JP2018161612A - 電解水製造装置および電解水製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高アルカリ塩水の排水に伴う排水処理系統損傷等の防止を図る。【解決手段】本実施形態に係る電解水製造装置は、第1電極が配置される第1電極室と、第1電極とは極性が異なる第2電極が配置される第2電極室とに隔膜で区分された2室型の電解槽と、第1電極と第2電極との間に電圧を印加する電源と、第1電極室に水を供給し、第2電極室に塩水を供給する供給系と、 電気分解により生成された電解水を第1電極室から貯留タンクへ移送する移送系と、第1電極室、第2電極室内の電解水もしくは塩水を排水する排水系と、電解水の生成、移送、および塩水の排水を行うために、電源、供給系、移送系、及び排水系を制御する制御手段と、第2電極室内の塩水と第1電解室内の電解水もしくは水とを混合する混合手段と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、電解水製造装置および電解水製造方法に関する。
塩素イオンを含有する水に通電すると、陽極側に酸性水が生成され、陰極側にアルカリ性水が生成される。陽極側に生成される酸性水は、次亜塩素酸を含み殺菌作用を有している。このため、酸性水は、消毒や殺菌に使用される。また、近年では、脱臭手段としての利用が検討されている。
塩素イオンを含有する水を電気分解して電解水を生成する電解水製造装置としては、電解槽へ連続的に水を通水しながら電解水を生成する通水式の電解水製造装置や、容器に貯留された水を電気分解することで、所定量の電解水を生成する貯留式の電解水製造装置などが実用化されている。
貯留式の電解水製造装置では、塩水を電解することにより電解水を生成する。この電解処理を繰り返すごとに、塩水のイオン濃度は低くなっていく。所定濃度の電解水を安定して生成するためには、このイオン濃度を所定範囲に維持する必要があり、イオン濃度が低下した塩水を適宜交換する必要がある。しかしながら、電解処理を繰り返した塩水は強アルカリ性になっており、強い刺激性を有するほか、排水処理系統へ損傷を与える可能性があるので、PHを下げる処理を行わずにそのまま下水等に排水すると問題があった。
本発明は、上述の事情の下になされたもので、強アルカリ性の塩水の排水が排水処理系統へ及ぼす損傷等の悪影響の防止を図ることを課題とする。
上記課題を解決するため、本実施形態に係る電解水製造装置は、第1電極が配置される第1電極室と、前記第1電極とは極性が異なる第2電極が配置される第2電極室とに隔膜で区分された2室型の電解槽と、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加する電源と、前記第1電極室に水を供給し、前記第2電極室に塩水を供給する供給系と、電気分解により生成された電解水を前記第1電極室から貯留タンクへ移送する移送系と、前記第1電極室、前記第2電極室内の電解水もしくは塩水を排水する排水系と、電解水の生成、移送、および塩水の排水を行うために、前記電源、前記供給系、前記移送系、及び前記排水系を制御する制御手段と、前記第2電極室内の塩水と前記第1電解室内の電解水もしくは水とを混合する混合手段と、を備える。
《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る電解水製造装置10の概略構成を示す図である。電解水製造装置10は、塩水を電気分解することにより、酸性の次亜塩素酸を含む酸性水を生成する装置である。
以下、第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る電解水製造装置10の概略構成を示す図である。電解水製造装置10は、塩水を電気分解することにより、酸性の次亜塩素酸を含む酸性水を生成する装置である。
図1に示すように、電解水製造装置10は、電解槽11、貯留タンク12、塩水タンク13、直流電源31、及び制御装置50を備えている。
電解槽11は、樹脂やステンレス鋼などからなる容体である。電解槽11は、例えば直方体状のケーシング11aと、ケーシング11aの内部に配置されるケーシング11bから構成されている。ケーシング11aの内部空間と、ケーシング11bの内部空間は、イオン交換膜21を介して通じている。電解槽11では、ケーシング11aとケーシング11bとが組み合わされることで、ケーシング11bの内部空間が陰極室S2となり、残るケーシング11aの内部空間が陽極室S1となる。
陽極室S1は、管路110を介して、商用の水道設備に接続されるとともに、管路111を介して、貯留タンク12に接続されている。また、陽極室S1の内部には、酸性水を生成するための電極23が配置されている。
陽極室S1には、水道設備から水道水が供給される。陽極室S1に供給される水道水としては、炭酸カルシウムを主成分とするスケールの堆積を防止する観点から、アルカリ成分が少ない軟水を用いることが好ましい。この種の軟水は、例えば、イオン交換樹脂を利用した軟水器を用いることで、生成することができる。水道設備から陽極室S1に供給される水道水は、電磁弁V1によって制御される。この電磁弁V1は、例えばノーマル閉の電磁弁である。電磁弁V1が開状態のときには、陽極室S1に水道水が供給される。電磁弁V1が閉状態のときには、陽極室S1への水道水の供給が停止する。以後、上述した軟水もしくは水道水を原水と記載することもある。
陽極室S1の水位は、ケーシング11aに設けられた水位センサW1によって検出される。水位センサW1としては、静電容量式水位センサ、導電率式水位センサ、フロート式水位センサなどを用いることができる。水位センサW1は、例えば陽極室S1の水位が電解に適した定格水位になったときにオンとなる接点を有している。
陰極室S2は、ケーシング11bに包囲される空間であり、内部には電極24が配置されている。陰極室S2の内部には塩水が充填される。塩水としては、例えば、水(H2O)に、電解質として塩化ナトリウム(NaCl)を加えることにより生成される塩水、或いは、水に、塩素を含む塩化カリウム(KCl)などの塩を加えることにより生成される塩水が用いられる。塩水の濃度は特に制限されるものではないが、電解時の安定性を考慮すると、ある程度濃度が高い方が好ましい。なかでも塩水として飽和塩化ナトリウムを用いることが好ましい。
イオン交換膜21は、例えば塩素イオンCl−などの陰イオンを通過させる性質を有する陰イオン交換膜である。陰イオン交換膜としては、アストム社のネオセプタ(登録商標)、AGCエンジニアリング社のセレミオン(登録商標)などを用いることができる。
また、イオン交換膜21に代えて、多孔質膜を用いることもできる。多孔質膜としては、ポリオレフィンやフッ素化合物のような化学的に安定な有機高分子材料薄膜に、微多孔を形成して得られる有機微多孔膜や、無機酸化物多孔質膜などを用いることができる。無機酸化物としては種々のものを用いることができる。例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ニッケル等の微粉末を支持体に塗布したものを用いることができる。特に、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウムを用いることが好ましい。その他の多孔質膜としては、塩素、フッ素系のハロゲン化高分子を有する多孔質ポリマー等を用いることもできる。
陽極となる電極23は、例えば、チタン(Ti)、ステンレス鋼(SUS)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、或いはこれらの合金、クラッド材からなる。電極23は、長方形板状に整形されており、原水を流通させるとともに表面積を増加させるために、複数の貫通孔が形成されている。貫通孔は、開口径が一定のストレート孔であっても、電極23の一側の面と他側の面とで径が異なるテーパー形状に整形されていてもよく、内壁面が曲面になるように整形されていてもよい。
貫通孔の形状は、矩形、円形、楕円形など、任意の形状とすることができる。また、貫通孔は、マトリクス状、或いはハニカム状に規則的に配列されていてもよく、不規則に配列されていてもよい。
電極23の表面には、例えば、白金(Pt)などの貴金属触媒や、酸化イリジウムなどの酸化物触媒が添着されている。
陰極となる電極24も、電極23と同様に構成されている。電極24には、チタンやステンレス鋼などの耐食性を有する金属を、そのまま用いることもできる。また、電極反応を円滑に行わせるため、白金(Pt)等の触媒を添着してもよい。
陽極室S1の容積VOL1に対して、塩水を有する陰極室S2の容積VOL2を小さくする。陰極室S2内の塩水は、陽極室S1で電解水を生成する電解処理を複数回繰り返すごとに入れ換えるようにする。電解水を生成する電解処理を繰り返すごとに塩水のイオン濃度は低くなるため、電解効率の低下を招き、更には生成される電解水の酸性度が一定でなくなるからである。
電解水を生成するために、隔膜越しに損失する電解質の量は少ない。このため、隔膜を介して塩水を隔離するのであれば、陰極室S2の容積VOL2は、陽極室S1の容積VOL1の1/10〜1/100程度に小さくすることができる。また、電解水の生成処理を行うたびに塩水の交換を行わず、複数回繰り返した後に塩水の交換を行うことで、塩水を効率的に消費するとともに、無駄な交換時間や電力を削減することができる。
管路113は、電解槽11の陽極室S1と陰極室S2とを接続する。管路113に設けられているポンプP1は、制御装置50の指示に基づいて、陰極室S2内の塩水を陽極室S1に移動させる。また、陽極室S1内の電解水を陰極室S2に移動させる。この管路113とポンプP1及び制御装置50とは、陰極室S2(第2電極室)内の塩水と陽極室S1(第1電解室)内の電解水もしくは水とを混合する混合手段を構成する。
管路113には、管路115が接続されており、ポンプP1で送られた陰極室S2内の塩水が管路115から排水される。管路115には、電磁弁V4が設けられている。電磁弁V4は、制御装置50の指示に基づいて開閉し、排水時以外に塩水が排水されることを防止する。
直流電源31は、制御装置50の指示に基づいて、電極23と電極24間に直流電圧を印加する。電解水製造装置10では、電極23が陽極となり、電極24が陰極となるように、それぞれの電極23,24に電圧が印加される。
貯留タンク12は、例えば、樹脂や、ステンレス鋼などの金属からなるタンクである。貯留タンク12の容積VOL3は、陽極室S1の容積VOL1の10倍以上であることが好ましい。貯留タンク12は、電解槽11よりも低い位置に設置され、電解槽11の陽極室S1と管路111を介して接続されている。また、貯留タンク12は、管路112を介して、電解水を使用するユースポイントと接続されている。貯留タンク12の水位は、例えば水位センサW2によって検出される。水位センサW2としては、静電容量式水位センサ、導電率式水位センサやフロート式水位センサなどを用いることができる。水位センサW2は、例えば貯留タンク12が満水から陽極室S1の容積VOL1だけ低下したときにオフとなる接点を有している。
管路111は、一端が、電解槽11の陽極室S1を構成するケーシング11aの底部に接続されている。そして、他端が、貯留タンク12の上部に接続されている。陽極室S1で生成された電解水は、管路111を介して貯留タンク12へ移送され貯留される。また、貯留タンク12に貯留された電解水は、管路112を介して、電解水のユースポイントへ供給される。
管路111,112には、それぞれ電磁弁V2,V3が設けられている。電磁弁V2は、例えばノーマル閉の電磁弁である。陽極室S1で生成された電解水は、電磁弁V2が開状態のときに、重力により貯留タンク12へ移送され、電磁弁V2が閉状態のときには、貯留タンク12への移送が停止する。また、電磁弁V3は、電解水製造装置10のユーザや、外部装置によって制御される電磁弁である。貯留タンク12の電解水は、電磁弁V3が開のときに、ユースポイントへ供給される。電磁弁V3が閉のときには、ユースポイントへの供給が停止する。
また、陽極室S1の底面には管路117が接続され、管路117に設けた電磁弁V7を介して、陽極室S1中の電解水が排水される。
塩水タンク13は、塩水を貯留するタンクである。塩水タンク13は、管路113,114を介して、電解槽11の陰極室S2に接続される。管路113に設けられているポンプP1は、制御装置50の指示に基づいて、塩水タンク13内の塩水を、電解槽11の陰極室S2に供給する。管路114には、電磁弁V5が設けられている。電磁弁V5は、制御装置50の指示に基づいて開閉し、電解槽11内の塩水を排水する際に、塩水が塩水タンク13に入ることを防止する。
制御装置50は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、CPUの作業領域となる主記憶部、プログラムや各種パラメータを記憶する補助記憶部などを有するコンピュータである。制御装置50は、機能的には図2に示すように、酸性度推定部51、異常終了記憶部52、駆動部53を備える。
酸性度推定部51は、電解処理回数カウント部511と第1記憶部512とを備える。電解処理回数カウント部511は、陰極室S2内の塩水の入れ替えを行ってから、次に塩水を入れ替えるまでに行われる電解処理の回数Kをカウントする。そして、電解処理回数カウント部511は、カウントした回数Kを第1記憶部512に記憶する。電解処理回数カウント部511は、塩水の入れ替えが行われるとカウント値を「0」にリセットする。
陽極室S1の容量VOL1、陰極室S2の容量VOL2、塩水の濃度等が同じであれば、所定の酸性度の電解水を生成するために必要な電解処理の時間は同じである。1回の電解処理によって変化する塩水の酸性度の変化量は、予め実験により求めておく。電解処理を行うたびに塩水のPHは高くなっていく。酸性度推定部51は、塩水の交換後に行った電解処理の回数Kに基づいて、塩水のPHを推定することができる。塩水のPHが、塩水の排水に際しPHを下げる等の配慮が必要となる値にまで上昇するのに要する電解処理の回数Nを予め実験で求め、記憶部に設定しておく。これにより、制御装置50は、塩水交換後の電解処理の回数Kに基づいて、排水する塩水を中和・希釈処理すべきか否かを判断することができる。
また、1回の電解処理による塩水のイオン濃度の変化量、イオン濃度の変化に伴う電解水の有効塩素生成効率の変化度との関係を予め実験により求め、記憶部に記憶しておく。これにより、酸性度推定部51は、塩水の交換後に行った電解処理の回数Kに基づいて、塩水のイオン濃度を推定することができる。所定時間の電解処理によって生成される電解水の有効塩素量の許容範囲から、塩水を交換すべき回数Mを予め実験で求め、記憶部に設定しておく。これにより、制御装置50は、塩水交換後の電解処理の回数Kから塩水を交換すべきタイミングを判断することができる。
塩水の入れ換え後、次に塩水の入れ換えを行うまでの電解処理の回数Mは、陽極室S1の容積VOL1、陰極室S2の容積VOL2、生成される電解水の濃度等で定まる。 一実施例では、陽極室S1を1L、陰極室S2を0.02Lとした場合、電解処理を20回以上繰り返すと、生成される電解水の酸性度に影響が出始めた。また、塩水のPHが塩水の排出に際しPHを下げる等の配慮が必要となる値に達するまでの電解処理の回数Nは、10回程度であった。
異常終了記憶部52は、電解水製造装置10が異常終了した場合、異常終了した履歴を第2記憶部521に記憶する。例えば、停電とかコンセントを抜かれた場合、後述する処理フローチャートに従わない終了をする場合がある。装置が故障した場合も同様である。異常終了記憶部52は、プログラム内に埋め込んだ処理の流れを追跡する機能に基づいて、異常終了したか否かを判断する。そして、異常終了した場合には、その履歴を第2記憶部521に記憶する。
駆動部53は、補助記憶部に記憶されたプログラムに基づいて、上述した、直流電源31、各電磁弁V1,V2,V3,V4,V5,V6、V7、ポンプP1を駆動する。
次に、上述のように構成される電解水製造装置10の動作について説明する。図3は、制御装置50が実行する一連の処理を示すフローチャートである。電解水製造装置10は、制御装置50が、図3のフローチャートに準じた処理を行うことで動作する。以下、図3を参照して、制御装置50が実行する処理について説明する。
説明の前提として、装置を動作させる前には、各電磁弁V1〜V7は閉状態であり、直流電源31は停止しているものとする。また、陽極室S1及び陰極室S2には前回動作終了時の塩水および電解水が残っているものとする。貯留タンク12は、空の状態であるものとする。
図3のフローチャートに示される一連の処理は、例えば、制御装置50が、ユーザからの開始指令を受け付けることにより開始される。まず、制御装置50は、前回の自装置の動作終了が異常終了であったか否かを判断する(ステップS11)。異常終了とは、装置故障や停電等に伴う図3に示すフローチャートに基づかない装置の運転終了を言う。制御装置50は、異常終了記憶部52内の第2記憶部521を確認し、異常終了の履歴を確認する。
第2記憶部521に異常終了の履歴が残っていない場合(ステップS11:No)、制御装置50は、陰極室S2内の塩水を排水する(ステップS12)。具体的には、制御装置50は、電磁弁V4を開いて、ポンプP1で陰極室S2内の電解水を排水する。正常終了している場合、後述するように、陰極室S2にはスケール対策処理のために、PHが中性近傍の電解水が溜まっている。したがって、そのまま下水等に電解水を排水しても排水処理系統の損傷等の要因にはならない。制御装置50は、排水が終わると、電磁弁V4を閉じ、ポンプP1を停止させる。
一方、第2記憶部521に異常終了の履歴が残っていた場合(ステップS11:Yes)、制御装置50は、前回異常終了時の対応処理を行う(ステップS13)。前回異常終了している場合、電解槽11内の液体のPH値が不明である場合がある。例えば、PHが排水に際しPHを下げる等の配慮を要する値まで上昇している塩水が残っている場合も想定される。このままを排水すると排水処理系統損傷等の要因となる。これを防止するために、電解水製造装置10は、ステップS13の処理を行う。
前回異常終了時の対応処理については、図4を参照して説明する。前回異常終了している場合、制御装置50は、電磁弁V7を開いて、陽極室S1内に残っている電解水を排水する(ステップS31)。陽極室S1に溜まっている電解水はそのまま排水しても排水処理系統損傷等の要因となることはない。図3に示すフローチャートにおいて、どこで処理が停止されても、陽極室S1内の液体のPHが過度に高くなったり、低くなることはないからである。排水に際しては、必要に応じて図示しないポンプを使用してもよい。制御装置50は、排水が終わると、電磁弁V7を閉じる。
次に、制御装置50は、電磁弁V1を開状態に制御して、水位センサW1がオンになるまで原水を陽極室S1に注入する(ステップS32)。次に、制御装置50は、直流電源31を制御して、電極23と電極24間に直流電圧を印加し、所定時間の間、電気分解処理を行う(ステップS33)。陽極室S1内の原水を電気分解して酸性の電解水を作るためである。電気分解の詳細については後述する。
次に、制御装置50は、電磁弁V6を開状態になるように制御する。そして、制御装置50は、ポンプP1を制御して、陰極室S2内の塩水を陽極室S1に移動させる(ステップS34)。上述したように、陽極室S1の容量VOL1は、陰極室S2の容量VOL2に比べて十分に大きい。したがって、陰極室S2内の塩水のPHが高い(この場合、アルカリ性度が高い)場合でも、陽極室S1内の原水で希釈してPHを下げることができる。さらに、ステップS33の処理により、陽極室S1内に注入した原水は、電気分解により酸性になっている。したがって、アルカリ性度の高い塩水と酸性になった電解水とを混合することによる中和効果が生じ、塩水のアルカリ性度をさらに下げることができる。
次に、制御装置50は、電磁弁V7を開状態に制御して、陽極室S1内の中和・希釈された塩水を排水する(ステップS35)。陽極室S1内で中和・希釈処理することで塩水のPHは、排水に際してPHを下げる等の配慮を要する範囲ではなくなるので、下水等に排水しても排水処理系統損傷等の要因になることはない。制御装置50は、塩水の排水を終えると、電磁弁V7を閉状態に制御する。そして、制御装置50は、処理を図3のステップS14に遷移させる。
次に、制御装置50は、電磁弁V5を開状態に制御し、ポンプP1を駆動して、所定量の新しい塩水を塩水タンク13から陰極室S2に注入する(ステップS14)。新しい塩水の注入を終えると、酸性度推定部51の電解処理回数カウント部511は、電解処理回数Kを「0」にリセットし、第1記憶部512に「0」を記憶する。
次に、制御装置50は、電解水を生成する電解処理を行う(ステップS15)。電解処理については、図5を参照して説明する。
まず、制御装置50は、水位センサW2がオンであるか否かを判断する(ステップS41)。貯留タンク12が満水から陽極室S1の容積VOL1だけ低下した水位以上であるときには、水位センサW2がオンになり、貯留タンク12が満水から陽極室S1の容積VOL1だけ低下した水位以下であるときには、水位センサW2はオフになる。水位センサW2がこのようなオン・オフ信号を出力することにより、オフ状態であれば、電解生成された容積VOL1の電解水を貯留タンク12へ移送しても貯留タンク12が溢れないことが担保される。制御装置50は、水位センサW2がオンであると判断した場合には(ステップS41:Yes)、貯留タンク12の電解水がユーザや外部装置によって排水され、水位センサW2がオフとなるのを待ち受ける。
一方、制御装置50は、水位センサW2がオフであると判断した場合には(ステップS41:No)、陽極室S1に原水を注入する(ステップS42)。具体的には、制御装置50は、電磁弁V1を開状態に制御する。これにより、原水(水道水)が、電解槽11の陽極室S1へ供給される。
次に、制御装置50は、水位センサW1がオンであるか否かを判断する(ステップS43)。陽極室S1が満水であるときには、水位センサW1がオンになり、陽極室S1が満水でないときには、水位センサW1はオフになる。制御装置50は、水位センサW1がオフであると判断した場合には(ステップS43:No)、電磁弁V1の開状態を継続する。一方、制御装置50は、水位センサW1がオンであると判断した場合には(ステップS43:Yes)、電磁弁V1を閉状態にする(ステップS44)。これにより、陽極室S1へ所定量の原水を供給した後、供給が停止する。
次に、制御装置50は、電極23,24に直流電圧を印加して、原水の電気分解を行う(ステップS45)。具体的には、制御装置50は、直流電源31を運転する。これにより、直流電源31によって、電極23,24間に直流電圧が印加される。電極23,24間に直流電圧が印加されると、陰極室S2に貯留された塩水中の塩素イオンCl−が、イオン交換膜21を通過して、陽極室S1へ移動する。陽極室S1へ移動した、塩素イオンCl−は酸化されるとともに、陽極室S1の水(H20)と反応する。これにより、次式(1)に示されるように、陽極室S1では、次亜塩素酸と塩酸を含有し、酸性を呈する酸性水が生成される。
2Cl−+H20→HClO+HCl+2e− …(1)
また、陰極室S2では、ナトリウムイオンNa+が、陰極室S2の水酸イオンOH−と反応する。これにより、水酸化ナトリウムが生成される。また、陰極室S2では、水酸イオンOH−の対イオンである水素イオンH+が還元されて水素ガスが生成される。次式(2)に示されるように、陰極室S2では、水酸化ナトリウムを含有し、アルカリ性を呈するアルカリ性水と、水素ガスが生成される。
2Na++2e−+2H20→2NaOH+H2 …(2)
次に、制御装置50は、直流電源31の運転を開始してから、所定の時間が経過したか否かを判断する。直流電源31の1回あたりの運転時間DTは、電極23及び陽極室S1などの大きさや、陰極室S2に貯留された塩水の濃度、直流電源31の出力電流などによって規定される。制御装置50は、直流電源31の運転を開始してから運転時間DTが経過していないと判断した場合には、直流電源31の運転を継続する。
一方、制御装置50は、直流電源31の運転を開始してから運転時間DTが経過したと判断した場合には、直流電源31の運転を停止する。これにより、陽極室S1は、所定濃度の次亜塩素酸水が生成された状態になっている。
ステップS15の電解処理が終了すると、酸性度推定部51は、電解処理回数カウント部511のカウンタKに「1」を加算し、カウンタKの値を第1記憶部512に記憶する。電解処理回数カウント部511は、ステップS15の一連の電解処理が終了するたびに、カウンタKに「1」を加算していく。加算処理が終了すると、制御装置50は、図3のステップS16に処理を遷移させる。
次に、制御装置50は、ユーザが装置の停止スイッチ(図示しない)を押下した履歴があるか否かを確認する(ステップS16)。ユーザが装置の停止スイッチを押したランダムなタイミングで装置を停止させると、問題が生じる場合がある。例えば、電解処理の途中で装置を停止させると、塩水のPH管理が複雑になる。また、塩水の排水途中に装置を停止させると、排水量の管理が複雑になる。そこで、制御装置50は、ステップS15の電解処理の終了後に、ユーザが装置の停止スイッチを押下した履歴を確認し、このタイミングで装置の停止処理への遷移の判断を行っている。
ユーザにより装置の停止スイッチが押下されていない場合(ステップS16:No)、制御装置50は、陽極室S1内の電解水を貯留タンク12に移送する(ステップS17)。具体的には、制御装置50は、電磁弁V2を開状態にする。これによって、陽極室S1で生成された電解水が貯留タンク12へ移送される。次に、制御装置50は、電磁弁V2を開状態にしてから、所定の時間が経過したか否かを判断する。貯留タンク12へ電解水を移送するために要する移送時間TTは、陽極室S1の大きさや、管路111の内径や長さなどによって規定される。制御装置50は、電解水の移送を開始してから移送時間TTが経過していないと判断した場合には、電磁弁V2の開状態を維持して、電解水の移送を継続する。一方、制御装置50は、電解水の移送を開始してから移送時間TTが経過したと判断した場合には、電磁弁V2を閉状態にする。これにより、貯留タンク12への電解水の移送が停止する。なお、陽極室S1に水位下限を検出する下限水位センサを設置し、そのセンサ出力で電解水の移送終了を判断してもよい。
次に、制御装置50は、塩水を交換する必要があるか否かを判断する(ステップS18)。電解水を生成する電解処理を繰り返すごとに塩水のイオン濃度は低くなる。イオン濃度が低くなりすぎると、電解効率の低下を招き、更には生成される電解水の酸性度が一定でなくなるので、制御装置50は、塩水の交換の要否を判断する。具体的には、制御装置50の酸性度推定部51は、前回の塩水交換後にステップS15の一連の電解処理が行われた回数Kを、第1記憶部512を参照して確認する。そして、第1記憶部512に記憶されている回数Kが予め設定されている回数M(例えば、M=20)以上であった場合(ステップS18:Yes)、制御装置50は、塩水交換処理を行う(ステップS19)。
塩水交換処理については、図6を参照して説明する。塩水を交換してからステップS15の電解処理を繰り返す回数Kが増えるにしたがって、陰極室S2内の塩水のPH(アルカリ性度)は高くなっていく。塩水を交換する際には、塩水のアルカリ性度は高くなっており、排水に際しPHを下げる処理を要する範囲である場合もある。このアルカリ性度の高い塩水をそのまま下水等に排水すると排水処理系統損傷等の要因となるので、塩水の交換時にはその対策処理を合わせて行う。
塩水交換処理が始まると、制御装置50は、電磁弁V1を開状態に制御して、水位センサW1がオンになるまで原水を陽極室S1に注入する(ステップS61)。ステップS17の処理で陽極室S1内の電解水は空になっているので、塩水を中和・希釈する電解水を生成するための準備をするためである。
次に、制御装置50は、直流電源31を制御して、電極23と電極24間に直流電圧を印加し、所定時間の間、原水の電気分解処理を行う(ステップS62)。陽極室S1内の原水を電気分解して酸性の電解水を作るためである。
次に、制御装置50は、電磁弁V6を開状態になるように制御する。そして、制御装置50は、ポンプP1を制御して、陰極室S2内の塩水を陽極室S1に移動させる(ステップS63)。上述したように、陽極室S1の容量VOL1は、陰極室S2の容量VOL2に比べて十分に大きい。したがって、陰極室S2内の塩水のPHが高い(この場合、アルカリ性度が高い)場合でも、陽極室S1内の原水で希釈してPHを下げることができる。さらに、ステップS62の処理により、陽極室S1内に注入した原水は、電気分解により酸性になっている。したがって、アルカリ性度の高い塩水と酸性になった電解水とを混合することによる中和効果が生じ、塩水のアルカリ性度をさらに下げることができる。
次に、制御装置50は、電磁弁V7を開状態に制御して、陽極室S1内の塩水を排水する(ステップS64)。陽極室S1内で中和・希釈処理された塩水のPHは、排水に際してPHを下げる等の配慮を要する範囲ではなくなるので、下水等に排水しても排水処理系統損傷等の要因になることはない。制御装置50は、塩水の排水を終えると、電磁弁V7を閉状態に制御する。
次に、制御装置50は、電磁弁V5を開状態に制御し、ポンプP1を駆動して塩水タンク13内の所定量の塩水を陰極室S2に注入する(ステップS65)。塩水の注入を完了すると、制御装置50は、電磁弁V5を閉じ、ポンプP1を停止させる。以上の処理により、陰極室S2内の塩水は、新しい塩水に入れ替わる。
塩水の交換処理を終えると、酸性度推定部51の電解処理回数カウント部511は、電解処理回数Kを「0」にリセットし、第1記憶部512に「0」を記憶する。制御装置50は、塩水交換処理を終えると、処理をステップS15に遷移させる。
一方、第1記憶部512に記憶されている回数Kが予め設定されている回数M(例えば、M=20)未満であった場合(ステップS18:No)、制御装置50は、ステップS15からステップS18までの処理を繰り返す。この処理は、ユーザが装置の停止スイッチを押下するまで継続される。
ユーザが装置の停止スイッチを押下した場合には(ステップS16:Yes)、制御装置50は、装置を停止させる処理を行うためにステップS20に処理を遷移させる。電解水製造装置10は、電解処理回数Kに応じて使用していた塩水を適切に排水した後に装置の動作を停止させる。PHが高い塩水を陰極室S2内に貯留した状態を継続させると、陰極室S2内でスケールの堆積が進む要因となるからである。電解槽11の壁面および電極23、24に多くのスケールが堆積すると、イオン交換膜を介してのイオン移動を妨げたり、電極表面での電解反応を妨げたりするため、生成する電解水の酸性度を目標値とするための管理が困難になるからである。
制御装置50は、PHが排水に際してPHを下げる等の配慮を必要とする範囲になっている塩水を排水しないために、前回塩水を交換してから行った電解処理の回数Kが予め定められた回数N(例えば、N=10)以上であるか否かを判断する(ステップS20)。具体的には、制御装置50の酸性度推定部51は、前回の塩水交換後にステップS15の一連の電解処理が行われた回数Kを、第1記憶部512を参照して確認する。そして、第1記憶部512に記憶されている回数Kが予め設定されている回数N(例えば、K=10)以上であった場合(ステップS20:Yes)、制御装置50は、装置を停止する前に、中和・希釈処理(ステップS21)とスケール対策処理(ステップS22)を行う。
塩水を交換してから行った電解処理の回数Kが予め設定されている回数N以上になった場合、陰極室S2内の塩水のPHは排水に際してPHを下げる等の配慮を必要とする範囲になっている。中和・希釈処理については、図7を参照して説明する。制御装置50は、陰極室S2内のアルカリ性度の高い塩水を陽極室S1に移動させる(ステップS71)。具体的には、電磁弁V6を開状態に制御し、ポンプP1を駆動して、陰極室S2内のアルカリ性度の高い塩水を陽極室S1に移動させる。陽極室S1内には、ステップS15で生成された酸性の電解水が貯留されている。陽極室S1内の電解水の量は、陰極室S2内の塩水の量よりも数倍以上の量である。したがって、陰極室S2内のアルカリ性度の高い塩水を陽極室S1に移動させることにより、塩水は陽極室S1内の大量の酸性の電解水により、希釈および中和されるので、塩水のアルカリ性度はそのまま排水可能なPHとなる。
陰極室S2から陽極室S1への塩水の移動を終了すると、制御装置50は、電磁弁V6を閉状態に制御し、ポンプP1を停止させる。
次に、制御装置50は、陽極室S1内にある電解水と混合された塩水を排水する(ステップS72)。具体的には、制御装置50は、電磁弁V7を開状態に制御し、陽極室S1内の塩水を排水する。塩水の排水を終了すると、制御装置50は、電磁弁V7を閉状態に戻し、処理をステップS23に遷移させる。
次に、制御装置50は、スケール対策処理(ステップS22)を行う。長時間電解処理を行った後の陰極室S2の壁面および電極24には、スケールが堆積する。ステップS21では、陰極室S2内の塩水は陽極室S1に移動されて陰極室S2内は空の状態になっているが、陰極室S2の壁面および電極24にはスケールが堆積したままの状態である。多くのスケールが陰極室S2の壁面および電極24に堆積したまま次回の運転を行うと、イオン交換膜を介してのイオン移動を妨げたり、電極表面での電解反応を妨げたりするため、生成する電解水の酸性度を目標値とするための管理が困難になる。これを防止するために、電解水製造装置10は、スケール対策処理を行う。
スケール対策処理については、図8を参照して説明する。制御装置50は、まず、塩水を陰極室S2に注入する(ステップS81)。陽極室S1内に酸性の電解水を生成する準備のためである。ステップS21の処理で陰極室S2内の塩水が空になっているので、陰極室S2に新たな塩水を注入する。具体的には、電磁弁V5を開状態に制御し、ポンプP1を駆動して、塩水タンク13内の塩水を陰極室S2に注入する。塩水の注入が終わると、制御装置50は、電磁弁V5を閉じ、ポンプP1を停止する。
次に、制御装置50は、電磁弁V1を開状態に制御し、原水を陽極室S1に注入する(ステップS82)。制御装置50は、水位センサW1がオンになると、電磁弁V1を閉じ、原水の注入を停止する。
次に、制御装置50は、直流電源31を制御して、所定時間の間、電極23,24に直流電圧を印加して、原水の電気分解処理を行う(ステップS83)。これにより、陽極室S1内に酸性の電解水が生成される。
次に、制御装置50は、電磁弁V4を開状態に制御し、ポンプP1を駆動して、陰極室S2内の塩水を排水する(ステップS84)。陰極室S2内の塩水は、ステップS81で入れ替えたばかりなので中性近傍のPHの範囲であり、そのまま排水しても排水処理系統損傷等の要因にはならない。塩水の排水を終えると、制御装置50は、電磁弁V4を閉じ、ポンプP1を停止する。
次に、制御装置50は、陽極室S1内の酸性の電解水を陰極室S2に移動する(ステップS85)。陰極室S2内に堆積したスケールを酸性の電解水で溶かすためである。次の装置動作が開始されるまで、陰極室S2内に酸性の電解水を入れた状態が維持される。したがって、陰極室S2内に堆積したスケールは、酸性の電解水によって溶かされる。そして、次回の装置動作開始時のステップS12もしくはステップS13の処理で、スケールが溶け込んだ陰極室内の液体は排水される。制御装置50は、電磁弁V6を開状態に制御し、ポンプP1で陽極室S1内の酸性の電解水を陰極室S2に移動する。陰極室S2への電解水の移動を終えると、制御装置50は、電磁弁V6を閉じ、ポンプP1を停止する。そして、制御装置50は、図3のステップS23に処理を遷移する。
陽極室S1の容量VOL1は、陰極室S2の容量VOL2よりも大きい。したがって、ステップ22の処理で、陽極室S1から陰極室S2へ電解水を移動した後、陽極室S1内には電解水が残っている。制御装置50は、電磁弁V2を開状態にして、残っている電解水を貯留タンク12へ移送する(ステップS23)。電解水の移送を終えると、制御装置50は、電磁弁V2を閉じる。そして、装置の動作を停止する。
一方、ユーザが装置の停止スイッチを押下したときに(ステップS16:Yes)、第1記憶部512に記憶されている回数Kが予め設定されている回数N(例えば、N=10)未満であった場合(ステップS20:No)、制御装置50は、装置を停止する前に、陰極室S2内の塩水をそのまま排水する(ステップS24)。このケースでは、塩水のPHは排水に際してPHを下げる等の配慮を必要としない範囲内であるからである。
次に、制御装置50は、ポンプP1を駆動して陽極室S1内の電解水を陰極室S2に移動させる(ステップS25)。陽極室S1内の電解水は、ステップS15の処理により、酸性になっている。ステップS22で説明したように、陰極室S2の壁面および電極24にはスケールが堆積している場合が多い。したがって、酸性の電解水を陰極室S2に移動することにより、陰極室S2内に堆積したスケールを溶かすためである。
次に、制御装置50は、電磁弁V2を開状態にして、陽極室S1内に残っている電解水を貯留タンク12へ移送する(ステップS26)。電解水の移送を終えると、制御装置50は、電磁弁V2を閉じる。そして、装置の動作を停止する。
ステップS23もしくはステップS26の処理を経由しないで装置が停止した場合、例えば、停電とかコンセントを抜かれた場合、制御装置50の異常終了記憶部52は、異常終了した履歴を第2記憶部521に記憶する。
(変形例1)
上記の説明では、PHが高い塩水を排水する場合、中和処理と希釈処理を行う説明をした。しかし、陽極室S1の容量VOL1が陰極室S2の容量VOL2に対して十分大きい場合、中和処理を省略しても、希釈のみで塩水のPHをそのまま排水することができるPHまで下げることができる場合がある。
上記の説明では、PHが高い塩水を排水する場合、中和処理と希釈処理を行う説明をした。しかし、陽極室S1の容量VOL1が陰極室S2の容量VOL2に対して十分大きい場合、中和処理を省略しても、希釈のみで塩水のPHをそのまま排水することができるPHまで下げることができる場合がある。
また、装置を停止する際にスケール対策処理を行う説明をした。しかし、堆積するスケールの量は、装置の連続動作時間、原水中のアルカリ成分濃度等によって異なってくるので、スケール対策処理を省略できる場合もある。
中和処理を省略する場合、ステップS33、S62の処理を省略する。ステップS21における中和処理は、中和処理のための追加工程を必要としないので、第1の実施形態のままとする。スケール対策処理を削除したフローチャートを図9に示す。
以上説明したように本実施形態に係る電解水製造装置10は、電解槽11の陽極室S1と陰極室S2とを接続するポンプP1を有する管路113を備える。そして、陰極室S2内のアルカリ性度の高い塩水を陽極室S1に移動させ、中和・希釈処理した後、塩水を排水する。これにより、高アルカリ塩水の排水に伴う排水処理系統損傷等の防止を図ることができる。
また、制御装置50が備える酸性度推定部51は、塩水交換後の電解処理の回数Kをカウントすることにより、塩水の酸性度(アルカリ性度)を推定する。これにより、PHセンサを設けなくても塩水の酸性度(アルカリ性度)を推定することができる。PHの高い塩水の中で使用可能なPHセンサの価格は高い。また、PHセンサの耐久時間は短く、PHセンサを使用すると装置価格を高くする他、メンテナンス頻度を増加させる要因となる。電解水製造装置10では、塩水交換後の電解処理の回数Kに基づいて塩水の酸性度(アルカリ性度)を推定することにより、装置価格を低減している。
また、本実施形態に係る電解水製造装置10は、運転終了時にスケール対策処理を行う。これにより、電解槽11内に堆積したスケールを溶かすことができる。そして、運転開始時にスケールが溶け込んだ電解水を排出する。これにより、安定した電解水の生成を可能とすることができる。
なお、上記の説明では、管路113にのみポンプP1を設けるという説明をした。しかし、電解槽11、貯留タンク12、塩水タンク13を取り付ける相互の高さに応じて、必要個所にポンプを設けるようにしてもよい。また、前記機能を実現することが可能であれば、配管配置、バルブ、ポンプ配置等は本実施例に制約されるものではない。
また、上記の説明では、酸性度推定部51が塩水交換後の電解処理の回数Kをカウントすることにより塩水の酸性度(アルカリ性度)および塩水のイオン濃度を推定する説明をした。しかし、酸性度推定部51が、塩水交換後の電解処理の合計時間を測定し、その合計時間に基づいて、塩水の酸性度(アルカリ性度)およびイオン濃度を推定するようにしてもよい。電解処理の時間は、直流電源31を駆動している時間である。したがって、酸性度推定部51は、直流電源31を駆動している時間を積算することにより、塩水の酸性度(アルカリ性度)およびイオン濃度を推定することができる。
また、酸性度推定部51にPHセンサ、イオン濃度センサを備え、PHセンサで塩水のPHを測定し、イオン濃度センサで塩水のイオン濃度を測定するようにしてもよい。例えば、スケール対策処理を省略した場合、電解処理回数をカウントするだけでは、生成した電解水のPHや次亜塩素酸濃度を精度よく管理できない場合がある。このような場合、センサを使用してPHや次亜塩素酸濃度を精度よく管理するようにしてもよい。ただし、この場合は、センサ費用分のコストが生じることになる。
また、上記の説明では、製造終了判断処理を電解処理(図3のステップS15)の後で行う説明をした。しかし、製造終了判断のタイミングはこれに限定する必要はない。例えば、電解水の移送処理(図3のステップS17)後に行うようにしてもよい。ただし、この場合は、陽極室S1内が空になっているので、ステップS21の中和・希釈処理の処理内容等を変更する必要がある。
《第2の実施形態》
次に、第2の実施形態を図面に基づいて説明する。第1の実施形態と同一又は同等の構成については、同等の符号を用いるとともに、その説明を省略又は簡略する。第2の実施形態に係る電解水製造装置10Bは電解槽11が3室型である点で、2室型である第1の実施形態に係る電解水製造装置10と異なる。また、電解槽11、貯留タンク12A及び12B、塩水タンク13間の配管構成が異なっている。
次に、第2の実施形態を図面に基づいて説明する。第1の実施形態と同一又は同等の構成については、同等の符号を用いるとともに、その説明を省略又は簡略する。第2の実施形態に係る電解水製造装置10Bは電解槽11が3室型である点で、2室型である第1の実施形態に係る電解水製造装置10と異なる。また、電解槽11、貯留タンク12A及び12B、塩水タンク13間の配管構成が異なっている。
図10は、第2の実施形態に係る電解水製造装置10Bの概略構成を示す図である。図10では、制御装置50から電磁弁及びポンプへの制御線の記載を省略している。電解水製造装置10Bは、塩水を電気分解することにより、次亜塩素酸を含む酸性水と、水酸化ナトリウムを含むアルカリ性水と、を生成する装置である。
図10に示すように、電解水製造装置10Bは、電解槽11、貯留タンク12A,12B、塩水タンク13、直流電源31、及び制御装置50を備えている。
電解槽11は、樹脂やステンレス鋼などからなる容体である。電解槽11の内部は、1組のイオン交換膜21,22によって、陽極室S1,陰極室S2,中間室S3に区分されている。イオン交換膜21は、例えば塩素イオンCl−などの陰イオンを通過させる性質を有する陰イオン交換膜である。また、イオン交換膜22は、例えばナトリウムイオンNa+などの陽イオンを通過させる性質を有する陽イオン交換膜である。
陰イオン交換膜としては、アストム社のネオセプタ(登録商標)、AGCエンジニアリング社のセレミオン(登録商標)などを用いることができる。陽イオン交換膜としては、例えば、イー・アイ・デュポン社のNAFION(登録商標)112,115,117や、旭硝子株式会社のフレミオン(登録商標)、旭化成株式会社のACIPLEX(登録商標)などを用いることができる。また、イオン交換膜21,22の双方、或いは一方に代えて、多孔質膜を用いることもできる。
中間室S3は、2つのイオン交換膜21,22によって挟まれる空間である。中間室S3には、塩化ナトリウム(NaCl)を電解質とする塩水が充填される。
陽極室S1は、イオン交換膜21を介して、中間室S3に隣接する空間である。陽極室S1には、酸性水を生成するための電極23が配置される。また、陰極室S2は、イオン交換膜22を介して、中間室S3に隣接する空間である。陰極室S2は、アルカリ性水を生成するための電極24が配置される。
陽極室S1及び陰極室S2は、管路110を介して、商用の水道設備に接続されている。また、陽極室S1は、管路111Aを介して、貯留タンク12Aに接続され、陰極室S2は、管路111Bを介して、貯留タンク12Bに接続されている。
陽極室S1及び陰極室S2には、水道設備から水道水が供給される。水道設備から陽極室S1に供給される水道水は、電磁弁V11によって制御され、水道設備から陰極室S2に供給される水道水は、電磁弁V12によって制御される。電磁弁V11,V12は、例えばノーマル閉の電磁弁である。陽極室S1の水位は、水位センサW1によって検出される。また、陰極室S2の水位は、水位センサW3によって検出される。なお、管路110から水道水を処理した軟水を供給することもある。以後、軟水もしくは水道水を原水と記載することもある。
管路113Bは、電解槽11の陽極室S1と中間室S3とを接続する。管路113Bに設けられているポンプP1は、制御装置50の指示に基づいて、中間室S3内の塩水を陽極室S1に移動させる。また、陽極室S1内の電解水を中間室S3に移動させる。この管路113BとポンプP1及び制御装置50とは、中間室S3内の塩水と陽極室S1内の電解水もしくは水とを混合する混合手段を構成する。
陽極室S1,陰極室S2及び中間室S3のそれぞれの底部には、排水用の管路115A,115B,115Cが接続されている。それぞれの管路には、制御装置50による制御で開閉する電磁弁V23,V24,V25が設けられている。
貯留タンク12A,12Bは、相互に同等の構成を有し、電解槽11よりも低い位置に設置されている。貯留タンク12Aは、電解槽11の陽極室S1と管路111Aを介して接続されている。また、貯留タンク12Bは、電解槽11の陰極室S2と管路111Bを介して接続されている。貯留タンク12A,12Bの水位は、例えば水位センサW2,W4によって検出される。また、貯留タンク12A,12Bには、オーバーフロー管120が設けられ、貯留される電解水の水位の上限が規定されている。
管路111Aは、一端が、陽極室S1の底部に接続され、他端が、貯留タンク12Aの上部に接続されている。陽極室S1で生成された電解水は、管路111Aを介して貯留タンク12Aへ移送され貯留される。また、貯留タンク12Aに貯留された電解水は、管路112Aを介して、電解水のユースポイントへ供給される。
管路111Bは、一端が、陰極室S2の底部に接続され、他端が、貯留タンク12Bの上部に接続されている。陰極室S2で生成された電解水は、管路111Bを介して貯留タンク12Bへ移送され貯留される。また、貯留タンク12Bに貯留された電解水は、管路112Bを介して、電解水のユースポイントへ供給される。
管路111A,112Aには、それぞれ電磁弁V21,V31が設けられている。電磁弁V21は、例えばノーマル閉の電磁弁である。陽極室S1で生成された電解水は、電磁弁V21が開状態のときに、貯留タンク12Aへ移送され、電磁弁V21が閉状態のときには、貯留タンク12Aへの移送が停止する。また、電磁弁V31は、電解水製造装置10Bのユーザや、外部装置によって制御される電磁弁である。貯留タンク12Aの電解水は、電磁弁V31が開のときに、ユースポイントへ供給される。電磁弁V31が閉のときには、ユースポイントへの供給が停止する。
同様に、管路111B,112Bには、それぞれ電磁弁V22,V32が設けられている。陰極室S2で生成された電解水は、電磁弁V22が開状態のときに、貯留タンク12Bへ移送される。電磁弁V22が閉状態のときには、貯留タンク12Bへの移送が停止する。また、貯留タンク12Bの電解水は、電磁弁V32が開のときに、ユースポイントへ供給される。電磁弁V32が閉のときには、ユースポイントへの供給が停止する。
直流電源31は、制御装置50の指示に基づいて、電極23と電極24間に直流電圧を印加する。電解水製造装置10Bでは、電極23が陽極となり、電極24が陰極となるように、それぞれの電極23,24に電圧が印加される。
塩水タンク13は、塩水を貯留するタンクである。塩水タンク13は、管路114を介して、中間室S3に接続される。管路114には、ポンプP2が設けられている。ポンプP2は、制御装置50の指示に基づいて、塩水タンク13内の塩水を、電解槽11の中間室S3に供給する。
制御装置50の構成は、第1の実施形態の説明と同じである。駆動部53は、補助記憶部に記憶されたプログラムに基づいて、上述した、直流電源31、各電磁弁V11,V12,V21,V22,V23,V24,V25,V31,V32及びポンプP1,P2を駆動する。
次に、上述のように構成される電解水製造装置10Bの動作について説明する。図11は、制御装置50が実行する一連の処理を示すフローチャートである。第2の実施形態に係る電解水製造装置10Bの動作説明は、第1の実施形態の説明において、陰極室S2を中間室S3に置き換えた説明となる。また、電解槽11が3室型になったことに伴い、制御する電磁弁等の名称が異なっている。
説明の前提として、各電磁弁V11,V12,V21,V22,V23,V24,V25は閉状態であり、直流電源31は停止しているものとする。また、貯留タンク12A,12Bは、空の状態であり、陽極室S1,陰極室S2、及び中間室S3には前回動作終了時の電解水もしくは塩水が溜まっているものとする。
電解水製造装置10Bは、制御装置50が、図11のフローチャートに準じた処理を行うことで動作する。以下、図11を参照して、制御装置50が実行する処理について説明する。まず、制御装置50は、前回の自装置の動作終了時に異常終了したか否かを判断する(ステップS11)。第2記憶部521に異常終了の履歴が残っていない場合(ステップS11:No)、制御装置50は、中間室S3内の塩水を排水する(ステップS212)。具体的には、制御装置50は、電磁弁V25を開いて、中間室S3内の塩水を排水する。制御装置50は、排水が終わると、電磁弁V25を閉じる。
一方、第2記憶部521に異常終了の履歴が残っていた場合(ステップS11:Yes)、制御装置50は、前回異常終了時の対応処理を行う(ステップS13)。
前回異常終了時の対応処理については、図12を参照して説明する。前回異常終了している場合、制御装置50は、電磁弁V23、V24を開いて、陽極室S1内および陰極室S2内に残っている電解水を排水する(ステップS31)。制御装置50は、排水が終わると、電磁弁V23、V24を閉じる。
次に、制御装置50は、電磁弁V11、V12を開状態に制御して原水を陽極室S1および陰極室S2に注入する(ステップS32)。次に、制御装置50は、直流電源31を制御して、電極23と電極24間に直流電圧を印加し、所定時間の間、原水の電気分解処理を行う(ステップS33)。
次に、制御装置50は、ポンプP1を制御して、中間室S3内の塩水を陽極室S1に移動させる(ステップS34)。これにより、中間室S3内の塩水のPHが高い(この場合、アルカリ性度が高い)場合でも、陽極室S1内の原水で希釈することにより塩水のPHを下げることができる。さらに、ステップS33の処理により、陽極室S1内に注入した原水は、電気分解により酸性になっている。したがって、アルカリ性度の高い塩水と酸性になった電解水とを混合することによる中和効果が生じ、塩水のアルカリ性度をさらに下げることができる。
次に、制御装置50は、電磁弁V23を開状態に制御して、陽極室S1内の塩水を排水する(ステップS35)。陽極室S1内で中和・希釈処理された塩水のPHは、そのまま排水しても排水処理系統の損傷等の要因とはならない程度に低下しているので、下水等に排水することが可能である。制御装置50は、塩水の排水を終えると、電磁弁V23を閉じる。
次に制御装置50は、電磁弁V22を開状態に制御して、陰極室S2内のアルカリ性水を、貯留タンク12Bへ移送する(ステップS36)。制御装置50は、アルカリ性水の移送を終えると、電磁弁V22を閉じ、処理を図11のステップS14に遷移させる。
次に、制御装置50は、ポンプP2を駆動して、新しい塩水を塩水タンク13から中間室S3に注入する(ステップS14)。新しい塩水の注入を終えると、酸性度推定部51の電解処理回数カウント部511は、電解処理回数Kを「0」にリセットし、第1記憶部512に「0」を記憶する。
次に、制御装置50は、電解水を生成する電解処理を行う(ステップS15)。電解処理については、図13を参照して説明する。
まず、制御装置50は、水位センサW2,W4の双方がオンであるか否かを判断する(ステップS201)。貯留タンク12A,12Bが満水であるときには、水位センサW2,W4がオンになり、貯留タンク12A,12Bが満水でないときには、水位センサW2,W4はオフになる。制御装置50は、水位センサW2,W4の双方がオンであると判断した場合には(ステップS201:Yes)、貯留タンク12A,12Bの電解水がユーザや外部装置によって排水され、水位センサW2とW4の双方がオンである状態が解消されるのを待ち受ける。
一方、制御装置50は、水位センサW2,W4の少なくとも一方がオフであると判断した場合には(ステップS201:No)、電磁弁V11,V12を開状態にして、原水を電解槽11の陽極室S1及び陰極室S2に注入する(ステップS202)。
次に、制御装置50は、水位センサW1がオンであるか否かを判断する(ステップS203)。陽極室S1が満水であるときには、水位センサW1がオンになり、陽極室S1が満水でないときには、水位センサW1はオフになる。制御装置50は、水位センサW1がオフであると判断した場合には(ステップS203:No)、電磁弁V11の開状態を継続する。一方、制御装置50は、水位センサW1がオンであると判断した場合には(ステップS203:Yes)、電磁弁V11を閉状態にする(ステップS204)。これにより、制御装置50は、陽極室S1への原水注入を停止する。
次に、制御装置50は、水位センサW3がオンであるか否かを判断する(ステップS205)。陰極室S2が満水であるときには、水位センサW3がオンになり、陰極室S2が満水でないときには、水位センサW3はオフになる。制御装置50は、水位センサW3がオフであると判断した場合には(ステップS205:No)、電磁弁V12の開状態を継続する。一方、制御装置50は、水位センサW3がオンであると判断した場合には(ステップS205:Yes)、電磁弁V12を閉状態にする(ステップS206)。これにより、制御装置50は、陰極室S2への原水注入を停止する。
次に、制御装置50は、水位センサW1,W3の双方がオンであるか否かを判断する(ステップS207)。制御装置50は、水位センサW1,W3の少なくとも一方がオフであると判断した場合には(ステップS207:No)、ステップS203〜S206の処理を繰り返し実行する。
一方、制御装置50は、水位センサW1,W3の双方がオンであると判断した場合には(ステップS207:Yes)、電気分解処理を行う(ステップS208)。具体的には、制御装置50は、直流電源31を運転し、電極23と電極24間に直流電圧を印加する。これにより、水の電気分解が行われ、陽極室S1では、次亜塩素酸と塩酸を含有し、酸性を呈する酸性水が生成される。また、陰極室S2では、水酸化ナトリウムを含有し、アルカリ性を呈するアルカリ性水と、水素ガスが生成される。制御装置50は、所定時間の間この処理を継続したのち、直流電源31の運転を停止する。
なお、使用しているイオン交換膜22の性質により、陰極室S2から中間室S3に水酸化ナトリウムが浸透するため、中間室S3内のアルカリ性度は、電解処理を行うごとに高くなっていく。
上述した電解処理が終了すると、酸性度推定部51は、電解処理回数カウント部511のカウンタKに「1」を加算し、カウンタKの値を第1記憶部512に記憶する。そして、制御装置50は、図11のステップS16に処理を遷移させる。
次に、制御装置50は、ユーザが装置の停止スイッチ(図示しない)を押下した履歴があるか否かを確認する(ステップS16)。ユーザにより装置の停止スイッチが押下されていない場合(ステップS16:No)、制御装置50は、陽極室S1内及び陰極室S2内の電解水を貯留タンク12A,12Bに移送する(ステップS17)。具体的には、制御装置50は、電磁弁V21,V22を開状態にする。これによって、陽極室S1及び陰極室S2で生成された電解水が貯留タンク12A,12Bへ移送される。次に、制御装置50は、電磁弁V21,V22を開状態にしてから、所定の時間が経過したか否かを判断する。貯留タンク12A,12Bへ電解水を移送するために要する移送時間TTは、陽極室S1及び陰極室S2の大きさや、管路111A,111Bの内径や長さなどによって規定される。制御装置50は、電解水の移送を開始してから移送時間TTが経過していないと判断した場合には、電磁弁V21,V22の開状態を維持して、電解水の移送を継続する。一方、制御装置50は、電解水の移送を開始してから移送時間TTが経過したと判断した場合には、電磁弁V21,V22を閉状態にする。これにより、貯留タンク12A,12Bへの電解水の移送が停止する。なお、陽極室S1および陰極室S2に水位下限を検出する下限水位センサを設置し、そのセンサ出力で電解水の移送終了を判断してもよい。
次に、制御装置50は、塩水を交換する必要があるか否かを判断する(ステップS18)。電解水を生成する電解処理を繰り返すごとに塩水のイオン濃度は低くなる。イオン濃度が低くなりすぎると、電解効率の低下を招き、更には生成される電解水の酸性度が一定でなくなるので、制御装置50は、塩水の交換の要否を判断する。具体的には、制御装置50の酸性度推定部51は、前回の塩水交換後にステップS15の一連の電解処理が行われた回数Kを、第1記憶部512を参照して確認する。そして、第1記憶部512に記憶されている回数Kが予め設定されている回数M(例えば、M=20)以上であった場合(ステップS18:Yes)、制御装置50は、塩水交換処理を行う(ステップS19)。
塩水交換処理については、図14を参照して説明する。予め設定されている回数Mの電解処理を行うと、中間室S3内の塩水のイオン濃度が低下して電解効率が低下するほか、PH(アルカリ性度)が高くなってそのまま下水等に排水すると排水処理系統の損傷等の要因となるので、塩水の交換時にはその対策処理を合わせて行う。
塩水交換処理が始まると、制御装置50は、電磁弁V11、V12を開状態に制御して、原水を陽極室S1および陰極室S2に注入する(ステップS61)。ステップS17の処理で陽極室S1および陰極室S2内の電解水は空になっているので、塩水を中和・希釈する処理の準備をするためである。
次に、制御装置50は、電源31を制御して、電極23と電極24間に直流電圧を印加し、所定時間の間、電気分解処理を行う(ステップS62)。陽極室S1内の原水を電気分解して酸性の電解水を作るためである。
次に、制御装置50は、ポンプP1を制御して、中間室S3内の塩水を陽極室S1に移動させる(ステップS63)。上述したように、陽極室S1の容量VOL1は、中間室S3の容量に比べて十分に大きい。したがって、中間室S3内の塩水のPHが高い(この場合、アルカリ性度が高い)場合でも、陽極室S1内の原水で希釈してPHを下げることができる。さらに、ステップS62の処理により、陽極室S1内に注入した原水は、電気分解により酸性になっている。したがって、アルカリ性度の高い塩水と酸性になった電解水とを混合することによる中和効果が生じ、塩水のアルカリ性度をさらに下げることができる。
次に、制御装置50は、電磁弁V23を開状態に制御して、陽極室S1内の塩水を排水する(ステップS64)。陽極室S1内で中和・希釈処理された塩水のPHは、前記希釈・中和処理により低下しているので、下水等に排水しても排水処理系統の損傷等の要因になることはない。制御装置50は、塩水の排水を終えると、電磁弁V23を閉じる。
次に、制御装置50は、電磁弁V22を開状態に制御して、陰極室S2内のアルカリ性水を貯留タンク12Bへ移送する(ステップS164)。移送が終了すると、制御装置50は電磁弁V22を閉じる。
次に、制御装置50は、ポンプP2を駆動して塩水タンク13内の塩水を中間室S3に注入する(ステップS65)。塩水の注入を完了すると、制御装置50は、ポンプP2を停止させる。以上の処理により、中間室S3内の塩水は、新しい塩水に入れ替わる。
塩水の交換処理を行うと、酸性度推定部51の電解処理回数カウント部511は、電解処理回数Kを「0」にリセットし、第1記憶部512に「0」を記憶する。制御装置50は、塩水交換処理を終えると、処理をステップS15に遷移させる。
一方、第1記憶部512に記憶されている回数Kが予め設定されている回数M(例えば、M=20)未満であった場合(ステップS18:No)、制御装置50は、ステップS15からステップS18までの処理を繰り返す。この処理は、ユーザが装置の停止スイッチを押下するまで継続される。
ユーザが装置の停止スイッチを押下した場合には(ステップS16:Yes)、制御装置50は、装置を停止させる処理を行うためにステップS20に処理を遷移させる。電解水製造装置10Bは、電解処理回数Kに応じて使用していた塩水を適切に排水した後に装置の動作を停止させる。
制御装置50は、前回塩水を交換してから行った電解処理の回数Kが予め定められた回数N(例えば、N=10)以上であるか否かを判断する(ステップS20)。具体的には、制御装置50の酸性度推定部51は、前回の塩水交換後にステップS15の一連の電解処理が行われた回数Kを、第1記憶部512を参照して確認する。そして、第1記憶部512に記憶されている回数Kが予め設定されている回数N以上であった場合(ステップS20:Yes)、制御装置50は、装置を停止する前に、中和・希釈処理(ステップS21)とスケール対策処理(ステップS22)を行う。
中和・希釈処理については、図15
を参照して説明する。制御装置50は、中間室S3内のアルカリ性度の高い塩水を陽極室S1に移動させる(ステップS71)。具体的には、制御装置50は、ポンプP1を駆動して、中間室S3内のアルカリ性度の高い塩水を陽極室S1に移動させる。陽極室S1内には、ステップS15で生成された酸性の電解水が貯留されている。陽極室S1内の電解水の量は、中間室S3内の塩水の量よりも数倍以上の量である。したがって、中間室S3内のアルカリ性度の高い塩水を陽極室S1に移動させることにより、塩水は陽極室S1内の大量の酸性の電解水により希釈および中和され、塩水のアルカリ性度はそのまま排水可能なPHとなる。
を参照して説明する。制御装置50は、中間室S3内のアルカリ性度の高い塩水を陽極室S1に移動させる(ステップS71)。具体的には、制御装置50は、ポンプP1を駆動して、中間室S3内のアルカリ性度の高い塩水を陽極室S1に移動させる。陽極室S1内には、ステップS15で生成された酸性の電解水が貯留されている。陽極室S1内の電解水の量は、中間室S3内の塩水の量よりも数倍以上の量である。したがって、中間室S3内のアルカリ性度の高い塩水を陽極室S1に移動させることにより、塩水は陽極室S1内の大量の酸性の電解水により希釈および中和され、塩水のアルカリ性度はそのまま排水可能なPHとなる。
中間室S3から陽極室S1への塩水の移動を終了すると、制御装置50は、ポンプP1を停止させる。
次に、制御装置50は、陽極室S1内にある電解水と混合された塩水を排水する(ステップS72)。具体的には、制御装置50は、電磁弁V23を開状態に制御し、陽極室S1内の塩水を排水する。塩水の排水を終了すると、制御装置50は、電磁弁V23を閉じる。
次に、制御装置50は、陰極室S2内にあるアルカリ性水を貯留タンク12Bへ移送する(ステップS73)。具体的には、制御装置50は、電磁弁V22を開状態に制御し、陰極室S2内のアルカリ性水を、貯留タンク12Bへ移送する。アルカリ性水の移送を終了すると、制御装置50は電磁弁V22を閉じ、制御をステップS22のスケール対策処置に遷移させる。
スケール対策処理については、図16を参照して説明する。制御装置50は、まず、塩水を中間室S3に注入する(ステップS81)。制御装置50は、陽極室S1内に酸性の電解水を生成する準備のために、ステップS21の処理で空になっている中間室S3に新たな塩水を注入する。具体的には、制御装置50は、ポンプP2を駆動して、塩水タンク13内の塩水を中間室S3に移動させる。塩水の注入が終わると、制御装置50は、ポンプP2を停止する。
次に、制御装置50は、電磁弁V11、V12を開状態に制御し、原水を陽極室S1、陰極室S2に注入する(ステップS82)。制御装置50は、水位センサW1がオンになると電磁弁V11を閉じ、水位センサW2がオンになると電磁弁V12をそれぞれ閉じ、原水の注入を停止する。
次に、制御装置50は、直流電源31を制御して、所定時間の間、電極23,24に直流電圧を印加して、原水の電気分解処理を行う(ステップS83)。これにより、陽極室S1内に酸性の電解水が生成される。
次に、制御装置50は、電磁弁V25を開状態に制御し、中間室S3内の塩水を排水する(ステップS84)。中間室S3内の塩水は、ステップS81で入れ替えたばかりなのでPHは高くなっていなく、そのまま排水しても排水処理系損傷等の要因とはならない。塩水の排水を終えると、制御装置50は、電磁弁V25を閉じる。
次に、制御装置50は、陽極室S1内の酸性の電解水を中間室S3に移動する(ステップS85)。中間室S3内に堆積したスケールを酸性の電解水で溶かすためである。次の装置動作が開始されるまで、中間室S3内に酸性の電解水を入れた状態が維持されるので、スケールは溶かされる。そして、次回の装置動作開始時のステップS212もしくはステップS13の処理で、スケールが溶け込んだ中間室S3内の液体は排出される。具体的には、制御装置50は、ポンプP1で陽極室S1内の酸性の電解水を中間室S3に移動する。中間室S3への電解水の移動を終えると、制御装置50は、ポンプP1を停止する。そして、制御装置50は、図11のステップS23に処理を遷移する。
陽極室S1の容量は、中間室S3の容量よりも大きい。したがって、ステップ22の処理で、陽極室S1から中間室S3へ電解水を移動した後、陽極室S1内には電解水が残っている。また、陰極室S2にも電解水が残っている。制御装置50は、電磁弁V21、V22を開状態にして、残っている電解水を貯留タンク12A、12Bへ移送する(ステップS23)。電解水の移送を終えると、制御装置50は、電磁弁V21、V22を閉じる。そして、装置の動作を停止する。
一方、ユーザが装置の停止スイッチを押下したときに(ステップS16:Yes)、第1記憶部512に記憶されている回数Kが予め設定されている回数N未満(例えば、N=10)であった場合(ステップS20:No)、制御装置50は、装置を停止する前に、電磁弁V25を開状態に制御し、中間室S3内の塩水をそのまま排水する(ステップS224)。このケースでは、塩水のPHは排水に際してPHを下げる等の配慮を必要としない範囲内であるからである。制御装置50は、塩水の排水を終えると、電磁弁V25を閉じる。
次に、制御装置50は、ポンプP1を駆動して陽極室S1内の電解水を中間室S3に移動させる(ステップS225)。ステップS15の処理により酸性になっている陽極室S1内の電解水によって、陰極室S2の壁面および電極24に堆積しているスケールを溶かすためである。
次に、制御装置50は、電磁弁V21,V22を開状態にして、陽極室S1および陰極室S2内に残っている電解水を貯留タンク12A,12Bへ移送する(ステップS26)。電解水の移送を終えると、制御装置50は、電磁弁V21,V22を閉じる。そして、装置の動作を停止する。
ステップS23もしくはステップS26の処理を経由しないで装置が停止した場合、例えば、停電とかコンセントを抜かれた場合、制御装置50の異常終了記憶部52は、その履歴を第2記憶部521に記憶する。
(変形例2)
第2の実施形態では、中間室S3内の塩水と陽極室S1内の電解水とを中和・希釈処理する説明をしたが、変形例1と同様に、中和処理及びスケール対策処理を省略することもできる。また、陽極室S1内の電解水と陰極室S2内の電解水とを中和・希釈処理したい場合もある。この場合は、図17に示すように、陽極室S1と陰極室S2間に、相互の電解水を移動させる混合手段(管路113C、ポンプP1)を設けるようにしてもよい。
第2の実施形態では、中間室S3内の塩水と陽極室S1内の電解水とを中和・希釈処理する説明をしたが、変形例1と同様に、中和処理及びスケール対策処理を省略することもできる。また、陽極室S1内の電解水と陰極室S2内の電解水とを中和・希釈処理したい場合もある。この場合は、図17に示すように、陽極室S1と陰極室S2間に、相互の電解水を移動させる混合手段(管路113C、ポンプP1)を設けるようにしてもよい。
以上説明したように本実施形態に係る電解水製造装置10Cは、電解槽11の陽極室S1と中間室S3とを接続するポンプP1を有する管路113Cを備える。そして、中間室S3内のアルカリ性度の高い塩水を陽極室S1に移動させ、中和・希釈処理した後、塩水を排水する。これにより、高アルカリ塩水の排水に伴う排水処理系統損傷等の防止を図ることができる。
なお、電解槽11、貯留タンク12A,12B、塩水タンク13の配置及び配管構成は設計事項である。これらは、設置場所に応じて相互の高さ関係を変えて配置すればよい。また、これらの位置関係及び配管構成に合わせて、必要に応じて電磁弁及びポンプを設けるようにすればよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10,10B,10C 電解水製造装置
11 電解槽
11a,11b ケーシング
12,12A,12B 貯留タンク
13 塩水タンク
21,22 イオン交換膜
23,24 電極
31 直流電源
50 制御装置
51 酸性度推定部
511 電解処理回数カウント部
512 第1記憶部
52 異常終了記憶部
521 第2記憶部
53 駆動部
110 管路
111,111A,111B 管路
112,112A,112B 管路
113,113B,113C 管路
114,115,115A,115B,115C,117 管路
120 オーバーフロー管
P1,P2 ポンプ
S1 陽極室
S2 陰極室
S3 中間室
V1〜V7,V11,V12,V21,V22 電磁弁
V23,V24,V25,V31,V32 電磁弁
W1〜W4 水位センサ
11 電解槽
11a,11b ケーシング
12,12A,12B 貯留タンク
13 塩水タンク
21,22 イオン交換膜
23,24 電極
31 直流電源
50 制御装置
51 酸性度推定部
511 電解処理回数カウント部
512 第1記憶部
52 異常終了記憶部
521 第2記憶部
53 駆動部
110 管路
111,111A,111B 管路
112,112A,112B 管路
113,113B,113C 管路
114,115,115A,115B,115C,117 管路
120 オーバーフロー管
P1,P2 ポンプ
S1 陽極室
S2 陰極室
S3 中間室
V1〜V7,V11,V12,V21,V22 電磁弁
V23,V24,V25,V31,V32 電磁弁
W1〜W4 水位センサ
Claims (15)
- 第1電極が配置される第1電極室と、前記第1電極とは極性が異なる第2電極が配置される第2電極室とに隔膜で区分された2室型の電解槽と、
前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加する電源と、
前記第1電極室に水を供給し、前記第2電極室に塩水を供給する供給系と、
電気分解により生成された電解水を前記第1電極室から貯留タンクへ移送する移送系と、
前記第2電極室内の塩水と前記第1電解室内の電解水もしくは水とを混合する混合手段と、
前記第1電極室、前記第2電極室内の電解水もしくは塩水を排水する排水系と、
電解水の生成、移送、および塩水の排水を行うために、前記電源、前記供給系、前記移送系、前記排水系、および前記混合手段を制御する制御手段と、
を備える電解水製造装置。 - 前記混合手段は、前記第2電極室内の塩水を前記第1電極室に移送する管路およびポンプを備る、
請求項1に記載の電解水製造装置。 - 前記制御手段は、
前記第2電解室内の塩水の酸性度を推定する酸性度推定手段を備え、
前記酸性度推定手段が前記塩水の酸性度が予め設定した酸性度の範囲内ではないと推定した場合、前記混合手段を制御して前記第2電極室内の前記塩水と前記第1電解室内の電解水もしくは水とを混合した後、前記排水系を制御して前記塩水を排水する、
請求項1または2に記載の電解水製造装置。 - 前記酸性度推定手段は、塩水を交換後に行った電気分解による電解水を生成する電解処理の回数を計測し、塩水を交換後に行った前記電解処理の回数が予め設定した回数を超えた場合、前記塩水の酸性度が予め設定した酸性度の範囲内ではないと推定する、
請求項3に記載の電解水製造装置。 - 前記制御手段は、運転終了時における前記電解処理の回数が予め設定した回数以上であった場合、前記混合手段を制御して前記第2電極室内の塩水と前記第1電解室内の電解水もしくは水とを混合した後、前記排水系を制御して前記塩水を排水する、
請求項4に記載の電解水製造装置。 - 前記制御手段は、故障による運転停止、停電に起因する運転停止を含む異常終了の履歴を記憶手段に記憶し、
前記制御手段は、運転開始時に前記記憶手段を参照し、前回の運転終了時に異常終了したことを示す履歴がある場合、前記混合手段を制御して前記第2電極室内の塩水と前記第1電解室内の電解水もしくは水とを混合した後、前記排水系を制御して前記塩水を排水し、前記塩水の排水後、電解水生成処理を開始するように、前記電源、前記供給系、前記移送系、及び前記排水系を制御する、
請求項1から5の何れか一項に記載の電解水製造装置。 - 第1電極が配置される第1電極室と、前記第1電極とは極性が異なる第2電極が配置される第2電極室と、中間室と、に隔膜で区分された3室型の電解槽と、
前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加する電源と、
前記第1電極室および前期第2電極室に水を供給し、前記中間室に塩水を供給する供給系と、
電気分解により生成された電解水を前記第1電極室および前記第2電極室から貯留タンクへ移送する移送系と、
前記中間室内の塩水もしくは前記第2電解室内の電解水と前記第1電極室内の電解水もしくは水とを混合する混合手段と、
前記第1電極室内と前記第2電極室内の電解水、および中間室内の塩水を排水する排水系と、
電解水の生成、移送、および塩水の排水を行うために、前記電源、前記供給系、前記移送系、前記排水系、および前記混合手段を制御する制御手段と、
を備える電解水製造装置。 - 前記混合手段は、前記中間室内の塩水もしくは前記第2電極室内の電解水を前記第1電極室に移送する管路およびポンプを備る、
請求項7に記載の電解水製造装置。 - 前記制御手段は、
前記中間室内の塩水もしくは前記第2電極室内の電解水の酸性度を推定する酸性度推定手段を備え、
前記酸性度推定手段が前記塩水もしくは前記電解水の酸性度が予め設定した酸性度の範囲内ではないと推定した場合、前記混合手段を制御して、前記中間室内の塩水もしくは前記第2電解室内の電解水と前記第1電極室内の電解水もしくは水とを混合した後、前記排水系を制御して前記塩水もしくは前記電解水を排水する、
請求項7または8に記載の電解水製造装置。 - 前記酸性度推定手段は、塩水を交換後に行った電気分解による電解水を生成する電解処理の回数を計測し、塩水を交換後に行った前記電解処理の回数が予め設定した回数を超えた場合、前記塩水もしくは前記電解水の酸性度が予め設定した酸性度の範囲内ではないと推定する、
請求項9に記載の電解水製造装置。 - 前記制御手段は、運転終了時における前記電解処理の回数が予め設定した回数以上であった場合、前記混合手段を制御して、前記中間室内の塩水もしくは前記第2電解室内の電解水と前記第1電極室内の電解水もしくは水とを混合した後、前記排水系を制御して前記塩水もしくは前記電解水を排水する、
請求項10に記載の電解水製造装置。 - 前記制御手段は、故障による運転停止、停電に起因する運転停止を含む異常終了の履歴を記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、運転開始時に前記記憶手段を参照し、前回の運転終了時に異常終了したことを示す履歴がある場合、前記混合手段を制御して、前記中間室内の塩水もしくは前記第2電解室内の電解水と前記第1電極室内の電解水もしくは水とを混合した後、前記排水系を制御して前記塩水もしくは前記電解水を排水し、前記塩水もしくは前記電解水を排水した後、電解水生成処理を開始するように、前記電源、前記供給系、前記移送系、及び前記排水系を制御する、
請求項7から11の何れか一項に記載の電解水製造装置。 - 隔膜で区分された2以上の電解室を備える電解槽に挿入された電極に電圧を印加して塩水を電気分解して電解水を生成する処理および前記処理に使用した塩水を排水する処理を繰り返す電解水製造方法であって、
前記塩水の酸性度を推定する酸性度推定工程と、
前記酸性度推定工程において、前記塩水の酸性度が予め定めた範囲ではないと推定された場合、陰極側電極室内の塩水と陽極側電解室内の電解水もしくは水とを混合する混合工程と、
前記混合工程で混合した塩水を排水する排水工程と、
を含む電解水製造方法。 - 前記酸性度推定工程では、塩水を交換後に行った電解水を生成する処理の回数が予め設定した回数を超えた場合、前記塩水の酸性度が予め定めた範囲ではないと推定する、
請求項13に記載の電解水製造方法。 - 前記排水工程の後、前記陽極側電解室内の電解水を前記陰極側電解室に移動させて、前記陰極側電解室内に堆積したスケールを溶解する工程を含む、
請求項13または14に記載の電解水製造方法。
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