実施の形態1.
図1〜図9は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理装置を示すものであって、組込式又はビルトイン式と称される誘導加熱調理装置を示す。
図1は加熱調理装置全体の天板部を取り外した状態での斜視図である。
図2はその本体部全体を示す平面図である。
図3は図1の天板部を取り外した状態での平面図である。
図4は図3のIV−IV線縦断面図である。
図5は図1の右側冷却室部分の縦断面図である。
図6は図1のVI−VI縦断面図である。
図7は冷却ユニットと冷却ダクト及び部品ケースの分解斜視図である。
図8は制御回路構成図である。
図9は本体部の前方上部を示す縦断面図である。
なお、各図において同じ部分または相当する部分には同じ符号を付している。このことは後述の実施の形態2及び実施の形態3においても同様である。
(加熱調理装置本体)
本発明の加熱調理装置は、1つの矩形の本体部Aを備えている。この本体部Aは、通常、本体部Aの上面を構成する天板部B、本体部Aの上面以外の周囲(外郭)を構成する筐体部C、鍋や食品等を電気的エネルギー等で加熱する加熱手段D、使用者により操作される操作手段E、操作手段からの信号を受けて加熱手段を制御する制御手段F、及び加熱手段の動作条件を表示する表示手段Gを備えている。また、加熱手段Cの一部として、グリル庫又はロースターと称される電気加熱手段を備えたものもある。
次に、本発明の実施の形態において用いられる用語をそれぞれ定義する。
加熱手段の動作条件とは、加熱するための電気的、物理的な条件を言い、通電時間、通電量、加熱温度、通電パターン(連続通電、断続通電等)等を総称したものである。
表示とは、文字や記号、イラスト、色彩や発光有無や発光輝度等の変化により、使用者に動作条件や調理に参考となる関連情報(異常使用を注意する目的や異常運転状態の発生を知らせる目的のものを含む。以下、単に「調理関連情報」という)を視覚的に知らせる動作をいう。
表示手段とは、特に明示のない限り、液晶(LCD)や各種発光素子(半導体発光素子の一例としてはLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)、LD(Laser Diode)の2種類がある)、有機電界発光(Electro Luminescence:EL)素子などを含む。このため表示手段の意味には、液晶画面やEL画面等の表示画面を含んでいる。
報知とは、表示又は電気的音声(電気的に作成又は合成された音声をいう)により、制御手段の動作条件や調理関連情報を使用者に認識させる目的で知らせる動作をいう。
報知手段とは、特に明示のない限り、ブザーやスピーカ等の可聴音による報知手段と、文字や記号、イラスト、あるいは可視光による報知手段とを含んでいる。
(筐体部C)
図1において、Aは上面全体を後述する天板部Bで覆われた本体部であり、この本体部は、外形形状が流し台等の厨房家具に形成した設置口K1(図9参照)を覆う大きさ、スペースに合わせている所定の大きさで、略正方形又は長方形に形成されている。
2はこの筐体部の外郭面を形成する本体ケースで、1枚の平板状の金属板をプレス成形機械で複数回折り曲げ加工して形成した胴部2Aと、この胴部の端部に、溶接又はリベット、ネジ等の固定手段で継ぎ合わせた金属板製の前部フランジ板2Bとから構成されており、これら前部フランジ板と胴部2Aとを固定手段で結合した状態では、上面が開放した箱形になる。
本体ケース2の上面開口の後端部、右端部及び左端部の三個所には、それぞれ外側へL字形に一体に折り曲げて形成したフランジを有しており、3Bは後方のフランジ、3Lは左側のフランジ、3Rは右側のフランジで、これら3つのフランジと前部フランジ板2Bが厨房家具KTの設置部(図6参照)上面に載置され、調理装置の荷重を支えるようになっている。
そして、調理装置が厨房家具の設置口K1に完全に収容された状態では、厨房家具KTの前方に形成した開口部KTKから調理装置の前面部が露出するようになり、厨房家具の前面側から調理装置の前面(左右)操作部60が操作可能となり、またドア13が前方へ引き出すことでグリル加熱室9の前面開口が開閉できる。
2Sは、胴部2Aの背面と底面を結ぶ傾斜面であり、調理装置を厨房家具に嵌め込んで設置する場合、厨房家具の設置口K1後縁部に衝突したり干渉したりしないようにカットしてある。つまり、この種の調理装置は厨房家具に嵌め込んで設置する際、調理装置の本体部Aの手前側が下になるように傾け、その状態で手前側から先に厨房家具の設置口K1に落とし込む。その後に遅れて後ろ側を弧を描くようにして設置口K1に落とし込む(このような設置方法は、例えば特開平11−121155号公報に詳しく記載されている)。このような設置方法のために、前部フランジ板2Bは、調理装置を厨房家具に設置する際に厨房家具の設置口K1の設置口前縁部との間に十分なスペースSPが確保されるような大きさになっている(図8参照)。
本体ケース2の内部には、後述するトッププレート21に載置された金属製鍋等の被加熱物Nを誘導加熱するための誘導加熱式加熱源(以下、IH加熱源ともいう)6L、6Rと、電気輻射熱で加熱する電気ヒータ、例えばラジエントヒータと呼ばれる高速で発熱するヒータ7と、誘導加熱式加熱源の調理条件を制御する後記する制御手段Fと、制御手段に前記調理条件を入力する後記する操作手段Eと、該操作手段により入力された加熱手段の動作条件を表示する表示手段Gとを備えている。以下、それぞれについて詳細に説明する。
筐体部Cの内部は、大きく分けて箱形のグリル(又はロースター)加熱室9と、この右側で前後方向に長く伸びた冷却室8、上部部品室10、後部排気室12が区画形成されているが、各部屋は互いに完全に隔絶されている訳ではない。例えば冷却室8と上部部品室10、排気室12が連通されている。冷却室8は、筐体部Cの内部を上下に仕切る水平仕切り板25の下方空間を、さらに仕切り板24で左右に仕切ることで区画形成される。
前記グリル加熱室9は、後述するドア13が閉じられた状態では、略独立した密閉空間になっているが、排気ダクト14を介して筐体部Cの外部空間、つまり台所などの室内空間に連通している。
(天板部B)
天板部Bは以下述べるように、上枠(枠体ともいう)20とトッププレート(上板、トップガラス、天板とも称する)21の2つの大きな部品から構成されている。
上枠20は、全体が非磁性ステンレス板又はアルミ板などの金属製板から額縁状に形成され、本体ケース2の上面開口部を塞ぐような大きさを有している。
トッププレート21は、上枠20の中央に設けられた大きな開口部を覆うように重ね合わせて設置されている。このトッププレートは、全体が耐熱強化ガラスや結晶化ガラス等の赤外線を透過させる半透明な材料からなり、上枠20の開口部20Aの形状に合わせて長方形又は正方形に形成されている。さらにトッププレート21は、上枠20の開口部20A又は図9に示すように上面との間にゴム製パッキンやシール材PKを介在させて水密状態に固定されている。したがって、トッププレート21の上面から水滴などが上枠20とトッププレート21との間隙を通じて本体部Aの内部に侵入しないようにしてある。
図2において、11は、全体が金属製薄板から形成された平板状の蓋板で、上枠20の上に固定されている。20Bは、蓋板11の形成時にプレス機械で同時に打ち抜き形成された右通風口で、後述する送風機30の吸気通路となる。
20Cは同じく蓋板11の形成時に打ち抜き形成された中央通風口、20Dは同じく蓋板11の形成時に打ち抜き形成された左通風口である。
20Eは、図9に示すように上枠20に形成した透孔であり、これは後述する上面操作部61の右火力設定用操作部70、中央操作部72及び左火力設定用操作部71の各種スイッチ操作用キー(例えばグリル加熱室9のヒータ22,23の通電を開始する操作スイッチ)を操作する15個の押しボタンを通すためのものである。なお、図9では作図の都合上、透孔20Eは1個しか描いていない。
トッププレート21は、実際の調理の段階では後で詳しく述べる右IH加熱源6R、左IH加熱源6Lにより高温になった鍋等の被加熱物Nからの熱を受けて300度以上にもなることがある。さらにトッププレート21の下方に後述する輻射型の電熱ヒータである中央電気加熱源7が設けられている場合には、その中央電気加熱源7からの熱でトッププレート21は直接高温に熱せられ、その温度は350度以上にも至ることがある。
121は全体が金属製の薄板で形成された後枠体で、ネジ等の固定手段で上枠20に固定される。123は全体が金属製の薄板で形成された前枠体で、ネジ等の固定手段により上枠20に固定される(図6、図9参照)。
図9において、123Aは前枠体123に形成した透孔であり、これは後述する上面操作部61の右火力設定用操作部70、中央操作部72及び左火力設定用操作部71の各種スイッチ操作用キー(例えば、グリル加熱室9のヒータ22,23の通電を開始する操作スイッチ)を操作する15個の押しボタン254Aを通すためのものである。そして、この透孔123Aは前記した上枠20の透孔20Eと対応する位置に形成されている。なお、図9では作図の都合上、透孔123Aは1個しか描いていない。
また、図示していないが、上枠20はネジなどの固定具で本体ケース2に固定されている。
トッププレート20の上面には、図1及び図2に示すように後記する右IH加熱源6R、左IH加熱源6L、中央電気加熱源7のおおまかな加熱区域の位置を示す円形の案内マーク6RM、6LM、7Mが、それぞれ印刷などの方法で表示されている。
(加熱手段D)
本発明では加熱手段として、本体部Aの上部右側位置にある右IH加熱源6R、反対に左側にある左IH加熱源6L、本体部Aの左右中心線上で後部寄りにある輻射式中央電気加熱源7及びロースター用の上下1対の輻射式電気加熱源22,23を備えている。これら加熱源は制御手段Fにより互いに独立して通電が制御されるように構成されているが、詳細は後で図8を参照しながら述べる。
(右IH加熱源)
右IH加熱源6Rは、本体ケース2の内部に区画形成された前記上部部品室10内部に設置されている。そして前記トッププレート21の右側位置の下面側に、右IH加熱コイル(誘導加熱コイル)6RCを配置している。このコイルの上端部がトッププレート21の下面に微小間隙を置いて近接しており、電磁誘導加熱源となる。この実施の形態では例えば、最大消費電力(最大火力)3KWの能力を備えたものが使用されている。右IH加熱コイル6RCは、渦巻状に0.1mm程度の細い線を30本程束にして、この束(以下、集合線という)を1本又は複数本撚りながら巻き、外形形状が円形になるようにして最終的に円盤形に成形されている。右IH加熱コイル6RCの直径(最大外径寸法)は約180mm程度である。
なお、左右IH加熱コイル6LC、6RCの下面(裏面)には、コイルからの磁束漏洩防止材として、高透磁材料、例えばフェライトで形成された板や棒が配置されているが、この実施の形態ではその図示を省略している。磁束漏洩防止材は、左右IH加熱コイル6LC、6RCの下面全体を覆う必要はなく、断面が例えば正方形又は長方形等で棒状に成形した磁束漏洩防止材を右IH加熱コイル6RCと交差するように所定間隔で複数個設ければ良い。各コイルの中心部から放射状に複数個設ければ良い。
トッププレート21に表示された円(図1に破線で示す)である案内マークRMの位置は、右IH加熱源6Rの右IH加熱コイル6RCの最外周位置と完全に一致しているものではない。案内マークは適正な誘導加熱領域を示すものである。図3の一点破線で示す円が左右IH加熱コイル6LC、6RCの外周縁位置である。
前記右IH加熱コイル6RCは、独立して通電されるように複数部分に分けたものでも良い。例えば内側に渦巻き状にIH加熱コイルを巻き、そのIH加熱コイルの外周側にはそれと同心円上でかつ略同一平面上に別の大径の渦巻き状に巻いたIH加熱コイルを置き、内側のIH加熱コイル通電、外側のIH加熱コイル通電、及び内側と外側のIH加熱コイル共に通電、という3つの通電パターンで被加熱物を加熱するようにしても良い。このように2個のIH加熱コイルに流す高周波電力の出力レベル、デューティ比、出力時間間隔の少なくとも一つ又はこれらを組み合わせることにより、小型の鍋から大形(大径寸法)の鍋まで効率良く加熱するようにしても良い(このような独立通電できる複数コイルを使用した技術として代表的なものとしては、特許第2978069号公報が知られている)。
31Rは、右IH加熱コイル6RCの中央の空間内部(CK)に設置された赤外線式の温度検出素子である(図7参照)。
赤外線式の温度検出素子(以下、赤外線センサーという)は、鍋などの被加熱物Nから放射される赤外線の量を検知して温度を測定できるフォトダイオード等から構成されている。なお、前記温度検出素子は伝熱式の検知素子、例えばサーミスタ式温度センサーでも良い。
このように被加熱物からその温度に応じて発せられる赤外線を、赤外線センサーによってトッププレート21の下方から迅速に検出することは例えば特開2004−953144号公報(特許第3975865号公報)、特開2006−310115号公報、特開2007−18787号公報により知られている。
温度検出素子31Rが赤外線センサーである場合は、被加熱物から放射された赤外線を集約させ、かつリアルタイムで(時間差が殆んどなく)受信してその赤外線量から温度を検知できることで(サーミスタ式よりも)優れている。この温度センサーは、被加熱物の手前にある耐熱ガラスやセラミックス製等のトッププレート21の温度と被加熱物との温度が同じでなくても、またトッププレート21の温度に拘わらず、被加熱物の温度を検出できる。すなわち、被加熱物から放射される赤外線がトッププレート21に吸収されたり遮断されたりしないように工夫しているためである。例えばトッププレート21は4.0μm又は2.5μm以下の波長域の赤外線を透過させる素材が選択されており、一方、温度センサー31Rは4.0μm又は2.5μm以下の波長域の赤外線を検出するものが選択されている。
一方、温度検出素子31Rが、サーミスタ等の伝熱式のものである場合、前記した赤外線式温度センサーと比較すると急激な温度変化をリアルタイムで捕捉することでは劣るが、トッププレート21や被加熱物からの輻射熱を受け、被加熱物の底部やその直下にあるトッププレート21の温度を確実に検出できる。また被加熱物が無い場合でもトッププレート21の温度を検出できるものである。なお、温度検知素子がサーミスタ等の伝熱式の場合は、その温度感知部をトッププレート21の下面に直接接触させ、あるいは伝熱性樹脂等のような部材を介在させて、トッププレート21自身の温度を出来るだけ正確に把握させるようにしても良い。温度感知部とトッププレート21の下面との間に空隙があると、温度の伝達に遅れが生ずるからである。
(左IH加熱源)
左IH加熱源6Lは、本体部Aの左右中心線を挟んで右IH加熱源6Rと対照的な位置に設置されており、右IH加熱源6Rと同様な構成になっている。即ち、温度検出素子31Lも設置されている。この実施の形態では例えば、最大消費電力(最大火力)3KW又は2.5KWの能力を備えたものが使用されている。また左IH加熱コイル6LCの直径(最大外径寸法)は最大火力が3KWの場合は約180mmであり、2.5KWの場合は約170mm程度となっている。
また左IH加熱源6Lは、右IH加熱コイル6RCと同様に、その中央の空間内部には赤外線式の温度検出素子(以下、赤外線センサーという)31Lが設置されている(図8参照)。前記右IH加熱コイル6RCと左IH加熱コイル6LCの最前方位置は略横一線(図2の符号LF)に並ぶように設置されている。なお、以下の説明において、左右に共通に配置された部材について共有する内容については、名称における「左、右」および符号における「L、R」の記載を省略する場合がある。
(輻射式中央電気加熱源)
7は輻射式中央電気加熱源(以下、「中央加熱源」と称す)であり(図1、図2参照)、本体部Aの内部であって、トッププレート21の左右中心線上で、かつ、トッププレート21の後部寄りの位置に配置されている。
中央電気加熱源7は、輻射によって加熱するタイプの電気ヒータ(例えばニクロム線やハロゲンヒータ、ラジエントヒータ)が使用され、トッププレート21を通してその下方から鍋等の被加熱物を加熱するものである。そして、例えば、最大消費電力(最大火力)1.2KWの能力を備えたものが使用されている。
中央電気加熱源7は上面全体が開口した円形容器形状を有しており、その最外周部分を構成する断熱材製の容器状カバー50は、最大外径寸法が約180mmで、厚さが5mmになっている。
なお、トッププレート21に表示された円(図1の実線)である案内マーク7Mの位置は、中央電気加熱源7の最外周位置と完全に一致しているものではない。案内マークは適正な誘導加熱領域を示すものである。図3のケース50の円が中央電気加熱源7の最外周位置である。
(輻射式電気加熱源)
24Rは、垂直に設置されている右側の上下仕切り板であり(図3参照)、筐体部Cの内部で冷却室8とグリル加熱室9間を隔絶している仕切り壁の役目となっている。なお、図示しないが、左側にも同じく上下仕切り板24Lを設けても良い。なお、上下仕切り板24R、24Lはグリル加熱室9の外側壁面と数mm程度の間隙116を保って設置されている(図4参照)。
25は、水平仕切り板であり(図1、図4参照)、グリル加熱室9の上方において本体部A全体を上下2つの空間に区画する大きさを有しており、この仕切板25の上方が前記上部部品室10である。またこの水平仕切り板25はグリル加熱室9の天井面と数mmから1cm程度の所定の空隙26を持って設置されている(図6参照)。
矩形箱状に形成されたグリル加熱室9は、ステンレスや鋼板等の金属板により左右、上下及び背面側の壁面が形成され、上部天井付近および底部付近には輻射式電気加熱源としての上下1対のシーズヒータ22、23(図4、図6参照)が略水平に広がるように設置されている。
この二つのヒータを同時又は個別に通電してロースト調理(例えば焼き魚)、グリル調理(例えばピザやグラタン)やグリル加熱室9内の雰囲気温度を設定して調理するオーブン調理(例えば、ケーキや焼き野菜)が行えるようになっている。例えば、上部天井付近のシーズヒータ22は最大消費電力(最大火力)1200W、底部付近のシーズヒータ23は最大消費電力800Wのものが使用されている。
26は前記したように空隙であり、水平仕切り板25とグリル加熱室9天井壁面との間に形成されており、これは最終的に排気室12と連通しているため、空隙26内の空気は排気室12を通じて本体部Aの外に誘引されて排出されるようになっている。
図1において、28は上部部品室10と排気室12とを仕切る後部仕切り板であり、下端部は水平仕切り板25に、また上端部は上枠20に達する高さ寸法を有している。28Aは後部仕切り板28に2箇所形成した排気穴で、上部部品室10に入った冷却風を排気するためのものである。
図3において、58は上部部品室10の右奥隅にあって、一部は冷却室8の上方に張り出す形になっている電源基板Aであり、この電源基板A58に対し本体ケース2の背面下部から100V又は200Vの商用電源が引き込まれている。この電源基板A58には例えば商用電源を整流する整流ブリッジ回路221(図8参照)のための各種電気部品群が実装されている。
なお、上部部品室10の左奥隅に位置して水平仕切り板25の上に電源基板B59(図示せず。但し、実施の形態2の図16参照)が設置されており、この基板は中央電気加熱源7とグリル加熱室9のヒータ22,23に電源を供給するものであり、前記電源基板A58から電力が供給され、加熱容量(火力)制御のための各種電気部品等が実装されている。またこれら二つの電源基板は、前記水平仕切り板25の上面から一定の空隙119(図5参照)を保つようにしてその水平仕切り板25にネジなどの固定手段で取り付けられている。その空隙119は、後述する冷却ユニットCUからの冷却風が通りやすくするためのものである。
(冷却用送風機)
この実施の形態でいう冷却ユニットCUの送風機30は、図5と図7に示すように遠心型多翼式送風機(代表的なものとしてシロッコファンがある)を使用しており、駆動モータ31の回転軸32の先端に翼部30Fを固定したものを用いている。また送風機30は、前記冷却室8に設置され、左右のIH加熱コイル6LC、6RC用の回路基板とそれらコイル自体を冷却するようになっており、詳しくは以下で説明する。
なお、遠心型送風機を用いた場合、吐き出し能力(吹き出し能力)が吐き出し口全域に亘り均一ではなく、吐き出し能力の最高部分があるが、この部分を、左右IH加熱コイル6LC、6RC用の回路基板の特定部分に位置させると、その特定部分が最も強力な風で冷却される。但し、台所などの室内空間からの空気に油煙や埃が含まれている場合には、それらが回路基板の特定部分にある部品表面などに付着・堆積する可能性が高くなるという点に注意が必要である。長年の使用により、回路基板に油の堆積物が溜まり、それが湿気を吸収することで回路基板の電気絶縁性が低下することに繋がるからである。
冷却ユニットCUは、前記冷却室8に上方から挿入されて固定された冷却ユニットで、インバータ回路を構成する回路基板41を収容した部品ケース34と、この部品ケースに結合され内部に送風機30の送風室39を形成しているファンケース37とを備えている。
前記送風機30は、その駆動モータ31の回転軸32が水平になっている、いわゆる横軸型であり、冷却室の中に設置されたファンケース37の内部に収容されている(図5、図7参照)。その送風機30の多数の回転翼30Fを囲むようにファンケース37内部には円形の送風空間が形成され送風室39が形成されている。37Aはファンケース37の吸い込み筒であり、その最上位には蓋板11の右通風口20Bに密着するように接近した吸い込み口37Bが形成されている。37Cはファンケース37の一端部に形成した排気口(出口)である。
ファンケース37は、2つのプラスチック成形部品であるケース37D、37Eを組み合わせてネジ等の固定具で結合されることで(送風機30を内蔵した)一体的構造物として形成される。
34は、前記ファンケース37の空気吐き出し用の排気口37Cから排出される冷却風が導入されるようにファンケース37に密着状態にネジなどの固定手段で接続される部品ケースであり(図5、図7参照)、全体が横長長方形形状を有しているとともに、排気口37Cに連通する導入口(図示せず)、後述する第1の排気口34A及び第2の排気口34Bの3箇所だけを除いた他の部分全体が密閉されている。
そしてこのように送風機30を内蔵したファンケース37は、一体的構造物として運搬などが可能であり、冷却室8にその上方から挿入され、ネジなどの適当な固定手段で移動しないように固定される。なお、図5では排気口37Cと部品ケース34との間には隙間があるようになっているが、実際はこの部分はシール用パッキン等を介在させて風が漏れないように接続されている。
41は、前記右IH加熱源6R、左IH加熱源6Lのそれぞれに所定の高周波電力を供給するインバータ回路が実装された1枚のプリント配線基板(以下、回路基板という)であり(図4参照)、部品ケース34の内部空間形状にほぼ匹敵する外形寸法を有し、部品ケース34の中においてグリル加熱室9から遠い側、逆にいうと本体部Aの外郭を構成する本体ケース2に、わずか数mm以下の近くまで接近する側に設置されている。なお、この回路基板41には、インバータ回路の部分と離して前記送風機30の駆動モータ31の駆動用電源及び制御回路部(モータ駆動回路)33を一緒に実装している。
前記部品ケース34の上面部には、送風機30からの冷却風の流れる方向に沿って第1の排気口34Aと第2の排気口34Bを2個離して形成している。第2の排気口34Bは、部品ケース34において冷却風の流れの最も下流側位置にあり、また第1の排気口34Aよりも数倍大きな開口面積を有している。なお、図5においてY1〜Y5は送風機30により吸い込まれる空気と排出される空気の流れを示すものであり、Y1、Y2、・・Y5と順次冷却風は流れていく。
42は全体がプラスチックで成型された冷却ダクトで(図3〜図7参照)、プラスチックの一体成形品である上ケース42Aと、同じくプラスチックの一体成形品である下ケース42Bとを重ねてネジで固定することで、その両者の間の内部に後述する3つの通風空間42F、42G、42Hが形成される。なお、図4では下ケース42Bは図示していないが、水平仕切り板25の上面に密着又は数mmの間隙をおいて水平に設置されている。
冷却ダクト42は、図3と図4に示すように、左のIH加熱コイル6LCから右のIH加熱コイル6RCの横まで及ぶような長さを有している。42CBは上ケース42Aの上面の全体に亘りその壁面を貫通するよう多数形成した第2の噴き出し孔で、送風機30からの冷却風を噴き出すために形成されており、各噴き出し孔42CBの口径は同じにしてあり、例えば直径10mmの真円である。
42Dは、上ケース42Aの中の後方側に一体成型で直線状に形成したリブ(凸条)形状の仕切り壁で、これにより部品ケース34の排気口34Aに一端が連通した通風空間42Fが区画形成される。
冷却ダクト42は、その通風空間42Hの一側部(図7では部品ケース34に近い側)が、前記部品ケース34の第2の排気口34Bの真上になるように設置される。これにより部品ケース34から吐き出される冷却風は、冷却ダクト42の通風空間42Hに入り、ここから通風空間42Gに展開して第2の噴き出し孔42CBから噴出される。42Kは上ケース42Aの通風空間42Hに対応して形成した四角形の通風口で、これは後述する液晶表示部(液晶表示画面)45R、45Lを冷却する風を出すものである。
42CAは、右IH加熱コイル6RCと左IH加熱コイル6LCのそれぞれに対し、上ケース42Aの上面の後部に10個〜20個、また前記通風空間42Fの背壁面を構成する上ケース42Aの背面に2個ずつ形成した第1の噴き出し孔であり、送風機30からの冷却風を上方へ噴き出すために形成されており、各噴き出し孔42CAの口径は同じにしてあり、例えば直径8〜10mmの円形、又は10mm×8mm程度の楕円形である。
上ケース42Aの背面側に形成した2個の第1の噴き出し孔42CAは、前記電源基板A58又は電源基板B59と向き合うように形成してあり、冷却ユニットCUの第1の排気口34Aから通風空間42Fに送り込まれた新鮮な(低温の)冷却風を電源基板A58や電源基板B59、もしくは中央電気加熱源7の左右側方空間に向けて噴き出すためのものである。
43A、43Bは前記右IH加熱源6R、左IH加熱源6L用のインバータ回路(図8で詳しく述べる)210R、210Lが実装された回路基板41の中にあるIGBT225などの電力制御用半導体スイッチング素子やその他発熱性部品が取り付けられたアルミ製の放熱フィンであり(図5参照)、全体に渡り多数の薄いフィンが規則正しく並べて形成されている。この放熱フィンは、図5に示すように、部品ケース34の中で天井部に近い側に設置され、下方は十分な空間SYを確保し、その空間内を冷却風Y4が流れるようになっている。つまり送風機の特性上、吐き出し能力(吹き出し能力)が吐き出し口(排気口37C)の全域に亘り均一ではなく、吐き出し能力の最高部分はその排気口37Cの上下中心点より下方にあるが、この位置の延長線上の位置とならないよう、前記放熱フィン43A,43Bの位置を上方へ設定している。また回路基板41の表面に実装された各種の小型電子部品や印刷配線パターン部分に向けて冷却風が吹きつけられることはない。
グリル加熱室9は、前記本体の誘導加熱式加熱源の下方に内蔵されるとともに、前記本体の内側後壁面との間に所定の空間SX(図3参照)が形成されている。つまりグリル加熱室9は、後述する排気ダクト14を設置するため及び排気室12を形成するため、本体ケース2の胴部背面壁2Uとの間に例えば10cm以上の空間SXが形成されている。
前記冷却ユニットCUは、前記冷却室8に上方から挿入されて固定された状態では、回路基板41を収容した部品ケース34は、本体ケース2の右側壁面と数mm以下の所定の空隙118が形成される(図3参照)。なお、部品ケース34と上下仕切り板24Rとの間にも大きな空隙117が確保される(図4参照)。
(操作手段E)
この実施の形態における加熱調理装置の操作手段Eは、前面操作部60と上面操作部61とからなっている(図1〜図3参照)。
(前面操作部)
本体ケース2の右側の前面にプラスチック製の前面操作枠62が取り付けられており、この操作枠前面が前面操作部60となっている。この前面操作部には、左IH加熱源6L、右IH加熱源6R、中央電気加熱源7及びロースター加熱室9の電気ヒータ22、23の全ての電源を一斉に投入・遮断する主電源スイッチ63(図2参照)の操作ボタン63Aと、右IH加熱源6Rの通電とその通電量(火力)を制御する右電源スイッチ(図示せず)の電気接点を開閉する右操作ダイアル64Rと、同じく左IH加熱源6Lの通電とその通電量(火力)を制御する左制御スイッチ(図示せず)の左操作ダイアル64Lと、中央電気加熱源7の通電とその通電量(火力)を制御する制御スイッチ(図示せず)の中央操作ダイアル65と、がそれぞれ設けられている。
前面操作部60には、左操作ダイアル64Lによって左IH加熱源6Lに通電が行われている状態でのみ点灯する左表示灯66Lと、右操作ダイアル64Rによって右IH加熱源6Rに通電が行われている状態でのみ点灯する右表示灯66Rとが設けられている。
なお、左操作ダイアル64L、右操作ダイアル64R、中央操作ダイアル65は、使用しない状態では、図1に示されるように、前面操作部60の前方表面から突出しないように内側へ押し込まれており、使用する場合には、使用者が指で一度押してから指を離すと、前面操作枠62に内蔵しているバネ(図示せず)の力によって突出し(図3参照)、使用者が周囲を掴んで回せる状態になるものである。そして、この段階で1段階右か左に回せば、初めて左IH加熱源6Lおよび右IH加熱源6Rにはそれぞれ(最小設定火力120Wでの)通電が開始される。
そこで、突出している左操作ダイアル64L、右操作ダイアル64Rの何れかをさらに同じ方向に回せば、その回動の量に応じて内蔵したロータリエンコーダー(図示せず)より発生する所定の電気的パルスを前記制御手段Fが読み取り、当該加熱源の通電量が決まり、火力設定が行えるようになっている。
なお、左操作ダイアル64L、右操作ダイアル64Rの何れも、初期の状態であるか途中で左右に回した状態であるかに関係なく、使用者が指で一度押して前面操作部60の前方表面から突出しないような所定の位置に押し込むと、左IH加熱源6L、右IH加熱源6Rの何れも通電を停止できる(調理中であっても、右操作ダイアル64Rを押し込めば、右IH加熱源6Rは直ちに通電停止される)。また中央電気加熱源7の火力もダイアル65の回動量に応じて同様に調節できる。
また、前記主電源スイッチ63(図1参照)の操作ボタン63Aを開成(OFF)操作すれば、それ以後、右操作ダイアル64Rおよび左操作ダイアル64Lの操作は一斉に無効となる。同様に中央電気加熱源7とグリル加熱室9の内蔵ヒータ22、23の通電も全て遮断される。
前面操作枠62の前面下部には、3つの独立したタイマーダイアル66、67、68が設けられている。これらタイマーダイアル66、67、68は、それぞれ左IH加熱源6L、右IH加熱源6R、中央電気加熱源7を通電開始から所望の時間(タイマーセット時間)だけ通電し、その設定時間を経過した後は自動的に電源を切るタイマースイッチ(図示せず)を操作するためのものである。
(上面操作部)
上面操作部61は、右火力設定用操作部70と左火力設定用操作部71、中央操作部72とからなっている。
トッププレート21の上面、具体的には上枠20の前部に上面操作部61が配置されている。本体部Aの左右中心線を挟んで、右側には右IH加熱源6Rの右火力設定用操作部70が、中央部には中央電気加熱源7及びグリル加熱室9に設置された電気ヒータ22,23の中央操作部72が、左側には左IH加熱源6Lの左火力設定用操作部71が、それぞれ配置されている。
(右火力設定用操作部)
図1において、右火力設定用操作部70には、使用者が1度押圧するだけで右IH加熱源6Rの火力を簡単に設定することができる各火力のワンタッチ設定用キー部が設けられている。例えば、弱火力キー、中火力キー、および強火力キーの3つのワンタッチキーを備えており、弱火力キーは右IH加熱源6Rの火力を300Wに設定し、中火力キーは750Wに設定し、強火力キーは2.5KWに設定する。さらに、右ワンタッチキー部の右端部に強火力キーが設けられ、右IH加熱源6Rの火力を3KWにしたい場合、これを押圧操作する。
(左火力設定用操作部)
同様に左IH加熱源6Lの火力設定のための左火力設定用操作部71にも右火力設定用操作部70と同様なワンタッチキー群が設置されている。
(中央操作部)
図1において、中央操作部72には、グリル(ロースト)調理およびオーブン調理に用いられるグリル加熱室9のヒータ22,23の通電を開始する操作スイッチ(図示せず)の操作ボタンと、その通電を停止する操作スイッチ(図示せず)の操作ボタンが並べて設けられている。
また、中央操作部72には、ヒータ22,23によるグリル調理や左IH加熱源6L、右IH加熱源6Rによる電磁調理における制御温度を、1度ずつ加算的又は減算的に設定する温度調節スイッチ(図示せず)の操作ボタンが横一列に設けられている。また図示していないが、中央電気加熱源7専用の電源入り・切りスイッチボタンもここに設けてある。
さらに、中央操作部72には便利メニューキー(図示せず)が設けられている。それを操作すると揚げ物調理(左IH加熱源6L、右IH加熱源6Rを使用)、揚げ物予熱状態表示(左IH加熱源6L、右IH加熱源6Rを使用し、油を所定の予熱温度まで加熱)、タイマー調理(左IH加熱源6L、右IH加熱源6R、中央電気加熱源7、グリル加熱室9の内部に設けたヒータ22、23を、タイマースイッチにて設定した時間中だけ通電して調理)を設定する際に押圧すれば、後述する統合表示手段100に所望の入力画面や状態表示画面を簡単に読み出せる。つまり、統合表示手段100では各種加熱手段6R,6L、7、22,23の動作条件を文字などで知ることができる。
前記したタイマーカウンター(図示せず)を操作・スタートさせるスタートスイッチのキー(図1の97R)を操作すると、前記した液晶表示部45R、45Lに、そのスタート時点からの経過時間が計測されて数字で表示される。なお、液晶表示部45R、45Lの表示光はトッププレート21を透過し、経過時間が「分」と「秒」単位で明瞭に使用者に表示される。
99Rは、同じく上面操作部61の右端部に設けた右揚げ物選択スイッチであり、使用者がこれを1度押圧すると、右IH加熱源6Rによる揚げ物(天ぷら)鍋の油の温度を180℃に初期設定することができ、その後使用者は右IH加熱源6Rの火力を、右操作ダイアル64Rを操作して加減し、揚げ物に適する任意の適温、例えば200℃に設定することができる。なお、左側の左火力設定用操作部71にも、同様に、左タイマースイッチ(図示せず)と、左液晶表示部45L、左揚げ物選択スイッチ(図示せず)の3つが設けられており、これら各スイッチや液晶表示部45R,45Lは本体部Aの左右中心線を挟んで左右対象的位置に設けられている。
(火力表示ランプ)
トッププレート21の右前側で、右IH加熱源6Rと右火力設定用操作部70との間の位置に、右IH加熱源6Rの火力の大きさを表示する右火力表示ランプ101Rが設けられている。右火力表示ランプ101Rはトッププレート21を介して(透過させて)その下面から表示光を上面側に放つようにトッププレート21の下面近傍に設けられている。
同様に、左IH加熱源6Lの火力の大きさを表示する左火力表示ランプ101Lが、トッププレート21の左前側で、左IH加熱源6Lと左火力設定用操作部71との間の位置に設けられ、トッププレート21を介して(透過させて)その下面から表示光を上面側に放つようにトッププレート21の下面近傍に設けられている。
(表示手段)
統合表示手段100が、トッププレート21の左右方向の中央部で、前後方向の前側に設けられている。この統合表示手段は液晶パネルを主体に構成され、トッププレート21を介して(透過させて)その下面から表示光を上面側に放つようにトッププレート21の下面近傍に設けられている。
統合表示手段100は、左IH加熱源6L、右IH加熱源6R、中央電気加熱源7及びグリル加熱室9のヒータ22、23等の通電状態(火力や時間等)を入力したり、確認したりすることができるものである。すなわち、
(1) 左右IH加熱源6L、6Rの機能(調理動作中であるかどうか等)
(2) 中央電気加熱源7の機能(調理中であるかどうか等)
(3) グリル加熱室9での調理の場合には、その加熱調理を行う場合の操作手順や機能(例えば、現在ロースター、グリル、オーブンの調理の何れが行われているかどうか)
の3つの場面に対応して、動作状況や火力等の加熱条件が、文字やイラスト、グラフなどによって明瞭に表示されるものである。具体的な構造と表示動作について省略する。
この統合表示手段100で使用されている液晶画面は、周知のドットマトリックス型液晶画面である。また高精細(320×240ピクセルの解像度を備えているQVGAや640×480ドット、16色の表示が可能なVGA相当)の画面を実現でき、文字を表示する場合でも多数の文字を表示することができる。液晶画面は1層だけではなく、表示情報を増やすために上下2層以上で表示するものを使用しても良い。液晶画面の表示領域の大きさは縦(前後方向)約4cm、横約10cmとなっている長方形である。
また情報を表示する画面区域を加熱源毎に複数個に分割するようにしても良い。例えば画面を合計10個のエリアに割り当てておき、次のように定義しておいても良い。
(1)左IH加熱源6Lの対応エリア(火力と時間で各1個)。
(2)中央電気加熱源7の対応エリア(火力と時間で各1個)。
(3)右IH加熱源6Rの対応エリア(火力と時間で各1個)。
(4)グリル加熱室9の調理用に(火力と時間で各1個)。
(5)各種調理における参考情報を随時又は使用者の操作で表示するガイドエリア(1個
)。
(6)異常運転検知時又は不適正操作使用時に使用者に報知する表示エリア(1個)。
上記の合計10個の各エリア(表示領域)は、統合表示手段100の液晶画面の上に実現されたものではあるが、画面自体に物理的に個別に形成され、又は区画されているものではない。すなわち、画面表示のソフトウエア(マイコンのプログラム)により確立されたものであるので、そのソフトウエアによりその都度面積や形、位置を変えることは可能であるが、使用者の使い勝手を考え、左IH加熱源6L、中央電気加熱源7、右IH加熱源6Rなど各加熱源の左右の並び順序に合わせて常に同じ並び順序にしている。つまり、画面上では左側に左IH加熱源6L、真中に中央電気加熱源7、右側に右IH加熱源6Rについての情報が表示される。
なお、左右IH加熱源6L、6Rの対応エリアを2つにした場合、火力(加熱量)などの「第一条件」設定の正常状態を表示する第一の表示エリアと、調理時間、設定温度など(第一条件よりも多数の種類がある)「第二条件」の設定状態並びに当該加熱源固有の「温度や電流、電圧などの物理量」異常状態を表示する第二の表示エリアと、の2つのエリアに分けても良い。
(グリル加熱室9)
グリル加熱室9の前面開口9Aはドア13によって開閉自在に覆われ、ドア13は前後方向に移動自在になるよう加熱室9に支持機構(図示せず)によって保持されている。また、ドア13の中央開口部には耐熱ガラス製の窓板106が設置され、グリル加熱室9の内部が外側から視認できるようになっている。
13Bはドア13を開閉操作するために前方に突出した取っ手である。なお、グリル加熱室9は、前述したように本体の内側後壁面との間に所定の空間SX(図3参照)が形成され、この空間を利用して後述する排気ダクト14が設置され、また排気室12が形成されている。
ドア13には金属製の受皿108の前端部が連結されており、油の多い調理をする場合は通常その受皿108の上には金属製の焼き網109が置かれて使用される。これによりドアを前方に引き出した場合、その引出し動作に伴って受皿108(焼網109が載っている場合はその焼網)も一緒にグリル加熱室9の前方へ引き出される。なお、受皿108は、通常ドア13と連結された左右一対の金属製レールDLの上に左右両端部が着脱自在に支持されているため、受皿108をレールDLの上から単独で取り外すことが出来るようになっている。
また焼網109の形状と受皿108の位置、形状等は、受皿108を前方に引き出す際に下部のヒータ23に当たって引き出せないことがないように工夫してある。このようにこのグリル加熱室9では、焼網109の上に肉や魚、その他食品を載せてヒータ22、23を(同時又は時分割等で)通電すれば、それら食品を上下両面から加熱する「両面焼き機能」を有するものである。
またこのグリル加熱室9には、この室内温度を検出する温度センサー(図示せず)が設けられており、庫内温度を所望の温度に維持させて調理をすることも可能になっている。
グリル加熱室9は、図6に示すように、後方(背面)側に開口9Bを有し、前方側に開口9Aを有した筒状の金属製内枠9Cと、この内枠の外側全体を所定の(上方)間隙114、下方間隙113および左右両側方間隙(115。図示せず)を保って覆う外枠9Dとから構成されている。なお、307はグリル加熱室9の外枠9Dと本体ケース2の底壁面との間に形成された空隙である。
外枠9Dは、左右両側壁面、上面、下面及び背面の5つの面を有し、全体が鋼板などで形成されている。これら内枠9Cと外枠9Dの内側表面は、ホーロー等の清掃性の良い被覆を形成するか、又は耐熱塗装膜を塗ったり、あるいは赤外線放射皮膜を形成したりしている。赤外線放射皮膜を形成した場合、食品などの被加熱物に対する赤外線放射量を増大させ、加熱効率を高め、またむら焼けの改善にもなる。
9Eは、外枠9Dの背壁面上部に形成した排気口である。
14は、その排気口9Eの外側に連続するように設置した金属製排気ダクトであり(図1、図3、図6参照)、この排気ダクト14は流路断面が正方形又は長方形であり、図6に示すように下流側に行くに従って斜め上方に傾斜し、その後垂直方向に曲がり、最終的には上端部開口14Aが蓋板11に形成した中央通風口20C近傍まで連通している。
120は、排気ダクト14の内部の、排気口9Eの下流側位置に設置された脱臭用触媒であり(図6参照)、触媒ヒータ120Hにより加熱されることで活性化し、排気ダクト14を通るグリル加熱室9内部の熱気から臭気成分を除去する働きをする。
(排気構造・吸気構造)
前記した通り、上枠20の後部に固定状態に置かれた蓋板11には、横に長く右通風口(吸気口になる)20B、中央通風口(排気口になる)20C、左通風口20Dがそれぞれ形成されている(図2参照)。これら3つの後部通風口の上には、上方全体を覆うように全体に亘り無数の小さな連通孔が形成された金属製平板状のカバー130(図1参照)が着脱自在に載せられている。カバー130は金属板に連通孔用の小孔をプレス加工で形成したもの(パンチングメタルとも言う)の他に、金網や細かい格子状のものでも良い。何れにしても上方から使用者の指や異物等が各通風口20B、20C、20Dに入らないようなものであれば良い。
前記ファンケース37の吸い込み筒37A最上位にある吸い込み口37Bは、前記カバー130の右端部の直下、すなわち右通風口20Bに臨んでおり、カバー130の連通孔、右通風口20Bを通して台所などの外部の室内空気を本体部Aの中の冷却室8に導入できるようになっている。
前記後部排気室12の中には、図3に示すように、前記排気ダクト14の上端部が位置した状態である。言い換えると排気ダクト14の左右両側には、前記グリル加熱室9の両側に形成されている空隙116及び上部の空隙26と、それぞれ連通している排気室12が確保されている。つまりグリル加熱室9の天井面は、前記した水平仕切り板25との間に所定の空隙26を持って設置されているが、この空隙は最終的には排気室12に連通している。前記したように後部仕切り板28に形成した1対の排気口28Aを通じて上部部品室10の内部は排気室12と連通しているから、上部部品室10の中を流れる冷却風(図5の矢印Y5)が本体部Aの外部へ排出されるが、この際、これに誘引されて前記空隙26内部の空気も一緒に排出される。
前記回路基板(インバータ回路等が形成された回路基板)41には、100V又は200Vの商用電源に接続された整流ブリッジ回路221、この整流ブリッジ回路の直流側出力端子に接続されたコイル222、平滑化コンデンサ224、前記コイルとコンデンサに接続された共振コンデンサ224、これら部品に接続された半導体スイッチング手段となるIGBTなどの電力制御素子225、及びその他誘導加熱駆動に必要な主要電気・電子回路部品が搭載されている。なお、前記電力制御素子225は、誘導加熱駆動動作に伴って大きな電力が流れるので発熱するから、これを空冷するため前記した放熱フィン43A、43Bに熱伝的に取り付け、送風機30からの冷却風で冷却するようにしている。この実施の形態の場合、IH加熱源6R、6Lは左右に2個あるため、前記インバータ回路は2個あり、電力制御素子225も2個以上あるから、2個の放熱フィン43A,43Bにそれぞれ取り付けてある。
(補助冷却構造)
図3、図5及び図7において、46は内部に前記上面操作部61の各種電気・電子部品56や誘導加熱調理時の火力を光で表示する発光素子(LED)57などが取付基板58上に固定されて収容された前部部品ケースで、上面が開放した透明プラスチック製の下ダクト46Aと、この下ダクトの上面開口を塞ぐように密閉する蓋となる透明プラスチック製の上ダクト46Bとから構成されている。
下ダクト46Aの右端部と左端部にはそれぞれ通風口46R、46Lが開口しており、また中央の後部には通風を許容する切欠き46Cが形成されている。
46Hは、下ダクト46Aの下面に一体に形成された脚部で、この下ダクト46Aを水平仕切り板25の上面に支持する役目を有している。
なお、この脚部を下ダクト46Aの下面に長く連続して形成し、冷却風の案内板を兼用するようにしても良いが、この実施の形態では下ダクト46Aと水平仕切り板25との間には、積極的に冷却風を流さないので、前記脚部46H(図9参照)は数箇所点在しているだけである。
上ダクト46Bの天井面には、中央に前記統合表示手段100が、また左右には液晶表示部45R,45Lがそれぞれ設置されている。前記送風機30の冷却風は、前記部品ケース34の第2の排気口34Bから冷却ダクト42の通風空間42Hに入り、ここから通風空間42Hに対応して形成した通風口42Kを通して右側の液晶表示画面(液晶表示部)45Rの下方から前部部品ケース46に入り、切欠き46Cから上部部品室10に排出されるものである。これにより右側の液晶表示部45R、統合表示手段100ともに常に送風機30からの冷却風で冷却される。特にこの部品ケース34の第2の排気口34Bからの冷却風は、誘導加熱動作時に高温になる左右IH加熱コイル6LC、6RCを冷却した風でないから、その温度は低く、液晶表示部45R及び統合表示手段100ともに、冷却風の風量が少ないながらも効果的に温度上昇が抑制される。
一方、左側の液晶表示部45Lは、通風口46Rから導入される空気が十分届かないので、図3に示すように小型の軸流ファン15を前部部品ケース46の内部に設置し、通風口46Rから押し込まれた冷却風を吸引して統合表示手段100の下方及び左側液晶表示部45Lの下方空間を順次冷却し、通風口46Lから排気されるようにしている。もちろん、軸流ファン15からの冷却風の一部は前記切欠き46Cからも排出される。
本実施の形態では、冷却風の流れ(図5に矢印Y5で示す)で下流側になる左右IH加熱コイル6LC、6RCの後部位置が冷えにくいため、この実施の形態では、通風空間42Fに第1の排気口34Aからの低温の風を直接供給するようにして、この風で当該部分を冷やすようにしている。
図4において、102は冷却室8の下部に設置したカバーで、内部に独立した吸気空間が形成される。103はこの吸気空間に設置した軸流ファン104の駆動用モータで、本体部Aの底面に形成した吸気穴105から外気を吸引し、これを矢印YSSで示すように、上下仕切り板24に形成した連通口24Aを介してグリル加熱室9と上下仕切り板24の間に形成した空隙116に案内するようになっている。この空隙は本体部Aの後部において前記後部排気室12に連通しているので、後部仕切り板28の後方から排気される。
(補助排気構造)
図6に示すように、排気ダクト14の脱臭用触媒120より下流側に、一段階下方へ凹ませた形状の筒形底部14Bが形成されている。
14Cは、この底部に形成された通気孔である。グリル加熱室9で調理中、その加熱室9は高温になるから自然と内部気圧が上昇し、それに伴って高温の雰囲気が排出され、排気ダクト14を上昇してくるが、その上昇気流に矢印で示すように本体部Aの内部の空気が誘引されて排気される。
172は、14Cの真下の位置に設置された案内板である。案内板172は本体ケース2の内側壁面に固定されている。
173は、800〜1000CC程度の容積を有する上面が開口した耐食性金属容器である。この耐食性金属容器173は、上端部排気ダクト1の上端開口118から誤って水等が浸入した場合に、それを受けるものである。これにより、誤ってトッププレート21の上方に水等が流れ、上端部開口118から水等が浸入しても、ロースター加熱室9側への進入を抑制できる。
174は、耐食性金属容器173を載置した支持台である。この支持台174は、金属製板材から形成され、ロースター加熱室9の後部(背部)壁面に固定されている。耐食性金属容器173に溜まった水等は、ロースター加熱室9の壁面からの伝熱を受けて自然と乾燥してしまう。
なお、排気ダクト14の上端部開口118以外の部分から排気室12に浸入した水等を全て耐食性金属容器173に集中して溜めるようにするため、前記排気ダクト14の底部170のような構造物を設けたり、案内板172のような構造物を設けたりしても良い。
なお、図1の110は、上下仕切り板24と後部仕切り板28とによって本体ケース2内部に区画形成された空間で、この中に前記ファンケース37の吸い込み筒37Aが位置するように冷却ユニットCUが冷却室8の内部に設置される。
(制御手段F)
(制御回路)
図8は、この調理装置の制御回路の全体を示す構成要素図であり、該制御回路は、1つ又は複数のマイクロコンピュータを内蔵して構成されている通電制御回路200によって形成されている。通電制御回路200は、入力部201と、出力部202と、記憶部203と、演算制御部204と、の4つの部分から構成され、定電圧回路(図示せず)を介して直流電源が供給されて、全ての加熱源と表示手段Gを制御する中心的な制御手段の役目を果たすものである。
図8において、100V又は200V電圧の商用電源に対し、整流回路(整流ブリッジ回路ともいう)221を介して右IH加熱源6R用のインバータ回路210Rが接続されている。
同様に、この右IH加熱源のインバータ回路210Rと並列に、左IH加熱源のインバータ回路210Lが整流ブリッジ回路221を介して前記商用電源に接続されている。211は中央電気加熱源7のヒータ駆動回路、212はグリル加熱室9の庫内加熱用ヒータ22を駆動するヒータ駆動回路である。213は同じくグリル加熱室9の庫内加熱用ヒータ23を駆動するヒータ駆動回路、214は前記排気ダクト14の途中に設けた触媒ヒータ121を駆動するヒータ駆動回路、215は統合表示手段100の液晶画面を駆動する駆動回路、107は軸流ファン104のモータ103用駆動回路である。
右IH加熱源6Rのインバータ回路210Rは、図8に示した右IH加熱コイル(誘導加熱コイル)6RCと、商用電源の母線に入力側が接続された整流ブリッジ回路221と、この直流側出力端子に接続されたコイル222及び平滑化コンデンサ223からなる直流回路と、コイル222とコンデンサ223の接続点に1端が接続された加熱コイル6RC及び共振コンデンサ224の並列回路からなる共振回路と、この共振回路の他端にコレクタ側が接続されたスイッチング手段となるIGBT225とを備えている。
IGBT225のエミッタは、平滑化コンデンサ223と整流ブリッジ回路221の共通接続点に接続されている。フライホイールダイオード226のアノードがエミッタ側になるようIGBT225のエミッタとコレクタ間に接続されている。Nは被加熱物となる金属鍋を示す。
227は電流検出センサー227であり、加熱コイル6RCと共振コンデンサ224Rの並列回路からなる共振回路に流れる電流を検出する。電流検出センサー227の検出出力は通電制御回路200の入力部に供給され、誘導加熱に不適当な鍋などが用いられた場合や、何らかの事故などによって正規の電流値に比較して所定値以上の差の過少電流や過大電流が検出された場合は、通電制御回路200により駆動回路228を介してIGBT225が制御され、瞬時に誘導加熱コイル220の通電を停止するようになっている。
同様に左IH加熱源6Lのインバータ回路210Lは、右加熱源回路206Rと同等の回路構成であるので説明は省略するが、6LCは加熱コイル、224Lは共振コンデンサである。
電流検出センサー227は、図示していないが、左IH加熱源6Lのインバータ回路210Lにも同様に設けられている。なお電流検出センサー227としては抵抗器を用いて電流を計測する分流器や、カレントトランスを用いて構成する方法がある。
本発明のような誘導加熱方式で被加熱物Nを加熱する調理装置においては、加熱コイル6RC、6LCに高周波電力を流すための電力制御回路は、いわゆる共振型インバータと呼ばれている。被加熱物N(金属物)を含めたIH加熱コイル6RC、6LCのインダクタンスと、共振コンデンサ(図9の224)を接続した回路に、スイッチング回路素子(図9でいうIGBT225)を20〜40KHz程度の駆動周波数でオン・オフ制御する構成である。また共振型インバータには、200V電源用に適すると言われている電流共振型と、100V電源に適すると言われている電圧共振型とがある。
このような共振型インバータ回路の構成には、IH加熱コイル6RC、6LCと共振コンデンサ224の接続先をリレー回路でどのように切り替えるかによって、いわゆるハーフ・ブリッジ回路とフル・ブリッジ回路と呼ばれる方式に分かれる。本発明のインバータ回路210R、210Lは、ハーフ・ブリッジ回路でもフル・ブリッジ回路で構成しても良い。
上記したように被加熱物N(金属物)をIH加熱コイル6RC、6LCの通電により誘導加熱する際、鉄等の磁性材料の被加熱物Nの場合は、共振コンデンサ(図8の224)を接続した回路に、スイッチング回路素子(図8でいうIGBT225)を20〜40KHz程度の駆動周波数でオン・オフ制御して、20〜40KHz程度の周波数の電流を流せば良い。
一方、被加熱物Nがアルミや銅などの高電気導電率の材料で作られている場合には、所望の加熱出力を得るためにIH加熱コイル6RC、6LCに大電流を流して被加熱物Nの底面に大きな電流を誘起させる必要がある。そのため高電気導電率の材料で作られている被加熱物Nの場合は、60〜70KHzの駆動周波数でオン・オフ制御することを行っている。
33は、本体部Aの内部空間を一定の温度範囲に保つための前記送風機30のモータ31の電源・駆動回路である。
(温度検出回路)
図8において、240は温度検出回路で、これには以下の各温度検出素子からの温度検出情報が入力される。
(1)右IH加熱コイル6RCの中央部に設けた前記温度検出素子31R
(2)左IH加熱コイル6LCの中央部に設けた前記温度検出素子31L
(3)中央電気加熱源7の電気ヒータ近傍に設けた温度検出素子241
(4)グリル加熱室9の庫内温度検出用温度検出素子242
(5)統合表示手段100の近傍に設置した温度検出素子243(図示せず)
(6)部品ケース34の内部の2つの放熱フィン43A、43Bに密着して取り付けられ、それら2つの放熱フィンの温度を個別に検出する温度検出素子244、245。
なお、温度検出素子を温度検出対象物に対して2箇所以上設けても良い。例えば右IH加熱源6Rの温度センサー31Rを、そのIH加熱コイル6RCの中央部と、外周部分に設け、より正確に温度制御を実現しようとするものでも良い。また温度検出素子を異なる原理を利用したもので構成しても良い。例えばIH加熱コイル6RCの中央部の温度検出素子は赤外線方式で、外周部分に設けたものはサーミスタ式としても良い。
送風機30のモータ31の駆動回路33は、温度検出回路240からの温度測定状況に応じ、それぞれの温度測定部分が所定温度以上高温にならないように常に送風機30を運転して、風で冷却する。
(上面操作部構造)
図9に示すように上面操作部61は、本体ケース2の上面開口2aの前端部に固定されている金属板製の前部フランジ板2Bのフランジ2T上方に位置している。また図9に示すように上面操作部61は、樹脂製の基板ケース250と、この基板ケースの上面に取り付けられた多数個の押圧操作式のスイッチ251、電子部品素子252等が実装された基板253と、前記スイッチ251の上方を覆うように設けられ、押しボタン254Aを有する押しボタンケース254と、この押しボタンケースの上方を覆うように外周縁部が前枠体123に密着状態に貼られたメンブレンシート255とを有している。
押しボタンケース254は、基板253を覆うように基板ケース250の枠に取り付けられている。254Bは弾力性に富む押しボタン支持片であり、これにより押しボタンケース254に押しボタン254Aが支持されている。つまり押しボタン254Aが使用者により下方に押された場合、1mm〜数mm程度の所定寸法だけ下方に移動して押圧操作式のスイッチ251が閉操作され、またその状態から押しボタン254Aを押すことを止めると、押しボタン支持片は自らの弾力復元性で元の上方位置に戻り、押圧操作式のスイッチ251が開操作される。
前部フランジ板2Bの垂直壁部には、後方に突出した左右一対の支持片256R、256Lが一体に形成されている。
前記基板ケース250は、トッププレート21の横幅方向に長く形成されており、その基板ケースの後縁に沿って平板状の垂下部259を一体に形成している。この垂下部は前記支持片256R、256Lの間に挿入されて上下動可能に支持されている。
257は基板ケース250の下面と前部フランジ板2Bのフランジ2T上面との間に介在させた断面方形で棒状の弾性体で、例えばシリコンゴム系の素材で形成されている。この弾性体は基板ケース250の下面の横幅全体に及ぶような長さで設けても良いし、また基板ケース250の下面の左右両端部のみに設けたり、所定間隔で点在するように数箇所以上設けたりしても良い。
この弾性体257は、図9に示すように、調理装置の手前側が厨房家具の手前の枠142Aに当たっているときに生ずる下方からの押圧力に対し、押しボタン254Aが所定の許容寸法を超えて異常な程押し上げられない程度の反発力を有している。つまり、調理装置の手前側が厨房家具の枠142Aに当たって前部フランジ板2Bのフランジ2Tが上方に撓んだ場合、その撓みは弾性体257により吸収され、さらに上下動可能に支持された基板ケース250によって吸収される。142Bは本体部Aの後部を支える厨房家具の後ろ側の枠である。
(加熱調理装置の動作)
次に、上記の構成からなる加熱調理装置の動作の概要を説明する。
電源投入した場合、その投入から調理準備開始までの基本動作プログラムが、通電制御回路200の内部にある記憶部203に格納されている。
まず電源プラグを200Vの商用電源に接続し、主電源スイッチ63の操作ボタン63A(図1参照)を押して電源を投入する。
すると定電圧回路(図示せず)を介して所定の低い電源電圧が通電制御回路200に供給され、通電制御回路200は起動される。通電制御回路200自身の制御プログラムにより自己診断し、異常がない場合には送風機30の駆動モータ31を駆動するためのモータ駆動回路33が予備駆動される。また、左IH加熱源6Lおよび右IH加熱源6R、統合表示手段100の液晶表示部の駆動回路215もそれぞれ予備起動する。
温度検出回路240は各温度センサー31R,31L、241、242、244,245からの温度データを読み込み、そのデータを通電制御回路200に送る。
以上のようにして通電制御回路200には、主要な構成部分の回路電流や電圧、温度などのデータが集まるので、調理前の異常監視制御として、異常加熱判定を行う。例えば、統合表示手段100の液晶基板周辺の温度がその液晶表示基板の耐熱温度(例えば70℃)よりも高い場合は、異常高温と判定する。
また電流検出センサー227は、右IH加熱コイル6RCと共振コンデンサ224の並列回路からなる共振回路225に流れる電流を検出し、この検出出力は通電制御回路200の入力部201に供給され、記憶部203に記憶されている判定基準データの正規の電流値に比較して、過少電流や過大電流が検出された場合には、通電制御回路200は何らかの事故や導通不良などと判定し、異常と判定する。
以上の自己診断ステップによって異常判定が無かった場合は「調理開始準備完了」となる。しかし異常判定が行われた場合は、所定の異常時処理が行われ、調理開始ができないようになる。
(調理モード)
次に、調理前異常監視処理を終えたあとに調理モードに移行した場合について、右IH加熱源6Rを使用した場合を例にして説明する。
まず、前面操作部60の右操作ダイアル64Rを右か左へ回す(回した量に応じて火力が設定される)。
前面操作部60からの操作信号が通電制御回路200に入力され、また上面操作部61からの各種入力キーの操作信号が通電制御回路200に入力され、火力レベルや加熱時間などの調理条件が設定される。
次に、通電制御回路200が駆動回路228を駆動し、右IH加熱源回路206Rを駆動する。また統合表示手段100が駆動回路215によって駆動されるので、その表示エリアには火力や調理時間などの調理条件が表示される。
駆動回路228はIGBT225のゲートに駆動電圧を印加するので、右IH加熱コイル6RCに高周波電流が流れる。これにより右IH加熱コイル6RCからの高周波磁束により被加熱物Nの鍋が高温になり、電磁誘導加熱調理動作(調理モード)に入る。
整流ブリッジ回路221と平滑化コンデンサ223によって得られた直流電流はスイッチング素子であるIGBT225のコレクタに入力される。IGBT225のベースには駆動回路228からの駆動信号が入力されることでIGBT225のオン・オフ制御を行う。IGBT225のオン・オフ制御と共振コンデンサ224を組み合わせることで右側の加熱コイル6RCに高周波電流を発生させ、この高周波電流がもたらす電磁誘導作用により加熱コイル6RC上方のトッププレート上に載置された鍋等の被加熱物Nに渦電流が発生する。こうして、被加熱物Nに生じた渦電流はジュール熱となって被加熱物が発熱し、調理に用いることが可能となる。
駆動回路228は発振回路を有しており、この発振回路が発生する駆動信号がIGBT225のベースに供給されてIGBT225をオン・オフ制御する。駆動回路228の発振回路の発振周波数や発振タイミングを調整することで、右IH加熱コイル6RCの導通比や導通タイミング、電流周波数等が調整されて、右IH加熱コイル6RCの火力調節が可能となる。
なお、右IH加熱源6Rの通電停止指令が出された場合には、右IH加熱源6Rの通電は停止されるが、送風機30は、前記通電停止後も2分間〜5分間運転継続する。これにより、送風機30からの送風停止直後から右IH加熱源6Rの加熱コイル6RC周辺に熱気が滞留したままになり、温度が急激に上昇するというオーバーシュート問題も未然に防ぐことができる。また、統合表示手段100の温度が高くなるという弊害も防ぐことができる。
この運転継続時間は、通電停止までの温度上昇の様子や室内気温、加熱源の運転火力大小等の条件に対応して通電制御回路200が予め決められた算式や数値テーブルから決定する。
但し、送風機30からの異常電流が検出される等、冷却用ファン自体の故障であることが判明した場合(例えば、冷却フィン43A、43Bの温度だけが上昇している場合)は、その送風機30への通電も同時に停止する。
統合表示手段100の液晶表示基板は、IH加熱源6R、6Lの加熱調理時に加熱された被加熱物Nの底部からの反射熱やトッププレート21からの輻射熱で加熱される。
また、使用した高温のてんぷら鍋がそのままトッププレート21の中央部上に置かれている場合もその高温の鍋(200℃近くある)からの熱を受ける。
そこで、この実施の形態1では、統合表示手段100の温度上昇を抑制するため送風機30と軸流ファン15により左右両側から空冷している。
このように正常な運転環境下で送風機30が駆動された場合には、本体部Aの外部の空気がファンケース37の吸い込み筒37Aの吸い込み口37Bからファンケース37の内部に吸引される。吸引された空気はファンケース37の内部で高速回転している翼部30Fにより排気口(出口)37Cから水平方向で前方に吐き出される。
排気口37Cの前方位置にはファンケース37に密着状態に接続される部品ケース34があり、空気導入口をその排気口37Cに密着状態で連通させているから、排気口37Cから部品ケース34の内部は、その内部気圧(静圧)を上昇させるように送風機30から空気が送り込まれる。その送り込まれた冷却風の一部は、部品ケース34の上面部で排気口37Cに近い側にある第1の排気口34Aから空気が放出される。
この放出された空気の温度は、途中で高温の発熱体や発熱性電気部品などを冷却していないから、排気口37Cから出た直後の温度と殆ど同じであり、新鮮な空気のままである。
そして第1の排気口34Aから冷却ダクトの通風空間42Fに送りこまれた冷却用空気は、第1の噴き出し孔42CAから図5の矢印Y3で示すように上方へ噴出し、真上にある右IH加熱コイル6RCの下面に衝突してそのコイルを効果的に冷却する。なお、右IH加熱コイル6RCの形状が、上記のような空冷用空気を一部で貫通させる空隙や、貫通穴形状の中央空間CKを有している場合はそれらにも第1の排気口34Aからの冷却風が進入し、それを貫通するように上方に流れて冷却する。
また通風空間42Fの周壁面を構成する上ケース42Aの後部上面と、背面側に形成された第1の噴き出し孔2CAからも同時に新鮮な(室温と同等の低温の)冷却風が後方へ噴き出し、前記電源基板A58と中央電気加熱源7の側方に向かって流れていくので、その電源基板A58の雰囲気温度を下げることができる。なお空隙119があるので、電源基板A58は上面と下面の双方から温度上昇が抑制される。また中央電気加熱源7の側方に向かって流れていくようにしたのは、第1の噴き出し孔42CAからの噴出した冷却風が後方へ流れることを促進し、また中央電気加熱源7が通電されたとき非常に高温になるので、その周辺に熱気が滞留しないようにしたものである。
一方、部品ケース34の内部に送風機30から圧力を持って送り込まれた冷却風は、回路基板41の表面に向けられず、また表面近くを流れる訳ではない。冷却風は回路基板41の表面(一側面)に突出した構造物となっている放熱フィン43A、43Bの部分を中心に多数の熱交換フィン素子間を通るから、放熱フィン43A,43Bが主に冷却される。
さらに、排気口37Cから押し込まれた冷却風の中で、最も速度が速い部分である本流は図5に矢印Y4で示すように排気口37Cから前方に一直線状に流れ、部品ケース34において冷却風の流れの最も下流側位置にある第2の排気口34Bから噴出される。この第2の排気口34Bは第1の排気口34Aよりも数倍大きな開口面積を有しているため、排気口37Cから部品ケース34に押し込まれた冷却風の大部分はこの第2の排気口34Bから噴出するものである。
そして噴出した冷却風は、冷却ダクトの空間42G、42Hの中に案内され、その大部分の冷却風は上ケース42Aの上面に多数形成した噴き出し孔42Cから噴き出し、その真上にある右IH加熱コイル6RCの下面に衝突してそのコイルを効果的に冷却する。
冷却ダクトの空間42Hの中に案内された冷却風の一部は、各種電気・電子部品56や誘導加熱調理時の火力を光で表示する発光素子(LED)57などが収容された前部部品ケース46の中に導かれる。具体的には、前記送風機30の冷却風は、前記部品ケース34の第2の排気口34Bから冷却ダクト42の通風空間42Hに入り、ここから通風空間42Hに対応して形成した冷却ダクト42の通風口42Kを通り、その通風口42Kの真上に密着するように位置している下ダクト46Aの通風口46Rに入る。
これにより前部部品ケース46に入った冷却風でまず右側の液晶表示画面(液晶表示部)45Rが下方から冷却されるとともに、その後前部部品ケース46内を流れていく途中にある軸流ファン15で流れが加速され、最後に切欠き46Cから上部部品室10に排出される過程で順次内蔵部品等を冷却して行くものである。これにより右側の液晶表示部45R、統合表示手段100、各種電気・電子部品56や誘導加熱調理時の火力を光で表示する発光素子57等は順次冷却風で冷却される。
特にこの前部部品ケース46の中に案内された冷却風は、誘導加熱動作時に高温になる左右IH加熱コイル6LC、6RCを冷却した風でないから、その温度は低く、液晶表示部45R及び統合表示手段100などは、冷却風の風量が少ないながらも効果的に温度上昇が抑制されるように冷却され続ける。
なお、軸流ファン15で遅れられた風は左側の液晶表示部45Lの下方にも流れ、通風口46Lから排出される過程でその液晶表示部45Lやその周辺の電気部品も冷却する。
冷却ダクト42に多数形成した第2の噴き出し孔42CBと第1の噴き出し孔42CAから噴出された冷却風は、図2、図3、図4及び図5に示すように上部部品室10を後方に向かって矢印のように流れる。この冷却風の流れに、間隙26、116に案内された冷却風も排気室12で合流し、本体部Aの外部に排出される。
なお、左側のIH加熱源6Lに通電された場合には、右側IH加熱源6Rを冷却した残りの冷却風が冷却ダクト42によって図4に矢印で示すように左側まで送り込まれ、左IH加熱コイル6LCを同様に冷却する。また、左IH加熱コイル6LCを冷却するように噴き出された冷却風は、排気室12の方向に流れていく過程で電源基板59を冷却する。特に冷却ダクト42の背面側に設けた2個の第1の噴き出し孔42CAから噴出された冷却風が電源基板59の周囲と中央電気加熱源7の間を図5の矢印Y5で示すように流れるから、電源基板59は効果的に冷却される。
実施の形態2.
図10〜図16は本発明の実施の形態2に係る加熱調理装置を示すものであり、図10はその冷却ユニットの縦断面図、図11は同じくその横断面図、図12は図10のXIIーXII線における断面図、図13は冷却ユニットの部品ケースとファンケースの結合状態における側面図、図14は冷却ユニットの設置状態を示す縦断面図、図15は冷却ダクト部分を断面で示す要部の断面図、図16は全体の縦断面図である。なお、各図において実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付して相違点を中心に説明する。
この実施の形態2は、本体部Aの内部にグリル加熱室9を設け、本体部においてグリル加熱室の右側空間には前後方向に伸び、かつ前記グリル加熱室とは隔絶された冷却室8を形成し、この冷却室には、インバータ回路を構成する回路基板を収容した部品ケース34と、この部品ケースに結合され、これとの間に前記送風機30の送風室を形成するファンケース37とを備えた冷却ユニットCUを配置したものである。
そして前記ファンケース37と部品ケース34との間の送風室に、送風機30の回転翼部を内蔵させ、この回転翼部で発生した冷却風を前記部品ケースの中に導入し、この導入された冷却風を部品ケース34で分岐し、左右2箇所の誘導加熱式加熱源のIH加熱コイル6RC、6LCに向けて噴き出すようにしたものである。
図14及び図16において、本体ケース2の内部中央には、箱形のグリル加熱室9を設け、このグリル加熱室の右側にはそのグリル加熱室9の外壁面と数mm程度の間隙116を置いて対面するように金属製又は断熱材料からなる上下仕切り板24を設置している。
そしてこの上下仕切り板24右側面と本体ケース2の内側壁面(右側壁面)との間が前記冷却室8になっている。つまり、上下仕切り板24により、冷却室8はグリル加熱室9と隔絶された状態になっている。これはグリル加熱室9からの熱が極力冷却室8に及ぶことを抑制するためである。
前記冷却室8の中には、図12に示すような冷却ユニットCUが上方から挿入されて設置されている。その設置状態では、冷却ユニットCUの側面とグリル加熱室9の外壁面との間には、大きな間隙(空間)117が確保され、また冷却ユニットCUの反対側の側面と本体ケース2の内側側壁面との間にも、対向間隔が数mmかそれよりも更に狭い空隙118が確保されるようになっている。
冷却ユニットCUは、冷却室8Rの奥行寸法一杯に近い長さL3(図11参照)を有し、冷却室8の前後方向の有効スペース一杯に及ぶように密着状態に近い状態で設置されている。なお、空隙116と117は、高温になるグリル加熱室9の熱がその壁面から放射されることを想定して、その熱的影響が冷却室8に少なくなるように工夫した構造の一つである。
前記冷却ユニットCUは、インバータ回路を構成する回路基板を収容した部品ケース34と、この部品ケースに結合され、これとの間に前記送風機30の送風室を形成するファンケース37とが一体に結合され、一個の構造物として運搬したり、本体部Aに設置したりできる状態になっている。
右IH加熱コイル6RCと左IH加熱コイル6LCは、直径の大きな鍋でも加熱できるように可能な限り相互間隔を大きくしている関係で、右IH加熱コイル6RCの位置は冷却室8の上方空間に外周縁部が一部張り出すような位置関係になっている。
前記冷却ユニットCUは、図10〜図12に示すように、後部側の一側面に一定高さにリブ38を円形に一体形成した透明プラスチック製のファンケース37と、このファンケースの他側面側に重ね合わされて結合される一側面全体が開口したプラスチック製の箱形部品ケースと、前記ファンケース37の一側面に結合され、その結合状態で前記リブ38で囲まれた空間との間に送風室39が区画形成されるファンケース40、という大きな3部品で構成されている。
ファンケース40は、十分な開口面積を有する吸い込み口37Bが上端に形成され、そこから垂直に下方に伸びた吸い込み筒37Aと、この吸い込み筒の末端に連続し吸引した風の流れを回転させながら前記翼部30Fに変換する案内筒部40Aとを有しており、この案内筒部の中心部には周囲の壁面から中心部に向かって4本の腕部40Bが突設され、その腕部の先端部にモータ31が固定されている。
38Aはファンケース37のリブ38で形成した喉部で、前記ファンケース40もこの喉部を含めてリブ38に密着するような壁を対向面に連続して形成している。なお、実際の吸い込み口37Bの上端部における開口寸法(有効内寸)は、前後方向(図11でいう奥行寸法M2)は17mm、また横幅(図11でいうM1)は80mmであり、開口面積は13.6平方センチメートルとなっている。
部品ケース34には、その内側にインバータ回路210R,210Lを構成する部品が実装された1枚の回路基板41をそれぞれ収容する凹み部34Cを有している。この凹み部34Cは、図11に示すように一部は送風室39の裏側にまで及び、側面から見た場合の大きさは図10に示すように、縦H1、横幅W1の寸法を有している。前記回路基板41はこの凹み部34Cにほぼ匹敵する大きさを有し、この広い面積を使って高周波電力を供給するためのインバータ回路210R,210Lを構成する多数の部品を実装している。
なお、回路基板41は左右IH加熱コイル6LC、6RCの両方に対応してこの実施の形態では1枚であるが、左右IH加熱コイル別に間隔を置いて1枚ずつ並べて設置しても、また2層(重ね)構造にしても良い。
部品ケース34の開口部周縁の外側に密着して前記ファンケース37の周縁部が重ね合わされ、ファンケース37に形成された舌部37Fや側部37Gに対しネジSC1を締めて部品ケース34と一体化している。
またファンケース40にも舌部40Fや取付部40Gが形成され、これらをネジSC2で前記ファンケース37に締め付けて2つのファンケース37、40相互を結合している。
一体化された部品ケース34とファンケース37との間には排気口37Cを介して送風室39に連通した横長長方形形状の密閉空間が形成される。但し、第1の排気口34A及び第2の排気口34Bの3箇所だけは例外的に外部と連通部分として機能し、これら排気口34A、34Bから冷却風が強制的に(大気圧より高い圧力で)排出される。
なお、この実施の形態における第1の排気口34Aの大きさは、側面から見た投影面積でいうと図10において、高さHAが11mm、幅WAが20mmであり、第2の排気口34Bの大きさは、図10において高さHAが11mm、幅WAが110mmになっている。つまり側面から見た投影面積でいうと、2つの排気口34A、34B合計で14.3平方センチメートルになっており、前記吸い込み口37の開口面積13.6平方センチメートルより若干大きくなっている。
また、前記第1の排気口34Aと、第2の排気口34Bから排出される風の圧力を大気圧に比較して大きくしない場合には、この実施の形態のように第1の排気口34Aと、第2の排気口34Bの開口面積合計に比較して吸い込み口37の開口面積を同等にしても良いが、更に十分な圧力風を確保するためには、前記第1の排気口34Aと、第2の排気口34Bの開口面積合計に比べて前記吸い込み口37Bの開口面積を十分大きく採れば、冷却ユニットCUの内部圧力(静圧)を、より高めることができる。
40Cは、ファンケース37の排気口37Cに対応して前記ファンケース40に形成した傾斜案内部であり、送風室39で発生した風を部品ケース34の内側へ案内するものである。
前記吸い込み口37Bは、一定の風量を確保するために開口面積を確保する必要があるため、送風室39の部分の厚み(横幅寸法)は図11に示すように大きくなる。また翼部30Fの直径やその厚さも確保し、モータ31の設置スペースも確保する必要があるため、ファンケース37とファンケース40全体で見ると、幅、奥行寸法とも大きくならざるを得ない。しかし、部品ケース34の厚さは送風室39等の厚さよりも小さくできるから、排気口37Cから部品ケース34に風が入る入口部分で前記傾斜案内部40Cが送風を円滑に流れるよう案内している。つまり図12に示すように排気口37Cの始めの部分ではその通路の幅はH5にせざるを得ないが、下流に行くに従いその寸法H5が小さくなるように傾斜案内部40Cがある。
ファンケース37は、図10に示すように冷却風の吹き出し方向が水平線に対し上方に一定角度Θ1(例えば10度)だけ傾斜している。また放熱フィン43A、43Bは部品ケース34の内底面から所定寸法H2、H3だけ離れた位置に設置してあるから、送風機30からの冷却風の流れの中心部はその放熱フィン43A、43Bの下端部になる。放熱フィン43A、43Bを冷却風の吹き出し方向の全く正面に設置すると、放熱フィン43A、43Bの冷却効果は高まるが、その放熱フィン43A、43Bの細かいフィン素子を通過する際の圧力損出で、冷却風の送風圧力が低下し、肝心の第2の排気口34Bまで十分な風量、圧力で風を送ることができないおそれがあるので、このような特別な構成にしている。
またファンケース37の風下側角部は大きな曲面37Kにしており、送風機30からの冷却風の流れの中心部が第2の排気口34B側へ向きやすくしている。
223は図8の回路図に示したような平滑化コンデンサ、224は共振コンデンサであり、このような背の高い電気部品は、図10に示すように、回路基板41からの高さ寸法S3を極力薄いものにしている部品ケース34では、その内壁面との間隙S2が小さくなる可能性があるので、これら部品を、図10に示すように、風を案内する方向に全て角度Θ2だけ傾斜させることで整列させて、第2の排気口34Bへ風が円滑に流れるようにしている。因みにこの実施の形態で、S3は45mm、S2は25mmである。
なお、回路基板41の裏面には回路部品を実装していないが、部品ケース34の内壁面との間に数mm以下の間隙119が確保されるように設置している。図10で260はコンデンサなどの電気部品である。
図10において、262は部品ケース34の上側壁面に形成した凹み(くぼみ)部で、この内部底面265には金属端子263が固定されており、この固定端子には、各インバータ回路210R,210Lで生成した高周波電力が回路基板41の前方に設けた金属端子150から(回路基板41の表面に接触しないように浮かせた)ジャンパー線151で供給されるようになっている。冷却室8に冷却ユニットCUを設置した後、端子263に対し所定のコード264を接続すれば左右のIH加熱コイル6RC、6LCへの高周波電源接続を簡単にすることできる。なお、各インバータ回路210R,210Lから高周波電力を引き出す前記コードAは、当然ながら前記端子に至る間は部品ケース34の外部には露出しない。またコード264の他端部にはコネクタを設けておけば、左右のIH加熱コイル6RC、6LCとの接続はより簡単にできる。
図10において、152は送風機30の駆動回路33の電源コードであり、部品ケース34の壁面に形成した窪みとファンケース37の端縁に形成した窪みとの相互間で形成される貫通穴154を通して回路基板41側に引き込まれており、回路基板41上に形成した駆動回路33に接続されている。この電源コード152の他端部にはコネクタ155が取り付けられており、冷却室8に冷却ユニットCUを設置した後、コネクタ155に対し駆動回路33の所定電圧(例えば24V)のテスト電流を流して送風機30の運転状態をチェックすることができる。
同じく図10において、156は回路基板41に電源を供給する電源コードであり、部品ケース34の壁面に形成した窪みとファンケース37の端縁に形成した窪みとの相互間で形成される貫通穴158を通して回路基板41側に引き込まれており、回路基板41上の所定の端子に接続されている。
この電源コード156の他端部にはコネクタ157が取り付けられており、冷却室8に冷却ユニットCUを設置した後、コネクタ157に対し所定電圧のテスト電流を流すことができる。
グリル加熱室9の上方を上下に仕切る板状部材、すなわち水平仕切り板25の後部に大きな通風口25A(図16参照)を形成した点が実施の形態1と異なっている。
2つの電源基板58、59(図15では58のみ図示し、図16では59のみ図示)は、その下面が水平仕切り板25の上面とは一定の距離HC(図15参照)だけ離れており、当然ながら冷却ユニットCUの上面とも一定の距離だけ離れて設置されている。
前記水平仕切り板25は、グリル加熱室9の天井面との間に所定の空隙26を確保する位置に設置されており、その空隙には図16に示すように冷却風が下ケース42Bの透孔306から空隙26に流れるようになっている。
305は冷却ダクト42の空間42Hに対応する下ケースに形成した透孔であり、前記透孔306の位置に対応し、かつ同じ口径で形成している。309は電源基板A58を水平仕切り板25に支持固定した複数個の脚、310は電源基板58の上に固定された大型の電気部品、311は同じく小型電子部品であり、このような脚309、電気部品310、小型電子部品311に類似したものは左側にある電源基板B59も同様に具備している。なお、312は透孔305,306間の気密性を上げるため上下から圧縮状態で設置されたリング状のシール材である。
42Jは、冷却ダクト42の後ろ側の壁面に2個程度形成した通風用の穴であり、2つの電源基板58、59に向かい合う側にそれぞれ1個〜数個ずつ形成している。これにより冷却ユニットCUからの新鮮な空気の一部を分岐してそれら2つの電源基板58、59用の冷却風として利用できるようになっている。
42L(図15参照)は、冷却ダクト42の上ケース42の外形が半円部(円弧部)42Mに形成した段部で、半円状に所定の幅WLに形成されている。この段部は前記左右IH加熱コイル6LC、6RCとの間に空間を広く作ることで、それらIH加熱コイル6RC、6LCに当たった第1の噴き出し孔42CA、第2の噴き出し孔42CBからの冷却風の流れを円滑にする効果がある。
冷却ダクト42の上面(側面のものは含まず)に形成された全ての第1の噴き出し孔42CAと第2の噴き出し孔42CB孔縁部には、冷却風の流れる方向に沿うように、すなわち下方から上方に向かうに従い口径を小さくするような傾斜面が全周に形成され、さらに孔縁の一部にはそれと連続して後方に庇状に突出した案内壁(風向きガイド)48が一体に形成されている。なお、この風向きガイドの先端を基準にした第1の噴き出し孔42CAの直径42Nは約8mmである。つまり本来口径は12mmであるから風向きガイド48は4mm突出していることになる。
前記風向きガイド48は、左右のIH加熱コイル6LC,6RCの中心点X3、X2から見て電源基盤59,58の方角、すなわち真後ろに向くように統一して形成されている。
(動作)
このような構成において送風機30を駆動した場合について述べる。なおこの場合、右側のIH加熱コイル6RCが誘導加熱中であるものとする。
まず本体部Aの外部の空気が冷却室8のファンケース37の吸い込み筒37Aの吸い込み口37Bからファンケース37の内部に吸引される。吸引された空気はファンケース37の内部で高速回転している翼部30Fにより排気口(出口)37Cから水平方向より所定角度上に向けて勢い良く送り出される。排気口37Cから見た前方位置にはファンケース37に密着状態に接続される部品ケース34があり、空気導入口をその排気口37Cに連通させているから、排気口37Cから送風機30で送り込まれた空気により、部品ケース34の内部気圧(静圧)は上昇する。
また放熱フィン43A、43Bは部品ケース34の内底面から所定寸法H2、H3だけ離れた位置に設置してあるから、送風機30からの冷却風の流れの中心部はその放熱フィン43A、43Bの下端部になる。言い換えると回路基板41の表面でもなく、また回路基板41に実装されている多数の小型電子部品や印刷配線パターン等に直接冷却風が吹きつけられるものではない。
この実施の形態2では、以上のように、冷却風の吐き出し流の中心部が回路基板41の表面やその表面近くにならないようにしており、冷却風の吐き出し流の中心部は放熱フィン43A、43Bの非取付部側端部の方にあるから(図10参照)、長期間の使用により台所などの室内空間からの空気に含まれた油煙や埃が冷却風とともに回路基板41の表面や実装された小型電子部品等の周囲や端子部に付着・堆積する可能性を低く抑えることができ、長年の使用により、回路基板41に油煙や埃等の堆積物が溜まり、それが湿気を吸収して回路基板の電気絶縁性が低下することを防止できる。
その送り込まれた冷却風の一部は、部品ケース34の上面部で排気口37Cに近い側にある第1の排気口34Aから図10に矢印Y3で示すように放出される。この放出された空気の温度は、途中で高温の発熱体や発熱性電気部品などを冷却していないから、排気口37Cから出た直後の温度と殆ど同じであり、新鮮な空気のままである。またこの段階では負圧ではなく、正圧の空気流である。
そして第1の排気口34Aから冷却ダクト42に送りこまれた冷却用空気は、第1の噴き出し孔42CAから図10、14に矢印で示すように上方へ噴出し、真上にある右IH加熱コイル6RCの下面に衝突してそのコイルを効果的に冷却する。
一方、部品ケース34の内部に送風機30から圧力を持って送り込まれた冷却風は、回路基板41の中を流れる過程でその回路基板41の表面(一側面)に突出した構造物となっている放熱フィン43A、43Bの多数の熱交換フィン素子間を通るから、放熱フィン43A,43Bが冷却される。
さらに、排気口37Cから押し込まれた冷却風の中で、最も速度が速い部分である本流は図10に矢印Y4Aで示すように排気口37Cから前方に一直線状に流れ、部品ケース34において冷却風の流れの最も下流側位置にある第2の排気口34Bから噴出される。この第2の排気口34Bは第1の排気口34Aよりも数倍大きな開口面積を有しているため、排気口37Cから部品ケース34に押し込まれた冷却風の大部分はこの第2の排気口34Bから噴出するものである。
そして噴出した冷却風は冷却ダクトの空間42G、42Hの中に案内され、その大部分の冷却風は上ケース42Aの上面に多数形成した第2の噴き出し孔42CBから噴き出し、その真上にある右IH加熱コイル6RCの下面に衝突してそのコイルを効果的に冷却する。
なお、冷却ダクトの空間42Hの中に案内された冷却風の一部は、各種電気・電子部品56や誘導加熱調理時の火力を光で表示する発光素子(LED)57などが収容された前部部品ケース46の中に導かれる。
冷却ユニットCUから排出された冷却風は、冷却ダクト42に至るまで正圧状態を維持しているから、グリル加熱室9の熱を自ら引き込むことは殆どなく、所定の低い温度の風を右iH加熱コイル6RCの下面に第2の噴き出し孔42CBを通じて供給できる。
冷却ダクト42の第1の噴き出し孔42CAと、多数の第2の噴き出し孔42CBから噴出された冷却風は、図16に示すように上部部品室10を後方に向かって流れる。この冷却風の流れに、上部部品室10に排出された冷却風も合流し、本体部Aの外部に連通(開放)している後部排気室12に流れることで最終的に後部排気室12から排出される。
また、冷却ダクトに送りこまれた冷却用空気は、第1の噴き出し孔42CAから図15の矢印で示すように上方へ噴出し、真上にある右IH加熱コイル6RCの下面に衝突してそのコイルを効果的に冷却するが、このとき、前記案内壁(風向きガイド)48は、真後ろに向くように方向が統一されているので、噴き出す冷却風の向きが統一され、後方に円滑に流れる。
また冷却ダクト42の通風空間42Fの周壁面を構成する上ケース42Aの背壁面に形成した第1の噴き出し孔42CAからは、真後ろ方向に冷却風が噴き出されるから、電源基板58方向に向かう風の流れができる。
一方、冷却ユニットCUにおいて冷却風の流れの最も下流側位置にある第2の排気口34Bから噴出された冷却風が、冷却ダクト42の空間42G、42Hの中に案内され、その大部分の冷却風は上ケース42Aの上面に多数形成した第2の噴き出し孔42CBから噴き出し、その真上にある左iH加熱コイル6LCの下面に衝突してそのコイルを効果的に冷却する。このときもこの第2の噴き出し孔42CBの口縁部にある風向きガイド48は、真後ろに向くように全て方向が統一されているので、噴き出す冷却風の向きが統一され、後方に円滑に流れる。
一方、冷却ダクトの空間42Hの中に案内された冷却風の一部は、透孔305から水平仕切り板25の透孔306を通り、水平仕切り板25とグリル加熱室9天井面との間に形成された空隙26に流れ込む。こうして流れ込んだ空気は図6に示すように、空隙26内を後方に流れていき、水平仕切り板25の上方、すなわち上部部品室10の内部を前方から後方に流れていく冷却風と、水平仕切り板25の通風口25Aを通過した後に合流する。
すなわち、図10及び図14に示すように冷却ユニットCUの部品ケース34の第2の排気口34Bから送り込まれた冷却風は、冷却ダクト42に送り込まれ、その後、第2の噴き出し孔42CBを介して右IH加熱コイル6RC側に送り出される。そして、右IH加熱コイル6RC部分を冷却した後に、前記通風口25Aを経由して最終的に後部仕切り板28の後方にある排気室12に流れようとするが、この流れの中に前記冷却ダクト42の第1の噴き出し孔42CAから噴き出す冷却風も合流し、電源基板58,59の周囲温度が上昇することを抑制しながら、最終的には図16に示すように通風口25Aを経由して排気室12に流れ込み、装置外部へ排出される。
なお、以上の各実施の形態では、右側IH加熱コイル6RCが誘導加熱中である場合について説明したが、調理装置の使用状態(例えば左右のIH加熱コイル6LC、6LCを同時に駆動した場合、あるいは中央電気加熱源7やグリル加熱室を同時に併用した場合、さらには上部部品室10の温度等の環境)によっては、送風機30の運転速度(送風能力)を適宜変化させるようにしても良い。
実施の形態3.
図17は、本発明の実施の形態3に係る加熱調理装置を示すもので、冷却ユニットと冷却ダクトの簡略平面図である。なお、図17において実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付して相違点を中心に説明する。
この実施の形態3は、冷却ダクト42の中の風路を、部品ケース34の第1の排気口34Aから供給される比較的低温の空気が導入される風路42Fと、その第1の排気口34Aよりも下流側にある第2の排気口34Bから供給される空気が導入される風路42Gとに区切っていることは前記した実施の形態1と同じであるが、右側IH加熱コイル6RC、左側IH加熱コイル6LCを冷却する送風の主流が流れる前記風路42Gの途中に、風量調節弁80を設けたことを特徴とするものである。
風量調節弁80は、中心部を支点として図に実線で示す位置(閉位置)と、破線で示す位置(開位置)との間をモータやソレノイド等の駆動手段(図示せず)で回動するものであり、閉位置と開位置の2点で固定されるもの、あるいはその2点間の適当な位置において数段階又は多数段階で停止可能なものの何れでも良い。81は実施の形態1でいう仕切り壁42Dと同様に、冷却ダクト42の横幅全体に亘りその壁面と一体に形成した仕切り壁であり、これを境にして前記2つの風路42F、42Gが形成される。82は風量調節弁80の一端部にその閉位置で接触するように風路42G内部に突き出た絞り部であり、この部分では風路42Gの流路断面積は狭くなっている。なお、風量調節弁80は閉位置において完全に風路42Gを遮断するものではなく、それには一定の限度で最小の流路が確保されている。
(動作)
このような構成において送風機30を駆動した場合について述べる。なおこの場合、最初に右IH加熱コイル6RCを使用して誘導加熱したケースであるものとする。
まず本体部Aの外部の空気が吸い込み口37Bからファンケース37の内部に吸引される。吸引された空気はファンケース37に一体成形で連続して形成されるか、又は別体で形成されたものを密着状態に接続して使用される密閉容器状の部品ケース34の内部に所定の圧力で送風機30により送り込まれる。
ファンケース37から押し込まれた冷却風は、その流れで上流側位置にある第1の排気口34Aから前記風路42Fに、また第2の排気口34Bから風路42Gにそれぞれ噴き出される。このとき、風量調節弁80は、閉位置にあり、風路YYを通じた左IH加熱コイル6LCへの風量を減らすことができるから、その分右IH加熱コイル6RC部分の第2の噴き出し孔42CBから噴出する風量が増大する。このため第2の噴き出し孔42CBから過剰な噴き出しをしないように、冷却ユニットCUの送風機30の運転速度を下げることが可能で、これで送風機30の消費電力を少なくすることができる(当然運転音も小さくなり好ましい)。
この状態で新たに左IH加熱コイル6LCに高周波電力が供給されて左右両方のIH加熱源6L、6Rで調理することになった場合、前記風量調節弁80は、通電制御装置200からの指令でそれに接続された駆動回路(図示せず)が開位置になるように制御するから、風路42Gの左側にも冷却風が十分供給され、左右のIH加熱コイル6LC、6RCがその下方から噴き出す冷却風でそれぞれ冷却される。
この実施の形態3では、右IH加熱源6Rが一般の使用者には最も頻繁に使用されるように3KW〜100W程度の広範囲の中で、最も多数段階の火力を選択して使用できるという設計になっている。例えば弱火力の範囲では、100W、150W,250W,500W、・・・のような細かい火力設定ができる。そこでこの右IH加熱源6Rに常に優先的に冷却風を供給するようにしている。但し、トッププレート21は、加熱調理が終了しても調理中の熱が残存して暫くの間は高温になっていることがあり、これを早く冷却することが望ましい。そこで右IH加熱コイル6RCのみの運転中でも、左IH加熱コイル6LC部分に全く冷却風を供給しないことをせず、風量調節弁80は閉位置であっても風路42Gを完全に遮断しないことで、冷却風の一部を左IH加熱源6L側にも送るようにしている。
なお、この実施の形態3に類似したものとして、前記第2の排気口34Bを2個設ける一方、冷却ダクト42の中の風路を、右IH加熱コイル6RC専用と、左IH加熱コイル6LC専用に区画し、又は別々の構造物で形成し、それら2つの風路に2つの前記第2の排気口34Bをそれぞれ連通させる構成にしても良い。この場合、第1の排気口34Aは廃止しても良い。すると左右のIH加熱コイル6LC、6RCには一つの排気口34Bのみから冷却風が供給されることになる。さらにその左右のIH加熱コイル6LC、6RCの高周波駆動に応じて、駆動しない方の排気口34Bあるいはその風路の流路断面積を調節するかあるいは完全に遮断・開放する弁体を設けて、加熱調理に使用される側のIH加熱コイルに冷却ユニットCUからの冷却風を集中的に供給するようにしても良い。
なお、本発明を実施する上では、前記上下仕切り板24R,24Lや水平仕切り板25は必ずしも必要ではない。例えばグリル加熱室9の外壁面を断熱材で覆う場合、あるいはグリル加熱室9の外壁面との間に十分な間隙が確保できる場合、あるいはその間隙の温度を低く抑えることができる場合(例えば空気を自然対流又は強制対流させる)には、省略しても良い。さらに冷却ユニットCU自体の外壁面の内、グリル加熱室9の外壁面に対面する側に遮熱パネルを取り付けたり、断熱性皮膜を形成したりしても良い。こうすればグリル加熱室9の外壁面との対面間隔を最小にでき、ビルトイン型調理装置のように本体部Aの横幅を同じ大きさに形成するものであれば、その分グリル加熱室9の横幅寸法を大きくすることができ、より大型の被調理物を入れて調理できる利点がある。