JP2018176224A - 鍛造素材 - Google Patents

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Abstract

【課題】潤滑油を適切な状態に塗布できる鍛造素材を提供する。【解決手段】本発明は、型鍛造によって鍛造品1bを成形するためのアルミニウム製の鍛造素材1を対象とする。略円柱状の外観形状を有し、外周面に、内側に凹んだ形態の油溜まり部11が軸心方向に沿って連続して伸びるように形成されている。【選択図】図1

Description

この発明は、型鍛造によって鍛造品を成形する際に用いられるアルミニウム製の鍛造素材およびその関連技術に関する。
なお本明細書および特許請求の範囲において、アルミニウム(Al)の語はアルミニウム合金(Al合金)を含む意味で用いられる。
近年、アルミニウム製の鍛造品は、広範囲で様々な用途に使用されており、用途に応じて多種類の形状が存在するとともに、要求される強度、耐久性、耐熱性等の性質も多岐にわたっている。このため鍛造品の形状の複雑化を来し、鍛造時の成形荷重も高くなる傾向にある。従って鍛造装置として、大型のプレス装置や、高荷重の多段成形が行えるサーボプレス装置の需要が高まっている。
その一方、鍛造品形状の複雑化、つまり金型形状の複雑化に伴い、鍛造不良の発生が懸念されるとともに、成形荷重の増加に伴い、金型寿命の低下も懸念されるところである。
特開2007−118040号 特開2014−213365号
従来の鍛造加工の技術分野においては、鍛造品形状の複雑化を避けて通ることはできないが、鍛造加工性をさらに向上させることによって、鍛造不良の発生や、成形荷重の増加を抑制することができる。鍛造加工性の向上を図るためには、金型や鍛造素材に供給される潤滑油の塗布量が重要となる。例えば潤滑油の塗布量が偏って部分的に不足してしまうと、鍛造時に鍛造素材としての金属材料(アルミニウム)が金型に付着してしまい、鍛造品に焼き付きが発生して鍛造不良(焼き付き不良)が発生するという課題があった。一方、金型内に潤滑油を十分に行き渡らせるために潤滑油の塗布量が多くなると、余剰の潤滑油が金型内で固形化して残留し、その残留した潤滑油が不純物として鍛造品内に打ち込まれてしまい、強度低下等の鍛造不良(打込不良)が発生するという課題があった。
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、型鍛造時に潤滑油を適切な状態に塗布することができ、焼き付き不良や打込不良等の鍛造不良の発生や成形荷重の増加を防止することができる鍛造素材およびその関連技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
[1]型鍛造によって鍛造品を成形するためのアルミニウム製の鍛造素材であって、
略円柱状の外観形状を有し、
外周面に、内側に凹んだ形態の油溜まり部が軸心方向に沿って連続して伸びるように形成されていることを特徴とする鍛造素材。
[2]前記油溜まり部は、径方向の軸に対し直交する平坦面によって構成されている前項1に記載の鍛造素材。
[3]前記油溜まり部が周方向に間隔をおいて複数形成されている前項1または2に記載の鍛造素材。
[4]前記油溜まり部が、軸心を対称軸として線対称の位置に配置されている前項1〜3のいずれか1項に記載の鍛造素材。
[5]前記油溜まり部における径方向の凹み量が、鍛造素材の直径に対し、0.1%〜15%に設定されている前項1〜4のいずれか1項に記載の鍛造素材。
[6]前記油溜まり部における周方向の一端部から他端部までの直線長さである油溜まり部幅が、鍛造素材の直径に対し、1%〜30%に設定されている前項1〜5のいずれか1項に記載の鍛造素材。
[7]軸心に対し直交する平面に沿って切断することによって、型鍛造に用いられるアルミニウム製の鍛造素材を製造可能な断面略円形の鍛造素材用丸棒材であって、
前記丸棒材の外周面における軸心方向に連続して伸びる領域を軸心側に押圧することによって、油溜まり部を形成するための押圧痕を形成するようにしたことを特徴とする鍛造素材用丸棒材。
[8]型鍛造に用いられるアルミニウム製の鍛造素材を製造するための鍛造素材の製造方法であって、
断面略円形の丸棒材を得る工程と、
前記丸棒材の外周面における軸心方向に連続して伸びる領域を内側に押圧して押圧痕を形成する工程と、
前記押圧痕付きの丸棒材を軸心に対し直交する平面に沿って切断することによって、前記押圧痕を油溜まり部とする鍛造素材を得る工程とを含むことを特徴とする鍛造素材の製造方法。
[9]押圧ローラを前記丸棒材の外周面に転がり接触させて前記押圧痕を形成するようにした前項8に記載の鍛造素材の製造方法。
[10]型鍛造に用いられるアルミニウム製の鍛造素材を製造するための鍛造素材の製造装置であって、
断面略円形の丸棒材の外周面における軸心方向に連続して伸びる領域を内側に押圧して押圧痕を形成する押圧痕形成手段と、
前記押圧痕が形成された丸棒材を軸心に対し直交する平面に沿って切断することによって、前記押圧痕を油溜まり部とする鍛造素材を得る切断手段とを備えることを特徴とする鍛造素材の製造装置。
[11]前記押圧痕形成手段は、前記丸棒材の外周面に転がり接触して前記押圧痕を形成する押圧ローラを備える前項10に記載の鍛造素材の製造装置。
[12]前記押圧痕形成装置は、ピーリング装置によって構成され、
前記ピーリング装置は、軸心方向に沿って搬送される丸棒材の外周面を切削する切削刃を有する切削機と、前記切削機本体の上流側および下流側にそれぞれ設けられ、かつ前記丸棒材の外周面に転がり接触して切削前後の前記丸棒材をそれぞれ支持する上流側支持ローラおよび下流側支持ローラとを備え、
前記下流側支持ローラによって前記押圧ローラが構成されている前項11に記載の鍛造素材の製造装置。
発明[1]の鍛造素材によれば、外周面に油溜まり部を形成しているため、鍛造加工時に潤滑油を適切な状態に塗布することができ、金型内に満遍なく均等に塗布することができる。このため潤滑油の部分的な不足による焼き付きを防止できるとともに、余剰の潤滑油が不純物として鍛造品に打ち込まれることによる打込不良も防止することができる。さらに潤滑油を適切な状態に塗布できるため、塑性加工を効率良くスムーズに行うことができ、鍛造荷重を低減することができる。
発明[2]の鍛造素材によれば、油溜まり部を平坦面に形成しているため、より一層塑性加工を効率良くスムーズに行うことができ、より一層鍛造荷重を低減することができる。
発明[3]〜[6]の鍛造素材によれば、上記の効果をより一層確実に得ることができる。
発明[7]の鍛造素材用丸棒材によれば、上記の効果を奏する鍛造素材を確実に得ることができる。
発明[8][9]の鍛造素材の製造方法によれば、上記の効果を奏する鍛造素材を確実に製造することができる。
発明[10]〜[12]の鍛造素材の製造装置によれば、上記の効果を奏する鍛造素材を確実に製造することができる。
図1はこの発明の実施形態である鍛造素材を示す平面図である。 図2は実施形態の鍛造素材を示す斜視図である。 図3は図1の一点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す平面図である。 図4は実施形態の鍛造素材の製造装置としての機能するピーリング装置を示す斜視図である。 図5は実施形態の鍛造素材を使用可能な鍛造装置を示すブロック図である。 図6は実施形態の鍛造素材において鍛造開始直後から終了直後までの成形途中の状態を説明するための模式図、図(a)は成形開始前の状態の模式図、図(b)は成形開始直後の状態の模式図、図(c)は成形完了直前の状態の模式図、図(d)は成形完了時点の状態の模式図である。
図1〜図3はこの発明の実施形態である鍛造素材を示す図である。これらの図に示すように本実施形態の鍛造素材1は、型鍛造によって鍛造加工を行って鍛造品を成形する際に用いられる。この鍛造素材1は、アルミニウムによって構成されており、略円柱状の外観形状を有している。
この鍛造素材1の外周面には、周方向に沿って所定間隔おきに6つの平坦な油溜まり部11が形成されている。各油溜まり部11は、軸心方向の全域にわたって連続して伸びるように配置されている。なお図2においては、発明の理解を容易にするため、鍛造素材1における油溜まり部11が形成されている領域にハッチングを施している。
ここで本実施形態においては、鍛造素材1の外周面における油溜まり部11が未形成の領域に沿うように配置される仮想の円周面を基準円周面Sと規定している。さらに本実施形態においては、鍛造素材1の直径(2r)という場合、油溜まり部11が形成されていない部分の径方向の寸法に相当し、これは基準円周面Sの直径に相当するものである。
本実施形態においては、各油溜まり部11は、基準円周面Sから内側(軸心側)に凹まされて押圧変形した形態の平坦面に形成されている。各油溜まり部11を構成する各平坦面は、軸心Xに対し直交する径方向軸に対し直交するように配置されている。
また本実施形態において、6つの油溜まり部11は、軸心Xを対称軸として線対称の位置にそれぞれ配置されている。換言すると、図1に示す平面視の状態では、6つの油溜まり部11は、軸心Xを対称点として点対称の位置にそれぞれ配置されている。
ここで図1および図3に示すように本実施形態の鍛造素材1においては平面視の状態で、油溜まり部11の周方向の一端部(一側縁)から他端部(他側縁)までの直線距離(油溜まり部幅)Wを、鍛造素材1の直径(2r)に対し、1%〜30%に設定するのが良く、より好ましくは3%〜20%に設定するのが良い。さらに鍛造素材1に形成される油溜まり部11の数(油溜まり部数)を、1〜9に設定するのが良く、より好ましくは3〜6に設定するのが良い。すなわち油溜まり部幅Wや油溜まり部数が上記特定の範囲に含まれる場合には、後述するように鍛造素材1を用いて型鍛造を行った際に、潤滑油を適切な状態に塗布することができ、鍛造不良の発生や成形荷重の増加を抑制することができる。換言すると油溜まり部幅Wや油溜まり部数が上記特定の範囲を逸脱する場合には、型鍛造を行った際に、潤滑油を適切な状態に塗布することが困難になり、鍛造不良の発生や成形荷重の増加を来す可能性が高くなるおそれがある。
また図1および図3に示すように本実施形態の鍛造素材1においては平面視の状態で、油溜まり部11における基準円周面Sからの径方向に沿った凹み量としての油溜まり部深さD(最深部)を、基準円周面(鍛造素材1)の直径(2r)に対し0.1%〜15%に設定するのが良い。すなわち油溜まり部深さDが上記特定の範囲に含まれる場合には、後述するように鍛造素材1を用いて型鍛造を行った際に、潤滑油を適切な状態に塗布することができ、鍛造不良の発生や成形荷重の増加を抑制することができる。換言すると油溜まり部深さDが上記特定の範囲を逸脱する場合には、型鍛造を行った際に、潤滑油を適切な状態に塗布することが困難になり、鍛造不良の発生や成形荷重の増加を来すおそれがある。
具体例を挙げて説明すると、直径φ74mmの鍛造素材1においては、周方向に等間隔おきに6つの油溜まり部11を形成するとともに、油溜まり部幅Wを1mm〜8mm、油溜まり深さDを0.01mm〜0.3mmに設定するのが好ましい。
次に本実施形態における鍛造素材1の製造方法について説明する。本実施形態の鍛造素材1は、連続鋳造等によって得られた断面円形のアルミニウム製丸棒材に対しピーリング加工を行い、その後切断することによって得られるものであり、ピーリング加工時に表面を切削するとともに、以下に説明するように外周面に油溜まり部11に相当する押圧痕を形成するものである。
図4はこの発明の実施形態である鍛造素材1の製造装置としてのピーリング装置を概略的に示す斜視図である。同図に示すように、このピーリング装置は、上流側ローラ支持機2と、下流側ローラ支持機3と、切削機4とを備えている。
切削機4には、搬送ライン上に搬送されるワークとしてのアルミニウム製丸棒材1aの外周面に沿って、周方向に等間隔おきに複数の切削刃41が設けられている。この切削刃41を回転させつつ、丸棒材を搬送ラインに沿って搬送することにより、丸棒材1aの外周面が切削刃41によって切削除去されるようになっている。
上流側ローラ支持機2および下流側ローラ支持機3には、丸棒材1aの外周面に沿って周方向に等間隔おきにそれぞれ6つの上流側支持ローラ21および下流側支持ローラ31が設けられている。両ローラ支持機2,3の各支持ローラ21,31は、搬送ラインに沿って搬送される丸棒材1aの外周面に転がり接触するように構成されている。各支持ローラ21,31は、ガイドローラを兼用するものであり、これらの支持ローラ21,31によって丸棒材1aが搬送ライン上に位置精度良く支持された状態で搬送されるようになっている。
本実施形態のピーリング装置においては、切削機4によって表面が切削された丸棒材1aが下流側支持ローラ21によって支持されつつ搬出されるものであるが、その搬出時に下流側支持ローラ21によって丸棒材1aの外周面が適度な圧力で押し込まれ、これにより丸棒材1aの外周面に押圧痕(ローラ痕)11aが形成される。この押圧痕11aは、上記油溜まり部11に相当するものであり、丸棒材1aの外周面に軸心方向に連続して延び、かつ周方向に等間隔おきに6本形成されている。なお図4においては、発明の理解を容易にするため、丸棒材1aにおける押圧痕11aが形成されている領域にハッチングを施している。
ここで本実施形態においては、下流側支持ローラ21によって、丸棒材1aの外周面における所要領域を軸心側に押圧して押圧痕11aを形成するための押圧痕形成装置として機能するものである。
また本実施形態においては、切削機4によって表面切削された丸棒材(切削済丸棒材)1aにおいて、下流側支持ローラ21によって押圧される前の状態、つまり押圧痕11aが形成されていない切削済の丸棒材1aは、その外周断面が略真円形状に形成されており、外周面が上記基準円周面Sに相当するものである。
続いて押圧痕11aが形成された丸棒材1aを、図示しない切断装置によって、軸心に対し直交する平面に沿って切断することによって、押圧痕11aを油溜まり部11とする略円柱状の上記鍛造素材1が製作されるものである。
ここで本実施形態においては、ピーリング装置および切断装置によって鍛造素材の製造装置が構成されている。さらにピーリング装置の下流側支持ローラ31によって押圧痕形成手段が構成されるとともに、上記切断装置によって切断手段が構成されている。
次に本実施形態の鍛造素材1に対し、型鍛造を行って鍛造品を成形する場合について説明する。
図5は実施形態の鍛造素材1を用いて型鍛造を行うことができる鍛造装置を概略的に示す正面断面図である。同図に示すように、この鍛造装置は、ダイス5と、パンチ6とを備えている。
ダイス5は、軸心方向に沿って上下に貫通する貫通孔を有する略円筒状(略リング状)のリングブロック51と、リングブロック51の貫通孔内にリングブロック51に対し昇降自在に取り付けられるボトムブロック55とを備えている。本実施形態においては、リングブロック51の貫通孔内周面と、降下状態のボトムブロック55の上面(底面)とによって成形凹部(キャビティ)50が構成されるものである。またボトムブロック55はノック部材を兼用しており、成形後にリングブロック51に対し上昇することによって成形品(鍛造品)をダイス5の上方に突き出すことができるようになっている。
パンチ6は、パンチホルダー61に支持されており、水平断面形状がダイス5の成形凹部50の水平断面形状に対応して円形に形成されている。さらにパンチ6はダイス5の成形凹部50に対し軸心を一致させた状態で昇降駆動できるようになっており、ダイス5の成形凹部50内に所定の荷重で打ち込むことができるようになっている。
以上の構成の鍛造装置を用いて本実施形態の鍛造素材1に対し鍛造加工を行って鍛造品を成形するには、鍛造装置のダイス5の成形凹部50内に鍛造素材1を投入する。なおダイス5の成形凹部50の内周面、パンチ6の外周面、鍛造素材1の外周面には潤滑油を塗布しておく。
この状態でパンチ6をダイス5の成形凹部50内に打ち込んで鍛造素材1を所定の荷重で加圧して、鍛造素材1を塑性変形させつつ成形凹部50内に充填するように型鍛造を行って、鍛造品を成形する。
この鍛造加工において図6(a)に示すようにパンチ6が鍛造素材1に打ち込まれる直前の状態(成形開始前の状態)では、鍛造素材1の外周面に潤滑油7が付着されており、特に油溜まり部11に十分な潤滑油7が保持されている。またダイス(金型)5の成形凹部50の内周面にも潤滑油7は付着されているが、成形凹部50の内周面全域に満遍なく均等に付着されることはなく、多少、偏った状態に付着されている。
次に図6(b)に示すようにパンチ6が鍛造素材1に打ち込まれて成形が開始された直後の状態では、鍛造素材1が塑性変形を開始し、油溜まり部11が変形するとともに、油溜まり部11に保持された潤滑油7もダイス5の内周面に近付くように変形していく。
続いて図6(c)に示すように成形が完了する直前の状態では、鍛造素材1の外周がダイス5の内周面に近付いていき、油溜まり部11の潤滑油7がダイス5の内周面に接触してその内周面に沿って周方向に均等に拡がっていく。
そして図6(d)に示すように成形が完了した時点の状態では、潤滑油7がダイス5の内周面と、塑性変形した鍛造素材1(鍛造品1b)の外周面との間の全周に満遍なく均等に行き渡ることになる。
こうして成形が完了して鍛造品1bが成形された後は、パンチ6が上昇してから、ダイス5のボトムブロック55がリングブロック51に対し上昇することによって、ダイス5から鍛造品1bが突き出されて排出される。
以上のように本実施形態においては、鍛造素材1の外周面に油溜まり部11を形成しているため、鍛造加工時に鍛造素材1と金型(ダイス5)との間の全域に満遍なく均等に潤滑油7を塗布することができ、潤滑油7が部分的に不足するような不具合を防止することができる。このため潤滑油7の不足による焼き付きを防止でき、鍛造不良が発生するのを防止することができる。
さらに潤滑油7を金型内周面全域に満遍なく均等に塗布することができるため、潤滑油7を十分に行き渡らせるために潤滑油7を多量に供給する必要がない。つまり潤滑油7の塗布量を減少させることができ、余剰の潤滑油7が金型内に残存するような不具合を防止することができる。このため余剰の潤滑油が固形化して金型内に残留し、その残留した固形の潤滑油7が不純物として鍛造品1b内に打ち込まれるという打込不良を防止することができる。従って打込不良(不純物の混入)による鍛造品1bの強度低下等の鍛造不良の発生も防止することができる。
また本実施形態においては、鍛造素材1の外周面に平坦な油溜まり部11を形成しているため、鍛造素材1の表面積を減少させることができる。このため鍛造素材1の塑性加工を効率良くスムーズに行うことができ、成形荷重を低減させることができる。従って低荷重での型鍛造を実現でき、鍛造装置の小型コンパクト化を図ることができるとともに、鍛造加工時に金型への負荷を軽減でき、金型寿命の長期化を図ることができ、ひいては生産コストの削減を図ることができる。
さらに本実施形態においては、油溜まり部11の形成によって、潤滑油7を金型内の全域に満遍なく付着させることができるため、この点においても、塑性加工を効率良くスムーズに行うことができ、より一層成形荷重を低減させることができる。従って、鍛造装置の小型コンパクト化、金型寿命の長期化、および生産コストの削減等をより確実に図ることができる。
また本実施形態においては、6つの油溜まり部11を鍛造素材1の外周面に周方向に等間隔おきに形成するとともに、油溜まり部11を軸心Xを対称軸として線対称の位置に配置しているため、潤滑油7をダイス5内により一層均等に行き渡らせることができ、潤滑油7の過不足等の不具合をより一層確実に防止できるとともに、成形荷重をなお一層低減することができる。
なお上記実施形態においては、ピーリング加工時に油溜まり部11に相当する押圧痕11aを形成するようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、ピーリング加工以外の工程で、油溜まり部11を形成するようにしても良い。例えば油溜まり部11を形成するための専用の工程を別途設けるようにしても良い。
また上記実施形態においては、油溜まり部11に相当する押圧痕11aを、支持ローラ31(ガイドローラも含む)によって形成する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、駆動力によって主動回転して丸棒材等を搬送するようにした搬送ローラ等によって押圧痕等の油溜まり部を形成するようにしても良い。さらに本発明においては、ローラ以外の押圧手段によって、鍛造素材や丸棒材等の外周面を押圧して、押圧痕等の油溜まり部を形成するようにしても良い。
さらに上記実施形態においては、油溜まり部11としての押圧痕11aを形成した丸棒材を切断することによって、油溜まり部付きの鍛造素材を作製するようにしているが、それだけに限られず、油溜まり部に相当する部位(押圧痕等)が未形成の丸棒材を切断して、油溜まり部が形成されない鍛造素材を作製した後、その鍛造素材の外周面に油溜まり部を形成するようにしても良い。
また上記実施形態においては、油溜まり部11を平坦な面によって形成する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、鍛造素材の外周面に形成される油溜まり部を、基準円周面の半径よりも大きい半径の凸面形状に形成したり、平坦面よりも内側(軸心側)に凹んだ凹面形状に形成するようにして良い。要は、基準円周面よりも内側に凹んだ形態であれば、どのような形状のものでも、油溜まり部として採用することができる。
また上記実施形態においては、鍛造素材1として円柱状のものを用いているが、それだけに限られず、本発明においては、鍛造素材として楕円断面の楕円柱状のものや、長円断面の長円柱状のものも採用することができる。
また上記実施形態においては、鍛造素材1に油溜まり部11を6つ形成する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、鍛造素材1に油溜まり部11を5つ以下、または7つ以上形成するようにしても良い。
<実施例>
上記実施形態と同様なピーリング装置(図4参照)を用いて、Al−Si系合金製の丸棒材1aを製造した。この際、下流側支持ローラの丸棒材1aに対する押圧力を調整して、丸棒材1aの外周面に周方向に等間隔おきに6つの押圧痕11aを長さ方向(軸心方向)に沿って連続するように形成した。
こうして得られた押圧痕11a付きの丸棒材1aを軸心に対し直交する平面で切断して、図1〜図3に示すような押圧痕11aを油溜まり部11とする鍛造素材1を作製した。この鍛造素材1の直径φ(基準円周面Sの直径)は74mmであり、厚さ(軸心方向の長さ)は50mmである。さらにこの鍛造素材1においては6つの油溜まり部11が周方向に等間隔おきに配置されており、各油溜まり部幅Wは4mm、深さDは0.4mmである。
<比較例>
押圧痕11a(油溜まり部11)を形成しない点を除き、上記実施例と同様に鍛造素材を作製した。
<鍛造加工性の評価>
Figure 2018176224
上記実施形態と同様な鍛造装置(図5参照)によって、上記実施例および比較例の鍛造素材に対しそれぞれ鍛造加工(据込加工)を行って、直径φ83mm、厚さ(軸心方向の長さ)39.6mmの円柱状ないし円盤状の鍛造品を100個作製した。この鍛造加工においては、鍛造素材の温度を400℃±50℃、金型温度を200℃±80℃に設定した。また潤滑油としては、主に油性潤滑油を使用し、一部に水性潤滑油を使用した。さらに潤滑油の塗布方法としては、回転スプレー方式を採用した。
この条件で鍛造加工を行ったところ表1に示すように、油溜まり部(ローラ痕)を有する実施例の鍛造素材を用いた鍛造加工においては、部分的な潤滑油不足に起因する焼き付き不良が1度も発生せず、余剰潤滑油の残留に起因する打込不良も発生しなかった。さらに鍛造荷重も200tであった。
これに対し、油溜まり部(ローラ痕)が無い比較例の鍛造素材を用いた鍛造加工においては、100個のうち1個の鍛造品に焼き付き不良が発生し、2個の鍛造品に打込不良が発生した。さらに鍛造荷重も205tと実施例に比べて荷重が大きかった。
以上の評価結果から明らかなように、本発明に関連した実施例の鍛造素材を用いて鍛造加工を行った場合、焼き付き不良や打込不良の発生を確実に防止でき、さらに鍛造荷重も低荷重に抑制することができた。従って潤滑油の塗布の具合や量を適正に調整でき、潤滑油を適切な状態に塗布できているのが判る。
これに対し、本発明の要旨を逸脱する比較例の鍛造素材を用いて鍛造加工を行った場合、焼き付き不良や打込不良が発生する場合があり、さらに鍛造荷重も大きくなった。従って潤滑油の塗布の具合や量をうまく調整できず、潤滑油を適切な状態に塗布することが困難であるのが判る。
この発明の鍛造素材は、型鍛造によって鍛造品を製作する際に好適に用いることができる。
1:鍛造素材
1a:丸棒材
1b:鍛造品
11:油溜まり部
11a:押圧痕
21:上流側支持ローラ
31:下流側支持ローラ
4:切削機
41:切削刃
D:油溜まり部の深さ
W:油溜まり部の幅
X:軸心

Claims (12)

  1. 型鍛造によって鍛造品を成形するためのアルミニウム製の鍛造素材であって、
    略円柱状の外観形状を有し、
    外周面に、内側に凹んだ形態の油溜まり部が軸心方向に沿って連続して伸びるように形成されていることを特徴とする鍛造素材。
  2. 前記油溜まり部は、径方向の軸に対し直交する平坦面によって構成されている請求項1に記載の鍛造素材。
  3. 前記油溜まり部が周方向に間隔をおいて複数形成されている請求項1または2に記載の鍛造素材。
  4. 前記油溜まり部が、軸心を対称軸として線対称の位置に配置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の鍛造素材。
  5. 前記油溜まり部における径方向の凹み量が、鍛造素材の直径に対し、0.1%〜15%に設定されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の鍛造素材。
  6. 前記油溜まり部における周方向の一端部から他端部までの直線長さである油溜まり部幅が、鍛造素材の直径に対し、1%〜30%に設定されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の鍛造素材。
  7. 軸心に対し直交する平面に沿って切断することによって、型鍛造に用いられるアルミニウム製の鍛造素材を製造可能な断面略円形の鍛造素材用丸棒材であって、
    前記丸棒材の外周面における軸心方向に連続して伸びる領域を軸心側に押圧することによって、油溜まり部を形成するための押圧痕を形成するようにしたことを特徴とする鍛造素材用丸棒材。
  8. 型鍛造に用いられるアルミニウム製の鍛造素材を製造するための鍛造素材の製造方法であって、
    断面略円形の丸棒材を得る工程と、
    前記丸棒材の外周面における軸心方向に連続して伸びる領域を内側に押圧して押圧痕を形成する工程と、
    前記押圧痕付きの丸棒材を軸心に対し直交する平面に沿って切断することによって、前記押圧痕を油溜まり部とする鍛造素材を得る工程とを含むことを特徴とする鍛造素材の製造方法。
  9. 押圧ローラを前記丸棒材の外周面に転がり接触させて前記押圧痕を形成するようにした請求項8に記載の鍛造素材の製造方法。
  10. 型鍛造に用いられるアルミニウム製の鍛造素材を製造するための鍛造素材の製造装置であって、
    断面略円形の丸棒材の外周面における軸心方向に連続して伸びる領域を内側に押圧して押圧痕を形成する押圧痕形成手段と、
    前記押圧痕が形成された丸棒材を軸心に対し直交する平面に沿って切断することによって、前記押圧痕を油溜まり部とする鍛造素材を得る切断手段とを備えることを特徴とする鍛造素材の製造装置。
  11. 前記押圧痕形成手段は、前記丸棒材の外周面に転がり接触して前記押圧痕を形成する押圧ローラを備える請求項10に記載の鍛造素材の製造装置。
  12. 前記押圧痕形成装置は、ピーリング装置によって構成され、
    前記ピーリング装置は、軸心方向に沿って搬送される丸棒材の外周面を切削する切削刃を有する切削機と、前記切削機本体の上流側および下流側にそれぞれ設けられ、かつ前記丸棒材の外周面に転がり接触して切削前後の前記丸棒材をそれぞれ支持する上流側支持ローラおよび下流側支持ローラとを備え、
    前記下流側支持ローラによって前記押圧ローラが構成されている請求項11に記載の鍛造素材の製造装置。
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