JP2018179673A - デバイス状態検知装置、電源システムおよび自動車 - Google Patents
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Abstract
Description
以下、図面を参照して、本発明を普通ガソリン車に搭載可能な14V系車両用電源システムに適用した第1の実施の形態について説明する。
1−1−1.車両側の構成
まず、本実施形態の電源システム20が搭載される車両50(普通ガソリン車)の主要構成について説明する。
図1に示すように、車両50は、イグニッションスイッチ(以下、IGNという。)22を備えている。IGN22は中央端子、OFF端子、ON/ACC端子、START端子を有しており、中央端子とこれらOFF、ON/ACC、START端子のいずれかとはロータリ式に切り替え接続が可能である。「ACC」はアクセサリすなわち補機を意味する。
車両50は、制動時を除く車両走行時にエンジン25の(回転)駆動力を電力に変換するオルタネータ24(発電機)を備えている。オルタネータ24にはクランクシャフト27を介してエンジンの駆動力が伝達される。本実施形態では、オルタネータ24の出力電圧は14.0[V]に設定されている。
また、車両50は、エンジン25を始動するスタータ28を備えている。スタータ28は、公知のように、フィールド(励磁)コイルとアーマチュア(回転)コイルとを有する直流直巻型モータ(セルモータ)と、モータに鉛電池1の電力を供給するためのメイン接点と、プランジャの周りに配されプランジャを進退・保持するプルイン(引き込み)コイルおよびホールディング(保持)コイルと、プランジャに固着した導体部材とを有して構成されている。スタータ28の一端はIGN22のSTART端子に接続されており、他端はGNDに接続されている。
さらに、車両50には種々の補機23が搭載されている。補機23には、例えば、ランプ、ライト、パワーウインド、エンジンポンプ(スパークプラグ)、エアコン、ファン、ラジオ、テレビ、CDプレーヤ、カーナビゲーション等を挙げることができる。補機23の一端はIGN22のON/ACC端子に接続されており、他端はGNDに接続されている。なお、補機23は、最低作動電圧(例えば、8[V])以上の作動電圧を鉛電池1から供給されればよい。
また、車両50は、車両50全体の動作を制御する車両制御部(ECU)30を備えている。車両制御部30は、IGN22の位置情報を把握するとともに、アクセル、ブレーキ、エンジン等の作動状態、速度、加速度その他の車両状態を把握し、把握した状態に応じた走行制御を行う。なお、図1では、エンジン25を制御するための制御線を示している。
次に、本実施形態の電源システム20の構成について説明する。電源システム20は、鉛電池1(以下、PbB1という。)と、PbB1のデバイス状態を検知するデバイス状態検知装置10とで構成されている。なお、本実施形態の電源システム20は、デバイス状態検知装置10がPbB1の上部に配され鉛電池1と一体化しており、例えば、車両50のエンジンルームに搭載されるが、本発明はこれに限定されるものではない。
PbB1の電槽には、内部を仕切る隔壁によって6個のセル室を画定するモノブロック電槽が用いられている。モノブロック電槽側面にはPbB1の温度を検出するサーミスタ等の温度センサ5が設置されている。
デバイス状態検知装置10は、PbB1の総電圧を検出する電圧検出回路2、電流センサ3と負荷抵抗Rとで構成された電流検出回路9、上述した温度センサ5を有しPbB1の温度を検出する温度検出回路および制御部6を有して構成されている。なお、図1では、このような温度検出回路は広く知られていることから温度センサ5のみを示している。
電圧検出回路2は、公知のようにオペアンプを有する差動増幅回路で構成することができ、電圧検出精度を高めるために基準電圧源(回路)を有している。電圧検出回路2の入力側はPbB1の正極外部端子および負極外部端子にそれぞれ接続されており、出力側が制御部6のA/D入力ポート(A/Dコンバータの入力側)に接続されている。
図2(A)に示すように、電流センサ3は、センサ基板3c(基材層)の一面側に形成された導電膜3a(導電層)と、他面側に形成された磁性膜3b(磁性層)とを有する3層構造のプレート状センサとして構成されている。導電膜3a、磁性膜3b、センサ基板3cの材質には、それぞれ例えば、アルミニウムまたは銅、Ni・Fe合金のパーマロイ(例えば、パーマロイAやパーマロイC等)、樹脂(例えば、ポリイミド等)を選択することができる。なお、本実施形態の電流センサ3は図2(A)に模式的に示す形状よりも細長く形成されており、電流センサ3の長手方向と交差する方向の一側および他側中央部から導出された接続部材を有している。
制御部6は、PbB1のデバイス状態を検知し、検知したデバイス状態から算出(演算)したPbB1の状態情報(後述)を所定時間ごとに車両制御部30に報知する。制御部6は、マイクロプロセシングユニット(以下、MPUという。)、A/Dコンバータ(本例では3個)、EEPROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ7、通信線29を介して車両制御部30と通信するための通信ICを有するマイクロコントローラとして構成されており、その一端はGNDに接続されている。
次に、本実施形態の電源システム20(デバイス状態検知装置10)の電流検知原理について説明する。
図2(A)に示すように、電流センサ3の導電膜3aに電流I3aが流れると磁束密度B(磁界)が生じる。磁束密度Bは電流I3aの大きさに比例する。導電膜3aで生じた磁束密度Bが磁性膜3bに垂直に印加されることで、磁性膜3bでは磁気抵抗効果が起こり磁性膜3bの抵抗値が変化する。
上記式1を参照すると、磁性膜3bの抵抗値R3bは、磁性膜3bの固有抵抗成分と、磁束密度Bが印加されたときの抵抗変化量成分との和として表されている。ここで、図2(B)に示すように、電流センサ3に代えてプレーナ・ホール効果型電圧センサを用いれば、磁性膜3bに電流I3bが流れたときの磁性膜3bの抵抗変化量成分を電圧変化量として直接検出でき、検出した電圧変化量から導電膜3aに流れる電流I3aを検知することができる。プレーナ・ホール効果とは、x軸方向に電流が流れている金属片や半導体試料(本件では磁性膜3b)に、z軸方向に(xy平面内に)磁束密度Bを印加したときに、y軸方向に設けられた電圧検出端子(図2(B)の電圧検出線参照)に起電力が生じる現象をいう。
負荷抵抗Rの両端電圧VRはA/D入力ポートを介してA/Dコンバータの入力側に入力される。必要に応じてA/D入力ポートとA/Dコンバータとの間に差動増幅回路を挿入するようにしてもよい。A/Dコンバータの出力は外部バスを介してMPUに取り込まれ、電圧検出回路2で検出したPbB1の電圧Vと電流検出回路9で検出した電圧(負荷抵抗Rの両端電圧VR)とからPbB1に流れる電流I3aが検知される。
次に、本実施形態の電源システム20の動作について、制御部6のMPUのCPU(以下、CPUという。)を主体として説明する。
車両走行後の車両駐車開始時には、ドライバによりIGN22がON/ACC位置からOFF位置に位置付けられ、イグニッションキーがIGN22から引き抜かれる。車両制御部30はIGN22を監視しており、IGN22がOFF位置に位置付けられると、通信線29を介して制御部6にスリープ指令(省エネモードとする指令)を発出する。
(1)車両走行前
車両駐車後の車両走行前には、ドライバによりIGN22にイグニッションキーが挿入され、IGN22はOFF位置からON/ACC位置に位置付けられ、さらにON/ACC位置からSTART位置に位置付けられた後、再度ON/ACC位置に位置付けられる。制御部6は、IGN22が最初にON/ACC位置に位置付けられたときに、省エネモータから動作モードへ移行する。
上述したように、CPUは、エンジン始動前にもPbB1の状態情報を車両制御部30に所定時間ごとに報知する。この報知を受けた車両制御部30は、トライバの参考となるように、インストールメントパネルに電源システム20(PbB1)の状態を表示するようにしてもよい。このような表示は、例えば、直近のSOCに対応するPbB1の残存容量をレベルメータ等で表示してもよいし、直近のSOCと予め設定された閾値とを参照して、PbB1のアイコンを青(PbB1にエンジン始動電力が十分蓄電されているとき)、黄(補機23に放電し続けるとエンジン始動ができなくなるおそれがあるとき)、赤(エンジン始動が難しいか劣化が促進されるとき)等で色分けして点灯させるようにしてもよい。
エンジン始動時には、PbB1に蓄電された電力がIGN22を介してスタータ28に供給されエンジン25が始動する。その際、PbB1には例えば200[A]以上の大電流が流れる(高率放電がなされる)が、それに伴いPbB1の外部端子間電圧は大きく降下する。図5(A)、(B)に示すように、このときの電流および電圧変化は、スタータ28に電流が流れ始めた直後に、鋭いピーク状の大電流が流れ、同時にPbB1は鋭い谷状の電圧降下を示す。
CPUは、車両走行時にもPbB1の状態情報を車両制御部30に所定時間ごとに報知する。車両50がインストールメントパネルにPbB1の状態を表示可能なタイプのものであれば、ドライバは表示されたPbB1の状態を参照して、PbB1が使用下限電圧値や使用下限SOCに近い場合にはエンジン25を(再)起動できなくなるおそれがあるため、車両走行後、IGN22を直ちにOFF位置に位置付けずにON/ACC位置に位置付けることでPbB1を充電する。
次に、本発明をμHEVに搭載可能な14V系車両用電源システムに適用した第2の実施の形態について説明する。なお、μHEVとは、アイドリングストップ・スタート(以下、ISSという。)機能を有し、発電機(本例ではオルタネータ24)から供給される回生電力を受け入れ可能かつ放電負荷(本例ではスタータ28および補機23)に放電可能な蓄電デバイスを備えたガソリン車またはディーゼル車をいう。
2−1−1.車両側の構成
第2実施形態の電源システム21(図6参照)が搭載される車両50(μHEV)の主要構成は、機能面では相違があるものの、第1実施形態の車両50(普通ガソリン車)とほぼ同じである。図1に破線で示すように、エンジン25とオルタネータ24(発電部24a)との間のクランクシャフト27には電磁クラッチ26が介在しており、車両制御部30と電磁クラッチ26との間には電磁クラッチ26のオン/オフを制御するための制御線が接続されている。なお、エンジン25とスタータ28との間にも電磁クラッチ26と同様の電磁クラッチが介在していてもよい。
これに対し、本実施形態の電源システム21の構成は第1実施形態の電源システム20と大きく相違する。図6に示すように、電源システム21は、複合蓄電デバイス1’と、複合蓄電デバイス1’のデバイス状態を検知するデバイス状態検知装置11とで構成されている。
複合蓄電デバイス1’は、鉛電池1’A(以下、PbB1’Aという。)と、リチウムイオンキャパシタ1’B(以下、LIC1’Bという。)とで構成されている。なお、PbB1’AとLIC1’Bとは必ずしも近接位置(例えば、同じエンジンルーム内)に配される必要はなく、例えば、PbB1’Aがエンジンルーム内に配されLIC1’Bが座席下に配されていてもよい。
PbB1’Aは第1実施形態で説明したPbB1と原則的に同じである。本実施形態のPbB1’Aの容量は32Ahとされている。また、回生電力を受け入れやすい構造とするために、PbB1’Aの負極活物質合剤には、負極活物質の他にリグニンおよびカーボン等を含む負極添加剤が混入されている。PbB1’Aの負極外部端子はGNDに接続されている。
一方、LIC1’Bは、単体の(ユニット)リチウムイオンキャパシタ(以下、単体キャパシタという。例えば、使用下限電圧2.2[V]、使用上限電圧3.5[V])を4個直列に接続したキャパシタ群(組キャパシタ)で、最上位電位側に正極外部端子、最下位電位側に負極外部端子を有して構成されている。単体キャパシタの容量は、例えば、1000F〜4000Fとすることができるが(本例では1800F)、本発明はこれに限定されるものではない。負極外部端子はGNDに接続されている。これら4個の単体キャパシタのうち1個の単体キャパシタの表面には、接着剤によりサーミスタ等の温度センサが固着している。なお、LIC1’Bの使用上限電圧は14.0[V](3.5[V]×4個)、使用下限電圧は8.8[V](2.2[V]×4個)に設定されている(図8(A)参照)。
(2−1)電流検出回路9A、9B
図6に示すように、デバイス状態検知装置11は、電流センサ3Aおよび負荷抵抗R1を有しPbB1’Aに流れる電流を検出する電流検出回路9Aと、電流センサ3Bおよび負荷抵抗R2を有しLIC1’Bに流れる電流を検出する電流検出回路9Bとを備えている。電流検出回路9A、9Bの出力(負荷抵抗R1、R2の両端電圧)はそれぞれPbBコントローラ8A、LICコントローラ8Bに入力される。なお、電流センサ3A、3Bは第1実施形態で説明した電流センサ3と同じである。
また、電源システム21(デバイス状態検知装置11)は、PbB1’AおよびLIC1’Bの充放電電流を切り替えるスイッチ12を備えている。スイッチ12は、直列に接続された2つのスイッチ、スイッチSW1とスイッチSW2とで構成されている。スイッチSW1とスイッチSW2との接続点はIGN22の中央端子に接続されている。スイッチSW1、SW2の他端はそれぞれ電流センサ3Aの導電膜3Aa、電流センサ3Bの導電膜3Baの他側に接続されている。スイッチSW1、SW2は大電流が通電可能なスイッチング素子(例えば、パワーMOSFET)で構成されている。
複合蓄電デバイス1’から補機23に放電する際、例えば状態1から状態2に切り替えるときには、PbB1’AおよびLIC1’Bのいずれからも補機23に電力が供給されない一瞬が生じるおそれがある。このため、スイッチSW1、SW2の接続点とGNDとの間には、この一瞬の電力を補機23に補償・供給する電解キャパシタCが挿入されている。
また、デバイス状態検知装置11は、PbB1’A、LIC1’Bのデバイス状態データをそれぞれ取得(検出)するPbBコントローラ8A、LICコントローラ8B(以下、両者を総称する場合はコントローラ8A、8Bという。)を備えている。本実施形態では、PbBコントローラ8AはPbB1’Aの上部に配されPbB1’Aと一体化されており、LICコントローラ8BもLIC1’Bの上部に配されLIC1’Bと一体化されている。コントローラ8A、8Bは、充放電時(車両走行前および走行時)に、デバイス状態データとして、それぞれPbB1’A、LIC1’Bの温度、電圧、電流を検出する。
また、デバイス状態検知装置11は、入力されたデバイス状態データに基づいて、PbB1’AおよびLIC1’Bの状態情報を演算するとともに、スイッチ12による充放電電流の切り替え動作を制御する制御部6’を備えている。制御部6’は、第1実施形態の制御部6と同様に、MPU、A/Dコンバータ、不揮発性メモリ7’、通信IC、I/O、入力ポートを有するマイクロコントローラとして構成されており、さらにスイッチ12にデジタル信号を出力するための出力ポートを有している。なお、図6では、制御部6’の役割を明確にするために機能別に細部を表している。
2−2−1.回生充放電
車両50では、制動時にオルタネータ24から供給される回生電力で複合蓄電デバイス1’を充電し、制動時を除く走行中は原則的にオルタネータ24の動作を停止させる。PbB1’A単独では受け入れ可能な電流が120A程度に制約されるため充電受け入れ性が低く、制動時のオルタネータ24による回生電力のすべてを回収することは難しい。このため、本実施形態では、PbB1’Aと充電受け入れ性に優れたLIC1’Bとを組み合わせた複合蓄電デバイス1’が用いられている。複合蓄電デバイス1’は回生電力を受け入れ(蓄電し)、受け入れた電力を放電負荷に放電する。
車両制御部30と制御部6’(CPU)とは協調制御を行う。すなわち、車両制御部30は車両状態および複合蓄電デバイス1’のデバイス状態に応じて車両50を制御し、制御部6’(CPU)は車両状態および複合蓄電デバイス1’のデバイス状態に応じてスイッチ12のオン、オフを制御する。このため、CPUは車両50の状態情報が必要となり、車両制御部30は複合蓄電デバイス1’の状態情報の把握が必要となる。車両50および複合蓄電デバイス1’の状態情報は上述した通信線29を介して両者間で共有される。
(1−1)IGN位置情報
車両制御部30は、IGN22がいずれの位置に位置付けられたかをIGN位置情報として制御部6’に報知する。下表2に示すように、IGN位置情報には、OFF情報、ON/ACC情報およびSTART情報が含まれる。
車両50はオルタネータ24による回生発電機能を有しているため、車両制御部30は、ブレーキが踏まれたとき(制動時)、または、アクセルが開放されたとき(アクセルオフ時)に、電磁クラッチ26をオン状態に移行させエンジン25の駆動力を回生電力に変換して複合蓄電デバイス1’に供給するようにオルタネータ24を制御するとともに、CPUにその旨を報知する。また、ブレーキが開放されたとき、または、アクセルオフの結果車両の加速度が0となったときに、電磁クラッチ26をオフ状態に移行させオルタネータ24の作動を停止させるように制御するとともに、その旨をCPUに報知する。
また、車両50はISS機能を有しているため、車両制御部30は、ブレーキ、速度、加速度等の車両状態並びに複合蓄電デバイス1’の状態情報を参照してアイドリングストップするか否かを判断する。このため、車両50は、車両走行時にIGN22がON/ACC位置に位置付けられていても(ドライバがIGN22をOFF位置等への位置付けなくても)、車両制御部30の制御により、車両50が停止するとエンジン25が停止し(アイドリングストップ)、その後アクセルが踏まれるとエンジン25が(再)始動する(ISS)。
CPUは、上述したように、充放電時(車両走行前および走行時)は、コントローラ8A、8Bから出力されたPbB1’AおよびLIC1’Bのデバイス状態データ(LIC1’Bを構成する各単体キャパシタの電圧値を含む。)に基づいてPbB1’AおよびLIC1’Bの直近の状態情報(温度補正後の電圧値およびSOC)を演算し、車両制御部30に所定時間ごとに報知する。この報知を受けた車両制御部30は、PbB1’A、LIC1’Bの直近の電圧値、SOCを参照して、電磁クラッチ26およびオルタネータ24を制御する。
次に、本実施形態の電源システム21の動作について、(制御部6’のMPUの)CPUを主体として説明する。なお、車両制御部30への複合蓄電デバイス1’の状態情報の報知については既に説明したので、以下では、充放電制御(スイッチ12の制御)を中心に説明する。
充放電休止時の制御は原則的に第1実施形態で説明した内容と同じである。車両制御部30は、車両走行後にIGN22がOFF位置に位置付けられると、第1実施形態で説明したスリープ指令に代えて、OFF情報(表2参照)をCPUに報知する。OFF情報を受信したCPUは、スイッチ12を状態0とし、コントローラ8A、8Bおよび制御部6’を省エネモードとする。
(1)車両走行前
(1−1)エンジン始動前
CPUは、車両制御部30からON/ACC情報(表2参照)を受信すると、LIC1’Bの電圧がエンジン25を始動可能な設定電圧V2(図8(A)参照、本例では11.8[V])以上か否かを判断し、肯定判断のときは、スイッチ12を状態1とする。これにより、エンジン始動前の補機23への電力供給(放電)はLIC1’Bからなされる。一方、LIC1’Bの電圧が設定電圧V2未満のとき(否定判断のとき)は、スイッチ12を状態2としPbB1’Aから補機23へ電力供給を行う。
CPUは、車両制御部30からSTART情報(表2参照)を受信すると、LIC1’Bの電圧が設定電圧V2以上か否かを再度判断し、肯定判断のときは、スイッチ12を状態1として、LIC1’Bの電力でスタータ28(エンジン25)を始動する。一方、LIC1’Bの電圧が設定電圧V2未満のとき(否定判断のとき)は、スイッチ12を状態2としPbB1’Aの電力でスタータ28(エンジン25)を始動する。従って、CPUは、PbB1’A、LIC1’Bそれぞれの内部抵抗(SOH)を把握する契機を得る。
車両走行時およびISS時の回生充放電制御の内容は若干複雑なため、以下では、これらの要点を整理した後、フローチャートを参照してより具体的に説明する。
(2−1−1)充電制御
CPUは、車両制御部30から回生開始情報(表2参照)を受信すると、原則として、LIC1’Bを使用上限電圧V1まで充電するようにスイッチ12を制御する(スイッチ12を状態1とする。)。これにより、LIC1’Bは使用上限電圧V1まで定電圧充電される。ただし、LIC1’Bが使用上限電圧V1となる前に、車両制御部30から回生終了情報(表2参照)を受信した場合には、回生電力が供給されないため、その時点でLIC1’Bへの充電は打ち切られ直ちにLIC1’Bから補機23に放電するようにスイッチ12を制御する(スイッチ12を状態1のままとする。)。
CPUは、車両制御部30から回生終了情報を受信すると、LIC1’Bから補機23に、原則として、LIC1’Bが設定電圧V2となるまで放電するようにスイッチ12を制御する(スイッチ12を状態1とする。)。ただし、LIC1’Bが設定電圧V2となる前に、車両制御部30から回生開始情報を受信した場合には、回生電力が供給されるため、その時点でLIC1’Bから補機23への放電は打ち切られ直ちに回生電力でLIC1’Bを充電するようにスイッチ12を制御する(スイッチ12を状態1のままとする。)。なお、LIC1’Bを設定電圧V2までしか放電しない(使用下限電圧V4(図8(A)参照、本例では8.8[V])まで放電しない)理由は、ISS時に備えLIC1’Bをエンジン始動可能な電圧に保持しておくためである。
CPUは、ISS情報(表2参照)を受信すると、LIC1’Bの放電時でも設定電圧V2以上の電圧に保たれているため(直前のアイドリングストップの際の回生電力により、補機23への特に大きな放電がない限りLIC1’Bは使用上限電圧V1近傍の電圧となっている。)、LIC1’Bからスタータ28に放電してエンジン25を始動する。ISS情報を受信してから次にエンジン始動情報を受信するまでの間は、LIC1’Bの電力によるエンジン始動を優先し、スイッチ12を構成するスイッチSW1、SW2の切り替え制御は行われない。
次に、図7に示す回生充放電処理ルーチンを参照して、CPUによる回生充放電制御について説明する。なお、上記(2−1)回生充放電制御の要点で述べた内容と重複する内容についてはできるだけ簡潔に説明する。
3−1.作用効果
次に、上記実施形態の電源システムの作用効果等について説明する。
なお、上記実施形態では、蓄電デバイスに鉛電池(鉛電池とリチウムイオンキャパシタとを組み合わせた複合蓄電デバイス)を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、鉛電池に代えて、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタを用いるようにしてもよい。また、複合蓄電デバイスを構成する際には、鉛電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタのうち2種以上の蓄電デバイスを組み合わせて構成するようにしてもよい。
1’ 複合蓄電デバイス(蓄電デバイス、複合蓄電デバイス)
1’B リチウムイオンキャパシタ(蓄電デバイス)
2 電圧検出回路(電圧検出手段)
3 電流センサ(電流センサ、第1の薄膜電流センサ)
3A、3B 電流センサ
4 電流センサ(電流センサ、第2の薄膜電流センサ)
3a、3Aa、3Ba、4a 導電膜
3b、3Ab、3Bb、4b 磁性膜
6、6’ 制御部
7、7’ 不揮発性メモリ
9、9’、9A、9B 電流検出回路(電流検出手段)
10、10’、11 デバイス状態検知装置
20、20’、21 電源システム
22 イグニションスイッチ
23 補機(放電負荷)
24 オルタネータ(発電機)
28 スタータ(放電負荷)
50 車両(自動車)
R、R1、R2、R4 負荷抵抗
Claims (11)
- 車載用蓄電デバイスのデバイス状態を検知するデバイス状態検知装置において、
前記デバイスの電圧を検出する電圧検出手段と、
電流センサを有し前記デバイスに流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電圧検出手段および前記電流検出手段で検出された検出値に基づいて前記デバイスのデバイス状態を演算する制御部と、
を備え、
前記電流センサに、導電層と磁性層とを有し前記導電層に流れる電流値に応じて前記磁性層の抵抗値が変化する電流センサを用いたことを特徴とするデバイス状態検知装置。 - 前記電流センサはプレート状電流センサであることを特徴とする請求項1に記載のデバイス状態検知装置。
- 前記磁性層の長手方向と交差する方向の一側が前記デバイスの正極外部端子に、他側が負荷抵抗を介して前記デバイスの負極外部端子にそれぞれ接続されており、
前記制御部は、前記電圧検出手段で検出された前記デバイスの電圧と前記電流検出手段で検出された前記負荷抵抗の両端電圧とから前記デバイスに流れる電流を検知することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデバイス状態検知装置。 - 前記導電層の長手方向と交差する方向の一側が前記正極外部端子に、他側がイグニッションスイッチを介して放電負荷および発電機にそれぞれ接続されることを特徴とする請求項3に記載のデバイス状態検知装置。
- 複数の電圧値下における複数の電流値で前記導電層に電流を流したときの前記電流センサに固有の前記負荷抵抗の両端電圧値を予め記憶した不揮発性メモリをさらに備え、
前記制御部は、前記不揮発性メモリに記憶された前記電圧値、電流値および両端電圧値の関係に従って前記電圧検出手段で検出された前記デバイスの電圧および前記電流検出手段で検出された前記負荷抵抗の両端電圧に対応した前記導電層に流れる電流を算出することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のデバイス状態検知装置。 - 前記制御部は、エンジン始動時に前記電圧検出手段で検出された前記デバイスの電圧と前記検知した前記デバイスに流れる電流とからオームの法則に従って前記デバイスの内部抵抗を算出することを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載のデバイス状態検知装置。
- 前記電流検出手段は、大電流域の電流を検出するための第1の電流センサと、小電流域の電流を検出するための第2の電流センサとの少なくとも2つの電流センサを有しており、前記第1および第2の電流センサの長さおよび幅の少なくとも一方が異なることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のデバイス状態検知装置。
- 前記デバイスは、鉛電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムイオン電池およびリチウムイオンキャパシタで構成される群から選択される1種、または、前記群を構成する2種以上を有する複合蓄電デバイスであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のデバイス状態検知装置。
- 前記デバイスが前記複合蓄電デバイスの場合に、前記電圧検出手段および前記電流検出手段は前記複合蓄電デバイスを構成する蓄電デバイスごとに設けられ、前記制御部は前記複合蓄電デバイスを構成する蓄電デバイスのうち少なくとも一つの蓄電デバイスの内部抵抗を算出することを特徴とする請求項8に記載のデバイス状態検知装置。
- 車載用蓄電デバイスと、
請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載のデバイス状態検知装置と、
を備えた電源システム。 - 請求項10に記載の電源システムを備えた自動車。
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