(実施の形態1の内容に至る経緯)
上述した特許文献1のカメラモジュールでは、例えば光軸の方向に直交し、且つ相互に直交する2軸方向に対して撮像素子ユニットを平行移動する構成については考慮されていなかった。このため、特許文献1の構成を、例えば監視カメラ等のカメラ装置に適用する場合、カメラ装置の設置された箇所(例えば天井、ポール等の設置場所)に生じる揺れが大きいと、カメラ装置により撮像される画像に対する揺れ補正が不十分となり、良好な画像の維持が困難となるという課題がある。
また、監視カメラ等のカメラ装置において、例えば外乱等の揺れに対してカメラ内部で揺れ補正するスライド機構が知られている。このスライド機構は、撮像素子を、その撮像素子の取り付けられた基板の面に対して平行方向にスライドさせ、揺れの生じた方向と逆方向に移動させる。スライドには、例えばボールを可動部の間に置き、ボールを転がせてスライドさせる方式が使用される。ところが、このようなボールを転がせるスライド機構では、ボールと平板との点接触であるため、応力が集中して適切な付勢力が掛けにくく、また、ボールの転がり範囲が微小のため、その部分に集中した摩擦及び摩耗が発生する。その結果、動作に不具合が発生しやすくなるとともに、長期間に渡り平面を維持しにくく、耐久性が低くなるという課題がある。そのため、ヒステリシスが生じ、起動トルクが増大し、円滑な動作制御が行えないという課題がある。この他、ガタや摩擦力、バックラッシュがある機構においても、同様に円滑な動作制御が行えないという課題がある。また、摩耗により発生したゴミがボールに付着することにより、スライド時の動作が不安定になる等の課題もある。
一方、ボールネジを用いた移動機構によれば、ガタや摩擦力、バックラッシュを低減できるが、その反面、カメラ装置の内部構造が複雑となり、コストが増大するとともに、重量も増加するという課題が生じる。
そこで、以下に述べる実施の形態1では、簡素な構造で、揺れの影響を軽減して耐久性を確保しながら、円滑に2軸方向の動作を実現でき、長期間に渡り良好な画像の取得を維持できる揺れ補正機構及びカメラ装置の例を説明する。
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る揺れ補正機構及びカメラ装置を具体的に開示した各実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
なお、以下の各実施の形態において、本開示に係るカメラ装置として、既定の位置又はエリアを被写体として撮像可能な監視カメラを例示して説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の揺れ補正機構100を備える監視カメラ200の斜視図である。
本実施の形態に係る揺れ補正機構100は、例えば図1に示すドーム型の監視カメラ200に適用できる。監視カメラ200は、例えば円錐面を有する筒状の外カバー11を有する。外カバー11の上端は、天井、壁面或いはポールの被固定面又はポール等の被取付体に固定される取付筒13を有する。監視カメラ200は、取付筒13が鉛直方向上側となって、ポール等から垂下して取り付けられる。外カバー11は、雨よけとして機能する。取付筒13は、挿入したポール等を固定するための固定ボルト15を、円周方向に等間隔で複数螺合している。取付筒13は、外カバー11の内方に通じる。外カバー11内には、ポール等に通された電源線や信号線が、取付筒13を通って導入される。
外カバー11の下面は、例えば円形開口となる。円形開口には、例えば円環状のリングカバー17が着脱自在に取り付けられる。リングカバー17の内穴19からは、例えば透明樹脂材料を用いて構成されたドームカバー21の半球側が垂下する。ドームカバー21は、半球外殻と、半球外殻の開口周縁に同一半径で接続する円筒とを含む。円筒は、半球外殻と反対側に、リングカバー17に固定されるフランジ(図示略)を有する。ドームカバー21は、このフランジがリングカバー17と外カバー11との間に配置されて固定される。
ドームカバー21は、例えば成形性及び透明性に優れた樹脂材料を基板材料として用いる。樹脂材料としては、有機系樹脂材料、無機系樹脂材料を用いることができる。本実施の形態では、半球外殻の基板材料に、例えばポリカーボネートなどの有機系樹脂材料を用いている。ポリカーボネートは、硬く衝撃に強いため好適である。また、アクリルなど透明性の良好な樹脂も使用可能である。
ドームカバー21は、その内側がカメラ収容空間となる。カメラ収容空間には、鉛直方向に沿う方向のパン回転中心Pcと、パン回転中心Pcに直角方向で交差するチルト回転中心Tcとを中心にパン回転及びチルト回転が自在となったカメラ部23が配置される。カメラ部23は、カメラ筐体25にレンズ部27を備える。カメラ筐体25には、カメラ部23の揺れの影響を勘案した補正(以下、「揺れ補正」(BIS:in body image stabilizer)と称する場合がある)の処理を行うBIS機構ユニット29が設けられる。BIS機構ユニット29は、カメラ筐体25のベースの一例としてのレンズマウントベース31に固定される揺れ補正機構100を有する。揺れ補正機構100には、撮像素子(図示略)が取り付けられている。
図2は、実施の形態1の揺れ補正機構を備える他の監視カメラ200Aを内部構造の一部と共に表した透視斜視図である。
なお、本実施の形態において、上下前後左右の方向は、図2に示した矢印の方向に従うものとするが、これらの方向は、図1に示す監視カメラ200においても同様に適用できる。
本実施の形態に係る揺れ補正機構100は、図1に示すドーム型の監視カメラ200と同様に、図2に示すボックス型の監視カメラ200Aにも適用できる。監視カメラ200Aは、箱(ボックス)状のカメラ筐体33内にカメラ部23を収容する。
本実施の形態の監視カメラ200,200Aは、例えば被固定面に固定され、被固定面自体に揺れが生じる場所に設置される。被固定面自体に揺れが生じる場所は、例えば送電線、ポール、船、橋梁、陸橋、工事現場、道路の信号機が挙げられるが、これらの場所に限定されない。
カメラ部23は、図2に示す監視カメラ200Aにおいて、レンズ部35を備える。なお、カメラ部23は、図1に示す監視カメラ200において、レンズ部27を備える。カメラ部23には、カメラ部23の揺れの影響を勘案した補正(揺れ補正)の処理を行うBIS機構ユニット29が設けられる。BIS機構ユニット29は、カメラ筐体33のベースの一例としてのレンズマウントベース37に固定される揺れ補正機構100を有する。揺れ補正機構100は、レンズマウントベース37に固定される。レンズマウントベース37は、カメラ筐体33に固定される。揺れ補正機構100には、後述の撮像素子が取り付けられる。
図3は、図2に示した監視カメラ200Aを後方斜め右上から見た透視斜視図である。
レンズマウントベース37は、固定ブラケット39によりカメラ筐体33に固定される。レンズマウントベース37は、一方の面(例えば図2に示す前面41)でレンズ部35を支持する。レンズマウントベース37は、レンズ部35を通る光軸Ocに垂直な他方の面(例えば背面43)に受光窓45(図6参照)が開口する。
監視カメラ200Aは、例えば天井面、壁面又はポールに取り付けられる。天井面、壁面又はポールには、図2に示したカメラ取付台47が固定される。カメラ取付台47は、被固定面の一例としての固定フランジ部49と、固定フランジ部49から突出する支持柱51と、支持柱51の先端に設けられた方向調節部53とを有する。方向調節部53は、先端に、三脚取付ネジ55を有する。三脚取付ネジ55は、カメラ筐体33の三脚取付座57に螺合され、固定リング59により固定される。
方向調節部53は、三脚取付ネジ55の基端に設けた球体(図示略)を軸受に、球面対偶で支持する。従って、三脚取付ネジ55は、軸受内で球体が向きを変えたり回転したりするピボット動作を可能とする。方向調節部53は、三脚取付ネジ55によりカメラ筐体33を、鉛直方向に沿う方向のパン回転中心Pcを中心にパン回転自在に支持するとともに、パン回転中心Pc上のチルト回転中心Tcを中心にチルト回転自在に支持する。
監視カメラ200Aは、天井面、壁面又はポールに取り付けられる際に、撮影方向が設定される。撮影方向は、例えば天井面に取り付けられる場合には、一般的にやや傾斜して設定される。撮影方向が設定された監視カメラ200Aは、方向調節部53の固定レバー61により、三脚取付ネジ55(球面対偶)を固定する。
揺れ補正機構100は、上述した監視カメラ200や監視カメラ200Aのいずれに設けられてもよい。以下、揺れ補正機構100を監視カメラ200Aに設けた場合を代表例として説明する。
図4は、図3に示した揺れ補正機構100を後方斜め右上から見た斜視図である。
揺れ補正機構100は、レンズマウントベース37と、第1の揺動部材の一例としての初段揺動部材63と、第2の揺動部材の一例としての次段揺動部材65と、素子ホルダ67とを有する。揺れ補正機構100では、次段揺動部材65及び素子ホルダ67が組み付けられた初段揺動部材63が、レンズマウントベース37に固定される。
図5は、図3に示した揺れ補正機構100を前方斜め右上から見た斜視図である。
揺れ補正機構100では、次段揺動部材65が、初段揺動部材63における一対の脚部69の間に配置されている。初段揺動部材63は、レンズマウントベース37に固定されて可動する。次段揺動部材65は、初段揺動部材63の内側に更に可動自在に支持される。即ち、初段揺動部材63及び次段揺動部材65は、入れ子構造で2段に組み立てられている。初段揺動部材63に取り付けられて可動自在となる次段揺動部材65は、レンズマウントベース37と干渉しないように離間している。つまり、次段揺動部材65は、レンズマウントベース37と非接触で対向配置される。
図6は、レンズ部27、レンズマウントベース31、素子ホルダ67、初段揺動部材63及び次段揺動部材65の分解斜視図である。
次段揺動部材65には、素子ホルダ67が固定される。素子ホルダ67は、略四角形状のヒートシンク71を有する。ヒートシンク71には、複数の冷却フィン(図示略)が設けられる。ヒートシンク71は、撮像素子73からの熱が熱伝導により伝わる。ヒートシンク71は、撮像素子73から伝わった熱を冷却フィンにより空気中に排熱する。つまり、撮像素子73を空冷する。
素子ホルダ67の直交する隣接2辺には、縦辺に第1コイル75、横辺に第2コイル77が取り付けられる。第1コイル75と第2コイル77とは、それぞれ対応するようにレンズマウントベース37の隣接2辺に設けられた第1磁石79と第2磁石81とにより、第1リニアモータ83、第2リニアモータ85を構成する。言い換えると、第1コイル75と第1磁石79とにより第1リニアモータ83が構成され、第2コイル77と第2磁石81とにより第2リニアモータ85が構成される。これら第1リニアモータ83、第2リニアモータ85は、素子ホルダ67を2軸方向に移動させるためのアクチュエータ87を構成する。
アクチュエータ87は、第1リニアモータ83によって素子ホルダ67(言い換えると、撮像素子73)を左右方向に駆動し、更に、第2リニアモータ85によって素子ホルダ67(言い換えると、撮像素子73)を上下方向に駆動する。
図7は、図6のレンズマウントベース31、素子ホルダ67、初段揺動部材63及び次段揺動部材65を前側から見た分解斜視図である。
素子ホルダ67の前面側(つまり、レンズマウントベース37の背面43に対向する側)には、撮像素子73を実装するための基板89が取り付けられる。基板89に実装された撮像素子73は、受光面(言い換えると、撮像面)がレンズマウントベース37と平行となって、受光窓45と対向して配置される。即ち、素子ホルダ67は、受光窓45に対向する次段揺動部材65の後述する連結部113における面に固定され、基板89に実装された撮像素子73が受光窓45からの撮像光(言い換えると、レンズ部35内のレンズ(図示略)により集光された光)を受光する。
図8は、図6に示した初段揺動部材63の分解斜視図である。
初段揺動部材63は、光軸Ocを中央で挟む一対の脚部69を有する。脚部69は、光軸Ocと平行となる。一対の脚部69は、それぞれの脚基端が光軸Ocに直交する面を有する連結部91に接続されて門形形状となる。
初段揺動部材63は、門形形状の開放側(言い換えると、レンズマウントベース37への固定側)のそれぞれの脚先端に、外側に直角に折り曲げられた脚端固定部93を有する。脚端固定部93は、それぞれがレンズマウントベース37の背面43に、ネジ(図示略)により固定される。
初段揺動部材63は、それぞれの脚端固定部93と脚先端との間及びそれぞれの脚基端と連結部91との間に、光軸Ocに直角に交差する同方向の揺動中心Ycで揺動する4箇所の可撓部95を有する。
初段揺動部材63は、一対の脚部69のそれぞれが、連結部91から光軸Ocに沿う方向に垂直に折り曲げられた一対の平行な脚柱板97を有する。従って、連結部91は、左右それぞれ一対の合計4つの脚柱板97により、脚端固定部93を介してレンズマウントベース37に支持される。
揺れ補正機構100では、初段揺動部材63と、次段揺動部材65とにおけるそれぞれの脚部(例えば脚部69,111)、連結部(例えば連結部91,113)、脚端固定部(例えば脚端固定部93,115)、及び可撓部95が、1枚の金属板を折り曲げた板バネ99により一体で形成される。可撓部95には、バネ性を有する合金材料を好適に用いることができる。バネ性を有する合金材料としては、例えばリン青銅やステンレス鋼を挙げることができる。初段揺動部材63では、主要部である板バネ99が、例えばリン青銅やステンレス鋼をプレス加工により打抜き、穴あけ、折り曲げすることにより一体成形される。なお、脚部69を構成する脚柱板97,補強板107は、ビスによる締結でも、スポット溶接等による結合でもよい。同様に、脚部111を構成する脚柱板117,補強板121は、ビスによる締結でも、スポット溶接等による結合でもよい。また、補強板107,連結部91は、ビスによる締結でも、スポット溶接等による結合でもよい。更に、補強板101,107,121は、剛性を上げるための部材であるため、金属を用いて構成される場合に限らず、樹脂を用いて構成されてもよく、更には、それぞれの板バネ99に対して一体成形工法により生成された部材でもよい。
初段揺動部材63では、脚部69における一対の脚柱板97が、可撓部95を除く部位でコ字形状の補強板101により、ネジ(図示略)等で一体に固定されている。
連結部91には、8角形の穴103が中央部に穿設される。連結部91には、穴103の面積と略一致する面積の穴105を有した四角形状の補強板107がネジ(図示略)等で固定される。補強板107は、穴103の穿設された連結部91の捩れ方向等の変形を抑制する。従って、板バネ99は、補強板101,107が固定される以外の部位、即ち、可撓部95でバネ性を発揮させることになる。初段揺動部材63における4箇所の可撓部95、並びに、次段揺動部材65における4箇所の可撓部95により、リンク動作構造が成立する。これにより、初段揺動部材63における脚端固定部93及び補強板107、次段揺動部材65における連結部113及び脚端固定部115がほぼ平行に移動させることができる。
上述した板バネ99の脚端固定部93、脚柱板97、連結部91、補強板101及び補強板107のそれぞれには、必要に応じて変形を抑制するために縁部を折り曲げたリブ109が形成される。なお、可撓部95には、このリブ109は形成されない。
図9は、図6に示した次段揺動部材65の分解斜視図である。
以下、次段揺動部材65の説明において、初段揺動部材63の説明と重複する内容の説明は省略する。
次段揺動部材65は、初段揺動部材63と略同一構造の脚部111、連結部113、脚端固定部115、及び可撓部95を有し、初段揺動部材63と略同一に構成される。即ち、次段揺動部材65は、光軸Ocを中央で挟む一対の脚部111を有する。一対の脚部111は、それぞれの脚基端が光軸Ocに直交する面を有する連結部113に接続されて門形形状となる。
次段揺動部材65は、門形形状の開放側(言い換えると、初段揺動部材63への固定側)のそれぞれの脚先端に、内側に直角に折り曲げられた脚端固定部115を有する。脚端固定部115は、それぞれが初段揺動部材63の連結部91の受光窓45に対向する面に、ネジ(図示略)により固定される。
次段揺動部材65は、それぞれの脚端固定部115と脚先端との間及びそれぞれの脚基端と連結部113との間に、光軸Ocに直角に交差する同方向の揺動中心Ycで揺動する4箇所の可撓部95を有する。
次段揺動部材65は、一対の脚部111のそれぞれが、連結部113から光軸Ocに沿う方向に垂直に折り曲げられた一対の平行な脚柱板117を有する。従って、連結部113は、左右それぞれ一対の合計4つの脚柱板117により、脚端固定部115を介して初段揺動部材63に支持される。
上述したように、初段揺動部材63と同様に、次段揺動部材65においても、脚端固定部115、脚柱板117及び連結部113が、板バネ119により一体に成形される。
次段揺動部材65では、脚部111における一対の脚柱板117が、可撓部95を除く部位でコ字形状の補強板121により、ネジ(図示略)等で一体に固定されている。
連結部113には、4角形の穴123が中央部に穿設される。連結部113には、前面41に、上述した素子ホルダ67がネジ(図示略)等で固定される。素子ホルダ67は、連結部113に固定されることで、ヒートシンク71が穴123に配置されて連結部113を貫通する。また、連結部113には、専用の補強板が取り付けられない。その替わりに、連結部113には素子ホルダ67が固定される。素子ホルダ67は、穴123の穿設された連結部113の捩れ方向等の変形を抑制する。つまり、次段揺動部材65では、素子ホルダ67を補強板の代用として用いることで部品点数の増大を抑制している。
次段揺動部材65においても、板バネ119の脚端固定部115、脚柱板117、連結部113、補強板121のそれぞれには、必要に応じて変形を抑制するために縁部を折り曲げたリブ109が形成される。なお、初段揺動部材63と同様、可撓部95には、リブ109は形成されない。
初段揺動部材63と略同一の構造を有する次段揺動部材65は、光軸Ocを中心に初段揺動部材63に対して90度回転され、更に、初段揺動部材63の門形形状の開放側が反転(つまり、180度の回転)されて、脚端固定部115が初段揺動部材63における連結部91の受光窓45に対向する面に固定される。
図10は、脚柱板97の要部拡大斜視図である。
初段揺動部材63及び次段揺動部材65は、上述した可撓部95が、括れ部125により形成されている。括れ部125は、脚端固定部93(脚端固定部115)との境の脚柱板97(脚柱板117)の脚先端側、連結部91(連結部113)との境の脚柱板97(脚柱板117)の脚基端側に、板幅を狭くして形成されている。
次に、上述した揺れ補正機構100の構成における作用を説明する。
図11は、図6に示した初段揺動部材63の初段左脚部を平面視した動作説明図である。
なお、初段揺動部材63及び次段揺動部材65は、ほぼ同一の構造を有するので、共通部分の説明は、主に初段揺動部材63を代表例として説明する。
本実施の形態に係る揺れ補正機構100では、門形形状の初段揺動部材63及び次段揺動部材65を2段で備える。例えば初段揺動部材63は、脚部69、連結部91及び脚端固定部93が機素となってこれらの各部位間が相対運動する機構を構成する。初段揺動部材63は、門形形状のそれぞれの脚先端が脚端固定部93のみにより固定される。
脚端固定部93と脚部69との間、それぞれの脚部69と連結部91との間は、図11に示す可撓部95により接続される。可撓部95は、光軸Ocに直角に交差する同方向の揺動中心Ycで揺動自在となる。脚部69は、脚端固定部93との間の可撓部95が主に撓むことにより、通常位置を中心に連結部91が左右方向に移動量Δaずつ移動する。即ち、例えば初段揺動部材63では、脚部69、連結部91及び脚端固定部93が、揺動中心Ycで揺動する4つのほぼ対偶(相対変位する対の部位)で接続された4節連鎖(相対変位可能な個々の機素が環状につながったもの)を構成する。これは、次段揺動部材65も同様である。
本実施の形態の構成例において、対偶と見なす相対変位する対の部位は、可撓部95により構成される。例えば、脚端固定部93と脚先端とを接続する可撓部95である。可撓部95は、弾性範囲内で弾性変形する。本実施の形態の構成例において、揺動中心Ycは、可撓部95であるので、厳密には移動する。可撓部95は、可撓領域が他の剛体同士の間に挟まれる微小領域なので揺動中心Ycのズレは揺動方向に大きな影響を及ぼさない。従って、本明細書中では、可撓部95が仮想の揺動中心Ycで揺動するものとする。
図12は、初段揺動部材63の板バネ99を後方斜め右上から見た動作説明図である。
図12では、初段揺動部材63の板バネ99を例示して説明するが、以下の説明は次段揺動部材65の板バネ119においても同様に適用可能である。
本実施の形態の構成例の揺れ補正機構100では、脚柱板97の角部を可撓部95によるヒンジとして、平行四辺形127の対辺がほぼ平行移動する揺動機構を構成する。この揺動機構を2段重ねて、初段の移動方向と直角となる方向に移動できる次段を設けている。即ち、カメラ筐体25に固定された初段揺動部材63に対して、次段揺動部材65を固定している。この2段構造により、カメラ筐体25に対して、次段揺動部材65の連結部113に搭載した撮像素子73は、2軸方向に自由にほぼ平行移動が可能となる。
カメラ筐体25にレンズ部27を配置して、次段揺動部材65の連結部113に撮像素子73を配置することにより、撮像素子73は、レンズ部27の光軸Ocに対して垂直な2軸方向に自由に移動できる。このため、監視カメラ200A又は監視カメラ200が外力などにより揺れた場合、監視カメラ200A又は監視カメラ200は、アクチュエータ87を用い、その揺れをキャンセルする方向に次段揺動部材65の連結部113を介して撮像素子73を移動させることで、揺れによる撮像画像の画質の劣化(画像ぶれ)を抑制でき、良好な画像が得られる。
この場合、監視カメラ200A又は監視カメラ200は、アクチュエータ87として、第1コイル75及び第1磁石79からなる第1リニアモータ83、並びに第2コイル77及び第2磁石81からなる第2リニアモータ85を用いることができる。第1リニアモータ83及び第2リニアモータ85は非接触となるように構成される。
なお、揺れ補正機構100では、可撓部95の撓みにより撮像素子73の位置が光軸Ocに沿ってズレるが、そのズレ量は、レンズ部27,35内に配置されたレンズ(図示略)の焦点深度(つまり、ピントが合っている位置から対物レンズと撮像素子73との距離を変えてもピントがシャープに合っている範囲)内に収まるため撮像画像の画質を劣化させる程の影響は出ないと考えられる。
また、初段揺動部材63及び次段揺動部材65は、一対の平行な脚部69(脚部111)の脚基端同士を桁となる連結部91(連結部113)で接続した門形形状なので、L形構造等に比べ撮像素子73を安定支持できる。これに加え、揺れ補正機構100は、門形形状なので保持強度が高く、耐久性を高めることができる。このため、本実施の形態の構成例の揺れ補正機構100は、例えば機器等の法定耐用年数を示す耐用年数表の光学機器及び写真製作機器に相当する5年を十分に満足する耐久性能を付与することが可能となる。
また、初段揺動部材63及び次段揺動部材65は、揺動部分を可撓部95で構成するので、従来のボールを転がせてスライドさせるスライド機構や、すべり軸受等のように、摩擦による起動トルクの増加がない。従って、起動トルクの増加に起因するヒステリシスが生じない。そのため、駆動エネルギーを小さくできる。更に、歯車機構のように、バックラッシュの生じることもない。これにより、適切な負荷が掛け易く、正確な微動制御をスムースに行うことができる。つまり、揺れ補正機構100は、円滑な動作制御を行うことができる。
また、揺れ補正機構100は、初段揺動部材63,次段揺動部材65の揺動部分を可撓部95で構成するので、複数の部材を複雑な構造で組み立てる必要がなく、構造が簡素となり、コストが低減できるとともに、軽量化も実現できる。
また、揺れ補正機構100では、初段揺動部材63や、次段揺動部材65の主要部を、プレス加工の打抜き、穴あけ、曲げにより、高精度に、安価に量産できる。また、可撓部95の形状も高精度に形成できるので、バラツキのないヒンジ特性を得ることができる。更に、初段揺動部材63や次段揺動部材65の基本構造は、それぞれ異なる1枚の板材(例えば板バネ)からなる1部品であるので、歯車機構や、まわり対偶を用いたリンク機構等に比べ部品点数を大幅に少なくできる。
また、揺れ補正機構100では、初段揺動部材63及び次段揺動部材65が、初段揺動部材63の内側に次段揺動部材65を配設した入れ子構造となる。初段揺動部材63は、次段揺動部材65の覆いとなる。このため、他部材との干渉を生じにくくして、コンパクトなスペースに、2軸方向の揺動機構を集約して構成できる。また、本実施の形態の構成例の揺動機構は、入れ子構造とすることにより、2軸方向のそれぞれ別体の揺動機構を分散配置する構成に比べ、小型化を図ることができる。
また、揺れ補正機構100では、例えば初段揺動部材63の場合、連結部91と、連結部91に接続する一対の脚部69と、一対の脚部69のそれぞれに接続する脚端固定部93とが、1枚の成形材として打抜き加工される。脚部69は、脚端固定部93と脚部69との間の揺動中心Ycと、脚部69と連結部91との間の揺動中心Ycとに挟まれる部分が、四角形の外形状となる。この四角形状は、脚端固定部93と脚部69との境、及び脚部69と連結部91との境を平行な折り曲げ線により折り曲げ加工することにより形成される。脚部69は、この四角形状の内側が、更に四角形状の穴により穴あけされる。なお、1枚の成形材の打抜き加工と、この穴あけ加工とは、同時に行われてもよい。その結果、脚部69には、脚端固定部93と連結部91とを接続する一対の平行な脚柱板97が、穴あけ加工されていない残りの部分として形成される。従って、初段揺動部材63及び次段揺動部材65は、連結部91の両側でそれぞれ直角に折り曲げられた平行な一対の脚柱板97により脚端固定部93に接続され、門形形状となる。これは、次段揺動部材65も同様である。
また、揺れ補正機構100では、例えば初段揺動部材63の場合、脚端固定部93と連結部91とを接続しているそれぞれの脚柱板97の脚先端側及び脚基端側に括れ部125が形成される。括れ部125は、他の脚柱板97の部分の板幅よりも狭く(断面積が小さく)形成され、剛性の低い部分となっている。この括れ部125の板幅は、板厚よりも大きく設定される。そのため、それぞれの括れ部125は、板幅方向の揺動中心Ycまわりに弾性変形して曲がりやすくなっている。この括れ部125は、初段揺動部材63及び次段揺動部材65のそれぞれに8箇所設けられ、合計16箇所存在する。これにより、2軸方向の移動を実現している初段揺動部材63及び次段揺動部材65は、可動部の荷重負荷を合計16箇所の括れ部125で分散させ、負荷の集中を抑制している。その結果、金属疲労を軽減し、耐久性を高めることができる。これは、次段揺動部材65も同様である。
また、揺れ補正機構100では、例えば初段揺動部材63の場合、それぞれの脚部69に形成されている一対の平行な脚柱板97が、可撓部95を除いて、コ字形状の補強板101により補強される。一対の脚柱板97のみとなった脚部69は、この補強板101により補強されることにより四角形状の面材としての剛性を有することになる。従って、初段揺動部材63及び次段揺動部材65は、脚端固定部93と脚部69との間の揺動中心Yc、脚部69と連結部91との間の揺動中心Yc以外の脚部69の変形が抑制される。これにより、初段揺動部材63及び次段揺動部材65は、脚部69の捩れを生じにくくし、より高精度な2軸方向の揺動動作を実現できる。これは、次段揺動部材65も同様である。
そして、カメラ装置によれば、上記の揺れ補正機構100を備えることにより、カメラ筐体25に対して、撮像素子73を光軸Ocに対して垂直な2軸方向に自由に移動でき、画ぶれを抑制することができる。また、門形の初段揺動部材63及び次段揺動部材65を2段重ねて、揺れ補正機構100の要部を構成するので、撮像素子73の保持強度が高く、撮像素子73を安定支持できる。
従って、本実施の形態に係る揺れ補正機構100によれば、簡素な構造で、耐久性を確保しながら、円滑に2軸方向の動作を実現させることができる。
本実施の形態に係る監視カメラ200、監視カメラ200Aによれば、揺れが大きい設置場所であっても、長期間に渡り良好な画像を維持することができる。
(実施の形態2の内容に至る経緯)
上述した特許文献1の構成では、カメラモジュールが搭載された携帯電話機等の電子機器の手振れ補正機能として、撮像素子ユニットの移動範囲が光学レンズの有効撮像範囲を超える場合の対策については考慮されていない。
例えば特許文献1の電子機器が揺れる場所に設置され、撮像素子ユニットの移動範囲が光学レンズの有効撮像範囲を超えてしまう程度に電子機器が揺れることを考えると、撮像素子の受光面(撮像面)の少なくとも一部に光が入射されないことがある。この場合、光が入射されない受光面の部分における撮像画像にケラレが発生してしまい、撮像画像の画質が劣化してしまい、撮像画像のデータとしての信頼性を低下させてしまう。一方で、ケラレの発生を抑制するために、撮像素子ユニットの移動範囲を極力少なくなるように制御すると、手振れ補正の効果が出にくくなり、有効撮像範囲の大きな光学レンズを選択せざるを得なくなってしまい、コストアップの回避が困難となる。
そこで、以下に述べる実施の形態2では、簡素な構成で、装置本体が揺れる場所に設置される場合でも、撮像素子により撮像される撮像画像の画質劣化を効果的に抑制し、撮像画像のデータとしての信頼性の低下を防ぐカメラ装置及び揺れ補正方法の例を説明する。
(実施の形態2)
図13は、実施の形態2の監視カメラ200Aの内部構成の一例を詳細に示すブロック図である。
本実施の形態の監視カメラ200Aは、実施の形態1の揺れ補正機構100を含むカメラ装置の一例として例示したものである。つまり、本実施の形態の監視カメラ200Aは、被固定面に固定され、かつ、被固定面自体に揺れが生じる場所に設置される。以下の実施の形態2,3において、実施の形態1の揺れ補正機構100において説明した各部と同一の構成については同一の符号を付与して説明を簡略化又は省略し、異なる内容について説明する。
図13に示す監視カメラ200Aは、レンズマウントベース37が取り付けられたレンズ部35と、撮像素子73が取り付けられた揺れ補正機構100と、位置センサPSと、ジャイロセンサGYと、積分器IGと、CPU201と、メモリ203と、角度距離変換部205と、第1判断部207と、第2判断部209と、DSP211と、BISモータドライバMD1と、BISモータM1と、ズームモータドライバZMD1とを含む構成である。
レンズ部35は、監視カメラ200Aの撮像光学系を構成するための各種のレンズと一部のレンズ(例えばズームレンズZ2)を光軸Ocに対して水平方向(ハッチングが施された矢印参照)に駆動可能なズームモータZMとを含むレンズユニットLZUと、レンズマウントベース37とを含む。実施の形態1において説明したように、揺れ補正機構100は、レンズマウントベース37に固定される。
レンズユニットLZUは、対物レンズの一例としての固定系のズームレンズZ1と、ズームレンズZ1より後段側の可動系のズームレンズZ2とを少なくとも含む。なお、以下の実施の形態2,3において、レンズユニットLZUには、2段のズームレンズ以外に他のズームレンズが設けられても構わない。ズームレンズZ1,Z2には、被写体光(つまり、被写体により反射された光)が入射される。ズームレンズZ1,Z2を入射した被写体光は、有効像円CR1(図14参照)内の領域に結像される。なお、以下の実施の形態2に対応する監視カメラ200A(図13参照)や実施の形態3に対応する監視カメラ200AA(図19参照)では、便宜的にフォーカスレンズの図示は省略している。
ズームモータZMは、CPU201の光学ズーム制御指示に基づいてズームモータドライバZMD1から出力された制御信号に応じて、ズームレンズZ2を、光軸Ocの方向に対して水平方向(言い換えると、光軸Ocの方向に対する前進方向及び後退方向)に駆動する。つまり、レンズユニットLZUは、ズームレンズZ2のズーム倍率の一例としての光学ズーム倍率を変更可能である。これにより、CPU201は、監視カメラ200Aの撮像光学系のズーム画角を可変にでき、光学ズーム倍率を変更できる。例えば、CPU201は、ズームレンズZ2を光軸Ocの方向に対して水平方向に駆動することで、撮像素子73により撮像される撮像画像を光学的にズームアップ(挟角化)したりズームダウン(広角化)したりできる。
揺れ補正機構100の詳細な構成については実施の形態1において説明したので、ここでは詳細の説明は省略する。揺れ補正機構100は、撮像素子73を保持するホルダの一例としての素子ホルダ67を保持し、ジャイロセンサGYの検出値に基づく素子ホルダ67の駆動により、撮像素子73により撮像された撮像画像を揺れ補正する。揺れ補正機構100には、位置センサPSが取り付けられる。
位置センサPSは、撮像素子73の基準位置(例えば光軸Ocが撮像素子73の受光面RVL1の中心を通過する時の撮像素子73の位置)からの変位量Xを検出する。撮像素子73が上述した基準位置から変位していない(つまり、ずれていない)場合には、位置センサPSの出力はゼロ(0)となる。位置センサPSは、撮像素子73の基準位置からの変位量Xに関する情報を第1判断部207に出力する。
撮像素子73は、レンズ部35に入射した光(つまり、被写体光)に基づく画像を撮像する。つまり、撮像素子73は、被写体により反射された被写体光を有効像円CR1内の受光面RVL1(図14参照)に入射し、入射した被写体光に基づく光学像を電気信号に変換(光電変換)する。撮像素子73は、光電変換により得られた電気信号を信号処理部(図示略)に出力する。
信号処理部は、例えば撮像素子73が配置される素子ホルダ67の基板89上に配置され、撮像素子73から出力された電気信号に対して所定の信号処理を施すことで、フレーム毎の画像信号(例えばRGB形式又はYUV形式の画像信号)を生成してDSP211に出力する。以下、DSP211に入力される画像信号を、便宜的に「撮像画像」と称する。撮像画像は、静止画でも動画でもよい。フレームレートは、例えば60fps(frame per second)である。撮像素子73は、例えばCCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を用いて構成される。
揺れセンサの一例としてのジャイロセンサGYは、監視カメラ200Aの揺れを検出して積分器IGに出力する。ジャイロセンサGYは、例えばレンズ部35のレンズユニットLZUの筐体に固定されるように取り付けられる。ジャイロセンサGYは、監視カメラ200A(例えばレンズユニットLZU)の揺れを示すパラメータの一例として、監視カメラ200Aの揺れに起因して生じるレンズユニットLZUの回転(例えば揺れ角度Δθ)に基づく角速度ωを検出する。ジャイロセンサGYにより検出された角速度ωに関する情報は、積分器IGに入力される。なお、以下の実施の形態2,3において、ジャイロセンサGYは、レンズマウントベース37に取り付けられてもよい。
積分器IGは、ジャイロセンサGYにより検出された角速度ωを時間で積分処理することにより、監視カメラ200Aの揺れに起因して生じるレンズユニットLZUの回転を示すパラメータの一例として、揺れ角度Δθを算出してCPU201及び角度距離変換部205に出力する。
プロセッサの一例としてのCPU201は、メモリ203と協働して、監視カメラ200Aの動作に関する各種処理や制御を行う。CPU201は、メモリ203に保持されたプログラム及びデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、例えばズームレンズZ2に対する光学ズーム制御をズームモータドライバZMD1に指示したり、撮像素子73により撮像された撮像画像に対する電子ズーム制御をDSP211に指示したりする。なお、CPU201の処理の詳細については、例えば図15及び図18をそれぞれ参照して後述する。
また、CPU201は、メモリ203に予め格納されている、レンズユニットLZU内の各種のレンズに関する情報と撮像素子73に関する情報とを参照し、例えばレンズユニットLZU内のズームレンズの光学ズーム倍率毎に異なるBIS(in body image stabilizer)可動範囲を算出してメモリ203に設定する。BIS可動範囲に関する情報は、第2判断部209により参照される。BIS可動範囲は、撮像素子73により撮像された撮像画像にケラレ(例えば黒潰れ)が生じないために、撮像素子73に許される移動範囲を示す。BIS可動範囲はズームレンズの光学ズーム倍率毎に異なる(図17B参照)。
ここで、BIS可動範囲の詳細について、図14を参照して説明する。
図14は、光学ズーム倍率に応じたBIS可動範囲、並びにBIS可動範囲を超える受光面の移動があった場合の撮像画像の画質劣化をそれぞれ示す説明図である。
図14の状態ST1(紙面左側)では、監視カメラ200Aが揺れていない状態(例えば監視カメラ200Aが揺れる前の状態)のBIS可動範囲BW1が示されている。一方、比較例としての図14の状態ST1a(紙面右側)では、監視カメラ200Aが揺れている状態で、揺れ補正機構100によりBIS可動範囲BW1を超える撮像素子73の移動(つまり、受光面RVL1の移動)が行われた時に撮像画像の画質が劣化することが示されている。状態ST1において、撮像素子73の受光面RVL1の大きさは、監視カメラ200Aの撮像画像が表示されるモニタ(図示略)に出画されるサイズ(モニタ出画サイズOPT1)に相当する。
BIS可動範囲BW1は、あるズーム位置(つまり、可動系のズームレンズZ2のレンズユニットLZU内の位置)に応じた撮像素子73のモニタ出画サイズOPT1(言い換えると、切り出しサイズ)の領域の端部である左端部Pzを基準とした有効像円CR1の長さE1と、そのズーム位置に応じた撮像素子73のモニタ出画サイズOPT1の領域の端部である左端部Pzにおける撮像素子73のモニタ出画サイズOPT1(言い換えると、切り出しサイズ)の領域の長さS1との差分により定まる。なお、図14及び図15では、モニタ出画サイズの領域の左端部Pzを例示して説明しているが、モニタ出画サイズOPT1の端部は左端部Pzに限定されず、例えば右端部でもよく、以下同様である。モニタ出画サイズは、撮像画像として電子的に切り出されて使用される範囲を示すサイズである。CPU201は、ズーム位置毎にBIS可動範囲BW1を算出してメモリ203に設定して格納可能である。
ところが、監視カメラ200Aの揺れに伴って、状態ST1と同じズーム位置(つまり、ズームレンズZ2のレンズユニットLZU内の位置)において、揺れ補正機構100により、BIS可動範囲BW1を超える移動量B1の撮像素子73の移動が行われたとする。この場合、図14の状態ST1aに示すように、状態ST1に比べて受光面RVL1がBIS可動範囲BW1を超えて移動する。従って、受光面RVL1の一部が有効像円CR1をはみ出てしまい、はみ出た部分の受光面KRR1に被写体光が入射されず、ケラレ(例えば黒潰れ)が生じてしまい、撮像素子73により撮像された撮像画像の画質が劣化してしまう。なお、図14に示す移動量B1は、ジャイロセンサGYの出力が積分器IGによって揺れ角度Δθに変換された後、揺れ角度Δθが角度距離変換部205によって変換された長さの次元を有する値である。
従って、例えば監視カメラ200の揺れに伴って、揺れ補正機構100により、撮像素子73の移動量B1がBIS可動範囲BW1以内となる撮像素子73の移動がなされる場合には、撮像画像にケラレが発生せず、撮像画像の画質の劣化は生じない。一方、例えば監視カメラ200の揺れに伴って、揺れ補正機構100により、撮像素子73の移動量B1がBIS可動範囲BW1を超える撮像素子73の移動がなされる場合には、撮像画像の少なくとも一部にケラレが発生し、撮像画像の画質の劣化は生じることになる。
メモリ203は、例えばフラッシュメモリ又はハードディスクを用いて構成され、CPU201が監視カメラ200Aの動作に関する処理や制御を実行するために必要なプログラム及びデータを格納する。メモリ203は、レンズユニットLZU内の各種のレンズに関する情報や撮像素子73に関する情報を格納している。なお、メモリ203は、監視カメラ200Aの各部の処理実行時のワークメモリとしての機能を有するRAM(Random Access Memory)としても動作する。
また、メモリ203は、ズーム位置(つまり、可動系のズームレンズZ2のレンズユニットLZU内の位置)とそのズーム位置に対応した光学ズーム倍率とを対応付けたテーブルを保持している(図17A参照)。また、メモリ203は、CPU201により算出されたズーム倍率毎に異なるBIS可動範囲のテーブルを保持している(図17B参照)。
図17Aは、ズーム位置と光学ズーム倍率との対応関係の一例を示すテーブルである。
図17Aに示すテーブルでは、ズーム位置(つまり、可動系のズームレンズZ2のレンズユニットLZU内の位置)とそのズーム位置に対応した光学ズーム倍率とを対応付けられている。ズーム位置はズームレンズZ2を駆動させるズームモータZM(例えばステッピングモータ)の刻み幅毎に設けられるため、光学ズーム倍率は離散値の段階的な変更が可能となる(図17A参照)。
図17Bは、光学ズーム倍率とBIS可動範囲の対応関係の一例を示すテーブルである。
図17Bに示すテーブルでは、ズーム位置(上述参照)に基づいて定まる光学ズーム倍率と、揺れ補正機構100の揺れ補正において撮像素子73の許容移動量を示すBIS可動範囲とが対応付けられている。それぞれのBIS可動範囲の値は、それぞれの光学ズーム倍率に応じてCPU201により算出されてメモリ203に設定された値である。
角度距離変換部205は、レンズユニットLZU内の各種のレンズにより定まる監視カメラ200Aの撮像光学系の焦点距離に関する情報を予め保持しているか、又はその焦点距離に関する情報をメモリ203から読み出して取得する。なお、図13の図面の複雑化を避けるために、角度距離変換部205とメモリ203との間の矢印の図示は省略している。角度距離変換部205は、積分器IGから出力された揺れ角度Δθに関する情報を取得し、焦点距離fに関する情報と揺れ角度Δθとを用いて、揺れ角度Δθを、揺れ角度Δθに対応して揺れ補正機構100に揺れ補正させるべき長さ(言い換えると、撮像素子73を移動すべき長さを示し、以下、「BIS揺れ補正量」と称する)に変換する。つまり、角度距離変換部205は、監視カメラ200Aの揺れに伴って揺れ角度Δθが検出された場合に、その揺れ角度Δθの揺れの影響をキャンセルするために、監視カメラ200Aの揺れの方向と反対側に撮像素子73を駆動させるための駆動量を、BIS揺れ補正量として算出することができる。
角度距離変換部205は、例えば焦点距離fに関する情報と揺れ角度Δθとを用いて、数式(1)に示すように、BIS揺れ補正量ΔXrを算出し(図20参照)、算出結果を第1判断部207に出力する。なお、図20において、揺れ角度Δθが1度に対応し、焦点距離fが焦点距離f1に対応し、BIS揺れ補正量ΔXrがΔx1に対応する。
第1判断部207は、位置センサPSから出力された変位量Xに関する情報と角度距離変換部205から出力されたBIS揺れ補正量ΔXrに関する情報とを取得し、例えばBIS揺れ補正量ΔXrと変位量Xとの差分(ΔXr−X)を算出し、算出結果を揺れ補正機構100におけるBIS揺れ補正量として第2判断部209に出力する。
第1判断部207の算出処理には次に示す技術的意義があると考えられる。具体的には、BIS揺れ補正量ΔXrは、レンズユニットLZUの揺れ(回転)に伴って算出された値であり、レンズユニットLZUの揺れ(回転)に伴う撮像素子73の移動量がオフセット(つまり、加算)されている。従って、第1判断部207は、このオフセットの分(つまり、変位量X)を差し引く処理を行うことにより、監視カメラ200Aの揺れ(言い換えると、レンズユニットLZUの揺れ)に伴う撮像素子73の正確なBIS揺れ補正量(つまり、撮像素子73を移動すべき長さ)を算出可能となる。
なお、第1判断部207は、変位量Xがメモリ203に保存された又は第1判断部207自身が予め保持する所定の既定値以下である場合には、上述した変位量Xを差し引く処理を省いて、角度距離変換部205から出力されたBIS揺れ補正量ΔXrに関する情報をそのまま第2判断部209に出力しても構わない。
第2判断部209は、第1判断部207から出力されたBIS揺れ補正量に関する情報とメモリ203から取得した光学ズーム倍率に対応したBIS可動範囲に関する情報とを取得する。第2判断部209は、第1判断部207から出力されたBIS揺れ補正量に関する情報とメモリ203から取得した光学ズーム倍率に対応したBIS可動範囲に関する情報とを比較する。言い換えると、第2判断部209は、撮像素子73により撮像される撮像画像にケラレが生じるか否かを判断する。
具体的には、第2判断部209は、BIS揺れ補正量がBIS可動範囲以下であると判断した場合には、撮像素子73により撮像される撮像画像にケラレが生じないとして、BIS揺れ補正量に関する情報を用いた揺れ補正の制御信号を生成してBISモータドライバMD1に出力する。
一方、第2判断部209は、BIS揺れ補正量がBIS可動範囲を超えると判断した場合には、撮像素子73により撮像される撮像画像にケラレが生じる又はその可能性があるとして、現在の光学ズーム倍率を変更する(具体的には、光学ズーム倍率を下げる)旨の指示をCPU201に出力する。CPU201は、第2判断部209からの指示を受けると、現在の光学ズーム倍率を下げるように変更する旨の制御信号を生成してズームモータドライバZMD1に出力する。なお、現在の光学ズーム倍率に関する情報は、CPU201において保持されているか、又はメモリ203内のRAM(Random Access Memory)において一時的に保持されている。
プロセッサの一例としてのDSP(Digital Signal Processor)211は、上述した信号処理部(図示略)から出力された撮像画像を取得し、所定の加工処理を施して撮像画像に基づく映像データを生成し、映像データを後段(図示略、例えば監視カメラ200Aに接続された外部機器との間の通信を司る通信部)に出力する。なお、上述した信号処理部(図示略)が省略されても構わない。この場合、撮像素子73から出力された電気信号がDSP211に直接に入力され、DSP211において所定の信号処理が施されてフレーム毎の画像信号(例えばRGB形式又はYUV形式の画像信号)である撮像画像が生成される。
また、DSP211は、信号処理部(図示略)から取得した撮像画像又は自身で生成した撮像画像のデータと現在の光学ズーム倍率に関する情報とに基づいて、撮像画像のデータを解析することで、どの程度光学ズームダウンがなされればケラレの発生を回避できるかを示す最小の光学ズーム倍率又は現在の光学ズーム倍率との変更率を推定してもよい。DSP211は、推定結果(つまり、最小の光学ズーム倍率又は現在の光学ズーム倍率との変更率)をCPU201に出力する。
また、DSP211は、CPU201からの電子ズーム制御指示の制御信号に基づいて、ズームモータドライバZMD1において光学ズーム制御(例えば光学ズームダウン)が実行された後の撮像画像に対し、電子的な画素ピッチの切り出し処理を行うことで、光学ズーム制御(例えば光学ズームダウン)の実行前の状態のモニタ出力画面上の映像の大きさを変えることなく、監視カメラ200Aの揺れの影響をキャンセル又は緩和できた撮像画像を生成する(図15参照)。
BISモータドライバMD1は、第2判断部209から出力された制御信号に基づいてBISモータM1を作動させるための制御信号を生成してBISモータM1に出力する。BISモータドライバMD1は、この制御信号に基づいてBISモータM1を制御することで、第2判断部209において判断されたBIS揺れ補正量の揺れ補正を揺れ補正機構100に実行させる。つまり、BISモータドライバMD1は、例えばPID(Proportional Integral Differential)制御を行うことにより、BIS揺れ補正量の分だけ、監視カメラ200Aの揺れの方向と反対側の方向に撮像素子73を保持する素子ホルダ67を移動させる。
BISモータM1は、BISモータドライバMD1から出力された制御信号に基づいて、第2判断部209において判断されたBIS揺れ補正量の揺れ補正を揺れ補正機構100に実行する。これにより、BISモータドライバMD1やBISモータM1を含む揺れ補正機構100は、監視カメラ200Aの揺れに伴って揺れ角度Δθが検出された場合に、その揺れ角度Δθに応じて求められたBIS揺れ補正量の長さの分、撮像素子73を移動させることで、揺れの影響をキャンセル又は緩和することができ、撮像画像の画質の劣化を抑制できる。なお、BISモータM1は、実施の形態1の揺れ補正機構100における第1リニアモータ83及び第2リニアモータ85を有するアクチュエータ87に対応し、以下の実施の形態3においても同様である。
ズームモータドライバZMD1は、CPU201から出力された光学ズーム制御指示の制御信号に基づいてズームモータZMを作動させるための制御信号を生成してズームモータZMに出力する。ズームモータドライバZMD1は、この制御信号に基づいてズームモータZMを制御することで、CPU201において判断された変更後の光学ズーム倍率の設定をズームモータZMに実行させる。つまり、ズームモータドライバZMD1は、例えば現在の光学ズーム倍率よりも小さい光学ズーム倍率が得られるように、ズームレンズZ2を光軸Ocの方向に水平方向に移動させる(図15参照)。
CPU201は、例えば次の幾つかの方法に従って、現在の光学ズーム倍率を下げる時の変更率(つまり、どのくらい光学ズーム倍率を下げれば撮像画像においてケラレが発生しなくなるか)を決定し、決定後の光学ズーム倍率(つまり、光学ズームダウン後の新たな光学ズーム倍率)が得られるように、ズームモータドライバZMD1の作動を制御する。
<第1の光学ズーム倍率の決定方法>
CPU201は、例えば一定期間におけるジャイロセンサGYの検出時刻ごとの、揺れ角度Δθの情報と光学ズーム倍率の変更率とを対応付けた変更率情報(図示略)をメモリ203に蓄積する。一定期間は、例えば1日、1週間、1ヵ月、1年等であるが、これらの期間に限定されないことは言うまでもない。CPU201は、メモリ203に蓄積された変更率情報を用いて、一定期間における光学ズーム倍率の変更率(つまり、光学ズーム倍率の下げ幅)の最大値を光学ズーム倍率の下げ率として決定する。これにより、CPU201は、例えば監視カメラ200Aの揺れが大きい時等に光学ズーム倍率の下げ幅の最大値を用いることで、光学ズームダウン後のBIS可動範囲を長く取得することができ、揺れ補正機構100における揺れ補正による撮像画像の画質劣化を抑制できる。
<第2の光学ズーム倍率の決定方法>
CPU201は、例えば一定期間におけるジャイロセンサGYの検出時刻ごとの、揺れ角度Δθの情報と光学ズーム倍率の変更率とを対応付けた変更率情報(図示略)をメモリ203に蓄積する。一定期間は、例えば1日、1週間、1ヵ月、1年等であるが、これらの期間に限定されないことは言うまでもない。CPU201は、メモリ203に蓄積された変更率情報を用いて、一定期間における光学ズーム倍率の変更率(つまり、光学ズーム倍率の下げ幅)の平均値を光学ズーム倍率の下げ率として決定する。これにより、CPU201は、例えば監視カメラ200Aの揺れが定常的に発生している時等に光学ズーム倍率の下げ幅の平均値を用いることで、ばらつきの少ない光学ズームダウン後のBIS可動範囲を安定して取得することができ、揺れ補正機構100における揺れ補正による撮像画像の画質劣化を抑制できる。
<第3の光学ズーム倍率の決定方法>
CPU201は、例えば一定期間におけるジャイロセンサGYの検出時刻ごとの、揺れ角度Δθの情報と光学ズーム倍率の変更率とを対応付けた変更率情報(図示略)をメモリ203に蓄積する。一定期間は、例えば1日、1週間、1ヵ月、1年等であるが、これらの期間に限定されないことは言うまでもない。CPU201は、メモリ203に蓄積された変更率情報に含まれる、光学ズーム倍率の変更率(つまり、光学ズーム倍率の下げ幅)の時間推移(例えば時刻依存性や季節依存性)に従って、現在時刻と一致する光学ズーム倍率の下げ率を決定する。これにより、CPU201は、例えば監視カメラ200Aの揺れに特定の時刻依存性又は季節依存性が存在する時等に、その時刻依存性や季節依存性に適合した光学ズームダウン後のBIS可動範囲を安定して取得することができ、揺れ補正機構100における揺れ補正による撮像画像の画質劣化を抑制できる。
図15は、実施の形態2の監視カメラ200Aの動作概要の一例を示す説明図である。図16Aは、実施の形態2における光学ズーム制御量と光学ズーム倍率との関係の一例を示す説明図である。図16Bは、実施の形態2における電子ズーム制御量と電子ズーム倍率との関係の一例を示す説明図である。
図15の状態ST1(紙面最左側)は、図14の状態ST1(紙面左側)と同じ状態である。図15の状態ST2(紙面中央)は、監視カメラ200Aが揺れている状態で、CPU201の判断により光学ズームダウン(つまり、撮像画像の広角化)がズームモータドライバZMD1に指示された後に、撮像素子73のモニタ出画サイズOPT2が状態ST1における撮像素子73のモニタ出画サイズOPT1よりも小さくなったことが示されている。図15の状態ST3(紙面最右側)は、監視カメラ200Aが揺れている状態ST2の時点で、CPU201の判断により電子ズームアップ(つまり、撮像画像の挟角化)がDSP211に指示された後に、撮像素子73のモニタ出画サイズOPT3が見かけ上、状態ST1における撮像素子73のモニタ出画サイズOPT1と同一又は略同一になったことが示されている。
なお、図15では、監視カメラ200Aの揺れの方向が一方向(例えば重力方向と平行な鉛直方向)だけである場合を例示して図示しているが、図15の説明は監視カメラ200Aの揺れの方向が二方向(例えば重力方向と平行な鉛直方向とその鉛直方向及び地面と平行な水平方向)に及ぶ場合も同様に適用可能である。
図15の状態ST1でも同様に、監視カメラ200Aの揺れに伴い、揺れ補正機構100により、BIS可動範囲BW1以下となる移動量の撮像素子73の移動が行われる場合には、撮像素子73の受光面RVL1は有効像円CR1からはみ出ることが無いので、撮像素子73により撮像される撮像画像にケラレが発生せず、撮像画像の画質の劣化は生じない。しかし、図14を参照して説明したように、監視カメラ200Aの揺れに伴い、揺れ補正機構100により、BIS可動範囲BW1を超える移動量(例えば図14に示す移動量B1)の撮像素子73の移動が行われる可能性は十分にあり得る。
そこで、本実施の形態では、CPU201は、第2判断部209から現在の光学ズーム倍率を変更する旨の指示を受けた場合には、現在の光学ズーム倍率を下げる(つまり、光学ズームダウンを行う)ように、ズームモータドライバZMD1の作動を制御する。
これにより、状態ST2に示すように、状態ST1における撮像素子73の受光面RVL1の大きさは変わらないものの、光学ズームダウンによって、モニタ出画サイズOPT2の領域が状態ST1のモニタ出画サイズOPT1の領域より小さくなり、撮像画像の広角化が図られる。つまり、状態ST2では、撮像素子73の受光面RVL1全域に被写体光が入射されているが、撮像画像として使用される範囲はモニタ出画サイズOPT2の領域の部分だけとなる。
従って、状態ST2では、BIS可動範囲BW2は、状態ST1時のズーム位置から変更後のズーム位置に応じた撮像素子73のモニタ出画サイズOPT2の領域の端部である左端部Pzを基準とした有効像円CR1の長さE2と、その変更後のズーム位置に応じた撮像素子73のモニタ出画サイズOPT2の領域の端部である左端部Pzにおける撮像素子73のモニタ出画サイズOPT2の領域の長さS2との差分により定まる。
これにより、状態ST1からの光学ズームダウンの実行によって、BIS可動範囲がBIS可動範囲BW1からBIS可動範囲BW2に長くなるように変更されるので(BW2>BW1)、状態ST2では、揺れ補正機構100のBIS可動範囲が長くなり、撮像素子73の移動許容長が増大し、ケラレの発生頻度が低減される。
更に、CPU201は、状態ST2から電子的なズームアップ処理をDSP211に実行させることで、状態ST3において、状態ST1のモニタ出画サイズの領域の大きさと同じモニタ出画サイズOPT3の領域の撮像画像をDSP211に取得させることが可能となる。
図16Aの横軸は光学ズーム制御量(言い換えると、ズームレンズZ2のズーム位置)に対応し、図16Aの縦軸は光学ズーム倍率を示す。図16Bの横軸は電子ズーム制御量(言い換えると、撮像画像から切り出す単位の画素ピッチ)に対応し、図16Bの縦軸は電子ズーム倍率(所謂、切り出し倍率)を示す。
図16A及び図16Bに示すように、CPU201は、例えば現在(状態ST1)の光学ズーム倍率が「x10」(つまり10倍)であることを把握し、第2判断部209から現在の光学ズーム倍率を変更する旨の指示を受けた場合には、光学ズーム倍率を「x10」から段階的に変更して光学ズーム倍率を「x8」(つまり8倍)に光学ズームダウンする(状態ST2)。
CPU201は、光学ズームダウンの実行制御をズームモータドライバZMD1に指示するタイミングと同期(連動)するように、光学ズームダウンの変更率に基づいて、光学ズームダウンにより広角化された撮像画像を電子的に元のサイズに戻すように拡大して切り出す電子ズームアップの実行制御(つまり、現在の切り出し倍率である「x1」倍から「x10/8」倍への設定変更)をDSP211に指示する。
これにより、CPU201は、状態ST1時に撮像されていた撮像画像の解像度から多少の劣化はあるものの、状態ST1時に撮像されていた撮像画像と人の視覚において見かけ上変わらない解像度の撮像画像をDSP211において取得させることができ、監視カメラ200Aの揺れが生じても被写体の撮像画像の劣化を抑制できる。更に、CPU201は、揺れ補正機構100におけるBIS揺れ補正量の上限値であるBIS可動範囲を状態ST1のBIS可動範囲に比べて長大化できるので、監視カメラ200Aの揺れの影響をキャンセル又は緩和するための撮像素子73の駆動量を状態ST1に比べて長く取得でき、揺れ補正機構100の揺れ補正の動作補償量(例えば、「状態ST2のBIS可動範囲BW2」−「状態ST1のBIS可動範囲BW1」)を長く担保可能となる。
次に、監視カメラ200AのCPU201の動作手順について、図18を参照して説明する。
図18は、実施の形態2の監視カメラ200AのCPU201の動作手順の一例を詳細に示すフローチャートである。
図18において、CPU201は、第2判断部209から現在の光学ズーム倍率の変更の旨の指示を受領したか否かを判断する(S1)。第2判断部209から現在の光学ズーム倍率の変更の旨の指示を受領していないと判断された場合には(S1、NO)、図18に示すCPU201の処理は終了する。
一方、CPU201は、第2判断部209から現在の光学ズーム倍率の変更の旨の指示を受領したと判断した場合には(S1、YES)、現在の光学ズーム倍率を下げる(つまり、光学ズームダウンを行う)ように、ズームモータドライバZMD1の作動を制御する(S2)。ズームモータドライバZMD1は、CPU201からの指示に応じて、現在の光学ズーム倍率を段階的に下げるようにズームモータZMに、ズームレンズZ2の位置(ズーム位置)を変更させる、つまり、光学ズームダウンの処理を実行する(S2A)。これにより、例えば図15の状態ST2に示すように、光学ズームダウンによって、撮像素子73により撮像される撮像画像のモニタ出画サイズOPT2の領域が状態ST1のモニタ出画サイズOPT1の領域より小さくなり、撮像画像の広角化が図られるとともに、BIS可動範囲が長くなるように変更され、揺れ補正機構100による撮像素子73の移動許容長が増大し、ケラレの発生頻度が低減される。
更に、CPU201は、電子的なズームアップ処理の実行をDSP211に指示する(S3)。DSP211は、CPU201からの指示に応じて、電子的なズームアップ処理(つまり、現在の撮像画像の切り出し倍率を、光学ズームダウンに伴う光学ズーム倍率の下げ幅の逆数に対応するように上げる切り出し処理)を実行する(S3A)。これにより、CPU201は、例えば図15の状態ST3に示すように、状態ST1のモニタ出画サイズの領域の大きさと同じモニタ出画サイズOPT3の領域の撮像画像をDSP211に取得させることが可能となり、人の見た目にはさほど変わりの無い高品質な撮像画像を取得することが可能となる。
以上により、本実施の形態の監視カメラ200Aは、被固定面に固定され、かつ、被固定面自体に揺れが生じる場所に設置され、撮像素子73を保持する素子ホルダ67を保持し、ジャイロセンサGYの検出値(つまり、揺れ角度Δθ)に基づく素子ホルダ67の駆動により、撮像素子73により撮像された撮像画像を揺れ補正する揺れ補正機構100を有する。監視カメラ200Aは、ジャイロセンサGYの検出値(つまり、揺れ角度Δθ)に基づいて、ズームレンズZ2の光学ズーム倍率をレンズユニットLZUに変更させるとともに、変更後の光学ズーム倍率に応じて、揺れ補正機構100により揺れ補正された撮像画像の一部を電子的にズーム処理(つまり、電子的にズームアップして切り出す処理)を行って出力する。
これにより、本実施の形態の監視カメラ200Aは、簡素な構成で、監視カメラ200Aの装置本体が揺れる場所に設置される場合でも、監視カメラ200Aの揺れに応じて、光学ズーム制御(例えば光学ズームダウン)と電子ズーム制御(例えば電子ズームアップ)とを同時に行うことにより、撮像素子73により撮像される撮像画像の画質劣化を効果的に抑制できる。また、監視カメラ200Aは、撮像画像の画質劣化を抑制できるので、撮像画像のデータとしての信頼性の低下を防ぐことができる。
また、監視カメラ200Aは、ズームレンズZ2の光学ズーム倍率を下げるための制御信号(第1制御信号の一例)をレンズユニットLZUに出力するとともに、揺れ補正機構100により揺れ補正された撮像画像の一部をズームアップ処理して切り出す。これにより、監視カメラ200Aは、光学ズームダウンによって、撮像画像として使える領域(つまり、モニタ出画サイズ)の領域が光学ズームダウン前の状態のモニタ出画サイズの領域より小さくでき、BIS可動範囲をより長く取得できるので、揺れ補正機構100による撮像素子73の移動許容長を増大でき、ケラレの発生頻度を低減できる。また、監視カメラ200Aは、光学ズームダウン前の状態のモニタ出画サイズの領域の大きさと同じモニタ出画サイズの領域の撮像画像を取得でき、人の見た目にはさほど変わりの無い高品質な撮像画像を取得することが可能となる。
また、監視カメラ200Aは、ズームレンズZ2の光学ズーム倍率と素子ホルダ67の駆動に基づく撮像素子73の可動量(BIS可動範囲)とを対応付けた可動量情報をメモリ203において保存する。監視カメラ200Aは、ジャイロセンサGYの検出値(つまり、揺れ角度Δθ)に基づく撮像素子73の移動量がズームレンズZ2の光学ズーム倍率に対応したBIS可動範囲を超えるとの判断に従い、ズームレンズZ2の光学ズーム倍率をレンズユニットLZUに変更させるとともに、揺れ補正機構100により揺れ補正された撮像画像の一部を電子的にズームアップ処理して切り出して出力する。これにより、監視カメラ200Aは、ジャイロセンサGYの検出値(つまり、揺れ角度Δθ)に基づく撮像素子73の移動量(つまり、BIS揺れ補正量)が同じ光学ズーム倍率におけるBIS可動範囲内であれば、光学ズームダウン及び電子ズームアップによる撮像画像の解像度を多少の劣化をさせることなく、高精度な撮像画像を取得できる。その一方で、監視カメラ200Aは、ジャイロセンサGYの検出値(つまり、揺れ角度Δθ)に基づく撮像素子73の移動量(つまり、BIS揺れ補正量)が同じ光学ズーム倍率におけるBIS可動範囲を超えるのであれば、光学ズームダウン及び電子ズームアップにより、BIS可動範囲の長大化によるBIS揺れ補正量の補償範囲を増大できながら、人の見た目にはほぼ変わりない程度の解像度の電子ズームアップ後の撮像画像を取得できる。
また、監視カメラ200Aは、揺れ補正機構100により揺れ補正された撮像画像の一部を、変更前のズームレンズZ2の光学ズーム倍率と変更後のズームレンズZ2の光学ズーム倍率との比を用いた電子ズーム処理して切り出す。これにより、監視カメラ200Aは、例えば図15に示す状態ST1時に撮像されていた高精度な撮像画像と人の目には実質的に同程度と映る画質の撮像画像を取得できる。
また、監視カメラ200Aは、一定期間における検出時刻ごとの、ジャイロセンサGYの検出値(つまり、揺れ角度Δθ)とレンズユニットLZU内のズームレンズの光学ズーム倍率の変更率とを対応付けた変更率情報をメモリ203に保存する。監視カメラ200Aは、この変更率情報に含まれる、ズームレンズの光学ズーム倍率の変更率の最大値を用いて、ズームレンズの光学ズーム倍率をレンズユニットLZUに変更させる。これにより、監視カメラ200Aは、例えば監視カメラ200Aの揺れが大きい時等に光学ズーム倍率の下げ幅の最大値を用いることで、光学ズームダウン後のBIS可動範囲を長く取得することができ、揺れ補正機構100における揺れ補正による撮像画像の画質劣化を抑制できる。
また、監視カメラ200Aは、一定期間における検出時刻ごとの、ジャイロセンサGYの検出値(つまり、揺れ角度Δθ)とレンズユニットLZU内のズームレンズの光学ズーム倍率の変更率とを対応付けた変更率情報をメモリ203に保存する。監視カメラ200Aは、この変更率情報に含まれる、ズームレンズの光学ズーム倍率の変更率の平均値を用いて、ズームレンズの光学ズーム倍率をレンズユニットLZUに変更させる。これにより、監視カメラ200Aは、例えば監視カメラ200Aの揺れが定常的に発生している時等に光学ズーム倍率の下げ幅の平均値を用いることで、ばらつきの少ない光学ズームダウン後のBIS可動範囲を安定して取得することができ、揺れ補正機構100における揺れ補正による撮像画像の画質劣化を抑制できる。
また、監視カメラ200Aは、一定期間における検出時刻ごとの、ジャイロセンサGYの検出値(つまり、揺れ角度Δθ)とレンズユニットLZU内のズームレンズの光学ズーム倍率の変更率とを対応付けた変更率情報をメモリ203に保存する。監視カメラ200Aは、この変更率情報に含まれる、ズームレンズの光学ズーム倍率の変更率の時刻推移を用いて、ズームレンズの光学ズーム倍率をレンズユニットLZUに変更させる。これにより、監視カメラ200Aは、例えば監視カメラ200Aの揺れに特定の時刻依存性又は季節依存性が存在する時等に、その時刻依存性や季節依存性に適合した光学ズームダウン後のBIS可動範囲を安定して取得することができ、揺れ補正機構100における揺れ補正による撮像画像の画質劣化を抑制できる。
また、監視カメラ200Aでは、ジャイロセンサGYはレンズユニットLZUの筐体に取り付けられる。これにより、ジャイロセンサGYは、レンズユニットLZU内の撮像光学系に生じる揺れ角度に関するパラメータを正確に測定でき、揺れ補正機構100によるBIS揺れ補正量の正確な算出に資することができる。
(実施の形態3の内容に至る経緯)
上述した特許文献1の構成では、カメラモジュールが搭載された携帯電話機等の電子機器の手振れ補正機能として、レンズの焦点距離の変動(例えば、カメラ装置のメンテナンス時に焦点距離の異なるレンズに交換されたことに起因する焦点距離の変動)に伴って、撮像素子ユニットの移動量を制御する構成については考慮されていない。
例えば特許文献1の電子機器等のカメラ装置が揺れる場所に設置され、このカメラ装置がレンズの交換可能なタイプであることを考える。この場合、特許文献1の構成では、カメラ装置のレンズを交換する度に、交換後に使用されるレンズの特性の一例として焦点距離の情報をカメラ装置に入力して保存させる必要があった。従って、レンズを交換する時の作業者の作業(例えば焦点距離の情報をカメラ装置に入力して保存させるという作業)の手間を軽減することが困難であった。また、このような作業者の作業が行われないと、カメラ装置は、交換後に使用されるレンズの焦点距離を把握できず、揺れの検出量に応じて撮像素子ユニットの移動量を適正に制御することが困難である。
そこで、以下に述べる実施の形態3では、装置本体が揺れる場所に設置された場合に、レンズの交換に伴って変更されたレンズ特性を高精度に推定し、作業者のレンズ特性の入力時の手間を省くとともに、装置本体の揺れの影響を緩和して撮像画像の画質劣化を抑制し、撮像素子のデータとしての信頼性の低下を防ぐカメラ装置及び揺れ補正方法の例を説明する。
(実施の形態3)
図19は、実施の形態3の監視カメラ200AAの内部構成の一例を詳細に示すブロック図である。
図19に示す監視カメラ200AAの説明において、図13に示す監視カメラ200Aの構成と同一の構成については同一の符号を付与して説明を簡略化又は省略し、異なる内容について説明する。
図19に示す監視カメラ200AAは、レンズマウントベース37が取り付けられたレンズ部35と、撮像素子73が取り付けられた揺れ補正機構100と、位置センサPSと、ジャイロセンサGYと、積分器IGと、係数推定部220と、第1判断部207Aと、DSP211Aと、BISモータドライバMD1と、BISモータM1とを含む構成である。監視カメラ200AAは、後述する振動発生源GNEを更に含む構成としてもよい。
また、図19では図示を省略しているが、監視カメラ200AAは、監視カメラ200Aの各部の処理実行時のワークメモリとしての機能を有するRAM(Random Access Memory)としても動作するメモリを備える。
レンズ部35は、監視カメラ200AAの撮像光学系を構成するための各種のレンズを含むレンズユニットLZUと、レンズマウントベース37とを含む。実施の形態1において説明したように、揺れ補正機構100は、レンズマウントベース37に固定される。
レンズユニットLZUは、対物レンズの一例としての固定系のズームレンズZ1を少なくとも含む。ズームレンズZ1には、被写体光(つまり、被写体により反射された光)が入射される。ズームレンズZ1を入射した被写体光は、有効像円CR1(図14参照)内の領域に結像される。以下の実施の形態3の説明において、レンズユニットLZU内に設けられたズームレンズZ1を含むレンズのセットを、単に「レンズ」と称する。
位置センサPSは、撮像素子73の基準位置(例えば光軸Ocが撮像素子73の受光面RVL1の中心を通過する時の撮像素子73の位置)からの変位量Xを検出する。撮像素子73が上述した基準位置から変位していない(つまり、ずれていない)場合には、位置センサPSの出力はゼロ(0)となる。位置センサPSは、撮像素子73の基準位置からの変位量Xに関する情報を第1判断部207Aに出力する。
揺れセンサの一例としてのジャイロセンサGYは、監視カメラ200AAの揺れを検出して積分器IGに出力する。ジャイロセンサGYは、例えばレンズ部35のレンズユニットLZUの筐体に固定されるように取り付けられる。ジャイロセンサGYは、監視カメラ200A(例えばレンズユニットLZU)の揺れを示すパラメータの一例として、監視カメラ200Aの揺れに起因して生じるレンズユニットLZUの回転(例えば揺れ角度Δθ)に基づく角速度ωを検出する。ジャイロセンサGYにより検出された角速度ωに関する情報は、積分器IGに入力される。
積分器IGは、ジャイロセンサGYにより検出された角速度ωを時間で積分処理することにより、監視カメラ200AAの揺れに起因して生じるレンズユニットLZUの回転を示すパラメータの一例として、揺れ角度Δθを算出して角度距離変換部205Aに出力する。
係数推定部220は、監視カメラ200AAがレンズ特性推定モードである場合には、DSP211Aにより算出された現在のBIS揺れ補正量(つまり、揺れ補正機構100による撮像素子73の駆動に伴う撮像画像の揺れ補正量)に関する情報と、積分器IGにより算出された揺れ角度Δθに関する情報とを取得する。係数推定部220は、現在のBIS揺れ補正量に関する情報と揺れ角度Δθに関する情報とに基づいて、角度距離変換部205Aに設定するべき係数(つまり、揺れ角度から適正なBIS揺れ補正量を算出するための係数)を推定する。
ここで、レンズ特性推定モードとは、例えばメンテナンス等で作業者(ユーザ)によってレンズユニットLZU内のレンズの一部又は全部が交換されたことで、例えば監視カメラ200AAの設置環境(外乱)による振動を利用して、監視カメラ200AAが自律的にレンズユニットLZU内のレンズの特性に関する情報(例えば焦点距離)を推定するためのモードである。言い換えると、監視カメラ200AAは、レンズ特性推定モード時に、レンズユニットLZU内のレンズの特性に関する情報(例えば焦点距離)を自律的に推定する。
なお、レンズ特性推定モードでは、監視カメラ200AAは、監視カメラ200AAの設置環境(外乱)による振動を利用する場合に限らず、監視カメラ200AAが備える振動発生源GNEを用いて外乱のような振動を生じさせてから、レンズユニットLZU内のレンズの特性に関する情報(例えば焦点距離)を自律的に推定してもよい。振動発生源GNEは、例えばレンズマウントベース37に固定して取り付けられる。但し、振動発生源GNEは、レンズマウントベース37に限定して取り付けられるものではなく、例えばレンズユニットLZUの筐体に固定して取り付けられてもよい。
レンズ特性推定モードは、例えば監視カメラ200AAとネットワーク(図示略)を介して通信可能に接続されているユーザ端末(例えばPC(Personal Computer))を使用する作業者(ユーザ)のリモート操作に基づいて通常モードから移行(遷移)され、また、同様なリモート操作に基づいてレンズ特性推定モードの解除がなされて通常モードに戻る。通常モードは、例えばレンズユニットLZU内のレンズの一部又は全部の交換がなされておらず、同レンズの特性に関する情報(例えば焦点距離)を推定する必要が無い、所謂、通常の監視時の動作モードである。
また、監視カメラ200AAは、残留揺れ量(後述参照)が所定の閾値より大きくなった場合に、レンズの一部又は全部が交換されたと推測して自動的にレンズ特性推定モードに移行(遷移)してもよい。更に、監視カメラ200AAは、レンズ特性推定モード時にレンズユニットLZU内のレンズの特性に関する情報(例えば焦点距離)を推定し、その推定結果に基づく係数を角度距離変換部205Aに設定し終えると、レンズ特性推定モードから通常モードに移行(遷移)してもよい。
係数推定部220は、角度距離変換部205Aと、残留揺れ量算出部213と、レンズ特性推定部215とを含む。実施の形態2では、例えばレンズユニットLZU内のレンズがメンテナンス等の際に交換された場合、交換後の新しいレンズの特性に関する情報(例えば焦点距離)はユーザ(作業者)の操作によりメモリ203に入力されて保存される必要があった。ところが、このメモリ203に新しいレンズの特性に関する情報を入力する手間は煩雑な作業であり、この手間を省くことが求められる。
そこで、実施の形態3では、係数推定部220は、例えばレンズユニットLZU内のレンズの一部又は全部がメンテナンス等の際に交換された場合、レンズ特性推定モード時に、交換後のレンズの特性に関する情報(例えば焦点距離)を推定し、推定結果を用いて、角度距離変換部205Aに設定するべき係数を推定する。角度距離変換部205Aに設定するべき係数は、例えば揺れ角度から適正なBIS揺れ補正量を算出するための係数である。係数推定部220は、推定された係数を角度距離変換部205Aに設定する。これにより、係数推定部220は、作業者(ユーザ)によるレンズの一部又は全部の交換がなされた場合、レンズユニットLZU内のレンズの特性に関する情報(例えば焦点距離)を作業者にメモリ(図示略)への入力させることなく、揺れ角度から適正なBIS揺れ補正量を算出するための係数を角度距離変換部205Aに設定できる。
ここで、レンズユニットLZUのレンズの一部又は全部が交換された場合に、レンズの焦点距離を推定することの必要性について、図20を参照して説明する。
図20は、焦点距離の差異に応じて補正すべきBIS揺れ変位量が異なることの説明図である。
図20において、f1は交換前のレンズの焦点距離、f2は交換後のレンズの焦点距離とする。監視カメラ200AAが揺れたことで、例えばジャイロセンサGYの検出値に基づく揺れ角度が1度(1°)であった場合、一部又は全部のレンズの交換によって最終レンズから撮像素子73の受光面までの距離(つまり、焦点距離)が異なってくると、その監視カメラ200AAの揺れに伴う揺れ補正機構100によるBIS揺れ補正量もΔx1からΔx2に変化(図20の例では増大)してしまう。この変化に追従できていなく、BIS揺れ補正量がΔx2ではなくΔx1のままで揺れ補正機構100によって揺れ補正されても、撮像素子73により撮像された撮像画像が適正に揺れ補正されず、撮像画像の画質が劣化する。
従って、メンテナンス等の際に一部又は全部のレンズの交換がなされると、交換後のレンズユニットLZU内のレンズの特性に関する情報(例えば焦点距離)を推定することが必要となる。
制御部の一例としての角度距離変換部205Aは、通常モード時(言い換えると、現在取り付けられているレンズユニットLZU内のレンズの特性に関する情報(例えば焦点距離)がメモリ(図示略)に保存されて既知状態である場合)には、そのレンズの特性に関する情報(例えば焦点距離)をメモリから読み出して取得し、更に、積分器IGから出力された揺れ角度Δθに関する情報を取得する。係数算出部の一例としての角度距離変換部205Aは、既知のレンズの特性に関する情報(例えば焦点距離)と揺れ角度Δθとを用いて、数式(2)に従って、揺れ角度Δθを、揺れ角度Δθに対応して揺れ補正機構100に揺れ補正させるべき長さ(BIS揺れ補正量)に変換する。数式(2)において、ΔX0はBIS揺れ補正量を示し、f0は既知のレンズの焦点距離を示し、G0は固定値である。
つまり、角度距離変換部205Aは、監視カメラ200AAの揺れに伴って揺れ角度Δθが検出された場合に、その揺れ角度Δθの揺れの影響をキャンセルするために、監視カメラ200AAの揺れの方向と反対側に撮像素子73を駆動させるための駆動量を、BIS揺れ補正量として算出することができる。
また、制御部の一例としての角度距離変換部205Aは、レンズ特性推定モード時(言い換えると、現在取り付けられているレンズユニットLZU内のレンズの特性に関する情報(例えば焦点距離)がメモリ(図示略)に保存されておらず、既知状態ではない場合。以下同様。)には、積分器IGから出力された揺れ角度Δθに関する情報とレンズ特性推定部215から出力された焦点距離frに関する情報を取得する。角度距離変換部205Aは、レンズ特性推定部215から出力された焦点距離frと揺れ角度Δθとを用いて、数式(3)に従って、揺れ角度Δθを、監視カメラ200AAの外乱の揺れによる外乱揺れ量ΔXとして変換する。数式(3)において、ΔXは外乱揺れ量を示し、frは既知ではないレンズ(言い換えると、交換後のレンズ)の焦点距離を示し、G0は固定値である。
また、角度距離変換部205Aは、レンズ特性推定モード時には、数式(3)に従って算出した外乱揺れ量ΔXを、ジャイロセンサGYの検出値に基づく外乱揺れ量ΔXとして残留揺れ量算出部213に出力し、更に、この外乱揺れ量ΔXをBIS揺れ補正量ΔXrとして、BIS揺れ補正量ΔXrに関する情報を第1判断部207Aに出力する。角度距離変換部205Aは、レンズ特性推定モード時には、積分器IGから出力された揺れ角度Δθに関する情報をレンズ特性推定部215に出力する。
残留揺れ量算出部213は、DSP211Aにより算出された現在のBIS揺れ補正量ΔXr(つまり、揺れ補正機構100による撮像素子73の駆動に伴う撮像画像の揺れ補正量)に関する情報と、角度距離変換部205Aから出力されたジャイロセンサGYの検出値に基づく外乱揺れ量ΔXとを取得する。残留揺れ量算出部213は、外乱揺れ量ΔXと現在のBIS揺れ補正量ΔXrとの差分(ΔX−ΔXr)を、撮像素子73により撮像された撮像画像に現れる残留揺れ量として算出する。残留揺れ量算出部213は、残留揺れ量である差分(ΔX−ΔXr)及び現在のBIS揺れ補正量ΔXrに関する各情報をレンズ特性推定部215に出力する。
特定推定部の一例としてのレンズ特性推定部215は、残留揺れ量算出部213から出力された残留揺れ量である差分(ΔX−ΔXr)及び現在のBIS揺れ補正量ΔXrに関する各情報を取得する。
レンズ特性推定部215は、残留揺れ量が無い(つまり、ゼロ)である場合(図21A参照)、現在の揺れ補正機構100における揺れ補正に使用されるBIS揺れ補正量の算出時に用いた焦点距離fr(つまり、前回のタイミングで数式(4)に従って算出した焦点距離fr)を、交換後のレンズの焦点距離として角度距離変換部205Aに設定する。
図21Aは、残留揺れ量がほぼ無い状態の外乱揺れ量とBIS揺れ補正量との関係の一例を示すグラフである。
図21Aの横軸は時間を示し、図21Aの縦軸は撮像画像上の位置を示す。波形CV1は外乱揺れ量ΔXを示し、波形C2はBIS揺れ補正量ΔXrを示す。図21Aでは、波形CV1,CV2が時間の経過とともに一致しているので、外乱揺れ量ΔXとBIS揺れ補正量ΔXrとが一致し、残留揺れ量が無いことが示されている。従って、図21Aの状態では、係数推定部220において、揺れ角度ΔθからBIS揺れ補正量ΔXrに変換するための適正な係数が角度距離変換部205Aに設定されていることになる。
レンズ特性推定部215は、残留揺れ量が存在する場合(図21B又は図21C参照)、残留揺れ量算出部213から出力された現在のBIS揺れ補正量ΔXrに関する情報と角度距離変換部205Aから出力された揺れ角度Δθに関する情報とを用いて、数式(4)に従って、交換後のレンズの焦点距離frを推定する。レンズ特性推定部215は、焦点距離frの推定結果を角度距離変換部205Aに仮に設定し、残留揺れ量算出部213から出力される残留揺れ量が無くなる(つまり、ゼロになる)まで、数式(4)を用いた焦点距離frの算出及び角度距離変換部205Aへの設定を継続する。
図21Bは、BIS揺れ補正量ΔXrが不足している状態の外乱揺れ量ΔXとBIS揺れ補正量ΔXrとの関係の一例を示すグラフである。図21Cは、BIS揺れ補正量ΔXrが過多である状態の外乱揺れ量ΔXとBIS揺れ補正量ΔXrとの関係の一例を示すグラフである。
図21B,図21Cの横軸はそれぞれ時間を示し、図21B,図21Cの縦軸は撮像画像上の位置を示す。波形CV1は外乱揺れ量ΔXを示し、波形CV2A,CV2BはBIS揺れ補正量ΔXrを示す。
図21Bでは、波形CV1,CV2Aが時間の経過とともに一致しておらず、揺れ補正機構100によるBIS揺れ補正量ΔXrの揺れ補正が足りておらず、残留揺れ量(つまり、差分(ΔX−ΔXr))が大きい。このため、レンズ特性推定部215は、残留揺れ量算出部213から出力される残留揺れ量が無くなる(つまり、図21Aの状態になる)まで、数式(4)を用いた焦点距離frの算出及び角度距離変換部205Aへの設定を継続する。
一方、図21Cでは、波形CV1,CV2Bが時間の経過とともに一致しておらず、揺れ補正機構100によるBIS揺れ補正量ΔXrの揺れ補正が過多であって、同様に残留揺れ量(つまり、差分(ΔX−ΔXr))が大きい。このため、レンズ特性推定部215は、残留揺れ量算出部213から出力される残留揺れ量が無くなる(つまり、図21Aの状態になる)まで、数式(4)を用いた焦点距離frの算出及び角度距離変換部205Aへの設定を継続する。
制御部の一例としての第1判断部207Aは、位置センサPSから出力された変位量Xに関する情報と角度距離変換部205Aから出力されたBIS揺れ補正量ΔXrに関する情報とを取得する。第1判断部207Aは、例えばBIS揺れ補正量ΔXrと変位量Xとの差分(ΔXr−X)を算出し、算出結果の分、撮像素子73を移動させるためのBIS揺れ補正量として、このBIS揺れ補正量に関する情報を用いた揺れ補正の制御信号を生成してBISモータドライバMD1に出力する。
第1判断部207Aの算出処理には次に示す技術的意義があると考えられる。具体的には、BIS揺れ補正量ΔXrは、レンズユニットLZUの揺れ(回転)に伴って算出された値であり、レンズユニットLZUの揺れ(回転)に伴う撮像素子73の移動量がオフセット(つまり、加算)されている。従って、第1判断部207Aは、このオフセットの分(つまり、変位量X)を差し引く処理を行うことにより、監視カメラ200Aの揺れ(言い換えると、レンズユニットLZUの揺れ)に伴う撮像素子73の正確なBIS揺れ補正量(つまり、撮像素子73を移動すべき長さ)を算出可能となる。
なお、第1判断部207Aは、変位量Xがメモリ(図示略)に保存された又は第1判断部207A自身が予め保持する所定の既定値以下である場合には、上述した変位量Xを差し引く処理を省いて、角度距離変換部205Aから出力されたBIS揺れ補正量ΔXrに関する情報を用いた揺れ補正の制御信号を生成してBISモータドライバMD1に出力しても構わない。
揺れ補正量算出部の一例としてのDSP211Aは、例えば通常モード時には、上述した信号処理部(図示略)から出力された撮像画像を取得し、所定の加工処理を施して撮像画像に基づく映像データを生成し、映像データを後段(図示略、例えば監視カメラ200AAに接続された外部機器との間の通信を司る通信部)に出力する。なお、上述した信号処理部(図示略)が省略されても構わない。この場合、撮像素子73から出力された電気信号がDSP211Aに直接に入力され、DSP211Aにおいて所定の信号処理が施されてフレーム毎の画像信号(例えばRGB形式又はYUV形式の画像信号)である撮像画像が生成される。
また、DSP211Aは、例えばレンズ特性推定モード時には、信号処理部(図示略)から取得した撮像画像又は自身で生成した撮像画像のデータに基づいて、撮像画像のデータを解析することで、現在の揺れ補正機構100における揺れ補正の程度を示すBIS揺れ補正量ΔXr(つまり、揺れ補正機構100による撮像素子73の駆動に伴う撮像画像の揺れ補正量)を取得する。DSP211Aは、現在の揺れ補正機構100における揺れ補正の程度を示すBIS揺れ補正量ΔXrに関する情報を残留揺れ量算出部213に出力する。なお、DSP211Aも係数推定部220に含まれてもよい。
BISモータドライバMD1は、第1判断部207Aから出力された制御信号に基づいてBISモータM1を作動させるための制御信号を生成してBISモータM1に出力する。BISモータドライバMD1は、この制御信号に基づいてBISモータM1を制御することで、第1判断部207Aにおいて判断されたBIS揺れ補正量の揺れ補正を揺れ補正機構100に実行させる。つまり、BISモータドライバMD1は、例えばPID(Proportional Integral Differential)制御を行うことにより、BIS揺れ補正量の分だけ、監視カメラ200AAの揺れの方向と反対側の方向に撮像素子73を保持する素子ホルダ67を移動させる。
BISモータM1は、BISモータドライバMD1から出力された制御信号に基づいて、第1判断部207Aにおいて判断されたBIS揺れ補正量の揺れ補正を揺れ補正機構100に実行する。これにより、BISモータドライバMD1やBISモータM1を含む揺れ補正機構100は、監視カメラ200AAの揺れに伴って揺れ角度Δθが検出された場合に、その揺れ角度Δθに応じて求められたBIS揺れ補正量の長さの分、撮像素子73を移動させることで、揺れの影響をキャンセル又は緩和することができ、撮像画像の画質の劣化を抑制できる。
次に、監視カメラ200AAのレンズ特性推定モード時の係数推定部220の動作手順について、図22を参照して説明する。
図22は、実施の形態3の監視カメラ200AAのレンズ特性推定モード時の係数推定部220の動作手順の一例を詳細に示すフローチャートである。
図22において、角度距離変換部205Aは、積分器IGから出力された揺れ角度Δθに関する情報とレンズ特性推定部215から出力された焦点距離frに関する情報とを取得する(S11)。角度距離変換部205Aは、レンズ特性推定部215から出力された焦点距離frと揺れ角度Δθとを用いて、数式(3)に従って、揺れ角度Δθを、監視カメラ200AAの外乱の揺れによる外乱揺れ量ΔXとして変換する。角度距離変換部205Aは、数式(3)に従って算出した外乱揺れ量ΔXを、ジャイロセンサGYの検出値に基づく外乱揺れ量ΔXとして残留揺れ量算出部213に出力し、更に、この外乱揺れ量ΔXをBIS揺れ補正量ΔXrとして、BIS揺れ補正量ΔXrに関する情報を第1判断部207Aにも出力する。このBIS揺れ補正量ΔXrに基づいて、揺れ補正機構100により揺れ補正が行われる。
残留揺れ量算出部213は、DSP211Aにより算出された現在のBIS揺れ補正量ΔXr(つまり、揺れ補正機構100による撮像素子73の駆動に伴う撮像画像の揺れ補正量)に関する情報と、角度距離変換部205Aから出力されたジャイロセンサGYの検出値に基づく外乱揺れ量ΔXとを取得する(S12)。
残留揺れ量算出部213は、外乱揺れ量ΔXと現在のBIS揺れ補正量ΔXrとの差分(ΔX−ΔXr)を、撮像素子73により撮像された撮像画像に現れる残留揺れ量として算出する(S13)。残留揺れ量算出部213は、残留揺れ量である差分(ΔX−ΔXr)及び現在のBIS揺れ補正量ΔXrに関する各情報をレンズ特性推定部215に出力する。
レンズ特性推定部215は、残留揺れ量算出部213から出力された残留揺れ量である差分(ΔX−ΔXr)及び現在のBIS揺れ補正量ΔXrに関する各情報を取得し、残留揺れ量が最小値(例えばゼロ)であるか否かを判断する(S14)。
レンズ特性推定部215は、残留揺れ量が最小値ではないと判断した場合には(S14、NO)、残留揺れ量算出部213から出力された現在のBIS揺れ補正量ΔXrに関する情報と角度距離変換部205Aから出力された揺れ角度Δθに関する情報とを用いて、数式(4)に従って、交換後のレンズの焦点距離frを仮算出して推定する(S15)。レンズ特性推定部215は、焦点距離frの推定結果を角度距離変換部205Aに仮に設定する。これにより、仮算出されたレンズの焦点距離frに基づいて、数式(3)に従って、BIS揺れ補正量ΔXrが角度距離変換部205Aにおいて算出され、このBIS揺れ補正量ΔXrに基づいて揺れ補正機構100における揺れ補正が行われる(S15A)。ステップS15Aの処理の後、係数推定部220の処理はステップS12に戻る。
一方、レンズ特性推定部215は、残留揺れ量が最小値であると判断した場合には(S14、YES)、現在の揺れ補正機構100における揺れ補正に使用されるBIS揺れ補正量の算出時に用いた焦点距離fr(つまり、前回のタイミングで数式(4)に従って算出した焦点距離fr)を、交換後のレンズの焦点距離として角度距離変換部205Aに設定する(S16)。これにより、係数推定部220がレンズ特性推定モード時において、揺れ角度から適正なBIS揺れ補正量を算出するための係数を算出して設定する動作が終了する。この後、監視カメラ200AAは、例えばレンズ特性推定モードにおいて、揺れ角度から適正なBIS揺れ補正量を算出するための係数を算出し終えた旨のメッセージを生成し、監視カメラ200AAとネットワーク(図示略)を介して接続された外部機器(例えばPC等のユーザ端末)に通知してもよい。この通知を確認した作業者(ユーザ)は、例えばユーザ端末を操作することで、リモート操作によって監視カメラ200AAのレンズ特性推定モードを通常モードに移行させることができる。
以上により、本実施の形態の監視カメラ200AAは、被固定面に固定され、かつ、被固定面自体に揺れが生じる場所に設置され、撮像素子73を保持する素子ホルダ67を保持し、ジャイロセンサGYの検出値(つまり、揺れ角度Δθ)に基づく素子ホルダ67の駆動により、撮像素子73により撮像された撮像画像を揺れ補正する揺れ補正機構100を有する。監視カメラ200AAは、ジャイロセンサGYの検出値(つまり、揺れ角度Δθ)と揺れ補正機構100のBIS揺れ補正量ΔXrとに基づいて、レンズの特定(例えば焦点距離)を推定する。監視カメラ200AAは、ジャイロセンサGYの検出値(つまり、揺れ角度Δθ)とレンズの特性(例えば焦点距離)の推定結果とを用いて、揺れ補正機構100に素子ホルダ67を駆動させる。
これにより、本実施の形態の監視カメラ200AAは、監視カメラ200AAの装置本体が揺れる場所に設置された場合に、例えばレンズの交換に伴って変更されたレンズ特性を高精度に推定できるので、作業者のレンズ特性の入力時の手間を省くことができる。また、監視カメラ200AAは、例えばレンズの交換に伴って変更されたレンズ特性(例えば焦点距離)を推定可能であるため、監視カメラ200AAの装置本体の揺れの影響をキャンセル又は緩和した揺れ補正を実現でき、撮像画像の画質劣化を抑制でき、撮像素子のデータとしての信頼性の低下を防ぐことができる。
また、監視カメラ200AAは、揺れ補正された撮像画像に基づいて、揺れ補正機構100による現在のBIS揺れ補正量を算出する揺れ補正量算出部の一例としてのDSP211Aと、算出されたBIS揺れ補正量とジャイロセンサGYの検出値(つまり、揺れ角度Δθ)とに基づいて、揺れ補正された撮像画像における残留揺れ量を算出する残留揺れ量算出部213と、を更に備える。監視カメラ200AAは、算出された撮像画像における残留揺れ量に基づいて、レンズの特性(例えば焦点距離)の推定の要否を判断する。これにより、監視カメラ200AAは、残留揺れ量が存在していない場合には揺れ補正機構100により適正に揺れ補正がなされているので、これ以上、交換後のレンズの特性(例えば焦点距離)の推定を行う必要が無いと判断し、負荷軽減を図ることができる。また、監視カメラ200AAは、残留揺れ量が存在している場合には揺れ補正機構100により適正な揺れ補正ができていないと判断できるので、交換後のレンズの特性(例えば焦点距離)の推定を更に行う必要があると判断でき、適正なBIS揺れ補正量の算出に資することができる。
また、監視カメラ200AAは、算出された撮像画像における残留揺れ量が既定の最小値となる時のレンズの特性(例えば焦点距離)の推定結果を用いて、ジャイロセンサGYの検出値(つまり、揺れ角度Δθ)を揺れ補正機構100のBIS揺れ補正量ΔXrに換算するための係数を算出する。これにより、監視カメラ200AAは、残留揺れ量が存在していない時には揺れ補正機構100によって適正な揺れ補正ができているので、この揺れ補正に必要なBIS揺れ補正量の算出時に用いたレンズの特性(例えば焦点距離)を用いて、ジャイロセンサGYの検出値(つまり、揺れ角度Δθ)を揺れ補正機構100のBIS揺れ補正量ΔXrに換算するための適正な係数を算出することができる。
また、監視カメラ200AAは、算出された撮像画像における残留揺れ量が既定の最小値となるまで、レンズの特性(例えば焦点距離)の推定結果を用いた揺れ補正機構100における揺れ補正後の撮像画像における残留揺れ量に基づいて、レンズの特性の推定を繰り返す。これにより、監視カメラ200AAは、残留揺れ量が存在している場合には揺れ補正機構100により適正な揺れ補正ができていないと判断できるので、残留揺れ量が存在しなくなるまで、交換後のレンズの特性(例えば焦点距離)の推定を継続することで、適正なBIS揺れ補正量を算出するための係数を正確に求めることができる。
また、監視カメラ200AAでは、ジャイロセンサGYはレンズユニットLZUの筐体に取り付けられる。これにより、ジャイロセンサGYは、レンズユニットLZU内の撮像光学系に生じる揺れ角度に関するパラメータを正確に測定でき、揺れ補正機構100によるBIS揺れ補正量の正確な算出に資することができる。
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。