JP2019051526A - 鍛造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工程数を短縮し、酸化やスケールや脱炭層の発生などを抑制し、切削加工を減らして歩留まり及び生産効率を向上させ、大型の熱間鍛造装置を必要としない大形のヘリカルギヤの中間体の温間鍛造方法を提供する。
【解決手段】中央パンチ1とリングパンチ2からなる上型10と、ダイ3とノックアウト4からなる下型20とを備え、中央パンチ1はスライド201に固定されて動き、リングパンチ2は圧力制御する油圧シリンダ5を備え、中央パンチの押圧面とリングパンチの押圧面とを同じ高さ位置にして素材Wを押圧し、コーナー部に欠肉がある状態で据え込み加工を完了させる第1ステップと、リングパンチに作用していた油圧を低下させた後に後方押し出しを開始し、押し出された素材の上面とリングパンチとの接触により荷重が急激に上昇する直前で後方押し出し加工を完了する第2ステップとにより中間体を得る。
【選択図】図4

Description

本発明は、大形のヘリカルギヤの中間体等の鍛造方法に関する。
「ヘリカルギヤ(はすば歯車)」とは、回転軸に対して歯筋が螺旋状に傾斜した歯車をいう。ヘリカルギヤを製造する方法として、切削工具を利用してギヤを切削加工する方法と、塑性加工によりギヤを成形する方法とがある。ヘリカルギヤの切削加工では専用の歯切り機械を必要とする。一般にはホブ盤による歯切り加工の後、シェービング盤によって仕上げ加工が行われるが、加工時間が長時間となり効率が悪く、加工コストも高くなる傾向にある。塑性加工には代表的なものとして転造加工と鍛造加工とがあり、鍛造加工は転造加工に比べて高圧力を付加させて成形することが可能なため、短時間に加工が完了する。
鍛造加工は、温度別に大別すると冷間鍛造と熱間鍛造と温間鍛造との3つ分けることができる。「冷間鍛造」は、常温に近い温度での変形加工であり材料の変形抵抗が高いため、成形形状や、大きさに限界がある。金型や製品に割れ(クラック)が生じる可能性が高くなるため、大型部品や複雑な形状の加工では、熱間鍛造や温間鍛造が利用される場合が多い。「熱間鍛造」は、一般には1000〜1250℃での鍛造加工を指す。熱間鍛造では鍛造材料が加工後に再結晶して軟化するため可鍛性が失われないという特徴がある。「温間鍛造」は、熱間鍛造と冷間鍛造の中間領域にある鍛造加工であり、材料を200〜1000℃まで加熱する鍛造加工を指す。温間鍛造では、熱間鍛造では得られない高い形状精度の鍛造加工品を得ることができる。また冷間鍛造と比較すると変形抵抗が比較的小さく延性が大きいため、冷間鍛造では成形できない複雑な形状の製品や大形の形状の製品、また高炭素鋼などの難成形材であっても成形が可能である。
大形のヘリカルギヤが歯車として使用されるものに、ファイナルギヤ(最終減速ギヤ)がある。トランスミッションで変速されたエンジン回転は、デファレンシャルギヤの外周に取り付けられたこの大形のヘリカルギヤにより最終的に減速されてタイヤに伝わるためファイナルギヤと呼ばれている。従来、ファイナルギヤ等の大形のヘリカルギヤは、加熱温度1100〜1200℃程度の熱間鍛造で、2500トン〜3000トンクラスの鍛造プレスを使って4〜5工程(トリム・ピアスを含む)の工程を経て歯切り前の中間体を得ていた。中間体は、その後別工程で専用の歯切り機械によって歯切り加工されることで最終加工品となる。
例えば、特許文献1には、鍛造加工により、カップ部と、該カップ部の外側壁から突出した大径部とを一体的に有する成形体を得る方法が開示されている。鍛造加工装置30は、ワーク16の円柱部12を上端面側から押圧するパンチ40と、該ワーク16のフランジ部14の上端面に当接するリングパンチ42とを有する。パンチ40とリングパンチ42は、個別に昇降変位することが可能である。リングパンチ42は、フランジ部14の肉がパンチ40による押圧方向と逆方向に流動する間、該フランジ部14に対する当接を維持しながら、該フランジ部14から離間する方向に変位する。
特許文献1では、歯切り前の中間体を得るまでに多くの工程数を必要としている。まず出発素材であるビレット10に対し、予備加熱、潤滑剤塗布、本加熱等を行った後、据え込み加工を行い、円柱部12と、該円柱部12の一端部に設けられて該円柱部よりも大径なフランジ部14とを有する第1次中間体としてのワーク16が成形される(段落0034,0035)。次に、このワーク16を、上下反転させた状態で鍛造加工装置30のキャビティ32に収容し、後方押出し加工を行う。すなわち、円柱部12の肉を押圧方向とは逆方向に流動させつつ、該円柱部12に有底穴18を形成する。この際、フランジ部14の肉も、押圧方向とは逆方向に流動する。その結果、円柱部12から設けられたカップ部20と、フランジ部14から設けられた大径部22とを有する第2次中間体としての成形体24が得られるに至る(段落0036)。得られた成形体24に対し、必要に応じ、球状化焼鈍処理、ショットブラスト処理及び潤滑皮膜形成処理等を施す。さらに、この成形体24に対してしごき加工を行い、等速ジョイントのアウタ部材の形状に仕上げる(段落0076)。以上の工程により歯切り直前の中間体を得ることができる。そして、大径部22の側周壁に対して歯部を刻設することにより、最終製品としてのアウタ部材が得られるに至る(段落0077)。
また特許文献1では、据え込み加工により第1次中間体のワーク16を成形する方法について詳細な工程の開示はなく、円柱部12とフランジ部14とを成形する過程で酸化やスケールや脱炭層の発生などが生じ得る。また後方押出し加工により第2次中間体の成形体24を成形する場合においても鍛造温度が不明であり酸化やスケールや脱炭層の発生などが生じ得る。
特開2014−172075号公報
上述のように、歯切り加工をするための中間体を熱間鍛造加工により得た後に、歯切り機械により歯切り加工を行うことで最終加工品を得る従来の方法では、歯切り直前の中間体を得るまでに少なくとも4〜5工程は工程数が必要なため、工程数の短縮が求められていた。一般に、従来の工程には、第1工程としてスケールを取るためのディスケール工程、第2工程として据え込み工程、第3工程として後方押し出し工程、第4工程として打ち抜き工程、第5工程として矯正工程があった。
また従来、得られた中間体は専用の歯切り機械によって加工されているが、鍛造プレスによる歯形成形と比較すると生産性が低い。また熱間鍛造で成形する場合、酸化やスケールや脱炭層の発生などにより歯切り前の素材形状にするには多くの切削加工が行われるため歩留まりが悪いことが問題となっていた。また上述のように工程数が多く鍛造に必要な荷重の合計値が大きいため、加工設備も2500〜3000トンクラスの大型の熱間鍛造装置を必要としていた。
このような実情に鑑みて、本発明の目的は、素材(出発素材)から最終加工品を得るまでの工程数を短縮した大形(大型)のヘリカルギヤの中間体(素形材)の温間鍛造方法を提供することを目的とする。また歯切り加工により最終加工品を得る方法と比較して生産効率を改善することを目的とする。また熱間鍛造で成形する場合に生じていた、酸化やスケールや脱炭層の発生などを抑制し、歯切り前の素材形状にする際の切削加工を減らして歩留まりを向上させることを目的とする。また加工設備も2500〜3000トンクラスの大型の熱間鍛造装置を必要としない鍛造方法を提供することを目的とする。
本願発明者は上記問題を解決するため、歯切り加工をするための中間体を熱間鍛造加工により得た後に、歯切り加工を行うことで最終加工品を得る従来の方法に代えて、それらの工程を全て温間鍛造加工により行うとともに、各工程のステップを見直すこととした。すなわち、ステップを見直した最初の温間鍛造工程によって中間体を得る。そして後工程で、得られた中間体の外周に歯形を温間鍛造成形することで最終加工品を得る方法により、上述の問題を解決できることを見出した。なお、本発明では温間鍛造により得られた中間体のうち、後工程で温間鍛造によって歯形が成形されて最終加工品となる中間体を、特に素形材と呼ぶ。従って本発明は素形材を得る鍛造装置及び方法とも言える。
本発明の鍛造方法は、中央パンチとリングパンチからなる上型と、ダイとノックアウトからなる下型とを備え、前記中央パンチはスライドに固定されて動き、前記リングパンチは圧力制御する油圧シリンダを備え、中央パンチの押圧面とリングパンチの押圧面とを同じ高さ位置にして素材を押圧し、コーナー部に欠肉がある状態で据え込み加工を完了させる第1ステップと、前記リングパンチに作用していた油圧を低下させた後に後方押し出しを開始し、押し出された前記素材の上面と前記リングパンチとの接触により荷重が急激に上昇する直前で後方押し出し加工を完了する第2ステップとにより中間体を得ることを特徴とする。
本発明において「中間体」とは素材が最終加工品になるまでにとり得る中間素材、中間加工品を指す。なお後方押し出し加工を完了した段階ではカップ状素材であり、別工程で底部の打ち抜きを行うことで、矩形断面のリング素材を得ることができる。本発明の中間体とは、このカップ状素材とリング状素材のどちらも含む。「コーナー部」とは、図9に示すように、リングパンチ2とダイ3とによって生じる隅の部分3aや、ダイ3とノックアウト4によって生じる隅の部分3bを指す。あるいは、据え込み加工が完了して略円柱となった素材における上面の縁や下面の縁、ならびにその周辺部を指しても良い。「コーナー部に欠肉がある状態」とは、据え込み加工が完了した時点でリングパンチ2とダイ3とによって生じる隅の部分3aや、ダイ3とノックアウト4によって生じる隅部分3bに隙間が生じており、素材Wが完全な円柱とはなっておらず、例えば素材Wの上面の縁や下面の縁が丸みを帯びる等して引け(欠肉)が生じている状態を指す(図9)。本発明において「一工程」とは1つの金型を用いて1ストローク(1往復)で行い得る加工を指す。本発明では一工程中の加工動作をさらに細分化したものをステップと呼ぶ。本発明において「荷重が急激に上昇する直前」とは、必ずしも限定はされないが、例えば金型を破損することなく維持できる適切な荷重(限界荷重)に対し2倍以上又は3倍以上の荷重となる直前を指す。
本発明によれば、中間体(素形材)を得る工程のステップを見直すことで工程の短縮化を図った。仮に加工時に中央パンチかリングパンチのいずれか一方で素材を押圧してしまった場合、素材に不均一な圧力がかかり、押圧された箇所から押圧されていない箇所へ素材が流動する。そのため例えば素材の一部が巻き込むようにして盛り上がった形状となるため、素材の巻き込みを矯正するのに大きな加圧力を必要とし、最終加工品に巻き込みや形状不良等の欠陥が発生しやすい。中央パンチの押圧面とリングパンチの押圧面とを同じ高さ位置にして素材を押圧することで据え込み加工時に均等に変形させることができ、そのような事態を避けることができる。また中央パンチの押圧面とリングパンチの押圧面とを同じ高さ位置とすることで、カップ状の中間体(素形材)の縁の厚み(カップの辺縁部の厚み)が厚くなった場合でも、素材の巻き込みが抑制されるとともに、コーナー部の欠肉が生じにくくなるため、大きな加工荷重を必要とすることなく加工を完了させることができる。
また本発明によれば、コーナー部に欠肉がある状態で据え込み加工を完了させるため、外周部の拘束が始まった後、荷重が急激に上昇する直前に据え込み加工が完了する。そのため例えばφ190(直径190mm)程度の据え込み加工であれば、加工荷重約550トンで加工が可能である。また押し出された前記素材の上面と前記リングパンチとの接触により荷重が急激に上昇する直前で後方押し出し加工を完了する。そのため例えば内径がφ140(直径140mm)程度の後方押し出し加工では、加工荷重約850トンで加工が可能である。そのため加工設備として3000トンクラス以上の大型の熱間鍛造装置を必要とせず、1000〜1200トンクラスの温間鍛造装置で素材(出発素材)から加工品を得ることが可能である。
本発明の鍛造方法は、前記第2ステップは、前記リングパンチに作用していた油圧を逃がして前記リングパンチを上昇させるか、及び/又は前記リングパンチに作用していた油圧を作動させない状態で前記リングパンチを自由に上昇できる状態にして、前記リングパンチに作用していた前記油圧を低下させた後に後方押し出しを開始することを特徴とする。
また本発明の鍛造方法は、前記第2ステップは、前記リングパンチに作用していた油圧を作動させない状態で前記リングパンチを自由に上昇できる状態にして、前記リングパンチに作用していた前記油圧を低下させた後に後方押し出しを開始し、前記押し出された前記素材の上面と前記リングパンチとを接触させたまま後方押し出しを行い、押し出された前記素材の上面からの圧力により前記リングパンチを上昇させ、前記リングパンチの上死点において荷重が急激に上昇する直前で前記後方押し出し加工を完了させることによりカップ状の中間体を得ることを特徴とする。
本発明によれば、上述のステップを踏むことで、別工程で底部の打ち抜きを行えば容易に矩形断面のリング状の素形材を得ることができ、工程の短縮化を図ることができる。また据え込み加工開始から後方押し出し加工完了までリングパンチを素材上端部に接触させ続けることで、カップ状の素形材の縁の厚み(カップの辺縁部の厚み)が厚くなった場合でも、素形材の巻き込みが抑制されるともに、コーナー部の欠肉が生じにくくなるため、大きな加工荷重を必要とすることなく加工を完了させることができる。またリングパンチに作動していた油圧(背圧)がゼロになった後に後方押し出しを開始することで、より小さな加工荷重で成形することが可能となる。なおリングパンチに作動する油圧を幾らか残しておくことで、据え込み加工時に生じた素形材の巻き込み(変形)を、後方押し出し加工時にリングパンチで直す効果を得ることもできる。
本発明の鍛造方法は、前記中間体を温間鍛造によって得た後に、得られた中間体の外周に歯形を温間鍛造成形することで最終加工品を得ることを特徴とする。
このような中間体を本発明では素形材と呼ぶ。すなわち本発明において「素形材」とは温間鍛造により得られた中間体の一つであり、後の温間鍛造工程で外周に歯形が鍛造成形される中間体を指す。言い換えれば、本発明の鍛造方法は素形材を得ることを特徴とする。
本発明の中間体が素形材として使用されることで、1000トン〜1200トン程度の温間鍛造装置のみを使用して出発素材から最終加工品までの工程数を3工程で終えることができる。
本発明によれば、素材(出発素材)から加工品を得るまでの過程を温間鍛造で行うため酸化やスケールや脱炭層の発生などを抑制することができる。また後の温間鍛造成形によって素形材の外周に歯形を形成するため切削加工をする必要がなく歩留まりを向上させることができる。また加工設備として熱間鍛造装置を必要とせず、温間鍛造装置で素材から最終加工品を得ることが可能である。
本発明の鍛造方法は、前記素材は、ファイナルギヤ等の大形のヘリカルギヤを成形するための素材であることを特徴とする。
本発明によれば、ファイナルギヤ等の大形のヘリカルギヤであっても、熱間鍛造装置や歯切り機械を使用することなく、1000〜1200トンクラスの温間鍛造装置で、従来よりも工程を短縮化して素材(出発素材)から最終加工品を得ることが可能である。
本発明によれば、出発素材から最終加工品を得るまでの工程数を短縮した大形のヘリカルギヤの温間鍛造方法を提供することができる。また歯切り加工により最終加工品を得る方法と比較して生産効率を改善することができる。また熱間鍛造で成形する場合に生じる、酸化やスケールや脱炭層の発生などを抑制し、歯切り前の素材形状にする際の切削加工を減らして歩留まりを向上させることができる。また加工設備も2500〜3000トンクラスの大型の熱間鍛造装置を必要としない鍛造方法を提供することができる。
上記実施形態における成形前の鍛造装置を示す構造図である。 上記実施形態における据え込み加工完了時の鍛造装置を示す構造図である。 上記実施形態における据え込み加工完了後にリングパンチを上昇させた状態の鍛造装置を示す構造図である。 本発明の実施形態における後方押し出し加工完了時の鍛造装置を側面から示す構造図である。 上記実施の形態の鍛造加工方法を示すステップ図である。 上記実施形態における成形前の鍛造装置を示す要部拡大図(a)及び荷重ストローク曲線(b)である。 上記実施形態における据え込み加工完了時の鍛造装置を示す要部拡大図(a)及び荷重ストローク曲線(b)である。 上記実施形態における据え込み加工完了時にリングパンチを上昇させた状態の鍛造装置を示す要部拡大図(a)及び荷重ストローク曲線(b)である。 上記実施形態における後方押し出し加工完了時の鍛造装置を示す要部拡大図(a)及び荷重ストローク曲線(b)である。 上記実施形態における後方押し出し加工完了後さらに素材に負荷をかけた場合の鍛造装置を示す要部拡大図(a)及び荷重ストローク曲線(b)である。 上記実施形態の比較例として中間体の別の鍛造加工方法を説明する図である。 上記実施形態の比較例として中間体の別の鍛造加工方法を説明する図である。 上記実施形態の比較例として中間体の別の鍛造加工方法を説明する図である。 上記実施形態の比較例として中間体の別の鍛造加工方法を説明する図である。 上記実施形態の比較例として中間体の別の鍛造加工方法を説明する図である。 上記実施形態の比較例として中間体の別の鍛造加工方法を説明する図である。
本発明を実施するための最良の形態を以下に説明する。
(鍛造装置100の構成)
図1は、本発明の実施の形態を適用した鍛造装置100を側面から示す構造図である。素材Wをセットした状態を示しており、素材W成形前の鍛造装置である。図1を用いて、本実施の形態の鍛造装置100の構成を説明する。
本実施形態の鍛造装置100は、中央パンチ1とリングパンチ2からなる上型10と、ダイ3とノックアウト4からなる下型20とを備える。中央パンチ1は上型ホルダ11に固定され、上型ホルダ11はスライド201に固定される(図1)。リングパンチ2は圧力制御によりリングパンチ2の上昇及び下降動作を制御する油圧シリンダ5を備える。鍛造装置100の中央上方に位置する中央パンチ1はリングパンチ2に内嵌され、上型スリーブ12によりリングパンチ2の外側部が固定保持される。上型10及び上型スリーブ12を固定する上型ホルダ11はダイセットに内蔵されてプレス機200のスライド201に取り付けられる。下型20は上型10に対向配置され下型ホルダ21に固定されており、下型スリーブ22によりダイ3の外側部が固定保持されている。下型20及び下型スリーブ21を固定する下型ホルダ21はダイセットに内蔵されてプレス機200のボルスタ202に取り付けられる。ノックアウト4はノックアウトピン203の上部に接続する。本実施の形態の鍛造装置100は、円柱形状の素材Wから中間体であるカップ形状の機械部品を成形する。特に後工程で大形のヘリカルギヤを温間鍛造で製造する過程で必要な中間体、すなわち素形材を製造する。
本実施の形態では、素材(出発素材)Wは、ファイナルギヤ等の大形のヘリカルギヤを成形するために使用されるが、素材の材質や形状や大きさ等は特に限定はされない。例えば材質としてはSCMやSCR等の機械構造用合金鋼などの金属素材が考えられ、形状としては円柱形状が好適である。最終加工品となる大形のヘリカルギヤは、例えば外径が約200mm(φ200)程度のファイナルギヤである。製品寸法の一例は、歯部外径210mm程度、歯底径190mm程度、歯部内径140mm〜150mm程度、内径110mm程度、歯部厚み35mm程度、フランジ厚15mm程度が想定される。
中央パンチ1の先端部は長い円柱形状であって、中央パンチ1はリングパンチ2に内嵌されるとともに、鍛造装置100の中心軸線上に下向きに配されている。リングパンチ2は内周面に中央パンチ1が挿入された構成をとり、中央パンチ1とリングパンチ2とはダイ5の内周面に挿入可能であり摺動自在とされる。また中央パンチ1を不動状態としたまま、リングパンチ2を上型ホルダ11とともに油圧シリンダ5の油圧制御によって上下動させることも可能である。ノックアウト4は鍛造装置100の中心軸線上であってダイ3の内部に上向きに配されている。ノックアウトピン203は素材Wの成形完了した後に、BKO(ベッドノックアウト)を施すために使用される。ノックアウトピン203は中央パンチ1に対向配置されるともに、ノックアウト4の下方に位置してダイ3に内嵌されている。
(鍛造装置100の動作)
図2は、本実施形態における据え込み加工完了時の鍛造装置を示す構造図である。図3は、本実施形態における据え込み加工完了後にリングパンチを上昇させた状態の鍛造装置を示す構造図である。図4は、本発明の実施形態における後方押し出し加工完了時の鍛造装置を側面から示す構造図である。図1〜4を用いて、本実施の形態の鍛造装置100の動作構成の概略を説明する。
鍛造装置100のスライド201は上昇及び下降動作可能とされている(図1→図2→図4)。中央パンチ1やリングパンチ2を備える上型10は上型ホルダ11に固定され、上型ホルダ11はスライド201に取り付けられているため、これらはスライド201と一体的に上昇及び下降動作が可能である(図1→図2)。すなわち中央パンチ1やリングパンチ2はスライドの上下動により上昇及び下降動作し、素材Wを上方から押圧可能である(図2)。またリングパンチ2は油圧シリンダ5の油圧制御によって中央パンチ1や上型ホルダ11に対して上下に摺動する(図2、図3)。この時、中央パンチ1の外周部がリングパンチ2の内周部に摺接しながら上昇又は下降動作する。したがって中央パンチ1は素材Wの上面中央部を押圧可能であり、リングパンチ2は素材Wの上面外周部を押圧可能である(図3→図4)。このように中央パンチ1とリングパンチ2は一体的に素材Wを押圧可能であるし(図1→図2)、互いに独立して素材Wを押圧することも可能である(図3→図4)。ノックアウト4の下方には素形材を突き上げるためのノックアウトピン203が配されており(図4)、ノックアウトピン203を上昇させることによってノックアウト4を上昇させてノックアウト4の上部で素形材の下部を押圧し、素形材をノックアウトさせることが可能である(不図示)。したがって鍛造装置100の動作中、ダイ3とノックアウト4とは不動状態で下型ホルダ20及びボルスタ202に保持することもできるし(図1→図2→図3→図4)、ダイ3は不動状態のままとしてノックアウト4とノックアウトピン203とを一体的に上下動作させることもできる(不図示)。
(鍛造方法)
図5は、本実施の形態の鍛造加工方法を示すステップ図である。本実施の形態の鍛造方法を説明する。
本実施の形態の鍛造方法は、中央パンチ1とリングパンチ2からなる上型10と、ダイ3とノックアウト4からなる下型20とを備え、中央パンチ1はスライド201に固定されて動き、リングパンチ2は圧力制御する油圧シリンダ5を備えた、1000トン〜1200トンクラス程度の温間鍛造装置100が使用される(図1)。ダイ3とノックアウト4によって形成されたキャビティ内に素材Wを配置(S0)した後に(図5)、中央パンチ1の押圧面1aとリングパンチ2の押圧面1aとを同じ高さ位置にして素材を押圧し、コーナー部に欠肉がある状態で据え込み加工を完了させる第1ステップ(S1)と、リングパンチに作用していた油圧を低下させた後に後方押し出しを開始し、押し出された素材Wの上面とリングパンチとの接触により荷重が急激に上昇する直前で後方押し出し加工を完了する第2ステップ(S2)とにより中間体(素形材)を得る(図5)。そしてノックアウト4でノックアウトする第3ステップにより素形材を取り出す(S3)。第1ステップから第3ステップまでの一連のステップは、一工程中の連続する加工動作であり、1つの金型(ダイセット)を用いて行われる。本実施の形態の鍛造方法では950℃以下の温間温度領域に加熱しながら矩形断面の円柱形状素材を一工程で成形加工するものであり、別工程でフランジに穴の打ち抜きをするピアス加工工程(Z1)を含めると、二工程でリング状の中間体の製造が可能である。好ましくはピアス加工工程の後に、温間鍛造による歯形成形工程(Z2)を行う。この鍛造方法により1000トン〜1200トンクラス程度の温間鍛造装置のみを使用して出発素材から最終加工品までを三工程で終えることができる(図5)。
図6は、本実施形態における成形前の鍛造装置を示す要部拡大図(a)及び荷重ストローク曲線(b)である。図7は、本実施形態における据え込み加工完了時の鍛造装置を示す要部拡大図(a)及び荷重ストローク曲線(b)であり、押し出された素材Wの側面がダイ3と接触した直前又は直後の状態である。図8は、本実施形態における据え込み加工完了時にリングパンチを上昇させた状態の鍛造装置を示す要部拡大図(a)及び荷重ストローク曲線(b)である。図9は、本実施形態における後方押し出し加工完了時の鍛造装置を示す要部拡大図(a)及び荷重ストローク曲線(b)である。図10は、本実施形態における後方押し出し加工完了後、素材Wにさらに負荷を1100トン程度までかけた場合の鍛造装置を示す要部拡大図(a)及び荷重ストローク曲線(b)である。なお、図6(a)、図7(a)は要部として中央パンチ1、リングパンチ2、ダイ3、ノックアウト4、及び素材Wを拡大図示している。そして図8(a)、図9(a)、及び図10(a)は図6(a)、図7(a)で示した要部拡大図に関し中心軸から右側の部分(中央パンチ1、リングパンチ2、ダイ3、ノックアウト4、及び素材Wに正対して中心軸から右側の部分)を示している。
中央パンチ1はその下部で素材Wの上面Waや上面中央Wbを押圧して成形加工を施すために使用される(図6,7)。中央パンチ1の下面1aは、据え込み加工のステップでは素材Wの上面Waや上面中央Wbを成形加工するために用い(図6,7)、後方押し出し加工のステップでは素材Wの上面中央Wbを押圧して(図8)、カップ形状の中間体Pの内部底Pbを成形するために用いる(図9)。中央パンチ1の下部外周面1bは、後方押し出し加工のステップでカップ形状の中間体Pの辺縁部Pcの内周面を成形するために使用される(図9)。
リングパンチ2は、据え込み加工のステップでは、その下部で素材Wの上面外縁部Wcを押圧するために使用される(図7)。中央パンチ1の下面であって素材Wを押圧する押圧面1aと、リングパンチ2の下面であって素材Wを押圧する押圧面2aとは同じ高さ位置にすることができる(図7)。すなわち中央パンチ1の押圧面1aと、リングパンチ2の押圧面2aとは、同一平面上に配置されて、一体的に一つの面を形成することができる。リングパンチ2は、カップ状の中間体(素形材)を得る後方押し出し加工のステップでは、カップ状の中間体Pの辺縁部Pc(カップの縁)を上方から押圧してカップ辺縁部Pcの上面を成形するために使用される(図9)。リングパンチ2は油圧制御されており中央パンチ1に対して半独立した構成となっているため、図9に示すように中央パンチ1の押圧面1aと、リングパンチ2の押圧面2aとは異なる高さ位置とすることもできる。すなわち中央に位置する押圧面1aと外周に位置する押圧面2aとは異なる高さ位置の平面上に配されて、縦断面で見た場合に凹状または凸状となった高さ位置の異なる押圧面とすることもできる。
ダイ3は、素材Wの外周を成形するために使用される(図7〜10)。中央パンチ1の外径とダイ3の内径の差により、カップ状の中間体Pの辺縁部Pcの厚みが生じる(図9)。ノックアウト4は素材Wの底部を成形するために使用される(図7〜10)。
次に、本実施形態の鍛造方法の各ステップの説明を行う。以下の説明では、鍛造に必要と想定される負荷(トン)を平易に説明するために、シミュレーションによって得た荷重ストローク曲線を用いるが、本発明はこのシミュレーション結果で得られた数値に限定されることはない。
第1ステップは、据え込み加工のステップである(図5)。第1ステップでは、まずプレス機200のスライド201を下降させることで、スライド201に取り付けられるとともに中央パンチ1及びリングパンチ2を備えた上型10を、ダイ3及びノックアウト4を備えた下型20に近づける(図1→図2)。リングパンチ2は油圧シリンダ4によって油圧制御され下死点で維持されており(図1)、中央パンチ1の押圧面1aとリングパンチ2の押圧面2aとは同一平面上にある。このようにして、中央パンチ1の押圧面1aとリングパンチ2の押圧面2aとを同じ高さ位置にして素材Wを押圧して、素材を横方向へ流動させながら平坦にする(図6→7)。シミュレーションでは、開始時の素材Wへの負荷は150トン程度である(図6(b))。そしてリングパンチ2とダイ3とによって生じるコーナー部3aや、ダイ3とノックアウト4によって生じるコーナー部3bに僅かに隙間がある状態で据え込み加工を完了させる(図7)。すなわち素材Wは通常の据え込み加工と同じく、素材Wの上面の縁(角)や下面の縁が丸みを帯びた状態となっている。シミュレーションでは、据え込み加工完了時の素材Wへの負荷は500トン程度である(図7(b))。
第1ステップでは、押圧面1aと押圧面2aとを同一平面として押圧している。このことにより、素材Wに巻き込みが生じず、素材Wの上面外縁部Wcを平坦な状態とすることができ、後方押し出し加工のステップ時に、巻き込み等の形状不良に起因する過剰な負荷を抑制することができる。
また第1ステップの据え込み加工では、図7に示すように、押し出された素材Wの側面がダイ3と接触すると(図7(a))、抵抗が増大するため、それ以上押圧しようとすると荷重が急激に上昇する(図7(b))。したがって、押し出された素材Wの側面がダイ3と接触する直前か直後に据え込み加工のステップを完了させることで、荷重が急激に上昇する直前に据え込み加工のステップを完了させることができる。
第2ステップは、後方押し出し加工のステップである(図5)。第2ステップでは、リングパンチ2に作用していた油圧を逃がしてリングパンチ2を上昇させるか、及び/又はリングパンチ2に作用していた油圧を作動させない状態でリングパンチ2を自由に上昇できる状態にして、リングパンチ2に作用していた前記油圧を低下させた後に後方押し出しを開始する(図8〜10)。すなわち第2ステップは、以下に示す2つの方法のいずれか一方から選択することができる。
1つ目の第2ステップの方法は、据え込み加工完了後(図7)、リングパンチ2に作用していた油圧を逃がしてリングパンチ2を上昇させ(図8)、リングパンチ2に作用していた油圧を低下させた後に後方押し出しを開始する。中央パンチ1及びリングパンチ2が下降すると、リングパンチ2の上死点において、リングパンチ2の押圧面2aと、カップ形状の中間体Pの外縁部Pcとが接触する直前及び/または直後に荷重が急激に上昇するが、この荷重が急激に上昇する直前で前記後方押し出し加工を完了させることによりカップ状の中間体を得る。
シミュレーションでは、リングパンチ2の下面2aに、カップ形状の中間体Pの辺縁部Pcの上面が接触する直前又は直後まで(図9(a))、素材Wへの負荷は500トン〜700トン程度である(図9(b))。そして素材Wには従来発生していた巻き込みが生じていないため、辺縁部Pcの上面は既に形が整った状態にある。そのためリングパンチ2の下面2aに辺縁部Pcの上面が接触する時点において、リングパンチ2と中間体Pとの間で生じる欠肉部3aは従来の方法と比較すると著しく減少している。また素材Wには巻き込みが生じていないため、従来の方法と比較すると圧力抵抗が低くなり、リングパンチ2の下面2aに辺縁部Pcの上面が接触した後に押圧した場合も、負荷上昇は緩やかなものとなる(図9(b)→図10(b))。したがって1200トン以下の負荷で大形のファイナルギヤの中間体を成形することができる(図9、図10)。なお別工程では温間鍛造により歯形成形をすることで、素材の僅かな欠肉を減少させることができ、最終加工品の加工精度を高めることができる。
2つ目の第2ステップの方法は、据え込み加工完了後(図7)、リングパンチ2に作用していた油圧を作動させない状態でリングパンチ2を自由に上昇できる状態にして、リングパンチ2に作用していた油圧を低下させた後に後方押し出しを開始し(見かけ上は図7と同じ状態)、押し出された素材Wの上面とリングパンチ2とを接触させたまま後方押し出しを行い、押し出された素材Wの上面からの圧力によりリングパンチ2を上昇させ、リングパンチの上死点において荷重が急激に上昇する直前で前記後方押し出し加工を完了させることによりカップ状の中間体を得る(図7→図9)。すなわち2つ目の第2ステップの方法では、据え込み加工開始から後方押し出し加工完了までリングパンチ2は素材Wに接触し続けたままであるが、リングパンチ2に作用していた油圧を低下させたことと、後方押し出し加工による上方への圧力によって、中央パンチ1に対してリングパンチ2が自然に上方へ相対移動することとなる。なお第2ステップでは、リングパンチに作動していた油圧がゼロになった後に後方押し出しを開始しても良いし、リングパンチに作動していた油圧をある程度残した状態で後方押し出しを開始しても良い。
2つ目の第2ステップの方法の場合、据え込み加工開始から後方押し出し加工完了までリングパンチ2は素材Wに接触し続けたままであるため、据え込み加工完了時点からリングパンチ2の自重により素材Wの上面外縁部Wcに負荷がかかり、カップ形状の中間体Pの外縁部Pcが成形されるまで上方から負荷がかかり続ける。そのため1つ目の第2ステップの方法と比較してさらに、図9で示した、リングパンチ2と中間体Pとの間で生じる欠肉部3aや、ダイ3やノックアウト4と中間体Pとの間で生じる欠肉部3bを減少させることができる。
第3ステップでは、図4に示したノックアウトピン203を用いる。第2ステップで得られた中間体Pをノックアウトピン203を上昇させてノックアウト4の上部で中間体Pの下部を押圧することで、中間体Pをノックアウトさせる(不図示)。
その後、別工程でフランジ部分に穴の打ち抜きを行うことで、ピアス加工の施されたリング状の中間体を得る(不図示)。
本実施の形態で、以上のようにして温間鍛造によって中間体を得た後に、得られた中間体の外周に歯形を温間鍛造成形することで最終加工品を得ることが望ましい。このような中間体を本発明では素形材と呼ぶが、本発明の中間体が素形材として使用されることで、例えば外径がφ200(直径200mm)程度の中間体を得る場合、1000トン〜1200トンクラス程度の温間鍛造装置のみを使用して出発素材から最終加工品までの工程数を3工程で終えることができる。
(比較例)
図11〜図16は本実施形態の比較例を説明する図であり、比較例では別の鍛造加工方法により、従来は二工程であった据え込み工程及び後方押し出し工程を一工程に短縮化して中間体を得る。
図11〜図16の(a)は上方に位置するパンチAと下方に位置したダイBとを側方から見た断面図であり、パンチAとダイBは中心軸から左側半分だけを示した要部拡大図である。図11〜図16の(b)は荷重ストローク曲線である。
比較例の方法では内周部A1と外周部A2とが一つの部材から構成されたパンチであって、パンチAの内周部A1が外周部A2に比べて突出したものを使用し、押圧することで(図11)、一工程に短縮化する。すなわち内周部A1と外周部A2とのどちらか一方を上下動させることはできない(図11)。この場合、パンチAを下降動作させると内周部A1のみが素材Wの中央を押圧するため、素材Wの外周部A2には先端部が鋭く尖った形状の大きな巻き込みC1(盛り上がり)が生じる(図11)。またダイBと素材Wとの間、またはパンチAと素材Wとの間に容易に欠肉部D(隙間)が生じる(図11〜図13)。その後、パンチAの外周部A2によって素材Wの巻き込みC1を上から押圧して、カップ状中間体の縁となる辺縁部上面を平らにするともに、欠肉部Dを小さくする(図12→図13→図14→図15→図16)。この加工方法では、巻き込みC1が大きくかつ巻き込みC1の先端部が鋭く尖った形状となっているため、後方押し出し加工のステップで素材Wの巻き込みC1の先端部を押圧する際に急激かつ過剰な負荷がかかる。外径がφ200(直径200mm)の中間体を得ることを想定したシミュレーション解析の結果では、巻き込みC1の側面がダイBの内周面B2に接触時点で負荷は300〜350トン程度であるが(図11)、巻き込みC1の側面の成形が行われることで負荷が500〜600トン程度まで上昇し(図12)、巻き込みC1の先端部がパンチの外周部A2に接触した時点からさらに急激に負荷が増す(図12→図13→図14→図15→図16)。この時、1000トン程度の負荷(図14)から1200トン程度の負荷(図15)では辺縁部上面は平らにならず、欠肉部Dも多く存在する。カップ状中間体の縁となる辺縁部上面を平らにするには、少なくとも1800トン以上の負荷を必要とし、(図16)この場合であっても幾らか欠肉部Dが残存する。なおその後の工程では、歯形を成形加工するため欠肉部Dはなるべく少なくした方が良い。そのため比較例の方法では2500トン程度の負荷を必要とし、鍛造装置が大型化しコストが増大する。
以上のように本発明を説明してきたが、本発明は温間鍛造によって中間体を得た後に歯切り加工工程によって中間体に歯形を成形加工してもよく、本発明の中間体は、温間鍛造による歯形成形に必ずしも限定されるものではない。欠肉部の残存により歯切り加工によって歯形を成形することが困難な場合には、温間鍛造成形により歯形を成形することで、その圧力により中間体に残存する欠肉部を減少させて最終加工品を得ることができる。以上本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
100 鍛造装置、
1 中央パンチ、
2 リングパンチ、
3 ダイ、
4 ノックアウト、
5 油圧シリンダ、
10 上型、
11 上型ホルダ、
12 上型スリーブ、
20 下型、
21 下型ホルダ、
22 下型スリーブ、
201 スライド、
202 ボルスタ、
203 ノックアウトピン、
W 素材、
P 中間体


Claims (5)

  1. 中央パンチとリングパンチからなる上型と、ダイとノックアウトからなる下型とを備え、前記中央パンチはスライドに固定されて動き、前記リングパンチは圧力制御する油圧シリンダを備え、中央パンチの押圧面とリングパンチの押圧面とを同じ高さ位置にして素材を押圧し、コーナー部に欠肉がある状態で据え込み加工を完了させる第1ステップと、前記リングパンチに作用していた油圧を低下させた後に後方押し出しを開始し、押し出された前記素材の上面と前記リングパンチとの接触により荷重が急激に上昇する直前で後方押し出し加工を完了する第2ステップとにより中間体を得ることを特徴とする鍛造方法。
  2. 前記第2ステップは、前記リングパンチに作用していた油圧を逃がして前記リングパンチを上昇させるか、及び/又は前記リングパンチに作用していた油圧を作動させない状態で前記リングパンチを自由に上昇できる状態にして、前記リングパンチに作用していた前記油圧を低下させた後に後方押し出しを開始することを特徴とする請求項1記載の鍛造方法。
  3. 前記第2ステップは、前記リングパンチに作用していた油圧を作動させない状態で前記リングパンチを自由に上昇できる状態にして、前記リングパンチに作用していた前記油圧を低下させた後に後方押し出しを開始し、前記押し出された前記素材の上面と前記リングパンチとを接触させたまま後方押し出しを行い、押し出された前記素材の上面からの圧力により前記リングパンチを上昇させ、前記リングパンチの上死点において荷重が急激に上昇する直前で前記後方押し出し加工を完了させることによりカップ状の中間体を得ることを特徴とする請求項1又は2記載の鍛造方法。
  4. 前記中間体を温間鍛造によって得た後に、得られた中間体の外周に歯形を温間鍛造成形することで最終加工品を得ることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の鍛造方法。
  5. 前記素材は、ファイナルギヤ等の大形のヘリカルギヤを成形するための素材であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の鍛造方法。







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