JP2018177885A - コークス収縮率の推定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭種によらずに、より簡便に、コークス収縮率を推定することができる方法を提供する。【解決手段】石炭を再固化温度以上の温度Tまで加熱したときのコークス収縮率を推定する方法であって、石炭を加熱した際に発生するガスのうち、炭素数が2〜4の炭化水素であるC2-4ガスの発生量を昇温加熱しながら測定して、その発生量が最大になる温度T1でのC2-4ガス発生量V1を求めて(但し、T1<Tである)、得られたC2-4ガス発生量V1に基づいて、当該石炭の温度Tでのコークス収縮率を推定するコークス収縮率の推定方法である。【選択図】図8

Description

この発明は、石炭を所定の条件で乾留する際のコークス収縮率を推定する方法に関するものであり、詳しくは、例えば、石炭を乾留して得られるコークスの粒径を予測したり、コークスの強度を予測する場合等で用いられるコークス収縮率を推定する方法に関する。
高炉操業の更なる効率化を図るために、石炭を乾留して得られるコークスの強度や粒径が安定していること、すなわち目標の強度や粒径を有するコークスが製造できるようにすることが求められている。また、コークスの製造コストを削減するために、非微粘結炭等の安価低品位炭をできるだけ多く使用する必要が生じているが、原料炭におけるこれらの石炭の割合が増すことにより、コークス粒径の低下や体積破壊粉率が増加してしまうことから、得られるコークスの粒径や強度を事前に予測することがより重要になっている。
このうち、コークスの強度を推定するにあたり、コークス強度の指標のひとつであるドラム強度指数DI150 15は、次のように表記できることが知られている(例えば特許文献1参照)。
DI150 15=DI150 6 − DI150 6-15
すなわち、この特許文献1では、高石炭化度炭と低石炭化度炭とを配合した配合炭からコークスを得る際に、そのドラム強度指数DI150 15を表面破壊強度DI150 6と体積破壊粉率DI150 6-15とに分けて推定する方法を開示しており、体積破壊粉率DI150 6-15の推定には、配合する高石炭化度炭のビトリニット平均反射率Roと低石炭化度炭の配合割合を用いている。ここで、ドラム強度指数DI150 15は、JISK2151に規定される衝撃後の15mm以上の塊割合を示すものである。
また、配合炭の固化温度から体積破壊粉率DI150 6-15を推定し、配合炭を構成する各石炭の膨張率又は比容積を配合割合で加重平均した値から表面破壊強度DI150 6を推定して、これらに基づきコークスの強度を推定する方法(特許文献2参照)等も知られている。
一方、コークスの粒径に関しては、例えば、下記の式に基づき推定できることが知られている(特許文献3参照)。
配合炭のコークス粒径=a+b×配合炭のコークス収縮率
特許文献3では、この式について、種々の配合における配合炭を用いてコークスを製造してそのコークス粒径を測定し、また、配合炭に含まれる石炭毎にコークス収縮率を測定して、それぞれの配合炭におけるコークス収縮率を各石炭の配合割合に応じて加重平均して算出しており、こうして得られた各配合炭のコークス粒径実測値とコークス収縮率計算値に基づき、回帰分析等の手法により係数a、bを定めるとする。
ここで、コークスの粒径や体積破壊粉率は、コークス塊内のcmオーダーのマクロ亀裂に起因して決定される。一般に、石炭を乾留すると、有機高分子構造の熱分解や熱重合反応が起こり、それに伴って様々な物理現象が発現する。すなわち、400℃前後から石炭が軟化溶融して、粒子が接着して多孔質の塊が形成され、500℃前後で再固化し、それ以降は収縮してより緻密な構造を有するコークスになる。このとき、炭化室幅方向に温度分布があるため、収縮の歪により熱応力を生じ、マクロ亀裂が形成されると考えられることから、コークスの強度や粒径を精度良く推定する上で、石炭の再固化後の収縮過程におけるコークス収縮率を把握することが必要になる。
このコークス収縮率について、先の特許文献3ではその測定方法を開示している。すなわち、特許文献3においては、石炭の再固化温度以上の温度T(℃)まで加熱し、再固化温度と温度Tとにおける内容物の容積差又は長さの差を再固化温度における容積又は長さで除した値を、その石炭から生成したコークスの温度Tにおけるコークス収縮率と定義している。具体的には、複数の通気孔が設けられた内部細管と外部細管との二重構造を有した試料管の内部細管に石炭を装入し、その上にピストンを載せて所定の昇温速度で加熱して、加熱温度に対するピストンの上下変位を計測し、再固化温度でのピストン高さと温度Tでのピストン高さに基づき、コークス収縮率を求めている。
このような方法によれば、体積破壊やコークス粒径を支配する亀裂の発生原因であるコークス収縮率を直接測定することができる。ところが、この方法では、石炭の種類によっては溶融した石炭やタールによりピストンが固着してしまうことから、正しく測定できない場合がある。また、装置自体が特殊であるため、コークス収縮率を随時測定することができないといった問題もある。
一方で、石炭の性状とコークス収縮率との関係に着目した報告がある(非特許文献1参照)。この非特許文献1では、上記特許文献3に記載の方法によりコークス収縮率を求めて、コークス収縮率とコークスの粒径とが相関性を有することを確認している。また、コークス収縮率と石炭の揮発分(VM)との関係や、コークス収縮率と石炭化度との関係を調べているが、いずれも有意な結果は認められず、石炭の揮発分や石炭化度だけではコークス収縮率は定まらないとしている。
ところで、コークスの収縮に関しては、着目する物理量が異なり定義されているものがいくつか存在する。例えば、特開2013−216813号公報(特許文献4)では、乾留後のコークスとコークス炉の炉壁レンガとの間に形成される隙間(クリアランス)をコークスの収縮量としている。なお、この収縮は、上記で述べたコークス収縮率のほかに、少なくとも温度分布や膨張圧等の様々な因子の影響を受けるものであり、本発明で対象とするコークス収縮率とは異なるものである。
特開2005−194358号公報 特開平9−263764号公報 特開2005−232349号公報 特開2013−216813号公報
Seiji Nomura and Takashi Arima (2013). Effect of coke contraction on mean coke size. Fuel, 105, 176-183.
上述したように、コークスの強度や粒径の推定精度を更に向上させる上で、石炭の再固化後の収縮過程におけるコークス収縮率を把握することが極めて重要である。上記特許文献3に記載される方法によれば、石炭の再固化温度以上の温度Tまで加熱したときの温度Tにおけるコークス収縮率を直接測定することができるが、特殊な装置を用いなければならず、また、炭種によっては測定が困難な場合がある。一方で、石炭の揮発分等のような工業分析による石炭の性状や元素分析等を用いた工程分析によりコークス収縮率を推定する技術も開発されているが、十分な精度が得られずに、未だ確立されているとは言えない。
そこで、本発明者らは、これらの課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、石炭を加熱した際に発生するガス(乾留ガス)のうち、炭素数が2〜4の炭化水素系ガスであるC2-4ガスがコークス収縮率と相関性を有することを新たに見出し、この関係を利用すれば、コークス収縮率の推定が可能になることから、本発明を完成させた。
したがって、本発明の目的は、炭種によらずに、また、より簡便に、コークス収縮率を推定することができる方法を提供することにある。
すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)石炭を容器内に入れて石炭の再固化温度以上の温度Tまで加熱し、再固化温度と温度Tとにおける内容物の容積差又は長さ差を再固化温度における容積又は長さで除した値で表される、その石炭から生成したコークスの温度Tにおけるコークス収縮率を推定する方法であって、
石炭を所定の昇温速度で加熱した際に発生するガスのうち、炭素数が2〜4の炭化水素系ガスであるC2-4ガスを測定して、この昇温加熱測定において発生量が最大になる温度TでのC2-4ガス発生量Vを求めて(但し、T<Tである)、得られたC2-4ガス発生量Vに基づいて、当該石炭の温度Tでのコークス収縮率を推定することを特徴とするコークス収縮率の推定方法。
(2)石炭を容器内に入れて石炭の再固化温度以上の温度Tまで加熱し、再固化温度と温度Tとにおける内容物の容積差又は長さ差を再固化温度における容積又は長さで除した値で表される、その石炭から生成したコークスの温度Tにおけるコークス収縮率を推定する方法であって、
予め、温度Tにおけるコークス収縮率が既知の複数の試験用石炭について、石炭を所定の昇温速度で加熱した際に発生するガスのうち、炭素数が2〜4の炭化水素系ガスであるC2-4ガスを測定して、この昇温加熱測定において発生量が最大になる温度TでのC2-4ガス発生量Vをそれぞれ求めて(但し、T<Tである)、各試験用石炭のC2-4ガス発生量Vとコークス収縮率との相関式を得ておき、
温度Tにおけるコークス収縮率が未知の石炭について、その昇温加熱測定においてC2-4ガスの発生量が最大になる温度T’でのC2-4ガス発生量V’に基づいて(但し、T’<Tである)、前記相関式からコークス収縮率を推定することを特徴とするコークス収縮率の推定方法。
(3)前記C2-4ガス発生量Vの代わりに、C2-4ガスの発生量を測定した際の前記温度Tから温度TまでのC2-4ガス積算発生量Vに基づいて(但し、T<T≦Tである)、当該石炭の温度Tでのコークス収縮率を推定する(1)又は(2)に記載のコークス収縮率の推定方法。
(4)前記温度Tが、石炭からコークスを得る際の乾留温度である(1)〜(3)のいずれかに記載のコークス収縮率の推定方法。
(5)前記温度Tが前記温度Tである(3)又は(4)に記載のコークス収縮率の推定方法。
(6)前記コークス収縮率は、石炭を入れる容器として、複数の通気孔が設けられた内部細管と外部細管との二重構造を有した試料管を用いて測定されるものであり、該試料管に石炭を装入し、ピストンを載せて所定の昇温速度で加熱しながら、加熱温度に対するピストンの上下変位を計測して、石炭の再固化温度でのピストン高さと温度Tでのピストン高さとに基づき算出されるものである(1)〜(5)のいずれかに記載のコークス収縮率の推定方法。
本発明によれば、いかなる石炭であっても、より簡便に、コークス収縮率を推定することができる。なかでも、事前に、石炭を所定の温度まで加熱した際に発生するC2-4ガス発生量とコークス収縮率との相関式を得ておき、この相関式を利用すれば、コークス収縮率が未知の石炭について、精度良くそれを推定することができるようになる。
このように、汎用的にコークス収縮率を推定することができるようになることで、例えば、石炭を乾留して得られるコークスの粒径や体積破壊の算出(推定)に利用することができて、その精度を高めることができ、コークス強度の予測を含めて、高炉操業の更なる効率化、安定化を図ることができ、非微粘結炭等の比較的安価な石炭の使用が増加している高炉用コークスの製造において極めて有用である。
図1(a)は、コークス収縮率の測定を行う装置(高温ジラトメータ)の全体概要説明図であり、図1(b)は、試料管に試料(石炭)を装入した様子を示す説明図であり、図1(c)は内部細管の平面断面図である。 図2(a)は、コークス収縮率の測定における試料長さと温度との関係を示すものであり、図2(b)は(a)を部分拡大したものである。また、図2(c)は、再固化温度における試料長さを1とし、各温度における相対長さを計算したものであり、図2(d)は、試料長さの温度変化率を示したものである。 図3は、石炭を昇温加熱した際に発生するC2-4ガス及びCHの発生挙動を示すグラフである。 図4は、石炭を昇温加熱した際に発生するC2-4ガスの発生量とコークス収縮率との関係を示すグラフである。 図5は、石炭を昇温加熱した際に発生する炭化水素系ガス(図中のサンプル)及びCH標準ガス(同CH4)のIR吸収スペクトルである。 図6は、石炭を昇温加熱した際に発生するC2-4ガスの発生量と昇温加熱の温度との関係を示すグラフである。 図7は、石炭を昇温加熱してC2-4ガスの発生量が最大になる温度Tと石炭の再固化温度との関係を示すグラフである。 図8は、温度TでのC2-4ガス発生量Vとコークス収縮率との関係を示すグラフである。 図9は、温度Tから温度Tまでに発生したC2-4ガス積算発生量Vとコークス収縮率との関係を示すグラフである。 図10は、温度Tから温度T=1000℃(=T)までに発生したC2-4ガス積算発生量Vとコークス収縮率との関係を示すグラフである。 図11は、C2-4ガスの測定に用いるガスモニタリング装置の全体概要説明図である。 図12は、図11のガスモニタリング装置を使って炭化水素系ガス(HCガス)の発生量を測定する際の昇温速度の影響を調べたものであり、(a)はC2-4ガスの発生量を比較するグラフであり、(b)はCHの発生量を比較するグラフである。 図13は、石炭の揮発分とコークス収縮率との関係を示すグラフである。 図14は、石炭を昇温加熱した際に発生する炭化水素系ガスの発生量とコークス収縮率との関係を示すグラフである。
以下、本発明について詳しく説明する。
先ず、本発明で対象とするコークス収縮率とは、特許文献3で記載する方法によって測定されるものであり、石炭を容器内に入れて石炭の再固化温度以上の温度Tまで加熱し、再固化温度と温度Tとにおける内容物の容積差又は長さ差を再固化温度における容積又は長さで除した値で表される。詳しくは、図1に示した装置(高温ジラトメータ)を用いて、下記のようにしてコークス収縮率を測定することができる。
この装置は、石炭の膨張性を試験する通常のジラトメータよりも高い温度(1300℃)まで昇温が可能であり、また、石炭を入れる容器として、内部細管2と外部細管3との二重構造を有した試料管4を用いたものである。すなわち、ここで用いる装置(高温ジラトメータ)は、この試料管4と、試料管4に装入した石炭1の上に載せるピストン6と、試料管4内の石炭を所定の昇温速度で加熱することができるヒーター7を有した電気炉8と、ピストンの上下変位を計測するレーザー変位計9とを備えている〔図1(a)〕。このうち、内部細管2は、その表面に複数の通気孔5を有しており〔図1(b)、(a)〕、石炭が発生するガスを内部細管2の外に逃がすことができるようになっている。これは、石炭が軟化溶融時に熱分解ガスを発生して大きく膨張すると、ピストン6と内部細管2との隙間に溶融石炭やタールが入り込み、再固化後にピストンの移動が拘束されてしまうことから、内部細管2に通気孔5を設けることで、軟化溶融時のガスを排出して膨張を抑制し、再固化後の収縮を計測できるようにしている。また、外部配管3の上端には蓋10が被せられて、ピストン6の軸ずれを防止するガイドとして作用する〔図1(b)〕。
石炭1を試料管4に装入する際には、熱分解ガスが通過可能な紙等の薄シート11を内部細管2の内側に沿うようにして入れて、所定の粒度に粉砕した石炭を装入し、内部細管2の通気孔5から石炭がこぼれないようにし、試料管4内の石炭を所定の昇温速度で加熱する〔図1(b)〕。そして、加熱温度に対するピストンの上下変位を計測しながら、再固化温度でのピストン高さhと温度Tでのピストン高さh’とから、下記の式(1)により、コークス収縮率R(−)を求めることができる。この際、昇温に起因するピストン6の熱膨張を考慮して、事前にピストン膨張の影響をブランクでの実績値をもとに温度の関数として求めておき、式(1)によるコークス収縮率の算出時に補正を加えるようにしてもよい。
R=(h−h’)/h ・・・(1)
ここで、この測定により石炭を加熱した際の再固化温度を特定するにあたっては、特許文献3で示されているように、温度上昇に伴いピストン変位の挙動が大きく変わり、ピストン高さが急激に低下する温度を再固化温度とすることができる。詳しくは、上記の装置を用いて、ピストン6の位置に基づいて昇温中の石炭1の長さ(又は容積、以下同様)を連続的に計測し、昇温中において、単位温度変化あたりの石炭長さ(以下、試料長さと記す)の変化を算出して長さ変化率として、温度との関係を観察すると、温度400〜550℃程度の領域において、長さ変化率が減少しその後急激に増大する温度が見出せることから、この温度を石炭の再固化温度とすることができる。
図2(a)には、ある銘柄の石炭のコークス収縮率を測定した際の試料長さと温度との関係が示されており、約400℃で石炭は軟化溶融し、その後ピストンが沈下して試料長さが減少している様子が分かる。また、図2(b)は470℃近傍における温度上昇に伴う試料長さ変化を拡大したものであり、470℃を境に試料長さ変動の挙動が大きく変わり、長さが急激に低下していることから、この石炭の再固化温度と特定される。
なお、図2(c)は、再固化温度における試料長さを1とし、各温度における相対長さを計算したものであり、図2(d)は、試料長さの温度変化率を示したものである。この図2(d)に示されるように、単位温度変化あたりの相対長さの変化である収縮係数(-/K)は、再固化直後が最も大きい。また、約700℃には収縮係数の極大値が存在するが、これは水素離脱に伴うものと考えられる。
一方、温度Tについては、石炭の再固化温度以上の温度であれば任意に設定することができる。例えば、JIS M8812:2004で規定する石炭類及びコークス類−工業分析法における灰分定量方法では815℃に加熱し、揮発分定量法では900℃に加熱することなどから、これらを勘案して、好ましくは800℃以上1300℃以下であるのがよい。より好適には、求められたコークス収縮率をコークスの粒径や強度の推定等に利用することから、石炭からコークスを得る際の乾留温度とするのがよく、具体的には900℃以上1100℃以下であるのがよい。
本発明は、上述したコークス収縮率について、図1に示したような装置を使わずに求める(推定する)ようにしたものである。
本発明者らは、コークス(又はセミコークス)の収縮現象は、石炭が軟化溶融し、再固化して生じるものであり、しかも、加熱により再固化した後にコークス(又はセミコークス)の一部がガスとして脱離することにも関係することから、石炭を加熱した際に発生したガスの量やその挙動を調べることで、収縮の現象を捉えることができると考えた。そこで、先ずは、石炭を不活性雰囲気で加熱した際に発生するガスのうち、石炭構造の分解に直接関係すると考えられる炭化水素系ガス(HCガス)の発生量に基づいて、コークス収縮率を推定することを試みた。ところが、これらに有意な相関性は認められなかった。
この理由について検討する上で、石炭を1000℃まで昇温加熱した際に発生する炭素数1の炭化水素系ガス(CH)と炭素数2〜4の炭化水素系ガス(以下、C2-4ガスという)とのそれぞれの発生挙動を調べたところ、図3に示したような結果が得られた。すなわち、C2-4ガスの発生量が最大になるピークに比べて、CHの発生量が最大になるピークは高温側になり、しかも、ガス発生量はCHの方が圧倒的に多い。この点について、CHの発生には炭化水素の2次分解や3次分解等が含まれることから、CHの発生量が石炭の構造をそのまま反映するものではないと推測される。
ちなみに、事前に石英製の炉心管(約80ml)内に設置した石炭試料(約50mg)を窒素ガス流通下で1000℃まで6℃/minで昇温加熱し、発生したガスを赤外分光分析装置に窒素ガスをキャリヤー(100ml/min)として連続して導入すると共に、ガスを分析装置に導入する前段にはタール成分を取り除くフィルターを挿入して、これにより測定される炭化水素成分を調べたところ、炭素数が1〜4までのものがほとんどとなり、代表的には、CH、C、C、C、C、C10である。
そこで、銘柄の異なる石炭(石炭A〜F)を室温から1000℃まで昇温加熱した際に発生するC2-4ガスの全発生量とコークス収縮率との関係を確認したところ、図4に示したように、これらには一応の相関が認められるものの(決定係数R2=0.7812)、従来知られている各石炭の揮発分(VM)とコークス収縮率との相関性とさほど変わらない結果であった。ちなみに、図13に示したグラフが石炭A〜Fの揮発分(VM)とコークス収縮率との関係を示すものである。
ところで、図4に示したような相関性を調べるにあたっては、石炭を1000℃まで昇温加熱した際に発生するHCガスのIR吸収スペクトルは図5のようになり(図中のSample)、CH標準ガスのIR吸収スペクトルと比較すると、赤外線吸収波数2820cm−1〜2880cm−1(C-Hの伸縮振動に起因する吸収域の一部)の吸収波数域では、CH由来の吸収ピーク(赤外線吸収波数2880cm-1〜3180cm-1)をほとんど含まない。そのため、石炭を加熱して発生するHCガスの上記赤外線吸収波数(2820cm-1〜2880cm-1)での吸光度の面積値を求めて、この吸収強度をC2-4ガスの発生量とし、石炭を昇温加熱しながらこのC2-4ガスの発生量を連続測定して、加熱温度とC2-4ガスの発生量との関係を求めた。図6には、このようにして求めた石炭A〜FのC2-4ガスの発生挙動が示されている。なお、図6では300℃から600℃までの範囲を拡大して示しているが、実際には石炭を室温から1000℃まで昇温加熱しながら測定を行った。また、比較のために、CH由来の吸収ピークを含む赤外線吸収波数2820cm−1〜2997cm−1での吸光度の面積値を求めて、炭化水素系ガスの発生量としてコークス収縮率との関係を示したものが図14である。これは、前述のとおり相関性に劣るものであった。
この図6に示された、石炭を昇温加熱した際に発生するC2-4ガスの発生量と昇温加熱の温度との関係を示すグラフによれば、C2-4ガスの発生量が最大になる温度は炭種によって変わるものの、加熱温度に対するC2-4ガスの発生挙動は似たような傾向を示す。そこで、各石炭を上記のような昇温加熱測定して、そのときにC2-4ガスの発生量が最大になる温度Tと、それぞれの石炭の再固化温度との関係を調べたところ、図7に示したように、極めて良好な相関を示すことが分かった。なお、ここで言う石炭の再固化温度は、上述したように、高温ジラトメータを用いてコークス収縮率を測定した際に、試料長さ変動の挙動が変化した温度により求めたものである。
そこで、この知見に基づいて、石炭A〜Fについて、上記のような昇温加熱測定によりC2-4ガスの発生量が最大になる温度TでのC2-4ガス発生量Vとコークス収縮率との関係を調べると、図8に示したようになり(決定係数R2=0.8981)、先の図4で示したC2-4ガスの全発生量とコークス収縮率との関係に比べて、相関性が向上することが分かった。すなわち、石炭を昇温加熱した際に発生するガスのうち、炭素数が2〜4の炭化水素系ガスであるC2-4ガスの発生量を測定して、その発生量が最大になる温度TでのC2-4ガス発生量Vを求めれば(図6には石炭Fの場合のTとVとが示されている)、得られたC2-4ガス発生量Vに基づいて、その石炭の温度Tにおけるコークス収縮率の推定が可能になる(但し、T<Tである)。なお、図4及び図8におけるコークス収縮率は、上述した高温ジラトメータを用いて石炭を室温から1000℃まで昇温加熱して求めたものである。
また、本発明において、好ましくは、上記のような石炭の昇温加熱測定における温度TでのC2-4ガス発生量Vの代わりに、温度Tから温度Tまでの昇温加熱の間に発生したC2-4ガスの積算発生量Vを用いるようにするのがよく(但し、T<T≦Tである)、これにより、その石炭の温度Tでのコークス収縮率の推定の精度をより高めることができるようになる。
すなわち、図9には、図6に示した石炭A〜FのC2-4ガスの発生量と昇温加熱の温度との関係のうち、昇温加熱測定においてそれぞれの石炭のC2-4ガスの発生量が最大になる温度Tから温度T=500℃までに発生した各石炭のC2-4ガス積算発生量Vとコークス収縮率との関係、同じく温度Tから温度T=600℃までに発生した各石炭のC2-4ガス積算発生量Vとコークス収縮率との関係、及び、同じく温度Tから温度T=700℃までに発生した各石炭のC2-4ガス積算発生量Vとコークス収縮率との関係が示されており、いずれも図8に示した、温度TでのC2-4ガス発生量Vを用いた場合よりもコークス収縮率との相関性が向上している(T=500℃での決定係数R2=0.9402、T=600℃での決定係数R2=0.9558、T=700℃での決定係数R2=0.9795)。最も好ましくは、図10に示したように、高温ジラトメータを用いてコークス収縮率を測定する際に再固化温度以上の温度Tまで加熱する温度Tを温度Tとするのがよく(図10の例ではT=T=1000℃)、コークス収縮率との相関性がより向上する(決定係数R2=0.9892)。
本発明において、石炭から生成したコークスの温度Tにおけるコークス収縮率を推定するにあたり、より具体的には、例えば、複数の石炭について上記のような昇温加熱測定により温度TでのC2-4ガス発生量Vをそれぞれ求めて、これらを相対的に比較してコークス収縮率の大小を推定するようにするほか、温度Tにおけるコークス収縮率が既知の複数の試験用石炭について、それぞれ上記温度TでのC2-4ガス発生量Vを求めて、各C2-4ガス発生量Vとコークス収縮率とをグラフにプロットするなどして関係データを取得しておき、温度Tにおけるコークス収縮率が未知の新たな石炭について、そのコークス収縮率を推定するようにしてもよい。
なかでも、好ましくは、温度Tにおけるコークス収縮率が既知の複数の試験用石炭について、上記のようにして、予め、各試験用石炭のC2-4ガス発生量Vとコークス収縮率との相関式を得るようにするのがよい。このようにして求めた相関式は、温度Tでのコークス収縮率が未知である複数の石炭に対して繰り返して利用することが可能であることから、温度Tにおけるコークス収縮率が未知の石炭のC2-4ガスの発生量を昇温加熱しながら測定して、その発生量が最大になる温度T’でのC2-4ガス発生量V’を求めることで、特許文献3に記載されるような装置を用いることなく、いかなる炭種に対しても簡便に、かつ精度良くコークス収縮率を推定することができる。なお、このような相関式を得る際に、上述したようにC2-4ガス発生量Vの代わりに、C2-4ガス積算発生量Vを用いるようにしてもよく、その場合には、コークス収縮率が未知の石炭の温度T’から温度TまでのC2-4ガス積算発生量V’を求めることで、更にその推定精度を高めることができるようになる。
このような相関式を得るにあたって用意する温度Tでのコークス収縮率が既知の試験用石炭については、産地や銘柄が違い、コークス収縮率が異なるものを複数用意するようにすればよく、好ましくは5個以上用意するのがよい。その際、一般にコークス収縮率は10〜18%程度であることから、この数値範囲の上限側と下限側のものを含めるようにするのが望ましい。
また、本発明において、石炭を昇温加熱してC2-4ガスの発生量を測定する手法としては、少なくとも、昇温加熱測定によりC2-4ガスの発生量が最大になる温度Tを求めることができるものであればよく、例えば、加熱開始温度(室温)から加熱終了温度(T)までに発生するガスをガスサンプリングバッグ等に溜め込みながら、マススペクトルやガスクロマトグラフィーによりC2-4ガスを測定するようにすることも可能であるが、好ましくは、その発生量が最大になる温度Tを正確に求めることができるように、上述したように、石炭を昇温加熱しながらIR吸収スペクトルを連続測定できるものであるのがよい。
すなわち、好適には、石炭の乾留反応の解析に用いられるガスモニタリング装置(西藤ら(2010).ガスモニタリングによる石炭の乾留反応の解析とコークス炉発生ガスの連続測定 新日鉄技報 第390号,101-111.)を使って、発生したC2-4ガスを連続的に測定するのがよい。図11には、このガスモニタリング装置の全体概要図が示されており、この装置では、ガス精製器22及び流量計23を通じて不活性ガスである窒素等のキャリアガス21を流しながら、試料(石炭)25が入れられた石英製の炉心管24を管状電気炉26で加熱し、タールトラップ27を介して、発生したガスをコンピュータ30に接続されたフーリエ変換赤外分光装置(FT-IR)29のガス測定用セル28に導入する。このようなガスモニタリング装置であれば、ガスサンプリングバッグ等を用いる必要がなく、石炭を昇温加熱して発生するC2-4ガスを連続的に測定することができる。
また、本発明においては、石炭を所定の昇温速度で昇温加熱してC2-4ガスを測定する際に、実際のコークス炉での操業状態を模した条件となるようにするのが望ましい。一般に、コークス炉での乾留における石炭の昇温速度は3℃/min前後であるが、昇温速度が大きく変わるとガスの発生率が変化する場合もあることから、C2-4ガスを測定する際の昇温速度は、好ましくは3℃/min以上10℃/min以下であるのがよく、より好ましくは3℃/min以上6℃/min以下であるのがよい。高温ジラトメータを用いてコークス収縮率を測定する場合についても同様である。
ちなみに、図12には、図11に示したガスモニタリング装置を使用して、昇温速度3℃/minで石炭を昇温加熱した場合と昇温速度6℃/minで石炭を昇温加熱した場合とでガスの発生挙動を比較したものが示されている。図12(a)はC2-4ガスの発生量を示すものであり、図12(b)はCHの発生量を示すものであり、いずれもガスの発生量や発生パターンに変化はない。また、少なくとも昇温速度が10℃/minの場合でも、ガスの発生量や発生パターンに特段の変化はなく、コークス収縮率の推定に影響はないことを確認した。なお、3℃/minは6℃/minに比べて昇温速度が1/2であり、時間あたりの発生量は1/2になるため、図12のグラフの横軸を加熱温度で整理する際には、いずれもガスの発生量を2倍にしている。
また、本発明において、石炭を昇温加熱してC2-4ガスを測定する際には、室温から加熱を開始してもよいが、一般に炭化水素系ガス(HCガス)の発生はおよそ250℃からはじまることから、作業効率を考慮して、少なくとも200℃を加熱開始温度としても構わない。一方、加熱終了温度としては温度T(好適には乾留温度)まで加熱してもよいが、C2-4ガスの発生量が最大になる温度Tで終了したり、温度Tで終了することでも構わない。
また、本発明の方法により配合に用いる各単味炭のコークス収縮率を求めて、得られた各単味炭のコークス収縮率を配合割合に応じて加重平均して、配合炭のコークス収縮率を推定することもできる。そのため、このようにして求めた配合炭のコークス収縮率をもとに、例えば、先に述べた特許文献3に記載の方法によりコークスの粒径を推定したり、体積破壊やコークス強度の推定に利用すれば、より精度の高い結果を得ることができるようになる。
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの内容に制限されるものではない。
(実施例1)
表1に示した工業分析及び元素分析による性状を有する石炭A〜Fを用意した。ここで、表中の灰分(dry.%)は、JIS M8812の工業分析法に規定される条件で加熱灰化したときに残留する灰の量の質量分率を表し、揮発分(dry.%)は、同じくJIS M8812の工業分析法に規定される揮発分定量方法で求めたものである。
これらの石炭A〜Fについて、図1に示した装置(高温ジラートメータ)を用いて、次のようにして温度T=1000℃でのコークス収縮率を求めた。すなわち、測定に使用した装置の内部細管2は内径8mm、外径14.5mmのSUS製の円筒形容器からなり、直径1mmの孔5が円周方向8箇所、高さ方向に2mm間隔で合計368個設けられている。外部細管3は内部細管2と同心円状に配置されて、外部細管3の材質はSUS、内径は16mm、外径は24mmである。内部細管内には上方からピストン6が装入可能であり、ピストン6の下端部は直径7.5mmを有して、内部細管2に装入された石炭1の上端に接するように配置される。また、ピストン6の上下方向位置はレーザー変位計9により計測することができ、更に、外部細管3の外側にはヒーター7を備えた電気炉により、内部細管2の中に装入した石炭1の温度を1300℃まで加熱可能である。
そして、内部細管2の内周に沿うように厚み約50μmの紙(薄シート)11を装入し、その中に−3mm(3mm以下)に粉砕した石炭を1.25g装入し、ピストン6を載せた上で、ヒーター7により3℃/minの昇温速度で1000℃まで昇温した。その際、ピストン6の位置に基づいて昇温中の石炭1の長さ(試料長さ)を連続的に計測した。また、昇温中に、単位温度変化あたりの試料長さの変化を算出して長さ変化率とし、温度との関係を観察したところ、温度400〜550℃の領域において、長さ変化率が減少しその後急激に増大する温度を見出して、この温度を石炭の再固化温度とした。このような測定を各石炭A〜Fについて行い、それぞれ、先の式(1)に基づいて、1000℃におけるコークス収縮率を求めた。結果は表1に示したとおりである。
また、これらの石炭A〜Fをそれぞれ室温から温度T=1000℃まで加熱した際に発生するC2-4ガスの発生量を図11に示したガスモニタリング装置を用いて、次のようにして測定した。
石英製ボートに乗せた50mgの石炭試料25を約40mlの内容積を有した石英製炉心管24に入れ、管状電気炉26により室温から昇温速度6℃/minで1000℃まで加熱した。その際、ガス精製器22及び流量計23を通じてキャリアガス21として窒素を100ml/min(ガス圧:0.1MPa)の流量で流して、炉心管24内の石炭試料25が一定の窒素気流中にて加熱されるようにした。
石炭試料25から発生したHCガスは、光路長2cmのFT-IRのガス測定用セル28で連続的に測定され(測定間隔は1秒)、その際、赤外線吸収波数2820cm−1〜2880cm−1の吸収波数域を選択して、その吸収波数域での吸光度(面積値)がコンピュータ30に連続的に記録されるようにした。そして、この面積値が上記吸収波数域での吸収強度を示すことから、これをC2-4ガスの発生量として、石炭を昇温加熱してこのC2-4ガスの発生量を連続測定することで、各石炭の加熱温度とC2-4ガスの発生量との関係を求めた。結果は先の図6に示したとおりである。
Figure 2018177885
そして、石炭A〜Fについて、上記で得られた図6より、それぞれC2-4ガスの発生量が最大になる温度T、その温度TでのC2-4ガス発生量V、及び、温度Tから温度T(=1000℃)までのC2-4ガス積算発生量Vを求めて、これらについて、C2-4ガスの発生量が最大になる温度TでのC2-4ガス発生量Vとコークス収縮率との関係を調べたところ先の図8に示したとおりであり、また、温度Tから温度T(=1000℃)までのC2-4ガス積算発生量Vとコークス収縮率との関係は先の図10に示したとおりであった。これらはいずれも良好な相関性を有しており、コークス収縮率をx(横軸)とし、ガス発生量をy(縦軸)とすると、図8は下記式(2)の相関式で表すことができ、図10は下記式(3)の相関式で表すことができる。
y=70.8x+74.4 ・・・(2)
y=0.101x−0.536 ・・・(3)
そこで、下記表2に示した性状を有し、1000℃におけるコークス収縮率が未知の石炭Gについて、上記と同様にして室温から1000℃まで昇温速度6℃/minで加熱したときに発生したC2-4ガスの発生量を測定して、その発生量が最大になる温度T’、その温度T’でのC2-4ガス発生量V’、及び、温度T’から温度T(=1000℃)までのC2-4ガス積算発生量V’を調べたところ、表2に示したとおりであった。そして、上記で得られた図8に係る相関式(2)を用いてコークス収縮率を求めたところ、推定値は14.9%であった。同様に、図10に係る相関式(3)を用いてコークス収縮率を求めたところ、推定値は14.6%であった。
Figure 2018177885
この石炭Gについて、石炭A〜Fのコークス収縮率を測定した先の装置(高温ジラートメータ)を用いて、実際にコークス収縮率を測定したところ、14.6%であった。すなわち、上記で得られた相関式(2)、(3)を用いたいずれに場合にも、実測値に近いコークス収縮率を推定することができ、特に相関式(3)を用いた場合には極めて精度良く推定できることが分かった。
以上のとおり、石炭を昇温加熱した際に発生するガスのうち、炭素数が2〜4の炭化水素系ガスであるC2-4ガスの発生量が最大になる温度TでのC2-4ガス発生量Vは、その石炭の温度Tにおけるコークス収縮率と相関性を有することから、上記のような相関式を算出しないまでも、C2-4ガス発生量Vとコークス収縮率とをグラフにプロットするなどしてさえいれば、そこから、温度Tにおけるコークス収縮率が未知の新たな石炭について、そのコークス収縮率を推定することができる。或いは、例えば、複数の石炭について、それぞれの温度TでのC2-4ガス発生量Vを測定すれば、それらを相対的に比較してコークス収縮率の大小を推定することも可能であり、コークスの粒径や強度の予測に使用するのみならず、高炉用コークスの製造において、様々な利用形態が見込まれる。
1:石炭、2:内部細管、3:外部細管、4:試料管、5:通気孔、6:ピストン、7:ヒーター、8:電気炉、9:レーザー変位計、10:蓋、11:薄シート、21:キャリアガス、22:ガス精製器、23:流量計、24:炉心管、25:試料(石炭)、26:管状電気炉、27:タールトラップ、28:ガス測定用セル、29:フーリエ変換赤外分光装置(FT-IR)、30:コンピュータ。

Claims (6)

  1. 石炭を容器内に入れて石炭の再固化温度以上の温度Tまで加熱し、再固化温度と温度Tとにおける内容物の容積差又は長さ差を再固化温度における容積又は長さで除した値で表される、その石炭から生成したコークスの温度Tにおけるコークス収縮率を推定する方法であって、
    石炭を所定の昇温速度で加熱した際に発生するガスのうち、炭素数が2〜4の炭化水素系ガスであるC2-4ガスを測定して、この昇温加熱測定において発生量が最大になる温度TでのC2-4ガス発生量Vを求めて(但し、T<Tである)、得られたC2-4ガス発生量Vに基づいて、当該石炭の温度Tでのコークス収縮率を推定することを特徴とするコークス収縮率の推定方法。
  2. 石炭を容器内に入れて石炭の再固化温度以上の温度Tまで加熱し、再固化温度と温度Tとにおける内容物の容積差又は長さ差を再固化温度における容積又は長さで除した値で表される、その石炭から生成したコークスの温度Tにおけるコークス収縮率を推定する方法であって、
    予め、温度Tにおけるコークス収縮率が既知の複数の試験用石炭について、石炭を所定の昇温速度で加熱した際に発生するガスのうち、炭素数が2〜4の炭化水素系ガスであるC2-4ガスを測定して、この昇温加熱測定において発生量が最大になる温度TでのC2-4ガス発生量Vをそれぞれ求めて(但し、T<Tである)、各試験用石炭のC2-4ガス発生量Vとコークス収縮率との相関式を得ておき、
    温度Tにおけるコークス収縮率が未知の石炭について、その昇温加熱測定においてC2-4ガスの発生量が最大になる温度T’でのC2-4ガス発生量V’に基づいて(但し、T’<Tである)、前記相関式からコークス収縮率を推定することを特徴とするコークス収縮率の推定方法。
  3. 前記C2-4ガス発生量Vの代わりに、C2-4ガスの発生量を測定した際の前記温度Tから温度TまでのC2-4ガス積算発生量Vに基づいて(但し、T<T≦Tである)、当該石炭の温度Tでのコークス収縮率を推定する請求項1又は2に記載のコークス収縮率の推定方法。
  4. 前記温度Tが、石炭からコークスを得る際の乾留温度である請求項1〜3のいずれかに記載のコークス収縮率の推定方法。
  5. 前記温度Tが前記温度Tである請求項3又は4に記載のコークス収縮率の推定方法。
  6. 前記コークス収縮率は、石炭を入れる容器として、複数の通気孔が設けられた内部細管と外部細管との二重構造を有した試料管を用いて測定されるものであり、該試料管に石炭を装入し、ピストンを載せて所定の昇温速度で加熱しながら、加熱温度に対するピストンの上下変位を計測して、石炭の再固化温度でのピストン高さと温度Tでのピストン高さとに基づき算出されるものである請求項1〜5のいずれかに記載のコークス収縮率の推定方法。
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