JP2018174134A - 二次電池用電極およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】体積あたりのエネルギー密度、および出力特性の両方を向上させた二次電池用電極を提供する。【解決手段】二次電池用活物質およびグラフェンを含む電極合剤層を有する二次電池用電極であって、合剤層におけるグラフェンの含有量が、二次電池用活物質に対して0.05重量%以上0.9重量%以下であり、合剤層の空隙率が5.0体積%以上25.0体積%以下である二次電池用電極。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン電池等の二次電池用電極に関するものである。
近年、スマートフォン、携帯電話機などの携帯機器、ハイブリッド自動車、電気自動車、家庭用蓄電用途に非水電解質二次電池の研究開発が盛んに行われている。
これらの分野に用いられる非水電解質二次電池には、体積当りのエネルギー密度の向上が求められている。それを実現するための一手段としては、電池容量に貢献しない導電助剤やバインダーの含有量を削減することによる高容量化、および高密度化が挙げられる。
導電助剤は、一般的には導電性が高いカーボンが使用されるが、嵩高いため、プレスに対して変形し難く、高密度化には限界があった。そこで導電助剤の添加量を減らすことで、嵩高いカーボンの使用量が減るため電極が高密度化し、さらに活物質含有量が相対的に増えるため見かけ上の高容量化が可能である。しかし導電助剤の添加量を減らすと、電極の電子抵抗が高くなるため、所望の電池容量が得られない。つまり電極密度向上と高容量化はトレードオフの関係にあり、体積当りのエネルギー密度向上には限界があった。
この課題を解決するために、特許文献1では、繊維状のカーボンを導電助剤として用い、導電助剤の添加量を低減した際も低い電子抵抗を維持し、容量の低下を抑制することが提案されている。
特許文献2では、集電箔の強度を向上させることで高いプレス圧をかけることを可能とし、低い空隙率(高密度)の電極を得ることが提案されている。
特許文献3では、活物質の粒子径、電極合剤層の空隙率を規定し、低い空隙率(高密度)の電極を得ることで、体積エネルギー密度を向上させることが提案されている。
特許文献4では、還元された酸化グラフェンを含有した電極を用いることで、体積あたりのエネルギー密度が向上することが提案されている。
特開2005−63955公報 特開2009−48876公報 特開2015−37068号公報 特開2013−101983号公報
特許文献1では、繊維状のカーボンを用いているが、繊維状のカーボンは、プレスに対して変形し難いため、高密度化には限界がある。プレスの圧力を高くすることで空隙率が低い電極が得られたとしても、官能基の少ないカーボンであるため、電解液の保液性を維持するのは困難となり、十分な電池容量を得ることは困難である。
特許文献2では、集電箔の強度を向上させることで集電箔の破断は防ぐことができる。しかし、電池容量を維持するためには嵩高い導電助剤をある程度使用する必要があるため、プレス圧を高くする必要がある。そうすると、合剤層にも高いプレス圧がかかるため、電極材料の崩壊が起き、崩壊面と電解液の反応が促進されることでサイクル特性が悪化する。
特許文献3では、電池容量を維持するために導電助剤の使用量をある程度必要としており、高密度化を実現するためにプレス圧を高くする必要があるため、集電箔の破断や、電極材料の崩壊が起き、崩壊面と電解液の反応が促進され、サイクル特性が悪化する。
特許文献4では、グラフェンを用いることで活物質以外の重量や体積を減少させるとしているが、グラフェンが活物質を覆うように存在させるため活物質の粒子径を150nm以下と小さくする必要があるため、電極密度が向上し難くなる。また活物質を覆うためにはグラフェンの添加量を多くする必要があるため、高密度化には限界がある。
本発明は、体積あたりのエネルギー密度、および出力特性の両方を向上させた二次電池用電極を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、二次電池用活物質およびグラフェンを含む電極合剤層を有する二次電池用電極であって、合剤層におけるグラフェンの含有量が、二次電池用活物質100重量%に対して0.05重量%以上0.9重量%以下であり、合剤層の空隙率が5.0体積%以上25.0体積%以下である二次電池用電極である。
本発明によれば、低い空隙率(高密度)を維持しながらも、電極の抵抗を低減することが可能となるため、体積あたりのエネルギー密度、および出力特性が高い二次電池用電極を提供することができる。
<二次電池用電極>
本発明の二次電池用電極(以下、単に「電極」という場合がある)は、二次電池用活物質およびグラフェンを含む合剤層を有する。
〔グラフェン〕
本発明の二次電池用電極においては、導電助剤として、薄層形状で単位重量当りの導電パスが多く、電極内において良好な導電ネットワークを形成しやすいグラフェンを用いる。グラフェンとは、狭義には1原子の厚さのsp結合炭素原子のシート(単層グラフェン)を指すが、本明細書においては、単層グラフェンが積層した薄片状の形態を持つものも含めてグラフェンと呼ぶ。また、酸化グラフェンも同様に、積層した薄片状の形態を持つものも含めた呼称とする。
本発明に用いるグラフェンの厚みには特に制限は無いが、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは20nm以下である。100nmを超えるとグラフェンの柔軟性が悪化する傾向にあるため、電極密度が向上し難くなる。また好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上である。5nmを下回ると凝集しやすい傾向にあるため、分散性が低下し、取扱いが困難になる。
グラフェンの厚みは、以下のようにして求めた値を用いる。まず、グラフェンを、N−メチルピロリドン(NMP)を用いて0.002重量%に希釈し、ガラス基板上に滴下、乾燥する。そして、基板上のグラフェンを立体形状の測定が可能であるレーザー顕微鏡で観察し、個々のグラフェンについて、厚さを測定する。個々のグラフェンの厚みにバラつきがある場合には、面積平均を求める。このようにランダムに50個のグラフェンについて厚さを算出し、その平均値をグラフェンの厚みとする。
グラフェンの面方向の大きさにも特に制限は無いが、下限として、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.7μm以上、さらに好ましくは1μm以上であり、上限として、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。ここでいうグラフェンの面方向の大きさとは、グラフェン面の最長径と最短径の平均を指す。
グラフェンの比表面積はグラフェンの厚さとグラフェンの剥離度を反映している。グラフェンの比表面積が大きいほどグラフェンが薄く、剥離度が高いことを示している。グラフェンの比表面積が小さい、すなわち剥離度が低いと、電極の導電性ネットワークを形成することが難しくなり、グラフェンの比表面積が大きい、すなわち剥離度が高いと凝集しやすくなるため分散性が低下し、取扱いが困難になる。本発明で使用されるグラフェンは、BET測定法により測定される比表面積は80m/g以上250m/g以下であることが好ましく、100m/g以上200m/g以下であることがより好ましく、130m/g以上180m/g以下であることが更に好ましい。なお、BET測定法はJIS Z8830:2013に記載の方法で行い、吸着ガス量の測定方法はキャリアガス法で、吸着データの解析は一点法で行うものとする。
本発明で使用するグラフェンは、X線光電子分光分析によって測定された炭素に対する酸素の元素比(O/C比)が0.08以上0.30以下であることが好ましい。グラフェン表面の酸素原子が少なすぎると分散性が悪くなる。逆に、酸素原子が多すぎるのはグラフェンが十分還元できていない状態であり、π電子共役構造が復元せずに導電性が低下する。グラフェン表面の酸素原子は、ヒドロキシ基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、エステル結合(−C(=O)−O−)、エーテル結合(−C−O−C−)、カルボニル基(−C(=O)−)、エポキシ基などの酸素原子を含有する極性の高い官能基に由来する。なお、グラフェンに表面処理剤を付与する場合があるが、グラフェン自体の官能基だけでなく、このような表面処理剤が有する官能基に由来する酸素原子も、「グラフェン表面の酸素原子」に含めるものとする。すなわち、表面処理剤が付与されたグラフェンにおいては、表面処理剤処理後の表面のO/C比が上記範囲であることが好ましい。グラフェンのO/C比は、より好ましくは0.12以上0.20以下、更に好ましくは0.14以上0.17以下である。
X線光電子分光分析では、超高真空中に置いた試料表面に軟X線を照射し、表面から放出される光電子をアナライザーで検出する。この光電子をワイドスキャンで測定し、物質中の束縛電子の結合エネルギー値を求めることで、物質表面の元素情報が得られる。さらに、ピーク面積比を用いて元素比を定量することができる。
O/C比は、例えば化学剥離法を用いた場合は原料となる酸化グラフェンの酸化度を変えたり表面処理剤の量を変えたりすることによりコントロールすることが可能である。酸化グラフェンの酸化度が高いほど還元後に残る酸素の量も多くなり、酸化度が低いと還元後の酸素量が低くなる。酸性基のある表面処理剤の付着量が多くなるほど酸素量を多くすることができる。表面処理剤としては、アミノ基および酸性基を有する化合物が好ましく、特にドーパミン塩酸塩が好ましい。
本発明で使用するグラフェンは、官能基化率が0.07以上0.6以下であることが好ましく、0.10以上0.5以下であることがさらに好ましく、0.2以上0.4以下であることが最も好ましい。官能基化率が0.07を下回ると低い空隙率の電極の際に、電解液との濡れ性が低下し、イオン伝導性が損なわれるため所望の電池容量が得られないことがある。また官能基化率が0.6を上回ると電子伝導性が損なわれるため、所望の電池容量が得られないことがある。
官能基化率は、X線光電子分光測定により求められる。X線光電子分光測定では、炭素を含有する試料を測定すると284eV付近に炭素に由来するピークが検出されるが、炭素が酸素に結合している場合は高エネルギー側にシフトすることが知られている。具体的には炭素が酸素に結合していないC−C結合、C=C結合、C−H結合に基づくピークはシフトせずに284eV付近に検出され、C−O結合の場合286eV付近に、C=O結合の場合287.5eV付近に、COO結合の場合288.5eV付近にシフトする。そのため、炭素に由来する信号は、284eV付近、286eV付近、287.5eV付近、288.5eV付近のそれぞれのピークを重ね合わせた形で検出される。このピークをピークフィッティングにより各成分にピーク分離することにより、各々のピーク面積を算出することが可能であり、どの程度の割合で炭素が官能基化されているかがわかる。グラファイト成分に基づき286e付近と290.5eV付近にも信号が現われる。この信号はC−C、C=C及びC−H結合に基づく成分としてフィッティングする。
すなわち、官能基化率は、
官能基化率=[(C−O結合に基づくピーク面積)+(C=O結合に基づくピーク面積)+(COO結合に基づくピーク面積)]/(C−C、C=C及びC−H結合に基づくピーク面積)
で定義される数値である。
なお、電極中に含まれるグラフェンの各種物性は、後述の方法により合剤層からグラフェンを分離した後に測定することができる。
〔二次電池用活物質〕
二次電池用活物質は、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出可能な材料であり、例えば、リチウムイオン電池の正極活物質、リチウムイオン電池の負極活物質、硫黄活物質、金属空気電池の正極(空気極)活物質が挙げられる。正極活物質としては、スピネル型構造のマンガン酸リチウム(LiMn)、岩塩型構造のマンガン酸リチウム(LiMnO)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、ニッケルをマンガン・コバルトで一部置換した三元系(LiNiMnCo1−x−y)、コバルト・アルミニウムで一部置換した三元系(LiNiCoAl1−x−y)、V等の金属酸化物活物質やTiS、MoS、NbSeなどの金属化合物系活物質、オリビン型構造のリン酸鉄リチウム(LiFePO)、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、あるいは固溶体系活物質などを用いることができる。
本発明に用いる正極活物質としては、特にリチウムとニッケルを含有する活物質が好ましい。リチウムとニッケルを含有する活物質としては、具体的には、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、ニッケルをマンガン・コバルトで一部置換した三元系(LiNiMnCo1−x−y)、コバルト・アルミニウムで一部置換した三元系(LiNiCoAl1−x−y)がエネルギー密度を向上させる上で好ましい。
さらに、造粒体の正極活物質を用いる場合は、グラフェンが活物質表面の凹凸形状に追従しつつ面で接する傾向があるため、特に本発明の効果が顕著になる。造粒体とは粉体を分散させたスラリーを噴霧乾燥などで球状に造粒した粒子を意味する。造粒体として用いられる正極活物質には三元系(LiNiMnCo1−x−y)やLiNiCoAl1−x−yなどがあり、一次粒子が集合して二次粒子が形成されているため、表面が凹凸形状となる傾向があり、正極活物質と導電助剤の接する面を増やす必要があるため本発明の効果が顕著に発揮される。
また、負極活物質材料としては、チタン(Ti)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等のリチウムと合金を形成する材料、Si、SiO、SiC、SiOC等を基本構成元素とするケイ素化合物、ポリアセチレンやポリピロール等のリチウムをドープした導電性高分子が利用できる。
二次電池用活物質の粒子径は、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは10μm以下であり、さらに好ましくは5μm以下である。なお、本明細書において粒子径はメジアン径(D50)を意味するものとする。メジアン径は、レーザー散乱粒度分布測定装置(例えば、日機装社製マイクロトラックHRAX−100)により測定することができる。また、本明細書において「二次電池用活物質の粒子径」は、活物質が造粒体の場合には二次粒子径を意味するものとする。
二次電池用活物質の粒子径は、粒子径が異なる二種類の粒子を混ぜることで、より高密度化が可能となり、エネルギー密度が向上する上で好ましい。すなわち粒子径が9.0〜40μmの粒子の割合が、活物質粒子の総重量を100重量%とした場合に40重量%以上95重量%以下であり、粒子径が0.001〜6.0μmの粒子の割合が5重量%以上60重量%以下であり、前記粒子径が9.0〜40μmの粒子と前記粒子径が0.001〜6.0μmの粒子とを合計した割合が95重量%以上であることがエネルギー密度を向上させる上で好ましい。
また、二次電池用活物質は、粒子径が0.5〜6.0μmの粒子の割合が5重量%以上60重量%以下であることがさらに好ましい。本発明で使用するグラフェンは、0.5〜6.0μmの粒子径の活物質粒子を被覆し易い傾向にあるため、グラフェンが小さい活物質とともに効率良く空隙に入り込むことができ、エネルギー密度を向上させる上で好ましい。
なお、電極中に含まれる二次電池用活物質の各種物性は、後述の方法により合剤層からグラフェンを分離した後に測定することができる。
〔合剤層〕
合剤層は、二次電池用活物質とグラフェンを含み、さらに必要に応じて、グラフェン以外の導電助剤およびバインダーを含むことができる。合剤層のグラフェンおよび二次電池用活物質は、前述のものを用いることができる。
一般に、電極における合剤層の空隙率を小さくし、合剤層に充填できる二次電池用活物質の量を多くすると、体積エネルギー密度の大きなリチウムイオン二次電池用電極が得られる。しかしながら、合剤層の空隙率を小さくすることは容易では無く、また、合剤層の空隙率を小さくできたとしても、前記の通り、正極合剤層内に非水電解液が浸透し難くなることや、プレス圧力を強くする必要があることから、二次電池の出力特性、およびサイクル特性が損なわれてしまう。そこで、本発明では、導電助剤としてグラフェンを用い、さらにその添加量を所定範囲に調整することにより、低いプレス圧力においても前記のような空隙率の小さな合剤層の形成を可能としてリチウムイオン二次電池の体積エネルギー密度向上を可能とする一方で、良好な電池特性を維持できるようにしている。
合剤層中のグラフェンの含有量は、二次電池用活物質に対して0.05重量%以上0.9重量%以下であり、0.1重量%以上0.75重量%以下であることが好ましく、0.2重量%以上0.5重量%以下であることが、塗工性とエネルギー密度を両立する上でより好ましい。
合剤層中のグラフェンの含有量および二次電池用活物質の含有量は、以下のように測定することができる。まず電池をArグローブボックス内で解体し、電極をジメチルカーボネートで洗浄し、不活性のグローブボックスのサイドボックス内で1時間真空乾燥を行う。次にスパチュラを用いて、集電箔から合剤層を剥離し、得られた粉体を、N−メチルピロリドン(NMP)や水などの溶媒に溶解させ、ろ過を行うことでろ物(二次電池用活物質、導電助剤、溶媒)とろ液(溶媒、その他)に分離する。得られたろ物を乾燥することで溶媒を除去し、二次電池用活物質と導電助剤の総重量を求める。さらに塩酸および硝酸などの酸を用いることで二次電池用活物質を溶解し、ろ過を行うことでろ物(導電助剤)とろ液(電極活物質の溶解物、水)に分離する。さらにろ物を水で洗浄後、乾燥し、重量を測定することで合剤層中の導電助剤の含有量を測定することができる。また二次電池用活物質と導電助剤の総重量と導電助剤の重量から二次電池用活物質の重量を求めることができる。
なお、導電助剤にグラフェンとそれ以外の材料が含まれている場合は、粉体のSEM画像から、それぞれの導電助剤のサイズを求め、グラフェンのみを通過、あるいは捕捉するように篩を用いて回収することでグラフェンのみの含有量を求めることができる。複数の導電助剤のサイズが同程度であり、篩がけが困難な場合は、粉体の表面SEM画像の断面面積の比率から、それぞれの含有量を求めることができる。
本発明において、合剤層の空隙率は、5.0体積%以上25.0体積%以下であり、好ましくは5.0体積%以上20.0体積%以下、さらに好ましくは5.0体積%以上15.0体積%以下である。合剤層の空隙率は、合剤層の見かけの体積(空隙を含む体積)を100%としたときの、合剤層を構成する全ての材料を除いた部分の体積割合を百分率で表したものである。具体的には、まず、電極の重量を測定し、その値から集電体の重量を引いて求められる合剤層の重量を、電極5点の平均厚みから集電体の厚みを引いて求められる合剤層の厚みに合剤層の面積を乗じて求められる合剤層の体積で除して、合剤層の密度Dcを求める。次に、合剤層に含まれる全ての材料の真密度と質量比率から、合剤真密度Mcを求める。そして、空隙率Pは、前記の合剤層の密度Dcと合剤真密度Mcとを用いて、下記式によって求められる。
P = {1−(Dc/Mc)}×100
真密度の測定方法としては、未知の材料に対しては、JIS R7603(1999)D法:比重瓶法(ピクノメーター法)に準じて測定することができる。ただし電極を構成する物質に以下の材料が含まれる場合は、以下に記載の値を用いる。
・コバルト酸リチウム(LiCoO) 5g/cc
・マンガン酸リチウム(LiMn) 4.2g/cc
・LiNi0.8Co0.15Al0.05 4.7g/cc
・LiNi0.33Mn0.33Co0.33 4.7g/cc
・LiMnO−LiNiCoMnO 4.2g/cc
・リン酸鉄リチウム(LiFePO) 3.7g/cc
・カーボン 2.0g/cc
・ポリフッ化ビニリデン(PVDF) 1.78g/cc
未知の電極合剤層の空隙率を求める場合は、合剤真密度を求めるために、合剤層の構成材料および組成比を分析する必要がある。
グラフェン以外の導電助剤としては、高い電子伝導性を有することが好ましい。このような導電助剤としては、炭素繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、VGCF(登録商標)−H(昭和電工社製)などの炭素材料、銅、ニッケル、アルミニウムもしくは銀などの金属材料またはこれらの混合物の粉末や繊維などが好ましい。特に繊維形状のカーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、VGCF(登録商標)−H(昭和電工社製)が電極の厚み方向の導電性を向上させるためより好ましい。
グラフェン以外の導電助剤は、添加することで電極の導電性が向上し、電池容量が向上する可能性がある一方で、多すぎると電極密度が向上し難くなり、エネルギー密度が低下するため、合剤層中におけるグラフェン以外の導電助剤含有量は、二次電池用活物質に対して0.01重量%以上0.4重量%以下であることが好ましく、0.05重量%以上0.3重量%以下であることがより好ましく、0.1重量%以上0.2%重量以下であることがさらに好ましい。
バインダーとしては、特に限定されないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系重合体、あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴムなどのゴム、カルボキシメチルセルロース等の多糖類、ポリイミド前駆体および/またはポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。これらは2種以上の混合物として用いてもよい。
バインダーは、多すぎると抵抗が大きくなり、かつエネルギー密度が低下するため、合剤層中におけるバインダーの含有量は、二次電池用活物質に対して0.05重量%以上1.0重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以上0.75重量%以下であることがより好ましく、0.2重量%以上0.5%重量以下であることが、塗工性およびエネルギー密度向上の上で、さらに好ましい。なお、本発明で使用するグラフェンは、自立膜を形成し、活物質を保持する特徴を有するため、バインダーを使用しなくても良い。
合剤層の構成材料および組成比を分析する方法としては、電極合剤層のX線回折測定により、二次電池用活物質の種類を特定することができる。2種類以上の二次電池用活物質が混ざっている場合は、さらに合剤層をエネルギー分散型X線分光法、あるいはICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析計)により活物質の混合比率を求めることができる。さらに集電箔から合剤層を剥離し、得られた粉体を、N−メチルピロリドン(NMP)や水などの溶媒に溶解させ、ろ過を行うことでろ物(二次電池用活物質、導電助剤、溶媒)とろ液(溶媒、バインダー)に分離する。
ろ液をFT−IR測定し、得られたスペクトルよりPVDF由来のC−F吸収が観測された場合、バインダーとしてPVDFが含まれていると判断できる。またろ液を乾燥させ、重量を測定することで合剤層中のバインダーの含有量を測定することができる。
合剤層の体積抵抗率は、20Ω・cm以上1000Ω・cm以下であることが好ましく、30Ω・cm以上100Ω・cm以下であることがさらに好ましく、35Ω・cm以上85Ω・cm以下であることが最も好ましい。体積抵抗率が1000Ω・cmを超えると電子伝導性が不足し、出力特性が低下する。また20Ω・cmを下回ると、イオン伝導性が不足し、出力特性が低下する。合剤層の体積抵抗率は、電極の厚みの法線方向を端子プローブで四端子法による測定端子を結合し、体積抵抗値を測定することができる。電池内の合剤層の体積抵抗値を測定する方法としては、電池を解体後、正極を取り出してジエチルカーボネートで洗浄し、乾燥した電極をジエチルカーボネートで洗浄し、乾燥した後、上述の四端子法による測定端子を結合し、体積抵抗値を測定することができる。
<二次電池用電極の製造方法>
本発明の二次電池用電極は、一例として、二次電池用活物質に対してグラフェンを0.05重量%以上0.9重量%以下含む電極ペーストを集電体に塗布する電極ペースト塗布工程と、電極ペーストを塗布した集電体を、線圧5kN/cm以上25kN/cm以下のロールプレスまたは面圧2t/cm以上7t/cm以下の平面プレスによりプレスするプレス工程とを有する製造方法により製造することができる。
〔電極ペースト塗布工程〕
電極ペーストと不工程においては、二次電池用活物質に対してグラフェンを0.05重量%以上0.9重量%以下含む電極ペーストを集電体に塗布する。
電極ペーストを調整する際のグラフェンは、粉末状のものを用いてもよいが、グラフェン分散液の状態のものを用いることで、電極内においてもグラフェンの分散性が向上し、低いプレス圧力においても前記のような空隙率の小さな合剤層の形成を可能とするため、本発明の効果を引き出す上で好ましい。
この場合、グラフェン分散液の固形分率は、0.3重量%以上40重量%以下であることが好ましい。固形分率は20重量%以下がより好ましく、10重量%以下がさらに好ましく、5重量%以下が一層好ましく、2重量%以下が特に好ましい。また、固形分率は0.7重量%以上であることがより好ましく、1重量%以上であることがさらに好ましい。固形分率が5重量%以下であると、流動性が出やすく取り扱い性に優れる。固形分率が40重量%を超えると、分散液中でグラフェンのスタックが起こりやすくなり、良好な分散状態を維持しにくく、0.3重量%未満であると、二次電池用ペーストの製造に用いた際、分散液中の溶媒により二次電池用ペーストの固形分率が下がり粘度が低下するため、塗工性が悪化する傾向がある。
グラフェン分散液の固形分率は、グラフェン分散液から溶媒を乾燥させた後の重量を測定し、測定値をグラフェン分散液自体の重量で除すことで算出できる。具体的には、グラフェン分散液1g程度を重量既知のガラス基板上に付着させ、120℃に温度調整したホットプレート上で1.5時間加熱して溶媒を揮発させた際に残存したグラフェンの重量を測定する。
なお、グラフェン分散液の製造方法は特に限定されないが、好ましい製造方法については後述する。
バインダーは前述のものを用いることができる。バインダーは、予め溶媒に溶解させたバインダー溶液を用いることが好ましい。使用する溶媒としては、NMP、γ−ブチロラクトン、水、ジメチルアセトアミドなどが挙げられ、バインダーとしてPVDFを用いる場合には、溶解性の観点からNMPを用いることが最も好ましい。バインダー溶液の濃度は、3重量%以上20重量%以下であることが好ましく、5重量%以上10重量%以下であることがさらに好ましい。濃度が低すぎると二次電池用ペーストにダマができる可能性があり、濃度が高すぎるとバインダーが十分に溶けない可能性が生じ、合剤層と集電箔の結着性が低下する可能性がある。なお、前述のように、バインダーを用いずに電極ペーストを調製してもよい。
特に、まずグラフェン分散液とバインダー溶液を混合し、その後、さらに活物質と混合し、溶媒で希釈することにより電極ペーストを得ることが好ましい。このような順で調製することにより、グラフェンの凝集を防ぎ、導電パスを多く形成することができる。
二次電池用活物質とグラフェン、そして、必要に応じさらにバインダーを混合するための機器としては、せん断力を加えることのできる装置が好ましく、例えばプラネタリミキサー、フィルミックス(登録商標)(プライミクス社)、自公転ミキサー、遊星ボールミルなどを用いることができる。
二次電池用ペースト中におけるグラフェンの含有量は、二次電池用活物質100重量%に対して0.05重量%以上0.9重量%以下とする。二次電池用ペースト中におけるグラフェンの含有量は、二次電池用活物質に対して0.1重量%以上0.75重量%以下であることが好ましく、0.2重量%以上0.5重量%以下であることが、塗工性とエネルギー密度を両立する上でより好ましい。
また、二次電池用ペースト中におけるバインダーの含有量は、二次電池用活物質100重量%に対して0.05重量%以上1.0重量%以下であることが好ましい。
希釈の際に使用する溶媒としては、バインダー溶液の溶媒と同様のものを用いることが好ましい。
希釈に必要な溶媒の量は、塗工に適した粘度になるよう適宜調整される。電極ペーストの塗工に適した粘度(25℃、ブルックフィールド粘度計LVDVII+、ローターNo.6、60rpm)は、高すぎると塗工不良が生じ、かつ低すぎると電極表面にグラフェンが偏析する傾向にあるため、好ましくは2000〜10000mPa・s、より好ましくは3000〜7000mPa・s、さらに好ましくは4000〜6000mPa・sである。
以上のようにして得られた二次電池用電極ペーストを集電体に塗布する。集電体上への正極の形成方法は、特に限定されないが、例えば前記ペーストをドクターブレード、ダイコータ、コンマコータ等により塗布した後に、後述する乾燥工程により溶剤を除去する方法、あるいはスプレーにより塗布した後に溶剤を除去する方法が好ましい。
集電体の厚みは、特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ま
しい。10μm未満では破断が起きやすくなり、100μmより厚い場合はエネルギー密度の観点から不利になる。
正極に用いる集電体は、アルミニウム又はその合金であることが好ましい。前記アルミニウムは、正極反応雰囲気下で安定であることから、特に限定されないが、JIS規格1030、1050、1085、1N90、1N99等に代表される高純度アルミニウムであることが好ましい。
負極に用いる集電体は、アルミニウム以外の金属(銅、SUS、ニッケル、チタン、及びそれらの合金)の表面にアルミニウムを被覆したものも用いることもできる。
なお、集電体は、金属材料(アルミニウム、銅、SUS、ニッケル、チタン、及びそれらの合金)の表面に負極の電位で反応しない金属を被覆したものも用いることもできる。
〔乾燥工程〕
二次電池用電極の製造においては、電極ペーストを集電体に塗布した後、乾燥する乾燥工程を有することが好ましい。溶媒を除去する方法は、オーブンや真空オーブンを用いた乾燥が好ましい。溶媒を除去する雰囲気としては、空気、不活性ガス、真空状態などが挙げられる。また、溶媒を除去する温度は、特に限定されないが、60℃以上250℃以下であることが好ましい。60℃未満では溶媒の除去に時間を要する場合があり、250℃より高いと、バインダーが劣化する場合がある。
〔プレス工程〕
乾燥した後、合剤層の密度を上げるため、電極ペーストを塗布した集電体をプレスするプレス工程を行う。
プレス装置は、合剤層の密度を向上させることができれば、特に限定されず、平面プレス機、ロールプレス機などを用いることができるが、合剤層表面の均一性の観点、および生産性の面から、ロールプレスを用いることが好ましい。
ロールプレスを用いる場合の線圧は、5kN/cm以上25kN/cm以下であり、15kN/cm以上20kN/cm以下であることが好ましい。線圧が低すぎると、電極密度が向上し難くなり、体積当りのエネルギー密度が低下する。一方、線圧が高すぎると、集電箔の破断、および電極合剤層の崩壊が起き、崩壊面と電解液の反応が促進され、サイクル特性が悪化する。
なお、平面プレスを用いる場合のプレス圧力は、2t/cm以上7t/cm以下とする。平面プレス機としては、油圧式のプレス機を用いることが好ましい。
<グラフェン分散液の調製>
電極ペースト調製工程で用いるグラフェン分散液は、一例として、下記の方法で調製することができる。
〔酸化グラフェンの作製〕
酸化グラフェンの作製法に特に限定は無く、ハマーズ法等の公知の方法を使用できる。また市販の酸化グラフェンを購入してもよい。
酸化グラフェンは高い分散性を有するが、それ自体は絶縁性で導電助剤等に用いることはできない。酸化グラフェンの酸化度が高すぎると、還元して得られるグラフェン粉末の導電性が悪くなる場合があるため、酸化グラフェンの、X線光電子分光法によって測定される酸素原子に対する炭素原子の割合は、0.5以上であることが好ましい。酸化グラフェンをX線光電子分光法で測定する際には、十分に溶媒を乾燥させた状態で行う。
また、内部までグラファイトが酸化されていないと、還元した時に薄片状のグラフェン粉末が得られにくい。そのため、酸化グラフェンは、乾燥させてX線回折測定をした時に、グラファイト特有のピークが検出されないことが望ましい。
酸化グラフェンの酸化度は、黒鉛の酸化反応に用いる酸化剤の量を変化させることで調整することができる。具体的には、酸化反応の際に用いる、黒鉛に対する硝酸ナトリウムおよび過マンガン酸カリウムの量が多いほど高い酸化度になり、少ないほど低い酸化度になる。黒鉛に対する硝酸ナトリウムの重量比は特に限定されるものではないが、0.200以上0.800以下であることが好ましく、0.250以上0.500以下であることがより好ましく、0.275以上0.425以下であることがさらに好ましい。黒鉛に対する過マンガン酸カリウムの比は特に限定されるものではないが、1.00以上であることが好ましく、1.40以上であることがより好ましく、1.65以上であることがさらに好ましい。また、4.00以下であることが好ましく、3.00以下であることがより好ましく、2.55以下であることがさらに好ましい。
〔表面処理工程〕
表面処理工程においては、酸化グラフェンを、酸性基を有する表面処理剤と混合する。表面処理剤は、少なくともその一部がグラフェンの表面に付着して存在していることで、グラフェンの分散性を高める効果を発揮するものである。表面処理剤を含むことで、電極内においてもグラフェンの分散性が向上し、低いプレス圧力においても空隙率の小さな合剤層の形成を可能とするため好ましい。ここで、酸性基とは、ヒドロキシ基、フェノール性ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、またはカルボニル基である。表面処理剤は、酸性基、すなわちヒドロキシ基、フェノール性ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、またはカルボニル基を有する化合物であれば特に制限はなく、高分子化合物であっても低分子化合物であってもよい。
酸性基を有する高分子化合物としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリメチルビニルエーテル、等を例示できる。低分子化合物としては、グラフェン表面との親和性という観点から芳香環を持つ化合物が好ましい。グラフェンの導電性を高める観点からは、高分子化合物よりも低分子化合物の方が好ましい。
中でも、カテコール基を有する化合物は、グラフェンへの接着性、溶媒への分散性を有することから、表面処理剤として好ましい。カテコール基を有する化合物としては、カテコール、ドーパミン塩酸塩、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、4−(1−ヒドロキシ−2−アミノエチル)カテコール、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸、カフェイン酸、4−メチルカテコールおよび4−tert−ブチルピロカテコールが挙げられる。
表面処理剤の酸性基としては、フェノール性ヒドロキシ基が好ましい。フェノール性ヒドロキシ基を持つ化合物としては、フェノール、ニトロフェノール、クレゾール、カテコール、およびこれらの一部を置換した構造をもつ化合物が挙げられる。
また、酸性基を有する界面活性剤も、表面処理剤として好適に用いられる。界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等のいずれも使用できるが、アニオン、カチオンはそれ自体が電気化学反応に関与することがあるため、電池材料として使用する場合にはイオン化されていないノニオン系界面活性剤が好適である。
また、表面処理剤は、酸性基に加えて塩基性基を有していても良く、特にアミノ基を有することにより分散性が向上する。そのため、カテコール基およびアミノ基の両方を持つ化合物は、表面処理剤として特に好ましい。このような化合物としてはドーパミン塩酸塩が例示される。
酸化グラフェンと表面処理剤を良好に混合するには、酸化グラフェンと表面処理剤のいずれもが溶媒(分散媒)中に分散している状態で混合することが好ましく、後述する還元工程の前後、または最中に混合することがさらに好ましい。この際、酸化グラフェンと表面処理剤はいずれも完全に溶解している事が好ましいが、一部が溶解せずに固体のまま分散していても良い。溶媒としては極性溶媒が好ましく、特に限定されるものではないが、水、エタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、或いは上記の混合物等が挙げられる。
〔還元工程〕
還元工程では、水を含む分散媒に分散した酸化グラフェンを還元する。還元工程で用いる溶媒としては、極性溶媒が好ましく、水、エタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、或いは上記の混合物等が好ましい例として挙げられる。また、前述の表面処理剤混合工程を溶媒中で行う場合には、当該工程の終了後の状態でそのまま還元工程に移るか、あるいは表面処理剤混合工程で用いた溶媒と同じ溶媒で希釈して還元することが好ましい。
酸化グラフェンを還元する方法は特に限定されないが、化学還元が好ましい。化学還元の場合、還元剤としては、有機還元剤、無機還元剤が挙げられるが、還元後の洗浄の容易さから無機還元剤がより好ましい。
有機還元剤としてはアルデヒド系還元剤、ヒドラジン誘導体還元剤、アルコール系還元剤が挙げられ、中でもアルコール系還元剤は比較的穏やかに還元することができるため、特に好適である。アルコール系還元剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ベンジルアルコール、フェノール、エタノールアミン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、などが挙げられる。
無機還元剤としては亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウム、亜リン酸、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジンなどが挙げられ、中でも亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウムは、酸性基を比較的保持しながら還元できるので溶媒への分散性の高いグラフェンが製造でき、好適に用いられる。
〔洗浄工程〕
還元工程を終えた後、好ましくは水で希釈し濾過する洗浄工程を行うことで、グラフェンの純度が向上し、グラフェンが水に分散したゲル状の分散液が得られる。不純物が多く存在する場合、充放電時に不可逆な反応が生じ、電池容量が減る可能性があり、エネルギー密度低下につながる可能性がある。なお、本明細書においては、最終的に完成したグラフェン分散液以外の、グラフェンまたは酸化グラフェンが何らかの分散媒に分散した状態にある製造途中の中間体を、ゲル状のものも含め、便宜的に全て「中間体分散液」と呼ぶものとする。
〔微細化工程〕
還元工程の前後、または最中に、還元工程の前後または還元工程の最中の中間体分散液に含まれる酸化グラフェンまたは還元後のグラフェンを微細化する微細化工程を行ことが好ましい。酸化グラフェンを微細化した状態で還元工程を行うことが還元反応の均一性の観点から好ましく、微細化工程は還元工程の前または還元工程の最中に行うことが好ましい。
微細化工程を加えることにより、酸化グラフェンまたはグラフェンの面方向の大きさを適切な大きさにすることができる。微細化する手法としては特に限定はないが、複数のビーズやボールなどの粉砕メディアを分散液と混合し、粉砕メディア同士を衝突させることにより、酸化グラフェンまたはグラフェンを破砕し分散させる手法の場合、酸化グラフェンまたはグラフェン同士の凝集を誘発するため、粉砕メディアを用いずに分散液に強いせん断力を与えるメディアレス分散法が好ましく用いられる。例として、圧力を印加した中間体分散液を単体のセラミックボールに衝突させる手法、あるいは圧力を印加した中間体分散液同士を衝突させて分散を行う液―液せん断型の湿式ジェットミルを用いる手法を挙げることができる。また、中間体分散液に超音波を印加する手法も、メディアレス分散法であり、好ましい手法である。
微細化工程においては、メディアレス分散法における処理圧力や出力が高いほど酸化グラフェンまたはグラフェンは微細化する傾向にあり、処理時間が長いほど微細化する傾向にある。好ましいグラフェンの面方向の大きさは先に示したとおりである。微細化工程における微細化処理の種類・処理条件・処理時間により還元後のグラフェンの大きさを調製することが可能である。本発明で使用するグラフェンを得るうえで微細化処理の好ましい条件としては、酸化グラフェン又はグラフェンの固形分濃度は0.01%〜2%であることが好ましく、0.05%から1%であることが更に好ましい。また、超音波処理を行う場合、超音波出力は100W以上3000W以下が好ましく、200W以上2000W以下が更に好ましい。また処理時間は、10分以上10時間以下が好ましく、20分以上5時間以下が更に好ましく、30分以上3時間以下が特に好ましい。
〔有機溶媒混合工程〕
有機溶媒混合工程においては、還元工程後の中間体分散液中の水を有機溶媒に置換するために、中間体分散液と有機溶媒とを混合する。有機溶媒混合工程においては、表面処理工程および還元工程を経て得られた中間体分散液、または必要に応じてさらに洗浄工程および/または微細化工程を行った中間体分散液と、有機溶媒とを直接混合する。すなわち、還元工程終了後から有機溶媒混合工程における有機溶媒との混合まで、中間体分散液は常に分散液の状態にあり、中間体分散液から分散媒を除去してグラフェンを粉末状態として回収する凍結乾燥等の操作は行わない。
有機溶媒混合工程における中間体分散液と有機溶媒との混合比は特に限定されないが、混合する有機溶媒が少なすぎると高粘度になるため取り扱いが困難であり、混合する有機溶媒が多すぎると単位処理量あたりのグラフェン量が少なくなるため処理効率が悪くなる。取扱いの容易な低粘度の分散液を得つつ処理効率を良くする観点から、還元工程後の中間体分散液100質量部に対して、好ましくは有機溶媒を10〜3000質量部、より好ましくは20〜2000質量部、さらに好ましくは50〜1500質量部混合するとよい。
〔強撹拌工程〕
有機溶媒混合工程の後、有機溶媒を含む中間体分散液をミキサーの回転刃の周速6m/s以上70m/sで撹拌処理する工程(強撹拌工程)を実施する。強撹拌工程でグラフェンを剥離することで、グラフェン同士のスタックを解消することができ、低いプレス圧力においても空隙率の小さな合剤層の形成を可能とするため好ましい。なお、本明細書においては、中間体分散液にこのような強い攪拌力を与えられる回転刃ミキサーを「強攪拌ミキサー」と呼ぶ。
強撹拌工程において、ミキサーの回転刃の周速は10m/s以上であることが好ましく、30m/s以上であることがより好ましい。ミキサーの回転刃の周速は、周長×回転速度で定義される。周速が小さすぎると、グラフェンの剥離が起こりにくく、グラフェンの剥離度が低くなる。一方、周速が大きすぎると、グラフェンの剥離度が高くなりすぎて、分散性が低下する。
さらに、せん断速度としては、毎秒5000〜毎秒50000とすることがさらに好ましい。せん断速度が小さすぎると、グラフェンの剥離が起こりにくく、グラフェンの剥離度が低くなる。一方、せん断速度が大きすぎると、グラフェンの剥離度が高くなりすぎて、分散性が低下する。せん断速度は、ミキサーの回転刃の最大径における周速を、ミキサー回転刃先端(最大径を決定する刃先)の壁面に対する距離で除した値である。
また、強撹拌工程の処理時間は15秒から300秒が好ましく、20秒から120秒がより好ましく、30秒から80秒がさらに好ましい。
強撹拌工程に用いる強攪拌ミキサーとしては、ディスパー付きのプラネタリミキサーやロボミクスなどの高い周速が得られる装置が好ましく、また薄膜旋回方式、ローター/ステーター式などの旋廻する刃と壁面との距離が10mm以下の短い形状であり、メディアレス方式の高いせん断力を有するミキサーがさらに好ましい。このような高いせん断力を有するミキサーとしては、例えば、フィルミックス(登録商標)30−30型(プライミクス社製)、クレアミックス(登録商標)CLM−0.8S(エム・テクニック社製)スーパーシェアミキサーSDRT0.35−0.75(佐竹化学機械工業社製)などが挙げられる。
〔水分除去工程〕
水分除去工程は、有機溶媒添加と吸引濾過を組み合わせる手法、または蒸留により中間体分散液に含まれる水分の少なくとも一部を除去する工程である。有機溶媒中に水分が混在していると、バインダーがゲル化し、低い空隙率が得られない可能性があるため、水分を抜くことが好ましい。加圧濾過や遠心分離のような、分散液に含有されるグラフェンに対し強い力がかかる溶媒除去手段では、グラフェンが積層凝集する傾向がある。水分除去工程は、強撹拌工程終了後のいずれかの段階で行うことが好ましいが、有機溶媒混合工程の後であれば強撹拌工程の前に行ってもよい。
水分除去工程における有機溶媒添加と吸引濾過を組み合わせる手法としては、中間体分散液に対し有機溶媒添加および攪拌を行った後に減圧吸引濾過を行うことが好ましい。減圧吸引濾過は、具体的にはブフナーロート、桐山ロートなどを使用して、ダイアフラムポンプなどで吸引しながら濾過する方法で行うことができる。有機溶媒と混合する工程と吸引濾過を行う操作を複数回繰り返すことで、中間体分散液中の自由水・吸着水を除去することが可能である。有機溶媒としては、前述のものを用いることができる。
有機溶媒の沸点が水よりも高い場合は、蒸留により水分を除去することが好ましい。蒸留を行う圧力に制限はないが、効率よく水分を除去できる点で真空蒸留が好ましい。
〔加熱工程〕
さらに、還元工程後のいずれかの段階で、中間体分散液を70℃以上に加熱する工程(加熱工程)を行うことが好ましい。加熱工程を行うことで、中間体分散液中の結合水を減少させることができる。加熱工程は、例えば、中間体分散液を加熱攪拌装置に投入し、乾燥させずに加熱しながら攪拌することで行うことができる。加熱温度は80℃以上がさらに好ましい。一方、グラフェンは高温条件では、ヒドロキシル基など一部の官能基が脱離することがあるため、加熱温度は150℃以下が好ましく、120℃以下が更に好ましい。また、加熱工程を強攪拌工程と同時に行うことが、効率よく水分を除去する観点から特に好ましい。
また、水分除去工程で蒸留を行う場合、70℃以上に加熱しながら蒸留を行うことにより加熱工程を同時に実施することができ、自由水・吸着水・結合水を一回の処理で同時に除去できるため好ましい態様である。この場合、70℃以上に加熱しながら真空蒸留する手法が特に好ましい。具体的にはロータリーエバポレーターや真空ライン付の加熱攪拌機などの装置を用いる手法が挙げられる。留を行う圧力に制限はないが、効率よく水分を除去できる点で真空蒸留が好ましい。
〔測定例1:グラフェンのX線光電子分光測定〕
グラフェンの官能基化率は、X線光電子分光測定におけるナロースキャンの炭素原子に基づくピークのピークシフトから求めた。具体的には、炭素原子に基づくピークを、C=C結合、C−H結合に基づく284eV付近のピーク、C−O結合の場合に基づく286eV付近のピーク、C=O結合に基づく287.5eV付近のピーク、COO結合に基づく288.5eV付近のピーク、の4つの成分にピーク分離し、各ピークの面積比から下記式により求めた。
官能基化率=[(C−O一重結合に基づくピーク面積)+(C=O二重結合に基づくピーク面積)+(COO結合に基づくピーク面積)]/(C−C、C=C及びC−H結合に基づくピーク面積)
〔測定例2:グラフェンの厚み〕
各実施例で用いたグラフェン分散液、またはグラフェン粉末を、NMPを用いて0.002質量%に希釈し、ガラス基板上に滴下・乾燥し、基板上に付着させた。基板上のグラフェンをキーエンス社製レーザー顕微鏡VK−X250で観察して、個々のグラフェン小片の厚みを測定した。一つの小片中で厚みにバラつきがあった場合は面積平均を求めた。これをランダムに50個のグラフェン小片について測定し、その平均値をグラフェンの厚みとした。
〔測定例3:空隙率の測定〕
各実施例、比較例において作製した電極板をφ15.9mmのポンチで打ち抜くことにより得られた電極板の質量を測定し、その値から集電体の質量を引いて求められる合剤層の質量を、電極5点の平均厚みから集電体の厚みを引いて求められる合剤層の厚みに合剤層の面積を掛けて求められる合剤層の体積で除して、合剤層の密度Dcを求めた。次に、正極合剤層に含まれる全ての材料の真密度と質量比率から、合剤真密度Mcを求めた。そして、空隙率P(体積%)は、前記の合剤層の密度Dcと合剤真密度Mcとを用いて、下記式によって求めた。
P = {1−(Dc/Mc)}×100
合剤真密度を求める際に、材料の真密度は次の値を用いた。アセチレンブラック、グラフェン、VGCF−Hは2.0g/cc、LiNi0.5Mn0.3Co0.2は4.7g/cc、マンガン酸リチウム(LiMn)は4.2g/cc、ポリフッ化ビニリデンは1.78g/ccとした。
〔測定例4:体積抵抗率の測定〕
体積抵抗率は、各実施例、比較例において作製した電極板の厚みの法線方向を端子プローブで四端子法による測定端子を結合し、体積抵抗値を測定した。
〔測定例5:電池性能評価〕
放電容量は、各実施例、比較例において作製した電極板をφ15.9mmのポンチで打ち抜くことにより作用電極とし、直径16.1mm厚さ0.2mmに切り出したリチウム箔を対極とし、直径17mmに切り出したセルガード#2400(セルガード社製)をセパレータとして、LiPFを1M含有するエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=7:3の溶媒を電解液として、2032型コイン電池を作製し、充放電試験機(東洋システム社製 TOSCAT−3100)にセットし、電気化学評価を行った。
充放電測定においては、充電電圧4.3V、放電電圧3.0Vとし、充電電圧まで1Cで定電流充電を行い、その後充電電圧で定電圧充電を行った。定電圧充電の終了電流は0.01Cであった。充電レートはすべて1Cで固定し、放電レートは1Cで3回行った後、続けて3Cで3回、5Cで3回、10Cで3回行い、各レートの3回目の放電時の容量を放電容量とした。測定により得られた1C放電容量に対する3C放電容量の比(3C放電容量/1C放電容量)を高出力特性とした。また下記式より体積容量密度を算出した。
体積容量密度[Ah/L]=(活物質の重量/合剤層の重量)×1C放電容量[mAh/g]×合剤層の密度[g/cc])
(合成例1:酸化グラフェンゲルの調製方法)
1500メッシュの天然黒鉛粉末(上海一帆石墨有限会社)を原料として、氷浴中の10gの天然黒鉛粉末に、220mlの98%濃硫酸、5gの硝酸ナトリウム、30gの過マンガン酸カリウムを入れ、1時間機械攪拌し、混合液の温度は20℃以下で保持した。この混合液を氷浴から取り出し、35℃水浴中で4時間攪拌反応し、その後イオン交換水500mlを入れて得られた懸濁液を90℃で更に15分反応を行った。最後に600mlのイオン交換水と50mlの過酸化水素を入れ、5分間の反応を行い、酸化グラフェン分散液を得た。熱いうちにこれを濾過し、希塩酸溶液で金属イオンを洗浄し、イオン交換水で酸を洗浄し、pHが7になるまで洗浄を繰り返して酸化グラフェンゲルを調製した。
(合成例2:グラフェンNMP分散液の調製方法1)
合成例1で調製した酸化グラフェンゲルを、イオン交換水で濃度30mg/mlに希釈し、超音波洗浄機で30分処理し、均一な酸化グラフェン分散液を得た。
当該酸化グラフェン分散液20mlと、表面処理剤として0.3gのドーパミン塩酸塩を混合し、ホモディスパー2.5型(プライミクス社)を用いて回転数3000rpmで60分処理した。処理後に酸化グラフェン分散液をイオン交換水で5mg/mlに希釈し、希釈した分散液20mlに0.3gの亜ジチオン酸ナトリウムを入れて、40℃で1時間還元反応を行った。その後、減圧吸引濾過器で濾過し、さらに水で0.5重量%まで希釈して吸引濾過する洗浄工程を5回繰り返して洗浄した。洗浄後にNMPで0.5重量%まで希釈してフィルミックス(登録商標)30−30型(プライミクス社)を用いて周速40m/s(せん断速度:毎秒40000)で60秒処理(強撹拌工程)して吸引濾過した。濾過後にNMPで0.5重量%まで希釈して、ホモディスパー2.5型(プライミクス社)を用いて回転数3000rpmで30分処理して吸引濾過する工程を2回繰り返し、グラフェンNMP分散液を得た。得られた分散液の濃度は3.4%であったため、NMPを加え、分散液の濃度を2.0%に調整し、プラネタリミキサー(プライミクス社製、2P−03型)を用いて回転速度20RPMで30分間処理することによりグラフェンNMP分散液(2.0%)を得た。調製したグラフェンNMP分散液の一部を凍結乾燥し、得られた粉末のX線光電子分光法により測定した官能基化率は0.3であった。
(合成例3:グラフェンNMP分散液の調製方法2)
合成例1で調製した酸化グラフェンゲルを、イオン交換水で濃度30mg/mlに希釈し、超音波洗浄機で30分処理し、均一な酸化グラフェン分散液を得た。
当該酸化グラフェン分散液20mlと、表面処理剤として0.3gのドーパミン塩酸塩を混合し、ホモディスパー2.5型(プライミクス社)を用いて回転数3000rpmで60分処理した。処理後に酸化グラフェン分散液をイオン交換水で5mg/mlに希釈し、希釈した分散液20mlに0.6gの亜ジチオン酸ナトリウムを入れて、40℃で1時間還元反応を行った。その後、減圧吸引濾過器で濾過し、さらに水で0.5重量%まで希釈して吸引濾過する洗浄工程を5回繰り返して洗浄した。洗浄後にNMPで0.5重量%まで希釈してフィルミックス(登録商標)30−30型(プライミクス社)を用いて周速40m/s(せん断速度:毎秒40000)で60秒処理(強撹拌工程)して吸引濾過した。濾過後にNMPで0.5重量%まで希釈して、ホモディスパー2.5型(プライミクス社)を用いて回転数3000rpmで30分処理して吸引濾過する工程を2回繰り返し、グラフェンNMP分散液を得た。得られた分散液の濃度は4.1%であったため、NMPを加え、分散液の濃度を2.0%に調整し、プラネタリミキサーを用いて回転速度20RPMで30分間処理することによりグラフェンNMP分散液(2.0%)を得た。調製したグラフェンNMP分散液の一部を凍結乾燥し、得られた粉末のX線光電子分光法により測定した官能基化率は0.05であった。
[実施例1]
導電助剤として合成例2で調製したグラフェン分散液(2.0%)をグラフェン固形分として0.5重量部と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン#7200(クレハ社製)を固形分として1.0重量部加え、プラネタリミキサー(プライミクス社製、2P−03型)を用いて15RPMで30分間混合した。ここでバインダーは予めNMPに溶解して8%溶液としたものを用いた。次に活物質材料としてLiNi0.5Mn0.3Co0.2(ユミコア社製NCM523、メジアン径19μmの造粒体)を100重量部加え、プラネタリミキサーで30RPMで30分間混合した。さらに溶媒としてNMPを10重量部配合したものをプラネタリミキサーで15RPMで30分間混合して電極ペーストを得た。この電極ペーストをアルミニウム箔(厚さ18μm)にドクターブレードを用いて塗布し、80℃30分間乾燥後、ロールプレス機(サンクメタル社製)を用いて、線圧15kN/cmでプレスを行い、ガラスチューブオーブンを用いて120℃5時間真空乾燥することにより電極板を得た。
[実施例2]
導電助剤として合成例2で調製したグラフェン分散液(2.0%)をグラフェン固形分として0.2重量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン#7200(クレハ社製)を固形分として0.5重量部用いたこと以外は実施例1と同様の条件で電極板を作製した。
[実施例3]
導電助剤として合成例2で調製したグラフェン分散液(2.0%)をグラフェン固形分として0.1重量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン#7200(クレハ社製)をバインダー固形分として0.2重量部用いたこと以外は実施例1と同様の条件で電極板を作製した。
[実施例4]
導電助剤として合成例2で調製したグラフェン分散液(2.0%)をグラフェン固形分として0.1重量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン#7200(クレハ社製)を加えなかったこと以外は実施例1と同様の条件で電極板を作製した。
[実施例5]
導電助剤として合成例2で調製したグラフェン分散液(2.0%)をグラフェン固形分として0.1重量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン#7200(クレハ社製)をバインダー固形分として0.5重量部用いたこと、活物質材料としてLiNi0.5Mn0.3Co0.2(ユミコア社製、メジアン径19μmの造粒体)を80重量部、LiNi0.5Mn0.3Co0.2(メジアン径0.7μm)を20重量部加えたこと以外は実施例1と同様の条件で電極板を作製した。
[実施例6]
導電助剤として、合成例2で調製したグラフェン分散液に替えて合成例3で調製したグラフェン分散液(2.0%)を用いたこと以外は実施例5と同様の条件で電極板を作製した。
[実施例7]
活物質材料としてLiNi0.5Mn0.3Co0.2(ユミコア社製NCM523、メジアン径19μmの造粒体)を45重量部、LiNi0.5Mn0.3Co0.2(メジアン径4.5μm)を25重量部、LiMn(宝泉社製LMO、メジアン径18μm)を30質量部加えたこと以外は実施例5と同様の条件で電極板を作製した。
[実施例8]
導電助剤として、合成例2で調製したグラフェン分散液に替えてグラフェン粉末(XGScience社、XGNP−M−5)を用いたこと、さらに溶媒としてNMPを20重量部配合したこと以外は実施例1と同様の条件で電極板を作製した。
[実施例9]
導電助剤として、合成例2で調製したグラフェン分散液(2.0%)をグラフェン固形分として0.5重量部用いることに加えて、VGCF−H(昭和電工社製(登録商標))を粉体のまま0.2重量部加えたこと、以外は実施例1と同様の条件で電極板を作製した。
[比較例1]
導電助剤としてアセチレンブラック(AB)(電気化学工業株式会社製デンカブラック(登録商標))を粉体のまま0.5重量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン#7200(クレハ社製)を固形分として1.0重量部加え、プラネタリミキサーで混合した点と、溶媒としてNMPを25重量部配合したこと以外は実施例1と同様に電極板を作製した。
[比較例2]
導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製デンカブラック(登録商標))を粉体のまま1.5重量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン#7200(クレハ社製)を固形分として1.5重量部加え、プラネタリミキサーで混合した点と、ロールプレス機(サンクメタル社製)を用いて、線圧20kN/cmでプレスを行った点と、溶媒としてNMPを30重量部配合したこと以外は実施例1と同様に電極板を作製した。
[比較例3]
導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製デンカブラック(登録商標))を粉体のまま0.2重量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン#7200(クレハ社製)を固形分として0.5重量部加え、プラネタリミキサーで混合した点と、溶媒としてNMPを20重量部配合したこと以外は実施例1と同様に電極を作製した。
[比較例4]
導電助剤として合成例2で調製したグラフェン分散液(2.0%)をグラフェン固形分として1.5重量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン#7200(クレハ社製)を固形分として1.5重量部用いた点と、ロールプレス機(サンクメタル社製)を用いて、線圧20kN/cmでプレスを行った点と、溶媒としてNMPを30重量部配合したこと以外は実施例1と同様に電極板を作製した。
[比較例5]
導電助剤としてVGCF−H(昭和電工社製(登録商標))を粉体のまま0.5重量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン#7200(クレハ社製)を固形分として1重量部加え、プラネタリミキサーで混合した点と、ロールプレス機(サンクメタル社製)を用いて、線圧20kN/cmでプレスを行った点と、溶媒としてNMPを25重量部配合したこと以外は実施例1と同様に電極板を作製した。
[比較例6]
ロールプレス機の線圧を30kN/cmでプレスを行った以外は比較例5と同様に電極板を作製した。集電箔の破断がおきていることが目視で確認された。
[比較例7]
導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製デンカブラック(登録商標))を粉体のまま0.1重量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン#7200(クレハ社製)を固形分として0.5重量部用いたこと、活物質材料としてLiNi0.5Mn0.3Co0.2(ユミコア社製、メジアン径19μmの造粒体)を80重量部、LiNi0.5Mn0.3Co0.2(メジアン径0.7μm)を20重量部加えたこと、溶媒としてNMPを15重量部配合したこと以外は実施例1と同様の条件で電極板を作製した。
[比較例8]
線圧3kN/cmでプレスを行ったこと以外は実施例1と同様の条件で電極板を作製した。
[比較例9]
線圧30kN/cmでプレスを行ったこと以外は実施例5と同様の条件で電極板を作製した。集電箔の破断がおきていることが目視で確認された。
各実施例、比較例で作製した電極の合剤層の構成および電池性能評価結果を測定例1〜5により測定した結果を表1に示す。
Figure 2018174134

Claims (14)

  1. 二次電池用活物質およびグラフェンを含む合剤層を有する二次電池用電極であって、
    前記合剤層におけるグラフェンの含有量が、前記二次電池用活物質に対して0.05重量%以上0.9重量%以下であり、前記合剤層の空隙率が5.0体積%以上25.0体積%以下である二次電池用電極。
  2. 前記グラフェンのX線光電子分光測定による測定値から下記式(1)により求められる
    官能基化率が0.07以上0.6以下であるグラフェンを含む、請求項1に記載の二次電池電極。
    官能基化率=[(C−O一重結合に基づくピーク面積)+(C=O二重結合に基づくピーク面積)+(COO結合に基づくピーク面積)]/(C−C、C=C及びC−H結合に基づくピーク面積)・・・(1)
  3. 前記グラフェンのX線光電子分光分析によって測定された炭素に対する酸素の元素比(O/C比)が0.08以上0.30以下である、請求項1または2に記載の二次電池用電極。
  4. 前記グラフェンの厚みが5nm以上100nm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池用電極。
  5. さらにバインダーを含み、該バインダーの含有量が、前記二次電池用活物質に対して0.05重量%以上1.0重量%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池用電極。
  6. 前記合剤層の体積抵抗率が20Ω・cm以上1000Ω・cm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の二次電池用電極。
  7. 前記二次電池用活物質が正極活物質である、請求項1〜6のいずれかに記載の二次電池用電極。
  8. 前記正極活物質が、リチウムとニッケルを含有する活物質である、請求項7に記載の二次電池用電極。
  9. 前記二次電池用活物質が造粒体の正極活物質である、請求項1〜8のいずれかに記載の二次電池用電極。
  10. 前記二次電池用活物質の粒子径が20μm以下である、請求項1〜9のいずれかに記載の二次電池用電極。
  11. 前記二次電池用活物質が、粒子径が9.0〜40μmの粒子の割合が40重量%以上95重量%以下であり、粒子径が0.001〜6.0μmの粒子の割合が5重量%以上60重量%以下であり、前記粒子径が9.0〜40μmの粒子と前記粒子径が0.001〜6.0μmの粒子とを合計した割合が95重量%以上の活物質である、請求項1〜9のいずれかに記載の二次電池用電極。
  12. 粒子径が0.5〜6.0μmの粒子の割合が5重量%以上60重量%以下である請求項11に記載の二次電池用電極。
  13. 二次電池用活物質に対してグラフェンを0.05重量%以上0.9重量%以下含む電極ペーストを集電体に塗布する電極ペースト塗布工程;
    電極ペーストを塗布した集電体を、線圧5kN/cm以上25kN/cm以下のロールプレスまたは面圧2t/cm以上7t/cm以下の平面プレスによりプレスするプレス工程;
    を有する二次電池用電極の製造方法。
  14. 前記電極ペーストを、グラフェン分散液と二次電池用活物質とを混合することにより調製する、請求項13に記載の二次電池用電極の製造方法。
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