JP2018162699A - 遠心作動装置、及び内燃機関用動弁装置におけるカム位相可変機構 - Google Patents

遠心作動装置、及び内燃機関用動弁装置におけるカム位相可変機構 Download PDF

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Kazunori Nonoyama
一範 野々山
繁太郎 岡野
Shigetaro Okano
繁太郎 岡野
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Abstract

【課題】入力回転部材の低・高速回転域に対応して被動部材を第1・第2作動態様に制御し、入力回転部材の第2高速回転域では被動部材の第1作動態様側への戻り動作を与える遠心作動装置の構造簡素化を図る。
【解決手段】入力回転部材30に第1ピボット軸P1を介し支持した遠心ウエイトWに第2ピボット軸P2を介し連結されるアーム40と、アーム40及び被動部材20間を連結し、遠心ウエイトWの揺動に応じて第2ピボット軸P2回りに揺動するアーム40の変位に被動部材20を連動させて作動態様を切換可能な連結機構Iを備え、入力回転部材30が低速回転域にあるときは被動部材20が第1作動態様におかれ、入力回転部材30が第1高速回転域に移行したときは被動部材20が第2作動態様におかれ、入力回転部材30が第2高速回転域に移行して遠心ウエイトWが拡径位置に向けて揺動するときは被動部材20が第1作動態様の位相に戻る側に変位する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、入力回転部材に支持した遠心ウエイトの遠心力を利用して、入力回転部材に連動する被動部材を第1作動態様から第2作動態様へ切換え可能とした遠心作動装置、並びに遠心作動装置を適用した内燃機関用動弁装置におけるカム位相可変機構に関する。
上記遠心作動装置を、動弁カムの位相変更制御に用いた内燃機関用動弁装置におけるカム位相可変機構は、例えば特許文献1に示されるように従来公知である。
この特許文献1の遠心作動装置では、入力回転部材(第1従動部材41)と中間部材(第2従動部材42)との相対向面間に、周方向に並ぶ多数の球より構成され且つ遠心力増大により相対向面のカム溝(ガイド溝51,52)に沿って摺動することで相対向面を相対回動させる第1遠心ウエイト44を介装し、更に中間部材(第2従動部材42)と被動部材(ガイド部材43)との相対向面間に、周方向に並ぶ多数の球より構成され且つ遠心力増大により相対向面のカム溝(ガイド溝53,54)に沿って摺動することで相対向面を相対回動させる第2遠心ウエイト45を介装するものである。
特許第5353465号公報
特許文献1の遠心作動装置では、入力回転部材が低速回転域から第1高速回転域に移行するときは、第2遠心ウエイトを作動させて被動部材を第1位相(第1作動態様)から第2位相(第2作動態様)へと切換制御し、また入力回転部材が更に高速の第2高速回転域に移行すると、第1遠心ウエイトを作動させて被動部材を第1位相(第1作動態様)側に戻すような制御を行うことができる。
ところが特許文献1の遠心作動装置は、入力回転部材が低速回転域から第1高速回転域を経て第2高速回転域に至る過程で被動部材の上記した特別な作動態様切換えを行うために、入力回転部材及び被動部材間に、多数のカム溝を両側面に各々有する中間部材を特別に設ける必要がある上、その中間部材及び入力回転部材間、並びに中間部材及び被動部材間に、多数の球より各々構成される第1,第2遠心ウエイトをそれぞれ介装する必要がある。そのため、遠心作動装置は、全体として部品点数が多く且つ構造複雑でコストが嵩み、組立作業性やメンテナンス作業性が良好でない等の問題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、上記問題を解決し得る構造簡単な遠心作動装置、並びに上記遠心作動装置を適用した内燃機関用動弁装置におけるカム位相可変機構を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、入力回転部材に第1ピボット軸を介して支持されて所定の初期位置及び拡径位置間を揺動可能な遠心ウエイトと、前記遠心ウエイトに第2ピボット軸を介して揺動可能に連結されるアームと、前記入力回転部材に対し相対回動可能であると共に、該入力回転部材に対し位相が変化しない第1作動態様と進角側又は遅角側に変化する第2作動態様とをとり得る被動部材と、前記アーム及び前記被動部材相互を連動連結し、前記遠心ウエイトの前記揺動に応じて前記第2ピボット軸回りに揺動する前記アームに前記被動部材を連動させることで該被動部材の作動態様を切換え可能な連結機構とを備えており、前記遠心ウエイトを前記第2ピボット軸、前記アーム及び前記連結機構を介して前記被動部材に連動させることにより、前記入力回転部材が低速回転域にあって前記遠心ウエイトが前記初期位置に保持されるときは該被動部材が前記第1作動態様におかれ、また前記入力回転部材が前記低速回転域よりも高速の第1高速回転域に移行して前記遠心ウエイトが前記初期位置から前記拡径位置手前の所定中間位置まで揺動する間は該被動部材が前記第2作動態様におかれ、更に前記入力回転部材が前記第1高速回転域よりも高速の第2高速回転域に移行して前記遠心ウエイトが前記所定中間位置から前記拡径位置に向けて揺動するときは、該被動部材が前記第1作動態様の位相に戻る側に変位することを第1の特徴とする。
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記第2ピボット軸は、前記入力回転部材に支軸を介して支持されるリンクに保持されていて、該支軸回りに該リンクと共に揺動可能であり、前記遠心ウエイトは、該遠心ウエイトの前記第1ピボット軸回りの揺動に連動して前記第2ピボット軸が前記支軸回りに揺動するのを許容するように、該第2ピボット軸を摺動可能に挿通させる長孔を有することを第2の特徴とする。
また本発明は、第2の特徴に加えて、前記第2ピボット軸に対して前記支軸が前記第1ピボット軸よりも近くに配置されることを第3の特徴とする。
また本発明は、第1〜第3の何れかの特徴に加えて、前記遠心ウエイトを前記初期位置側へ付勢する弾性部材と、この弾性部材の付勢力に抗して前記遠心ウエイトを前記初期位置に保持し得るストッパとを備えることを第4の特徴とする。
また本発明は、第1〜第4の何れかの特徴を有する遠心作動装置を、動弁カムの位相の変更に用いた、内燃機関用動弁装置におけるカム位相可変機構であって、内燃機関のクランク軸に駆動される前記入力回転部材に、前記被動部材を構成するカム軸が相対回転可能に連結され、前記遠心作動装置は、前記入力回転部材の前記低速回転域では前記カム軸上の前記動弁カムが第1位相となるように、また前記入力回転部材の前記第1高速回転域では前記動弁カムが前記第1位相より進角又は遅角した第2位相となるように、更に前記入力回転部材の前記第2高速回転域では前記動弁カムの位相が該入力回転部材の回転速度上昇に応じて前記第1位相の側に戻るように、前記カム軸の前記入力回転部材に対する相対回動位置を制御することを第5の特徴とする。
また本発明は、第1〜第4の何れかの特徴を有する遠心作動装置を、内燃機関の一部の動弁カムの位相の変更に用いた、内燃機関用動弁装置におけるカム位相可変機構であって、内燃機関のクランク軸に駆動される前記入力回転部材に、第1動弁カムを有する第1カム軸が一体回転するよう連結されると共に、第2動弁カムを有して前記第1カム軸に相対回動可能に嵌合した第2カム軸で前記被動部材が構成され、前記遠心作動装置は、前記入力回転部材の前記低速回転域では前記第2動弁カムが第1位相となるように、また前記入力回転部材の前記第1高速回転域では前記第2動弁カムが前記第1位相より進角又は遅角した第2位相となるように、更に前記入力回転部材の前記第2高速回転域では前記第2動弁カムの位相が該入力回転部材の回転速度上昇に応じて前記第1位相の側に戻るように、前記第2カム軸の前記入力回転部材に対する相対回動位置を制御することを第6の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば、遠心ウエイトを第1ピボット軸を介して揺動可能に支持する入力回転部材が低速回転域から第1高速回転域へ移行したときは、遠心ウエイトが遠心力で初期位置から所定中間位置に向けて揺動するのに連動して変位するアームを被動部材に連動させることで、低速回転域で第1作動態様にあった被動部材を、第1高速回転域では第2作動態様で作動させることができる。また入力回転部材が第1高速回転域から更に高速の第2高速回転域へと移行し、遠心ウエイトが遠心力で所定中間位置から拡径位置に向けて揺動するときは、遠心ウエイトにアームを介して連動する被動部材を、第1作動態様の位相に戻る側へ作動させることができる。従って、入力回転部材が低速回転域から第1高速回転域を経て第2高速回転域に至る過程で、被動部材の上記した特別な作動態様切換えを的確に行うことができる。
特に遠心ウエイトに連結した第2ピボット軸と、遠心ウエイトの揺動に応じて第2ピボット軸回りに揺動するアームと、アーム及び被動部材間を連結してアームの揺動に被動部材を連動させる連結機構とを用いて、遠心ウエイトの揺動に被動部材を機械的に連係させることにより被動部材の上記特別な作動態様切換えが行われるから、全体として遠心作動装置の構造が簡素化されて部品点数も低減され、コスト節減や組立作業性及びメンテナンス作業性の向上に寄与することができる。
また第2の特徴によれば、第2ピボット軸は、入力回転部材に支軸を介して支持されるリンクに保持されていて、支軸回りにリンクと共に揺動可能であるので、リンクとアームを組み合わせたクランク機構を利用した、構造が頗る簡単な遠心作動装置が得られるばかりか、リンクの長さや、入力回転部材における支軸の取付位置を適宜選定することで、遠心ウエイトの揺動に連係させるアームの動き、延いては被動部材の位相を容易に設定変更可能となり、被動部材の作動切換態様の設定自由度を高めることができる。その上、遠心ウエイトは、遠心ウエイトの第1ピボット軸回りの揺動に連動して第2ピボット軸が支軸回りに揺動するのを許容するように第2ピボット軸を挿通させる長孔を有するので、遠心ウエイトが入力回転部材に対し第1ピボット軸回りに揺動したときに、その揺動に第2ピボット軸(従ってアーム)を無理なくスムーズに連係揺動させることができる。
また第3の特徴によれば、第2ピボット軸に対して支軸が第1ピボット軸よりも近くに配置されるので、遠心ウエイトの小さな揺動角変位をリンク(従って第2ピボット軸)の大きな揺動角変位に変換可能となり、第2ピボット軸の揺動に連係するアームを、遠心ウエイトの小さな揺動角変位によっても効率よく移動させることができる。これにより、遠心ウエイトの揺動ストロークを小さく設定できるため、遠心ウエイトが他部材と干渉しにくくなって遠心ウエイトの配置の自由度が高められ、また、遠心ウエイトを入力回転部材の極力外周端寄りに配置可能となることから、この配置により、軽量な遠心ウエイトでも遠心力を十分に確保可能となって、装置の軽量化に寄与することができる。
また第4の特徴によれば、遠心ウエイトを初期位置側へ付勢する弾性部材と、この弾性部材の付勢力に抗して遠心ウエイトを初期位置に保持し得るストッパとを備えるので、入力回転部材の回転速度が低下したときに、弾性部材の付勢力により遠心ウエイトの初期位置への戻りをより確実にでき、また初期位置の遠心ウエイトが、入力回転部材の回転速度増大により拡径揺動し始める回転数を、弾性部材のセット荷重の調整により容易に調整可能となる。
また第5の特徴によれば、遠心作動装置は、入力回転部材の低速回転域ではカム軸上の動弁カムが第1位相となるように、また入力回転部材の第1高速回転域では動弁カムが第1位相より進角又は遅角した第2位相となるように、更に入力回転部材の第2高速回転域では動弁カムの位相が該入力回転部材の回転速度上昇に応じて第1位相の側に戻るように、カム軸の入力回転部材に対する相対回動位置を制御可能である。これにより、高速回転域のうち特に高速の第2高速回転域では、第1位相側へ戻すことが望ましい特性の内燃機関において好適な弁作動態様となり、機関性能の向上に寄与することができる。
また第6の特徴によれば、遠心作動装置は、第1カム軸と一体回転する入力回転部材の低速回転域では第2カム軸上の第2動弁カムが第1位相となるように、また入力回転部材の第1高速回転域では第2動弁カムが第1位相より進角又は遅角した第2位相となるように、更に入力回転部材の第2高速回転域では第2動弁カムの位相が入力回転部材の回転速度上昇に応じて第1位相の側に戻るように、第2カム軸の入力回転部材に対する相対回動位置を制御可能である。これにより、高速回転域のうち特に高速の第2高速回転域では、第2動弁カムを第1位相側へ戻すことが望ましい特性のSOHC型内燃機関において好適な弁作動態様となり、機関性能の向上に寄与することができる。
第1実施形態に係る動弁装置の要部縦断面図(図2の1−1線断面図) 第1実施形態に係る動弁装置のカム位相変更機構を、遠心ウエイトが初期位置にある状態で示す要部端面図(図1の2矢視図) 上記カム位相変更機構の要部を示す一部破断端面図であって、(A)は遠心ウエイトが初期位置にある状態を示し、(B)は遠心ウエイトが所定中間位置にある状態を示し、(C)は遠心ウエイトが拡径位置にある状態を示す 第1実施形態のカムリフトと位相の関係図であって、(a)はカムスプロケットが低速回転域にあるときを示し、(b)はカムスプロケットが第1高速回転域にあるときを示し、(c)はカムスプロケットが第2高速回転域にあるときを示す 第2実施形態に係る動弁装置のカム位相変更機構を、遠心ウエイトが初期位置にある状態で示す要部端面図(図2対応図) 第2実施形態のカム位相変更機構の要部を示す一部破断端面図(図3対応図)であって、(A)は遠心ウエイトが初期位置にある状態を示し、(B)は遠心ウエイトが所定中間位置にある状態を示し、(C)は遠心ウエイトが拡径位置にある状態を示す
本発明の実施形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
先ず、図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態は、本発明の遠心作動装置を内燃機関用動弁装置におけるカム位相可変機構に適用した一例である。図1〜図3において、車両例えば自動二輪車に搭載される内燃機関としてのSOHC型単気筒内燃機関のシリンダヘッドCHには、複数の動弁用カム(即ち吸・排気カム20c・10c)のうちの一部(即ち吸気カム20c)のカム位相だけを機関回転数の増大変化に応じて変更させるカム位相可変機構が設けられる。次に、カム位相可変機構の一例を具体的に説明する。
シリンダヘッドCHには、内燃機関の図示しないクランク軸にチェーン伝動機構33を介して連動回転する第1カム軸10が、軸受B1,B2を介して軸線X回りに回転自在に支持される。第1カム軸10の一端部には、スプロケット歯30tを外周に有するカムスプロケット30が、第1カム軸10と同軸且つ一体に回転するように適当な固定手段(例えばボルト37と、図示しない回り止め手段の併用等)により一体的に締結される。カムスプロケット30と、クランク軸に固定の駆動スプロケット(図示せず)と、その両スプロケット間に巻き掛けられる無端状チェーン34とによりチェーン伝動機構33が構成される。そして、カムスプロケット30は、本発明の入力回転部材の一例である。
第1カム軸10の外周部には、第1動弁カムとしての排気カム10cが一体に形成される。排気カム10cには、シリンダヘッドCHに揺動可能に軸支されて排気弁(図示せず)に係合する排気側ロッカアームR1が摺動可能に当接しており、第1カム軸10の回転に連動して排気カム10cが排気側ロッカアームR1を介して排気弁を開閉駆動する。
また、第1カム軸10の外周部には、第2動弁カムとしての吸気カム20cを一体に有する円筒状の第2カム軸20が同一軸線X回りに相対回動可能に嵌合、支持される。吸気カム20cには、シリンダヘッドCHに揺動可能に軸支されて吸気弁(図示せず)に係合する吸気側ロッカアームR2が摺動可能に当接しており、第2カム軸20の回転に連動して吸気カム20cが吸気側ロッカアームR2を介して吸気弁を開閉駆動する。そして、第2カム軸20は、本発明の被動部材の一例である。
尚、本実施形態では、第1カム軸10を支持する複数の軸受B1,B2のうちの一部の軸受B2が、吸気カム20の外側方で第2カム軸20の外周部に装着される。即ち、第1カム軸10は、軸受B1,B2及び第2カム軸20を介してシリンダヘッドCHに回転自在に支持される。
また第2カム軸20の外端部には、カムスプロケット30の内側面(図1で右側面)に隣接する従動フランジ21が、適当な固定手段(例えば圧入、溶接、スプライン圧入等)で一体的に連結される。尚、本実施形態では従動フランジ21を第2カム軸20と別々に製作して第2カム軸20に後付けで固定しているが、従動フランジ21を第2カム軸20に一体に形成してもよい。
次にカムスプロケット30及び第2カム軸20間に設けられる遠心作動装置Mの一例を説明する。
カムスプロケット30には、第1ピボット軸P1を介して遠心ウエイトWの基部が支持されており、遠心ウエイトWは、初期位置、即ち所定の縮径位置1W(図2,図3(A)参照)と、所定の拡径位置3W(図3(C)参照)との間を第1ピボット軸P1回りに揺動可能である。第1ピボット軸P1は、カムスプロケット30に固定(例えば圧入)されていて、カムスプロケット30の外側面より外方に突出する。
第1ピボット軸P1の先端部外周にはサークリップ等の止め輪51が係止されており、止め輪51は、遠心ウエイトWに係合して遠心ウエイトWの第1ピボット軸P1からの抜け止めを行う。遠心ウエイトWは、第1ピボット軸P1より離間したウエイト先部が基部よりも厚肉に形成されており、これにより、遠心ウエイトWの重心位置は、遠心ウエイトWの先部寄りに偏在する。
カムスプロケット30と遠心ウエイトW間には、遠心ウエイトWを縮径位置1W側へ弾発付勢するばね部材38が介装される。ばね部材38は、本発明の弾性部材の一例であり、本実施形態では引張コイルばねで構成される。またカムスプロケット30の外側面には、遠心ウエイトWが縮径位置1Wにあるときに遠心ウエイトWに係合し得るストッパ39が突設される。ストッパ39は、遠心ウエイトWとの係合により、ばね部材38の付勢力に抗して遠心ウエイトWを縮径位置1Wに保持することができる。
而して、内燃機関が低速回転域(例えば4000rpm以下)にあって、クランク軸に連動回転するカムスプロケット30が低速回転域にあるときは、ばね部材38の付勢力により遠心ウエイトWが縮径位置1Wに保持される。また縮径位置1Wの遠心ウエイトWがカムスプロケット30の増速(即ち回転速度上昇)により拡径揺動を開始する回転数は、ばね部材38のセット荷重の調整により容易に調整可能である。
また遠心ウエイトWには、アーム40の一端部が第2ピボット軸P2を介して揺動可能に支持される。アーム40は、例えば、カムスプロケット30の外側面に略沿うように且つカムスプロケット30の概ね周方向に延びるように配置される。
第2ピボット軸P2は、本実施形態ではカムスプロケット30に固定(例えば圧入)した支軸35の軸線回りに揺動するリンク36に一体に結合されていて、リンク36と共に支軸35の軸線回りを揺動可能である。第2ピボット軸P2の先端部外周には、サークリップ等の止め輪52が係止されており、止め輪52は、アーム40に係合してアーム40の第2ピボット軸P2からの抜け止めを行う。尚、第2ピボット軸P2は、リンク36とは別体に形成してリンク36に後付けで固着、又は回転自在に装着してもよい。
而して、支軸35は、第2ピボット軸P2に対して支軸35が第1ピボット軸P1よりも近くに(望ましくは、本実施形態のように第1,第2ピボット軸P1,P2の軸間距離の半分以下の十分短い距離に支軸35が位置するように)配置される。
また遠心ウエイトWには、遠心ウエイトWの第1ピボット軸P1回りの揺動に連動して第2ピボット軸P2が支軸35回りに揺動するのを許容するように、第2ピボット軸P2を摺動可能に挿通させる長孔Whが設けられる。長孔Whは、本実施形態では第1ピボット軸P1の略径方向に延びるように形成され、従って、遠心ウエイトWの揺動に第2ピボット軸P2を追従揺動させることができる。
またアーム40の他端部に設けた挿通孔40hには、従動フランジ21に設けた駆動ピンDの先部が回動可能に挿通、支持される。駆動ピンDは、基部が従動フランジ21に固定(例えば圧入)されると共に、先部が従動フランジ21の外側面から外方に突出して、カムスプロケット30を通してアーム40側に延びる。この駆動ピンDの先端部外周にはサークリップ等の止め輪53が係止されていて、アーム40の駆動ピンDからの抜け止めがなされる。
駆動ピンDは、アーム40の他端部の挿通孔40hと協働して本発明の連結機構Iを構成しており、この連結機構Iにより、アーム40及び従動フランジ21相互が駆動ピンD回りに相対回動可能に連動連結される。尚、本実施形態では、駆動ピンDを従動フランジ21に固定すると共にアーム40に対し回転自在に連結したが、それとは逆に、駆動ピンDをアーム40に固定すると共に従動フランジ21に対し回転自在に連結してもよい。
而して、連結機構Iは、遠心ウエイトWの第1ピボット軸P1回りの揺動に応じてアーム40が、第2ピボット軸P2回りに相対揺動しつつ従動フランジ21の略周方向に移動変位するときに、そのときのアーム40の移動変位に従動フランジ21を連動させることで、従動フランジ21と一体に回転する第2カム軸20の作動態様を切換制御(即ち位相を可変制御)することができる。
その作動原理を、特に図3を参照して次に具体的に説明する。本実施形態では、遠心ウエイトWが図3(B)に示す所定中間位置2Wにあるときに、駆動ピンDと支軸35とを通る仮想直線L上(即ち仮想直線L上に存するデッドポイント)に第2ピボット軸P2が略位置するように設定される。また遠心ウエイトWが図3(A)に示す縮径位置1Wにあるときに、仮想直線Lを挟んでその一方側(径方向内方側)に第2ピボット軸P2が位置するように設定され、更に遠心ウエイトWが図3(C)に示す拡径位置3Wにあるときに、仮想直線Lを挟んで他方側(径方向外方側)に第2ピボット軸P2が位置するように設定される。
これにより、遠心ウエイトWが図3(A)の縮径位置1Wから図3(B)の所定中間位置2Wまで拡径揺動(従ってその拡径揺動に連動して第2ピボット軸P2が仮想直線L又はその近傍位置に近づくよう支軸35回りに揺動)する間、即ち上記デッドポイントへの接近過程では、第2ピボット軸P2の支軸35回りの揺動が、アーム40を第2ピボット軸P2回りに揺動させつつカムスプロケット30の周方向一方側(図3で左側)に変位させる。この変位は、駆動ピンDを介して従動フランジ21をカムスプロケット30に対し一方向(図3で反時計方向)に相対回動させ、これに伴い、第2カム軸20の位相を進角側へ変化させ、即ち、第2カム軸20を第2作動態様で作動させる。
また、遠心ウエイトWが図3(B)の所定中間位置2Wから図3(C)の拡径位置3Wに向けて拡径揺動(従ってその拡径揺動に連動して第2ピボット軸P2が仮想直線L又はその近傍位置を超えて更に径方向外側に揺動)する間、即ち上記デッドポイントから遠ざかる過程では、第2ピボット軸P2の支軸35回りの揺動が、アーム40を第2ピボット軸P2回りに揺動させつつカムスプロケット30の周方向他方側(図3で右側)に変位させる。この変位は、駆動ピンDを介して従動フランジ21をカムスプロケット30に対し他方向(図3で時計方向)に相対回動させ、これにより、第2カム軸20の位相を遅角側へ変化させ、即ち、第2カム軸20を第1作動態様の位相に戻る側に角変位させる。
そして、上記のように遠心ウエイトWの第1ピボット軸P1回りの揺動に応じてアーム40(従って駆動ピンD)が第2ピボット軸P2回りに揺動しつつ従動フランジ21の略周方向に移動変位する際に、駆動ピンDとカムスプロケット30との干渉を回避して駆動ピンDのスムーズな移動を確保するために、カムスプロケット30には、駆動ピンDの上記移動を許容するように駆動ピンDを摺動可能に挿通させる長孔30hが設けられる。長孔30hは、本実施形態ではカムスプロケット30の周方向に延びる円弧状に形成されている。
而して、長孔30hは、孔の長手方向両端に駆動ピンDを係合させることで駆動ピンD(従って従動フランジ21)の周方向移動限界を規定する。これにより、第2カム軸20の第1作動態様での位相(後述する吸気カム20cの第1位相)と、第2カム軸20の、第2作動態様で最も進角したときの位相(後述する吸気カム20cの、最も進角したときの第2位相)とが規定される。
次に、第1実施形態の作用について、図4も併せて参照して説明する。
内燃機関が低速回転域、例えば機関回転数が4000rpm以下の回転域にあるとき(即ちクランク軸に連動回転するカムスプロケット30が低速回転域にあるとき)は、遠心ウエイトWは、これに作用する遠心力が比較的小さいため、ばね部材38の付勢力で図3(A)に示す縮径位置1Wに保持される。これにより、遠心ウエイトWに第2ピボット軸P2、アーム40及び駆動ピンDを介して連動連結される従動フランジ21が、カムスプロケット30に対し所定の相対回動位置に固定されるため、従動フランジ21と一体の第2カム軸20が、位相を変化させないで第1カム軸10と一体に回転する。
かくして、吸気カム20cを一体に有する第2カム軸20は、内燃機関の低速回転域においては第1作動態様、即ち低速回転域において好適な開弁特性で吸気弁を開閉駆動する作動態様(例えば、図4(a)に示す吸気弁のリフトカーブに対応した第1位相を参照)となる。
また内燃機関が中速回転域、例えば機関回転数が4000rpmを超え且つ6000rpm以下の回転域に移行(即ちカムスプロケット30が第1高速回転域に移行)した状態で機関回転数が上昇すると、その上昇につれて増大する遠心力に応じて遠心ウエイトWは、図3(A)の縮径位置1Wから図3(B)の所定中間位置2Wに向けて、ばね部材38の付勢力に抗して拡径揺動する。これにより、遠心ウエイトWに第2ピボット軸P2を介して連動するアーム40が、第2ピボット軸P2回りに揺動しつつカムスプロケット30の周方向一方側(図3で左側)に変位し、その変位が駆動ピンDを介して従動フランジ21に伝達されることで、従動フランジ21従って第2カム軸20が、カムスプロケット30に対し進角側に相対回動する。そして、この相対回動により、カムスプロケット30に対し第1カム軸10の位相を変更させないで第2カム軸20の位相のみが進角側に変更され、その進角量は、内燃機関の中速回転域で機関回転数(従って遠心ウエイトWの遠心力)が増えるにつれて徐々に増加する。
かくして、第2カム軸20は、内燃機関の中速回転域においては第2作動態様、即ち中速回転域で好適な開弁特性で吸気弁を開閉駆動する作動態様(例えば、図4(b)に示す吸気弁のリフトカーブに対応した第2位相を参照)に切換わる。そして、この第2作動態様においては、遠心ウエイトWの縮径位置1Wから所定中間位置2Wに向けての揺動量の増加に応じて、吸気カム20cの位相(即ち上記第2位相)の進角量が増えるため、内燃機関の中速回転域での吸気弁の開閉時期を機関回転数の上昇に応じて進角させることができる。一方、排気カム10cの位相は常に一定、即ち中速回転域になっても変化しないので、吸気弁の上記進角により、吸気弁及び排気弁が共に開いているバルブオーバラップ期間が長くなって掃気効率を高めることができる。これにより、内燃機関の中速運転性能を向上させることができる。
また内燃機関が高速回転域、例えば機関回転数が6000rpmを超えた回転域に移行(即ちカムスプロケット30が第2高速回転域に移行)した状態で機関回転数が上昇すると、その上昇につれて増大する遠心力に応じて遠心ウエイトWは、図3(B)に示す所定中間位置2Wから図3(C)に示す拡径位置3Wに向けて更に拡径揺動する。これにより、遠心ウエイトWに第2ピボット軸P2を介して連動するアーム40が第2ピボット軸P2回りに揺動しつつカムスプロケット30の周方向他方側(図3で右側)に変位し、その変位が駆動ピンDを介して従動フランジ21に伝達されることで、従動フランジ21従って第2カム軸20が、カムスプロケット30に対し遅角側に相対回動する。この相対回動により、カムスプロケット30に対し第1カム軸10の位相を変更させないで第2カム軸20の位相のみが遅角側に変更され、その遅角量(より具体的には第2作動態様で最も進角したときの第2位相に対する遅角量)は、内燃機関の高速回転域で機関回転数が上昇するにつれて増加し、最終的には第2カム軸20の位相が第1位相まで復帰可能である。
かくして、内燃機関が高速回転域に移行後も機関回転数が更に上昇するときは、第2カム軸20の位相は、第1作動態様の位相(例えば図4の(c)に示す吸気弁のリフトカーブに対応した第1位相を参照)に近づく側へ戻るように変化する。即ち、内燃機関の高速回転域での吸気カム20cの位相が、中速回転域で最も進角したときの第2位相よりも遅角されるので、高速回転域でのバルブオーバラップ期間を中速回転域のときよりも短くすることができる。
ところで内燃機関が特に高回転となる高速回転域(例えば6000rpm超え)では、吸気流が特に高速で燃焼室に供給されるため、仮にバルブオーバラップ期間を比較的長くする(例えば内燃機関の中速回転域(4000rpm〜6000rpm)でのバルブオーバラップ期間と同様にする)場合には、バルブオーバラップ期間中に燃焼室を素通りして排気系に流れる吸気の流量が増えることになって、寧ろ吸気効率が低下する恐れがある。一方、内燃機関の高速回転域では、慣性過給効果が十分に見込まれるため、バルブオーバラップ期間が比較的短く設定されても燃焼室に吸気を効率よく供給可能である。従って、内燃機関の高速回転域においては、本実施形態のように中速回転域よりも遅角、即ちバルブオーバラップ期間を比較的短くした方が、全体として吸気効率を効果的に高めることができ、これにより、内燃機関の高速運転性能を向上させることができる。
かくして、本実施形態によれば、内燃機関の低速回転域(即ちカムスプロケット30が低速回転域)では吸気カム20cに低速回転域で好適な第1位相を与える第1作動態様となり、且つ内燃機関の中速回転域(即ちカムスプロケット30が第1高速回転域)では吸気カム20cに、第1位相よりも進角させた(即ち中速回転域で好適な)第2位相を与える第2作動態様となり、且つ内燃機関が高速回転域へ移行(即ちカムスプロケット30が第2高速回転域へ移行)したときは機関回転数の上昇に応じて吸気カム20cを第1位相の側に戻すように、第2カム軸20が作動制御される。これにより、内燃機関の中速〜高速回転域のうち特に高速回転域では、吸気カム20cを第1位相側へ戻すことが望ましい特性のSOHC型内燃機関において好適な弁作動態様となる。
上記したように本実施形態では、カムスプロケット30の回転速度の上昇(即ち低速回転域→第1高速回転域→第2高速回転域)に伴い第2カム軸20の特別な作動態様切換え(即ち位相固定(第1作動態様)→進角制御(第2作動態様)→遅角制御)を、構造簡単な遠心作動装置Mを以て的確に行うことができる。
即ち、遠心作動装置Mは、遠心ウエイトWに連結される第2ピボット軸P2と、遠心ウエイトWの第1ピボット軸P1回りの揺動に応じて第2ピボット軸P2回りに揺動しつつカムスプロケット30の周方向にも変位するアーム40と、アーム40及び第2カム軸20間を駆動ピンDを介してピボット連結してアーム40の変位に第2カム軸20を連動させる連結機構Iとを用いて、遠心ウエイトWの拡径揺動に第2カム軸20を機械的に連係させ、これにより、第2カム軸20の上記特別な作動態様切換えを行うようにしている。その結果、特許文献1の従来装置と比べて遠心作動装置Mの構造が簡素化されると共に部品点数も低減されるから、コスト節減や組立作業性及びメンテナンス作業性の向上が図られる。
その上、本実施形態の第2ピボット軸P2は、カムスプロケット30に支軸35を介して支持されるリンク36に保持されていて、支軸35回りにリンク36と共に揺動可能である。これにより、リンク36とアーム40を組み合わせたクランク機構を利用して遠心ウエイトW及び従動フランジ21間を連係させた、構造が大幅に簡素化された遠心作動装置Mが得られる。しかもリンク36の長さや、カムスプロケット30における支軸35の取付位置を適宜選定することで、遠心ウエイトWの揺動に連係させるアーム40の動き、延いては第2カム軸20の位相を容易に設定変更可能となり、第2カム軸20の作動切換態様の設定自由度が高められる。
また本実施形態の遠心ウエイトWは、遠心ウエイトWの第1ピボット軸P1回りの揺動に連動して第2ピボット軸P2が支軸35回りに揺動するのを許容するように、第2ピボット軸P2を摺動可能に挿通させる長孔Whを有しており、長孔Whは、例えば第1ピボット軸P1の略径方向に延びている。これにより、遠心ウエイトWがカムスプロケット30に対し第1ピボット軸P1回りに揺動したときに、その揺動に第2ピボット軸P2(従ってアーム40)をスムーズに連係揺動させることができ、支軸35回りに揺動する第2ピボット軸P2が遠心ウエイトWと干渉する虞れはない。
また本実施形態では、第2ピボット軸P2に対して支軸35が第1ピボット軸P1よりも十分近くに配置されている。これにより、遠心ウエイトWの小さな揺動角変位をリンク36(従って第2ピボット軸P2)の大きな揺動角変位に変換可能となるため、第2ピボット軸P2の揺動に連係するアーム40を、遠心ウエイトWの小さな揺動角変位に応じて効率よく移動させることができる。これにより、遠心ウエイトWの揺動ストローク(即ち最大揺動角)を小さく設定できるため、遠心ウエイトWが周辺の他部材と干渉しにくくなって遠心ウエイトWの配置の自由度が高められる。しかも遠心ウエイトWをカムスプロケット30の極力外周端寄りに配置可能となることから、この配置により、軽量な遠心ウエイトWでも遠心力を十分に確保可能となって、遠心作動装置Mの軽量化が図られる。
次に図5,図6を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態は、第1実施形態とはアーム40及び遠心ウエイトW間の連動、連結構造が異なる。第2実施形態のその他の構成は、基本的に第1実施形態と同様であり、各構成部材には、第1実施形態と同様の参照符号を付してある。
即ち、第1実施形態では、遠心ウエイトWの揺動にアーム40の一端部を連動させる第2ピボット軸P2が、カムスプロケット30に突設した支軸35回りに揺動するリンク36上に保持されてリンク36と共に揺動可能であるものを示した。これに対し、第2実施形態では、アーム40の一端部を遠心ウエイトWに第2ピボット軸P2を介して揺動可能に直接連結しており、それだけ遠心ウエイトW及び第2ピボット軸P2間の連動構造が簡素化されている。
そして、第2実施形態では、図6からも明らかなように、遠心ウエイトWが図6(B)に示す所定中間位置2Wにあるときに、駆動ピンDと第1ピボット軸P1とを結ぶ仮想直線L′上(即ち仮想直線L′上に存するデッドポイント)に第2ピボット軸P2が略位置するように設定される。また遠心ウエイトWが図(A)に示す縮径位置1Wにあるときに、仮想直線L′を挟んでその一方側(径方向内方側)に第2ピボット軸P2が位置するように設定され、更に遠心ウエイトWが図6(C)に示す拡径位置3Wにあるときに、仮想直線L′を挟んで他方側(径方向外方側)に第2ピボット軸P2が位置するように設定される。
これにより、遠心ウエイトWが図6(A)の縮径位置1Wから図6(B)の所定中間位置2Wまで拡径揺動(即ち第2ピボット軸P2が上記仮想直線L′又はその近傍位置に近づくよう揺動)する間、即ち上記デッドポイントへの接近過程では、遠心ウエイトWの第1ピボット軸P1回りの揺動が、アーム40を第2ピボット軸P2回りに揺動させつつカムスプロケット30の周方向一方側(図6で左側)に変位させる。この変位は、駆動ピンDを介して従動フランジ21をカムスプロケット30に対し一方向(図6で反時計方向)に相対回動させ、それに伴い、第2カム軸20の位相を進角側へ変化させ、即ち、第2カム軸20を第2作動態様で作動させる。
そして、遠心ウエイトWが図6(B)の所定中間位置2Wから図6(C)の拡径位置3Wに向けて拡径揺動(即ち第2ピボット軸P2が上記仮想直線L′又はその近傍位置を超えて更に径方向外側に揺動)する間、即ち上記デッドポイントから遠ざかる過程では、遠心ウエイトWの第1ピボット軸P1回りの揺動が、アーム40を第2ピボット軸P2回りに揺動させつつカムスプロケット30の周方向他方側(図6で右側)に変位させる。この変位は、駆動ピンDを介して従動フランジ21をカムスプロケット30に対し他方向(図6で時計方向)に相対回動させ、それに伴い、第2カム軸20の位相を遅角側へ変化させ、即ち、第2カム軸20を第1作動態様の位相に戻る側に角変位させる。
このように、第2実施形態によれば、第1実施形態と基本的に同様の効果を達成可能である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、前記実施形態では、本発明の遠心作動装置M付きカム位相可変機構を、動弁カムとしての吸気カム20cの位相変更に用いたものを示したが、本発明では、動弁カムとしての排気カム10cの位相変更に用いるようにしてもよい。その場合には、内燃機関の低速回転域では排気カム10cに低速回転域で好適な第1位相を与える第1作動態様となり、且つ内燃機関の中速回転域(即ちカムスプロケット30の第1高速回転域)では排気カム10cに、第1位相よりも遅角させた第2位相を与える第2作動態様となり、且つまた内燃機関の中速回転域から高速回転域(即ちカムスプロケット30の第2高速回転域)へ移行するのに応じて排気カム10cを第1位相の側に戻す(即ち進角させる)ように、第1カム軸10を制御することが望ましく、その場合には、中速回転域において排気弁を遅角させることにより、バルブオーバラップ期間が長くなって掃気効率を高めることができる。
また前記実施形態では、第1,第2動弁カム10c,20cのうちの何れか一方を排気カム10c、また何れか他方を吸気カム20cとしたものを示したが、本発明では、第1,第2動弁カム10c,20cを両方とも吸気カム(即ち第1,第2吸気カム)とし又は両方とも排気カム(即ち第1,第2排気カム)とした内燃機関に適用してもよい。
また、前記実施形態では、動弁装置が設けられる内燃機関を単気筒エンジンとしたものを示したが、多気筒(例えば2気筒)エンジンに適用してもよい。この場合は、各気筒毎に本発明の遠心作動装置付きカム位相可変機構を設けるようにする。
また、前記実施形態では、動弁装置が設けられる内燃機関をSOHC型エンジンとしたものを示したが、本発明は、DOHC型エンジンに適用してもよい。この場合は、吸気弁及び排気弁毎に設けられる吸気用カム軸及び排気用カム軸のうちの少なくとも一方のカム軸に本発明のカム位相可変機構を設けるようにする。
また、前記実施形態では自動二輪車用内燃機関を示したが、本発明は、自動二輪車以外の車両に搭載される内燃機関に適用してもよく、或いは車両用以外の用途の内燃機関(例えば定置式の内燃機関)に適用してもよい。
尚、機関回転数(特に車両用内燃機関の場合は車速)と吸,排気バルブの開閉タイミングとの最適な関係は、内燃機関の構造や仕様によって様々に設定可能である。例えば、内燃機関の機種や要求特性によっては、吸気カム20cを内燃機関の中速回転域では低速回転域のときよりも遅角させ、高速回転域では中速回転域のときよりも進角側に戻すようにしてもよい。
また、前記実施形態では、遠心ウエイトWが、回転入力部材(カムスプロケット30)を挟んで従動フランジ21とは反対側、特にカムスプロケット30の軸方向外側に配置されるものを示したが、本発明では、遠心ウエイトWをカムスプロケット30の軸方向内側に配置してもよく、この場合は、カムスプロケット30の軸方向外側に配置した従動フランジ21と第1カム軸10との間を、カムスプロケット30を緩く貫通する連結腕で一体的に結合すればよい。
また、前記実施形態では、内燃機関が高速回転域にあるときの第2カム軸20の位相を、第2位相(中速回転域での位相)から第1位相(低速回転域での位相)まで戻すようにしたものを示したが、本発明では、内燃機関が高速回転域にあるときの第2カム軸20の位相を、内燃機関の機種や要求特性によっては、第1位相の手前側(即ち第1位相と第2位相の間の位相)まで戻すように構成することも可能である。
また前記実施形態では、遠心ウエイトW、第1,第2ピボット軸P1,P2、駆動ピンD、アーム40等を主要部とする2組の遠心作動機構を、カムスプロケット30の回転軸線Xを挟んでその両側に点対称配置したものを示したが、遠心作動機構は、1組でも或いは3組以上でもよい。
D・・・・・・駆動ピン
I・・・・・・連結機構
M・・・・・・遠心作動装置
P1,P2・・第1,第2ピボット軸
W・・・・・・遠心ウエイト
Wh・・・・・長孔
1W・・・・・縮径位置(初期位置)
2W・・・・・所定中間位置
3W・・・・・拡径位置
10・・・・・第1カム軸
10c・・・・排気カム(第1動弁カム)
20・・・・・第2カム軸(被動部材)
20c・・・・吸気カム(第2動弁カム)
30・・・・・カムスプロケット(回転入力部材)
35・・・・・支軸
36・・・・・リンク
38・・・・・ばね部材(弾性部材)
39・・・・・ストッパ
40・・・・・アーム

Claims (6)

  1. 入力回転部材(30)に第1ピボット軸(P1)を介して支持されて所定の初期位置(1W)及び拡径位置(3W)間を揺動可能な遠心ウエイト(W)と、
    前記遠心ウエイト(W)に第2ピボット軸(P2)を介して揺動可能に連結されるアーム(40)と、
    前記入力回転部材(30)に対し相対回動可能であると共に、該入力回転部材(30)に対し位相が変化しない第1作動態様と進角側又は遅角側に変化する第2作動態様とをとり得る被動部材(20)と、
    前記アーム(40)及び前記被動部材(20)相互を連動連結し、前記遠心ウエイト(W)の前記揺動に応じて前記第2ピボット軸(P2)回りに揺動する前記アーム(40)に前記被動部材(20)を連動させることで該被動部材(20)の作動態様を切換え可能な連結機構(I)とを備えており、
    前記遠心ウエイト(W)を前記第2ピボット軸(P2)、前記アーム(40)及び前記連結機構(I)を介して前記被動部材(20)に連動させることにより、前記入力回転部材(30)が低速回転域にあって前記遠心ウエイト(W)が前記初期位置(1W)に保持されるときは該被動部材(20)が前記第1作動態様におかれ、また前記入力回転部材(30)が前記低速回転域よりも高速の第1高速回転域に移行して前記遠心ウエイト(W)が前記初期位置(1W)から前記拡径位置(3W)手前の所定中間位置(2W)まで揺動する間は該被動部材(20)が前記第2作動態様におかれ、更に前記入力回転部材(30)が前記第1高速回転域よりも高速の第2高速回転域に移行して前記遠心ウエイト(W)が前記所定中間位置(2W)から前記拡径位置(3W)に向けて揺動するときは、該被動部材(20)が前記第1作動態様の位相に戻る側に変位することを特徴とする、遠心作動装置。
  2. 前記第2ピボット軸(P2)は、前記入力回転部材(30)に支軸(35)を介して支持されるリンク(36)に保持されていて、該支軸(35)回りに該リンク(36)と共に揺動可能であり、
    前記遠心ウエイト(W)は、該遠心ウエイト(W)の前記第1ピボット軸(P1)回りの揺動に連動して前記第2ピボット軸(P2)が前記支軸(35)回りに揺動するのを許容するように、該第2ピボット軸(P2)を摺動可能に挿通させる長孔(Wh)を有することを特徴とする、請求項1に記載の遠心作動装置。
  3. 前記第2ピボット軸(P2)に対して前記支軸(35)が前記第1ピボット軸(P1)よりも近くに配置されることを特徴とする、請求項2に記載の遠心作動装置。
  4. 前記遠心ウエイト(W)を前記初期位置(1W)側へ付勢する弾性部材(38)と、この弾性部材(38)の付勢力に抗して前記遠心ウエイト(W)を前記初期位置(1W)に保持し得るストッパ(39)とを備えることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の遠心作動装置。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の遠心作動装置を、動弁カム(20c)の位相の変更に用いた、内燃機関用動弁装置におけるカム位相可変機構であって、
    内燃機関のクランク軸に駆動される前記入力回転部材(30)に、前記被動部材を構成するカム軸(20)が相対回転可能に連結され、
    前記遠心作動装置は、前記入力回転部材(30)の前記低速回転域では前記カム軸(20)上の前記動弁カム(20c)が第1位相となるように、また前記入力回転部材(30)の前記第1高速回転域では前記動弁カム(20c)が前記第1位相より進角又は遅角した第2位相となるように、更に前記入力回転部材(30)の前記第2高速回転域では前記動弁カム(20c)の位相が該入力回転部材(30)の回転速度上昇に応じて前記第1位相の側に戻るように、前記カム軸(20)の前記入力回転部材(30)に対する相対回動位置を制御することを特徴とする、内燃機関用動弁装置におけるカム位相可変機構。
  6. 請求項1〜4の何れか1項に記載の遠心作動装置を、内燃機関の一部の動弁カム(20c)の位相の変更に用いた、内燃機関用動弁装置におけるカム位相可変機構であって、
    内燃機関のクランク軸に駆動される前記入力回転部材(30)に、第1動弁カム(10c)を有する第1カム軸(10)が一体回転するよう連結されると共に、第2動弁カム(20c)を有して前記第1カム軸(10)に相対回転可能に嵌合した第2カム軸(20)で前記被動部材が構成され、
    前記遠心作動装置は、前記入力回転部材(30)の前記低速回転域では前記第2動弁カム(20c)が第1位相となるように、また前記入力回転部材(30)の前記第1高速回転域では前記第2動弁カム(20c)が前記第1位相より進角又は遅角した第2位相となるように、更に前記入力回転部材(30)の前記第2高速回転域では前記第2動弁カム(20c)の位相が該入力回転部材(30)の回転速度上昇に応じて前記第1位相の側に戻るように、前記第2カム軸(20)の前記入力回転部材(30)に対する相対回動位置を制御することを特徴とする、内燃機関用動弁装置におけるカム位相可変機構。
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