JP2018174047A - 劣化診断装置および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より簡便により迅速にヒータの異常が判断できるようにする。【解決手段】制御値判定部103は、制御値がヒータ111をオフ状態とするオフ制御値またはヒータ111をオン状態とするオン制御値の何れであるかを判定する。遅延取得部105は、制御値判定部103が、オフ制御値と判定している状態よりオン制御値と判定する状態に移行したオン移行時点より遅延時間が経過した経過時点で、電流測定部104が測定している測定値を取得する。劣化判定部106は、遅延取得部105において経過時点で取得された測定値が許容範囲を超えている場合は、ヒータ111または操作部112が劣化したものと判定する。【選択図】 図1

Description

本発明は、ヒータを備える加熱装置の劣化を診断する劣化診断装置および方法に関する。
工業プロセスにおいては、材料を加熱するプロセスが多数存在する。このような加熱のプロセスにおいては、一般に、電熱器(ヒータ)が用いられている。また、電熱器の動作制御においては、温度調節計が用いられている。温度調節計は、熱電対や測温抵抗体などの温度センサを用い、ヒータが加熱している処理対象(監視対象)の温度を計測している。計測した温度は、温度調節計において数値表示される。
また、温度調節計では、検出した温度(PV値)と設定温度(SP値)とに従って、制御出力(MV値)を求める。求められた制御出力は、電力調整器などによるヒータ操作器に出力される。ヒータ操作器では、商用電源からの100Vの駆動電流を上記制御出力に応じて制御してヒータに出力する。このようにして制御されるヒータの加熱により、処理対象の温度を制御する。また、温度調節計は、異常検出機能を備え、監視対象となる処理対象の異常温度、温度センサの異常などを検出し、検出した異常事象をイベント情報として外部出力し、警報(アラーム)表示する。例えば、温度を数値表示する表示器で、警報表示を行う。
また、温度調節計においては、ヒータの断線などのヒータ自体の異常を検出している(特許文献1,2参照)。例えば、ヒータに印加している電流・電圧を測定して実効値電力を求め、電流と電圧の関係からさらに抵抗値を求め、求めた抵抗値の変化、変化の度合いの違いからヒータの劣化を判断する(特許文献1参照)。また、制御出力と電流値の実測測定点をテーブル化したデータを用い、ヒータ劣化を判断する(特許文献2参照)。
特許第2683851号公報 特許第3988942号公報
しかしながら、上述した技術では、まず、ヒータに流れる電流とヒータに印加される電圧の測定が必要となる。また、上述した技術では、抵抗値など異常診断のためのパラメータの算出が煩雑である。また、上述した技術では、抵抗値の時間変化を調べるために、経過時間などの測定に時間を要するという問題があった。このように、上述した技術では、異常の判断に至るまでに煩雑な計算と測定が必要であった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、より簡便により迅速にヒータの異常が判断できるようにすることを目的とする。
本発明に係る劣化診断方法は、劣化診断対象の加熱装置を構成するヒータの正常時に加熱装置に与えられる制御値に従ってヒータに供給される電流値に対して上側許容値および下側許容値を定めて加熱装置の劣化判定をするための許容範囲を設定する第1工程と、正常時のヒータをオフ状態からオン状態に変更してからヒータに供給される電流値が許容範囲内となるまでの時間を計測して、遅延時間として設定する第2工程と、制御値がヒータをオフ状態とするオフ制御値またはヒータをオン状態とするオン制御値の何れであるかを判定する第3工程と、第3工程で、制御値がオフ制御値と判定されている状態からオン制御値と判定される状態に移行したオン移行時点より遅延時間が経過した経過時点で、ヒータに供給される電流を測定して測定値を取得する第4工程と、第4工程で、経過時点で取得された測定値が許容範囲を超えている場合は、加熱装置が劣化したものと判定する第5工程とを備える。
上記劣化診断方法において、第4工程では、オン移行時点より経過時点までヒータに供給される電流を測定して測定値を取得し、第5工程では、測定値が許容範囲を超えている時間が、設定されている判定時間を超えた場合は、加熱装置が劣化したものと判定するようにしてもよい。
上記劣化診断方法において、第3工程で、制御値がオフ制御値と判定されている状態でヒータに供給される電流を測定して測定値を取得する第6工程と、第6工程で取得される測定値が0付近以外の状態が、設定されている異常判定時間継続した場合は、ヒータに異常が発生している判定する第7工程とを備えるようにしてもよい。
また、本発明に係る劣化診断装置は、劣化診断対象の加熱装置を構成するヒータの正常時に加熱装置に与えられる制御値に従ってヒータに供給される電流値に対して定められた上側許容値および下側許容値から設定された加熱装置の劣化判定をするための許容範囲を記憶する第1記憶部と、正常時のヒータをオフ状態からオン状態に変更してからヒータに供給される電流値が、許容範囲内となるまでの時間を計測して得られた遅延時間を記憶する第2記憶部と、制御値がヒータをオフ状態とするオフ制御値またはヒータをオン状態とするオン制御値の何れであるかを判定するように構成された制御値判定部と、ヒータに供給される電流を測定するように構成された電流測定部と、制御値判定部で制御値がオフ制御値と判定されている状態からオン制御値と判定される状態に移行したオン移行時点より遅延時間が経過した経過時点で、電流測定部が測定している測定値を取得する遅延取得部と、遅延取得部が経過時点で取得した測定値が許容範囲を超えている場合は、加熱装置が劣化したものと判定するように構成された劣化判定部とを備える。
上記劣化診断装置において、遅延取得部は、オン移行時点より経過時点まで電流測定部が測定している測定値を取得するように構成され、劣化判定部は、遅延取得部が取得している測定値が許容範囲を超えている時間が、設定されている判定時間を超えた場合は、加熱装置が劣化したものと判定するように構成されているようにしてもよい。
上記劣化診断装置において、制御値判定部でオフ制御値と判定されている状態でヒータに供給される電流を測定して測定値を取得する停止時取得部と、停止時取得部が取得した測定値が0付近以外の状態が設定されている異常判定時間継続した場合は、ヒータに異常が発生したものと判定する異常判定部とを備えるようにしてもよい。
以上説明したことにより、本発明によれば、より簡便により迅速にヒータの異常が判断できるという優れた効果が得られる。
図1は、本発明の実施の形態1における劣化診断装置100の構成を示す構成図である。 図2は、本発明の実施の形態1における劣化診断方法を説明するためのフローチャートである。 図3は、本発明の実施の形態2における劣化診断装置100の構成を示す構成図である。 図4は、本発明の実施の形態2における劣化診断方法を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1における劣化診断装置100の構成を示す構成図である。この劣化診断装置100は、基準記憶部(第1記憶部)101、遅延時間記憶部(第2記憶部)102、制御値判定部103、電流測定部104、遅延取得部105、劣化判定部106、表示部107を備える。劣化診断装置100は、ヒータ111および操作部112からなる加熱装置の劣化を診断する。
基準記憶部101は、ヒータ111および操作部112の劣化診断のための許容範囲(正常範囲)を記憶する。許容範囲は、正常時における操作部112(加熱装置)へ与えられる制御値に従ってヒータ111に供給される電流値の上側許容値および下側許容値から設定される。許容範囲は、ヒータ111および操作部112(加熱装置)の劣化判定をするために用いられる。
例えば、ヒータ111に対して与えられた連続的に変化する制御値と、この制御値に対応する正常時のヒータ111における電流の変化との関係を示すヒータ特性を用いて基準線を作成する。ヒータ特性そのものを基準線としてもよい。また、ヒータ特性を折れ線近似して基準線としてもよい。また、離散的に変化する制御値と、この制御値に対応する正常時のヒータ111における離散的に変化する電流値とによる折れ線近似により、基準線を作成してもよい。
この基準線における制御値に対する電流値の上側許容値および下側許容値から許容範囲を設定すればよい。基準線における制御値に対する電流値の上側許容値による上側許容値線と、基準線における制御値に対する電流値の下側許容値による下側許容値線との間の範囲を、ヒータ111または操作部112を正常と見なすことができる許容範囲とする。
遅延時間記憶部102は、正常時のヒータ111をオフ状態からオン状態に制御を変更してからヒータ111に供給される電流値が、許容範囲内となるまでの時間を計測して得られた遅延時間を記憶する。上記時間は、予め計測しておけばよい。
制御値判定部103は、制御値が、ヒータ111をオフ状態とするオフ制御値またはヒータ111をオン状態とするオン制御値の何れであるかを判定する。各制御値は、制御部113から出力される。各制御値は、温度測定部114で測定された測定値と設定されている設定値とから、制御部113によって算出され、操作部112へ出力される。
制御部113は、例えば温度調節計である。操作部112は、例えばよく知られた電力調整器から構成されている。制御部113は、よく知られたオンオフ制御により、オフ制御値またはオン制御値を出力する。また、制御部113は、一定のサイクルではなく、オン制御値の出力時間およびオフ制御値の出力時間の各々を、温度測定値と温度設定値との偏差に対応させて変化させ出力する。このように制御することで、より安定した温度制御が行える。
操作部112は、オン制御値を受けると、商用の電源から得られる100Vの駆動電流をヒータ111に供給してヒータ111をオン状態とする。一方、操作部112は、オフ制御値を受けると、ヒータ111に対する駆動電流の供給を停止し、ヒータ111をオフ状態とする。制御値取得部103は、制御部113から出力するオフ制御値またはオン制御値を取得する機能部である(特許文献1参照)。
電流測定部104は、ヒータ111に供給される電流を測定する。例えば、電流測定部104は、測定値として実効電流値を取得する。電流測定部104は、例えば、よく知られたカレントトランスから構成されている。実施の形態1において、電流測定部104は、温度調節計である制御部113における警報出力に用いられる。この場合、電流測定部104は、ヒータ111への駆動電流値を検出して制御部113へ出力し、制御部113は予め設定された警報レベルとその検出値を比較し、検出値が警報レベルを超えたとき、加熱温度の異常を示す警報信号を出力するようになっている。なお、測定値は、平均電流値でもよい。
遅延取得部105は、制御値判定部103が、制御値をオフ制御値と判定している状態からオン制御値と判定する状態に移行したオン移行時点より遅延時間が経過した経過時点で、電流測定部104が測定している測定値を取得する。
劣化判定部106は、遅延取得部105において経過時点で取得された測定値が許容範囲を超えている場合は、ヒータ111または操作部112(加熱装置)が劣化したものと判定する。例えば、劣化判定部106は、遅延取得部105が取得した測定値が、許容範囲を構成している下側許容値より小さい、または上側許容値より大きい場合、ヒータ111または操作部112の劣化を判断する。
また、遅延取得部105は、オン移行時点より経過時点まで、電流測定部104が測定している測定値を連続して取得するように構成してもよい。加えて、劣化判定部106は、遅延取得部105が取得している測定値が許容範囲を超えている異常値となっている時間の合計が、設定されている判定時間を超えた場合は、ヒータ111または操作部112が劣化したものと判定する。
例えば、短い間隔でオン制御とオフ制御とが切り替わる場合、測定値が許容範囲を超えていても測定できない場合がある。また、測定されていたとしても、遅延時間の間の測定値は判定に用いない場合、遅延時間が経過する前にオンオフが切り替わると、判定ができない。この場合、上述したように連続して測定値を取得し、異常値となっている時間の合計が判定時間を超えると劣化と判断すればよい。
上述した劣化の判断によれば、ヒータ111の劣化に限らず、操作部112における劣化や故障も判定できる。ヒータ111に異常がない場合であっても操作部112の不調によっても、ヒータ111に供給される電流が異常となる場合もある。
また、許容範囲および制御値取得部103で取得された制御値と電流測定部104で取得された測定値とによる測定点が、制御値および測定値を軸とする2次元平面の座標上に配置されたグラフが、表示部107に表示される。許容範囲とともに、前述した基準線を表示部107に表示するようにしてもよい。
なお、劣化診断装置100は、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)と主記憶装置と外部記憶装置とネットワーク接続装置となどを備えたコンピュータ機器である。コンピュータ機器である劣化診断装置100は、主記憶装置に展開されたプログラムによりCPUが動作することで、上述した各機能が実現される。また、各機能は、複数のコンピュータ機器に分散させるようにしてもよい。
次に、本発明の実施の形態1における劣化診断装置100の動作例(劣化診断方法)について、図2のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS201で、劣化診断対象のヒータ111の劣化判定をするための許容範囲を設定して基準記憶部101に記憶する[第1工程]。許容範囲は、正常時の操作部112に対する制御値に従ってヒータ111に供給される電流値に対して上側許容値および下側許容値を定めることで設定する。
次に、ステップS202で、遅延時間を設定して遅延時間記憶部102に記憶する[第2工程]。正常時のヒータ111をオフ状態からオン状態に変更してからヒータ111に供給される電流値が、許容範囲内となるまでの時間を計測して遅延時間とする。
次に、ステップS203で、劣化判定部106が、判定の開始を判断する。例えば、判定を実施する指示の入力を受け付けることで判断する。また、例えば、判定周期時間が設定され、判定周期時間の経過により、判定の開始としてもよい。
判定の開始を判断すると(ステップS203のyes)、ステップS204で、制御値判定部103が、制御部113からの制御値を判定する[第3工程]。制御値判定部103は、制御値がヒータ111をオフ状態とするオフ制御値またはヒータ111をオン状態とするオン制御値の何れであるかを判定する。
次に、ステップS205で、遅延取得部105が、オフ制御値を取得している状態からオン制御値を取得する状態に移行したどうかを判断する。オフ制御値を取得している状態からオン制御値を取得する状態に移行しことが判断されると(ステップS205のyes)、ステップS206で、遅延取得部105が、電流測定部104が測定している測定値の取得を開始する。次に、ステップS207で、遅延取得部105が、遅延時間記憶部102に記憶されている遅延時間の経過を判断する。遅延時間が経過したことが判断されると(ステップS207のyes)、遅延取得部105は、測定値の取得を終了し、ステップS208に移行する[第4工程]。
次に、ステップS208で、劣化判定部106が、遅延時間が経過したことが判断された時点で遅延取得部105により取得された測定値が、許容範囲を超えたかどうかを判断する。測定値が許容範囲を超えている場合、劣化判定部106は、ヒータ111が劣化したものと判定する[第5工程]。また、劣化判定部106は、オン移行時点より経過時点までの間に遅延取得部105で取得されていた測定値が許容範囲を超えている時間が、設定されている判定時間を超えた場合、ヒータ111が劣化したものと判定してもよい。
次に、劣化判定部106は、ヒータ111が劣化したものと判定すると(ステップS208のyes)、ステップS209で、この状態を通知する。例えば、表示部107に、警報を表示することで、ユーザに対してヒータ111の劣化判定を通知する。
以上に説明したように、実施の形態1では、実使用状態において測定される電流値(測定値)が許容範囲を超えていることで劣化を判定する。このため、実施の形態1によれば、判定のためのパラメータ算出などが必要なく、また、電流値の時間変化などを測定する必要が無い。この結果、実施の形態1によれば、より簡便により迅速にヒータの異常が判断できる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態2における劣化診断装置100aの構成を示す構成図である。この劣化診断装置100aは、基準記憶部(第1記憶部)101、遅延時間記憶部(第2記憶部)102、制御値判定部103、電流測定部104、遅延取得部105、劣化判定部106、表示部107を備える。これらの構成は、前述した実施の形態1と同様である。実施の形態2における劣化診断装置100aは、停止時取得部108および異常判定部109を備える。なお、実施の形態2における劣化診断装置100aは、ヒータ111および操作部112からなる加熱装置の劣化診断に加え、異常の判定も行う。
停止時取得部108は、制御値判定部103が、制御値をオフ制御値と判定している状態で電流測定部104が測定している測定値を取得する。異常判定部109は、停止時取得部108が取得した測定値が0付近以外の状態が、設定されている異常判定時間継続した場合は、ヒータ111に異常が発生したものと判定する。
なお、劣化診断装置100aは、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)と主記憶装置と外部記憶装置とネットワーク接続装置となどを備えたコンピュータ機器である。コンピュータ機器である劣化診断装置100aは、主記憶装置に展開されたプログラムによりCPUが動作することで、上述した各機能が実現される。また、各機能は、複数のコンピュータ機器に分散させるようにしてもよい。
次に、本発明の実施の形態2における劣化診断装置100aの動作例(劣化診断方法)について、図4のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS401で、劣化診断対象のヒータ111の劣化判定をするための許容範囲を設定して基準記憶部101に記憶する[第1工程]。許容範囲は、正常時における操作部112に対する制御値に従ってヒータ111に供給される電流値の上側許容値および下側許容値から設定する。
次に、ステップS402で、遅延時間を設定して遅延時間記憶部102に記憶する[第2工程]。正常時のヒータ111をオフ状態からオン状態に変更してからヒータ111に供給される電流値が、許容範囲内となるまでの時間を計測して遅延時間とする。
次に、ステップS403で、劣化判定部106が、判定の開始を判断する。例えば、判定を実施する指示の入力を受け付けることで判断する。また、例えば、判定周期時間が設定され、判定周期時間の経過により、判定の開始としてもよい。
判定の開始を判断すると(ステップS403のyes)、ステップS404で、制御値判定部103が、制御部113からの制御値を判定する[第3工程]。制御値判定部103は、制御値がヒータ111をオフ状態とするオフ制御値またはヒータ111をオン状態とするオン制御値の何れであるかを判定する。
次に、ステップS405で、遅延取得部105が、オフ制御値を取得している状態からオン制御値を取得する状態に移行したどうかを判断する。オフ制御値を取得している状態からオン制御値を取得する状態に移行しことが判断されると(ステップS405のyes)、ステップS406で、遅延取得部105が、電流測定部104が測定している測定値の所得を開始する。次に、ステップS407で、遅延取得部105が、遅延時間記憶部102に記憶されている遅延時間の経過を判断する。遅延時間が経過したことが判断されると(ステップS407のyes)、遅延取得部105は、測定値の取得を終了し、ステップS408に移行する[第4工程]。
次に、ステップS408で、劣化判定部106が、遅延時間が経過したことが判断された時点で遅延取得部105により取得された測定値が、許容範囲を超えたかどうかを判断する。測定値が許容範囲を超えている場合、劣化判定部106は、ヒータ111が劣化したものと判定する[第5工程]。また、劣化判定部106は、オン移行時点より経過時点までの間に遅延取得部105で取得されていた測定値が許容範囲を超えている時間が、設定されている判定時間を超えた場合、ヒータ111が劣化したものと判定してもよい。
次に、劣化判定部106は、ヒータ111が劣化したものと判定すると(ステップS408のyes)、ステップS409で、この状態を通知する。例えば、表示部107に、警報を表示することで、ユーザに対してヒータ111の劣化判定を通知する。
一方、ステップS405において、遅延取得部105が、オフ制御値を取得している状態が継続され、オン制御値を取得していない場合、(ステップS405のno)、ステップS410で、停止時取得部108が、電流測定部104が測定している測定値を取得する。次に、ステップS411で、異常判定部109が、停止時取得部108が取得した測定値が0付近以外かどうかを判定する。測定値が0の場合(ステップS411のno)、ステップS404に戻り、制御値判定部103が、制御部113からの制御値の判定を継続する。
一方、停止時取得部108が取得した測定値が0付近以外の場合(ステップS411のyes)、ステップS412で、異常判定部109が、0付近以外の測定値が取得された時間を加算していく。次に、ステップS403で、異常判定部109が、加算している時間が、設定されている異常判定時間を超えたかどうかを判断する。加算している時間が異常判定時間を超えていない場合(ステップS413のno)、ステップS404に戻り、制御値判定部103が、制御部113からの制御値の判定を継続する。
一方、劣化判定部106が、加算している時間が異常判定時間を超えたものと判断した場合(ステップS413のyes)、ステップS411で、この状態(異常)を通知する。例えば、表示部107に、警報を表示することで、ユーザに対してヒータ111の異常判定を通知する。
以上に説明したように、実施の形態2によれば、前述した実施の形態1と同様に、より簡便により迅速にヒータの異常が判断できる。また、実施の形態2によれば、オフ状態における電流値を測定するので、ヒータの断線などの異常が判定できるようになる。
以上に説明したように、本発明によれば、より簡便により迅速にヒータの異常が判断できるようになる。本発明によれば、異常の判定は、周期的に取得するヒータ電流値の瞬時値を用いればよく、判定のために、時間的な変化の傾向を求める必要が無く、判定が迅速に実施できる。
また、基準線を元にした許容範囲を用いるので、許容範囲は制御値が取り得る範囲で連続した判定基準となる。このため、テーブル参照などの場合と異なり、判定時に補間などをする必要が無い。また、ヒータに流れる電流値を測定すればよいので、電圧を測定する必要が無く、また抵抗値をわざわざ求める必要が無い。
ところで、次に示すように判定をしてもよい。例えば、許容範囲の設定を広げることで、大きな異常となったときだけ異常と判定するようにしてもよい。また、許容範囲の設定(基準線からの差)を複数段階に分けて判断してもよい。例えば、1段階目は劣化の可能性があると判断する。2段階目は、劣化が進んだ可能性があると判断する。3段階目は、劣化が確実である判断する。これ以上は、故障や断線と判断する。
また、どのような制御値に対してもヒータ電流測定値が常時0付近であった場合、ヒータの断線(もしくは電力調整機の故障、その他加熱に関わる装置の完全な故障)として判定してもよい。
また、判定に遅延時間を設定する場合、瞬時値の異常が一定の回数以上連続して発生したら、はじめて劣化が確実であると判定してもよい。または、測定値が0に近ければ断線と判定してもよい。これにより、許容範囲を狭くしても正確な判断が可能となる。また、正常範囲から外れる幅によって、異常の進行度を判断することができる。
また、ヒータ電流値を測定して判定するが、計装上は供給電力の低下や、電力調整機(操作部)の不調により、測定値が許容範囲を超える場合もある。従って、異常と判断されてからヒータを正常品に交換しても、異常の判定が解消しない場合、ヒータ以外の部位に問題があることがわかる。このように、本発明は、いわゆるループ診断として利用することが可能である。
ここで、基準線についてより詳細に説明する。基準線として、ヒータ特性を折れ線近似したものを用いてもよい。折れ線近似した基準線は、制御値および測定値を軸とする2次元平面の座標上で、1つ以上の線分(1次式)から構成されるものである。このように折れ線近似した基準線を用いて許容範囲を設定することで、許容範囲として保持するデータ量を非常に少なくすることができる。基準線は、直線(1次式)の組み合わせで構成されるため、許容範囲も直線(1次式)の組み合わせで構成されることになり、データ量が非常に少ない。
例えば、正常時のヒータのヒータ特性を測定し、測定したヒータ特性から折れ線近似により基準線を求めればよい。得られたヒータ特性の曲線上に所定の条件で所定数の設定点(折れ点)を設け、設けた設定点を直線(線分)で接続することで基準線とすればよい。また、所定数の測定点で、正常時のヒータ(加熱装置)における制御値に対する電流を測定して電流値を取得し、所定数の制御値と電流値とによる設定点を設定し、隣り合う設定点を直線で接続することで基準線とすればよい。
制御値および測定値を軸とする2次元平面の座標における曲線の上に、9個の設定点を設定する。なお、少なくとも、制御値の最小値と、制御値の最大値には、各々設定点を設定する。次に、隣り合う2つの設定点を直線で互いに接続することで、基準線を作成する。例えば、9個の設定点を順に接続して基準線を作成する。基準線は、8個の線分から構成されたものとなる。
また、基準線を作成するための設定点は、次に示すように設定してもよい。まず、制御値および測定値を軸とする2次元平面の座標において、ヒータ特性を示す曲線における制御値の最小値および最大値に対応して設定点を配置し、これらを接続する第1近似線を設定する。また、第1近似線に対し、所定の上側許容値線および下側許容値線を設定する。上側許容値線と下側許容値線とに挾まれた領域が、許容範囲の候補となる。
上述したように2つの設定点により第1近似線を決定し、許容範囲の候補を設定した状態で、曲線が許容範囲の候補内に収まり、第1近似線と曲線との最大偏差が、予め設定されている許容偏差より小さいことを判断する。曲線が許容範囲内に収まり、最大偏差が許容偏差より小さい場合、第1近似線を基準線とする。
一方、曲線が許容範囲を超える領域が発生している場合、第1近似線に対し、測定値の負の方向に曲線と偏差が最大値となる箇所および、測定値の制の方向に曲線と偏差が最大値となる箇所を求める。
次に、求めた2つの箇所における曲線上に新たな設定点を追加する。次に、追加したことにより4つとなった制御点を接続する新たな第2近似線を設定する。また、新たな第2近似線に対し、所定の上側許容値線および下側許容値線を設定する。
このようにして得られた上側許容値線および下側許容値線による許容範囲に曲線が収まり、第2近似線と曲線との最大偏差が許容偏差より小さくなっていることを確認する。例えばこの段階で曲線が許容範囲に収まり、第2近似線と曲線との最大偏差が許容偏差より小さいので、第2近似線を基準線とする。
上述した基準線の作成方法によれば、最大偏差を適宜に設定することで、実用的な劣化判定が可能な許容範囲を、設定点をむだに増やすことなく設定することができる。なお、許容偏差の設定条件により、許容範囲との比較をすることなく、許容偏差との最大偏差との比較だけで近似曲線を決定することができる。
また、次に示すように基準線を作成してもよい。まず、正常時のヒータ(加熱装置)において、制御値の最小・最大の範囲内で、複数の制御値を設定し、設定した各制御値においてヒータ電流値を測定する。例えば、制御値を0〜100%の範囲で10%幅で変化させ、各制御値においてヒータ電流値を測定する。この測定の結果得られた各制御値と各ヒータ電流値とによる複数の設定点を用い、隣り合う設定点を直線で接続した折れ線を、ヒータ特性を折れ線近似した基準線とする。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
101…基準記憶部(第1記憶部)、102…遅延時間記憶部(第2記憶部)、103…制御値判定部、104…電流測定部、105…遅延取得部、106…劣化判定部、107…表示部、111…ヒータ、112…操作部、113…制御部、114…温度測定部。

Claims (6)

  1. 劣化診断対象の加熱装置を構成するヒータの正常時に前記加熱装置に与えられる制御値に従って前記ヒータに供給される電流値に対して上側許容値および下側許容値を定めて前記加熱装置の劣化判定をするための許容範囲を設定する第1工程と、
    正常時の前記ヒータをオフ状態からオン状態に変更してから前記ヒータに供給される電流値が前記許容範囲内となるまでの時間を計測して、遅延時間として設定する第2工程と、
    前記制御値が、前記ヒータをオフ状態とするオフ制御値または前記ヒータをオン状態とするオン制御値の何れであるかを判定する第3工程と、
    前記第3工程で、前記制御値が前記オフ制御値と判定されている状態から前記オン制御値と判定される状態に移行したオン移行時点より前記遅延時間が経過した経過時点で、前記ヒータに供給される電流を測定して測定値を取得する第4工程と、
    前記第4工程で、前記経過時点で取得された前記測定値が前記許容範囲を超えている場合は、前記加熱装置が劣化したものと判定する第5工程と
    を備えることを特徴とする劣化診断方法。
  2. 請求項1記載の劣化診断方法において、
    前記第4工程では、前記オン移行時点より前記経過時点まで前記ヒータに供給される電流を測定して測定値を取得し、
    前記第5工程では、前記測定値が前記許容範囲を超えている時間が、設定されている判定時間を超えた場合は、前記加熱装置が劣化したものと判定する
    ことを特徴とする劣化診断方法。
  3. 請求項1または2記載の劣化診断方法において、
    前記第3工程で、前記制御値が前記オフ制御値と判定されている状態で前記ヒータに供給される電流を測定して測定値を取得する第6工程と、
    前記第6工程で取得される測定値が0付近以外の状態が、設定されている異常判定時間継続した場合は、前記ヒータに異常が発生している判定する第7工程と
    を備えることを特徴とする劣化診断方法。
  4. 劣化診断対象の加熱装置を構成するヒータの正常時に前記加熱装置に与えられる制御値に従って前記ヒータに供給される電流値に対して定められた上側許容値および下側許容値から設定された前記加熱装置の劣化判定をするための許容範囲を記憶する第1記憶部と、
    正常時の前記ヒータをオフ状態からオン状態に変更してから前記ヒータに供給される電流値が、前記許容範囲内となるまでの時間を計測して得られた遅延時間を記憶する第2記憶部と、
    前記制御値が、前記ヒータをオフ状態とするオフ制御値または前記ヒータをオン状態とするオン制御値の何れであるかを判定するように構成された制御値判定部と、
    前記ヒータに供給される電流を測定するように構成された電流測定部と、
    前記制御値判定部で前記制御値が前記オフ制御値と判定されている状態より前記オン制御値と判定される状態に移行したオン移行時点より前記遅延時間が経過した経過時点で、前記電流測定部が測定している測定値を取得する遅延取得部と、
    前記遅延取得部が前記経過時点で取得した前記測定値が前記許容範囲を超えている場合は、前記加熱装置が劣化したものと判定するように構成された劣化判定部と
    を備えることを特徴とする劣化診断装置。
  5. 請求項4記載の劣化診断装置において、
    前記遅延取得部は、前記オン移行時点より前記経過時点まで前記電流測定部が測定している測定値を取得するように構成され、
    前記劣化判定部は、前記遅延取得部が取得している測定値が前記許容範囲を超えている時間が、設定されている判定時間を超えた場合は、前記加熱装置が劣化したものと判定するように構成されている
    ことを特徴とする劣化診断装置。
  6. 請求項4または5記載の劣化診断装置において、
    前記制御値判定部で前記オフ制御値と判定されている状態で前記ヒータに供給される電流を測定して測定値を取得する停止時取得部と、
    前記停止時取得部が取得した測定値が0付近以外の状態が設定されている異常判定時間継続した場合は、前記ヒータに異常が発生したものと判定する異常判定部と
    を備えることを特徴とする劣化診断装置。
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