JP2018168002A - 焼結シリカ部品の製造方法 - Google Patents

焼結シリカ部品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018168002A
JP2018168002A JP2017064660A JP2017064660A JP2018168002A JP 2018168002 A JP2018168002 A JP 2018168002A JP 2017064660 A JP2017064660 A JP 2017064660A JP 2017064660 A JP2017064660 A JP 2017064660A JP 2018168002 A JP2018168002 A JP 2018168002A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sintered
slurry
silica
mold
sintered silica
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017064660A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6862241B2 (ja
Inventor
小林 弘明
Hiroaki Kobayashi
弘明 小林
優 横山
Masaru Yokoyama
優 横山
ラメッシュ ヴァレプ
Valepu Ramesh
ラメッシュ ヴァレプ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Coorstek KK
Original Assignee
Coorstek KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Coorstek KK filed Critical Coorstek KK
Priority to JP2017064660A priority Critical patent/JP6862241B2/ja
Publication of JP2018168002A publication Critical patent/JP2018168002A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6862241B2 publication Critical patent/JP6862241B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】特別な成形型を用いることなく、短時間で精度良く成形体を形成でき、更に前記成形体を焼結することによって、焼結シリカ部品を製造する製造方法を提供する。【解決手段】本発明にかかる焼結シリカ部品の製造方法は、球状で平均粒径が8μm以下のシリカ粉原料と、分散剤と、ゲル化剤と、ゲル化剤の硬化剤と、水を混練してスラリーを調製する工程と、そのスラリーを表面粗さ(Ra)が0.1μm以下の樹脂製の成形型に流し込み、ゲルキャスト法で成形する工程と、前記成形する工程後、脱型し、得られた成形体を焼結し、焼結シリカ部品となる焼結体を得る工程と、を備えることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は焼結シリカ(焼結石英といわれることもある)部品の製造方法に関し、例えば、紫外・可視域の光透過性に優れたマイクロレンズアレイなどの光学用の焼結シリカ部品の製造方法に関する。
従来から、光ファイバ、イメージセンサー、液晶プロジェクターなど様々な光学系機器の部品として、シリカからなる光学部品が用いられている。これらシリカからなる光学部品の製造法について、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1、特許文献2において、シリカガラス基板の表面にレジスト層を形成し、ドライ又はウェットエッチングすることで、マイクロレンズアレイを形成する製造方法が提案されている。しかしながら、この特許文献1,2で提案された製造方法にあっては、専用の装置を必要とし複雑な工程を経なければならないという問題があった。
また、特許文献3において金型製作方法が提案され、この特許文献3の実施例(第3の実施形態)において、前記金型を用いてプレス成形することによって、マイクロレンズアレイを製造する方法が示されている。しかしながら、この特許文献3に示された製造方法にあっては、精密な金型を準備し、シリカガラスが加工できる温度まで再度加熱しなければならないという問題があった。
一方、焼結シリカの技術が広まるにつれ、光学部品を焼結シリカで製造する新たな製造方法が、特許文献4、5において提案されている。
この特許文献4では、透明性セラミックス粉末と有機バインダーからなる混連物を粉末射出成形により、成形した後、焼結する製造方法が示されている。
また、特許文献5では、シリカ−PVAのスラリーを作製し、フッ素樹脂容器などの非粘着性に優れた容器中で乾燥させる製造方法が提案されている。
特開2008−250354号公報 特開2016−109815号公報 特開平11−277543号公報 特開2006−265026号公報 特許第5786217号公報
ところで、光学部品を焼結シリカで製造する特許文献4に記載された製造方法にあっては、射出成型を行うために、やはり専用の装置が必要であり、また粘度の調整なども容易に調整することができず、実際に製造することが難しいという課題があった。
また、この特許文献5に示された製造方法にあっては、成形体の乾燥に7日間要するという、いわゆる製造時間が長期間化するという課題があった。
本発明者らは、焼結シリカ技術を適用することを前提に、紫外・可視域の光透過性に優れたマイクロレンズアレイなどの焼結シリカ部品の製造方法について鋭意、研究した。即ち、射出成型のような専用の装置などを用いることなく、短時間で精度良く、焼結シリカ部品の成形体を製造する方法を鋭意研究した。
その結果、シリカのスラリーをゲル化させることによって、シリカのスラリーから短時間で精度の良い成形体を得ることができることを知見し、本発明を完成するに至った。
本発明の目的とするところは、特別な装置などを用いることなく、短時間で精度の良い成形体を形成でき、更に前記成形体を焼結することによって、焼結シリカ部品を製造する製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するためになされた本発明にかかる焼結シリカ部品の製造方法は、球状で平均粒径が8μm以下のシリカ粉原料と、分散剤と、ゲル化剤と、ゲル化剤の硬化剤と、水を混練してスラリーを調製する工程と、そのスラリーを表面粗さ(Ra)が0.1μm以下の樹脂製の成形型に流し込み、ゲルキャスト法で成形する工程と、前記成形する工程後、脱型し、得られた成形体を焼結し、焼結シリカ部品となる焼結体を得る工程と、を備えることを特徴としている。
このように、本発明にあっては、球状で平均粒径が8μm以下のシリカ粉原料と、分散剤と、ゲル化剤と、ゲル化剤の硬化剤と、水を混練してスラリーを調製し、そのスラリーを表面粗さ(Ra)が0.1μm以下の樹脂製の型に流し込み、ゲルキャスト法で成形する。
そして、乾燥後、成形体の形状を維持して脱型することができる。しかも、ゲルキャスト法で成形しているため、短時間で成形体を得ることができる。
即ち、シリカのスラリーから短時間で精度良く成形体を得ることができ、前記得られた成形体を焼結することにより、短時間で精度の良い焼結シリカ部品を得ることができる。
特に、本発明にかかる焼結シリカ部品の製造方法では、ゲルキャスト法で成形するため(スラリーをゲル化により固化させるため)、ゲル化剤、ゲル化剤の硬化剤、温度の調整により、スラリーが固まるのでの時間、すなわち成形型に流し込んでから取り出すことができるまでの時間を数分から数時間まで容易に調整することができる。
また、ゲルキャスト法で成形するため、シリカ粉原料のスラリーを成形型に流し込む際、室温付近の温度で成形することができる。その結果、成形型に用いられる樹脂の耐熱性や高い温度による変形などの影響を考慮する必要がなく、種々の樹脂製の成形型を使用することができる。しかも、樹脂製の成形型であれば、所望の部品の形状に応じて、自在に精度よく形状を加工し、表面粗さを整えることもできる。
また、成形型の表面粗さ(Ra)が0.1μm以下であるため、スラリーが固化した際に成形型と張り付きにくく離型性がよく、取り出しを容易に行うことができる。
その結果、所望の形状を有する成形体を得ることができ、前記成形体を焼結した焼結体に、後加工により、例えば、突起、溝、屈曲部、曲線部を研削加工することなく、焼結シリカ部品を得ることができ、製造が容易で経済的である。また、前記成形体に、凹凸や細かな形状を精密に転写することができ、高精度の焼結シリカ部品を得ることができる。
ここで、前記シリカ粉原料が、真球度0.9以上であり、平均粒径が3μm以下である場合には、流動性と充填性を高めることができるため、より望ましい。
また、前記焼結体中に、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、ZnおよびMoから選ばれる一種以上の元素が合計2ppm以下の量であることが望ましい。
これらの不純物を前記したように少量含むことで、強度が向上し、焼結シリカ部品に微細な溝を作製することができる。しかし、不純物の含有量が2ppmを超えると、成形体を焼結したときに、クリストバライト化してクラックが多数発生し、強度が著しく低下するため、好ましくない。
また、前記スラリーの粘度が、成形型への流し込み時600mPa・s以下であることが望ましい。前記スラリーの粘度が600mPa・sを越えると、成形型に鋳込みし難くなるため、好ましくない。
また、前記ゲルキャスト法で用いる成形型は、スラリーを室温で硬化させことができるため、金属製に比べて耐熱性の低い様々な樹脂製の成形型を用いることができる。例えば、ポリプロピレン(PP)製、ポリエチレン(PE)製、アクリル(PMMA)製、シリコーン製の成形型が挙げられる。尚、フッ素樹脂(PTFE)製のような非粘着性に優れた成形型を用いても良い。これら5種は特に好ましい材質で、中でもフッ素樹脂が特にこのましい。
また、前記製造法によって、製造された焼結シリカ部品は、マイクロレンズアレイ、フライアイレンズ等のような、紫外・可視域の光透過性に優れた光学部品に用いられる。
本発明によれば、シリカのスラリーから短時間で、精度の良い成形体を形成でき、更に前記成形体を焼結することによって、焼結シリカ部品を製造する製造方法を得ることができる。
本発明にかかる焼結シリカ部品の製造方法は、球状で平均粒径が8μm以下のシリカ粉原料と、分散剤と、ゲル化剤と、ゲル化剤の硬化剤と、水を混練してスラリーを調製する工程と、そのスラリーを表面粗さ(Ra)が0.1μm以下の樹脂製の成形型に流し込み、ゲルキャスト法で成形する工程と、前記成形する工程後、脱型し、得られた成形体を焼結し、焼結シリカ部品となる焼結体を得る工程と、を備えることを特徴とする。
上記製造方法を構成する各要件について以下、詳細に説明する。
本発明で用いるシリカ粉原料は、流動性と充填性を高める点から球状であることが必要である。例えば、球状であれば市販の多孔質シリカやフュームドシリカ等が用いられるが、真球度が0.9以上1以下のシリカ粉で、かつ、平均粒径が8μm以下であることが好ましい。シリカ粉原料の平均粒径は3μm以下であれば、なお好ましい。
一方、平均粒径が8μmより大きいと、成形型の表面性状の転写が難しくなる。
逆にあまりに平均粒径が小さすぎると、スラリーの混錬や成形体の乾燥などに時間がかかりすぎてしまうため、平均粒径はサブミクロン(0.1μm)以上であることが好ましい。
本発明における真球度とは、ひとつのシリカ粉における最大直径に対する最小直径の比によって表され、真球度の値は、シリカ粉の電子顕微鏡写真において、ランダムに20個の紛を選んで、それぞれの最大直径と最小直径を測定して算定したものである。また、本発明において平均粒径は、BET法により測定する。
本発明で用いるシリカ粉原料において、真球度が0.9以上1以下のシリカ粉がシリカ原料粉全体の90%以上、好ましくは100%を占める。
焼結シリカ部品の多くが光学的用途に用いられ、特に紫外線透過性が求められることから、上記シリカ粉原料は、不純物の含有量はできるだけ少ないほうが好ましい。
そのシリカ粉原料を用いて製造された焼結体、即ち、焼結シリカ部品には、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、ZnおよびMoから選ばれる一種以上の元素がシリカの重量に対して合計2ppm以下の量で含まれていてもよい。2ppm以下であれば、紫外線透過率を大きく低下させることもなく、焼結体の強度向上効果も期待できる。
上記シリカ粉原料にイオン交換水、分散剤、ゲル化剤、およびゲル化剤の硬化剤(架橋剤)等を混合してスラリーを調製する。
例えば、エポキシモノマー(ゲル化剤)とアミン系架橋剤(ゲル化剤の硬化剤)の重合反応、アクリルモノマー(ゲル化剤)と架橋剤アクリルアミド(ゲル化剤の硬化剤)の重合反応によるゲル化により成形することができる。
ここで、前記分散剤としては、ポリカルボン酸、ポリアクリル酸、ポリエーテル酸、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミンを挙げることができる。
また、ゲル化剤としては、水系エポキシ、アクリルアミド、水性ポリオールを挙げることができる。
ゲル化剤の硬化剤(架橋剤)としては、ポリアミノアミド、変性ポリアミン、ポリエチレンイミン、メチレンビスアクリルアミド、水性イソシアネートを挙げることができる。
なお、ゲル化剤又は硬化剤は分散剤を兼ねていても良い。
上記シリカ粉原料にイオン交換水、分散剤を投入した後、ゲル化剤とゲル化剤の硬化剤(架橋剤)の投入順番は、特に問題とされない。即ち、成形型に鋳込む際のスラリーが、シリカ粉原料にイオン交換水、分散剤、ゲル化剤、およびゲル化剤の硬化剤(架橋剤)等を混合したものであれば良い。
そして、前記スラリーの調整によって、成形型に鋳込む際のスラリーの粘度が600mPa・s以下であることが、成形型に鋳込みやすく好ましい。400mPa・s以下であれば、より扱いやすくなり好ましい。
尚、スラリーの粘度は、成形時にスラリーを型の中にいきわたらせ泡を残さないという観点から100mPa・s以上が好ましい。
また、上記スラリーには必要に応じて、反応促進剤を添加してもよい。この反応促進剤としては、過硫酸アンモニウムなどを挙げることができる。
本発明の製造方法では、成形型に上記スラリーを流し込み、室温で硬化させ、硬化時間はおよそ0.5時間以上3時間以下に設定される。尚、この室温とは、およそ5℃〜30℃の範囲をいう。
ゲルキャスト法で成形するため(スラリーをゲル化により固化させるため)、ゲル化剤、ゲル化剤の硬化剤、成形時の温度の調整により、スラリーが固まるのでの時間、すなわち成形型に流し込んでから取り出すことができるまでの時間を数分から数時間まで容易に調整することができる。
また成形型としては、常温付近の温度でシリカ粉原料を含むスラリーを流し込んだ際に、形状が維持できるものであればよく、種々の樹脂材質の成形型を使用することができる。
本発明の製造方法では、スラリーを室温で硬化させるため、金属製に比べて耐熱性の低い樹脂製の成形型を用いることができる。樹脂製の成形型は、所望する光学部品の形状に合わせて溝など複雑形状を成形しやすいという利点がある。樹脂製の成形型には、例えば、ポリプロピレン(PP)製、ポリエチレン(PE)製、アクリル(PMMA)製、フッ素樹脂(PTFE)製、またはシリコーン製の成形型が挙げられる。
また、成形型の表面粗さRaが0.1μm以下であることが好ましい。
このような表面粗さに形成するのは、成形体に微細な凹凸(形状)を転写するためであり、また脱型時に欠けや傷を防止するためである。更に、前記成形体を焼結し、焼結体を後加工なしで光学部品とするためである。
従来は、高温でシリカ粉を溶融し、インゴットを作製し、冷却後加工して石英部品を削り出すため、加工に多くの時間と手間を要した。
しかしながら、本発明の製造方法では、焼結シリカ部品に転写する形状に、成形型を予め加工し、スラリーを前記成形型に流し込んだ後、室温で硬化し、この成形体を焼結するため、削り出し、加工等が必要なく、焼結シリカ部品を容易に製造できる。
尚、これらの成形型の形状は、通常の機械研削等のほか、電子ビームリソグラフィー処理、ブラスト処理、所定の粒径を有する微粒子を含む組成物を吹き付ける吹付塗装処理、またはケミカルエッチング処理等により、形成することができる。
上記処理方法を用いて、所望する焼結シリカ部品に対応する形状の凹部が複数配置された成形型を準備すれば一度に複数の成形体を得ることができる。
また、成形型がシリコーン樹脂からなる場合、転写性が特に良いため、成形型に刻んだ凹凸を正確に反転して、得られる焼結シリカ部品にナノメートルオーダーの凹凸を形成することも可能である。
このように、成形型に種々の形状を設けることで、焼結シリカ部品(成形体)にそれに対応する形状を転写することができる。よって、本発明の製造方法は、種々の形状を有する光学部品の製造に適用可能である。また、スラリーを成形型の隅々まで行き渡らせることができるため、複雑形状を持つ焼結シリカ部品を製造した場合でも、後加工せずに使用することができる。
本発明にかかる製造方法では、架橋重合によるゲルキャスト成形が用いられる。
セラミックスの成形に一般的に用いられるプレス成形やCIP成形のように、シリカ粉原料を加圧して成形する方法は、成形型にシリカ粉原料が食い込み、脱型時にクラックが発生するため適用することができない。
これに対して、本発明にかかる製造方法はゲルキャスト成形であるがゆえに、微細な構造を成形型からの転写により製造でき、焼結体を後加工なしで使用することが可能である。
例えば、マイクロレンズアレイを製造する場合、スラリーをマイクロレンズアレイに対応する凹形状に加工した成形型に流し込み、脱型することでマイクロレンズアレイの形状に成形することができる。成形体や焼結体の溝を研削加工する必要がないことから、労力などを大幅に削減することができる。
脱型後、成形体の焼結は、大気雰囲気下、またはヘリウム等の希ガス雰囲気下、窒素等の不活性ガス雰囲気下、または真空雰囲気下に、1300℃以上1500℃以下で0.5時間以上3時間以下の範囲で行う。焼結には、一般的なセラミックで用いられる電気炉を使用することができる。
焼結体の表面には、成形型の形状が転写される。よって、得られる焼結体は、その表面が平坦で滑らかである。
具体的には、焼結体の表面粗さ(算術平均粗さRa)は0.1μm以下であることが好ましい。Raが0.1μm超であると、光が反射して透過率が低下することがある。焼結体のRaを0.1μm以下にするには、脱型後、焼結前の成形体のRaを0.1μm以下に、即ち成形型のRaを0.1μm以下にする必要がある。
本発明の製造方法によって製造される焼結シリカ部品は、前記したように、紫外線の透過率を低下させないという観点から、不純物の混入を極力抑える必要がある。具体的には、上記焼結シリカ部品には、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、ZnおよびMoから選ばれる一種以上の元素がシリカの重量に対して合計2ppm以下である。
本発明の焼結シリカ部品はこれらの不純物を少量含むことで、強度が向上し、微細な溝を作製することができる。しかし、不純物の含有量が2ppmを超えると、成形体を焼結したときに、クリストバライト化してクラックが多数発生し、強度が著しく低下することがある。
これらの元素は、焼結シリカ部品を製造するに際して、シリカ粉原料以外に、ゲル化剤、ゲル化剤の硬化剤、分散剤、反応促進剤等から混入するため、純度の高いものを用いる必要がある。これらの不純物の種類および含有量はICP発光分光分析により測定することができる。
なお、乾燥や焼結で一定量の収縮は生じるが、形状は維持できるので予め収縮量を見越した形状の成形型とするのが良い。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。また、本発明では精密な成形が可能になるが、後加工により微修正することを排除するものではない。
[実施例1]
真球度0.97、平均粒径2μmの球状シリカ粉を原料として、分散剤と、ゲル剤の硬化剤としてのポリエチレンイミン(日本触媒)を1wt%添加し、イオン交換水を加えてスラリー化してボールミルにて50rpmで24時間撹拌した。尚、球状シリカ粉を原料として、不純物の含有量が1.2ppmのものを用いた。
撹拌後は、真空脱泡しながら、さらにゲル化剤のモノマーとしてエポキシ(ナガセケムテックス)を1wt%添加し、混合した。このときの粘度を測定したところ400mPa・sであった。
そして、このスラリーを外形3mm(縦)×3mm(横)、深さ1mmの底面にレンズ径が100μm、レンズ高さが100μm、レンズ間ピッチが100μm、レンズの表面粗さ0.1μm、レンズが5×5で配列された凹み形状を持つシリコーン製の成形型にスラリーを鋳込んだ。
このときの温度は25℃であり、5分でゲル化した。そのままさらに1時間乾燥した後、型から脱型し、凸形状を持つマイクロレンズアレイの成形体を得た。
得られた成形体を真空雰囲気中1400℃で焼結させることでアスペクト比1:1の凸形状を持つシリカ焼結体製マイクロレンズアレイを得た。尚、このアスペクト比とは、レンズ径とレンズ高さの比である。
そして、得られたマイクロレンズアレイの精度を測定した結果、レンズの形状、レンズ間の配置を5μm以内の精度で再現できることを確認した。
また、前記マイクロレンズアレイ(焼結シリカ部品)をフッ酸で溶解し、化学分析を実施した結果、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、ZnおよびMoから選ばれる一種以上の元素含有量の合計は1.5ppmであった。
前記マイクロレンズアレイ(焼結シリカ部品)(株)キーエンス製のレーザー顕微鏡で評価したところ、Raは0.08μmであった。
[実施例2]
実施例1と同様に、真球度0.97、平均粒径2μmの球状シリカ粉を原料として、分散剤と、ゲル剤の硬化剤としてポリエチレンイミン(日本触媒)を1wt%添加し、イオン交換水を加えてスラリー化してボールミルにて50rpmで24時間撹拌した。尚、球状シリカ粉を原料として、不純物の含有量が1.2ppmのものを用いた。
撹拌後は、真空脱泡しながら、さらにゲル化剤のモノマーとしてエポキシ(ナガセケムテックス)を1wt%添加し、混合した。このときの粘度を測定したところ400mPa・sであった。
そして、このスラリーを外形3mm(縦)×3mm(横)、深さ1mmの底面にレンズ径が100μm、レンズ高さが100μm、レンズ間ピッチが100μm、レンズの表面粗さ0.1μm、レンズが5×5で配列された凹み形状を持つシリコーン製の成形型にスラリーを鋳込んだ。
温度が5℃であったため、60分でゲル化した。その後8時間乾燥した後、型から脱型し、凹形状を持つマイクロレンズアレイの成形体を得た。
得られた成形体を真空雰囲気中1400℃で焼成させることでアスペクト比1:1の凹形状を持つシリカ焼結体製マイクロレンズアレイを得た。
得られたマイクロレンズアレイは、レンズの形状、レンズ間の配置を3μm以内の精度で再現できたことを確認した。
また、前記マイクロレンズアレイ(焼結シリカ部品)をフッ酸で溶解し、化学分析を実施した結果、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、ZnおよびMoから選ばれる一種以上の元素含有量の合計は1.5ppmであった。
前記マイクロレンズアレイ(焼結シリカ部品)を、(株)キーエンス製のレーザー顕微鏡で評価したところ、Raは0.08μmであった。
[実施例3]
真球度0.97の球状シリカ粉(平均粒径2μm)の球状シリカ粉を原料として、分散剤としてポリエチレンイミン((株)日本触媒製)を1wt%添加し、ゲル化剤のモノマーとしてメタクリルアミドを4wt%添加し、イオン交換水を加えて、スラリーを得た。このスラリーをボールミルで、50rpmで24時間攪拌した。
攪拌後、真空脱泡しながら、さらにゲル化剤の硬化剤としてN−Nメチレンビスアクリルアミドを1wt%、反応促進剤として過硫酸アンモニウムを1wt%添加し、混合した。このときの粘度を測定したところ200mPa・sであった。
そして、このスラリーを外形3mm(縦)×3mm(横)、深さ1mmの底面にレンズ径が100μm、レンズ高さが100μm、レンズ間ピッチが100μm、レンズの表面粗さ0.1μm、レンズが5×5で配列された凹み形状を持つシリコーン製の成形型にスラリーを鋳込んだ。
反応促進剤が添加されているため、温度30℃で、2分でゲル化した。そのまま4時間乾燥した後、型から脱型し、凹形状を持つマイクロレンズアレイの成形体を得た。
得られた成形体を真空雰囲気中1400℃で焼成させることでアスペクト比1:1の凹形状を持つシリカ焼結体製マイクロレンズアレイを得た。
また、前記マイクロレンズアレイ(焼結シリカ部品)をフッ酸で溶解し、化学分析を実施した結果、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、ZnおよびMoから選ばれる一種以上の元素含有量の合計は1.5ppmであった。
前記マイクロレンズアレイ(焼結シリカ部品)を、(株)キーエンス製のレーザー顕微鏡で評価したところ、Raは0.08μmであった。
[比較例1]
外形3mm(縦)×3mm(横)、高さ1mmのシリカガラスの表面に膜厚0.5μmのクロム膜を実施例1と同等のマイクロレンズアレイパターンを蒸着した。即ち、レンズ径が100μm、レンズ高さが100μm、レンズ間ピッチが100μm、レンズの表面粗さ0.1μm、レンズが5×5で配列されたマイクロレンズアレイパターンを蒸着した。
クロム膜を蒸着したシリカガラスをフッ素系エッチング液に投入し、25℃、30分間浸漬した。ウェットエッチング後にシリカガラスを水洗し、クロムめっき剥離液に浸漬させてクロム膜を除去した。
クロム膜を除去後にレンズ径を確認したところ、サイドエッチングによりレンズ径200μm、高さ100μmでアスペクト比が1:2になっており、アスペクト比1:1の凸形状を持つシリカガラス製のマイクロレンズアレイを作製することができなかった。
[比較例2]
ホウ珪酸ガラス(コーニング社)のガラス板をホットプレス装置でN雰囲気中800℃、5kNで実施例1と同等の形状を持つステンレス製の金型に2分間加圧した。即ち、レンズ径が100μm、レンズ高さが100μm、レンズ間ピッチが100μm、レンズの表面粗さ0.1μm、レンズが5×5で配列された金型に、2分間加圧した。
プレス後、金型をはずしたところ、5×5のレンズ中10個にクラックが確認された。
本発明の焼結シリカ部品の製造方法は、焼結前の成形体を簡潔で短時間で得ることができるため、焼結シリカ部品を容易に量産することができる。
得られた焼結シリカ部品は正確に成形型の形状を転写することができるので、後加工をする必要は殆どない。そして、得られた焼結シリカ部品は、紫外から可視域での光透過性に優れ、デジタルカメラのイメージセンサー、液晶プロジェクター、光通信用のレーザーなどに用いられる光学部品、例えば、マイクロレンズアレイ、フライアイレンズ等に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 球状で平均粒径が8μm以下のシリカ粉原料と、分散剤と、ゲル化剤と、ゲル化剤の硬化剤と、水を混練してスラリーを調製する工程と、
    そのスラリーを表面粗さ(Ra)が0.1μm以下の樹脂製の成形型に流し込み、ゲルキャスト法で成形する工程と、
    前記成形する工程後、脱型し、得られた成形体を焼結し、焼結シリカ部品となる焼結体を得る工程と、
    を備えることを特徴とする焼結シリカ部品の製造方法。
  2. 前記シリカ粉原料が、真球度0.9以上であり、平均粒径が3μm以下であることを特徴とする請求項1に記載された焼結シリカ部品の製造方法。
  3. 前記焼結体中に、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、ZnおよびMoから選ばれる一種以上の元素が合計2ppm以下の量で含まれることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された焼結シリカ部品の製造方法。
  4. 前記スラリーの粘度が、成形型への流し込み時600mPa・s以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された焼結シリカ部品の製造方法。
  5. 前記ゲルキャスト法で用いる成形型の材質が、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、フッ素樹脂、シリコーンゴムのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載された焼結シリカ部品の製造方法。
  6. 前記焼結シリカ部品がマイクロレンズアレイまたはフライアイレンズであることを特徴とする請求項1乃至請求項5記載のいずれか1項に記載された焼結シリカ部品の製造方法。
JP2017064660A 2017-03-29 2017-03-29 焼結シリカ部品の製造方法 Active JP6862241B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017064660A JP6862241B2 (ja) 2017-03-29 2017-03-29 焼結シリカ部品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017064660A JP6862241B2 (ja) 2017-03-29 2017-03-29 焼結シリカ部品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018168002A true JP2018168002A (ja) 2018-11-01
JP6862241B2 JP6862241B2 (ja) 2021-04-21

Family

ID=64019297

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017064660A Active JP6862241B2 (ja) 2017-03-29 2017-03-29 焼結シリカ部品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6862241B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109456620A (zh) * 2018-11-19 2019-03-12 江苏联瑞新材料股份有限公司 一种低粘度填料组合物及其制备方法
JP2019077143A (ja) * 2017-10-27 2019-05-23 クアーズテック株式会社 セラミックス成形体の成形型、及びその成形型を用いたセラミックス成形体の製造方法
JP2020117425A (ja) * 2019-01-25 2020-08-06 クアーズテック株式会社 シリカガラスレンズの製造方法及びシリカガラスレンズ
JP2020140173A (ja) * 2019-03-01 2020-09-03 クアーズテック株式会社 反射防止膜付きシリカ焼結体及びその製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006265026A (ja) * 2005-03-23 2006-10-05 Yamaha Corp 透光性セラミック構造体およびその製造方法ならびにマイクロレンズアレイの製造方法
JP2007070201A (ja) * 2005-09-09 2007-03-22 Yokohama National Univ 透明シリカ焼結体とその製造方法
JP2007161496A (ja) * 2005-12-09 2007-06-28 Ngk Insulators Ltd セラミック焼結体の製造方法
JP2010153372A (ja) * 2008-11-25 2010-07-08 Ngk Insulators Ltd 高輝度放電灯用発光容器および高輝度放電灯
JP2013163623A (ja) * 2012-02-13 2013-08-22 Tateho Chemical Industries Co Ltd 透明石英焼結体及びその製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006265026A (ja) * 2005-03-23 2006-10-05 Yamaha Corp 透光性セラミック構造体およびその製造方法ならびにマイクロレンズアレイの製造方法
JP2007070201A (ja) * 2005-09-09 2007-03-22 Yokohama National Univ 透明シリカ焼結体とその製造方法
JP2007161496A (ja) * 2005-12-09 2007-06-28 Ngk Insulators Ltd セラミック焼結体の製造方法
JP2010153372A (ja) * 2008-11-25 2010-07-08 Ngk Insulators Ltd 高輝度放電灯用発光容器および高輝度放電灯
JP2013163623A (ja) * 2012-02-13 2013-08-22 Tateho Chemical Industries Co Ltd 透明石英焼結体及びその製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019077143A (ja) * 2017-10-27 2019-05-23 クアーズテック株式会社 セラミックス成形体の成形型、及びその成形型を用いたセラミックス成形体の製造方法
CN109456620A (zh) * 2018-11-19 2019-03-12 江苏联瑞新材料股份有限公司 一种低粘度填料组合物及其制备方法
JP2020117425A (ja) * 2019-01-25 2020-08-06 クアーズテック株式会社 シリカガラスレンズの製造方法及びシリカガラスレンズ
JP7136711B2 (ja) 2019-01-25 2022-09-13 クアーズテック株式会社 シリカガラスレンズの製造方法及びシリカガラスレンズ
JP2020140173A (ja) * 2019-03-01 2020-09-03 クアーズテック株式会社 反射防止膜付きシリカ焼結体及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6862241B2 (ja) 2021-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6862241B2 (ja) 焼結シリカ部品の製造方法
US20070072762A1 (en) Method of Making Ceramic Discharge Vessels Using Stereolithography
CN105330266A (zh) 一种齿状异形陶瓷的制备方法
CN110002883B (zh) 一种光固化3d打印的聚硅氮烷陶瓷制品及其制备方法
CN102023326A (zh) 晶圆级透镜阵列的制造方法、晶圆级透镜阵列、透镜模组及摄像单元
CN102180585B (zh) 光学透镜用冲压成形金属模、玻璃制光学透镜、及玻璃制光学透镜的制造方法
CN1861533A (zh) 成形体的制造方法和成形中间体的制造方法
TWI499563B (zh) Method for producing glass preform, and
JP2020097521A (ja) 光学ガラス素子を製造するための方法
CN101574840A (zh) 模仁的制造方法
CN1871530A (zh) 具有抗反射结构的光学元件和制造具有抗反射结构的光学元件的方法
JP4452059B2 (ja) 不透明シリカガラス成形体の製造方法
JP7136711B2 (ja) シリカガラスレンズの製造方法及びシリカガラスレンズ
JP2018090440A (ja) 鋭角部を有する光学部品の製造方法
KR20070064272A (ko) 유리상 탄소의 제조방법
TW201943659A (zh) 玻璃製光學零件成形用模具及使用該模具的玻璃製光學零件的製造方法
JP2011016671A (ja) 熱インプリント方式によるガラスレンズの製造方法
US20240157608A1 (en) Manufacturing of a Metal Mold for Replicating a Component Having a Predetermined Three-Dimensional Shape
EP4063333A1 (en) Manufacturing of a metal mold for replicating a component having a predetermined three-dimensional shape
JP5389517B2 (ja) ガラス母材の製造方法、精密プレス成形用プリフォームの製造方法、及び、光学素子の製造方法
JP5963345B2 (ja) 焼結体の製造方法
Du et al. Precise and Rapid Replication of Complex‐Shaped Fused Silica Optics
JP2018177584A (ja) 光学部材
JP7379287B2 (ja) シリカガラスキャップの製造方法及びシリカガラスキャップ
JP2019073410A (ja) 焼結体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191224

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201023

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201029

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210330

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210331

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6862241

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250