以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(部品実装装置の構成)
図1〜図6を参照して、本発明の一実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。
図1に示すように、部品実装装置100は、一対のコンベア2により基板PをX方向に搬送し、実装作業位置Mにおいて基板Pに部品31を実装する部品実装装置である。図1に示すように、部品実装装置100は、基台1と、一対のコンベア2と、部品供給部3と、ヘッドユニット4と、支持部5と、一対のレール部6と、部品認識カメラ7と、制御部8(図2参照)とを備えている。また、部品実装装置100は、電気特性測定部9を備えている。また、基台1上には、ノズルステーション11と、廃棄部12とが設けられている。
図1に示すように、一対のコンベア2は、基台1上に設置され、基板PをX方向に搬送するように構成されている。また、一対のコンベア2は、搬送中の基板Pを実装作業位置Mで停止させた状態で保持するように構成されている。また、一対のコンベア2は、基板Pの寸法に合わせてY方向の間隔を調整可能に構成されている。
部品供給部3は、部品31を供給するように構成されている。具体的には、部品供給部3は、一対のコンベア2の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。また、部品供給部3には、複数のテープフィーダ3aが配置されている。つまり、部品31は、部品供給部3に配置されたテープフィーダ3aからヘッドユニット4に供給される。
テープフィーダ3aは、複数の部品31を所定の間隔を隔てて保持したテープが巻き付けられたリール(図示せず)を保持している。テープフィーダ3aは、リールを回転させて部品31を保持するテープを送出することにより、テープフィーダ3aの先端から部品31を供給するように構成されている。ここで、部品31は、IC、トランジスタ、コンデンサ、コイルおよび抵抗などの電子部品を含む。また、同じテープには、同じ種類の部品31が保持されている。つまり、同じテープに保持された複数の部品31は、略等しい電気特性を有している。電気特性は、たとえば、抵抗、静電容量、インダクタンス、インピーダンスを含んでいる。
ヘッドユニット4は、部品31が装着される基板Pに対して作業を行うように構成されている。具体的には、ヘッドユニット4は、一対のコンベア2および部品供給部3の上方位置に配置されており、ノズル41が下端に取り付けられた複数の実装ヘッド42と、基板認識カメラ43とを含んでいる。また、図2に示すように、ヘッドユニット4は、エジェクタ44と、Z軸モータ45と、R軸モータ46と、ロータリ軸モータ47とを含んでいる。なお、基板認識カメラ43は、特許請求の範囲の「撮像部」の一例である。
実装ヘッド42は、基板Pに部品31を実装するように構成されている。実装ヘッド42は、昇降可能(Z方向に移動可能)に構成されている。また、実装ヘッド42は、エジェクタ44(図2参照)によりノズル41の先端部に発生された負圧によって、部品供給部3のテープフィーダ3aから供給される部品31を吸着するように構成されている。また、実装ヘッド42は、部品実装装置100の外部から供給される正圧によりノズル41の先端部に発生された正圧によって、基板Pにおける装着位置に部品31を装着(実装)する作業を行うように構成されている。なお、負圧とは、実装ヘッド42の雰囲気(周辺)の空気圧より低い空気圧のことであり、部品31を吸着するのに十分な空気圧である。また、正圧とは、実装ヘッド42の雰囲気(周辺)の空気圧より高い空気圧のことである。
複数の実装ヘッド42は、円周状に配置されている。また、複数の実装ヘッド42は、上下方向に延びるロータリ軸線回りに回転されるように構成されている。つまり、複数の実装ヘッド42は、ロータリ式である。また、複数の実装ヘッド42は、部品31を吸着または装着する吸装着位置に対して回転して移動されるように構成されている。
実装ヘッド42は、先端に装着されるノズル41を交換可能に構成されている。具体的には、実装ヘッド42は、ノズルステーション11に載置されたノズル41を装着可能に構成されているとともに、装着したノズル41をノズルステーション11に載置することが可能に構成されている。つまり、実装ヘッド42に装着されるノズル41を交換する場合、実装ヘッド42に装着されたノズル41がノズルステーション11に載置され、その後、ノズルステーション11の必要なノズル41が実装ヘッド42に装着される。ノズルステーション11には、部品実装用のノズル41と、電気特性測定用の絶縁性の測定用ノズル41a(図4参照)と、後述する測定用電極911および912(図3および図4参照)の清掃用の清掃用ノズル41b(図5参照)とが配置されている。また、部品実装用のノズル41と、測定用ノズル41aとは、部品31の種類や大きさに応じて複数設けられている。
部品実装用のノズル41は、セラミックにより形成されている。ノズル41の部品31と当接する部分は、たとえば、109Ω以上1012Ω以下の抵抗値を有している。測定用ノズル41aは、絶縁性の樹脂により形成されている。測定用ノズル41aの部品31と当接する部分の抵抗値が、たとえば、1014Ω以上の絶縁性を有している。測定用ノズル41aの部品31と当接する部分の抵抗値は、1014Ω以上1016Ω以下である。つまり、測定用ノズル41aの電気抵抗値は、部品実装用のノズル41の電気抵抗値よりも大きい。言い換えると、測定用ノズル41aは、部品実装用のノズル41よりも大きい絶縁性を有している。
基板認識カメラ43は、認識対象としての基板Pを撮像可能に構成されている。具体的には、基板認識カメラ43は、図1に示すように、基板Pの位置を認識するために、基板PのフィデューシャルマークFを撮像するように構成されている。そして、フィデューシャルマークFの位置を撮像して認識することにより、基板Pにおける部品31の装着位置を正確に取得することが可能である。また、基板認識カメラ43の近傍には、照明(図示せず)が設けられている。照明は、基板認識カメラ43の撮像時に光(可視光や赤外光など)を基板Pに照射するように構成されている。これにより、基板認識カメラ43により基板Pを鮮明に撮像することが可能である。
また、基板認識カメラ43は、部品供給部3の部品31が供給される位置を撮像可能に構成されている。具体的には、基板認識カメラ43は、テープフィーダ3aの部品供給位置を撮像可能に構成されている。これにより、テープフィーダ3aにより供給される部品31の状態を取得することが可能である。また、基板認識カメラ43は、測定用電極911および912を撮像可能に構成されている。
エジェクタ44は、実装ヘッド42に負圧を供給するように構成されている。具体的には、エジェクタ44は、実装ヘッド42により部品31を吸着する動作の際に実装ヘッド42に負圧を供給するように構成されている。また、エジェクタ44は、実装ヘッド42により部品31を搬送する動作の際に実装ヘッド42により部品31を保持するための負圧を供給するように構成されている。また、エジェクタ44は、実装ヘッド42により部品31を基板Pに装着する動作の際に実装ヘッド42により部品31を保持するための負圧を供給するように構成されている。また、エジェクタ44は、ヘッドユニット4に設けられている。これにより、負圧を供給する装置を、ヘッドユニット4に設けることができるので、ヘッドユニット4の外部に設ける場合に比べて、負圧を供給する配管を簡素化することが可能である。
Z軸モータ45は、実装ヘッド42を上下方向(Z方向)に移動させるように構成されている。具体的には、Z軸モータ45は、ヘッドユニット4において吸装着位置に位置する実装ヘッド42を上下方向に移動させるように構成されている。つまり、実装ヘッド42は、ヘッドユニット4において吸装着位置に回転移動されることにより上下移動が可能となる。また、Z軸モータ45は、吸装着位置に位置する実装ヘッド42を上下方向に移動させるので、複数の実装ヘッド42の各々に設ける必要がない。
R軸モータ46は、実装ヘッド42を上下方向に延びる軸線を中心に回転させるように構成されている。これにより、実装ヘッド42に吸着された部品31の水平方向の向きを調整することが可能である。R軸モータ46は、複数の実装ヘッド42を連動して回転させるように構成されている。これにより、複数の実装ヘッド42毎にR軸モータ46を設ける必要がないので、部品点数が増加するのを抑制することが可能である。
ロータリ軸モータ47は、複数の実装ヘッド42を、上下方向に延びるロータリ軸線回りに回転させるように構成されている。
支持部5は、図1および図2に示すように、X軸モータ51を含んでいる。支持部5は、図1に示すように、X軸モータ51を駆動させることにより、支持部5に沿ってヘッドユニット4をX方向に移動させるように構成されている。支持部5は、両端部が一対のレール部6により支持されている。
一対のレール部6は、基台1上に固定されている。X1側のレール部6は、Y軸モータ61を含んでいる。レール部6は、Y軸モータ61を駆動させることにより、支持部5を一対のレール部6に沿ってX方向と直交するY方向に移動させるように構成されている。ヘッドユニット4が支持部5に沿ってX方向に移動可能であるとともに、支持部5がレール部6に沿ってY方向に移動可能であることによって、ヘッドユニット4はXY方向に移動可能である。
部品認識カメラ7は、基台1の上面上に固定されている。部品認識カメラ7は、部品31を撮像可能に構成されている。具体的には、部品認識カメラ7は、一対のコンベア2の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。部品認識カメラ7は、部品31の基板Pへの装着に先立って部品31の吸着状態(吸着姿勢)を認識するために、実装ヘッド42のノズル41に吸着された部品31を下側(Z2側)から撮像するように構成されている。これにより、実装ヘッド42のノズル41に吸着された部品31の吸着状態を制御部8により取得することが可能である。また、部品認識カメラ7の近傍には、照明(図示せず)が設けられている。照明は、部品認識カメラ7の撮像時に光(可視光や赤外光など)をノズル41に吸着された部品31に照射するように構成されている。これにより、部品認識カメラ7によりノズル41に吸着された部品31を鮮明に撮像することが可能である。
制御部8は、CPU(セントラルプロセッシングユニット)と、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)、HDD(ハードディスクドライブ)などの記憶部とを含んでいる。制御部8は、一対のコンベア2による基板Pの搬送動作、ヘッドユニット4による実装動作、基板認識カメラ43や部品認識カメラ7による撮像動作などの部品実装装置100の全体の動作を制御するように構成されている。また、制御部8は、実装動作を行うプログラムに基づいて、実装動作を制御するように構成されている。たとえば、制御部8は、X軸モータ51、Y軸モータ61を駆動させて、ヘッドユニット4を水平方向に移動させる制御を行うように構成されている。また、制御部8は、Z軸モータ45を駆動させて、実装ヘッド42の昇降移動を制御するように構成されている。また、制御部8は、R軸モータ46を駆動させて、実装ヘッド42を、上下方向(Z方向)の軸線回りに回転させるように構成されている。また、制御部8は、ロータリ軸モータ47を駆動させて、複数の実装ヘッド42をロータリ軸線回りに回転させるように構成されている。また、制御部8は、エジェクタ44のエア圧(負圧)を制御するように構成されている。
電気特性測定部9は、部品供給部3から供給される部品31の電気特性を測定するように構成されている。電気特性測定部9は、図3に示すように、基板91と、固定部材92と、配線93とを含んでいる。基板91には、測定用電極911および912が設けられている。電気特性測定部9は、部品31が抵抗である場合、電気特性として抵抗値を測定する。また、電気特性測定部9は、部品31がコンデンサである場合、電気特性として静電容量を測定する。また、電気特性測定部9は、部品31がコイルである場合、電気特性としてインダクタンスを測定する。また、電気特性測定部9は、部品31がダイオードである場合、電気特性として抵抗値および極性を測定する。
電気特性測定部9は、部品31に設けられた2つの電極のうち一方が測定用電極911に当接され、他方が測定用電極912に当接された状態で、交流電圧または直流電圧を印加して、部品31の電気特性を測定するように構成されている。
基板91は、基台1上に配置されている。基板91の上面には、測定用電極911および912が配置されている。測定用電極911および912は、水平方向において離間して配置されている。具体的には、測定用電極911および912は、最少の部品31の電極が当接可能な距離だけ離間して配置されている。たとえば、測定用電極911および912は、0.1mm〜1mm程度の範囲で互いに離間して配置されている。測定用電極911および912は、金(Au)により形成されている。また、測定用電極911および912は、コネクタ93bおよび93aを介して配線93にそれぞれ接続されている。配線93は、電気特性測定部9に接続されている。
測定用電極911は、長手方向において、W1の長さを有する。また、部品31は、電極が並ぶ方向と直交する方向において、W2の幅を有する。W1は、W2よりも大きい。W1は、W2の5倍以上の長さを有することが好ましい。W1は、W2の10倍以上の長さを有することがより好ましい。W1は、W2の20倍以上の長さを有することがさらに好ましい。W1は、たとえば、10mm〜50mm程度である。W2は、たとえば、0.2mm〜10mm程度である。
基板91は、固定部材92により、基台1上に固定されている。具体的には、固定部材92は、ネジなどの締結部材を含んでいる。そして、基板91は、固定部材92により締結されて基台1上に固定されている。固定部材92は、基板91の4隅に1つずつ設けられている。基板91には、測定用電極911および912と、コネクタ93bとを接続する配線(図示せず)が設けられている。また、基板91は、部品31が実装される基板Pと略等しい高さ位置に配置されている。これにより、基板Pの上面を撮像する基板認識カメラ43により、基板91の測定用電極911および912を容易に撮像することが可能である。
コネクタ93aおよび93bは、着脱可能に構成されている。コネクタ93aは、配線93の先端に設けられている。コネクタ93bは、基板91に設けられている。コネクタ93aおよび93bを接続することにより、測定用電極911および912と、電気特性測定部9とが接続される。また、コネクタ93aおよび93bの接続を外すとともに、基板91の固定部材92による固定状態を解除することにより、基板91を取り外すことが可能になる。
ここで、本実施形態では、制御部8は、実装ヘッド42に絶縁性の測定用ノズル41aを装着させた状態で、絶縁性の測定用ノズル41aにより部品31を吸着して搬送させ、部品31を測定用電極911および912に当接させて電気特性を測定する制御を行うように構成されている。また、制御部8は、電気特性を測定した部品31を廃棄する制御を行うように構成されている。
具体的には、制御部8は、部品31の電気特性を測定した測定結果に基づいて、部品供給部3から供給される部品31が正しい種類か否かを判定するように構成されている。つまり、制御部8は、部品供給部3に正しいリールがセットされたテープフィーダ3aが取り付けられているか否かを判定する。言い換えると、制御部8は、誤った種類の部品31を保持したテープフィーダ3aが部品供給部3の所定の位置に配置されていることを検知する。制御部8は、たとえば、テープフィーダ3aが部品供給部3に配置された場合、テープフィーダ3aの位置が変更された場合、テープフィーダ3aに新しいリールがセットされた場合など、セットされた部品31の種類が正しいか否かを確認する必要がある場合に、部品31の電気特性を測定するように構成されている。
また、制御部8は、部品31の電気特性の測定結果に関わらず、電気特性を測定した部品31を廃棄する制御を行うように構成されている。つまり、制御部8は、電気特性を測定した部品31の電気特性が所定の範囲内であり、セットされている部品31の種類が正しい場合でも、電気特性を測定した部品31を廃棄するように構成されている。また、制御部8は、電気特性を測定した部品31の電気特性が所定の範囲外であり、セットされている部品31の種類が誤っている場合も、電気特性を測定した部品31を廃棄するように構成されている。廃棄される部品31は、実装ヘッド42により搬送されて廃棄部12に廃棄される。
また、制御部8は、部品31の電気特性を測定する際に、測定用電極911および912における部品31の当接位置を順番に変更するように構成されている。具体的には、制御部8は、電気特性を測定する部品31の測定用電極911および912における当接位置を、所定回数測定毎に変更するように構成されている。たとえば、制御部8は、図3に示すように、測定用電極911および912における当接位置を、平面視において、前回の測定時の当接位置と重ならないように、順次変更するように構成されている。
また、制御部8は、測定用電極911および912の状態を確認し、確認結果に基づいて、測定用電極911および912の交換を促す通知を行う制御、または、測定用電極911および912を清掃する制御を行うように構成されている。具体的には、制御部8は、測定用電極911および912の状態を確認し、測定用電極911および912の状態が悪化して交換する必要があると判断した場合、通知部13により測定用電極911および912の交換を促す通知を行うように構成されている。また、制御部8は、測定用電極911および912の状態を確認し、測定用電極911および912の状態が悪化して清掃する必要があると判断した場合、測定用電極911および912を清掃する制御を行うように構成されている。
具体的には、制御部8は、測定用電極911および912を清掃する場合に、実装ヘッド42に清掃のための清掃用ノズル41bを装着して、清掃用ノズル41bにより、測定用電極911および912を清掃する制御を行うように構成されている。清掃用ノズル41bは、図5に示すように、先端に汚れふき取り用の部材411bが設けられている。汚れふき取り用の部材411bは、たとえば、コットンやフェルトなどである。清掃用ノズル41bは、ノズルステーション11に準備されている。清掃用ノズル41bの清掃面は、乾燥していてもよいし、アルコールや洗剤などがしみ込んでいてもよい。制御部8は、実装ヘッド42に装着された清掃用ノズル41bの清掃面を、測定用電極911および912に当接させて摺動することにより、測定用電極911および912を清掃するように構成されている。
また、制御部8は、電気特性測定部9による部品31の電気特性を測定する回数が所定の回数に到達した場合に、基板認識カメラ43により測定用電極911および912を撮像して測定用電極911および912の状態を確認する制御と、状態確認のための治具部品31aを測定用電極911および912に当接させて電気特性を測定することにより測定用電極911および912の状態を確認する制御と、のうち少なくとも一方を行うように構成されている。具体的には、制御部8は、電気特性測定部9による部品31の電気特性を測定する回数が所定の回数に到達した場合に、測定用電極911および912の状態を確認するように構成されている。たとえば、制御部8は、電気特性測定部9による部品31の電気特性の測定を500〜1000回程度行った場合に、測定用電極911および912の状態を確認するように構成されている。
また、制御部8は、基板認識カメラ43により測定用電極911および912を撮像して測定用電極911および912の状態を確認する場合、撮像した測定用電極911および912を画像解析することにより、状態を確認する。たとえば、制御部8は、測定用電極911および912の画像の明度に基づいて状態を確認する。制御部8は、測定用電極911および912の画像の明度が所定の範囲内であれば、汚れがないと判断し、測定用電極911および912の画像の明度が所定の範囲外であり、測定用電極911および912とは異なる色(たとえば、黒い部分)がある場合に汚れがあると判断する。また、制御部8は、汚れのある面積(黒い部分の面積)が所定の値以上であれば、測定用電極911および912の清掃の必要あり、または、交換の必要ありと判断する。
また、制御部8は、状態確認のための治具部品31aを測定用電極911および912に当接させて電気特性を測定することにより測定用電極911および912の状態を確認する場合、図6に示すように、治具部品31aを絶縁性の測定用ノズル41aにより吸着した状態で、治具部品31aを測定用電極911および912に当接させて電気特性を測定する。治具部品31aの電気特性は、既知であり、制御部8の記憶部に記憶されている。また、治具部品31aは、たとえば、ノズルステーション11に載置されている。制御部8は、治具部品31aの既知の電気特性と、測定した電気特性とを比較し、ずれが所定の範囲内であれば、測定用電極911および912が異常なしと判断し、ずれが所定の範囲よりも大きければ、測定用電極911および912が異常ありと判断する。制御部8は、測定用電極911および912が異常ありと判断した場合、測定用電極911および912の清掃の必要あり、または、交換の必要ありと判断する。
治具部品31aは、高電圧の静電気に耐えられる高耐圧性を有する部品であることが好ましい。たとえば、治具部品31a中の配線を太くすることにより、細い配線よりも高耐圧性を有する部品となる。また、治具部品31aを大きくすることにより、耐圧性について有利となる。また、治具部品31aは、測定用電極911および912の汚れの有無などを確認するためのものであるため、部品の種類としては、たとえば、抵抗部品のみとしてもよい。
(部品の電気特性測定処理)
次に、図7を参照して、部品実装装置100の制御部8による部品の電気特性測定処理についてフローチャートに基づいて説明する。
図7のステップS1において、部品31の交換があったか否かが判断される。具体的には、ステップS1では、テープフィーダ3aが新たに部品供給部3に配置された場合、テープフィーダ3aの位置が変更された場合、テープフィーダ3aに新しいリールがセットされた場合など、セットされた部品31の種類が正しいか否かを判断する必要があるか否かを判断する。部品交換が無ければ、部品の電気特性測定処理が終了され、部品交換があれば、ステップS2に進む。
ステップS2において、ノズル41が絶縁性の測定用ノズル41aに交換される。具体的には、実装ヘッド42に装着されているノズル41がノズルステーション11に配置されている測定用ノズル41aに交換される。この際、測定する部品31の大きさや形状に対応した測定用ノズル41aに交換される。ステップS3において、電気特性を測定する部品31が測定用ノズル41aに吸着される。
ステップS4において、部品31の電気特性が測定される。具体的には、絶縁性の測定用ノズル41aにより吸着された部品31を搬送し、部品31を測定用電極911および912に当接させて電気特性が測定される。ステップS5において、測定値が基準値以内であるか否かが判断される。具体的には、記憶部に記憶された部品31の種類毎の電気特性と、測定値とが比較されて、測定値が基準値に対して所定の誤差以内であるか否かが判断される。基準値の範囲外であれば、ステップS6に進み、基準値内であればステップS7に進む。
ステップS6において、部品31の取付間違いを通知する。具体的には、正しい種類の部品31がセットされていないことが通知部13により通知される。この場合、部品供給部3に正しい部品31がセットされるまで、基板Pに対する部品31の実装動作が停止される。なお、基板Pに対する部品31の実装に影響がない場合、部品供給部3に正しい部品31がセットされるのを待たずに、実装を開始または再開してもよい。
ステップS7において、電気特性を測定した部品31が廃棄される。具体的には、電気特性を測定した部品31が測定用電極911および912から廃棄部12に搬送されて廃棄される。ステップS8において、生産用のノズル41に交換される。具体的には、実装ヘッド42に装着されている測定用ノズル41aがノズルステーション11に配置されているノズル41に交換される。そして、部品の電気特性測定処理が終了される。なお、測定が必要な部品31が複数ある場合、複数の実装ヘッド42を用いて、並行して複数の部品31の電気特性が測定される。
(測定用電極確認処理)
次に、図8を参照して、部品実装装置100の制御部8による測定用電極確認処理についてフローチャートに基づいて説明する。
図8のステップS11において、測定回数がカウントされる。つまり、測定用電極911および912を交換または清掃してからの部品31の電気特性の測定回数がカウントされる。ステップS12において、測定回数が所定の回数に到達したか否かが判断される。所定の回数に到達していなければ、測定用電極確認処理が終了され、所定の回数に到達していれば、ステップS13に進む。
ステップS13において、測定用の基板91の状態が確認される。具体的には、基板認識カメラ43または治具部品31aを用いて、基板91の測定用電極911および912の状態が確認される。ステップS14において、測定用基板の状態がOK(問題なし)か、NG(問題あり)かが判断される。OKであれば、測定用電極確認処理が終了され、NGであれば、ステップS15に進む。
ステップS15において、測定用の基板91が清掃される。具体的には、清掃用ノズル41bを用いて、基板91の測定用電極911および912が清掃される。ステップS16において、測定用の基板91の状態が再確認される。具体的には、基板認識カメラ43または治具部品31aを用いて、基板91の測定用電極911および912の状態が再確認される。つまり、清掃により測定用電極911および912の状態が良くなったかが確認される。
ステップS17において、測定用基板の状態がOK(問題なし)か、NG(問題あり)かが判断される。OKであれば、測定用電極確認処理が終了され、NGであれば、ステップS18に進む。ステップS18において、測定用の基板91の交換メッセージが表示される。具体的には、測定用の基板91の交換が必要である旨のメッセージが通知部13により通知される。その後、測定用電極確認処理が終了される。
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、実装ヘッド42に絶縁性の測定用ノズル41aを装着させた状態で、絶縁性の測定用ノズル41aにより部品31を吸着して搬送させ、部品31を測定用電極911および912に当接させて電気特性を測定する制御を行う制御部8を設ける。これにより、部品31の電気特性測定時に測定用ノズル41aに電流が流れるのを抑制することができるので、部品31の電気特性を精度よく測定することができる。また、制御部8を、電気特性を測定した部品31を廃棄する制御を行うように構成することによって、電気特性測定時に部品31に静電気が帯電した場合でも、電気特性を測定した部品31を廃棄するので、実装時に部品31に帯電した静電気が放電して部品31や基板Pが損傷するのを抑制することができる。これらの結果、部品31の電気特性を精度よく測定することができるとともに、製品としての部品31が実装された基板Pの信頼性を確保することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部8を、部品31の電気特性を測定した測定結果に基づいて、部品供給部3から供給される部品31が正しい種類か否かを判定するとともに、部品31の電気特性の測定結果に関わらず、電気特性を測定した部品31を廃棄する制御を行うように構成する。これにより、部品供給部3に正しい種類の部品31がセットされているのか否かを部品31の電気特性を測定することにより容易に判定することができる。たとえば、同一の種類の複数の部品31がテープに保持されて供給されたり、同一の種類の複数の部品31がトレイに載置されて供給される場合に、1つの部品31の電気特性を測定することにより、部品供給部3に正しい種類の部品31のテープまたはトレイがセットされているのか否かを容易に判定することができる。また、電気特性を測定した1つの部品31は必ず廃棄され、その廃棄された部品31以外の電気特性が測定されない部品31が実装されるので、部品実装の信頼性を確実に確保することができる。
また、本実施形態では、上記のように、測定用ノズル41aを、部品31と当接する部分の抵抗値が1014Ω以上の絶縁性を有するように構成する。これにより、部品31の電気特性測定時に測定用ノズル41aに電流が流れるのを効果的に抑制することができるので、部品31の電気特性をより精度よく測定することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部8を、部品31の電気特性を測定する際に、測定用電極911および912における部品31の当接位置を順番に変更するように構成する。これにより、測定用電極911および912の同じ位置に部品31を当接させる場合と比べて、測定用電極911および912が汚れたり削れたりするのを抑制することができるので、測定用電極911および912の表面の状態が悪化するのを遅らせることができる。これにより、測定用電極911および912のメンテナンスを行わずに部品31の電気特性を精度よく測定することが可能な期間を長くすることができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部8を、測定用電極911および912の状態を確認し、確認結果に基づいて、測定用電極911および912の交換を促す通知を行う制御、または、測定用電極911および912を清掃する制御を行うように構成する。これにより、測定用電極911および912の状態が悪化した場合に、通知により測定用電極911および912が交換されるか、または、測定用電極911および912が清掃されるので、部品31の電気特性の測定精度が低下するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部8を、測定用電極911および912を清掃する場合に、実装ヘッド42に清掃のための清掃用ノズル41bを装着して、清掃用ノズル41bにより、測定用電極911および912を清掃する制御を行うように構成する。これにより、清掃用ノズル41bが装着された実装ヘッド42により、測定用電極911および912を自動で清掃することができるので、ユーザが測定用電極911および912を清掃する場合に比べて、ユーザの作業負担を軽減することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部8を、電気特性測定部9による部品31の電気特性を測定する回数が所定の回数に到達した場合に、基板認識カメラ43により測定用電極911および912を撮像して測定用電極911および912の状態を確認する制御と、状態確認のための治具部品31aを測定用電極911および912に当接させて電気特性を測定することにより測定用電極911および912の状態を確認する制御と、のうち少なくとも一方を行うように構成する。これにより、部品31の電気特性を測定する回数が所定の回数に到達したことに基づいて、電気特性測定部9の測定用電極911および912の状態を定期的に確認することができる。また、基板認識カメラ43により測定用電極911および912を撮像して測定用電極911および912の状態を確認する場合、撮像した画像を解析することにより、測定用電極911および912の汚れや削れなどの有無を容易に確認することができる。また、状態確認のための治具部品31aを測定用電極911および912に当接させて電気特性を測定して測定用電極911および912の状態を確認する場合、電気特性が既知の治具部品31aに通電して測定し、測定結果と既知の電気特性とを比較することにより、測定の精度を確認することができるので、測定精度の悪化を容易に検出することができる。
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、絶縁性の測定用ノズルを樹脂により形成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、絶縁性の測定用ノズルを樹脂以外により形成してもよい。たとえば、絶縁性の測定用ノズルをゴムやセラミックや木材などにより形成してもよい。
また、上記実施形態では、部品実装用のノズルをセラミックにより形成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装用のノズルをセラミック以外により形成してもよい。たとえば、部品実装用のノズルを金属や樹脂などにより形成してもよい。
また、上記実施形態では、部品供給部にテープを保持したテープフィーダが配置される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品供給部に部品が載置されたトレイを配置してもよい。
また、上記実施形態では、実装ヘッドが円周状に複数設けられたいわゆるロータリー式のヘッドユニットを備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の実装ヘッドが直線状に1列または複数列設けられたいわゆるインライン式のヘッドユニットを設けてもよい。
また、上記実施形態では、ヘッドユニットが1つ設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ヘッドユニットを複数設けてもよい。また、1つのヘッドユニットに複数のロータリを設けてもよい。
また、上記実施形態では、基板を搬送するコンベアが一対設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板を搬送するコンベアが複数対設けられていてもよい。たとえば、並行して基板を搬送可能であり、並行して基板に部品を実装可能な部品実装装置に本発明を適用してもよい。
また、上記実施形態では、測定用電極を金(Au)により形成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、測定用電極を金(Au)以外により形成してもよい。たとえば、測定用電極を白金(Pt)や銅(Cu)などにより形成してもよい。また、測定用電極を合金により形成してもよい。
また、上記実施形態では、測定用電極の状態を確認するための治具部品をノズルステーションから供給する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、治具部品を部品供給部から供給してもよい。たとえば、部品供給部のテープフィーダやトレイから治具部品を供給してもよい。
また、上記実施形態では、測定用電極を清掃用ノズルによりふき取ることにより清掃する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ノズルから空気を噴射したり、空気を吸引したりすることにより測定用電極を清掃してもよい。また、実装ヘッドに清掃用ノズルとしてのブラシを装着し、ブラシにより掃くことにより測定用電極を清掃してもよい。
また、上記実施形態では、部品の電気特性を測定する毎に、測定用電極における部品の当接位置を前回の位置と重ならないように変更する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品の電気特性を測定する毎に、測定用電極における部品の当接位置を前回の位置と一部が重なるように変更するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部の制御処理を、処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。