JP2018177737A - 医療用フィルム及び医療用貼付剤 - Google Patents
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Abstract
Description
上記ポリウレタン基材は、ポリウレタンを含有するシート状又はフィルム状の部材であれば特に限定されず、他の樹脂や添加剤を含んでいてもよいが、樹脂成分としてはポリウレタンのみを含有するものであることが好ましい。ポリウレタン基材は、シート状又はフィルム状に成形したポリウレタン組成物を熱、湿気、光等によって硬化させることにより得られる。
ポリオール成分としては特に限定されず、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。これらは1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上で併用されてもよい。
ポリイソシアネート成分としては特に限定されず、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等のジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。これらは1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上で併用されてもよい。
上記ポリウレタン組成物は、可塑剤を含有していてもよい。可塑剤を配合すれば、ポリウレタンの硬度を低くすることができるので、基材の柔軟性を高めることができる。
ポリウレタン組成物は、触媒を含有していてもよい。触媒としては、ウレタン化反応に用いられる触媒であれば特に限定されず、例えば、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、ジラウリル酸ジメチル錫、ジブチル錫オキシド、オクタン錫等の有機錫化合物;有機チタン化合物;有機ジルコニウム化合物;カルボン酸錫塩;カルボン酸ビスマス塩;トリエチレンジアミン等のアミン系触媒が挙げられる。
上記貼付薬バリヤ層は、バインダー樹脂としてのポリウレタン、及び、マイカ(雲母)を含有する。バインダー樹脂としてのポリウレタンは、ポリウレタン基材中のポリウレタンと同じものであってもよいし、異なっていてもよいが、熱可塑性ポリウレタン(TPU)が好適である。上記ポリウレタン基材は、柔軟性に優れ、引張り等によって大きく変形させることができるものであるが、貼付薬バリヤ層は、バインダー樹脂として基材と同じポリウレタンを含有するので、ポリウレタン基材への追従性に優れ、界面剥離を生じさせない。
上記粘着剤層として機能する薬剤層12(以下、単に「薬剤層12」ともいう)は、サリチル酸系非ステロイド酸性抗炎症薬、フェニル酢酸系非ステロイド酸性抗炎症薬、プロピオン酸系非ステロイド酸性抗炎症薬、l−メントール、及び、ジフェンヒドラミンからなる群から選択される少なくとも1種の薬剤を含有することが好ましい。サリチル酸系非ステロイド酸性抗炎症薬としては、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、サリチル酸コリン、アセチルサリチル酸(アスピリン)、ジフルニサル、エテンザミド等が挙げられる。フェニル酢酸系非ステロイド酸性抗炎症薬としては、ジクロフェナク(ジクロフェナクNa)、スリンダク、インドメタシン、フェルビナク、エトドラク、トルメチンNa、ナブメトン等が挙げられる。プロピオン酸系非ステロイド酸性抗炎症薬としては、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、フェノブロフェンCa、オキサプロジン、ロキソプロフェンNa、ザルトプロフェン等が挙げられる。
上記粘着剤層21は、薬剤を含有しないこと以外、粘着剤層として機能する薬剤層12と同様の組成であってもよい。
上記薬剤層22は、薬剤を含有する層であれば特に限定されないが、サリチル酸系非ステロイド酸性抗炎症薬、フェニル酢酸系非ステロイド酸性抗炎症薬、プロピオン酸系非ステロイド酸性抗炎症薬、l−メントール、及び、ジフェンヒドラミンからなる群から選択される少なくとも1種の薬剤を含有することが好ましい。
(1)ポリウレタン
PU1:大日精化工業社製「ハイムレンY−210B」(エーテル系ポリウレタン)
PU2:DIC社製「クリスボンASPU−112」(エーテル系ポリウレタン)
PU3:大東樹脂化学社製「1065A−C」(エステル系ポリウレタン)
PU4:日本ミラクトラン社製「E785PSPK」(エステル系ポリウレタン)
マイカ1:白石カルシウム社製「STフィラー ST−501」
マイカ2:片倉コープアグリ社製「ソマシフME−100S」
マイカ3:片倉コープアグリ社製「ソマシフMAE−S」
モンモリロナイト:シグマ アルドリッチ社製「ナノクレイ ナノマーI.30E」
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
IPA:イソプロパノール
トルエン
ケトプロフェン:久光製薬社製「モーラステープ20mg」
フェルビナク:岡山大鵬薬品社製「フェルナビオンテープ35」
フルルビプロフェン:祐徳薬品工業社製「フルルビプロフェンテープ40mg」
ジクロフェナクNa:東和薬品社製「ジクロフェナクNaテープ15mg」
ロキソプロフェンNa:東和薬品社製「ロキソプロフェンNaテープ50mg」
インドメタシン:テイカ製薬社製「アコニップパップ70mg」
l−メントール+サリチル酸グリコール:久光製薬社製「サロンパス−ハイ」
ジフェンヒドラミン:池田模範堂社製「ムヒパッチ」
溶剤型ポリウレタンであるポリウレタンPU1(大日精化工業社製「ハイムレンY−210B」)を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にキャストし、バーコーターで製膜し、乾燥させることにより、厚さ7μmのフィルム状のポリウレタン基材を作製した。
下記表1に示したように変更したことを除いて実施例1と同様にして、実施例2〜6及び比較例1〜5の医療用フィルムをそれぞれ作製した。なお、ポリウレタンPU3(大東樹脂化学社製「1065A−C」)及びPU4(日本ミラクトラン社製「E785PSPK」)は、ペレット状であったため、カレンダー法で成形した。また、ポリウレタン基材に対する分散媒の影響がすべての実施例及び比較例で統一されるように、バリヤ材及びバインダー樹脂の両方が用いられなかった比較例1、3、4についても、ポリウレタン基材上に分散媒のみを塗布し、乾燥させた。
(1)耐貼付薬性試験
実施例1〜6及び比較例2、5の医療用フィルムの貼付薬バリヤ層が形成された面に、各種薬剤を含む貼付剤を貼り付けた。また、比較例1、3、4の医療用フィルムのポリウレタン基材の表面に、各種薬剤を含む貼付剤を貼り付けた。貼付剤を貼り付けた医療用フィルムをアルミニウム製の袋に入れ、袋を密封して60℃の環境下で3週間静置した。3週間の静置後、袋から取り出した試料の貼付剤を剥がし、露出させたフィルムの表面状態を顕微鏡を用いて50倍の倍率で観察した。また、偏光顕微鏡を用いて、直交ニコル下で50倍の倍率で観察することにより、フィルムへの薬剤の吸収や結晶化によって生じる白濁の有無を確認した。
○:試験前後でフィルムの表面状態に変化がなかった
×:試験後にフィルムの表面にシワ、亀裂、変色のいずれかが確認された、又は、直交ニコル下の観察で白濁が確認された
ポリウレタン基材を、自動記録型引張試験機を用いて幅方向に100%伸長させたときの荷重を「100%モジュラス」(単位:MPa)とした。図3は、100%モジュラスの測定方法の説明図である。まず、図3に示すように、ポリウレタン基材14から切り出された試験片51(長さ:180mm、幅:19mm)をチャック52で両側から挟んだ。標線間距離は50mm、チャック間距離は100mmであった。そして、試験片51を、温度23±2℃、引張速度300mm/minの条件下で、長手方向(ポリウレタン基材14の幅方向に相当)に伸長させた。
100%モジュラスを測定する際と同様な方法及び条件にて、ポリウレタン基材を幅方向に伸長させ、破断したときの試験片の伸長率を「伸び」(単位:%)とした。
13 貼付薬バリヤ層
14 ポリウレタン基材
21 粘着剤層
22 薬剤層
51 試験片
52 チャック
Claims (7)
- ポリウレタン基材の片面に貼付薬バリヤ層が設けられた医療用フィルムであって、
前記貼付薬バリヤ層は、バインダー樹脂としてのポリウレタン、及び、マイカを含有することを特徴とする医療用フィルム。 - 前記マイカの含有量は、前記貼付薬バリヤ層の全重量に対して、0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1に記載の医療用フィルム。
- 前記貼付薬バリヤ層の目付量は、0.1〜10g/m2であることを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用フィルム。
- 前記ポリウレタン基材の厚みは、1〜100μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の医療用フィルム。
- 前記ポリウレタン基材の破断伸びは、500%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の医療用フィルム。
- 前記ポリウレタン基材の100%モジュラスは、0.1〜15MPaであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の医療用フィルム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の医療用フィルムと薬剤層とを備える医療用貼付剤であって、
前記医療用貼付剤は、前記ポリウレタン基材、前記貼付薬バリヤ層、及び、前記薬剤層がこの順に設けられた積層構造を有し、
前記薬剤層は、サリチル酸系非ステロイド酸性抗炎症薬、フェニル酢酸系非ステロイド酸性抗炎症薬、プロピオン酸系非ステロイド酸性抗炎症薬、l−メントール、及び、ジフェンヒドラミンからなる群から選択される少なくとも1種の薬剤を含有することを特徴とする医療用貼付剤。
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