JP2018180477A - 波長変換組成物及び発光装置 - Google Patents

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晃逸 佐々木
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吉憲 金澤
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Abstract

【課題】高い量子収率と優れた耐久性とを示し、入射光を目的とする波長の出射光に変換する性能を有する波長変換組成物、および、この波長変換組成物を用いた発光装置の提供。【解決手段】入射光の光をより長波長の光に変換する、フォトルミネセンス蛍光体とバインダー樹脂とを含有する波長変換組成物であって、フォトルミネセンス蛍光体の少なくとも1種が特定の下式で表わされる化合物である。(X1、X2、R1、R2、R3はハロゲン原子、アルキル基等。Q1、Q2はO、S等。Lは単環、複環のアリーレン基。pは0〜5の整数。)【選択図】なし

Description

本発明は、波長変換組成物及び発光装置に関する。
近年、オプトエレクトロニクス又はフォトエレクトロニクスを利用したデバイスの開発が急速に進展しており、例えば、有機発光ダイオード(OLED)、無機発光ダイオード等の発光素子、及び、波長変換素子が実用されている。これらのデバイスの開発ないしは用途拡大に伴い、それに用いる発光性化合物又は発光性化合物を含有する組成物の研究開発も盛んに進められている。
例えば、特許文献1には、有機エレクトロルミネセンスに用いる組成物として、ジオキソボラン化合物とカルバゾールとを含有する組成物が記載されている。また、波長変換素子に用いる発光性化合物ないしは組成物として、特許文献2にはピロメテンホウ素錯体化合物をバインダー樹脂に溶解させた色変換組成物が記載されている。更に、メカノクロミック発光組成物として、特許文献3にはジフルオロボロン β−ジケトンを含む組成物が記載されている。また、生体イメージング用途に用い得る化合物として、非特許文献1にはボロン β−ジケトン錯体が記載されている。
ところで、各種ディスプレイ等の表示装置には、白色光を出射する発光ダイオードが広く使用されている。また、近年、省エネルギーに関する問題への関心が高まり、蛍光灯等の照明装置としても白色LEDを使用したものが急速に普及している。
白色LEDは、通常、LEDと蛍光体とを組み合わせて構成されている。この蛍光体は、LEDから放射された特定波長の光(入射光)を吸収して、この光とは異なる特定波長の光(出射光)を出射する機能ないしは性質を有するフォトルミネセンス蛍光体(発光性化合物)と樹脂とを含有する波長変換組成物から形成されている。フォトルミネセンス蛍光体の中でも有機系のフォトルミネセンス蛍光体は、高い波長変換効率を示す点で、無機系のフォトルミネセンス蛍光体に対して、優位性を有している。このような有機系のフォトルミネセンス蛍光体としては、上記特許文献2に記載された化合物が挙げられる。なお、特許文献1及び3並びに非特許文献1に記載の発光性化合物又は組成物はLEDの蛍光体として使用することに関する記載はない。
特開2000−159777号公報 国際公開第2016/190283号 国際公開第2011/068537号
Chem.phys.Chem.,2016,17,2128−2136
有機系のフォトルミネセンス蛍光体を含有する従来の波長変換組成物は、特許文献2に記載されているように、フォトルミネセンス蛍光体を樹脂に溶解させたものが主流となっている。蛍光体を樹脂に溶解させることにより、波長変換組成物が示す高い透明性を利用して、波長変換組成物からの光取り出し効率を高めることができる。また、波長変換組成物を用いた発光装置において、量子収率は、一般に、フォトルミネセンス蛍光体が凝集状態又は固体状態にあると、凝集起因消光により、低下する。そのため、フォトルミネセンス蛍光体を樹脂に溶解させることにより、フォトルミネセンス蛍光体の凝集を抑制して、量子収率の低下を抑えることもできる。
しかし、従来の波長変換組成物が示す量子収率は、波長変換組成物の高い透明性を利用しても、十分なものではない。とりわけ、入射光を赤色光(波長580〜750nmの光)に変換する波長変換組成物は量子収率が低い。特許文献2に記載の波長変換材料及び色変換組成物を用いた場合でも十分な量子収率が得られず、改善の余地がある。本発明において、量子収率とは、フォトルミネセンス蛍光体が吸収した光子数に対する蛍光として発光した光子数の割合をいう。
また、有機系のフォトルミネセンス蛍光体、とりわけ、有機系のフォトルミネセンス蛍光体を樹脂に溶解させた波長変換組成物は、通常、(光又は熱に対する)耐久性が十分ではなく、その使用形態等により、低耐久性を補っている。波長変換組成物の低耐久性を補う方法として、例えば、発光装置に適用する場合には、波長変換組成物又は波長変換組成物からなる波長変換部を光源から離れた位置に設ける方法が提案されている。
しかし、波長変換組成物等に求められる耐久性は高くなっており、また発光装置の小型化等の要請等により、光源に近接した位置に設けた場合にも十分な耐久性を示すフォトルミネセンス蛍光体ないしは波長変換組成物が望まれている。
ところで、波長変換組成物は、入射光を目的とする特定波長(フォトルミネセンス蛍光体の凝集/会合発光波長)の出射光に変換する機能ないしは性質を保つことが重要である。しかし、有機系のフォトルミネセンス蛍光体が樹脂に溶解等すると、一般に、波長変換組成物にて波長変換された出射光の波長が目的とする波長とは異なる波長に変化する。すなわち、入射光を目的とする特定波長の出射光に変換できなくなる。
上述のように、高い量子収率を実現する点では、フォトルミネセンス蛍光体は凝集しないことが重要となる。しかし、一般的に併用される樹脂に対してフォトルミネセンス蛍光体を高濃度で完溶させることは難しい。すなわち、フォトルミネセンス蛍光体と樹脂との混合物にはフォトルミネセンス蛍光体の不溶分が共存する。この不溶分が共存すると、入射光を目的とする特定波長の出射光に変換できなくなる。その一方で、入射光を目的とする特定波長の出射光のみに変換するように制御する点では、上述のように、フォトルミネセンス蛍光体が樹脂に溶解せずに存在(含有)している波長変換組成物が望まれている。
本発明は、高い量子収率と優れた耐久性とを示し、更には入射光を目的とする波長の出射光に変換する性能を有する波長変換組成物(波長変換材料ともいう。)、及び、この波長変換組成物を用いた発光装置を提供することを課題とする。
本発明者は、フォトルミネセンス蛍光体(発光性化合物)として後述する特定の一般式(I)で表される化合物をシリコーン樹脂又はエポキシ樹脂と組み合わせて用いることにより、フォトルミネセンス蛍光体を上記樹脂中に固体状態で分散させた波長変換組成物を調製できることを見出した。また、上記分散状態を実現する波長変換組成物が高い量子収率を示し、しかも耐久性にも優れ、白色LED等の発光装置に波長変換材料として好適に使用できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づき、更に検討を重ね、完成されるに至ったものである。
すなわち、本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
<1>入射光の波長をより長波長の光に変換する、フォトルミネセンス蛍光体とバインダー樹脂とを含有する波長変換組成物であって、
フォトルミネセンス蛍光体の少なくとも1種が下記一般式(I)で表わされる化合物であり、バインダー樹脂がシリコーン樹脂又はエポキシ樹脂である波長変換組成物。
Figure 2018180477
式中、X及びXは各々独立にハロゲン原子、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。
及びQは、O、S又はNRを示す。Rは水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。
Lは、単環又は複環のアリーレン基を示す。
及びRは、各々独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アシル基、アリール基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基若しくはアリールオキシカルボニル基又はこれらを組み合わせた基を示す。ただし、Rは、アミノ基、アルケニル基又はアルキニル基のうち少なくとも一つを有する。また、Rとして採りうるアミノ基は少なくとも1つのアリール基を有する。
は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロ環基を示す。
pは0〜5の整数である。
<2>光源と、この光源によって発光された光を変換する、<1>に記載の波長変換組成物からなる波長変換部とを備えた発光装置。
<3>一般式(I)で表わされる化合物が、下記一般式(II)で表わされる化合物である<2>に記載の発光装置。
Figure 2018180477
式中、Rは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アシル基、アリール基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基若しくはアリールオキシカルボニル基又はこれらを組み合わせた基を示す。
qは、0〜4の整数である。
、X、Q、Q、R、R、R及びpは上記一般式(I)におけるものと同義である。
<4>Rが、アルケニル基又はアルキニル基を含む<2>又は<3>に記載の発光装置。
<5>pが1〜5の整数であり、Rの少なくとも1つが、アルケニル基又はアルキニル基を含む<2>〜<4>のいずれか1つに記載の発光装置。
<6>光源が、350nm以上480nm以下の波長光を発光する<2>〜<5>のいずれか1つに記載の発光装置。
<7>一般式(I)で表わされる化合物が、光源から発光された光を吸収して、580nm以上750nm以下の領域にピーク波長が観測される発光を呈する<2>〜<6>のいずれか1つに記載の発光装置。
本発明の波長変換組成物は、高い量子収率と優れた耐久性とを示し、波長変換部に用いた際に、入射光を波長変換した赤色光を高い量子収率で長期間に亘って発光することができる。また、本発明の発光装置は高い量子収率と優れた耐久性を示す。
本明細書において、特段の断りがない限り、二重結合については、分子内にE型及びZ型が存在する場合、そのいずれであっても、またこれらの混合物であってもよい。
特定の符号又は式で表示された置換基、連結基若しくは配位子等(以下、置換基等という)が複数あるとき、又は、複数の置換基等を同時に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接するとき(特に、隣接するとき)には、特段の断りがない限り、それらが互いに連結して環を形成していてもよい。また、特段の断りがない限り、環、例えば脂環、芳香族環、ヘテロ環は、更に縮環して縮合環を形成していてもよい。
本明細書において、化合物(錯体及び色素を含む)の表示については、化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、構造の一部を変化させたものを含む意味である。更に、置換又は無置換を明記していない化合物については、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の置換基を有していてもよい意味である。このことは、置換基、連結基及び配位子についても同様である。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[波長変換組成物]
本発明の波長変換組成物は、フォトルミネセンス蛍光体とバインダー樹脂とを含有する。この波長変換組成物は、入射光の波長をより長波長の光に変換する。具体的には、入射光(例えば、波長350nm以上480nm以下の光)を目的とする波長(例えば、580nm以上750nm以下)の出射光に変換することができる。
フォトルミネセンス蛍光体は、入射光の波長をより長波長の光に変換する蛍光体を意味し、波長変換物質ともいう。フォトルミネセンス蛍光体における入射光、この入射光を変換した長波長の光については、上述の波長変換組成物と同様である。本発明の波長変換組成物において、フォトルミネセンス蛍光体は1種単独で、又は2種以上を含有していてもよいが、少なくとも1種が下記一般式(I)で表される化合物(以下、化合物(I)と称することがある。)である。この波長変換組成物中において、化合物(I)は後述するバインダー樹脂中に固体状態で分散している。
本発明において、化合物(I)がバインダー樹脂中に固体状態で分散しているとは、化合物(I)がバインダー樹脂に溶解、相溶ないしは溶出することなく分散していること(固体分散物又は固体組成物)を意味する。ここで、固体状態とは、化合物(I)が完全に固体状態にある態様に加えて、目的とする波長変換機能を損なわない範囲で化合物(I)の一部が固体状態ではない態様も包含する。上記目的とする波長変換機能を損なわない範囲は、化合物(I)の特性ないしは用途等に応じて一義的に決定できない。例えば、波長変換組成物が波長変換した光の波長についていうと、目的とする射出光の波長(化合物(I)の凝集/会合発光波長)に対して30nm程度短波長化又は長波長化される範囲が挙げられる。また、化合物(I)が有色である場合については、目視で確認したときに波長変換組成物(波長変換部)中のバインダー樹脂が自身の呈する色と異なる色に着色されていない範囲が挙げられる。更には、上記短波長化若しくは長波長化又は着色による方法に代えて、後述する実施例における蛍光スペクトルによる評価方法で規定した範囲とすることもできる。
また、本発明において、組成物とは、成分濃度が一定である(各成分が均一に分散している)混合物に加えて、上述の、目的とする波長変換機能を損なわない範囲で成分濃度が変動している混合物を包含する。
<一般式(I)で表される化合物>
本発明の波長変換組成物が含有する化合物(I)は、下記一般式(I)で表される。
Figure 2018180477
一般式(I)において、X及びXは各々独立にハロゲン原子、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。中でも、ハロゲン原子が好ましい。X及びXは、同一であっても異なっていてもよく、また置換基を有していてもよい。X及びXが有していてもよい置換基としては、特に限定されないが、好ましくは、後述する置換基群Tから選択される。特に好ましくはハロゲン原子である。
及びXとして採りうるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子である。
及びXとして採りうるアルキニル基、アリール基、アルコキシ基及びアリールオキシ基は、それぞれ、置換基群Tにおける対応する基と同義であり、好ましいものも同じである。
及びXとして採りうるヘテロアリール基としては、特に限定されないが、環構成ヘテロ原子として、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子又はセレン原子を少なくとも1種含むことが好ましい。ヘテロアリール基としては、単環の基であってもよく、縮環の基(好ましくは2〜6環の縮環の基)であってもよい。単環の基である場合、その環員数は5〜7員が好ましく、5員又は6員がより好ましい。ヘテロアリール基の炭素数は、特に限定されないが、0〜22が好ましく、0〜10がより好ましく、1〜6が更に好ましい。
一般式(I)において、Q及びQは、O、S又はNRを示し、O又はNRが好ましく、Oがより好ましい。Q及びQは、同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
Rは水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を示し、アリール基が好ましい。Rとして採りうるアルキル基及びアリール基は、それぞれ、置換基群Tにおける対応する基と同義であり、好ましいものも同じである。Rとして採りうるヘテロアリール基は、X及びXとして採りうるヘテロアリール基と同義であり、好ましいものも同じである。Rは置換基を有していてもよく、この置換基としてはXが有していてもよい置換基と同義であり、好ましいものも同じである。
一般式(I)において、Lは、単環又は複環のアリーレン基を示し、単環のアリーレン基が好ましい。
Lとして採りうる単環の又は複環(好ましくは2〜6環の複環)のアリーレン基は、炭化水素環からなる基であれば特に限定されない。アリーレン基の炭素数は、6〜48が好ましく、炭素数6〜24がより好ましく、炭素数6〜14が更に好ましく、6〜10が特に好ましい。アリーレン基としては、例えば、ベンゼン環基、ナフタレン環基、フルオレン環基、アントラセン環基、フェナントレン環基、クリセン環基又はピレン環基が挙げられ、ベンゼン環基又はナフタレン環基が好ましく、ベンゼン環基がより好ましい。アリーレン基の結合部位(環構成炭素原子)は、特に限定されないが、ベンゼン環基である場合、パラ位の関係にある2つの環構成炭素原子が好ましい。
Lは、置換基を有していてもよい。Lが有していてもよい置換基としては、特に限定されないが、好ましくは、後述する置換基群Tから選択される。中でも、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アシル基、アリール基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基若しくはアリールオキシカルボニル基、又は、これらを組み合わせた基が挙げられる。
一般式(I)において、Rは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アシル基、アリール基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基若しくはアリールオキシカルボニル基、又はこれらを組み合わせた基を示す。ただし、Rは、アミノ基、アルケニル基又はアルキニル基のうち少なくとも一つを有する。また、Rとして採りうるアミノ基は少なくとも1つのアリール基を有する。
として上記基を採ると、入射光を目的とする波長の出射光に高い量子収率で長期間に亘って変換することができる。
まず、Rが採りうる基の態様について説明し、次いで、各基について説明する。
は上記の各基又はこれらの基を組み合わせた基を採りうるが、アミノ基、アルケニル基及びアルキニル基のうち少なくとも一つを有している。すなわち、Rが上記基を単独で採る場合、アミノ基、アルケニル基又はアルキニル基である。Rが上記基を組み合わせた基を採る場合、組み合わされる基として、アミノ基、アルケニル基及びアルキニル基のうち少なくとも一つを含む。
が上記基を組み合わせた基を採る場合、組み合わされる基の数は、特に限定されず、2〜10個が好ましく、2〜5個がより好ましく、2個又は3個が更に好ましい。
として採りうる組み合わせた基においては、上記基は2価以上の基になりうるが、本明細書では2価以上の基になる場合においても、基の組み合わせを説明する際には上記1価の基名を用いる。例えば、Rとして採りうる組み合わせた基が、後述する化合物(5)の「−C≡C−C−OC」である場合、アルキニル基とアリール基とアルコキシ基とを組み合わせた基と称する。
組み合わせた基において、上記基の組み合わせは、組み合わされる基として、アミノ基、アルケニル基及びアルキニル基のうち少なくとも一つを含んでいれば特に限定されず、上記基を適宜に組み合わせることができる。
組み合わせた基において、端部に位置する基(一般式(I)中のLに対して離れた側に他の基を有しない基)としては、上記基の中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基が好ましく、発光波長と高い量子収率を両立する点で、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基又はアリールオキシ基がより好ましく、アルキル基、アルコキシ基又はアミノ基が更に好ましい。この端部に位置する基の数は、1個に限られず、2個以上であってもよく、5個以下が好ましい。
組み合わせた基において、一般式(I)中のLと結合する基としては、上記基の中でも、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロ環基が好ましく、化合物の平面性を高め、発光波長を長波長化する点で、アルケニル基又はアルキニル基がより好ましく、アルキニル基が更に好ましい。
組み合わせた基において、上記の端部に位置する基と、上記Lと結合する基との間に位置する連結基としては、上記基の中でも、アリール基又はヘテロ環基が好ましく、化合物の剛直性を高め、耐久性を向上する点で、アリール基がより好ましい。
組み合わせた基においては、上記の端部に位置する基と、上記連結基と、上記Lと結合する基とは、適宜に組み合わせることができ、それぞれの好ましいもの同士を組み合わせた基が好ましい。例えば、組み合わせた基において、Lと結合する基と上記連結基との組み合わせは、Lと結合する基としてのアルケニル基若しくはアルキニル基と、上記連結基としてのアリール基若しくはヘテロ環基との組み合わせが好ましく、アルキニル基とのアリール基との組み合わせが好ましく、−C≡C−C−(エチニレン基とフェニレン基とを組み合わせた)基がより好ましい。
上記Lと結合する基と上記連結基とを組み合わせた好ましい基が有する、端部に位置する基は、上記の中でもアルキル基、アルコキシ基若しくはアミノ基が好ましい。
として採りうる基は、化合物の平面性を高め、発光波長を長波長化する観点からは、アルケニル基若しくはアルキニル基を含む基が好ましい。すなわち、Rとして採りうる基は、単独の基としてアルケニル基若しくはアルキニル基が好ましく、組み合わせた基としてアルケニル基若しくはアルキニル基を含む基が好ましく、アルキニル基を上記連結基として含む組み合わせた基がより好ましい。
が結合するLの位置(原子)は、特に限定されず、適宜に設定される。Lとしてベンゼン環を採る場合、一般式(I)中のカルボニル炭素に結合する環構成炭素原子に対して2〜4位が挙げられ、好ましくは4位である。
として採りうるハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アシル基、アリール基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基は、それぞれ、置換基群Tにおける対応する基と同義であり、好ましいものも同じである。
ただし、Rとして採りうるアミノ基は、少なくとも1つのアリール基を有し、2つのアリール基を有することが好ましい。すなわち、上記アミノ基は、モノアリールアミノ基又はジアリールアミノ基である。このアミノ基が有するアリール基は、置換基群Tにおけるアリール基と同義であり、好ましいものも同じである。より好ましくはフェニル基又はナフチル基であり、更に好ましくはフェニル基である。モノアリールアミノ基の残りの水素原子は、置換されていなくてもよく、アルキル基(シクロアルキル基を含む。)、アルケニル基、アルキニル基又はヘテロ環基で置換されていてもよい。
アミノ基が有するアリール基、又は上記の残りの水素原子を置換する基は直接又は連結基を介して結合して環を形成してもよい。
は、置換基を有していてもよく、このような置換基としては、Xが有していてもよい置換基と同義であり、好ましいものも同じである。
一般式(I)において、Rは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロ環基を示す。中でも、水素原子、シアノ基が好ましく、入射光を目的とする波長の出射光に変換することができる点で水素原子がより好ましい。
として採りうるハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロ環基は、それぞれ、置換基群Tにおける対応する基と同義であり、好ましいものも同じである。Rとして及び採りうる上記各基は置換基を有していてもよい。Rが有していてもよい置換基としては、特に限定されないが、好ましくは、後述する置換基群Tから選択される。
一般式(I)において、Rは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アシル基、アリール基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、又はこれらを組み合わせた基を示す。Rとして上記基を採ると、入射光を目的とする波長の出射光に高い量子収率で長期間に亘って変換することができる。
として採りうる基としては、上記Rとして採りうる基と同義(ただし、Lはベンゼン環と読み替える。)であり、好ましいものも同じである。
として採りうる基としては、pが1〜5の整数である場合、Rの少なくとも1つが、共役鎖を拡張し発光波長を長波長化する点で、アルケニル基若しくはアルキニル基を含む基が好ましい。すなわち、Rとして採りうる基は、単独の基としてアルケニル基若しくはアルキニル基が好ましく、組み合わせた基としてアルケニル基若しくはアルキニル基を含む基が好ましく、アルキニル基を上記連結基として含む組み合わせた基がより好ましい。
一般式(I)中のベンゼン環に対してRが結合する環構成炭素原子(位置)は、特に限定されず、適宜に設定される。例えば、一般式(I)中のQが結合した炭素原子に結合する環構成炭素原子に対して2〜6位が挙げられ、好ましくは4位である。
は置換基を有していてもよく、この置換基としてはXが有していてもよい置換基と同義であり、好ましいものも同じである。
が複数存在するとき、互いに結合して環を形成してもよい。
として採りうる基は、Rとして採りうる基と同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
一般式(I)において、pは0〜5の整数であり、1〜5の整数が好ましく、1又は2がより好ましく、1が更に好ましい。
上記一般式(I)で表わされる化合物は、下記一般式(II)で表わされる化合物であることが好ましい。
Figure 2018180477
一般式(II)において、X、X、Q、Q、R、R、R及びpは、上記一般式(I)における、X、X、Q、Q、R、R、R及びpと同義であり、好ましいものも同じである。
一般式(II)において、Rは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アシル基、アリール基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基若しくはアリールオキシカルボニル基、又はこれらを組み合わせた基を示す。Rとして採りうる基としては、上記Rとして採りうる基と同義であり、好ましいものも同じである。
として採りうる基としては、qが1〜4の整数である場合、Rの少なくとも1つが、共役鎖を拡張し発光波長を長波長化する点で、アルケニル基若しくはアルキニル基を含む基が好ましい。すなわち、Rとして採りうる基は、単独の基としてアルケニル基若しくはアルキニル基が好ましく、組み合わせた基としてアルケニル基若しくはアルキニル基を含む基が好ましく、アルキニル基を上記連結基として含む組み合わせた基がより好ましい。
は、上記Rと同一であっても異なっていてもよく、また上記Rと同一であっても異なっていてもよい。
一般式(II)中のベンゼン環に対してRが結合する環構成炭素原子(位置)は、特に限定されず、適宜に設定される。例えば、一般式(II)中のQが結合した炭素原子に結合する環構成炭素原子に対して2位、3位、5位又は6位が挙げられる。
は置換基を有していてもよく、この置換基としてはXが有していてもよい置換基と同義であり、好ましいものも同じである。
が複数存在するとき、互いに結合して環を形成してもよい。
qは、0〜4の整数である。0〜4の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0が更に好ましい。
− 置換基群T −
本発明において、好ましい置換基としては、下記置換基群Tから選ばれる置換基が挙げられる。
また、本明細書において、単に置換基としてしか記載されていない場合は、この置換基群Tを参照するものであり、各々の基、例えば、アルキル基、が記載されているのみの場合は、この置換基群Tの対応する基における好ましい範囲が適用される。
更に、本明細書において、アルキル基を環状(シクロ)アルキル基と区別して記載している場合、アルキル基は、直鎖アルキル基及び分岐アルキル基を包含する意味で用いる。一方、アルキル基を環状アルキル基と区別して記載していない場合(単に、アルキル基と記載されている場合)、及び、特段の断りがない場合、アルキル基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基及びシクロアルキル基を包含する意味で用いる。このことは、環状構造を採りうる基(アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等)を含む基(アルコキシ基、アルキルチオ基、アルケニルオキシ基等)、環状構造を採りうる基を含む化合物についても同様である。基が環状骨格を形成しうる場合、環状骨格を形成する基の原子数の下限は、この構造を採りうる基について下記に具体的に記載した原子数の下限にかかわらず、3以上であり、5以上が好ましい。
下記置換基群Tの説明においては、例えば、アルキル基とシクロアルキル基のように、直鎖又は分岐構造の基と環状構造の基とを明確にするため、これらを分けて記載していることもある。
置換基群Tに含まれる基としては、下記の基を含む。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜6)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素数5〜20)、アリール基(好ましくは炭素数6〜26、より好ましくは6〜10)、ヘテロ環基(環構成原子として少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を有し、好ましくは炭素数2〜20である。5員環又は6員環のヘテロ環基がより好ましい。ヘテロ環基は芳香族ヘテロ環基(ヘテロアリール基)及び脂肪族ヘテロ環基が包含される。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12)、アルケニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12)、アルキニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12)、シクロアルキルオキシ基(好ましくは炭素数3〜20)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26、より好ましくは6〜14)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数2〜20)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20)、シクロアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数4〜20)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20で、無置換アミノ基(−NH)、(モノ−又はジ−)アルキルアミノ基、(モノ−又はジ−)アルケニルアミノ基、(モノ−又はジ−)アルキニルアミノ基、(モノ−又はジ−)シクロアルキルアミノ基、(モノ−又はジ−)シクロアルケニルアミノ基、(モノ−又はジ−)アリールアミノ基、(モノ−又はジ−)ヘテロ環アミノ基を含む。無置換アミノ基を置換する上記各基は置換基群Tの対応する基と同義である。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールのスルファモイル基が好ましい。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは2〜15)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールのカルバモイル基が好ましい。)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールのスルホンアミド基が好ましい。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12)、シクロアルキルチオ基(好ましくは炭素数3〜20)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜26)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜20)、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20)、
シリル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシ若しくはアリールオキシが置換したシリル基が好ましい。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシ若しくはアリールオキシが置換したシリルオキシ基が好ましい。)、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)、カルボキシ基(−COOH)、ホスホニル基(−PO(OH))、ホスホリル基(−O−PO(OH))、スルホ基(−SOH)、ホウ酸基、ヒドロキシ基、又は、メルカプト基が挙げられる。
置換基群Tから選ばれる置換基は、より好ましくは、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子であり、特に好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基又はシアノ基である。
置換基群Tから選ばれる置換基は、特段の断りがない限り、上記の基を複数組み合わせてなる基をも含む。例えば、化合物ないし置換基等がアルキル基、アルケニル基等を含むとき、これらは置換されていても置換されていなくてもよい。また、アリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても置換されていなくてもよい。
一般式(I)で表される化合物(I)及び一般式(II)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらの化合物に限定されない。下記具体例において、Meはメチルを示す。
Figure 2018180477
Figure 2018180477
本発明の波長変換組成物に含有される上記化合物(I)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
本発明の波長変換組成物における上記化合物(I)の含有量は、特に限定されず、当該化合物のモル吸光係数、求められる量子収率ないしは吸収強度等に応じて、適宜に決定される。例えば、上記含有量は、後述するバインダー樹脂100質量部に対して、0.1〜50質量部が好ましく、0.5〜40質量部がより好ましく、1〜30質量部が更に好ましく、1〜20質量部が特に好ましい。なお、本発明の波長変換組成物が上記化合物(I)を2種以上含有する場合、上記含有量は各化合物(I)の合計含有量とする。
<バインダー樹脂>
本発明の波長変換組成物はバインダー樹脂を含有する。
本発明において、バインダー樹脂は、シリコーン樹脂及びエポキシ樹脂の少なくとも1種であり、シリコーン樹脂又はエポキシ樹脂であることが好ましく、化合物(I)の分散性(不溶解性)の点で、シリコーン樹脂がより好ましい。シリコーン樹脂又はエポキシ樹脂をバインダー樹脂として用いると、このバインダー樹脂中に上記化合物(I)を固体状態で分散させることができる。
本発明において、バインダー樹脂は、バインダー樹脂が熱硬化性若しくは光硬化性樹脂である場合、バインダー樹脂に加えて、バインダー樹脂の単量体、及び、バインダー樹脂の構成成分を形成する化合物(重合前前駆体)を含む。
本発明において、シリコーン樹脂には、エポキシシリコーン樹脂、シリコーンエラストマーを含む。
シリコーン樹脂としては、特に限定されないが、脂肪族シリコーン樹脂及び芳香族シリコーン樹脂が挙げられ、脂肪族シリコーン樹脂が好ましい。脂肪族シリコーン樹脂としては、例えば、メチルシリコーン樹脂又はジメチルシリコーン樹脂等が挙げられ、芳香族シリコーン樹脂としては、例えば、メチルフェニルシリコーン樹脂又はジフェニルシリコーン樹脂等が挙げられる。また、シリコーン樹脂は、付加反応硬化型(熱硬化性)であってもよい。
エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、脂肪族エポキシ樹脂及び芳香族エポキシ樹脂が挙げられ、脂肪族エポキシ樹脂が好ましい。脂肪族エポキシ樹脂としては、例えば、脂肪族2価アルコールとエピクロロヒドリンとの反応で得られるエポキシ樹脂等が挙げられ、芳香族エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。
バインダー樹脂の質量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、1,000〜100,000であることがよい。
また、バインダー樹脂は、透明又は半透明であること(可視光線(波長300〜830nm)の透過率が50%以上)が好ましい。
本発明の波長変換組成物に含有される上記バインダー樹脂は、1種でもよく、2種以上でもよい。
<添加剤>
本発明の波長変換組成物は、波長変換組成物に通常用いられる各種の添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、例えば、上記化合物(I)以外のフォトルミネセンス蛍光体、無機蛍光体、色調補正用の色素、加工、酸化及び熱安定化剤(酸化防止剤、リン系加工安定化剤等)、耐光性安定化剤(紫外線吸収剤等)、シランカップリング剤、更には、有機酸、マット剤、ラジカル捕捉剤、劣化防止剤、充填剤(例えば、シリカ、ガラス繊維、ガラスビーズ)、可塑剤、滑剤、難燃剤(例えば、有機ハロゲン化合物)、難燃助剤、帯電防止剤、帯電性付与剤、耐衝撃性改良剤、変色防止剤、離型剤(例えば、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル)、流動性改良剤、反応性若しくは非反応性の希釈剤等が挙げられる。
化合物(I)以外のフォトルミネセンス蛍光体としては、特に限定されないが、公知のフォトルミネセンス蛍光体(色素)が挙げられる。上記各種の添加剤としては、具体的には、特許文献2に記載された「その他の成分」及び「溶剤」、又は、特開2011−241160号公報に記載の等が挙げられ、これらの記載は好ましく本明細書に取り込まれる。また、添加剤の含有量は、特に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲において適宜に決定される。
本発明の波長変換組成物は、上記バインダー樹脂中に上記一般式(I)で表される化合物(I)が固体状態で、分散している。
本発明の波長変換組成物は、上記化合物(I)が所定の分散状態にあれば、その形態は特に限定されない。例えば、バインダー樹脂及び上記化合物(I)を粒子状で含有する形態が挙げられる。他の形態として、バインダー樹脂が連続相を形成し、その中に上記化合物(I)が固体状態で分散している形態が挙げられる。本発明の波長変換組成物は、いずれの形態においても、後述する波長変換部の材料として用いることができる。バインダー樹脂が連続相を形成する形態の場合、波長変換組成物は、形状が特定されないが、後述する波長変換部ともいう。
バインダー樹脂が固体である場合、本発明の波長変換組成物は、固体のバインダー樹脂に固体の化合物(I)が分散してなる固体分散物となる。一方、バインダー樹脂が液体ないしは液状である場合、本発明の波長変換組成物は、液状のバインダー樹脂に固体の化合物(I)が分散した液状組成物(懸濁液)となる。
本発明の波長変換組成物は、化合物(I)が固体状態でバインダー樹脂に分散している範囲において、上記希釈剤(水又は溶媒等)を含有していてもよい。
本発明の波長変換組成物は、入射光の波長より長波長の光に入射光を変換することができ、高い量子収率と優れた耐久性とを示す。波長変換部、特に光源に近接して配置される波長変換部に用いても、入射光を波長変換した赤色光を高い量子収率で長期間に亘って発光することができる。本発明の波長変換組成物が示す量子収率は、本発明の発光装置に用いる波長変換部が示す量子収率と同じである。特に好ましくは、白色LED用の波長変換材料として用いることができ、この場合においても、高い量子収率と優れた耐久性とを維持できる。
本発明の波長変換組成物が、高い量子収率で長期間に亘って赤色光を発光する理由の詳細についてはまだ定かではないが次のように考えられる。
化合物(I)は、上記バインダー樹脂と組み合わせて本発明の波長変換組成物に用いると、バインダー樹脂に溶解、相溶ないしは溶出しにくく、バインダー樹脂中に、化合物(I)の分子同士が凝集して、固体状態で分散する。このとき、化合物(I)は、固体状態であっても凝集起因消光が抑えられ、高い量子収量を示すと考えられる。しかも、固体状態で分散しているため、入射光を波長変換する際に波長変化を抑えて、目的とする波長の出射光(赤色光)を発光できる。このように、化合物(I)は優れた固体発光特性を示す。しかも、化合物(I)が凝集(近接して存在)しているため、分子同士に生じる相互作用により、化合物(I)自体の、光又は熱による分解等が抑えられると、考えられる。
そのため、化合物(I)と上記バインダー樹脂とを含有する本発明の波長変換組成物は、量子収率と耐久性とを高い水準で両立できる。
上記化合物(I)は、無機系のフォトルミネセンス蛍光体と比較して、通常、質量当たりの光吸収量が高い。そのため、化合物(I)を含有する本発明の波長変換組成物は、高い発光強度を示す。また、本発明の波長変換組成物の発光強度を、無機系のフォトルミネセンス蛍光体を含有する波長変換組成物と同じ発光強度に設定する場合、化合物(I)の含有量を低減できる(化合物(I)の含有量を低減しても、無機系のフォトルミネセンス蛍光体を含有する波長変換組成物と同等以上の発光強度を実現できる。)。そのため、化合物(I)による光散乱を抑えることができ、光取り出し効率も高めることができる。
<波長変換組成物の調製方法>
本発明の波長変換組成物を製造する方法は、特に限定されず、例えば、フォトルミネセンス蛍光体(少なくとも1種の化合物(I)を含む。)と、バインダー樹脂の単量体及び/又はバインダー樹脂の重合前駆体とを含有する組成物を硬化させる方法が挙げられる。
例えば、バインダー樹脂を形成する単量体及び/又はバインダー樹脂の重合前駆体にフォトルミネセンス蛍光体を分散させた後、上記単量体及び/又は重合前駆体を重合させる方法が挙げられる。また、上記単量体及び/又は重合前駆体の溶液にフォトルミネセンス蛍光体を懸濁させた後に、単量体及び/又は重合前駆体を重合させる方法も挙げられる。ここで、溶液にフォトルミネセンス蛍光体を懸濁させるとは、フォトルミネセンス蛍光体としての化合物(I)について、上述の「化合物(I)がバインダー樹脂中に固体状態で分散している」ことと同義である。
バインダー樹脂として上記単量体及び/又は重合前駆体を用いる場合、単量体及び/又は重合前駆体にフォトルミネセンス蛍光体を分散又は懸濁させる方法として以下の方法が挙げられる。単量体及び/又は重合前駆体が液体の場合、例えば、ペイントシェーカー、ミキサー、ホモジナイザーを使用して、単量体及び/又は重合前駆体の液中にフォトルミネセンス蛍光体を分散又は懸濁させる方法が挙げられる。また、単量体及び/又は重合前駆体が固体の場合、例えば、ボールミル、サンドミル等を使用して、単量体及び/又は重合前駆体の粉体にフォトルミネセンス蛍光体を分散又は懸濁させる方法が挙げられる。
この方法における重合方法は、特に限定されず、熱重合でもよく、また光重合でもよい。
熱重合は、常法により、行うことができる。熱重合法として、例えば、上記単量体及び/又は重合前駆体とフォトルミネセンス蛍光体との混合物に必要に応じて触媒を加え、加熱する方法が挙げられる。熱重合法及びその条件、更には用いる触媒及びその使用量については、特開2011−241160号公報に記載された方法等が挙げられ、この公報の記載は好ましく本明細書に取り込まれる。
光重合は、常法により、行うことができる。光重合法として、例えば、上記単量体及び/又は重合前駆体とフォトルミネセンス蛍光体との混合物に、必要に応じて光重合開始剤を加え、次いで光を照射する方法が挙げられる。光重合法及びその条件、更には用いる重合開始剤及びその使用量については、特開2011−241160号公報に記載の方法等が挙げられ、この公報の記載は好ましく本明細書に取り込まれる。
バインダー樹脂がシリコーン樹脂である場合、付加硬化反応により重合する方法が好ましい。シリコーン樹脂の付加硬化反応も常法で行うことができる。例えば、重合性反応基(例えばアルケニル基)を有するオルガノシロキサンと、ケイ素原子に結合した水素原子を有するハイドロジェンシロキサンとのヒドロシリル化反応により重合するのが好ましい。ヒドロシリル化反応の条件は、特に限定されないが、所望により付加反応触媒(例えば白金)の存在下、室温以上、例えば50〜200℃に加熱する条件が挙げられる。
上記重合は、無溶媒下で行ってもよく、溶媒中で行ってもよい。重合を溶媒中で行う場合、重合に用いる有機溶媒としては、特に限定されず、例えば、炭化水素溶媒、ケトン溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、エステル溶媒、アルコール溶媒、エーテル溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルフォキサイド等の極性溶媒が挙げられる。有機溶媒は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
有機溶媒の除去方法としては、混合有機溶媒溶液を有機溶媒の沸点以上で、バインダー樹脂及びフォトルミネセンス蛍光体の分解温度以下の温度に加熱する方法が挙げられる。このとき、減圧下(大気圧未満)で除去させることもできる。
上記方法以外にも、フォトルミネセンス蛍光体とバインダー樹脂とを含有する組成物を溶融混合する工程を含む方法が挙げられる。この方法において、溶融混合する方法は公知の方法を特に限定されることなく適用することができ、溶融混合条件も適宜に設定できる。
[発光装置]
本発明の発光装置は、本発明の波長変換組成物からなる波長変換部と光源とを有しており、目的とする波長光を出射する。この波長変換部は、光源から発光(放射)された光(入射光)を吸収して、この光とは異なる特定波長(好ましくは入射光の波長をより長波長)の光(出射光)を出射(波長変換)する機能を有する。このとき、波長変換部は、光源からの光の全部又は一部を吸収して、特定波長の光を照射する。例えば、本発明の発光装置が全体として白色光を発光する場合(白色LED又は白色照明等)、波長変換部が光源からの光の一部を吸収して赤色光に波長変換し、この赤色光と、光源からの光の残部(青色光及び(波長変換された)緑色光)と相俟って、装置全体として、白色光を発光することができる。
本発明の発光装置の構造としては、従来公知の構造を特に限定されることなく適用することができる。詳細は後述する。
本発明の発光装置において、波長変換部と光源との配置についても、特に限定されず、波長変換部と光源とが近接若しくは接した状態に配置されていてもよく、離間した状態若しくは他の部材を介在した状態に配置されていてもよい。本発明の波長変換組成物及び波長変換部は、上述の通り、優れた耐久性を示すため、波長変換部と光源とを近接して配置することもでき、また波長変換部と光源とを接した状態に配置することもできる。このような配置を採用しても、入射光を波長変換した赤色光を高い量子収率で長期間に亘って発光することができる。
本発明の発光装置は、白色LEDに、又は白色LEDとして用いることが好ましく、この場合においても、高い量子収率と優れた耐久性とを示す。
<波長変換部>
波長変換部は、本発明の波長変換組成物からなるものであれば、その形状、寸法等は特に限定されず、用途等に応じて適宜に設定される。例えば、本発明の発光装置に用いる波長変換部は、本発明の波長変換組成物そのものであってもよく、成形体であってもよい。本発明の波長変換組成物そのものである場合、通常、被設置面に本発明の波長変換組成物を適用(塗布ないしは配置)して、形成される。成形体である場合、その形状は、特に限定されず、例えば、膜状、板状(例えば、シート状、フィルタ状、ディスク状)、レンズ状、ファイバー状、光導波路状等が挙げられる。
波長変換部は、板状であることが好ましい態様の1つである。この場合、波長変換部(波長変換フィルタともいう。)は、本発明の波長変換組成物からなる波長変換層として形成されていればよい。波長変換層の厚さは、特に限定されないが、例えば、10〜3000μmが好ましく、30〜2000μmがより好ましい。
波長変換部は、基板等に設けられた積層体(波長変換部材)とされてもよい。
基板としては、ガラス基板又はポリマー基板が挙げられる。ガラス基板としては、例えば、ソーダ石灰ガラス、バリウム−ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウム−ホウケイ酸ガラス、石英等の各ガラス製の基板が挙げられる。ポリマー基板としては、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフィド、ポリスルフォン等の各ポリマー製の基板が挙げられる。
波長変換部は、基板以外の構成部材を有していてもよい。このような構成部材としては、波長変換部材に通常用いられるものであれば特に限定されず、例えば、保護膜(フィルム)等が挙げられる。
波長変換部は、入射光を波長変換した赤色光を高い量子収率で長期間に亘って発光することができる。
波長変換部が示す量子収率は、好ましくは0.3以上であり、より好ましくは0.4以上であり、更に好ましくは0.5以上である。量子収率の上限は特に限定されないが、一般的には、1.0以下である。本発明において、量子収率は、市販の量子収率測定装置を使用して測定することができ、例えば、絶対PL(フォトルミネッセンス)量子収率測定装置:C9920−02(浜松ホトニクス社製)を使用して、波長変換部(厚さ432μm)について、測定することができる。
波長変換部が成形体である場合、本発明の波長変換組成物を所定形状に成形して作製される。
成形方法としては、特に限定されず、射出成形等の熱溶融状態で行う成形法、本発明の波長変換組成物を溶融させた(化合物(I)はバインダー樹脂中に固体状態で分散している。)後に行う製膜法が挙げられる。製膜法としては、特に限定されず、例えば、スピンコート法、ロールコート法、バーコート法、ラングミュア−ブロジェット法、キャスト法、ディップ法、スクリーン印刷法、バブルジェット(登録商標)法、インクジェット法、蒸着法、電界法等が挙げられる。
また、バインダー樹脂が熱硬化性若しくは光硬化性樹脂である場合、バインダー樹脂の単量体及び/又は重合前駆体とフォトルミネセンス蛍光体とを混合した組成物を型に充填し、又は、上記製膜法により製膜し、光又は熱で重合する上記方法を適用することもできる。
<光源>
本発明の発光装置に用いられる光源としては、少なくとも化合物(I)、好ましくは波長変換部に含有される全てのフォトルミネセンス蛍光体を励起可能な発光波長(波長光)を発光するものであれば特に限定されない。このような光源としては、例えば、白熱電球、メタルハライドランプ、HIDランプ(高輝度放電灯:High Intensity Discharge Lamp)、キセノンランプ、ナトリウムランプ、水銀ランプ、蛍光ランプ、冷陰極管、カソードルミネッセンス、低速電子線管、発光ダイオード〔例えば、GaP(赤色、緑色)、GaPAs(1−x)(赤色、橙色、黄色:0<x<1)、AlGa(1−x)As(赤色:0<x<1)、GaAs(赤色)、SiC(青色)、GaN(青色)、ZnS、ZnSe〕、エレクトロルミネッセンス(例えば、ZnS母体と発光中心を使用する無機EL、有機EL(例えば、非特許文献1に記載された組成物及び特許文献1に記載された化合物)、レーザー(例えば、He−Neレーザー、COレーザー、Ar,Kr,He−Cdレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー等の気体レーザー、ルビーレーザー、イットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)レーザー、ガラスレーザー等の固体レーザー、色素レーザー、半導体レーザー)、太陽光等を挙げることができる。
光源は、発光ダイオード、エレクトロルミネッセンス又は半導体レーザーが好ましく、発光ダイオードがより好ましい。
発光ダイオードとしては、少なくとも化合物(I)を励起可能な発光波長を発光できる発光層を有する半導体発光素子が好ましい。このような半導体発光素子として、発光層が上記半導体を含有するものが挙げられる。上記半導体以外の半導体としては、化合物(I)を効率よく励起できる短波長を発光可能な窒化物半導体(InAlGa(1−x−y)、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が好ましい。より好ましくは、発光層は化合物(I)を含有しない。発光層が含有する半導体は無機半導体が好ましい。半導体の構造としては、MIS(Metal−Insulator−Silicon)接合、PIN接合、pn接合などを有するホモ構造、ヘテロ構造又はダブルヘテロ構造のものが挙げられる。発光層の材料又はその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。また、発光層を量子効果が生ずる薄膜に形成させた単一量子井戸構造又は多重量子井戸構造とすることもできる。
後述する、本発明の発光装置に白色光を発光させる場合、化合物(I)からの発光波長との補色関係、又は、バインダー樹脂の劣化を考慮して、光源の発光波長(励起波長)は、350〜480nmが好ましい。光源と化合物(I)との励起、発光効率をそれぞれより向上させるには、発光波長は、380〜450nmがより好ましい。発光ダイオードは、通常、銅箔等のパターニングされた金属を有する基板上に配置される。ここで、基板材料としては絶縁性の有機化合物又は無機化合物(例えばガラス、セラミックス)が挙げられる。有機化合物としては各種高分子材料(例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂)を使用できる。また、基板の形状は、特に限定されるものではなく、板状、カップ状、多孔板状等の様々な形状を選択することができる。
上記半導体レーザーは、特に限定されないが、以下の機構によるものが好ましい。すなわち、半導体をpn接合し、ここに順方向バイアスを印加し、高いエネルギー準位にある少数キャリアーの注入を行って、p形領域に流れ込んだ電子を正孔と、n形領域に流れ込んだ正孔を電子と再結合させる。これによって、電子を高いエネルギー準位から低いエネルギー準位に遷移させ、そのエネルギー差に相当する光子を放出させる機構が挙げられる。
半導体レーザーの材料としては、ゲルマニウム、シリコン等のIV族元素、GaAs、InPなどの格子振動を伴わない直接遷移型のIII−V族、II−VI族化合物等を挙げることができる。また、これらの材料は、2元系のみならず、3元系、4元系、5元系等の多元系であってもよい。また、その積層構造はクラッド層を設けたダブルヘテロ構造であってもよく、また、下部クラッド、活性層、上部クラッドよりなる構成であってもよい。更には多重量子井戸構造を適用したものであってもよい。
本発明の発光装置は、所望により、カラーフィルタを備え、色純度を調整してもよい。カラーフィルタとしては、通常用いられるものであれば特に限定されない。カラーフィルタに用いる顔料としては、例えば、ペリレン顔料、レーキ顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、アントラセン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、フタロシアニン顔料、トリフェニルメタン塩基性染料、インダンスロン顔料、インドフェノール顔料、シアニン顔料、ジオキサジン顔料等の各種顔料、又は、これら顔料2種以上の顔料混合物、更には、上記顔料若しくは顔料混合物とバインダー樹脂との混合物(溶解又は分散させた固体状態のもの)が挙げられる。
本発明の発光装置において、化合物(I)は、光源からの入射光、好ましくは上記波長領域の入射光を、高い量子収率で赤色の射出光(ピーク波長が580〜750nmの領域に観測される射出光)に変換して長期間に亘って発光することができる。量子収率は上記の通りである。
本発明の発光装置が全体として発光する光は、化合物(I)ないしは波長変換部により波長変換された光のみでもよく、この光と、光源からの上記波長光との混合光であってもよく、更に、これらと、光源からの上記波長光を赤色以外の波長光(例えば緑色光)に波長変換された光との混合光であってもよい。
<発光装置の構成>
本発明の発光装置の構成としては、特に限定されないが、次の各構成が挙げられる。
具体的な構成として、例えば、光源/波長変換部、光源/透光性基板/波長変換部、光源/波長変換部/透光性基板、光源/透光性基板/波長変換部/透光性基板、光源/波長変換部/カラーフィルタ、光源/透光性基板/波長変換部/カラーフィルタ、光源/波長変換部/透光性基板/カラーフィルタ、光源/透光性基板/波長変換部/透光性基板/カラーフィルタ、光源/透光性基板/波長変換部/カラーフィルタ/透光性基板、光源/波長変換部/カラーフィルタ/透光性基板の各構成が挙げられる。上記各構成において、波長変換部は本発明の波長変換組成物からなるものである。これに加えて、赤色以外の波長光(例えば緑色光)に波長変換する別の波長変換部を有していてもよい。この場合、本発明の波長変換組成物からなる波長変換部と、別の波長変換部との配置関係は、特に限定されず、例えば並列に配置されてもよい。上記各構成において、各構成要素は互いに接触又は離間した状態に配置される。
上記透光性基板とは、可視光を50%以上透過することができる基板をいい、具体的には、上記波長変換部が有していてもよい基材と同義である。また、カラーフィルタについても上記波長変換部が有していてもよいカラーフィルタと同義である。透光性基板及びカラーフィルタの形状は、特に限定されるものではなく、板状であってもよく、またレンズ状の形状であってもよい。
本発明の発光装置は、各種の用途に用いることができ、好ましくは、各種ディスプレイ等の表示装置、照明装置等が挙げられる。
表示装置としては、特に限定されず、例えば、各種ディスプレイ、交通信号、交通表示装置、液晶バックライト、液晶フロントライト、フィールドシーケンシャル液晶表示等が挙げられる。照明装置としては、特に限定されず、例えば、一般照明装置(器具)、局所照明装置、インテリア照明装置等が挙げられる。
本発明の発光装置は、公知の方法で作製できる。例えば、上述の構成に用いる各構成要素を順次積層して作製することができ、各構成要素を貼り合わせて作製することもできる。構成要素の積層順は、特に限定されない。
以下に実施例に基づき、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定さない。
実施例及び比較例で用いたフォトルミネセンス蛍光体である、化合物(I)としての化合物(1)〜(7)及び比較化合物(1)〜(4)を、以下に示す。
Figure 2018180477
比較化合物(1)は特許文献3の55頁に記載の化合物BFdbmである。
比較化合物(2)は特許文献3の75頁に記載の化合物である。
比較化合物(3)は特許文献2の段落[0211]に記載の化合物R−1である。
比較化合物(4)は特許文献1の段落[0049]に記載の化合物56である。
以下に、各実施例で用いる化合物(1)〜(7)の合成方法を詳しく説明するが、出発物質、色素中間体及び合成ルートはこれらに限定されるものではない。
本発明において、室温とは25℃を意味する。
合成例1:化合物(1)の合成
下記のスキームに基づき、化合物(1)を合成した。
下記スキームにおいて、Meはメチル、Etはエチル、Buはブチル、Acはアセチルを示す。
Figure 2018180477
500mL三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、安息香酸メチル9.78g、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、脱水)250mLを導入し、室温で撹拌しながら、カリウムt−ブドキシド8.10g及びp−ブロモアセトフェノン14.35gを加え、室温で更に2時間撹拌した。塩化アンモニウム5.5gを水150mLに溶解させ、この水溶液を反応液に滴下した。析出した固体を水300mLで洗浄後、酢酸エチル300mLを加えて室温で30分間撹拌し、分散洗浄して、ろ過により、化合物(1A)を14.5g得た。
500mL三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、化合物(1A)5.0gと、ジクロロメタン200mLとを導入し、室温で撹拌しながら、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体20mLを導入し、3時間加熱還流した。析出した固体をろ過により回収することで、化合物(1B)を5.25g得た。
次いで、100mLフラスコに、窒素雰囲気下、ジフェニルアミン2.54g、化合物(1B)5.25g、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)0.21g、酢酸パラジウム(II)0.09g及びトルエン(脱水)50mLを導入し、撹拌しながら、ナトリウムt−ブトキシド1.59gを加え、90℃(還流)で1時間撹拌した。室温に冷却後、反応液に飽和食塩水20mLを加えて抽出及び分液して得られた有機相を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)で精製することにより、化合物(1)を1.28g得た。
化合物(1)を、ESI−MS(エレクトロスプレーイオン化質量分析法)により同定した。その結果を以下に示す。
ESI−MS:[M−H]=438.2
合成例2:化合物(2)の合成
下記のスキームに基づき、化合物(2)を合成した。
Figure 2018180477
100mL三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、化合物(1)0.44g、テトラヒドロフラン(THF、脱水)10mLを導入し、室温で撹拌しながら、フェニルマグネシウムブロミド(16%テトラヒドロフラン溶液)2mLを滴下し、室温で更に3時間撹拌した。得られた反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液10mLを滴下し、酢酸エチル20mLを加えて抽出及び分液して得られた有機相を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)で精製することにより、化合物(2)を0.19g得た。
化合物(2)をESI−MSにより同定した。その結果を以下に示す。
ESI−MS:[M−H]=554.2
合成例3:化合物(3)の合成
下記のスキームに基づき、化合物(3)を合成した。
下記スキームにおいて、Meはメチル、Etはエチル、Buはブチル、Acはアセチルを示す。
Figure 2018180477
上記化合物(1)の合成において、安息香酸メチルをp−ブロモ安息香酸メチルに代え、かつジフェニルアミノ基を導入する工程においてジフェニルアミノ基が2つ導入されるように使用量を調整した以外は、上記化合物(1)の合成と同様にして、化合物(3)を合成した。
化合物(3)をESI−MSにより同定した。その結果を以下に示す。
ESI−MS:[M−H]=605.2
合成例4:化合物(4)の合成
上記化合物(1)の合成において、安息香酸メチルをp−フルオロ安息香酸メチルに代え、かつジフェニルアミンをN−フェニル−1−ナフチルアミンに代えたこと(使用量は同一のモル量となるように調整した)以外は、上記化合物(1)の合成と同様にして、化合物(4)を合成した。
化合物(4)をESI−MSにより同定した。その結果を以下に示す。
ESI−MS:[M−H]=506.2
合成例5:化合物(5)の合成
下記のスキームに基づき、化合物(5)を合成した。
下記スキームにおいて、Meはメチル、Etはエチル、Buはブチル、Phはフェニルを示す。
Figure 2018180477
200mL三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、1−ブロモ−4−(t−ブトキシ)ベンゼン4.60g、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)0.14g、ヨウ化銅(I)0.08g、テトラヒドロフラン(脱水)100mL、及びトリエチルアミン10mLを加え、室温で撹拌しながら、トリメチルシリルアセチレン5.0mLを加えた後、3時間加熱還流した。得られた反応液に、飽和食塩水50mL及び酢酸エチル50mLを加え、抽出及び分液して得られた有機相を減圧濃縮した。ここに、メタノール100mL及び炭酸カリウム5.0gを加え、室温で5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)で精製することにより、化合物(5A)を3.69g得た。
100mL三口フラスコに、窒素雰囲気下、化合物(5A)180mg、化合物(3B)150mg、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)90mg、ヨウ化銅(I)42mg、テトラブチルアンモニウムヨージド41mg、トルエン(脱水)10mL、及びトリエチルアミン1mLを加え、2時間加熱還流した。析出した固体をろ過により回収し、テトラヒドロフラン50mLを加え、不溶物を濾別した後、再結晶して、化合物(5)を127mg得た。
化合物(5)を、ESI−MSにより同定した。その結果を以下に示す。
ESI−MS:[M−H]=615.3
合成例6:化合物(6)の合成
上記化合物(5)の合成において、1−ブロモ−4−(t−ブトキシ)ベンゼンを2−ブロモメシチレンに代えたこと(使用量は同一のモル量となるように調整した)以外は、上記化合物(5)の合成と同様にして、化合物(6)を合成した。
化合物(6)をESI−MSにより同定した。その結果を以下に示す。
ESI−MS:[M−H]=555.2
合成例7:化合物(7)の合成
上記化合物(5)の合成において、1−ブロモ−4−(t−ブトキシ)ベンゼンを9−(4−ブロモフェニル)カルバゾールに代え、化合物(3B)を化合物(1B)に代えてアルキニル基を導入する工程において使用量を適宜調整した以外は、上記化合物(5)の合成と同様にして、化合物(7)を合成した。
化合物(7)をESI−MSにより同定した。その結果を以下に示す。
ESI−MS:[M−H]=536.2
実施例1
<波長変換組成物(フィルム状の波長変換部材)の作製>
シリコーン樹脂(KER−2500、2液混合付加硬化型、信越化学工業社製)のA液1gとB液1gとを混合し、次いでフォトルミネセンス蛍光体として化合物(1)を20mg(バインダー樹脂100質量部に対して1質量部)加えて、自転・公転ミキサー(シンキー社製、あわとり錬太郎)にて、2000rpm(rotation per minute)で混合し、2200rpmで脱泡した。得られた混合液(化合物(1)はバインダー樹脂中に固体状態で分散していた。)を、ガラス板上に1000rpmでスピンコートし、150℃で2時間加熱して、硬化させた。このようにして、波長変換組成物(フィルム状の波長変換部材)を作製した。得られた波長変換層の厚さは432μmであった。
実施例2〜7、比較例3及び5
実施例1において、化合物(1)に代えて下記表1に示した化合物又は比較化合物をフォトルミネセンス蛍光体として用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜7、比較例3及び5の波長変換組成物(フィルム状の波長変換部材)をそれぞれ作製した。
実施例8
実施例1において、シリコーン樹脂(KER−2500、2液混合付加硬化型、信越化学工業社製)のA液1gとB液1gに代えてエポキシ樹脂(三菱ケミカル社製エポキシ樹脂グレード828)2gを用いたこと以外は、実施例6と同様にして、実施例8の波長変換組成物(フィルム状の波長変換部材)を作製した。
比較例1
ポリメタクリル酸メチル(PMMA、アルドリッチ社製)1gを10mLのトルエンに溶解した後、フォトルミネセンス蛍光体として比較化合物(1)10mg(バインダー樹脂100質量部に対して1質量部)を溶解させて色素樹脂溶液を作製した。この色素樹脂溶液をガラス板上に1000rpmでスピンコートした後に、50℃のホットプレート上で乾燥させて、波長変換組成物(フィルム状の波長変換部材)を作製した。
比較例2及び4
比較例1において、比較化合物(1)に代えて下記表1に示した比較化合物をフォトルミネセンス蛍光体として用いたこと以外は、比較例1と同様にして、波長変換組成物(フィルム状の波長変換部材)をそれぞれ作製した。
比較例6〜11
比較例1において、比較化合物(1)に代えて上記化合物(1)〜(6)をフォトルミネセンス蛍光体としてそれぞれ用いたこと以外は、比較例1と同様にして、波長変換組成物(フィルム状の波長変換部材)をそれぞれ作製した。
[波長変換組成物(フィルム状の波長変換部材)の評価]
作製した波長変換組成物(フィルム状の波長変換部材)について、下記特性を評価し、その結果を表1に示した。
<波長変換性能(出射光)の評価>
作製したフィルム状の波長変換部材を405nmの光で励起して、波長変換部材から放射される光の最大発光波長(ピーク波長)を、蛍光分光光度計:RF5300PC(株式会社 島津製作所製)により、観測した。最大発光波長が以下の波長領域のいずれに含まれるかを判定した。
白色LEDに用いられる場合(放射される光が赤色光である場合)、最大発光波長は、評価ランク「A」以上が実用上求められる。
なお、比較例6〜11は、化合物(I)の分散状態が悪く、波長変換性能の評価をしていない。
− 評価ランク −
S:600nm以上、640nm未満
A:580nm以上、600nm未満、又は、640nm以上、750nm未満
B:560nm以上、580nm未満、又は、750nm以上、770nm未満
C:560nm未満、又は、770nm以上
<分散状態の評価>
作製したフィルム状の波長変換部材について、フォトルミネセンス蛍光体の分散状態(バインダー樹脂への溶解性)を確認した。
評価は、作製したフィルム状の波長変換部材の連続相(フィルム)を15mm×15mmにカットした試験片について、絶対PL量子収率測定装置:C9920−02(浜松ホトニクス社製)を使用して、蛍光スペクトルを測定した。得られたスペクトルにおいて、フォトルミネセンス蛍光体の分散状態での最大発光波長(凝集/会合発光波長)のピーク強度と、溶解状態での最大発光波長(上記凝集/会合発光波長よりも短波長化又は長波長化されたピークの波長)のピーク強度とを求めて、それぞれ、分散状態の最大発光波長強度及び溶解状態の最大発光波長強度とした。分散状態の最大発光波長強度に対する溶解状態の最大発光波長強度の強度比[溶解状態の最大発光波長強度/分散状態の最大発光波長強度]を算出した。
算出した強度比が以下の評価ランクのいずれに含まれるかを判定した。
本試験において、評価が「A」及び「B」であると、フォトルミネセンス蛍光体が固体状態でバインダー樹脂に良好に分散していることを示す。
− 評価ランク −
A:0.2未満
B:0.2以上、1.0未満
C:1.0以上
<量子収率の測定>
作製したフィルム状の波長変換部材について、絶対PL量子収率測定装置:C9920−02(浜松ホトニクス社製)を使用して、量子収率を測定した。励起波長は405nmとした。
測定した量子収率が以下の評価ランクのいずれに含まれるかを判定した。
本試験において、量子収率は、評価ランク「C」以上が実用上求められる。
なお、比較例6〜11は、化合物(I)の分散状態が悪く、量子収率の評価をしていない。
− 評価ランク −
A:0.5以上
B:0.4以上、0.5未満
C:0.3以上、0.4未満
D:0.2以上、0.3未満
E:0.2未満
<耐久性の評価>
作製したフィルム状の波長変換部材について、耐久性試験を実施した。
この波長変換部材に、温度80℃の雰囲気下において、405nmの紫色光を4.0W/cmの光束密度で連続して照射するとともに、照射直後、及び、所定時間経過毎に、発光強度を蛍光分光光度計:RF−5300PC(株式会社 島津製作所製)により、測定した。所定時間経過の発光強度が、照射直後の発光強度に対して10%低下した照射時間で、波長変換部材の耐久性を評価した。照射時間が以下の評価ランクのいずれに含まれるかを判定した。
本試験において、耐久性は、評価ランク「C」以上が実用上求められる。
− 評価ランク −
A:200時間以上
B:100時間以上、200時間未満
C:50時間以上、100時間未満
D:10時間以上、50時間未満
E:10時間未満
Figure 2018180477
表1の結果から、以下のことが分かる。
フォトルミネセンス蛍光体として、本発明で規定する上記一般式(I)で表される化合物と上記のバインダー樹脂とを併用しない波長変換組成物(波長変換部材)は、量子収率及び耐久性を両立できるものではない。
本発明で規定する一般式(I)のRを有さない比較化合物(1)は、PMMAと併用されると、入射光を目的とする波長の出射光に変換することができないうえ、高い量子収率及び耐久性を示すものではない(比較例1)。また、比較化合物(2)は、PMMAと併用されると、入射光を目的とする波長の出射光に変換することができないうえ、量子収率も耐久性も十分ではない(比較例2)。フォトルミネセンス蛍光体としてピロメテンホウ素錯体化合物である比較化合物(3)は、量子収率及び耐久性のいずれも満足できるものではない(比較例3)。本発明で規定する一般式(I)のRとしてのアミノ基を満たさない比較化合物(4)は、バインダー樹脂の種類にかかわらず、十分な耐久性を示していない(比較例4及び5)。更に、比較例6〜11は、いずれも、本発明で規定する上記一般式(I)で表される化合物を用いているが、本発明で規定するバインダー樹脂と併用していない。そのため、上記<分散状態の評価>において評価が悪く、化合物(1)〜(6)がPMMAに溶解し、耐久性は十分ではなかった。
これに対して、フォトルミネセンス蛍光体として本発明で規定する一般式(I)で表される化合物と、バインダー樹脂としてシリコーン樹脂又はエポキシ樹脂とを含有する波長変換組成物(波長変換部材)は、バインダー樹脂中に一般式(I)で表される化合物が固体状態で分散しており、優れた特性を示す(実施例1〜8)。すなわち、これらの波長変換組成物は、入射光を目的とする赤色光として発光(出射)することができる。また、これらの波長変換組成物は、高い量子収率と優れた耐久性とを示す。このように、一般式(I)で表される化合物は、上記バインダー樹脂に溶解することなく固体状態で分散して、上述の優れた固体発光特性を示すものである。
[発光装置の製造及び評価]
実施例9〜16
実施例1〜8で作製した各波長変換部材と、紫色LED(型番:PS2N−UFLE、Prolight Opto社製)とを用いて、実施例9〜16の発光装置をそれぞれ製造した。製造した発光装置について、上記<量子収率の測定>及び<耐久性の評価>と同様にして、量子収率を測定し、また耐久性を評価した。その結果、いずれの発光装置も、実施例1〜8と同様の優れた結果が得られた。
実施例17
<無機蛍光体との比較>
上記化合物(1)と、無機蛍光体CASN(CaAlSiN;Eu2+、サイアロン社製)との比較実験を行った。
実施例1において、化合物(1)の含有量をバインダー樹脂100質量部に対して2質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例17の波長変換組成物(フィルム状の波長変換部材)を作製した。
また、実施例1において、化合物(1)をCASNに代えて、その含有量をバインダー樹脂100質量部に対して10質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、波長変換組成物(フィルム状の波長変換部材)を作製した。
こうして作製した各波長変換部材について、蛍光分光光度計(島津製作所)を使用して、580〜750nmの波長領域における発光強度を測定して比較した。その結果、化合物(1)を用いた実施例17の波長変換部材は、無機蛍光体CASNを用いた波長変換部材の2倍以上の発光強度を示した。
この結果から、同じ発光強度になるようにフォトルミネセンス蛍光体の含有量を調整する場合、化合物(1)の添加量は無機蛍光体に対してより削減することができることが分かる。更に、含有量を少なくできることから、波長変換組成物中に入射する光の、化合物(1)の粒子による光散乱を低減させることができ、波長変換組成物からの光取り出し効率を高める効果も期待できることが分かる。
上記実施例1〜17の結果から、上記化合物(I)と上記バインダー樹脂とを含有する波長変換組成物は、化合物(I)がバインダー樹脂中に固体状態で分散することができ、しかも高い量子収率と優れた耐久性を示す。このような波長変換組成物、及び、この波長変換組成物を用いた発光装置は、化合物(I)がバインダー樹脂中に固体状態で分散していても、また光源に近接又は接して配置されても、白色LED用として、高い量子収率で赤色光を長期間に亘って目的とする波長光を発光することができる。また、本発明の波長変換組成物及び発光素子は、無機蛍光体に対して、使用量を低減でき、しかも光取り出し効率を高めることも期待できる。

Claims (7)

  1. 入射光の波長をより長波長の光に変換する、フォトルミネセンス蛍光体とバインダー樹脂とを含有する波長変換組成物であって、
    前記フォトルミネセンス蛍光体の少なくとも1種が下記一般式(I)で表わされる化合物であり、前記バインダー樹脂がシリコーン樹脂又はエポキシ樹脂である波長変換組成物。
    Figure 2018180477
    式中、X及びXは各々独立にハロゲン原子、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。
    及びQは、O、S又はNRを示す。Rは水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。
    Lは、単環又は複環のアリーレン基を示す。
    及びRは、各々独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アシル基、アリール基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基若しくはアリールオキシカルボニル基又はこれらを組み合わせた基を示す。ただし、Rは、アミノ基、アルケニル基又はアルキニル基のうち少なくとも一つを有する。また、Rとして採りうるアミノ基は少なくとも1つのアリール基を有する。 Rは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロ環基を示す。
    pは0〜5の整数である。
  2. 光源と、該光源によって発光された光を変換する、請求項1に記載の波長変換組成物からなる波長変換部とを備えた発光装置。
  3. 前記一般式(I)で表わされる化合物が、下記一般式(II)で表わされる化合物である請求項2に記載の発光装置。
    Figure 2018180477
    式中、Rは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アシル基、アリール基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基若しくはアリールオキシカルボニル基又はこれらを組み合わせた基を示す。
    qは、0〜4の整数である。
    、X、Q、Q、R、R、R及びpは、前記一般式(I)におけるものと同義である。
  4. 前記Rが、アルケニル基又はアルキニル基を含む請求項2又は3に記載の発光装置。
  5. 前記pが1〜5の整数であり、Rの少なくとも1つが、アルケニル基又はアルキニル基を含む請求項2〜4のいずれか1項に記載の発光装置。
  6. 前記光源が、350nm以上480nm以下の波長光を発光する請求項2〜5のいずれか1項に記載の発光装置。
  7. 前記一般式(I)で表わされる化合物が、前記光源から発光された光を吸収して、580nm以上750nm以下の領域にピーク波長が観測される発光を呈する請求項2〜6のいずれか1項に記載の発光装置。
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