JP2018162989A - 腐食センサの健全性確認方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンクリートに埋設された状態であっても、腐食センサの健全性を確認する。
【解決手段】検知部3がコンクリート表面側に位置するように腐食センサをコンクリートに埋設するステップと、コンクリート表面上の腐食センサが埋設された位置と対向する位置に外部電極41を設置するステップと、検知部と外部電極41との間の静電容量Cxを測定するステップと、検知部と対向電極10との間の静電容量Cyを測定するステップと、外部電極41と対向電極10との間の静電容量Czを測定するステップと、各静電容量の測定結果が所定の関係式を満たすか否かを判定するステップと、を少なくとも含む。
【選択図】図6

Description

本発明は静電容量型の腐食センサの健全性を確認する方法に関する。
コンクリート構造物中の鋼材は、コンクリートがアルカリ性環境を保持していることで鋼材表面に不動態被膜を形成し、腐食から保護されている。しかしながら、例えば、空気中の二酸化炭素、下水道施設における硫酸、あるいは塩化物イオンなどの腐食因子がコンクリート中に侵入すると、この不動態被膜が破壊され、コンクリート中にある水と酸素によって鋼材の腐食が開始する。また、鉄橋やプラントなどの鋼材を用いた構造物では、鋼材に錆が生じないように保護塗料が用いられている。
コンクリート構造物の鋼材が腐食すると、鋼材の体積膨張が生じ、その膨張圧でコンクリートにひび割れが生じ、ひび割れを通じてさらに腐食因子の侵入と外部からの水と酸素の供給によって、鋼材の腐食は加速的に進展し、ついにはコンクリート構造物としての機能が保持できなくなる。また、鋼橋において鋼材が腐食すると、鋼材の体積膨張により保護塗膜に浮きや剥離が生じ、防錆効果が失われる。
従って、鋼材の腐食が開始する前に腐食因子の侵入や鋼材の腐食開始を検知し、例えば、表面被覆などの対策で腐食因子や水と酸素のさらなる侵入を阻止して鋼材を腐食から守り、構造物の予防的な保全を図ることが重要となる。この問題に対し、従来から種々の腐食診断方法が提案されている。例えば、コア抜きを行なって腐食因子を分析する方法や、非破壊的に鋼材の自然電位や分極抵抗を測定する手法、化学センサやガスセンサにより腐食因子を検出する方法、鉄製の細線を模擬腐食部材としてコンクリートに埋設し、細線が断線した時に腐食を検出する手法などが知られている。
これらの腐食診断手法のうち、細線の断線によって腐食を検知する方法は、(a)予めセンサを埋設することでコア抜きなどコンクリートを傷めることがない、(b)コンクリート表面と鋼材との間に細線を深さに応じて数本設置することで表面からの腐食因子の侵入の時間依存性をモニタリングでき維持管理計画の立案を容易とする、(c)直接的に鉄の腐食を捉えるので、腐食因子だけでなく水や酸素の供給状態をも含めた腐食の可能性を検知できる、(d)電気抵抗の変化を捉えるので、きわめて低消費電力での検出が可能で長期モニタリングに適する、というメリットがあり、細線切断を検出することによる腐食診断方法が、種々提案されている(例えば、特許文献1〜3)。また、感度が高く、設計自由度を大きくするために、鉄箔材を用いた腐食センサも提案されている(特許文献4)。
従来の腐食センサは、検知部の電気抵抗を捉えるものが多い。誘電率の高い鉄は、破断しなければ抵抗値に変化が現れにくく、センサの感度が線径や線幅等に依存しやすいこ途に加え、破断後はセンサとしての機能を失うことから、静電容量を捉えることにより腐食環境を検知する提案がある(特許文献5)。この静電容量センサでは、検知部の面積の変化で腐食を捉えることができるため、腐食がコンクリート構造物内でどのくらい進展しているのかを把握することができる。
特開平8−094557号公報 特開平8−233896号公報 特許第3205291号 特開2012−145330号公報 特開2017−032519号公報
コンクリートに腐食センサを埋設した際に、周りに充填されるコンクリート自体が誘電体で含水状態により誘電率が変動することから、防水ケースで検知部以外の防水を行なっている。ところが、まれに防水が不十分であると腐食センサが浸水等により故障したり、検知部と対向電極とが導通して腐食センサの機能が失われてしまう場合がある。しかしながら、腐食センサの機能が失われてしまった場合であっても、コンクリートに埋設されているため、腐食センサの健全性を確認することは困難である。したがって、静電容量等の電気特性が変化した場合に、腐食に起因するものなのか、誤作動によるものなのかを判別することができない、あるいは多数の腐食センサを埋設して判別するしかなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、コンクリートに埋設された状態であっても、非破壊で腐食センサの健全性を確認することができ、腐食環境を正確に捉えることができる腐食センサの健全性確認方法を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の腐食センサの健全性確認方法は、腐食性を有する金属で形成された検知部と、耐腐食性を有する金属で形成され前記検知部と対向する位置に設けられた対向電極と、前記検知部および前記対向電極との間に設けられた誘電体とを備える静電容量型の腐食センサの健全性を確認する腐食センサの健全性確認方法であって、前記検知部がコンクリート表面側に位置するように前記腐食センサをコンクリートに埋設するステップと、コンクリート表面上の前記腐食センサが埋設された位置と対向する位置に外部電極を設置するステップと、前記検知部と前記外部電極との間の静電容量Cxを測定するステップと、前記検知部と前記対向電極との間の静電容量Cyを測定するステップと、前記外部電極と前記対向電極との間の静電容量Czを測定するステップと、前記各静電容量の測定結果が所定の関係式を満たすか否かを判定するステップと、を少なくとも含むことを特徴とする。
このように、検知部がコンクリート表面側に位置するように腐食センサをコンクリートに埋設し、コンクリート表面上の腐食センサが埋設された位置と対向する位置に外部電極を設置し、検知部と外部電極との間の静電容量Cxを測定し、検知部と対向電極との間の静電容量Cyを測定し、外部電極と対向電極との間の静電容量Czを測定し、各静電容量の測定結果が所定の関係式を満たすか否かを判定するので、腐食センサがコンクリート構造物内に埋設された状態であっても腐食センサの健全性を確認することができる。コンクリートの表面に外部電極を設置し、静電容量を測定するだけで状態が把握できるため、低コストかつ非破壊で容易に腐食センサの状態を確認することができる。
(2)また、本発明の腐食センサの健全性確認方法において、前記静電容量Cx、静電容量Cy、および静電容量Czが、次式を満たすか否かを判定することを特徴とする。
Figure 2018162989
このように、腐食センサが健全である場合は、静電容量Cx、静電容量Cy、および静電容量Czは、直列の回路とみなすことができるため、式(1)が成り立つ。このため、腐食センサがコンクリートに埋設された状態であっても腐食センサの健全性を確認することができる。この関係は、例え検知部が腐食していても、センサが健全な状態であれば成り立つ。
本発明によれば、コンクリートに埋設された状態であっても、非破壊で腐食センサの健全性を確認することができ、腐食環境を正確に捉えることができる。
本実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す平面図である。 図1に示した腐食センサをA−Aで切断した場合の断面図である。 本実施形態に係る腐食センサの概略構成を示す平面図である。 本実施形態に係る腐食センサの製造方法を示すフローチャートである。 モルタルまたはコンクリートに埋設する本腐食センサの概略を示す図である。 本実施形態に係る腐食センサの健全性確認方法の原理を示す図である。 外部電極を用いた静電容量値測定方法の概略を示す図である。 図7の紙面に対して上から下の方向に見た図である。 静電容量Cx、静電容量Cyおよび静電容量Czの測定結果を示す図である。
[腐食センサの測定原理]
誘電正接は、抵抗値の増加によって増加する。また、静電容量は、電極(検知部)の欠損によって変化する。従って、誘電正接を検知することによって、腐食センサの表面に発生した初期の腐食を検知することができる。また、リアクタンス、等価並列抵抗等の電気特性も腐食によって変化する。ここで、誘電正接の変化は、10kHz以上の高周波数領域で測定することが望ましい。さらに加えて、腐食の進展を静電容量の減少度合いと総合して判断することによって、より高い精度で腐食状態を把握することが可能となる。
平行平板導体(検知部)の誘電正接tanδは、ω:角周波数、C:静電容量、R:直列等価抵抗との間に、以下の関係がある。
tanδ=ωCR ・・・(2)
平行平板導体(検知部)の静電容量Cは、平行平板導体の面積S、平行平板導体間の間隔dとの間に、以下の関係がある。
C=Q/V=εS/d[F] ・・・(3)
ここで、εは、誘電率である。
本実施形態に係る腐食センサは、この原理を用いる。すなわち、センサの検知部が腐食因子によって鉄箔表面が腐食していくと、電気抵抗が上昇する。従って、誘電正接は比例して上昇する。その後、鉄箔の腐食が進展し、鉄箔部の欠損減少に至ることで、静電容量は低下をはじめる。静電容量の減少度合いを捉えることによって、検知部の面積の減り具合、ひいては腐食環境の進展具合を把握することが可能となる。静電正接は、静電容量の低下が抵抗の上昇より卓越した場合、低下していくこととなる。
従って、誘電正接の上昇は、初期の軽微な腐食開始を捉え、その後、誘電正接の低下や静電容量の低下がみられた場合、鉄箔部の欠損が生じていると予想されるため、腐食の進展が進んできていることを検知できる。
[腐食センサの構成]
図1は、本実施形態に係る静電容量型腐食センサ(以下、腐食センサ)の概略構成を示す平面図である。図2は、図1に示した腐食センサ1をA−Aで切断した場合の断面図である。この腐食センサ1は、鉄などの腐食性の金属圧延することにより作製され、3μm以上0.1mm以下の厚さを有する検知部としての鉄箔部3と、誘電体7と、リード線9と、対向電極10と、を備える。
鉄箔部3の厚さを3μm以上0.1mm以下としたのは、薄すぎるとセンサの取り扱い時に、ひび割れが生じやすく、厚すぎるとセンサの感度が低下する恐れがあるためである。また、鉄箔部3の面積は、誘電正接によって初期の軽微な腐食開始を捉えることができるので、面積は小さくても良いが、静電容量で腐食進展状況を段階的に捉える場合は、大きい方が望ましい。鉄箔部3の面積は、好ましくは300mm以上とすることで、鉄箔部3の急激な腐食反応の進展を抑制して、長期間センサとして計測することができる。
鉄箔部3は、蒸着やメッキにより形成される薄膜であっても良いし、板状に形成されていても良い。鉄箔部3の形状は、矩形であっても良いが、鉄箔部3を矩形とすると、腐食センサ1設置後、各材料の熱膨張係数の違いによる応力が隅角部に集中し、付着切れが発生してしまうことが考えられるため、円形がより好ましい。
鉄箔部3は、複数の貫通孔5が設けられ、メッシュ状に形成されている。各貫通孔5は、メッシュ状に形成されていても良いし、スリット状に形成されていても良い。複数の貫通孔5を、鉄箔部3に設けることで、腐食が容易に進展し、一部が限定的に腐食して欠損した場合においても、鉄箔部3が島状に取り残されることが少なく、電気的な導通が確保され、検知部の面積減少量を静電容量の変化で正確に捉えることが可能となる。
また、各貫通孔5の平面形状は、エッチングによる形成においての形成精度や歩留まりの観点から、円形としているが、これに限定されるわけではない。例えば、矩形(正方形)や他の形状であっても良い。エッチングは、形成対象の形状として角が生じると、エッチングにおける金属溶解の応力によって、隅角部に亀裂が生じ、エッチング液が隅角部に対流して局所的に金属溶解が進展し、所定の形状が形成できない場合がある。貫通孔が円形である場合は、そのような応力が分散されやすく、また隅角部での滞留も生じないため、金属箔部の貫通孔の制作における形成精度や歩留まりが向上する。その結果、品質の安定化やコスト削減に資することが可能となる。
式(1)および式(2)から明らかなように、誘電率の大きさが、誘電正接や静電容量の変化に大きく関与するため、誘電体7は、誘電率が3以上の誘電体であることが望ましく、その厚さは0.05mm〜2mmが望ましく、温度による変化が少ない誘電体が望ましい。これにより、センサの測定感度を向上させることが可能となる。誘電体7としては、誘電率が3.3であるポリイミドフィルムが好ましい。
対向電極10は、耐腐食性が高い性能を有した金属が好ましい。鉄箔の腐食による減少を電気特性で捉えるためには、対向電極10の面積が変化しないことが前提である。対向電極10には、金または白金、パラジウム等に代表される貴金属をはじめ、対象である金属よりイオン化傾向の小さく導電性を有した金属であり、鉄が対象の場合はパラジウム、銅、ニッケル等を用いることができる。また、圧延以外にもスパッタリングや蒸着、メッキ等で成膜して形成する方法もある。対向電極10の厚さは問わない。
また、図3に示すように、リード線9を含む鉄箔部3には、腐食しない材質で腐食防止膜30を設けても良く、例えば、樹脂や白金等の金属等を用いることができる。中でも、腐食進展状況を段階的に捉えるために樹脂等の絶縁体を用いることが好ましい。この樹脂は、塗布したりシールを貼り付けたりすれば良い。一方、金属とする場合は、金または白金の他、パラジウム、銅、鉛、スズ、ニッケル、またはこれらの合金等、被膜の材料である検知部より貴な金属を用いることが可能であり、湿式めっき法および乾式メッキ法、あるいは蒸着により箔層を形成できる。金属を用いる場合は、検知部との電位差が生じて、腐食が早く進展するので、早期の腐食検知を行ないたい場合に有用である。
[腐食センサの製造方法]
図4は、本実施形態に係る腐食センサの製造方法を示すフローチャートである。まず、検知部としての鉄を圧延して鉄箔を製造する(ステップS101)。鉄箔は、3μm以上0.1mm以下の厚さを有するものとする。ここで、鉄箔は、蒸着やメッキにより形成される薄膜であっても良いし、板状に形成されていても良い。
次に、鉄箔材とポリイミド材との貼り合わせを行ない(ステップS102)、センサパターンのレジスト印刷を行なう(ステップS103)。次に、ケミカルエッチングを行なう(ステップS104)。ここでは、貫通孔も形成される。次に、対向電極としての対極板を形成する(ステップS105)。ここでは、例えば、スパッタリング、金属蒸着、プレーティング、金属塗料、金属板・金属箔の貼付などを用いることができる。次に、リード線の接続と防水加工を施し(ステップS106)、ケースの接着などセンサの外装を行なう(ステップS107)。
[腐食センサの設置]
腐食の測定対象となる金属構造物、例えば、鋼橋やプラント設備、街路灯、土中埋設管、タンク、船舶などに保護塗料を塗布する場合、塗布前の金属材料の表面に、上記説明した本実施形態に係る腐食センサを接着剤等で貼付する。貼付する際は、構造物の電気状態の影響を受ける場合があるので、樹脂のテープ、シールあるいは接着剤自体で絶縁することが好ましい。センサの検知部は、腐食状態を測定したい材質と同じものに換えることができ、鉄箔に換えてステンレスやアルミニウム等の金属とすれば良い。その後、金属構造物と同様に保護塗料を塗布する。ケーブルは、保護塗料の外部に出しても出さなくても良い。ケーブルを出さない場合は、そのまま塗膜の下にセンサを埋設し、測定する際は、センサを被覆している塗膜を剥離し、直接計測器を接続して、腐食に伴う電気信号を計測する。また、無線方式を用いて、電磁的に測定を行なっても良い。これにより、ケーブルを引きだした場合に生じる塗膜の欠陥を生じることなく、センサを設置することができる。
図5は、モルタルまたはコンクリートに埋設する本実施形態に係る腐食センサの概略を示す図である。腐食センサ1は、ゴム板15でケース13との間隔が設けられ、エポキシ樹脂17でケース13に接着されている。腐食センサ1は、静電正接および静電容量の計測を行なうため、リード線9を半田付けし、リード線9の接続部が腐食しないよう、鉄箔部3のみが表面に露出するように、ケース13で外装され、ケース内部が樹脂21で充填されている。
このように構成したのは、リード線9の錆防止を図るためと、周りに充填されるコンクリートが誘電体で含水状態により誘電率が変動することから、その影響を回避するためである。また、腐食センサ1をコンクリート充填時の衝撃から保護する意味もある。また、ケースを用いたが、必ずしもこれを必要とするわけではなく、上記の目的を達成することができるのであれば、ケースを使用せずに、例えば、樹脂だけでも構わない。
[腐食センサの健全性確認方法]
次に、腐食センサの健全性を確認する方法について、説明する。図6は、腐食センサの健全性確認方法の原理を示す図である。腐食センサは、検知部がコンクリート表面側に位置すると共に、検知部がコンクリート表面と実質的に平行となるように、コンクリート内に埋設されている。腐食センサは、鉄箔部3と、誘電体7と、対向電極10を備える。腐食センサの構造については、上述した通りであるため、ここでは詳細な説明は省略する。
外部電極41には、銅電極等を用い、コンクリート表面上の腐食センサが埋設された位置と対応する位置に設置されている。腐食センサおよび外部電極は測定装置43に接続されており、交流電圧を印加することにより、静電容量を測定する。
外部電極41は、鉄箔部3とほぼ等しい大きさとしても良いし、小さくしても良い。外部電極41を鉄箔部3より小さくした場合は、腐食センサが健全な状態において腐食環境が生じた箇所を特定することができる。
図6に示すように、各電極間の静電容量について、コンクリート表面電極(銅電極)−鉄箔電極間の静電容量をCx、腐食センサ(鉄箔電極−金電極間)の静電容量をCy、コンクリート表面電極(銅電極)−金電極間の静電容量をCzとした場合、静電容量Cxおよび静電容量Cyは、直列回路のコンデンサを構成しているため、静電容量Cx、静電容量CyおよびCzの関係は、式(4)で表すことができる。
Figure 2018162989
つまり、静電容量Cxおよび静電容量Cyを示すコンデンサが、それぞれ正しく機能していれば、静電容量Czは、式(5)に示すように、静電容量Cx、静電容量Cyを用いた和分の積で表すことができる。
Figure 2018162989
一方、腐食センサの一部に導通箇所等が発生すると、直列回路のコンデンサではなく、腐食センサの一部が並列回路のコンデンサになることも考えられる。この場合は、腐食センサの一部が、式(6)に示すように、並列回路のコンデンサの合成静電容量となり、静電容量Czの合計が大きくなる。
Figure 2018162989
並列回路のコンデンサとなった箇所の合成静電容量は、単純に個々の静電容量の和となり、全体の静電容量の値が大きな数値として測定されるため、腐食センサ自身の健全性(漏水等の有無)を確認することができる。したがって、腐食センサの静電容量が変化した場合に、本発明の健全性確認方法を実施することで、本当に腐食環境を検知したのか、故障による誤作動なのかを判断することができる。
[静電容量値測定]
図7は、実際に外部電極を用いた静電容量値測定方法の概略を示す図である。まず、ケーシングされた腐食センサ100を、検知部がコンクリート表面側に位置すると共に、検知部がコンクリート表面と実質的に平行となるようにコンクリートに埋設する。
腐食センサ100は、53×35mmの鉄箔を、0.105mm厚のポリイミドフィルム上に接着し、ケミカルエッチングで貫通孔5を形成した。また、誘電体7としてのポリイミドフィルムの反対側の面に、金をスパッタリングで成膜した。
コンクリートの使用材料は、表1に示す通りである。
Figure 2018162989
次に、コンクリートの配合は、表2に示す通りである。
Figure 2018162989
腐食センサ100の設置深さは、コンクリート表面から3cmとした。コンクリートは、打設後14日間封緘養生し、浸漬面2面以外の4面をエポキシ樹脂で被覆した。その後、20℃60%R.H.にて保管し、材齢21日から、コンクリートを腐食環境に設置した(40℃の5%NaCl水溶液で2日間、および40℃60%R.H.で5日間乾燥を16サイクル繰り返し)。
次に、コンクリート表面上であって、腐食センサ100が埋設された位置と対応する位置に、外部電極(銅:φ20mm、厚さ0.1mm)41を設置する。測定は、40℃の5%NaCl水溶液浸漬後(16サイクル後)の湿潤状態で実施した。コンクリートとの導電性および密着性を向上させるため、10%NaCl水溶液にセルロースを混合した溶液をコンクリート表面に塗布して、コンクリート面と銅板を密着させた。
図8は、図7の紙面に対して上から下の方向に見た図である。腐食センサ100の埋設された位置と対応する位置のコンクリート表面上の各位置(1〜16)に外部電極41を設置し、コンクリート表面電極(銅電極)−鉄箔電極間の静電容量Cx、腐食センサ(鉄箔電極−金電極間)の静電容量Cy、コンクリート表面電極−金電極間の静電容量Czを16箇所で測定した。測定電圧は交流電圧1V、測定周波数は100kHzとした。
図9(a)〜(c)は、静電容量Cx、静電容量Cyおよび静電容量Czの測定結果をまとめたものである。また、表3は、測定結果をもとに、腐食センサの健全性確認結果をまとめた表である。
Figure 2018162989
図9(a)では、静電容量Czの値が想定された値であり、式(4)を満たす値を示している。つまり、腐食センサが正常な状態であると判断できる。一方、図9(b)および(c)は、静電容量Czの値が想定した値よりも大きな値を示しており、式(4)を満たしていない。つまり、腐食センサに何かしらの不具合が生じており、正常な状態ではないと判断することができる。このように、静電容量Cx、静電容量Cy、および静電容量Czが、式(4)を満たすか否かによって、腐食センサの状態を判断することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、コンクリートに埋設された状態であっても、腐食センサの健全性を確認することができる。
1 腐食センサ
3 鉄箔部
5 貫通孔
7 誘電体
9 リード線
10 対向電極
13 ケース
15 ゴム板
17 エポキシ樹脂
21 樹脂
30 腐食防止膜
41 外部電極
43 測定装置

Claims (2)

  1. 腐食性を有する金属で形成された検知部と、耐腐食性を有する金属で形成され前記検知部と対向する位置に設けられた対向電極と、前記検知部および前記対向電極との間に設けられた誘電体とを備える静電容量型の腐食センサの健全性を確認する腐食センサの健全性確認方法であって、
    前記検知部がコンクリート表面側に位置するように前記腐食センサをコンクリートに埋設するステップと、
    コンクリート表面上の前記腐食センサが埋設された位置と対向する位置に外部電極を設置するステップと、
    前記検知部と前記外部電極との間の静電容量Cxを測定するステップと、
    前記検知部と前記対向電極との間の静電容量Cyを測定するステップと、
    前記外部電極と前記対向電極との間の静電容量Czを測定するステップと、
    前記各静電容量の測定結果が所定の関係式を満たすか否かを判定するステップと、を少なくとも含むことを特徴とする腐食センサの健全性確認方法。
  2. 前記静電容量Cx、静電容量Cy、および静電容量Czが、次式を満たすか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の腐食センサの健全性確認方法。
    Figure 2018162989
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