JP2018163738A - NbTi系超電導線材、及びNbTi系超電導線材の製造方法 - Google Patents

NbTi系超電導線材、及びNbTi系超電導線材の製造方法 Download PDF

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Shinya Kawashima
慎也 川嶋
難波 茂信
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茂信 難波
加藤 弘之
Hiroyuki Kato
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Abstract

【課題】臨界電流密度の高いNbTi系超電導線材、及びその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】安定化銅マトリクス11と、前記安定化銅マトリクス11内に配置された複数本のNbTi合金フィラメント12とを備え、前記NbTi合金フィラメント12は、αTi相を有し、前記αTi相の存在比率が、前記NbTi合金フィラメント12の断面に対する面積率で15〜25面積%であり、前記αTi相に含まれるNbの濃度が、3〜5質量%であるNbTi系超電導線材10である。【選択図】図1

Description

本発明は、NbTi系超電導線材、及びNbTi系超電導線材の製造方法に関する。
超電導体には、第一種超電導体と第二種超電導体とが存在している。これらは、超電導体内部への磁束の侵入様式により分類される。第一種超電導体は、臨界磁界Hc以下では完全反磁性(物質内部の磁束密度がゼロ)を示す超電導状態になり、臨界磁界Hcを超えると、超電導を示さなくなる。第二種超電導体は、超電導体内部への磁束の侵入様式が第一種超電導体とは異なる。具体的には、第二種超電導体は、下部臨界磁界Hc以下では完全反磁性を示す超電導状態になる。そして、下部臨界磁界Hcを超えても、上部臨界磁界Hc以下では、第二種超電導体は、常電導状態とはならず、量子化した磁束が超電導体内部に侵入する、超電導と常電導との混合状態になる。また、上部臨界磁界Hcを超えると、第二種超電導体は、常電導状態になる。
NMR(Nuclear Magnetic Resonance:核磁気共鳴)及びMRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)に用いられる超電導マグネットが、超電導市場の大半を占める。このような超電導マグネットの素材としては、例えば、上述した第二種超電導体であるNbTi及びNbSnを用いた超電導線材、すなわち、NbTi系超電導線材及びNbSn系超電導線材等が挙げられる。第二種超電導体は、上部臨界磁界Hcが第一種超電導体の臨界磁界Hcと比べて、数十倍と大きいため、このような第二種超電導体を用いた線材が用いられる。すなわち、このような線材は、超電導マグネットにした際、上部臨界磁界Hc付近まで強力な磁場を発生させることができるので、超電導マグネットの素材として有用である。また、NbTi系超電導線材は、NbSn系超電導線材に比べて、臨界磁場が低く、安価に作製できることから、低・中磁場用マグネット及び高磁場用マグネットの外層用素材等として広く用いられている。
また、MRI等の超電導マグネットを用いた機器は、小型化及び高磁場化がより求められるようになってきている。そして、NbTi系超電導線材の原材料が高騰していることから、NbTiの使用量を減らすことも求められるようになってきている。このような要求を満たすために、NbTi系超電導線材の臨界電流密度を高める技術が求められている。臨界電流密度を高める技術が実現できれば、超電導マグネットに用いる超電導線材の量を削減できる。また、超電導線材の量を削減せずに、同じ量の超電導線材を使用すると、高い磁場を発現可能な超電導マグネットを作製できる。また、前記の臨界電流密度を高める技術を用いて、NbTi系超電導線材の臨界電流密度を従来のものから高めない場合であれば、NbTi系超電導線材における、高価なNbTiの割合を減らし、NbTiを安価なCuに置き換えることができるので、超電導線材のコストを低下させることができる。
また、NbTi系超電導線材の臨界電流密度を決定する要因は、NbTi合金の内部組織、及び最終製品である伸線加工後の線材におけるNbTi合金フィラメントの形状等が考えられる。高い臨界電流密度を発揮できるように、最終製品である伸線加工後の線材におけるNbTi合金フィラメントの形状を考慮した技術としては、例えば、特許文献1に記載のNbTi系超電導線材等が挙げられる。
特許文献1には、Cuマトリクス中に複数本のNbTi合金フィラメントが配置され、軸直角断面が略円形状であって、前記Cuマトリクスの断面積とNbTi合金フィラメントの総断面積の比、NbTi合金フィラメントの平均径、及びNbTi合金フィラメントの平均径に対するNbTi合金フィラメント相互の平均間隔の割合を、所定の値とするNbTi系超電導線材が記載されている。
特開2008−91136号公報
特許文献1によれば、銅比が5.0以上であっても、高い電界電流密度を発揮できる旨が開示されている。特許文献1に記載の技術は、NbTi合金の内部組織に特に着目した技術ではなく、臨界電流密度を高めるという要求を満たすためには、NbTi合金の内部組織を検討することが考えられる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、臨界電流密度の高いNbTi系超電導線材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。
本発明の一態様に係るNbTi系超電導線材は、安定化銅マトリクスと、前記安定化銅マトリクス内に配置された複数本のNbTi合金フィラメントとを備え、前記NbTi合金フィラメントは、αTi相を有し、前記αTi相の存在比率が、前記NbTi合金フィラメントの断面に対する面積率で15〜25面積%であり、前記αTi相に含まれるNbの濃度が、3〜5質量%であることを特徴とする。
このような構成によれば、臨界電流密度の高いNbTi系超電導線材を提供することができる。
また、前記NbTi系超電導線材において、前記αTi相は、1回又は複数回の時効熱処理により、前記NbTi合金フィラメント中に析出された相であり、前記NbTi合金フィラメントは、NbTi相、前記αTi相、及び前記NbTi相と前記αTi相との間に存在する遷移領域とを有し、前記時効熱処理のうち、最終の時効熱処理直後における、前記遷移領域に接する、前記NbTi相と前記αTi相との距離が、3nm以下であることが好ましい。
このような構成によれば、臨界電流密度のより高いNbTi系超電導線材を提供することができる。
また、本発明の他の一態様に係るNbTi系超電導線材の製造方法は、前記NbTi系超電導線材を製造する方法であって、安定化銅内にNbTi合金芯が配置された単芯NbTi線材を複数本準備する工程と、複数本の前記単芯NbTi線材を銅からなる筒状体に挿入して組み立てた多芯組立体を伸線した後、1回又は複数回の時効熱処理をすることによって、前記NbTi合金フィラメント中に前記αTi相を析出させる工程とを備え、前記時効熱処理のうち、最終の時効熱処理が、330〜400℃での時効熱処理であることを特徴とする。
このような構成によれば、臨界電流密度の高いNbTi系超電導線材を好適に製造することができる。
また、前記NbTi系超電導線材において、前記NbTi合金フィラメントは、NbTi相、前記αTi相、及び前記NbTi相と前記αTi相との間に存在する遷移領域とを有し、前記最終の時効熱処理が、前記遷移領域に接する、前記NbTi相と前記αTi相との距離が3nm以下となる時効熱処理であることが好ましい。
このような構成によれば、臨界電流密度のより高いNbTi系超電導線材を好適に製造することができる。
本発明によれば、臨界電流密度の高いNbTi系超電導線材、及びその製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るNbTi系超電導線材の断面図を示す。 図2は、本発明の一実施形態に係るNbTi系超電導線材の製造における中間体である単芯NbTi線材の断面図を示す。 図3は、本発明の一実施形態に係るNbTi系超電導線材の製造における時効熱処理直後の線材断面を撮影した走査型電子顕微鏡の反射電子像を示す模式図である。
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本発明の一実施形態に係るNbTi系超電導線材10は、図1に示すように、安定化銅マトリクス11と、前記安定化銅マトリクス11内に配置された複数本のNbTi合金フィラメント12とを備える。なお、図1は、本実施形態に係るNbTi系超電導線材10の断面図を示す。ここでの断面図では、NbTi系超電導線材10の長手方向に垂直な断面(横断面)を示す。
このようなNbTi系超電導線材をコイル状にした後、冷却して、超電導状態にして、この状態でNbTi系超電導線材に通電した場合には、コイル内で発生する磁場中にNbTi系超電導線材が置かれることになる。このとき、NbTi系超電導線材には、磁束線が侵入される。この磁束線は、量子化されて、正三角形格子を組んでNbTi系超電導線材内に存在する。そして、このようなNbTi系超電導線材に、線材の長手方向に沿って電流が流れると、この磁束線にはローレンツ力が作用し、磁束が運動することになる。このような磁束の運動が生じると、ファラデーの誘電法則により起電力が生じ、常電導部分で電気抵抗となりジュール熱となる。発熱が急激に大きくなり、臨界温度以上になると、超電導状態が壊れてしまう。また、NbTi系超電導線材は、このような磁束の運動が生じると、臨界電流密度が低下する。
このような磁束の運動を阻止する方法としては、NbTi系超電導線材内部に磁束線の動きを阻害する部分(ピンニング点)を導入して、ピン止め効果を発揮させる方法が挙げられる。そうすることで、NbTi系超電導線材の臨界電流密度を高める等、電流特性を飛躍的に上昇させることができる。ピンニング点としては、例えば、転移網、結晶粒界、超電導体内の析出物及び不純物等が挙げられる。本発明者等は、本発明に到る際、NbTi系超電導線材において、製造時の時効熱処理により析出されるαTi相に着目した。なお、αTi相を析出させるためには、一般的に、製造工程内において、伸線途中で、300〜450℃で数十時間から数百時間の時効熱処理を数回繰り返す。例えば、特許文献1には、このような時効熱処理を行ったNbTi系超電導線材で、5Tでの非銅部の臨界電流密度(non−Cu Jc)が2700〜2940A/mmを実現している。
本発明者等は、上述したように、NbTi系超電導線材において、製造時の時効熱処理により、NbTi合金中の、超電導性を示すβ相(NbTi相)を、常電導性のαTi相に相変態させる反応によって、ピンニング点を導入する方法に着目した。αTi相は、常導電性を示し、β相は、超電導性を示す。β相内にαTi相が存在すると、磁束にとってはαTi相に位置することがエネルギ的に安定であるので、あたかも磁束をピンで止めたように、磁束の運動を抑制することができる。そして、αTi相同士の間隔と、NbTi系超電導線材に侵入され、正三角形格子を組む量子化磁束線同士の間隔とが、ほぼ等しくなるときに、磁束線のピン止め効果が高くなることが知られている。このように、ピン止め効果を高めるためには、ピンニング点であるαTi相の存在形態に影響されることに、本発明者等は着目した。
そこで、αTi相によるピン止め効果を有効に発揮するためには、NbTi系超電導線材内の、αTi相の存在形態に大きく影響されると、本発明者等は認識し、種々検討した。その結果、本発明者等は、臨界電流密度のより高いNbTi系超電導線材を得るという目的は、αTi相の存在形態に着目した、以下の本発明により達成されることを見出した。
本発明の一実施形態に係るNbTi系超電導線材は、具体的には、前記NbTi合金フィラメントは、αTi相を有し、前記αTi相の存在比率が、前記NbTi合金フィラメントの断面に対する面積率で15〜25面積%である。そして、前記αTi相に含まれるNbの濃度は、3〜5質量%である。
このようなαTi相を有するNbTi系超電導線材は、臨界電流密度Jcの高い超電導線材である。このことは、以下のことによると考えられる。まず、前記NbTi合金フィラメントにおける前記αTi相が、上記の存在比率で存在することにより、NbTi系超電導線材に侵入される磁束を好適にピン止めすることができると考えられる。すなわち、前記存在比率は、前記αTi相が磁束をピン止めするのに好適な量であると考えられる。また、前記αTi相に含まれるNbの濃度が、3〜5質量%であると、前記αTi相が、NbTi系超電導線材に侵入される磁束を、好適にピン止めすることができると考えられる。すなわち、前記Nbの濃度は、前記αTi相による磁束のピン止め効果を高いαTi相にすることができると考えられる。よって、前記αTi相の存在比率とNbの濃度とが上記範囲内であると、ピン止め効果の高いαTi相を好適な量で、前記NbTi合金フィラメント内に存在することになり、臨界電流密度Jcの高い超電導線材が得られると考えられる。
また、前記NbTi系超電導線材の製造方法としては、上記のような、Nbの濃度であるαTi相を、上記の存在比率で存在するNbTi合金フィラメントを備えるNbTi系超電導線材が製造できれば、特に限定されない。
前記NbTi系超電導線材の具体的な製造方法としては、まず、銅パイプや筒状銅ケース等の、銅からなる筒状体に、NbTi合金棒を挿入して組み立てた単芯組立体を、押出加工及び伸線加工して、図2に示すような単芯NbTi線材を得る。前記銅からなる筒状体は、前記NbTi系超電導線材において、安定化銅マトリクスになる部分の一部であり、例えば、無酸素銅からなる安定化銅である。また、前記NbTi合金棒としては、例えば、溶体化熱処理を施されたNbTi合金棒等が挙げられる。また、前記押出加工は、例えば、静水圧押出加工等が挙げられる。また、前記単芯NbTi線材20は、図2に示すように、銅21と、前記銅21内に配置されたNbTi合金22とを備える。前記単芯NbTi線材は、前記伸線加工後に、αTi相を析出させる時効熱処理を施したものであってもよい。なお、図2は、本実施形態に係るNbTi系超電導線材の製造における中間体である単芯NbTi線材20の断面図を示す。ここでの断面図では、単芯NbTi線材20の長手方向に垂直な断面を示す。
次に、前記単芯NbTi線材を所定の長さに切断したものを複数本用意する。この複数本の前記単芯NbTi線材を、銅パイプや筒状銅ケース等の、銅からなる筒状体に挿入して組み立てた単芯組立体を、伸線加工及びαTi相を析出させる時効熱処理を施して、図1に示すような多芯NbTi線材(NbTi系超電導線材)を得る。前記伸線加工及び前記時効熱処理は、それぞれ複数回行ってもよい。前記時効熱処理は、前記NbTi合金フィラメント中に前記αTi相を析出させる処理である。前記時効熱処理直後の線材におけるαTi相31は、図3に示すように、母材であるβ相(NbTi相)32内に存在する。なお、図3は、前記時効熱処理直後における線材の長手方向に垂直な断面を撮影した走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)の反射電子像を示す模式図である。αTi相31は、黒い部分として表示され、β相32は、白い部分として表示される。
前記時効熱処理によるαTi相の析出量は、時効熱処理の時間と、その時効熱処理前までに線材に加えられた加工量εとに大きく寄与されることが知られている。なお、加工量εは、ln(加工前の線材の断面積/加工後の線材の断面積)で算出される。線材に加えられた加工量(全加工量)は、一般的に、10〜15程度である。また、全加工量の中で、αTi相同士の間隔は、最終の時効熱処理から最終製品までに線材に加えられた加工量(最終加工量)に大きく寄与されることが知られている。なお、最終加工量は、一般的には、3〜5程度である。さらに、本発明者等は、時効熱処理の時間及び加工量以外にも、時効熱処理の温度、特に、最終の時効熱処理の温度に着目した。なお、線材の断面積は、その線径によって異なるが、例えば、線材の長手方向に垂直な断面を撮影した光学顕微鏡(OM:Optical Microscope)や走査型電子顕微鏡(SEM)の反射電子像を画像解析することによって、測定することができる。また、線材の断面積は、その線径によっては、ノギスやレーザ変位計等を用いることによっても測定することができる。
よって、本実施形態に係るNbTi系超電導線材を製造する方法は、上記の製造方法において、時効熱処理の時間や温度、及び加工量等の製造条件を調整することによって、Nbの濃度であるαTi相を、上記の存在比率で存在するNbTi合金フィラメントを備えるNbTi系超電導線材を製造する方法である。
前記NbTi系超電導線材は、上記製造条件を調整することによって、前記αTi相の存在比率が、上述したように、前記NbTi合金フィラメントの断面に対する面積率で15〜25面積%である。その下限値としては、15面積%以上であり、17面積%以上であることが好ましい。また、その上限値としては、25面積%以下であり、23面積%以下であることが好ましい。前記αTi相の存在比率が低すぎると、NbTi系超電導線材に侵入される磁束をピン止めするには、前記αTi相の量が足らないと考えられ、臨界電流密度Jcが低くなる傾向がある。また、前記αTi相の存在比率が高すぎると、相対的に、超電導性を示すβ相の量が少なくなりすぎ、臨界電流密度Jcが低くなる傾向がある。よって、前記αTi相の存在比率は、上記範囲内であると、臨界電流密度Jcが高くなると考えられる。
なお、前記αTi相の存在比率は、前記NbTi系超電導線材の長手方向に垂直な断面を撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)の反射電子像を画像解析することによって、算出することができる。
また、前記αTi相に含まれるNbの濃度は、上記製造条件を調整することによって、上述したように、3〜5質量%である。実際には、Nbの濃度は低ければ、低いほど好ましく、その上限値は、5質量%以下であり、4質量%以下であることが好ましい。また、前記αTi相に含まれるNbの濃度は、3質量%程度が実際には限界であるので、前記Nbの濃度の下限値は、3質量%以上である。前記αTi相に含まれるNbの濃度が高すぎると、NbTi系超電導線材に侵入される磁束を好適にピン止めしにくくなると考えられ、臨界電流密度Jcが低くなる傾向がある。よって、前記αTi相に含まれるNbの濃度は、上記範囲内であると、臨界電流密度Jcが高くなると考えられる。
なお、前記αTi相に含まれるNbの濃度は、エネルギ分散型X線分析法(EDX:Energy Dispersive X−ray spectrometry)を用いて測定することができる。具体的には、前記NbTi系超電導線材の長手方向に垂直な断面を、EDX分析装置が付属された走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)で、前記αTi相に含まれるNbの濃度を測定することができる。
また、前記製造方法において、前記時効熱処理のうち、最終の時効熱処理の温度の下限値は、330℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがより好ましい。また、最終の時効熱処理の上限値は、400℃以下であることが好ましく、390℃以下であることがより好ましい。最終の時効熱処理の温度が低すぎると、前記αTi相の存在比率が充分に高まらず、ピン止め効果を奏するαTi相の量が不充分になると考えられ、臨界電流密度Jcが低くなる傾向がある。また、最終の時効熱処理の温度が高すぎると、前記αTi相に含まれるNbの濃度が高くなりすぎ、析出されたαTi相のピン止め効果が低くなると考えられ、臨界電流密度Jcが低くなる傾向がある。よって、最終の時効熱処理の温度が上記範囲内であれば、前記αTi相の存在比率と前記Nbの濃度とをそれぞれ上記範囲内にしたNbTi系超電導線材が得られる。よって、得られたNbTi系超電導線材は、ピン止め効果の高いαTi相を好適な量で、前記NbTi合金フィラメント内に存在することになると考えられ、臨界電流密度Jcの高い超電導線材になると考えられる。
また、前記NbTi系超電導線材における、前記αTi相の存在比率と前記Nbの濃度とは、最終の時効熱処理の影響が大きい。このため、前記時効熱処理の温度は、前記最終の時効熱処理の温度が上記範囲内であることが好ましいこと以外、特に限定されない。例えば、前記時効熱処理の温度としては、時効熱処理温度の一般的な温度等が挙げられる。また、前記最終の時効熱処理以外の時効熱処理の温度としては、前記最終の時効熱処理と同じ温度であってもよい。
また、前記時効熱処理の処理時間は、特に限定されず、時効熱処理温度の一般的な処理時間等が挙げられる。前記処理時間としては、例えば、24〜72時間等が挙げられる。
また、前記NbTi合金フィラメントは、αTi相及びNbTi相(β相)だけではなく、前記αTi相と前記NbTi相との間に存在する遷移領域を有する。前記αTi相は、上述したように、1回又は複数回の時効熱処理により、前記NbTi合金フィラメント中に析出された相である。この時効熱処理の際、前記αTi相と前記NbTi相との間に、αTi相及びNbTi相(β相)以外の、前記遷移領域が形成される。この遷移領域は、前記αTi相と前記NbTi相との間の相である。この遷移領域の幅、すなわち、遷移領域に接する、前記αTi相と前記NbTi相との距離の上限値が、最終の時効熱処理直後において、3nm以下であることが好ましい。すなわち、前記最終の時効熱処理は、この遷移領域の幅が、3nm以下となる時効熱処理であることが好ましい。また、この遷移領域は、前記αTi相よりNb濃度が高く、ピン止め効果を適切に発揮する相ではなく、また、前記NbTi相よりNb濃度が低く、超電導状態を好適に維持できる相でもない。このため、この遷移領域の幅は、短いほど好ましいが、実際には、1nm程度が限界である。このため、前記遷移領域の幅の下限値は、1nm以上である。前記最終の時効熱処理直後における、前記遷移領域の幅が長すぎると、ピン止め効果を適切に発揮せず、また、超電導状態を好適に維持できない領域が増えると考えられ、臨界電流密度Jcが低くなる傾向がある。よって、前記遷移領域が、上記範囲内の幅以下であると、ピン止め効果を好適に発揮するαTi相を適切に存在させつつ、超電導領域を広げることができ、臨界電流密度Jcが高くなると考えられる。
なお、前記遷移領域の幅は、最終の時効熱処理直後の長手方向に垂直な断面を、EDX分析装置が付属された走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)で撮影することによって、算出することができる。EDXによって得られたNbの濃度から、SEMで撮影された反射電子像を、前記αTi相、前記NbTi相(β相)、及び前記遷移領域にわけ、前記遷移領域にわけられた部分の幅を計測することによって、前記遷移領域の幅を得ることができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
外径100mm、内径76mmの無酸素銅パイプ内に、溶体化熱処理が施された外径76mmのNb−47質量%Tiの棒材(NbTi合金棒)を挿入した後、前記無酸素銅パイプの両端を無酸素銅蓋で溶接封止し押出しビレット(単芯組立体)を製作した。このビレットに静水圧押出を実施し、線径1.0mmまで伸線加工することによって、単芯NbTi線材を作製した。この間、NbTi合金棒外径76mmからの加工量が5.7のときに、1回目の時効熱処理をし、さらに、その後の加工量が約1程度のときに、2回目の時効熱処理を行った。これらの時効熱処理は、ともに、370℃で48時間にて実施した。
得られた単芯NbTi線材を、1.0mに定尺切断し、矯正後、外径8.0mm、内径6.0mmの無酸素銅パイプ内に19本挿入し多芯組立体を製作した。この多芯組立体に対して、伸線加工した後、370℃で48時間の時効熱処理を行い、さらに、伸線加工した後、370℃で48時間の時効熱処理を行った。時効熱処理は、複数回行われるが、最終の時効熱処理直後の線材の長手方向に垂直な断面(横断面)を、EDX分析装置が付属された走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)で撮影した。この撮影した反射電子像を、EDXによって得られたNbの濃度に基づいて、前記αTi相、前記NbTi相(β相)、及び前記遷移領域にわけ、前記遷移領域にわけられた部分の幅を計測した。このようにして得られた前記遷移領域の幅(αTi相とNbTi相との間の遷移領域の幅)は、2.4mmであった。そして、この2回の伸線加工及び時効熱処理を施した多芯組立体に伸線加工することにより多芯NbTi線材(NbTi系超電導線材)を作製した。
作製したNbTi系超電導線材の長手方向に垂直な断面(横断面)を、EDX分析装置が付属された走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)で撮影した。まず、この撮影した反射電子像から、Cu以外の部分(NbTi合金フィラメント)の断面積を算出した。そして、撮影した反射電子像を、EDXによって得られたNbの濃度に基づいて、αTi相に分けられた部分の面積(αTi相の面積)を算出した。このαTi相の面積と、NbTi合金フィラメントの断面積とから、NbTi合金フィラメントの断面積に対する、αTi相の存在比率を算出した。このようにして得られた存在比率は、19.2面積%であった。また、αTi相におけるNbの濃度を、EDXによって測定した。このようにして得られたNbの濃度は、4.0質量%であった。
作製したNbTi系超電導線材の非銅部の臨界電流密度(non−Cu Jc)を、以下の方法で測定した。non−Cu Jcは、四端子法により、液体ヘリウム(4.2K)中で電界基準0.1μV/cmとして臨界電流を求め、その値をNbTiの横断面積で除した値とする。印加磁場が5Tでは、non−Cu Jcは、3350A/mmであった。
この結果を、最終の時効熱処理の温度、αTi相におけるNbの濃度、αTi相の存在比率、及び最終の時効熱処理直後の遷移領域の幅とともに表1に示す。
[比較例1]
最終の時効熱処理温度を370℃から430℃としたこと以外、実施例1と同様である。
[比較例2]
最終の析出時効熱処理温度を370℃から310℃としたこと以外、実施例1と同様である。
Figure 2018163738
表1からわかるように、αTi相におけるNbの濃度が、3〜5質量%であって、αTi相の存在比率が、NbTi合金フィラメントの断面に対して、15〜25面積%である場合(実施例1)は、5Tでのnon−Cu Jcが3300A/mmを超える高磁界密度JcのNbTi超電導線材が得られた。
これに対して、αTi相の存在比率が、21.3面積%と高くても、αTi相におけるNbの濃度が、5.5質量%と高い場合(比較例1)は、3300A/mmを超える高磁界密度JcのNbTi超電導線材が得られなかった。また、αTi相におけるNbの濃度が、3.8質量%と低くても、αTi相の存在比率が14.8面積%と低い場合(比較例2)も、3300A/mmを超える高磁界密度JcのNbTi超電導線材が得られなかった。
これらのことから、5Tでのnon−Cu Jcが3300A/mmを超える高磁界密度JcのNbTi超電導線材を得るためには、αTi相におけるNbの濃度が、3〜5質量%であることと、αTi相の存在比率が、NbTi合金フィラメントの断面に対して、15〜25面積%であることの両方が必要であることがわかった。
10 NbTi系超電導線材
11 安定化銅マトリクス
12 NbTi合金フィラメント
20 単芯NbTi線材
21 銅
22 NbTi合金
31 Ti相
32 NbTi相(β相)

Claims (4)

  1. 安定化銅マトリクスと、前記安定化銅マトリクス内に配置された複数本のNbTi合金フィラメントとを備え、
    前記NbTi合金フィラメントは、αTi相を有し、
    前記αTi相の存在比率が、前記NbTi合金フィラメントの断面に対する面積率で15〜25面積%であり、
    前記αTi相に含まれるNbの濃度が、3〜5質量%であることを特徴とするNbTi系超電導線材。
  2. 前記αTi相は、1回又は複数回の時効熱処理により、前記NbTi合金フィラメント中に析出された相であり、
    前記NbTi合金フィラメントは、NbTi相、前記αTi相、及び前記NbTi相と前記αTi相との間に存在する遷移領域とを有し、
    前記時効熱処理のうち、最終の時効熱処理直後における、前記遷移領域に接する、前記NbTi相と前記αTi相との距離が、3nm以下である請求項1に記載のNbTi系超電導線材。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のNbTi系超電導線材を製造する方法であって、
    安定化銅内にNbTi合金芯が配置された単芯NbTi線材を複数本準備する工程と、
    複数本の前記単芯NbTi線材を銅からなる筒状体に挿入して組み立てた多芯組立体を伸線した後、1回又は複数回の時効熱処理をすることによって、前記NbTi合金フィラメント中に前記αTi相を析出させる工程とを備え、
    前記時効熱処理のうち、最終の時効熱処理が、330〜400℃での時効熱処理であることを特徴とするNbTi系超電導線材の製造方法。
  4. 前記NbTi合金フィラメントは、NbTi相、前記αTi相、及び前記NbTi相と前記αTi相との間に存在する遷移領域とを有し、
    前記最終の時効熱処理が、前記遷移領域に接する、前記NbTi相と前記αTi相との距離が3nm以下となる時効熱処理である請求項3に記載のNbTi系超電導線材の製造方法。
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