以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
第1実施形態.
[圧縮空気供給システム]
図1は、本実施形態に係る圧縮空気供給システム1の一例を模式的に示す図である。圧縮空気供給システム1は、工場のような産業施設に設けられる。圧縮空気供給システム1は、圧縮空気の複数のフィードポイント2と、圧縮空気の複数のユースポイント3と、複数のフィードポイント2及び複数のユースポイント3のそれぞれをつなぐネットワーク管路4と、複数のフィードポイント2のそれぞれで圧縮空気を生成する複数のエアコンプレッサ群5とを備える。
また、圧縮空気供給システム1は、圧縮空気の流通経路に設定された複数の検出位置のそれぞれで圧縮空気の圧力を検出する複数の圧力センサ6と、通信システム7と、複数のエアコンプレッサ群5の運転を一括してリモート制御する集中制御装置10とを備える。
フィードポイント2は、圧縮空気を生成及び供給する圧縮空気供給設備を有する。ユースポイント3は、圧縮空気を使用する圧縮空気使用設備を有する。複数のフィードポイント2は、互いに離れた場所に設置される。複数のユースポイント3は、互いに離れた場所に設置される。複数のフィードポイント2及び複数のユースポイント3のそれぞれは、産業施設において分散設置される。
ネットワーク管路4は、複数のフィードポイント2及び複数のユースポイント3のそれぞれをつなぐように敷設される。本実施形態において、ネットワーク管路4は、ループ(loop)型の管路である。ネットワーク管路4は、ループ状の主管路40と、主管路40から分岐する複数のフィード管路8と、主管路40から分岐する複数のユース管路9とを有する。フィード管路8は、接続部8Cにおいて主管路40と接続される。ユース管路9は、接続部9Cにおいて主管路40と接続される。
フィードポイント2は、フィード管路8と接続される。フィードポイント2は、ネットワーク管路4に圧縮空気を供給する。フィードポイント2は、圧縮空気を生成するエアコンプレッサ群5と、ローカル制御装置30とを有する。フィード管路8には、エアコンプレッサ群5から送出された圧縮空気が一時的に貯留されるレシーバタンク20と、フィード管路8の流路を開閉する開閉弁21とが設けられる。
エアコンプレッサ群5は、複数のエアコンプレッサ50で構成される。本実施形態において、エアコンプレッサ群5は、3台のエアコンプレッサ50で構成される。フィード管路8は、複数のエアコンプレッサ50のそれぞれと接続される接続管路と、複数の接続管路が集合する集合管路とを有する。複数のエアコンプレッサ50のそれぞれで生成された圧縮空気は、フィード管路8を介して主管路40に供給される。
レシーバタンク20は、フィード管路8の集合管路に設けられる。エアコンプレッサ群5から送出された圧縮空気は、レシーバタンク20に一時的に貯留される。レシーバタンク20により、フィードポイント2から送出される圧縮空気の急激な圧力変動が抑制される。
ユースポイント3は、ユース管路9と接続される。ユースポイント3は、ネットワーク管路4を介してフィードポイント2から供給された圧縮空気を使用する。主管路40を流通する圧縮空気の少なくとも一部は、ユース管路9を介してユースポイント3に供給される。
ユースポイント3の圧縮空気使用設備として、例えば圧縮空気を噴射するエアガン又はエアスプレー、圧縮空気によって作動するエアシリンダのようなエアアクチュエータ、及び圧縮空気を使って部品を成形するブロー成形機など、圧縮空気を利用する様々な圧縮空気使用設備が例示される。ユースポイント3において、圧縮空気の力を利用して製品が生産されてもよい。
圧力センサ6は、圧縮空気の流通経路に設定された複数の検出位置のそれぞれに設けられる。圧力センサ6は、検出位置における圧縮空気の圧力を検出する。検出位置は、レシーバタンク20を含むネットワーク管路4及びユースポイント3の少なくとも一部に設定される。
本実施形態において、圧力センサ6は、レシーバタンク20に設定された検出位置でレシーバタンク20の圧縮空気の圧力を検出するレシーバタンク圧力センサ61、フィード管路8に設定された検出位置でフィード管路8の圧縮空気の圧力を検出するフィード管路圧力センサ62、主管路40に設定された検出位置で主管路40の圧縮空気の圧力を検出するネットワーク管路圧力センサ63、ユース管路9に設定された検出位置でユース管路9の圧縮空気の圧力を検出するユース管路圧力センサ64、及びユースポイント3に設定された検出位置でユースポイント3の圧縮空気の圧力を検出するユースポイント圧力センサ65を含む。
レシーバタンク圧力センサ61は、複数のレシーバタンク20のそれぞれに設けられ、複数のレシーバタンク20の圧縮空気の圧力を検出する。フィード管路圧力センサ62は、複数のフィード管路8のそれぞれに設けられ、複数のフィード管路8の圧縮空気の圧力を検出する。ネットワーク管路圧力センサ63は、主管路40の複数の部位のそれぞれに設けられ、主管路40の複数の部位の圧縮空気の圧力を検出する。ユース管路圧力センサ64は、複数のユース管路9のそれぞれに設けられ、複数のユース管路9の圧縮空気の圧力を検出する。ユースポイント圧力センサ65は、複数のユースポイント3のそれぞれに設けられ、複数のユースポイント3の圧縮空気の圧力を検出する。
以下の説明においては、圧力センサ6(61,62,63,64,65)で検出された圧縮空気の圧力の値を適宜、検出圧力値Ps、と称する。
各圧力センサ6の検出圧力値Psは、所定周期でサンプリングされた時系列データのそれぞれを検出圧力値Psとしてもよいが、各圧力センサ6の検出位置によっては、所定周期でサンプリングされたN個の時系列データを平滑化し、移動平均値として算出されたものを検出圧力値Psとするのが望ましい。例えば、圧縮空気のバッファ機器でもあるレシーバタンク20では、圧縮空気の使用量の変動に応じた圧力サンプリングデータの時間変化が緩やかである。そのため、レシーバタンク圧力センサ61の検出圧力値Psを移動平均値としなくても、レシーバタンク20の局所的な圧力を精度良く代表することができる。一方、ユース管路9やユースポイント3では、圧縮空気の使用量の変動に応じた圧力サンプリングデータの時間変化が激しいことがある。そのような場合には、ユース管路圧力センサ64やユースポイント圧力センサ65の検出圧力値Psを移動平均値とすることにより、ユース管路9やユースポイント3の局所的な圧力を精度良く代表することができる。
検出圧力値Psを移動平均値として算出する際には、N個の時系列データに電気ノイズ等に起因する異常データが含まれないように処理するのが好ましい。具体的には、異常データを除去するための上限閾値と下限閾値を設定しておき、圧力サンプリングデータが上限閾値と下限閾値の範囲にないときには、その圧力サンプリングデータを採用しないようにする。このように処理することで、局所的な圧力をより精度よく検出することができる。
また、圧縮空気供給システム1は、複数のユースポイント3のうち特定のユースポイント3に供給される圧縮空気を昇圧するブースターコンプレッサ55を備える。本実施形態においては、4つのユースポイント3のうちいずれか1つのユースポイント3と接続されるユース管路9にブースターコンプレッサ55が設けられる。なお、ブースターコンプレッサ55の下流側に配置されたユース管路圧力センサ64やユースポイント圧力センサ65では、検出圧力値Psが昇圧後の値となっている。そのため、特定の圧力センサ64,65の検出圧力値Psを検出圧力取得部11(後述)で取得する際には、増幅率(昇圧前圧力と昇圧後圧力の比)で割った値を検出圧力値Psとする。
集中制御装置10とローカル制御装置30とは、通信システム7を介して無線通信する。また、集中制御装置10と圧力センサ6とは、通信システム7を介して無線通信する。
集中制御装置10は、圧縮空気の流通経路内の圧力に基づいて、複数のエアコンプレッサ群5の運転を一括してリモート制御する。本実施形態において、集中制御装置10は、複数の圧力センサ6の検出圧力値Psから決定される圧縮空気の代表圧力値Pmに基づいて、複数のエアコンプレッサ群5の運転を一括してリモート制御する。集中制御装置10は、通信システム7を介して指令信号をローカル制御装置30に送信して、エアコンプレッサ群5をリモート制御する。
[集中制御装置及びローカル制御装置]
図2は、本実施形態に係る集中制御装置10及びローカル制御装置30の一例を示す機能ブロック図である。
通信システム7は、集中制御装置10と接続される無線通信機71と、ローカル制御装置30と接続される無線通信機72と、圧力センサ6と接続される無線通信機73とを有する。なお、図2において、無線通信機73は便宜的に1つだけ記載されているが複数の圧力センサ6のそれぞれに設けられる。
集中制御装置10は、通信システム7を介して複数のローカル制御装置30のそれぞれと無線通信可能である。集中制御装置10は、通信システム7を介してローカル制御装置30に指令信号を送信する。
集中制御装置10は、通信システム7を介して複数の圧力センサ6のそれぞれと無線通信可能である。圧力センサ6は、通信システム7を介して集中制御装置10に検出圧力値Psを送信する。
集中制御装置10は、コンピュータシステムを含み、演算処理装置及び記憶装置を有する。演算処理装置は、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを含む。記憶装置は、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ又はRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含む。同様に、ローカル制御装置30は、コンピュータシステムを含み、演算処理装置及び記憶装置を有する。
集中制御装置10は、検出圧力取得部11と、代表圧力決定部12と、運転台数制御部13と、記憶部14と、入出力部15とを有する。
検出圧力取得部11は、通信システム7を介して、複数の圧力センサ6のそれぞれから検出圧力値Psを取得する。圧力センサ6の検出位置を示す位置データは、記憶部14に記憶されている。圧力センサ6は、その圧力センサ6の識別データとともに検出圧力値Psを集中制御装置10に送信する。検出圧力取得部11は、記憶部14に記憶されている圧力センサ6の位置データ及び圧力センサ6の識別データに基づいて、検出位置が特定された検出圧力値Psを取得することができる。
代表圧力決定部12は、検出圧力取得部11で取得された複数の圧力センサ6の検出圧力値Psに基づいて、圧縮空気の代表圧力値Pmを決定する。本実施形態において、代表圧力値Pmは、ネットワーク管路4及びユースポイント3に設定された複数の検出位置における検出圧力値Psの平均値である。代表圧力決定部12は、代表圧力値Pmとして、検出圧力取得部11で取得された複数のネットワーク管路圧力センサ63の検出圧力値Ps及び複数のユースポイント圧力センサ65の検出圧力値Psの平均値を算出する。
複数の検出位置における検出圧力値Psの平均値を算出する際には、平均化対象の圧力データにエア圧力の急変動等に起因する異常データが含まれないように処理するのが好ましい。具体的には、異常データを除去するための上限閾値と下限閾値を設定しておき、特定の検出位置における圧力データが上限閾値と下限閾値の範囲にないときには、その圧力データを採用しないようにする。このように処理することで、適正な代表圧力値Pmを決定することができる。なお、後述する複数の検出位置における検出圧力値Psの重み付け平均値を算出する際にも、同様の処理を行うのが好ましい。
運転台数制御部13は、代表圧力決定部12で決定された代表圧力値Pmに基づいて、複数のエアコンプレッサ群5の運転を一括してリモート制御するための指令信号をローカル制御装置30に出力する。
集中制御装置10は、入力装置16と接続される。入力装置16は、例えばコンピュータ用キーボード、スイッチボタン、及びタッチパネルの少なくとも1つを含む。入力装置16は、圧縮空気供給システム1のユーザにより操作される。ユーザに操作されることにより、入力装置16は、入力データを生成し、集中制御装置10に出力する。
ローカル制御装置30は、検出圧力取得部31と、指令信号取得部32と、ローカル制御部33と、記憶部34と、入出力部35とを有する。
検出圧力取得部31は、圧力センサ6から検出圧力値Psを取得する。指令信号取得部32は、集中制御装置10から、指令信号を取得する。
ローカル制御部33は、エアコンプレッサ群5を制御する。エアコンプレッサ群5の制御は、エアコンプレッサ50の起動、停止、及び容量制御を含む。本実施形態において、ローカル制御部33は、リモートモード及びローカルモードのいずれか一方でエアコンプレッサ群5を制御する。リモートモードは、複数のエアコンプレッサ50を集中制御装置10からの指令信号により他律制御する制御モードである。ローカルモードは、複数のエアコンプレッサ50を集中制御装置10からの指令信号によらずに自律制御する制御モードである。
[動作]
次に、本実施形態に係る圧縮空気供給システム1の動作について説明する。図3は、本実施形態に係る圧縮空気供給システム1の動作の一例を示すフローチャートである。集中制御装置10の処理は、規定の制御周期で実施される。
複数の圧力センサ6は、圧縮空気供給システム1における圧縮空気の流通経路に設定された複数の検出位置のそれぞれで、圧縮空気の圧力を検出する。圧力センサ6で検出された検出圧力値Psは、通信システム7を介して集中制御装置10に送信される。
集中制御装置10の検出圧力取得部11は、レシーバタンク20を含むネットワーク管路4及びユースポイント3に設定された複数の検出位置における検出圧力値Psを取得する(ステップSA1)。代表圧力決定部12は、ネットワーク管路4及びユースポイント3に設定された複数の検出位置における検出圧力値Psの平均値を算出する(ステップSA2)。
代表圧力決定部12は、代表圧力値Pmを決定する(ステップSA3)。本実施形態において、代表圧力決定部12は、ステップSA2で算出された検出圧力値Psの平均値を代表圧力値Pmとして決定する。
運転台数制御部13は、ステップSA3で決定された代表圧力値Pmに基づいて、複数のエアコンプレッサ群5の運転を一括してリモート制御するための指令信号を出力する(ステップSA4)。指令信号は、通信システム7を介して、複数のローカル制御装置30のそれぞれに送信される。
ローカル制御装置30の指令信号取得部32は、通信システム7を介して集中制御装置10から送信された指令信号を取得する。ローカル制御部33は、指令信号に基づいて、エアコンプレッサ群5を制御する。本実施形態において、複数のエアコンプレッサ群5は、代表圧力値Pmに基づいて台数制御される。代表圧力値Pmに基づいて、エアコンプレッサ群5の運転台数が増減され、エアコンプレッサ群5から送出される圧縮空気の流量が調節される。ステップSA4の処理が終了すると、ステップSA1の処理に戻る。すなわち、運転台数制御部13は、リアルタイムで更新される代表圧力値Pmに基づくリモート制御を継続する。
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、圧縮空気の流通経路内の圧力に基づいて、複数のエアコンプレッサ群5の運転が一括してリモート制御される。本実施形態においては、複数の圧力センサ6の検出圧力値Psから圧縮空気の代表圧力値Pmが決定され、決定された代表圧力値Pmに基づいて、複数のエアコンプレッサ群5が台数制御される。
代表圧力値Pmに基づいて複数のエアコンプレッサ群5が台数制御されることにより、複数のフィードポイント2で生成された圧縮空気は、複数のユースポイント3のそれぞれに適正な圧力で供給される。したがって、ユースポイント3において圧縮空気の圧力が不足することが抑制される。
また、本実施形態よれば、複数のエアコンプレッサ群5の運転が集中制御装置10によりリモート制御される。これにより、集中制御装置10とローカル制御装置30とを接続する通信ケーブルが省略される。また、通信ケーブルの敷設作業が不要となるため、例えばフィードポイント2の増設に容易に対応することができる。
また、本実施形態においては、代表圧力値Pmは、ネットワーク管路4及びユースポイント3に設定された複数の検出位置における検出圧力値Psの平均値である。これにより、複数のユースポイント3のそれぞれに供給される圧縮空気の圧力が不足することが抑制される。
圧縮空気の流通経路においては、例えば管路の圧力損失、エアコンプレッサ群5の作動状態、及びユースポイント3の空費消費状態などに起因して、特定の検出位置における圧力が変動する可能性がある。例えば検出位置がネットワーク管路4に1箇所だけ設定される場合、その1箇所の検出位置における検出圧力値Psに基づいてエアコンプレッサ群5が制御されてしまうと、局所的に変動する検出圧力値Psに基づいてエアコンプレッサ群5が制御されることとなる。その結果、適正な運転台数でエアコンプレッサ群5を運転することが困難となったり、ユースポイント3に適正な圧力で圧縮空気を供給することが困難となったりする可能性がある。また、例えば1箇所に設定された検出位置における検出圧力値Psに基づいてエアコンプレッサ群5の運転が制御されると、他の箇所において圧縮空気の供給量に過不足が生じる可能性がある。
本実施形態によれば、代表圧力値Pmとして複数の検出位置における検出圧力値Psの平均値が用いられる。そのため、各検出位置における圧力の変動が相殺され、圧力の変動が台数制御にもたらす影響が抑制される。したがって、複数のユースポイント3のそれぞれに適正な圧力で圧縮空気が供給される。
また、本実施形態においては、複数のユースポイント3のうち特定のユースポイント3に供給される圧縮空気を昇圧するブースターコンプレッサ55が設けられる。そのため、フィードポイント2における圧縮空気の供給圧力を下げることができ、管路で生じる圧力損失が低減される。その結果、エアコンプレッサ群5の電力消費が抑制されることになり、圧縮空気供給システム1の省エネルギー効果を高めることができる。
なお、本実施形態において、複数の検出位置における検出圧力値Psの平均値は、複数の検出位置のうち特定検出位置における検出圧力値Psを重み付けした重み付け平均値でもよい。例えば、代表圧力決定部12は、複数のユースポイント3に設定された複数の検出位置における検出圧力値Psのうち、特定ユースポイント3sに設定された特定検出位置における検出圧力値Psを重み付けした重み付け平均値を代表圧力値Pmとして決定してもよい。特定ユースポイント3sとして、例えば供給される圧縮空気の圧力又は流量が不足するとその特定ユースポイント3sに係る生産設備全体が停止してしまう重要ユースポイントが例示される。
本実施形態において、特定ユースポイント3sは、複数のユースポイント3のうち圧縮空気の単位時間当たりの使用量が最も多いユースポイント3である。単位時間として、例えば1時間、1日、及び1日における1操業時間の少なくとも1つが例示される。なお、特定ユースポイント3sは、圧縮空気供給システム1のユーザにより指定されてもよい。ユーザは、入力装置16を操作して、産業施設に設けられている複数のユースポイント3から特定ユースポイント3sを指定することができる。
代表圧力決定部12は、特定ユースポイント3sに設定された特定検出位置における検出圧力値Psを重み付けした重み付け平均値を代表圧力値Pmとして決定する。検出圧力値Psの平均値を算出するとき、特定ユースポイント3sに設定された特定検出位置における検出圧力値Psが重み付けされることにより、圧力の変動が台数制御にもたらす影響が抑制され、特定ユースポイント3sに適正な圧力で圧縮空気が供給される。
なお、本実施形態においては、代表圧力値Pmは、主管路40及びユースポイント3に設定された複数の検出位置における検出圧力値Psの平均値であることとした。代表圧力値Pmは、主管路40及びユース管路9に設定された複数の検出位置における検出圧力値Psの平均値でもよいし、主管路40、ユース管路9、及びユースポイント3に設定された複数の検出位置における検出圧力値Psの平均値でもよい。
本実施形態において、検出圧力値Psは、所定周期でサンプリングされた時系列データを平滑化した移動平均値として算出されたものであることが好ましい。圧縮空気の使用量の変動に応じた圧力サンプリングデータの時間変化が激しい場合には、検出圧力値Psを移動平均値とすることにより、局所的な圧力を精度よく代表することができる。検出圧力値Psを移動平均値とするのが望ましい圧力センサ6は、例えばユース管路圧力センサ64やユースポイント圧力センサ65である。
第2実施形態.
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
本実施形態においては、代表圧力値Pmが、複数のユースポイント3のうち特定ユースポイント3sにおける検出圧力値Psである例について説明する。特定ユースポイント3sは、複数のユースポイント3のうち圧縮空気の単位時間当たりの使用量が最も多いユースポイント3である。
本実施形態においては、特定ユースポイント3sが時間帯によって変更される。時間帯に応じて圧縮空気の単位時間当たりの使用量が最も多いユースポイント3が変化する場合がある。例えば昼間のような第1時間帯においては、複数のユースポイント3のうち第1のユースポイント3が特定ユースポイント3sとなり、夜間のような第2時間帯においては、第2のユースポイント3が特定ユースポイント3sとなる場合がある。
図4は、本実施形態に係る圧縮空気供給システム1の動作の一例を示すフローチャートである。集中制御装置10の検出圧力取得部11は、少なくとも第1時間帯に対応する特定ユースポイント3sにおける検出圧力値Psを取得する(ステップSB1)。代表圧力決定部12は、ステップSB1で取得された検出圧力値Psを代表圧力値Pmとして決定する(ステップSB2)。運転台数制御部13は、ステップSB2で決定された代表圧力値Pmに基づいて、複数のエアコンプレッサ群5の運転を一括してリモート制御するための指令信号を出力する(ステップSB3)。
ローカル制御装置30の指令信号取得部32は、通信システム7を介して集中制御装置10から送信された指令信号を取得する。ローカル制御部33は、指令信号に基づいて、エアコンプレッサ群5を制御する。
代表圧力決定部12は、特定ユースポイント3sを変更するか否かを判定する(ステップSB4)。本実施形態において、代表圧力決定部12は、第1時間帯から第2時間帯に移行したとき、特定ユースポイント3sを変更すると判定する。ステップSB4において特定ユースポイント3sを変更すると判定されたとき(ステップSB4:Yes)、代表圧力決定部12は、第1時間帯に対応する特定ユースポイント3sを第2時間帯に対応する特定ユースポイント3sに変更する(ステップSB5)。特定ユースポイント3sが変更された後、集中制御装置10は、ステップSB1の処理に戻る。一方、ステップSB4において特定ユースポイント3sを変更しないと判定されたとき(ステップSB4:No)、集中制御装置10は、ステップSB1の処理に戻る。すなわち、運転台数制御部13は、リアルタイムで更新される代表圧力値Pmに基づくリモート制御を継続する。
ステップSB6で特定ユースポイント3sに変更されると、代表圧力決定部12は、変更後の特定ユースポイント3sにおける検出圧力値Psを取得し、代表圧力値Pmとして決定する(ステップSB1,SB2)。運転台数制御部13は、変更後の特定ユースポイント3sにおける検出圧力値Psである代表圧力値Pmに基づいて、複数のエアコンプレッサ群5の運転を一括してリモート制御する(ステップSB3)。
以上説明したように、本実施形態によれば、特定ユースポイント3sにおける検出圧力値Psが代表圧力値Pmに決定される。これにより、運転台数制御部13は、特定ユースポイント3sに適正な圧力で圧縮空気が供給されるように、複数のエアコンプレッサ群5を台数制御することができる。圧縮空気の使用量が多い高負荷の特定ユースポイント3sの圧力を重点的に検出して、その特定ユースポイント3sにおける検出圧力値Psを代表圧力値Pmとすることにより、特定ユースポイント3sに供給される圧縮空気の供給量が不足することが抑制される。
なお、本実施形態において、特定ユースポイント3sは、圧縮空気供給システム1のユーザにより指定されたユースポイント3でもよい。
なお、本実施形態においては、特定ユースポイント3sが時間帯によって変更され、検出位置が時間帯に応じて順次変更されることとした。特定ユースポイント3sは時間帯によって変更されなくてもよい。その場合、検出位置は1つの特定ユースポイント3sに固定される。
第3実施形態.
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
本実施形態においては、代表圧力値Pmが、複数のユースポイント3のそれぞれにおける検出圧力値Psの最小値である例について説明する。すなわち、本実施形態においては、複数のユースポイント3のうち圧縮空気の圧力が最も不足しているユースポイント3における検出圧力値Psが代表圧力値Pmとして決定される。
図5は、本実施形態に係る圧縮空気供給システム1の動作の一例を示すフローチャートである。集中制御装置10の検出圧力取得部11は、複数のユースポイント3のそれぞれにおける検出圧力値Psを取得する(ステップSC1)。代表圧力決定部12は、複数のユースポイント3のそれぞれにおける検出圧力値Psを比較する。4つのユースポイント3が存在する場合、代表圧力決定部12は、4つのユースポイント3のうち第1のユースポイント3における検出圧力値Psが最小値か否かを判定する(ステップSC2)。
ステップSC2において第1のユースポイント3における検出圧力値Psが最小値であると判定されたとき(ステップSC2:Yes)、代表圧力決定部12は、第1のユースポイント3における検出圧力値Psを代表圧力値Pmとして決定する(ステップSC5)。ステップSC2において第1のユースポイント3における検出圧力値Psが最小値でないと判定されたとき(ステップSC2:No)、代表圧力決定部12は、4つのユースポイント3のうち第2のユースポイント3における検出圧力値Psが最小値か否かを判定する(ステップSC3)。
ステップSC3において第2のユースポイント3における検出圧力値Psが最小値であると判定されたとき(ステップSC3:Yes)、代表圧力決定部12は、第2のユースポイント3における検出圧力値Psを代表圧力値Pmとして決定する(ステップSC5)。ステップSC3において第2のユースポイント3における検出圧力値Psが最小値でないと判定されたとき(ステップSC3:No)、代表圧力決定部12は、4つのユースポイント3のうち第3のユースポイント3における検出圧力値Psが最小値か否かを判定する(ステップSC4)。
ステップSC4において第3のユースポイント3における検出圧力値Psが最小値であると判定されたとき(ステップSC4:Yes)、代表圧力決定部12は、第3のユースポイント3における検出圧力値Psを代表圧力値Pmとして決定する(ステップSC5)。ステップSC4において第3のユースポイント3における検出圧力値Psが最小値でないと判定されたとき(ステップSC4:No)、代表圧力決定部12は、第4のユースポイント3における検出圧力値Psを代表圧力値Pmとして決定する(ステップSC5)。
運転台数制御部13は、ステップSC5で決定された代表圧力値Pmに基づいて、複数のエアコンプレッサ群5の運転を一括してリモート制御するための指令信号を出力する(ステップSC6)。ローカル制御部33は、指令信号に基づいて、エアコンプレッサ群5を制御する。ステップSC6の処理が終了すると、ステップSC1の処理に戻る。すなわち、運転台数制御部13は、リアルタイムで更新される代表圧力値Pmに基づくリモート制御を継続する。
以上説明したように、本実施形態によれば、複数のユースポイント3のそれぞれにおける検出圧力値Psの最小値が代表圧力値Pmとして決定される。これにより、運転台数制御部13は、圧縮空気の圧力が最も不足しているユースポイント3に適正な圧力で圧縮空気が供給されるように、複数のエアコンプレッサ群5を台数制御することができる。
複数のユースポイント3のうち検出圧力値Psの最小値を示すユースポイント3は、経時的に変化したり、フィードポイント2の作動状態又はユースポイント3の空気消費状態に基づいて変化したりする。複数のユースポイント3のそれぞれにおける検出圧力値Psがモニタされることにより、検出圧力値Psの最小値を示すユースポイント3が変化しても、集中制御装置10は、その検出圧力値Psの最小値を代表圧力値Pmとして複数のエアコンプレッサ群5を台数制御することができる。これにより、圧縮空気の圧力が最も不足しているユースポイント3に適正な圧力で圧縮空気が供給される。
第4実施形態.
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
本実施形態においては、少なくとも1つのフィードポイント2及び少なくとも1つのユースポイント3を含む需給エリア100が複数規定され、代表圧力値Pmが、複数の需給エリア100のうち特定需給エリア100sに設けられている圧力センサ6の検出圧力値Psである例について説明する。特定需給エリア100sとして、例えば圧縮空気の圧力又は流量が不足するとその特定需給エリア100sに含まれるユースポイント3に係る生産設備全体が停止するような重要需給エリアが例示される。
図6は、本実施形態に係る需給エリア100の一例を説明するための図である。図6に示すように、産業施設において、少なくとも1つのフィードポイント2及び少なくとも1つのユースポイント3を含む需給エリア100が複数規定される。本実施形態においては、4つの需給エリア100A,100B,100C,100Dが規定される。
複数のフィードポイント2のうちいずれかのフィードポイント2とそのフィードポイント2との距離が最も短いユースポイント3とによって、1つの需給エリア100が規定される。換言すれば、複数の接続部8Cのうちいずれかの接続部8Cと接続されるフィードポイント2とその接続部8Cとの距離が最も短い接続部9Cと接続されるユースポイント3とによって、1つの需給エリア100が規定される。
なお、複数のフィードポイント2のうちいずれかのフィードポイント2とそのフィードポイント2から送出される圧縮空気が最も小さい圧力損失で供給されるユースポイント3とによって、1つの需給エリア100が規定されてもよい。換言すれば、ネットワーク管路4のうち圧力損失が最も小さい流通経路によってつながれたフィードポイント2とユースポイント3とによって、1つの需給エリア100が規定されてもよい。
本実施形態において、特定需給エリア100sは時間帯によって変更される。例えば、第1時間帯においては、需給エリア100Aが特定需給エリア100sとなり、第2時間帯においては、需給エリア100Bが特定需給エリア100sとなり、第3時間帯においては、需給エリア100Cが特定需給エリア100sとなり、第4時間帯においては、需給エリア100Dが特定需給エリア100sとなる。代表圧力決定部12は、特定の時間帯になったとき、その時間帯に対応する特定需給エリア100sに設けられている圧力センサ6の検出圧力値Psを代表圧力値Pmとして決定する。
図7は、本実施形態に係る圧縮空気供給システム1の動作の一例を示すフローチャートである。集中制御装置10の検出圧力取得部11は、第1時間帯に対応する特定需給エリア100sに設けられている圧力センサ6の検出圧力値Psを取得する(ステップSD1)。代表圧力決定部12は、ステップSD1で取得された検出圧力値Psを代表圧力値Pmとして決定する(ステップSD2)。
本実施形態において、代表圧力決定部12は、特定需給エリア100sに設けられているネットワーク管路圧力センサ63の検出圧力値Psを代表圧力値Pmとして決定する。なお、代表圧力決定部12は、特定需給エリア100sに設けられているレシーバタンク圧力センサ61、フィード管路圧力センサ62、ネットワーク管路圧力センサ63、ユース管路圧力センサ64、及びユースポイント圧力センサ65の少なくとも1つの検出圧力値Psを代表圧力値Pmとして決定することができる。
運転台数制御部13は、ステップSD2で決定された代表圧力値Pmに基づいて、複数のエアコンプレッサ群5の運転を一括してリモート制御するための指令信号を出力する(ステップSD3)。ローカル制御部33は、指令信号に基づいて、エアコンプレッサ群5を制御する。
代表圧力決定部12は、特定需給エリア100sを変更するか否かを判定する(ステップSD4)。本実施形態において、代表圧力決定部12は、第1時間帯から第2時間帯に移行したとき、特定需給エリア100sを変更すると判定する。ステップSD4において特定需給エリア100sを変更すると判定されたとき(ステップSD4:Yes)、代表圧力決定部12は、第1時間帯に対応する特定需給エリア100sを第2時間帯に対応する特定需給エリア100sに変更する(ステップSD5)。特定需給エリア100sが変更された後、集中制御装置10は、ステップSD1の処理に戻る。一方、ステップSD4において特定需給エリア100sを変更しないと判定したとき(ステップSD4:No)、集中制御装置10は、ステップSD1の処理に戻る。すなわち、運転台数制御部13は、リアルタイムで更新される代表圧力値Pmに基づくリモート制御を継続する。
ステップSD6で特定需給エリア100sが変更されると、代表圧力決定部12は、変更後の特定需給エリア100sに設けられている圧力センサ6の検出圧力値Psを取得し、代表圧力値Pmとして決定する(ステップSD1,SD2)。運転台数制御部13は、変更後の特定需給エリア100sに設けられている圧力センサ6の検出圧力値Psである代表圧力値Pmに基づいて、複数のエアコンプレッサ群5の運転を一括してリモート制御する(ステップSD3)。
以上説明したように、本実施形態によれば、特定需給エリア100sに設けられている圧力センサ6の検出圧力値Psが代表圧力値Pmに決定される。これにより、運転台数制御部13は、特定需給エリア100sに適正な圧力の圧縮空気が優先して供給されるように、複数のエアコンプレッサ群5を台数制御することができる。
なお、本実施形態においては、特定需給エリア100sが時間帯によって変更され、検出位置が時間帯に応じて順次変更されることとした。特定需給エリア100sは時間帯によって変更されなくてもよい。その場合、検出位置は、1箇所に固定される。
なお、本実施形態において、特定需給エリア100sは、圧縮空気供給システム1のユーザにより指定されてもよい。ユーザは、入力装置16を操作して、産業施設に設けられている複数の需給エリア100から特定需給エリア100sを指定することができる。
第5実施形態.
第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
本実施形態においては、ローカル制御装置30の動作の一例について説明する。図8は、本実施形態に係る需給エリア100の一例を示す図である。上述したように、産業施設において、少なくとも1つのフィードポイント2及び少なくとも1つのユースポイント3を含む需給エリア100が規定される。需給エリア100内には、圧縮空気の圧力を検出する複数の圧力センサ6(61,62,63,64,65)が設けられる。
本実施形態において、需給エリア100内のフィードポイント2で圧縮空気を生成するエアコンプレッサ群5は、吐出量が異なる複数のエアコンプレッサ50を有する。本実施形態において、エアコンプレッサ50は、第1吐出量で圧縮空気を吐出可能な第1エアコンプレッサ51と、第1吐出量よりも小さい第2吐出量で圧縮空気を吐出可能な第2エアコンプレッサ52と、第2吐出量よりも小さい第3吐出量で圧縮空気を吐出可能な第3エアコンプレッサ53とを含む。
ローカル制御装置30は、需給エリア100に設けられている複数のエアコンプレッサ50(51,52,53)を集中制御装置10からの指令信号により他律制御するリモートモード、又は複数のエアコンプレッサ50(51,52,53)を集中制御装置10からの指令信号によらずに自律制御するローカルモードで作動する。ローカル制御装置30は、そのローカル制御装置30が設けられている需給エリア100のエアコンプレッサ群5を他律制御又は自律制御する。
リモートモードにおいて、ローカル制御部33は、集中制御装置10から送信された指令信号に基づいて、エアコンプレッサ群5を他律制御する。ローカルモードにおいて、ローカル制御部33は、所定の圧力センサ6(例えば、レシーバタンク圧力センサ61)の検出圧力値Psに基づいて、エアコンプレッサ群50を自律制御する。
例えば、集中制御装置10とローカル制御装置30との間で通信不良が発生し、エアコンプレッサ群5が集中制御装置10からの指令信号により他律制御できない場合、ローカル制御装置30は、リモートモードからローカルモードに移行する。また、需給エリア100の圧縮空気の圧力が急激に低下したとき、ローカル制御装置30は、リモートモードからローカルモードに移行する。例えば、需給エリア100Aのエアコンプレッサ50の全台が停止しており、需給エリア100B,100C,100Dのフィードポイント2からの圧縮空気が需給エリア100Aのユースポイント3に供給されている状態で、需給エリア100Aの圧縮空気の圧力が急激に低下した場合、集中制御装置10からの指令信号による他律制御が継続されると、圧縮空気の供給量を瞬時に増やすことができず、需給エリア100Aのユースポイント3で圧縮空気が不足する可能性がある。需給エリア100Aの圧縮空気の圧力が急激に低下した場合、リモートモードからローカルモードに移行され、需給エリア100Aに設けられているローカル制御装置30による自律制御が実施されることにより、圧縮空気の供給量を瞬時に増やすことができ、需給エリア100Aのユースポイント3で圧縮空気が不足する事態が回避される。
本実施形態において、ローカル制御装置30は、需給エリア100の圧力センサ6(例えば、レシーバタンク圧力センサ61)の検出圧力値Psが設定値Phまで降下すると、リモートモードからローカルモードに移行して、いずれかの起動可能なエアコンプレッサ50を起動させる。
ローカル制御装置30は、リモートモードにおいて、圧力低下速度を需給エリア100の圧力センサ6により測定する。リモートモードにおいて、圧力センサ6の検出圧力値Psが設定値Phまで降下すると、ローカル制御装置30は、リモートモードからローカルモードに移行して、測定した圧力低下速度に応じて所要の吐出量が得られる起動可能なエアコンプレッサ50を起動させる。
設定値Phは、例えば圧縮空気供給システム1のユーザにより指定され、記憶部34に記憶される。設定値Phは、需給エリア100に含まれるフィードポイント2及びユースポイント3に係る生産設備の稼働を維持可能な値に設定される。
起動可能なエアコンプレッサ50は、具体的には、停止中のエアコンプレッサであって、かつインチング防止時間を経過したエアコンプレッサをいう。ローカル制御装置30には、モータの寸動運転による焼付き等を防止するため、各エアコンプレッサ50(51,52,53)に対するインチング防止時間が設定されており、モータの停止時点からインチング防止時間を経過するまでは、モータの再起動を禁止している。
図9は、本実施形態に係る需給エリア100の検出位置における圧力低下速度の一例を説明するための図である。図9に示すグラフにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は圧力センサ6の検出圧力値Psを示す。時点taにおいては、ローカル制御装置30はリモートモードで作動しており、集中制御装置10によって代表圧力値Pmに応じた所要台数のエアコンプレッサ50が需給エリア100A〜Dの中から選ばれ、起動されている。圧力センサ6は、需給エリア100の検出位置における圧縮空気の圧力をモニタする。ローカル制御装置30の検出圧力取得部31は、圧力センサ6から規定のサンプリング周期で検出圧力値Psを取得する。検出圧力取得部31は、圧力センサ6からの検出圧力値Psに基づいて、需給エリア100の検出位置における単位時間当たりの圧縮空気の圧力の低下量を示す圧力低下速度を測定する。
圧力センサ6の検出圧力値Psが設定値Ph以上のとき、ローカル制御装置30は、リモートモードで作動する。一方、圧力センサ6の検出圧力値Psが設定値Phまで降下すると、ローカル制御装置30は、リモートモードからローカルモードに移行する。
図9は、圧力低下速度が、第1速度V1、第1速度V1よりも低い第2速度V2、及び第2速度V2よりも低い第3速度V3のときの検出圧力値Psの変化を模式的に示す。
圧力低下速度が第1速度V1のとき、圧力センサ6の検出圧力値Psは、第1時点t1において設定値Phまで降下する。圧力低下速度が第1速度V1のとき、ローカル制御装置30は、第1時点t1において、リモートモードからローカルモードに移行する。
圧力低下速度が第2速度V2のとき、圧力センサ6の検出圧力値Psは、第2時点t2において設定値Phまで降下する。時点taと第2時点t2との時間は、時点taと第1時点t1との時間よりも長い。圧力低下速度が第2速度V2のとき、ローカル制御装置30は、第2時点t2において、リモートモードからローカルモードに移行する。
圧力低下速度が第3速度V3のとき、圧力センサ6の検出圧力値Psは、第3時点t3において設定値Phまで降下する。時点taと第3時点t3との時間は、時点taと第2時点t2との時間よりも長い。圧力低下速度が第3速度V3のとき、ローカル制御装置30は、第3時点t3において、リモートモードからローカルモードに移行する。
ローカル制御装置30は、圧力センサ6の検出圧力値Psが設定値Phまで降下したとき、測定した圧力低下速度に基づいて、所要の吐出量が得られる起動可能なエアコンプレッサ50を起動させる。
本実施形態において、ローカル制御装置30は、測定した圧力低下速度が第1速度V1を含む第1速度範囲内であるとき、第1エアコンプレッサ51を起動させる。ローカル制御装置30は、測定した圧力低下速度が第1速度V1よりも低い第2速度V2を含む第2速度範囲内であるとき、第1エアコンプレッサ51よりも吐出量が小さい第2エアコンプレッサ52を起動させる。ローカル制御装置30は、測定した圧力低下速度が第2速度V2よりも低い第3速度V3を含む第3速度範囲内であるとき、第2エアコンプレッサ52よりも吐出量が小さい第3エアコンプレッサ53を起動させる。
なお、第1速度V1を含む第1速度範囲、第2速度V2を含む第2速度範囲、及び第3速度V3を含む第3速度範囲は、互いに重複しない範囲に設定されている。具体的には、圧力低下速度をVLとしたとき、第1速度範囲はVa≧VL>Vb、第2速度範囲はVb≧VL>Vc、第3速度範囲はVc≧VL>Vdの関係である。ここで、Va,Vb,Vc,Vdは、各範囲の上限値又は下限値に相当する。
図10は、本実施形態に係る圧縮空気供給システム1の動作の一例を示すフローチャートである。スタート時、ローカル制御装置30は、リモートモードで作動している。リモートモードで作動しているとき、例えば需給エリア100Aの複数のエアコンプレッサ50の全台が停止していたり、一部が起動していたりする状態で、需給エリア100Aには他の需給エリア100B,100C,100Dから圧縮空気が供給される。需給エリア100Aに設けられている圧力センサ6は、圧縮空気の圧力を検出する。ローカル制御装置30の検出圧力取得部31は、圧力センサ6から検出圧力値Psを取得する(ステップSE1)。
検出圧力取得部31は、検出圧力値Psが設定値Phに降下したか否かを判定する(ステップSE2)。ステップSE2において、検出圧力値Psが設定値Phよりも大きいと判定されたとき(ステップSE2:No)、ローカル制御装置30は、ステップSE1の処理に戻る。ステップSE2において、検出圧力値Psが設定値Phに降下したと判定されたとき(ステップSE2:Yes)、ローカル制御装置30は、リモートモードからローカルモードに移行する(ステップSE3)。
ローカルモードに移行すると、ローカル制御部33は、需給エリア100Aに停止中のエアコンプレッサがあるか否かを判定する(ステップSE4)。ステップSE4において、停止中のエアコンプレッサ50があると判定されたとき(ステップSE4:Yes)、ローカル制御装置30は、ステップSE5の処理に進む。ステップSE4において、停止中のエアコンプレッサ50がないと判定されたとき(ステップSE4:No)、ローカル制御装置30は、ステップSE11の処理に進む。
需給エリア100Aに停止中のエアコンプレッサ50があると判定されると、ローカル制御部33は、停止中のエアコンプレッサ50が起動可能であるか否かを判定する(ステップSE5)。例えば、インチング防止時間を経過していないエアコンプレッサ50が存在しないときには、起動可能と判定し(ステップSE5:Yes)、ローカル制御装置30は、ステップSE6の処理に進む。インチング防止時間を経過していないエアコンプレッサ50が存在するときには、起動不可と判定し(ステップSE5:No)、ローカル制御装置30は、インチング防止時間を経過するまで待機する。
停止中のエアコンプレッサ50が起動可能と判定されると、検出圧力取得部31は、圧力センサ6の圧力検出値Psを微分処理して圧力低下速度を求め、この圧力低下速度が第1速度範囲内か否かを判定する(ステップSE6)。ステップSE6において、圧力低下速度が第1速度範囲内であると判定されたとき(ステップSE6:Yes)、ローカル制御部33は、第1エアコンプレッサ51を起動させる(ステップSE7)。ステップSE6において、圧力低下速度が第1速度範囲内でないと判定されたとき(ステップSE6:No)、検出圧力取得部31は、圧力低下速度が第2速度範囲内か否かを判定する(ステップSE8)。
ステップSE8において、圧力低下速度が第2速度範囲内であると判定されたとき(ステップSE8:Yes)、ローカル制御部33は、第2エアコンプレッサ52を起動させる(ステップSE9)。ステップSE8において、圧力低下速度が第2速度範囲内でないと判定されたとき(ステップSE8:No)、検出圧力取得部31は、圧力低下速度が第3速度範囲内であると判定する。ローカル制御部33は、第3エアコンプレッサ53を起動させる(ステップSE10)。
ステップSE7,SE9,SE10の処理により、いずれかのエアコンプレッサ51,52,53が起動されるか、ステップSE4の判断により、全てのエアコンプレッサ51,52,53が起動中だったとき、ローカル制御装置30は、ローカルモードからリモートモードに移行する(ステップSE11)。
以上説明したように、本実施形態においては、圧力センサ6の検出圧力値Psが設定値Phまで降下したとき、ローカル制御装置30は、リモートモードからローカルモードに移行して、いずれかの起動可能なエアコンプレッサ50を起動させる。これにより、需給エリア100において圧縮空気の供給量が不足する事態が回避される。
また、本実施形態においては、需給エリア100の圧縮空気の圧力低下速度が圧力センサ6を用いて測定され、圧力センサ6の検出圧力値Psが設定値Phまで降下すると、ローカル制御装置30は、リモートモードからローカルモードに移行して、測定した圧力低下速度に応じて所要の吐出量が得られる起動可能なエアコンプレッサ50を起動させる。測定した圧力低下速度に基づいて選択されたエアコンプレッサ50が起動されることにより、需給エリア100における空気消費量のピーク量に応じた圧縮空気が生成される。
例えば、圧力低下速度が大きいときに吐出量が小さいエアコンプレッサ50が起動された場合、需給エリア100Aにおいて不足する圧縮空気を賄うことが困難な可能性がある。一方、圧力低下速度が小さいときに吐出量が大きいエアコンプレッサ50が起動された場合、圧縮空気の圧力が急激に上昇するオーバーシュートが発生し、適正な圧力を得ることができない可能性がある。本実施形態においては、圧力低下速度が大きいほど吐出量が大きいエアコンプレッサ50を起動させ、圧力低下速度が小さいほど吐出量が小さいエアコンプレッサ50を起動させるようにしたので、オーバーシュートの発生を抑制しつつ、需給エリア100において不足する圧縮空気を瞬時に生成することができる。
なお、本実施形態においては、吐出量が異なる3台のエアコンプレッサ50が設けられ、圧力低下速度に基づいて3台のエアコンプレッサ50のうちいずれか1台のエアコンプレッサ50が起動されることとした。これに加えて、圧力低下速度が第3速度範囲を上回る場合には、圧力低下速度の大きさに応じて、2台のエアコンプレッサ50が起動されてもよいし、3台のエアコンプレッサ50が起動されてもよい。また、1つの需給エリア100に配置されるエアコンプレッサ50は、2台でもよいし4台以上の任意の台数でもよい。
また、本実施形態においては、所定の圧力センサ6の検出圧力値Psが設定値Phに降下したとき、リモートモードからローカルモードに移行させ、起動可能なエアコンプレッサ50を起動させるようにした。これに替えて、複数の圧力センサ6の検出圧力値Psを同時にモニタし、いずれかの圧力センサ6の検出圧力値Psが設定値Phに降下したとき、リモートモードからローカルモードに移行させ、起動可能なエアコンプレッサ50を起動させるようにしてもよい。この場合、いずれの圧力センサ6の検出圧力値Psも設定値Phまで降下していないときには、ローカル制御装置30は、リモートモードで作動することになる。
その他の実施形態.
なお、上述の各実施形態においては、1つのフィードポイント2に複数のエアコンプレッサ50が設けられることとした。例えば上述の第1実施形態から第4実施形態において、1つのフィードポイント2に1台のエアコンプレッサ50が設けられてもよい。すなわち、エアコンプレッサ群5が1台のエアコンプレッサ50で構成される概念でもよい。
なお、上述の各実施形態においては、レシーバタンク20は、ネットワーク管路4のフィード管路8に設けられることとした。レシーバタンク20は、圧縮空気のバッファタンクであるから、ネットワーク管路4の主管路40に設けられてもよい。レシーバタンク20は、例えばフィード管路8と主管路40との接続部8Cに設けられてもよい。また、レシーバタンク20を各フィードポイント2に対する圧縮空気のバッファタンクとしてもよく、ユース管路9や接続部9Cに設けることもできる。
なお、上述の各実施形態においては、ネットワーク管路4がループ型の管路であることとした。図11に示すように、ネットワーク管路4は、メッシュ(mesh)型の管路でもよい。メッシュ型の管路とは、管路が網目状に接続され複数の交差部を有する管路をいう。図12に示すように、ネットワーク管路4は、ツリー(tree)型の管路でもよい。ツリー型の管路とは、少なくとも1つの分岐部と少なくとも2つの末端部とを有する管路をいう。図13に示すように、ネットワーク管路4は、スター(star)型の管路でもよい。スター型の管路とは、中心点から放射状に敷設される複数の管路をいう。図11、図12、及び図13において、ネットワーク管路4の交差部又は末端部にレシーバタンク20が配置され、そのレシーバタンク20にエアコンプレッサ群5を含むフィードポイント2が接続される。なお、ネットワーク管路4は、ループ型、メッシュ型、ツリー型、及びスター型の少なくとも2つを組み合わせた管路により構成されてもよい。
なお、上述の各実施形態は適宜組み合わせることができる。例えば、第1時間帯においては複数の検出位置における検出圧力値Psの平均値が代表圧力値Pmとして決定され、第2時間帯においては特定ユースポイント3sにおける検出圧力値Psが代表圧力値Pmとして決定され、第3時間帯においては複数のユースポイント3のそれぞれにおける検出圧力値Psの最小値が代表圧力値Pmとして決定され、第4時間帯においては特定需給エリア100sに設けられている圧力センサ6の検出圧力値Psが代表圧力値Pmとして決定されてもよい。このように、代表圧力値Pmの決定方法が経時的に変更されてもよい。