この発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
実施の形態1.
図1から図9は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1は空気清浄装置の斜視図、図2は空気清浄装置の縦断面図、図3は状態(a)、(b)を示す図2中の要部拡大図、図4は空気清浄装置が備える第2のセンサの構造を模式的に示す断面図、図5は第2のセンサが備える各受光素子の配置及び配光視野角を示す斜視図、図6は第2のセンサの回転動作(a)、(b)、(c)を示す説明図、図7は空気清浄装置の制御系統の構成を示すブロック図、図8は空気清浄装置の動作の一例を説明する図、図9は空気清浄装置の動作の流れの一例を示すフロー図である。
この発明の実施の形態1に係る空気清浄装置1は、図1、2に示すように例えば床面設置型の空気清浄機である。空気清浄装置1は、ケーシング2、台座3、吸込口4、吹出口5、送風装置6、風路7、清浄化装置8、可動ルーバ9、ルーバ駆動部10、開口可変機構11、開口駆動部12、整流機構13、水平回転機構15等を備えている。
ケーシング2は、例えば略四角形の角筒状に形成されている。ケーシング2は、部屋の床面に設置される台座3により水平方向に回転可能な状態で支持されている。ケーシング2の内部空間のうち、吸込口4から吹出口5に至る空間には、図2に示すように、清浄化装置8、送風装置6及び風路7が上流から下流に向けて順に配置されている。
なお、以下の説明では、ケーシング2の側面部のうち、主として室内の空間に面して配置される部分を正面部という。また、ケーシング2の側面部のうち、正面部と反対側の部分を背面部という。そして、ケーシング2の正面部が面した方向を前方という。また、前方から見たケーシング2の左右両側に対応する方向を左右方向という。さらに、場合によっては鉛直方向を上下方向という。
空気清浄装置1は、部屋のいずれかの壁に近い位置で床面上に設置される。そして、空気清浄装置1は、ケーシング2の背面部を壁面に向け、ケーシング2の正面部を室内の空間に向けた状態で使用される。
吸込口4は、室内の空気をケーシング2の内部に吸込むための開口部である。吸込口4は、例えばケーシング2の正面部に設けられている。吹出口5は、ケーシング2の内部に吸込まれた空気を外部に吹き出すための開口部である。吹出口5は、例えばケーシング2の上面部に2つ形成されている。すなわち、吹出口5は、第1の吹出口5Aと第2の吹出口5Bとからなっている。第1の吹出口5Aと第2の吹出口5Bの2個の吹出口5は、ケーシング2の左右方向に沿って互いに平行に延びている。
なお、以下の説明では、第1の吹出口5A、第2の吹出口5Bを特に区別しないときには、これらを単に「吹出口5」という場合がある。また、吹出口5から吹き出す空気を「吹き出し空気」という場合がある。
図2には吹き出し空気の最大風速箇所の風向ベクトル50を示している。風向ベクトル50は鉛直方向ベクトル50aと前後方向ベクトル50b、図示はしていないが左右方向ベクトルの合成からなる。なお、図2には、第1の吹出口5A、第2の吹出口5Bの吹き出し空気を合成して、1つの風向ベクトル50として示している。しかしながら、より正確にいえば、第1の吹出口5A、第2の吹出口5Bのそれぞれについて風向ベクトル50が存在する。
なお、吸込口4を、ケーシング2の背面部、側面部、下面部等に配置してもよい。また、吹出口5を、ケーシング2の正面部、側面部等に配置してもよい。さらに、ケーシング2には、1個のみの吹出口5を設けたり、3個以上の吹出口5を設けたりしてもよい。
送風装置6は、吸込口4からケーシング2の内部に空気を吸込んで当該空気を吹出口5から吹き出すものである。送風装置6は、ファン6Aとモータ6Bとを備えている。モータ6Bは、ファン6Aを回転させる電動式のモータである。ケーシング2の内部には、図2に示すように、例えば2個の送風装置6が前後方向に位置をずらした状態で、上下方向に並べて配置されている。
また、ケーシング2の内部には、風路7が設けられている。風路7は、送風装置6と吹出口5とを接続し、送風装置6から吹き出された空気を吹出口5に案内する。風路7は、ケーシング2の内部に設けられた隔壁2Aにより、正面側の第1の風路7Aと背面側の第2の風路7Bとに分割されている。第1の風路7Aと第2の風路7Bの2つの風路7は、ケーシング2の内部で上下方向に伸長し、例えば水平断面で見ると、前後方向に並列に配置されている。
2つの風路7の下部側は、それぞれ異なる送風装置6に接続されている。また、2つの風路7のそれぞれの上部側は、2つの吹出口5のそれぞれに接続されている。すなわち、第1の風路7Aの上部側は第1の吹出口5Aに第2の風路7Bの上部側は第2の吹出口5Bに接続されている。したがって、空気清浄装置1は、一方の送風装置6から第1の風路7Aを介して第1の吹出口5Aに到達する第1の送風系統と、他方の送風装置6から第1の風路7Aを介して第1の吹出口5Aに到達する第2の送風系統とを備えている。そして、これらの送風系統では、風量、風向及び風速を別々に制御することができる。
このようにして、ケーシング2の内部に隔壁2Aを配置し、2個の風路7を前後方向に並列に形成している。また、2個の送風装置6のうち、少なくとも図2中の上側に位置する一方の送風装置6は、ファンの内部にモータの一部が埋め込まれたモータ内蔵型の送風装置により構成されている。これにより、ケーシング2の内部に2つの送風系統を効率よく形成しながら、空気清浄装置1の設置面積を小型化することができ、小型で高性能な空気清浄装置1を実現することができる。
清浄化装置8は、ケーシング2の内部を通過する空気を清浄化するものである。清浄化装置8は、例えば吸込口4と送風装置6との間に設けられている。ここで、「清浄化」とは、例えば空気中に浮遊する塵埃、煙、花粉、ウィルス、カビ、菌、アレルゲン、臭気分子、VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)等からなる汚染物質を除去することを意味している。したがって、「清浄化」とは、具体的には、これらの汚染物質を捕集、不活性化、吸着又は分解する動作のことである。
ここでは、このような清浄化が可能な装置として、例えば空気中の塵埃等を捕集する集塵フィルタ、臭気成分を吸着する脱臭フィルタ、及び、電極に高電圧を印加することで汚染物質を除去及び分解する電圧印加デバイス等のいずれか、あるいは、これらの組み合わせにより清浄化装置8が構成されている。清浄化装置8は、通過する空気中から、臭気物質、塵埃、花粉、菌、ウィルス及びVOCの汚染物質のうちの1以上を除去して空気を浄化する空気浄化手段である。
空気の流れ方向における清浄化装置8の上流側には、第1のセンサ20が設けられている。第1のセンサ20は、ケーシング2の内部に吸い込んだ汚染物質の量を検知するものである。第1のセンサ20は、例えば埃センサ、ガスセンサ、風速センサ等により構成されるか、または、これらのセンサを組み合わせた複合型センサにより構成されている。第1のセンサ20によれば、空気清浄装置1により特定の方向に空気を吹き出し、この方向から還流してくる空気中の汚染物質の量を検出することにより、特定の方向における空気の汚れ度合を検出することができる。
第1のセンサ20は、前述した臭気物質、塵埃、花粉、菌、ウィルス及びVOCの汚染物質のうちの、清浄化装置8が空気中から除去可能なものについて検出することができる。すなわち、第1のセンサ20は、通過する空気中の清浄化装置8が空気中から除去可能な汚染物質の濃度を検出するものである。
以上のように構成された空気清浄装置1の作動時には、まず、送風装置6及び清浄化装置8が駆動される。これにより、ケーシング2の吸込口4から内部に空気が吸込まれ、この空気は、清浄化装置8により清浄化される。そして、清浄化された空気は、各送風装置6及び風路7を経由して吹出口5に到達し、吹出口5から外部に送風される。すなわち、送風装置6は、第1のセンサ20、清浄化装置8の順で空気を通過させる送風手段である。そして、吹出口5は、清浄化装置8により浄化された空気を送出する排気部である。
図3は、可動ルーバ及び整流機構の作動状態(a)、(b)を示す図1中の要部拡大図である。可動ルーバ9は、図2及び図3に示すように、吹き出し空気の風向を上下方向に揺動させるものである。可動ルーバ9は、ケーシング2の2つの吹出口5のそれぞれに1個ずつ設けられている。詳しく述べると、可動ルーバ9は、例えばケーシング2の左右方向に延在する細長い平板等により形成されている。そして、可動ルーバ9の基端側は、各吹出口5にそれぞれ設けられたルーバ駆動部10を介して個々の吹出口5に取り付けられる。
また、可動ルーバ9の先端側は、ルーバ駆動部10により上下方向に揺動可能となっている。2個の可動ルーバ9は、吹出口5から吹き出す空気の風向をそれぞれ個別に変更可能に構成されている。なお、ここでは、2個の可動ルーバ9を備える場合を例示したが、吹出口5の個数に応じて1個のみ又は3個以上の可動ルーバ9を備える構成としてもよい。
可動ルーバ9は、上下方向に揺動することにより、この揺動角に応じて吹き出し空気の風向を前方と上方との間で上下方向にスイングさせる。風向の仰角は、可動ルーバ9の仰角とほぼ等しい角度に変更される。なお、本明細書において、「仰角」とは、床面と平行な水平方向を基準として、上方に傾斜した角度を意味している。すなわち、仰角=0°は水平方向を表し、仰角=90°は鉛直方向の真上を表している。
ルーバ駆動部10は、可動ルーバ9を揺動可能に支持する支軸と、この支軸を回転させるアクチュエータ(図示せず)とを備えている。可動ルーバ9及びルーバ駆動部10は、吹き出し空気の風向を上下方向に変更することが可能な風向可変機構の具体例を構成している。
開口可変機構11は、図2に示すように、例えば片方の可動ルーバ9と前後方向で対向する位置に設けられる。開口可変機構11は、当該可動ルーバ9と協働して吹出口5の開口面積を変更するものである。なお、図1では、後述の整流機構13を明示するために、開口可変機構11の図示を省略している。また、図2では、一方の吹出口5のみに開口可変機構11を配置する場合を例示したが、これに限らず、他方の吹出口5のみ、または両方の吹出口5に開口可変機構11を配置する構成としてもよい。
開口可変機構11は、例えばケーシング2の左右方向に延在する細長い平板等により形成されている。開口可変機構11の基端部は、開口駆動部12を介して吹出口5に取り付けられている。開口駆動部12は、ルーバ駆動部10とほぼ同様の構成を有する。開口可変機構11の先端部は、開口駆動部12により前後方向に揺動され、可動ルーバ9に対して近接及び離間するように変位する。これにより、開口可変機構11は、吹出口5の開口面積を増減させ、当該開口面積に応じて吹き出し空気の風速を変更することができる。すなわち、開口可変機構11及び開口駆動部12は、吹き出し空気の風速を変更することが可能な送風変更手段の具体例を構成している。なお、開口可変機構11は、吹出口5ではなく風路7の一方または両方に配置し、風路7の開口面積(つまり流路面積)を変更する機構としてもよい。
整流機構13は、可動ルーバ9により設定された風向の仰角を保持した状態で、当該風向を左右方向に調整するものである。整流機構13は、図2及び図3に示すように、例えば略三角形状(又は扇形状)のフィンにより形成される。整流機構13を形成するフィンは、左右方向に間隔をもって複数個配置されている。そして、これらのフィンは、各可動ルーバ9の受風面側から突出するように設けられている。個々の整流機構13は、図3(a)、(b)に示すように、左右方向に揺動し、当該揺動角に応じて吹き出し空気の風向を左右方向に変化させる。
また、整流機構13の揺動動作は、例えば可動ルーバ9に設けられた整流駆動部14(図2、3では図示せず)により実行される。すなわち、整流機構13及び整流駆動部14は、吹き出し空気の風向を左右方向に変更することが可能な風向可変機構の具体例を構成している。なお、必ずしも整流機構13を設ける必要はない。また、整流機構13は、例えば可動ルーバ9の左右両端側にのみ1個ずつ配置する構成としてもよい。
水平回転機構15は、図2及び図3に示すように、ケーシング2と台座3との間に設けられる。水平回転機構15は、ケーシング2を台座3上で少なくとも左右方向に回転させるものである。吹出口5の向きは、ケーシング2と共に水平方向に変化するので、水平回転機構15は、吹き出し空気の風向を左右方向に変更することが可能な風向可変機構の具体例を構成している。また、同様に、吸込口4の向きについても、ケーシング2と共に水平方向に変化するので、水平回転機構15は、吸込口4を水平方向に回転させる吸込口水平回転機構の具体例を構成している。
なお、この実施の形態1においては、前述のように送風装置6を2つ上下方向に並べている。このようにすることで、1つの送風装置6で同風量を得ようとした場合と比べて、ケーシング2を平面視で正方形又は円形にしやすくなり、設置面積を小型化できる。特に、正方形又は円形にすることで、水平方向に回転動作する際に必要な設置面積をも小さくすることが可能である。
以上のように構成された風向可変機構、すなわち、可動ルーバ9、ルーバ駆動部10、整流機構13、整流駆動部14及び水平回転機構15は、排気部である吹出口5からの空気の送出方向を変更する排気方向変更手段である。この排気方向変更手段は、吹出口5からの空気送出方向を左右に変更できる。また、排気方向変更手段は、吹出口5からの空気送出方向を上下にも変更できる。空気の送出方向及び排気方向は、風向と同義である。以降においては、これらの語を特に区別することなく使用する。
図1及び図3に示すように、第2のセンサ21は、ケーシング2の正面上部側に取り付けられている。第2のセンサ21は、赤外線センサ40とセンサ稼動部44とを備えている。赤外線センサ40は、赤外線を利用して人を検出する人検出センサである。センサ稼動部44は、赤外線センサ40の向きをケーシング2に対して水平方向(つまり左右方向の両側)に回転駆動させるセンサ水平回転機構である。
次に、図4から図6を参照して、第2のセンサ21の構成について説明する。図4は、赤外線センサの構造を模式的に示す断面図である。図5は、赤外線センサを構成する受光素子の配置及び各受光素子の検出範囲を示す斜視図である。図6は、センサ稼動部による赤外線センサの回転動作(a)、(b)、(c)を示す説明図である。
前述したように、第2のセンサ21は、赤外線センサ40とセンサ稼動部44とを備えている。赤外線センサ40は、検出対象物から発生する赤外線を検出するものである。図4に示すように、赤外線センサ40は、多素子受光ユニット41と、集光レンズ42とを備えている。多素子受光ユニット41は、複数の受光素子41a〜41hにより構成されている。
なお、図4では、多素子受光ユニット41を8個の受光素子41a〜41hにより構成する場合を例示した。しかし、受光素子の個数は8個に限定されるものではなく、多素子受光ユニット41は、7個以下または9個以上となる任意の個数の受光素子により構成してもよい。
各受光素子41a〜41hは、赤外線の受光及び人の検出をそれぞれ個別に実行可能な検出素子である。これらの受光素子41a〜41hは、例えば上下方向に直線状に並べて配置されている。これにより、赤外線センサ40は、室内の温度を互いに高さが異なる8個のエリアに区分して検出する機能を備えている。集光レンズ42は、多素子受光ユニット41に対して赤外線を効率よく集光するものである。集光レンズ42は、例えば凸レンズにより構成されている。赤外線センサ40は、個々の受光素子41a〜41hにより検出対象物の温度を非接触で検出し、例えば室内の熱画像データに対応する信号を出力する。
図5は、赤外線センサの各受光素子の配置及び配光視野角を示す斜視図である。この図に示すように、各受光素子41a〜41hの配光視野角43a〜43hは、互いに大きさが等しい四角形状のエリアとして設定されている。また、1個の受光素子41a(41b〜41hでもよい)の配光視野角43a(43b〜43h)は、例えば上下方向における縦配光視野角が7°に設定され、左右方向の横配光視野角が8°に設定されている。
配光視野角43a〜43hを合わせた全体の配光視野角43は、上下方向に細長いエリアとして設定され、配光視野角43の上限である視野角上限43maxと、配光視野角43の下限である視野角下限43minとを有している。なお、配光視野角43a〜43hを必ずしも同じ形状、同じ大きさにする必要はなく、縦配光視野角及び横配光視野角の具体的な値についても、上記の例示に限定されるものではない。
センサ稼動部44は、赤外線センサ40の向きをケーシング2に対して水平方向に回転可能に構成されている。センサ稼動部44は、例えば、赤外線センサ40の回転駆動角度を正確に調整可能なステッピングモータが用いられる。センサ稼動部44のステッピングモータは、上述した水平回転機構15の動作とは独立して制御可能に構成される。
図6は、センサ稼動部による赤外線センサの回転動作を示す説明図である。同図の、(a)は右端部へ回転駆動された場合を、(b)は中央部に回転駆動された場合を、そして(c)は左端部へ回転駆動された場合をそれぞれ示している。同図に示すように、第2のセンサ21は、まず、センサ稼動部44により赤外線センサ40の向き(検出方向)を左右方向に回転駆動する。より具体的に述べると、赤外線センサ40の向きは、図6の(a)に示す右端部から(b)に示す中央部を経由して(c)に示す左端部まで回転駆動される。そして、(c)に示す左端部に到達すると、回転方向を反転して(c)に示す左端部から(b)に示す中央部を経由して(a)に示す右端部に戻される。第2のセンサ21はこのような動作を繰り返し行うことにより、室内の温度検出対象範囲を左右方向に走査して温度を順に検出する。
このような第2のセンサ21の構成によれば、赤外線センサ40の左右方向の可動範囲内、すなわち、予め設定された人検知範囲内において、熱画像データを時間毎に比較することにより、部屋の空間内に現れた人の方向及び高さ(すなわち、人の位置)を検出することができる。また、こうして検出された人の位置を検出時刻毎に比較することで、当該人の位置の時間変化すなわち人の動きを検出することができる。
なお、このような第2のセンサ21によれば、赤外線センサ40の8個の受光素子41a〜41hによって各配光視野角43a〜43hのエリアの熱画像データがそれぞれ取り込まれるので、いずれの配光視野角のエリアに人の存在が検出されたかによって人体の高さについても高精度に検出することが可能となる。加えて、センサ稼動部44は水平回転機構15の動作とは独立して動作可能であるので、風向制御に影響を与えることなく赤外線センサ40の左右方向の向きを回転駆動させることができる。
さらになお、第2のセンサ21は、必ずしも赤外線センサ40により構成する必要はなく、人の位置を検出可能なセンサであれば、超音波センサ及び焦電センサ等のいずれか、又は、これらのセンサと赤外線センサ40とを組み合わせることにより構成してもよい。また、第2のセンサ21は、人のみならず、動物、ロボット等の可動物の位置を同時に検知してもよい。
図2に示すように、ケーシング2の下部側には第3のセンサ24が設けられている。第3のセンサ24は、空気清浄装置1が設置された部屋内の家電製品の動作タイミング、部屋内の音の発生タイミング、部屋内の人の動作タイミング、部屋内の照度の変化タイミング及び部屋内の気圧の変化タイミングのうちの1以上を検出する。
部屋内の家電製品の動作タイミングを検出する場合、第3のセンサ24は、例えば、部屋内の家電製品に供給される電力を検出する電力センサを備える。家電製品に供給される電力が変化したタイミングから当該家電製品の動作タイミングを検出する。この際、第3のセンサ24は、HEMS(Home Energy Management System)から部屋内の家電製品に供給される電力に関する情報を取得するようにしてもよい。
部屋内の人の動作タイミングを検出する場合、第3のセンサ24は、例えば、第2のセンサ21と同様な、赤外線センサ、動体センサ、距離センサ、カメラ等のいずれかを備える。そして、これらのセンサにより検出された人の位置を検出時刻毎に比較することで、当該人の位置の時間変化すなわち人の動作を検出する。なお、赤外線センサ、動体センサ、距離センサ、カメラ等について、第2のセンサ21と第3のセンサ24とで同一のものを共用するようにしてもよい。
部屋内の音の発生タイミングを検出する場合、第3のセンサ24は、例えばマイク等の音センサを備える。また、部屋内の照度の変化タイミングを検出する場合、第3のセンサ24は、照度センサを備える。そして、部屋内の気圧の変化タイミングを検出する場合、第3のセンサ24は、気圧センサを備える。
次に、図7を参照しながら、空気清浄装置1の制御系統の構成について説明する。空気清浄装置1は、操作部22、制御装置23及び記憶部25を備えている。制御装置23は、空気清浄装置1の運転動作を制御する。記憶部25には、制御装置23での制御処理に必要な各種の情報が記憶される。記憶部25と制御装置23とは、双方向の通信が可能に接続されている。
操作部22は、空気清浄装置1を操作するためものである。空気清浄装置1の使用者は、各種の設定及び運転の切換等を行うときに操作部22を操作する。操作部22は、例えば、電源スイッチと表示部とを備えている。電源スイッチは、空気清浄装置1を起動及び停止するためのものである。表示部は、空気清浄装置1の運転状態等の各種情報を表示する。操作部22と制御装置23とは、双方向の通信が可能に接続されている。
制御装置23は、図示しない演算処理装置及び入出力ポート等を備えている。制御装置23の入力側には、赤外線センサ40、第1のセンサ及び第3のセンサ24を含むセンサ系統が接続されている。制御装置23の出力側には、送風装置6、清浄化装置8、ルーバ駆動部10、開口駆動部12、整流駆動部14、水平回転機構15、センサ稼動部44等を含むアクチュエータが接続されている。そして、制御装置23は、センサ系統の出力に基づいてアクチュエータを制御することにより、空気清浄装置1を動作させる。
制御装置23は、送風手段である送風装置6の動作を制御する。また、制御装置23は、ルーバ駆動部10、整流駆動部14及び水平回転機構15の動作を制御することで、排気方向変更手段の動作を制御する。
ここで、図7に示す赤外線センサ40及びセンサ稼動部44は、第2のセンサ21の構成要素である。第2のセンサ21により予め設定された人検知範囲内の人の位置を検出する際、制御装置23は、センサ稼動部44の動作を制御して赤外線センサ40の向きを変えつつ、赤外線センサ40の検出結果から部屋内の熱画像データを取得する。
より詳しくは、まず、制御装置23は、センサ稼動部44を予め定められた可動角度(ここでは1.6°とする)だけ左右方向に回転させる。これにより、赤外線センサ40は1.6°回転される。次に、赤外線センサ40を予め定められた待機時間(例えば0.1〜0.2秒)停止させる。そして、この間に赤外線センサ40の8個の受光素子41a〜41hによって熱画像データがそれぞれ検出され、制御装置23に取り込まれる。待機時間の経過後、制御装置23は、再びセンサ稼動部44を可動角度(1.6°)だけ左右方向に回転させる。そして、同様にして熱画像データが制御装置23に取り込まれる。このような処理が可動角度1.6°毎に94箇所において行われる。この場合、赤外線センサ40の左右方向の可動範囲(すなわち左右方向に回転駆動する角度範囲)は、約150.4°となる。そして、このようにして得られた部屋内の熱画像データから、人検知範囲内の人の位置が検出できる。
制御装置23は、第1のセンサ20、第2のセンサ21(赤外線センサ40)及び第3のセンサ24の検出結果に基づいて、送風装置6及び排気方向変更手段の動作を制御する。より詳しくは、制御装置23は、第1のセンサ20、第2のセンサ21及び第3のセンサ24の検出結果に応じて、送風装置6の動作を停止させ又は風量を減少させる制御、並びに、人の位置に向けて吹出口5から空気が送出されるように送風装置6及び排気方向変更手段を動作させる制御の一方又は両方を行う。
まず、制御装置23は、第3のセンサ24の検出結果に応じて、送風手段である送風装置6の動作を開始させ又は風量を増加させる。第3のセンサ24の検出対象である前述のタイミングが検出された場合、このタイミングで汚染物質が発生する現象が起きた可能性がある。以下においては、第3のセンサ24の検出対象である前述のタイミングのことを、「汚染発生推定タイミング」ともいう。
具体的に例えば、部屋内の家電製品の動作タイミングが検出対象の場合、特に家電製品が動作を開始したタイミングで、汚染物質が発生する現象が起きた可能性がある。つまり、人が家電製品を動作させることで、例えば、掃除機の動作が開始されると、清掃作業に伴って、埃、花粉等が舞い上がる可能性がある。また、電磁調理器等の調理家電の動作が開始されると、調理により煙、臭気物質等が発生する可能性がある、といった具合である。
部屋内の人の動作タイミングが検出対象の場合、人の動作により、埃、花粉等が舞い上がる可能性がある。
部屋内の音の発生タイミングが検出対象の場合、発生した音が当該部屋の窓又は扉の開閉音である場合、窓の開閉又は扉の開閉に伴って、部屋の外から汚染物質が流入する可能性がある。また、扉の開閉音の場合、扉の開閉により気流が発生し、この気流により埃が舞い上がる可能性、及び、扉の開閉に伴って部屋に人の出入りがあり、この人の出入りによって汚染物質が発生する可能性もある。また、人の歩行音等の動作音が発生した場合も汚染物質が発生する可能性がある。
部屋内の照度の変化タイミングが検出対象の場合、当該部屋のカーテンの開閉、又は、当該部屋の照明の点灯、消灯等により部屋の照度が変化したことが考えられる。このような場合、人が活動を開始することが考えられ、この人の活動によって汚染物質が発生する可能性がある。
部屋内の気圧の変化タイミングが検出対象の場合、部屋内の気圧の変化は、当該部屋の窓又は扉の開閉によるものであると考えられる。したがって、音の場合と同様に、汚染物質が生じる可能性がある。
そこで、制御装置23は、第3のセンサ24がこのような汚染発生推定タイミングを検出した場合に、送風装置6の動作を開始させ又は風量を増加させることで、実際に第1のセンサ20が汚染物質を検出する前に、部屋内の空気の迅速な清浄化を図ることができる。したがって、汚染物質が部屋内に拡散してしまう前に汚染物質の除去を図ることが可能である。
また、発生した汚染物質を迅速にケーシング2内に吸い込むことで、いち早く第1のセンサ20で汚染物質の濃度を検出することができる。そして、その後に第1のセンサ20が実際に検出した汚染物質濃度に基づいて、より高精度で確実な清浄化制御を行うことができる。
次に、制御装置23は、第2のセンサ21の検出結果に応じて、人の位置に向けて排気部である吹出口5から空気が送出されるように排気方向変更手段を動作させる。汚染物質は人の活動に起因して発生することが多い。したがって、人の位置は、汚染物質の発生場所である可能性が高いといえる。
そこで、汚染物質の発生場所である可能性が高い箇所に清浄化された空気を送ることで、より短時間で汚染物質濃度の低滅すなわち空気の清浄化を図ることができる。また、汚染物質の発生が人の活動に起因しているかいないかにかかわらず、人がいる位置に清浄化された空気を送ることで、少なくとも当該人の快適性を向上することが可能である。
この際、制御装置23は、第2のセンサ21の検出結果に応じて、吹出口5から送風方向を少なくとも左右に変更して、送風方向を人の位置に向ける。すなわち、制御装置23は、第2のセンサ21の検出結果に応じて、少なくとも水平回転機構15の動作を制御する。この際、制御装置23は、整流駆動部14の動作も制御して、吹出口5から送風方向を左右に変更するようにしてもよい。
水平回転機構15により、吹出口5の送風方向を人の位置に向けることで、空気清浄装置1の正面すなわち吸込口4も人の位置に向くことになる。このため、汚染物質が発生した可能性が高い方向に吸込口4を向けて、当該方向から空気を吸い込むことができる。そして、発生した汚染物質を、より迅速に吸い込むことが可能である。
なお、吹出口5から送風方向について、左右方向に加えて前後方向すなわち吹出口5からの送風距離を変更するようにしてもよい。つまり、制御装置23は、第2のセンサ21の検出結果に応じて可動ルーバ9の動作も制御するようにしてもよい。
このようにして、第3のセンサ24の検出結果で送風量の増加を行い、第2のセンサ21の検出結果で送風方向の調整を行った後、制御装置23は、第1のセンサ20の検出結果に応じて、送風手段である送風装置6の動作を停止させ又は風量を減少させる。具体的には、第1のセンサ20により検出された汚染物質濃度が、予め設定された第1の基準値以下になった場合に、制御装置23は、送風装置6の動作を停止させ又は風量を減少させる。
このように第1のセンサ20が実際に検出した汚染物質濃度に基づいて送風装置6の動作を停止させ又は風量を減少させることで、実際には汚染物質の除去が終了していないにもかかわらず、送風装置6の動作の停止又は風量の減少を実施してしまうことを抑制することができる。そして、汚染物質の除去が終了し、実際の汚染物質の濃度が低下したら速やかに送風装置6の動作の停止又は風量の減少を実施できる。よって、使用者は空気清浄装置1の動作音に長時間晒されることが無く、快適に過ごすことが可能となる。
なお、第3のセンサ24の検出結果に応じて送風装置6の動作を開始させ又は風量を増加させてから予め設定された一定時間が経過しても、第1のセンサ20が検出した汚染物質の濃度が、予め設定された第2の基準値を超えない場合、制御装置23は、送風装置6の動作を停止させ又は風量を減少させるようにしてもよい。この際の第2の基準値は、前述した第1の基準値と同じ値にしてもよいし、異なる値にしてもよい。
このようにすることで、汚染発生推定タイミングを検出したが、実際には汚染物質があまり発生していなかったいわゆる「空振り」の場合に、速やかに送風装置6の動作を停止させ又は風量を減少させることができる。このため、消費エネルギー量の削減、動作音の低減等を図ることが可能である。
以上のようにして、この発明の実施の形態1に係る空気清浄装置1は、汚染発生推定タイミングが検出された場合に汚染物質濃度の上昇に備えて予め運転する、すなわち「予防運転」を行う。このため、汚染物質の発生後、汚染物質が空気清浄装置1の第1のセンサ20に到達する前であっても、空気の清浄化を開始し、より短時間で汚染物質を除去して空気を清浄化し、汚染物質の拡散及び汚染物質濃度の上昇を抑制することができる。また、発生した汚染物質の第1のセンサ20への到達を早めることができ、より短時間で、実際に検出された汚染物質濃度に基づく清浄化制御を行うことが可能である。
次に、図8を参照しながら、以上のように構成された空気清浄装置1の予防運転の具体的な動作の一例を説明する。図8に例示するのは、部屋内の音の発生タイミングが第3のセンサ24の検出対象の場合である。したがって、この例では、第3のセンサ24は、例えば、環境音に応じた信号を出力するマイクを備えている。
図8の(a)は、第3のセンサ24のマイクから出力された環境音信号の時間変化を示すタイムチャートである。図8の(b)は、送風装置6の風量時間の変化を示すタイムチャートである。図8の(c)は、空気清浄装置1の排気方向を含む部屋内の具体的な状況を示している。
同図に示す例は、部屋内の人が扉を開けて部屋から退出する状況である。空気清浄装置1は、予め「弱」の風量で運転している。この状況では、まず、部屋内を人が移動する際の人の歩行音を第3のセンサ24のマイクが検出する。すると、制御装置23は、例えば水平回転機構15を動作させて第2のセンサ21が検出した人の位置に風向を向ける。この際、扉に向かって移動する人の動線を追従するように風向を変更するのがよい。
そして、人が扉を開閉すると、その際に発生した音を第3のセンサ24のマイクが検出する。第3のセンサ24は、部屋内の音の発生タイミングすなわち汚染発生推定タイミングを検出する。すると、制御装置23は、送風装置6の風量を「強」にする。また、制御装置23は、排気方向変更手段を制御して、風向を人がいる扉の位置に向ける。したがって、空気清浄装置1は、扉の開閉に伴って、舞い上がった埃及び流入した埃等を速やかに吸い込むことができる。その後、扉が閉まり、開閉音がしなくなると、送風装置6の風量を「強」から「弱」へと次第に減少させる。このように、空気清浄装置1は、汚染の発生する方向を向いて、かつ、汚染が発生したタイミングで動作を開始できるため、汚染を拡散させずに、効率よく除去することが可能である。
次に、以上のように構成された空気清浄装置1の制御動作の流れの一例について、図9のフロー図を参照しながら説明する。なお、ここで説明する例では、第1のセンサ20の検出値に係る前述の第1の基準値及び第2の基準値の値は同一であるとする。そこで、図9のフロー図を参照した以下の説明においては、第1の基準値及び第2の基準値を区別せず、いずれも単に「基準値」という。
操作部22が使用者により操作され、空気清浄装置1が予防運転を開始すると、まず、ステップS1において、制御装置23は、送風装置6を制御してファン6Aの動作を開始させる。この際、送風装置6の風量は「弱」となるように制御する。ステップS1の後、処理はステップS2に進む。
ステップS2においては、制御装置23は、第3のセンサ24の検出結果を取得する。ステップS2の後、処理はステップS3に進む。ステップS3においては、制御装置23は、ステップS2で取得した第3のセンサ24の検出結果を確認し、第3のセンサ24の検出対象である前述のタイミング、すなわち汚染発生推定タイミングが検出されたか否かを判定する。汚染発生推定タイミングが検出されていない場合には、処理はステップS4に進む。
ステップS4においては、制御装置23は、第2のセンサ21の検出結果を取得する。ステップS4の後、処理はステップS5に進む。ステップS5においては、制御装置23は、ステップS4で取得した第2のセンサ21の検出結果を確認し、第2のセンサ21の人検知範囲内で人が検出されたか否かを判定する。人検知範囲内で人が検出されない場合には、処理はステップS20に進む。
ステップS20においては、制御装置23は、送風装置6を制御して送風装置6の風量を「弱」とするか、送風装置6の動作を停止させる。こうして、制御装置23は、空気清浄装置1の予防運転を終了させる。そして、一連の処理は終了となる。
一方、ステップS5において人検知範囲内で人が検出された場合には、処理はステップS6に進む。ステップS6においては、制御装置23は、排気方向変更手段を制御して、送風装置6の風向を第2のセンサ21が検出した人の位置へと向ける。ステップS6の後、処理はステップS7に進む。
ステップS7においては、制御装置23は、予め設定された一定時間が経過するまで、その状態で待機する。すなわち、ステップS6で変更した風向への送風を一定時間継続させる。ステップS7の後、処理はステップS8に進む。
ステップS8においては、制御装置23は、第1のセンサ20の検出結果を取得する。ステップS8の後、処理はステップS9に進む。ステップS9においては、制御装置23は、ステップS8で取得した第1のセンサ20の検出結果を確認し、第1のセンサ20が検出した汚染物質濃度が基準値以下か否かを判定する。第1のセンサ20が検出した汚染物質濃度が基準値を超えている場合には、処理はステップS7に戻る。
一方、第1のセンサ20が検出した汚染物質濃度が基準値以下の場合には、処理はステップS10に進む。ステップS10においては、制御装置23は、ステップS5で検出された全ての人の位置に向けて、風向を変更し終えたか否かを確認する。すなわち、複数人が検出されてステップS5で検出された人の位置が複数箇所であった場合、これら複数箇所の全てについて、それぞれの箇所に向けて風向を変更し終えたか否かを確認する。
これら複数箇所の全ての人の位置について、風向を変更し終えていない場合には、処理はステップS6に戻る。そして、ステップS6で、ステップS5で検出された複数の人の位置のうち、まだ風向を向けていない位置に風向を向けるよう、制御装置23は、排気方向変更手段を制御する。
一方、ステップS10で、これら複数箇所の全ての人の位置について風向を変更し終えた場合には、処理はステップS4に戻る。また、ステップS5で検出された人の位置が1箇所のみであった場合も、処理はステップS4に戻る。
また一方、ステップS3において第3のセンサ24の検出対象のタイミング、すなわち汚染発生推定タイミングが検出された場合には、処理はステップS11に進む。ステップS11においては、制御装置23は、送風装置6を制御して風量が「強」となるように制御する。ステップS11の後、処理はステップS12に進む。
ステップS12においては、制御装置23は、第2のセンサ21の検出結果を取得する。ステップS12の後、処理はステップS13に進む。ステップS13においては、制御装置23は、排気方向変更手段を制御して、送風装置6の風向を第2のセンサ21が検出した人の位置へと向ける。ステップS13の後、処理はステップS14に進む。
ステップS14においては、制御装置23は、予め設定された一定時間が経過するまで、その状態で待機する。すなわち、ステップS13で変更した風向への送風を一定時間継続させる。ステップS14の後、処理はステップS15に進む。
ステップS15においては、制御装置23は、第1のセンサ20の検出結果を取得する。ステップS15の後、処理はステップS16に進む。ステップS16においては、制御装置23は、ステップS15で取得した第1のセンサ20の検出結果を確認し、第1のセンサ20が検出した汚染物質濃度が基準値以下か否かを判定する。第1のセンサ20が検出した汚染物質濃度が基準値を超えている場合には、処理はステップS14に戻る。
一方、第1のセンサ20が検出した汚染物質濃度が基準値以下の場合には、処理はステップS17に進む。ステップS17においては、制御装置23は、第2のセンサ21が検出した全ての人の位置に向けて、風向を変更し終えたか否かを確認する。すなわち、複数人が検出されて第2のセンサ21が検出した人の位置が複数箇所であった場合、これら複数箇所の全てについて、それぞれの箇所に向けて風向を変更し終えたか否かを確認する。
これら複数箇所の全ての人の位置について、風向を変更し終えていない場合には、処理はステップS13に戻る。そして、ステップS13で、第1のセンサ20が検出した複数の人の位置のうち、まだ風向を向けていない位置に風向を向けるよう、制御装置23は、排気方向変更手段を制御する。
一方、ステップS17で、これら複数箇所の全ての人の位置について風向を変更し終えた場合には、処理はステップS18へと進む。ステップS18においては、制御装置23は、第3のセンサ24の検出結果を取得する。ステップS18の後、処理はステップS19に進む。ステップS19においては、制御装置23は、ステップS18で取得した第3のセンサ24の検出結果を確認し、第3のセンサ24の検出対象である前述のタイミングが検出されたか否かを判定する。
なお、この際の第3のセンサ24が検出するタイミングは、汚染物質が発生する現象が起きた可能性があるタイミングというよりも、そのような現象が終了した可能性があるタイミングである。具体的に例えば、部屋内の家電製品の動作タイミングが検出対象の場合、家電製品の動作が終了したタイミングである。そして、このような汚染物質が発生する現象が終了した可能性があるタイミングが第3のセンサ24により検出されていない場合には、処理はステップS12に戻る。
一方、汚染物質が発生する現象が終了した可能性があるタイミングが第3のセンサ24により検出された場合には、処理はステップS20へと進む。そして、前述したように、送風装置6の風量を「弱」とするか、送風装置6の動作を停止させて予防運転を終了させ、一連の処理は終了となる。
なお、以上のような第3のセンサ24及び第1のセンサ20の検出結果に基づく送風装置6の制御、並びに、第2のセンサ21の検出結果に基づく制御を、制御装置23は、記憶部25に記憶された情報を参照しながら行うようにしてもよい。すなわち、記憶部25は、第1のセンサ20の検出結果、第2のセンサ21の検出結果及び第3のセンサ24の検出結果と、送風装置6及び排気方向変更手段の動作内容とを対応付けて記憶している。そして、制御装置23は、記憶部25に記憶された情報を参照して、送風装置6及び排気方向変更手段の動作内容を決定する。
より詳しくは、制御装置23は、記憶部25に記憶された情報のうち、今回の第3のセンサ24及び第2のセンサ21の検出結果と同一の又は類似する検出結果に対応付けられている送風装置6及び排気方向変更手段の動作内容を採用する。この際、送風装置6の風量及び排気方向を記憶部25に記憶されていた値そのものを採用するのでなく、記憶部25に記憶されていた値から予め設定された調整値だけ変更したものを採用してもよい。
この場合、記憶部25には、第3のセンサ24及び第2のセンサ21の検出結果と、送風装置6及び排気方向変更手段の動作内容と、その条件での前回の第1のセンサ20の検出結果の時間変化とが対応付けられて記憶されている。そして、制御装置23は、送風装置6の風量及び排気方向を調整値だけ変更した際の第1のセンサ20の検出結果の時間変化と、記憶部25に記憶されている同条件での前回の第1のセンサ20の検出結果の時間変化とを比較する。
今回の第1のセンサ20の検出結果の時間変化の方が短時間で汚染物質濃度を減少させていた場合、制御装置23は、今回の条件での送風装置6及び排気方向変更手段の動作内容を、調整後のもので上書きして記憶部25に記憶させる。一方、前回の第1のセンサ20の検出結果の時間変化の方が短時間で汚染物質濃度を減少させていた場合、記憶部25は現在の記憶内容をそのまま保持する。
このようにして、制御装置23は、記憶部25に記憶された送風装置6及び排気方向変更手段の動作内容から、予め設定された調整値だけ変更した内容で送風装置6及び排気方向変更手段を制御する。そして、その際の第1のセンサ20の検出結果と記憶部25に記憶された第1のセンサ20の検出結果との比較結果に応じて、記憶部25に記憶された送風装置6及び排気方向変更手段の動作内容を更新する学習を実施する。
このようにすることで、同一の又は類似する第3のセンサ24及び第2のセンサ21の検出結果となった条件下において、回を追うごとに学習し、より短時間で汚染物質濃度を低下させるように風量及び風向を制御することができるようになる。
なお、空気清浄装置1が設置された部屋内に他の送風機器が設置されている場合、制御装置23は、他の送風機器の動作状況も踏まえて、送風装置6及び排気方向変更手段の動作内容を決定することが好ましい。すなわち、空気清浄装置1を他の送風機器と有線又は無線で通信可能に接続し、他の送風機器と連携することができるようにするとよい。例えば、他の送風機器が動作していると、部屋内の気流が変化し、空気清浄装置1で効率よく空気を清浄化できる風向、風量も変化する可能性がある。そこで、他の送風機器との連携し、他の送風機器の動作状況も踏まえて、送風装置6及び排気方向変更手段の動作内容を決定することで、より効率的に空気を清浄化することができる。さらに、他の送風機器も空気清浄機能を有する場合、空気清浄装置1と他の送風機器とを連動させることで、より短時間で空気の清浄化を行うことが可能である。
また、第1のセンサ20、第2のセンサ21及び第3のセンサ24は必ずしも空気清浄装置1に搭載されている必要はない。第1のセンサ20、第2のセンサ21及び第3のセンサ24を空気清浄装置1の外部に設置し、これらのセンサと制御装置23とを有線又は無線に通信可能に接続するようにしてもよい。
例えば、第1のセンサ20は人が生活している空間に近い位置に設置されている方が望ましい。具体的に例えば、第1のセンサ20をスマートフォン等に搭載すれば、実際に清浄な空気を吸引したい人の周囲の汚染物質濃度を検出することができる。また、第2のセンサ21は、部屋の天井等の高い位置に設置するのがよい。上方から俯瞰的に人の位置を検出することで家具等の影響を最小限にとどめ、正確に人の位置を検出可能である。そして、第3のセンサ24は送風機器以外に搭載した方がよい場合がある。例えば、第3のセンサ24が音を検出する場合、送風機器の付近だと送風音がノイズとなり誤検出の原因となる可能性があるためである。