凸を形成するものではないが、光沢のある金属製の細い板等を張り付けて、高級感を出したものでも良い。
図6において、109は、厨房家具15に加熱調理器8を設置し、第1の送風機BM1を運転した場合、その加熱調理器8の吸気口58に吸引される冷却風の流れを示したものである。
次に図7と図8について説明する。
図7において、77は、前記本体ケース53に固定された後部の外枠54に、左右方向に少し離れて、それぞれ形成された2つの排気口である。78は、前記排気口77の上に置かれた2つの排気カバーである。この排気カバーは、図13に示すように後方に行くに従って屋根が高くなるように全体が湾曲した断面形状を呈しており、排気流を後方へ変更できるようになっている。なお、排気カバー78は、前記排気口77の全体を覆うような横幅寸法を有しており、前記外枠54に着脱自在に固定されている。
図7から明らかなように、トッププレート15の上面において、排気カバー78よりも前方から、後述する操作部93の後端までの広いエリアは、誘導加熱調理に利用される加熱調理エリア92である。この「加熱エリア」という意味は、その全域でIHコイル60L、60Rによって誘導加熱できるという意味ではなく、第1〜第2の調理器具62、90等を、加熱調理しない場合に一時的に任意の位置に置いたり、あるいは誘導加熱するために加熱口67L、67Rに置いたりできるという範囲である。ALは、この加熱エリア92の前後方向の長さ、すなわち奥行寸法を示している。
図7から明らかなように、加熱エリア92の前後方向中心線CL2の真下に、前記の2つのIHコイル60L、60Rの各中心部、言い換えると加熱口67(67R、67L)がそれぞれ位置している。なお、2つのIHコイル60L、60Rの設置高さは同一である。言い換えると、トッププレート15の下方において、同一の水平面上に配置されている。
図7において、破線で示した横長の長方形の部分は、前述した2つの排気口77である。この2つの排気口77の前後方向の幅WBは、例えば30mm又は40mmに全体で統一されている。言い換えると、右側の排気口77も、左側排気口77においても、その前後方向の幅WBは30mm又は40mmに形成されている。
図7において、WA1は、2つの排気口77の、それぞれの横幅寸法である。例えば、200mm〜250mmの範囲の中の1つの寸法である。
前述したように右側のIHコイル60Rの直径RRは、210mm、左側のIHコイル60Lの直径RLも、210mmである(図8参照)。
図7において、WA2は、2つのIHコイルの中心点を基準に計測したコイル相互間の間隔である。例えば、WA2は、300mmである。
WA3は、2つのIHコイルの外側縁同士を基準にして計測した横幅寸法(以下、「第1の寸法」という)であり、例えば、510mmである。
WA4は、右側の排気口77の右側縁から左側排気口77の左側縁までの最大横幅寸法(以下、「第2の寸法」という)であり、例えば、560mmである。この横幅寸法WA4は、トッププレート55の最大横幅寸法598mm(又は600mm)の約93%以上に相当する。
図7において、CUは、本体8Aの内部空間を冷却する冷却ユニットである。
この冷却ユニットの外郭ケース107は、電気絶縁性のプラスチック材料から形成された上蓋部115(図10参照)と、これの下側に組み合わる下側部116と、から構成されている。
下側部116も、電気絶縁性のプラスチック材料から形成されている。この冷却ユニットCUの後方には大きな開口があり、その開口の後方に密着するように前記第1の送風機BM1が配置されている。
図7と図9において、93は、前記トッププレート55の前方側上面に形成された操作部であり、以下述べるように、使用者が指等で軽く押した時に入力できる方式の各種入力スイッチの入力キー(操作面)を、横方向に一直線状に配置している。
この実施の形態1の操作部93は、右操作部93Rと左操作部93Lの2つを備えている。
右操作部93Rと左操作部93Lは、プリント基板(図示せず)上に設置され、使用者が上部の入力キー(操作面)を押し込むことで電気回路の接点を閉じる小形のスイッチを3個ずつ並べて設置している。そのスイッチは、例えば「タクタイルスイッチ」と呼ばれるものであり、入力キー(操作面)を押すとオン、離すとオフになる「モーメンタリ動作」をする。この操作時には、使用者は押圧した感触を受けるようなスイッチ機構を備えている。
図7において、WFは、前記操作部93の前後方向の幅であり、左右方向全体に亘り、同じ寸法になっている。
なお、タクタイルスイッチ等の機械的スイッチではなく、使用者が指等で軽く触れた時の静電容量の変化を利用して入力できるタッチ方式の各種入力キーでも良い。
右操作部93Rには、以下の通り3つのタクタイルスイッチ(図示せず)の操作をするための入力キー96R、96M、96Lを配置してある。これら3つの入力キーを総称するときの符号は「96」を用いる。
3つの入力キー96は、1つ又は複数の入力機能が割り当てられている。例えば、誘導加熱時の火力(消費電力)を減少させる入力キー96Lは、天ぷら等の自動調理を行う場合の、食用油の設定温度を下げるキーも兼ねている。
また、右側の入力キー96Rは、誘導加熱時の火力(消費電力)を増加させる入力キーであるが、天ぷら等の自動調理を行う場合の油の設定温度を上げるキーも兼ねている。
さらに、中央の入力キー96Mは、右側の加熱口67Rの運転を選択するためのものであり、主電源スイッチ95の操作ボタン94を押したあと、この入力キー96Mを押すと、右側の加熱口に対応している右IHコイル60Rで誘導加熱が開始され、また同時に、排気装置9に対して所定の運転開始指令信号が(後述する)赤外線発光素子154から発信される。
なお、誘導加熱を一時的に停止するための専用のキーや、加熱調理のメニュー、例えば湯沸かし、揚げ物、煮物等の何れか1つを選択できるキーを、更に追加しても良い。
左操作部93Lには、以下の通り3つのタクタイルスイッチ(図示せず)の操作をするための入力キー97R、97M、97Lを配置してある。これら3つの入力キーを総称するときの符号は「97」を用いる。
3つの入力キー97は、1つ又は複数の入力機能が割り当てられている。例えば、誘導加熱時の火力(消費電力)を減少させる入力キー97Lは、天ぷら等の自動調理を行う場合の、食用油の設定温度を下げるキーも兼ねている。
また、右側の入力キー97Rは、誘導加熱時の火力(消費電力)を増加させる入力キーと、天ぷら等の自動調理を行う場合の油の設定温度を上げるキーを兼ねたものである。
さらに、中央の入力キー97Mは、左側の加熱口67Lの運転を選択するためのものであり、主電源スイッチ95の操作ボタン94を押したあと、この入力キー97Mを押すと、左側の加熱口67Lに対応している左IHコイル60Lで誘導加熱が開始され、また同時に、排気装置9に対して所定の運転開始指令信号が(後述する)赤外線発光素子154から発信される。
なお、誘導加熱を一時的に停止するための専用のキーや、加熱調理のメニュー、例えば湯沸かし、揚げ物、煮物等の何れか1つを選択できるキーを更に設けても良い。
図7に示すように、前記右操作部93Rの横幅寸法は、右IHコイル60Rの外形(直径)寸法に近い寸法である。また左操作部93Lの横幅は、左IHコイル60Lの外形寸法に近い寸法である。つまり、左右の操作部93L、93Rは、左右のIHコイル60L、60Rの外形寸法(210mm)に近い長さである。
前記右操作部93Rと左操作部93Lの間は、例えば横幅WXの間隔がある。WXは例えば180mm〜200mm程度である。
図7において、68Rと68Lは、前記赤外線発光素子154からの運転開始指令信号(赤外線信号)が通過する通信用窓である。これら一対の通信用窓は、後述する表面カバー36に形成されている。その位置は、図7に示すように、中心線CL1を挟んで互いに対称的な位置である。
前記2つの通信用窓68R、68Lは、前記主電源スイッチ95の操作ボタン94を挟んでその左右両側に配置されている。操作ボタン94から直線距離で30mm以上離れていることが望ましい。なお、通信用窓68Rと68Lは、口径が数mm以下と小さいが、水や異物が入ることを防止するため、透明なプラスチックやガラス等で密閉されている。
図7において、94は、後述する制御装置143に商用電源142(図17参照)を供給することと、遮断することができる主電源スイッチ95の操作ボタン又は操作キーである。以下、この実施の形態1では、操作ボタン又は操作キーを総称して「操作面」と呼ぶ。
前記主電源スイッチ95は、電源の投入・遮断を行う重要な部品であるので、機械的なスイッチが用いられており、使用者が指先で前記操作面94を数秒間に亘り押し下げていた場合、初めてON動作をする。つまり、操作面94への瞬間的な接触では、主電源が投入されないようになっている。
左IHコイル60L及び右IHコイル60Rと、収納室70との位置について説明する。図8に示すように、収納室70は、前記右IHコイル60Rの真下の位置を避けてそれよりも左側の範囲にある。図8で収納室70の外形は破線で示している。
これは、右IHコイル60Rからの磁気的な影響を極力減らすことと、冷却ユニットCUと収納室70との間を隔離する空間が必要であることが主な理由である。なお、この図8とは左右逆にし、冷却ユニットCUを左側に配置し、収納室70は、前記左IHコイル60Lの真下の位置を避けてそれよりも右側の範囲に配置しても良い。
この実施の形態1では、調理の種別(以下、「調理種別」という)に応じて排気装置9の運転条件を決めている。調理の種別は、調理メニュー(「調理モード」ともいう)によって変化するので、「調理メニュー」の例について以下の通り説明する。
(湯沸かし)
湯沸かしでは、操作部93で使用者が設定した火力(例えば1kw)にて制御装置143が(選択された)IHコイル60Lに高周波電力を印加するように指令すると、温度検出回路144が被加熱物(例えば、鍋など)の温度を、トッププレート55の下方から赤外線式温度センサーによって1秒間隔単位で計測し、監視する。
制御装置143は、予め設定している目標温度(例えば、98℃)に向けて加熱を実施し、温度検出回路144から送信された最新の温度の情報が、目標温度(例えば98℃)になった場合、沸騰したものと判断して、IHコイル60Lへの通電を停止し、また音声合成報知部145により、沸騰したことを知らせる報知を行う。
次に、制御装置143は、温度検出回路144から取得した最新の温度の情報が、上記の目標温度よりも低い保温温度(例えば95℃)となるように加熱の停止と開始とを繰り返す。又は火力を下げて(例えば100W)で連続通電する。
このように、保温温度で維持している間に使用者より加熱停止や火力変更の指令が入力された場合は「湯沸し」モードから抜けて「通常加熱」のモードにて加熱を行うことになる。一方、使用者からの指令が入力されず、一定時間(例えば10分)経過した場合は加熱を停止し、音声合成装置145により終了の報知を行う。
(揚げ物調理)
揚げ物調理(「揚げ物調理モード」ともいう)とは、食用油を金属鍋等の被加熱物に入れて行う調理であり。通常は、その油の量を所定量以上にし、油の温度を管理して行うことが好ましく、この実施の形態1では、油の温度が、揚げ物調理モードで設定されている温度(例えば180℃や200℃など)まで、短時間で上昇させるようにIHコイル60L、60Rの火力を制御する「自動揚げ物」メニューを有している。
天ぷらやコロッケの解凍等がこの揚げ物調理の1種である。油煙の発生が最も多い。
(煮込み調理)
煮込み調理は、野菜や肉などの被調理物(食材)を被加熱容器に入れ、水や調理液等とともに、煮崩れしにくい温度である60〜70℃で数分間以上に亘り維持したあと、100℃近傍温度まで食材を加熱して、その状態にある時間維持することにより、野菜が煮崩れせず、肉が柔らかく煮込まれた料理となるものである。
(茹で)
野菜や蕎麦、うどん等を茹でるときの調理メニューである。湯沸しモードと同様に、加熱初期は水量に対して最適な加熱制御が可能となり、また、略90℃を超えた段階で、例えば98℃以上の温度で保温状態を維持する。その後、茹でる食材を投入して、湯の温度低下が得られた場合には98℃程度の温度を維持して加熱を行う。なお、この実施の形態1では、蕎麦やうどん等を投入してからの「吹き零れ」対策のため、IHコイル60L、60Rの通電方法を、強・弱変化させ、又はオン・オフ(間欠的加熱動作)させて加熱継続し、お湯の温度を97℃程度に維持して、吹き零れがしにくい温度で一定に保つことできる。
(通常加熱)
操作部93で使用者が設定した火力(例えば1kw)にて制御装置143が(選択された)IHコイル60Lに高周波電力を印加するものであり、湯沸かしのような目標温度(例えば、98℃)になった場合、IHコイル60Lへの通電を停止したり、その目標温度付近(例えば、95℃)で温度を維持するように火力を自動調整したり、間欠加熱運転をしたりする制御は行わない。なお、温度検出回路144による過熱防止のための温度監視は行われる。なお、加熱開始後に、上記火力は使用者が操作部93(例えば、入力キー96L)によって調節できる。
図7において、98は、前記制御装置143に対して外部(統合管理装置10)への無線通信を要求するインターネット接続指令用の押圧式入力キーである。99は、前記制御装置143に対して、前記第1の調理器具62の存在結果を要求する確認指令用の押圧式入力キーである。これら2つの入力キー98、99の動作については後で詳しく説明する。
図7において、トッププレート55の前方中央部には、透明の表示窓55Aがあり、その近傍で真下には長方形状の表示画面91が配置されている。その表示画面は、例えば液晶表示画面である。この表示画面には、前記操作部93の操作結果が文字や記号等で表示されたり、あるいは前記制御装置143で検知した各種機能部品の動作状況等が表示されたりする。なお、この表示画面は、前記主電源スイッチ95の操作ボタン又は操作キー94を、ONにした以降、前記制御装置143の指令によって表示動作が開始される。なお、表示窓55Aは、トッププレート55の下面全体に施した可視光線を透過しない遮蔽層(塗装による膜)を、部分的に除去し、又は最初から形成しないことによって形成されている。
図9、図10において、100は、本体ケース53の内部を上下に区画する金属製の水平仕切板であり、その右側部分には、大きな開口101(図8参照)が形成されている。この開口は、右IHコイル60Rに対して、第1の送風機BM1から送られた冷却風が通過するために設けてあり、その右IHコイル60Rの真下にある。なお、上記した「上下に区画する」との意味は、本体ケース53の左右横幅全体に亘り、完全に上下に仕切るというものはない。これについては図9で説明する。この水平仕切板100は、第1の隔壁と呼ぶ場合がある。
102は、同じく金属製の水平仕切板100の右側の前方部に形成した開口である。この開口は、左IHコイル60Lに対して、第1の送風機BM1から送られた冷却風を分岐させて供給するために設けてあり、前記開口101の前方に形成されている。103は、水平仕切板100の後方を前後に区画し、排気口77に連通する排気風路104を形成する金属製の後部仕切板である(図12参照)。
前記排気風路104は、主に本体8Aの内部空間を冷却する空気が流れるため「冷却風路」と呼ぶ場合がある。
図8において、105は、後部仕切板103の後方を左右2つに区画する金属製の中央仕切板であり、これにより排気風路104の終端部が、左側の窓104Lと、右側の窓104Rに分割される。後部仕切板103は、水平仕切板100の後部に固定され、外枠54を下方向から支えている。
図8において、117は、インバーター回路基板であり、前記冷却ユニットCUの内部に水平に設置されている。インバーター回路基板117の上には、2つのインバーター回路120L、120R(図17参照)毎に、電力制御用回路素子149(図10参照)及びそれら電子部品が取り付けられた2つの放熱用フィン(「ヒートシンク」ともいう)118等が実装されている。回路素子149には、インバーター回路120L、120Rとしてスイッチング動作する絶縁ゲートバイポーラ・トランジスタ(IGBT)やこれに逆並列接続されたフリーホイール・ダイオード(FWD)等の駆動部品が含まれている。放熱用フィンは、IGBTの放熱性能を高めるための部品である。
図8において、符号110の矢印は、第1の送風機BM1から送られた冷却風の流れを示すものである。符号111(111R、111L)の矢印は、更に下流側における冷却風の流れを示すものである。
次に図9について説明する。
112は、前記水平仕切板100によって、本体ケース53の内部に区画形成された下部空間である。水平仕切板100の上方には、上部空間113が区画形成される。上部空間の天井は、トッププレート55が構成する。下部空間112の右側には、金属製の薄い板から形成され、垂直に立っている第2の隔壁114(図10参照)があり、これにより左右に仕切られている。この仕切られた右側には、前記冷却ユニットCUが配置されている。
図9において、70Hは、左右に1枚ずつ配置された金属板製の側面壁70L、70Rの後端部と、金属板製の底面壁70Bと前記天井壁70Tの後端部とに、それぞれネジ止めや溶接によって取り付けられた背面壁である。
次に図9、図10において、70は、前記収納室である。この収納室70は、その全体が例えば複数枚の薄い金属製板を箱状に結合して形成されている。70Tは、その収納室70の天井面を形成する天井壁で、例えば、鋼板やステンレス板で形成されている。
以上のように、上下・左右・背面の5面が、それぞれ壁70T、70L、70R、70B、70Hによって囲まれることで、前記収納室70が完成している。なお、図10において、HS1は、前記底面壁70Bの上面から天井壁70Tの下面までの距離を示す。また、HS2は、前記トレイ72の底面壁72Bの上面から天井壁70Tの下面までの距離を示す。
次に図9に戻り、1つの誘導加熱部(加熱口67)について説明する。
前記左IHコイル60Lは、コイルベース69と、フェライト(図示せず)と、防磁リング(図示せず)と、を有している。
コイルベース69は、1つのIHコイル(左IHコイル)を一体的に保持している。具体的には、コイルベース69は、中心部に円形の窓を有し、その窓を中心にして放射状に6本〜10本程度の腕を有している。さらにこの腕の周囲は大きな透孔69Aが形成されている。つまり、コイルベース69自体は上下方向に通気性に富む構造である。このようなコイルベース69は、例えば(日本国)実用新案登録第3018751号公報等で提案されている。
コイルベース69は、高温度(350℃程度)でも変形しない耐熱性、電気絶縁性のプラスチックで一体に形成されている。コイルベースの下面には上述したフェライトが取り付けられており、また周囲には、防磁リングを配置している。
前記コイルベース32の下面と、水平仕切板100との間には、弾性支持手段として、圧縮バネ等の弾性体(図示せず)が設けてある。その弾性体は、コイルベース69を、トッププレート55の裏面(下面)に弾力的に押し付ける形で支持している。
再び図10について説明する。
下部空間112の右側は、前記第2の隔壁114によって左右に仕切られ、その隔壁の左側には横幅寸法がW2の左側空間が形成されている。隔壁の右側には横幅寸法がW3の右側空間が形成されている。この右側空間には、縦断面形状が正方形又は長方形の冷却ユニットCUが格納されている。冷却ユニットCUの内部には前後方向に大きな通風路が形成されており、その上流側に第1の送風機BM1が配置されている。
冷却ユニットCUの内部と、前記収納室70のある左側空間とは、空気の流れがないように構成されている。但し、前記収納室70のある左側空間に、第1の送風機BM1の冷却風の一部を分岐させて供給し、収納室70の周囲やその内部に供給して、収納室70を冷却するように構成しても良い。更に第1の送風機BM1とは別に、専用の送風機(第2の送風機)を設置し、それによって収納室70の周囲やその内部を冷却するように構成しても良い。
次に図11について説明する。
HBは、皿部63上面から蓋体64の下面との間隔で決まる、第1の調理器具62の有効高さである。
前記トレイ72には、その左右両側に一体的な凸部121が形成されている。その凸部121の外側には、滑動部品124が装着されている。この滑動部品124は、プラスチック製の支持板122L、122Rに形成された前後方向に水平に伸びた案内溝123に支持されている。滑動部品124は、金属又はプラスチック製である。
前記滑動部品124と案内溝123とによって、前記トレイ72は案内溝123に両側が案内されて、前後方向に軽い操作力を与えると簡単に移動可能である。
トレイ72は、平面形状が長方形であり、浅い容器状の受け皿形状である。そして、金属又はプラスチック材料から形成されている。例えばアルミニウム製薄板をプレス成型して形成している。この受け皿72の奥行寸法L1は、前記収納室70の奥行寸法L2よりも1cm程度小さいので、収納室70の内部に、完全に格納できる(図14参照)。
前記トレイ72を前方に引くと、前記滑動部品124が、案内溝123の内側を円滑に摺動し、トレイ72を軽い力で円滑に引き出すことができる。また後方に押し込む場合も同様にトレイ72は左右にある支持板122L、122Rによって円滑な移動ができる。
図11に詳細に示すように、前記左右一対の支持板122L、122Rは、収納室70の右壁面70Rと左壁面70Lの下部に、前後方向に長く(収納室70の奥行き寸法に合わせて)設置され、ネジ125によってその2つの左右側面壁70R、70Lに固定されている。一対の支持板122L、122Rの荷重は、収納室70の底面壁70Bが受ける。
126は、支持板122L、122Rの最も上端部に形成した段部であり、横方向に広がるように直角に屈曲した縦断面形状となっている。
63Eは、第1の調理器具62の皿部63の最も上端部に一体に形成されている蓋受け部であり、蓋体64を載せることができる。72Eは、トレイ72の左右両側に、トレイ72の中心から見て左右両方向へ突出するよう、一体に形成した段部である。
前記トレイ72の段部72Eは、図11に示すように前記支持板122L、122Rの段部126の真上に伸びているため、使用者がトレイ72を引き出す場合でも、そのトレイ72の両側に支持板122L、122Rは殆ど見えない。つまり、トレイ72の段部72Eは、機械的構造物である支持板122L、122Rを見えにくくし、意匠性を向上させている。
図11において、GPSは、トレイ72の底面と収納室70の底面壁70Bとの間に形成した空隙であり、この空隙の高さHPは、10〜20mm程度に形成されている。この空隙を過剰に大きくすると、前記トレイ72の底面壁72Bの上面から天井壁70Tの下面までの距離HS2(図9参照)、つまり有効高さを低くすることになるため、物品の収納性を低下させる懸念がある。
前記空隙GPSは、トレイ72と底面壁70Bとの間に空気の自然な移動を許容するように設けてある。トレイ72自体の機械的強度を上げ、トレイ72が平面度を保つように底面壁72Bに一体的にリブ127を形成している。なお、このトレイ72の下の空隙GPSを利用して冷却用や乾燥用の空気を強制的に流す構成を採用する場合、前記リブ127をそれらの空気流の案内板として兼用させるようにしても良い。
次に図12について説明する。
78は、図6でも説明したように排気口77の上に置かれた2つの排気カバーである。78Eは、排気カバー78の後端縁であり、この部分によって排気口77からの排気流(矢印111Lで示す)が図12に示すように後方へ向けられて放出される。
128は、排気カバー78の後端縁78Eの下側に形成された最終排気口である。なお、この最終排気口を前記排気口77と兼用させても良い。すなわち、排気カバー78を設けず、排気口77から居住空間3へ直接排気するようにしても良い。
103は、後端部が前記外枠54に固定された金属製の後部仕切板、129は、この後部仕切板の途中に形成した複数個の通気窓である。この通気窓は全て同一形状であり、上部空間112の後部に、左右方向に複数個が規則的に点在するように設けてある。この後部仕切板103は、前記水平仕切板100の後部に一体に形成したものでも良いし、別個に形成して水平仕切板100の後部にネジ止めや溶接等で一体化したものでも良い。
103Aは、後部仕切板103の後方水平部に形成した連通窓であり、外枠54に形成した排気口77と対応した位置に設けてある。なお、この連通窓103Aと排気口77との大きさと形状は、同じである。
130は、排気口77の真下に形成された水受け部であり、排気口77を介して水やごみ等の異物が入った場合、この部分で受けることにより、通気窓129を乗り越えて、水平仕切板100側へ水等の異物が侵入しないようにしている。この水受け部130は、前記水平仕切板100の後部を一体に凹ませて形成するか、又は別の金属製部品を設けて、これを水平仕切板100の後部に固定して設置しても良い。
130Aは、前記水受け部130の内側壁面で周囲が囲まれた屈曲空間部である。この屈曲空間部130Aは、本体ケース53の後部にあって、前記排気口77に至る排気風路104の末端部に形成されたものである。
屈曲空間部130Aでは、前記IHコイル60L、60Rを冷却した後の冷却風が、上方向に向きを変える。つまり、水受け部130の後側の内側壁面に通気窓129側から進行してきた冷却風が当たることになるので、図12に矢印111Lで示すように、冷却風は上方へ向きが変えられる。
次に図13について説明する。この図13は、全体の構成を簡略化して示したものである。2つの排気カバー78は実線での図示に代えて、破線で図示している。
カバー71を前方に引くと、前記トレイ72を収納室70の中から前方に引き出すことが可能であるが、この引き出し量を一定限度に制限した方が好ましい。トレイ72の中には、前記した第1の調理器具62を載せているため、必要以上に引き出すことを防止し、トレイ72の落下を防止する機構を備えているが、具体的には図示していない。しかし、トレイ72の後部に突起を設ける一方、収納室70の内側には、前記トレイ72をある限界位置まで引き出した際に、前記突起が当るようなストッパーを設けることで簡単に実現できる。
図13において、LDは、カバー71を前方に引いた場合の最大引出し量を示している。この最大引出し量は、前記第1の調理器具62を、トレイ72の上から持ち上げて、収納室70の挿入口73から外へ運び出せる寸法に設定されている。例えば25cmである。また、この図13に示すように、トレイ72を前方に一定限度まで引き出した状態でも、トレイ72は、略水平に支持される構成になっている。これは、トレイの左右両側に固定した滑動部品124が、収納室70の左右の側壁面70L、70Rに固定された一対の支持板122L、122Rに係合しているからである。図13に示しているように、第1の調理器具62の重量とカバー71の重量を、トレイ72が支え、そのトレイ72の総重量を、前記収納室70の左右両側面壁70L、70Rが支えるという形になっている。
図13において、131は、トレイ72の後部垂直壁に取り付けた永久磁石、132は、収納室70の後面壁70Bに設置した磁気感知スイッチ(リードスイッチ)である。
トレイ72が収納室70の最も奥の所定位置まで挿入されている場合、加熱調理器8の運転開始準備段階では、前記リードスイッチ132が、永久磁石131の接近を検知するからONを示す信号を出力することとなり、その検出信号は制御装置143に入力されるので、制御装置143では、カバー71が閉鎖されており、加熱調理を開始して良いと判断する。つまり、前記リードスイッチ132は、安全装置SDの一部を構成している。ここでいう「安全装置」は、前記制御装置143とリードスイッチ132の両者によって構成されていることが分かる。
図13において、SP1は、左側加熱コイル8Lの下面と金属製の水平仕切板100との間に確保された空隙を示し、少なくとも3〜5cm以上に設定されている。SP2は、前記水平仕切板100の下面と、収納室70の上壁面70Tとの間に形成された空隙であり、少なくとも1〜2cmに設定してある。
前記収納室70の上面壁(天井壁)70Tの位置は、この上壁面70Tが磁性金属製であるかどうかに関係なく、左IHコイル60Lから磁気的な影響を受けることを低減させるため、左IHコイル60との間隔が、最低でも5cm、好ましくは6cm以上離れた位置となるように設定されている。なお、収納室70の内部には、金属製のスプーンや鍋等が収納され、これらが誘導加熱される可能性があるため、上面壁70Tが仮にプラスチック製であっても上記のような空隙SP1、SP2を確保することが望ましい。
図13において、BS1は、前記後面板53Hと収納室70の背面壁70Hとの間に形成された空隙である。106は、この空隙を上下に区画して、上下の空間で空気が流通しないように水平に設けた仕切板である。そして本体ケース53の中の、仕切板106より下方空間に第1の送風機BM1が配置されている。
図13において、140は、厨房家具15の内部を上下に仕切る仕切板で、この仕切板の下方空間141は、物品の収納庫として利用される。157は、厨房家具15に設置された加熱調理器8の本体8A下面と、前記仕切板140との間に確保されている通路である。この通路の前方端は、カバー71と家具表面材80との間に形成される空隙GPUと、右カバー84と家具表面材80との間に形成される空隙(図示せず)を介して、加熱調理器8の前方側空間に繋がっている。前記通路157は、図6に符号109で示した冷却風の流れる通路となる。
図13において、93Lは、本体7Aの上面の前方側、すなわち調理時に使用者が接近する手前側に横に長く設けた左操作部である。図13に示すようにトッププレート55とは別の部材で構成されている。なお、トッププレート55を更に前方まで延長し、その最前端部に左操作部93Lや右操作部93Rを形成しても良い。この左操作部93Lの表面は、後述するように1つの帯状の表面カバー36で覆われている。
次に図14について説明する。
前記収納室70の挿入口73最前縁から、収納室70の背面を構成する背面壁70Hまでの距離(奥行寸法)L2は、例えば30cmである。この奥行寸法L2は、取っ手66を含めた第1の調理器具62の最大長さよりも大きく設定されており、第1の調理器具62はこの収納室70の中に、前後方向に挿入されて格納できる。
収納室70に取り出し自在に格納する物品として、第1の調理器具62が最も大きいため、この調理器具62の外形寸法を考慮して挿入口73の大きさを決定している。この収納室70に格納できる他の物品としては、例えば加熱調理器8に付属している取扱説明書や、調理後に特にトッププレート55の上面や操作部93の表面等の簡単な清掃をする洗剤、あるいは別の調理器具90(これに付属する蓋体があれば、その蓋体も含む)がある。
収納室70の底面壁70Bの上面から天井壁70Tの下面までの距離(高さ寸法)HS1は、摘み65までも含めた調理器具62全体の最大高さ寸法よりも十分大きく、例えば10cmである。更に挿入口73から奥側の壁面70Hまでの寸法は一定である。挿入口73の間口(横幅寸法)は、例えば20cmである。このため収納室70の平面形状は、挿入口73から後方に向かって細長い形、長方形になっている。
前記収納室70の挿入口73の大きさ(横幅と高さ寸法)は、前述した調理器具62の皿部63と蓋体64とを、重ねた状態のまま挿入できるように設定されているので、使用者が格納する場合、蓋体64と皿部63を分けたり、上下方向を変えたりする手間は必要なく、使い勝手が良い。
図14に示しているように、本体ケース53の底面部53Bにおいて、収納室70が設置できる範囲は、前方の挿入口73を基準にして所定の長さ53Kの範囲である。
図14において、BS1は、前記後面板53Hと厨房家具15の背面板15Uとの間に形成された空隙である。後述する第1の送風機BM1は、この空隙から冷却用の空気を吸引する。
図14において、133は、本体ケース53の前面で、前記挿入口73の真上位置に取り付けたシール材である。このシール材は、例えばシリコンゴム製等の弾力性に富む素材から形成されており、カバー71で挿入口73を閉鎖した場合、その手掛け部75の背面に先端が接触するようになっている。なお、このシール材133は、収納室70の挿入口73側を完全に気密状態に保つものでなくとも良い。すなわち、カバー71が閉じた状態で、収納室70は、挿入口73口縁とカバー71との間に、空気の流通を許容する程度の隙間(例えば数mm程度の空隙)があっても良い。
図14において、71Fは、前記カバー71の前面を示しており、この前面は、厨房家具15の中に加熱調理器8を組み込んだ場合、その下方に隣接して存在する扉又は引出し等の飾り板(家具表面材)80と、面一状態となる。言い換えると、加熱調理器8を組み込んだ場合、そのカバー71の前面71Fは、真上から見ると、家具表面材80の前面80Fと一直線上に並ぶ位置となる。そして家具表面材80と、カバー71とは、厨房家具15を前方から、あるいは斜め前方から見ても、統一された平面になっているような意匠感覚を使用者に呈することができる。なお、右カバー84の前面84Fの位置も、前記カバー71の前面71Fの位置と合わせてある。
図14において、USは、加熱調理器8を厨房家具15の中に組み込んだ場合、その本体ケース53の下方と前記仕切板140との間に形成された通路157の上下方向の間隔を示すものである。この間隔の通路157は、前記空隙GPUを介して居住空間3に連通しているので、第1の送風機BM1が運転された場合には、居住空間3の中の新鮮な空気は、空隙GPUを経由し、加熱調理器8に吸引され、最終的に排気口77から再び居住空間3に放出される。
次に図15について説明する。
36は、本体8Aの上面の前方端部を、所定の前後幅で覆うように設置された表面カバーであり、金属や硬質プラスチック等によって横長な帯状に形成されている。
表面カバー36の中央部は、後述する化粧カバー38が覆っている。
図15に示す縦断面図から明らかなように、表面カバー36の後端部には、前記トッププレート55の前端部が、シール用のパッキン等(図示せず)を介在させて密着しており、トッププレート55と表面カバー36との間から、水などが加熱調理器8の本体8A内部に浸入しないようになっている。
表面カバー36の左右中心部、言い換えると図7で示した前記中心線CL1の真下の位置には、円形等の透孔36Aが形成してある。
透孔36Aの中を貫通するように主電源スイッチ95の操作ボタン(操作面)94が垂直に配置されている。
38は、前記透孔36Aを塞ぐように、その上方に水平に設置された化粧カバーであり、電気絶縁性と弾力性を備えたプラスチック等で形成されている。化粧カバー38は、表面カバー36の上面に形成された凹部36Bの中に、接着剤又はネジ等で固定されている。化粧カバー38の、中央部から右側部分は前記右操作部93Rの表面を構成し、左側部分は前記左操作部93Lの表面を構成している。
使用者が、前記主電源スイッチ95の操作ボタン(操作面)94の上にある化粧カバー38を指で押し下げると、化粧カバー38自体が下方に若干湾曲し、主電源スイッチ95の操作ボタン(操作面)94を押し下げることになる。なお、操作ボタン(操作面)94が下方向に移動する距離は1mm以下である。言い換えると操作ボタン(操作面)は、前記化粧カバー38の下面に微小間隔をおいて対向している状態である。
37は、主電源スイッチ95の操作ボタン(操作面)94を取り付けた電気部品用支持板であり、電気絶縁性材料から形成されている。この支持板37は、本体8Aの中に水平に設置されている水平仕切板(第1の隔壁)100の前方端部100Fの上に支持されている。なお、53FFは、金属製の本体ケース53の前板53Fから一連に前方へ屈曲して形成されているフランジ部である。
91は、前述したように液晶表示画面等から構成された表示画面であり、周囲に設けた支持枠91Aによって、表示画面支持板74の上面に固定されている。この表示画面支持板74は、水平仕切板100の上面に設置されている。
なお、図示していないが、前記右操作部93Rと、左操作部93Lを構成する各種用入力キー(96R、96M、97R、97M等)の信号発生部となるスイッチ部は、前記電気部品用支持板37の右側と左側部分に、それぞれ実装されているが、右操作部93Rと、左操作部93Lを別の支持板の上に設置しても良い。
トッププレート55の前方端部は、図示していないが、前記外枠54に形成した腕部によって支持されているので、上方向から荷重が加わっても、トッププレート55が下方へ沈み込むようなことはない。
次に加熱調理器1の制御関係の構成について図17を参照しながら説明する。
95は、使用者によって開閉操作される主電源スイッチで、200Vの商用電源142に電源プラグ(図示せず)介して接続されている。94は使用者によって開閉操作される主電源スイッチ用の操作ボタン(操作面)、148は、この主電源スイッチ95を介して電気エネルギーが供給される電源回路、143は、この電源回路から所定の定圧電流が供給され、マイクロコンピューターを中心に構成されている制御装置である。
前記マイクロコンピューターは、入力部と、出力部と、記憶部と、CPU(演算制御部)の4つの部分から構成され、その記憶部には、各種調理メニューに対応した通電制御プログラムが予め記憶(格納)されている。また、前記マイクロコンピューターの記憶部(ROM、RAM)とは別に、異常監視情報を記録する大容量の記憶装置143Rを内蔵している。
誘導加熱調理中は、電気的な異常状態の有無の監視が制御装置143によって実施されている。そのために図示していないが、前記インバーター回路基板117には、複数の電圧計、電流計(電流センサー)等を備えている。さらに制御装置143は、温度検出回路144から温度情報を得て、加熱調理器8の主要な部分が異常な高温度になっていないかどうかを監視している。例えば操作部93や左右IHコイル60L、60Rが、所定温度を超えないように温度検出回路144を通じて監視しており、前記所定温度を超えた時点で「異常予備状態」にあると制御装置143によって判定される。さらにその温度より所定温度(数℃)を超えると危険度高まり、制御装置143は本当の異常状態と認定する。
この実施の形態1で、温度検出回路144の「測定対象物」とは、鍋等の被加熱容器に入れられた被調理物(食材や食用油等)、金属製の鍋やフライパン等の被加熱物(第1の調理器具62を含む)及びトッププレート55等を含む。
この異常予備状態では直ちに加熱動作は停止せず、本体ケース53の内部空間を冷却している第1の送風機BM1の送風能力を上げることで改善する。しかし更に温度上昇した場合にはその時点で異常状態と制御装置143によって判定され、直ちに加熱動作を停止するため、例えば、加熱動作中である右IHコイル60Rに高周波電力を供給しているインバーター回路120Rの電源供給を遮断する。
そして、少なくともこのような異常予備状態から緊急停止までの期間における加熱調理器8の主要な部分の電気的、物理的な変化状況を示す(異常監視)情報が、制御装置143の記憶部143Rの中に格納される。なお、記憶部143Rに記憶される異常監視情報は、主電源スイッチ95を入れた時点から取得開始され、調理を停止するまでの電気的、物理的変化の履歴が反映されたものとなる。そのため、その後選択した調理メニュー(例えば、「湯沸し」、「煮込み」、「揚げ物」など)や、誘導加熱の火力の情報も、時系列で記録される。途中で異常状態が原因で緊急停止した場合は、その時点まで異常監視情報が前記記憶装置143Rに保存されることになる。
前記インバーター回路基板117の中には、2つのインバーター回路120L、120Rが1つずつ内蔵されている。
インバーター回路120Lは、前記左IHコイル60Lに高周波電流を供給するためのものであり、共振コンデンサー等が接続された周知の共振回路に接続されている。
120Rは、前記右側のIHコイル60Rに高周波電流を供給するためのインバーター回路である。そしてこれら2つのインバーター回路120L、120Rは、前記制御装置143によって互いに独立して駆動されるようになっている。
145は、電子的に作成した音声を合成する音声合成装置であり、使用者に対する操作の案内や、異常発生の報知情報などを、スピーカー146から音声でその都度報知する。
144は、前記した温度検出回路である。この温度検出回路は、複数個の温度センサー(図示せず)が接続されている。
温度検出回路144は、2つのIHコイル60L、60Rによって加熱されるトッププレート55上の、第1の調理器具62の温度や、そのトッププレート55の温度、上部空間113の雰囲気温度、インバーター回路120L、120Rの温度、表示画面91等の温度を検知する。そして、それら温度検出結果を制御装置143に温度検出情報として随時送信する。前記温度センサー(図示せず)は赤外線センサーのような非接触型、あるいはサーミスタのような接触型の何れであっても良く、それらを単独で、又は組み合わせて使用している。
147は、リアルタイム・クロックとも呼ばれている時計回路であり、後述する主電源スイッチ95に繋がる電源回路148とは別の専用電源(内蔵電池)BT1から電源が供給され、長期間に亘って駆動されるようになっている。これは例えば電波時計でも良く、常に制御装置143から求めがあれば、現在の日にちと正確な時刻を秒単位で知らせるものであり、この加熱調理器8の製造段階で正しい日時にセットされている。従って、加熱調理器1の主電源を切り、その後再度主電源を投入しても、この時計回路の時刻情報は影響受けず、常に最新の正しい時刻を制御装置143に伝える機能がある。このため、前記制御装置143の記憶装置143Rに記録される異常監視情報も、常に正確な時間が同時に記録されて保存されることになる。
156は、地震発生時の揺れを検知する感振機器であり、所定の震度(加速度)以上を感知した場合、振動感知信号を前記制御装置143に送り、制御装置143ではその信号を受けて地震発生と判断し、使用中の全てのIHコイル60L、60Rの電源を瞬時に遮断する動作を行う。
150は、無線通信手段である。この無線通信手段は、加熱調理器8の本体ケース53に内蔵されたものでも良いし、後述するアダプター形式で加熱調理器8の電源回路148に接続したものでも良いが、この実施の形態1では、アダプター形式を採用している。
前記「アダプター」とは、加熱調理器8のような個々の家電機器とその電源との間に設けられる制御機器をいう。例えばここでいうアダプターとは、特開2011−205821号公報、特開2011−55623号公報に示されるようなアダプターをいい、電源プラグとコンセントを有し、そのコンセントに通電を制御すべき電気機器(この実施の形態1においては、加熱調理器8)を接続する。
そして電力指令信号をアダプターが無線通信によって受け取ると、制御すべき家電機器(加熱調理器8)の電源供給を制限し、又は遮断する。このように既存の家電機器(加熱調理器8)にアダプターを接続し、そのアダプターに、家庭内の総電力量を制限する電力制御装置(図示せず)から電力指令信号を送り、その信号によってアダプターが加熱調理器8を制御するので、既存の加熱調理器8にもアダプターを電源側に介在させることで、電力指令装置10によって消費電力を集中制御できる。
図7に示したように、操作部93には(図17では図示していないが)入力キー98がある。この入力キー98をタッチ操作すると、前記制御装置143は、無線通信手段150を介して、統合管理装置10に接続され、統合管理装置10を介して家屋1の外部空間にある通信回路網18に接続されて、情報プロバーダー等の外部機関が設置したサーバー19から、前記第1の調理器具62の使用に役立つ情報を取得する。取得した情報は、前記記憶装置143Rに格納される。また取得した情報は前記表示画面91で表示し、あるいはこの表示に加えて更に、音声合成装置145によってスピーカー146から音声で報知される。
図17において、158は、表示画面91を駆動するための駆動回路である。この駆動回路は前記制御装置143と接続されている。なお、この駆動回路158は、図示していないが、表示用メモリー、表示コントローラー、インターフェース、電源回路、コモンドライバー、およびセグメントドライバーを、それぞれ備えている。
図17において、151は、前記第1の送風機BM1のモータ152を駆動する駆動回路であり、前記制御装置143によって、運転が制御される。
155は、前記制御装置143によって発信が制御される発信部であり、赤外線信号を発信する。その赤外線信号は、排気装置9に対する各種運転情報を含めた指令信号である。例えば、加熱運転開始は01、調理メニューで「油調理」は02、「湯沸かし」は03、加熱運転停止は04、火力(運転強度)大は05の特定コードが指定されている。
また排気運転の強度で「中」程度を意味する「中運転モード」は06、同じく運転強度の「弱(小)」を意味する「弱運転モード」は07、というように個別の識別コードが指定されている。これら識別コードが前記指令信号に含まれる。
前記指令信号に、加熱調理時間の長さを示す情報を別の識別コードとして含めて良い。例えば、加熱調理時間30分は、30、45分は、45のようなコードで指定する。但し、この場合には、排気装置9側に時計回路等の時計機能が必要となる。
154は、信号を発する赤外線発光素子である。この赤外線発光素子は、少なくとも2つ設けてあり、前記発信部155からの信号を受けて、同時に赤外線(光)信号を発信するものである。
前記した2つの赤外線発光素子155は、2つの通信用窓68(図7参照)の下方に、1つずつ配置されている。その通信用窓68は、前記表面カバー36において、左操作部93Lと右操作部93Rとの間に、所定の間隔をおいて設けてある。
以上の構成であるから、次に加熱調理動作について説明する。
加熱調理器8の制御関係の構成について図17を参照しながら説明する。
まず、使用者が主電源スイッチ95をONすると、この主電源スイッチを介して電気エネルギーが電源回路148に供給される。そしてこの電源回路から所定の定圧電流が供給され制御装置143が起動される。
制御装置143は、温度検出回路144や、音声合成装置145、表示部駆動回路148を起動し、異常な温度状態が温度検出回路で検出されない場合で、かつ異常な電圧や電流が検出されない場合には、起動時の自己チェック動作を完了する。そして加熱調理開始できる旨を、前記表示画面91で表示し、かつ音声合成装置145は、スピーカー146を通じて報知する。
また同時に、制御装置143は、操作部93の各種入力キー96、97、98,99からの入力指令信号を待つ「待機状態」に入る。
そこで、収納室70のカバー71を手前に引出して、第1の調理器具62を取り出して、例えば図7に示すように、左IHコイル60Lの真上位置に置く。なお、第1の調理器具62は、皿部63だけでも誘導加熱調理に利用できるが、蓋体64を同時に使用した方が、被調理物(例えば、魚や肉等)が飛散せず、また熱気が逃げないので、加熱効率が良くなる。
制御装置143は、起動時の自己チェック動作を完了した後で、前記安全装置SDの一部を構成するリードスイッチ132が開放(OFF)されると、受け皿71が収納室70の最も奥の所定位置から引き出されたものであると判定する。その後、2つのIHコイル60L、60Rの何れかの上に、金属製の鍋等の被加熱物(第1の調理器具62を含む)が置かれたかどうかを、検知する(このような検知方法は既に各種方法が提案されているので詳しい説明は省略する)。
制御装置143は、左IHコイル60Lか、又は右IHコイル60Rの上に第1の調理器具62があることを検知すると、表示画面91と音声合成装置145によって、加熱調理の条件を操作部93からインプットするように、使用者に促す。
左IHコイル60Lの上に、第1の調理器具62が置かれている場合、左側の操作部93Lにある、3つの入力キー97を操作すれば、加熱調理が開始される。
実際には、入力キー97Mにタッチすれば、インバーター回路120Lが制御装置143によって駆動され、左加熱口67Lでの誘導加熱が、所定の火力で開始される。この後、火力を調節するのは別の入力キー97L、97Rをタッチ操作すれば良い。
このような誘導加熱調理の実行前でも、また実行中、実行後においても、操作部93にある入力キー98を操作すると、前記制御装置143は、無線通信手段150を介して、統合管理装置10から通信回路網18に接続し、サーバー19から、前記第1の調理器具62の使用に役立つ情報をリアルタイムで取得し、取得した情報は、前記記憶装置143Rに格納される一方、表示画面91で表示し、あるいはこの表示に加えて更に、音声合成装置145によってスピーカー146から音声で報知されるので、使用者は、第1の調理器具62を使用する場合、外部の有益な情報を利用でき、便利である。例えば、左加熱口67Lにおいて魚を焼く場合には、左IHコイル8Lの火力について知ることができる。
このような加熱調理の実行中、使用者が任意のタイミングで加熱動作を停止できるが、その停止指令は、前記入力キー97の1つで行える。例えば、加熱調理開始後、入力キー97Mは、入力機能が直ぐに変更され「加熱動作停止」に切り替わる。そのため入力キー97Mにタッチすれば直ぐに調理は停止できる、または、緊急時には、前記主電源スイッチ95の操作キー94を押すことでも簡単に自動停止を行える。
加熱調理を終えた第1の調理器具62は、図13に示すように、収納室70のカバー71を手前に引出して、受け皿72を収納室70から前方に引き出し、次に、その受け皿72の上に第1の調理器具62を載せれば良い。仮に第1の調理器具62が、まだ加熱調理の直後であって温度が高くとも、受け皿72は金属や耐熱性のプラスチックで形成されているので、何ら支障はない。
制御装置143は、前記安全装置SDの一部を構成するリードスイッチ132がONされると、受け皿72が収納室70の最も奥の所定の位置に戻されたことを検知する。この状態は、カバー71が挿入口73を閉鎖した状態でもある。そこで収納室70は、外部との空気の連通がない閉鎖空間に戻ったことになるので、前記したように、まだ高温度の第1の調理器具62の影響で、収納室70の内部雰囲気の温度が上昇することが想定される。
この実施の形態1では、このような温度上昇も考慮して収納室70を設計してあり、本体ケース53の外郭温度やカバー71の表面温度を所定温度以上に上げることはない。なお、実際には調理に使用して食品や調味料等の付着で汚れた第1の調理器具62を、その使用直後にそのまま収納室70に格納することは想定し難い。実際は一旦清掃や洗浄等を行って、冷えた後で第1の調理器具62が収納室70に格納される。
収納室70の内部雰囲気の温度上昇を抑制する対策の1つとして、収納室70の背面や天井面等に通気孔を設け、収納室70を上部空間113又は排気口77と連通させても良い。その場合、更に積極的に空気で冷却するならば、第1の送風機BMの冷却風の一部が収納室70の内部に導入され、またそこから排出されて、最終的に収納室70の熱気が、前記排気口77(図13参照)からの排気流と同様に、本体ケース53から外部へ放出されるようにしても良い。
以上の説明では、第1の調理器具62を使用して加熱調理をした場合であったが、その他の一般の金属鍋やフライパン等の調理器具、すなわち前記した第2の調理器具90でも調理は可能である。
次に、前記制御装置143に対して、前記第1の調理器具62の存在結果を要求する確認指令用の入力キー99を操作した場合の制御装置143の動作について説明する。入力キー99が操作されると、収納室70の内部に第1の調理器具62があるかどうかを、制御装置143が検出する。そのために、収納室70には、第1の調理器具62がある場合と、無い場合を判別するセンサー、例えば、受け皿72の上の所定位置に第1の調理器具62があることを、磁気的又は光学的、あるいは重量で検知するセンサーを別途設けている。
前記カバー71が開放され、その後閉鎖されたことを前記リードスイッチ132で検知した場合、その開放前と後の磁気的、光学的又は重量(受け皿72を含めた重量で良い)の変化を判定して、比較的に重量がある(例えば、300g以上はある)第1の調理器具62の存在を検知している。第1の調理器具62がある場合、入力キー99を操作した時から直ぐに、その調理器具62の有無が、表示画面91で表示され、又は音声合成装置145で報知されるので、使用者は、例えば右IHコイル60Rの上で別の加熱調理をしている場合であっても、前記カバー71を前方に引き出さずに、第1の調理器具62の格納状態を直ぐに確認できるため、調理を中断する必要がなく、使用者には便利である。
次に、前記第1の送風機BM1による冷却風の流れについて、図8、図12、図13を参照しながら説明する。
インバーター回路120Lが制御装置143によって駆動され、加熱調理が実行されると、これと同期して制御装置143はモータ駆動回路151を起動し、第1の送風機BM1のモータ152を回転駆動する。
すると、本体ケース53の後部に多数設けた吸気口58から、第1の送風機BM1が加熱調理器8の外部から(図6に)矢印109で示すように吸気流を発生させる。
このため、飾り板84の下方に形成されている空隙GPUから、居住空間3の中の新鮮な空気が前記空隙GPUを介して、第1の送風機BM1まで吸引される。なお、このように空隙GPUを利用して吸気する形態にしているため、本体ケース53の上面に吸気口を設置することを省略でき、加熱調理器8の上面のデザイン性を向上させることが期待できる。
本体ケース53の外部の新鮮な空気が、第1の送風機BM1の吸込み口から吸い込まれ、冷却ユニットCUの内部へ強制的に送り込まれる。送り込まれた空気は、冷却ユニットCU(外郭ケース107)の内部を、後方から前方に進む過程で、前記インバーター回路基板117の表面を流れるから、電力制御によって発熱する回路素子117が実装されたアルミニウム製放熱フィン118を冷却しながら、冷却ユニットCUの天井面にある開口101に至る。
そして冷却用空気は、開口101から、その直ぐ上にある右IHコイル60Rに向かう。そして上部空間113にある右IHコイル60Rに衝突してその熱を奪う。そして冷却後の空気は後方に180度向きを変えて、後方にある排気口77に向かう。最終的には図8に矢印111Rに示すように、右側の通気窓129から排気口77を通過し、加熱調理器8の外部へ放出される。
一方冷却ユニットCUの前方まで進んだ残りの冷却風は、冷却ユニットの前方端部の天井面に形成した開口102から上方に吹き出され、図8に矢印110で示すように、左側に向かって進み、左IHコイル8Rに衝突してその熱を奪う。これによりこのIHコイル60Lが過熱されることを防止する。なお、左IHコイル60Lが駆動されておらず、加熱されていない場合でもこのような冷却風の供給は、加熱調理中に継続して行われる。
さらに左IH60Lを冷却した後の冷却風も、図8に矢印111Lに示すように、左IHコイル60Lの周辺から後方に向かって進み、最終的には排気口77から居住空間3の中に吹き出すことになる。
図12に示すように、左側コイル60Lと右側コイル60Rを冷却して、通気窓129に至った空気は、水平方向から一旦は上方向に向きを変え、排気カバー78の下側に形成されている緩やかな湾曲面に案内される。そして矢印111Lで示すように、排気カバー78の後端縁128から、斜め上方に向けて放出される。つまり、居住空間3を構成するキッチン等の垂直壁11の方向に吹き出されるが、この排気流は、従来のような肉や魚等の食材等を(グリル庫で)焙焼した後の煙や臭いを含んだものではないので、垂直壁11に油煙や食材の焼けた臭い等を付着させることはない。
次に上記したような、第1の送風機BM1からの空気流によって、収納室70の温度上昇が抑制されていることを説明する。
通常、IHコイル60L、60Rには、それらを支えるコイルベース69の周囲に防磁リングという漏洩磁束防止の手段が設けてあるが、左IHコイル60Lの直下にある収納室70の天井壁70Tが、真上の位置で誘導加熱している左IHコイル60Lの影響を受けて温度上昇する懸念がある。特に200V電源で、インバーター回路120Lを駆動し、特に大きな火力(例えば3000W)で加熱した場合には、左IHコイル60Lの下方にまで高周波磁界の影響を強く受けるので、最も近くにある金属製、例えば天井壁70Tが加熱されることにもなる。また水平仕切板100の温度が上がると、これと空隙SP2を介して天井壁70Tが接近している収納室70も間接的に温められる懸念もある。
そこで、この実施の形態1においては、左IHコイル60Lと水平仕切板100との間に空隙SP1(図13参照)を設けて、この空隙で水平仕切板100から収納室70側への断熱性を向上させることにした。この構成によれば、左側誘導コイル60Lの下方全体に冷却風が流れるので、その水平仕切板100の温度上昇が抑制される。
ところで、冷却ユニットCUから左側IHコイル60Lの下方に供給される冷却風は、インバーター回路120Lを冷却したものであり(左IHコイル60Lだけで誘導加熱している場合は、インバーター回路120Lだけが駆動される)、空気の室温を数℃〜10℃程度上げる程度であるので、左IHコイル60Lの真下まで到達した段階でも未だ温風にはなっていない。このため、水平仕切板100の温度上昇を抑制する効果が期待できる。
この実施の形態1においては、第1の送風機BM1は、2つのインバーター回路120L、120Rの何れか一方又は双方の駆動が制御装置143によって停止された後も、所定時間(例えば数分間から10分間程度)運転が継続されるように制御装置143の制御プログラムが設定されている。
IHコイル60L、60Rの加熱動作を停止させてから一定時間を経過した段階でも、温度検出回路144に温度計測結果を伝える複数の温度センサー(図示せず)が、冷却ユニットCUの内部の雰囲気温度、水平仕切板100の上にある上部空間113の内部部品(表示画面91を含む)、トッププレート55の温度等を個別に計測している。そして、所定の温度まで下がった段階になったことを温度検出回路144が判定しないまでは、前記制御装置143は第1の送風機BM1の駆動回路151に駆動指令を出しているので、インバーター回路120L、120Rの駆動が停止された後も、上部空間113の温度が十分に低下するまで第1の送風機BM1による冷却は継続される。
第1の送風機BM1は、インバーター回路120L、120Rの駆動停止後は、モータ76の回転数を落として省エネ運転に自動的に切り替わるようにしても良いが、後述する室内の空気質改善のために、更に所定の回転数を維持し、排気口77からの排気流を維持する場合がある。これについては後で説明する。
次に水平仕切板100と収納室70との間に形成した空隙SP2の意義について説明する。前記空隙SP2は、前記左側IHコイル8Lとの間隔が、最低でも5cm、好ましくは6cm以上離れた位置となるように設定されているため、上壁面70Tは左IHコイル60Lから磁気的な影響を受けることが殆どない。このため収納室70自体が誘導加熱される懸念はなく、またこの収納室70の内部に金属製の小物や鍋等が収納されても、それらを誘導加熱する懸念がない。そのため、金属製の物品と、温度上昇を避けるべきである調味料等が入ったガラス製容器等が、収納室70の内部に混在していても、それら調味料等を劣化させたり、変質させたりしてしまうという問題を回避できる。
(加熱調理器8の基本動作)
次に、加熱調理器8の加熱動作について、図19〜図20を参照しながら説明する。
図19に示したフローチャートは、加熱調理器8の基本的な動作ステップを示すものである。
まず、主電源スイッチ95の操作ボタン(操作面94)を使用者が押して、主電源を入れる(S1)。すると電源回路148を介して制御装置143に電源が印加され、制御装置143は、温度検出回路144から温度情報を得て、調理器の主要な部分が異常な高温度になっていないかどうかを自己チェックする(S2)。
このステップでは、電力指令装置を兼ねている統合管理装置10に対して、運転情報信号L1を発信する。発信は、無線通信手段150から行われる。
異常が発見されない場合、制御装置143は、表示画面91の表示部駆動回路148を起動する。そして表示画面91には、調理メニューを選択して調理を開始できることを表示する。これと同時に、音声合成装置145によって、表示画面91で表示した内容と同様な内容を音声で報知する(S3)。
その後、表示画面91には、左右のIHコイル60L、60Rの何れかの上方に金属製鍋等の被加熱物を載せて、使用者に加熱手段(加熱口67)の選定を促す文字を表示する(S4)。
この状態で、使用者が例えば右側操作部93Rの3つの入力キー96の内、1つのキー96Mをタッチすると、右の加熱口67Rが選択されたことになる。ステップS5では、右側操作部93Rで入力キー96Mが操作されたかどうかをチェックし(S5)、このステップが「Yes」のときは、ステップS7に進み、統合管理装置10に対して、運転情報信号L2Rを発信する。発信は、無線通信手段150から行われる。そして、右IHコイル60Rによる加熱調理のメニュー選択ステップS9に進む。
ステップS5が「No」であった場合は、ステップS6に進み、ステップS6では、左側操作部93Lで入力キー97Mが操作されたかどうかをチェックする。
このステップS6が「Yes」のときは、ステップS8に進み、統合管理装置10に対して、運転情報信号L2Lを発信する。発信は、無線通信手段150から行われる。そして左IHコイル60Lによる加熱調理のメニュー選択ステップS10に進む。
次に、左側操作部93Lで、左IHコイル60Lによる加熱調理が選択されたものと仮定し、以下説明する。
図20は、加熱調理のためのメニュー選択の過程を示す制御装置143のフローチャート図であり、制御装置143の中核を構成するマイクロコンピューターの動作プログラムで、制御動作が規定されている。
まず、表示画面91に調理メニューを文字(絵文字を含む)で表示する(S11)。この場合、「湯沸し」、「煮込み」、「揚げ物」、「茹で」の4種類を表示するものとする。この中で「揚げ物」は最初から食用油を使用する調理であり、他の3つとは区別されている。この理由はあとで説明する。
調理メニューが表示されている状態で、入力キー97が操作され、「湯沸し」、「煮込み」、「揚げ物」、「揚げ物」「茹で」の中から1つだけ選択すると、調理メニュー確定のステップS12となる。
制御装置143は次に、選択された調理メニューだけを表示画面に表示し、調理メニュー確定することを音声合成装置145によって音声で報知する。またこの調理メニューの選択結果を、前記統合管理装置10に対して、運転情報信号L3を発信することで通知する(S13)。発信は、無線通信手段150から行われる。
ところで、ステップS13において制御装置143は、調理メニューを特定する情報を前記運転情報信号に含めて送信するか、またはその送信直後に送信する。
この実施の形態では、「揚げ物」は001、「湯沸し」は002、「煮込み」は003、「茹で」は004という特定コードを生成し、発信部150から送信するが、このコード001は、排気装置9側では、揚げ物調理であると解読できるようになっている。これは事前に排気装置9と加熱調理器8の間の通信の規定が一致している場合(同じメーカで製造されている場合が多い)が好ましい。しかし、厨房家具15を設置した際に、最初に排気装置9と加熱調理器8との間で適合テストを実施し、連携動作をするように設置業者がメーカの据付工事説明書等に従って調整することでも良い。または1つの標準規格に準拠して排気装置9と加熱調理器8が設計されていれば、上記のような調理メニューの内容の判定が容易に可能である。
なお、排気装置9は、上記したような揚げ物調理であるかどうかを判定する機能が無くても良い。加熱調理器8側からの排気風量の指定情報を、排気装置9側で識別できれば良い。
次のステップS14において制御装置143は、選択された調理メニューの実行を許可する「許可信号」の到着を待つ。前記統合管理装置10は、加熱調理器8に対しては「電力指令装置」を兼ねているため、この家屋1の中で使用が許可されている最大消費電力量を計算する。つまり、空気調和機5のように、電力制限対象になっている他の電気機器EEの使用電力量と加熱調理器8で、選択された調理メニューを実行した場合の、消費電力量を計算し、1つのブレーカーBKによって許可された電力量を超過しないかどうか判定され、所定の余裕がある場合には、加熱開始許可信号が発信されるシステムになっている。
調理メニューが「揚げ物」であった場合は、使用する消費電力は最大2000Wであるため、この消費電力を加熱調理器8が電力指令装置(統合管理装置)10に要求する。
電力指定装置は、この消費電力を前提にしてこの家屋1の最大消費電力を計算する。但し、「揚げ物」を2種類設け、使用者が最大火力を選択できる「手動揚げ物」と使用者が最大火力を選択できない「自動揚げ物」の何れかを選択できるようにしても良い。この場合、前者は「予想最大消費電力は2000W」であると、統合管理装置10は判断し、また後者の場合は「予想最大消費電力は1800W」と統合管理装置10は判断する。
加熱調理器8は、「手動揚げ物」は最大消費出力を1800W、「自動揚げ物」は2000Wまでしか投入できないように制御装置143が自己の消費電力を制限する機能がある。そのため、調理メニューで「自動揚げ物」を選択した場合には、加熱調理器8から電力指令装置(統合管理装置)10に要求する最大電力は、2000Wと自動的に決定される。このため、仮に統合管理装置10側で、上記したように予想最大消費電力を判断する機能が無くとも良い。
この実施の形態1の加熱調理器8では、揚げ物調理の安全性を重視し、「自動揚げ物」しか選定できないように最初に設定してある。以下では「自動揚げ物」を前提に説明する。自動揚げ物を単に「揚げ物」と記載して以下説明する。
ステップS14において制御装置143は、選択された調理メニューの「許可信号」を統合管理装置10から受信した場合、次のステップS15に進む。
次のステップS15では、「自動揚げ物」の加熱調理動作を開始したことを示す運転情報信号L4を統合管理装置10に送信する。統合管理装置10は、加熱調理器8の運転開始を知り、消費電力の変化を把握する動作を行う。
そして左IHコイル60Lで加熱調理する場合は、インバーター回路120Lを駆動するため、左IHコイル60Lに高周波電力を印加する。なお、この調理開始と同時に、第1の送風機BM1が運転開始され、加熱調理器8の内部に冷却用の空気を導入する。
次のステップS16においては、前記加熱調理開始の時点からの経過時間を判定する。
この判定基準時間は、調理メニュー毎に決まっている。例えば、「自動揚げ物」と「揚げ物」は30秒、「湯沸かし」と「茹で」の場合は60秒である。
ステップS16において、「自動揚げ物」の場合の30秒が経過したら、「Yes」判定となり、次のステップS17に進む。
ステップS17では、制御装置143が発信部155に対して、排気運転の開始のための指令信号(制御信号)F0を排気装置9に向けて発信するように指令する。
具体的には、制御装置143は発信部155に対して、所定の赤外線信号を発信するように指令する。この指令信号を受けて発信部155は、2つの赤外線発光素子154から同時に赤外線信号を発信させる。その赤外線信号は、排気装置9に設けている受光部(図示せず)に対する排気運転の開始を求める指令信号(光信号)F0となる。
一方、被加熱物(第1の調理器具62を含む)等の温度を監視している温度検出回路144が、所定の温度T0(図23参照)を検知した場合、制御装置143は発信部155に対して発信指令を行い、赤外線発光素子154から排気運転の開始指令信号F0を発信させる。
この実施形態1では、上述のように、加熱調理開始の時点からの経過時間と、温度上昇の2つの面で加熱調理の工程の進捗を監視しており、何れか一方の条件が満たされた場合には、排気運転を開始する指令信号F0を発信する。このため、排気装置9の運転について信頼性、安全性が高い。
ところで、使用者は、最初に主電源スイッチ95の操作ボタン94を押して加熱調理を開始する場合、本体8Aの左右中心線CL1の前方位置に立って操作をする。このとき、この実施の形態1では、前記右操作部93Rと左操作部93Lの間に、200mm程度の横幅WXの空間(平面部)がある。そしてこの空間に主電源スイッチ95の操作ボタン94が配置されているから、使用者は手を伸ばせば直ぐ直前にある操作ボタン94を操作できる。
さらに操作ボタン94を押して主電源を投入した以降は、使用者はそのままの位置で、右操作部93R又は左操作部93Lの各種入力キー96、97を操作できる。
そしてこのような右操作部93R又は左操作部93Lの各種入力キー96、97を操作する過程では、操作ボタン94を挟んでその左右両側に配置されている通信用窓68R、68Lの上に手を伸ばす必要性は殆どないため、排気運転の開始指令信号(光信号)F0が使用者の手や腕等で遮られて、排気装置9の運転開始が指令されないという事態は招かない。
なお、排気運転の開始指令信号(光信号)F0は、短時間(例えば数秒以内)に数回発信されるようにして、確実な通信指令を行えるようにしても良い。
以上の説明から明らかなように、ステップS17で発信される制御信号(開始指令信号F0)は、排気装置9を「弱運転モード」で運転させるものである。そして図21のステップSA1に進む。
次に、図21について説明する。
図21は、加熱調理器8の制御装置143の動作を示すものである。以下、この図21を参照しながら、図20のステップS17以降の動作について更に詳しく説明する。
ステップSA1は、油調理のメニューが選定されて加熱調理が開始されたかどうかを判定するステップである。
油調理の場合は、このステップSA1は「Yes」になるので、次に統合管理装置10から加熱調理器8がある居住空間(キッチン)3の「環境情報」を取得する。
また、統合管理装置10から、空気清浄機7が運転中であるかどうかを示す情報を取得する(SA2)。なお、加熱調理器8が調理開始の後でその都度統合管理装置10に照会するのではなく、前記運転情報信号L4を受けた段階で、統合環境検知部16は加熱調理器8が油調理することを把握し、自動的に空気清浄機7の運転有無の情報を加熱調理器8に送信しても良い。
ステップSA3において、空気清浄機7が運転中であった場合には、ステップSA4に進み、統合環境検知部16に対して空気清浄機7の運転を停止するように要請信号を発信する(SA4)。
次に、被加熱物(第1の調理器具62を含む)等の温度を監視している温度検出回路144が、所定の温度T1(図23参照)を検知した場合、制御装置143は排気装置9に対して、赤外線発光素子154から排気運転の条件を変更する指令信号を発信する。ここで発信される指令信号をF1で示す。
この場合、「弱運転モード」から「中運転モード」に変更される。
次に、温度検出回路144が、所定の温度T2(図23参照)を検知した場合、制御装置143は排気装置9に対して、赤外線発光素子154から排気運転の条件を変更する指令信号を発信する(SA5)。ここで発信される指令信号をF2で示す。
この場合、「中運転モード」から「強運転モード」に変更される。すると排気装置9は電動ファン26Fの運転条件を変更し、図2に矢印FF1で示したように下方向から居住空間1の空気を、さらに強力に吸引して矢印FF2に示すように屋外へ排出する(SA5)。
前記制御装置143の動作プログラムでは、予熱工程において測定対象物の温度が、前記第1の所定温度T1よりも高い第2の所定温度T2を超えた場合に、第2の制御信号(指令信号)F2を発信させてから、揚げ物工程と火力アップ工程に進む。そして、この揚げ物工程と火力アップ工程の実行中において、前記制御装置143は「第2運転」モードから「第1運転」モードへの変更を行う制御信号を発信しない。このため、一旦「強運転モード」に変更されたあとは、「中運転モード」には戻さない。
加熱調理中は、排気装置9はそのまま「強運転」モードで運転継続されるので、加熱調理器8から上昇する水蒸気や食品が加熱された臭い等を含む温かい空気は、図2に矢印FF1で示したように上昇し、排気装置9に導入され、矢印FF3で示したように空気清浄機7の方向に流れない。また空気清浄機7は既に停止しているので、図2に矢印FF4で示したように、居住空間3の中で、加熱調理器3と最も遠い個所まで調理の熱気や臭い等が流れることはない。
開始した調理が制御装置143によって停止された場合、左IHコイル60Lへの高周波電流の供給が停止してから所定時間(例えば、3分又は10分)経過するかどうかの判定が行われる(SA6)。
この実施の形態1の排気装置9は、加熱動作終了した場合、その時点から3分(又は10分)経過するかどうかを制御装置143が監視し、3分(又は10分)経過した時点で、所定の終了指令信号が前記赤外線発光素子145から排気装置9の受信部(図示せず)に送信されるようになっている(SA7)。加熱調理器8側でこのような時間経過を計測せず、代わりに排気装置9側に例えば、トッププレート55側の温度を計測する熱起電力素子等の熱感知手段を設け、加熱調理器8の温度を計測し、その温度から加熱調理の終了を推測して排気運転を自動的に終了するようにしても良い。
この後、排気装置9が通信部23から統合管理装置10に運転終了の信号を無線送信するから、その信号を受けて統合管理装置10は、排気装置9が運転停止したことと、最新の環境情報とを、それぞれ加熱調理器8に送信する(SA11)。
そして空気が汚れており、空気質が悪いことが、統合管理装置10からの環境情報に基づいて制御装置143で判明(SA12)したときには、統合管理装置10に対して、空気清浄機7の運転開始を要請する所定の信号を発信する(SA13)。
なお、また排気装置9の運転完了後も、統合管理装置10の統合環境検知部16は、所定の時間間隔で居住空間の空気質を計測しているので、加熱調理器8がステップSA12のような動作を行わなくとも、必要に応じて空気清浄機7の運転を自動的に開始させる。このため、加熱調理器8として、ステップSA12を省略しても良く、加熱調理器8に必須ではない。
一方、前記ステップSA1で、油調理以外を開始した場合には、ステップSA8に進み、制御装置143は、その記憶装置143Rに記憶させてある居住空間3の環境情報を読み出し、空気が汚れているかどうかを判別する(SA9)。もし空気が汚れている場合には、ステップSA5に進み、制御装置143は、排気装置9に対して、赤外線発光素子154から「強運転」のモードで排気運転を開始するよう指令信号F2を発信する(SA5)。
ステップSA9の判定で、空気が汚れていないと判断された場合には、ステップSA10に進み、制御装置143は、排気装置9に対して、赤外線発光素子154から「中運転」のモードに排気運転を変更する指令信号を発信する。
そしてこれ以降は、前記したステップSA6に進むので、以後の説明を省略する。
この排気装置9の運転モードは、「強運転」モード、「中運転」モード、「弱運転」モードの3段階だけである。「中運転」モードとは、「強運転」モードよりも単位時間あたりの排気風量が小さく、「弱運転」モードよりも排気能力が大きい運転をいう。各運転モードにおいて、排気口77の開口面積が変化することは一切ないので、「弱運転モード」が、排気流の風速が最も遅い。
図22は、家電機器EEの代表的な加熱調理器8について、その電源投入から電源遮断までの全工程においての動作を示している。図22は、加熱調理器8から運転情報(調理メニューの実行や、火力の設定など)が随時、統合管理装置を兼ねた電力指令装置10に送信され、家屋1の総電力量の管理が行われている状況を示したタイムテーブルである。電力使用量の制限対象として使用者が事前に登録した他の電気機器EE、例えば空気調和機7においても、基本的にこの加熱調理器8と同じように運転情報信号を随時電力指令装置10に送信している。
図22において、L1〜L8が、加熱調理器8から電力指令装置10に送信される代表的な運転情報信号である。L1は、主電源投入(ON)を示す運転情報信号、L2は、加熱口を選択した運転情報信号である。左IHコイル60Lを選択した場合は、L2はL2Lとなる。
図22は、左IHコイル60Lによる左側の加熱口を選択した場合である。L3は、調理メニューを選択した運転情報信号であり、湯沸し、煮込み、揚げ物調理などの各種調理メニューの中から(自動)「揚げ物」を選択した場合を示す。
L4は、実際にインバーター回路120Lが駆動され、加熱動作が開始された運転情報信号を示す。L5は、所定温度T1を検知した運転情報信号を示す。L6は、図23に示す予熱工程の目標温度T2(例えば、180℃)(図23で説明する)を検知して、揚げ物工程が開始された運転情報信号を示す。
この加熱調理器8では、図23で説明するように、揚げ物調理工程から火力アップ工程までを「優先調理メニューの実行時間帯」と定義しており、この実行時間帯には外部からの操作や指令によって電力の削減が行われないようにしている。つまり、この加熱調理器8が実際に「優先調理メニューの実行時間帯」にあるかどうかは、この運転情報信号L6以後であるか(但し、次の情報L6を受信していない)どうかで判定される。
F0は、排気装置9の運転を開始する指令信号(光信号)である。F1は、排気装置9を「中運転」モードで運転する指令信号(制御信号)である。これら2つの信号は、発信部155によって赤外線発光素子154から排気装置9に向かって送信される。
この制御信号F0は、図20のステップS16で発信することが決まるものである。前述したように加熱調理開始の時点からの経過時間や温度上昇状態で判定される。
経過時間で判定するための基準時間は、調理メニュー毎に決まっている。例えば、「揚げ物」は30秒、「湯沸かし」と「茹で」の場合は60秒である。つまり自動揚げ物の場合は、運転情報信号L4の時点から30秒後に指令信号(制御信号)F0が発信される。また前述したように、この時間前に所定温度T0に到達したことが温度検出回路144によって検知された場合は、同様に指令信号(制御信号)F0が発信される。
なお、図22に示したように、前記制御信号F0が発信された場合に、統合管理装置10に対して、加熱調理器8の無線通信手段150から排気装置9の運転開始を求める特別な運転情報信号(運転推奨信号ともいう)(F0A)を発信させても良い。この信号は、仮に加熱調理器8からの制御信号F0が、何らかの障害によって排気装置9に届かなかった場合でも、統合管理装置10が排気装置9の運転を開始させることができ、排気装置9を含む排気システムの信頼性を向上させることが期待できる。
同様に、図22に示しているように、前記制御信号F1が発信された場合に、統合管理装置10に対して、加熱調理器8から排気装置9が「中運転」モードで運転されることを求める特別な運転情報信号(運転推奨信号ともいう)(F1A)を発信させても良い。この信号は、仮に加熱調理器8からの制御信号F1が、何らかの障害によって排気装置9に届かなかった場合でも、統合管理装置10が排気装置9の運転モードを変更し、「中運転」モードで運転させることができ、排気装置9を含む排気システムの信頼性を向上させることが期待できる。
また図22に示したように、前記制御信号F2が発信された際に、加熱調理器8は統合管理装置10に対して排気装置9の運転モードを、より大風量側に変更するように求める特別な運転情報信号(F2A)を発信させても良い。この信号は、仮に加熱調理器8からの制御信号F2が、何らかの障害によって排気装置9に届かなかった場合でも、統合管理装置10が排気装置9の運転を「強運転」モードに設定させることができ、排気装置9を含む排気システムの信頼性を向上させることが期待できる。
L7は、実際にインバーター回路120Lの駆動が停止され、左IHコイル60Lにおける加熱動作が終了した情報を示す。L8は、主電源スイッチ95が開放(OFF)されたことを示す情報である。これら各情報L1〜L8には、その現在時刻が秒単位まで含まれている。
図22から明らかなように、加熱調理器8の電源投入から電源遮断までの全工程においては、運転情報信号L1〜L4の間及び「優先調理メニューの実行時間帯」を除いた時間帯では、前記電力指令装置10からの電力削減要求に従って電力削減運転に対応することが可能である。信号L1〜L4の間は、調理メニューの実行が確定していない段階であり、電力削減を行わないに予備期間として指定している。但し、このL1〜L4の期間は、実質的に加熱動作が開始されておらず、使用電力も小さいので、このL1〜L4の期間を電力削減対象期間にしても、電力削減効果は殆ど期待できない。
従って、例えば前記したように「優先調理メニューの実行時間帯」に定義されていない「湯沸し」の工程では、何時でも電力削減要求に応じて電力を削減できる。言い換えると、調理メニューとして「湯沸し」を実行する工程で、加熱動作が開始されていても何時でも電力指令装置10は、加熱調理器8の消費電力の削減は可能である(停止も可能である)。
図22において、FEDは、加熱調理器8から排気装置8に対して発信される赤外線信号(制御指令信号)であり、排気装置8の運転を終了させることを指令するものである。なお、この制御信号(指令信号)FEDを受けた排気装置8は、当該信号FEDを受けた時点からの経過時間を計測し、所定時間(例えば、3分又は10分間)だけ排気運転を継続し、その後自動停止するものであっても良い。つまり、この実施の形態1でいう排気装置8の停止の制御信号FEDは、排気装置9の電動ファン26Fを、即時に停止させることまでを指令することに限定したものではない。電動ファン26Fの停止するタイミングは、排気装置9側で、自動的に決定しているものでも良い。例えば、加熱調理器8側の熱気を、赤外線センサー等で感知させ、その検出温度が下がるまでは排気運転継続し、その後、自動停止するという方法を採用しても良い。
図23は、調理メニューとして(自動)「揚げ物」を選択した場合において、「優先調理メニューの実行時間帯」を実行している状態を示したタイムテーブルである。この図23において、T2は、使用者が設定した予熱温度であり、例えば180℃である。T1は、前記排気装置9の「中運転」モードで運転開始することを決める温度であり、例えば100℃である。T0は、前記排気装置9の「弱運転」モードで運転開始することを決める温度であり、例えば80℃である。
インバーター回路120Lは、予熱温度T2を検知すると制御装置143によって火力が自動調節され、その予熱温度を維持するような動作を行う。
前記温度検出回路(温度検知装置)144によって、被加熱物(金属鍋)の温度が使用者の設定した予熱温度(T2)を検知する前に、それより低い温度(T1)になったことを、制御装置143が検知できる。
すると既に前記所定温度T1よりも低い温度T0(例えば80℃)の段階で、加熱調理器8から指令信号(制御信号)F1を発信し、排気運転を「中運転」モードから「強運転」モードに変更する。
つまり、制御装置143は、図22に示すように、予熱温度検知したことを示す運転情報信号L6が発信される前(図21に示したステップSA5の段階)に、排気装置9の運転を最大の能力の「強運転」モードで開始する指令信号F2を出すことができる。
そして運転情報信号L6の時点から「優先調理メニューの実行時間帯」が開始される。従って、この実行時間帯には外部からの操作や指令によって電力の削減が行われない。仮に、この「優先調理メニューの実行時間帯」において不意に火力が落とされた場合、予熱温度を維持できず、使用者が所望の温度になっていると考えて調理(例えば、冷凍コロッケを油で揚げる)を開始した場合、天ぷら鍋の温度が例えば140℃にあると、温度が低くて調理が出来ない、という事態を招く可能性がある。
実施の形態1の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態1の加熱調理器8は、第1の発明の構成を備えていた。
すなわち、この実施の形態1における加熱調理器8は、特に図7から明らかなように、
厨房家具15の所定位置に支持される本体8Aを有し、
前記本体8Aの上面に被加熱物が載置されるトッププレート55を備え、
前記本体8Aを左右均等に2分する前後方向の中心線CL1を挟んだ左右両側に、前記トッププレート55の下方から前記被加熱物を加熱できる加熱部67(67L、67R)をそれぞれ配置し、
前記本体8Aには、主電源スイッチ95を介して通電が制御される制御装置143と、当該制御装置143によって前記本体8A外部の排気装置9へ指令用光信号を送信する発信部155と、を備え、
前記本体8Aの上面には、前記2つの加熱部67よりも前方側に、当該加熱部67毎に操作部93L、93Rを有し、
前記操作部93L、93Rの間には、前記主電源スイッチ95の操作面94を配置し、
さらに前記発信部155からの指令用光信号が通過する通信用窓68(68R、68L)を、前記主電源スイッチ95の操作面94を挟んで、その左右両側に配置していることを特徴とする構成である。
この第1の発明の加熱調理器によれば、左右の加熱部67毎に設けてある操作部93L、93Rの間に、主電源スイッチ95の操作ボタン(操作面)94があるから、左右の加熱部(加熱口)67の何れを使用する場合でも、使用者が主電源スイッチ95を操作し易い。
また発信部155からの指令用光信号が通過する通信用窓67が、主電源スイッチ95の操作面94を挟んで、その左右両側に配置していることから、左右の加熱部67の何れの操作部93L、93Rを操作する場面でも、指令用光信号を不用意に遮ることを少なくでき、外部の排気装置9に対する運転指令を確実に行わせることが期待できる。
さらに、実施の形態1に示された本発明の空気排出システムは、以下の構成で実現されていた。
すなわち、
食品等の被調理物を加熱しない冷却風を本体8Aの内部空間に強制的に供給し、本体8Aの後部に設けた排気口77から室内空間に放出する加熱調理器8と、
前記加熱調理器8を所定の位置に固定させた厨房家具15と、
前記厨房家具15の上方に設置され、前記加熱調理器8側で発生した熱気を当該空間外へ排出する排気装置9と、を備え、
前記加熱調理器8は、その本体8Aの上面に2つの加熱部(加熱口)67(67L、67R)と、この加熱部よりも前方側に、当該加熱部67毎にそれぞれ設けた操作部93L、93Rと、前記排気装置9へ運転指令信号を送信する発信部155とを備え、
前記操作部93L、93Rの間には、前記加熱調理器8の主電源スイッチ95の操作ボタン(操作面)94を配置し、
さらに加熱調理器8の上面には、前記発信部155からの指令用光信号が通過する通信用窓68を、前記主電源スイッチ95の操作面94を挟んで、その左右両側に配置し、
前記排気装置9には、前記発信部155からの指令用光信号を受信する受信部を備え、
前記排気装置9は、前記発信部155からの指令用光信号を受信した場合、前記加熱部67の上に置かれた被加熱物から発生する加熱された気体と、前記排気口77から放出された空気とを導入して、排気動作を行う構成である。
この実施の形態1の空気排出システムによれば、加熱調理器8の左右の加熱部67の何れを使用する場合でも、使用者が主電源スイッチ95を操作し易い。
また発信部からの排気運転の開始指令信号F0や指令信号F1等が通過する通信用窓68が、主電源スイッチ95の操作面94を挟んで、その左右両側に配置されていることから、左右の加熱部67の何れの操作部93を操作する場面でも、それら指令用光信号を不用意に遮ることを少なくでき、排気装置9を確実に運転させることが期待できる。
(その他の特長)
実施の形態1では、さらに以下の特徴により各種の利点がある。
(1)その1.
実施の形態1の加熱調理器8は、
トッププレート55を有した本体8Aの内部に、前記トッププレート55上に置かれた被加熱物を加熱するための、加熱源となるIHコイル60L、60Rと、使用者が物品を出し入れできる挿入口73を有した収納室70と、前記本体8Aの内部空間に冷却用空気を導入する送風機BM1と、前記加熱源のIHコイル60L、60Rへの通電を制御する制御装置143と、前記制御装置143に対して運転指令信号を入力する操作部93と、前記本体8Aの外部にある排気装置9に対して制御信号を発信する発信部155と、を設け、
前記冷却用空気が前記本体8Aに導入される吸気口58から、前記本体8Aの外部へ排出するための、2つの排気口77までの間の排気風路の中に、前記IHコイル60L、60Rが配置されており、
前記2つの排気口77は、前記本体8Aの後部上面に設けてあり、
前記2つの排気口77は、前記本体8Aの横方向に所定の範囲(WA4)内に直線的に形成され、かつその2つの排気口77の、個々の横方向長さ(WA1)は、前記IHコイル60L、60Rの直径寸法(RL、RR)よりも大きく形成されている構成である。
この加熱調理器では、IHコイル60L、60Rの外形寸法(直径RL、RR)よりも幅広く排気口77が形成され、しかもその排気口77は、本体8Aの中のIHコイルやインバーター基板117等を冷却した清浄な空気だけが排気されるので、トッププレート55の上に置かれて加熱される金属鍋等から発生した蒸気や油煙等が自ら上昇して排気装置9に導入される際に、本体8Aの背後側で、横に長い帯状の空気の壁を形成できる。
このため、本体8Aの背後側に居住空間3の垂直壁面が接近していても、その垂直壁面に油煙等が接触することを抑制できる。
さらに、前記本体8Aの内部に、使用者が物品を出し入れできる挿入口73を有した収納室70を設けているため、収納室70の中に付属品や調理器具等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができるから、調理時の利便性を向上させることができる。
(2)その2.
この実施の形態1の加熱調理器1は、特に図7から明らかなように、
トッププレート55を有した本体8Aの内部に、前記トッププレート55上に置かれた被加熱物を加熱するための、少なくとも2つ加熱源となるIHコイル60L、60Rと、使用者が物品を出し入れできる挿入口73を有した収納室70と、前記本体8Aの内部空間に冷却用空気を導入する送風機BM1と、前記IHコイル60L、60Rへの通電を制御する制御装置143と、前記制御装置143に対して運転指令信号を入力する操作部93と、前記本体8Aの外部にある排気装置9に対して制御信号を発信する発信部155と、を設け、
前記冷却用空気が前記本体8Aに導入される吸気口58から、前記本体8Aの外部へ排出される排気口77までの間の排気風路の中に、前記IHコイル60L、60Rが配置されており、
前記IHコイル60L、60Rは、第1の寸法WA3の範囲内で、左右方向において並べて配置され、
前記排気口77は、前記本体8Aの後部上面に設けてあり、
前記排気口77は、前記本体8Aの横方向に、前記第1の寸法WA3よりも大きい第2の寸法(WA4)で直線的に配置されている構成である。
この加熱調理器では、第1の寸法WA3よりも横に広い範囲(図7の寸法WA4の範囲)に排気口77が形成され、しかもその排気口77は、本体8Aの中のIHコイルやインバーター基板117等を冷却した清浄な空気だけが排気されるので、トッププレート55の上に置かれて加熱される金属鍋等から発生した蒸気や油煙等が自ら上昇して排気装置9に導入される際に、本体8Aの背後側で、横に長い帯状の空気の壁を形成できる。
このため、左右方向に並べて配置された2つのIHコイル60L、60Rの何れか一方及びその両方が同時に使用されて加熱調理が行われても、それらIHコイルの背後側にある排気口77から排気流が放出される。
そのため、加熱調理器8の背後側に居住空間3の垂直壁面が接近していても、その垂直壁面に対して、トッププレート55上で発生した蒸気や油煙等が接触することを抑制できる。
さらに、前記本体8Aの内部に、使用者が物品を出し入れできる挿入口73を有した収納室70を設けているため、収納室70の中に付属品や調理器具等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができるから、調理時の利便性を向上させることができる。
(3)その3.
実施の形態1の加熱調理器8は、特に図7に示したように、
厨房家具15の所定位置に支持される本体8Aを有し、
前記本体8A内部には、この本体上方に置かれる被加熱物を加熱する加熱部67L、67Rと、送風機MB1からの冷却風が供給され前記本体8Aの内部空間を強制的に冷却する冷却風路104と、を備え、
前記加熱部67L、67Rは、前記本体を左右に二分する中心線CL1を挟んでその両側で、互いに対称的な位置に1個所ずつ配置され、
前記本体8Aの後部には、前記冷却風路の終端部となる排気口77を設け、
前記排気口77は、2つの排気口から構成され、その各排気口は前記中心線CL1を挟んで左右に対称的に、かつ当該本体の横幅方向に所定の長さWA1をそれぞれ有しており、
前記2つの加熱部67L、67Rを含む最大横幅寸法WA3よりも、前記2つの排気口77が並んだ最大幅寸法WA4を大きく形成していることを特徴とする構成である。
この加熱調理器8によれば、2つの加熱部67L、67R上の何れか一方又はその両方の上方に置かれる調理器具等の被加熱物から蒸気や油煙等が発生しても、その本体8Aの後部側にあり、かつ左右方向に長い排気口77から、排気流の壁を形成でき、加熱調理器8の周囲にある壁の汚染を効果的に防止することが期待できる。
しかも、これら2つの排気口77は、本体8Aの中のIHコイルやインバーター基板117等を冷却した清浄な空気だけが排気されるので、トッププレート55の上に置かれて加熱される金属鍋等から発生した蒸気や油煙等が自ら上昇して排気装置9に導入される際に、本体8Aの背後側で、横に長い帯状の空気の壁を形成できる。
このため、左右方向に並べて配置された2つのIHコイルの何れか一方及びその両方が同時に使用されて加熱調理が行われても、それらIHコイルの背後側にある排気口77から清浄な空気の排気流が放出され、加熱調理器8の背後側に居住空間3の垂直壁面が接近していても、その垂直壁面に対して、トッププレート55上で発生した蒸気や油煙等が接触することを抑制できる。
(4)その4.
実施の形態1の加熱調理器8は、特に図7に示したように、
被加熱物が載置されるトッププレート55を有した本体8Aの内部に、前記被加熱物を加熱する加熱部67L、67Rと、空気を導入する送風機BM1と、前記加熱部への通電を制御する制御装置143と、被加熱物やトッププレート55等の測定対象物の温度を検出する温度検出回路144と、前記本体8Aの外部にある排気装置9に対して運転指令信号F1、F2を発信する発信部155とを、それぞれ設け、
前記送風機BM1によって導入された空気を排出する排気口77を、前記本体8A上部に設け、
前記制御装置143は、前記送風機BM1を第1の排気能力で運転させる「中運転」モード(第1運転モード)の制御信号F1と、前記第1の排気能力より大きな排気能力で運転させる「強運転」モード(第2運転モード)の運転指令信号F2を、それぞれ前記発信部155で発信させ、
前記制御装置143は、使用者によって選択された調理メニューが予熱工程を含む油調理のときは、前記温度検出手段144で計測した測定対象物の温度が、当該予熱工程の所定温度T1を超えた場合に、前記「中運転」モードから「強運転」モードへ変更する運転指令信号F2を発信する構成である。
このため、居住空間3から排気を行う排気装置9に対して、予熱工程を含む油調理のメニューが選択されたときは、その予熱工程の所定温度T1になった段階で、排気能力を上げる運転に切り替える運転指令信号F2を発するので、加熱調理時にトッププレート55上で発生する油煙や熱気等を、居住空間に拡散させる前に、排出することが期待できる。
(5)その5.
さらに、実施の形態1の加熱調理器8は、
トッププレート55を有した本体8Aの内部に、前記トッププレート55上に置かれた被加熱物を加熱する加熱部67L、67Rを配置し、被加熱物の中の被調理物を非接触で前記加熱部によって調理するものにおいて、
前記本体8Aには、使用者が物品を出し入れできる挿入口73を有した収納室70と、前記本体8Aの内部空間に冷却用空気を導入する送風機BM1と、前記加熱部への通電を制御する制御装置143と、前記制御装置143に対して運転指令信号を入力する操作部93と、測定対象物の温度を検出する温度検出手段144と、前記本体8Aの外部にある排気装置9に対して運転指令信号(指令用光信号)F1、F2を発信する発信部155とを、それぞれ設け、
前記冷却用空気が前記本体8Aに導入される吸気口58から、前記本体8Aの外部へ排出される排気口77までの間の排気風路104の中に、前記加熱源が配置されており、
前記制御装置143は、前記操作部93によって選択された複数の調理種別に応じて、前記排気装置の運転パターンを選択し、前記温度検出手段144で検出した温度に基づいて前記運転指令信号を前記発信部155から発信することを特徴とする構成である。
このため、本体8Aの内部に確保された収納室70の中に、付属品や調理器具等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができるから、調理時の利便性を向上させることができる。しかも、図21、図22に示したように測定対象物の温度上昇に基づいて換気装置9に対し排気能力の異なる運転を指令するため、所定の制御指令信号(指令用光信号)F1、F2を発信するので、加熱調理時にトッププレート55上で発生する油煙や熱気等を排気装置9側へ効果的に導き、油煙や熱気等を居住空間に拡散させる前に、排出することが期待できる。
(6)その6.
この実施の形態1における空気排出システムは、
被加熱物が載置されるトッププレート55を有した本体8Aの内部に、前記被加熱物を加熱する加熱部67L、67Rと、前記本体8Aの外部から空気を導入し、当該本体の上部に設けた排気口77から放出する送風機BM1と、前記加熱部への通電を制御する制御装置143と、測定対象物の温度を計測する温度検出回路144と、前記本体8Aの外部にある排気装置9に対して制御信号を発信する発信部155とを、それぞれ内蔵した加熱調理器8と、
前記加熱調理器8のある居住空間3の空気を当該空間外へ排出する排気装置9と、を備え、
前記制御装置143は、前記送風機BM1を第1の排気能力で運転させる「中運転」モードの運転指令信号F1と、前記第1の排気能力より大きな排気能力で運転させる「強運転」モードの運転指令信号F2を、それぞれ前記発信部155で発信させ、
前記制御装置143は、使用者によって選択された調理種別が予熱工程を含む油調理のときは、測定対象物の温度が、当該予熱工程の所定温度T0を超えた場合に、前記「中運転」モードから「強運転」モードへ変更する運転指令信号F1を発信し、
前記排気装置9は、前記加熱調理器8から送信される前記運転指令信号F1、F2を受信し、前記被加熱物から発生する加熱された気体と、前記排気口77から放出された空気とを導入する排気運転を行う構成である。
このため、この空気排出システムによれば、加熱調理器8では、居住空間3から排気を行う排気装置9に対して、予熱工程を含む油調理が選択されたときは、その予熱工程の所定温度T0になった段階で、排気能力を上げる運転に切り替える指令を発するので、加熱調理時にトッププレート上で発生する油煙や熱気等を効果的に排出することが期待できる。
(7)その7.
また、この実施の形態1の空気排出システムは、
トッププレート55を有した本体8Aの内部に、前記トッププレート55上に置かれた被加熱物を加熱する加熱部67L、67Rと、使用者が物品を出し入れできる挿入口73を有した収納室70と、前記本体8Aの内部空間に冷却用空気を導入する送風機BM1と、前記加熱部への通電を制御する制御装置143と、前記制御装置143に対して運転指令信号を入力する操作部93と、前記本体8Aの外部にある排気装置9に対して制御信号を発信する発信部155とを、それぞれ内蔵させた加熱調理器8と、
前記加熱調理器8のある居住空間の空気を当該空間外へ排出する排気装置9と、を備え、
前記加熱調理器8は、前記本体8Aの内部に導入される空気の吸気口58から、前記本体8Aの外部へ排出される排気口77までの間の排気風路104の中に、前記加熱部が配置され、
前記制御装置143は、前記操作部93によって選択された複数の調理種別に応じて、前記排気装置9の運転パターンを選択し、加熱調理工程の進捗に合わせて前記運転指令信号を前記発信部155から発信し、
前記排気装置9は、前記加熱調理器8から送信される前記運転指令信号を受信して、前記被加熱物から発生する加熱された気体と、前記排気口77から放出された空気とを導入し、排気する運転を行う構成である。
このため、加熱調理器8の収納室70の中に付属品や調理器具等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができるので、調理時の利便性を向上させることができる。しかも、居住空間3から排気を行う排気装置9は、加熱調理器8から受信する制御信号に応じて、排気運転が制御されため、加熱調理時にトッププレート55上で発生する熱気等を効果的に排出することが期待でき、油煙や臭いが拡散することを効果的に防止できる。
(8)その8.
この実施の形態1における家電機器の統合管理装置10は、
無線通信部150を備えた加熱調理器8と、前記加熱調理器8がある居住空間3の空気を当該空間外へ排出する排気装置9とから、それぞれ運転情報を取得し、当該加熱調理器8と排気装置9に対し制御信号を発して運転を集中制御する統合管理装置10において、
前記統合管理装置10は、前記加熱調理器8がある居住空間3の空気質の状態に応じて前記排気装置9に運転指令信号F1、F2を発信し、
さらに前記統合管理装置10は、前記加熱調理器8の無線通信部150から送信された調理種別を示す情報を含んだ前記運転情報信号L3に基づき、前記排気装置9に指令信号を発信し、当該排気装置9の運転開始、運転停止、運転時間又は排気能力の少なくとも何れか1つを制御する構成である。
このため、加熱調理器8がある居住空間3の空気質の状態に応じて前記排気装置9に運転指令信号を発信し、排気装置9の運転を制御するため、加熱調理時にトッププレート55上で発生する熱気等を排出することが期待でき、油煙や臭いが拡散することを効果的に防止できる。
(9)その9.
この実施の形態1に示した空気質の改善システムは、
被加熱物が載置されるトッププレート55と、使用者が物品を出し入れできる挿入口を設けた収納室とを備えた加熱調理器8と、
前記加熱調理器のある居住空間の空気を外部へ排出する排気装置9と、
前記加熱調理器のある居住空間の空気を浄化する空気清浄機7と、
前記加熱調理器8と空気清浄機7とから、それらの運転状態の情報を収集するとともに、当該加熱調理器8と空気清浄機7のそれぞれの運転を制御する統合管理装置10と、
前記加熱調理器8のある居住空間の空気の汚れや臭い、温度等の空気質を計測した結果を前記統合管理装置10へ送信する環境検知部16と、を備え、
前記加熱調理器8は、その本体8Aの内部に、居住空間の空気を導入する吸気口58から当該空気を排出する排気口77までの間の排気風路104を備え、当該排気風路の中に、前記加熱源が配置されており、かつ当該排気風路104の内部空間では、そこを流れる冷却風が前記被加熱物と被調理物に接触しない構成であり、
前記統合管理装置10は、前記環境検知部16からの空気質を計測した結果を示す情報に基づき前記空気清浄機7と排気装置9の少なくとも何れか1つの運転を制御し、
さらに前記統合管理装置10は、前記加熱調理器8から送信された調理種別を示す情報を含んだ前記運転情報に基づき、前記空気清浄機7と排気装置9の、運転開始、運転停止、運転時間又は排気能力の少なくとも何れか1つを制御する構成である。
このため、厨房家具15に内蔵された加熱調理器8の収納室の中に、挿入口から付属品や調理器具等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができるから、調理時の利便性を向上させることができる。しかも、統合管理装置10は、加熱調理器8がある居住空間の空気質の状態に応じて前記排気装置9に運転指令信号を発信し、排気装置9の運転を制御するため、加熱調理時にトッププレート上で発生する熱気等を排出することが期待でき、油煙や臭いが拡散することを効果的に防止できる。
(10)その10.
この実施の形態1の加熱調理器8は、制御装置143には、前記カバー71が開いている状態を検知し、当該カバーが開いている状態では前記インバーター回路120L、120Rの動作開始を禁止する安全装置SD(132)を設けているものであるため、カバー71が開いている状態では前記インバーター回路120L、120Rの動作開始が自動的に禁止され、安全性を高めることができる。
(11)その11.
この実施の形態1の加熱調理器1は、無線通信手段150を更に有し、
本体1の上面に設けた操作部93には、前記第1の調理器具62を使用する場合に、前記無線通信手段150を介して調理参考情報を取得することを指令する指令スイッチ98を備えているので、調理に参考となる情報を外部から無線通信で取得することができ、第1の調理器具62を使う場合の利便性を高めることができる。
この実施の形態1では、「中運転」モードを、第1運転モードと呼び、「強運転」モードを「第2運転」モードと呼んだが、「弱運転」モードと「中運転」モードを1つにして、これを「第1運転」モードと呼んでも良い。つまり、排気装置9の排気能力は2段階に設定したことに限定しておらず、3段階もしくは4段階以上の能力可変タイプであっても良い。
実施の形態2.
図24と図25は、実施の形態2に係る加熱調理器8を示すものである。この実施の形態では、加熱調理器8の左側の加熱口67Lを、複数のIHコイルの集合体で構成したところが特徴である。なお、図1〜図23と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図24は、図7と同様に加熱調理器8を上から場合の平面図である。但し、実際には上方からは直接目視できない本体ケース53の平面的輪郭を実線で示している。図25は、本願発明に係る(誘導)加熱調理器8の誘導加熱コイル全体と、制御装置143等の制御関係の構成を概略的に図示するブロック構成説明図である。
以下、図24と図25を参照しながら、実施の形態2に係る加熱調理器8について詳細に説明する。
図24に示すように、加熱調理器8は、左側の加熱口67Lを構成する左IHコイル60Lと、右側の加熱口67Rを構成する右IHコイル60Rとを備えた、いわゆる2口の誘導加熱調理器である。
加熱調理器8は、平面視で横長矩形(横長方形ともいう)の本体8Aを備えている。この本体8Aは、水平に設置された平板状のトッププレート55と、本体8Aの上面以外の周囲(外郭)を構成する筐体部となる本体ケース53と、前記左右IHコイル60L、60Rを含んだ加熱手段と、使用者により操作される操作部93と、操作手段からの信号を受けて加熱手段を制御する制御装置143と、加熱手段の動作条件を表示する液晶表示基板から構成された表示画面91と、をそれぞれ備えている。
図24において、93Lは、本体8Aの上面前方部に設けた操作部93の一部を構成する左側の操作部であり、静電容量変化を用いて入力有無を検知するタッチ式のキーを複数備えている。
93Rは、右側の操作部であり、静電容量変化を用いて入力有無を検知するタッチ式のキーを複数備えている。
前記左右のIHコイル60L、60Rは、その中心点X1、X2の間隔が所定寸法WA2を保つように左右に離れて設置してある。
CLMは、その2つのIHコイル60L、60Rの中間点を前後方向に結んだ直線(以下、「中間線」という)を示している。本体8Aの左右中心線CL1は、前記中間線CLMよりも左側に数cmから10cmずれている(横に偏倚している)。言い換えると中間線CLMを挟んでその左右対称的位置に、右加熱口67Rと左加熱口67Lが配置されている。
前記表示画面91は、中間線CLMを跨ぐ位置に設置してある。
本体8Aは、流し台等の厨房家具15に形成した設置口15Aを覆う大きさに合わせて、略正方形の平面形状に形成されている。
本体8Aの外郭を形成する金属製薄板から形成された本体ケース53の上部は、内側寸法で横幅WB3が540mm(又は550mm)、奥行DP2が402mmの箱形に設計されている。この本体ケース53の内部に、前記左右IHコイル60L、60Rがそれぞれ設置されている。
図24に示すように、本体ケース53の上面開口の後端部、前端部、右端部及び左端部の4個所には、それぞれ外側へ直角(水平)に折り曲げて一体に形成したフランジ53Xを有しており、後方のフランジ、左側のフランジ、右側のフランジ及び前側フランジ板が、それぞれ厨房家具15の設置口15Aの口縁上に載置され、加熱調理器8の荷重を支えるようになっている。
前記トッププレート55の上に磁性を有する、例えば磁性金属製の鍋等の被加熱物N(以下、単に「被加熱容器」又は「鍋」と称する場合が有る)が置かれて、その下方に設置された左IHコイル60L、右IHコイル60Rによって誘導加熱される構成になっている。
トッププレート55は、図24に破線で示すように長方形である。このトッププレート55を構成する耐熱性の強化ガラス板は、図24に示すように横幅WB2が728mm、奥行寸法は前記奥行DP2よりも大きい。図24において、WB1は本体8Aの外郭を構成する本体ケース53の(前記フランジ53Xを含めた)横幅(最大)寸法である。トッププレート55の下方にある、横幅寸法がWB3で、奥行き寸法がDP2の長方形の空間が、上部空間113である。上部空間113は、前面壁と、右側壁、左側壁及び背面(後面)壁をそれぞれ有している。なお、トッププレート55の外周部分は、図24には示していないが、額縁形状の外枠54によって本体ケース53の上部に固定されている。
次に、図25について説明する。
MCは、左IHコイル60Lの一部を構成する主加熱コイルであり、被加熱物Nを載せるトッププレート55の下方に接近して配置されている。第25図中、破線の円で示したのが鍋等の被加熱物Nの底面の形状(輪郭)である。
またこの主加熱コイルMCは、0.1mm〜0.3mm程度の細い線を30本程束にして、この束(以下、集合線という)を1本又は複数本撚りながら渦巻状に巻き、中心点X1を基点として外形形状が円形になるようにし、最終的に円盤形に成形されている。主加熱コイルMCの直径(最大外径寸法)は約180mm〜200mm程度である。
この実施の形態2では、主加熱コイルMCは、例えば、定格最大消費電力(最大火力)2000Wの能力に設定してある。主加熱コイルMCは、渦巻状に巻かれた内側コイルMC1と、これに直列接続された外側コイルMC2とから構成されている。
外側コイルMC2の外径寸法は、180mmである。内側コイルMC2の外径寸法は、90mmである。
図24と図25において、SC1〜SC4は、4個の湾曲した長円形の副加熱コイルであり、前記主加熱コイルMCの中心点X1を基点として前後・左右に、かつ等間隔にそれぞれ対称的に配置されており、中心点X1から放射状に見た場合の横断寸法、つまり「厚み」は、前記主加熱コイルMCの半径の60%〜30%程度の大きさである。また、副加熱コイルの長径は、主加熱コイルMCの直径(最大外径寸法)と同じく180mm程度である。なお、主加熱コイルMCの「側方」とは、特に他の説明と矛盾がない場合、図24で言えば右側、左側は勿論、上側と下側(手前側)を含んでおり、「両側」とは左右両方をいうことは勿論、前後及び斜め方向も意味している。
4個の副加熱コイルSC1〜SC4は、前記主加熱コイルMCの外周面に所定の絶縁空間(数mmから10mm程度の大きさ。以下の説明では「5mm」の例で説明する)の空間を保って(一般には「コイルベース」と言われる、耐熱性プラスチック製の)支持体(図示せず)に固定されている。
副加熱コイルSC1〜SC4は、前記中心点X2を中心とした円の上に、略等間隔に配置されている。この副加熱コイルSC1〜SC4も、集合線を1本又は複数本撚りながら巻き、外形形状が長円形や小判形になるように集合線が所定の方向に巻かれ、その後形状を保つために部分的に結束具で拘束され、又は全体が耐熱性樹脂などで固められることで形成されている。
4つの副加熱コイルSC1〜SC4は平面的形状が同じで、縦・横・高さ(厚さ)寸法も全て同一寸法である。従って1つの副加熱コイルを4個製造し、それを4箇所に配置している。
これら4つの副加熱コイルSC1〜SC4は、図24に示すように、主コイルMCの周囲において、その接線方向が丁度各副加熱コイルSC1〜SC4の長手方向の中心線と一致している。言い換えると長径方向と一致している。
副加熱コイルSC1〜SC4は、それぞれの集合線が長円形に湾曲しながら伸びて電気的に一本の閉回路を構成している。また主加熱コイルMCの垂直方向寸法(高さ寸法、厚さともいう)と各副加熱コイルSC1〜SC4の垂直方向寸法は同じであり、しかもそれら上面と前記トッププレートの下面との対向間隔は同一寸法になるように水平に設置、固定されている。
この図24の例では、加熱に適する被加熱物Nの底面の(最大)外形寸法は270mm〜310mm程度である。
図25は、加熱調理器8に内蔵された制御装置143等のブロック図である。制御装置143は、電源装置を内蔵しており、その電源装置は、三相交流電源を直流電流に変換するコンバーター(例えばダイオードブリッジ回路、または整流ブリッジ回路ともいう)と、コンバーターの出力端に接続された平滑用コンデンサー、この平滑用コンデンサーに並列に接続された左IHコイル60Lの主加熱コイルMCのための主インバーター回路(電源回路部)MIVと、同様に平滑用コンデンサーに並列に接続された各副加熱コイルSC1〜SC4のための副インバーター回路(電源回路部)SIV1〜SIV4と、を備えている。
120Lは、左IHコイル60Lのインバーター回路であり、前記主インバーター回路MIVと、4つの副インバーター回路SIV1〜SIV4から構成されている。
120Rは、右IHコイル60Rのためのインバーター回路である。なお、前記右IHコイル60Rは、中心点X2を中心として、環状に巻かれた1つの内側加熱コイル60RC1と、この加熱コイルと並列になっている外側加熱コイル60RC2との二重構成であるから、前記インバーター回路120Rの構成は、前記したインバーター回路120Lの構成とは異なっている。なお、内側加熱コイル60RC1と外側加熱コイル60RC2は、図24と図25には図示していない。
この右IHコイル60Rにおける内側加熱コイル60RC1だけを駆動して、小径(例えば80mm〜120mm程度)の被加熱物Nを誘導加熱することができる一方、外側加熱コイル60RC2と内側加熱コイル60RC1を同時に駆動して(又は短時間に交互通電して)、より大きな直径、例えば底面直径が200mm程度の金属鍋等も加熱できる。
右側の加熱口67Rを構成する右IHコイル60Rでは、小径の内側の加熱コイル60R1と大径の外側加熱コイル60R2に、それぞれにインバーター回路120Rを接続し、両方の加熱コイルに流れる電流の周波数を同一にしているため、スイッチング素子の動作周波数やデューティを変化させることにより、内側の加熱コイルと外側の加熱コイルに流す電流を一定の範囲内で任意の異なる値に設定することができる。このため、内外それぞれの加熱コイルから発生させる磁界量を変化させることができる。
主インバーター回路MIVと副インバーター回路SIV1〜SIV4は、前記コンバーターからの直流電流を高周波電流に変換し、それぞれ主加熱コイルMCおよび副加熱コイルSC1〜SC4に高周波電流を(互いに)独立して供給するものである。
一般に、誘導加熱コイルのインピーダンスは、誘導加熱コイルの上方に載置された被加熱物Nの有無および大きさ(面積)に依存して変化するから、これに伴って前記主インバーター回路MIVと副インバーター回路SIV1〜SIV4に流れる電流量も変化する。本実施の形態2では、主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4に流れる、それぞれの電流量を検出するための電流検出部(検出手段)202を有する。この電流検出部は、後述する被加熱物載置判断部203の一種である。
本発明によれば、電流検出部202を用いて、主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4に流れる電流量を検出することにより、それぞれのコイルの上方に被加熱物Nが載置されているか否か、または被加熱物Nの底部面積が所定値より大きいか否かを推定し、その推定結果を制御装置143に伝達するので、被加熱物Nの載置状態について精度よく検出することができる。
なお、被加熱物Nの載置状態を検出するための被加熱物載置判断部203として、主インバーター回路MIVと副インバーター回路SIV1〜SIV4に流れる電流量を検出する電流検出部202を用いたが、これに限定されるものではなく、機械式センサー、光学的センサーなどの他の任意のセンサーを用いて被加熱物Nの載置状態を検知してもよい。
本実施形態2の制御装置143は、図示のように、電流検出部202に接続されており、被加熱物Nの載置状態に応じて、主インバーター回路MIVと副インバーター回路SIV1〜SIV4に制御信号を与えるものである。すなわち、制御装置143は、電流検出部202で検出された主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4に流れる電流量に関する信号(被加熱物Nの載置状態を示すデータ)を受け、被加熱物Nが載置されていないか、あるいは被加熱物Nの直径が所定値(例えば120mm)より小さいと判断した場合には、それら主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4への高周波電流の供給を禁止又は(既に供給開始されている場合はそれを)停止するように主インバーター回路MIVと副インバーター回路SIV1〜SIV4を選択的に制御する。
本実施の形態2によれば、制御装置143は、被加熱物Nの載置状態に応じた制御信号を主インバーター回路MIVと副インバーター回路SIV1〜SIV4に供給することにより、主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4への給電を互いに独立して制御することができる。また、中央にある主加熱コイルMCを駆動せず(OFF状態とし)、かつ、すべての副加熱コイルSC1〜SC4を駆動する(ON状態とする)ことにより、フライパンなどの鍋肌(鍋の側面)だけを予熱するといった調理方法も実現可能となる。
また、この実施の形態2では、主加熱コイルMCの両側に近接して配置され、主加熱コイルMCの半径より小さな横幅寸法を有する扁平形状の4個以上の副加熱コイルSC1〜SC4と、前記主加熱コイルMC及び全ての副加熱コイルSC1〜SC4にそれぞれ誘導加熱電力を供給するインバーター回路MIVと副インバーター回路SIV1〜SIV4と、これらインバーター回路の出力を制御する制御装置143と、この制御装置に加熱の開始や火力設定を指示する操作部93と、を有しているので、前記副加熱コイルSC1〜SC4を、半数以上で全数未満の隣り合う副加熱コイルSC1、SC2からなる第1の組と、残りの副加熱コイルSC3、SC4からなる第2の組とに分け、前記制御装置143は、前記第1の組の副加熱コイルに誘導加熱電力を供給しない期間を設け、この期間中に前記第2の組の副加熱コイルに前記インバーター回路SIV3、SIV4から誘導加熱電力を供給し、この後前記第2の組の副加熱コイルSC3、SC4への誘導加熱電力供給を停止した期間を設け、この期間中に前記第1の組の副加熱コイルSC1、SC2に前記インバーター回路SIV1、SIV4から誘導加熱電力を供給し、前記制御装置143は、これら第1、第2の組の副加熱コイルに対する前記した通電切り替え動作を複数回繰り返す構成にしてある。
これにより、被加熱物Nの中にある水や煮物汁などの液体に対流の発生を促進できる。
次に前記表示画面91について説明する。
この実施の形態2において、前記表示画面91は、左右の加熱口67に共通で用いられるものであるため、統合表示手段とも呼ばれる。この実施の形態2の統合表示手段で使用されている表示画面は、周知のドットマトリックス型液晶表示画面である。
144は、各種温度検出素子(以下、「温度センサー」という)を備えた温度検出回路である。前記温度センサーの温度感知部は複数個設置することが正確な温度検知の面からは望ましい。その内の1つは、右IHコイル60Rの中央部に設けている。また、他の1つは、左IHコイル60Rの内の空間部に設置している。これらの温度センサーは被加熱物Nから放射される赤外線の量を検知して温度を測定する赤外線式の温度センサー又は感熱式の温度センサー、例えばサーミスタ式センサーである。
なお、温度感知部は1つに限る必要はなく、被加熱物Nの底面の温度をできるだけ正確に捉えるため、間隔を置いて複数個設けても良い。例えば主加熱コイルMCの内側と、主加熱コイルと副加熱コイルSC1〜SC4の間の空間、あるいは副加熱コイルSC1〜SC4の内側の空間に、それぞれ設置しても良い。
94は、左IHコイル60Lと右IHコイルの電源を一斉に投入・遮断する主電源スイッチ95の操作ボタン(操作面)であり、使用者が押し下げると電源が入り、再度押すと電源が切れるという構造になっている。
前記操作部93では、被加熱物Nに加える火力を手動で設定できる。その場合、主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4の合計火力は、120W〜3000Wまでの範囲で、次の16段階の中から使用者が1段階選定する。
150W、200W、300W、400W、500W、625W、750W、875W、1000W、1250W、1500W、1750W、2000W、2250W、2500W、3000W。
主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4の火力比は、使用者が選定した上記合計火力を超えない限度で、かつ所定の火力比の範囲内になるように自動的に制御装置143で決定され、使用者が任意に設定することはできない。例えば、火力比は(大火力時)2:3〜(小火力時)1:1まで。
主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4は同時に駆動されるが、この場合、両者の隣接する領域での高周波電流の向きは一致させるよう制御される。
実施の形態2の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態2の加熱調理器8においても、実施の形態1と同等の効果が期待できる。
さらに、1つの加熱口67を構成する左IHコイル60Lは、主加熱コイルMCと、4つの副加熱コイルSC1〜SC4によって加熱させる方式であるため、例えば主加熱コイルMCと、4つの副加熱コイルSC1〜SC4の中の1つとを、制御装置143から同時又は交互に駆動する指令を出すことにより、長円形又は長方形の底面を有する被加熱物Nを加熱することができる。
なお、このような1つの主加熱コイルMCと、この周囲に配置した4つの副加熱コイルSC1〜SC4によって1つの被加熱物を加熱する方式は、例えば日本国の特許第5538546号公報や特許第5766287号公報によって紹介されている。
実施の形態3.
図26〜図28は、実施の形態3に係る加熱調理器8を示すものである。
この実施の形態3では、加熱調理器8の加熱手段となる誘導加熱コイルを、本体8Aの上面に多数整列状態に設置したところが特徴である。なお、図1〜図23と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略している。
従来、1つの被加熱物(金属製鍋やフライパンなど)を、隣り合うように設置された複数の加熱コイルによって加熱する方式(以下、この方式を「マルチコイル方式」という)の誘導加熱調理器が提案されている(例えば、特開2010−165656号公報と特開2014−44852号公報参照)。
この実施の形態3は、マルチコイル方式を採用した加熱調理器8の例を示している。
図26は、本発明の実施の形態3に係る(厨房家具に組み込まれる形式の)加熱調理器の外観を示す斜視図である。図27は、図26の加熱調理器の平面図である。図28は、その加熱調理器の回路構成を示すブロック図である。
(加熱調理器の全体構成)
図26に示すように、本実施の形態3に係る加熱調理器は、箱形の本体部8A及びトッププレート55を備えた天面部によって構成されている。
トッププレート55は、結晶化ガラス等のような耐熱性の高いガラス板で形成されている。
55Aは、トッププレート55の前方端に近い位置で、その左右の中央部に形成された透明な表示窓である。この窓に対応して、トッププレート55の下面に近接した位置には、加熱動作状態又は使用者の調理条件設定情報等を表示する液晶表示基板(図示せず)が配置され、この液晶表示基板の上に設けた表示画面91が、前記表示窓55Aを通して、トッププレート55の上方から目視できるようになっている。
図26において、84Aは、正面形状が長方形の右カバーであり、全体がプラスチックの一体成型で形成されている。この右カバーは、前記本体ケース53の前面において、前記収納室70の挿入口73より右側部分を覆うものである。この右カバーは、前記カバー71と同じ厚みを有し、カバー71の右側に隣接するように本体ケース53の前壁面53F(図示されていない)に固定されている。
84Bは、正面形状が長方形の右カバーであり、全体がプラスチックの一体成型で形成されている。この右カバーは、前記本体ケース53の前面において、前記収納室70の挿入口73より右側部分で、前記右カバー84Aの下方を覆うものである。2つの右カバー84A、84Bは、前記カバー71と同じ厚みを有している。
図26において、71Wは、収納室70の前面開口を開閉自在に覆うカバー(扉)71に形成した窓であり、透明なガラスで覆われている。
図26において、93は、トッププレート55の上面の前方端部に横長に配置された操作部であり、図27に示すように、右操作部93Rと左操作部93Lから構成されている。
2つの操作部93L、93Rは、加熱調理の開始・停止を指令するためのもので、制御装置143の「入力操作部」に相当するものである。なお、図26〜図28では、具体的な入力操作キーは図示していない。
前記操作部93L、93Rの上面(表面)には、物理的な構造物としては現れないが、アイコン(入力キー)が視覚上で現れる。トッププレート55自体の特定部分が発光したり、画像を発生させたりする訳ではない。トッププレート55の前方端部の下方に配置された発光ダイオード等の発光素子が光り、その光を受けて操作部93L、93Rの特定部分だけが光ったようになる。以下の説明では、このような表示を、視認する使用者の立場に立って、「操作部に表示」という表現を使う。
トッププレート55の上面には、図27に示すように、金属製の鍋やフライパン、調理用鉄板等の被加熱物N1、N2を載置して調理するための加熱エリア205が設定されている。
図27で、1点鎖線で長方形に示した範囲が加熱エリア205である。
前記加熱エリア205に対応して、前記トッププレート55の下方には、直径が数cm〜10cm程度の外形形状が円形のIHコイル206が多数規則正しく配置されている。このIHコイルは、全て同一形状・同一構造(巻き線構造等)、同一の加熱能力(定格最大火力)のものである。つまり、同じIHコイルが、前後左右に規則正しく並べられており、各IHコイル206は、できるだけお互いに接近するように配置されている。
言い換えると、互いに隣接する4個以上のIHコイル206の集合体が、左右中心線CL1を挟んでその両側に少なくとも1個所ずつ配置されて、それぞれのIHコイルの集合体が、「1つの加熱口」67を構成している。このため、図27のように、多数のIHコイル206を、規則正しく縦と横方向に近接させて並べたマルチコイル方式では、加熱口67は、被加熱物N1、N2が置かれた位置に、それぞれ形成されることになり、使用者は、被加熱物N1、N2を置く位置をあまり厳密に意識しなくとも良く、希望する位置に気軽において誘導加熱することができ、初心者にも使い勝手が良い。
各IHコイル206の中心部は、空洞207になっており、ここに後述する被加熱物N1、N2の載置有無を判定する被加熱物載置検出部203のセンサー203S1が、それぞれ1個ずつ配置してある。また、以後の説明では、複数の被加熱物があり、相互に区別する必要がある場合は、N1、N2・・・のような符号を付けるが、被加熱物を総称する場合は「被加熱物N」と記載する。
図27の平面図では、IHコイル206とセンサー203S1の配置が分かるように図示しているが、実際にはこれらIHコイル206とセンサー203S1の上には、トッププレート55があるので、これら部品はトッププレート55上からは目視できない(なお、トッププレート55が、半透明である場合は、多少輪郭が分かる程度見える場合がある)。
マルチコイル方式において、被加熱物Nの載置有無を判定する被加熱物載置検出部203の方式は、既に各種提案があり、詳しくは説明しないが、例えば日本国の特開2010−165656号公報に示されているものが1例である。また、被加熱物Nの底面に向けて光を放射してその反射光を使って被加熱物Nの存在を検知する光学的センサーを用いることや、誘導加熱コイルに流れる微弱な電流量を検出して被加熱物Nの存在を検知する方式等、色々な方式が適用できる。
前記トッププレート55の上面(表面)の前記表示窓55A4と対応する長方形のエリアには、視認できるような構造物としては表れないが、例えば透明な薄い誘電膜と、その膜に使用者の指が触れたことを電気的に検知できる微細な検知用電極を縦横に多数配線する等の処理が施され、タッチ用入力部の表面構造物としての構成を備えている。つまり、そのような検知用電極が設置された範囲が、タッチ検知範囲となっている。
タッチ用入力部については、抵抗膜方式や静電容量方式等、多数の技術が既に周知であるので、詳細な説明は省略する。
前記右側の操作部93Rに、使用者がタッチすれば、左右中心線CL1から右側の加熱エリアを選択したことになる。
また、左側の操作部93Lを使用者がタッチすれば、左側の加熱エリアを選択することができる。
また、前記表示画面91の表面にもタッチ検知範囲を設けており、表示されているアイコン(入力キー)にタッチすれば、加熱調理の進捗状況を確認できる情報(例えば、自動調理が終了するまでの残り時間や、調理開始からの経過時間)を表示画面91に表示させることができる。
トッププレート55において、2つの操作部93L、93Rの間には、通信用窓68L、68Rを設けている。この窓は、トッププレート55の裏面(下面)全体には、可視光線や赤外線を透過させない塗装膜が形成されているが、操作部93L、93Rの間の2個所は、前記塗装膜を形成しないことによって、赤外線透過部分を作っている。
多数の加熱コイル206の部分にも、前記センサー203S1の真上の位置には前記塗装膜を設けていない。
次に図28について説明する。
155は、2つの赤外線発光素子154を駆動する発信部である。この赤外線発光素子154から発せられた赤外線信号(排気装置9の運転開始指令信号F0など)は、2つの操作部93L、93Rの間に設けた通信用窓68L、68Rを通過して排気装置9に至る。
隣接した4つのIHコイル206の上に1つの被加熱物N1が載置された場合について、図27の左側部分に示すように、被加熱物N1の底面の形状を、円形の図形で模式的に表現している。
また隣接した6つのIHコイル206の上に1つの被加熱物N2が載置された場合については、図27の右側部分に示すように、被加熱物N2の底面の形状を楕円形の図形で表現している。
従って、この実施の形態3では、1つの被加熱物N1又はN2を実施に置いた位置で、加熱口67の位置が確定する。
図28において、214は、前記IHコイル206に高周波電流を供給するためのインバーター回路である。IHコイル206は、共振コンデンサーC等が接続された周知の共振回路の中に接続されている。なお、インバーター回路214は、複数個設けても良い。例えば、前記IHコイルが合計40個ある場合、それらを20個ずつの2つのグループに分け、第1のグループを第1のインバーター回路が担当し、第2のグループを第2のインバーター回路が担当するようにしても良い。更に多くのインバーター回路を設けても良い。
なお、複数のインバーター回路214を設ける場合、前記制御装置143によって互いに独立して駆動されるようにし、不要なインバーター回路214が駆動されないようにする。つまり各IHコイル206の単位で誘導加熱(IH)の制御ができるようになっている。
図28において、213は、被加熱物N1、N2の材質検知(判定)手段であり、またIHコイル206に流れる電流検知手段である。なお、インバーター回路214の上流にある回路からも入力電流の情報がインプットされるようになっている。なお、このように入力側電流と高周波出力側の電流を比較して、被加熱物N1、N2の材質を判定することは周知であるので、詳しい説明は省略するが、この材質検知(判定)手段によって、被加熱物Nが、アルミや銅等の非磁性材料で形成されているか、又は鉄やステンレス等の磁性材で形成されているかが判定できる。
図28において、203は、前記IHコイル206の直上に被加熱物N1、N2が載置されているかどうかを判定する被加熱物載置判定部である。この判定部には、各IHコイル206に対応してセンサー203S1が配置されている。そのセンサー203S1は、前記したように光学式センサーを用いているが、これ以外の方式を用いても良い。
前記センサー203S1は、各IHコイル206の中心部に確保された空洞部に1つずつ設置されている。なお、隣接する2つのIHコイル206の間に設けたり、隣接する4つのIHコイル206の中央部に1つずつ設けたりしても良い。図27においては、隣接する4つのIHコイル206の中央部に、センサー203S1と同じセンサー203S2を、1つずつ設けた例も示しているが、1つのIHコイルに、2つのセンサー203S1、203S2を設置することは必須ではない。
誘導加熱可能な被加熱物N1、N2の底面直径を、IHコイル206の外径程度まで小さいものにする場合には、IHコイル206の中心部にセンサー203S1を配置することが望ましいが、直径が数cmのような小さい鍋底を有する被加熱物を使用するケースは、現実的には殆どないので、この実施の形態3では、加熱できる最小の被加熱物N1、N2は、その底面最大直径が18cm〜20cm程度であり、少なくとも4つのIHコイル206の上方を1つの被加熱物N1、N2が覆うような関係にある。そのため隣接する2つのIHコイル206の間に前記センサー203S2だけを設けるように変更もできる。
また図27に破線で示した左側の被加熱物N1は、トッププレート55に接する底面の最大直径が22cm程度であり、底面形状が真円に近いが、同じ図27に破線で示した右側の被加熱物N2は、トッププレート55に接する底面の最大直径が30cm程度であり、底面形状が楕円形に近い。このように楕円形や長方形の底面形状を有する被加熱物N2も、誘導加熱できるようになっている。
以上の説明から明らかなように、実施の形態3の加熱調理器8は、
被加熱物N1、N2を載置するトッププレート55を上面に有する本体8Aと、
前記本体8Aの内部に収容され、互いに隣接する4個以上のIHコイルの集合体から構成されている加熱部(加熱口)67と、
前記IHコイルの個々に高周波電流を供給するインバーター回路と、
前記IHコイルの直上に被加熱物N1、N2が載置されているかどうかを判定する被加熱物載置判定部203と、
前記本体8Aの上面に設けた操作部93と、
前記本体8に設けた主電源スイッチ95の操作ボタン94と、
前記操作部93の操作に関する情報を報知する音声ガイド装置145と、
前記操作部93、前記インバーター回路214及び前記音声ガイド装置145を制御する制御装置143と、を備え、
前記加熱部部67は、前記本体8Aの左右中心線CL1を挟んでその両側に少なくとも1個所以上あり、
前記入力操作部は、前記左右中心線CL1を挟んでその両側にそれぞれ配置され、
前記制御装置143によって前記本体8A外部の排気装置9へ運転指令信号を赤外線信号で発信する発信素子154と、を備え、
前記左右中心線CL1の上で、かつ前記右操作部93Rと左操作部93Lとの間には、主電源スイッチ95の操作ボタン94を配置し、
さらに前記発信素子154からの赤外線信号(指令用光信号)が通過する通信用窓68を、前記主電源スイッチ95の操作ボタン94を挟んで、その左右両側に配置している構成である。
この実施の形態3の加熱調理器によれば、左右の加熱部67毎に設けてある操作部93L、93Rの間に、主電源スイッチ95の操作ボタン(操作面)94があるから、左右の加熱口67の何れを使用する場合でも、使用者が主電源スイッチ95を操作し易い。
また発信素子154からの赤外線信号が通過する通信用窓68を、主電源スイッチ95の操作ボタン94を挟んで、その左右両側に配置しているから、第1の発明と同様な効果が期待できる。
さらに、マルチコイル方式の加熱部206Hを採用しているので、底面の面積や形状の異なる多種類の金属鍋等を被加熱物として使用でき、利便性が高い。
実施の形態4.
図29〜図33は、本発明の実施の形態4に係る加熱調理器を示すものである。
図29は、加熱調理器の上面前方中央部の要部拡大平面である。図30は、その表示画面の表示内容を示す平面図である。図31は、図29の加熱調理器の制御関係の構成を示すブロック図である。図32は、その加熱調理器の動作ステップを示すフローチャート1である。図33は、図32に示したフローチャート1に続く動作を示したフローチャート2である。図中、実施の形態1のものと同一部分又は相当部分には同一符号を付してある。また前記その他家電機器EEや電力指令装置(統合管理装置)10等の他の装置やシステムも同じである。
この実施の形態4では、主電源スイッチ95の操作ボタン94を押した以降の、操作性を更に高めたところが1つの特徴である。
図29に示すように、加熱調理器8の本体8A上面の左右中心線CL1の下に、主電源スイッチ95の操作ボタン94が配置され、この左右には、右操作部93Rと左操作部93Lが配置されている。
右操作部93Rと左操作部93Lは、その全体にガラス板が配置され、そのガラス板の上面が、それぞれ静電容量式のタッチ式スイッチ部になっている。その右操作部93Rのスイッチ部には、静電容量の変化を検知して入力を行うタッチ式の入力キー96L、96M、96Rがそれぞれ配置されている。つまり、これら3つの入力キーは、実施の形態1のタクタイルスイッチの入力キーとは異なったものであるが、実施の形態1で説明したものと同様な入力機能を有する。
すなわち、左側のタッチ式の入力キー96Lは、加熱調理時の火力(消費電力)を下げるためのものである。また、天ぷら等の揚げ物(自動)調理をする際に、食用油の目標温度を下げるキーも兼ねている。
中央の入力キー96Mは、右側の加熱口67Rを選択するための入力キーである。右側にある入力キー96Rは、加熱調理時の火力(消費電力)を上げるためのものである。また、天ぷら等の揚げ物(自動)調理をする際に、食用油の目標温度(予熱温度)を上げるキーも兼ねている。
左操作部93Lのスイッチ部にも、右操作部93Rと同じように、静電容量の変化を検知して入力を行うタッチ式の入力キー97L、97M、97Rがそれぞれ配置されている。
入力キー97Rは、加熱調理時の火力(消費電力)を上げるためのものである。また、天ぷら等の揚げ物(自動)調理をする際に、食用油の目標温度を下げるキーも兼ねている。また、入力キー97Mは、左側の加熱口67Lを選択するための入力キーである。更に、図示していないが、この入力キー97Mの更に左側近傍には、入力キー97Lを配置しており、その入力キーは、加熱調理時の火力(消費電力)を下げるためのものである。また、天ぷら等の揚げ物(自動)調理をする際に、食用油の目標温度(予熱温度)を下げるキーも兼ねている。
図29において、108Rと108Lは、使用者がタッチしたときの静電容量の変化を検知し、使用者が触れたことを感知するための感知面であり、主電源スイッチ95の操作ボタン94の左右両側の近傍に、所定の横幅(例えば、30〜50mm)に亘って設けてある。この感知面の何れか1個所に使用者の指が触れたかどうかは、図31に示した感知部119で感知し、使用者が触れた場合には制御装置143に対して所定の接触感知信号を送信する。
図29において、37は、実施の形態1で説明したような表面カバー36の下方に、横に長く設置した1枚の支持板である。
操作部93L、93Rを構成する多数の入力キー96、97の信号を検知する電子部品や、感知面108R、108Lと入力キー96、97のそれぞれの静電誘導変化を検知する電極、入力キー96、97部分を下から照らす発光素子(発光ダイオードなど)等の各電気部品は、支持板37の上に、全て集約して実装されている。
次に図30について説明する。
図30において、91は、加熱調理器8の2つの加熱口67L、67Rに共通して使用される統合表示手段であり、液晶表示画面等の表示画面である。
前記主電源スイッチ95が閉じられた場合、表示画面91には、図30に示すように、各種の調理メニューを選択する入力キーが一斉に表示される。これらキーは、使用者がタッチするだけで入力ができる「アイコン」を兼ねている。
表示画面91に表示される各種入力キー(詳細は、以下説明する)は、使用者が指などを触れることで静電容量が変化する接触式の入力キーを採用しており、使用者がキー表面に対応した位置の、表示画面91の上面を覆うガラス製トッププレート55の上面に軽く触れることで、制御装置143に対する有効な入力信号が発生するものである。すなわち、前記各種入力キーの部分(区域)を構成する前記トッププレート55表面には、キーの入力機能を示す文字や図形などが印刷や刻印等で何ら表示されていないが、これらキーの下方の表示画面91には、それら入力キーの操作場面毎に、キーの入力機能を示す文字や図形をその都度表示する構成になっている。
図30において、160は、煮込み調理を選択するキー、161は、湯沸しを選択するキー、162は、自動揚げ物調理を選択するキー、163は、茹で動作を選択するキーである。
164は、電力削減対象の電気機器EEになっていることを示す文字情報表示部であり、煮込み調理等の優先調理メニューではない加熱調理中に電力指令装置10から電力削減指令を受けた場合には、電力使用量が制限されることがあるので、「電力削減対象」という文字が、表示画面91の右手前の隅部に表示される。
図30において、165は、健康管理情報選択キー、166は、お好み情報選択キーであり、167は、おすすめレシピを選択するキーであり、これら3つのキーは、調理メニューを選択する各種キー160〜163と同様に、タッチ式入力キーであり、入力可能な状態ではキー部分の輪郭が長方形の枠で示され、その中に名称が文字で表示される。ここでいう「レシピ」とは料理の調理方法を解説した情報をいうが、素材名とその量、作成途中や完成状態の料理外観の写真、料理に含まれる塩分量や消費カロリー値等の付属情報が含まれる場合もある。
図30で、健康管理情報を選択するキー165にタッチすると、表示画面91の表示内容は大きく変化(画面が切り替わり)し、加熱調理器8は電力指令装置10に情報提供を求め、その電力指令装置10に蓄積されている家族の健康関連データ(例えば、血圧値)の中で、正常範囲を外れた測定データがある場合に、その旨が表示される。具体的には「血圧の高いご家族がいます」という文字で表示される。なお、血圧データには、被測定者である家族を特定する識別コードが付けられて電力指令装置10の中の記憶装置25に格納されているので、個人を特定するような情報も表示できるが、家族全員で同じ調理を食するという前提であり、特定の家族だけの専用調理を作る場面ではないので、この例では個人特定情報は表示させていない。
また、図30の状態において、お好み情報選択キー166にタッチした場合は、図30の表示画面91の表示内容は大きく変化する(画面が切り替わる)。そして、家族が電力指令装置10の記憶装置25に事前に読み込ませている色々な個人的な好み、食事後の感想、居住空間での感想・好みなどの情報が、表示される。
図30において、おすすめレシピを選択するキー167にタッチした場合には、表示画面91の表示内容は大きく変化し、表示画面91には、「おすすめレシピ一覧」という文字が表示され、その下方には、素材系で3つに分類されたレシピ選択キーが表示される、
このため、野菜中心のレシピを選択することや、肉と野菜を合わせたレシピを選択することができる。
なお、電力指令装置10は、サーバー19にアクセスし、更に広範囲、多種類のレシピ情報を取得して、加熱調理器8にその都度(おすすめレシピを選択するキー167が操作された都度)提供するようにしても良い。
図30において、168は、ヘルプモードキーであり、使用者がこれに触れると、その場面で使用者の操作に参考になる情報が表示されるとともに、音声合成装置145によって、正しい操作方法が音声で報知される。なお、何度もこのキーを押した場合、この表示画面91の見方や操作方法が、模式図と文字で表示画面91全体に表示される。
169は、インフォーメーション・キーであり、これにタッチした場合、その都度、使用する被加熱物の情報や調理方法、上手に調理する注意点などを詳しく表示画面91に文字で表示する。170は、表示画面を切り替える(次の画面に進める)キーである。
以上の構成であるから、次に加熱調理動作について図31〜図33を参照しながら説明する。
まず、使用者が主電源スイッチ95の操作ボタン94を押し下げて電源投入する(ステップSB1)と、この主電源スイッチ95を介して電気エネルギーが制御装置143に供給される。そして制御装置143は、温度検出回路144や、音声合成装置145を起動し、異常な温度状態が温度検出回路で検出されない場合で、かつ異常な電圧や電流が検出されない場合には、起動時の自己チェック動作を完了する。
そして、電力指令装置10に対して運転情報信号L1を送信する(SB2)。
主電源スイッチ95を投入する前の段階で、第1の調理器具62を収納室70から取り出して、右IHコイル60Rの真上位置に置いておくことが望ましい。なお、その他の磁性金属製の鍋やその他の調理器具でも良い。
次に制御装置143は、表示部駆動回路158を起動し、加熱調理開始できる旨を、前記表示画面91で表示し、かつ音声合成装置64でもスピーカーを通じて報知する(SB3)。
制御装置143は、左IHコイル60Lか、又は右側IHコイル60Rの上に第1の調理器具62等の何らかの適当な調理器具があることを検知すると、表示画面91と音声合成装置145によって、調理メニューを選択するように促す(SB4)。
例えば、煮込み調理をしたい場合、表示画面91に表示されている4つのメニュー選択キーの内、煮込み調理を選択するキー160にタッチする。すると、制御装置143によりメニュー選択したと判定され(SB5)、次のステップに進む。そして右操作部93Rと左操作部93Lを起動し、入力を可能とする(SB6)。
このように、調理メニューの選択前は、右操作部93Rにおいては、3つの入力キー96L、96M、96Rが制御装置143によって光で表示されておらず、仮にタッチしても入力できないので、使用者が右操作部93Rに指を進めても入力操作できない。
同様に、左操作部93Lでも、入力キー97L、97M、97Rは制御装置143によって光で表示されておらず、仮にタッチしても入力できない。
使用者の指が、図29に太い矢印で示したように、主電源スイッチ95の操作ボタン94の位置P1から、正しい順番通りに次の表示画面91の位置P2に至り、そこから、次に右操作部93Rか左操作部93Rに移動すれば良い。
しかしながら、仮に使用者が、P2の位置から右操作部93Rや左操作部93Lの方向に動かず、主電源スイッチ95の操作ボタン94の側に至り、感知面108Rに触れた場合(SB6)には、不適正な操作である。そこで、この実施の形態4では、正しい操作ではないことを報知する。
例えば、操作ボタン94の位置P1の右側にある感知面108Rに触れた場合、制御装置143は、感知部119からの信号で感知面108Rに触れたことを感知するから、音声合成装置145を利用して注意喚起する(SB7)。音声にて案内する例を次に示す。
(1)「主電源スイッチ95の右側にタッチしたことを感知しました。右側の加熱口を 使用する場合には、更に右側方向に進んで、右側の操作部をタッチ操作して下さ い」
(2)「主電源スイッチ95の右側にタッチしたことを感知しました。右側の加熱口を 使用する場合には、そのまま右側方向にある操作部でタッチ操作して下さい。右 側操作部の操作を受け付けた場合、音声で案内します」
このような音声合成装置145の案内は、初心者や視覚障害のある使用者には特に便利である。誤った操作をしても、正しい操作まで導いてくれることが期待できる。
また、操作ボタン94の位置P1の左側にある感知面108Lに触れた場合でも、制御装置143は、感知部119からの信号で感知面108Lに触れたことを感知(SB9)し、上記したように、音声合成装置145を利用して注意喚起する(SB10)。この場合には、左側の操作部93Lの方向へ使用者の指を誘導するような音声ガイドの内容となる。
次に、加熱口67を選択するステップについて、図32を参照しながら説明する。
右側の操作部93Rか左側の操作部93Lの入力キー96M、97Mが操作された場合、その時点で加熱口67が選択されたと制御装置143は判定する(SB14、SB18)であったが、この順番を逆にしても良い。
しかしながら、音声合成装置145から加熱口67を選択するように音声ガイドをしたあと、使用者の指が、図29に太い矢印で示したように、表示画面91の位置P2から正しい順番通りに、次の右操作部93Rか左操作部93Rに移動せずに、再び主電源スイッチ95の操作ボタン94の側に至った際、右の感知面108Rに触れた場合(SB12)は、不適正な操作となる可能性が大きい。
そこで、この実施の形態4では、正しい操作ではないことを再び報知する(SB13)。この報知内容は、ステップSB7で説明したものと同じであるが、変えても良い。例えば音声にて案内する例を次に示す。
(1)「主電源スイッチ95の右側にタッチしたことを感知しました。右側の加熱口を 使用する場合には、更に右側方向に進んで、3つのキーの真ん中のキーを、確認 しました、という音声ガイドがあるまで、数秒間タッチし続けて下さい」
この音声ガイドの後、右側の操作部93Rの入力キー96Mが操作された場合、その時点で右側の加熱口67Rが選択されたと制御装置143は判定する(SB14)。
一方、左の感知面108Lに触れた場合(SB16)は、不適正な操作である。そこで、この実施の形態4では、正しい操作ではないことを再び報知する(SB17)。この報知内容は、ステップSB13で説明したものと同じであるが、左側の操作部93Lへ誘導する内容となる。
この音声ガイドの後、左側の操作部93Lの入力キー97Mが操作された場合、その時点で左側の加熱口67Lが選択されたと制御装置143は判定する(SB18)。
制御装置143が、右側の加熱口67Rが選択されたことを確認したあと、次のステップSB15に進む。このステップでは、電力指令装置10に対して、右側の加熱口67Rによって、「煮込み調理」が選択されたことを示す情報を運転情報信号L2R、L3Rとして送信する(SB15)。なお、送信は2回以上に分けて行うことでも、1回で纏めて行うことでも良いが、「煮込み調理」の場合、使用者が特に指定しなければ、加熱開始時の火力は1500Wであるので、このデフォルト値が同時に電力指令装置10に送信され、このような加熱調理を開始して良いかどうかの判定結果を待つ(SB21)。つまり、加熱開始許可信号の到着を待つことになる。
一方、右側の加熱口67Rが選択されたと制御装置143は判定(SB14)したステップのあと、制御装置143は発信部155を起動し、排気装置9に対して所定の排気運転の開始指令信号F0を発信する。
開始指令信号F0を発信する。この時点では使用者の指や手は、右側の加熱口67Rを選択するために右操作部93Rにあるので、発信部155が起動されて瞬時に赤外線発光素子154からの赤外線信号が、通信用窓68Rを通して、加熱調理器8の上方にある排気装置9に向けて発射されても、その信号を使用者が遮る可能性は殆どない。
以上の説明では、運転情報信号L2R、L3Rとして送信(SB15)後、電力指令装置10から加熱開始許可信号が到着する前に、所定の排気運転の開始指令信号F0を発信させているが、実際にはこの時点で被加熱物から水蒸気等は発生していないので、加熱開始許可信号の到着を待って、その後に排気運転の開始指令信号F0を発信させても良い。この方法の方が、排気装置9の運転時間を短くでき、省エネが期待できる。
なお、音声ガイド(SB13、SB17)のあと、右側の操作部93Rの入力キー96Mが操作されず、左側の操作部93Lの入力キー97Mが操作された場合、その時点で左側の加熱口67Lが選択されたと制御装置143は判定する(SB18)。
制御装置143が、左側の加熱口67Lが選択されたことを確認(SB18)したあと、次のステップSB19に進む。このステップでは、電力指令装置10に対して、左側の加熱口67Lによって、「煮込み調理」が選択されたことを示す情報を運転情報信号L2L、L3Lとして送信する(SB19)。煮込み調理は、前記ステップSB5で既に選択されている。
運転情報信号L2L、L3Lの送信は、1回ではなく、2回以上に分けて行うことでも、1回で纏めて行うことでも良いが、「煮込み調理」の場合、使用者が特に指定しなければ、加熱開始時の火力は1500Wであるので、このデフォルト値が同時に電力指令装置10に送信され、このような加熱調理を開始して良いかどうかの判定結果を待つ(SB21)。つまり、加熱開始許可信号の到着を待つことになる。
以上の説明では、運転情報信号L2L、L3Lとして送信(SB19)後、電力指令装置10から加熱開始許可信号が到着する前に、所定の排気運転の開始指令信号F0を発信させているが、実際にはこの時点で被加熱物から水蒸気等は発生していないので、加熱開始許可信号の到着を待って、その後に排気運転の開始指令信号F0を発信させても良い。この方法の方が、排気装置9の運転時間を短くでき、省エネが期待できる。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態4では、使用者の指が、図29に太い矢印で示したように、主電源スイッチ95の操作ボタン94の位置P1から、正しい順番通りに次の表示画面91の位置P2に至り、そこから、次に右操作部93Rのある位置P3か左操作部93Rに移動するように使用者に音声で具体的に案内する。
このため、この実施の形態4によれば、実施の形態1の効果に加えて、次の効果がある。
すなわち、加熱調理器8の使用に不慣れな使用者や、あるいは視覚障害のある使用者が使う場合でも、主電源スイッチ95の操作ボタン94を起点として、適正な操作手順に誘導できる。このため、使用者の利便性を向上させることができる効果がある。
実施の形態5.
図34〜図35は、本発明の実施の形態5に係る加熱調理器を示すものである。図34は、加熱調理器8の上面中央部と操作部の拡大平面図1である。図35は、図34の加熱調理器8の調理動作開始後における状況を示したものであり、本体8A上面中央部と操作部の拡大平面図2である。図中、実施の形態1のものと同一部分又は相当部分には同一符号を付してある。また前記その他家電機器EEや電力指令装置(統合管理装置)10等の他の装置やシステムも同じである。
この実施の形態5では、特にIHコイルの加熱パターンと、左右の操作部93L、93Rの入力キー96、97の機能を変化させているところが特徴である。また、感知部119の感知面108L、108Rには、次に操作すべき操作部93L、93Rを示すための矢印等の案内図形が発光ダイオード(図示せず)で表示されるところも特徴である。
図34に示す加熱調理器は、左右中心線CL1を挟んでその両側で、かつ対称的な位置に、右側の加熱口67Rと左側の加熱口67Lを有している。
右側の加熱口67Rは、本体8Aの上部(トッププレート55の下方)に所定の間隔を持って設置され、隣接位置関係にある同一の形状と大きさを有する4つ以上のIHコイル60R1〜60R4の群を有している。図34では、IHコイルは前後左右に2つずつの計4個である。
左側の加熱口67Lも、前後・左右で隣接位置関係にある同一の形状と大きさを有する4つ以上のIHコイル60L1〜60L4の群(グループ)によって、1つの加熱口を有している。
以上の通り、この実施の形態5では、左右中心線CL1を挟んでその両側に、前後左右に近接させた計4個のIHコイル群を、それぞれ1つずつ配置している。
右側の加熱口67Rについて更に詳しく説明する。
前記IHコイル60R1〜60R4の内、前後に隣接する2つのIHコイル60R4と60R3の2つで協同加熱するパターン(以下、「第1のパターン」という)と、左右に隣接する2つのIHコイル60R1と60R3の2つで協同加熱するパターン(以下、「第2のパターン」という)と、前後と左右に隣接する4つのIHコイル60R1〜60R4で協同加熱するパターン(以下、「第3のパターン」という)と、合計3つの駆動パターンが制御装置143によって選択できる。
右操作部93Rには、少なくとも3つの入力キー196L、196M、196Rがある。これら入力キーによって前記した第1のパターン、第2のパターン及び第3のパターンの何れか1つを、1回のタッチ操作で選択して加熱調理を開始できる。
入力キー196Lは、前後に隣接する2つのIHコイル60R4と60R3の2つで協同加熱するパターン(第1のパターン)を使用者が指定できる入力キーである。
入力キー196Mは、左右に隣接する2つのIHコイル60R1と60R3の2つで協同加熱するパターン(第2のパターン)を使用者が指定できる入力キーである。
196Rは、前後と左右に隣接する4つのIHコイル60R1〜60R4で協同加熱するパターン(第3のパターン)を使用者が指定できる入力キーである。
各入力キー196L、196M、196Rには、図34に示すように上面に、第1〜第3のパターンをイメージできる案内図形が表示される。なお、右操作部93Rの入力を受け付けない段階では、制御装置143によって操作部93Rに配置した発光ダイオード(図示せず)は発光しないため、前記入力キー196L、196M、196Rの上面には、第1〜第3のパターンを示す図形は表示されない(使用者に識別できない)。
第1のパターンは、図34に示すような底面が長方形又は楕円形の被加熱物N2を使用する場合に適する。
第2のパターンは、前記長方形又は楕円形の被加熱物N2を、横向きに置いて使用する場合に適する。
第3のパターンは、図34に示すような底面が円形で、かつ直径の大きな鍋等の被加熱物N1を使用する場合に適する。
このような隣接する4つ以上のIHコイルを用いて、協同加熱する加熱調理器は既に幾つか提案されており、代表的なものとして日本国特許第5233842号公報で提案された誘導加熱調理器がある。
上記先行技術は、被加熱物を載置するためのトッププレートと、前記トッププレートの下方に略同一平面に配置され、異なる円心を有する複数の円環状のIHコイルと、前記複数のIHコイルに誘導加熱電力を供給するインバーターと、前記インバーターの出力を制御する制御部と、前記制御部に加熱の開始/停止や火力設定などを指示する操作部と、を有し、前記制御部は、前記操作部の指示により、複数の前記IHコイルのうち、半数以上、全部未満の前記IHコイルに誘導加熱電力を供給し、残りのIHコイルに誘導加熱電力を供給しないように制御することにより、前記被加熱物内の前記被調理物に対流を発生させることを特徴とするものである。
本実施の形態5においても、4つのIHコイルを適宜組み合わせて加熱調理することで、特に被加熱物の内部に対流を発生させることができる調理を実行できる。
また、底面の大きさや形状が異なる被加熱物N1、N2に対応して、操作部93Rで加熱パターンを選択できるので、各種の鍋や調理メニューに応じて、IHコイルの通電パターンを選ぶことができる。
以上の構成であるから、次に加熱調理動作について説明する。
まず、使用者が主電源スイッチ95の操作ボタン94を押し下げて電源投入すると、この主電源スイッチ95を介して電気エネルギーが制御装置143に供給される。そして制御装置143は、温度検出回路144や、音声合成装置145を起動し、異常な温度状態が温度検出回路で検出されない場合で、かつ異常な電圧や電流が検出されない場合には、起動時の自己チェック動作を完了する。
そして、電力指令装置10に対して運転情報信号L1を送信する。
主電源スイッチ95を投入する前の段階で、第1の調理器具62を収納室70から取り出して、右IHコイル60Rの真上位置に置いておくことが望ましい。なお、その他の磁性金属製の鍋やその他の調理器具でも良い。
次に制御装置143は、表示部駆動回路158を起動し、加熱調理開始できる旨を、前記表示画面20で表示し、かつ音声合成装置64でもスピーカーを通じて報知する。
主電源スイッチ95の投入後、制御装置143は、感知部119の感知面108L、108Rにおいて、次に操作すべき操作部93L、93Rを示すための矢印等の案内図形を、発光ダイオード(図示せず)で表示する(図34参照)。
次に、1つの加熱口67を選択するため、使用者は右側の操作部93Rの、3つの入力キー196L、196M、196Rの何れか1つを操作すると、その時点で右側の加熱口67Rが選択されたと制御装置143は判定する。
すると、最初は入力キー96Rによって使用者が4つの隣接したIHコイル60R1〜60R4の上に被加熱物があるかどうかを、制御装置143が判定し、4つの隣接したIHコイル60R1〜60R4の上に1つの被加熱物があることが判定されると、調理メニューの入力を待ってから、本格的な高周波電力の供給を開始する(4つのIHコイルに同時又は順次通電する)。
このような加熱調理が一旦開始された直後、右操作部Rの3つの入力キー196L、196M、196Rは、その機能が制御装置143によって変更され、入力キー196Lは、火力を下げる機能の入力キー96Lに、入力キー196Mは、加熱調理を停止する入力キー96Mに、また入力キー196Rは、火力を上げる入力キー96Rに、それぞれ変更される。そのため、使用者は、火力を上げたり、下げたりでき、またいつでも加熱を停止することができる。
一方、制御装置143は、右の加熱口67Rにある4つのIHコイルの上に第1の調理器具62等の何らかの適当な調理器具があることを検知すると、表示画面91と音声合成装置145によって、調理メニューを選択するように促す。
例えば、鍋の中に対流を発生させて、麺等を茹でたい場合、表示画面91に表示されている4つのメニュー選択キーの内、茹でることを選択する入力キーを選択すれば、その選択を制御装置143が検知した後、所定の短時間(例えば、5秒経過)後に、加熱調理が開始される。
使用者の指が、主電源スイッチ95の操作ボタン94の位置から、次に右操作部93Rに移り、その後に表示画面91に移動するが、表示画面91で操作を行った後、即時赤外線発光素子154からの赤外線信号が窓68L、68Rを通過して排気装置9に送信される訳ではなく、所定の短時間(例えば、15秒経過)後に、赤外線信号(排気運転の開始指令信号F0)が発信される。この信号発信時点では、既に使用者の指や手は、表示画面91の所にはなく、右側の操作部93Rか、またはその場所から本体8Aより手前に戻っている可能性が大きい。しかも、通信用窓68Rは、表示画面91の手前で左右に分けてそれぞれ設けてあるため、赤外線発光素子154から排気装置9に向かう2つの経路の赤外線信号は、使用者によって遮られる可能性は殆どない。
この実施の形態5においても、感知面108L、108R及び感知部119を備えているので、実施の形態4と同様な音声での正しい操作手順が案内され、使用者の操作性を向上させている。
なお、この実施の形態5においても、感知面108L、108Rの構成を改良し、更に的確な操作案内ができるようにしても良い。例えば、右側の感知面108Rを、右側の操作部93Rに接近するに従って異なる音声案内ができるようにする。具体的には、感知面108Rを、操作部93Rに最も遠い左側から近い右側まで3つに区切り、その1つの区切り毎に音声案内の内容を異ならせたデータを事前に用意しておき、記憶装置143Rに格納しておく。
また1つの区切り毎に電極を配置して、指の位置が感知面108Rの左側であるのか、中央にあるのか、あるいは右側であるかどうかを、感知部119にて検知できるようにすれば良い。
あるいは、感知面において指の接触した位置の座標を求めることができるように感知部119を構成すれば良い。
つまり、感知面108Rの中で、指の最新位置を感知部119が検知できるようにすれば、指が感知面108Rの上に触れたまま、右に順次移動していることも判別できるので、右側の操作部93Rに接近するように、右側へ更に指を進めることを推奨する音声ガイドを実現することも可能となる。これにより特に使用に不慣れな初心者や、視覚障害者が使用した場面でも、主電源スイッチ95を入れた以降の、操作部93の操作性を向上させることが期待できる。
この実施の形態5では、実施の形態1と同等な効果がある。
さらにそれに加えて、前記操作部93Rは、特定の2つのIHコイルで1つの被加熱物を協同加熱する第1のパターンと、この第1の状態とは別の隣接関係にある特定の2つの加熱コイルで1つの被加熱物を協同加熱する第2のパターンと、前後と左右に隣接する4つのIHコイル60R1〜60R4の4つで協同加熱するパターン(第3のパターン)中から、1つのパターンを使用者が選択するための切り替え手段となる入力スイッチ93L、93M、93Rを有しているので、被加熱物や調理メニューに適する加熱パターンを選択でき、多種類の鍋や調理に対応できるという効果がある。
また各スイッチ93L、93M、93Rには、前記第1のパターンから第3のパターンまでを容易にイメージできる案内図形、マーク等を設けていたので、加熱パターンの選定も視覚的に容易にできる効果が期待できる。
実施の形態6.
図36〜図37は、本発明の実施の形態6に係る加熱調理器と家電機器の統合運転管理システムを示すものである。図36は、加熱調理器8の上面中央部と操作部の拡大平面図1である。図37は、図36の加熱調理器8を使用した家電機器の統合運転管理システムの動作工程を示すタイムテーブル説明図である。図中、実施の形態1のものと同一又は相当部分には同一符号を付してある。またその他家電機器EEや電力指令装置(統合管理装置)10等の他の装置やシステムも、実施の形態1のものと同じである。
実施の形態1〜5までの説明では、加熱調理器8から電力指令装置10に対して運転情報信号L2R、L3Rを送信後、加熱調理器8から排気装置9に対して、直接排気運転の開始指令信号F0を発信させて、排気装置9の運転を開始させている。
ところが、このような排気運転の開始指令信号(指令用光信号)F0で排気装置9を運転できない場合(例えば、排気装置9側にある赤外線受信装置の仕様が、加熱調理器8からの赤外線送信仕様に合致していないとき)や、更に確実に排気装置9を運転させたい場合には、電力指令装置10を介して運転させるという方法もある。
この実施の形態6は、そのような課題を解決するシステムを提案するものである。
図36について説明する。
134は、排気口77の上を覆うように設置された排気カバーで、金属板に多数の細いスリット(貫通孔)を形成しており、排気流111R、111Lが通過できるようになっている。
135は、本体8Aの左右中心線CL1を跨ぐように、トッププレート55の前方中央部の下方に設置された高温報知板であり、温度検出回路144によってトッププレート55の温度が、所定値以上である場合に赤色の発光ダイオードによる発光体136を点灯させ、使用者に注意を促す。
発光体136は、図35に示すように3個が近接して設置されており、そのそれぞれが3つの加熱口67R、67M、67Lに対応した警告(高温報知)を行う。
図36に示すように、右IHコイル60Rを備えた右側の加熱口67Rと、左IHコイル60Lを備えた左側の加熱口67Lは、左右中心線CL1を挟んで、対称的な位置にあり、かつこれら左右IHコイル67L、67Rの外径寸法と、定格最大火力及び定格最小火力は全て同一に設定されている。
67Mは、中央加熱口であり、赤外線ヒータやラジアントヒータと呼ばれる急速発熱式の輻射型電気ヒータ60Mを備えている。そのヒータの外径寸法は100〜150mm程度であり、前記左右IHコイル67L、67Rの外径寸法よりも小さく、かつ平面形状が円形を呈している。そのため口径の小さな鍋等の第3の調理器具N3を加熱することに適している。
150は、無線通信手段であり、電力指令装置10との間で無線通信を行う。この無線通信手段のアイテナ部は、図36に示すように右操作部93Rの下方に設置してある。
137〜139は、実施の形態4の入力キー96と同様なタッチ式入力キーである。
137は、右操作部93Rの入力キーであり、137Lは、火力や油の設定温度を下げるための入力キー、137Rは、逆に火力や油の設定温度を上げるための入力キー、137Mは、調理メニューを選択する入力キー、137Sは、右側の加熱口67Rでの加熱調理の開始指令と停止指令を制御装置143に与える入力キーである。
138は、左操作部93Lの入力キーであり、138Lは、火力や油の設定温度を下げるための入力キー、138Rは、逆に火力や油の設定温度を上げるための入力キー、138Mは、調理メニューを選択する入力キー、138Sは、左側の加熱口67Lでの加熱調理の開始指令と停止指令を制御装置143に与える入力キーである。
139は、中央の加熱口67Mのための中央操作部93Mの入力キーであり、139Lは、タイマー設定による加熱時間を短くするための入力キー、139Rは、逆に加熱時間を長く設定するための入力キー、139Sは、中央の加熱口67Mでの加熱調理の開始指令と停止指令を制御装置143に与える入力キーである。
159Rは、右側の操作部93R専用の表示部であり、発光ダイオードや液晶素子等によって数字(火力のレベル、予熱温度)や調理メニューを示す簡略的な図形やマーク等を表示する。
159Mは、中央の操作部93M専用の表示部であり、発光ダイオードや液晶素子等によって数字(加熱時間:分単位)を示す。
159Lは、左側の操作部93L専用の表示部であり、発光ダイオードや液晶素子等によって数字(火力のレベル、予熱温度)や調理メニューを示す簡略的な図形やマーク等を表示する。
次に図37について説明する。
この実施の形態6の加熱調理器8から、運転情報信号(調理メニューの実行や、火力の設定などを示す情報を含む)が随時、統合管理装置を兼ねた電力指令装置10に送信され、家屋1の総電力量の管理が行われている。これは、電力使用量の制限対象として使用者が事前に加熱調理器8を登録したからである。他の電気機器EEの内、電力使用量の制限を行う電気機器EE(例えば空気調和機7)においても、基本的にこの加熱調理器8と同じように運転情報を随時電力指令装置10に送信している。
L1〜L8が、加熱調理器8から電力指令装置10に送信される運転情報信号である。L3は、調理メニューを選択したことを示す運転情報信号であり、湯沸し、煮込み、揚げ物調理などの各種調理メニューの中から「自動揚げ物」を選択した場合を示す。
L4は、実際にインバーター回路120Lや120Rが駆動され、(誘導)加熱動作が開始された運転情報信号を示す。あるいは電気ヒータ60Mに通電開始され、電熱加熱動作が開始された運転情報信号を示す。
L5は、揚げ物工程が開始された情報信号を示す。これら各運転情報信号L1〜L8には、その現在時刻を示す情報が、秒単位まで含まれている。
実施の形態1で説明した温度検出回路144と同じ温度検知装置を備えており、左右の加熱口67L、67Rに置いた被加熱物(金属鍋)N1、N2の温度が、使用者の設定した予熱温度(T2)を検知する前に、それより低い温度(T1)になったことを検知できる。従って、温度検知装置からの温度検知情報を得ている制御装置143では、予熱温度検知したことを示す運転情報信号L6が発信される前(図37に示したステップSA5の段階)に、排気装置9の運転開始を求める「排気開始推奨信号」L4Aを出すことができる。但し、この実施の形態6では、実施の形態1のように、排気装置9に対して赤外線信号等で運転開始を求めるのではなく、一旦、電力指令装置10に対して、排気装置9の運転を要請するために、前記の「排気開始推奨信号」L4Aが送信される。なお、この時点で排気装置9に対して発信部155から所定の赤外線信号が発信されることを、特に無効または禁止にする構造にしていない。
電力指令装置10では、加熱調理器8からの排気装置9の運転を求める運転情報信号L4Aを受信すると、排気装置9に対して、無線通信手段150から運転開始(但し、排気風量は少ない「弱」運転のモード)の指令信号F0Aを発信する。この指令信号F0Aを排気装置9が受けると、排気装置9は運転回路が起動される(ON)。
一方、電力指令装置10では、加熱調理器8からの運転情報信号L3によって、油を含む調理が実行されることを既に知っているので、空気清浄機7が運転されている場合には、その運転を、例えば10秒後に停止するように「一時停止指令信号」を出す(図37のFB)。
電力指令装置10では、さらに以下のように動作する。
(1)空気清浄機7を運転停止することを報知する。例えば、音声ガイド装置(図示せず)により「ただいまから少しの間、空気清浄機の運転を停止します」のような案内を自動的に行う。
(2)電力指令装置10の入力部を兼ねた液晶表示画面24においても、同様な趣旨のメッセージを文字で表示する。
(3)電力指令装置10と情報通信できる家電機器EEの中にテレビ受像機がある場合、そのテレビ受像機が視聴されているときは、その表示画面の一部に、同様な趣旨のメッセージを文字で表示させる。この表示指令は、電力指令装置10が行う。
(4)上記した(1)〜(3)の表示や報知の際、空気清浄機7をどうしても運転しておきたい場合には、空気清浄機7の操作部や、そのリモコンにおいて特定のキーを押すことを同時に報知する。例えば、「#」のキーを2回押すこと等を指示する。
(5)上記(4)までの報知後、所定時間(例えば8秒)内に、そのような特定のキーが押されない場合、電力指令装置10は、空気清浄機7に対して「一時停止指令信号」を取り消す信号は出さない。
以上の動作により、空気清浄機7は、使用者が運転継続の意思を示さない限り、上記(4)の報知を行った時点から、10秒経過時に自動的に停止される(OFF)。なお、空気清浄機7がOFFとなっても、電力指令装置10との交信は随時行えるように、排気装置9の無線通信部31は待機状態になる。また、空気清浄機7は、指令通り運転停止したことを所定の運転情報信号によって電力指令装置10に報告する。
電力指令装置10は、以上のような経緯で空気清浄機7を一時停止した場合、事前に固有番号が登録されている端末機器43に対して、空気清浄機7の遠隔操作は受け付けない旨の信号FCを発信する。この時点から、後で述べる信号FHが送信される時点までは、端末機器43から空気清浄機7の遠隔操作(例えば、運転開始)は一切受け付けない。なお、端末装置43は、空気清浄機7に直接操作信号を送信して遠隔操作はできない。これは、空気清浄機7には、家屋1の外部から無線通信を直接受ける受信部を備えていないためである。
電力指令装置10に対して遠隔操作信号を送信した場合に、電力指令装置10を介して間接的に、空気清浄機7の遠隔操作できるシステムとなっている。
なお、電力指令装置10は、前記加熱調理器8から送信された前記運転情報信号L3の中に、油調理を示す情報が含まれていたときは、その信号L3を受け取り、その後加熱動作開始したことを示す運転情報信号L4を受信した時点から、空気清浄機7を完全にロックする。
つまり電力指令装置10の制御部22は、もし前記空気清浄機7がその時点(信号L4を受けた時点)で運転停止中であった場合、当該運転の開始を(その後において)許可する指令信号を発しない。つまり、前記信号FCが送信される時点の前に、端末機器43から空気清浄機7の運転を開始する遠隔操作信号を受信しても、その信号に応じて空気清浄機7の運転を開始することはない。
この実施の形態6において電力指令装置10は、加熱調理器8の運転開始に伴って空気清浄機7を一時停止した場合、端末機器43から空気清浄機7の遠隔操作は受け付けない処理を行うので、屋外にいる居住者等はこのような経緯を知らずに端末機器43から空気清浄機7の遠隔操作(例えば、運転開始)を指定しても、実際には空気清浄機7はその通りに運転されない。このため、空気清浄機7が不用意に運転開始されて、油調理の際の油煙等が堆積してフィルター33が性能劣化する等の不具合を防止できる。
前記加熱動作開始の時点から少し時間経過すると、使用開始したIHコイル60L、60Rによってトッププレート55の上の調理器具、例えば第1の調理器具62(N1)は温度が上がる。そこで、被加熱物(金属鍋)の温度が使用者の設定した予熱温度(T2)を検知する前に、それより低い温度(T1)になったことを制御装置143は検知し、「中」運転のモードを指令する(指令信号F1A)。
なお、温度(T1)になったことを検知して発信された指令信号F1Aを受信しても「中」運転に切り替えず、加熱動作開始を示す運転情報信号L4を受信した時点から1分経過後、換気装置9に対し、排気風量を少し増大させた「中」運転のモードを指令するようにしても良い。あるいは、これら2つを組合せ、何れか早い方を採用して「中」運転モードに変更するようにしても良い。
このような運転モード変更の指令信号F1Aを、統合管理装置10から排気装置9が受けると、排気装置9は「中」運転モードに変更され、排気風量が増加する。
加熱工程が更に進むと、制御装置143は、被加熱物(金属鍋)の温度が使用者の設定した予熱温度(T2)になったことを検知できる。すると制御装置143は、排気装置9に対して「強」運転モードに切り替えるように指令信号F2Aを出すことができる。
加熱工程が進み、使用中のIHコイル60L、60Rの通電を制御装置143が停止すると、加熱調理器8から運転情報信号L7が、電力指令装置10に送信される。その後も加熱調理器8は、トッププレート55の温度を検知しているので、その温度が例えば45℃未満まで下がったかどうかを監視しており、45℃未満に下がったことが検知されると、図37に示すように「換気終了推奨」という運転情報信号L7Aを発信する。これとほぼ同時に、高温報知板135の上面にある発光体136を消し、使用者がこれをトッププレート55の上から視認でき、手で触れても安全な温度まで冷えたことが分かる。
電力指令装置10では、加熱調理器8からの運転情報信号L7Aによって、加熱調理が終わったことを知ることができるので、換気装置9に対して「停止指令信号」を出す(図37のFE)。この指令信号は、加熱調理器8から発信される赤外線信号FED(実施の形態1の図22参照)に相当するものである。
排気装置9は、前記信号FEを受けると、排気運転を停止する。
また、電力指令装置10は、以上のような経緯で排気装置9の運転を停止した場合、空気清浄機7の運転再開ができる旨の情報信号FGを発信する。
この後、電力指令装置10は遠隔操作の受付ができないことを報知した特定の端末機器43に対して、空気清浄機7の遠隔操作(例えば、運転開始)が可能となったことを報知する(図37のFH)。なお、運転再開ができる旨の情報FGを発信する時点で、居住空間3の空気の質が良くなっている場合、統合環境検知部16がそのような空気質の改善を検知するので、空気清浄機7を再起動する前に、空気清浄機7の運転要否を制御装置143で判定し、空気清浄機7の運転を開始しない場合もある。
(実施の形態6の総括)
この実施の形態6の加熱調理器においても、実施の形態1と基本的に同等な効果が得られる。
さらに実施の形態6に示した家電機器の統合運転管理システムは、
居住空間3に設置された加熱調理器8と、
前記居住空間の空気を排出する第1の空気質改善機器(排気装置)9と、
前記居住空間3の空気を循環させて浄化する第2の空気質改善機器(空気清浄機)7と、
前記加熱調理器8と前記第1、第2の空気質改善機器7、9から、それぞれ運転情報を取得し、当該加熱調理器8と前記第1、第2の空気質改善機器7、9に対し、無線通信手段23から制御信号を発する統合管理装置10とを備え、
前記加熱調理器は、本体の上面に複数設けた加熱口67と、当該加熱口毎に左右に離れて設けた操作部93と、操作部の間に設けた主電源スイッチの操作面94と、前記主電源スイッチ95の投入で電源が供給され、前記第1の空気質改善機器9に運転の指令信号を発信する発信部155と、を有し、
前記統合管理装置10は、前記加熱調理器8から送信された運転情報信号L1〜L7、L4Aに基づき当該加熱調理器の運転開始を判定して、前記第1の空気質改善機器9に運転指令信号F0A、F1A、F2Aを発信し、かつ前記第2の空気質改善機器7が運転中であった場合、前記加熱調理器8から送信された運転情報信号に基づいて、前記無線通信手段23から前記第2の空気質改善機器7の停止指令信号FBを発信することを特徴とする構成であった。
従って、この実施の形態6の統合運転管理システムによれば、主電源スイッチ95の操作が行い易い加熱調理器8で、排気装置9の運転を制御することに加え、加熱調理器8の調理時に同時に運転すると支障がある空気清浄機等の第2の空気質改善機器7は、それが運転中であった場合、自動的に停止させることができる。このため、居住空間の快適性を維持する第2の空気質改善機器7の性能劣化を防止することが期待できる。
さらにこの実施の形態6の家電機器の統合運転管理システムは、
居住空間3の所定位置に固定される本体8Aの内部空間に、居住空間3の空気を強制的に導入して、食品等の被調理物を加熱しない冷却風の状態で、前記本体8Aの後部に設けた排気口77から居住空間に放出する加熱調理器8と、
前記加熱調理器8の上方にあって、当該加熱調理器8側で発生した熱気を当該空間外へ排出する排気装置9と、
前記加熱調理器8から、運転状態の情報を収集するとともに、当該加熱調理器8と排気装置9のそれぞれの運転を制御する統合管理装置10と、を備え、
前記加熱調理器は、主電源スイッチの投入後に、前記排気装置9に対して所定の運転開始指令信号(指令用光信号)を送信する窓68を備えており、
前記統合管理装置10は、前記加熱調理器8から、前記光信号とは異なる無線信号で送信された運転情報信号に基づき、前記排気装置9の運転開始を制御し、
前記統合管理装置10は、前記加熱調理器8から油を含む調理メニューの選択を示す運転情報信号を受けたときは、前記排気装置9に対して前記排気装置9の運転開始指令信号を発する構成である。
従って、この実施の形態6の統合運転管理システムによれば、加熱調理器8から排気装置9に対する赤外線信号の発信によっても排気装置9の運転を制御できない環境であっても、電力指令装置10が加熱調理器8から送信される運転情報信号によって加熱調理の実行を把握できるので、加熱調理で発生した水蒸気等を居住空間の外に排出させることができる。つまり、この実施の形態6の統合運転管理システムによれば、加熱調理時にも居住空間の快適性を維持することが期待できる。
なお、図36と図37に示したように、この実施の形態6の家電機器の統合運転管理システムは、
厨房家具15の設置口15Aに設置され、その厨房家具15の内部から吸引した空気を本体8Aの上部に形成した横長の排気口77から冷却風として集中して排出する加熱調理器8と、
その加熱調理器8の上面に置かれた被加熱物から発生する蒸気や油煙等と前記冷却風とを吸引して居住空間3の外部へ排出する排気装置9と、
前記加熱調理器8と排気装置9の2つの運転を連携させる統合管理装置10を備え、
前記統合管理装置10は、前記加熱調理器8から運転情報信号を取得し、当該加熱調理器8に対し調理開始許可信号を送信し、
さらに前記統合管理装置10が前記加熱調理器8から受信する前記運転情報信号は、前記排気装置9の運転開始を推奨する第1の信号L4Aと、加熱調理工程が所定の段階に進んだことを示す第2の信号L6の少なくとも2つあり、
前記統合管理装置10は、前記第1の信号L4Aを受けた場合には、前記排気装置9の電動ファン26Fを第1の排気能力で運転させる「第1運転」モードの制御信号F0Aを発信させ、前記第2の信号L6を受けた場合には、第1の排気能力より大きな排気能力(「強」運転モード)で運転させる「第2運転」モードの制御信号F2Aを発信させる構成であった。
このため、この実施の形態6によれば、加熱調理器8の運転開始に伴って、最初は「弱運転」モード等の「第1運転」モードで排気装置9の運転を開始させ、その後、予熱工程の段階で予熱温度に到達したことなど所定の段階に進んだときに、排気装置9の運転を、「強運転」モード等の「第2運転」モードに切り替えて排気量を増強させることができる。これにより加熱調理に伴って蒸気や油煙の発生量が多くなっても、それらを排気口77からの排気流とともに排気装置9が回収し、居住空間3の外部へ排出することが期待できるという効果がある。
しかも、加熱調理器8の本体8Aにある排気口77から冷却風を排出するので、加熱調理時に発生する蒸気等の排出効果も高い。
また、この実施の形態6の家電機器の統合運転管理装置10においては、前記制御装置22は、前記加熱調理器8の運転時に、運転を停止すべき家電機器(例えば、空気清浄機7)がある場合、当該家電機器(空気清浄機7)に対して運転の停止指令信号FBを、前記「第2運転」モードの制御信号F2の発信より前の段階で発信することを特徴とする構成を備えていた。
このため、加熱調理器8の運転開始に伴って空気清浄機7を自動的に停止させることができるので、空気清浄機7が油煙等を吸い込んで、性能劣化するという不具合を防止できるという効果を奏するものである。
実施の形態7
図38〜図41は、本発明の実施の形態7に係る加熱調理器と家電機器の統合運転管理システムを示すものである。図38は、加熱調理器8の上面中央部と操作部の拡大平面図1である。図39は、図38の加熱調理器8の動作を時系列で説明するためのフローチャートである。図40は、図38に示す加熱調理器、排気装置及び統合管理装置の動作を時系列に説明するための説明図1である。図41は、図38に示す加熱調理器、排気装置及び統合管理装置の動作を時系列に説明するための説明図2である。図中、実施の形態1のものと同一又は相当部分には同一符号を付してある。またその他家電機器EEや電力指令装置(統合管理装置)10等の他の装置やシステムも、実施の形態1及び6のものと同じである。
この実施の形態7は、レンジフードファン等の排気装置9が、「常時換気モード」を有して連続的に運転されているタイプの場合に、加熱調理器8側でそれに対応した運転モードを選択でき、かつ加熱調理器8の試験運転も可能にしたことが特徴である。
居住空間内には、居住者の呼吸で発生する炭酸ガスや、水蒸気、また家具や壁、カーテンなどから発生するホルムアルデヒド、衣類・布団等からの埃や塵、加熱調理などによる蒸気や臭気等が発生する。
そこで、このような各種の不快な汚染物質を居住空間から除去するために、日本の建築基準法の改正により、現在では新規に着工する新築や増改築住宅では、常時換気システムの設置が義務付けられている。
この実施の形態7でいう「常時換気モード」とは、そのような用途のために、排気装置9を連続的に運転して、居住空間の中の空気を常時入れ替えるものであり、微弱風量で連続的に換気を行う運転モードをいう。「24時間連続換気」運転と呼ばれる場合もある。なお、この実施の形態では、「常時換気モード」を、以下の説明では「常時排気モード」と呼ぶ。「排気」と「換気」は、この実施の形態7では同じ意味として使用する。
常時換気モードで排気装置9を運転する場合、加熱調理器8の終了に連動して排気装置が停止されない運転を行う必要がある。言い換えると、この常時排気モードが設定されている排気装置では、加熱調理器8の運転終了に伴って排気装置を誤って停止させてしまうことを防止する必要がある。
この実施の形態7で、「微弱運転」とは、部屋全体の常時排気にも使用することができる程度の微弱風量で排気を行うものであり、例えば1時間あたり、200立方メートル以下の風量をいう。これを超えた風量(1時間あたり)は「弱」運転と呼び、例えば201〜400立方メートル、さらに「強」運転とは、401〜600立方メートル(1時間あたり)である。なお、必要排気量の求め方は、部屋の種類や用途などにより異なり、大きく分けて建築基準法に定められる方法と、部屋の必要排気(換気)回数から求める方法、室内の汚染進度から求める方法等があるため、特に上記風量の例には限定されない。
この実施の形態7では、加熱調理器8側で、常時排気モードに設定することができることが特徴であり、操作部93の入力キーを特殊な操作で簡単に「常時排気モード」に設定できる。
図38において、左の操作部93Lには、IHコイル60Lの火力を下げることと、加熱時間(通電時間)を短く設定することを兼用した(タッチ式の)入力キー138Lを備えている。また、IHコイル60Lの火力を上げることと、加熱時間(通電時間)を長く設定することを兼用した(タッチ式の)入力キー138Rを備えている。このような構成は、実施の形態6と同じである。
図38において、右の操作部93Rには、IHコイル60Rの火力を下げることと、加熱時間(通電時間)を短く設定することを兼用した(タッチ式の)入力キー137Lを備えている。また、IHコイル60Rの火力を上げることと、加熱時間(通電時間)を長く設定することを兼用した(タッチ式の)入力キー137Rを備えている。このような構成は、実施の形態6と同じである。
操作ボタン(操作面)94を下に押し下げて主電源スイッチ95をONにしたあと、前記左右の操作部93L、93Rの2つの入力キー138R、137Lを、同時にタッチしてそのまま数秒間維持する(長押し状態)と、常時換気モードに設定することができる。また、常時排気モードに設定した後で、同じ操作を再度行うと常時排気モードを解除し、元に戻すことができる。これら常時排気モードの設定と解除は、その都度、表示画面91に表示される。また、そのような排気モードの情報は、加熱調理期間中は、表示画面91に表示され続けるので、常時排気モードで運転しているのか、又は通常排気モードで運転しているのかどうかを、使用者は目視で確認できるようになっている。
互いに別の操作部93L、93Rの2つの入力キー137L、138Rを同時に操作することは、通常ではあり得ないので、このような特殊な操作を所定時間継続している場合に限って、操作部93から制御装置143に対する常時排気モードの設定命令が有効となる構成である。なお、常時排気モードに設定する作業は、加熱調理器8を厨房家具15に設置した際に、専門の設置工事業者や加熱調理器8の販売店の作業者等が行うものであり、一般の使用者が行うことは想定していない。従って、操作部93L、93Rにおける前記入力キー137L、138Rの個々のタッチ面には、常時排気モードの設定用であることが容易に分かるような(光による)表示は行われない。
次に図39について説明する。この図39は、加熱調理器8の制御装置143の動作ステップを示すフローチャートである。
主電源スイッチ95が投入される(SE1)と、表示画面91と音声合成装置が起動され、調理を開始する旨の音声ガイドが行われる(SE2)。
そして左右の操作部93L、93Rと中央の操作部93Mが共に駆動され、各種入力キーの名称と輪郭を光で浮かび上がらせる。そして制御装置143は入力を待つ待機状態となる(SE3)。
この実施の形態7の加熱調理器8では、メーカからの出荷時点では、初期設定は「通常排気モード」に設定されている。そのため、左右の操作部93L、93Rの2つの入力キー138R、137Lを同時にタッチしたまま所定の時間(5秒程度)継続すると、左右操作部93L、93Rからの入力を制御装置143が判別し、「通常排気モード」は取り消され、常時排気モードが選択(切り替え)されたものと識別する(SE4)。そして、常時排気モードの制御プログラムに従って、以下の動作を行う。なお、この後、左右の操作部93L、93Rの2つの入力キー138R、137Lを同時に所定時間操作された場合には、「常時排気モード」は取り消され、通常排気モードが選択でき、以後も同様にこのように排気モードの切替え動作が繰り返す。
次のステップ(SE5)では、表示画面91の中に選択された排気モードが文字や図形で表示される。なお、これと同期して、音声合成装置145によって「常時排気(換気)モードが選択されました」等のような音声での報知を行って、操作者(加熱調理器8の設置業者等)に注意を喚起しても良い。
次のステップ(SE6)では、表示画面91の中に、設定した排気モードのテストを行うかどうかの表示が現れ、その表示画面91に示された所定のアイコン(タッチ式キー)を、所定時間内(例えば30〜1分以内)にタッチした場合には、テストモードが選択され、テストモードが開始される。
ここでいう「テストモード」とは、実際には加熱調理器8の全ての加熱口67において、加熱動作を実行せず、排気装置9に対する排気運転の指令信号や排気変更推奨信号だけを所定の短時間(例えば30秒以内)に順次発信し、排気装置9が実際にどのように運転されるのかを確認するためのものである。
一般に排気装置9は、3段階や5段階、あるいは更に多段階で排気能力を可変できるようになっているので、排気運転が開始されていても、使用者には判断がしにくい。例えば、排気運転の状態を排気装置9側において、排気能力レベルの違いまで発光体等で表示していれば良いが、このような表示がない場合には、運転状態の音を実際に人が聞いて、感覚的に判断するしか方法がない。つまり、排気装置9の正確な運転状態を判断するのは困難を伴う。
この実施の形態7の加熱調理器8では、その表示画面91と操作部93が、起動されたままの状態で、制御装置143は疑似的に排気運転の指令信号を発信するように発信部155に指令する。
しかし、制御装置143は、インバーター回路120L、120Rと第1の送風機BM1は、駆動を指令しない。そのため、3つの加熱口67L、67M、67Rでの加熱動作は行われないし、第1の送風機BM1による冷却風の導入も行われない。
ステップSE6で、テストモードが選択された場合、次のステップSE7に進み、テストモードが選択されたことを示す特別な信号(以下、「テストモード選定信号」という)が、表示画面91の部分に設けてあるタッチ式入力手段(図示せず)から制御装置143に入力される。
テストモード選定信号を受けると、制御装置143は、事前に記憶させてあるテストモードの実行プログラムを起動する。そして、「常時排気モード」と「通常排気モード」の何れの場合でも、加熱調理器8からの排気運転の(開始・終了)指令信号と、排気変更推奨信号は、(テストモード選定信号を受信した時点から)所定の短時間内(例えば、10秒以内)に順次発信される(SE8)。なお、排気運転開始の指令信号を出してから直ぐに、次の排気変更推奨信号は発信されない。排気装置9では、運転開始から「弱」、「中」、「強」等のモードに切り替わるのに、所定の時間を要するからである。
排気装置9では、前記指令信号F0、F2等を受信した場合、確認信号LX1〜LX3を発信するので、これら確認信号は、制御装置143によって受信される(SE9)。これにより、この信号の受信は、制御装置143によって表示画面91に時系列で一覧状態にて表示される。つまり、確認信号LX1、LX2、LX3を順次受信した場合は、その順番通りに、受信した事実が文字や図形等で表示される。また、このような受信結果については、音声合成装置145で報知される(SE10)。
前記ステップ(SE9)では、「常時排気モード」と「通常排気モード」の何れの場合でも、表示画面91の中に以下のような表示が行われる。
(1)電力指令装置10経由で排気装置9を制御している場合。
(ア)加熱調理器8の無線通信手段150から排気運転の推奨指令信号L4A、L 4B、L6Cが、出力されたこと。
(イ)電力指令装置10から、確認信号LX1〜LX3を受信したこと。
(2)加熱調理器8の無線通信手段155からの赤外線信号で排気装置9を直接制御し
ている場合。
(ア)排気運転の(開始・変更・終了)指令信号F0、F2、FEが、発信部15
5から出力されたこと。
(イ)排気装置9から、確認信号LX1〜LX3を受信したこと。
「テストモード」を終えたあとは、再び前記ステップ(SE4)に戻る。そのステップSE4では、所定の時間内(例えば30秒〜1分以内)に排気モードの選択が行われなかった場合には、次のステップSD11に進む。このステップは、実施の形態1の図19に示したステップS4と同じものである。このステップSD11において、表示画面91と音声合成装置145によって加熱口67の選択を促す表示と報知が行われる。
前記ステップSD11で加熱口67の選択が行われた場合には、実施の形態1の図19に示したステップS5と同じようなステップに進む。これ以降、調理メニューの選択のステップも経て加熱調理を開始できることになる。
図40は、加熱調理器8と排気装置9及び電力指令装置10の3者の、相互の連携動作を示すタイムテーブル1である。
この実施の形態7では、レンジフードファン等の排気装置9には、実施の形態1で説明したように、通信部30を備えている。通信部30は統合管理装置10との無線通信又は赤外線通信で情報の授受を行う。この実施の形態7でも、統合管理装置10との無線通信を行う第1の送受信部と、加熱調理器8からの赤外線信号を受信する赤外線受信部と、を備えている。
前記排気装置9の通信部30は、電力指令装置10に対して無線信号で運転情報信号LF1〜LF4を随時送信する。例えば、排気装置9の主電源が投入された時点では、運転情報信号LF1が発信される。また「弱」運転が開始された場合には、その直後に運転情報信号LF2が発信される。
図40に示すように、排気装置9では、通常排気モードの場合、主電源が投入された段階(ON時点)で、電力指令装置10に対して所定の運転情報信号LF1が送信され、また、排気運転を停止した場合には、その時点で所定の運転情報信号LF4が送信される。つまり、加熱調理器8から排気運転の開始指令信号F0、変更指令信号F2、停止指令信号FEを受けた場合には、その都度排気装置9から応答信号LX1〜LX3を発信する。
これら応答信号LX1〜LX3は、電力指令装置10の通信部23が受信し、加熱調理器8の無線通信手段150に対しては、排気装置9の「運転確認信号」LX1、LX2、LX3として、その都度送信される。この送信された信号を、加熱調理器8の制御装置143が分析し、受信した時系列で、表示画面91の中に一括して文字や図形等で表示する。
つまり、加熱調理器8では、これら運転確認信号LX1、LX2、LX3を受信した場合、「テストモード」を実施した結果、排気装置9に対して所定の排気運転の指令信号(赤外線信号)が送信され、排気装置9側で正常に排気運転できる状況であることが推定できる。
図40に示すように、排気装置9では、常時排気モードの場合、主電源が投入された段階(ON時点)以降は、所定の微弱運転を毎日24時間継続しているで、加熱調理器8から排気運転の開始指令信号F0を受けた場合には、「微弱」運転から「弱」運転に変更される。また、その「弱」運転中、変更指令信号F2Aを受けた場合には「強」運転に変更される。
さらに「強」運転中に、停止指令信号FEを受けた場合には、排気運転は停止される。ず、「微弱」運転に戻されて、その後も運転は継続される。
次に図41について説明する。
この実施の形態7においては、加熱調理器8が電力指令装置10を介して排気装置9と連携するようになっている。
このような構成の利点について以下説明する。
加熱調理器8で排気装置9の運転を直接制御するように設定している場合、加熱調理器8の発信部155から仮に赤外線信号が出されても、それに排気装置9が応答しないケースがある。この1つの原因には、先に設置してあった排気装置9の下方に、あとから加熱調理器8を設置した際に、排気装置9と加熱調理器8の赤外線通信の規格が合致していないことがある。あるいは、排気装置9側の受信部30を構成する赤外線受信部が長年の使用で劣化し、受信機能に障害が発生している場合である。
この実施の形態7では、このように加熱調理器8の赤外線通信による排気運転の指令が成功しない場面でも、電力指令装置10と排気装置9との無線通信機能が有効であれば、排気を確実に実行させることができる。
図41に示すように、例えば加熱調理器8の加熱口67Lで「自動揚げ物調理」が選択され、誘導加熱が開始された場合、運転情報信号L4が加熱調理器8の無線通信手段150から発信される。この運転情報信号Lを受けて、その直ぐあとに、電力指令装置10からは排気運転の変更推奨指令信号L4Aが無線通信部23から排気装置9に向けて送信される。なお、この図41で、「排気運転の開始指令信号」と呼ばず、「変更推奨指令信号」と呼んでいるのは、常時排気モードではこの運転情報信号L4の発信前から排気装置9は「微弱」運転されているためである。
電力指令装置からは、排気装置9に対して「微弱」運転から「弱」運転に変更するように指令信号F0Aが発信される。もし、排気装置9が常時排気モードで「微弱」運転されていない場合には、「弱」運転の開始指令信号となる。
何れにしても、「弱」運転が開始された場合には、排気装置9は応答信号LF2を発信し、この応答信号を受けて電力指令装置10は、所定の運転確認信号LX1を加熱調理器8に発信する。この運転確認信号LX1は、加熱調理器8の無線通信手段150で受信される。
その後、加熱工程が進み、左の加熱口67Lの上に置いた被加熱物N1の中の食用油の温度が上昇したことを加熱調理器8で検知し、所定の予熱温度に近づいたことが判定されると、図41に示すように、排気運転の変更推奨指令信号L4Bが無線通信部23から出力される。
例えば加熱調理器8で、左側の加熱口67Lで「自動揚げ物調理」が選択され、誘導加熱が開始された場合、被加熱物N1の中の食用油の推定温度が、目標温度(例えば150℃)に至る前の段階(例えば100℃)になった段階で、変更推奨指令信号L4Bが電力指令装置10に対して無線通信手段150から発信される。
変更推奨指令信号L4Bを受けて電力指令装置10は、排気装置9に対して「弱」運転から「強」運転に変更するよう、指令信号F2Aが発信される。
すると、「強」運転が開始された場合には、排気装置9は応答信号LF3を発信し、この応答信号を受けて電力指令装置10は、所定の運転確認信号LX2を加熱調理器8に発信する。この運転確認信号LX2は、加熱調理器8の無線通信手段150で受信される。
同様に、加熱調理器8における調理が進み、左の加熱口67Lでの「自動揚げ物調理」が終わって、左IHコイル60Lへの通電が遮断(ОFF)されると、電力指令装置10では、加熱調理器8からの変更推奨指令信号L6Cによって、加熱調理が終わったことを知ることができるので、換気装置9に対して停止指令信号FEを発信する。
すると、「強」運転中であった排気装置9は応答信号LF4を発信し、この応答信号を受けて電力指令装置10は、所定の運転確認信号LX3を加熱調理器8に発信する。この運転確認信号LX3は、加熱調理器8の無線通信手段150で受信される。
なお、「強」運転を停止するタイミング及び「強」運転から「微弱」運転の常時排気モードの運転に変更するタイミングは、前記停止指令信号FEの直後でも良いし、居住空間の中の調理による臭いや汚染空気を十分排出させるために、数分程度遅らせても良い。
(実施の形態7の総括)
この実施の形態7の加熱調理器においても、実施の形態1と基本的に同等な効果が得られる。
さらにこの実施の形態7の加熱調理器8では、「常時排気モード」と「通常排気モード」の何れの場合でも、表示画面91の中に参考情報を表示させていた。
しかも、そのような2つの排気モードの設定は、操作部93に設けた入力キー138R、137Lを、モード設定用にも兼用させているので、操作部93の限られた表面積の中に排気モードの設定のためのキーを設けることができる。このため、製造コストを増加させずに排気モードの設定ができる。
このため、常時換気モードで排気装置9を運転する場合、加熱調理器8の終了に連動して排気装置9を不用意に停止させてしまうということがない。
さらに、「テストモード」を実行することができるため、加熱調理器8から排気運転の開始指令信号F0A、変更指令信号F2A、停止指令信号FEに相当する信号を発信させたかどうかを、加熱調理器8自体で確認できる。
そのような動作確認は、加熱調理器8の無線通信手段150で受信する排気装置9からの運転情報信号LF1、LF2等によって電力指令装置10が確認でき、これに応じて電力指令装置10から送信される運転確認信号LX1、LX2、LX3等を、加熱調理器8が受信することで行うことができる。
この実施の形態7では、加熱調理器8側からの排気装置9のための運転指令信号(変更推奨指令信号)L4A、L4B、L6Cの発信と、排気装置9側からの運転確認信号LX1、LX2、LX3の受信を、加熱調理器8で確認できる。つまり、「テストモード」に設定して加熱調理器8を運転した場合、排気装置9の応答動作が、時系列で、表示画面91の中に表示された文字や図形等で確認できる。
以上の通り、加熱調理器8では、排気装置9との間で、運転指令信号(赤外線信号)を送信でき、かつ、排気装置9側で正常に排気運転できる通信環境にあることが、実際の加熱調理を実行しなくとも、テストモードの実施によって確認できる。
さらに、実施の形態7で示した家電機器の統合運転管理システムは、
居住空間3に設置された加熱調理器8と、
前記居住空間の空気を排出する第1の空気質改善機器9と、
前記加熱調理器8と前記第1の空気質改善機器9から、それぞれ運転情報を取得し、当該加熱調理器8と前記第1の空気質改善機器9に対し、無線通信手段23から制御信号を発する統合管理装置10とを備え、
前記加熱調理器は、本体の上面に複数設けた加熱口と、当該加熱口毎に左右に離れて設けた操作部と、操作部の間に設けた主電源スイッチ95の操作面94と、前記主電源スイッチ95の投入で電源が供給され、前記第1の空気質改善機器9に運転の指令信号を発信する発信部155と、を有し、
前記統合管理装置10は、前記加熱調理器8から送信された運転情報信号L1〜L6、L4A、L4Bに基づき当該加熱調理器の運転開始を判定して、前記第1の空気質改善機器9に運転指令信号F0A、F1Aを発信することを特徴とする構成であった。
また、この実施の形態7で説明した統合管理装置(電力指令装置)10は、以下の構成を備えていた。
すなわち、居住空間3に設置された加熱調理器8と、前記居住空間の空気を排出する第1の空気質改善機器(排気装置)9とから、それぞれ運転情報を取得し、当該加熱調理器8と前記第1の空気質改善機器9に対し、無線通信手段23から制御信号を発することを決定する制御装置22を備え、
前記制御装置22は、前記加熱調理器8から送信された運転情報信号L1〜L8、L4A、L4B、L6Cに基づき当該加熱調理器8の運転開始を判定して、前記第1の空気質改善機器9に対して無線通信手段23から前記運転指令信号F0A、F2Aを発信させ、当該運転指令信号F0A、F2Aの発信後、前記第1の空気質改善機器9から応答信号LF2、LF3を受信した場合、前記加熱調理器8に対して運転確認信号LX1、LX2を前記無線通信手段23から送信させる構成である。
この実施の形態7の統合管理装置(電力指令装置)10によれば、加熱調理器8から赤外線(光)信号によって第1の空気質改善機器(排気装置)9の運転を、直接制御しない(又はできない)場合であっても、前記加熱調理器8から送信された無線通信による運転情報信号L1〜L6、L4A、L4Bに基づき当該加熱調理器の運転開始や調理の進捗を判定して、前記第1の空気質改善機器9の運転の開始又は変更を行わせることができる。
さらに、第1の空気質改善機器9から応答信号があったことを加熱調理器に向けて、運転確認信号LX1、LX2で報知するから、加熱調理器8側でそのような運転確認信号の存在を確認することで、第1の空気質改善機器9と加熱調理器8が、統合管理装置10を介して連携していることが確認できる。
従って、第1の空気質改善機器(排気装置)9が既にキッチン等に設置されている状態で、後から買い替えた新しい加熱調理器8を設置する場合、あるいはこの逆で加熱調理器8を設置後に、後から買い替えた新しい第1の空気質改善機器(排気装置)9を設置工事する場面では、この実施の形態7の統合管理装置(電力指令装置)10によって、それら2つの電気機器の連携運転が確認できる。
さらに、この実施の形態7では、前記運転確認信号LX1、LX2の受信有無を表示する表示画面91と、テストモードの実行を指令できる操作部93を備えているので、特に加熱調理器8や排気装置9の新規設置時や更新時の作業性、利便性が更に高まる。
なお、前記運転確認信号LX1、LX2の受信については、音声合成装置145を利用して報知させても良い。
実施の形態8.
図42〜図46は、本発明の実施の形態8に係る加熱調理器8を示すものである。図42は、実施の形態8に係る加熱調理器の平面図である。図43は、図42の加熱調理器の第1の調理器具と温度検出回路等の関係を示す模式図である。図44は、図42の加熱調理器8の動作を時系列で説明するためのフローチャートである。図45は、図42に示す加熱調理器、排気装置及び電力指令装置の動作を時系列に説明するための説明図である。図46は、図42の加熱調理器8において、排気モードを強運転モードに切り替えるための各種条件例の説明図である。図中、実施の形態1のものと同一又は相当部分には同一符号を付してある。またその他家電機器EEや電力指令装置(統合管理装置)10等の他の装置やシステムも、実施の形態1及び6のものと基本的に同じである。
この実施の形態8では、加熱調理器8の動作プログラムを一部変更し、より迅速に排気装置9と連携できるようにしたものである。さらに第1の調理器具62は、それ自体から温度信号を送信するように改良していることも特徴である。
図42において、137Pは、右操作部93Rの入力キーである。この入力キーは、全体が横に長い三角形状を有しており、この入力キーに使用者が指を触れたまま、右方向に動かせばその移動量に応じて入力電圧が変化して制御装置143に入力される。このため右方向に移動すれば、それに応じて右の加熱口67RのIHコイル60Rの加熱能力、すなわち火力値が増加する。逆に左に動かせば、左に行くほど火力値が小さくなる。このため、実施の形態1と4に示したような各種入力キー96L、96M、96Rの数を減らすことができ、またタッチした指をそのまま左右に動かすことで火力値を設定できるので、操作性が良い。入力キー137Pの部分は、静電容量式タッチスイッチを構成している。
図42において、138Pは、左操作部93Lの入力キーである。この入力キーは、全体が横に長い三角形状を有しており、この入力キーに使用者が指を触れたまま、右方向に動かせばその移動量に応じて、右の加熱口67LのIHコイル60Lの加熱能力、すなわち火力値が増加する。逆に左に動かせば、左に行くほど火力値が小さくなる。このため、実施の形態1と4に示したような各種入力キー97L、97M、97Rの数を減らすことができ、またタッチした指をそのまま左右に動かすことで火力値を設定できるので、操作性が良い。入力キー138Pの部分は、静電容量式タッチスイッチを構成している。
次に図43に示した第1の調理器具(調理器具)62について説明する。
金属製の鍋等の調理容器に、温度検知手段と、その温度検知手段の計測温度を無線で送信するためのICタグとを設けることは既に提案されている。
代表的なものとして、日本特許第4089545号公報には、調理物を入れる金属製容器と、前記容器を加熱する誘導加熱調理器とを備え、前記容器の本体には、温度検知素子を取り付けるとともに、その容器のハンドル部分にICタグを設け、前記誘導加熱調理器は、前記ICタグと通信を行う通信手段と、この通信手段の信号を受ける高周波電流発生手段を設けた誘導加熱調理装置が開示されている。
また日本特許第4848741号公報には、金属製の鍋(容器)に取付けられたICタグと通信を行う誘導加熱調理器が開示されている。具体的には、トッププレートの上に置かれた前記容器の底面に、温度検知手段を内蔵させ、その温度検知手段の温度が上昇すると、その温度検知手段の抵抗値の変化を、ICタグがアンテナを介して加熱調理器本体側にあるリーダに送信し、そのリーダはその信号を誘導加熱の制御手段に送るという構成である。前記制御手段はリーダから送信された計測温度と設定温度(例えば、180℃)を比較して、高周波電流発生手段(インバーター回路)の高周波出力を制御し、前記容器の温度を180℃に保つというものである。
この実施の形態8における第1の調理器具62も、温度信号を送信する機能がある。
図43において、第1の調理器具62の皿部63は、磁性金属の鋳物製であるか、または鉄等をプレス成型して形成されている。あるいは非磁性金属、例えばアルミニウム製の容器の底面に、磁性金属の短冊状の板を規則的に並べて張り付けて形成されている。
この第1の調理器具62の皿部63には、その側面に温度検知素子171が、例えば耐熱性接着材(例えば、シリコン樹脂)で密着状態に取り付けられている。
取っ手66には、前記温度検知素子167からの温度検知信号を受けるICタグ172が装着されている。
一方、トッププレート55の下面の所定位置には、図42に示すように、前記ICタグ172からの無線信号を受けるアンテナ173が設置されている。174は、前記アンテナ173で受けた情報を読み取るためのリーダであり、中央の操作部93Mの後方近傍に設置されている。リーダ174の上方は表面カバー36によって覆われ、使用者の手が触れないようになっている。
温度検出回路144は、トッププレート55に接触してその温度を調節検出するサーミスタ等の接触式温度センサー(図示せず)と、トッププレート55の下に配置され、そのトッププレート55を透過して届く赤外線の量から、トッププレート55上に置かれた被加熱物(第1の調理器具62、第2の調理器具90を含む)の温度を検知する赤外線温度センサー(図示せず)と、本体ケース53の内部空間やインバーター回路基板117の温度を検知する接触式温度センサー(図示せず)等、数個の温度センサーの温度計測データを取得する。
そしてこの温度検出回路144には、前記温度検知素子171からICタグ172を介して送られた温度計測データも入力されるようになっている。
次に図44のフローチャートを説明する。この図は、図19〜図21と同様に、制御装置143の動作ステップを示すものである。
この図44に示すように、油調理を開始したステップSF1(図21のSA1に相当)のあと、制御装置143は、排気装置9に対して運転開始の指令信号F0を赤外線発光素子154から送信する(SF2)。
この運転開始時は、排気装置9は、排気風量が3段階(大・中・小)の内の、「中」段階風量を意味する「普通運転」モードの風量で運転される。なお、この指令信号(制御信号)F0は、実施の形態1のように加熱動作開始から30秒経過してからで良いが、加熱動作開始と同時でも良い。前者の方が、排気装置9の運転時間が短くなるので、トータルでの消費電力量を少なく抑えることができる。
また電力指令装置(統合管理装置)10に対して運転情報信号F0Aを発信する。そして次のステップSF3では、所定の「強運転」モードの条件を満たすかどうかの判断がされる。
ステップSF3において、「強運転」の条件を満たした場合、電力指令装置10への空気清浄機7の運転有無を照会することをせず、排気装置9に対して「強運転」モード開始の指令信号F2を赤外線発信素子154から送信する。また電力指令装置10に対して、「強運転」モードに切り替えたことを示す運転情報信号F2Aを発信する。なお、「強運転」モードに切り替える条件については、あとで詳しく説明する。
このあとは、図21のステップSA6と同じ動作を行い、図21のステップSA7、SA11、SA12と同じステップの動作を行う。そして居住空間3の空気が汚れている場合には、図21のステップSA13で説明したように空気清浄機7の運転要請を電力指令装置10に行う。
この実施の形態8では、実施の形態1の図21で説明したように、記憶装置143Rから環境情報と空気清浄機7の運転情報を読み出して、空気清浄機7が運転されているかどうかの処理を制御装置143で行うステップSA2を省略しているので、所定の「強運転」の条件を満たした場合、迅速に排気装置9の排気能力を上げて、油煙等の排気に対応させることができる利点がある。
図46は、図44のフローチャートのステップSF3で示した「強運転」の条件について説明したものである。
図46では、強運転の開始条件を満たす条件を記載してあるが、第1条件が第2条件以下に優先するものではなく、この表に記載の各条件は優劣がない。どれか1つの条件を満たしたことが加熱調理器8の制御装置143で判定された場合、ステップSF3は「Yes」となり、排気装置9に対して「強運転」を求める指令信号が発信される。
電力指令装置10は、必ずしも空気清浄機7や排気装置9の通電を開始したり、停止したり、運転条件を変更したりする制御機能を保有していると限らない。そのため、排気装置9の運転モードが、例えば「弱運転」から「中運転」又は「強運転」に変化したことを電力指令装置10が感知しても、それに基づいて排気装置9を直接コントロールすることができない場合がある。このような場合でも、この実施の形態8では加熱調理器8を介して排気装置9の運転条件を変更でき、例えば「中運転」から「強運転」のモードに変更させ、居住空間の空気質、快適性を維持できる。
図46において示された各種条件について、以下解説する。
(1)第1条件:IHコイル通電開始からの連続経過時間と、火力(500W)との双 方を満たした場合をいう。例えば、火力500W以上でIHコイルが連続3分間 以上継続した場合である。
(2)第2条件:IHコイル通電開始からの温度上昇度合をいう。ここでいう温度とは 、調理メニューの1つである「油調理」を行う場合の、食用油、被加熱物、トッ ププレート55の少なくとも何れか1つの温度をいう。そして温度上昇の大きさ は、例えば(食用油以外は)70度で良い。このため、トッププレート55の温 度が25℃で加熱調理開始されたケースでは、95℃まで上昇した場合に条件が 満たされる。また、食用油の場合は、過熱による発火を避けるため安全性を考慮 して例えば50度に設定されている。
(3)第3条件:IHコイルが火力2kwで通電開始された場合をいう。フライパン等 に少ない油を入れて、火力を2kw以上に設定して調理開始すると、急速にフラ イパン等が加熱され、油煙が発生することを想定した条件である。
(4)第4条件:IHコイル通電開始により、一般に市販されている各種鍋等の被加熱 物や、第1の調理器具62、第1の調理器具90の温度が90℃を超えた場合。 なお、この温度は、前記したような温度検出回路144の検出温度であれば良く 、例えば前記第1の調理器具62では、それに取り付けられている温度検知素子 167の検出温度でも良い。
(5)第5条件:前記第4の条件と類似しているが、第1の調理器具62の温度が90 ℃以上になっていることを温度検出回路144で検出した場合。
(6)第6条件:トッププレート55の温度が90℃以上になっていることを、温度検 出回路144で検出した場合。
(7)第7条件:電力指令装置(統合管理装置)10から、特別な指令信号を受けた場 合をいう。電力指令装置10は、統合環境検知部16を有しており、居住空間3 の中の空気質の変化を常に監視しているため、居住空間3からの排気が必要なレ ベルを超える空気質の変化(悪化)があった場合、空気質を改善する空気清浄機 7や排気装置9に対して、運転開始指令信号や運転条件変更(例えば、排気能力 を上げる)指令信号を出す場合がある。この実施の形態8電力指令装置10では 、排気装置9に対する指令信号が通信状態の異常等で成功しなかった場合を想定 し、加熱調理器8の発信部155を経由した赤外線信号での間接制御も可能にす る構成となっており、確実に排気装置9を制御できる構成である。
実施の形態8の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態8の加熱調理器8においても、実施の形態1と同等の効果が期待できる。
また、調理器具62自体の温度を直接検知して、この計測結果を利用して加熱工程の進捗(加熱温度上昇など)を判定し、排気装置9の排気能力を上げるための指令信号F2の発信タイミングを決めているので、実際の加熱調理の状況に追従して排気装置9の排気運転を変更できる。これにより、さらに的確な排気を行うことが期待できる。
実施の形態9.
図47と図48は、本発明の実施の形態9の加熱調理器を示すものである。図47は、加熱調理器8の平面図である。図48は、図47に示した加熱調理器8のJ-J線における要部拡大縦断面図である。なお、実施の形態1と同一部分又は相当部分には同一の符号を付け、重複した説明は省略する。
この実施の形態9は、排気装置9の駆動用の赤外線信号を発信する赤外線発光素子(発光ダイオード)154の配置に工夫したところが特徴である。また、その赤外線発光素子の長寿命化を図るために冷却風路を設けたところも特徴の1つである。
まず図47について説明する。この実施の形態9は、実施の形態6と同様に、本体8Aの左右中心線CL1を挟んで、その両側に加熱口67R、67Lを配置しており、各加熱口は、外径寸法が同等の二つのIHコイル60L、60Rを有している。左右中心線CL1の真上にも、前記IHコイル60L、60Rよりは直径が小さい輻射式電熱ヒータを配置して1つの加熱口67Mを構成している。
68L、68Rは、表面カバー36に形成した2つの通信用窓であり、この下方に2つの赤外線発光素子154を設置してある。赤外線発光素子154からは、制御装置143の指令により発信された赤外線(光)指令信号が、この通信用窓68L、68Rをそれぞれ透過する。
この通信用窓は、図47に示しているように、実施の形態1における位置よりも、前方(手前)側にあり、各種入力キー137、138、139と、横方向で一直線上に配置されている。
この分野の赤外線発光素子(発光ダイオード)154は、例えば940ナノメーター(nm)付近の波長域を有するものが使用されているが、一般的に熱に弱く、80℃以上で素子の劣化が始まるため、このような高温度の雰囲気で使用すると寿命が縮むという課題がある。
一方、トッププレート55は、加熱口67の部分では300℃を超える場合がある。そのため、トッププレート55の温度を受けて(水平仕切板100よりも上方の)上部空間113の温度も上がる。
そこで、トッププレート55や上部空間113等からの熱の影響を極力減らす観点で、通信用窓68の位置は、そのような加熱口67から可能な限り遠くになるよう、直線距離TK1、TK2で遠い位置が好ましい。但し、トッププレート55の右前方隅近くや左前方隅近い場所では、加熱調理器8の真上に通常設置される排気装置9に向けて、左右両側から赤外線の放射角度を斜めに設定する等の調整が必要となり、加熱調理器8の設置工事時に現場での作業が面倒になる。
そこで、この実施の形態9のように、実施の形態1の位置から、左右方法には大きく変化させず、前方側の位置に変更し、加熱口67から遠くにしたものである。
さらに、高温報知板135の上に設置されている赤色の発光体136を含めて、操作部93と表示部159周囲も冷却できるように、冷却風路197を設けている。
表面カバー36の下方の空間に、右側が開口したダクト198を設けており、そのダクトの右側開口は、冷却ユニットCUの天井面に設けた開口102の真上にあり、その開口102から吹出される第1の送風機BM1からの冷却風が分れて導入される。
ダクト198の右端部からその内部に導入された冷却風は、図47に破線の矢印で示すような冷却風110Fとなって、右側から中央部に向かい、一部の冷却風110Fは中央操作部93Mの後部下方を通過し、高温報知板135の方向に向かう。そして最終的には排気口77から放出される。なお、ダクト198の最後部は、大きな切込みが形成されており、その切込みを抜けて前記冷却風110Fが中央の加熱口67M方向に向かう。
無線通信手段(「通信モジュール」ともいう)150も、その後方近傍を開口102から分岐した冷却風110Fが通過することで、冷却される。このため、無線通信手段150も、右側の加熱口67Rからの高熱の影響を無くすことができ、熱による劣化等が防止される。
図47に示しているように、赤外線発光素子154と、各種入力キー137、138、139と、横に一列状態に配置しているため、横に長い支持板37等の上に、それら各電子部品類を実装することができ、製造上も有利である。
次に図48について説明する。
38は、薄い金属板製の化粧カバーで、通信用窓68Rとなる透孔の部分を赤外線透過材料で塞いでいる。
36は、その化粧カバー38を下側から支える表面カバーであり、前方端部は、金属製の本体ケース53の前板53Fから一連に前方へ屈曲して形成されているフランジ部53FFに固定されている。また後方端部には、弾力性に富む材質から形成されたシール用のパッキン210が取り付けられている。
トッププレート55の前方端部は、前記パッキン210に密着した状態で、金属板製の外枠54に下方から支持されている。
36Aは、通信用窓68Rと対応する位置に形成した貫通孔であり、表面カバー36に形成されている。この表面カバー36の前方端部も、前記外枠54に下方から支持されている。
37は、電気絶縁性材料から、左右方向に長く帯状に形成した支持板である。この支持板37の上面には、操作部93を構成する各種キー137、138、139の関連電気部品と主電源スイッチ95の本体を、それぞれ固定している。37Lは、支持板37の下面に設けた複数の脚部である。この脚部により支持板37の下方には、図47にて説明したダクト198の上面との間に、空気の流れが期待できる程度の大きさの空隙SJが形成される。なお、この空隙SJの大きさは10mm程度である。
211は、ダクト198の上面の前後の中間部分に左右方向(横)に長く配置した整流(分流)用の垂直板である。この垂直板により、図48に示すように縦断面形状が樋状になっているダクト198の中は、左右中心線CL1の真下近くまで連続して前後に2つに分けられ、前方側には前記支持板37が配置される。なお、110Fは、ダクト198の右端部からその内部に導入された冷却風の流れを示している。
212は、入力キー139の直下にある当該入力キーの静電容量変化検知用電極と、その電極への電源供給部を含むスイッチ本体である。このスイッチ本体も前記支持板37の上に設置されている。
図48には示していないが、ダクト198の後部上面には、高温報知板135と赤色の発光体(発光ダイオード等)136が設置してあり、それらの周囲にも冷却風110Fが到達して冷却できるように、ダクト198の内側には一連の冷却風路197が形成されている。但し、この冷却風路197は、トンネル状ではなく、上面が開放されている断面形状である。
以上の構成であるから、右側の開口部からダクト198の内部には、加熱調理時には、冷却ユニットCUから開口102を経て第1の送風機BM1からの冷却風が導入される。
第1の送風機BM1からの冷却風は、図48に示すように冷却風110Fとなって、右側から中央部に向かう。この冷却風110Gは、垂直板211によって前後2つに流れに分岐し、一方は、前記支持板37の上方を通過する。
また他方は、そのまま進行し、高温報知板135の方向に向かう。なお、支持板37の下方には空隙SJがあるので、その空隙にも冷却風110Fの一部が通過する。これらの冷却風110Fの通過により、加熱調理中においても、各種キー137、138、139の電気部品と主電源スイッチ95の本体、及び赤外線発光素子154の周囲には、熱気が滞留することがなく、低い雰囲気温度に維持される。
なお、赤外線発光素子154は、2個以上設けても良いし、また反射鏡を設けて図48に示す赤外線の放射中心軸(光軸)AXを、前後又は左右方向に複数の異なる角度に設定しても良い。
以上説明した通り、この実施の形態9の加熱調理器8は、
本体8Aの左右中心線CL1を挟んで、その両側に加熱口67を配置しており、各加熱口は、外径寸法が同等の二つのIHコイルを有している。
主電源スイッチ95の操作面94は、前記左右中心線CL1と交差する位置に配置されている。
排気装置9に対して運転指令信号を発射する赤外線発光素子154の赤外線信号は、化粧カバー38の2カ所に形成した通信用窓68Rを透過する。
さらに前記赤外線発光素子154と、前記加熱口67との間には、冷却風路197が形成されている。その冷却風路197を流れる冷却風110Fで、赤外線発光素子154も冷却される構成である。
従って、この実施の形態9の加熱調理器8でも、実施の形態1と同様な効果が期待できる。
さらに、熱に弱い赤外線発光素子(発光ダイオード)154を、本体8Aの外部から吸引された新鮮な空気によって常に冷却するように冷却風110Fを供給しているので、赤外線発光素子154の過熱を防止でき、そのため、長寿命化や安定した発光動作等が期待できる。
変形例1.
以上説明した各種実施の形態では、右操作部93Rと左操作部93Lが、左右方向において離れていると説明した。そして、実施の形態4では、2つの操作部93L、93Rを構成する多数の入力キーの信号を検知する電子部品や静電容量変化を検知する電極、また入力キー96、97部分を下から照らす発光素子(発光ダイオードなど)は、表面カバー36の下方に設置した1枚の支持板37の上に全て実装していた。しかしながら、主電源スイッチ95は、入力キー96、97に比較して大きな押圧力が掛かるので、専用の支持板37に設置し、それ以外の各種部品、すなわち、多数の入力キーの信号を検知する電子部品や、入力キー96、97部分を下から照らす発光素子(発光ダイオードなど)を別の支持板に実装しても良い。
このように、右操作部93Rと左操作部93Lを構成する各種電気部品等が、本体8Aの左右中心線CL1を跨ぐように左右に長く設置されているものであっても、使用者が直接操作する部分が、左右に区分けされている限り、右操作部93R、左操作部93Lと定義している。
変形例2.
実施の形態4では、主電源スイッチ95をONした後、表示画面91において調理メニューを選択するように促し、この後操作部93で加熱口67を選択して加熱動作を開始していた。
このように、表示画面91の操作が必要であったが、右操作部93Rと左操作部93Lの入力キー96、97の操作だけで調理開始できるようにしても良い。その場合、表示画面91を右操作部93Rと左操作部93Lの共用とする場合には、実施の形態4で示したように、表示画面91は、調理の参考情報を表示したり、右操作部93Rと左操作部93Lの操作に有益な解説情報を表示させたりする形態でも良い。そして、加熱口67の選択と、調理メニューの選択は、操作部93L、93R側の入力キーだけで行えるようにすると良い。
また、実施の形態1と5で説明したように、右操作部93Rと左操作部93Lの各入力キー96、97に、複数の入力機能を割り当てて、入力キーの数を増やさないという工夫も有益である。入力キーの数を増やすと、操作部の平面積が大きくなり、本体8Aの上面に設置することに制約が出てくるためである。なお、1つの入力キーをタッチする度に、別の入力機能のキーになるように切り替えるという方法は既に多くの先行技術で提案されているので、詳細な説明は割愛する。
変形例3.
実施の形態1の図15で示している支持板37の上に、第1の送風機BM1又は他の電動送風機が本体8Aの外部から吸引した空気を供給し、支持板37の上の主電源スイッチ95や、操作部93を冷却するようにしても良い。また熱に比較的弱い液晶表示基板等からなる表示画面91の周囲にも同様に冷却風を流して冷却するようにしても良い。これらにより電気部品の温度上昇による劣化や誤動作を防ぎ、長寿命化が期待できる。なお、第1の送風機BM1からの冷却風を利用する場合には、具体的には、図8に示した冷却風110の一部を分岐させて、IHコイル60R、60Lに至る前の温度の低い空気を、冷却風として利用することが望ましい。
変形例4.
以上の実施形態1〜8においては、加熱部67を構成する加熱源が、誘導加熱(IH)コイルと、輻射式電熱源の2種類であったが、これ以外の種類の加熱源であっても良い。例えば、プロパンガスや都市ガス等のガス燃料を使用するガスバーナでも良い。この種のガスバーナを使用した加熱調理器は、例えば日本国特許公開(特開)2014−95538号公報で提案されているように、主電源スイッチを介してガスバーナの制御装置に電力を供給する構成が採用されており、またトッププレートの上に突出状態に設置された五徳等の支持台で、被加熱物である鍋等を支えて加熱する構成であるから、実施の形態1〜8で開示した構成を適用することができる。
変形例5.
実施の形態1では、統合管理装置(電力指令装置も兼用)10は、これに接続されたルーター17とインターネット等の通信回路網18とを介して、居住空間の外部遠隔地等に存在する(1つ又は複数の)サーバー19に対して接続するものであった。そして加熱調理器8や空気調和機5、排気装置9等の家電機器EEと、統合管理装置10は、直接通信して情報の授受や指令信号の授受をしていた。例えば、統合管理装置10の通信インターフェース機能を担当する通信部23と、加熱調理器8の無線通信手段150との間で、無線通信や赤外線通信していた。この基本的構成を変更し、統合管理装置10が上記ルーター17を介して、加熱調理器8や排気装置9等の家電機器EEと、相互通信を行うようにしても良い。つまり、その場合には、上記ルーター17は、インターネット等の通信回路網18と家庭内の統合管理装置(電力指令装置も兼用)10とを繋ぐゲートウエイとしての機能と、家庭内の家電機器EEと家庭内の統合管理装置(電力指令装置も兼用)10とを繋ぐ中継機器としての機能を持ったものとなる。
変形例6.
実施の形態6及び7に示したように、1つの家電機器(排気装置9)が、電力指令装置(統合管理装置)10と、加熱調理器8との双方からの指令(コマンド)を受けて運転が制御される場合、双方からの指令の内容が輻輳したり、あるいは双方の指令の内容が同じ時間帯において矛盾したりしてしまうという懸念がある。そのような輻輳や矛盾によって排気装置9等が無駄な運転をする懸念がある。
そこで、このような場合には、電力指令装置(統合管理装置)10側に、双方の指令が輻輳した場面や矛盾した場面を想定した対応策を実行しておくと良い。具体的には、各家電機器EEを制御する制御条件がそれぞれ異なる複数の制御プログラムを格納した(通信)アダプターと、このアダプターを介して各家電機器を制御する電力指令装置(統合管理装置)とから構成されたシステムにおいて、各アダプターは、個々の家電機器に設定された制御条件に関する情報を、電力指令装置10に送信し、電力指令装置10は、各アダプターから受信した、各家電機器EEに設定された制御条件に関する情報に基づき、複数の家電機器EEが連携して制御する場合において、制御対象となる家電機器(例えば、排気装置9と加熱調理器8)の制御条件に互いに矛盾した少なくとも2以上の指示内容が含まれると判断した時、その矛盾した制御条件の少なくとも1つを「所定の設定条件」により選択し、選択した制御条件に対応する適切な制御プログラムを、前記アダプターに格納された複数の制御プログラムの中から選択し、その制御プログラムをアダプターに実行させるように、電力指令装置(統合管理装置)10が統合制御できる手段を設ければ良い。ここで、「所定の設定条件」とは、家電機器EEを使用する使用者が決めても良いし、電力指令装置10のメーカが初期の設定条件を決めておいて、そのあとで個々の使用者が修正できるようにしておいても良い。
変形例7.
実施の形態1〜9では、赤外線発光素子154から上方の排気装置9に向けて赤外線(光)指令信号が照射されていたが、その赤外線の照射角度である照射中心軸(光軸)AXを、排気装置9側に向けず、加熱調理器8の真上(鉛直)方向から手前側に傾けても良い。このようにすると、加熱調理器8の手前側に立って操作する使用者の腕や体等で反射させてから排気装置9へ到達させることができる。なお、このような方式は、特開2016−31191号公報や特許第3967652号公報等で提案されているので、詳細な説明は省略する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の実質的な範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。